説明

吸収性物品

【課題】下着の非肌当接面側に折り返した状態におけるウイング部の折り目による刺激を低減することができる吸収性物品を提供する。
【解決手段】 吸収性物品1は、吸収体30と、吸収体よりも幅方向外側に延出するウイング部43及びフラップ部60と、ウイング部とフラップ部との間において幅方向内側に括れる括れ部45と、を有する。フラップ部及び括れ部には、フラップ部の厚み方向において凹み、括れ部から後方に向かって延びる凹み部70が形成されており、ウイング部が非肌当接面側に折り返された状態において、下着の非肌当接面側でフラップ部が凹み部を基点に折り返されることにより、フラップ部の肌当接面側が着用者に対向して配置されるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキン等の吸収性物品に関し、特に吸収体よりも幅方向外側に延出し、下着の非肌当接面側に折り返されるウイング部を有する吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、表面シートと裏面シートとの間に配置される吸収体とを有し、吸収体よりも幅方向外側に延出するウイング部を有する生理用ナプキンが記載されている。このように構成された生理用ナプキンを下着に装着する際は、吸収体の裏面側の裏面シートを下着のクロッチ部に当接させ、ウイング部を下着の非肌当接面側に折り返すことにより、下着のクロッチ部分を巻き込むようにしながら、生理用ナプキンを下着に装着することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−156034号公報(図5、段落004等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の生理用ナプキンは、以下の問題点があった。
【0005】
特許文献1に記載の生理用ナプキンを下着に装着する際は、ウイング部の幅方向における内側端部近傍に位置する折り目を基点に下着の非肌当接面側に折り返される。この折り目は、下着のクロッチの両側端部に沿っており、ウイング部の長手方向における前側のエッジから後側のエッジに延びている。よって、ウイング部の前側のエッジと後側のエッジには、折り目の端部が位置して捻れが生じる。この捻れ部分は、折り癖によって硬くなり易い。ウイング部のエッジの捻れ部分が当たることによって、肌に対する刺激を与えるおそれがあった。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、ウイング部の下着の非肌当接面側に折り返した状態において形成される折り目による刺激を低減することができる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明に係る吸収性物品は、前後方向(長手方向L)と、前記前後方向に直交する幅方向(幅方向W)とを有する吸収性物品において、液透過性の表面シート(表面シート10)と、不液透過性の裏面シート(裏面シート20)と、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される吸収体(吸収体30)と、を備え、前記吸収体よりも幅方向外側には、着用者の下着の非肌当接面側に折り返されるウイング部(ウイング部43)と、前記ウイング部よりも後方に配置されたフラップ部(フラップ部60)と、が形成されており、前記ウイング部と前記フラップ部との間には、前記ウイング部において最も幅方向外側に位置する最大幅位置及び前記フラップ部において最も幅方向外側に位置する最大幅位置よりも幅方向内側に括れる括れ部(括れ部45)が形成されており、前記フラップ部及び前記括れ部には、前記フラップ部の厚み方向において凹み、前記括れ部から後方に向かって延びる凹み部(凹み部70)が形成されており、前記凹み部及び前記括れ部は、前記ウイング部が前記非肌当接面側に折り返された状態で前記ウイング部に形成される折り目よりも幅方向外側に形成されており、前記ウイング部が前記非肌当接面側に折り返された状態において、前記下着の非肌当接面側で前記フラップ部が前記凹み部を基点に折り返されることにより、前記フラップ部の肌当接面側が前記着用者に対向して配置されるように構成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
吸収性物品が下着に装着された状態において、括れ部よりも前方のウイング部は、下着の非肌当接面側に折り返され、括れ部45よりも後方のフラップ部60は、着用者の身体に対向して配置される。よって、括れ部には、ウイング部を折り返した際の折り目の端部が位置して捻れが生じる。
【0009】
下着の非肌当接面側にウイング部を折り返した状態において形成される折り目よりも括れ部が幅方向外側に配置されているため、折り目の端部が下着の非肌当接面側に配置される。よって、ウイング部のエッジの捻れ部分が直接肌に当たることを防止し、折り目による肌への刺激を低減できる。
【0010】
また、フラップ部は、凹み部を介して折り返されるため、フラップ部における凹み部よりも幅方向外側の領域を、着用者に対向して配置することができる。よって、フラップ部を着用者に対向して配置しつつ、ウイング部のエッジ部分が当たることによる刺激を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態に係る吸収性物品の肌当接面側から見た平面図である。
【図2】図1に示す吸収性物品の背面図である。
【図3】図1に示すA−A’断面の模式断面図である。
【図4】図1に示す吸収性物品を下着に装着した状態の模式図である。
【図5】図4に示すB−B’断面の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1から図3を参照して、実施形態に係る吸収性物品1について説明する。図1は、吸収性物品の平面図であり、図2は、吸収性物品の背面図である。図3は、図1に示すA−A’断面図である。本実施形態に係る吸収性物品1は、例えば、生理用ナプキンである。
【0013】
吸収性物品1は、着用者の肌に当接する表面シート10と、液体を透過しない液不透過性の裏面シート20と、吸収体30とを有する。吸収体30は、表面シート10と裏面シート20との間に配設される。従って、吸収体30は、図1及び図2において破線で示される。吸収体30は、吸収性物品1の前後方向に沿った長手方向L及び幅方向Wにおける中央部分に配設される。
【0014】
吸収性物品1は、吸収体30よりも幅方向外側に配置されるウイング部43と、ウイング部43の後方において吸収体30よりも幅方向外側に配置されるフラップ部60と、を備える。
【0015】
ウイング部43は、着用者の下着の非肌当接面側に折り返されて、下着を巻き込んで吸収性物品を下着に固定するように構成されている。ウイング部43は、吸収体30の排泄口当接領域から幅方向外側に延出している。
【0016】
ウイング部43の前側端部43Fと後側端部43Rは、ウイング部43において最も幅方向外側に位置するウイング最大幅位置43WMよりも幅方向内側に位置している。ウイング部43の前側端部43Fは、ウイング部43の後側端部43Rよりも幅方向内側に位置する。よって、ウイング部43の前側端部43Fを通る折り目を基点にして、長手方向に沿ってウイング部43を下着の非肌当接面側に折り返した状態では、ウイング部43の前側端部43Fよりもウイング部43の後側端部43Rの方が下着の非肌当接面側に巻き込まれる幅が長くなる。
【0017】
ウイング部43とフラップ部60との間には、ウイング部43において最も幅方向外側に位置するウイング最大幅位置43WM及びフラップ部60において最も幅方向外側に位置するフラップ最大幅位置60WMよりも幅方向内側に括れる括れ部45が設けられている。
【0018】
図1に、長手方向Lにおけるウイング部43の領域RAと、長手方向Lにおけるフラップ部60の領域RBと、長手方向における括れ部45の領域RCと、を図示して示す。本実施の形態における括れ部45は、ウイング部43とフラップ部60との間において最も幅方向内側に位置する幅狭位置45WNを含む領域である。括れ部45は、幅狭位置45WNの近傍の領域であればよく、例えば、幅狭位置45WNから前後方向に5mmの領域とすることができる。
【0019】
吸収性物品が下着に装着された状態において、括れ部45よりも前方のウイング部が下着の非肌当接面側に折り返され、括れ部45よりも後方のフラップ部60が着用者の身体に対向して配置される。よって、括れ部には、ウイング部を折り返した際の折り目の端部が位置して捻れが生じる。
【0020】
フラップ部60は、吸収体30よりも幅方向外側に延出した領域であって、括れ部45の後側端部から後方に延びている。フラップ部60の前側端部は、括れ部の後側端部であり、フラップ部60の後側端部は、吸収性物品の後側端部近傍において前後の領域よりも内側に括れた部分である。本実施の形態におけるフラップ部の後側端部は、後述する凹み部70の後側端部70Rと一致する。なお、フラップ部60の後側端部は、吸収性物品の後側端部と一致していてもよいし、吸収性物品の後側端部と一致していなくてもよい。
【0021】
表面シート10は、体液等の液体を透過する液透過性のシートである。表面シート10は、少なくとも吸収体30の表面を覆う。表面シート10は、不織布、織布、有孔プラスチックシート、メッシュシート等、液体を透過する構造のシート状の材料であれば、特に限定されない。織布や不織布の素材としては、天然繊維、化学繊維のいずれも使用できる。
【0022】
裏面シート20は、表面シート10の長さと略同一の長さを有する。裏面シート20は、ポリエチレンシート、ポリプロピレン等を主体としたラミネート不織布、通気性の樹脂フィルム、スパンボンド、又はスパンレース等の不織布に通気性の樹脂フィルムが接合されたシートなどを用いることができる。裏面シート20は、着用時の違和感を生じさせない程度の柔軟性を有する材料とすることが好ましい。裏面シート20は、不透液性且つ透湿性であることが望ましく、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂に無機充填剤を溶融混練したものを延伸処理した微多孔性シートによって構成することができる。
【0023】
吸収体30は、親水性繊維、パルプを含む。吸収体30は、経血などの体液を吸収可能な材料によって形成される。吸収体30は、親水性繊維又は粉体をエアレイド法によって積層して形成されてもよいし、親水性繊維又は粉体をエアレイド法によってシート状に成形したエアレイドシートでもよいし、ティッシュ(例えば、目付15g/m)上に高吸収ポリマーを混入した粉砕パルプを配置し、ティッシュで包むことによって形成されていてもよい。
【0024】
本実施の形態に係る吸収体30は、綿状パルプや合成パルプ等を坪量100〜300g/m程度に積層したパルプを保護紙(図示せず)で包むことによって構成されている。なお、吸収体30は、全面ほぼ均一な厚みであってもよいし、非均一な厚みであってもよい。保護紙は、パルプの形状を保持するためのものであり、例えばクレープ紙やティッシュペーパーなどを用いることができる。
【0025】
吸収体30は、前後方向に延びる形状であり、裏面シート20よりも略一回り程度小さい。吸収体30の幅方向Wの長さは、成人女性の股間隔に対応しており、概ね50〜80mmである。吸収体30は、ホットメルトなどの接着剤によって裏面シート20に接着される。また、本実施の形態では、吸収体30と表面シート10とは、ホットメルト接着剤によって接着されている。
【0026】
吸収体30は、少なくとも着用者の排泄口が当接する排泄口当接領域の中心を含むように設けられる。排泄口当接領域の中心とは、着用者の排泄口が当接する中央領域の長手方向及び幅方向の中心と一致する。例えば、ウイング部を有する吸収性物品においては、ウイング部の長手方向の中心が、中央領域の長手方向の中心となる。また、ウイング部を有しない吸収性物品においては、吸収体の幅方向の長さ寸法が最も短い位置が、中央領域の長手方向の中心となる。なお、排泄口当接領域は、着用者の股間部と当接する領域に含まれており、着用者の両脚の間に位置する
更に、吸収性物品1は、幅方向Wにおいて吸収体30の外側に設けられるサイドシート41を備える。フラップ部60及びウイング部43の肌当接面には、サイドシート41が設けられている。
【0027】
サイドシート41は、表面シート10の両側に配設される。サイドシート41は、表面シート10と同様に、吸収体30よりも肌当接面側に配置されており、本発明における表面シートの一部を構成する。サイドシート41は、表面シート10と同様の材料から選ぶことができる。但し、サイドシート41を乗り越えて吸収性物品1外方へ経血が流れることを防止するためには、疎水性又は撥水性を有することが好ましい。サイドシート41は、吸収体30の側縁の一部及びウイング部43及びフラップ部60を覆う。
【0028】
本実施の形態に係るサイドシート41は、エアースルー不織布によって構成されている。エアースルー不織布は、柔らかく肌触りがよいため、フラップ部の質感を向上させることができる。身体に沿ってフラップ部60を配置した際に、フラップ部の質感を向上させることにより、装着感をより向上させることができる。
【0029】
また、ウイング部43及びフラップ部60において、サイドシート41と裏面シート20との間には、中間シート35が設けられている。中間シート35の幅方向における外側端部は、吸収体30の幅方向における外側端部よりも幅方向外側に配置されている。なお、接着剤等を介して中間シート35と吸収体30とを密着させることにより、吸収体30と中間シート35とを一体化して、吸収体30の面積を広く見せるような視覚的効果を発揮できる。
【0030】
中間シート35は、ウイング部43の一部と、フラップ部60の一部と、括れ部45とに配置されている。括れ部は、上述のように、ウイング部を下着の非肌当接面側に折り返した状態で捻れが生じ易い。この捻れが生じる括れ部に中間シートを配置することにより、捻れによってフラップ部60は硬くなることを抑制し、肌に対する刺激を低減することができる。
【0031】
中間シート35は、エアースルー不織布によって構成されている。エアースルー不織布は、不織布に熱風を吹き付け、吹き付けた熱風が貫通することによって嵩が回復されるため、柔らかく肌触りがよい。エアースルー不織布によって中間シート35を構成することにより、身体に沿ってフラップ部60を配置した際に、装着感をより向上させることができる。
【0032】
中間シートを設けることにより、中間シートが配置されている領域と中間シートが配置されていない領域との境界で厚み差や剛性差が形成される。例えば、フラップ部60が中間シートの端部を基点に変形し易くなる。
【0033】
また、吸収性物品は、長手方向に沿った折り目や幅方向に沿った折り目を基点に折り畳まれた状態でフィルムや不織布によって個別に包装される。このように折り畳まれた吸収性物品は、折り畳まれた際の折り癖が残り、吸収性物品を平面状に展開し難くなることがある。
【0034】
しかし、例えば、繊維の自由度が比較的高いエアースルー不織布によって中間シート35を構成することにより、折り癖が付き難くなり、容易に装着することが可能となる。このような観点から中間シート35は、吸収性物品が折り畳まれる際に形成される折り目を跨っていることが望ましい。
【0035】
中間シート35は、少なくともサイドシート41と接着剤を介して間欠的に接合されている。本実施の形態に係る中間シートは、スパイラル状に配置されたホットメルト接着剤を介して表面シート10及び裏面シート20に接着されている。中間シート35と表面シート10等とを間欠的に接合することにより、表面シートに対して部分的に中間シート35を相対移動でき、柔らかい質感を維持することができる。
【0036】
吸収性物品1では、表面シート10、サイドシート41、中間シート35及び裏面シート20の周縁が接合されて、吸収体30が内封される。表面シート10と裏面シート20との接合方法としては、ヒートエンボス加工、超音波、又はホットメルト接着剤のいずれか一つ、又は複数を組み合わせることが可能である。
【0037】
裏面シート20において、下着と接触する表面には、複数の領域において接着剤が塗布された接着部が設けられている(図2参照)。接着部は、吸収体の裏面側に設けられ、下着のクロッチ部に吸収性物品1を固定するための中央接着部51と、ウイング部43の裏面側に設けられ、クロッチ部を巻き込んでウイング部43を固定するためのウイング接着部52と、フラップ部60の裏面側に設けられ、下着の後身頃に対してフラップ部を開いた状態で固定するためのフラップ接着部53と、を有する。
【0038】
使用前の状態では、接着剤は、図示しない剥離シートに接している。剥離シートは、使用前に接着剤が劣化するのを防止している。そして、使用時に着用者によって剥離シートが剥離される。
【0039】
なお、剥離シートを有しない吸収性物品においては、吸収性物品を個別に包装する包装シートによって使用前に接着剤が劣化するのを防止するように構成されていてもよい。接着剤と包装シートが接する場合には、包装シートの表面には、接着剤の接着力を低下させることなく接着剤を剥離可能にする処理を施すことが望ましい。
【0040】
また、ウイング接着部52及びフラップ接着部53は、中間シート35が配置された領域に設けられている。中間シート35を設けることにより、裏面シート20を補強することができる。よって、低目付の材料によって裏面シート20を構成した場合であっても、裏面シートの強度を保ち易くなり、使用後に吸収性物品1を下着から剥がす際に、裏面シートが破れることを防止できる。
【0041】
吸収性物品1には、表面シート10及び吸収体30を厚み方向に圧縮した圧搾部80が形成されている。なお、圧搾部80は、少なくとも表面シート10及び吸収体30を厚み方向Tに圧搾されて形成されていればよく、種々の構成を採用することができる。例えば、プレス加工やエンボス加工によって形成することができ、その形状は、格子網やハニカム形状であってもよい。
【0042】
フラップ部60は、幅方向の長さが、その前後の領域の幅方向長さよりも短く形成された複数のフラップ括れ部が形成されている。フラップ括れ部は、前側に位置する第1フラップ括れ部61と、後側に位置する第2フラップ括れ部62と、を有する。
【0043】
フラップ部60は、第1フラップ括れ部61よりも前側に位置する第1フラップ部63と、第1フラップ括れ部61よりも後方であって、第2フラップ括れ部62よりも前方に位置する第2フラップ部64と、第2フラップ括れ部62よりも後方に位置する第3フラップ部65と、を有する。
【0044】
第1フラップ部63は、括れ部45の後側端部45Rから第1フラップ括れ部61までの領域であり、後側端部45Rから後方に向かうにつれて幅方向外側に延びる。第1フラップ部63において最も幅方向外側に位置する第1最大幅位置(外側端部)63WMは、第1フラップ括れ部61よりも幅方向外側に位置する。第1最大幅位置63WMは、第1フラップ部63の前後方向における中心よりも後方に位置する。
【0045】
第2フラップ部64は、第1フラップ部63の後側端部となる第1フラップ括れ部61から第2フラップ括れ部62までの領域であり、第1フラップ括れ部61から後方に向かうにつれて幅方向外側に延びる。第2フラップ部64において最も幅方向外側に位置する第2最大幅位置(外側端部)64WMは、第2フラップ括れ部62よりも幅方向外側に位置する。第2最大幅位置64WMは、第2フラップ部64の前後方向における中心よりも後方に位置する。
【0046】
第3フラップ部65は、第2フラップ部64の後側端部となる第2フラップ括れ部62からフラップ部60の後側端部までの領域であり、第2フラップ括れ部62から後方に向かうにつれて幅方向外側に延びる。第3フラップ部65において最も幅方向外側に位置する第3最大幅位置(外側端部)65WMは、第2フラップ括れ部62よりも幅方向外側に位置する。第3最大幅位置65WMは、第3フラップ部65の前後方向における中心よりも後方に位置する。この第3最大幅位置65WMは、フラップ部の最大幅位置となる。
【0047】
フラップ部60及び括れ部45には、厚み方向Tにおいて凹む凹み部70が形成されている。凹み部70は、図3に示すように、サイドシート41、中間シート35及び裏面シート20が、表面シート側から裏面シート側に向けて厚み方向に圧縮されている。本実施の形態では、表面シートを構成するサイドシート41側から裏面シート側に向けて圧縮されている。表面シート側から裏面シート側に向けて圧縮して凹み部70を形成することにより、凹み部を形成する際にフィルムからなる裏面シートが破れることを抑制できる。
【0048】
凹み部は、括れ部の幅狭位置45WNから後方に向かって延びている。凹み部70の前側端部70Fは、括れ部の幅狭位置45WNであり、凹み部の後側端部70Rは、フラップ部の後側端部である。なお、凹み部の前側端部は、括れ部に設けられていればよく、幅狭位置と一致していてもよいし、一致していなくてもよい。凹み部の後側端部は、フラップ部の後側端部と一致していてもよいし、一致していなくてもよい。
【0049】
凹み部70は、ウイング部43が下着の非肌当接面側に折り返された状態において、下着の非肌当接面側においてフラップ部が折り返される基点となる。凹み部70を基点にフラップ部60が折り返されることにより、凹み部よりも幅方向外側のフラップ部における肌当接面側が着用者に対向して配置される。凹み部70は、表面シート側から裏面シート側に向けて圧縮されているため、表面シート側から裏面シート側に凹んでいる。よって、凹み部70を基点にフラップ部60が折り返され易い。
【0050】
また、凹み部70は、括れ部45から後方に向かうにつれて幅方向内側に向かって延びる。このような凹み部によれば、ウイング部43が折り返され、凹み部を基点にフラップ部が折り返された際に非肌当接面側に配置される面積が少なくなる。
【0051】
凹み部70は、吸収体30を挟んで一対で配置されている。一対の凹み部間の距離は、フラップ部の最大幅位置よりも前方において最も短い。凹み部70は、一対の凹み部間の距離が短くなった後、後方に向かって幅方向外側に向かって延びる。よって、後方の領域においてフラップ部を広がりやすく構成できる。
【0052】
更に、個別に包装される吸収性物品にあっては、吸収性物品を折り畳んだ際に形成される折り目を跨るように、凹み部を形成することが望ましい。吸収性物品を折り畳んだ際に形成される折り目を跨って凹み部70が設けられているため、凹み部70を基点にフラップ部が折り畳まれる際に、凹み部70に沿って吸収性物品の折り癖が延びるように変形する。よって、フラップ部60の変形基点として凹み部が安定して機能し易くなる。
【0053】
また、フラップ部60には、サイドシート41、中間シート35及び裏面シート20が厚み方向に圧縮されたフラップ凹み部が形成されている。フラップ凹み部は、凹み部70から分岐し、かつ第1フラップ括れ部61に到達する第1フラップ凹み部72と、凹み部70から分岐し、第2フラップ括れ部62に到達する第2フラップ凹み部73と、凹み部72から分岐し、第3フラップ部65の幅方向外側に位置する第3最大幅位置65WM近傍に到達する第3フラップ凹み部74と、を有する。
【0054】
第1フラップ凹み部72、第2フラップ凹み部73、及び第3フラップ凹み部74は、後方に向かうにつれて幅方向内側から幅方向外側に延びるように構成されている。後方に向かうにつれて幅方向内側から幅方向外側に延びるようにフラップ凹み部を形成することにより、フラップ凹み部が力の掛かる方向に沿うため、フラップ凹み部が折り起点となり、フラップ部が自然と折り畳まれる。よって、フラップ部60が身体に対しても、下着に対しても無理なく適合し易くなる。したがって、フラップ部に無秩序な皺が発生し難くなり、違和感のない変形ができ、すっきりした装着感が得られる。
【0055】
図4は、吸収性物品1を下着に装着した状態を模式的に示した図である。図5は、図4に示すB−B’断面の断面図である。吸収性物品のウイング部を下着の非肌当接面側に折り返す際は、吸収体よりも幅方向外側において折り返す。このとき、ウイング部に形成される折り目FLは、凹み部及び括れ部よりも幅方向内側において、吸収体の側部に沿って長手方向に延びている。
【0056】
ウイング部が非肌当接面側に折り返された状態でウイング部に形成される折り目FLよりも括れ部が幅方向外側に配置されているため、ウイング部を折り返した状態において、ウイング部の付け根となる括れ部が下着の非肌当接面側に配置され、括れ部が直接肌に当たることを防止できる。よって、括れ部に生じする捻れ部分が肌に直接当たることを抑制でき、肌への刺激を低減できる。
【0057】
また、フラップ部は、凹み部を介して折り返されているため、フラップ部における凹み部よりも幅方向外側の領域を、着用者に対向して配置することができる。よって、フラップ部を着用者に対向して配置しつつ、ウイング部のエッジ部分が当たることによる刺激を抑制することができる。
【0058】
次に、第1の実施形態に係る吸収性物品1の製造方法の一部について説明する。なお、説明しない方法については、既存の方法を用いることができる。吸収性物品の製造方法は、第1ステップとして、表面シート生成工程を行う。次いで、第2ステップとして、表面シート接合工程を行う。具体的には、表面シート10とサイドシート41とを、例えば熱溶着によって接着する。
【0059】
第3ステップとして、吸収体成型工程を行う。具体的には、成型ドラムによって吸収体の材料となるパルプを成型して吸収体30を成型する。なお、第1ステップ及び第2ステップの表面シートの製造工程と、第3ステップの吸収体成型工程の順序は、逆の順序であってもよい。
【0060】
第4ステップにおいて、接合工程を行う。具体的には、第3ステップにおいて成型した吸収体と、第2ステップにおいて接合した表面シート及びサイドシートと、を接合する接合工程を行う。
【0061】
第5ステップにおいて、第1圧搾工程を行う。具体的には、吸収体30と表面シート10とを厚み方向に圧縮し、圧搾部80を形成する。第6ステップにおいて、裏面シート接合工程を行う。具体的には、圧搾部を形成した吸収体及び表面シート等と、裏面シートとを接合する。
【0062】
第7ステップとして、第2圧搾工程を行う。具体的には、かつサイドシート41、中間シート35、及び裏面シート20を厚み方向に圧縮し、凹み部70を形成する。上記ステップの後、接着剤を塗布する工程を備える。上記の工程により、本実施の形態に係る吸収性物品を製造することができる。
【0063】
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0064】
本実施の形態では、中間シートの幅方向における内側端部は、吸収体の幅方向における外側端部よりも幅方向内側に配置されており、中間シートと吸収体とは厚み方向において重なっている。しかし、例えば、中間シートの幅方向における内側端部は、吸収体の幅方向における外側端部よりも幅方向外側に配置されており、中間シートと吸収体とは厚み方向において重ならないように構成してもよい。
【0065】
中間シートと吸収体とが厚み方向において重なっていない場合、吸収体と中間シートとの間の領域は、中間シートや吸収体が配置されていないため、剛性が低く、その周囲の領域に比べて変形し易い。よって、ウイング部を下着の非肌当接面側に折り返した際に、中間シートと吸収体との間の領域が変形して、捻れによって生じる皺や折り癖がフラップ部自体に形成されることを抑制できる。
【0066】
また、例えば、凹み部の後側端部は、必ずしもフラップ部の後側端部に位置してなくてもよく、フラップ部の後側端部とずれていてもよい。また、フラップ部の着用者に対する当接面は、必ずしもエアースルー不織布によって構成されていなくてもよい。また、中間シートは、必ずしもエアースルー不織布によって構成されていなくてもよく、更には、中間シートは、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0067】
本実施の形態に係る凹み部は、線状であるが、例えば、間欠的に配置された複数のドット状の集合体によって構成されていてもよい。また、本実施の形態に係る凹み部は、表面シートを構成するサイドシート側から裏面シート側に圧縮されて形成されているが、例えば、裏面シート側からサイドシート側に圧縮されて形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0068】
L…長手方向、 S…下着、 T…厚み方向、 W…幅方向、 1…吸収性物品、10…表面シート、 20…裏面シート、 30…吸収体、 35…中間シート、 41…サイドシート、 43…ウイング部、 43F…前側端部、 43R…後側端部、 43WM…ウイング最大幅位置、 45…括れ部、 45R…後側端部、 45WN…幅狭位置、 51…中央粘着剤、 52…ウイング粘着剤、 53…フラップ粘着剤、 60…フラップ部、 60WM…フラップ最大幅位置、 61…第1フラップ括れ部、 62…第2フラップ括れ部、 63…第1フラップ部、 63WM…第1最大幅位置、 64…第2フラップ部、 64WM…第2最大幅位置、 65…第3フラップ部、 65…第3最大幅位置、 70…凹み部、 70F…前側端部、 70R…後側端部、 71…第1凹み部、 72…第1フラップ凹み部、 73…第2フラップ凹み部、 74…第3フラップ凹み部、 80…圧搾部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向と、前記前後方向に直交する幅方向とを有する吸収性物品において、
液透過性の表面シートと、
不液透過性の裏面シートと、
前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置される吸収体と、を備え、
前記吸収体よりも幅方向外側には、着用者の下着の非肌当接面側に折り返されるウイング部と、前記ウイング部よりも後方に配置されたフラップ部と、が形成されており、
前記ウイング部と前記フラップ部との間には、前記ウイング部において最も幅方向外側に位置する最大幅位置及び前記フラップ部において最も幅方向外側に位置する最大幅位置よりも幅方向内側に括れる括れ部が形成されており、
前記フラップ部及び前記括れ部には、前記フラップ部の厚み方向において凹み、前記括れ部から後方に向かって延びる凹み部が形成されており、
前記凹み部及び前記括れ部は、前記ウイング部が前記非肌当接面側に折り返された状態で前記ウイング部に形成される折り目よりも幅方向外側に形成されており、
前記ウイング部が前記非肌当接面側に折り返された状態において、前記下着の非肌当接面側で前記フラップ部が前記凹み部を基点に折り返されることにより、前記フラップ部の肌当接面側が前記着用者に対向して配置されるように構成されている、吸収性物品。
【請求項2】
前記凹み部は、前記括れ部から後方に向かうにつれて幅方向内側に向かって延びる、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記ウイング部の前側端部は、前記ウイング部の後側端部よりも幅方向内側に位置する、請求項1又は請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記凹み部は、前記表面シート及び前記裏面シートが、前記表面シート側から前記裏面シート側に厚み方向において圧縮されることによって形成されている、請求項1から請求項3のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置された中間シートを備えており、
前記中間シートは、少なくとも前記括れ部に配置されている、請求項1から請求項4のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記中間シートは、前記フラップ部のうち少なくとも前記凹み部が形成された領域に配置されており、
前記凹み部は、前記表面シート、前記裏面シート及び前記中間シートが前記厚み方向において圧縮されることによって形成されている、請求項5に記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−78560(P2013−78560A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−102864(P2012−102864)
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【分割の表示】特願2011−217600(P2011−217600)の分割
【原出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】