説明

吸収性物品及びその製造方法

【課題】製品のデザイン性に優れ、そのデザインの区別が明確になるので排尿の有無の視認性及び判別容易性に優れ、しかも、肌へのインクの染み出しがない構造とする。
【解決手段】体液を吸収する吸収要素63の中または裏面側に第1デザインシート62を配し、この第1デザインシート62は、前記吸収要素62の占有域内位置において、排泄体液と接触すると視覚的変化が生じる第1デザイン部30,30…を有し、第1のデザインシート30より裏面側に第2デザイン部101A,101Bを有する前記第1デザインシート62とは別の第2デザインシート100A,100Bが設けられ、前記第1デザイン部30,30…の前記視覚的変化、及び第2デザイン部101A,101Bは、製品の裏面側から視認可能であり、かつ、前記第1デザイン部30,30…と第2デザイン部101A,101Bとは、裏面側から見て異なる位置に存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨て紙おむつや生理用ナプキンなどの吸収性物品に関し、詳しくは、尿などの体液の排泄の有無を外部から視覚的に判別することが可能な吸収性物品に係る。
【背景技術】
【0002】
使い捨て紙おむつにおいて、インキにより排尿の有無を知ることができるようにしたものとして、実公平3−40272号、実開平3−58416号、特開平9−299401号などがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来は、一般的に排尿の有無を知るためのマークもしくはデザイン(いわゆるお知らせマーク)は、不透液性の裏面シートの吸収体側に印刷などにより施しており、製造工程においては、裏面シートと表面シートとの間に吸収体を介在させた状態で、隣接する吸収体間位置で切断し、個別製品化していた。したがって、いかなる位置において切断しても前記デザインが現れるように、前記デザインは、切断前の裏面シートに実質的に連続的には表示させている。
これに対して、展開型やテープ式と称される紙おむつにおいては、前身頃に前記テープを止着するまたは接合するためのいわゆるフロントターゲットテープ(またはシート)を裏面シートの外面に設けることがある。この場合、フロントターゲットシートはそのターゲットとしての目印及び興趣のためのマークやデザインを施している。
しかし、構造上、いわゆるお知らせマークと、フロントターゲットテープのデザインとは重なることになり、裏面から見たとき、母親にとっては美観に優れない商品であるとの印象を与え、幼児に対しては、特に境界部分においては、そのデザインに興味を示さないものとなる。
【0004】
他方、裏面シートの実質的に全長にわたって特に水溶性のインキによりお知らせマークを施すと、着用者が汗をかいたとき、吸収体からはずれたフラップ部において、マーク用のインキ成分が溶けて表面シートを通して表面に染み出し、肌に付着してかぶれなどの原因ともなる。
したがって、本発明の課題は、製品のデザイン性に優れ、そのデザインの区別が明確になるので排尿の有無の視認性及び判別容易性に優れ、しかも、肌へのインクの染み出しがない構造とすることにある。さらに、かかる効果を示す製品を好適に得ることができる製造方法をも提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1項記載の発明>
体液を吸収する吸収要素を主体とする吸収主体と、この吸収主体の裏面側に設けられた不透液性シートと、この不透液性シートの裏面側に設けられた外形シートと、を備え、
該外形シートは、2枚以上の不織布を積層固定して構成されると共に、ウエスト部、胴回り部、股下部において、これら外形シート間には収縮部材が設けられ、
該収縮部材は、前記吸収主体に対応する部分の幅方向中央では存在しないように構成され、
前記吸収主体は、ほぼ裏面全体が前記外形シートに対して、ホットメルト接着剤により接着され一体化された、パンツ型紙おむつの吸収性物品において、
前記不透液性シートの使用面側には、排泄体液と接触すると視覚的変化が生じる第1デザイン部が、前記吸収要素の占有域内位置に形成されており、
前記不透液性シートより裏面側の幅方向中央に、この不透液性シートとは別の第2デザインシートが、平面から見て、不透液性シートと互いに重なるように設けられ、
この第2デザインシートは、第2デザイン部が、前記吸収要素の占有域内位置に形成され、
前記第1デザイン部の前記視覚的変化、及び第2デザイン部は、製品の裏面側から視認可能であり、かつ、前記第1デザイン部と第2デザイン部とは、裏面側から見て異なる位置に存在することを特徴とする吸収性物品。
【0006】
(作用効果)
例として吸収体を代表的に挙げることができる体液を吸収する吸収要素の裏面側に不透液性シートにあり、しかも吸収要素の占有域内位置において、排泄体液と接触すると視覚的変化が生じる第1デザイン部があるので、吸収要素を通る体液と確実に接触し、視覚的変化が確実に生じるようになる。
逆に、第1デザイン部は、吸収要素の占有域外にはないので、マーク用のインキ成分が溶けて表面シートを通して表面に染み出し、肌に付着してかぶれが生じることがない。
【0007】
さらに、前記第1デザイン部と第2デザイン部とは、裏面側から見て異なる位置に存在するので、第1デザイン部は第2デザイン部と明確に区別して視認でき、排尿の有無を容易に判別できるものとなる。第2デザイン部は第1デザイン部と明確に区別して視認でき、第2デザインシートがフロントターゲットテープであるとき、テープのターゲット位置を容易に判断でき、装着が容易となる。
なお、不透液性シートの表面エネルギーがJIS K 6768に準じた測定で34〜42dyneであると、お知らせマークの視覚的変化が確実にあらわれ、インキの良好な印刷適性、さらにインキの不透液性シート基材に対する良好な接着性または付着性が得られる。すなわち、表面エネルギーが大きいとインキの接着性に優れるが、過度に大きいと体液(たとえば尿)と接触しても消失などの視覚的変化を生じないことがある。
【0008】
<請求項2項記載の発明>
吸収性物品が紙おむつであって、その前身頃と後身頃とに分離して前記第2デザインシートがそれぞれ設けられ、前記第1デザイン部は、各第2デザインシートの各第2デザイン部の間に存在する請求項1記載の吸収性物品。
【0009】
<請求項3項記載の発明>
体液を吸収する吸収要素を主体とする吸収主体と、この吸収主体の裏面側に設けられた不透液性シートと、この不透液性シートの裏面側に設けられた外形シートと、を備え、
該外形シートは、2枚以上の不織布を積層固定して構成されると共に、ウエスト部、胴回り部、股下部において、これら外形シート間には収縮部材が設けられ、
該収縮部材は、前記吸収主体に対応する部分の幅方向中央では存在しないように構成され、
前記吸収主体は、ほぼ裏面全体が前記外形シートに対して、ホットメルト接着剤により接着され一体化された、パンツ型紙おむつの連続的製造方法において、
連続的にラインを流れる外形シートに対して、予め切断された個別片としての第2デザインシートを組み込むとともに、外形シートに対してその流れの中で、予め切断された個別片としての不透液性シートを組み込み、次いで体液を吸収する吸収要素を組み込み、その後に個々の製品を得るものであって、
前記不透液性シートは、液不透過の透湿性フィルムシートであり、50mmの試料を1kgの荷重にて伸張させたときの伸張率が20%以下であり、
前記不透液性シートには、排泄体液と接触すると視覚的変化が生じる第1デザイン部が、前記吸収要素の占有域内位置に形成されており、
前記不透液性シートより裏面側の幅方向中央に、この不透液性シートとは別の第2デザインシートが、平面から見て、不透液性シートと互いに重なるように設けられ、
この第2デザインシートは、第2デザイン部が、前記吸収要素の占有域内位置に形成され、
前記製品化工程において、前記第1デザイン部の前記視覚的変化、及び第2デザイン部は、製品の裏面側から視認可能であり、かつ、前記第1デザイン部と第2デザイン部とは、裏面側から見て異なる位置に存在するように制御することを特徴とする吸収性物品の製造方法。
【0010】
(作用効果)
連続的にラインを流れる外形シートに対して、予め切断された個別片としての第2デザインシートを組み込むとともに、外形シートに対してその流れの中で、予め切断された個別片としての不透液性シートを組み込み、次いで体液を吸収する吸収要素を組み込み、その後に個々の製品を得るものでものである。
このとき、前記第1デザイン部と第2デザイン部とは、裏面側から見て異なる位置に存在する、すなわち重ならないようにするに際し、製品化工程において、連続的にラインを流れる外形シートに対して、予め切断された個別片としての第2デザインシートを組み込み、次いで体液を吸収する吸収要素を組み込み、製品化するものであるので、外形シートに対しての、第1デザインシート及び第2デザインシートの組み込みタイミングをそれぞれ制御する限り、第1デザイン部と第2デザイン部との重なりは容易に回避できるものとなる。
上記のように、不透液性シートの組み込みタイミングは重要な制御要素であるが、不透液性シートの伸張率が大きいと、組み込みタイミング制御のみでは、他のシート部材に対する位置合わせが狂ってしまうことが大いにある。しかるに、伸張率を20%以下にすることにより、組み込みタイミング制御のみで位置合わせが十分に行うことができ、第1デザイン部と第2デザイン部との重なりは容易に回避できるものとなる。
【0011】
<請求項4項記載の発明>
吸収性物品が紙おむつであって、その前身頃と後身頃とに分離して前記第2デザインシートがそれぞれ設けられ、前記第1デザイン部は、各第2デザインシートの各第2デザイン部の間に存在する請求項3記載の吸収性物品の製造方法。
【0012】
(作用効果)
前身頃及び後身頃の両者に第2デザインを設ける場合、一つの第2デザインシートの前後に区画して第2デザインを設けることも考えられるが、第2デザインシートの切断位置が、ライン流れ速度と整合しなくなった場合、第1デザインと第2デザインとが重なってしまうことがある。これに対して、前身頃と後身頃とに分離して第2デザインシートをそれぞれ設けるようにするが、第2デザインシートの組み込みタイミングを制御する限り、第1デザイン部と第2デザイン部との重なりは容易に回避できる。
【発明の効果】
【0013】
以上のとおり、本発明によれば、製品のデザイン性に優れ、そのデザインの区別が明確になるので排尿の有無の視認性及び判別容易性に優れたものとなる。しかも、肌へのインクの染み出しがない構造となるなどの利点がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しながらさらに詳説する。
「テープ式紙おむつの例」
<第1例>
本例は、紙おむつの背側両側端部に取り付けられたファスニング片を有し、このファスニング片の止着面にフック要素を有するとともに、前記紙おむつの裏面を構成する外形シートを不織布となし、紙おむつの装着に当り、前記ファスニング片のフック要素を前記不織布外形シートの表面の任意個所に係合可能となした紙おむつである。
【0015】
また、前記不織布外形シートおよびその下側のシートの少なくとも一方に、前記ファスニング片のフック要素を止着する位置の目安となるターゲット印刷を、外部から視認可能なように施したものである。好適には、不織布外形シートの内側に実質的に液を透過させない不透液性シートを有し、この実質的に液を透過させない不透液性シートにターゲット印刷を施してある。また、不透液性シートの吸収体側面にお知らせマークがたとえば印刷などにより施されている。
【0016】
図面を参照して具体例について説明すると、図示の紙おむつでは、不織布などからなる透液性シート1と、実質的に液を透過させない不透液性シート、たとえばポリエチレン等からなる完全に液を透過させない不透液性シート2との間に、綿状パルプ等からなる、たとえば長方形または好ましくは図示のように砂時計型のある程度剛性を有する吸収体3が介在されている。この吸収体3は吸収用の上下ティッシュペーパーで被覆することができ、吸収要素を構成している。
不透液性シート2は吸収要素より幅広の長方形をなし、その外方に砂時計形状の不織布などからなる外形シート10が設けられている。
透液性シート1は吸収要素より幅広の長方形をなし、吸収要素の側縁より若干外方に延在し、不透液性シート2とホットメルト接着剤などにより固着されている(この固着部分を含めて本発明に関係する固着部分を符号*で示す)。
【0017】
紙おむつの両側部には、使用面側に突出する脚周り用起立カフスBが形成され、この起立カフスBは、実質的に幅方向に連続した通気性不織布などからなる起立シート4と、弾性伸縮部材、たとえば糸ゴムからなる一本のまたは図示のように複数本の脚周り用弾性伸縮部材5とにより構成されている。7は面ファスナーによるファスニング片である。
さらに、起立カフスBは、起立シート4を内面側を短く段違いに内折りして2重に形成され、各脚周り用弾性伸縮部材5をホットメルト接着剤などにより固着した状態で包んでいる。
【0018】
二重の起立シート4の内面は、透液性シート1の側縁と離間した位置において固着始端を有し、この固着始端から不透液性シート2の延在縁にかけて、幅方向外方部分がホットメルト接着剤などにより固着されている。二重の起立シート4の外面は、その下面において外形シート10にホットメルト接着剤などにより固着されている。
その結果、二重の起立シート4の内面の、不透液性シート2への固着始端は、起立カフスBの起立端を形成している。脚周りにおいては、この起立端より内側は、製品本体に固定されていない自由部分であり、製品の中央側に向かう起立部と、途中で折り返し反転して外側に向かう平面当り部とに機能的にかつ概念的に区分されている。
【0019】
他方、図示しないが、長手方向前後端部において、ホットメルト接着剤などにより、前記起立部相当部(起立部の延長部)は、製品の中央側に向かう状態で製品に、具体的には透液性シート1及び不透液性シート2の外面に固定され、前記平面当り部相当部(平面当り部の延長部)が折り返し反転した状態で起立部相当部上に固定されている。
【0020】
また、弾性伸縮部材5は、少なくとも1本が平面当り部にあることを基本形態とするが、特に弾性伸縮部材5は平面当り部の先端部にあることが好ましく、さらに、起立部にも弾性伸縮部材5を有することが好ましい。
【0021】
最適な形態は、起立端近傍、折り返し近傍、及び平面当り部の先端部にあることである。平面当り部の先端部には、図示のように複数本有するのがさらに望ましい。起立部には、起立力を高めるために、さらに弾性伸縮部材5,5を設けることができる。図示の形態では、合計6本である。
【0022】
紙おむつの装着時には、紙おむつが舟形に体に装着されるので、そして各弾性伸縮部材5,5…の収縮力が作用するので、図2に示すように、脚周りでは、各弾性伸縮部材5,5…の収縮力により起立カフスBが起立する。
【0023】
起立部で囲まれる空間は、尿または軟便の閉じ込め空間を形成する。この空間内に排尿されると、その尿は透液性シート1を通って吸収体3内に吸収されるとともに、軟便の固形分については、起立カフスBの起立部がバリヤーとなり、その乗り越えが防止される。万一、起立部の起立遠位側縁を乗り越えて横に漏れた尿は、平面当り部によるストップ機能により横漏れが防止される。
【0024】
本形態において、各起立カフスBを形成する起立シート4は、透液性でなく実質的に不透液性(半透液性でもよい)であるのが望ましい。また、起立シート4を形成する透液性シート(たとえば不織布)に対してシリコン処理などにより液体をはじく性質となるようにしてもよい。いずれにしても、起立シート4及び外形シート10は、それぞれ通気性があり、かつ起立シート4及び外形シート10は、それぞれ耐水圧が100mmH2O以上のシート、特に不織布であるのが好適である。これによって、図2および3に示すように、製品の幅方向側部において通気性を示すものとなり、着用者のムレを防止できる。
【0025】
特に不織布を用いることで、装着時において音が殆どしないとともに、布様の感触を与える使い捨て紙おむつが得られる。外形シート10、透液性シート1および起立シート4を構成する不織布の素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブロー法、ニードルパンチ法等の適宜の加工方法に得られた不織布を用いることができる。
【0026】
本発明の形態においては、離間部において、不透液性シート2及び外形シート10の両者が重なっているので、起立カフスBの展開起立操作において、シートの破断がない。
【0027】
<ファスニング片の紙おむつ前身頃への止着について>
本例では、ファスニング片7として、面ファスナーを用いることで、不織布からなる外形シート10に対して、メカニカルに止着できる。したがって、いわゆるターゲットテープを省略することもでき、かつ、ファスニング片7による止着位置を自由に選択できる。
【0028】
ファスニング片7は、図5にも示されているプラスチック、ポリラミ不織布、紙製などのファスニング基材72の基部が外形シート10にたとえば接着剤により接合されており、先端側にフック要素7Aを有する。フック要素7Aはファスニング基材72に接着剤73により接合されている。フック要素7Aは、その外面側に多数の係合片71を有する。係合片71の形状としては、レ字状、J字状、マッシュルーム状、T字状等のものが存在するが、いずれでもよいが、T字状のものを好ましく使用できる。フック要素7Aより先端側に仮止め接着剤部7Bを有する。製品の組立て末期において、仮止め接着剤部7Bが起立シート4に接着されることによりファスニング片7の先端側の剥離を防止するようにしてある。使用時には、その接着力に抗して剥離し、ファスニング片7の先端側を前身頃に持ち込むものである。仮止め接着剤部7Bより先端側はファスニング基材72が露出して摘みタブ部とされている。
【0029】
さて、図1、図3及び図4が特に参照されるように、前身頃の開口部側には、外形シート10の内面側に、本発明の第2デザインシートとしてのターゲット印刷シート20が設けられ、ファスニング片7のフック要素7Aを止着する位置の目安となる第2デザイン部21としてのターゲット印刷がなされ、外部から外形シート10を通して視認可能なように施されている。ターゲット印刷シート20または第2デザイン部は、その縦方向長さが10〜400mmとし且つ胴回り方向長さが50〜500mmとすることができる。ターゲット印刷は、グラビア印刷またはフレキソ印刷により行なうことができる。
【0030】
少なくともこのターゲット印刷対応部分において、実施の形態では全面において、外形シート10の外面から不透液性シート2に対して、たとえば、単位面積当たり3〜20%のエンボスを千鳥状形態で施し、かつこのエンボス部分において外形シート10と不透液性シート2とを160℃以下の温度で熱融着により接合してある。この熱融着エンボス部10Aを図4に示してある。外形シート10の裏面は、全体または少なくともこのターゲット印刷対応部分において起毛してあることが望ましい。
【0031】
他方、外形シート10とターゲット印刷シート20とは、ホットメルト接着剤により全面接着されておらずホットメルト接着剤による接着領域11,11…が離間してたとえばストライプ状に離間した状態で接合してある。
【0032】
第2デザイン部21の形態は適宜であるが、(1)〜(3)の記号や、ゾーンごとの色分け、あるいは図柄の変更などにより、幅方向の位置が判るようにするのが望ましい。また、ターゲット印刷シート20全体が周囲の色と区別できる配色にするのが望ましい。ターゲット印刷シート20の厚さは10〜50μmが望ましい。
不織布からなる外形シート10は、単繊維または長繊維を繊維素材とし、そのデニール数が2.5d以下であるのが望ましい。
かかる外形シート10表面とフック要素7Aとのせん断力が0.8N/cm2以上であり、剥離力が1N/25mm以上であることが望ましい。また、相互に止着されたファスニング片7の止着面と不織布外形シート10の表面とを剥離した時の音が12.0ソーン以下であるのが望ましい。
【0033】
ところで、メカニカルファスナーのフック要素を外形シート10に係合させる場合、変形例として挙げる図13に示す形態を採ることができる。すなわち、ターゲット印刷シート20の裏面側に間欠的に、たとえば長手方向に延びるストライプ状に、シリコン処理などにより非接着処理域20A,20A…を形成したうえで、外形シート10とホットメルト接着剤HMにより接合する。その結果、外形シート10は、ターゲット印刷シート20と非接着処理域20A,20A…においては接着されないので、フック要素7Aを外形シート10に係合させるときにおいて、外形シート10が非接着処理域20A,20A…においてある程度自由に動くことが可能となり、変形しながらフック要素7Aと良好に係合するようになる。ホットメルト接着剤HMはスパイラル塗布やベタ塗布など適宜でよい。必要ならば、外形シート10の使用面側の面に非接着処理域を形成することも可能である。
【0034】
<第2例>
第1例においては、外形シート10の内面側に、第2デザインシートとしてのターゲット印刷シート20が設けられているが、図6に示すように、外形シート10の外面側に設けてもよい。この場合、外形シート10と不透液性シート2との間にシートを介在させないことができる。外形シート10の外面側にターゲット印刷シート20を設ける場合、そのシートは、外面にフック要素が係合するループ状繊維素材を有するメス素材シートとすることが好ましい。
【0035】
<おしらせマークについて>
他方、吸収する吸収要素の中または裏面側に第1デザインシートを配し、この第1デザインシートは、前記吸収要素の占有域内位置において、排泄体液と接触すると視覚的変化が生じる第1デザイン部を有する。実施の形態では、吸収体3の裏面側の不透液性シート2を第1デザインシートとし、その使用面側の面に、第1デザイン部30がたとえば印刷により形成されている。
【0036】
図7に示すように、第1デザイン部30は、吸収体3の領域内に位置し、かつ、第2デザイン部21とは、裏面側から見て異なる位置に存在する。
第1デザイン部30は、排泄体液と接触すると視覚的変化が生じるもので、たとえば尿と接触すると、色が消えるもの、色が変化するもの、色が現出するものなど適宜公知のものを採用できる。
第1デザイン部30は、前記視覚的変化が、外形シート10及び不透液性シート2を通して、製品の裏面側から視認可能である。
第1デザイン部30は、少なくとも股下部に位置するのが望ましい。第1デザイン部30は、前後方向及び又は幅方向に適宜のマーク(図、文字、記号など)を分散または関連付けて表し、そのデザイン領域の前後方向長さは150〜350mm、幅方向の長さは30〜100mmが望ましい。
第1デザイン部30は印刷インキにより第1デザインシート(不透液性シート2)基材に印刷され、その第1デザインシートの表面エネルギーがJIS K 6768に準じた測定で34〜42dyneであるものが望ましい。この数値範囲内であると、お知らせマークの視覚的変化が確実にあらわれ、インキの良好な印刷適性、さらにインキの第1デザインシート基材に対する良好な接着性または付着性が得られる。
【0037】
「パンツ型紙おむつの例」
この実施形態に係るパンツ型使い捨ておむつは、図8に示すように、可撓性の外形シート51と、この外形シート51内面に固定され、股下54を中心として縦方向(前後方向)に延在する吸収要素ABとを主体として構成されている。
【0038】
外形シート51は2枚または3枚以上の通気・撥水性の不織布を積層固定したものである。ウエスト部、胴回り部、股下部において、外形シート51,51間には糸ゴムなどの収縮部材91が設けられ、フィット性を高めている。
この外形シート51と吸収主体60とを重ね合わせた後の製造工程の最終段階で、前身頃と後身頃との両側縁部の長手方向全体を接合部90にて超音波シールや熱溶融などの手段により接合することにより、図10に示されているようにウエスト開口部WOおよび左右一対のレッグ開口部LOを形成してある。
【0039】
吸収主体60は、図9にも示すように、不織布などからなり着用者の肌に直接触れる長方形の透液性トップシート61と、綿状パルプを主体とし、ある程度の剛性を有する(半剛性の)長方形の吸収体63とその上下面全体を包む額巻きされた長方形のクレープ紙64とからなる吸収要素ABと、この吸収要素ABの裏面において両側縁近傍まで達する、ポリエチレンプラスチックフィルムなどからなる長方形の不透液性バックシート62とを有し、前記透液性トップシート61は、吸収要素ABの両側縁を周り込んで裏面に達し、不透液性バックシート62に重ねられており、これらの各要素はホットメルト接着剤による接着により一体化されたものである。必要に応じて、図示のように透液性トップシート61とクレープ紙64との間に透液性セカンドシート61Sを介在させることができる。この吸収主体60は、ほぼ裏面全体が前記外形シート51に対して、ホットメルト接着剤により接着して一体化してある。
【0040】
吸収主体60の両側部には、使用面側に突出する脚周り起立カフスC,Cがそれぞれ形成され、この起立カフスCは、実質的に幅方向に連続した起立シート80と、伸縮部材、たとえば糸ゴムからなる一本のまたは図示のように複数本の伸縮部材81,81…とにより構成されている。
【0041】
さらに詳細には、起立カフスCは、起立シート80を2重に形成され、各伸縮部材81,81…をホットメルト接着剤などにより固着した状態で包んで形成されたものである。各起立カフスC,Cを形成する起立シート80は、透液性でなく不透液性もしくは疎水性であるのが望ましい。また、不織布などの透液性シートに対してシリコン処理などにより液体をはじく性質となるようにしてもよい。さらに、通気もしくは蒸気透過性を有しているのが望ましい。
【0042】
二重の起立シート80の内面は、吸収要素AB及び不透液性バックシート62の裏面側に回り込んでホットメルト接着剤などにより固着されている。その結果、二重の起立シート80のこの固着始端は、起立カフスCの起立端を形成している。 この起立端より先端側は、製品本体に固定されていない自由部分である。
【0043】
他方、長手方向前後端部において、ホットメルト接着剤などにより、前記自由部分は、その先端が物品の中央側に向かう状態で物品に、具体的には透液性シート61外面に固定されている。
【0044】
<デザイン及びお知らせマークについて>
さて、本実施の形態においても、体液を吸収する吸収要素の中または裏面側に第1デザインシートを配し、この第1デザインシートは、前記吸収要素の占有域内位置において、排泄体液と接触すると視覚的変化が生じる第1デザイン部を有し、第1のデザインシートより裏面側に第2デザイン部を有する前記第1デザインシートとは別の第2デザインシートが設けられている。
すなわち、不透液性バックシート62が第1デザインシートとされ、その使用面側の面に、第1デザイン部30がたとえば印刷により形成されている。
【0045】
他方、不透液性バックシート62と外形シート51との間に、前身頃及び後身頃にそれぞれ第2デザインシート100A,100Bが介在されている。第2デザインシート100A,100Bには、適宜のデザインの第2デザイン部101A,101Bがそれぞれ形成されている。
【0046】
図11に示すように、第1デザイン部30は、吸収体63の領域内に位置し、かつ、第2デザイン部第2デザイン部101A,101Bとは、裏面側から見て異なる位置に存在する。
第1デザイン部30は、排泄体液と接触すると視覚的変化が生じるもので、たとえば尿と接触すると、色が消えるもの、色が変化するもの、色が現出するものなど適宜公知のものを採用できる。
第1デザイン部30は、前記視覚的変化が、外形シート51及び不透液性バックシート62を通して、製品の裏面側から視認可能である。
第1デザイン部30は、少なくとも股下部に位置するのが望ましい。第1デザイン部30は、前後方向及び又は幅方向に適宜のマーク(図、文字、記号など)を分散または関連付けて表し、そのデザイン領域の前後方向長さは150〜350mm、幅方向の長さは30〜100mmが望ましい。
第1デザイン部30は印刷インキにより第1デザインシート(不透液性バックシート62)基材に印刷され、その第1デザインシートの表面エネルギーがJIS K 6768に準じた測定で34〜42dyneであるものが望ましい。この数値範囲内であると、お知らせマークの視覚的変化が確実にあらわれ、インキの良好な印刷適性、さらにインキの第1デザインシート基材に対する良好な接着性または付着性が得られる。
【0047】
「製造方法について」
次いで、本発明の紙おむつの連続的製造方法について説明する。
<テープ式紙おむつの製造方法例>
図12に示すものは、上記の第2例のテープ式紙おむつ、すなわち、外形シート10の外面側に第2デザインシートとしてのターゲット印刷シート20を設けた紙おむつの製造方法例であり、本例においては外形シート10を本発明の本体シートとしており、したがって外形シート10をラインに連続的に流す。
【0048】
この外形シート10に、第2デザイン部21が予め印刷された連続するターゲット印刷シート素材20Aを、第1カメラ(光学的センサ)201部位を通した後、ドラムカッター200により切断してターゲット印刷シート20として個別化し、第1貼り合せロール204との間で貼り合せることにより、本発明における、本体シートに対してその流れの中で第2デザインシートの組み込みが行われる。次いで、この貼り合わせシートは、第2貼り合せロール203に導く。
【0049】
第1デザインシートとしての不透液性シート素材2Aには予め第1デザイン部30が印刷されており、第2カメラ202部位を通した後、ドラムカッター205により切断して個別化し、これを第2貼り合せロール203に導く。不透液性シート2は、第2貼り合せロール203部位において、外形シート(本体シート)10とホットメルト接着剤などを用いて貼り合せられることにより、本発明における、本体シートに対してその流れの中で第1デザインシートの組み込みが行われる。
その後、吸収要素としての個別の吸収体3を、間欠的に不透液性シート2上に供給し、続いて透液性シート1を供給し、これらを適宜に位置にてホットメルト接着剤により接合する。ラインの最終段階で、カッター206により切断し、個々の製品を得る。
【0050】
この場合において、本体シートとしての外形シート10は一定速度で搬送される。この外形シート10に対するターゲット印刷シート20の貼着位置を制御するために、第1カメラ201により第2デザインを検出し、ドラムカッター200へ導くターゲット印刷シート素材20Aの送り速度を制御する。他方で、不透液性シート素材2Aについては、第2カメラ202により第1デザインを検出し、不透液性シート素材2Aの送り速度を制御する。
【0051】
両送り制御系は相互に関連しており、これによって、前記第1デザイン部と第2デザイン部とは、裏面側から見て異なる位置に存在するように制御することができる。
【0052】
<他の事項>
上記各例において、第1デザインシートは、液不透過の透湿性フィルムシートであり、50mmの試料を1kgの荷重にて伸張させたときの伸張率が20%以下であるのが望ましい。伸張性素材では、デザインの位置決めが困難となる。
【0053】
他方、テープ式紙おむつ及びパンツ型紙おむつは、通常、多数枚がポリエチレン袋などのパッケージ内に収納されて販売に供される。この種の場合、1パッケージ内において、第1デザイン、及び/または第2デザインを異ならせることが着用者(幼児)、及び装着者(親)にとって興味のあるものとなる。また、1パッケージ内において、第1デザインと第2デザインとの組み合わせを異ならせることもできる。前身頃と後身頃とに分離して第2デザインシートを設ける場合、前身頃と後身頃とで、第2デザインシートの第2デザインの組み合わせを異ならせることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明のテープ式紙おむつの展開図である。
【図2】その2−2線矢視図である。
【図3】その3−3線矢視図である。
【図4】裏面の前身頃要部破断正面図である。
【図5】止着テープ部の説明図である。
【図6】他のテープ式紙おむつの図1の3−3線相当位置の矢視図である。
【図7】テープ式紙おむつの裏面側からの展開状態正面図である。
【図8】パンツ型紙おむつの実施の形態の展開状態における使用面側からの平面図である。
【図9】その前身頃部分の断面図である。
【図10】パンツ型紙おむつの製品の使用状態斜視図である。
【図11】パンツ型紙おむつの裏面側からの展開状態正面図である。
【図12】テープ式紙おむつの製造工程の概要図である。
【図13】テープ式紙おむつの第1例における変形例の横断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1…透液性シート、2…不透液性シート(第1デザインシート)、3…吸収体、10…外形シート、7…ファスニング片、20…ターゲット印刷シート、21…第2デザイン部、30…第1デザイン部、51…外形シート、60…吸収主体、61…透液性トップシート、62…不透液性バックシート(第1デザインシート)、100A,100B…第2デザインシート、101A,101B…第2デザイン部、B,C…起立カフス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液を吸収する吸収要素を主体とする吸収主体と、この吸収主体の裏面側に設けられた不透液性シートと、この不透液性シートの裏面側に設けられた外形シートと、を備え、
該外形シートは、2枚以上の不織布を積層固定して構成されると共に、ウエスト部、胴回り部、股下部において、これら外形シート間には収縮部材が設けられ、
該収縮部材は、前記吸収主体に対応する部分の幅方向中央では存在しないように構成され、
前記吸収主体は、ほぼ裏面全体が前記外形シートに対して、ホットメルト接着剤により接着され一体化された、パンツ型紙おむつの吸収性物品において、
前記不透液性シートの使用面側には、排泄体液と接触すると視覚的変化が生じる第1デザイン部が、前記吸収要素の占有域内位置に形成されており、
前記不透液性シートより裏面側の幅方向中央に、この不透液性シートとは別の第2デザインシートが、平面から見て、不透液性シートと互いに重なるように設けられ、
この第2デザインシートは、第2デザイン部が、前記吸収要素の占有域内位置に形成され、
前記第1デザイン部の前記視覚的変化、及び第2デザイン部は、製品の裏面側から視認可能であり、かつ、前記第1デザイン部と第2デザイン部とは、裏面側から見て異なる位置に存在することを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
吸収性物品が紙おむつであって、その前身頃と後身頃とに分離して前記第2デザインシートがそれぞれ設けられ、前記第1デザイン部は、各第2デザインシートの各第2デザイン部の間に存在する請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
体液を吸収する吸収要素を主体とする吸収主体と、この吸収主体の裏面側に設けられた不透液性シートと、この不透液性シートの裏面側に設けられた外形シートと、を備え、
該外形シートは、2枚以上の不織布を積層固定して構成されると共に、ウエスト部、胴回り部、股下部において、これら外形シート間には収縮部材が設けられ、
該収縮部材は、前記吸収主体に対応する部分の幅方向中央では存在しないように構成され、
前記吸収主体は、ほぼ裏面全体が前記外形シートに対して、ホットメルト接着剤により接着され一体化された、パンツ型紙おむつの連続的製造方法において、
連続的にラインを流れる外形シートに対して、予め切断された個別片としての第2デザインシートを組み込むとともに、外形シートに対してその流れの中で、予め切断された個別片としての不透液性シートを組み込み、次いで体液を吸収する吸収要素を組み込み、その後に個々の製品を得るものであって、
前記不透液性シートは、液不透過の透湿性フィルムシートであり、50mmの試料を1kgの荷重にて伸張させたときの伸張率が20%以下であり、
前記不透液性シートには、排泄体液と接触すると視覚的変化が生じる第1デザイン部が、前記吸収要素の占有域内位置に形成されており、
前記不透液性シートより裏面側の幅方向中央に、この不透液性シートとは別の第2デザインシートが、平面から見て、不透液性シートと互いに重なるように設けられ、
この第2デザインシートは、第2デザイン部が、前記吸収要素の占有域内位置に形成され、
前記製品化工程において、前記第1デザイン部の前記視覚的変化、及び第2デザイン部は、製品の裏面側から視認可能であり、かつ、前記第1デザイン部と第2デザイン部とは、裏面側から見て異なる位置に存在するように制御することを特徴とする吸収性物品の製造方法。
【請求項4】
吸収性物品が紙おむつであって、その前身頃と後身頃とに分離して前記第2デザインシートがそれぞれ設けられ、前記第1デザイン部は、各第2デザインシートの各第2デザイン部の間に存在する請求項3記載の吸収性物品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−78163(P2009−78163A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297819(P2008−297819)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【分割の表示】特願2002−498(P2002−498)の分割
【原出願日】平成14年1月7日(2002.1.7)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】