説明

吸収性物品

【課題】育児者のみならず着用する幼児も、製品を手にした時点で、製品の前側と後側とを容易に区別することができる吸収性物品を提供すること。
【解決手段】本発明の展開型の使い捨ておむつ1は、表面シート21、裏面シート22、吸収体23を備え、腹側部A、背側部B及び股下部Cに区分されている。裏面シート22の外表面側には、腹側部A側に、キャラクターを正面視した絵柄5が多色で形成され、背側部B側に、キャラクターを背面視した絵柄6が単一の色度の色で形成されている。背側部B側の絵柄6の輪郭は、腹側部A側の絵柄5の輪郭を反転した形状と同形同大である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつ等の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、育児者又は幼児が、製品の前側と後側との区別を容易に認識できるように、製品の前側と後側に印刷を施した使い捨ておむつが種々提案されている。
例えば、特許文献1には、前身頃と後身頃とでデザインの組み合わせを異ならせた吸収性物品が開示されている。特許文献1に記載の吸収性物品によれば、育児者は製品の前側と後側とを容易に区別することができ、知育の発達の進んだ幼児も、製品の前側と後側とを区別することができるかもしれない。
【0003】
しかしながら、特に、幼児期の知育の発達状態は個人差が大きく、特許文献1に記載の吸収性物品では、何れの知育の発達状態の幼児も、製品を手にした時点で、製品の前側と後側とを容易に区別することができない。また、特許文献1には、製品の前側に印刷されるデザイン及び後側に印刷されるデザインに関し、所定の色を付与することについては何ら記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−199791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、液透過性の表面シートと、液難透過性の裏面シートと、これらシート間に配された吸収体とを備え、腹側部、背側部及び股下部に区分された吸収性物品であって、前記裏面シートの外表面側には、前記腹側部側に、キャラクターを正面視した絵柄が多色で形成され、前記背側部側に、キャラクターを背面視した絵柄が単一の色度の色で形成されており、前記背側部側の前記絵柄の輪郭は、前記腹側部側の前記絵柄の輪郭を反転した形状と同形同大である吸収性物品を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の吸収性物品によれば、着用する幼児はもちろんのこと、育児者も、製品を手にした時点で、製品の前側と後側とを容易に区別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の本実施形態であるパンツ型使い捨ておむつを展開して伸長した状態を表面シート側から見た展開平面図である。
【図2】図2は、本発明の本実施形態であるパンツ型使い捨ておむつを腹側部側からみた平面図である。
【図3】図3は、本発明の本実施形態であるパンツ型使い捨ておむつを背側部側からみた平面図である。
【図4】図4(a)は、腹側部側の絵柄の他の例であり、図4(b)は、背側部側の絵柄の他の例である。
【図5】図5(a)は、腹側部側の絵柄の他の例であり、図5(b)は、背側部側の絵柄の他の例である。
【図6】図6(a)は、腹側部側の絵柄の他の例であり、図6(b)は、背側部側の絵柄の他の例である。
【図7】図7(a)は、図1に示す展開型の使い捨ておむつをパッケージに収容してなる包装構造体を正面側からみた斜視図であり、図7(b)は、図1に示す展開型の使い捨ておむつをパッケージに収容してなる包装構造体を背面側からみた斜視図である。
【図8】図8は、図1に示す展開型の使い捨ておむつをパッケージに収容してなる他の形態の包装構造体を正面側からみた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の吸収性物品を、その好ましい実施形態に基づき、図1〜図3を参照しながら説明する。
【0010】
本実施形態の使い捨ておむつ1(以下、「おむつ1」ともいう。)は、液透過性の表面シート21と、液不透過性の裏面シート22と、これらシート21,22間に配された吸収体23とを備え、腹側部A、背側部B及び股下部Cに区分された使い捨ておむつである。
おむつ1は、図1〜図3に示すように、中心線CLに対して左右対称に形成されている。
尚、各図中に示す「Y」方向は、おむつ1の縦方向であり、中心線CLに平行な方向であり、各図中に示す「X」方向は、おむつ1の幅方向であり、中心線CLに垂直な方向である。以下、具体的に、おむつ1について説明する。
【0011】
おむつ1は、図1に示すように、液透過性の表面シート21と、液不透過性(撥水性も含む)の裏面シート22と、両シート21,22間に介在する吸収体23とを有する実質的に縦長の吸収性本体2、及び吸収性本体2の裏面シート22側に配され接着固定された外層体3を備えている。おむつ1は、図1に示すように、その縦方向(Y方向)に、腹側部A、股下部C及び背側部Bに区分されている。おむつ1Aの腹側部Aは、装着時に、装着者の腹側に配される部位であり、背側部Bは、装着者の背側に配される部位であり、股下部Cは、装着者の股間部に配される部位である。
尚、本明細書において、「肌対向面」とは、吸収性本体2などの各部材の表裏両面のうち、装着時に装着者の肌側に配される面であり、「非肌対向面」とは、吸収性本体2などの各部材の表裏両面のうち、装着時に装着者の肌側とは反対側に向けられる面である。
【0012】
おむつ1において、吸収体23は、図1に示すように、縦方向(Y方向)中央部分が内方に括れた砂時計状である。表面シート21及び裏面シート22は、図1に示すように、それぞれ長方形状であり、吸収体23の縦方向(Y方向)の両端縁から延出した部分において互いに接合され、幅方向(X方向)の両端縁から延出した部分においても互いに接合されている。このように接合することにより、縦長の長方形状の吸収性本体2が形成されている。おむつ1は、図1に示すように、吸収性本体2の裏面シート22側に配され固定された外層体3を有している。
【0013】
外層体3は、図1に示すように、吸収性本体2の外方全域に亘って延出しており、縦方向(Y方向)中央部において内方に括れている。おむつ1における外層体3の腹側部Aの両側縁部3a,3aの内面と背側部Bの両側縁部3b,3bの内面同士を互いに重ね合わせ、合掌状に融着して、一対のサイド接合部4,4を形成することにより、図2,図3に示すように、ウエスト開口部WO及び一対のレッグ開口部LO,LOを有するおむつ1が形成される。
【0014】
外層体3は、図1〜図3に示すように、パンツ型使い捨ておむつの最外表面となる外層シート31及び外層シート31の内面側に配されている内層シート32から形成されている。外層体3を構成する外層シート31及び内層シート32の間には、図1〜図3に示すように、腹側部Aの両側縁部3a,3a間及び背側部Bの両側縁部3b,3b間に亘って複数本の弾性部材が配されている。詳述すると、外層体3を構成する外層シート31及び内層シート32の間には、図1〜図3に示すように、弾性部材であるウエスト弾性部材24、胴廻り弾性部材25及びレッグ弾性部材26が配されており、腹側部A及び背側部Bの両側縁部3a,3a,3b,3bそれぞれには、ウエスト弾性領域(ウエストギャザー)、胴回り弾性領域(胴回りギャザー)及び環状の一対のレッグ弾性領域(レッグギャザー)が形成されている。更に詳述すると、ウエスト弾性領域(ウエストギャザー)は、複数本のウエスト弾性部材24を、図1〜図3に示すように、吸収性本体2より長手方向(Y方向)外方に間欠的に配し、且つ外層体3の腹側部Aにおける両側縁部3a,3a及び背側部Bにおける両側縁部3b,3b間に亘ってそれぞれ伸長状態で固着することにより形成されている。胴回り弾性領域(胴回りギャザー)も同様に、複数本の胴廻り弾性部材25を、図1〜図3に示すように、ウエスト弾性部材24と外層体3の括れとの間に長手方向(Y方向)に間欠的に配し、且つ外層体3の腹側部Aにおける両側縁部3a,3a及び背側部Bにおける両側縁部3b,3b間に亘って伸長状態で固着することにより形成されている。
【0015】
レッグ弾性領域(レッグギャザー)は、腹側部Aにおいては、複数本のレッグ弾性部材26を、図1〜図3に示すように、腹側部Aの一方(図1の左側)の側縁部3aから腹側部Aの一方(図1の左側)の括れに沿って固着し、股下部Cを通って、腹側部Aの他方(図1の右側)の括れに沿って腹側部Aの他方(図1の右側)の側縁部3aに至るまで伸長状態で固着し、股下部Cの中央部(中心線CLを含む部位)でカットすることにより形成されている。同様に、レッグ弾性領域(レッグギャザー)は、背側部Bにおいては、複数本のレッグ弾性部材26を、図1〜図3に示すように、背側部Bの一方(図1の左側)の側縁部3bから背側部Bの一方(図1の左側)の括れに沿って固着し、股下部Cを通って、背側部Bの他方(図1の右側)の括れに沿って背側部Bの他方(図1の右側)の側縁部3bに至るまで伸長状態で固着し、股下部Cの中央部でカットすることにより形成されている。
【0016】
おむつ1の裏面シート22の外表面側には、図2に示すように、腹側部A側に、キャラクターを正面視した絵柄5が多色で形成されている。おむつ1においては、裏面シート22は外層体3で覆われているが、裏面シート22の外表面側に形成された絵柄5は、外層体3越しに幼児や幼児の育児者等から視認可能なように形成されている。ここで、「外表面側」とは、裏面シート22の外表面に絵柄5が直接形成されている場合のみならず、例えば、裏面シート22が多層からなる場合には、裏面シート22を構成する層の中の1層の表面に絵柄5が形成されており、おむつ1を見たときに、絵柄5の色が視認可能に形成されている場合も含む意味である。キャラクターは、おむつ1においては、図2に示すウサギをイメージしたものであるが、ウサギ以外の動物であってもよく、図4(a)に示す、例えば、てんとう虫をイメージした昆虫等の生き物であってもよく、図5(a),図6(a)に示す、例えば、童話の登場物、季節を表す登場人物の他、漫画等の登場物であってもよい。
尚、紙おむつを定常的に使用する月齢の子供が認識しやすいという観点からは、キャラクターが動物・昆虫等の生き物であることが、幼児とその幼児の育児者とのコミュニケーションを取る上で好ましい。
【0017】
前記キャラクターを正面視した絵柄5は、おむつ1においては、図2に示すように、腹側部Aから股下部Cに亘って形成されており、幼児が認識し易い観点から、Y方向の大きさが10〜60mmであることが好ましく30〜40mmであることが更に好ましく、X方向の大きさが20〜80mmであることが好ましく、30〜70mmであることが更に好ましい。尚、Y方向又はX方向の大きさとは、最もY方向に長い位置での大きさである。
おむつ1は、図2に示す状態において、Y方向の大きさが150〜270mmであり、X方向の大きさが80〜190mmである。
図2に示す状態のおむつ1の全表面積(S)に対する絵柄5の面積(S1)の比率(S1/S)は、上記観点から、1%〜75%であることが好ましく、30%〜60%であることが更に好ましい。
【0018】
絵柄5は、上述したように、多色で形成されているが、ここで言う「多色」とは、白色以外の有色が2以上用いられていることを意味する。おむつ1においては、図2に示すウサギの絵柄5は、ウサギの輪郭、目の部分、鼻の部分に黒色を用い、ほっぺの部分、耳の内方の部分にピンク色を用いて形成されており、有色を2色用いている。腹側部A側の絵柄5の有色には、JIS Z 8729に規定する「L***表示系」において、L*=−60〜50、a*=−60〜60、及びb*=−60〜60を満たす色を2色以上用いて形成されていることが好ましく、幼児が寝ている場合に、目を覚まさないように、常夜灯下のような暗い所でおむつ換えをしても作業し易いように、L*=40〜60、a*=−60〜−10、及びb*=−60〜−20を満たす色を2色以上用いて形成されていることが更に好ましい。ここで「L***表色系」では、L*は明るさを、a*、b*は色の方向を示しており、a*は略赤方向、−a*は略緑方向、b*は略黄色方向、−b*は略青方向を示している。
【0019】
2以上の有色には、同系の色であっても、色差を変えた色を含んでもよい。例えば、図2に示すウサギの絵柄5においては、ほっぺの部分、耳の内方の部分にピンク色を用いているが、ほっぺの部分に用いるピンク色と、耳の内方の部分に用いるピンク色とで色差を変えた場合には、それぞれを別の有色として考えてもよい。色差は、人が十分に視覚で認識できる色の差であることが好ましく、具体的には、ΔE*abの値が5以上であることが好ましく、10以上であることがさらに好ましい。ここで、ΔE*abは、下記式(1)で求められる。

ΔE*ab=[(ΔL*2+(Δa*2+(Δb*21/2・・・(1)

ここで、ΔL*、Δa*、Δb*は、2色間のL*値、a*値、b*値の差であり、例えば、図2に示すウサギの絵柄5においては、ΔL*は、ほっぺの部分におけるL*値と耳の内方の部分におけるL*値との差であり、Δa*は、ほっぺの部分におけるa*値と耳の内方の部分におけるa*値との差であり、Δb*は、ほっぺの部分におけるb*値と耳の内方の部分におけるb*値との差である。これらの値は、日本電色工業株式会社製の簡易型分光色差計NF333(商品名)を用いて得ることができる。簡易型分光色差計NF333による計測方法においては、ステープラータイプにてφ4mmのND110センサーを取り付けておき、該センサーの先端部にはOリング(小)を用い、光源C/2、視野角2°でそれぞれの試料を計測する。
【0020】
おむつ1の裏面シート22の外表面側には、図3に示すように、背側部B側に、キャラクターを背面視した絵柄6が単一の色度の色で形成されている。おむつ1においては、裏面シート22は外層体3で覆われているが、裏面シート22の外表面側に形成された絵柄6は、外層体3越しに幼児や幼児の育児者等から視認可能なように形成されている。ここで、「単一の色度」とは、色相と彩度とが同じ色を意味し、具体的には、上述した「L***表示系」において、a*及びb*の値が同じ色を意味する。従って、「単一の色度の色」とは、明度のみが異なる色、即ち、「L***表示系」において、L*の値のみが異なる色は、単一の色度の色に含まれる意味である。単一の色度の色には、a*=−60〜60、及びb*=−60〜60を満たす色を用いて形成されていることが好ましく、色味の知育を行うとともに、幼児とその幼児の育児者とのコミュニケーションに役立つ観点から、a*=−60〜−10,10〜−60、及びb*=−60〜−10,10〜−60を満たす色を用いて形成されていることが更に好ましい。
【0021】
また、「単一の色度の色で形成されている」とは、背側部B側の絵柄6の輪郭、及び輪郭の内部が、単一の色度の色で形成されていることを意味する。絵柄6は、おむつ1においては、図3に示すように、背側部Bから股下部Cに亘って形成されている。図3に示す背側部B側の絵柄6は、おむつ1の縦方向(Y方向)において、図2に示す腹側部A側の絵柄5と略同じ位置に配されており、幅方向(X方向)においも、図2に示す腹側部A側の絵柄5と略同じ位置に配されている。
【0022】
背側部B側の絵柄6の輪郭は、腹側部A側の絵柄5の輪郭を反転した形状と同形同大に形成されている。具体的には、おむつ1の背側部B側の絵柄6は、図3に示すように、腹側部A側のウサギをイメージした絵柄5の輪郭をひっくり返した形状に形成されており、図2に示す絵柄5の輪郭をひっくり返した形状と同じ形状で、同じ大きさに形成されている。尚、上述したように、腹側部A側の絵柄5が、図4(a)に示すてんとう虫をイメージしたものである場合には、図4(b)に示すように、背側部B側の絵柄6は、図4(a)に示すてんとう虫の絵柄5の輪郭を反転した形状に形成され、図5(a),図6(a)に示す童話の登場物をイメージしたものである場合には、図5(b),図6(b)に示すように、背側部B側の絵柄6は、図5(a),図6(a)に示す童話の登場物の絵柄の輪郭を反転した形状に形成される。
【0023】
おむつ1の背側部B側の絵柄6は、イラスト性(ベタ塗りよりも立体感が生まれることで柔らかい印象になる)、通気性(インクの塗布された面は一般に透湿度が低下するため、必要なグラデーションにすることで必要以上に低下させない)の観点から、グラデーションを付けて形成されていることが好ましい。尚、グラデーションを付ける場合には、絵柄6の輪郭を明瞭にするために、絵柄6の輪郭にはグラデーションを付けず、及び輪郭の内部にグラデーションを付けることが好ましい。グラデーションを付ける際には、幅方向(X方向)に付けてもよく、縦方向(Y方向)に付けてもよく、斜め方向に付けてもよい。グラデーションは(Y方向)で下方へ行くにつれて濃くなるものが、幼児が目にする絵本などでは、影が足元に描かれていることから、見慣れているため好ましい。
【0024】
グラデーションを形成する各色の幅は、0.5〜20mmであることが好ましい。グラデーションを形成するに際し、の観点から、隣り合う色どうしのΔL*値は、3以上であることが好ましく、5以上であることがさらに好ましい。グラデーションが幅を持たずに、連続的に描かれている場合には、色の濃淡に対して垂直方向に5mmとった時に、ΔL*値が5以上あることが好ましい。
【0025】
おむつ1においては、裏面シート22と吸収体23との間に、色の変化により排尿を知らせるインジケーター7が配されている。インジケーター7は、おむつ1においては、吸収体23の被覆材と裏面シート22との間に配されており、裏面シート22の肌対向面(内表面)上に配されている。インジケーター7の色の変化は、裏面シート22及び外層体3越しに外部から視認可能になっている。おむつ1のインジケーター7は、図1に示すように、幅方向(X方向)においては、幅方向(X方向)中央に配されている。また、おむつ1のインジケーター7は、縦方向(Y方向)においては、腹側部A側の絵柄5から背側部B側の絵柄6に亘って配されている。インジケーター7と絵柄5又は絵柄6とは、接していなくてもよく、インジケーター7は、絵柄5又は絵柄6の近傍まで延びていればよい。インジケーターの変色に対する視認性の良さの観点から、インジケーターの30mm付近に配されていることが好ましい。
【0026】
図7(a),図7(b)には、上述のように形成されたおむつ1をパッケージ8に収容してなる吸収性物品(おむつ)の包装構造体100を示している。包装構造体100は、図7(a),図7(b)中のZ方向に長い直方体形状のものである。図7(a),図7(b)中のZ方向は、複数個の折り畳まれたおむつ1を重ねる方向、言い換えれば、おむつ1の厚み方向と同方向であり、図7(a),図7(b)中のX方向は、折り畳まれたおむつ1の幅方向と同方向であり、図7(a),図7(b)中のY方向は、折り畳まれたおむつ1の縦方向と同方向である。おむつ1を収容するパッケージ8は、可撓性を有するシートから形成されたものである。
【0027】
包装構造体100は、図7(a),図7(b)に示すように、X方向に対向する一対の対向面(天面),(底面)と、Z方向に対向する一対の対向面(側面),(側面)と、Y方向に対向する一対の対向面(正面),(背面)とからなる六面体に形成されている。本実施形態の包装構造体100は、Z方向に対向する一対の対向面(側面),(側面)同士の間に、折り畳まれたおむつ1を複数個、X方向に2段重ねにして、一体的に圧縮した状態で収容して形成されている。収容される複数個のおむつ1は、各おむつ1の腹側部A側の絵柄5が同じ方向に向くように重ね合わされている。
【0028】
包装構造体100の正面には、キャラクターを正面視した絵柄5が多色で形成され、包装構造体100の背面には、キャラクターを背面視した絵柄6が単一の色度の色で形成されている。ここで、「正面」とは、店頭で並ぶ際に、顧客に対向するように向けられる面であり、商品名が一番大きく印刷される面を意味する。具体的には、本実施形態においては、図7(a)に示すように、包装構造体100の正面には、ウサギをイメージした絵柄5が形成されたおむつ1の、腹側部A側から見た状態をそのまま多色で印刷している。尚、本実施形態においては、図7(a)に示すように、腹側部A側から見たおむつ1をそのまま印刷しているが、おむつ1の腹側部A側の絵柄5と同じウサギをイメージした絵柄5のみを、おむつ1の腹側部A側の絵柄5と同じ色で形成していてもよい。何れの場合にも、絵柄5を共通に使用することにより、包装構造体100の正面とおむつ1の腹側部Aに一貫性を持たせることができる。
【0029】
また、本実施形態においては、図7(b)に示すように、包装構造体100の背面には、ウサギをイメージした絵柄6が形成されたおむつ1の、背側部B側から見た状態をそのまま単一の色度の色で印刷している。尚、本実施形態においては、図7(b)に示すように、背側部B側から見たおむつ1を印刷しているが、おむつ1の背側部B側の絵柄6と同じウサギをイメージした絵柄6のみを、おむつ1の腹側部B側の絵柄6と同じ単一の色度の色で形成していてもよい。何れの場合にも、絵柄6を共通に使用することにより、包装構造体100の背面とおむつ1の背側部Bに一貫性を持たせることができる。
【0030】
本実施形態のおむつ1の形成材料について説明する。
裏面シート22としては、それぞれ、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができ、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルム、該樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。尚、インジケーター7が外側から透けて見えるように、30〜80%の光透過率を有していることが好ましく、40〜80%の光透過率を有していることが更に好ましい。光透過率は、反射・透過率計(日本電色工業(株)製、商品名「NDH−5000」)で測定される。測定には、A光源を用い、全光線透過率Ttの値を測定する。サンプル上の任意の点を10点測定し、その平均値をもって光透過率の値とする。
同様な観点から、外層シート3は、裏面シート22の外表面側に形成した絵柄5及び絵柄6が外側から透けてみえるように、外層シート3の光透過率が30%以上であることが好ましく、40%以上であることが更に好ましい。
【0031】
裏面シート22へ絵柄5を多色で形成したり、絵柄6を単一の色度の色で形成したりするには、フレキソ印刷、グラビア印刷などの各種印刷方法を用いる。包装構造体100の正面の多色の絵柄5、及び背面の単一の色度の色の絵柄6についても、同じ方法により形成できる。
【0032】
インジケーター7としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、裏面シート22とは別のフィルム若しくは不織布等のシート材、又は裏面シート22の内表面に直接、排泄物と接触することにより発色、変色又は消色する色材を塗布したものを用いることができる。例えば、色材としては、pH指示薬と酸化化合物の混合物等を用いることができる。
【0033】
表面シート21及び吸収体23としては、それぞれ、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート21としては、親水性且つ液透過性の不織布等を用いることができ、吸収体23としては、吸収性ポリマーの粒子及び繊維材料から構成され、ティッシュペーパ(図示せず)によって被覆されているものを用いることができる。
【0034】
外層体3を構成する外層シート31と内層シート32としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、外層シート31及び内層シート32としては、撥水性の不織布を用いることができる。
【0035】
弾性部材であるウエスト弾性部材24、胴廻り弾性部材25及びレッグ弾性部材26としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、ウエスト弾性部材24、胴廻り弾性部材25及びレッグ弾性部材26としては、天然ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン−ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン等のポリエチレン−αオレフィン共重合体等からなる糸状の伸縮性材料を用いることができる。
【0036】
表面シート21、裏面シート23、外層シート31及び内層シート32等の固定には、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられる接着剤やヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等の融着手段が用いられる。
【0037】
次に上述した本発明の実施形態のおむつ1を使用した際の作用効果について説明する。
おむつ1は、図2,図3に示すように、腹側部A側に、キャラクターを正面視した絵柄5が多色で形成され、背側部B側に、キャラクターを背面視した絵柄が単一の色度の色で形成されている。このように、腹側部A側の絵柄5が多色で、背側部B側の絵柄6が単一の色度の色で形成されているので、着用する幼児はもちろんのこと育児者も、製品を手にした時点で、おむつ1の腹側部Aと背側部Bとの違いを認識することができる。また、腹側部A側の絵柄5がキャラクターを正面視した絵柄であり、背側部B側の絵柄6がキャラクターを背面視した絵柄であり、背側部B側の絵柄6の輪郭は、腹側部A側の絵柄5の輪郭を反転した形状と同形同大であるので、着用する幼児はもちろんのこと育児者も、製品を手にした時点で、おむつ1の腹側部Aと背側部Bとの違いが、おむつ1の前側及び後側であることを容易に区別することができる。特に、着用する幼児が、成長段階として“自分でおむつを履けるようになった段階”の幼児である場合に、おむつ1の前側及び後側であることを容易に区別することができる。
【0038】
また、おむつ1は、図2,図3に示すように、インジケーター7が腹側部A側の絵柄5から背側部B側の絵柄6に亘って配されている。その為、排尿によりインジケーター7の色が変化すると、絵柄5、絵柄6の色と比較でき、色の変化が分かり易く、育児者がおむつ1の交換時期を誤り難い。
【0039】
また、おむつ1をパッケージ8に収容してなる包装構造体100は、図7(a),図7(b)に示すように、正面におむつ1の腹側部A側の絵柄5と同じ絵柄5が多色で形成され、背面におむつ1の背側部B側の絵柄6と同じ絵柄6が単一の色度の色で形成されているので、包装構造体100の正面及び背面の区別も、育児者のみならず着用する幼児が包装構造体100を手にした時点で、判断することができる。
特に、本実施形態の包装構造体100は、絵柄5及び絵柄6のみならず、図7(a),図7(b)に示すように、正面に、腹側部A側から見たおむつ1を印刷して、背面に、背側部Bから見たおむつ1を印刷していることで、製品(中身)とパッケージ(包装材)に一貫性を持たせることができる。
【0040】
また、図8に示すように、パッケージ8に、サイド接合部4側から見たおむつ1を印刷し、おむつ1の腹側部A及び背側部Bが1つの製品描写上に描かれた絵がある形態でも、パッケージ(包装材)と製品(中身)の一貫性を持たせる点で好ましい。
【0041】
本発明の吸収性物品は、上述の実施形態のパンツ型の使い捨ておむつに何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、本発明の吸収性物品は、パンツ型の使い捨ておむつ以外にも、例えば、展開型の使い捨ておむつ等に好適に用いることができる。
【0042】
また、吸収性物品は、幼児又は成人用の使い捨ておむつであってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 展開型の使い捨ておむつ
2 吸収性本体
21 表面シート
22 裏面シート
23 吸収体
24 ウエスト弾性部材
25 胴廻り弾性部材
26 レッグ弾性部材
3 外層体
3a,3b 側縁部
4 サイド接合部
5 キャラクターを正面視した絵柄
6 キャラクターを背面視した絵柄
7 インジケーター
8 パッケージ
100 包装構造体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性の表面シートと、液難透過性の裏面シートと、これらシート間に配された吸収体とを備え、腹側部、背側部及び股下部に区分された吸収性物品であって、
前記裏面シートの外表面側には、前記腹側部側に、キャラクターを正面視した絵柄が多色で形成され、前記背側部側に、キャラクターを背面視した絵柄が単一の色度の色で形成されており、
前記背側部側の前記絵柄の輪郭は、前記腹側部側の前記絵柄の輪郭を反転した形状と同形同大である吸収性物品。
【請求項2】
前記腹側部側の前記絵柄は、JIS Z 8729に規定するL***表示系において、L*=40〜60、a*=−60〜−10、及びb*=−60〜−20を満たす色を2色以上用いて形成されている請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記背側部側の前記絵柄は、グラデーションを付けて形成されている請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記裏面シートと前記吸収体との間に、色の変化により排尿を知らせるインジケーターが配されており、該インジケーターは、前記腹側部側の前記絵柄から前記背側部側の前記絵柄に亘って配されている請求項1〜3の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
請求項1〜3の何れか1項に記載の吸収性物品をパッケージに収容してなる吸収性物品の包装構造体であって、
前記包装構造体の正面に前記キャラクターを正面視した前記絵柄が多色で形成され、前記包装構造体の背面に前記キャラクターを背面視した前記絵柄が単一の色度の色で形成されている包装構造体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−105804(P2012−105804A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256613(P2010−256613)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】