説明

吸収性物品

【課題】尿取りパッドを備えた使い捨ておむつ等の吸収物品において、尿漏れを防止するとともに前記尿取りパッドの取り替えを容易に行う。
【解決手段】使い捨ておむつ本体の股下部に開口部を設けると共に、この開口部を覆うように外側から尿取りパッド30を取り付ける。尿取りパッド30は両側にウイング34を備え、このウイング34の側縁に例えば感圧粘着層38を設け、ウイングを使い捨ておむつ本体の脚部開孔から折り返して、その内面、即ち表面シートの表面に取り外し自在に接着する。また、尿取りパッド30の表面の取付部39をおむつ本体20の外面に取付する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排尿の処理等に伴う労力的、精神的及び経済的な負担を軽減できる吸収性物品、とくに、尿取りパッド(失禁パッド)、生理用パッド等吸収性パッドを備えた吸収性物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
おむつ交換の交換作業、とくに身体の自由が利かず介護を必要とする老人や病人などのおむつの取り替えは、例えば、図15に示すように、体を横向きにして汚れたおむつを要介護者の下から引き出し、次に新しいおむつを引き込んで装着するようにしているため、とくに重労働であり、それを毎日何回も繰り返すことは精神的にもきつい作業である。
また、おむつの交換は排尿に伴ってその一部がよごれた場合でもおむつ全体を交換するため、その経済的負担が大きいばかりではなく廃棄物の量が増大するという問題もある。
【0003】
そこで、おむつに補助吸収体又は吸収性パッドを併用して、排尿のあったときは、これを補助吸収体で吸収してこの補助吸収体のみを取り替え可能とし、おむつの交換は、排便時などおむつ自体が汚れた時のみ行なうようにしたものも開発されている。
しかしながら、補助吸収体をおむつの内表面側に配置しただけでは、その交換のために、一旦おむつを外して汚れた補助吸収体を取り出すことが必要で、おむつ全体を交換するものに比べて経済的には有利ではあるが、その交換に要する労力的或いは精神的負担はとくに軽減されるわけではなく、問題を完全に解決し得るものではなかった。
【0004】
そこで、この問題を解決すべく、おむつを外さずに補助吸収体のみを取り替えできるように、使い捨てパンツの前部中央に開口を設け、その開孔を開閉可能なシート状の蓋部材で覆う構成とし、補助吸収体の取替えは、その蓋部材を開いておむつ本体の開孔から汚れた補助吸収体を取り出し、未使用のものをおむつ内に配置できるようにしたものが開発されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、おむつの前部又は後部パネルにアパーチャ(開口)を形成し、このアパーチャに複数のパネル部材(補助吸収体)を収容した後部シート(裏面シート)にポケットを固定し、おむつ中央部で吸収した体液を吸収するための複数のパネル部材を収容し、各パネル部材は引っ張りタブを引っ張るごとに、体液で飽和したパネル部材を一枚づつ前記ポケットから引き出し、代わりに未使用のパネル部材を露出させるようにしているものも知られている(特許文献2参照)。
【0006】
更に、補助吸収体の取り替えを一層容易にするため、取り替え用の補助吸収体をおむつ内に設けずに外付けとしたものも提案されている(特許文献3)。これは、前身頃A、後見頃B及び両者間に位置する股下部Cからなり、前見頃Aと後見頃Bとが両側部で相互に接合される構造の使い捨てパンツにおいて、前記股下部Cに股下開口部を設け、この股下開口部を外側から塞ぐように、パンツ本体に対して着脱自在に取り付けられる吸収性パッドを備えている。この構成において、パンツ本体の股下開口部の内側面に備わっている左右側部の第1係合部を吸収性パッドの外面側に係合固定する。
【0007】
同様に補助吸収体を外付けするものとして、吸収性パッドをパンツ本体に対して着脱自在に取り付けたパンツ型の補助具と補助吸収体となる外装吸収部とから構成し、前記パンツ型の補助具には部分的に通液部が形成された吸収体が配置され、外装吸収部は補助具の外表面側に取付し、外装吸収部に対する液の移行を安定的に行い、外装吸収部に排尿があったとき、これをパンツ型補助具から外して取り替えるようにしている。(特許文献4参照)
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された使い捨てパンツでは、そもそも股間は狭いので補助吸収体をおむつに出し入れして取り替えるのは容易ではなく、また、補助吸収体を股間から尿が染み出さないように取り付けることも困難である。
また、特許文献2に記載されたおむつ(吸収性物品)では、尿を吸収したパネル部材を前記ポケットから一つずつ引き出すだけで未使用のパネル部材と交換することができ、特許文献1に記載されたもののようにその都度補助吸収体をおむつ内にセットする必要はない。しかし、パネル部材(補助吸収体)を収容したポケットを腹側部或いは背側部の後部シートに固定する構造であって、股間部分にはパネル部材(補助吸収体)が存在しておらず、股間部分から尿が染みだすおそれがある。
【0009】
更に、特許文献3に記載されたおむつは、補助吸収体を外側から取り付けるが、股間は狭くかつ、取り付け時に補助吸収体の一部を開口部内に入れるため取り付け難い。また、取り付けても開孔部周縁は濡れて不衛生になるだけではなく、開口部の隙間から尿が染み出すおそれがあるという問題がある。更に、外側から尿取りパッドを取り付けると衣服との摩擦でずれかつ、股間部は撚れ易いという問題もある。
【0010】
特許文献4に記載されたおむつ(吸収性物品)は、外装吸収部を補助具の外側から取り付けるため取り替えは容易であるが、尿は、補助具の吸収体を通して外装吸収部に吸収されるため、外装吸収部体を取り替えても吸収体は尿が付着したままの状態となり不衛生になるという問題がある。
更に、排尿があった場合に、補助具の吸収体と外装吸収部の両方が濡れるために、その両方を交換しなければならないので不経済である。
【特許文献1】特開平9−95804号公報
【特許文献2】特表2002−509461号公報
【特許文献3】特開2003−305080号公報
【特許文献4】特願2002−351770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、従来の補助吸収体又は吸収性パッドと組み合わせたおむつ等の吸収性物品が有する前記問題を解決するためになされたものであって、その目的は、吸収性物品のおむつや下着など着用者の下腹部を直接包むもの(ここでは外包体という)の股間部の開口部に、外包体の外側から吸収性パッドを取付できるようにしてその取り替えを容易にし、同時に、前記開口縁部からの尿などの漏れや滲みを完全に防止し、かつ衣服との摩擦があってもずれ難く、撚れないようにしっかりと外包体に取付できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、着用者の腹側に位置する腹側部と、背側に位置する背側部と、腹側部と背側部間で着用者の股下に位置する股下部とを備え、かつ該股下部に開口部を有する外包体と、前記開口部を外包体の外側から覆うよう前記外包体に取り外し自在に装着する吸収性パッドとからなる吸収性物品であって、前記吸収性パッドはその長手方向両側部にウイングを有し、該ウイングを外包体の脚開孔部から股下側に折り返し、前記ウイングの折り返し部分を外包体内面に取付したことを特徴とする吸収性物品である。
請求項2の発明は、着用者の腹側に位置する腹側部と、背側に位置する背側部と、腹側部と背側部間で着用者の股下に位置する股下部とを備え、かつ該股下部に開口部を有する外包体と、前記開口部を外側から覆うよう前記外包体に取り外し自在に取付する吸収性パッドとからなる吸収性物品であって、前記開口部とは別の開口部を有するセンターシートを、ウイングを備えた外包体外面に対し、前記各開口位置を合わせかつセンターシートの両側端側に少なくとも前記ウイングの取付面を残して接合し、前記ウイング先端縁を前記センターシート端縁で折り返し、該折り返し部分を前記センターシート内面に取り付けたことを特徴とする吸収性物品である。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載された吸収性物品において、
前記吸収性パッドの液吸収面側と同じ側の前記ウイング面に取付手段を備えたことを特徴とする吸収性物品である。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載された吸収性物品において、前記吸収性パッド表面に取付手段を備えたことを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項4に記載された吸収性物品において、前記外包体の外面に吸収性パッドの表面に設けた前記取付手段と接合するための取付手段を備えたことを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項4に記載された吸収性物品において、
前記センターシートの外面に吸収性パッドの表面に設けた前記取付手段と接合するための取付手段を備えたことを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載された吸収性物品において、前記ウイングは伸縮性を有することを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載された吸収性物品において、前記ウイングは吸収性パッドの長手方向両側面に設けられたそれぞれ複数のウイングからなることを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載された吸収性物品において、前記吸収性パッドの裏面シート側に排泄物の水分が吸収されたことを表示する表示手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、吸収性パッドを外包体の外側から着脱できるようにしたため、取り替えが容易に行えるだけではなく、外包体に対してウイングによって取り付けることから、衣服との摩擦があってもずれ難くみだりにずれたり捩れたりすることなくしっかりと取付可能であると共に、外包体の股間部の開孔縁からの尿などの漏れや滲みを完全に防止できる。
また、ウイングに伸縮性を持たせることで、外包体との一体感に優れた吸収性パッドとすることができ、更に、ウイングを複数の小ウイングで構成することにより、装着し易くかつ外れ難くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の吸収性物品の1実施形態である使い捨ておむつについて図面を参照して説明する。
図1は、使い捨ておむつ本体の着用状態における正面図、図2は外包体の一実施形態である使い捨ておむつを示し、図2Aはその使い捨ておむつ本体の展開平面図、図2Bは図2AのX−X線に沿った断面図である。
本実施形態に係る使い捨ておむつ10は、図1に示すように、使い捨ておむつ本体20と、使い捨ておむつ本体20の股間部に外側から着脱自在に取り付けられる吸収性パッドである尿取りパッド30とからなっている。
尿取りパッド30は、使い捨ておむつ本体20の裏面シートの外面に、粘着剤、ファスナテープ等により取り付けられ、かつ後述するように、そのパッド本体の両側面に備えたウイングを折り返して使い捨ておむつ本体20に取付して、使い捨ておむつ本体20の股下開口部22部分を覆うようにその外側から装着される。
【0015】
使い捨ておむつ本体20は、図2に示すように、着用時に着用者の腹側に位置する腹側部Aと、着用者の背側に位置する背側部Bと、腹側部Aと背側部Bとの間に位置し、着用持に着用者の股下部に位置する股下部Cとからなり、腹側部Aと背側部Bそれぞれの両側部同士が接合手段により相互に接合されて、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成される。股下部Cは、その両側縁部が、前記レッグ開口部の開口縁部24を構成すると共に、開口部22がその長手方向略中央に形成されている。
【0016】
前記腹側部A、背側部B及び股下部Cは、図2Bに示すようにそれぞれ液透過性の表面シート25、液不透過性の裏面シート26及び両シート間に介在された液保持性の吸収体28を備えている。ここで、表面シート25及び裏面シート26は、吸収体28の周縁部において互いに接合されており、吸収体28は、表面シートと裏面シートとの間に挟持固定されている。
【0017】
また、尿取りパッド30は、平面視略矩形をなし、以下で述べるように前記おむつ本体と同様に表面シート及び裏面シートと両シート間に挟持された吸収体からなっている。
【0018】
図3は、尿取りパッド30の一実施形態を示す平面図である。
尿取りパッド30は、図中、上下端が丸みを帯びた全体が略矩形状をなした尿取りパッド本体32と、尿取りパッド本体32の長手方向中央部の左右側に、その長手方向全長の半分以上の長さで一体に形成された取り付け用ウイング34からなっている。
尿取りパッド本体32は、その少なくとも長手方向両端縁部に、尿取りパッド30を使い捨ておむつ本体20に装着する際に、その裏面シート26外面に取付できるように取付部39を備え、かつ、ウイングの左右両端部には、おむつ本体20の内面側に取付するための取付部38が形成されている。
【0019】
図4A〜図4Dは、図3におけるX−X線に沿った尿取りパッド本体32の典型的な断面構成を模式的に示した図である。
これらの図から明らかなように、尿取りパッド本体32は、液透過性の表面シート35と、液不透過性の裏面シート36、及び表面シート35及び裏面シート36間に配置される吸収体37からなっており、具体的には、図5に示すように吸収剤37aを型くずれしないように例えば薄葉紙からなる台紙37bで包んで形成した吸収体37を、表面シート35と裏面シート36で封止した構成であり、前記表面シート35、及び裏面シート36、吸収体37は、従来の使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品において用いられている液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び吸収体をそのまま用いることができる。
【0020】
取り付け用ウイング34は、前記表面シート35と裏面シート36を延長して形成することができるが、これに限らず、表面シート35又は裏面シート36のいずれかのみを延長して形成したもの、或いは別途形成したウイング34をパッド本体32に、接着剤等により接合して一体化したものでもよい。
【0021】
ここで、図4Aに示す第1の実施形態の尿取りパッド30では、そのウイング34のその尿取りパッド30の液吸収面と同じ面側に配置された表面シート35の左右両端部に、取付部38として、例えば感圧接着剤等の粘着層38aが形成されている。
図4Bに示す第2の実施形態の尿取りパッド30では、図4Aに示す尿取りパッド30の粘着層38aに代えて、例えばフックやループからなるメカニカルファスナー(面ファスナー)から成る接合手段38bが設けられており、これに対応して設けられた使い捨ておむつ本体側の後述する面ファスナーと係合するようになっている。
【0022】
図4Cに示す第3の実施形態の尿取りパッド30では、図4Aに示す尿取りパッド30の本体32の両側部の表面シート35上にも取付手段としての粘着層38aが形成されており、その他の構成は図4Aに示すものと同様である。
図4Dは、図4Aに示す尿取りパッド30の本体32の両側部の表面シート35に面ファスナー39bを設けたものであって、その他の構成は図4Aに示すものと同様である。
なお、粘着層と面ファスナーの組み合わせは任意であり、上記実施形態に限るものではない。
【0023】
図6は、このような構造の尿取りパッド30を装着した状態における使い捨ておむつを模式的に示した図であり、図6Aはその正面図、図6Bは底面図、図6Cは断面構造を説明するための図である。なお、図6Cに示してはいないが、実際にはシート25とシート26との間でその略全面にわたってホットメルト型接着剤を塗布して、弾性部材12も一緒に固定している。
尿取りパッド30は、1例として図示のように図4Dに示す形態であって、使い捨ておむつ本体20の股下部Cに形成された開口部22を覆うように、使い捨ておむつ本体20の外側から当接して、パッド本体32の表面シート35上に設けた前記取付手段39の面ファスナー39bを、これに対応して使い捨ておむつ本体20の裏面シート26外面に設けた面ファスナー29に係合する。
また、ウイング34を使い捨ておむつ本体20の脚開孔部CLから、矢印T(図6B)に示すように内側に折り返して使い捨ておむつ本体20内入れ、ウイング34端縁に設けた粘着層38aを使い捨ておむつ本体20内側の表面シート25の表面に当て、軽く押すことで前記表面に接合し、尿取りパッド30の前記おむつ本体20への取付を完了する。
【0024】
このように、尿取りパッド30を使い捨ておむつ本体20に取り付けることで、尿取りパッドは使い捨ておむつ本体20にしっかりと固定され、妄りにずれたり撚れたりすることがなく、また、開口部22縁部からの漏れ等も完全に防止できる。また、前記尿取りパッド30の取り替えに際しては、前記ウイング34を使い捨ておむつ本体20内側の表面シート25及び裏面シート26から引き剥がすだけで容易に外すことができる。
【0025】
図7は、尿取りパッドを別の実施形態に係る使い捨ておむつ本体20について示した図6と同様の図であり、図7Aはその正面図、図7Bは底面図、図7Cはその断面を説明するための図である。
この使い捨ておむつ本体20には、その長手方向全体に亘り、その幅方向中央部に前記尿取りパッド30の横幅よりも広い幅を有するセンターシート20cがその長手方向全長にわたって設けられている。
このセンターシート20cは、使い捨ておむつ本体20の前記開口部22に対応して、それに略等しいか又はより大きな開口部20dを有すると共に、その巾方向端部から所定の距離だけ内側で使い捨ておむつ本体20の外面に接着剤等の任意の手段で接合された接合部21を有し、前記所定距離の幅の吸収性パッドのウイング34の取付面を提供している。
なお、接合部21に用いる接着剤は、フラップ34を挿入して固着し易いように厚く、かつファスナー29の幅の全域をカバーするように形成するのがよい。また、センターシート20cは、必ずしも前記おむつ本体20の長手方向全長にわたって取り付ける必要はなく、要は、尿取りパッド30の取り付けが可能な長さであればよい。
【0026】
尿取りパッド30は、その第1の実施形態と同様に使い捨ておむつ本体20の股下部Cに形成された開口部22、20dを覆うように、使い捨ておむつ本体20の外側から当接され、尿取りパッド30の本体32の表面シート35に設けた面ファスナー39bを、前記センターシート20c外面に設けた面ファスナー29に係合し、かつウイング34端部を使い捨ておむつ本体20の前記センターシート20c端部から矢印T(図7B)で示すように内側に折り返して、前記センターシート20cと使い捨ておむつ本体20の裏面シート36の外面間に挿入し、ウイング34端縁に沿って設けた感圧接着剤38aを前記センターシート20cの裏面に接合する。
なお、前記センターシート20cと外面に設けた面ファスナー29は、接合部21と重なる位置に設けられると、脱着がし易くなる点で好ましい。また、ウイングの取付部38は、要は折り返したウイング部分が固着できる位置であればよく、従ってその端部以外の他の部分でもよい。
この実施形態では、着用者は直接尿取りパッド30のウイング34と直接接触することがないから、尿取りパッド30を意識せずにおむつの自然な着用感が得られる。
【0027】
図8は、尿取りパッドの第2の実施形態を示す。
この尿取りパッド30’は、伸縮性を備えたウイング(フラップ)32’をその側面全長に亘って備えており、そのウイング34’は、例えば伸張状態の弾性部材34’aをウイング34’に沿って配置することでギャザー34’bが形成され、伸縮性が付与されている。その他の構成は、実質的に第1の実施形態のものと同じである。ウイングを伸縮性とすることで、使い捨ておむつ本体20又はセンターシート20cによく馴染み、より一体化するから妄りに外れたりずれたりすることがないことに加え自然な装着感が得られる。なお、この第2の実施形態に係る尿取りパッド30’のウイング34’の巾を調整することで、それを前記第1の実施形態の使い捨ておむつ本体20に取り付けることも当然可能である。
【0028】
図9は尿取りパッドの第3の実施形態を示す。
この尿取りパッド30”は、ウイング34”が複数の小ウイング34”Cに分割されており、各ウイング34”Cの側端部に粘着層或いは面ファスナーからなる取付部が形成されている。その他の構成は第1の実施形態のものと同様である。この尿取りパッド30”は、ウイング34”Cが細かく分かれているために、一つ一つ止着する手間が掛かるが、ここのウイング34”Cは取り付けをきめ細かく行うことができ、使い捨ておむつの取り付け部外観形状に沿い易いため取り付け易く、かつ例えば、一部のウイング34”Cが外れても安定した固定ができる利点がある。
その他、ウイングの形状としては、ウイングを開いた状態でパッドの平面形状が略円形或いは楕円形等上述のもの以外の形状も任意に選択可能である。
【0029】
次に、以上で説明した使い捨ておむつが備える取り替えサイン機能について説明する。
この使い捨ておむつは、尿等の排泄物が尿取りパッドに吸収され取り替え時期であることを表示するようにしている。
取り替え時期表示手段は、それ自体公知又は周知のものであって、例えば本出願人が特開平11−4852号公報で開示した構成を用いることができる。即ち、酸性組成物およびpHの変化によって色が変化する呈色指示薬を用い、尿取りパッド30の裏面シート36に、水に融解するとアルカリ性を呈する水溶性化合物を含んだシート材料を用いて、このシート材料中の水溶性化合物と水が接触してアルカリ性となり、この水が前記親水性組成物と接触することで親水性組成物の色を変化させるようにして、その色の変化から尿取りパッドの取り替え時期を表示するようにすることができる。その際、シート材料に上記親水性物質を直接塗布しても、或いは上記シート材料と上記親水性物質の間に親水性シートを介在させたものでもよい。
【0030】
このように、尿取りパッドに取り替えサイン機能を与えることにより、尿取りパッドが尿又は体液を所定量以上吸収したときは、その取り替えサインの色の変化を目視することができるから、尿取りパッドの取り替え時期を知ることができる。
外包体は、レッグギャザー用の弾性部材12のみを図6C及び図7Cに図示しているが、脚部からのもれを防ぐため、立体ギャザーを別途形成しても良い。この場合、吸収性パッドのウイングは、立体ギャザーにかからない程度の長さにしておくことが好ましい。また、センターシートを用いた場合でも、同様に立体ギャザーを形成することができ、この場合、吸収性パッドのウイングは、立体ギャザーの効果を阻害しない利点がある。
前記センターシートは、一枚のシートから形成されていなくてもよく、2枚のシートが組み合わされて開口を形成したもの、2枚のシートが離間して、開口部が切断され開口状に成っていてもよい。また、吸収性パッドには、面ファスナーが付けられていなくとも、おむつ本体に取り付けられた面ファスナーがフック材であればよいように、表面シートやウイング材に面ファスナーのメス材としての機能を持たせたものでも良く、肌に優しい利点がある。
【0031】
次に、以上で説明した前記使い捨ておむつ本体20を製造する一方法について説明する。
この使い捨ておむつ本体20は、基本的には、例えば特開平6−121811号公報に記載された従来方法で製造することができる。なお、尿取りパッド30の使い捨ておむつ本体20と共通する構成部分は、使い捨ておむつ本体と同じ方法で製造することができる。
即ち、図10は、連続例えばポリエチレンウエブ45を切断して表面シート及び裏面シートとなる各ストリップを形成する切断工程を示す。この工程では、アンビルロール50と対向して突出したカッティングエッジ48を備えたカッターロール46で連続ポリエチレンウエブ45を表面シートとなるストリップ45a、45bに切断する。その際、カッティングエッジ48の形状は、尿取りパッドでは、尿取りパッド30の両側面に形成させるウイング34,34の片側をそれぞれストリップ45a、45bに形成されるように、例えば図9に示すような台形形状や、正弦波(図示せず)等の周期形状となるように、ロール46上の切断模様で形成する。
【0032】
図11は、切断工程で切断されたストリップ45a、45bを組み立て直して複合ウエブとする工程を示している。ここでは、切断したストリップの一方のストリップ45aをロール52,54,56及び58の配置により他方のストリップ45bに対してコンベアー面の上方に移動させる。また、それと同時に、図12に示すように、ストリップ45aを横方向に移動し、平面視でストリップ45bを横切り、ストリップ45aをコンベアー面に下降させて他方のストリップ45bと接触させた時に、両ストリップ45a、45bの切断端と反対側の直線の端が互いに隣接するようにし、かつストリップ45bの横の移動は、ストリップが部分的に重なった関係となるように制御する。更に、各ストリップ45a、45bに形成した34、34の半周期分の位置ずれを、ストリップ45aとストリップ45bとの移動距離の差により制御する。
【0033】
再び図11において、接着剤噴射ノズル60は、ストリップ45aとストリップ45bが重る端部分に接着剤を塗布する。ロール58の下に裏打ちロール61があり、ニップを形成し、ストリップ45a及び45bの重なる部分で接着剤を押して密接に接触させ、強力な接着を行う。或いは、接着剤に代えてストリップ45a、45bを加熱ロールで熱接合することもできる。
【0034】
図13は、組み立て工程を示す。カッティングロール72は、複合ウエブに開孔部22を形成するために用いる。
ここでは、同一の形状の液体透過性材料でできたウエブ状の表面シート(複合ウエブ)F2を、液不透過性材料でできたウエブ状の裏面シート(複合ウエブ)F1と位置を合わせて重ねる。その後、加熱された回転シールロール70間の押圧により、表面シートと裏面シートとを接合させる。その後、カッティングロール72を回転させながら開孔部22を形成させる。
【0035】
図面14に示す封止工程は、組み立て工程の下流に位置し、複合ウエブF1及びF2を開口部22のまわりで封止し、連続した積層封止ウェブF3を形成する。
複合ウエブF1及びF2間の接着は、組み立て工程及び封止工程(図示せず)の間で接着剤により、又は熱接着により行うことができる。
【0036】
このように封止ウエブF3は、続いて、開口部22が形成されたところを略中央部とし、長手方向に沿ってカッティングロール等の適当な手段で封止ウエブF3を隣接する開口部22の間で切断して使い捨ておむつ本体20を得ることができる。
【0037】
なお、以上の工程において、吸収体24を開口部22の周縁部、又は略全面で裏面シートと表面シートとの間に挟持して接合してもよい。この場合、使い捨ておむつ本体自体に吸収性を持たせることで、吸収物品としては、尿取りパッドで不足する吸収性を確保することができる。
【0038】
以上で説明した使い捨ておむつ本体の製造方法は、いわゆるトリムレスの場合であるが、それ以外の方法として、左右2つのシートを中央部で合わせその後、レッグ部を取り除くようにした製法でもよいことはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の外方体の1実施形態を示す展開図である。
【図2】本発明の1実施形態である使い捨ておむつの正面図である。
【図3】尿取りパッドの平面図である。
【図4】尿取りパッドの断面を概略的に示した断面図である。
【図5】使い捨ておむつ本体に用いる吸収体の断面図である。
【図6】図6Aは、第1の実施形態に係る使い捨ておむつ本体と吸収性パッドとを組み合わせた状態の使い捨ておむつの正面図、図6Bはその底面図、図6Cはその断面を模式的に示した断面図である。
【図7】図7Aは、第2の実施形態に係る使い捨ておむつ本体と補助吸収体とを組み合わせた状態の使い捨ておむつの正面図、図7Bはその底面図、図7Cはその断面を模式的に示した断面図である。
【図8】第2の実施形態の尿取りパッドの平面図である。
【図9】第3の実施形態に係る尿取りパッドの平面図である。
【図10】使い捨ておむつ本体製造工程におけるウエブ切断工程を説明するための図である。
【図11】同、切断したウエブの整合工程を説明するための図である。
【図12】同、切断したウエブの整合工程を説明するための他の図である。
【図13】同、組立工程を説明するための図である。
【図14】同、封止工程を説明するための図である。
【図15】従来のおむつの取り替えを説明する図である。
【符号の説明】
【0040】
10・・・吸収性物品、20・・・外包体、22・・・開口部、28・・・吸収体、30・・・尿取りパッド、31・・・取付部、32・・・パッド本体、34・・・ウイング、35・・・表面シート、36・・・裏面シート、37・・・吸収体、38・・・取付部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の腹側に位置する腹側部と、背側に位置する背側部と、腹側部と背側部間で着用者の股下に位置する股下部とを備え、かつ該股下部に開口部を有する外包体と、前記開口部を外包体の外側から覆うよう前記外包体に取り外し自在に装着する吸収性パッドとからなる吸収性物品であって、
前記吸収性パッドはその長手方向両側部にウイングを有し、該ウイングを外包体の脚開孔部から股下側に折り返し、前記ウイングの折り返し部分を外包体内面に取付したことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
着用者の腹側に位置する腹側部と、背側に位置する背側部と、腹側部と背側部間で着用者の股下に位置する股下部とを備え、かつ該股下部に開口部を有する外包体と、前記開口部を外側から覆うよう前記外包体に取り外し自在に取付する吸収性パッドとからなる吸収性物品であって、
前記開口部とは別の開口部を有するセンターシートを、ウイングを備えた外包体外面に対し、前記各開口位置を合わせかつセンターシートの両側端側に少なくとも前記ウイングの取付面を残して接合し、
前記ウイング先端縁を前記センターシート端縁で折り返し、該折り返し部分を前記センターシート内面に取り付けたことを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された吸収性物品において、
前記吸収性パッドの液吸収面側と同じ側の前記ウイング面に取付手段を備えたことを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載された吸収性物品において、
前記吸収性パッド表面に取付手段を備えたことを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
請求項4に記載された吸収性物品において、
前記外包体の外面に吸収性パッドの表面に設けた前記取付手段と接合するための取付手段を備えたことを特徴とする吸収性物品。
【請求項6】
請求項4に記載された吸収性物品において、
前記センターシートの外面に吸収性パッドの表面に設けた前記取付手段と接合するための取付手段を備えたことを特徴とする吸収性物品。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載された吸収性物品において、
前記ウイングは伸縮性を有することを特徴とする吸収性物品。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載された吸収性物品において、
前記ウイングは吸収性パッドの長手方向両側面に設けられたそれぞれ複数のウイングからなることを特徴とする吸収性物品。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載された吸収性物品において、
前記吸収性パッドの裏面シート側に排泄物の水分が吸収されたことを表示する表示手段を備えたことを特徴とする吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−102321(P2006−102321A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−295206(P2004−295206)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】