説明

吸収性物品

【課題】装着時におけるフラップ部の皺やよれを抑制し、かつ着用者の身体に沿って配置して装着感の悪化を抑制できる吸収性物品を提供する。
【解決手段】 吸収性物品1は、吸収体30を有する本体部2と、本体部よりも幅方向外側に突出し、着用者の下着の非肌当接面側に折り返されるウイング部43と、ウイング部よりも後方において、本体部よりも幅方向外側に突出するフラップ部60と、を備え、フラップ部は、幅方向の長さが前後の領域の幅方向長さよりも短く形成された第1括れ部61と、第1括れ部61よりも前側に位置して幅方向外側に突出する第1フラップ部63と、第1括れ部61よりも後側に位置し、第1括れ部よりも幅方向外側に突出する第2フラップ部64と、を備えており、フラップ部には、厚み方向において凹む凹み部70が形成されており、凹み部は、後方に向かうにつれて幅方向内側から幅方向外側に延びる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキン等の吸収性物品に関し、特に吸収性物品の後部において吸収体よりも幅方向外側に延出するフラップ部のよれや皺を抑制できる吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吸収性物品の後部において吸収体よりも幅方向外側に延出する後部フラップを有し、この後部フラップにエンボス加工によって凹凸部を形成した吸収性物品としての生理用ナプキンが記載されている。特許文献1の生理用ナプキンの後部フラップは、エンボス加工によって剛性が高められている。後部フラップの剛性を高めることにより、装着時の後部フラップのよれや皺を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−339765号公報(図1、段落0016等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の生理用ナプキンは、以下の問題点があった。
特許文献1に記載の生理用ナプキンは、後部フラップの剛性が比較的高いため、身体の丸みに沿って後部フラップが適切に配置されないおそれがある。よって、生理用ナプキンが身体にフィットせず、体液の漏れが発生し、装着感が悪化するおそれがある。また、後部フラップ部が硬いため、例えば、皺や折り目が形成された場合に硬い皺や折り目が着用者に当たって、装着感が悪化するそれがある。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、装着時におけるフラップ部の皺やよれを抑制し、かつ着用者の身体に沿って配置して装着感の悪化を抑制できる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明に係る吸収性物品は、前後方向(長手方向L)と、前記前後方向に直交する幅方向(幅方向W)とを有する吸収性物品において、吸収体(吸収体30)を有する本体部(本体部2)と、前記本体部よりも幅方向外側に突出し、着用者の下着の非肌当接面側に折り返されるウイング部(ウイング部43)と、前記ウイング部よりも後方において、前記本体部よりも幅方向外側に突出するフラップ部(フラップ部60)と、を備え、前記フラップ部は、前記フラップ部の幅方向の長さが、その前後の領域の幅方向長さよりも短く形成された括れ部(第1括れ部61)と、前記括れ部よりも前側に位置し、前記括れ部よりも幅方向外側に突出する第1フラップ部(第1フラップ部63)と、前記括れ部よりも後側に位置し、前記括れ部よりも幅方向外側に突出する第2フラップ部(第2フラップ部64)と、を備えており、前記フラップ部には、前記フラップ部の厚み方向において凹む凹み部(凹み部70)が形成されており、前記凹み部は、後方に向かうにつれて幅方向内側から幅方向外側に延びることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
ウイング部は、着用者が脚を閉じた際等に幅方向外側から内側に向かって力が掛かる部分である。フラップ部は、ウイング部よりも後方に配置されており、幅方向外側から幅方向内側に向かって力がかかった際に、ウイング部が位置する前方から後方に向かって力がかかる。このとき、フラップ部は、括れ部を基点に変形することにより、前方からの力を吸収することができる。
【0008】
ウイング部側からフラップ部に掛かる力は、括れ部によって吸収されるため、括れ部よりも後方に伝播する力を低減することができる。よって、ウイング部側からの力がフラップ部全体に伝播することを抑制し、フラップ部全体に皺やよれが発生することを防止できる。
【0009】
また、後方に向かうにつれて幅方向内側から幅方向外側に延びるように凹み部を形成することにより、凹み部が力の掛かる方向に沿うため、凹み部が折り起点となり、フラップ部が自然と折り畳まれる。よって、フラップ部が身体に対しても、下着に対しても無理なく適合し易くなる。したがって、フラップ部に無秩序な皺が発生し難くなり、違和感のない変形ができ、すっきりした装着感が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図である。
【図2】図1に示す吸収性物品の背面図である。
【図3】図1に示すA−A’断面の模式断面図である。
【図4】図1に示す吸収性物品を下着に装着した状態の模式図である。
【図5】図4に示すB−B’断面の模式断面図である。
【図6】第2の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図である。
【図7】第3の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
図1から図3を参照して、第1の実施形態に係る吸収性物品1について説明する。図1は、吸収性物品の平面図であり、図2は、吸収性物品の背面図である。図3は、図1に示すA−A’断面図である。本実施形態に係る吸収性物品1は、例えば、生理用ナプキンである。
【0012】
吸収性物品1は、着用者の肌に当接する表面シート10と、液体を透過しない液不透過性の裏面シート20と、吸収体30とを有する。吸収体30は、表面シート10と裏面シート20との間に配設される。従って、吸収体30は、図1及び図2において破線で示される。吸収体30は、吸収性物品1の前後方向に沿った長手方向L及び幅方向Wにおける中央部分に配設される。
【0013】
吸収性物品1は、吸収体30を有する本体部2と、本体部2よりも幅方向外側に配置されるウイング部43と、ウイング部43の後方において本体部2よりも幅方向外側に配置されるフラップ部60と、を備える。ウイング部43は、着用者の下着の非肌当接面側に折り返されるように構成されている。
【0014】
図1に、長手方向におけるウイング部の領域RAと、長手方向におけるフラップ部の領域RBとを図示して示す。本実施の形態におけるフラップ部は、本体部2よりも幅方向外側に延出した領域であって、ウイング部の後側端部から後方に延びている。フラップ部60の前側端部となるウイング部の後側端部は、ウイング部43とフラップ部60との間において最も幅方向内側に位置する部分である。フラップ部60の後側端部は、吸収性物品の後側端部近傍において前後の領域よりも内側に括れた部分である。本実施の形態におけるフラップ部の後側端部は、後述する第1凹み部71の後側端部と一致する。なお、フラップ部60の後側端部は、吸収性物品の後側端部と一致していてもよいし、吸収性物品の後側端部と一致していなくてもよい。
【0015】
更に、吸収性物品1は、幅方向Wにおいて吸収体30の外側に設けられるサイドシート41を備える。本体部2は、平面視にて吸収体30が配置された領域であり、表面シート10、裏面シート20及び吸収体30が積層された領域である。
【0016】
表面シート10は、体液等の液体を透過する液透過性のシートである。表面シート10は、少なくとも吸収体30の表面を覆う。表面シート10は、不織布、織布、有孔プラスチックシート、メッシュシート等、液体を透過する構造のシート状の材料であれば、特に限定されない。織布や不織布の素材としては、天然繊維、化学繊維のいずれも使用できる。
【0017】
裏面シート20は、表面シート10の長さと略同一の長さを有する。裏面シート20は、ポリエチレンシート、ポリプロピレン等を主体としたラミネート不織布、通気性の樹脂フィルム、スパンボンド、又はスパンレース等の不織布に通気性の樹脂フィルムが接合されたシートなどを用いることができる。裏面シート20は、着用時の違和感を生じさせない程度の柔軟性を有する材料とすることが好ましい。裏面シート20は、不透液性且つ透湿性であることが望ましく、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂に無機充填剤を溶融混練したものを延伸処理した微多孔性シートによって構成することができる。
【0018】
吸収体30は、親水性繊維、パルプを含む。吸収体30は、経血などの体液を吸収可能な材料によって形成される。吸収体30は、親水性繊維又は粉体をエアレイド法によって積層して形成されてもよいし、親水性繊維又は粉体をエアレイド法によってシート状に成形したエアレイドシートでもよいし、ティッシュ(例えば、目付15g/m)上に高吸収ポリマーを混入した粉砕パルプを配置し、ティッシュで包むことによって形成されていてもよい。
【0019】
本実施の形態に係る吸収体30は、綿状パルプや合成パルプ等を坪量100〜300g/m程度に積層したパルプを保護紙(図示せず)で包むことによって構成されている。なお、吸収体30は、全面ほぼ均一な厚みであってもよいし、非均一な厚みであってもよい。保護紙は、パルプの形状を保持するためのものであり、例えばクレープ紙やティッシュペーパーなどを用いることができる。
【0020】
吸収体30は、前後方向に延びる形状であり、裏面シート20よりも略一回り程度小さい。吸収体30の幅方向Wの長さは、成人女性の股間隔に対応しており、概ね50〜80mmである。吸収体30は、ホットメルトなどの接着剤によって裏面シート20に接着される。また、本実施の形態では、吸収体30と表面シート10とは、ホットメルト接着剤によって接着されている。
【0021】
吸収体30は、少なくとも着用者の排泄口が当接する排泄口当接領域の中心を含むように設けられる。排泄口当接領域の中心とは、着用者の排泄口が当接する中央領域の長手方向及び幅方向の中心と一致する。例えば、ウイング部を有する吸収性物品においては、ウイング部の長手方向の中心が、中央領域の長手方向の中心となる。また、ウイング部を有しない吸収性物品においては、吸収体の幅方向の長さ寸法が最も短い位置が、中央領域の長手方向の中心となる。なお、排泄口当接領域は、着用者の股間部と当接する領域に含まれており、着用者の両脚の間に位置する。
【0022】
サイドシート41は、表面シート10の両側に配設される。サイドシート41は、表面シートと同様に、吸収体30よりも肌当接面側に配置されており、本発明における表面シートの一部を構成する。サイドシート41は、表面シート10と同様の材料から選ぶことができる。但し、サイドシート41を乗り越えて吸収性物品1外方へ経血が流れることを防止するためには、疎水性又は撥水性を有することが好ましい。サイドシート41は、吸収体30の側縁の一部及びウイング部43及びフラップ部60を覆う。
【0023】
本実施の形態に係るサイドシート41は、エアースルー不織布によって構成されている。エアースルー不織布は、柔らかく肌触りがよい。身体に沿ってフラップ部を配置した際に、フラップ部の質感を向上させることにより、装着感をより向上させることができる。
【0024】
また、ウイング部43及びフラップ部60において、サイドシート41と裏面シート20との間には、中間シート35が設けられている。中間シート35は、エアースルー不織布によって構成されている。エアースルー不織布は、不織布に熱風を吹き付け、吹き付けた熱風が貫通することによって嵩が回復されるため、柔らかく肌触りがよい。身体に沿ってフラップ部を配置した際に、装着感をより向上させることができる。
【0025】
中間シート35を設けることにより、中間シートが配置されている領域と中間シートが配置されていない領域との境界で厚み差や剛性差が形成される。例えば、フラップ部60が中間シートの端部を基点に変形し易くなる。
【0026】
中間シート35は、少なくともサイドシート41と接着剤を介して間欠的に接合されている。本実施の形態に係る中間シートは、スパイラル状に配置されたホットメルト接着剤を介して表面シート10及び裏面シート20に接着されている。中間シート35と表面シート10等とを間欠的に接合することにより、表面シートに対して部分的に中間シート35を相対移動でき、柔らかい質感を維持することができる。
【0027】
吸収性物品1では、表面シート10、サイドシート41及び裏面シート20の周縁が接合されて、吸収体30が内封される。表面シート10と裏面シート20との接合方法としては、ヒートエンボス加工、超音波、又はホットメルト接着剤のいずれか一つ、又は複数を組み合わせることが可能である。
【0028】
裏面シート20において、下着と接触する表面には、複数の領域において接着剤が塗布された接着部が設けられている(図2参照)。接着部は、本体部の裏面側に設けられ、下着のクロッチ部に吸収性物品1を固定するための中央接着部51と、ウイング部43の裏面側に設けられ、クロッチ部を巻き込んでウイング部43を固定するためのウイング接着部52と、フラップ部60の裏面側に設けられ、下着の後身頃に対してフラップ部を開いた状態で固定するためのフラップ接着部53と、を有する。
【0029】
使用前の状態では、接着剤は、図示しない剥離シートに接している。剥離シートは、使用前に接着剤が劣化するのを防止している。そして、使用時に着用者によって剥離シートが剥離される。
【0030】
なお、剥離シートを有しない吸収性物品においては、吸収性物品を個別に包装する包装シートによって使用前に接着剤が劣化するのを防止するように構成されていてもよい。接着剤と包装シートが接する場合には、包装シートの表面には、接着剤の接着力を低下させることなく接着剤を剥離可能にする処理を施すことが望ましい。
【0031】
吸収性物品1には、表面シート10及び吸収体30を厚み方向に圧縮した圧搾部80が形成されている。なお、圧搾部は、少なくとも表面シート10及び吸収体30を厚み方向Tに圧搾されて形成されていればよく、種々の構成を採用することができる。例えば、プレス加工やエンボス加工によって形成することができ、その形状は、格子網やハニカム形状であってもよい。
【0032】
フラップ部60は、幅方向の長さが、その前後の領域の幅方向長さよりも短く形成された複数の括れ部が形成されている。括れ部は、前側に位置する第1括れ部61と、後側に位置する第2括れ部62と、を有する。
【0033】
フラップ部60は、第1括れ部61よりも前側に位置する第1フラップ部63と、第1括れ部61よりも後方であって、第2括れ部62よりも前方に位置する第2フラップ部64と、第2括れ部62よりも後方に位置する第3フラップ部65と、を有する。
【0034】
第1フラップ部63は、ウイング部43の幅方向における内側端部のうち、後方に位置する後内側端部43RIから第1括れ部61までの領域であり、後内側端部43RIから後方に向かうにつれて幅方向外側に延びる。第1フラップ部63において最も幅方向外側に位置する第1最大幅位置(外側端部)63WMは、第1括れ部61よりも幅方向外側に位置する。第1最大幅位置63WMは、第1フラップ部63の前後方向における中心よりも後方に位置する。
【0035】
第2フラップ部64は、第1フラップ部63の後端部となる第1括れ部61から第2括れ部62までの領域であり、第1括れ部61から後方に向かうにつれて幅方向外側に延びる。第2フラップ部64において最も幅方向外側に位置する第2最大幅位置(外側端部)64WMは、第2括れ部62よりも幅方向外側に位置する。第2最大幅位置64WMは、第2フラップ部64の前後方向における中心よりも後方に位置する。
【0036】
第3フラップ部65は、第2フラップ部64の後端部となる第2括れ部からフラップ部の後側端部までの領域であり、第2括れ部62から後方に向かうにつれて幅方向外側に延びる。第3フラップ部65において最も幅方向外側に位置する第3最大幅位置(外側端部)65WMは、第2括れ部62よりも幅方向外側に位置する。第3最大幅位置65WMは、第3フラップ部65の前後方向における中心よりも後方に位置する。
【0037】
図4は、吸収性物品1を下着に装着した状態を模式的に示した図である。図5は、図4に示すB−B断面の断面図である。着用者の動き等による幅方向外側から内側に向けての外力は、股間部近傍に配置されるウイング部43に挟まれた領域に作用する。
【0038】
ウイング部43は、着用者が脚を閉じた際等に幅方向外側から内側に向かって力が掛かる部分である。フラップ部60は、ウイング部43よりも後方に配置されており、幅方向外側から内側に向かって力がかかった際に、ウイング部43が位置する前側から後方に向かって力がかかる。
【0039】
このとき、フラップ部60に第1括れ部61及び第2括れ部62が形成されているため、フラップ部60は、第1括れ部61及び第2括れ部62を基点に変形して前側からの力を吸収する。例えば、ウイング部43側から掛かる力は、第1括れ部61によって吸収され、第1括れ部61よりも後方に伝播する力を低減することができる。よって、前側からの力がフラップ部全体に伝播することを抑制し、フラップ部全体に皺やよれが発生することを防止できる。
【0040】
また、第1フラップ部63、第2フラップ64及び第3フラップ部65の最大幅位置は、各フラップ部の長手方向における中心よりも後側に配置されている。例えば、各フラップ部の最大幅位置が前側に位置していると、フラップ部の前側部分のみが局所的に折り曲がり、各フラップ部全体で力を吸収することができない。
【0041】
しかし、各フラップ部の最大幅位置が、各フラップ部の前後方向における中心よりも後側に位置することにより、各フラップ部全体において力を吸収でき、局所に皺が発生することを抑制することができる。
【0042】
また、第1最大幅位置よりも幅方向外側に第2最大幅位置が位置し、第2最大幅位置よりも幅方向外側に第3最大幅位置が位置する。すなわち、後方に位置するフラップ部の最大幅位置が、前方に位置するフラップ部の最大幅位置よりも幅方向外側に位置する。よって、前方から伝播する力を前方のフラップ部によって吸収し、次いで、後方のフラップ部によって吸収できる。すなわち、段階的に力を吸収できる。また、後方に向かうにつれて幅が広がるため、下着に沿って配置できる。
【0043】
フラップ部60には、厚み方向Tにおいて凹む凹み部70が形成されている。凹み部70は、図3に示すように、表面シートを構成するサイドシート41、中間シート35及び裏面シート20が厚み方向に圧縮されている。凹み部70は、ウイング部43の後内側端部43RIから後方に延びる第1凹み部71と、第1凹み部71から分岐し、かつ第1括れ部61に到達する第2凹み部72と、第1凹み部71から分岐し、第2括れ部62に到達する第3凹み部73と、第1凹み部71から分岐し、第3フラップ部65の幅方向外側に位置する第3最大幅置65WM近傍に到達する第4凹み部74と、を有する。
【0044】
凹み部は、表面シート側から裏面シート側に向けて厚み方向に圧縮されている。表面シート側から裏面シート側に向けて圧縮して凹み部70を形成することにより、凹み部を形成する際にフィルムからなる裏面シートが破れることを抑制できる。本実施の形態では、表面シートを構成するサイドシート41側から裏面シート側に向けて圧縮されている。
【0045】
第2凹み部72、第3凹み部73、及び第4凹み部40は、後方に向かうにつれて幅方向内側から幅方向外側に延びるように構成されている。後方に向かうにつれて幅方向内側から幅方向外側に延びるように凹み部を形成することにより、凹み部が力の掛かる方向に沿うため、凹み部が折り起点となり、フラップ部が自然と折り畳まれる。よって、フラップ部60が身体に対しても、下着に対しても無理なく適合し易くなる。したがって、フラップ部に無秩序な皺が発生し難くなり、違和感のない変形ができ、すっきりした装着感が得られる。
【0046】
また、第3凹み部73の幅方向における外側端部は、第2括れ部62に位置するように構成されている。このような構成によれば、第3凹み部73を介して伝播した力が第2括れ部に到達し易くなり、第2括れ部62と第3凹み部を基点に折り畳まれ易くなる。
【0047】
また、凹み部70は、図2に示すように、厚み方向Tにおいてフラップ接着部53に重ならない位置に設けられている。凹み部70とフラップ接着部53とが重ならないように構成することにより、下着とフラップ部との接着箇所によってフラップ部が折り畳まれないため、下着への接着位置に影響を及ぼすことなく、フラップ部60を折りたたむことができる。したがって、フラップ接着部53が下着から剥がれることを抑制し、吸収性物品1全体において接着位置を維持し易くなる。
【0048】
次に、第1の実施形態に係る吸収性物品1の製造方法の一部について説明する。なお、説明しない方法については、既存の方法を用いることができる。吸収性物品の製造方法は、第1ステップとして、表面シート生成工程を行う。次いで、第2ステップとして、表面シート接合工程を行う。具体的には、表面シート10とサイドシート41とを、例えば熱溶着によって接着する。
【0049】
第3ステップとして、吸収体成型工程を行う。具体的には、成型ドラムによって吸収体の材料となるパルプを成型して吸収体30を成型する。なお、第1ステップ及び第2ステップの表面シートの製造工程と、第3ステップの吸収体成型工程の順序は、逆の順序であってもよい。
【0050】
第4ステップにおいて、接合工程を行う。具体的には、第3ステップにおいて成型した吸収体と、第2ステップにおいて接合した表面シート及びサイドシートと、を接合する接合工程を行う。
【0051】
第5ステップにおいて、第1圧搾工程を行う。具体的には、吸収体30と表面シート10とを厚み方向に圧縮し、圧搾部80を形成する。第6ステップにおいて、裏面シート接合工程を行う。具体的には、圧搾部を形成した吸収体及び表面シート等と、裏面シートとを接合する。
第7ステップとして、第2圧搾工程を行う。具体的には、かつサイドシート41、中間シート35、及び裏面シート20を厚み方向に圧縮し、凹み部70を形成する。上記ステップの後、接着剤を塗布する工程を備える。上記の工程により、本実施の形態に係る吸収性物品を製造することができる。
【0052】
(第2の実施形態)
次いで、図6に基づいて第2の実施形態に係る吸収性物品1Aについて説明する。なお、以下の実施形態の説明においては、第1の実施形態と異なる構成のみ説明し、第1の実施形態と同様の構成については、同符号を用いて説明を省略する。
【0053】
第2の実施形態に係る吸収性物品1Aは、第1の実施形態に係る吸収性物品1と凹み部70の形状が異なっている。第2の実施形態に係る吸収性物品1Aの凹み部は、吸収体の幅方向外側端部から後方に向かって幅方向内側から幅方向外側に延びて傾斜する傾斜凹み部75を複数備える。複数の傾斜凹み部75は、互いに平行に配置されており、長手方向に沿って隣接して配置されている。
【0054】
(第3の実施形態)
次いで、図7に基づいて第3の実施形態に係る吸収性物品1Bについて説明する。第3の実施形態に係る吸収性物品1Bは、第1の実施形態に係る吸収性物品1とフラップ部60の形状が異なっている。第3の実施形態に係る吸収性物品1Bのフラップ部60は、第1括れ部61と第2括れ部62のうち第1括れ部61のみが形成されている。フラップ部60は、第1括れ部61の前側に配置された第1フラップ部63と、第1括れ部61の後側に配置された第2フラップ部64と、を有する。第2フラップ64の最大幅位置64WMは、第2フラップ部の長手方向における中心位置よりも前方に配置されている。
【0055】
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0056】
例えば、各フラップ部の最大幅位置は、必ずしも各フラップ部の長手方向における中心より後方に配置されていなくてもよい。また、複数のフラップ部において後方に位置するフラップ部は、必ずしも前方に位置するフラップ部よりも幅方向外側に配置されてなくてもよく、幅方向において同じ位置であってもよいし、幅方向において内側に配置されていてもよい。
【0057】
更に、凹み部の後端部は、必ずしも括れ部に位置してなくてもよく、括れ部とずれて配置されていてもよい。また、凹み部は、フラップ接着部と必ずしも厚み方向にずれて配置されてなくてもよく、一部重なって配置されていてもよい。フラップ部の着用者に対する当接面は、必ずしもエアースルー不織布によって構成されていなくてもよい。また、中間シートは、必ずしもエアースルー不織布によって構成されていなくてもよく、更には、中間シートは、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0058】
本実施の形態に係る凹み部は、線状であるが、例えば、間欠的に配置された複数のドット状の集合体によって構成されていてもよい。また、本実施の形態に係る凹み部は、表面シートを構成するサイドシート側から裏面シート側に圧縮されて形成されているが、例えば、裏面シート側からサイドシート側に圧縮されて形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0059】
L…長手方向、 S…下着、 T…厚み方向、 W…幅方向、 1,1A、1B…吸収性物品、 2…本体部、10…表面シート、 20…裏面シート、 30…吸収体、 35…中間シート、 41…サイドシート、 43…ウイング部、 43RI…後内側端部、 51…中央粘着剤、 52…ウイング粘着剤、 53…フラップ粘着剤、 60…フラップ部、 61…第1括れ部、 62…第2括れ部、 63…第1フラップ部、 63WM…第1最大幅位置、 64…第2フラップ部、 64WM…第2最大幅位置、 65…第3フラップ部、 65…第3最大幅位置、 70…凹み部、 71…第1凹み部、 72…第2凹み部、 73…第3凹み部、 74…第4凹み部、 80…圧搾部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向と、前記前後方向に直交する幅方向とを有する吸収性物品において、
吸収体を有する本体部と、
前記本体部よりも幅方向外側に突出し、着用者の下着の非肌当接面側に折り返されるウイング部と、
前記ウイング部よりも後方において、前記本体部よりも幅方向外側に突出するフラップ部と、を備え、
前記フラップ部は、
前記フラップ部の幅方向の長さが、その前後の領域の幅方向長さよりも短く形成された括れ部と、
前記括れ部よりも前側に位置し、前記括れ部よりも幅方向外側に突出する第1フラップ部と、
前記括れ部よりも後側に位置し、前記括れ部よりも幅方向外側に突出する第2フラップ部と、を備えており、
前記フラップ部には、前記フラップ部の厚み方向において凹む凹み部が形成されており、
前記凹み部は、後方に向かうにつれて幅方向内側から幅方向外側に延びる吸収性物品。
【請求項2】
前記第1フラップ部の幅方向における外側端部は、前記第1フラップ部の前記前後方向における中心よりも後方に位置し、
前記第2フラップ部の幅方向における外側端部は、前記第2フラップ部の前記前後方向における中心よりも後方に位置する、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記第2フラップ部の幅方向における外側端部は、前記第1フラップ部の幅方向における外側端部よりも前記幅方向外側に位置する、請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記凹み部の後端部は、前記括れ部に位置する、請求項1から請求項3のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記フラップ部の前記下着に対する当接面には、下着に対して着脱自在に接着する接着部が設けられており、
前記凹み部は、前記厚み方向において前記接着部に重ならない位置に設けられている、請求項1から請求項4のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記フラップ部の着用者に対する当接面は、エアースルー不織布によって構成されている、請求項1から請求項5のいずれかに記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−75098(P2013−75098A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217829(P2011−217829)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【特許番号】特許第5082007号(P5082007)
【特許公報発行日】平成24年11月28日(2012.11.28)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】