説明

吸収性物品

【課題】黒ずみ易い着用者の股の付け根部分等に対する美白効果を奏する。
【解決手段】本発明に係る吸収性物品1は、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される吸収体とを有し、表面シートの肌当接面側で、かつ、吸収性物品1の長手方向Lに沿った両側縁部10に、親水性樹脂とリン酸エステル型ビタミンCとの混合物が塗布されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、表面シートと裏面シートとの間に配置される吸収体とを有する吸収性物品であって、着用者の肌を保護するために、表面シートの肌当接面側に、疎水性(すなわち、親油性)のエステル化ビタミンCが塗布されている吸収性物品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】CN101507827A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の吸収性物品によれば、上述のように着用者の肌を保護するという効果を奏することができるが、黒ずみ易い着用者の股の付け根部分等に対する美白効果を奏することができない。
【0005】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、黒ずみ易い着用者の股の付け根部分等に対する美白効果を奏することができる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴は、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される吸収体とを有する吸収性物品であって、前記表面シートの肌当接面側で、かつ、前記吸収性物品の長手方向に沿った両側縁部に、親水性樹脂と親水性のビタミンC誘導体との混合物が塗布されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように、本発明によれば、黒ずみ易い着用者の股の付け根部分等に対する美白効果を奏することができる吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図である。
【図2】本発明の変更例1に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本発明の第1の実施形態)
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品1について説明する。例えば、本実施形態に係る吸収性物品1は、パンティライナーや失禁パッドや生理用ナプキン等である。
【0010】
本実施形態に係る吸収性物品1は、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、表面シートと裏面シートとの間に配置される吸収体とを有する。なお、本実施形態に係る吸収性物品1において、表面シートと吸収体との間に、セカンドシートが配置されていてもよい。
【0011】
図1に、本発明の第1の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図を示す。
【0012】
吸収体は、粉砕パルプ及び高分子吸収ポリマーと両者を包み込むコアラップとによって構成されている。ここで、高分子ポリマーは、ポリアクリル酸をナトリウムで部分中和した架橋体の粒状のポリマーである。
【0013】
また、コアラップは、液体を吸収する任意の材料のシートである。例えば、コアラップとして、ティッシュを用いてもよいし、親水性繊維や粉砕パルプをエアレイド法によってシート状にしたエアレイドシートを用いてもよい。
【0014】
また、本実施形態に係る吸収性物品1には、図1に示すように、複数の圧搾溝21、22、23が設けられていてもよい。ここで、圧搾溝及21、22、23は、表面シートから吸収体までを圧搾するように構成されている。
【0015】
また、本実施形態に係る吸収性物品1は、図1に示すように、吸収性物品1の幅方向Wの両外側に延出するように形成されている1対のウィング部41を有していてもよい。さらに、本実施形態に係る吸収性物品1は、吸収性物品1の長手方向Lにおいて、ウィング部41の後方に、1対のヒップフラップ部42を有していてもよい。
【0016】
ここで、ウィング部41及びヒップフラップ部42では、裏面シートの衣服当接面側に、吸収性物品1を下着に固定するための粘着剤が塗布されている。
【0017】
着用者は、吸収性物品1を下着に着用する際に、ウィング部41を下着のクロッチに巻き込み、ヒップフラップ部42を下着の上に広げて、吸収性物品1を下着に固定する。
【0018】
また、本実施形態に係る吸収性物品1は、図1に示すように、表面シートの肌当接面側で、かつ、吸収性物品1の長手方向Lに沿った両側縁部10に、親水性樹脂と親水性のビタミンC誘導体との混合物が塗布されている。
【0019】
ビタミンC誘導体は、皮膚への浸透性・吸収性を高めるために、ビタミンCをリン酸エステル化したもののことをいい、美白効果や肌の老化防止の効果があり、凹凸になったニキビ跡の解消等にも効果があるとされている。
【0020】
ビタミンC誘導体は、ビタミンCと比べて安定しており、さらに酸化されにくいという性質を持っている。また、ビタミンC誘導体は、皮膚内で、人間が持っている酵素(ホスファターゼ)の力により、ビタミンCへと変化し、その効果を発揮するとされている。
【0021】
ビタミンCには、メラニンの生成を阻害して色素の沈着を抑制する効果(シミの改善)や、生成したメラニンを還元する(褐色化したメラニンを淡色化する)効果、及び、コラーゲンを生成する働きがある。
【0022】
しかし、ビタミンCは、食品等を通じて口から摂取された場合、体の各部で消費されていくため、皮膚や肌の健康のために、その生理作用を発揮する肝心の量としては僅かなものになってしまうという問題点があった。
【0023】
そのため、近年、ビタミンC誘導体を数%含有させた化粧品等のように、直接肌から吸収させ、しかも皮膚の真皮層に近いところで長時間ビタミンCの効果を発揮するような様々な商品が開発されている。
【0024】
なお、ビタミンC誘導体には、親油性のビタミンC誘導体である「テトラヘキシルデカン酸アスコルビル(VCIP)新型ビタミンC誘導体」や、親水性のビタミンC誘導体である「リン酸エステル型ビタミンC」や、親油性及び親水性の両方の性質を持っているビタミンC誘導体である「パルミチン酸アスコルビルリン酸3ナトリウム(APPS、アプレシエ)次世代型ビタミンC誘導体」が含まれる。
【0025】
ここで、リン酸エステル型ビタミンCは、「リン酸型ビタミンC(VCP/AP:ascorbic acid phosphate)」とも呼ばれている。リン酸エステル型ビタミンCには、「リン酸アスコルビルマグネシウム(VC−PMG,APM)」や「リン酸アスコルビル3ナトリウム(AP-100)」等が含まれる。
【0026】
このような親水性のビタミンC誘導体と親水性樹脂との混合物が、吸収性物品1の表面シートの肌当接面側で、かつ、吸収性物品1の長手方向Lに沿った両側縁部10に塗布されている。なお、混合物は、少なくとも親水性樹脂と親水性のビタミンC誘導体とを含むものであればよく、その他の成分を含んで構成されていてもよい。
【0027】
例えば、ビタミンC誘導体は、液状の親水性樹脂に分散された状態で表面シート11の肌当接面側に塗布されている。常温で液状の親水性樹脂としては、例えば、分子量1500以下のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、1−3ブタンジオール等が挙げられる。このように、常温で液状の親水性樹脂には、ビタミンC誘導体を直接分散させることができる。
【0028】
また、ビタミンC誘導体は、親水性樹脂の水溶液に分散された状態で表面シート11の肌当接面側に塗布されていてもよい。例えば、分子量1500以上のポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の親水性樹脂の水溶液にビタミンC誘導体が分散したものが、表面シート11の肌当接面側に塗布されている場合においては、塗布後に水分が蒸発して、固相となった親水性樹脂に分散したビタミンC誘導体が付着している。
【0029】
本実施形態に係る吸収性物品1は、表面シートの肌当接面側で、かつ、吸収性物品1の長手方向Lに沿った両側縁部10に、親水性樹脂と親水性のビタミンC誘導体との混合物が塗布されている。両端縁部10は、着用者の股の付け根部分等に接触するため、装着時に着用者の汗又は体液により、水溶性成分である親水性樹脂とともにビタミンC誘導体が溶解する。よって、着用者の肌にビタミンC誘導体が付着し、着用者に対する美白効果を奏することができる。
【0030】
また、一般的に、親水性のビタミンC誘導体は、親油性のビタミンC誘導体と比べて、皮膚への浸透速度が速いとされている。したがって、親水性のビタミンC誘導体によって、即効性のある美白効果を奏することができる。
【0031】
(変更例1)
以下、図2を参照して、本発明の変更例1に係る吸収性物品1について、上述の第1の実施形態に係る吸収性物品1との相違点に着目して説明する。
【0032】
図2に示すように、本変更例1に係る吸収性物品1では、吸収性物品1の長手方向Lに沿った両側縁部10に防漏壁3が設けられている。
【0033】
本変更例1に係る吸収性物品1では、親水性樹脂と親水性のビタミンC誘導体との混合物は、前記両側縁部に設けられている防漏壁3に塗布されている。
【0034】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0035】
1…吸収性物品
10…両側縁部
21、22、23…圧搾溝
3…防漏壁
41…ウィング部
42…ヒップフラップ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される吸収体とを有する吸収性物品であって、
前記表面シートの肌当接面側で、かつ、前記吸収性物品の長手方向に沿った両側縁部に、親水性樹脂と親水性のビタミンC誘導体との混合物が塗布されていることを特徴とする吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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