説明

吸収性粘着剤組成物

【課題】
充分な吸収性と迅速な硬化とを兼ね備えた生体適合性粘着剤を提供する。
【解決手段】
本生体適合性粘着剤組成物は、特定の化学構造のアルキルエステルシアノアクリラートと、特定の化学構造のアルキルα−シアノアクリラートとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノマー及びポリマーの粘着剤及び封止剤(sealant)の組成物に関し、更にそれらの製造及び産業上及び医学上の用途の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
モノマー及びポリマーの粘着剤は、産業上(家庭用を含む)及び医学上の用途の両者において用いられている。これらの粘着剤に含まれるのは、α-シアノアクリラート(α-cyanoacrylates)の様な1,1-二置換エチレンモノマー及びポリマーである。その様なモノマー及びポリマーの粘着性の性質が発見されてから、それらが硬化(cure)する速さ、結果として形成された結合の強さ、更にそれらの使用が比較的容易であるために、それらには広い用途が見出された。これらの特性のために、α-シアノアクリラートの粘着剤は、結合樹脂、ゴム、ガラス、金属、木材、そしてより最近には生物学的な組織など、多くの用途において第一選択となった。
【0003】
1,1-二置換エチレン粘着剤組成物の医学用途には、創傷縫合における外科的な縫合糸や止め金(staple)の代替物又は付属物としての使用のみならず、裂傷、擦り傷、火傷、口内炎、爛れの様な表層の創傷や他の表層の創傷を、覆いかつ保護するための使用も含まれる。この型の粘着剤が適用される時には、通常ではそれはモノマーの型で塗布され、得られる重合化が望まれる粘着性結合を引き起こす。
【0004】
例えば、ポリマー化できる1,1-二置換されたエチレンモノマー、及びその様なモノマーからなる粘着剤組成物は、Leungらの米国特許No.5,328,687の中に開示されている。その様な組成物をサブストレート(substrate)に適用するための、特に医学的な用途における適切な方法は、例えば、全てLeungらの特許である米国特許番号5,928,611; 5,582,834; 5,575,997及び5,624,669において述べられている。
【0005】
いくつかのα-シアノアクリラート(α-cyanoacrylates)は非常に反応性が高く、空気中に存在する湿気又は動物組織の表面の様な湿った表面を含む、わずかな量の開始剤の存在下においてさえも迅速に重合化する。α-シアノアクリラートのモノマーは陰イオン的に重合可能であるか又はフリーラジカルによって重合可能であるか、若しくは両性イオン又はイオン対によって重合可能であり、ポリマーを形成する。重合化が一度開始したら、モノマーの選択により、硬化の速度は非常に迅速である事から非常に遅い事まである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、全てのシアノアクリラート(cyanoacrylates)が同じ速度で重合化するのではなく、そしてそのために、重合化を引き起こすために種々の開始剤がシアノアクリラートに添加されてきた。例えば、Leungの米国特許番号5,928,611; Kanakuboらの米国特許番号5,902,443; Robinsの米国特許番号4,460,759、Severyの米国特許番号4,378,213; Okamotoらの米国特許番号5,066,743と4,979,993; Puderらの米国特許番号5,262,200; Buckの米国特許番号4,012,402と3,903,055;及びOverhultsの3,940,362は、シアノアクリラートモノマーが種々の開始剤の添加により重合化することを開示している。それらの組成物は、しかしながら、反応が起こるのにわずかな刺激剤又は開始剤しか必要としない反応の触媒のみに向けられている。Liuの米国特許番号5,079,098もまたシアノアクリラートに開始剤を添加することを述べているが、それは結合の増加を促進させることだけを目的にしている。
【0007】
Leungらの米国特許番号5,928,611は潜在的な置換基を多数有している、1,1-二置換エチレンモノマーを広範に開示している。その開示は、有機的なラジカル置換基を有しているエステルシアノアクリラートを換わりに示すと共に、アルファシアノアクリラートに焦点を合わせている。しかしその開示は、特定のシアノアクリラートが有する吸収性の様な、特定の性質を特定するものではない。その開示は、どの開始剤がどのシアノアクリラートと良く働くかについては示していない。全てのシアノアクリラートが全ての開始剤と良く働くわけではない。その開示には、吸収速度も、シアノアクリラート又はその重合した生成物が有する性質に開始剤の選択が及ぼす影響も開示されていない。
【0008】
Kronenthalらの米国特許番号3,995,641は、吸収性のカルバルコキシアルキル2-シアノアクリラートを開示している。その開示では開始剤の使用は議論されていないが、むしろ、血液や他の体液がそのモノマーを重合化することを示している。その開示には、シアノアクリラート又はその重合化生成物の有する性質に、開始剤の選択が及ぼす影響もまた述べられていない。
【0009】
吸収性の粘着剤は、非吸収性の粘着剤に対して、いくつかの条件下において、特にいくつかの医学的な用途において、更なる利点を有している。しかし、いくつかの吸収性のシアノアクリラート接着剤組成物は特に遅い反応動力学を有しており、それによりそれらの外科的な接着剤としての実用上の価値は低減する。そこで、医学的な用途のために充分な吸収性及び迅速な硬化速度を兼ね備えた接着剤組成物の需要はいまだにある。
【0010】
加えて、医学的及び外科的な目的に使用することができる種々のモノマー組成物において、結果として形成されたポリマーフィルムの分解がしばしば問題となる。過去において、ポリマーフィルムの分解速度及び他の化学的な性質を調整することは困難であった。そこで、特定の目的とする使用に合わせて、分解速度及び他の性質が調整できる粘着剤組成物に対しての需要はいまだにある。
【0011】
この分野において、吸収性のシアノアクリラートポリマー材料を作製するためにいくつかの努力がされてきた。例えば、米国特許番号6,224,622は、生体吸収性のコポリマーを含む、生体吸収性のシアノアクリラートに基づいた組織粘着剤を開示する。そのコポリマーは好ましくは、ε-カプロラクトン、ラクチッド(lactide)及びグリコライド(glycolide)モノマーから、又は2-シアノアクリラート、グリコライド、ラクチッド、ε-カプロラクトンモノマーから得られる。その粘着剤は増加した生分解性、増加した粘度、及び増加した柔軟性を有していると述べられている。その粘着剤は創傷及び切創の縫合に、及びインプラントを含む医学装置に有用である。その粘着剤はシアノアクリラートモノマー又はシアノアクリラートモノマー類の混合物を含むことがあり、そこでシアノアクリラートモノマー又はモノマ−類は、アルキル2-シアノアクリラート、アルケニル2-シアノアクリラート、アルコキシアルキル2-シアノアクリラート、及びカルバルコキシアルキル2-シアノアクリラートからなる群から選択され、ここで前記シアノアクリラートモノマーのアルキル基は1から16個の炭素原子を有している。
【0012】
WO 00/72761は、グリコライド、ラクチッド、ε-カプロラクトン、ジオキサノン、トリメチレンカルボネート、アルキレングリコール、及びシアノアクリラートとのエステルアミドを含んでいる、吸収性材料の混合物もまた開示している。その材料の混合物は吸収性であって、かつ柔軟性と粘着性を与えるものであり、また受け入れることができる粘度と硬化時間を維持していると述べられている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明はその実施態様において、シアノアクリラート、アルキルエステルシアノアクリラートのサブクラスに基づくものであり、それらは例外的な粘着特性を有しており、更に加えて毒性は最小から無毒であって、のみならず生体に吸収可能である。本発明の生体適合性粘着剤の利点には、適用が容易且つ迅速であることが含まれ、それは微生物の生育を阻害することを伴うこともあり、かつ、縫合糸や止め金(staple)より低価格である。本発明は、生体組織に生体適合性の粘着組成物を適用することからなる、生体組織を治療する方法を提供するものであって、該粘着組成物は、少なくとも一つのアルキルエステルシアノアクリラートモノマー及び重合化開始剤又は促進剤からなり、ここで重合化開始剤又は促進剤は四級アミンである。アルキルエステルシアノアクリラートと四級アミンの組み合わせは、吸収性と共に望ましい反応動力学を提供する。
【0014】
他の態様において本発明は、少なくとも2つの異なったモノマー種の混合物からなる生体適合性の粘着剤組成物を提供し、ここで一つのモノマー種が作製するポリマーは、単独で使用された時に、他のモノマー種によって作製されたポリマーよりも吸収性が高い。その組成物は生体組織を治療する方法において使用することが可能であって、該方法は、該生体適合性の粘着性組成物を生体組織に適用し、かつその組成物を重合化させることからなる。吸収が速いモノマー種と非吸収性モノマー種(又は吸収性が低いか吸収が遅い)を組み合わせることにより、結果として形成されたポリマーの分解速度の調節と調整をすることができる。
【0015】
この発明において、「吸収性」又は「吸収性粘着剤」といった用語、又はその変形である用語は、組織適合性材料が、埋め込まれて(implantation)からある時間後に、生体から除去される又はその中で代謝される産物に分解又は生物分解される能力を意味する。そこで、この中で用いられるように、吸収性とは、完全又は部分的にせよ、該粘着剤を適用した後に、組織により重合化した粘着剤が吸収され得ることを意味する。同様に、「非吸収性」又は「非吸収性粘着剤」という用語、又はその変形である用語は、完全にせよ部分的にせよ、その粘着剤を適用した後に、組織によって完全に又は実質的に吸収され得ないことを意味する。更に、「より速い吸収」及び「より遅い吸収」というような相対的な用語は、二つのモノマー種に関して用いられ、一つのモノマー種から作製されたポリマーが、他のモノマー種から形成されたポリマーよりも速く(又は遅く)吸収されることを示す。
【0016】
本発明において、「実質的に吸収される」という用語は、約3年以内に少なくとも90%が吸収されることを示す。同様に「実質的に吸収されない」という用語は、約3年以内の吸収が多くても20%であることを示す。
【0017】
本発明において、「生体適合性」という用語は、医学的な装置の要件に適切であってかつ適合し、長期間又は短期間のインプラントとして、又はインプラントではない用途に用いられる材料を意味し、例えば目的とする位置に埋め込まれたときに、受け入れがたい反応を引き起こすことなく、その材料が目的とする機能を必要な期間の間に発揮するようなものである。長期間のインプラントは、30日間以上埋め込まれる品目であると規定される。
【0018】
本発明は販売可能なパッケージからなるキットもまた提供するものであり、該パッケージは、少なくとも一つのシアノアクリル酸アルキルエステルモノマーと重合化開始剤又は促進剤を含む第一の容器を含み、ここで該重合化開始剤又は促進剤は、例えば四級アミンである。他の実施態様においては、該キットは、第一のモノマー種を含む第一の容器、及び第二のモノマー種を含む第二の容器からなる販売可能なパッケージからなることもあり、第二のモノマー種は第一モノマー種の吸収速度とは異なる吸収速度を有している。代わりに、第一のモノマー種と第二のモノマー種が同じ容器に入っていることもある。もし望むならば、該キットは重合開始剤又は促進剤を含む第三の容器もまた備えることもある。
【0019】
本発明は、生体適合性粘着剤組成物を生体組織に適用することからなる、生体組織を治療する方法もまた提供する。上記のように、該生体適合性粘着剤組成物は、重合開始剤又は促進剤と少なくとも一つのシアノアクリル酸アルキルエステルモノマーからなる組成物であって、該シアノアクリル酸アルキルエステルモノマーには、例えばブチルラクトイルシアノアクリラートモノマー、又はブチルグリコロイルシアノアクリラートモノマーがある。あるいは、該生体適合性粘着剤組成物は、少なくとも二つの異なったモノマー種の混合物からなる組成物であることもあり、ここで一つのモノマー種は他のモノマー種によって作製されるポリマーよりもより速い吸収を作るものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、充分な吸収性と迅速な硬化とを兼ね備えた生体適合性粘着剤が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
吸収性シアノアクリラートは、それらには限定されるものではないが、内臓(internal organ)や血管を含む種々の生体組織における創傷の縫合や止血密閉及び類似のものにおいて広範な用途を有する。これらの吸収性処方は、種々の器官や組織の内部又は外部に適用できる。
【0022】
本発明の粘着剤は生体適合性であり、生体組織中又は生体組織上に、内的に又は外的に適用することができる。
【0023】
実施態様において、本発明は下記の化学式を有する少なくとも一つのアルキルエステルシアノアクリラートモノマーを提供し、
【0024】
【化1】


ここでRとRは独立した水素、直鎖の、分枝した又は環状のアルキル基であるか、又は環状アルキル基中で連結しており、かつRは直鎖の、分枝した又は環状のアルキル基である
【0025】
本発明はまた、四級アミン重合開始剤又は促進剤のモノマーとの使用もまた提供するものであり、その四級アミン重合開始剤又は促進剤は例えば下記の化学式を有し、
【0026】
【化2】


ここで、R4、R5、R6とR7は各々独立した水素又は置換された又は置換されていない直鎖の、分枝した又は環状のアルキル基;置換された又は置換されていない芳香族環;置換された又は置換されていないアラルキル(aralkyl)基;若しくは一つ又はそれ以上の、酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子の官能特性(functionalities)を含む、置換された又は置換されていないアルキル基又は芳香族基であり、;かつX−は塩素、臭素、又はフッ素等のハロゲン化合物、又は水酸化等の陰イオンであり;好適な四級アミン開始剤には、これらに限定されるものではないが、臭化ドミフェン、塩化ブチリルコリン(butyrylcholine chloride)、臭化ベンザルコニウム及び塩化アセチルコリンが含まれる。
【0027】
本発明は、少なくとも一つのアルキルエステルシアノアクリラートモノマー及び重合開始剤又は促進剤からなる生体適合性粘着剤組成物を生体組織に適用することからなる、生体組織を治療する方法を提供するものであり、ここでその重合開始剤又は促進剤は四級アミンである。本発明はまた、少なくとも二つの異なったモノマー種からなる生体適合性粘着剤組成物を生体組織に適用することからなる、生体組織を治療する方法を提供するものであり、ここで異なったモノマー種は異なった吸収又は分解速度を有し、適切な重合開始剤又は促進剤の適用と共に若しくは適用に先立って又は適用に引き続いて、必要に応じて該組成物は適用される。実施態様において、好ましくはモノマー種の一つはアルキルエステルシアノアクリラートモノマーであり、かつ、他のモノマー種はアルキルエステルシアノアクリラート又はアルキルエーテルシアノアクリラート以外のシアノアクリラートモノマーであって、例えばアルファシアノアクリラートモノマーである。
【0028】
本発明の好適なモノマー組成物とそれから形成されたポリマ−は、組織粘着剤、出血の防止ための又は開いた創傷を覆うための封止剤(sealant)に、更に他の生物医学的用途において有用である。それらは、例えば、体液の漏出、組織の接近、外科的に切開した又は外傷によって裂かれた組織の付着を防止すること;創傷からの血流を遅延すること;薬物を送達すること;火傷に包帯を巻くこと;皮膚又は他の表面若しくは深部の組織表層の創傷(例えば擦り傷、擦りむいた又は生の皮膚、及び/又は口内炎)に包帯を巻くこと;及び生体組織の修復と再生を助けること、などに使用される。本発明のモノマー組成物とそれから形成されたポリマーは、種々の生体組織及び内臓の創傷を閉じるのに広範な用途を有し、かつ、例えば種々の器官又は組織の内部又は外部に適用することができる。本発明のモノマー組成物とそれから形成されたポリマーは、例えばゴム、プラスティック、木材、複合材料(composite)、布地(fabrics)、及び他の天然及び合成材料を接着するなどの、産業上及び家庭内における用途においても有用である。
【0029】
本発明において用いられるモノマーは容易に重合可能であり、例えば、陰イオン的に重合可能であるか又はフリーラジカルにより重合可能であるか、又は両性イオン又はイオン対によって重合可能であって、ポリマーを形成する。その様なポリマーは、例えば、Leungらの米国特許番号5,328,687において開示されており、ここでその文献の全体は参照文献としてこの中に挿入される。
【0030】
アルキルエステルシアノアクリラートは、Kronenthalらの米国特許番号3,995,641の中において述べられた方法によって調製することができ、ここでその文献の全体は参照文献としてこの中に挿入される。Kronenthalらの方法において、その様なシアノアクリラートモノマーを調整するにあたり、アルファシアノアクリル酸のアルキルエステルをサイクリック1,3-ジエンと反応させ、ジエルス−アルダー付加物(adduct)を形成し、その後そのジエルス−アルダー付加物をアルカリ加水分解し、次いで酸性化して対応するアルファシアノアクリル酸付加物を形成する。そのアルファシアノアクリル酸付加物は、好ましくはアルキルブロモアセテートによってエステル化され、対応するカルバルコキシアルファ−シアノアクリラート付加物が得られる。代わりに、アルファシアノアクリル酸付加物は、チオニルクロライドと反応することによって、アルファ-シアノアクリリルハロゲン化合物付加物に変換する。そして、該アルファ-シアノアクリリルハロゲン化合物付加物を、アルキルヒドロキシアセテート又はメチル置換されたアルキルヒドロキシアセテートと反応させ、対応するカルバルコキシメチル アルファ-シアノアクリラート付加物又はカルバルコキシアルキル アルファ-シアノアクリラート付加物がそれぞれ得られる。サイクリック1.3-ジエン保護基を最終的に除去し、カルバルコキシメチル アルファ-シアノアクリラート付加物又はカルバルコキシアルキル アルファ-シアノアクリラート付加物は、わずかに量が不足した無水マレイン酸の存在下でそれらの付加物を加熱することにより、対応するカルバルコキシアルキル アルファ-シアノアクリラートに変換される。
【0031】
アルキルエステルシアノアクリラートは、アルキルシアノアセテート又はアルキルエステルシアノアセテートを、パラホルムアルデヒドと共にクネ―フェナーゲル反応を行うことによって調製される。これをシアノアクリラートオリゴマーへと導く。引き続いてそのオリゴマーを熱分解することにより、シアノアクリラートモノマーが形成される。更に蒸留した後に、高純度(95.0%以上、好ましくは99.0%以上、より好ましくは99.8%以上)のシアノアクリラートモノマーが得られる。
【0032】
水分含量が低く、かつ本質的に不純物を含まずに(例えば、外科的な純度)調製されたモノマーは、生物医学的な用途に好適である。産業的な目的のために使用されるモノマーは、それ程純粋である必要はない。
【0033】
好適なアルキルエステルシアノアクリラートモノマーは、下記の化学式を有し、
【0034】
【化3】


ここでRとRは独立した水素、直鎖の、分枝した又は環状のアルキル基であるか、又は環状アルキル基中で連結しており、かつRは直鎖の、分枝した又は環状のアルキル基である。好ましくは、Rは水素あるいはメチル又はエチルなどの炭素数1、2、又は3のアルキル基であり;Rは水素あるいはメチル又はエチルなどの炭素数1、2、又は3のアルキル基であり;Rは炭素数1から16のアルキル基であり、より好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル又はデシルなどの炭素数1から10のアルキル基であり、なおより好ましくは炭素数2、3又は4のアルキル基である。
【0035】
好ましいアルキルエステルシアノアクリラートの例には、それらに限定されるものではないが、ブチルラクトイルシアノアクリラート(BLCA)、ブチルグリコロイルシアノアクリラート(BGCA)、イソプロピルグリコロイルシアノアクリラート(IPGCA)、エチルラクトイルシアノアクリラート(ELCA)、及びエチルグリコロイルシアノアクリラート(EGCA)が含まれる。BLCAは上記の化学式(I)によって示されるが、ここでRは水素、RはメチルであってRはブチルである。BGCAは上記の化学式(I)によって示されるが、ここでRは水素、Rは水素であってRはブチルである。IPGCA上記の化学式(I)によって示されるが、ここでRは水素、Rは水素であってRはイソプロピルである。ELCAは上記の化学式(I)によって示されるが、ここでRは水素、RはメチルであってRはエチルである。EGCAは上記の化学式(I)によって示されるが、ここでRは水素、Rは水素であってRはエチルである。本発明において有用な他のシアノアクリラートは、Kronenthalらの米国特許番号3,995,641において開示され、ここでその文献の開示の全体は参照文献としてこの中に挿入されるものである。
【0036】
代わりに又は加えて、本発明はアルキルエーテルシアノアクリラートモノマーの使用を提供するものである。アルキルエーテルシアノアクリラートは下記の一般式を有し、
【0037】
【化4】


ここでRは直鎖の、分枝した又は環状のアルキル基であり、かつR2は直鎖の、分枝した又は環状のアルキル基である。好ましくは、Rはメチル又はエチルなどの炭素数1、2、又は3のアルキル基であり;かつ、Rは炭素数1から16のアルキル基であり、より好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル又はデシルなどの炭素数1から10のアルキル基であり、なおより好ましくは炭素数2、3又は4のアルキル基である。
【0038】
好適なアルキルエーテルシアノアクリラートの例には、それらに限定されるものではないが、イソプロポキシエチルシアノアクリラート(IPECA)及びメトキシブチルシアノアクリラート(MBCA)が含まれる。IPECAは上記の化学式(II)によって示されるが、ここでRはエチレンであってRはイソプロピルである。MBCAは上記の化学式(II)によって示されるが、ここでRはn-ブチレンであってRはメチルである。
【0039】
アルキルエステル及びアルキルエーテルシアノアクリラートは医学的な用途に特に有用であり、なぜならそれらは生体組織および関連した体液により吸収される性質を有するからである。本発明によると、該粘着剤を生体組織に適用した後、約2カ月から24カ月などの2年間未満の期間内に、重合化して適用されたシアノアクリラートの100%が吸収される。代わりに例えば3カ月から18カ月の吸収速度を与えるように調整することも可能であり、3カ月から6カ月、6カ月から12カ月又は12カ月から18カ月も含まれる。もちろん、関連する特定の使用及び組織に依って望みの吸収時間を変えることが可能であるために、本発明は何らかの吸収時間に特に限定されるものではない。そこで、例えば、該粘着剤組成物を骨のような固い組織に適用した場合にはより長い吸収時間が望まれるであろうが、この粘着剤組成物をもっと柔らかい組織に適用したならばもっと速い吸収時間が望まれるであろう。
【0040】
モノマーの選択は、得られるポリマーの吸収速度のみならず、モノマーの重合化速度に影響するであろう。異なった吸収及び/又は重合化速度を有する二つ又はそれ以上の異なったモノマーを組み合わせて使用して、得られるポリマーの吸収速度のみならず、モノマーの重合化速度もより良く制御することができる。そこで、本発明の態様の重要な観点は、モノマー及び開始剤を選択し、重合化速度と吸収速度の両者を、比較的狭くて予想可能な範囲内に制御することにある。
【0041】
本発明の態様によれば、該粘着剤組成物はモノマー種の混合物からなり、ここで一つのモノマー種は吸収性であって且つ他のモノマー種は非吸収性であるか、又は両者のモノマーは吸収性であるが一つのモノマー種は他のモノマー種と比較してより速い吸収又は分解速度を有する。異なった吸収速度を有する2つのモノマー種を用いるときには、吸収速度が十分に異なり、該2つのモノマーの混合物は、それら2つのモノマーにおける個々の吸収速度と事実上異なる第三の吸収速度を与えることが好ましい。そこで、例えば、吸収が速いモノマー種の吸収速度は吸収が遅いモノマー種の吸収速度と比較して、少なくとも10%速いことが好適である。吸収が速いモノマー種の吸収速度は、吸収が遅いモノマー種の吸収速度と比較して、少なくとも25%又は50%、更には75%又は100%速いことはより好ましい。好ましくは、本発明の実施態様によれば、吸収性又は吸収/分解がより速いモノマー種は、アルキルエステルシアノアクリラート又はアルキルエーテルシアノアクリラートであって、一方、非吸収性又は吸収/分解がより遅いモノマー種は、アルキルエステルシアノアクリラート又はアルキルエーテルシアノアクリラートではない。非吸収性又は吸収/分解がより遅いモノマー種は、例えば、1,1-二置換エチレンモノマーのような任意の適切であって且つ生体適合性のモノマー種であり、それに限定されるものではないが、アルファシアノアクリラートのようなシアノアクリラート類が含まれる。
【0042】
より特異的には、非吸収性又は吸収/分解がより遅いモノマー種は、容易に重合できる重合可能なモノマーであり、例えば陰イオン的に重合可能な又はフリーラジカル的に重合可能であるか、又は両性イオン又はイオン対によって重合可能であってポリマーを形成する。その様なモノマーは、例えば、Leungらの米国特許番号5,328,687及び5,928,611、1999年10月29日に出願された米国特許出願番号09/430,177及び1999年12月23日に出願された米国特許出願番号09/471,392に開示されており、ここでその文献の開示の全体は参照文献としてこの中に挿入されるものである。好適なモノマーには、α-シアノアクリラート類の様な1,1-二置換エチレンモノマーが含まれ、それには約1個から20個又はそれ以上の炭素原子、好ましくは約2個から12個又はそれ以上、より好ましくは約3個から8個の炭素原子のアルキル鎖長を有しているアルキルα-シアノアクリラート類が含まれるが、それらに限定されるものではない。そこで、その様な適切なモノマーの例には、それらに限定されるものではないが、オクチル(例えば2-オクチル)、ヘキシル、及びブチルα-シアノアクリラートの様なアルキルα-シアノアクリラート類が含まれる。
【0043】
実施態様において、それぞれのモノマー種を任意の比率で混合し、最終ポリマー材料を望みの分解速度とすることができる。そこで、例えば、非吸収性又は吸収が遅いモノマーに対する吸収が速いモノマーの重量部として、適切な混合比を約1:99から又は約10:90から、約90:1まで又は約99:1まで、いかようにも変えることができる。好ましい比率は、約15:85から約85:15まで、又は約25:75から約75:25までである。例えば、吸収が速いモノマー種と非吸収性又は吸収が遅いモノマー種を、約50:50の重量比で混合することにより、望ましい分解速度を得ることができる。実施態様において、吸収が速いモノマー種と非吸収性又は吸収が遅いモノマー種を、約40:60から約60:40の重量比で混合することにより、適切な組成物を得ることができる。これらの比率は、アルキルエステルシアノアクリラートの比較的速い分解速度と、アルキルα-シアノアクリラート類の様な他のモノマー種の比較的遅い分解速度の間で、望ましいバランスを達成するのに特に有用である。しかし、これらの比率と本発明はいかなる意味においてもその様な組み合わせに限定されるものではない。
【0044】
例えば、本発明における適切な組成物は、適切な量の2-オクチルアルファ-シアノアクリラートを、ブチルラクトイルシアノアクリラート(BLCA)、ブチルグリコロイルシアノアクリラート(BGCA)、イソプロピルグリコロイルシアノアクリラート(IPGCA)、エチルラクトイルシアノアクリラート(ELCA)、及びエチルグリコロイルシアノアクリラート(EGCA)の中の一つと混合することにより調製される。好ましくは、その様な混合物は、重量で約60:40から約40:60など、重量で約75:25から約25:75の比の間で変動する。
【0045】
また、上記の議論は2つの異なったモノマー種のみを含んでいる組成物に関するものであるが、本発明はその様な実施態様に限定されるものではない。むしろ、望まれるように、該モノマー組成物は2つ又はそれ以上の異なったモノマー種を有し、得られるポリマーの吸収/分解速度及び他の特性を更に制御することがある。そこで、例えば、該組成物は2つ、3つ、4つ、5つ又は更にそれ以上の異なったモノマー種を含むことがある。更に2つ以上のモノマー種が用いられるときには、種々のモノマー種の全てが異なった吸収/分解速度を有する必要はないが、しかし、個々のモノマー種が少なくとも2つの異なった吸収/分解速度を与えることが好ましい。
【0046】
いくつかのアルキルエステルシアノアクリラートモノマ−は、嵩高いアルキル基のためにゆっくりと反応するかもしれず、明らかにそれらを外科的な粘着剤として適用するにあたっての制限となっている。それら自身では、アルキルエステルシアノアクリラートは数時間内に硬化するか、又はいくつかの場合においては全く十分には硬化しない。モノマーの重合化が遅いことに関連した問題を解決するために、アルキルエステルシアノアクリラートモノマ−の重合化を開始又は促進する適合する薬剤を、該モノマー組成物と共に使用することができる。アルキルエステルシアノアクリラートと共に使用するのに特に適している開始剤と促進剤は、粘着剤の吸収性を保持しながら速い硬化速度を与える。適切な開始剤又は促進剤によって硬化が促進されたアルキルエステルシアノアクリラートは、数秒から数分もの短い時間における硬化するように作られるかもしれない。硬化速度はシアノアクリラートに添加する、ある量又は濃度の開始剤を選択することにより厳密に制御され、かつ、硬化速度は本開示に鑑みて当業者によって容易に制御されるであろう。適切な開始剤により、モノマーの重合化は定常的に完全に制御可能となり、そのために、特定の用途のために望ましい時間でモノマーの重合化が起こるようになる。その理由のために、四級アミン開始剤又は促進剤は、アルキルエステルシアノアクリラートモノマーと共に用いるのに特に望ましい。
【0047】
開始剤又は促進剤は、粉末又は固形膜のような固体、又は粘性状又はペースト様などの液体の形態に作製することができる。開始剤又は促進剤は、界面活性剤又は乳化剤などの種々の添加剤もまた含むことができる。好ましくは、該開始剤又は促進剤はモノマー組成物中で可溶性であり、及び/又は少なくとも一つの界面活性剤を含むか又は伴い、実施態様において界面活性剤は促進剤又は開始剤がモノマー組成物と共溶出することを補助する。実施態様において、界面活性剤は、モノマー組成物中に開始剤又は促進剤が分散することを助けることがある。
【0048】
開始剤又は促進剤は、モノマー組成物の前に組織に適用されることがあり、又は一度モノマー組成物が組織に適用されたら該モノマー組成物に直接的に適用されることもある。実施態様において、組成物を組織に適用するちょうど前に、開始剤又は促進剤をモノマー組成物と組み合わせることもある。
【0049】
加えて、開始剤又は促進剤の選択は、重合化したモノマーが生体組織に吸収される速度に影響するかもしれない。そこで、最も適切な開始剤又は促進剤は、医学的な用途のために適切な速度でモノマーを重合化し、一方では2年未満に実質的に吸収されるポリマーを与える、というものである。本発明の目的において「医学的な用途に適する」という用語は、開始剤又は促進剤がモノマーを、5分未満又は3分未満、好ましくは2.5分未満、より好ましくは1分未満、かつ多くの場合は45秒未満で重合化することを意味する。もちろん、組成物及び/又は使用が異なると、望ましい重合時間を変えることができる。好ましくは、粘着剤を生体組織に適用してから3カ月から18カ月間又は6カ月から12カ月間など、2カ月から24カ月間に生体に実質的に吸収されるポリマーを提供するのに、適切な開始剤又は促進剤及び適切なモノマーが選択される。
【0050】
本発明は生体組織を治療する方法を提供するものであり、本方法においては、組織を治療するためにアルキルエステルシアノアクリラートモノマーを選択すること;望ましい吸収速度を基にしてモノマーのために適切な重合化開始剤又は促進剤を選択すること;によって選択されたポリマーの吸収速度が提供され、かつ生体組織に該重合開始剤又は促進剤と前記モノマーを適用して吸収性の粘着剤ポリマーを形成する。適切な量の適切な開始剤又は促進剤を本開示に鑑みて選択し、モノマーを組み合わせて、望みの吸収速度を有するポリマーを作製することができる。通常の実験を利用したスクリーニング過程を用いて、望みの反応動力学を有するモノマーと開始剤又は促進剤の組み合わせを同定し、望みの期間の間にインビボで吸収されるポリマーを作製することができる。モノマーのみならず、特に有利な開始剤又は促進剤が本発明の開示によって同定される。そこで、例えばブチルラクトイルシアノアクリラートモノマーを、例えば臭化ドミフェンと重合化し、重合化速度を試験することができる。もし望みの重合化速度が達成できないならば、開始剤又は促進剤の量又は型若しくはモノマーを調整することができる。更に、インビボで動物(ヒトを含む)組織に適用し、吸収速度を測定することによって、ポリマーを試験することができる。
【0051】
例えば創傷を治癒させるのに必要な時間により、対応する一定の吸収速度が望まれるであろう。器官と組織によって治癒時間が変わるために、該粘着剤組成物が吸収速度を制御できることは、創傷が治癒するのに充分な時間のあいだ持続するが、好ましくはこの粘着剤を生体組織に適用してから2年以内という適度な時間の間に吸収されることを保証するのに有利である。そこで本発明によれば、いくつかの方法の中の一つから、粘着材料の吸収速度を選択することができる。最初に望まれる特定のモノマーと開始剤の種を決定することにより、吸収速度を選択することができる。そこで、例えば、モノマーとしてアルキルエステルシアノアクリラートが用いるならば、四級アミンの重合化開始剤又は促進剤のような望みの開始剤又は促進剤を適切に選択することにより、吸収速度を選択することができる。他の実施態様においては、例えば吸収が速いアルキルエステルシアノアクリラートと非吸収性又は吸収が遅いシアノアクリラートが用いられたときなど、モノマー種の混合物が用いられるときには、望みのモノマー材料、及びそれらの相対的な混合比を適切に選択することにより、かつ必要に応じて更に望みの開始剤又は促進剤を適切に選択することにより、吸収速度を選択することができる。
【0052】
好適な態様において、本発明は四級アミンの重合化開始剤又は促進剤の使用を提供するものであり、例えばその四級アミンは下記の化学式を有し、
【0053】
【化5】


ここで、R4、、RとRは各々独立した水素又は置換された又は置換されていない直鎖の、分枝した又は環状のアルキル基;置換された又は置換されていない芳香族環;置換された又は置換されていないアラルキル(aralkyl)基;又は酸素、硫黄、窒素等のようなヘテロ原子の官能特性(functionalities)を一つ又はそれ以上有する事がある置換された又は置換されていないアルキル基又は芳香族基であり;かつXが例えば塩素、臭素、又はフッ素等のハロゲン化合物、又は水酸化等の陰イオンである。好適な態様においては、R4、、RとRの少なくとも一つは、芳香族基及び/又はヘテロ原子の官能特性(functionalities)を有し、その例としては、エーテル又はエステル結合、若しくはそのヘテロ原子が硫黄又は窒素である対応する結合等がある。好適な4級アミン開始剤は、臭化ドミフェン、塩化ブチリルコリン、臭化ベンザルコニウム及び塩化アセチルコリンから成る群から選択される。
【0054】
塩化ベンザルコニウムの様なベンザルコニウムハロゲン化物は、本実施態様において特に好適である。使用される時に、そのベンザルコニウムハロゲン化物は、鎖長が異なった化合物の混合物からなる不純な状態のベンザルコニウムハロゲン化物であることがあり、又は約12個から約18個の炭素原子の鎖長を有するものを含む任意の適切な純化された化合物であることもあり、その化合物には、炭素数12、炭素数13、炭素数14、炭素数15、炭素数16、炭素数17及び炭素数18の化合物が含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0055】
臭化ドミフェンは他の実施態様において好適である。臭化ドミフェンは下記の化学式によって現される。
【0056】
【化6】


塩化ブチリルコリンは下記の化学式によって現される。
【0057】
【化7】

【0058】
上記の4級アミンの様な開始剤又は促進剤は本発明において使用するのに好適であるが、他の開始剤又は促進剤も、過度の実験を行うことなく当業者によって選択されるであろう。その様な適切な開始剤又は促進剤には、それらに限定されるものではないが、以下のものが含まれることがある。それらには、洗浄剤組成物;ポリソルベート20(例えばICIアメリカズのツイーン20(登録商標))、ポリソルベート80(例えばICIアメリカズのツイーン80(登録商標))とポロキサマー(poloxamers)の様な非イオン性界面活性剤、臭化テトラブチルアンモニウムの様な陽イオン性界面活性剤、テトラデシル硫酸ナトリウムの様な陰イオン性界面活性剤、及びドデシルジメチル(3-スルフォプロピル)アンモニウム水酸化物の様な両性又は両性イオン性界面活性剤、内部塩(inner salt)、の様な界面活性剤;イミダゾール、トリプタミン、尿素、アルギニン及びポビディン(povidine)の様なアミン、イミン及びアミド;トリフェニルホスフィン及びトリエチルホスファイトの様なホスフィン、ホスファイト及びホスフォニウム塩;エチレングリコール、没食子酸メチル(methyl gallate)、アスコルビン酸、タンニン及びタンニン酸の様なアルコール類;亜硫酸水素ナトリウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム及び珪酸ナトリウムの様な無機塩基類及び塩類;チオ尿素及びポリスルフィドの様な硫黄化合物;モネンシン、ノナクチン、クラウンエーテル、カリキサレン(calixarenes)及び重合化したエポキシドの様な重合化した環状エーテル類;ジエチルカルボネートの様な環式及び非環式炭酸塩;アリクアット336(Aliquat 336)の様な相転移触媒、コバルトナフテネート及びマンガンアセチルアセトネート(manganese acetylacetonate)の様な有機金属類;及びジ-t-ブチルパーオキシド及びアゾビスイソブチロニトリルの様なラジカル開始剤又は促進剤及びラジカル、がある。
【0059】
実施態様において、3つ、4つ又はそれ以上など、2つ又はそれ以上の開始剤又は促進剤の混合物を使用することができる。多数の開始剤又は促進剤を組み合わせることは、例えば重合可能なモノマー種の開始剤を調整するのに有利である。例えば、モノマーの混合物を用いた時に、単独の開始剤と比較して、開始剤の混合物は優れた結果を与えるかもしれない。例えば、開始剤と促進剤の混合物は、1つのモノマーを優先的に重合を開始する1つの開始剤と他のモノマーを優先的に重合を開始する第二の開始剤を与えることができ、又は両者のモノマー種が等価に又は望まれる場合には非等価に重合を開始することを保証する助けとなる開始速度を与えることができる。この様にして、開始剤の混合物は、必要な開始剤の量を最小化することの助けとなる。更に、開始剤の混合物は、重合化の反応動力学を促進するかもしれない。
【0060】
本発明の特異的な組成物は、アルキルエステルシアノアクリラートと、増粘剤、可塑剤、着色剤、保存剤、熱放散剤(heat dissipating agent)、安定化剤等と種々の組み合わせを有することがあり、それについては下記においてより詳細に述べる。好ましくは、本発明の実施態様によると本発明の組成物は、アルキルエステルシアノアクリラート又はシアノアクリラート類の混合物の様なモノマーを65から99.9重量%有し、0.005から10重量%の開始剤又は促進剤によって重合化が促進される。より好ましくは、本発明の組成物はアルキルエステルシアノアクリラートを80から99.9重量%有し、0.02から5重量%の開始剤又は促進剤により重合化が促進される。更により好ましくは、本発明の組成物は、アルキルエステルシアノアクリラートの様なモノマーを85から99.9重量%有し、該アルキルエステルシアノアクリラートは、例えばブチルラクトイルシアノアクリラート又はシアノアクリラート類の混合物であり、0.05から3重量%の開始剤又は促進剤、例えば臭化ドミフェンによって重合化が促進される。
【0061】
本発明の組成物は、下記の物質の中の少なくとも一つを、該組成物の全重量に基づいて0から25、より好ましくは0から10、例えば0から5重量%含むことがある。その物質には増粘剤、可塑剤、着色剤、保存剤、熱放散剤、安定化剤、及びその様なものがある。もちろん、他の比率/及び又は成分に基づいた他の組成物を、本開示に基づいて本発明の実施態様により容易に調製することができる。
【0062】
本発明の組成物は、他の封止手段と併せて利用することができる。例えば、外科的な縫合糸、テープ、又は止め金(staple)を用いて閉じられた創傷に粘着剤を適用することができる。本発明の粘着剤は他の封止手段と併せて使用することもでき、他の封止手段としては、米国特許番号6,014,714において同定されている様な手段があり、その中における開示の全体は参照文献としてこの中に挿入されるものである。
【0063】
本発明の組成物を、単一的な又は複合的な適用において適用することができる。該粘着剤を第一層中に適用し、その第一層が完全に又は部分的に重合化した後に続く層を加えることができる。創傷の大きさや各適用において適用された粘着剤の量によってその様な過程を何回も行うことができる。
【0064】
モノマー組成物を、それらに限定されるものでないが、ガラス、プラスティック、金属パッケージ、フィルムにより形成されたパッケージを含む材料から組み立てられた任意の型の適切な容器中に詰めることができる。好ましくは、適切な容器には、容器又はモノマー組成物に受け入れがたい損失又は分解が起こることなく、該組成物が分散され且つ滅菌されるものが含まれる。フッ素化の様なハロゲン化後、該容器の少なくとも一つのモノマー接触表面上の重合した障壁層は、モノマー組成物について優れた保管期限を提供し、それは1999年10月29日に出願された米国特許出願番号09/430,289に開示され、その中における開示の全体は参照文献としてこの中に挿入されるものである。乾燥加熱によって滅菌を達成する時にはガラスは特に好適であり、なぜならば、乾燥加熱のために使用される温度において、多くのプラスティックは安定でないからである。容器の型の例には、これらに限定されるものではないが、アンプル、バイアル、シリンジ、ピペット及びその様なものが含まれる。
【0065】
本発明は、吸収性のシアノアクリラート粘着剤、又は各々が異なった吸収速度を有する2つの異なったモノマーを有している、シアノアクリラート粘着剤の混合物を、組織に対して運搬するための販売可能なキットもまた提供するものである。一つの実施態様において、該キットは、少なくとも一つのアルキルエステルシアノアクリラートモノマーを含む第一の容器と、重合開始剤又は促進剤から成る販売可能なパッケージから成り、ここでその重合開始剤又は促進剤は四級アミンである。該キットは、この中で述べられている四級アミンを含んでいる容器を備えることもある。又は、希望する使用を行う前に重合開始剤又は促進剤がモノマーと接触しない限り、第一の容器は重合開始剤又は促進剤を有することもある。
【0066】
他の実施態様において、本発明は、各々が異なった吸収速度を有する2つの異なったモノマ−を有している、シアノアクリラート粘着剤の混合物を組織に運搬するための、販売可能なキットもまた提供する。該キットは、非吸収性のモノマー種と収性のモノマー種の混合物、又は吸収/分解速度が遅いモノマー種と吸収/分解速度が速いモノマー種の混合物、からなるモノマー組成物を含んでいる第一の容器を備える販売可能なパッケージからなる。望む場合又は必要である場合には、該キットは重合化開始剤又は促進剤も含むことがあり、ここで重合化開始剤又は促進剤は少なくとも一つのモノマー種のための重合化開始剤又は促進剤であって、例えば四級アミンである。該キットは、一つ又はそれ以上の他の添加剤を含むことがあり、その様な添加剤には下記において詳細に述べるようなものも含まれる。添加剤が存在するときには、各々の添加剤は独立して、他の添加剤又はモノマー組成物から離して若しくはそれと組み合わせてのいずれかにおいて包装されうる。望むように、異なったモノマー種を分離して又は一緒に適切な容器中に包装することができる。離して包装した場合には、モノマー種の混合比を適切に選択することにより、該キットは使用者に、吸収又は分解速度を調整する選択枝を提供するものである。該キットは、適切な開始剤又は架橋剤を含んでいる第二の容器を備えることもあり、開始剤又は架橋剤にはこの中に述べられている四級アミン等がある。又は、求める使用の前に、開始剤又は促進剤がモノマーと接触しない限り、第一の容器は、容器の中に又はその上に必要に応じて開始剤又は促進剤を有することがある。
【0067】
開始剤又は促進剤は、共に包装された重合性モノマー組成物と関連して機能するように選択され、少なくとも一つの、好ましくは少なくとも全部のモノマー種の重合を開始するか、又はモノマーの重合速度を改変し(例えば促進する)、重合した粘着剤を形成する。開始剤又は促進剤と重合性モノマーの適切な組み合わせは、本発明の開示に鑑みて、当業者は過度の実験をすることなく決定することができる。
【0068】
上記の実施態様の各々において、該キットは、ブラシ、布(swab)、スポンジ等の適切なアプリケーターも含むことがあり、該組成物を生体組織へ適用する助けとなる。もし望むならば、四級アミン又は他の開始剤及び/又は他の添加剤は、アプリケーターの中又はその上に位置することがある。
【0069】
該キットは好ましくは滅菌されるが、しかしながら、その容器と成分は別々に又は一緒に滅菌されることがある。好ましくは、本発明のキットとキット成分(組成物を含む)は、10-3から10-6の滅菌性保証レベル(Sterility Assurance level : SAL)の範囲内の滅菌レベルを有し、外科的な目的において無菌である。その様なキットの種々のデザインが、例えば、1999年8月30日に出願された米国特許出願番号09/385,030の中に開示され、その中における開示の全体は参照文献としてこの中に挿入されるものである。滅菌は当業者に既知の技術によって行われ、これらに限定されるものではないが、好ましくは、この方法には化学的、物理的及び放射線照射の方法が含まれる。物理的な方法には、これらに限定されるものではないが、無菌充填(sterile fill)、濾過、熱による滅菌(乾式又は湿式)及びレトルト缶詰(retort canning)が含まれる。放射線照射法の例には、これらに限定されるものではないが、ガンマ照射、電子ビーム照射、及びマイクロ波照射が含まれる。好適な方法は乾式及び湿式の熱滅菌、及び電子ビーム照射である。組成物が医学的な用途に使用されるべき実施態様においては、その使用可能な期間の間を通じて、滅菌された組成物は生体組織に対して低い毒性を示すべきである。
【0070】
本発明の実施態様において、本発明の組成物をサブストレートに適用するために、任意の適切なアプリケーターを使用することができる。例えば、そのアプリケーターにはアプリケーターボディーが含まれることがあり、該アプリケーターボディーは通常は閉じた末端、開口した末端、中空の内側ルーメンを有する形状のチューブであり、壊すことができるか又は壊れやすいアンプルを保持する。そのアプリケーターとそれに関連したパッケージは、使い捨て又は複数回使用のアプリケーターとして設計されうる。適切な複数回使用のアプリケーターは、例えば、1999年8月30日に出願された米国特許出願番号09/385,030の中に開示され、その中における開示の全体は参照文献としてこの中に挿入されるものである。
【0071】
本発明の実施態様において、アプリケーターは、アプリケーターボディーとアンプル以外の要素を含むことがある。例えば、アプリケーターの開口末端上にアプリケーターチップが提供されることがある。アプリケーターチップ材料は、アンプル内の組成物の適用を促進しかつ容易にするために、本質的に、多孔性、吸収性又は吸着性でありうる。本発明において使用することができるアプリケーターとアプリケーターチップの適切なデザインは、例えば、Leungの米国特許番号5,928,611、1998年4月30日に出願された米国特許出願09/069,979、1998年4月30日に出願された米国特許出願番号09/069,875、2000年1月7日に出願された米国特許出願番号09/479,059、2000年1月7日に出願された米国特許出願番号09/479,060の中に開示され、その中における開示の全体は参照文献としてこの中に挿入されるものである。
【0072】
本発明の実施態様においてアプリケーターは、該アプリケーター又はアプリケーターチップの、該チップの内側と外側を含む、一部表面上に、若しくはアプリケーターの全表面上に開始剤又は促進剤を含むことがある。アプリケーターチップ中に又はアプリケーターチップ上に開始剤又は促進剤を含むとき、該開始剤又は促進剤はアプリケーターチップの表面に適用されるか、若しくはマトリックス中に又はアプリケーターチップの内部部分に染み込ませるか又は挿入されうる。加えて、該開始剤又は促進剤は、例えば、チップの組み立ての間にアプリケーターチップ中に挿入されうる。
【0073】
他の実施態様において、開始剤又は促進剤は、アプリケーターボディーの内部表面上に、及び/又は、アプリケーターボディー中に配置したアンプル若しくは他の容器の外部表面上に被覆されることがあり、第二の壊れやすいバイアル又はアンプルの形でアプリケーターボディー中に置かれることがあり、及び/又は、さもなければ、重合性モノマー組成物と開始剤又は促進剤の関係が非接触性に保たれる限り、粘着剤として使用されるまでアプリケーターボディーの中に納められてもよい。
【0074】
アプリケーターの種々のデザインと、アプリケーター中に開始剤又は促進剤を挿入する方法は、Leungの米国特許番号5,928,611と、1998年4月30日に出願された米国特許出願09/069,979、1998年4月30日に出願された米国特許出願番号09/069,875、1998年9月1日に出願された米国特許出願番号09/145,200と、両者とも2000年1月7日に出願された米国特許出願番号09/479,059と09/479,060の中に開示され、その中における開示の全体は参照文献としてこの中に挿入されるものである。
【0075】
実施態様において、本発明の重合性組成物は、一つ又はそれ以上の適切な又は望ましい添加剤を更に含むことがある。該組成物の中に入れられたり又は該組成物と共に使用されるとき、該一つ又は複数の添加剤も吸収可能であることは、必要ではないにしても好ましい。好ましくは、該添加剤は得られるポリマー材料におよそ匹敵する吸収速度を有するが、しかしながら、もし望むならばより遅い又はより速い吸収速度も使用することができる。
【0076】
本発明における有用な重合性組成物は、該組成物の貯蔵期間を延ばすために、一つ又はそれ以上の保存剤も更に含むことができる。適切な保存剤、及びそれらを選択してそれらを粘着剤組成物中に入れる方法は米国特許出願番号09/430,180の中に開示され、その中における開示の全体は参照文献としてこの中に挿入されるものである。
【0077】
本発明のモノマー組成物は、熱放散剤(heat dissipating agent)も含むことがある。熱放散剤には、モノマー中で可溶性又は不溶性である液体又は固体を含みえる。該液体は揮発性であってかつ重合化の間に蒸発することがあり、それによって該組成物から熱を放出する。適切な熱放散剤は、Leungらの米国特許番号6,010,714の中に見出され、その中における開示の全体は参照文献としてこの中に挿入されるものである。
【0078】
本発明の組成物又は溶液は、モノマーから形成されるポリマーに柔軟性を与える可塑剤を必要に応じて少なくとも一つ含むことがある。該可塑剤は、好ましくは水分をほとんど含まないか又は全く含まず、かつ、モノマーの安定性又は重合化に大きく影響するべきではない。適切な可塑剤の例には、これらに限定されるものではないが、トリブチルシトレート、アセチルトリ-n-シトレート(ATBC)、ポリジメチルシロキサン、ヘキサジメチルシラザン(hexadimethylsilazane)、及び1999年12月23日に出願された米国特許出願番号09/471,392の中に列挙された他のものが含まれ、その中における開示の全体は参照文献としてこの中に挿入されるものである。
【0079】
本発明の組成物又は溶液は、必要に応じて増粘剤も含むことがある。適切な増粘剤には、1999年12月23日に出願された米国特許出願番号09/472,392の中に列挙されたものが含まれ、その中における開示の全体は参照文献としてこの中に挿入されるものである。
【0080】
本発明の組成物又は溶液は、必要に応じて、少なくとも一つのチキソトロープ剤も含むことがある。適切なチキソトロープ剤と増粘剤の例は、例えば、米国特許番号4,720,513と、1999年8月12日に出願された米国特許出願番号09/374,207の中において開示され、その中における開示の全体は参照文献としてこの中に挿入されるものである。
【0081】
本発明の組成物又は溶液は、必要に応じて一つ又はそれ以上の安定化剤も含むことがあり、好ましくは、少なくとも一つの陰イオン性気相安定化剤と、少なくとも一つの陰イオン性液相安定化剤の両者を含む。これらの安定化剤は早すぎる重合化を防ぐことがある。適切な安定化剤には、1999年12月23日に出願された米国特許出願番号09/471,392の中に列挙されたものが含まれ、その中における開示の全体は参照文献としてこの中に挿入されるものである。フリーラジカル安定化剤の様な他の安定化剤も、望まれるように含まれることがある。
【0082】
本発明の組成物又は溶液は、活性ホルムアルデヒドの濃度レベルを下げるのに有効である少なくとも一つの生体適合性剤も含むことがあり、該活性ホルムアルデヒドはインビボにおけるポリマーの生物分解の間に作製される(この中では「ホルムアルデヒド濃度低下剤」ともいう)。好ましくは、この成分はホルムアルデヒド捕捉剤化合物である。本発明において有用なホルムアルデヒド捕捉剤化合物の例には、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、亜硫酸塩と重亜硫酸塩の混合物等が含まれる。本発明において有用なホルムアルデヒド捕捉剤化合物の別の例と、それらを実施する方法は、全てLeungらの米国特許番号5,328,687, 5,514,371, 5,514,372, 5,575,997, 5,582,834及び5,624,669の中に見出され、その中における開示の全体は参照文献としてこの中に挿入されるものである。
【0083】
本発明の組成物は、1996年9月18日に出願された米国特許出願番号08/714,288において開示されているように、得られるポリマーの分解速度を制御するpH修飾剤も含むことがあり、その中における開示の全体は参照文献としてこの中に挿入されるものである。
【0084】
本発明の組成物又は溶液の粘着強度を改善するために、本発明のモノマー組成物に二官能性単量体の架橋試薬を添加することができる。その様な架橋試薬は既知である。Overhultsの米国特許番号3,940,362は模範的な架橋試薬を開示するものであり、その中における開示の全体は参照文献としてこの中に挿入されるものである。
【0085】
本発明の組成物又は溶液は、繊維状強化剤と色素、顔料、顔料色素の様な着色剤を更に含むことがある。適切な繊維状強化剤の例には、PGA微小繊維、コラーゲン微小繊維と、1999年12月23日に出願された米国特許出願番号09/471,392の中で述べられた様な他のものが含まれ、その中における開示の全体は参照文献としてこの中に挿入されるものである。
【0086】
本発明の組成物に対する他の改変は、米国特許番号5,624,669; 5,582,834; 5,575,997; 5,514,371; 5,514,372及び5,259,835;及び米国特許出願番号08/714,288により例示され、その中における開示の全体は参照文献としてこの中に挿入されるものである。
【0087】
何らかの特定の組成に限定されるものではないが、本発明において使用するのに適した特定の組成物は、ブチルラクトイルシアノアクリラート(BLCA)とオクチルシアノアクリラート(OCA)の混合物からなる。適切な混合物は、好ましくは、約25:75から約40:60(BLCA:OCAの重量比)の範囲の間である。該組成物は適切な安定剤システムを含み、例えば、特定の量の硫酸(例えば約25から約100ppm、好ましくは約20ppmの硫酸)、二酸化硫黄(例えば約1から約50ppm、好ましくは約10から約12ppm)、ヒドロキノン(例えば約100から約2000ppm、好ましくは約960から約1200ppm)、p-メトキシフェノール(例えば約10から約200ppm、好ましくは約96から約120ppm)、及びブチル化ヒドロキシアニソール(例えば約100から約10,000ppm、好ましくは約500から約800ppm)等である。該組成物は、例えばD&Cバイオレット#2(例えば20から約2000ppm、好ましくは約35から100ppm)等のような着色剤など、他の材料を含むことができる。適切な開始剤は、例えば臭化ドミフェン又は塩化ベンザルコニウムを、約100から約15,000ppmの範囲の量で含むことができる。
【実施例】
【0088】
本発明は下記の実施例を参照して更に理解されるが、下記の実施例は本発明を限定するものではない。
【0089】
(実施例1)
70μlのブチルラクトイルシアノアクリラートと2.5μモルの臭化ドミフェンを、該モノマーを多孔性アプリケーターチップの中を通じながら混合した。得られた混合物はおよそ40秒で硬化した。これらの実施例において「硬化時間」は、該材料がその最大発熱(maximum exotherm)に達する時の時間として測定した。
【0090】
(実施例2)
36μlのブチルラクトイルシアノアクリラートと0.625μモルの塩化ブチリルコリンを、該モノマーを多孔性アプリケーターチップの中を通じながら混合した。得られた混合物はおよそ60秒で硬化した。
【0091】
(実施例3)
ブチルラクトイルシアノアクリラートモノマーを、臭化ドミフェンにより、ポリプロピレンメッシュ上においてその場で重合を開始し、それよってポリマーを形成し、かつ39℃で燐酸緩衝液中に置いた。サンプルを洗浄し、乾燥し、かつ秤量し、該ポリマーの分解結果を下記の表に示した。ここでMnはサンプルの数平均分子量である。
【0092】
【表1】

【0093】
ブチルラクトイルシアノアクリラートモノマーを、アゾビスイソブチロニトリルにより、ポリプロピレンメッシュ上においてその場で重合を開始し、それよってポリマーを形成し、39℃で燐酸緩衝液中に置いた。サンプルを洗浄し、乾燥し、かつ秤量し、該ポリマーの分解結果を下記の表に示した。ここでMnはサンプルの数平均分子量である。
【0094】
【表2】

【0095】
(実施例4)
吸収性の粘着剤ポリマーを下記の組み合わせで処方した。
ブチルラクトイルシアノアクリラートモノマー 98.2600%(重量において);
臭化ドミフェン 1.7300%(重量において);
H2SO4 0.0025%(重量において);及び
ブチル化ヒドロキシアニソール 0.0075%(重量において)
【0096】
(実施例5)
種々の単量体粘着剤組成物を、種々の量のブチルラクトイルシアノアクリラート(BLCA)と2-オクチル アルファ-シアノアクリラート(2OCA)を用いて処方した。処方されたその組成物は約20ppmの硫酸、20ppmまでの二酸化硫黄、2000ppmまでのヒドロキノン、180ppmまでのp-メトキシフェノールと、2000ppmまでのブチル化ヒドロキシアニソールも含む場合がある。モノマーの混合比を下記の表に示す。臭化ドミフェンによりその組成物の重合開始を行って表面に適用し、該組成物の硬化時間を測定した。硬化時間の結果も下記の表に示す
【0097】
【表3】

【0098】
(実施例6)
実施例5で使用されたのと同じ組成物の吸収/分解速度を、インビトロで試験した。実施例5と同様に、種々の量のブチルラクトイルシアノアクリラート(BLCA)と2-オクチル アルファ-シアノアクリラート(2OCA)を用いて組成物を処方した。モノマーの混合比を下記の表に示す。
【0099】
インビトロ分解試験のサンプルを、各々のモノマー組成物を大量に重合開始し、かつ、それを予め秤量した約0.19mmの厚さを有するポリプロピレンメッシュ上に送ることによって調製し、そして約10mm x 35mmの面積に切断した。メッシュを、超高分子量ポリエチレンの2つの表面の間に挟み、0.203mmの厚さのステンレス鋼製のくさびによってそれを分離した。硬化した後にサンプルを鋳型より除去し、過剰量の重合化した材料を切り取った。切り取った材料の一部を用いて、各サンプルの出発分子量を測定するのに使用した。
【0100】
サンプルを滅菌した抽出シンブル(thimbles)の中に置いて、ポリマー材料との接触を最小化した。そしてそのサンプルを滅菌ガラスバイアル中に置き、抗生物質/抗カビ剤を加えた21mlのダルベッコの燐酸緩衝生理食塩水で満たした。バイアルを39℃の水浴中に置いた。PBS溶液は毎週交換した。
【0101】
重合化の後に7日と13日の間隔で形成したポリマーを試験し、ポリマーの吸収/分解を測定した。形成したポリマーの重量%における変化を定量することにより、吸収/分解を測定した。緩衝溶液からサンプルを移し、それらを滅菌水で3回洗浄することにより試験を行った。再秤量する前に真空でサンプルを24時間乾燥した。その測定も下記の表に示す。
【0102】
【表4】

【0103】
本発明を好適な実施態様を参照として述べたが、本発明は与えられた特定の実施例に限定されるものではなく、本発明の精神と範囲から離れることなく、当業者は他の実施態様及び改変を行うことができる。
【0104】
なお、本発明の好ましい実施態様は以下の通りである。
(1) 生体適合性粘着剤組成物であって、該生体適合性粘着剤組成物は
第一のモノマー種;及び
前記第一のモノマー種とは異なっている第ニのモノマー種から成り、
ここで少なくとも前記第一のモノマー種は吸収性であり、かつ、
前記第一のモノマー種の吸収速度は、前記第二のモノマー種の吸収速度とは異なっている、前記生体適合性粘着剤組成物。
(2) 前記第一のモノマー種がアルキルエステルシアノアクリラート(alkyl ester cyanoacrylate)である、実施態様1記載の生体適合性粘着剤組成物。
(3) 実施態様2記載の生体適合性粘着剤組成物であって、前記アルキルエステルシアノアクリラートが下記の化学式を有し、
【0105】
【化8】


ここでRとRは独立した水素、直鎖の、分枝した又は環状のアルキル基であるか、又は環状アルキル基中で連結しており、かつRは直鎖の、分枝した又は環状のアルキル基である、実施態様2記載の生体適合性粘着剤組成物。
(4) 前記アルキルエステルシアノアクリラートが、ブチルラクトイルシアノアクリラート、ブチルグリコロイルシアノアクリラート、イソプロピルグリコロイルシアノアクリラート、エチルラクトイルシアノアクリラート、及びエチルグリコロイルシアノアクリラートから成る群から選択された、実施態様2記載の生体適合性粘着剤組成物。
(5) 前記第一のモノマー種がアルキルエーテルシアノアクリラート(alkyl ether cyanoacrylate)である、実施態様1記載の生体適合性粘着剤組成物。
(6) 前記アルキルエーテルシアノアクリラートが下記の化学式を有し、
【0106】
【化9】


ここでRは直鎖の、分枝した又は環状のアルキル基であり、かつR2は直鎖の、分枝した又は環状のアルキル基である、実施態様5記載の生体適合性粘着剤組成物。
(7) 前記アルキルエーテルシアノアクリラートが、イソプロポキシエチルシアノアクリラート及びメトキシブチルシアノアクリラートから成る群から選択された、実施態様6記載の生体適合性粘着剤組成物。
(8) 前記第二のモノマー種が、アルキルエステルシアノアクリラート及びアルキルエーテルシアノアクリラート以外のシアノアクリラートである、実施態様1記載の生体適合性粘着剤組成物。
(9) 前記第二のモノマー種が、約2から約12個の炭素原子数のアルキル基を有するα-シアノアクリラートである、実施態様8記載の生体適合性粘着剤組成物。
(10) 前記第二のモノマー種に対する前記第一のモノマー種の重量比が、約25:75から約75:25である、実施態様1記載の生体適合性粘着剤組成物。
(11) 前記組成物が、陰イオン性安定化剤、フリーラジカル安定化剤、着色剤及び可塑剤から成る群から選択された少なくとも一つの添加剤を更に含む、実施態様1記載の生体適合性粘着剤組成物。
(12) 実施態様1記載の生体適合性粘着剤組成物であって、該組成物が;
モノマー混合物であって、約25から約40重量部のブチルラクトイルシアノアクリラート、及び約60から約75重量部のオクチルシアノアクリラート(OCA)から成る前記モノマー混合物、
少なくとも一つの陰イオン性安定化剤;及び
少なくとも一つのラジカル安定化剤、
から成る、前記生体適合性粘着剤組成物。
(13) 前記少なくとも一つの陰イオン性安定化剤が、約25ppmから約100ppmの硫酸と約1から約50ppmの二酸化硫黄であり、かつ、前記少なくとも一つのラジカル安定化剤が、約100から約2000ppmのヒドロキノン、約10から約200ppmのp-メトキシフェノールと約100から約10,000ppmのブチル化ヒドロキシアニソールである、実施態様12記載の生体適合性粘着剤組成物。
(14) 生体組織を治療する方法であって、
該方法は、少なくとも1つのアルキルエステルシアノアクリラートモノマー及び重合開始剤又は促進剤から成る生体適合性粘着剤組成物を、生物の生体組織に適用することからなり、ここで前記重合開始剤又は促進剤は四級アミンである、前記生体組織を治療する方法。
(15) 前記生体組織が内臓である、実施態様14記載の方法。
(16) 2つ又はそれ以上の重合開始剤又は促進剤を前記生体組織に適用する、実施態様14記載の方法。
(17) 実施態様14記載の方法であって、前記少なくとも1つのアルキルエステルシアノアクリラートモノマーは下記の化学式を有し、
【0107】
【化10】


ここでRとRは独立した水素、直鎖の、分枝した又は環状のアルキル基であるか、又は環状アルキル基中で連結しており、かつRは直鎖の、分枝した又は環状のアルキル基である、前記方法。
(18) 前記組成物を生体組織に適用する前に、前記重合開始剤又は促進剤が前記少なくとも一つのモノマーと結合している、実施態様14記載の方法。
(19) 実施態様17記載の方法であって、前記重合開始剤又は促進剤が下記の化学式を有し、
【0108】
【化11】


ここで、R4、、RとRは各々独立した水素又は置換された又は置換されていない直鎖の、分枝した又は環状のアルキル基;置換された又は置換されていない芳香族基;置換された又は置換されていないアラルキル(aralkyl)基;若しくは一つ又はそれ以上のヘテロ原子を含んでいる置換された又は置換されていないアルキル基又は芳香族基であり;かつXが陰イオンである、前記方法。
(20) R4、、RとRの少なくとも一つが、芳香族環及びヘテロ原子を含む結合(linkage)からなる群から選択されたメンバーの少なくとも一つである、実施態様19記載の方法。
(21) Xがハロゲンラジカルである、実施態様19記載の方法。
(22) 前記重合化開始剤又は促進剤が、臭化ドミフェン、塩化ブチリルコリン、臭化ベンザルコニウム、塩化ベンザイルコニウム及び塩化アセチルコリンから成る群から選択されたメンバーの少なくとも一つである、実施態様14記載の方法。
(23) 創傷を閉じる(close)ため又は塞ぐ(seal)ために使用する、実施態様14記載の方法。
(24) 販売可能なパッケージからなるキットであって、該パッケージは;
少なくとも一つのアルキルエステルシアノアクリラートモノマーからなる生体適合性粘着剤組成物を含む第一の容器;及び
重合化開始剤又は促進剤からなり、
ここで前記重合化開始剤又は促進剤は四級アミンである、前記キット。
(25) 実施態様24記載のキットであって、該キットにおいて前記少なくとも一つのモノマーは下記の化学式を有し、
【0109】
【化12】


ここでRとRは独立した水素、直鎖の、分枝した又は環状のアルキル基であるか、又は環状アルキル基中で連結しており、かつRは直鎖の、分枝した又は環状のアルキル基である、前記キット。
(26) 前記重合化開始剤又は促進剤が前記モノマーと接触しない分離した容器に収納されている、実施態様24記載のキット。
(27) 実施態様25記載のキットであって、該キットにおいて前記重合開始剤又は促進剤が下記の化学式を有し、
【0110】
【化13】


ここで、R4、、RとRは各々独立した水素又は置換された又は置換されていない直鎖、分枝した又は環状のアルキル基;置換された又は置換されていない芳香族基;置換された又は置換されていないアラルキル(aralkyl)基;又は一つ又はそれ以上のヘテロ原子を含んでいる置換された又は置換されていないアルキル基又は芳香族基であり;かつXが陰イオンである、前記キット。
(28) R4、、RとRの少なくとも一つが、芳香族環及びヘテロ原子を含有する結合(linkage)からなる群から選択された、少なくとも一つのメンバーである、実施態様27記載のキット。
(29) Xがハロゲンラジカルである、実施態様27記載のキット。
(30) 前記重合化開始剤又は促進剤が、臭化ドミフェン、塩化ブチリルコリン、臭化ベンザルコニウム及び塩化アセチルコリンから成る群から選択された、少なくとも一つのメンバーである、実施態様24記載のキット。
(31) 重合フィルムであって、該重合フィルムは第一のモノマー種と、該第一のモノマー種と異なった第二のモノマー種との重合より形成され、ここで少なくとも前記第一のモノマー種は吸収性であって、かつ前記第一のモノマー種の吸収速度は前記第二のモノマー種の吸収速度と異なっている、前記重合フィルム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体適合性粘着剤組成物において、該生体適合性粘着剤組成物は、
第一のモノマー種;及び
前記第一のモノマー種とは異なっている第ニのモノマー種を含み、
ここで少なくとも前記第一のモノマー種は吸収性であり、かつ、前記第一のモノマー種の吸収速度は、前記第二のモノマー種の吸収速度とは異なっており、
前記第一のモノマー種は、下記化学式のアルキルエステルシアノアクリラートであり、
【化1】


ここで、RとRは、独立に、水素、直鎖、分枝又は環状のアルキル基であるか、又は、環状アルキル基中で連結しており、かつRは、直鎖、分枝又は環状のアルキル基であり、
前記第二のモノマー種が、2から12個の炭素原子数のアルキル基を有する、アルキルα−シアノアクリラートである、
生体適合性粘着剤組成物。
【請求項2】
請求項1記載の生体適合性粘着剤組成物において、前記アルキルエステルシアノアクリラートが、ブチルラクトイルシアノアクリラート、ブチルグリコロイルシアノアクリラート、イソプロピルグリコロイルシアノアクリラート、エチルラクトイルシアノアクリラート、及びエチルグリコロイルシアノアクリラートから成る群から選択されたものである、生体適合性粘着剤組成物。
【請求項3】
請求項1記載の生体適合性粘着剤組成物において、前記第二のモノマー種に対する前記第一のモノマー種の重量比が、約25:75から約75:25である、生体適合性粘着剤組成物。
【請求項4】
請求項1記載の生体適合性粘着剤組成物において、前記組成物が、陰イオン性安定化剤、フリーラジカル安定化剤、着色剤及び可塑剤から成る群から選択された少なくとも一つの添加剤を更に含む、生体適合性粘着剤組成物。
【請求項5】
請求項1記載の生体適合性粘着剤組成物において、該組成物が:
モノマー混合物であって、約25から約40重量部のブチルラクトイルシアノアクリラート、及び約60から約75重量部のオクチルシアノアクリラート(OCA)を含む、モノマー混合物、
少なくとも一つの陰イオン性安定化剤;及び
少なくとも一つのラジカル安定化剤、
を含む、生体適合性粘着剤組成物。
【請求項6】
請求項5記載の生体適合性粘着剤組成物において、前記少なくとも一つの陰イオン性安定化剤が、約25ppmから約100ppmの硫酸と約1から約50ppmの二酸化硫黄を含み、かつ、前記少なくとも一つのラジカル安定化剤が、約100から約2000ppmのヒドロキノン、約10から約200ppmのp−メトキシフェノールおよび約100から約10,000ppmのブチル化ヒドロキシアニソールを含む、生体適合性粘着剤組成物。
【請求項7】
生体組織を治療するための生体適合性粘着剤の製造における、
下化学式のアルキルエステルシアノアクリラート、
【化2】


(ここで、RとRは、独立に、水素、直鎖、分枝又は環状のアルキル基であるか、又は、環状アルキル基中で連結しており、かつRは、直鎖、分枝又は環状のアルキル基である)、
2から12個の炭素原子数のアルキル基を有するアルキルα−シアノアクリラート、及び、
重合開始剤又は促進剤、
の使用において、前記重合開始剤又は促進剤が、四級アミンである、使用。
【請求項8】
請求項7記載の使用において、前記生体組織が内臓である、使用。
【請求項9】
請求項7記載の使用において、2つ又はそれ以上の重合開始剤又は促進剤を前記生体組織に適用する、使用。
【請求項10】
請求項7記載の使用において、前記組成物を生体組織に適用する前に、前記重合開始剤又は促進剤が、少なくとも一つのモノマーと結合している、使用。
【請求項11】
請求項7記載の使用において、前記重合開始剤又は促進剤が下記の化学式を有し、
【化3】


ここで、R4、、RとRは、各々独立に、水素又は置換された又は置換されていない、直鎖、分枝又は環状のアルキル基;置換された又は置換されていない芳香族基;置換された又は置換されていないアラルキル基;若しくは一つ又はそれ以上のヘテロ原子を含んでいる置換された又は置換されていないアルキル基又は芳香族基であり;かつXが陰イオンである、
使用。
【請求項12】
請求項11記載の使用において、R4、、RとRの少なくとも一つが、芳香族環及びヘテロ原子含有結合からなる群から選択されたメンバーの少なくとも一つを含む、使用。
【請求項13】
請求項11記載の使用において、Xがハロゲンラジカルである、使用。
【請求項14】
請求項7記載の使用において、前記重合化開始剤又は促進剤が、臭化ドミフェン、塩化ブチリルコリン、臭化ベンザルコニウム及び塩化アセチルコリンから成る群から選択されたメンバーの少なくとも一つである、使用。
【請求項15】
販売可能なパッケージを含むキットにおいて、該パッケージは:
(a) 下記化学式のアルキルエステルシアノアクリラートを含む、生体適合性粘着剤組成物を含む第一の容器;
【化4】


(ここで、RとRは、独立に、水素、直鎖、分枝又は環状のアルキル基であるか、又は、環状アルキル基中で連結しており、かつRは、直鎖、分枝又は環状のアルキル基である)、
(b) 2から12個の炭素原子数のアルキル基を有するアルキルα−シアノアクリラート;及び
(c) 重合化開始剤又は促進剤、
を含み、
前記重合化開始剤又は促進剤は四級アミンである、
キット。
【請求項16】
請求項15記載のキットにおいて、前記重合化開始剤又は促進剤が、前記生体適合性粘着剤組成物と接触しない分離した容器に収納されている、キット。
【請求項17】
請求項15記載のキットにおいて、前記重合開始剤又は促進剤が下記の化学式を有する四級アミンであり、
【化5】


ここで、R4、、RとRは、各々独立に、水素又は置換された又は置換されていない直鎖、分枝した又は環状のアルキル基;置換された又は置換されていない芳香族基;置換された又は置換されていないアラルキル基;又は一つ又はそれ以上のヘテロ原子を含んでいる置換された又は置換されていないアルキル基又は芳香族基であり;かつXが陰イオンである、
キット。
【請求項18】
請求項17記載のキットにおいて、R4、、RとRの少なくとも一つが、芳香族環及びヘテロ原子含有結合からなる群から選択された、少なくとも一つのメンバーを含む、キット。
【請求項19】
請求項17記載のキットにおいて、Xがハロゲンラジカルである、キット。
【請求項20】
請求項15記載のキットにおいて、前記重合化開始剤又は促進剤が、臭化ドミフェン、塩化ブチリルコリン、臭化ベンザルコニウム及び塩化アセチルコリンから成る群から選択された、少なくとも一つのメンバーである、キット。
【請求項21】
重合フィルムにおいて、該重合フィルムは、請求項1に記載の生体適合性粘着剤組成物の重合から形成されたものである、重合フィルム。

【公開番号】特開2013−100547(P2013−100547A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−33125(P2013−33125)
【出願日】平成25年2月22日(2013.2.22)
【分割の表示】特願2002−515336(P2002−515336)の分割
【原出願日】平成13年8月2日(2001.8.2)
【出願人】(500512427)クロージャー メディカル コーポレイション (9)
【Fターム(参考)】