説明

吸収構造体及びそれを用いた吸収性着用物品

【課題】厚さの不均一な形状を有することによって吸収効率が優れ、かつ、局所的に高剛性域を設けることによって着用中に体液の漏れを誘発するおそれのある折れ曲がり等を生じるおそれのない吸収構造体及びそれを用いた吸収性着用物品の提供。
【解決手段】吸収構造体17は、第1端縁17a及び第2端縁17bと、第1端縁17a側に位置する肉厚部55と、第2端縁17b側に位置する肉厚部55よりも厚さ寸法の小さい肉薄部57と、肉厚部55と肉薄部57との間に位置し、第1端縁17aから第2端縁17bに向かって次第に厚さ寸法が小さくなる厚さ勾配部56とを有する。肉薄部55、厚さ勾配部56及び肉厚部55のうちの厚さ勾配部56に隣接する部分には多数の圧縮凹部60を形成するデボス加工が施されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液吸収性を有する吸収構造体及びそれを用いた吸収性着用物品に関し、より詳しくは、厚さ寸法が不均一な形状を有する吸収構造体及びそれを用いた使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッドなどの吸収性着用物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、厚さが不均一な形状を有する吸収構造体及びそれ用いた吸収性物品は公知である。例えば、特許文献1には、所要の厚さを有する肉厚部と、肉厚部よりも厚さ寸法の小さい肉薄部とを有する吸収構造体及びそれを用いた吸収性物品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−65929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された吸収性物品は、肉厚部において局所的に高い吸収容量を有する吸収構造体を備えるものであるから、該肉厚部を体液が比較的に多く排泄される領域に配置することによって、その吸収性能を十分に発揮することができる。また、かかる吸収構造体では、体液が比較的に少量排泄される領域に肉薄部が形成されているので、吸収効率に優れているといえる。
【0005】
しかし、肉厚部と肉薄部との境界には段差が形成されるので、着用者に違和感を与えるおそれがあるとともに、着用中に吸収構造体が着用者の身体に沿って湾曲することによって段差部分において局所的にひび割れなどが生じ、体液の漏れを生じるおそれがある。また、かかる段差が比較的に小さい場合であっても、クロッチ域に位置して着用者の大腿間に挟圧される部分の剛性が比較的に低いときには、該部分が変形して吸収構造体全体にひび割れなどが生じ、体液の漏れを生じるおそれがある。
【0006】
本発明の課題は、厚さの不均一な形状を有することによって吸収効率が優れ、かつ、局所的に高剛性域を設けることによって着用中に体液の漏れを誘発するおそれのある折れ曲がり等を生じるおそれのない吸収構造体及びそれを用いた吸収性着用物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本願の第1発明は、縦方向及びそれに直交する横方向を有し、透液性のトップシートと不透液性のバックシートとの間に介在された、少なくとも体液吸収性を有する吸液性コアを含む吸収性着用物品のための吸収構造体に係る。
【0008】
本願の第1発明に係る吸収構造体は、第1端縁及びそれと前記縦方向において対向する第2端縁と、前記第1端縁側に位置する肉厚部と、前記第2端縁側に位置する前記肉厚部よりも厚さ寸法の小さい肉薄部と、前記肉厚部と前記肉薄部との間に位置し、前記第1端縁側から前記第2端縁側へ向かって次第に厚さ寸法が小さくなる厚さ勾配部とを有し、前記肉薄部、前記厚さ勾配部及び前記厚さ勾配部に隣接する前記肉厚部の一部には多数の圧縮凹部を形成するデボス加工が施されていることを特徴とする。
【0009】
本願の第2発明は、第1及び第2端縁と、前記第1端縁側に位置する肉厚部と、前記第2端縁側に位置する前記肉厚部よりも厚さ寸法の小さい肉薄部と、前記肉厚部と前記肉薄部との間に位置し、前記第1端縁側から前記第2端縁側へ向かって次第に厚さ寸法が小さくなる厚さ勾配部とを有し、前記肉薄部と、前記厚さ勾配部と前記肉厚部の前記厚さ勾配部に隣接する部位とには多数の圧縮凹部を形成するデボス加工が施されている吸収構造体と、前ウエスト域と、後ウエスト域と、前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域とを有するおむつ本体とを備え、前記吸収構造体が前記前ウエスト域から前記後ウエスト域まで延び、前記吸収構造体の前記第1端縁が前記前ウエスト域側に位置し、前記第2端縁が前記後ウエスト域側に位置し、前記隣接する部位と前記厚さ勾配部とが前記クロッチ域に位置する吸収性着用物品に関する。
【発明の効果】
【0010】
本願の1つ以上の発明に係る吸収構造体によれば、肉厚部と肉薄部との間に厚さ勾配部が位置しているので、急な厚さ寸法の変化による段差が生じることはない。また、肉薄部と厚さ勾配部とのデボス加工を施すことによって肉厚部との間に大きな剛性差を生じることがないので、剛性の変化または段差の発生による部分的なひび割れ等によって体液の漏れを生じるおそれはない。さらに、肉厚部の厚さ勾配部に隣接する部位には、多数の圧縮凹部を形成するデボス加工を施した高剛性域が位置しているので、該部位が挟圧されてそれを変形しようとする力が作用しても部分的なひび割れやちぎれを生じるおそれはない。
【0011】
かかる吸収構造体を備える吸収性着用物品においては、吸収構造体の肉厚部が尿が排泄される前ウエスト域及びクロッチ域に位置することによってその吸収性能を十分に発揮することができるとともに、肉薄部が後ウエスト域に位置するので、着用者の臀部に対するフィット性が向上し、かつ、吸収構造体全体の吸収効率に優れている。また、肉厚部の厚さ勾配部に隣接する部位に形成された高剛性域がクロッチ域に位置するので、該部位が着用者の大腿間に挟圧されても部分的なひび割れやちぎれを生じるおそれはない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る吸収構造体を用いた吸収性着用物品の一例として示す、使い捨ておむつの斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態のおむつの展開平面図。
【図3】図2のIII−III線断面図。
【図4】おむつの外形を仮想線で示す、吸収構造体の平面図。
【図5】図4のV−V線断面図。
【図6】吸収構造体の製造工程の一部を示す図。
【図7】デボスローラーの側面図。
【図8】本発明の第2実施形態のおむつにおける図4と同様の平面図。
【図9】本発明の第3実施形態のおむつにおける図4と同様の平面図。
【図10】図9のX−X線断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1及び2を参照すると、おむつ10は、縦軸P及びそれに直交する横軸Qと、縦軸Pに平行な縦方向Yと横軸Qに平行な横方向Xとを有し、前ウエスト域11と、後ウエスト域12と、前後ウエスト域11,12間に位置するクロッチ域13とを備えるおむつ本体14を含む。
【0014】
おむつ本体14は、横方向Xへ直状に延びる前端縁14a及び後端縁14bと、クロッチ域13において内方へ凹曲する両側縁14c,14dと、肌対向面側に位置するトップシート15と、非肌対向面側に位置する不透液性のバックシート16と、トップシート15とバックシート16との間に介在された吸収構造体17とを含む。また、トップシート15と吸収構造体17との間には、オプションとして中間シート18が配置されており、おむつ10の肌対向面側には、縦軸Pに関して対称の一対の封じ込めシート20が配置されている。
【0015】
トップシート15は、実質的に透液性を有する各種の繊維不織布、例えば、質量約15〜45g/mのエアスルー繊維不織布、多孔プラスチックフィルム、それらのラミネートシート等から形成することができる。
【0016】
バックシート16は、実質的に不透液性を有する公知の各種の繊維不織布、例えば、質量約10〜40g/mの範囲にある、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、SMS(スパンボンド・メルトブローン・スパンバンド)不織布、不透液性のプラスチックフィルム、又はそれら不織布のうちの少なくとも一つとのラミネートシートなどから形成することができる。
【0017】
中間シート18は、実質的に通気性かつ液透過性を有する公知の各種の繊維不織布、例えば、質量約15〜45g/mのエアスルー不織布などから形成することができ、着用者の肌に対するクッション性を向上させるとともに、体液を妄りに拡散させることなく、また、トップシート15と吸収構造体17とを離隔して体液が妄りにトップシート15へ逆流するのを防止している。
【0018】
封じ込めシート20は、疎水性繊維不織布、透湿性かつ防漏性プラスチックフィルム、それらのラミネート等から形成することができ、例えば、不織布としては、質量約10〜30g/mのSMS繊維不織布やスパンボンド繊維不織布等から形成することができる。
【0019】
図2及び4を参照すると、吸収構造体17は、前後端縁(第1及び第2端縁)17a,17bと、前後端縁17a,17b間において縦方向Yへ延びる両側縁17c,17dとを有する。両側縁17c,17dは、説明の便宜上、前ウエスト域11側と後ウエスト域12側において直状に延びる直状部21とクロッチ域13の略中央部近傍において縦軸Pへ凹曲する凹曲部22とに区分されている。また、両側縁17c,17dは、直状部21と凹曲部22とが交差する部位に位置する屈曲部位23,24を有する。後記のとおり、前ウエスト域11側の直状部21間には前方域(第1区域)51、後ウエスト域12の直状部21間には後方域(第2区域)52、凹曲部22間には中央部53がそれぞれ画定されている。
【0020】
吸収構造体17は、超吸収性ポリマー粒子(SAP)とフラッフパルプ、オプションとして熱可塑性合成繊維(ステープルファイバー)とを混合して所定の形状に賦型した吸液性コアと、その保形性及び液拡散性の向上のために吸液性コアを覆う、例えば、透液性を有する繊維不織布シートなどから形成された、液拡散性を有するシートとを含む。吸収構造体17の下面には、不透液性の繊維不織布から形成された防漏シート25が配置されている。吸収構造体17は、後記の本実施形態の効果を奏する限りにおいて、吸液性コアのみから形成されていてもよい。
【0021】
防漏シート25は、透湿性かつ防漏性プラスチックフィルム、質量約10〜30g/mの実質的に不透液性のSMS(スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド)繊維不織布、スパンボンド繊維不織布、又はそれら不織布のうちの少なくとも一つとのラミネートシート等から形成することができる。
【0022】
図2を参照すると、おむつ本体14は、吸収構造体17の前後端縁17a,17bの縦方向Yの外方において、横方向Xへ延びる前後エンドフラップ27,28と、吸収構造体17の両側縁17c,17dの横方向Xの外方において、縦方向Yへ延びる一対のサイドフラップ29,30とを有する。前後エンドフラップ27,28は、吸収構造体17の前後端縁17a,17bから縦方向Yの外方へ延出する、封じ込めシート20と、トップシート15と、防漏シート25およびバックシート16が互いに重なり合うことによって形成される。また、サイドフラップ29,30は、吸収構造体17の両側縁17c,17dの横方向Xの外方に延出する、トップシート15と、封じ込めシート20と、防漏シート25およびバックシート16とが互いに重なり合うことによって形成される。
【0023】
後エンドフラップ28とサイドフラップ29,30とが交差する後方側部フラップ32の封じ込めシート20とバックシート16との両側縁部間には、一対のテープファスナタブ34の固定部34aが介在されており、両シート16,20の内面に塗布されたホットメルト接着剤を介して固定されている。後方側部フラップ32の側縁(後ウエスト域12の側縁)から横方向Xの外方へ延びるテープファスナタブ34の自由部34bには、メカニカルファスナのフック群を有する第1ファスニング要素35が設けられている。おむつ10の着用状態において、第1ファスニング要素35が、前ウエスト域11の外面において横方向Xに延びるメカニカルファスナのループ群を有する第2ファスング要素36に離脱可能に止着されることによって、ウエスト開口37と一対のレッグ開口部38とが画成される(図1)。
【0024】
前後エンドフラップ27,28の一部を形成するトップシート15と防漏シート25との間には、連続気泡を有するウレタンフォームなどのクッション性を有する帯状の弾性反発部材から形成された弾性ウエストバンド40が配設されている。また、サイドフラップ29,30の一部を形成するバックシート16と封じ込めシート20との間には、複数のストランド状又はストリング状のレッグ弾性要素41が縦方向Yへ収縮可能にホットメルト接着剤(図示せず)を介して固定されている。
【0025】
封じ込めシート20は、サイドフラップ29,30の一部を形成する近位縁部42と、前後ウエスト域11,12においてトップシート15の肌対向面と、バックシート16のトップシート15から横方向Xの外方に延出する部分との肌対向面にホットメルト接着剤を介して固定された前後固定端部43,44と、前後固定端部43,44間において縦方向Yへ延びる、バリシート20の内側縁を内方へ曲げることによって形成された遠位縁部45とを有する。遠位縁部45には、縦方向Yへ延びる複数条のストランド状又はストリング状のカフ弾性要素46が縦方向Yに収縮可能に固定されている。遠位縁部45は、おむつ10の着用状態においてカフ弾性要素46の収縮作用によってトップシート15の肌対向面から離間し、排泄物の横漏れを防止するための一対の封じ込めカフが形成される。
【0026】
図3〜5を参照すると、図4において吸収構造体17の厚さ方向がZで示されており、吸収構造体17は、前ウエスト域11側に位置する前方域(第1区域)51と、後ウエスト域12側に位置する後方域(第2区域)52と、前方域51と後方域52との間において、両側縁17c,17dの内方への凹曲部22間に位置する中央部53とを有する。吸収構造体17は、前方域51が後方域52よりも肉厚であって、具体的には、前方域51から後方域52の一部まで延びる比較的に肉厚の肉厚部55と、肉厚部55から後方へ向かって次第に吸収構造体17の底面側へ傾斜して延びる厚さ勾配部56と、厚さ勾配部56から後端縁17bまで延びる、肉厚部55より厚さ寸法の小さな肉薄部57とを有する。なお、本実施形態において、吸収構造体17は縦方向Yへ一連に延びる一層から形成されているが、肉厚部55が肉薄部57よりも肉厚となるように、該領域を2層にしてもよいし、肉薄部57を含む吸収構造体17全体を複数層で形成してもよい。
【0027】
ただし、吸収構造体17全体が本実施形態のごとく単層で形成されている場合には、複数層で形成されている場合に比して、吸収構造体17全体においてそれに含まれるパルプ繊維とオプションとして追加される熱可塑性繊維とが混繊されていることから、崩れ難く、保形性に優れている。
【0028】
吸収構造体17を単層で形成する場合には、公知の製造方法、製造装置を用いてその形状を形成することができるが、例えば、以下の方法により形成することができる。
【0029】
<肉厚部55,厚さ勾配部56及び肉薄部57の形成方法>
フラッフ木材パルプ及び/または超吸収性ポリマー粒子から形成された吸収材料の供給手段と、複数の凹状型を有する回転サクションドラムとを有する製造装置において、供給手段から移送管を介して吸収材料を凹状型に集積させて集積体(吸液性コア)を成形する。ドラムの凹状型は、その底部が複数の開孔を有するメッシュ状であって、開孔を介して凹状型内において吸収材料を吸引して集積させており、凹状型の底部は、集積体に肉厚部55、厚さ勾配部56及び肉薄部57に相当する部分が形成されるように深さ寸法(プレートの表面から凹状型の底部までの離間寸法)が異なるものである。具体的には、かかる深さ寸法の比較的に大きい部分に所要の厚さを有する吸収構造体17の肉厚部55が形成され、深さ寸法の比較的に小さい部位に肉薄部57が形成され、さらに、両者間に位置する傾斜部位において厚さ勾配部56が形成される。
【0030】
吸収構造体17は、全体として厚さの不均一な特異な形状を有するものであって、前ウエスト域11及びクロッチ域13においては、所要の吸収容量を有する肉厚部55で所要量の体液、主として排泄された尿を確実に吸収することができる。また、前ウエスト域11及びクロッチ域13に比して体液の排泄量が少ない後ウエスト域12側には肉薄部57が位置しているので、吸収構造体17の全体において体液の吸収に供しない部位はほとんどなく、従来の吸収容量が一定の形状、構成を有する吸収構造体に比して吸収効率に優れているといえる。さらに、吸収構造体17に用いる吸液性コアの分量を必要最低限とすることによって、生産コストを抑えることができる。
【0031】
厚さ勾配部56及び肉薄部57が形成されていることによって、後方域52では後方に向かって比較的に肉薄となるので、後ウエスト域12が着用者の身体の形状に沿って変形してフィットしやすくなり装着感を向上させることができる。さらに、おむつ10全体の厚さを小さくすることによって、前後ウエスト域11,12を互いに重ね合わせるようにおむつ10を2つ折りにして収容する際に嵩張ることはなく、包装パッケージ等に収容するときに収容性が向上する。
【0032】
吸収構造体17において、肉厚部55と肉薄部57とが直接隣接して連なる場合には、その急激な厚さ寸法の変化による剛性差及び肉厚部55と肉薄部57との間における段差の形成によって着用者に違和感を与えるおそれがあるばかりではなく、その境界付近で吸収構造体17の一部が折れ曲がったり、よれたりして体液の漏れを誘発するおそれもある。しかし、本実施形態では、肉厚部55と肉薄部57との間に厚さ勾配部56が形成されていることによって、厚さ寸法が緩やかに変化し、急激な厚さ寸法の変化による剛性差及び段差が形成されることはないので、着用者にかかる違和感を与えるおそれはなく、また、各部55,56,57の境界近傍において体液漏れを誘発するような折れ曲がりやよれを生じるおそれもない。
【0033】
図5を参照すると、肉薄部57は、吸収構造体17の吸収性能を阻害しない領域、すなわち、体液があまり排泄されない領域に形成されていることが好ましい。具体的には、肉薄部57は、後ウエスト域12側に位置し、吸収構造体17全体の面積に対して約40%程度の大きさであることが好ましい。また、厚さ勾配部56は、急激な厚さ勾配の変化によって剛性差及び段差を生じて着用者に違和感を与えないようにするために、吸収構造体17の縦方向Yの長さ寸法L1が約320〜450mmの場合において、その縦方向Yの長さ寸法L2は、好ましくは、約25〜70mm、さらに好ましくは、約35〜60mmである。厚さ勾配部56の縦方向Yの長さ寸法L2が約25mm以下の場合には、肉厚部55と肉薄部57との厚さ寸法の差に対する緩やかな高さ勾配の長さが不十分となり、肉薄部57と厚さ勾配部56との境界近傍において段差が形成され、着用者に違和感を与えるおそれがある。また、圧さ勾配部56の縦方向Yの長さ寸法L2が70mm以上の場合には、吸収構造体17全体に対する肉厚部55の形成領域が小さくなり、肉厚部55を設けることによる体液吸収容量の確保という本実施形態における効果を損なうおそれがある。
【0034】
吸収構造体17の各領域55,56,57の形成についていえば、肉厚部55は、厚さ寸法が約2.7〜3.3mmであって、吸液性コアが質量約220〜260g/mのパルプ繊維と質量約180〜220g/mのSAPとの混合物、肉薄部56としては、厚さ寸法が約2.2〜2.8mmであって、吸液性コアが質量約180〜220g/mのパルプ繊維と質量約140〜180g/mのSAPとの混合物などからそれぞれ形成することができる。すなわち、肉厚部55よりも肉薄部57の単位面積当たりの質量は低く、具体的には、本発明の前記効果を奏するために、肉薄部57の吸液性コアの単位面積当たりの質量は、肉厚部55の単位面積当たりの質量の約50〜85%の範囲内であることが好ましい。
【0035】
吸収構造体17の各領域の厚さ寸法は、厚さ計測器(PEACOCK社製、測定圧:12.5g/cm)を使用して計測することができる。具体的には、肉厚部55と肉薄部57との厚さは、おむつ10から吸収構造体17を取り出し、その肉厚部55と肉薄部57とに相当する部分おいて、それぞれ、縦方向Yの長さ寸法約50mm×横方向Xの長さ寸法約50mmの大きさにカットして試料とし、その試料の中央部の厚さを厚さ計測器で測定する。
【0036】
図4を参照すると、吸収構造体17の後方域52には、肉薄部57において複数の圧縮凹部60が吸収構造体17の縦方向Yへ見て略千鳥状に配置された第1デボス加工部61と、厚さ勾配部56と厚さ勾配部56に隣接する肉厚部55において複数の圧縮凹部60が吸収構造体17の縦方向Yへ見て千鳥状に配置された第2デボス加工部63とが設けられている。第1及び第2デボス加工部61,63が設けられていることによって、肉薄部57、厚さ勾配部56及び該隣接部位は、デボス加工が施されていない場合に比して剛性が高くなっている。肉厚部55の第2デボス加工部63が形成されている該隣接部位には、肉厚部55の他の部分よりも剛性が高く、吸収構造体17において最も剛性の高い高剛性域64が形成される。
【0037】
前記のとおり、本実施形態では、吸収構造体17の厚さを調整することによって、吸収容量の異なる領域が形成されているところ、厚さの変化する部位において剛性差が生じるおそれがある。かかる剛性差を小さくするために、肉厚部55と肉薄部57との間には厚さ勾配部56が形成されているが、第1及び第2デボス加工部61,63を形成することによって肉薄部57と厚さ勾配部56との剛性を高めて、それらと肉厚部55との剛性差をさらに小さくすることができ、吸収構造体17の部分的なひび割れによる変形や型崩れをさらに防止することができる。
【0038】
図4及び5を参照すると、高剛性域64は、両側縁17c,17dの屈曲部位24及びその近傍間に位置している。屈曲部位24及びその近傍は、直状部21と曲状部22との交差する部分であって、吸収構造体17において、その形状の変化及び着用者の股下の動きによって最もひび割れや皺が生じたり、よれ曲がり易い箇所であり、たとえ肉厚部55が厚さ勾配部56と肉薄部57と比して高い剛性を有しているとしても、該領域のよれ曲がりが厚さ勾配部56と肉薄部57とに及んで後方域52全体が着用者の身体から離間して体液の漏れを誘発するおそれがある。また、吸収構造体17の曲状部22は着用状態において着用者の大腿に沿ってフィットするように曲状を有するものであるが、着用者が比較的に高月齢の幼児の場合には、屈曲部位24及びそれよりも後方の部位が大腿間に挟圧され、それを変形させようとする力が作用する。本実施形態においては、かかる領域に吸収構造体17において最も高い剛性を有する高剛性域64を設けられていることによって、屈曲部位24を起点とするよれ曲がりを防ぎ、後方域52全体が着用者の身体から離間するのを防止することができる。
【0039】
高剛性域64を形成する方法として、例えば、吸液性コアの単位面積当たりの質量を局所的に高めて該領域が最も肉厚になるように設計することもできるが、その場合には、該領域がリブのように作用して吸収構造体17全体が着用者の身体の形状に沿って湾曲し難くなり、フィット感が低下するおそれがある。本実施形態の場合には、デボス加工を施した第2デボス加工部63によって高剛性域64が画定されるので、該領域近傍を起点とするひび割れや変形を抑制することができる一方、吸収構造体17を着用者の身体の形状に沿って湾曲させることができ、変形等による体液の漏れ防止と着用者の身体に対するフィット性の確保を実現することができる。
【0040】
第1及び第2デボス加工部61,63を形成する複数の圧縮凹部60は、ほぼ同じ大きさのほぼ円形状を有しており、第1デボス加工部61において比較的に密に、第2デボス加工部63においては比較的に疎に配置されている。したがって、第1デボス加工部61を全体とする圧縮凹部60の総面積率は、第2デボス加工部63を全体とする圧縮凹部62の総面積率よりも高くなっている。具体的には、前者の圧縮凹部60の総面積率が約12〜18%であるのに対し、後者の圧縮凹部60の総面積率は約5.0〜9.0%である。また、圧縮凹部60の厚さ方向Zにおける長さ寸法(深さ)は、約0.2〜0.5mmである。
【0041】
第1デボス加工部61の圧縮凹部60の総面積率が第2デボス加工部63のそれよりも大きくすることによって、肉薄部57と厚さ傾斜部56との剛性差を低くして、それらの境界近傍を起点とする吸収構造体17の変形を防止することができる。また、厚さ傾斜部56では、肉薄部57側の部位に第1デボス加工部61が設けられ、該部位よりも肉厚の肉厚部55側の部位に第2デボス加工部63が設けられていることから、厚さ勾配部57内においても剛性が急激に変化することはなく、厚さ傾斜部56を起点とする吸収性構造体17の変形や折れ曲がりを防止することができる。
【0042】
図4を参照すると、第1及び第2デボス加工部61,63には、横方向Xに一連の延びる圧縮凹部60が設けられていない非圧縮部が形成されている。非圧縮部が形成されていることによって吸収構造体17は所要の柔軟性を有し、少なくとも第2デボス加工部63に非圧縮部が形成されることによって、厚さ勾配部56及び高剛性域64を着用者の身体に沿って湾曲させ易くなる。前記の効果を奏する限りにおいて、第1及び第2デボス加工部61,63における圧縮凹部60の総面積率の値は適宜変更することができ、デボスパターンとして千鳥状のほかに各種の公知パターンを採用してもよいし、圧縮凹部60の形状についても円形以外に楕円形、ひし形、短冊状など各種公知の形状を有するものであってもよい。
【0043】
<吸収構造体17の製造方法>
図6を参照すると、搬送ロール(図示せず)を介して複数の吸収構造体17に対応する部分が一連に繋がって形成された連続吸収構造体71が機械方向MDに搬送されている。連続吸収構造体71は単層又は複数層からなる吸液性コアを液コアラップシートで被包することによって形成されたものであって、各吸収構造体17の厚さ勾配部56および肉薄部57に相当する部分71aが下方に凹んで肉薄になっている。
【0044】
図6及び7を参照すると、吸収構造体17に第1及び第2デボス加工部61,63を賦与するためのデボス工程は、連続吸収構造体71の上方に位置する、一方向に回転するデボスローラー72と、それと対向配置されたデボスローラー72と逆方向に回転する外周面が平滑なアンビルローラー73とから構成されている。デボスローラー72の外周面の一部には、第1端縁74aと第2端縁74bとを有し、第1端縁74aから第2端縁74bへ向かって周方向に延びるにつれて次第に肉厚となる隆起部74が設けられている。隆起部74は第1端縁74a側に位置する肉薄部位75と第2端縁74b側に位置する肉厚部位76とをさらに有する。隆起部74の表面及びその第1端縁74a側のデボスローラー72の外周面の一部には複数のボス77が突出している。ボス77は、隆起部74の肉厚部位76に形成された各吸収構造体17の第1デボス加工部61に対応する第1デボス群78と、肉薄部位75に形成された各吸収構造体17の第2デボス加工部63に対応する、第1デボス群78よりもボス77どうしの離間寸法が大きく比較的に疎に配置された第2デボス群80とに区分されている。なお、ボス77は、連続吸収構造体71に安定的に圧縮凹部60を形成するために、それを構成するシート部材が融着しない程度に加熱されていてもよい。
【0045】
デボスローラー72は、連続吸収構造体71の厚さ勾配部56および肉薄部57に相当する部分71aにその外周面に形成された隆起部74が対向位置するように、その回転速度と連続吸収構造体71の搬送速度とが調整されて同期されており、隆起部74の肉厚部位76の第1デボス群78が肉薄部57に相当する部位をプレスすることによって第1デボス加工部61が形成され、隆起部74の肉薄部位75の第2デボス群80が厚さ勾配部56及び肉厚部55の高剛性域64に相当する部位をプレスすることによって第2デボス加工部63が形成される。
【0046】
かかるデボス工程によれば、一つのデボスローラー72に隆起部74を形成して、パターンの異なる第1及び第2デボス加工部61,63を同時に賦型することができるので、各デボス加工部61,63に異なるデボスローラーを用いる場合に比して製造工程が簡易であるといえる。また、隆起部74は、連続吸収構造体71のプレスされる部分の形状に応じて異なる厚さを有するものであるので、厚さ勾配部56が比較的に強くプレスされて必要以上にその剛性が高くなることはなく、また、隆起部74の肉厚部位76で肉薄部57をプレスするので、肉薄部57に所要の剛性を持たせるとともに肉薄に形成することができる。
【0047】
デボス工程は、上記構成のほかに、第1および第2デボス群78,80においてボス77の総面積率が同じであって、ボス77の長さ寸法が異なるもの、すなわち、肉薄部57に対応する第1デボス群78のボス77の長さ寸法が第2デボス群80を形成するボス77のそれよりも大きく、より高い剛性を付与することができるものであってもよい。また、異なるデボスパターンを有する2つのデボスローラーを用いて、一方のデボスローラーによって第1及び第2デボス加工部61、63に相当する範囲にデボス加工を施し、他方のデボスローラーによって第1デボス加工部61に相当する部分にのみさらにデボス加工を施すものであってもよい。
【0048】
<吸収構造体17の肉厚部55及び肉薄部57の曲げ剛性>
吸収構造体17の肉厚部55、肉薄部57の各曲げ剛性について言えば、肉厚部55のうちの高剛性域64以外の領域における曲げ剛性は約0.07〜0.14N,高剛性域64の曲げ剛性は約0.09〜0.2N、肉薄部57の曲げ剛性は約0.04〜0.07Nである。肉厚部55と肉薄部57との剛性値の差は、約0.04N以下であることが好ましい。剛性値が0.04N以上の場合には、剛性の急激な変化を緩衝するための厚さ傾斜部56が設けられているとしても、その剛性値の大きな相違によって、吸収構造体17が変形して一部にひび割れを生じたりするおそれがある。また、高剛性域64の剛性値が0.2N以上の場合には、吸収構造体17全体における該領域の剛性値が他の領域に比べて高くなり、それを起点として吸収構造体17にひび割れが生じたたり、変形したりするおそれがある。
【0049】
<吸収構造体17の肉厚部55及び肉薄部57の曲げ剛性の測定方法>
吸収構造体17の肉厚部55と肉薄部57との各部の曲げ剛性は、テーバー式剛軟度試験機を用いて測定することができる。具体的には、おむつ10から吸収構造体17を取り出して、肉厚部55と肉薄部57とにおいて縦方向Yの長さ寸法約70mm×横方向Xの長さ寸法約38.1mmの略矩形状に切断した試料を作成し、横方向Xが曲げ方向となるように前記試験機を用いて各部のテーバー曲げ剛性値を測定する。ただし、肉厚部55の高剛性域64については前記測定寸法を有する大きさではないので、それらの測定寸法よりも小さい所定の大きさを有する試料を用いて曲げ剛性を測定する。
【0050】
<吸収構造体17の各部55,56,57の区分けについて>
吸収構造体17の肉厚部、厚さ勾配部及び肉薄部55,56,57の各部の区分けは、例えば、以下の方法により実施することができる。なお、以下の方法は、吸収構造体17にデボス加工を施す前であって、かつ、各部の厚さ寸法ではなく、単位面積当たりの質量に基づいて算出した結果によるものである。これは、デボス加工を施す前後において各部55,56,57における単位面積当たりの質量に変化はなく、また、前記のとおり厚さ寸法に応じて単位面積当たりの質量も異なるものであるから、単かかる方法によって各部55,56,57の区分けをすることができることを意味している。
【0051】
まず、縦方向Yの長さ寸法が約360mmの吸収構造体17を縦方向Yの長さ寸法約20mmごとに18分割する。次に、分割された各セクションごとの単位面積当たりの質量(g/m)を測定する。各セクションのうち、最も単位面積当たりの質量が高いセクションの質量値を1として、他のセクションごとに最大の質量値に対する割り合いを算出して、1〜18セクションごとに順に並べた表にプロットする。プロットした各点のうち、その両側において隣り合う点どうしを結ぶ線がいずれも下り勾配となっている2点を境界点とし、肉厚側(最大の質量値に対する割合値が高い側)における境界点を肉厚部55と厚さ勾配部56との境界である第1境界点、肉薄側(最大の質量値に対する割合値の低い側)における境界点を厚さ勾配部56と肉薄部57との境界である第2境界点とする。それにより、吸収構造体17において、各境界点を表わす各セクション間の長さ寸法の領域を厚さ勾配部56、第1境界点のセクションよりも肉厚側を肉厚部55、第2境界点よりも肉薄部57側を肉薄部57として区分することができる。
【0052】
<第2実施形態>
図8を参照して、第1実施形態と相違する点について述べると、本実施形態においては、第1デボス加工部61の圧縮凹部60の配置パターンは第2デボス加工部63のそれと異なるものであって、第1デボス加工部61では、圧縮凹部60の存在しない非圧縮部が縦方向Y及び横方向Xに連続的に形成されてない。そのため、第1デボス加工部61では、肉薄部57の全方向における剛性を高めることができる。圧縮凹部60の配置パターンの一部拡大図で示すとおり、第1デボス加工部61では、6つの圧縮凹部60に囲まれた非圧縮域82が複数画定されている。非圧縮域82は、圧縮凹部60に囲まれることによって比較的に柔軟性を有しており、第1実施形態のように圧縮凹部60が密に配置されている場合に比して、着用者の身体に対するクッション性を向上させることができる。
【0053】
<第3実施形態>
図9,10を参照して、第1実施形態と相違する点について述べると、本実施形態においては、吸収構造体17は、前方域51から中央部53の後方まで延びる第1肉厚部55Aと、後方域52に形成された肉薄部57と、第1肉厚部55Aと肉薄部57との間に位置する厚さ勾配部56と、肉薄部57と吸収構造体17の後端縁17bとの間に位置する第2肉厚部55Bとを有する。
【0054】
第2肉厚部55Bは、第1肉厚部55Aとほぼ同等の厚さ寸法、または、少なくとも肉薄部57の1.1倍以上の厚さ寸法を有するものであって、第1デボス加工部61が形成されていない。このように、第1肉厚部55Aとほぼ同等の厚さ寸法を有する第2肉厚部55Bが後方域52の後端縁17b側に形成されていることによって、第2肉厚部55Bにおいて肉薄部57で十分に吸収されなかった体液を吸収、保持することができ、後端縁17bからの体液の漏れを確実に防止することができる。
【0055】
本発明に係る吸収構造体17は、使い捨ておむつに限らず、生理用ナプキン、失禁パッド、トレーニングパンツなどの各種の体液吸収処理物品について使用できるものである。また、おむつ10の各構成部材には、本明細書に記載されている材料のほかに、この種の分野において通常用いられている、各種の公知の材料を制限なく用いることができる。また、本発明の明細書及び特許請求の範囲において、用語「第1」,「第2」及び「第3」は、同様の要素、位置などを単に区別するために用いられているものである。
【0056】
以上に記載した第1発明に関する開示は、少なくとも下記事項に要約することができる。
縦方向及びそれに直交する横方向を有し、透液性のトップシートと不透液性のバックシートとの間に介在された、少なくとも体液吸収性を有する吸液性コアを含む吸収性着用物品のための吸収構造体において、第1端縁及びそれと前記縦方向において対向する第2端縁と、前記第1端縁側に位置する肉厚部と、前記第2端縁側に位置する前記肉厚部よりも厚さ寸法の小さい肉薄部と、前記肉厚部と前記肉薄部との間に位置し、前記第1端縁側から前記第2端縁側へ向かって次第に厚さ寸法が小さくなる厚さ勾配部とを有し、前記肉薄部、前記厚さ勾配部及び前記厚さ勾配部に隣接する前記肉厚部の一部には多数の圧縮凹部を形成するデボス加工が施されていることを特徴とする前記吸収構造体。
【0057】
上記段落0056に開示した第1発明は、少なくとも下記の実施の形態を含むことができる。
(1)前記第1端縁と前記第2端縁間において前記縦方向へ延び、かつ、凹状部を有する両側縁をさらに含み、前記デボス加工が前記第2端縁から前記凹状部の一部まで施されている。
(2)前記肉薄部と前記厚さ勾配部の前記肉薄部側には前記デボス加工による前記圧縮凹部が複数配置された第1デボス加工部が形成されており、前記厚さ勾配部の前記肉厚部側と前記厚さ勾配部に隣接する前記肉厚部の一部とには、前記デボス加工による前記圧縮凹部が複数配置された第2デボス加工部が形成されており、前記第1デボス加工部における前記圧縮凹部は前記第2デボス加工部におけるそれよりも密に配置されている。
(3)前記吸収構造体は、前記縦方向へ連続して延びる単層の前記吸液性コアと前記吸液性コアを覆う液拡散性を有するシートとから構成されている。
(4)前記第2デボス加工部は、前記複数の圧縮凹部に囲まれて画定された複数の非圧縮域を有する。
(5)前記吸収構造体において、前記肉厚部の前記吸液性コアの単位面積当たりの質量は、前記肉薄部の前記吸液性コアの単位面積当たりの質量よりも高く、前記厚さ勾配部においては、その厚さ寸法の勾配に応じて前記吸液性コアの単位面積当たりの質量が異なる。
(6)前記第1端縁と前記厚さ勾配部との間に位置する第1肉厚部と、前記肉薄部から前記縦方向の外方に延びる第2肉厚部とを有し、前記第1肉厚部と前記第2肉厚部との厚さ寸法がほぼ同じである。
【0058】
以上に記載した第2発明に関する開示は、少なくとも下記事項に要約することができる。
第1及び第2端縁と、前記第1端縁側に位置する肉厚部と、前記第2端縁側に位置する前記肉厚部よりも厚さ寸法の小さい肉薄部と、前記肉厚部と前記肉薄部との間に位置し、前記第1端縁から前記第2端縁に向かって次第に厚さ寸法が小さくなる厚さ勾配部とを有し、前記肉薄部と、前記厚さ勾配部と前記肉厚部の前記厚さ勾配部に隣接する部位とには多数の圧縮凹部を形成するデボス加工が施されている吸収構造体と、前ウエスト域と、後ウエスト域と、前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域とを有するおむつ本体とを備え、前記吸収構造体が前記前ウエスト域から前記後ウエスト域まで延び、前記吸収構造体の前記第1端縁が前記前ウエスト域側に位置し、前記第2端縁が前記後ウエスト域側に位置し、前記隣する接部位と前記厚さ勾配部とが前記クロッチ域に位置する吸収性着用物品。
【符号の説明】
【0059】
10 吸収性着用物品(使い捨ておむつ)
11 前ウエスト域
12 後ウエスト域
13 クロッチ域
14 おむつ本体
15 トップシート
16 バックシート
17 吸収構造体
17a 第1端縁(前端縁)
17b 第2端縁(後端縁)
17c,17d 両側縁
55 肉厚部
55A 第1肉厚部
55B 第2肉厚部
56 厚さ勾配部
57 肉薄部
60 圧縮凹部
61 第1デボス加工部
63 第2デボス加工部
64 高剛性域
82 非圧縮域
X 横方向
Y 縦方向
Z 厚さ方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向及びそれに直交する横方向を有し、透液性のトップシートと不透液性のバックシートとの間に介在された、少なくとも体液吸収性を有する吸液性コアを含む吸収性着用物品のための吸収構造体において、
第1端縁及びそれと前記縦方向において対向する第2端縁と、前記第1端縁側に位置する肉厚部と、前記第2端縁側に位置する前記肉厚部よりも厚さ寸法の小さい肉薄部と、前記肉厚部と前記肉薄部との間に位置し、前記第1端縁側から前記第2端縁側へ向かって次第に厚さ寸法が小さくなる厚さ勾配部とを有し、
前記肉薄部、前記厚さ勾配部及び前記厚さ勾配部に隣接する前記肉厚部の一部には多数の圧縮凹部を形成するデボス加工が施されていることを特徴とする前記吸収構造体。
【請求項2】
前記第1端縁と前記第2端縁間において前記縦方向へ延び、かつ、凹状部を有する両側縁をさらに含み、前記デボス加工が前記第2端縁から前記凹状部の一部まで施されている請求項1に記載の吸収構造体。
【請求項3】
前記肉薄部と前記厚さ勾配部の前記肉薄部側には前記デボス加工による前記圧縮凹部が複数配置された第1デボス加工部が形成されており、前記厚さ勾配部の前記肉厚部側と前記厚さ勾配部に隣接する前記肉厚部の一部とには、前記デボス加工による前記圧縮凹部が複数配置された第2デボス加工部が形成されており、前記第1デボス加工部における前記圧縮凹部は前記第2デボス加工部におけるそれよりも密に配置されている請求項1又は2に記載の吸収構造体。
【請求項4】
前記吸収構造体は、前記縦方向へ連続して延びる単層の前記吸液性コアと前記吸液性コアを覆う液拡散性を有するシートとから構成された請求項1〜3のいずれかに記載の吸収構造体。
【請求項5】
前記第2デボス加工部は、前記複数の圧縮凹部に囲まれて画定された複数の非圧縮域を有する請求項1〜4のいずれかに記載の吸収構造体。
【請求項6】
前記吸収構造体において、前記肉厚部の前記吸液性コアの単位面積当たりの質量は、前記肉薄部の前記吸液性コアの単位面積当たりの質量よりも高く、前記厚さ勾配部においては、その厚さ寸法の勾配に応じて前記吸液性コアの単位面積当たりの質量が異なる請求項1〜5のいずれかに記載の吸収構造体。
【請求項7】
前記第1端縁と前記厚さ勾配部との間に位置する第1肉厚部と、前記肉薄部から前記縦方向の外方に延びる第2肉厚部とを有し、前記第1肉厚部と前記第2肉厚部との厚さ寸法がほぼ同じである請求項1〜6のいずれかに記載の吸収構造体。
【請求項8】
第1及び第2端縁と、前記第1端縁側に位置する肉厚部と、前記第2端縁側に位置する前記肉厚部よりも厚さ寸法の小さい肉薄部と、前記肉厚部と前記肉薄部との間に位置し、前記第1端縁から前記第2端縁に向かって次第に厚さ寸法が小さくなる厚さ勾配部とを有し、前記肉薄部と、前記厚さ勾配部と前記肉厚部の前記厚さ勾配部に隣接する部位とには多数の圧縮凹部を形成するデボス加工が施されている吸収構造体と、前ウエスト域と、後ウエスト域と、前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域とを有するおむつ本体とを備え、前記吸収構造体が前記前ウエスト域から前記後ウエスト域まで延び、前記吸収構造体の前記第1端縁が前記前ウエスト域側に位置し、前記第2端縁が前記後ウエスト域側に位置し、前記隣接する部位と前記厚さ勾配部とが前記クロッチ域に位置する吸収性着用物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−111419(P2013−111419A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263089(P2011−263089)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】