説明

吸収性物品

【課題】製品の略全長に亘って設けた立体ギャザーがヨレ難く起立性も低下し難く、横漏れを防止でき、また、立体ギャザーが使用時にめくれ難く、フィット感も低下し難い吸収性物品を提供すること。
【解決手段】本発明の吸収性物品1は、吸収体23を備えた吸収性本体2と、吸収性本体2の側部2Sに立体ギャザー3と、後方領域Cの両側部に後方フラップ4とを有する。吸収性物品1は、個装する際に形成される個装折り線を3本有している。立体ギャザー3は、サイドシート31と、その自由端部31fに固定された弾性部材32とを備えている。弾性部材32の固定部34bが前方領域個装折り線L1よりも前方に位置し、弾性部材32の固定部34cが後方領域第2個装折り線L3よりも後方に位置している。立体ギャザー3は、弾性部材32の収縮によりサイドシート31の自由端部31fが表面シート21から離間して形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理用ナプキン、女性用失禁パッド等の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、一対の後方フラップを有するヒップガード付きの生理用ナプキンは、後ろ漏れを防止することを目的とした製品長が長いナプキン、好ましくは夜用のナプキンとして用いられる。夜用のナプキンには、フィット感を向上させる観点から所謂スリムナプキンがラインナップされている。このような製品長が長いスリムナプキンにおいては、個装する際に形成される個装折り線を利用したナプキンのフィット感を妨げ難い立体ギャザーを設けることが好ましい。このような立体ギャザーを、経血流れがどの部位で起こっても横漏れを防止する観点から、製品の略全長に亘って設けることが望ましいが、立体ギャザーの長さが長くなると、ヨレや起立性の低下が原因で、横漏れを防止することが難しい。また、製品長が長くなると、長い生理用ナプキンの特に後部で、使用時にめくれ等が起こり易くフィット感が低下し易い。
【0003】
ところで、特許文献1には、三つ折りにした生理用ナプキンにおいて、三つ折りにより形成される2本の屈曲線が、両側部に設けられたバリヤーフラップの弾性伸縮部を横切っていることを特徴とする生理用ナプキンについて記載されている。
しかし、特許文献1に記載の技術は、三つ折り(屈曲線が2本)という製品長の短い生理用ナプキンを想定したものであり、特許文献1には、四つ折り(屈曲線が3本)以上ある製品長の長い生理用ナプキンについて何ら記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の課題は、前述した製品長の長い吸収性物品の有する欠点を解消し得る吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、肌対向面側に表面シート、非肌対向面側に裏面シート及びそれら両シート間に液保持性の吸収体を備えた縦長の吸収性本体と、該吸収性本体の長手方向に沿う両側部に形成された一対の立体ギャザーと、該吸収性本体における装着者の体液排泄部に当接する排泄部領域より後方の後方領域の両側部それぞれから幅方向外方に延出する一対の後方フラップとを有する吸収性物品であって、前記吸収性物品を長手方向に折り曲げて個装する際に形成される個装折り線を長手方向に間欠的に設けており、該個装折り線は、前記排泄部領域を跨いで該排泄部領域より前方に1本の前方領域個装折り線及び該排泄部領域の後端近傍に1本の後方領域第1個装折り線を有し、さらに後方の前記後方領域に1本の後方領域第2個装折り線を有しており、一対の前記立体ギャザーそれぞれは、前記吸収性本体の側部の肌対向面側に該吸収性本体の全長に亘って設けられたサイドシートと、該サイドシートの自由端部に伸長状態で固定された弾性部材とを備え、該サイドシートにおける該弾性部材の前方端部の前記表面シートとの固定部が、前記前方領域個装折り線よりも前方に位置し、該サイドシートにおける該弾性部材の後方端部の前記表面シートとの固定部が、前記後方領域第2個装折り線よりも後方に位置しており、一対の前記立体ギャザーそれぞれは、前記弾性部材の収縮により前記サイドシートの前記自由端部が前記表面シートから離間して形成されている吸収性物品を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の吸収性物品によれば、製品の略全長に亘って設けた立体ギャザーがヨレ難く起立性も低下し難く、横漏れを防止できる。また、立体ギャザーが使用時にめくれ難く、フィット感も低下し難い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施形態である生理用ナプキンの斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す生理用ナプキンを伸長した状態を表面シート側から見た平面図である。
【図3】図3は、図2のY1−Y1線断面図である。
【図4】図4は、立体ギャザーの高さの測定方法を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の吸収性物品の実施形態である生理用ナプキン1(以下、ナプキン1ともいう)は、図1〜図3に示すように、肌対向面側に表面シート21、非肌対向面側に裏面シート22及びそれら両シート21,22間に液保持性の吸収体23を備えた縦長の吸収性本体2を有している。また、図1,図2に示すように、ナプキン1は、吸収性本体の長手方向Xに沿う両側部2S,2Sに形成された一対の立体ギャザー3,3と、吸収性本体2における装着者の体液排泄部(膣口等)に当接する排泄部領域Aより後方の後方領域Cの両側部2S,2Sそれぞれから幅方向Y外方に延出する一対の後方フラップ4,4とを有している。また、ナプキン1は、図1,図2に示すように、吸収性本体2の排泄部領域Aの両側部2S,2Sそれぞれから幅方向Y外方に延出する一対のウイング部5,5を有している。
ナプキン1は、図2に示すように、ナプキン1の長手方向に延びる中心線CLに対して左右対称に形成されている。
【0010】
本明細書において、「肌対向面」とは、吸収性本体2などを構成する各部材の表裏両面のうち、装着時に装着者の肌側に配される面であり、「非肌対向面」とは、吸収性本体2などを構成する各部材の表裏両面のうち、装着時に装着者の肌側とは反対側に向けられる面である。
また図中に示すX方向とは、ナプキン1又は吸収性本体2の長手方向と同方向であり、中心線CLに平行な方向である。また、図中に示すY方向とは、ナプキン1又は吸収性本体2の幅方向と同方向であり、中心線CLに垂直な方向である。
また、吸収性本体2の排泄部領域Aとは、装着者の体液排泄部(膣口等)に当接する領域であるが、ナプキン1のように一対のウイング部5を有する生理用ナプキンにおいては、両側部2S,2Sにウイング部5を有する領域でもある。吸収性本体2における、排泄部領域Aよりも前方に位置する領域(生理用ナプキン装着時に排泄部領域Aよりも装着者の前方に配される領域)を前方領域Bといい、排泄部領域Aよりも後方に位置する領域(生理用ナプキン装着時に排泄部領域Aよりも装着者の後方に配される領域)を後方領域Cという。
【0011】
本実施形態のナプキン1について更に詳述する。
一対の後方フラップ4,4を有するナプキン1は、主に夜間用の生理用ナプキンとして用いられる。夜間用の生理用ナプキンは、その装着時間が長時間に亘るため装着中に排泄される液の量も多くなり、多量の液を吸収し保持する高い吸収力及び保持力が必要とされる。そのため、後方フラップ4を有するナプキン1は、ある程度の大きさを有していることが好ましく、その長さは、好ましくは27cm以上であり、更に好ましくは30cm以上である。
後方フラップ4は臀部を覆うように広げたままで下着内面に装着される。
【0012】
吸収性本体2は、図1に示すように、液透過性の表面シート21、液不透過性又は撥水性の裏面シート22及び両シート21,22間に介在配置された液保持性の吸収体23を備えている。
吸収体23は、図2に示すように、前方領域Bから後方領域Cに亘って延在しており、平面視で、前後縁部が丸みを帯びた略長方形状を有している。
表面シート21は、図2に示すように、吸収体23の上面の全域を被覆している。表面シート21の前後端部は、丸みを帯びており、吸収体23の前後端部それぞれから長手方向Xに延出している。表面シート21の両側縁部は、長手方向Xに沿う直線状であり、吸収体23の両側縁部それぞれから幅方向Yに若干延出しているが、裏面シート22の側縁部よりは中心線CL寄りに離間している。
【0013】
裏面シート22は、吸収体23の下面の全域を被覆している。裏面シート22の前後端部は、丸みを帯びており、吸収体23の前後端部それぞれから長手方向Xに延出している。裏面シート22の両側縁部は、吸収体23の両側縁部それぞれから幅方向Yに延出している。
また、裏面シート22の非肌対向面側には、吸収性本体2とショーツ等の下着のクロッチ部の上面(内面)とを止着するためのズレ止め剤(図示せず)が設けられている。ズレ止め剤は粘着剤等から形成される。
【0014】
吸収体23は、ナプキン1においては、図2,図3に示すように、上部吸収体231と、上部吸収体231の非肌対向面側に配される下部吸収体232とからなる2層構造を有している。上部吸収体231は、平面視で、下部吸収体232よりも長さ及び幅が短くなっており、下部吸収体232には接合されていない。また、上部吸収体231は、排泄部領域Aに配されており、上部吸収体231は、吸収性本体2の排泄部領域Aに、いわゆる中高領域を形成する。このように、ナプキン1においては、吸収体23に中高領域が形成されているので、中高領域を形成する上部吸収体231の長手方向Xに沿う両側部を起点に剛性差が発生し、吸収体23(下部吸収体232)が幅方向Yに折れ曲がり易く、後述する立体ギャザー3が吸収性本体2の長手方向Xに亘って連続して形成され易い。
【0015】
ナプキン1は、上述したように主に夜間用の生理用ナプキンであり、夜間用の生理用ナプキンの中でも、特にフィット感・柔軟性の向上を考慮した、厚みの薄い薄型ナプキン(スリムナプキン)である。ナプキン1の厚みは主に吸収体23の厚みが寄与している。
上述したように、ナプキン1は、上部吸収体231により吸収性本体2の排泄部領域Aに中高領域を有しているが、中高領域(上部吸収体231と下部吸収体232とを重ねた領域)における厚みが、好ましくは4.5mm以下、更に好ましくは3.0mm以下である。また、吸収性本体2の厚みは、前方領域B及び後方領域C(下部吸収体232のみの領域)において、好ましくは3.0mm以下、更に好ましくは2.0mm以下である。吸収性本体2の厚みがこのような範囲に設定されていると、装着時に違和感が生じ難く、身体の前後方向に沿って更にフィットし易くなる。
【0016】
吸収性本体2の厚みは、以下の測定方法により測定される。
〔厚みの測定方法〕
製品(生理用ナプキン全体)を平らな場所にシワや折れ曲がりがないように静置し、吸収性本体2の排泄部領域A、前方領域B又は後方領域Cにおける吸収体が配されている領域の上面に、5cN/cm2の荷重を掛け、その状態下での厚みを測定する。製品装着時の装着圧は、身体の部位、個人差、状態(座っている/動いている)等により異なるが、排泄部領域Aの中央域では、ショーツ等の衣類を装着する以外に外圧が掛らない状態において、無荷重〜5cN/cm2の荷重となるため、この荷重(5cN/cm2)での測定を行なった。厚みの測定には、厚み計としてPEACOCK DIAL PRIGHT GAUGES R5−C(OZAKI MFG.CO.LTD.製)を用いた。また、厚み計の先端部と製品との間の測定部分にプレート(厚さ5mm程度のアクリル板)を配置して、その荷重が5cN/cm2となるようにプレートの大きさを調整する。プレートの形状は、円形又は正方形とする。
【0017】
表面シート21には、図1,図2に示すように、表面シート21から下部吸収体232までが一体的に圧密化されて形成された圧搾溝24が設けられている。圧搾溝24は、高い圧搾により深く凹んだ部分と低い圧搾により浅く凹んだ部分とからなる段構造を有している。ナプキン1の圧搾溝24は、図2に示すように、表面シート21の上面における、後述するサイドシート31によって被覆されていない領域に形成されており、上部吸収体231の外周縁よりも外方において上部吸収体231を包囲するように形成されている中央圧搾溝241と、中央圧搾溝241よりも前方側に形成されている前方圧搾溝242と、中央圧搾溝241よりも後方側に形成されている後方圧搾溝243とを有している。中央圧搾溝241は、長手方向Xの後端に向かって先細り形状に形成されている。前方圧搾溝242は、吸収性本体2の長手方向Xの前端に向かって凸に湾曲した略半円弧状であり、後方圧搾溝243は、吸収性本体2の長手方向Xの後端に向かって凸に湾曲した略半円弧状である。前方圧搾溝242及び後方圧搾溝243は、中央圧搾溝241の外方に設けられており、前方圧搾溝242の長手方向Xの後端及び後方圧搾溝243の長手方向Xの前端が中央圧搾溝241と連結されて閉じた環を形成している。弾性部材32の前後端部の位置は、よりギャザーの起立性を高めるために中央圧搾溝241の前端より前方、後端より後方に位置している。
【0018】
後方フラップ4は、図2に示すように、後方領域Cにおいて吸収性本体2の側部2Sから延出している。後方フラップ4は、使用時においては、吸収性本体2から延出した状態で折り返されることなくショーツ等の下着の内面に装着されて用いられるものである。ただし、後方フラップ4は、個装時は生理用ナプキンの個装状態にコンパクトにするために吸収性本体2の上面側又は下面側に折り返してもよい。ナプキン1の後方フラップ4は、後方領域Cに配されており、排泄部領域Aから後方領域Cに向かって幅方向Yの幅が漸次拡がる形状を有している。
【0019】
また、後方フラップ4の非肌対向面側には、下着固定用粘着部41が設けられている。下着固定用粘着部41によって、使用時に、ショーツの内面に配された後方フラップ4を、ショーツの内面に止着できるようになっている。後方フラップ4の下着固定用粘着部41は、図2に示すように、X方向に長い長方形状に形成されている。
【0020】
ウイング部5は、図2に示すように、排泄部領域Aにおいて吸収性本体2の側部2Sから延出している。ウイング部5は、ショーツ等の下着のクロッチ部の下面(外面)側に折り返されて用いられるものである。ウイング部5は、図2に示すように、平面視で、下底(上底よりも長い辺)が中心線CL側に位置する略台形形状を有している。
また、ウイング部5の非肌対向面側には、矩形状のズレ止め剤51が設けられている。ズレ止め剤51によって、使用時に、ショーツのクロッチ部の下面(外面)側に折り返されたウイング部5を、クロッチ部に止着できるようになっている。尚、ナプキン1はウイング部5を備えるタイプであるが、備えないタイプであってもよい。
【0021】
ナプキン1においては、図2に示すように、表面シート21、裏面シート22及び後述するサイドシート31が、それぞれの周縁部に沿って、熱融着によって接合されており、ナプキン1の周縁部に周縁シール部6を形成している。周縁シール部6を形成する熱融着法としては、熱エンボス加工、超音波エンボス加工であってもよく、ホットメルト等の接着剤等により形成されていてもよく、それらの併用であってもよい。
【0022】
ナプキン1は、ナプキン1を長手方向Xに折り曲げて個装する際に形成される個装折り線を3本長手方向Xに間欠的に設けている。このような個装折り線は、図2に示すように、排泄部領域Aを跨いで排泄部領域Aより前方に1本の前方領域個装折り線L1及び排泄部領域Aの長手方向Xの後端近傍に1本の後方領域第1個装折り線L2を有し、さらに後方の後方領域Cに1本の後方領域第2個装折り線L3を有している。即ち、ナプキン1は製品長が長いため、図2に示すように、3本の個装折り線L1,L2,L3で折り曲げられてコンパクトに4つ折り状態に折り曲げられて個装される形態である。図2に示すように、前方領域個装折り線L1は、排泄部前方の折れ線であり、後方領域第2個装折り線L3は、最も後方寄りの折れ線であり、後方領域第1個装折り線L2は、前方領域個装折り線L1と後方領域第2個装折り線L3との間に配される折れ線であり、何れの折れ線L1,L2,L3も、Y方向に平行に延在している。
【0023】
後方領域第1個装折り線L2は、ナプキン1のように一対のウイング部5,5を備える場合には、ウイング部5を横断しないように、ウイング部5よりも後方に配されていることが好ましく、ウイング部5の付け根近傍に前方領域個装折り線L1と後方領域第1個装折り線L2とが配されていることが好ましい。ウイング部5を有しない生理用ナプキンの場合には、前方領域個装折り線L1と後方領域第1個装折り線L2とが排泄部領域Aを横断しないように、排泄部領域Aを挟むように排泄部領域Aより前方寄りの前方領域個装折り線L1と排泄部領域Aより後方の後方領域第1個装折り線L2とが配されていることが好ましい。上述したように、ナプキン1においては、図2に示すように、吸収体23は、排泄部領域Aに中高領域(上部吸収体231)を備えているので、中高領域(上部吸収体231)は、前方寄りの前方領域個装折り線L1と前方領域個装折り線L1に隣り合う後方領域第1個装折り線L2との間に位置している。該後方領域第1個装折り線L2は、排泄部領域Aを跨いだ排泄部領域A後側近傍に形成される。近傍とは、中高部を有する場合は、中高い段差から0〜20mm、好ましくは1〜10mm程度の長手方向領域を言う。
【0024】
一対の立体ギャザー3,3それぞれは、吸収性本体2の側部2Sの肌対向面側に吸収性本体2の全長に亘って設けられたサイドシート31と、サイドシート31の自由端部31fに伸長状態で固定された弾性部材32とを備えている。詳述すると、サイドシート31は、図2に示すように、吸収性本体2の肌対向面側の側部2Sを被覆しており、吸収性本体2の肌対向面側における側部2Sに、吸収性本体2の長手方向Xに沿って前方領域Bから後方領域Cの全長に亘って設けられている。
【0025】
サイドシート31は、図2に示すように、幅方向Yの内方側において表面シート21側に2つ折りされて、自由端部31fを形成している。このように形成された自由端部31fは、図3に示すように、2層領域となっており、その折返し部付近に伸長状態の弾性部材32を長手方向Xに沿って固定している。ナプキン1において、サイドシート31の2層領域は、表面シート21の幅方向Yの外方端と略同じ位置まで、言い換えれば、後方フラップ4及びウイング部5に至らない範囲で形成されている。従って、後方フラップ4及びウイング部5それぞれは、1層のサイドシート31及び裏面シート22により形成されている(図3参照)。図3に示すように、サイドシート31に配された伸長状態の弾性部材32から幅方向Y外方に離間した位置(サイドシート31が2層領域となっている領域の幅方向Y外方端部)においては、2層領域のサイドシート31、表面シート21及び裏面シート22を熱融着して形成された接合部33が配されている。接合部33は、前方領域Bから後方領域Cに亘って吸収性本体2の長手方向Xに直線状に延びて形成されており、その幅方向Yの内方端(中心線CL側の端)が、サイドシート31が起立する際の起立基端となる。また、接合部33は、吸収性本体2と、後方フラップ4又はウイング部5との境界線となる。接合部33は、ナプキン1においては、熱融着により形成されているが、ホットメルト等の接着剤等により形成されていてもよく、それらの併用であってもよい。
【0026】
ナプキン1Aにおいては、立体ギャザー3を起立させる観点から、サイドシート31の自由端部31fに弾性部材32を1本配しており、1本の弾性部材32を伸長状態で固定している。1本の弾性部材32としては、糸状や帯状の天然ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン−ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン等のポリエチレン−αオレフィン共重合体等からなる材自体が伸縮性を有する弾性材を用いることが好ましく、糸状の弾性材を用いた際のサイズとしては、470dtex以下であることが好ましく、400〜280dtexであることが更に好ましい。このようなサイズの弾性部材32を、105%〜170%の伸長倍率となるように比較的低伸長状態で配することが好ましい。
【0027】
また、サイドシート31における弾性部材32の前方端部の表面シート21との固定部34bが、排泄部前方の前方領域個装折り線L1よりも前方に位置し、サイドシート31における弾性部材32の後方端部の表面シート21との固定部34cが、最も後方寄りの後方領域第2個装折り線L3よりも後方に位置している。固定部34b,34cにより、サイドシート31の2層領域に固定された伸長状態の弾性部材32の長手方向X両端部が、それぞれ、サイドシート31を介して表面シート21と固定され、弾性部材32が伸長状態に保たれる。サイドシート31における弾性部材32は、弾性部材32の前方端部の固定部34bと弾性部材32の後方端部の固定部34cとの間において、表面シート21と固定されておらず、立体ギャザー3は、吸収性本体2の長手方向Xに亘って連続して形成されている。固定部34b,34cの形成方法としては、熱シール、超音波シールであってもよく、ホットメルト等の接着剤等により形成されていてもよく、それらの併用であってもよい。
【0028】
一対の立体ギャザー3,3それぞれは、弾性部材32の収縮による力でサイドシート31の自由端部31fが表面シート21から離間して形成されている。
立体ギャザー3の収縮状態は、以下の測定法により測定することができる。
弾性部材32は、長手方向Xにおいて、比較的低い伸長力で配置されていることが好ましく、具体的には2.5〜10cNであることが好ましく、3.0〜7.5cNであることが更に好ましい。更に立体ギャザー3の長手方向Xにおける収縮率は、6g
荷重時で15〜5%であることが好ましく、12%〜7.5%であることが更に好ましい。サイドシート31における弾性部材32が、固定部34b及び固定部34cの間において表面シート21と固定されておらず、立体ギャザー3が、吸収性本体2の長手方向Xに亘って連続して形成されており、弾性部材32の収縮力で起立しているので、立体ギャザーが起立し過ぎて、違和感を装着者に与え難い。
【0029】
〔弾性材32の伸長力と立体ギャザー3の収縮率の測定法〕
弾性材32の伸長力については、テンシロン引張り試験機〔型番:RTA−100、(株)オリエンテック社製〕を用いて、ナプキンの長手方向Xに対応する方向に伸長させる。初期チャック間距離は、伸長前の自然長の状態で50mmとし、弾性材の両端部をそれぞれチャックに挟む。
次いで、クロスヘッド移動速度300mm/minの条件で、伸長させ初期チャック間距離に対して、伸長率5%ごとの引っ張り力を読み取り引っ張り曲線を作成する。製品に配置する伸長率に合わせ引っ張り力を読み取り、伸長力とする。
立体ギャザー3の収縮率については、図2に示すように生理用ナプキンを伸長させて固定し、伸長状態の生理用ナプキンから伸長状態の立体ギャザー3を、伸長状態の弾性部材32が固定された自由端部31fが入るように、幅方向Yに3mm以上、長手方向Xに50mmの位置に目印を付け、その部位を含んだ状態で長手方向Xに70mm以上にカットして取り出す。取り出したカットサンプルを50mmの目印の上端にクリップを取りけるなどして試験台に固定し、下端部にクリップと錘を吊り下げ荷重6gとしたときの伸長さ(H1)を測定する。
(H1−50)×100/50=収縮率(%)として、収縮率を算出する。
【0030】
ナプキン1について詳述すると、弾性部材32の前方端部の固定部34bと排泄部前方の前方領域個装折り線L1との間隔は、前方寄りの前方領域個装折り線L1と隣り合う後方領域第1個装折り線L2と弾性部材32の後方端部の固定部34cとの間隔よりも短く形成されている。弾性部材32の固定部34b,34cと個装折り線L1,L2との配置関係が前述のように配されていることにより、ナプキン1においては、1本の弾性部材32を低伸長状態で用いたとしても、立体ギャザー3が、吸収性本体2の長手方向Xに亘って連続して形成され易く、また、排泄部領域Aより前に該当する前方領域Bでは比較的曲率が小さく、排泄部領域Aより後方の後方領域Cでは曲率が大きい体の形状に沿いやすいナプキンの立体形状も提供できる。
【0031】
また、ナプキン1について詳述すると、弾性部材32の前方端部の固定部34bと前方領域個装折り線L1との間隔は、立体ギャザー3が吸収性本体2の長手方向Xに亘って連続して起立し易い観点から、10〜25mmであることが好ましく、10〜17.5mmであることが更に好ましい。同様の観点から、前方領域個装折り線L1は、ナプキン1の長手方向Xの前方端(丸みを帯びたナプキン1の前方端部の先端)からの間隔が35〜70mmであることが好ましく、55〜70mmであることが更に好ましい。
弾性部材32の後方端部の固定部34cと最も後方寄りの後方領域第2個装折り線L3との間隔は、立体ギャザー3が吸収性本体2の長手方向Xに亘って連続して起立し易い観点から、10〜25mmであることが好ましく、10〜17.5mmであることが更に好ましい。同様の観点から、後方寄りの折れ線L3も、ナプキン1の長手方向Xの後方端(丸みを帯びたナプキン1の後方端部の先端)からの間隔が35〜70mmであることが好ましく、55〜70mmであることが更に好ましい。
【0032】
一対の後方フラップ4,4それぞれには、後方フラップ4を下着に固定する下着固定用粘着部41が配されており、下着固定用粘着部41は、後方寄りの後方領域第2個装折り線L3よりも前方に位置している。詳述すると、ナプキン1においては、矩形状の下着固定用粘着部41が、ナプキン1の長手方向Xにおいては、後方領域第2個装折り線L3よりも前方に配されており、ナプキン1の幅方向Yにおいては、接合部33よりも外方であって、接合部33と周縁シール部6との間に配されている。このような位置に後方フラップ4の下着固定用粘着部41が配されていることにより、立体ギャザー3の起立性を維持しながら、後方フラップ4の捲れを防止することができる。
【0033】
立体ギャザー3を構成するサイドシート31は、図2に示すように、弾性部材32の前方端部の固定部34bよりも前方において、及び弾性部材32の後方端部の固定部34cよりも後方において、それぞれ、波状のシール線7により表面シート21に固定されている。波状のシール線7を形成することにより、ナプキン1の長手方向Xの端部に剛性を付与でき、弾性部材32によるナプキン1の長手方向Xの端部の捲れを防止することができる。このような観点から、シール線7のシール幅は、4〜8mmであることが好ましく、7mm程度であることが更に好ましい。波状のシール線7の幅方向Y内方側(中心線CL側)の振幅は、図2に示すように、少なくとも一部が、サイドシート31の2つ折り端部を越えて内方(中心線CL寄り)に配されていることが好ましく、波状のシール線7の幅方向Y外方側の振幅は、少なくとも一部が、接合部33を越えて外方に配されていることが好ましい。シール線7は、その振幅が上記を満たせば、波状に限定されることなく、他の形状であってもよい。シール線7は、熱シール、超音波シールであってもよく、ホットメルト等の接着剤等により形成されていてもよく、それらの併用であってもよい。
【0034】
上述したナプキン1の形成材料について説明する。
表面シート21、裏面シート22、吸収体23としては、生理用ナプキン等の吸収性物品において従来用いられている各種の材料などを特に制限なく用いることができる。
例えば、表面シート21としては、単層又は多層構造の不織布や、開孔フィルム等を用いることができる。裏面シート22としては、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。吸収体23としては、パルプ繊維等の繊維の集合体(不織布であっても良い)又はこれに吸水性ポリマーの粒子を保持させてなる吸収性コアを、透水性の薄紙や不織布からなるコアラップシートで被覆したものや、各種公知のポリマーシート等を用いることができる。また、シート状の比較的薄い吸収体23を用いることで、個装折り線L1,L2,L3は折り癖がつきやすくなり、より立体ギャザー3の起立性は向上する。
【0035】
サイドシート31としては、生理用ナプキン等の吸収性物品において従来用いられている各種の材料などを特に制限なく用いることができる。
例えば、サイドシート31としては、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。その他の材料としては、例えば、スパンボンド不織布、スパンボンド不織布(S)とメルトブロー不織布(M)とが複合化されたシート(例えばSM、SMS、SMMS等)、ヒートロール不織布、エアスルー不織布等の撥水性(疎水性)不織布が挙げられる。SM、SMS、SMMS等の複合化されたシートを用いると、平滑性による滑らかな感触と、不織布物性(強度等)が良好であるため低目付での使用が可能となり、弾性部材が低伸長力で配置されても起立性が良好となる点で好ましく、エアスルー法により作られた不織布を用いると低坪量でも厚みが得られやすく、クッション性が良好となる点でギャザー起立性は更に良好となる。
また、ナプキン1においては、吸収性本体2における吸収体23と裏面シート22との間も接着剤によって接合することが好ましい。この接着剤は、スパイラルパターン等のパターン塗工によって低坪量に塗工することが好ましい。
【0036】
上述した本発明の吸収性物品の実施形態であるナプキン1(以下、「ナプキン1」ともいう。)を使用した際の作用効果について説明する。
ナプキン1において、図1に示すように、立体ギャザー3を構成するサイドシート31における弾性部材32の前方端部の固定部34bが、排泄部前方の前方領域個装折り線L1よりも前方に位置し、サイドシート31における低伸長力で配置された弾性部材32の後方端部の固定部34cが、最も後方寄りの後方領域第2個装折り線L3よりも後方に位置しているので、立体ギャザー3は、弾性部材32の収縮によりサイドシート31の自由端部31fが表面シート21から離間して形成されている。その為、製品の略全長に亘って設けた立体ギャザー3がヨレ難く起立性も低下し難く、横漏れを防止できる。また、立体ギャザー3が使用時にめくれ難く、立体ギャザーが起立し過ぎることによるフィット感の低下も生じ難い。
【0037】
また、ナプキン1においては、低伸長力で弾性材32を配置することによってナプキン1Aの特に長手方向Xの前端と後端が立体ギャザー3によって引っ張り上げられ、前端と後端部位に折れや捲れが生じることなく、体にフィットした立体形状の提供が可能となる。
【0038】
本発明の吸収性物品は、上述の実施形態の生理用ナプキンに何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
例えば、上述の実施形態の生理用ナプキン1においては、吸収性物品を折り曲げて個装する際に形成される3本の個装折り線L1,L2,L3を有しているが、3本に限られることなく、3本以上であればよい。
【0039】
本発明の吸収性物品は、生理用ナプキン以外にも、例えば、失禁者用パッド、パンティーライナー等に好適に用いることができる。
【実施例】
【0040】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。
【0041】
〔実施例1〕
実施例1では、上述した図1〜図3に示す生理用ナプキンを作製した。
表面シート21は、図3に示すように、シート状の吸収体23の上面の全域を被覆しており、吸収体23の両側縁それぞれから若干延出した位置に直線状の両側縁を有している。裏面シート22は、吸収体23の下面の全域を被覆し、吸収体23の両側縁それぞれから外方に延出した部分を有し、その延出部分が、サイドシート31と共にナプキン1の両側部にサイドフラップを形成している。サイドフラップ部は、排泄部対向部Aにおいて幅方向外方に大きく延出してウイング部5を形成し、後部領域Cにおいては、後方フラップ4を形成している。シート状の吸収体23は、略長方形状に形成されており、表面シート21と裏面シート22との間に挟まれた状態で固定されている。用いたシート状の下部吸収体232の厚さは1.0mmで、上部吸収体231は、厚さ1.5mmであり、シート状の下部吸収体232に重ね合わせて用いた。
立体ギャザー3は、サイドシート31の内側縁部付近に310dtexの1本の弾性部材32を、140%の伸長倍率で、伸長力4.0cNとなるように配し、該弾性部材32を内側縁部で折り返したサイドシート31で挟み、ホットメルト型粘着剤で固定した。
立体ギャザー3の収縮率は10%であった。収縮率、伸長力は、上述した〔弾性材32の伸長力と立体ギャザー3の収縮率の測定法〕に基づいて測定した。
弾性部材32の前方端部の固定部34bと前方領域個装折り線L1との間隔は、15mmであり、前方領域個装折り線L1は、ナプキン1の長手方向Xの前方端からの間隔が65mmであった。また、弾性部材32の後方端部の固定部34cと後方領域第2個装折り線L3との間隔は、15mmであり、折れ線L3は、ナプキン1の長手方向Xの後方端からの間隔が55mmであった。シール線7のシール幅は、7mmであった。
【0042】
〔実施例2〕
実施例2では、実施例1と同様に、上述した図1〜図3に示す生理用ナプキンを作製した。実施例2の生理用ナプキンは、実施例1の生理用ナプキンと比べて、弾性部材32の固定部34b,34cと個装折り線L1,L3との間隔、及び個装折り線L1,L3の配置位置を変更する以外は、実施例1と同様にして作製した。
具体的には、弾性部材32の前方端部の固定部34bと個装折り線L1との間隔は、10mmであり、前方領域個装折り線L1は、ナプキン1の長手方向Xの前方端からの間隔が45mmであった。また、弾性部材32の後方端部の固定部34cと後方領域第2個装折り線L3との間隔は、25mmであり、折れ線L3は、ナプキン1の長手方向Xの後方端からの間隔が65mmであった。
【0043】
〔比較例1〕
比較例1では、実施例1と同様に、生理用ナプキンを作製した。比較例1の生理用ナプキンは、実施例1の生理用ナプキンと比べて、弾性部材32の固定部34b,34cの間で後方領域第1個装折り線L2より製品後方に15mmの位置に中間固定部34dを設けている。固定部34b,34cと個装折り線L1,L3との間隔、及び個装折り線L1,L3の配置位置は、実施例1と同様にして作製した。
具体的には、弾性部材32の前方端部の固定部34bと個装折り線L1との間隔は、15mmであり、前方領域個装折り線L1は、ナプキン1の長手方向Xの前方端からの間隔が65mmであった。また、弾性部材32の後方端部の固定部34cと後方領域第2個装折り線L3との間隔は、15mmであり、折れ線L3は、ナプキン1の長手方向Xの後方端からの間隔が55mmであった。
【0044】
〔比較例2〕
比較例2では、実施例1と同様に、生理用ナプキンを作製した。比較例2の生理用ナプキンは、実施例1の生理用ナプキンと比べて、弾性部材32の固定部34b,34cと個装折り線L1,L3との間隔、及び個装折り線L1,L3の配置位置を変更する以外は、実施例1と同様にして作製した。
具体的には、弾性部材32の前方端部の固定部34bと個装折り線L1との間隔は、30mmであり、前方領域個装折り線L1は、ナプキン1の長手方向Xの前方端からの間隔が65mmであった。また、弾性部材32の後方端部の固定部34cと後方領域第2個装折り線L3との間隔は、7mmであり、折れ線L3は、ナプキン1の長手方向Xの後方端からの間隔が55mmであった。
【0045】
〔評価〕
実施例1〜2、比較例1〜2の各生理用ナプキンについて、下記の方法により、立体ギャザーの起立性について評価した。これらの結果を下記表1に示す。
【0046】
<起立性の評価>
下記を基準に判定した。
曲率半径11cmの湾曲を有する斜面台の底辺の接点S1をナプキンの排泄部領域Aの長手方向Xにおける略中央に位置する部位に位置をあわせて静置し(図4参照)、同じく、排泄領域Aの略中央に位置するナプキン本体の表面からメジャーを用いて立体ギャザーの自由端部31fが起立した高さ(T1)を測定する。また、後部領域Cにおいて、後方領域第2個装折り線L3より15mm前方の位置で同様にして立体ギャザー高さ(T2)を測定する。製品前端部および後端部の捲れや折れが発生することなくT1、T2共にその高さが5mm以上あれば、起立性は良好(◎)、3mm以上であれば、やや良好(○)であると判断する。高さが3mm未満および、製品前端部および後ろ端部の捲れや折れが発生した場合は、起立性がよくなく(×)、フィット性が低下し、ギャザーによる漏れ防止効果は期待できない。
【0047】
【表1】

【0048】
表1の結果から明らかなように、実施例1〜2の生理用ナプキンは何れも、比較例1〜2の生理用ナプキンに比べて、立体ギャザー3の起立性が優れていることが分かった。
【符号の説明】
【0049】
1 生理用ナプキン(吸収性物品)
2 吸収性本体
2S 側部
21 表面シート
22 裏面シート
23 吸収体
231 上部吸収体
232 下部吸収体
24 圧搾溝
241 中央圧搾溝
242 前方圧搾溝
243 後方圧搾溝
3 立体ギャザー
31 サイドシート
31f 自由端部
32 弾性部材
33 接合部
34b,34c 固定部
4 後方フラップ
41 下着固定用粘着部
5 ウイング部
51 ズレ止め剤
6 周縁シール部
7 波状のシール線
L1 前方領域個装折り線、L2 後方領域第1個装折り線、L3 後方領域第2個装折り線
A 排泄部領域,B 前方領域,C 後方領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌対向面側に表面シート、非肌対向面側に裏面シート及びそれら両シート間に液保持性の吸収体を備えた縦長の吸収性本体と、該吸収性本体の長手方向に沿う両側部に形成された一対の立体ギャザーと、該吸収性本体における装着者の体液排泄部に当接する排泄部領域より後方の後方領域の両側部それぞれから幅方向外方に延出する一対の後方フラップとを有する吸収性物品であって、
前記吸収性物品を長手方向に折り曲げて個装する際に形成される個装折り線を長手方向に間欠的に設けており、該個装折り線は、前記排泄部領域を跨いで該排泄部領域より前方に1本の前方領域個装折り線及び該排泄部領域の後端近傍に1本の後方領域第1個装折り線を有し、さらに後方の前記後方領域に1本の後方領域第2個装折り線を有しており、
一対の前記立体ギャザーそれぞれは、前記吸収性本体の側部の肌対向面側に該吸収性本体の全長に亘って設けられたサイドシートと、該サイドシートの自由端部に伸長状態で固定された弾性部材とを備え、該サイドシートにおける該弾性部材の前方端部の前記表面シートとの固定部が、前記前方領域個装折り線よりも前方に位置し、該サイドシートにおける該弾性部材の後方端部の前記表面シートとの固定部が、前記後方領域第2個装折り線よりも後方に位置しており、
一対の前記立体ギャザーそれぞれは、前記弾性部材の収縮により前記サイドシートの前記自由端部が前記表面シートから離間して形成されている吸収性物品。
【請求項2】
前記サイドシートにおける前記弾性部材は、該弾性部材の前方端部の前記固定部と該弾性部材の後方端部の前記固定部との間において、前記表面シートと固定されておらず、
前記立体ギャザーは、前記吸収性本体の長手方向に亘って連続して形成されている請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記弾性部材の前方端部の前記固定部と前記前方領域個装折り線との長手方向の間隔は、前記後方領域第1個装折り線と前記弾性部材の後方端部の前記固定部との長手方向の間隔よりも短い請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記弾性部材の前方端部の前記固定部と前記前方領域個装折り線との長手方向の間隔は、10〜25mmである請求項1〜3の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記吸収体は、前記排泄部対向領域に中高領域を備えている請求項1〜4の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
一対の前記後方フラップそれぞれの非肌対向面側には、該後方フラップを下着に固定する下着固定用粘着部が配されており、該下着固定用粘着部は、前記後方領域第2個装折り線よりも前方に位置している請求項1〜5の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記サイドシートは、前記弾性部材の前方端部の前記固定部よりも前方において、及び該弾性部材の後方端部の前記固定部よりも後方において、それぞれ、波状のシール線により前記表面シートに固定されている請求項1〜6の何れか1項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記吸収性物品は生理用ナプキンである請求項1〜7の何れか1項に記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−85829(P2013−85829A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230914(P2011−230914)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】