説明

吸収性物品

【課題】液の吸収速度が速く、スポット吸収性に優れ、液戻り量も少ない吸収性物品を提供すること。
【解決手段】本発明の吸収性物品は、高吸水性ポリマー43を含み、該高吸水性ポリマー100重量部に対して、糖アルキルエーテル及び糖脂肪酸エステルからなる群から選択される一又は二種以上の界面活性剤を1.5〜15重量部含有する。前記界面活性剤は、例えば、高吸水性ポリマー43の表面及び/又は内部に存在する。前記界面活性剤は、高吸水性ポリマーに隣接して存在していても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキン等の吸収性物品においては、肌当接面から吸収体に吸収させた経血等が、加圧等により肌当接面に逆戻りして、べたつくことがある。
べたつきを低減する方法としては、肌当接面を形成する表面シートに凹凸を設けて、肌との接触面積を低減したり、表面シートに嵩高な不織布を用いたりすることが行われている。
また、吸収性物品においては、吸収体の吸収性能を向上させるべく、吸収体に用いる高吸水性ポリマーの改良や、高吸水性ポリマーの吸収体内での保持態様や吸収体の立体構造等の改変等に関する研究も行われている。
しかし、吸収性物品に要求される性能は、年々高まっており、従来の方法では、将来における要求に充分に応えられない恐れがある。
【0003】
特許文献1には、水解性を有する基シートの少なくとも肌と接する面に、2点以上の融点ピーク温度を有する混合物質が塗られている水解性シートが記載されており、該混合物質に含まれる成分の一例としてショ糖エステルが記載されている。しかし、特許文献1に記載の発明においては、肌に接触したときのしっとり感を向上させるために、基シートに前記2点以上の融点ピークを有する混合物質を塗っており、特許文献1には、水解性シートを、吸収性物品における肌当接面以外の部位に用いることに関して何ら記載されていない。
【0004】
【特許文献1】特開2005−290618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、液の吸収速度が速く、スポット吸収性に優れ、液戻り量も少ない吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、高吸水性ポリマーを含み、該高吸水性ポリマー100重量部に対して、糖アルキルエーテル及び糖脂肪酸エステルからなる群から選択される一又は二種以上の界面活性剤を1.5〜15重量部含有する吸収性物品を提供することにより前記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の吸収性物品は、液の吸収速度が速く、スポット吸収性に優れ、液戻り量も少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の一実施形態としての生理用ナプキン1(以下、ナプキン1ともいう)は、図1に示すように、肌当接面20を形成する液透過性の表面シート2、液不透過性又は撥水性の防漏シート3、及びこれら両シート2,3間に位置する吸収体4を具備し、該表面シート2と吸収体4との間にセカンドシート(中間層)5を具備する。
吸収体4は、パルプ繊維からなる繊維集合体42及び高吸水性ポリマー43からなる吸収性コア41と、吸収性コア41の肌当接面側を被覆する被覆シート44と、吸収性コア41の非肌当接面側を被覆する被覆シート45とからなる。被覆シート44と被覆シート45とは一枚の連続するシートであっても良いし、別体の2枚のシートであっても良い。
【0009】
ナプキン1は、肌当接面20以外の部位に、糖アルキルエーテル及び糖脂肪酸エステルからなる群から選択される一又は二種以上の界面活性剤を含有するセルロース系親水性繊維を含んでいる。
具体的には、繊維集合体42及び高吸水性ポリマー43からなる吸収性コア41中に、前記界面活性剤を含んでいる。
【0010】
尚、肌当接面20とは、着用時に着用者の肌に当接される面であり、非肌当接面30とは、着用時に着用者の肌とは反対側に向けられる面である。
肌当接面以外の部位とは、肌当接面20を形成しているシート(本実施形態においては表面シート2)の該肌当接面20側の表面を除く趣旨であり、表面シート2が多層構造からなる場合には、表面シート2を構成する層のうち、肌当接面20を形成する最外層以外の層は、肌当接面以外の部位に含まれる。更に、肌当接面20を形成しているシートが単層のシートの場合、該シートの裏面(肌当接面とは反対側の面)は、肌当接面以外の部位に含まれる。
肌当接面20が上記界面活性剤で処理されていると、排泄液が表面シート2の表面上を容易に流れ(横拡散し)、吸収体4の内部に排泄液が入りにくく、モレが発生しやすくなるため好ましくない。
【0011】
本発明で用いる界面活性剤は、糖アルキルエーテル及び/又は糖脂肪酸エステルである。
糖アルキルエーテルは、糖残基及びアルキル基が酸素に単結合した構造を有するものであり、Gを糖残基、R1をアルキル基とすると、一般式G−O−R1で表すことができる。
糖アルキルエーテルとしては、単糖または単糖が2以上縮合した多糖のアルキルエーテルが挙げられる。スポット吸収性の点から、単糖または単糖が2〜30縮合した多糖の炭素数1〜60のアルキルエーテルが好ましく、糖成分が単糖であるアルキルグルコシドがより好ましい。
【0012】
アルキルグルコシドとしては、アルキル基の炭素数が1〜22のものがスポット吸収性および液吸収速度の点で好ましく、より好ましくはアルキル基の炭素数が4〜18、更に好ましくは8〜14のものである。なお、アルキル基は直鎖でも良いし分岐であっても良い。またアルキル鎖長に分布があっても良いが、上記範囲のアルキル鎖長のものが全アルキル基に対して60wt%以上存在しているのが良い。
【0013】
またアルキルグルコシドのエーテル化度は、グルコース1分子中に存在する5つの水酸基が全てアルキルエーテル化された場合をエーテル化度100%とするならば、
エーテル化度が2〜60%の範囲にある単一化合物又は混合物であることが好ましく、液の吸収速度、スポット吸収性の観点から、より好ましくは5〜45%、更に好ましくは15〜35%である。
【0014】
糖脂肪酸エステルとしては、糖と飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸とがエステル結合した非イオン系の界面活性剤であり、単糖または単糖が2以上縮合した多糖の脂肪酸エステルが挙げられる。スポット吸収性の観点から、単糖または単糖が2〜30縮合した多糖の炭素数1〜60の脂肪酸エステルが好ましく、2糖類であるショ糖の脂肪酸エステルがより好ましい。
【0015】
ショ糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸は、一般式RCOOHで表したときのRが、炭素数が1〜30の、アルキル基、アルケニル基、フェニル基又はフェニレン基を有するアルキル基又はアルケニル基であることが、スポット吸収性及び液の吸収速度の点から好ましく、より好ましくは炭素数が4〜22のアルキル基、アルケニル基であり、更に好ましくは炭素数8〜18のアルキル基、アルケニル基である。なおこれらの脂肪酸は直鎖でも分岐であっても良い。またアルキル鎖長とアルケニル鎖長には分布があっても良いが、上記範囲のアルキル鎖長、アルケニル鎖長のものが全アルキル基、アルケニル基に対して60wt%以上存在しているのが良い。
ショ糖脂肪酸エステルのエステル化度(エステル置換度)は、ショ糖1分子中に存在する8個の水酸基が全てエステル化された場合をエステル化度100%とするならば、エステル化度が2〜60%の範囲にある単一化合物または混合物であることが好ましく、より好ましくは液の吸収速度、スポット吸収性の観点から5〜45%、更に好ましくは15〜35%である。
【0016】
界面活性剤として用いるアルキルグルコシド及びショ糖脂肪酸エステルは、HLBが4〜20であることが好ましく、液の吸収速度、スポット吸収性を一層向上させる点から、より好ましくは9〜20、更に好ましくは12〜18である。なお本発明で用いるHLBはW.C.Griffinの式(J.soc.cosm.chemists ,S.249,1954)を用いて算出した値である。
【0017】
本実施形態におけるナプキン1は、上述した通り、吸収体4を構成する吸収性コア41中に、上述した特定の界面活性剤を含有している。
本実施形態において、前記界面活性剤は、高吸水性ポリマーの表面及び/又は内部に存在するか、又は前記高吸水性ポリマーに隣接して存在していることが好ましい。
【0018】
界面活性剤が高吸水性ポリマーの表面及び/又は内部に存在する場合について説明する。この場合、前記界面活性剤は、高吸水性ポリマーの粒子の表面の一部又は全体を覆うように存在していることがより好ましい。
界面活性剤の存在位置は、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)にて、高吸水性ポリマーの断面を分析することにより確認できる。
【0019】
界面活性剤を高吸水性ポリマーの表面及び内部に存在させる好ましい方法としては、例えば、高吸水性ポリマーの粒子に、前記界面活性剤を含む溶液(例えば水希釈液)を散布し、次いで、乾燥する方法が挙げられる。
界面活性剤を高吸水性ポリマーの内部に存在させる好ましい方法としては、上記方法よって得られた表面及び内部に界面活性剤を含有する高級水性ポリマーの表面を洗浄する方法が挙げられる。
界面活性剤を高吸水性ポリマーの表面に存在させる好ましい方法としては、高吸水性ポリマーの粒子に、水を散布し、次いで固体状の界面活性剤と混合して、乾燥する方法が挙げられる。
界面活性剤を高吸水ポリマーの表面及び/又は内部に存在させる方法は、特に制限されない。
【0020】
表面及び/又は内部に界面活性剤を有する高吸水性ポリマーは、繊維集合体中に配されて、繊維集合体と共に吸収性コア41を構成していることが好ましい。
高吸水性ポリマーが、繊維集合体に配されている態様としては、繊維集合体の繊維間に3次元に分布している態様、繊維集合体からなる2枚の層間にサンドイッチされている態様等が挙げられる。
吸収性コア41を構成する繊維集合体は、不織布化されていないウエブからなるものであっても、不織布からなるものであっても良い。また、不織布化されていないウエブと不織布との積層体等であっても良い。
【0021】
界面活性剤が高吸水性ポリマーに隣接して存在する場合について説明する。界面活性剤が高吸水ポリマーに隣接する状態とは、界面活性剤単体あるいは界面活性剤を含有した材が高級水性ポリマー近傍に存在する状態をいい、血液が吸収された際に、界面活性剤が高吸水性ポリマーと略同時か若干早く血液と接触するように存在した状態を言う。界面活性剤が高吸水性ポリマーより若干早く血液と接触するようにするため、界面活性剤単体あるいは界面活性剤を含有した材が吸収体コア41内において、高吸水性ポリマーより肌当接面側に存在すると好ましい。界面活性剤単体あるいは界面活性剤を含有した材が高吸水性ポリマーに接触して存在すると更に好ましい。
【0022】
界面活性剤を高吸水性ポリマーに隣接して存在させる好ましい方法としては、例えば、固体状の界面活性剤と高吸水性ポリマーの粒子を混合し、ついで繊維集合体からなる2枚の層間に散布する方法や界面活性剤を塗工した繊維集合体に高吸水ポリマーを散布する方法が挙げられるが、特に処理方法は制限されない。
【0023】
本実施形態において、高吸水性ポリマーと共に吸収性コア41を構成している繊維集合体の構成繊維としては、従来、吸収体に用いられている各種の繊維を特に制限なく用いることができ、例えば、パルプ等のセルロース系親水性繊維、あるいは合成繊維等を用いることができる。また、繊維集合体は、パルプ等のセルロース系親水性繊維と合成繊維の混合物や、セルロース系親水性繊維からなる繊維層と合成繊維からなる繊維層との積層体等からなるものであっても良い。
セルロース系親水性繊維としては、パルプ繊維、コットン、レーヨン、キュプラ、リオセル、麻等が挙げられる。また、合成繊維としては、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂、ナイロンなどのポリアミド系樹脂などを原料とする繊維等が挙げられる。これら各種原料のうち、2種の樹脂の組み合わせからなる複合繊維(芯鞘型複合繊維やサイド・バイ・サイド型複合繊維)を用いることもできる。
【0024】
本発明において、界面活性剤の使用量は、吸収性物品(本実施形態においては吸収性コア)に含まれる高吸水性ポリマー100重量部に対して、1.5〜15重量部であり、より好ましくは2.0〜13重量部、更に好ましくは3.0〜10重量部である。
これらの範囲は、本発明の効果がより確実に奏されるようにする観点及び対効果との関係で界面活性剤の無駄を減らす観点等から好ましい。ここでいう、界面活性剤の使用量とは、希釈した溶液等の量ではなく、完成した吸収性物品に残る界面活性剤の量である。尚、高吸水性ポリマーの粒子の表面及び/又は内部に界面活性剤が存在する場合、高吸水性ポリマー100重量部というときの高吸水性ポリマーの重量には、界面活性剤の重量が含まれない。
本実施形態のナプキン1のように、高吸水性ポリマーが吸収性コア41に含まれている場合、該吸収性コア41中の高吸水性ポリマー43の含有量(表面及び/又は内部に界面活性剤が存在する高吸水性ポリマーの場合、高吸水性ポリマーの重量に該界面活性剤の量も含める。)は、繊維集合体100重量部に対して5〜300重量%であることが好ましく、より好ましくは15〜200重量%、更に好ましくは20〜120重量%である。
【0025】
本実施形態のナプキン1は、高吸水性ポリマー100重量部に対して、特定の前記界面活性剤を1.5〜15重量部含有するため、吸収速度が速く、スポット吸収性に優れ、液戻り量も少ない。このような効果が得られる理由はまだ完全には解明されていないが、表面シート2上に供給された血液が、高吸水性ポリマーの表面又はその近傍において、界面活性剤と接触し、該血液の粘度及び表面張力が変化することによって、血液が吸収性コアの繊維間により引き込まれやすくなったり、血液が高吸水性ポリマーに吸収されやすい性状に改変されたりしたためと考えられる。
【0026】
本実施形態のナプキン1の各部の形成材料について説明すると、表面シート2及び防漏シート3としては、それぞれ、この種の物品に従来用いられているものを特に制限なく用いることができる。例えば、表面シートとしては、各種製法による不織布、樹脂フィルムに開孔を形成したもの、これらの積層体等を用いることができる。防漏シート3としては、透湿性を有するか又は有さない熱可塑性樹脂のフィルム、撥水性の不織布、又はこれらの積層体等を用いることができる。
被覆シート44、45及びセカンドシート5としては、それぞれ、繊維材料からなるシート、例えば、上述したセルロース系親水性繊維、親水化した合成繊維等の親水性繊維からなる不織布や不織布化されていないウエブ、不織布やウエブの積層体、紙等を用いることができる。被覆シート44は、液透過性であると共に、湿潤強度が高いことが好ましい。
【0027】
高吸水性ポリマー43としては、この種の物品に従来用いられているものを特に制限なく用いることができるが、自重の20倍以上の液体を吸収でき且つゲル化し得るものが好ましく、例えば、デンプンや架橋カルボキシルメチル化セルロース、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩とその他モノマーとの共重合体等、ポリアクリル酸及びそのアルカリ金属塩(部分又は完全中和物)並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体を挙げることができる。特に好ましいのは、ポリアクリル酸アルカリ金属塩(部分又は完全中和物)である。これらの高吸水性ポリマーは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることもできる
【0028】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明の吸収性物品は、上記実施形態に限定されず適宜変更可能である。
例えば、上述したナプキン1は、セカンドシート5及び被覆シート44、45を有するものであったが、これらの一つ又は二以上は省略可能である。
【0029】
また、吸収性コア41中の高吸水性ポリマー43は、繊維集合体42の厚み方向における表面シート側、防漏シート側又は中央部付近等に偏倚して存在していても良い。
本発明における吸収性物品は、生理用ナプキンの他、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド、使い捨ておむつ等であっても良い。
【実施例】
【0030】
〔実施例1〕
高吸水性ポリマー(日本触媒(株)製アクアリック CA−4)を水平な台上に薄く拡げ、その状態の高吸水性ポリマーに対して、花王(株)製の界面活性剤(デシルグルコシド、商品名「マイドール10」)の1%水希釈液を噴霧した。
その後、温度80℃、相対湿度3%の送風定温乾燥機内に一晩放置して乾燥して、表面及び内部に界面活性剤が存在する高吸水性ポリマーを得た。界面活性剤の存在位置は、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)にて、高吸水性ポリマーの断面を分析することにより確認した。
そして、この高吸水性ポリマーを、所定寸法(幅75mm、長さ200mm、厚さ1mm)に調整した坪量100g/m2 の解繊パルプ繊維シート(ウエハウザー製NB416)2枚の層間に、合計解繊パルプ繊維100重量部に対して、60重量部散布し、吸収体コアを得た。この吸収体コアの肌当接面及び非肌当接面を、坪量20g/m2の湿式パルプシート(ウエハウザー製NB416)で被覆することで吸収体を得た。
このようにして得た吸収体と、市販の生理用ナプキン(商品名「ロリエ Superスリムガード しっかり昼用」、花王(株)製)に使用されている、表面シートとセカンドシート、バックシート(防漏シート)を用いて生理用ナプキンを作成した。
得られた生理用ナプキンは、高吸水性ポリマー100重量部に対して、前記界面活性剤を2.0重量部含有するものであった。
尚、高吸水性ポリマー100重量部に対する界面活性剤の含有量は、界面活性剤処理前後の重量変化を測定することにより算出した。
【0031】
〔実施例2〜17〕
実施例1と同様の手法で、表1に示す種類の界面活性剤を表1に示す付着量となるように付着させた。それ以外は、実施例1と同様にして生理用ナプキンを作成した。
【0032】
〔実施例18〕
花王(株)製の界面活性剤(デシルグルコシド、商品名「マイドール10」)をフリーズドライすることで、固体状の界面活性剤を得た。
高吸水性ポリマー(日本触媒(株)製アクアリック CA−4)と上記固形状の界面活性剤を高吸水ポリマー100重量部に対して、2.0重量部混合した。所定寸法(幅75mm、長さ200mm、厚さ1mm)に調整した坪量100g/m2 の解繊パルプ繊維シート(ウエハウザー製NB416)2枚の層間に上記高吸水ポリマーと固形状界面活性剤混合物を、高吸水ポリマー量が合計解繊パルプ繊維100重量部に対して、60重量部になるように散布し、吸収体コアを得た。この吸収体コアを坪量20g/m2の湿式パルプシート(ウエハウザー製NB416)で肌当接面及び非肌当接面を被覆することで吸収体を得た。
このようにして得た吸収体と、市販の生理用ナプキン(商品名「ロリエ Superスリムガード しっかり昼用」、花王(株)製)に使用されている、表面シートとセカンドシート、バックシート(防漏シート)を用いて生理用ナプキンを作成した。
【0033】
〔実施例19〜20〕
実施例18と同様の手法で、表1に示す種類の界面活性剤を表1に示す量となるように混合させた。それ以外は、実施例18と同様にして生理用ナプキンを作成した。
【0034】
〔比較例1〕
実施例1において、マイドール10を噴霧しない以外は同一の操作を行い、生理用ナプキンを得た。
〔比較例2〕
実施例1と同様の手法で、表1に示す種類の界面活性剤を表1に示す付着量となるように付着させた。それ以外は、実施例1と同様にして生理用ナプキンを作成した。
【0035】
〔評価〕
〔吸収速度、スポット吸収性、液戻り量の評価〕
実施例及び比較例の各生理用ナプキンについて、以下に示す方法により、吸収速度、スポット吸収性、及び液戻り量の評価を行った。評価は、吸収速度、液広がり面積及び液戻り量を測定し、各測定値を、後述する評価基準により幾つかの区分に分類して示した。評価結果を表1に示した。
生理用ナプキンを水平に置き、直径1cmの注入口のついたアクリル板と重りを載せて、ナプキンに5.0g/cm2(490Pa)圧力がかかるようにした。次いで、注入口から脱繊維馬血(日本バイオテスト(株)製)6gを約1秒で注入し、脱繊維馬血が全て吸収される時間を測定し、吸収速度を求めた。注入後、3分間その状態を保持した。
次いで、アクリル板と重りを外し、液広がり面積を測定し、スポット吸収性を判断した。液広がり面積の測定は、後述する。
次いで、生理用ナプキンの肌当接面上に、7cm×10cmで坪量30g/m2の吸収紙(市販のティッシュペーパー)を10枚重ねたもの(2枚重ねのティッシュペーパー5組)を載せた。更にその上に圧力が6.6×103Paになるように重りを載せて2分間加圧した。吸収紙を載せて加圧するのは、液注入後、4分以内に行うようにする。加圧後、吸収紙10枚を取り出し、加圧前後の吸収紙の重さを測定して、吸収紙に吸収された血液量を求めた。この値を、生理用ナプキンから戻った血液の液戻り量とした。
【0036】
〔液広がり面積の測定方法〕
光源〔サンライト SL−230K2;LPL(株)社製〕、スタンド〔コピースタンドCS−5;LPL(株)社製〕、レンズ〔24mm/F2.8Dニッコールレンズ〕、CCDカメラ〔(HV−37;日立電子(株)社製)Fマウントによるレンズとの接続〕及びビデオボード〔スペクトラ3200;カノープス(株)社製〕を用いて計測する。計測にあたっては、キャリブレーション操作により表示される大きさと画素との相関を取り、面積を測定可能とする必要がある。
次いで、測定対象の吸収体コアの液広がりの画像を取り込む。取り込まれた画像をNEXUS社製の画像解析ソフトNEW QUBE(ver.4.21)によって液広がり部分を二値化処理する。二値化処理された画像から面積を求めこれを液広がり面積とする。
【0037】
〔液広がり面積の測定方法〕
光源〔サンライト SL−230K2;LPL(株)社製〕、スタンド〔コピースタンドCS−5;LPL(株)社製〕、レンズ〔24mm/F2.8Dニッコールレンズ〕、CCDカメラ〔(HV−37;日立電子(株)社製)Fマウントによるレンズとの接続〕及びビデオボード〔スペクトラ3200;カノープス(株)社製〕を用いて計測する。計測にあたっては、キャリブレーション操作により表示される大きさと画素との相関を取り、面積を測定可能とする必要がある。
次いで、測定対象の吸収体コアの液広がりの画像を取り込む。取り込まれた画像をNEXUS社製の画像解析ソフトNEW QUBE(ver.4.21)によって液広がり部分を二値化処理する。二値化処理された画像から面積を求めこれを拡散面積とする。
【0038】
〔評価基準〕
1.吸収速度
◎:0.2g/秒以上
○:0.17g/秒以上0.2g/秒未満
○△:0.14g/秒以上0.17g/秒未満
△:0.1g/秒以上0.14g/秒未満
×:0.1g/秒未満1.吸収速度
【0039】
2.スポット吸収性
◎:液広がり面積が27cm2 未満
○:液広がり面積が27cm2 以上30cm2 未満
○△:液広がり面積が30cm2 以上32cm2 未満
△:液広がり面積が32cm2 以上35cm2 未満
×:液広がり面積が35cm2 以上
【0040】
3.液戻り量
◎:0.9g未満
○:0.9g以上1.0g未満
○△:1.0g以上1.1g未満
△:1.1g以上1.2g未満
×:1.2g以上
【0041】
【表1】

【0042】
表1から判るように、実施例の生理用ナプキンは、吸収速度、液戻り量及びスポット吸収性が何れも良好である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、本発明の一実施形態である生理用ナプキンの厚み方向の断面を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 生理用ナプキン(吸収性物品)
2 表面シート
3 防漏シート
4 吸収体
41 吸収性コア
42 繊維集合体
43 高吸水性ポリマー
44,45 吸収紙(被覆シート)
5 セカンドシート(中間層)
20 肌当接面
30 非肌当接面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高吸水性ポリマーを含み、該高吸水性ポリマー100重量部に対して、糖アルキルエーテル及び糖脂肪酸エステルからなる群から選択される一又は二種以上の界面活性剤を1.5〜15重量部含有する吸収性物品。
【請求項2】
前記界面活性剤が、前記高吸水性ポリマーの表面及び/又は内部に存在する請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記界面活性剤が、前記高吸水性ポリマーに隣接して存在している請求項1記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記界面活性剤のHLBが9〜20である請求項1記載の吸収性物品。

【図1】
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