説明

吸収性物品の評価装置及び、吸収性物品の評価方法

【課題】複数の動作をすること及び/又は複数の姿勢をとることが可能な人形本体を備える吸収性物品の評価装置及び、該吸収性物品の評価装置を用いる吸収性物品の評価方法を提供すること。
【解決手段】本発明の吸収性物品の評価装置1は、2本の脚部12a、12bを有し所定の吸収性物品を装着可能な人形本体10であって、所定の吸収性物品を装着した状態において、2本の脚部12a、12bの前後方向及び左右方向への回動駆動、人形本体10の垂直方向への傾斜駆動、及び人形本体10の胴回り方向への回転駆動が可能であり、人体に近似した動作を行い及び/又は姿勢をとることが可能な人形本体10を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品の評価装置及び、吸収性物品の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オムツや生理用ナプキン等の吸収性物品における液漏れ等は、実際に人体に装着して使用することによりその評価を行っていた。
【0003】
しかし、実際に人体に装着・使用して吸収性物品の漏れ等の評価をする場合、多大な手間、時間及びコストを要するという問題があった。例えば、吸収性物品における漏れ等の評価は、各種吸収性物品における対象者ごと(年代別、男女別)に装着試験等をする必要があると共に、漏れ等の評価において十分なデータを得るにはそれぞれ非常に多くの対象者による装着試験等が必要であった。また、例えば、乳幼児を対象とする装着試験においては、評価目的・条件に応じたタイミングで所望の量を排尿させることは困難であり、吸収性物品について再現性のある評価を行うことが困難であった。このため、吸収性物品における漏れ防止機能等の限界点を評価することは困難であった。
【0004】
更には、吸収性物品は服を着た状態で使用する場合が多く、排泄物が漏れる現象を直接的に観察評価することは困難であった。従って、技術者が吸収性物品の改良等をする場合には、例えば、評価データ等から漏れ状態等について想像を働かせながらこれを行う必要があり、技術者には熟練が必要であった。
【0005】
これらの問題を解決すため、例えば、胴ボディーと2本の脚部ボディーとを有し伸縮等可能な柔軟材で形成される人型ボディーであって、脚部を前後に歩行するように駆動可能に形成した紙おむつ性能検査用人形本体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−163127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1における検査用人形本体でも、吸収性物品の評価における動作等は単純な歩行動作等だけであり、人が生活において実際に行う動作や姿勢とは大きく乖離するものであった。そして、所定の吸収性物品を検査用人形本体に装着して評価しても、その評価結果は、実際に人に装着・使用して評価した評価結果と乖離する場合があった。また、姿勢変化、体型違い、体の硬さ違い、動作違い、排尿、経血、排便のイオン等の成分違い、排泄速度の違いについて再現テストが困難であった。
【0007】
本発明は、以上を鑑みてなされたものであり、複数の動作をすること及び/又は複数の姿勢をとることが可能な人形本体を備える吸収性物品の評価装置及び、該吸収性物品の評価装置を用いる吸収性物品の評価方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、吸収性物品の評価装置における人形本体を複数の動作をすること及び/又は複数の姿勢をとることを可能に構成することで、人体に吸収性物品を装着して評価した場合に近似又は相関した評価結果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
(1) 2本の脚部を有し所定の吸収性物品を装着可能な人形本体を備える吸収性物品の評価装置であって、前記人形本体は、前記所定の吸収性物品を装着した状態において、前記人形本体における2本の脚部の前後方向及び左右方向への回動駆動、前記人形本体の垂直方向への傾斜駆動、及び前記人形本体の胴回り方向への回転駆動が可能であり、人体に近似した動作を行い、及び/又は、姿勢をとることが可能である吸収性物品の評価装置。
【0010】
(2) 胴体部と、前記胴体部の一方側に形成される2本の脚部と、前記胴体部における前記脚部の付け根近傍に形成される1又は複数の排泄部とを有し、前記排泄部を覆うように所定の吸収性物品を装着可能な人形本体を備える吸収性物品の評価装置であって、前記2本の脚部それぞれを、所定の第1回転軸を中心にそれぞれ回動駆動させる脚部前後駆動手段と、前記2本の脚部それぞれを、前記第1回転軸と略直交する第2回転軸を中心にそれぞれ回動駆動させる脚部左右駆動手段と、前記胴体部を垂直方向に対して傾けるように駆動させる本体傾斜駆動手段と、前記人形本体を、該人形本体における胴回り方向に回転させる本体回転駆動手段と、を備え、前記所定の吸収性物品を装着した状態における前記人形本体に、複数の動作を行わせ、及び/又は、複数の姿勢をとらせることが可能である吸収性物品の評価装置。
【0011】
(3) 前記人形本体を垂直方向に移動可能な本体垂直駆動手段と、前記人形本体における垂直方向の下側に配置される床部材と、前記床部材を垂直方向に移動可能な床部材垂直駆動手段と、を備え、前記人形本体を、座姿勢又は寝姿勢で、前記装着された吸収性物品の外面に前記床部材が押し当てられるように配置することが可能である(2)に記載の吸収性物品の評価装置。
【0012】
(4) 前記人形本体は、前記胴体部における所定領域及び前記2本の脚部における所定領域を覆うよう表面側に配置される皮膚部材を備え、前記皮膚部材は、破断点伸び150%以上の伸縮性材料からなり、厚さが5から100mmであり、かつ、該皮膚部材の表面における0.1から2質量%のNaCl水溶液との接触角が5から90度である(2)又は(3)に記載の吸収性物品の評価装置。
【0013】
(5) 前記皮膚部材における全部又は一部は、蒸気透過性である(4)に記載の吸収性物品の評価装置。
【0014】
(6) 前記人形本体は、該人形本体に加えられる圧力を検知可能な圧力検知手段を備え、前記圧力検知手段は、前記床部材との接触領域における前記人形本体に加えられる圧力を検知可能である(3)から(5)のいずれかに記載の吸収性物品の評価装置。
【0015】
(7) 前記人形本体は、前記所定の吸収性物品の装着部近傍を略人体温度に調整可能な温度調整手段を備える(2)から(6)のいずれかに記載の吸収性物品の評価装置。
【0016】
(8) 前記人形本体は、該人形本体の内部に配置される流体収納部材と、一端が前記流体収納部材に接続される流体収納部材用管と、前記流体収納部材用管の他端に接続され、前記流体収納部材に収納される前記所定の流体の量を調整可能な流体調整手段と、を備え、前記流体量調整手段は、該人形本体の動作及び/又は姿勢に応じて前記流体収納部材に収納される流体量を調整する(2)から(7)のいずれかに記載の吸収性物品の評価装置。
【0017】
(9) 前記人形本体における前記2本の脚部の間に形成される股ぐり部、及び/又は、前記1又は2以上の排泄部近傍に配置される撮像手段と、前記撮像手段により撮像された画像を表示可能な画像モニターと、を備え、前記人形本体に装着された前記所定の吸収性物品の状態を観察可能である(2)から(8)のいずれかに記載の吸収性物品の評価装置。
【0018】
(10) 前記脚部前後駆動手段、前記脚部左右駆動手段、前記本体傾斜駆動手段、及び前記本体回転駆動手段を制御する制御手段と、前記人形本体に所定の動作を行わせ、及び/又は、所定の姿勢をとらせることを指示する指示手段と、を備え、前記制御手段は、前記指示手段からの指示に基づいて、前記脚部前後駆動手段、前記脚部左右駆動手段、前記本体傾斜駆動手段、及び前記本体回転駆動手段を制御し、前記人形本体に前記所定の動作を行わせ、及び/又は、前記所定の姿勢をとらせる(2)から(9)のいずれかに記載の吸収性物品の評価装置。
【0019】
(11) 前記人形本体に複数の動作及び/又は姿勢を組み合わせた一連の動作を行わせるための動作・姿勢情報を複数記憶する記憶手段を備え、前記指示手段は、前記記憶手段に記憶される複数の動作・姿勢情報から所定の動作・姿勢情報を選択して指示することが可能である(10)に記載の吸収性物品の評価装置。
【0020】
(12) (1)から(11)のいずれかに記載の吸収性物品の評価装置を用いる吸収性物品の評価方法であって、前記人形本体に、前記1又は複数の排泄部における少なくとも1以上の排泄部を覆うように所定の吸収性物品を装着する装着工程と、前記所定の吸収性物品が装着された人形本体に所定の動作を行わせ、及び/又は、所定の姿勢をとらせる駆動工程と、前記駆動工程の前又は前記駆動工程中に、前記人形本体における前記排泄部から所定の液体又は液状物を排泄させる排泄工程と、を含む吸収性物品の評価方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、所定の姿勢及び/又は動作が可能な人形本体を備える吸収性物品の評価装置及び、該吸収性物品の評価装置を用いる吸収性物品の評価方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0023】
図1は、実施形態における吸収性物品の評価装置を示す斜視図である。図2は、実施形態における吸収性物品の評価装置を説明する正面図である。図3は、実施形態における吸収性物品の評価装置を説明する側面図である。図4は、実施形態における吸収性物品の評価装置を説明する側面図である。図5は、実施形態における吸収性物品の評価装置を説明する平面図である。図6は、人形本体における吸収性物品の装着前及び装着後を説明する図である。図7は、人形本体における立姿勢及び歩行動作を説明する図である。図8は、人形本体における座姿勢及び脚組み動作を説明する図である。図9は、人形本体における各種寝姿勢及び寝返り動作を説明する図である。図10は、図9で説明する寝姿勢とは異なる寝姿勢を説明する図である。図11は、這い姿勢及び這い動作を説明する図である。図12は、実施形態における人形本体の駆動構造を説明する正面図である。図13は、実施形態における人形本体の駆動構造を説明する側面図である。図14は、実施形態における人形本体の駆動構造を説明する拡大図である。図15は、実施形態における人形本体の内部に排泄管が配置されることを説明する図である。図16は、円筒部材に皮膚部材が装着されることを説明する図である。図17は、人形本体が座姿勢の場合における床部材から該人形本体に加えられる圧力を示す図である。図18は、人形本体が寝姿勢の場合における床部材から該人形本体に加えられる圧力を示す図である。
【0024】
[1]吸収性物品の評価装置
図1から図17により、本発明における吸収性物品の評価装置について説明する。
「1.1」概要
本発明における吸収性物品の評価装置は、2本の脚部を有し所定の吸収性物品を装着可能な人形本体を備える吸収性物品の評価装置であって、該人形本体が人体に近似した動作を行い及び/又は姿勢をとることが可能である吸収性物品の評価装置である。具体的には、人形本体が所定の吸収性物品を装着した状態において、人形本体における2本の脚部の前後方向及び左右方向への回動駆動、人形本体の垂直方向への傾斜駆動、及び人形本体の胴回り方向への回転駆動を可能に構成することで、人体における実際の動作及び/又は姿勢に近似した動作及び/又は姿勢をとることが可能である吸収性物品の評価装置である。
【0025】
また、人形本体に用いられる皮膚部材を、濡れ性や伸縮性が人体における皮膚と近似したもので構成することや、人形本体の温度を体温程度に調整に構成することで、より吸収性物品を人体に装着した状態に近づけた状態で評価が可能な吸収性物品の評価装置である。
【0026】
また、人形本体を、所定の床部材に座姿勢や寝姿勢で載置可能にすることで、装着した吸収性物品に圧力が加わった状態での評価が可能な吸収性物品の評価装置である。
【0027】
本発明における吸収性物品の評価装置は、例えば、吸収性物品における排泄物の吸収状態に対する寄与の大きい圧力、温度、動作、姿勢変化等の因子ごとに、吸収性物品の吸収性や漏れ防止性能を評価することが可能な吸収性物品の評価装置である。
【0028】
本発明における吸収性物品の評価装置における具体的な構成等を、本実施形態における吸収性物品の評価装置1に基づいて、以下に詳述する。
【0029】
「1.2」全体構造
図1から図5に示すように、本実施形態における吸収性物品の評価装置(以下、単に「評価装置」という場合がある。)1は、胴体部11と、胴体部11の一方側に形成される2本の脚部12a、12bと、胴体部11における2本の脚部12a、12bの付け根近傍に形成される1又は複数の不図示の排泄部とを有する人形本体10を備える。該人形本体10は、排泄部を覆うように所定の吸収性物品を装着可能であり、該所定の吸収性物品を装着した状態における人形本体10に所定の動作を行わせ、及び/又は所定の姿勢を取らせることができる。
【0030】
つまり、吸収性物品の評価装置1は、2本の脚部12a、12bそれぞれを、所定の第1回転軸100a、100bを中心にそれぞれ回動駆動させる脚部前後駆動手段を備える。該脚部前後駆動手段により、2本の脚部12a、12bそれぞれを、例えば、歩行するように人形本体における前後方向(図示)に駆動させることや、座姿勢をとるように人形本体10における前面側に近づくよう回動駆動させることができる。
【0031】
更に、吸収性物品の評価装置1は、2本の脚部12a、12bそれぞれを、第1回転軸100a、100bと略直交する第2回転軸110a、110bを中心にそれぞれ回動駆動させる脚部左右駆動手段を備える。脚部左右駆動手段により、2本の脚部12a、12bそれぞれを、例えば、開脚するように互いの先端側が離間するよう駆動させることや、脚を閉じるように互いの先端側が近づくように駆動させることができる。
【0032】
吸収性物品の評価装置1は、脚部前後駆動手段及び脚部左右駆動手段を備えるので、例えば、ガニ股歩きや、脚の組み替え等の複雑な動作が可能である。
【0033】
更に、吸収性物品の評価装置1は、胴体部11を垂直方向に対して傾けるように駆動させる本体傾斜駆動手段を更に備える。該本体傾斜駆動手段により、人形本体10を垂直方向に対して傾けることができるので、例えば、寝姿勢をとることや、這い動作を行うことができる。
【0034】
吸収性物品の評価装置1は、人形本体10を垂直方向に移動可能な本体垂直駆動手段と、人形本体10における垂直方向の下側に配置される床部材40a、40bと、床部材40a、40bを垂直方向に移動可能な床部材垂直駆動手段と、を備える。本体垂直駆動手段及び床部材垂直駆動手段により、人形本体10を垂直方向に移動させることができるので、例えば、人形本体10に座姿勢や寝姿勢をとらせると共に、人形本体10を該座姿勢や寝姿勢で、装着された吸収性物品の外面に床部材40a、40bが押し当てられるよう床部材40a、40bの上面側に配置することが可能である。
【0035】
更に、吸収性物品の評価装置1は、人形本体10を、該人形本体10における胴回り方向に回転させる本体回転駆動手段を備える。該本体回転駆動手段により、体を捻る各種姿勢、動作をとることができる。例えば、寝返り動作等を行うことができる。
【0036】

また、本実施形態における人形本体10は、所定の吸収性物品の装着部近傍を略人体温度に調整可能な温度調整手段を備える。これにより、人体の体温に近似した温度条件で評価をすることができる。
【0037】
また、本実施形態における人形本体10は、該人形本体10に加えられる圧力を検知可能な圧力検知手段を備える。これにより、床部材40a、40bとの接触領域における前記人形本体に加えられる圧力を検知可能である。
【0038】
「1.3」各構成要素
「1.3.1」脚部前後駆動手段
図13に示すように、本実施形態における脚部前後駆動手段は、脚部前後駆動源である脚部駆動用電動モータ21a、21b(不図示)と、脚部駆動用電動モータ21a、21bからの回転動力を伝達する第1伝動部250a、250b(不図示)と、第1伝動部250a、250bの端部に形成される第1動力歯車253a、253b(不図示)と、第1動力歯車253a、253bと当接し、該第1動力歯車253a、253bにおける回転軸と略直交すると共に第1回転軸100a、100b(不図示)と略平行な軸を回転軸とする第1変換歯車255a、255b(不図示)と、第1変換歯車255a、255bと当接し第1回転軸100a、100bを回転軸とする略円筒状の脚部前後駆動歯車257a、257bと、を備える。
【0039】
上記のように構成することで、脚部駆動用電動モータ21a、21bからの回転動力を、脚部前後駆動歯車257a、257bに伝動することができ、該脚部前後駆動歯車257a、257bを第1回転軸100a、100bを中心に回転させることができる。脚部駆動用電動モータ21a、21bの回転方向を変えることで(正→逆、逆→正)、該脚部前後駆動歯車257a、257bの回転方向を変えることができる。また、脚部駆動用電動モータ21a、21bの回転方向を調整することで、脚部前後駆動歯車257aと脚部前後駆動歯車257bとを同じ方向に回動させることや、異なる方向に回動させることができる。これにより、例えば、歩行動作等を行わせることができる。
【0040】
本実施形態において、脚部前後駆動源として電動モータを用いているがこれに限定されない。例えば、脚部前後駆動源として、空気アクチュエータ、油圧アクチュエータ等の各種アクチュエータを用いることができる。
【0041】
また、本実施形態において、脚部前後駆動手段である脚部駆動用電動モータ21a、21bからの回転動力を上述のように歯車等を組み合わせることで該脚部前後駆動歯車257a、257bに伝動しているが、これに限定されない。また、脚部前後駆動源をできるだけ脚部前後駆動歯車257a、257bに近い位置に配置することや、脚部駆動源と脚部前後駆動歯車257a、257bとの間に他の部材が配置されないように構成して第1伝動部250a、250bが脚部前後駆動歯車257a、257bの近傍まで配置されるように構成することで、上記各種歯車の数を少なくすることも可能である。
【0042】
ここで、脚部前後駆動手段である脚部駆動用電動モータ21a、21bが人形本体10に配置されていることや、脚部駆動用電動モータ21a、21bからの回転動力を人形本体10の内部に配置して所定の部材により伝動され、脚部12a、12bを回動駆動させる点は、本実施形態における吸収性物品の評価装置1の特徴の一つである。
【0043】
「1.3.2」脚部左右駆動手段
図12又は図13に示すように、脚部左右駆動手段は、脚部左右駆動源である脚部駆動用電動モータ20a、20bと、脚部駆動用電動モータ20a、20bからの回転動力を伝達する第2伝動部210a、210bと、第2伝動部210a、210bの端部に形成される第2動力歯車213a、213bと、第2動力歯車213a、213bと当接し該第2動力歯車213a、213bの回転軸と略直交する軸を回転軸とする第2変換歯車215a、215bと、第2変換歯車215a、215bと当接し第2変換歯車215a、215bにおける回転軸と略平行な軸を回転軸とする第1連結歯車217a、217bと、第1連結歯車217a、217bの中心に該第1連結歯車217a、217bの回転軸方向に延びるように形成され、脚部前後駆動歯車257a、257bにおける略円筒状の内部を挿通するように配置される連結軸219a、219bと、連結軸219a、219bにおける第1連結歯車217a、217bとは反対側の端部に形成される第2連結歯車221a、221bと、第2連結歯車221a、221bと当接し第2連結歯車221a、221bの回転を第2回転軸110a、110bを中心とする回転に変換する脚部左右駆動歯車223a、223bと、を備える。
【0044】
更に、図14に示すように、脚部左右駆動歯車223a、223bの中心に第2回転軸110a、110b方向に延びるように形成される脚部左右駆動軸225a、225bであって、脚部前後駆動歯車257a、257b又は脚部前後駆動歯車257a、257bに連結され該前記脚部前後駆動歯車257a、257bと同期して回転する一対の軸支部材227a、227bに回転可能に軸支される脚部左右駆動軸225a、225bと、を備える。
【0045】
そして、脚部12a、12bの内部に配置される脚骨部材280a、280bを、脚部左右駆動軸225a、225bに連結することで、脚部12a、12bを左右方向に駆動することができる。
【0046】
上記のように構成することで、脚部駆動用電動モータ20a、20bからの回転動力を、脚部左右駆動歯車223a、223bに伝動することができ、該脚部左右駆動歯車223a、223bを第2回転軸110a、110bを中心に回転させることができる。脚部駆動用電動モータ20a、20bの回転方向を変えることで(正→逆、逆→正)、該脚部左右駆動歯車223a、223bの回転方向を変えることができる。また、脚部駆動用電動モータ20a、20bの回転方向を調整することで、脚部左右駆動歯車223aと脚部左右駆動歯車223bとが互いに遠ざかるように回動させることや、互いに近づくように回動させることができる。これにより、例えば、開脚動作や脚の組み替え動作等を行わせることができる。更には、歩行動作において、例えば、ガニ股での歩行動作や、脚を交差させるようなモデル歩きでの歩行動作が可能である。
【0047】
本実施形態において、脚部左右駆動源として電動モータを用いているがこれに限定されない。例えば、脚部左右駆動源として、空気アクチュエータ、油圧アクチュエータ等の各種アクチュエータを用いることができる。
【0048】
また、本実施形態において、脚部左右駆動手段である脚部駆動用電動モータ20a、20bからの回転動力を上述のように歯車等を組み合わせることで該脚部左右駆動歯車223a、223bに伝動しているがこれに限定されない。また、脚部左右駆動源をできるだけ脚部左右駆動歯車223a、223bに近い位置に配置することや、脚部駆動源と脚部左右駆動歯車223a、223bとの間に他の部材が配置されないように構成して第2伝動部210a、210bが脚部左右駆動歯車223a、223bの近傍まで配置されるように構成することで、上記各種歯車の数を少なくすることも可能である。
【0049】
ここで、脚部左右駆動手段である脚部駆動用電動モータ20a、20bが人形本体10に配置されていることや、脚部駆動用電動モータ20a、20bからの回転動力を人形本体10の内部に配置して所定の部材により伝動され、脚部12a、12bを回動駆動させる点は、本実施形態における吸収性物品の評価装置1の特徴の一つである。
【0050】
「1.3.3」本体傾斜駆動手段
図1から図5に示すように、本実施形態における吸収性物品の評価装置1は、人形本体10における胴体部11を垂直方向に対して傾斜させるように駆動させる本体傾斜駆動手段を構成する傾斜用電動モータ30を備える。傾斜用電動モータ30は、人形本体10を垂直方向における上側から吊り下げるように支持する本体支持部材31を、垂直方向に対して傾斜させるように駆動可能である。
【0051】
更に具体的には、図5に示すように、本体支持部材31は、後述する水平方向に略コの字状に開口する上下支持部材32に回動可能に軸支される。そして、図2に示すように、傾斜用電動モータ30は、上下支持部材32に回動可能に支持される本体支持部材31を、垂直方向に傾斜させるように回動させる。
【0052】
このように、本体支持部材31を垂直方向に傾斜させるよう駆動させることで、該本体支持部材31に固定される人形本体10を垂直方向に対して傾斜するように回動駆動させることができる。例えば、人形本体10に各種寝姿勢をとらせることや、這い動作を行わせることができる。
【0053】
本実施形態において、本体傾斜駆動源として傾斜用電動モータ30を用いているがこれに限定されない。例えば、本体傾斜駆動源として、空気アクチュエータ、油圧アクチュエータ等の各種アクチュエータを用いることができる。
【0054】
ここで、本実施形態における本体傾斜駆動手段は、人形本体10を傾斜させると共に垂直方向に移動させる場合があり、後述する本体垂直駆動手段を兼ねる場合がある。
【0055】
「1.3.4」本体回転駆動手段
図1から図5に示すように、本実施形態における吸収性物品の評価装置1は、人形本体10を、該人形本体10における胴回り方向に回転させる本体回転駆動手段を備える。本実施形態における本体回転駆動手段は、本体回転駆動源である本体回転用電動モータ60と、本体回転用電動モータ60の回転軸における端部に形成される第1本体回転駆動歯車61と、第1本体回転駆動歯車61と当接し、該第1本体回転駆動歯車61の回転軸と略直交する軸を回転軸とする第2本体回転駆動歯車62と、該第2本体回転駆動歯車62の中心に該第2本体回転駆動歯車62の回転軸方向に延びるように形成される本体回転駆動軸63とを備える。
【0056】
本体回転駆動軸63は、一端側を所定の連結部材を介して人形本体10における脚部12a、12b側とは反対側に固定されると共に、他端側を回転軸支持部材310に回転可能に軸支される。該回転軸支持部材310は、本体支持部材31における人形本体10が配置される側とは反対側に固定される。
【0057】
上記のように構成することで、本体回転駆動源である本体回転用電動モータ60における回転動力を、本体回転駆動軸63に伝動することができる。そして、本体回転駆動軸63が所定方向に回転させることで、該本体回転駆動軸63に所定の連結部材を介して固定される人形本体10を胴周り方向に回転駆動させることができる。これにより、例えば、寝返り動作・姿勢等の胴体を捻るような動作・姿勢が可能である。
【0058】
本実施形態において、本体回転駆動源として本体回転用電動モータ60を用いているがこれに限定されない。例えば、本体回転駆動源として、空気アクチュエータ、油圧アクチュエータ等の各種アクチュエータを用いることができる。
【0059】
また、本実施形態において、本体回転駆動源として本体回転用電動モータ60からの回転動力を上述のように歯車等を組み合わせることで本体回転駆動軸63に伝動しているが、これに限定されない。
【0060】
「1.3.5」本体垂直駆動手段
図3から図5に示すように、本実施形態における吸収性物品の評価装置1は、人形本体10を、垂直方向に移動可能な本体垂直駆動手段を備える。本実施形態における本体垂直駆動手段は、本体垂直駆動源である本体垂直駆動用電動モータ51と、該本体垂直駆動用電動モータ51の回転軸における端部に連結される駆動ローラ53と、駆動ローラ53に架かるように配置されると共に、上下駆動部50における垂直方向の上側に固定される被駆動ローラ54に架かるように配置されるベルト部52とを備える。
【0061】
ベルト部52の所定位置には、所定の連結部材55が固定される。そして、この連結部材55には、上下支持部材32が連結される。言い換えると、上下支持部材32は、連結部材55を介してベルト部52に連結される。上下支持部材32は、略コの字状に形成され、開口側における両端側において本体支持部材31を回転可能に支持する部材であり、該上下支持部材32における開口側とは反対側において連結部材55に連結される。
【0062】
上記のように構成することで、本体垂直駆動用電動モータ51の回転動力によりベルト部52を上下移動させ、該ベルト部52に連結部材55を介して連結される上下支持部材32を垂直方向に移動させることができる。これにより、例えば、後述する床部材駆動手段との協働により、人形本体10を座姿勢や寝姿勢で床部材40a、40bの上面に配置することができる。
【0063】
本実施形態において、本体垂直駆動源として電動モータを用いているがこれに限定されない。例えば、本体垂直駆動源として、空気アクチュエータ、油圧アクチュエータ等の各種アクチュエータを用いることができる。
【0064】
また、本実施形態において、本体垂直駆動手段である本体垂直駆動用電動モータ51の回転動力を上述のようにベルト部52、駆動ローラ53や被駆動ローラ54等を組み合わせることで上下運動に変換し、上下支持部材32を上下移動させているがこれに限定されない。例えば、油圧シリンダやエアシリンダ等を上下支持部材32に直接連結し、上下支持部材32を垂直方向に移動させることも可能である。
【0065】
「1.3.6」床部材及び床部材垂直駆動手段
図1から図5に示すように、本実施形態における吸収性物品の評価装置1は、人形本体10における垂直方向の下側に配置される床部材40a、40bと、床部材40a、40bを垂直方向に移動可能な床部材垂直駆動手段と、を備える。本実施形態において、吸収性物品の評価装置1は、床部材40a及び床部材40bの2つの床部材を備える。
【0066】
床部材40aは、人形本体10が垂直方向に対する傾きが無いか、又は垂直方向に対する傾きが小さい状態で当接される第1床部材である。例えば、床部材40aは、人形本体10が座姿勢の場合に用いられる。言い換えると、人形本体10は、座姿勢において吸収性物品2が床部材40aの上面に当接するよう載置される。
【0067】
床部材40bは、人形本体10が垂直方向と略直交するように傾くか、又は垂直方向に対する傾きが大きい状態で当接される第2床部材である。例えば、床部材40bは、人形本体10が、寝姿勢の場合に用いられる。言い換えると、人形本体10は、寝姿勢において吸収性物品2が床部材40bの上面に当接するよう載置される。
【0068】
床部材垂直駆動手段としては、図2に示すように、エアシリンダ60a、60bを例示できる。床部材40a、40bの側部から結合部材43a、43bが延出し、該延出する結合部材43a、43bは、エアシリンダ60a、60bにおけるロッド61a、61bに固定される。ロッド61a、61bは、エアシリンダ60a、60bにより上下駆動され、該ロッド61a、61bに結合部材43a、43bを介して固定される床部材40a、40bが垂直(上下)方向に移動される。これにより、例えば、上述した本体垂直駆動手段との協働により、人形本体10を座姿勢や寝姿勢で床部材40a、40bの上面に載置することができる。
【0069】
本実施形態において、床部材垂直駆動源としてエアシリンダ60a、60bを用いているがこれに限定されない。例えば、床部材垂直駆動源として、油圧シリンダ、電動モータ、エアモータ、油圧モータ等を用いることができる。
【0070】
「1.3.7」皮膚部材
図16に示すように、本実施形態における人形本体10は、胴体部11における所定領域及び2本の脚部12a、12bにおける所定領域を覆うよう表面側に配置される皮膚部材110を備える。本実施形態における皮膚部材110は、破断点伸びが150%以上、特に200%から1000%である伸縮性材料を用いることが好ましい。伸縮性材料は、所定の力を加えることにより伸縮する材料に加え、例えば、電流を流すことにより収縮する材料を用いることも可能である。皮膚部材110における伸縮性材料の厚さが2mmから100mm、好ましくは5mmから50mmである。
【0071】
そして、皮膚部材110の表面における0.1から2質量%のNaCl水溶液との接触角が5から90度である場合が好ましい。例えば、皮膚部材110の表面に所定のフィルムや薄膜を転写することで、上記条件を満たすよう構成することができる。
【0072】
皮膚部材110をこのように構成することで、人体における皮膚の伸縮や皮膚表面の濡れ性に近似させることができ、より人体に装着・使用した場合の評価と近似した条件で所定の評価をすることが可能である。
【0073】
また、皮膚部材110における全部又は一部を、蒸気透過性にすることができる。例えば、皮膚部材110の内部から表面側に蒸気を通す蒸気用管を配置し、所定の条件で蒸気を吹き出すことで、蒸気透過領域から蒸気を透過させることができる。この場合、例えば、汗によるムレを再現することが可能であり、より人体における条件と近似した条件で所定の評価をすることが可能である。
【0074】
更に、図16に示すように、人形本体10は、一端側に鍔部805が形成されると共に、該鍔部805に連続して円筒部830が形成される円筒部材80を備える。そして、皮膚部材110には、2本の脚部12a、12bが形成される側と反対側に、円筒部830が挿入可能な被挿入部840が形成される。
【0075】
また、鍔部805における円筒部830側の面には、複数の係止部810が形成される。そして、皮膚部材110には、複数の係止部810それぞれを挿入可能な複数の被係止部820が形成される。
【0076】
このように構成することで、皮膚部材110は、円筒部材80に装着することができる。更には、皮膚部材110は、円筒部材80に装脱可能に装着される。また、更には、異なる1又は複数の皮膚部材から選ばれる他の皮膚部材と交換可能である。例えば、円筒部材80が、本体支持部材31に所定の部材を介して固定されている場合、皮膚部材110を異なる皮膚部材に交換することで、人形本体10を交換することなく性別、年齢、大きさの異なる人体における評価をすることができる。
【0077】
また、円筒部材80に装着された皮膚部材110は、例えば、バンド等の部材を用いて外側から固定することも可能である。例えば、円筒部830を皮膚部材110における被挿入部840に挿入した後、この皮膚部材110の外側にバンド等の部材を周回させると共に、該バンド部材を締め付けるようにすることで、皮膚部材110を円筒部材80に固定させることが可能である。この場合、鍔部805における円筒部830側の面には係止部810が形成されてなくて良い。
【0078】
「1.3.8」温度調整手段
本実施形態における人形本体10は、所定の吸収性物品2の装着部近傍を略人体温度に調整可能な温度調整手段を備える。加熱源として、例えば、電気ヒータ等の加熱装置、蒸気、温水等を利用できる。加熱源からの熱を人形本体10に伝熱させる手段として、例えば、人形本体10を構成する骨格部(例えば、脚骨部材280a、280b、円筒部材80)を金属やエンジニアリングプラスティック等の伝熱性の材料により構成することを例示でさる。また、所定の加熱装置により、後述する排泄部に接続される排泄管を加熱することでも、同様に加熱装置からの熱を人形本体10に伝熱させることができる。
【0079】
ここで、皮膚部材110の表面側に所定の温度センサを配置することで、人形本体10の表面側の温度を確認しながらきめ細やかな温度調整が可能である。例えば、所定の温度制御装置を組み入れられることで、人形本体10の表面温度を略一定の温度に維持することが可能である。
【0080】
また、例えば、人形本体10を所定温度に維持可能な恒温槽内に配置することで、より人形本体10の温度を人体における体温と近似した状態に維持することが可能となる。
【0081】
ここで、上記骨格部をエンジニアリングプラスティック等により構成することで、例えば、X線などの透過装置を利用することで液体の移行状態を評価することができ、CAEなどの基礎データをためる評価装置としても用いることが可能となる。
【0082】
「1.3.9」圧力検知手段
人形本体10は、該人形本体10に加えられる圧力を検知可能な圧力検知手段を備える。圧力検知手段としては、所定の圧力センサを用いることができる。この圧力センサは、例えば、皮膚部材110の表面側に配置することができる。このように構成することで、例えば、圧力センサは、床部材40a、40bとの接触領域における人形本体10に加えられる圧力を検知可能である。
【0083】
圧力センサにより測定された圧力分布の測定結果は、例えば、図17又は図18に示すようなグラフで表示することが可能である。図17は、座姿勢における圧力測定結果を示し、図18は、横向きに寝姿勢における圧力測定結果を示す。図17及び図18のグラフ(A)は、複数の閉じられた曲線により圧力の強さを表示している。具体的には、複数の閉じられた曲線における内側の曲線ほど、圧力が高いことを表示している。ここで、所定の圧力ごとに異なる色で表示する場合には視認しやすいため好適である。グラフ(B)は、平面からの高さによって圧力の強さを表示するグラフである。平面からの高さが高いほど、圧力が強いことを表示している。
【0084】
このように、本実施形態における吸収性物品の評価装置1は、人形本体10に加えられる圧力の分布を測定可能であるため、例えば、人形本体10(吸収性物品2)に加えられる圧力に応じた吸収性物品2における吸収性や漏れ防止機能の評価をすることが可能である。
【0085】
「1.3.10」流体収納部材
本実施形態における人形本体10は、該人形本体10の内部に配置される不図示の流体収納部材と、一端が流体収納部材に接続される不図示の流体収納部材用管と、流体収納部材用管の他端に接続され流体収納部材に収納される所定の流体の量を調整可能な不図示の流体量調整手段と、を備える。
【0086】
流体収納部材は、例えば、ゴムや樹脂等の非通気性かつ伸縮可能な材料で構成される袋状の部材を例示できる。該流体収納部材に気体等を封入することで流体収納部を膨らませ、該流体収納部材の外側に配置される皮膚部材110を外側方向に膨らむように変形させることができる。ここで、流体収納部材は、胴体部11だけでなく、脚部12a、12bにおける所定位置に配置することができる。
【0087】
流体調整手段における流体供給源として、例えば、エアポンプ等の各種ポンプを例示できる。そして、流体収納部材の流体を外部に放出可能なバルブ等と組み合わせることで、流体調整手段を構成する。この流体調整手段により、流体収納部に収納される流体量を調整することができる。詳細には、例えば、該人形本体の動作及び/又は姿勢に応じて流体収納部材に収納される流体量や、該流体収納部材に吹き入れる時間当たりの流体量を調整することができる。
【0088】
このように構成することで、例えば、腹式呼吸や動作による骨以外の筋肉や内臓の動きを再現することができる。これにより、より人体に装着した状態に近似した状態で吸収性物品2の評価をすることが可能である。
【0089】
「1.3.11」撮像手段及び画像モニター
本実施形態における人形本体10は、2本の脚部12a、12bの間に形成される股ぐり部、及び/又は、1又は2以上の排泄部近傍に配置される撮像手段を備える。撮像手段として、例えば、小型カメラや小型ビデオ等を例示することができる。特に、近距離にある対象の画像を撮像可能で、かつ、CCDやCMOSにより電子的に撮像可能なものが好ましい。また、例えば、オムツやナプキンと皮膚界面とを視覚化できるように、皮膚部材における表面にレンズが配置されるよう小型カメラ・ビデオを配置(内蔵等)することが好ましい。
【0090】
更に、本実施形態における吸収性物品の評価装置1は、撮像手段により撮像された画像を表示可能な不図示の画像モニターを備える。画像モニターとして、例えば、液晶ディスプレイ、ブラウン管ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の公知の表示装置を用いることができる。このように構成することで、人形本体10に装着された所定の吸収性物品2の状態を観察することができる。例えば、吸収性物品2における漏れ現象等を観察することが可能である場合がある。
【0091】
「1.3.12」制御手段及び指示手段
本実施形態における吸収性物品の評価装置1は、脚部前後駆動手段、脚部左右駆動手段、本体傾斜駆動手段、及び本体回転駆動手段を制御する制御手段を備える。制御手段として、例えば、図1から図5に示す制御ボックス90に収納される不図示のCPUを例示することができる。また、制御手段は、本体垂直駆動手段や、床部材垂直駆動手段を制御可能に構成することができる。
【0092】
本実施形態において、更に、人形本体10に所定の動作を行わせ、及び/又は、所定の姿勢をとらせることを指示する指示手段を備える。指示手段として、例えば、図1に示すよう入力部920を例示することができる。入力部920は、複数の入力ボタンが配置され、数値の入力や予め規定される動作条件の選択等をすることができる。
【0093】
制御手段であるCPUは、指示手段である入力部920からの指示に基づいて、脚部前後駆動手段、脚部左右駆動手段、本体傾斜駆動手段、及び本体回転駆動手段を制御する。また、制御手段であるCPUは、指示手段である入力部920からの指示に基づいて、本体垂直駆動手段及び床部材垂直駆動手段を制御する。これにより、人形本体10に所定の動作を行わせ、及び/又は、前記所定の姿勢をとらせることできる。言い換えると、人形本体10は、入力部920により入力された条件等に基づいて、複数の動作を連続で行うことができ、また、異なる複数の姿勢をとることが可能である。この連続した動作等についての詳細は、後述の通りである。
【0094】
「1.3.13」記憶手段
本実施形態における吸収性物品の評価装置1は、人形本体10に複数の動作及び/又は姿勢を組み合わせた一連の動作を行わせるための動作・姿勢情報を複数記憶する記憶手段を備える。記憶手段として、例えば、図1から図5に示す制御ボックス90に収納される不図示のメモリを例示することができる。
【0095】
記憶手段であるメモリは、予め複数の動作及び/又は姿勢を組み合わせた一連の動作を行わせるための動作・姿勢情報(例えば、プログラム)を記憶する。また、入力部920により新たに入力された動作・姿勢情報を記憶することも可能であり、更には、他の入力装置等により入力・作成された動作・姿勢情報を記憶することも可能である。
【0096】
動作・姿勢情報として、例えば、吸収性物品ごとに、その使用対象者に応じた動作・姿勢を想定して動作条件等を指定したものを例示できる。例えば、吸収性物品がオムツである場合には、ベビー用、幼児用、大人用、介護用のオムツごとに、その使用対象者に応じた動作を想定して動作条件を指定したものを例示できる。また、吸収性物品がナプキンである場合には、昼用、夜用、多い日用ナプキンごとに、その使用対象者に応じた動作を想定して動作条件を指定したものを例示できる。
【0097】
上述した指示手段である入力部920は、記憶手段であるメモリに記憶される1又は複数の動作・姿勢情報から所定の動作・姿勢情報を選択して、制御手段であるCPUに該選択した動作・姿勢情報に基づいて、脚部前後駆動手段、脚部左右駆動手段、本体傾斜駆動手段、及び本体回転駆動手段を制御することを指示することが可能である。言い換えると、人形本体10に、入力部920により所定の動作・姿勢情報を選択・指示することで、該選択・指示された動作・姿勢情報により規定される複数の動作及び/又は姿勢を組み合わせた一連の動作を行わせることが可能である。
【0098】
「1.3.14」排泄部
本実施形態における人形本体10は、胴体部11における脚部12a、12bの付け根近傍に形成される1又は複数の排泄部を備える。人形本体10の表面側に配置される皮膚部材110には、1又は複数の排泄口が形成される。例えば、図6に示すように、脚部12a、12bの付け根近傍に排泄口113、115が形成される。
【0099】
そして、排泄口113、115それぞれには、例えば、図15(A)、(B)における排泄管70、71を通液可能に接続することができる。排泄管70、71それぞれにおける排泄口とは反対側の端部には、所定の液体又は液状物を送液可能な不図示の送液ポンプが配置される。送液ポンプは、連続的又は間欠的に所定の液体又は液状物を排泄口113、115に送液する。
【0100】
また、上述したように、所定の加熱装置により、排泄管70、71を加熱することができる。排泄管70、71を加熱することにより、所定の液体又は液状物を、例えば、人体の体温程度に加熱することができる。これにより、人形本体10の加熱に寄与すると共に、排泄口113、115から排泄される所定の液体又は液状物の温度や粘度等を人体における排泄物と近似した温度や粘度等に調整することができる。
【0101】
また、1又は複数の排泄部における少なくとも1の排泄部を、略円筒状の吸収性物品を挿入可能に形成することが可能である。具体的には、皮膚部材に形成される所定の排泄口を、タンポンの評価が出来るように女性の膣部を模した構造を備えるよう形成することが可能である。
【0102】
また、排泄口として、排尿、排便、排経血用の排泄口を形成することができ、また、排泄口それぞれに接される排泄管として、排尿、排便、排経血用の排泄管を配置することができる。更に、排尿、排便、排経血用の排泄管それぞれに、人工尿、人口便、人口経血を送液する送液ポンプをそれぞれ接続することができる。
【0103】
「1.3.15」その他
上述した各種部材のサイズや形状は、人形本体10のタイプ応じて適宜調整することができる。また、同様に、吸収性物品における評価対象(例えば、赤ちゃん、幼児、大人、女性、老人、要介護者等)に応じて適宜調整することができる。
【0104】
例えば、人形本体10が大人タイプ(大型)である場合には、図1や図2に示される、人形本体10を垂直方向における上側から吊り下げるように支持するコの字状の本体支持部材31を、より垂直方向の上側に突出したコの字状にすることができる。この場合、人形本体10は、より垂直方向における上側に配置され、本体支持部材31におけるコの字状の凹部に入り込むように配置され場合がある。
【0105】
また、例えば、評価対象が要介護者である場合には、要介護者を介護する作業者の動作も踏まえて本体支持部材31の形状を調整することができる。例えば、床部材40a、40bに寝姿勢で載置された人形本体10に対して作業者が介護作業をしやすいよう、本体支持部材31を、コの字状を構成する両側部の一方側を切り取ったような形状にすることができる。言い換えると、人形本体10を、上記形状の本体支持部材により片持支持された状態にすることができる。これにより、床部材40a、40bに寝姿勢で載置された人形本体10における一方の側面側には、作業者の介護作業の邪魔になる部材(例えば、本体支持部材31を構成する側部の部材)が配置されないように構成することが可能である。そして、このように構成することで、例えば、吸収性物品の機能だけでなく、吸収性物品の使いやすさ等を評価することができる場合がある。
【0106】
[2]人形本体における動作・姿勢
「2.1」各動作・姿勢
図6から図11により、本実施形態における人形本体10の動作・姿勢について例示する。
【0107】
図7(A)に示すように、吸収性物品(オムツ)2を装着した人形本体10は、立ち姿勢をとることが可能である。例えば、図6(B)に示すように、床部材40bの上面側に寝姿勢の状態で載置される吸収性物品2が装着された人形本体10を、本体垂直駆動手段により垂直方向における上側に移動させると共に、本体傾斜駆動手段により人形本体10が垂直方向と略平行になるよう垂直方向に対する傾きを調整することで、人形本体10を、図7(A)に示すような立姿勢にすることができる。
【0108】
図7(A)における立姿勢において、脚部前後駆動手段により脚部12a、12bを互いに異なる方向に回転駆動させることで、該人形本体10に歩行動作を行わせることができる。
【0109】
ここで、脚部前後駆動手段により脚部12a、12bを互いに異なる方向に移動させると共に、脚部左右駆動手段により、脚部12a、12bを互いに遠ざかる方向への駆動を組み合わせることで、ガニ股歩行動作をさせることが可能である。また、脚部左右駆動手段により、脚部12a、12bが互いに近づく方向への駆動を組み合わせることで、脚部12a、12bを交差させるような歩行動作であるモデル歩きの歩行動作を行わせることが可能である。
【0110】
図8(A)に示すように、吸収性物品(オムツ)2を装着した人形本体10は、座姿勢をとることが可能である。例えば、図7(A)に示す立姿勢である人形本体10を、脚部前後駆動手段により脚部12a、12bの双方を胴体部に近づける回動駆動をさせると共に、本体垂直駆動手段により人形本体10を垂直方向における下側に移動させる。そして、床部材垂直駆動手段により、床部材40aを垂直方向における上側に移動させ、人形本体10における臀部に該床部材40aを当接させることで、人形本体10に座り動作を行わせると共に、座姿勢をとらせることができる。
【0111】
そして、図8(A)における座姿勢である人形本体10において、脚部前後駆動手段により脚部12a、12bそれぞれを互いに離間する方向に回動駆動させると共に、脚部左右駆動手段により互いが近づく方向(内側)に回動駆動させることにより、脚組み動作を行わせると共に、図8(B)に示すように脚組み姿勢をとらせることができる。
【0112】
更に、脚部12a、12bの位置を逆転させるよう脚部前後駆動手段及び脚部左右駆動手段により脚部12a、12bを回動駆動させることで、脚の組み替え動作を行わせることができる。
【0113】
図9(A)に示すように、吸収性物品(オムツ)2を装着した人形本体10は、寝姿勢をとることが可能である。例えば、図8(A)に示す座姿勢である人形本体10を、本体垂直駆動手段により垂直方向における上側に移動させると共に、本体傾斜駆動手段により人形本体10を垂直方向に対して略直交するよう傾斜させる。そして、垂直方向に対して略直交するよう傾斜された人形本体10を、本体垂直駆動手段により垂直方向における下側に移動させると共に、床部材垂直駆動手段により床部材40aを垂直方向における上側に移動させ、人形本体10に該床部材40aを当接させることで、人形本体10に寝姿勢をとらせることができる。
【0114】
また、本体回転駆動手段により、人形本体10を胴回り方向に回転させることで、図9(A)に示すように仰向け寝姿勢だけでなく、図9(B)に示すように横向き寝姿勢や、図9(C)に示すようにうつ伏せ寝姿勢をとらせることができる。
【0115】
図9(A)に示す仰向け寝姿勢の人形本体10を、図9(B)に示す横向き寝姿勢や、図9(C)に示すうつ伏せ寝姿勢に姿勢変更する場合には、例えば、本体垂直駆動手段により、垂直方向における上側に移動させた状態で、本体回転駆動手段により人形本体10を胴回り方向に所定角度だけ回転させ、再び本体垂直駆動手段により人形本体10を床部材40bの上面に載置させることで、姿勢変更をすることができる。
【0116】
また、図9(A)における仰向け寝姿勢の状態における人形本体10を、本体回転駆動手段により床部材40bの上面に載置された状態を維持しながら胴回り方向に回転させることで、図9(B)に示す横向き寝姿勢、図9(C)に示すうつ伏せ寝姿勢と連続的に姿勢変更をすることができる。言い換えると、人形本体10に寝返り動作をさせることができる。
【0117】
また、本体回転駆動手段により人形本体10の胴回り方向の回転を調整することで、図10に示すように、横向き寝姿勢とうつ伏せ寝姿勢との中間の寝姿勢をとることもできる。この場合において、更に脚部前後駆動手段及び脚部左右駆動手段により、脚部12a、12bが互いに交差するように回動駆動することで、図10に示すような人体特有の寝姿勢をとることができる。
【0118】
図11に示すように、吸収性物品(オムツ)2を装着した人形本体10は、這い姿勢をとることが可能であると共に、這い動作を行うことが可能である。例えば、図9(C)に示すうつ伏せ寝姿勢である人形本体10を、本体垂直駆動手段により垂直方向における上側に移動させると共に、本体傾斜駆動手段により人形本体10(胴体部11)が垂直方向に対して直交する状態から所定角度だけ傾ける。言い換えると、人形本体10(胴体部11)を垂直方向に対して所定角度だけ傾斜させた状態にする。そして、脚部前後駆動手段により脚部12a、12bを垂直方向と略平行になるよう回動駆動させることで、図11に示すような這い姿勢をとることができる。
【0119】
また、この這い姿勢において、脚部前後駆動手段及び脚部左右駆動手段により脚部12a、12bを矢印の方向に駆動させることで、這い動作を行わせることができる。
【0120】
その他、本実施形態における人形本体10は、例えば、前屈み立ち姿勢、前屈み座り姿勢、半捻り脚組み姿勢、仰向け半捻り寝姿勢、横向き半捻り寝姿勢をとることが可能である。
【0121】
また、例えば、カニ歩き動作、前屈動作、座り姿勢からの立ち上がり動作、寝姿勢からの立ち上がり動作、立ち姿勢からの寝動作、前屈み歩行動作、寝返り動作、捻りを伴う脚の組み替え動作、捻りを伴う這い動作を行うことが可能である。
【0122】
ここで、上述した動作・姿勢は、本実施形態における人形本体10が可能な動作・姿勢の例示であり、これらに限定されない。また、上述した動作・姿勢のうち1の動作・姿勢をとることができない評価装置を、本発明における吸収性物品の評価装置から除外するものではない。
【0123】
「2.2」連続動作
本実施形態における人形本体10に所定の吸収性物品を装着した状態で、上述した各動作を連続的又は間欠的に行わせ、及び/又は、姿勢を連続的又は間欠的に変更させることで、所定時間、該吸収性物品を実際に装着して評価した場合に近似した評価を行うことができる。
【0124】
例えば、吸収性物品ごとに、その使用対象者に応じた動作・姿勢を想定した連続動作等を行わせることができる。例えば、吸収性物品がオムツである場合には、ベビー用、幼児用、大人用、介護用のオムツごとに、その使用対象者に応じた動作を想定して連続動作等を行わせることができる。また、吸収性物品がナプキンである場合には、昼用、夜用、多い日用ナプキンごとに、その使用対象者に応じた動作を想定した連続操作等を行わせることができる。
【0125】
例えば、ベビー用オムツの評価をする場合には、赤ちゃんの動作を模した連続動作を行わせ、姿勢を変化させることができる。また、例えば、生理用ナプキンを評価する場合には、女性の動作を模した連続動作を行わせ、姿勢を変化させることができる。また、大人用オムツを評価する場合には、高齢者の動作を模した連続動作を行わせ、姿勢を変化させることができる。
【0126】
ここで、オムツでも、ベビー用オムツと幼児用オムツとでは使用対象者の年齢が異なるため、その連続動作等の内容も異なる。また、生理用ナプキンでも、夜用と昼用とでは使用態様及び装着時における動作が異なることから、その連続動作等の内容も異なる。また、大人用オムツでも、使用対象者の年齢や介護の有無等の状態によって、その連続動作等の内容も異なる。このため、人形本体10に、該人形本体10が装着した吸収性物品の使用対象者に、より対応した連続動作等を行わせることが好ましい。
【0127】
本実施形態における人形本体10の連続動作を使用対象者の動作に近似させることで、例えば、特定の漏れ状態であって発生確率が低い漏れ状態も発生する可能性がある。つまり、実際に人体に装着させて評価を行う市場評価においても発生が稀であり、更には、その発生状況を観察することが極めて困難である漏れ状態等を観察することができる場合がある。このような点も吸収性物品の評価装置の優れた点の一つである。
【0128】
[3]吸収性物品の評価方法
「3.1」概要
本発明の吸収性物品の評価方法は、上述した吸収性物品の評価装置1を用いる吸収性物品の評価方法である。
【0129】
本発明における吸収性物品の評価方法は、上述の吸収性物品の評価装置1における人形本体10に、該人形本体10に形成される1又は複数の排泄部における少なくとも1以上の排泄部を覆うように所定の吸収性物品を装着する装着工程と、所定の吸収性物品が装着された人形本体10に所定の動作を行わせ、及び/又は、所定の姿勢をとらせる駆動工程と、駆動工程の前又は前記駆動工程中に、人形本体10における排泄部から所定の液体又は液状物を排泄させる排泄工程と、を含む。
【0130】
装着工程において人形本体10に装着される吸収性物品は、ベビー用、幼児用、大人用、介護用のオムツ等の各種オムツ、昼用、夜用、多い日用ナプキン等の各種生理用ナプキン、タンポン、陰唇間パット等を例示できる。
【0131】
駆動工程における人形本体10の動作や姿勢は、吸収性物品の評価装置1の説明として上述した動作・姿勢を例示することができる。
【0132】
排泄工程において、所定の液体又は液状物を排泄部から連続的又は間欠的に排泄することができる。また、液体又は液状物を上記駆動工程の前に排泄部から排泄させることも、駆動工程中における所定の動作中に排泄させることもできる。
【0133】
その他、本発明における吸収性物品の評価装置1を用いた評価方法における条件等は、上述の吸収性物品の評価装置1についての条件等を参考にすることができる。
【0134】
「3.2」使用態様・評価方法
本実施形態における吸収性物品の評価装置1は、例えば、紙おむつを使用する乳幼児の動き・姿勢変化や、寝たきりの高齢者の主に寝ている姿勢変化、生理用品を使用する女性の動き・姿勢変化時の排泄物が吸収性物品に吸収されるまでの現象や、身体(人形本体)と吸収性物品にかかる圧力で、吸収性物品が体に挟み込まれて吸収された排泄物が、吸収性物品の外に出る現象を評価する事が出来る。
【0135】
また、尿が身体(人形本体)から排泄され、吸収性物品における表面材と皮膚との間を伝ってオムツの外に漏れ出す量や現象や、便が吸収性物品における表面材と肌との隙間にたまり動きやオムツの交換により肌を伝って該オムツの外に流れ出る現象や、経血が肌を伝ってナプキンに吸収され又はナプキンの外にモレ出す現象など、排泄物と吸収性物品におけると肌との関係と現象を見ることが出来る。
【0136】
また、乳幼児のオムツ交換時にとる体勢である仰向けで脚を開脚や、生理用品を交換する際の脚広げでの前屈み姿勢や、被介護者がオムツを外すときのような脱着時の姿勢をとることができるため、乳幼児のオムツを外した瞬間に軟便が背中に流れ出る量や現象、寝たきりつけ者のオムツの交換の寝姿勢時の尿・便などの吸収物品の脱着時に起こる尿や便の挙動や、仰向けや横向きなどの実際に起こる様々な寝姿勢でのオムツ交換時のオムツの脇部を持って脱がした時、履かせた時の引張張力、またトイレで立位での前屈み姿勢や便座に座っての前屈み姿勢、座位の後ろもたれ姿勢などの生理用品を交換する時の姿勢での脱着のしやすさを評価する事が出来る。
【0137】
以下に、吸収性物品の評価装置1を用いた各種吸収性物品の評価方法を例示する。
【0138】
<オムツの評価:共通>
20から45℃に加熱・恒温させた乳幼児体型の人形本体、又は、高齢者型の人形本体に、所定のオムツを装着させて、人形本体と床部材との接触の圧力を1から300g/cmに調整する。そして、人形本体に、うつ伏せ寝姿勢、横向き寝姿勢、仰向け寝姿勢、脚組み寝姿勢、又はそれらの姿勢の複数の連続動作である寝返りをさせながら、排尿又は便を0.1から100ml/secで1から500mlずつを、0から120分間隔で排泄し、合計で10から2000ml排泄するまでにオムツから尿又は便が外へ出た排泄位置、排泄量・排泄速度、排泄物の汚れの長さや面積をプロット・観察する。
【0139】
これにより、乳幼児や高齢者のどんな寝姿勢や寝姿勢の動作のどんな状況下に、排泄物がオムツの外に、どこから、どのくらい、どのように流れ出てくるかを評価する事が出来る。また、測定終了後にオムツを取り外し、吸収体への拡散や吸収状態、排泄物がオムツのどこに存在しているかを評価する事が出来る。
【0140】
<オムツ評価:幼児>
20から45℃に加熱・恒温させた乳幼児体型の人形本体にオムツを装着させて、0.5から3才までの幼児が活動時に主に取る行動である、前後にそれぞれ0から50度、左右に0から50度、脚部動作スピード1から300度/secの歩行と、脚を前側に0から150度、左右に0から90度の座位を、0から120分間隔で動作を繰返しながら、排尿又は便を0.1から100ml/secで1から500mlずつを、0から120分間隔で排泄し、合計で10から2000ml排泄するまでにオムツから尿又は便が外へ出た排泄位置、排泄量、排泄速度、排泄物の汚れの長さや面積をプロット・観察する。
【0141】
これにより、幼児の活動時のどんな状況下において、吸収体がどんな時に、どのように、人形の動きによって影響を受けるか、排泄物がオムツの外に、どこから、どのくらい、どのように流れ出てくるかを評価することが出来る。
【0142】
また、測定終了後にオムツを取り外し、吸収体の変形面積、オムツの各位置による吸収体量分布測定や吸収体への拡散面積や拡散位置の測定、オムツの各位置による排泄物の残存水分量を評価する事が出来る。
【0143】
<生理用ナプキンの評価>
20から45℃に加熱・恒温させた女性体型の人形本体に、ショーツ及びナプキンなどの生理用品(吸収性物品)を装着させて、寝るときの状態であるうつ伏せ寝姿勢、横向き寝姿勢、仰向け寝姿勢、脚組み寝姿勢、若しくは、それらの姿勢の複数の連続動作である寝返り、若しくは、活動時に女性が主に取る行動の座姿勢、脚組み座姿勢、脚の組替え動作、椅子からの立ち上がり動作、若しくは、朝起きた時の布団からの起き上がり動作、又はこれらの連続動作をさせる。そして、これらの連続動作をさせながら、排経血を0.01から100ml/secで0.1から100mlずつを、0から120分間隔で排泄し、合計で1から500ml排泄するまでに生理用品から外へ出た排泄位置、排泄量・排泄速度、排泄物の汚れの長さや面積をプロット・観察する。
【0144】
これにより、女性のどんな寝姿勢や寝姿勢の動作のどんな状況下に、生理用品がどんなときに、どのように、動きによって影響を受けるか、また、排泄物が生理用品の外に、どこから、どのくらい、どのように流れ出てくるかを評価することが出来る。
【0145】
<オムツの評価:オムツを外す際の漏れ>
20から45℃に加熱・恒温させた乳幼児体型の人形本体又は、高齢者型の人形本体に、所定のオムツを装着させて、うつ伏せ寝姿勢、横向き寝姿勢、仰向け寝姿勢、脚組み寝姿勢、又はそれらの姿勢の複数の連続動作である寝返りをさせながら、排便を0.1から100ml/secで合計1から500ml排泄させる。そして、仰向け寝姿勢をとらせオムツを外す。このオムツを外した時のオムツから外へ出た排便の排泄位置、排泄量・排泄速度、排泄物の汚れの長さや面積をプロット・観察する。
【0146】
これにより、乳幼児や高齢者におけるどんな状況のどんな脱がし方により、排泄物(例えば、排便)がオムツの外に、どこから、どのくらい、どのように流れ出てくるかを評価する事が出来る。また、測定終了後にオムツを取り外し、吸収体の変形面積、オムツの各位置による吸収体量分布測定や吸収体への拡散面積や拡散位置の測定、オムツの各位置による排泄物の残存水分量を評価する事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】実施形態における吸収性物品の評価装置を示す斜視図である。
【図2】実施形態における吸収性物品の評価装置を説明する正面図である。
【図3】実施形態における吸収性物品の評価装置を説明する側面図である。
【図4】実施形態における吸収性物品の評価装置を説明する側面図である。
【図5】実施形態における吸収性物品の評価装置を説明する平面図である。
【図6】人形本体における吸収性物品の装着前及び装着後を説明する図である。
【図7】人形本体における立姿勢及び歩行動作を説明する図である。
【図8】人形本体における座姿勢及び脚組み動作を説明する図である。
【図9】人形本体における各種寝姿勢及び寝返り動作を説明する図である。
【図10】図9で説明する寝姿勢とは異なる寝姿勢を説明する図である。
【図11】這い姿勢及び這い動作を説明する図である。
【図12】実施形態における人形本体の駆動構造を説明する正面図である。
【図13】実施形態における人形本体の駆動構造を説明する側面図である。
【図14】実施形態における人形本体の駆動構造を説明する拡大図である。
【図15】実施形態における人形本体の内部に排泄管が配置されることを説明する図である。
【図16】円筒部材に皮膚部材が装着されることを説明する図である。
【図17】人形本体が座姿勢の場合における床部材から該人形本体に加えられる圧力を示す図である。
【図18】人形本体が寝姿勢の場合における床部材から該人形本体に加えられる圧力を示す図である。
【符号の説明】
【0148】
1 吸収性物品の評価装置
10 人形本体
11 胴体部
12a 脚部
12b 脚部
20a 脚部駆動用電動モータ
20b 脚部駆動用電動モータ
21a 脚部駆動用電動モータ
21b 脚部駆動用電動モータ
30 傾斜用電動モータ
40a 床部材
40b 床部材
60 本体回転用電動モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の脚部を有し所定の吸収性物品を装着可能な人形本体を備える吸収性物品の評価装置であって、
前記人形本体は、前記所定の吸収性物品を装着した状態において、前記人形本体における2本の脚部の前後方向及び左右方向への回動駆動、前記人形本体の垂直方向への傾斜駆動、及び前記人形本体の胴回り方向への回転駆動が可能であり、人体に近似した動作を行い、及び/又は、姿勢をとることが可能である吸収性物品の評価装置。
【請求項2】
胴体部と、前記胴体部の一方側に形成される2本の脚部と、前記胴体部における前記脚部の付け根近傍に形成される1又は複数の排泄部とを有し、前記排泄部を覆うように所定の吸収性物品を装着可能な人形本体を備える吸収性物品の評価装置であって、
前記2本の脚部それぞれを、所定の第1回転軸を中心にそれぞれ回動駆動させる脚部前後駆動手段と、
前記2本の脚部それぞれを、前記第1回転軸と略直交する第2回転軸を中心にそれぞれ回動駆動させる脚部左右駆動手段と、
前記胴体部を垂直方向に対して傾けるように駆動させる本体傾斜駆動手段と、
前記人形本体を、該人形本体における胴回り方向に回転させる本体回転駆動手段と、を備え、
前記所定の吸収性物品を装着した状態における前記人形本体に、複数の動作を行わせ、及び/又は、複数の姿勢をとらせることが可能である吸収性物品の評価装置。
【請求項3】
前記人形本体を垂直方向に移動可能な本体垂直駆動手段と、
前記人形本体における垂直方向の下側に配置される床部材と、
前記床部材を垂直方向に移動可能な床部材垂直駆動手段と、を備え、
前記人形本体を、座姿勢又は寝姿勢で、前記装着された吸収性物品の外面に前記床部材が押し当てられるように配置することが可能である請求項2に記載の吸収性物品の評価装置。
【請求項4】
前記人形本体は、前記胴体部における所定領域及び前記2本の脚部における所定領域を覆うよう表面側に配置される皮膚部材を備え、
前記皮膚部材は、
破断点伸び150%以上の伸縮性材料からなり、
厚さが5から100mmであり、
かつ、該皮膚部材の表面における0.1から2質量%のNaCl水溶液との接触角が5から90度である請求項2又は3に記載の吸収性物品の評価装置。
【請求項5】
前記皮膚部材における全部又は一部は、蒸気透過性である請求項4に記載の吸収性物品の評価装置。
【請求項6】
前記人形本体は、該人形本体に加えられる圧力を検知可能な圧力検知手段を備え、
前記圧力検知手段は、前記床部材との接触領域における前記人形本体に加えられる圧力を検知可能である請求項3から5のいずれかに記載の吸収性物品の評価装置。
【請求項7】
前記人形本体は、前記所定の吸収性物品の装着部近傍を略人体温度に調整可能な温度調整手段を備える請求項2から6のいずれかに記載の吸収性物品の評価装置。
【請求項8】
前記人形本体は、該人形本体の内部に配置される流体収納部材と、
一端が前記流体収納部材に接続される流体収納部材用管と、
前記流体収納部材用管の他端に接続され、前記流体収納部材に収納される前記所定の流体の量を調整可能な流体調整手段と、を備え、
前記流体調整手段は、該人形本体の動作及び/又は姿勢に応じて前記流体収納部材に収納される流体量を調整する請求項2から7のいずれかに記載の吸収性物品の評価装置。
【請求項9】
前記人形本体における前記2本の脚部の間に形成される股ぐり部、及び/又は、前記1又は2以上の排泄部近傍に配置される撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された画像を表示可能な画像モニターと、を備え、
前記人形本体に装着された前記所定の吸収性物品の状態を観察可能である請求項2から8のいずれかに記載の吸収性物品の評価装置。
【請求項10】
前記脚部前後駆動手段、前記脚部左右駆動手段、前記本体傾斜駆動手段、及び前記本体回転駆動手段を制御する制御手段と、
前記人形本体に所定の動作を行わせ、及び/又は、所定の姿勢をとらせることを指示する指示手段と、を備え、
前記制御手段は、前記指示手段からの指示に基づいて、前記脚部前後駆動手段、前記脚部左右駆動手段、前記本体傾斜駆動手段、及び前記本体回転駆動手段を制御し、前記人形本体に前記所定の動作を行わせ、及び/又は、前記所定の姿勢をとらせる請求項2から9のいずれかに記載の吸収性物品の評価装置。
【請求項11】
前記人形本体に複数の動作及び/又は姿勢を組み合わせた一連の動作を行わせるための動作・姿勢情報を複数記憶する記憶手段を備え、
前記指示手段は、前記記憶手段に記憶される複数の動作・姿勢情報から所定の動作・姿勢情報を選択して指示することが可能である請求項10に記載の吸収性物品の評価装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の吸収性物品の評価装置を用いる吸収性物品の評価方法であって、
前記人形本体に、前記1又は複数の排泄部における少なくとも1以上の排泄部を覆うように所定の吸収性物品を装着する装着工程と、
前記所定の吸収性物品が装着された人形本体に所定の動作を行わせ、及び/又は、所定の姿勢をとらせる駆動工程と、
前記駆動工程の前又は前記駆動工程中に、前記人形本体における前記排泄部から所定の液体又は液状物を排泄させる排泄工程と、を含む吸収性物品の評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−26140(P2008−26140A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−198798(P2006−198798)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】