説明

吸収性物品の包装袋

【課題】包装袋に設けられた情報を隠すことなくかつ包装袋の意図しない開封を阻止しつつ、包装品の持ち運びを容易にする。
【解決手段】吸収性物品を包装するためのプラスチックフィルム製包装袋1は、前面2と、後面と、前面及び後面に連結された一対の側面と、を備え、側面は内向きに折り畳まれて前面と後面との間に配置される。包装袋に吸収性物品を包装して形成される包装品は直方体形状をなしている。包装袋の上端周りにおいて横方向に拡がるシール部分6と、包装品の側面を形成する側面部分9と、シール部分と側面部分との間に位置して包装品の頂面を形成する頂面部分10と、が形成される。更に、頂面部分に、包装袋の一側縁7から他側縁8まで横方向に延びる基準線に沿ってミシン目12が形成される。ミシン目よりも下方の頂面部分に位置する前面及び後面にそれぞれ、一側縁周りから他側縁周りまで横方向に延びる持ち手部材15が取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吸収性物品の包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
紙オムツのような吸収性物品を包装するためのプラスチックフィルム製包装袋であって、包装袋に吸収性物品を包装して形成される外装パックが直方体形状をなしており、前面と、後面と、前面及び後面に連結された一対の側面と、を備え、これら側面は内向きに折り畳まれて前面と後面との間に配置され、外装パックの上端から下端まで延びるように外装パックの正面中央に携行用バンドを取り付けた、包装袋が公知である(特許文献1参照)。このようにすると、外装パックを手に持つだけでなく、肩に掛けて携行することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−258848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、包装袋の前面及び後面には、商品名、商品の使用方法、内容量、といった情報が例えば印刷によって表示されている。しかしながら、特許文献1では、携行用バンドが外装パックの上端から下端まで延びるように設けられるので、携行用バンドによってこれらの情報が隠されるおそれがある。
また、携行用バンドの一端が外装パックの封止部に固着されているので、携行用バンドに大きな引っ張り力が作用すると、外装パックの封止部が意図することなく開封されるおそれもある。外装パックが縦長の場合には、この問題はいっそう深刻である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、吸収性物品を包装するためのプラスチックフィルム製包装袋であって、包装袋に吸収性物品を包装して形成される包装品が直方体形状をなしている包装袋において、前面と、後面と、前面及び後面に連結された一対の側面と、を備え、これら側面は内向きに折り畳まれて前面と後面との間に配置され、包装袋の上端周りにおいて横方向に拡がるシール部分と、包装品の側面を形成する側面部分と、シール部分と側面部分との間に位置して包装品の頂面を形成する頂面部分と、が形成され、更に、頂面部分に、包装袋の一側縁から包装袋の他側縁まで横方向に延びる基準線に沿ってミシン目が形成され、ミシン目よりも下方の頂面部分に位置する前面及び後面にそれぞれ、包装袋の一側縁周りから包装袋の他側縁周りまで横方向に延びる持ち手部材が取り付けられる、包装袋が提供される。
【発明の効果】
【0006】
包装袋に設けられた情報を隠すことなくかつ包装袋の意図しない開封を阻止しつつ、包装品の持ち運びを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】包装袋の平面図である。
【図2】包装袋の底面図である。
【図3】包装品の斜視図である。
【図4】包装品の頂面図である。
【図5】包装袋の部分拡大図である。
【図6】開封前の包装袋の使用状態を説明する図である。
【図7】開封後の包装袋の使用状態を説明する図である。
【図8】追加のミシン目を示す包装袋の平面図である。
【図9】別の追加のミシン目を示す包装袋の平面図である。
【図10】本発明による別の実施例の包装袋の底面図である。
【図11】持ち手部材が1シート部分に取り付けられる場合の取り付け領域の形成方法を示す概略図である。
【図12】持ち手部材が2シート部分に取り付けられる場合の取り付け領域の形成方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1及び図2を参照すると、吸収性物品を包装するための包装袋1は、縦方向Lに細長い四角形をなしている。ここで、吸収性物品には、人用又はペット用の使い捨てオムツ、生理用ナプキン、尿吸収パッド等が含まれる。
【0009】
包装袋1は、前面2と、後面3と、一対の側面4とを備える。各側面4は対応する縦方向Lの折り目線5を介して前面2及び後面3に連結される。各側面4は、縦方向Lの折り目線4F,5に沿いつつ内向きに折り畳まれて前面2及び後面3との間に配置され、したがって包装袋1は扁平状をなしている。なお、側面4はガセットとして機能する。
【0010】
包装袋1の上端1U周りには、シール部分6が形成され、このシール部分6は縦方向Lに直交する横方向Tに拡がっている。図1に示される例では、シール部分6は包装袋1の一側縁7から他側縁8まで延びる熱シール部分から構成される。すなわち、シール部分6により前面2,後面3及び側面4が一体的に接合され、したがって包装袋1の上端が通気不能に封止される。なお、包装袋1の下端1Lは開放されている。
【0011】
開放下端1Lを介して包装袋1内に複数の吸収性物品Aが収容され、次いで下端1Lが例えば熱シールによって封止される。その結果、図3及び図4に示されるような包装品Pが形成される。包装品Pは直方体形状をなしており、頂面PT及び底面PB、並びに4つの側面PSを有している。特に、図3に示される例では、包装品Pは縦長になっている。すなわち、包装品Pの高さHPが包装品Pの幅WP及び奥行きDPよりも大きい。言い換えると、包装品Pが縦長になるように包装袋1の寸法が設定されている。
【0012】
また、図3に示される例では、吸収性物品Aは横方向に並べて配置される。なお、包装袋1に吸収性物品Aをどのように収容してもよい。
【0013】
図3及び図4を参照しつつ図1を参照すると、包装袋1には、包装品Pの側面PSを形成する筒状の側面部分9と、シール部分6と側面部分9との間に位置して包装品Pの頂面PTを形成する頂面部分10と、側面部分9の下方に位置して包装品Pの底面PBを形成する底面部分11と、が形成される。
【0014】
この頂面部分10には、ミシン目12が形成される。ミシン目12は図1に示されるように、包装袋1の一側縁7から他側縁8まで横方向Tに延びる基準線13に沿って形成される。
【0015】
図5に示されるように、ミシン目12の中央部分12Cの切断部分は、基準線13に交互に逆向きの傾斜でもって交差するように延びている。これに対し、中央部分12Cの両側に位置するミシン目12の両側部分12Sの切断部分は、基準線13にほぼ平行に延びている。ここで、側面4が前面2及び後面3と重なっていない領域を非重なり領域14と称すると、図5に示される例では、中央部分12Cの幅は非重なり領域14の幅よりも大きくされている。ただし、中央部分12Cの幅は非重なり領域14の幅とほぼ同じかこれよりも短くてもよい。
【0016】
なお、ミシン目12の切断部分は前面2から側面4を通過して後面3に到っている。
【0017】
更に、ミシン目12よりも下方の頂面部分10に位置する前面2及び後面3にはそれぞれ、包装袋1の一側縁7周りから包装袋1の他側縁8周りまで横方向Tに延びる持ち手部材15が取り付けられる。
【0018】
各持ち手部材15は、横方向Tに細長い帯状をなしており、包装袋1の一側縁7周り及び他側縁8周りにそれぞれ設けられた一対の取り付け領域16を介して前面2及び後面3にそれぞれ取り付けられる。また、図5に示される例では、各取り付け領域16は直角三角形状をなしており、下方に向かうにつれて包装袋1の中央から両側へ拡開する傾斜部分17を含んでいる。これら傾斜部分17は縦方向L及び横方向Tに対しそれぞれ、例えば約45°傾斜している。
【0019】
取り付け領域16は例えば熱シール部分から構成することができる。この場合、熱シール部分は、持ち手部材15と前面2との間と、持ち手部材15と後面3との間とにそれぞれ形成される。なお、取り付け領域16の角部は丸まっていてもよい。
【0020】
包装袋1はプラスチックフィルムから構成される。プラスチックとして、例えばリニアローデンポリエチレン及びローデンポリエチレンを配合したもの、ポリプロピレン、ハイデンポリエチレンなどを用いることができる。なお、前面2,後面3及び側面4から構成される袋本体と、持ち手部材15とを同一の材料から構成してもよいし、互いに別の材料から構成してもよい。
【0021】
さて、上述したように、包装袋1に吸収性物品Aを収容することによって直方体形状をなす包装品Pが形成される。この包装品Pの頂面PTには一対の持ち手部材15が設けられている。その結果、図6に示されるように、ユーザはこれら持ち手部材15に手又は腕を掛けて、包装品Pを容易に持ち運ぶことが可能になる。
【0022】
この場合、持ち手部材15は包装品Pの側面PS上に存在せず、したがって側面PS上の情報が隠されることがない。
【0023】
また、持ち手部材15がシール部分6及びミシン目12と重なっていないので、持ち運びの際に包装袋1が意図せず開封するのが阻止される。しかも、ミシン目12の中央部分12Cの切断部分が基準線13に交互に逆向きの傾斜でもって交差するように延びているので、包装袋1の意図しない開封が更に確実に阻止される。
【0024】
更に、取り付け領域16が傾斜部分17を有しているので、持ち手部材15に手又は腕を掛けたときに、持ち手部材15は容易に手又は腕の表面に対し平行になる。したがって、持ち手部材15が広い面積でユーザに接触できるので、ユーザは容易に包装品Pを持ち運ぶことができる。すなわち、例えば包装袋1を打ち抜いて形成される指掛け穴の場合には、指掛け穴周りの包装袋がわずかな面積でユーザに接触するので、ユーザに痛みが生ずるおそれがある。
【0025】
一方、吸収性物品Aを包装品Pから取り出すべきときには、包装袋1がミシン目12に沿って破断され、開封される。その結果、図7に示されるように、包装袋1に開口が形成される。この開口は包装品Pの横断面と同じであって大きく、したがって吸収性物品Aを包装袋1から容易に取り出すことができる。この場合、ハサミ等の道具を用いることなく、包装袋1を容易に開封することができる。
【0026】
しかも、開封された後の包装袋1が袋の形を維持することができる。したがって、包装袋1を例えばゴミ袋として、容易に再利用することができる。
【0027】
また、開封後であっても、ユーザは持ち手部材15に手又は腕を掛けて、包装品Pを容易に持ち運ぶことができる。このような考え方は従来存在していない。
【0028】
図8及び図9に示されるように、包装袋1に追加のミシン目を設けることもできる。図8に示される例では、前面2に追加のミシン目20が設けられる。この追加のミシン目20は例えば上向きに凸状をなしている。追加のミシン目20が破断されると、少なくとも1つの吸収性物品Aを取り出すのに十分な大きさの開口が形成される。すなわち、ミシン目12を破断することなく、吸収性物品Aを取り出すことができる。なお、追加のミシン目20を後面3のみ、又は前面2及び後面3の両方に設けてもよい。
【0029】
図9に示される例では、前面2と側面4との間の折り目線5に沿って追加のミシン目30が設けられる。この追加のミシン目30は例えば、頂面部分10のほぼ半分及び側面部分9のほぼ3/4にわたって延びている。図9に示される例でも、追加のミシン目30が破断されると、少なくとも1つの吸収性物品Aを取り出すのに十分な大きさの開口が形成される。すなわち、ミシン目12を破断することなく、吸収性物品Aを取り出すことができる。なお、追加のミシン目30を複数個設けてもよい。あるいは、図8及び図9に示される追加のミシン目20,30両方を設けることもできる。
【0030】
これまで述べてきた各実施例では、包装品Pが縦長になるように包装袋1の寸法が設定されている。しかしながら、包装品Pが横長の直方体形状、又は立方体形状になるように包装袋1の寸法を設定することもできる。
【0031】
また、これまで述べてきた各実施例では、取り付け領域16を構成する熱シール部分は、持ち手部材15と前面2及び後面3との間にそれぞれ形成される。すなわち、取り付け領域16は側面4とは分離している。あるいは、持ち手部材15はそれぞれ、前面2のみの1シート部分及び後面3のみの1シート部分に取り付けられる。このため、包装袋1がミシン目12に沿って破断されたときに、大きな開口が形成される。
【0032】
これに対し、図10に示されるように、取り付け領域16を構成する熱シール部分を、持ち手部材15、前面2、前面2に重なっている側面4の部分4Fとの間と、持ち手部材15、後面3、後面3に重なっている側面4の部分4Rとの間とにそれぞれ形成してもよい。すなわち、この場合には、持ち手部材15はそれぞれ、前面2及び側面4の2シート部分並びに後面3及び側面4の2シート部分に取り付けられる。
【0033】
このようにすると、持ち手部材15を包装袋1に強固に取り付けることができる。その結果、包装袋1を構成するプラスチックフィルムの厚さを小さくすることができ、したがって包装袋1の製造コストを低下することができる。
【0034】
また、ユーザが持ち手部材15に手を掛けて包装品Pを持ち上げたときに、前面2及び後面3が側面4に対しずれるのが抑制される。その結果、ユーザは包装品Pの側面PSを上の情報が歪むのが抑制され、したがってユーザは情報を確実に読み取ることができる。すなわち、取り付け領域16が側面4と分離していると、包装品Pが持ち上げられたときに前面2及び後面3が側面4に対しずれるおそれがあり、この場合、側面PS上の情報が歪んで読み取るのが困難になる。図10に示される例では、このような歪みが抑制されている。
【0035】
図11は、持ち手部材15が1シート部分に取り付けられる場合の取り付け領域16の形成方法を示している。この場合、側面4の部分4Fと部分4Rとの間に断熱性を有する遮蔽板21が配置され、前面2と部分4Fとの間に遮蔽板22Fが配置され、後面3と部分4Rとの間に遮蔽板22Rが配置される。次いで、持ち手部材15がそれぞれ、前面2のみ及び後面3のみに、熱シールによって取り付けられる。なお、遮蔽板21を省略することもできる。
【0036】
図12は持ち手部材15が2シート部分に取り付けられる場合の取り付け領域16の形成方法を示している。この場合、前面2と部分4Fとの間及び後面3と部分4Rとの間に遮蔽板22F及び遮蔽板22Rが配置されることなく、側面4の部分4Fと部分4Rとの間に遮蔽板21が配置される。次いで、持ち手部材15がそれぞれ、前面2及び部分4F並びに後面3及び部分4Rに、熱シールによって取り付けられる。
【0037】
なお、これまで述べてきた本発明による実施例を互いに組み合わせることもできる。
【符号の説明】
【0038】
1 包装袋
2 前面
3 後面
4 側面
6 シール部分
7 一側縁
8 他側縁
9 側面部分
10 頂面部分
12 ミシン目
13 基準線
15 持ち手部分
16 取り付け領域
P 包装品
A 吸収性物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品を包装するためのプラスチックフィルム製包装袋であって、包装袋に吸収性物品を包装して形成される包装品が直方体形状をなしている包装袋において、
前面と、後面と、前面及び後面に連結された一対の側面と、を備え、これら側面は内向きに折り畳まれて前面と後面との間に配置され、
包装袋の上端周りにおいて横方向に拡がるシール部分と、包装品の側面を形成する側面部分と、シール部分と側面部分との間に位置して包装品の頂面を形成する頂面部分と、が形成され、
更に、頂面部分に、包装袋の一側縁から包装袋の他側縁まで横方向に延びる基準線に沿ってミシン目が形成され、
ミシン目よりも下方の頂面部分に位置する前面及び後面にそれぞれ、包装袋の一側縁周りから包装袋の他側縁周りまで横方向に延びる持ち手部材が取り付けられる、
包装袋。
【請求項2】
包装品が縦長になるように包装袋の寸法が設定されている、請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
各持ち手部分と前面及び後面とがそれぞれ、一対の取り付け領域を介して互いに取り付けられており、各取り付け領域が、下方に向かうにつれて包装袋の中央から両側へ拡開する傾斜部分を含んでいる、請求項1又は2に記載の包装袋。
【請求項4】
取り付け領域が熱シール部分から構成されており、熱シール部分は、持ち手部材、前面、前面に重なっている側面の部分との間と、持ち手部材、後面、後面に重なっている側面の部分との間とにそれぞれ形成される、請求項1から3までのいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項5】
ミシン目の中央部分の切断部分が基準線に交互に逆向きの傾斜でもって交差するように延びている、請求項1から4までのいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項6】
ミシン目の両側部分の切断部分が基準線にほぼ平行に延びている、請求項1から5までのいずれか一項に記載の包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−18510(P2013−18510A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152166(P2011−152166)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(596159854)コスモテック株式会社 (3)
【Fターム(参考)】