説明

吸収性物品

【課題】リン脂質類似重合体に由来するスキンケア性を十分に発揮させることができ、かつ、トップシートの通液性にも優れ、吸収性物品本来の特性である尿等の吸収速度も維持することが可能な吸収性物品を提供する。
【解決手段】吸収体22と、少なくとも一部が液透過性材料からなり、吸収体22の表面を被覆するように配置されたトップシート18と、液不透過性材料からなり、吸収体22の裏面を被覆するように配置されたバックシート20と、トップシート18の上部に配置され、便を通過させる便用開口部28aが形成されたスキンコンタクトシート24と、を備え、スキンコンタクトシート24に、リン脂質極性基を有するリン脂質類似重合体が付与されている吸収性物品1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収体、トップシート、バックシート及びスキンコンタクトシートを備えた吸収性物品に関するものである。より具体的には、肌に優しく、吸水性、保湿性等に優れるリン脂質類似重合体をスキンケア成分として利用した吸収性物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、使い捨ておむつ、尿パッドのような吸収性物品は、吸収体と、少なくとも一部が液透過性材料からなり、吸収体の表面を被覆するように配置されたトップシートと、液不透過性材料からなり、吸収体の裏面を被覆するように配置されたバックシートと、を備えている。
【0003】
このような吸収性物品は、トップシートが着用者の肌と接するように使用され、排泄物はトップシートの液透過性部分を透過して吸収体に吸収・保持される。そして、吸収体の裏面側に配置された液不透過性のバックシートによって、排泄物が外部に漏洩することが防止される。
【0004】
ところで、吸収性物品のような着用者の肌に対して直接接触する物品は、刺激が少なく肌に優しい素材で構成されていることが好ましい。例えば、着用者の肌に接触するトップシート等にリン脂質等のスキンコンディショニング剤を付着させる技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、天然物であるリン脂質の代替品として、リン脂質の構造を模擬したリン脂質類似重合体からなる繊維処理剤組成物が提案されている(特許文献2及び3参照)。
【0006】
更に、前記リン脂質類似重合体と吸湿剤とをパディングにより付着させた不織布でトップシートを構成した吸収性物品も開示されている(特許文献4参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2004−534089号公報
【特許文献2】特開2002−348778号公報
【特許文献3】特開2002−348779号公報
【特許文献4】特開2004−285548号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献4に記載の吸収性物品は、リン脂質類似重合体を付着させることによって、トップシートの通液性が低下する場合があり、吸収性物品本来の特性である尿等の吸収速度に劣るという点で解決すべき課題が残されていた。本発明は、リン脂質類似重合体に由来するスキンケア性を十分に発揮させることができ、かつ、トップシートの通液性にも優れ、吸収性物品本来の特性である尿等の吸収速度も維持することが可能な吸収性物品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、前記のような従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、特許文献4に記載の吸収性物品では、疎水性のリン脂質類似重合体によってトップシートの通液性が阻害されることに起因して、トップシートの通液性が低下し、吸収性物品本来の特性である尿等の吸収速度に劣るという問題が発生することを見出した。
【0010】
そして、トップシートの上部に、便を通過させる便用開口部が形成されたスキンコンタクトシートを配置した上で、そのスキンコンタクトシートに対して、前記リン脂質類似重合体を付与することによって、上記課題が解決されることに想到し、本発明を完成させた。具体的には、本発明により、以下の吸収性物品が提供される。
【0011】
[1] 吸収体と、少なくとも一部が液透過性材料からなり、前記吸収体の表面を被覆するように配置されたトップシートと、液不透過性材料からなり、前記吸収体の裏面を被覆するように配置されたバックシートと、前記トップシートの上部に配置され、便を通過させる便用開口部が形成されたスキンコンタクトシートと、を備え、前記スキンコンタクトシートに、リン脂質極性基を有するリン脂質類似重合体が付与されている吸収性物品。
【0012】
[2] 撥水性シートからなり、前記吸収体の両側に配置された少なくとも一対の立体ギャザーを更に備え、前記立体ギャザーに、前記リン脂質類似重合体が付与されている前記[1]に記載の吸収性物品。
【0013】
[3] 前記リン脂質類似重合体が、ワックスとの混合物の状態で付与されている前記[1]又は[2]に記載の吸収性物品。
【0014】
[4] 前記スキンコンタクトシートの前記便用開口部の周縁領域に、前記リン脂質類似重合体が付与されている前記[1]〜[3]のいずれかに記載の吸収性物品。
【0015】
[5] 前記スキンコンタクトシートに、前記便用開口部に加えて、尿を通過させる尿用開口部が形成されており、前記スキンコンタクトシートの前記便用開口部と前記尿用開口部との間の開口部間領域に、前記リン脂質類似重合体が付与されている前記[1]〜[4]のいずれかに記載の吸収性物品。
【0016】
[6] 前記立体ギャザーの長手方向中央部に、前記リン脂質類似重合体が付与されている前記[1]〜[5]のいずれかに記載の吸収性物品。
【0017】
[7] 前記立体ギャザーの自由端側領域に、前記リン脂質類似重合体が付与されている前記[1]〜[6]のいずれかに記載の吸収性物品。
【0018】
[8] 前記スキンコンタクトシートに、前記便用開口部に加えて、尿を通過させる尿用開口部が形成されており、撥水性又は液不透過性のシートからなり、前記スキンコンタクトシートと前記トップシートとの間の空間を、前記便用開口部に連通する空間と前記尿用開口部に連通する空間とに仕切る尿便分離壁を更に備えた前記[1]〜[7]のいずれかに記載の吸収性物品。
【発明の効果】
【0019】
本発明の吸収性物品は、リン脂質類似重合体に由来するスキンケア性を十分に発揮させることができ、かつ、トップシートの通液性にも優れ、吸収性物品本来の特性である尿等の吸収速度も維持することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の吸収性物品を実施するための最良の形態について、パンツ型使い捨ておむつの例により具体的に説明する。但し、本発明はその発明特定事項を備える吸収性物品(例えば、テープ型使い捨ておむつ、尿パッド等)を広く包含するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。なお、作図の都合上、図1においては立体ギャザー伸縮材36を、図3においては開口部伸縮材30a,30b、ウエスト周り伸縮材42及び腹周り伸縮材44を捨象して作図を行った。
【0021】
[1]定義等:
「パンツ型使い捨ておむつ」とは、図1及び図4に示す吸収性物品1のように、前身頃2と後身頃6の対応する側縁2a,6a(2b,6b)同士を接合することによって、一つのウエスト周り開口部10及び一対の脚周り開口部12(12a,12b)が形成され、予めパンツ型に構成された使い捨ておむつを意味するものとする。
【0022】
また、「2ピースタイプ」とは、図1〜図3に示す吸収性物品1のように、吸収体22、トップシート18及びバックシート20がパッド状に一体化された吸収性本体14と、着用者の身体を被包する外装部材16とを備え、外装部材16の内側に吸収性本体14が配置・固定された形態を意味するものとする。
【0023】
「前身頃」とは、図1、図3及び図4に示すように、着用者に装着した際に、着用者の腹側(身体前方)を覆う部分(図中符号2)、「股下部」とは、着用者に装着した際に、着用者の股下を覆う部分(図中符号4)、「後身頃」とは、着用者に装着した際に、着用者の背側(身体後方)を覆う部分(図中符号6)を意味するものとする。
【0024】
[2]本発明の吸収性物品の構成:
本発明の吸収性物品は、図1〜図4に示す吸収性物品1のように、吸収体22、トップシート18及びバックシート20に加えて、トップシート18の上部に配置され、便を通過させる便用開口部28aが形成されたスキンコンタクトシート24を備え、そのスキンコンタクトシート24に、リン脂質極性基を有するリン脂質類似重合体が付与されている点に特徴がある。
【0025】
スキンコンタクトシートは、トップシート上に落下した便と着用者の肌とが直接接触する機会を減少させる目的で付設されるシートであり(特許第3919020号公報、特許第3919023号公報等を参照)、トップシートのように通液性を要求される部材ではない。従って、疎水性のリン脂質類似重合体を付与しても吸収性物品本来の特性を阻害することがない。
【0026】
また、スキンコンタクトシートにリン脂質類似重合体を付与することにより、トップシートに対してはリン脂質類似重合体を付与する必要がなくなる。従って、トップシートの通液性、ひいては尿等の吸収速度が低下するという不具合を有効に防止することができる。更に、スキンコンタクトシートは、常にトップシートよりも上部にあり、着用者の肌が直接接触するため、リン脂質類似重合体に由来するスキンケア性を十分に発揮させることができる。
【0027】
[2−1]スキンコンタクトシートに対する付与:
「スキンコンタクトシート」は、トップシートの上部に配置され、便を通過させる便用開口部が形成されたシート状の部材である。本発明では、このスキンコンタクトシートに対して、リン脂質極性基を有するリン脂質類似重合体を付与する。
【0028】
「リン脂質類似重合体」とは、リン脂質を模擬して設計された、リン脂質極性基を有する重合体である。このリン脂質類似重合体を付与することにより、スキンコンタクトシートにスキンケア性、吸水性、保湿性等を付与することができ、着用者の肌に優しい吸収性物品とすることができる。
【0029】
「リン脂質極性基」としては、例えば、ホスホリルコリン基、ホスホリルエタノールアミン基、ホスホリルセリン基、ホスホリルイノシトール基、ホスホリルグリセロール基等を挙げることができる。中でも、ホスホリルコリン基が好ましい。
【0030】
「リン脂質類似重合体」としては、ホスホリルコリン基を有するメタクリル酸エステル系ポリマーが知られている。具体的には、ポリ2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(「MPCポリマー」とも称される。)を主成分とする繊維加工剤が市販されている(例えば、日本油脂社製「リピジュア(登録商標)」等)。前記繊維加工剤は、本発明においても好適に用いることができる。
【0031】
スキンコンタクトシートへの「付与」の方法は、特に限定されない。例えば、スキンコンタクトシートに対してリン脂質類似重合体を塗工し、スプレーし、含浸させる等の方法を挙げることができる。このような方法によれば、スキンコンタクトシート全体に満遍なくリン脂質類似重合体を付与することができる利点がある。
【0032】
また、スキンコンタクトシートが不織布によって構成される場合には、予めリン脂質類似重合体が付与された繊維(以下、「スキンケア性繊維」と記す場合がある。)単独で又は他の繊維と混合して不織布を構成することも好ましい形態の一つである。
【0033】
予め不織布を構成する繊維にリン脂質類似重合体を付与する場合は、不織布に付与する場合に比較して、付与設備が小さな規模で済むという利点がある。また、リン脂質重合体が付与された繊維をリン脂質類似重合体が付与されていない他の機能性繊維と混合することによって、更に別の機能を付加することが可能となる。例えば、親水性の繊維、消臭繊維又は抗菌繊維等、繊維表面に機能性を付与した繊維は、繊維表面に、更にリン脂質類似重合体を付与してしまうと、本来目的としていた機能が低下するおそれがある。従って、予めリン脂質類似重合体を付与した繊維と前記機能性繊維とを混合して不織布を形成し、その不織布をスキンコンタクトシートとして用いることが好ましい。
【0034】
リン脂質類似重合体を付与するベース繊維は特に限定されるものではなく、従来の吸収性物品、特にスキンコンタクトシートに用いられてきた繊維を用いることができる。例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、脂肪族ポリアミド(PA)等の熱可塑性樹脂からなる繊維を挙げることができる。
【0035】
また、前記繊維としては、芯部よりも鞘部の融点(又は軟化点)が低い芯鞘繊維を用いることが好ましい。芯鞘繊維の構成材料としては、融点等の低い順からPE、エチレンを共重合成分として配合したポリプロピレンコポリマー(CoPP)、PP、PET等を挙げることができる。これらの材料の中から、芯部よりも鞘部の融点等が低いものを適宜選択して用いればよい。中でも、芯部がPET、鞘部がPEの芯鞘繊維を好適に用いることができる。この芯鞘繊維は、芯部よりも鞘部の融点が低くなっている。
【0036】
繊維表面にリン脂質類似重合体を付着させる方法は特に制限されない。例えば、浸漬、スプレーコーティング、ロールコーティング(グラビア、フレキソ、ゲートロール等)、コーター塗工等の方法により繊維表面に付着させることができる。
【0037】
なお、リン脂質類似重合体は繊維表面に付着されていればよく、繊維中心部まで浸透している必要はない。着用者の肌と接触する部分に付着していれば目的を果たすことができるからである。
【0038】
スキンコンタクトシートは、リン脂質類似重合体を0.02〜5質量%含有することが好ましい。リン脂質類似重合体を0.02質量%以上含有することにより、スキンケア性、保湿性等をスキンコンタクトシートに付与することができる。具体的には、ベース繊維に対してリン脂質類似重合体を0.02〜5質量%の比率で付与してスキンケア性繊維を形成し、このスキンケア性繊維を他の繊維と100:0〜5:95の質量比で混合することにより、上記含有率に調整することができる。但し、スキンコンタクトシートが上記含有率でリン脂質類似重合体を含有する限り、ベース繊維へのリン脂質類似重合体の付与量及び他の繊維との配合比は任意に設計することができる。
【0039】
本発明の吸収性物品では、リン脂質類似重合体がワックスとの混合物の状態で付与されていることが好ましい。リン脂質類似重合体をワックスと混合することによって、ワックスが皮膚をカバーして、バリアー性、保湿性を与えるため、リン脂質類似重合体によるスキンケア効果との相乗効果を得ることができる。
【0040】
「ワックス」としては、例えば、蜜蝋、カルナウバロウ(Carnauba Wax)、パラフィンワックス、ワセリン、精製ラノリン、植物性ステアリン酸等を挙げることができる。
【0041】
混合物の調製方法としては、ベースとなるワックスを加熱により溶融させ、その溶融状態のワックスに対して、適当量のリン脂質類似重合体を混合する方法を挙げることができる。この際、リン脂質類似重合体の量は、混合物の全質量に対し50〜95質量%の比率とすることが好ましい。
【0042】
リン脂質類似重合体の付与量は、塗工、スプレー等のように、表面に付着させる場合は、スキンコンタクトシートに対し、0.01〜5g/cmの割合で付着させることが好ましく、0.05〜2g/cmの割合で付着させることが更に好ましい。リン脂質類似重合体を0.01g/cm以上の割合で付着させることにより、スキンケア性、吸水性、保湿性等をスキンコンタクトシートに付与することができる。
【0043】
一方、含浸する場合には、スキンコンタクトシートの構成繊維100gに対して、リン脂質類似重合体を0.02〜5g付着させることが好ましく、0.1〜2g付着させることがより好ましい。リン脂質類似重合体を0.02g以上付着させることにより、スキンケア性、吸水性、保湿性等をスキンコンタクトシートに付与することができる。一方、リン脂質類似重合体の付着量を5g以下とすることにより、後の不織布化の工程で加工機を汚染する不具合を防止することができる。
【0044】
本発明の吸収性物品は、スキンコンタクトシートの少なくとも一部に、リン脂質類似重合体が付与されていればよい。即ち、スキンコンタクトシート全体に、リン脂質類似重合体が付与されていてもよいし、一部のみに付与されていてもよい。なお、一部のみ付与する場合は、当該一部において、前記付与量の範囲を満たしていればよい。
【0045】
スキンコンタクトシートの一部のみに付与する形態としては、スキンコンタクトシートの便用開口部周縁領域に、リン脂質類似重合体が付与されていることが好ましい。便用開口部周縁領域は、他の部分と比較して、開口部のエッジが着用者の肌に接触し易く、スキンケア性が要求される部分であることによる。スキンコンタクトシートに後述する尿用開口部が形成されている場合には、尿用開口部周縁領域にもリン脂質類似重合体が付与されていることが好ましい。
【0046】
また、スキンコンタクトシートの股下部に、リン脂質類似重合体が付与されていることも好ましい。股下部は着用者の肌と直接接触するスキンコンタクトシートの中でも、特にデリケートな性器周りに接触する部分であることによる。
【0047】
図1及び図3に示すように、スキンコンタクトシート24に、便用開口部28aに加えて、尿を通過させる尿用開口部28bが形成されている場合には、スキンコンタクトシート24の便用開口部28aと尿用開口部28bとの間の開口部間領域に、リン脂質類似重合体が付与されていることが好ましい(リン脂質類似重合体付与部70)。開口部間領域は着用者の肌の中でも、特にデリケートな会陰部に当接する部分であるため、リン脂質類似重合体の持つスキンケア効果が有効に発揮される。
【0048】
また、スキンコンタクトシートの平面方向の一部のみならず、厚さ方向の一部にリン脂質類似重合体が付与されていてもよい。図2及び図3に示すように、スキンコンタクトシート24が複数のシート(アッパーシート24a、ライナーシート24b)の積層シートとして構成されている場合には、着用者の肌と接触するシート(アッパーシート24a)のみにリン脂質類似重合体が付与されていてもよい。
【0049】
[2−2]立体ギャザーに対する付与:
「立体ギャザー」は、撥水性シートからなり、吸収体の両側に配置された少なくとも一対の防漏壁である。本発明では、この立体ギャザーに対して、リン脂質類似重合体を付与することが好ましい。立体ギャザーもスキンコンタクトシートと同様に、通液性を要求されない部材であり、また、着用者の肌と直接接触する部材であるため、同様の効果を得ることができる。
【0050】
以下、スキンコンタクトシートと同様の構成(リン脂質類似重合体の付与の形態、付与量等)については説明を割愛し、立体ギャザーに固有の構成のみ説明する。
【0051】
本発明の吸収性物品は、立体ギャザーの長手方向中央部に、リン脂質類似重合体が付与されていることが好ましい。長手方向中央部は立体ギャザーの自由端が着用者の肌と接触し易く、スキンケア性が要求される部分であることによる。なお、「長手方向中央部」とは、立体ギャザーの長手方向の前端側10%、後端側10%の部分を除いた中央側80%の部分を意味するものとする。この部分の全部又は一部にリン脂質類似重合体が付与されていることが好ましい。
【0052】
また、本発明の吸収性物品は、立体ギャザーの自由端側領域に、リン脂質類似重合体が付与されていることも好ましい。自由端側領域は、固定端側領域(起立線側領域)と比較して、エッジが立った状態で着用者の肌に接触し易く、スキンケア性が要求される部分であることによる。なお、「自由端側領域」とは、立体ギャザーを高さ方向に上下2分割した上側(自由端側)1/2の部分を意味するものとする。この部分の全部又は一部にリン脂質類似重合体が付与されていることが好ましい。
【0053】
なお、図1及び図2に示す吸収性物品1は、立体ギャザー26の長手方向中央部であって、かつ、自由端34側領域(以下、「中央自由端側領域」と記す場合がある。)にリン脂質類似重合体を付与した例である(リン脂質類似重合体付与部72)。
【0054】
[3]本発明の吸収性物品の構成部材:
本発明の吸収性物品は、図1〜図4に示す吸収性物品1のように、吸収体22、トップシート18、バックシート20及びスキンコンタクトシート24を必須構成部材として備え、目的に応じて、立体ギャザー26等の部材を更に備えたものである。以下、部材ごとに説明する。
【0055】
[3−1]吸収体:
「吸収体」は、着用者の尿等を吸収し、保持するための部材であり、吸収性材料によって構成される。
【0056】
「吸収性材料」としては、例えば、フラッフパルプ、高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer;以下、「SAP」と記す。)、親水性シート等を挙げることができる。「フラッフパルプ」としては、木材パルプや非木材パルプを綿状に解繊したものを、「SAP」としては、ポリアクリル酸ナトリウムを、「親水性シート」としては、ティシュ、吸収紙、親水化処理を行った不織布等を用いることが好ましい。
【0057】
吸収体は、1種又は2種以上の吸収性材料を単層又は複層のマット状に成形したものを用いることが好ましい。中でも、フラッフパルプ100質量部に対して、10〜500質量部のSAPを併用したものが好ましい。この際、SAPはフラッフパルプのマット中に混在させるか、フラッフパルプのマットの層間に層状に配置して用いればよい。
【0058】
吸収体は、矩形状、砂時計型、ひょうたん型、T字型等、所望の形状に成形して用いることができる。吸収体は、SAPの脱落を防止し、形状安定性を付与するという目的から、親水性シートによって被包されていることが好ましい。通常、吸収体はトップシートとバックシートの間に挟みこまれ、両シートと一体化された状態で用いられる。
【0059】
[3−2]トップシート:
トップシートは、着用者の尿等を透過させる必要から、その少なくとも一部(全部又は一部)が液透過性材料により構成される。
【0060】
「液透過性材料」としては、織布、不織布、多孔性フィルム等を挙げることができる。中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、脂肪族ポリアミド等の熱可塑性樹脂からなる不織布に親水化処理を施したものを用いることが好ましい。
【0061】
「不織布」としては、エアースルー(カード熱風)、カードエンボス等の製法によって製造された不織布を好適に用いることができる。「親水化処理」は、界面活性剤を塗布、スプレー、含浸等させることにより行う。「界面活性剤」としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ソルビタンエステル等のノニオン系界面活性剤;モノアルキル硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、モノアルキルリン酸塩等のアニオン系界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤;アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルカルボキシベタイン等の両性界面活性剤;等を挙げることができる。
【0062】
[3−3]バックシート:
バックシートは、着用者の尿等の外部への漏洩を防止するため、液不透過性材料によって構成される。
【0063】
「液不透過性材料」しては、ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を挙げることができる。中でも、微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。「微多孔性ポリエチレンフィルム」は、孔径0.1〜数μmの微細孔が多数形成され、液不透過性かつ透湿性である。従って、吸収性物品内部の蒸れ防止に効果がある。
【0064】
なお、バックシートの外表面には、カバーシートを貼り合わせてもよい。「カバーシート」とは、バックシートの補強、バックシートの触感の改善を目的として、バックシートに付設されるシートである。
【0065】
カバーシートは、織布、不織布等で構成すればよい。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂からなる乾式不織布、湿式不織布を用いることが好ましい。
【0066】
[3−4]スキンコンタクトシート:
スキンコンタクトシートは、着用者の肌に直接接触するため、肌触りが良く、長時間着用してもサラっとした触感(ドライ性)を維持し得る材質からなるシートによって構成すすることが好ましい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の樹脂からなる撥水性の不織布シート等を好適に用いることができる。
【0067】
「便用開口部」は、便の通過が容易な形状とすることが好ましい。そのような形状としては、吸収性物品の前後方向(長手方向)を長軸方向とする楕円形状等を挙げることができる。また、図1に示す便用開口部28aのように、前側領域に比して後側領域の開口面積が小さいキノコ型とすると、臀溝に沿って背中側に流動した便が肌に付着し難くなる点で好ましい。便用開口部のサイズは、「便を通過させる」という機能を考慮した上で適宜決定すればよい。
【0068】
また、図1及び図3に示すように、スキンコンタクトシート24には、便用開口部28aに加えて、尿を通過させる尿用開口部28bが形成されていることも好ましい。尿用開口部を形成することで、スキンコンタクトシートの表面を伝って尿が拡散し、吸収性物品の側縁からの横漏れする不具合を有効に防止することができる。
【0069】
スキンコンタクトシートは、便用開口部や尿用開口部の周縁を取り囲むように開口部伸縮材を配置したものが好ましい。開口部伸縮材には、スキンコンタクトシートとトップシートとを確実に離隔させ、スキンコンタクトシートを着用者の肌に接触し易くさせる効果がある。
【0070】
図1及び図2に示すスキンコンタクトシート24は、2枚のシート材(アッパーシート24a、ライナーシート24b)を貼り合わせた積層シートであり、両シートの層間に開口部伸縮材30a,30bを挟みこんで固定している。
【0071】
この例では、2本の開口部伸縮材30a,30bが便用開口部28aと尿用開口部28bの間の点Pで交差し、便用開口部28aと尿用開口部28bの周縁の一部を取り囲んだ後、便用開口部28aの後身頃6側の周縁及び尿用開口部28bの前身頃2側の周縁が開放されたパターンに配置されている。このような配置パターンは、開口部間領域を着用者の肌に密着させ、かつ、スキンコンタクトシート24前後からの通気性を確保できる点で好ましい。
【0072】
前記のように便用開口部と尿用開口部が形成されている場合には、図2及び図3に示すように、撥水性又は液不透過性のシートからなり、スキンコンタクトシート24とトップシート18との間の空間46を、便用開口部28aに連通する空間と尿用開口部28bに連通する空間とに仕切る尿便分離壁48を更に備えていることが好ましい。尿便分離壁を設けることによって、尿と便が混ざることに起因するアンモニアの発生、便中酵素の活性化を抑制し、かぶれを防止することができる。
【0073】
尿便分離壁は、耐水圧が高いSMS(スパンボンド/メルトブロー/スパンボンド)、SMMS(スパンボンド/メルトブロー/メルトブロー/スパンボンド)等の不織布により構成することが好ましい。
【0074】
図1〜図3に示す尿便分離壁48は、撥水性シート52の一端54をスキンコンタクトシート24に接合するとともに(接合部62)、その他端56をトップシート18の表面まで垂下させ、トップシート18に対して接合したものである(接合部66)。この例では、撥水性シート52が断面Z字状に折り畳まれ、尿便分離壁48が上下方向に伸縮可能に構成されている。
【0075】
[3−3]立体ギャザー:
本発明の吸収性物品は、撥水性シートからなり、吸収体の両側に配置された少なくとも一対の立体ギャザーを備えていることが好ましい。
【0076】
立体ギャザーは、着用者の排泄した尿の横漏れを防止するための部材であり、立体的に起立可能なように構成された防漏壁である。このような立体ギャザーを形成することにより、立体ギャザーが防漏壁となり、吸収性物品の脚周り開口部、側縁部等からの漏れ(いわゆる「横漏れ」)を有効に防止することができる。
【0077】
立体ギャザーの構成は、従来の使い捨ておむつ、その他の吸収性物品に使用される構成を採用することができる。例えば、図2に示す吸収性物品1のように、撥水性シート32の層間に立体ギャザー伸縮材36を挟み込んで固定し、その立体ギャザー伸縮材36の収縮力によってギャザー(襞)を形成したもの等を好適に用いることができる。これらの例では、撥水性シート32の折り返し部分に立体ギャザー伸縮材36を挟み込んで固定した例である。
【0078】
なお、立体ギャザーは、前記のように立体ギャザー用の撥水性シートを別途付設してもよいし、おむつを構成するシート材の一部によって形成してもよい。例えば、テープ型使い捨ておむつの場合、サイドフラップを構成する撥水性のサイドシートの一部によって立体ギャザーを形成する形態もよく用いられる。撥水性シートは、カードエンボス、スパンボンド等の製法により製造された不織布であってもよいが、防水性の高いSMS、SMMS等の不織布シートが更に好ましい。
【0079】
立体ギャザーの高さ(下端縁から上端縁までの長さ)は、5〜80mmとすることが好ましく、10〜40mmとすることが更に好ましい。5mm以上とすることにより、十分な防漏効果を確保することができることに加え、80mm以下とすることによって、立体ギャザーがスキンコンタクトシートやトップシートの表面を覆ってしまい、吸収効果を阻害する不具合を防止することができる。
【0080】
立体ギャザーの種類としては、内倒しギャザー、外倒しギャザー、高さ方向の一部に、曲げ部や折り返し部を形成したC折りギャザーやZ折りギャザー等を挙げることができる。これらの中では、防漏性が高い点において、例えば、図1及び図2に示す立体ギャザー26のような内倒しギャザーが好ましい。
【0081】
[3−4]吸収性本体:
パンツ型使い捨ておむつにおいては、トップシート、バックシート及び吸収体を、吸収・保持機能を担う「吸収性本体」という一つの部材として構成することが多い。例えば、図2及び図3に示す吸収性物品1の吸収性本体14は、生理用ナプキン等と同様に、吸収体22の表面側にトップシート18、裏面側にバックシート20が配置されたものであり、トップシート18とバックシート20との間に吸収体22が介装された構造となっている。
【0082】
[3−5]外装部材:
外装部材は、着用者の身体を被包するための装着機能を担う部材であり、具体的には、前身頃、股下部及び後身頃の各部を形成するシート状の部材である。
【0083】
2ピースタイプのパンツ型使い捨ておむつでは、着用者の排泄物を吸収し、保持する吸収・保持機能については、専ら吸収性本体が果たすことになるので、外装部材を構成する材料として液不透過性材料を用いる必要はない。外装部材を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、その他の熱可塑性樹脂からなる合成繊維によって構成された不織布等を挙げることができる。
【0084】
そして、外装部材は、脚周り伸縮材等を挟み込んだ状態で固定するために、2枚以上の不織布を貼り合わせて構成されることが多い。例えば、図1〜図4に示す吸収性物品1は、外装部材16を2枚の不織布から構成し、その2枚の不織布の間に脚周り伸縮材40、ウエスト周り伸縮材42及び腹周り伸縮材44を挟み込み固定した例である。
【0085】
[3−6]各種伸縮材:
本発明の吸収性物品が使い捨ておむつである場合は、図1及び図4に示すように、脚周り伸縮材40を配置し、ウエスト周り伸縮材42を配置することが好ましい。
【0086】
脚周り伸縮材は、脚周り開口部に沿って配置される伸縮材である。この脚周り伸縮材を配置することによって、脚周り開口部に伸縮性に富むギャザー(レグギャザー)を形成することができる。従って、脚周りに隙間が形成され難くなり、脚周り開口部からの尿漏れを効果的に防止することができる。
【0087】
ウエスト周り伸縮材は、ウエスト周り開口部に沿って配置される伸縮材である。ウエスト周り伸縮材を配置することによって、ウエスト開口部に伸縮性に富むギャザー(ウエストギャザー)を形成することができる。このウエストギャザーにより、ウエスト周りに隙間が形成され難くなり、ウエスト周りからの尿漏れを防止することができる他、着用者へのおむつのフィット性が良好となり、おむつのずり下がりが防止される。
【0088】
本発明の吸収性物品がパンツ型の使い捨ておむつである場合は、図1及び図4に示すように、腹周り伸縮材44を配置することも好ましい。
【0089】
腹周り伸縮材は、ウエスト周り開口部と脚周り開口部との間の部分(即ち、着用者の腹周りに相当する部分)に配置される伸縮材である。腹周り伸縮材を配置することによって、着用者の腹周りに伸縮性に富むタミーギャザーを形成することができる。このタミーギャザーは、ウエストギャザーと相俟って、おむつのフィット性やずり下がり防止効果を一層優れたものとすることができる。
【0090】
これらの伸縮材については、ギャザーの収縮の程度等を勘案した上で、構成材料、その材料の伸長率、固定時の伸長状態等を決定すればよい。
【0091】
伸縮材としては、天然ゴムからなる平ゴムや合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性糸からなる糸ゴムの他、伸縮性ネット、伸縮性フィルム、伸縮性フォーム(ウレタンフォーム等)等を挙げることができる。
【0092】
これらの伸縮材は、120〜400%の伸長状態で固定することが好ましく、200〜300%の伸長状態で固定することがより好ましい。このような範囲の伸長状態で固定することにより、着用者に対して過度の締め付け力を作用させることなく、十分な伸縮力を作用させることが可能となる。
【0093】
前記のような伸縮材は、おむつの他の構成部材に対して、接着剤その他の手段により固定される。固定方法としては、例えば、ホットメルト接着剤、その他の流動性の高い接着剤を用いた接着であってもよいし、ヒートシールをはじめとする熱や超音波等による溶着であってもよい。
【0094】
[3−7]適用対象:
なお、本発明の吸収性物品は、スキンコンタクトシートを備える限り、パンツ型使い捨ておむつの他、テープ型使い捨ておむつ、尿パッドにも適用することができる。
【0095】
「テープ型使い捨ておむつ」とは、吸収体と、トップシートと、バックシートと、後身頃の左右の各側縁から延出するように配置された、前身頃と後身頃とを固定するための止着テープを更に備えた使い捨ておむつを意味するものとする。
【0096】
「尿パッド」とは、インナーパッド、補助パッドとも称され、専ら尿吸収を目的とする吸収パッドである。この尿パッドは、下着の内面や使い捨ておむつのトップシートの表面に載置した状態で用いられる。尿パッドは、使い捨ておむつと同様に、吸収体と、吸収体の表面を被覆するように配置されたトップシートと、吸収体の裏面を被覆するように配置されたバックシートとを備えるが、着用者の腰周りを被包する部分を持たない小型のパッド状に構成されることが一般的である。
【実施例】
【0097】
本発明の吸収性物品について、図面を参照しながら更に具体的に説明する。但し、本発明の吸収性物品は、その発明特定事項を備えた吸収性物品を全て包含するものであり、以下の実施例に限定されるものではない。
【0098】
〔実施例1〕
実施例1の吸収性物品として、パンツ型使い捨ておむつを作製した。具体的な構造は、図1〜図4に示す吸収性物品1の構造とした。この吸収性物品1は、乳児用Lサイズのものであり、図1のように展開した際の前後方向長さを520mm、後身頃6の幅(側縁6a,6b間の長さ)を380mmとした。
【0099】
[1]スキンコンタクトシート:
図2及び図3に示すように、スキンコンタクトシート24は、アッパーシート24a、ライナーシート24bの2層からなる複層シートとした。アッパーシートは、目付け18g/cmのスパンポンド不織布からなるシート、ライナーシートは、目付け19g/cmの親水化処理されたポイントボンド不織布からなるシートにより構成した。
【0100】
図1〜図3に示すように、スキンコンタクトシート24には、アッパーシート24a(115mm幅)の便用開口部28aと尿用開口部28bの間の開口部間領域であって、かつ、幅方向の中央部(105mm幅)に対してリン脂質類似重合体を2g/mとなるようにコーターで塗工した(リン脂質類似重合体付与部70)。
【0101】
なお、リン脂質類似重合体としては、ホスホリルコリン基を有するメタクリル酸エステル系ポリマーを主成分とする繊維加工剤(日本油脂社製「リピジュア(登録商標)」)を用いた。
【0102】
[2]立体ギャザー:
図2及び図3に示すように、立体ギャザー26は、目付け17g/cmのSMS不織布からなる撥水性シート32により構成した。立体ギャザー26の高さ(固定端38から自由端34までの長さ)は45mmとした。また、立体ギャザー26の全長は420mmであり、吸収性物品1の長手方向全域をカバーするように形成されている。
【0103】
立体ギャザー26には、各立体ギャザーの長手方向中央部でかつ自由端側領域に、リン脂質類似重合体をコーターにより付着させた。具体的には、立体ギャザー26の全長420mmのうち、前身頃側端部から長さ50mmの部分及び後身頃側端部から長さ50mmの部分を除いた、長さ320mmの範囲であって、かつ、立体ギャザーの全高45mmのうち自由端34から20mmの範囲に、リン脂質重合体を付着させた(リン脂質類似重合体付与部72)。
【0104】
リン脂質類似重合体は、立体ギャザーを構成する撥水性シートのリン脂質重合体付与部72において0.5g/cmとなるように付着させた。リン脂質類似重合体としては、スキンコンタクトシートの場合と同じ繊維加工剤(日本油脂社製「リピジュア(登録商標)」)を用いた。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明の吸収性物品は、乳幼児用又は介護を必要とする高齢者や障害者等の成人用の使い捨ておむつ、尿パッド等の吸収性物品に利用することができる。特に、スキンケアに配慮した吸収性物品として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の吸収性物品を展開し、トップシート側から見た状態を示す概略平面図である。
【図2】図1に示す吸収性物品のX−X’断面を示す概略断面図である。
【図3】図1に示す吸収性物品のY−Y’断面を示す概略断面図である。
【図4】図1に示す吸収性物品を組み立てて正面側から見た状態を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0107】
1:吸収性物品、2:前身頃、2a,2b:側縁、4:股下部、6:後身頃、6a,6b:側縁、8:接合部、10:ウエスト周り開口部、12,12a,12b:脚周り開口部、14:吸収性本体、16:外装部材、18:トップシート、20:バックシート、22:吸収体、24:スキンコンタクトシート、24a:アッパーシート、24b:ライナーシート、26,26a,26b:立体ギャザー、28:開口部、28a:便用開口部、28b:尿用開口部、30,30a,30b:開口部伸縮材、32:撥水性シート、34:自由端、36:立体ギャザー伸縮材、38:固定端、40:脚周り伸縮材、42:ウエスト周り伸縮材、44:腹周り伸縮材、46:空間、48:尿便分離壁、52:撥水性シート、54:一端、56:他端、62,66:接合部、70,72:リン脂質類似重合体付与部、P:点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収体と、少なくとも一部が液透過性材料からなり、前記吸収体の表面を被覆するように配置されたトップシートと、液不透過性材料からなり、前記吸収体の裏面を被覆するように配置されたバックシートと、前記トップシートの上部に配置され、便を通過させる便用開口部が形成されたスキンコンタクトシートと、を備え、
前記スキンコンタクトシートに、リン脂質極性基を有するリン脂質類似重合体が付与されている吸収性物品。
【請求項2】
撥水性シートからなり、前記吸収体の両側に配置された少なくとも一対の立体ギャザーを更に備え、
前記立体ギャザーに、前記リン脂質類似重合体が付与されている請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記リン脂質類似重合体が、ワックスとの混合物の状態で付与されている請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記スキンコンタクトシートの前記便用開口部の周縁領域に、前記リン脂質類似重合体が付与されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記スキンコンタクトシートに、前記便用開口部に加えて、尿を通過させる尿用開口部が形成されており、
前記スキンコンタクトシートの前記便用開口部と前記尿用開口部との間の開口部間領域に、前記リン脂質類似重合体が付与されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記立体ギャザーの長手方向中央部に、前記リン脂質類似重合体が付与されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記立体ギャザーの自由端側領域に、前記リン脂質類似重合体が付与されている請求項1〜6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記スキンコンタクトシートに、前記便用開口部に加えて、尿を通過させる尿用開口部が形成されており、
撥水性又は液不透過性のシートからなり、前記スキンコンタクトシートと前記トップシートとの間の空間を、前記便用開口部に連通する空間と前記尿用開口部に連通する空間とに仕切る尿便分離壁を更に備えた請求項1〜7のいずれか一項に記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−291283(P2009−291283A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−145493(P2008−145493)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【出願人】(390036799)王子ネピア株式会社 (387)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】