説明

吸収液、吸収液を用いたガス中のCO2又はH2S除去装置及び方法

【課題】ガス中に含まれるCO2又はH2S又はその双方の除去を、コンパクトでかつ省エネルギーな回収装置で除去できる、吸収液、 吸収液を用いたCO2又はH2S又はその双方の除去装置及び方法を提供する。
【解決手段】本発明にかかる吸収液は、ガス中のCO2又はH2S又はその双方を吸収する吸収液であって、第1の化合物成分であるアルカノールアミンと、分子内に1級、2級、3級の窒素を2つ以上有する含窒素化合物、又は全て有する含窒素化合物からなる第2の成分とを含むものであり、これにより、同重量%濃度のアルカノールアミンおよび含窒素化合物単独の水溶液に比べて優れた吸収容量性能・吸収反応熱性能を示し、ガス中のCO2又はH2S又はその双方を少ないエネルギーで回収できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス中に含まれるCO2 (二酸化炭素)又はH2S(硫化水素)又はその双方を除去する吸収液、該吸収液を用いたCO2又はH2S又はその双方の除去装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球の温暖化現象の原因の一つとして、CO2 による温室効果が指摘され、地球環境を守る上で国際的にもその対策が急務となってきた。CO2 の発生源としては、化石燃料を燃焼させるあらゆる人間の活動分野に及び、その排出抑制への要求が一層強まる傾向にある。これに伴い大量の化石燃料を使用する火力発電所などの動力発生設備を対象に、ボイラの燃焼排ガスをアルカノールアミン水溶液等と接触させ、ガス中のCO2 を除去し、回収する方法、及び回収されたCO2 を大気へ放出することなく貯蔵する方法が精力的に研究されている。また、アルカノールアミン水溶液はCO2 (二酸化炭素)以外にH2S(硫化水素)等の酸性ガスとも反応する為、化学工業においては、酸性ガス全般の除去・回収を目的として、各種ガスの精製プロセスにおいて広く用いられている。
【0003】
前記アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン(MEA)、エチルアミノエタノール(EAE)、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン(MDEA)、ジイソプロパノールアミン、ジグリコールアミンなどを挙げることができるが、通常モノエタノールアミン(MEA)が好んで用いられる。
【0004】
さらに、前記アルカノールアミンを複数種混合させることにより、それら単独では達成できない性能を具備出来る効果が開示されている(例えば、MEAとAMPの混合液の性能が開示されている。特許文献1)。また、アルカノールアミンの吸収性能向上のため、吸収助剤としてピペラジン等の環状アミン、エチレンジアミン等の直鎖状アミンを用いることが提案されている(特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5)。
【0005】
【特許文献1】特開平6-343858号公報
【特許文献2】米国特許第4336233号明細書
【特許文献3】特開平1−231921号公報
【特許文献4】特公昭61-19286号公報
【特許文献5】米国特許第6436174号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
大規模プラントにおいて大量のCO2を回収する場合には、できるだけ少ないエネルギーで回収できる装置が、望まれている。これを可能とする為には、吸収液循環量の低減と、吸収したCO2を解離させるのに必要な熱量の低減が必要である。吸収液循環量の低減の為には、吸収液の単位吸収液量あたりの吸収容量を増加させる必要があり、このためしばしば吸収液は、アミン化合物の高濃度化が図られる。
【0007】
しかしながら、アミン化合物の高濃度化においては、粘度および腐食性が上昇するという問題点が指摘されている(特許文献4)。このうち、腐食性に関しては、腐食防止剤の添加や配管材の選定により回避可能であるが、粘度に関しては通常のプロセス上、容易には回避できない問題となる。
【0008】
また、アミン化合物の種類によっては、溶媒に対する溶解度が低い為に高濃度化が困難なものもある。例えば特許文献3に記されるピペラジンは、水への溶解度が低い上、それがCO2との反応により生成するピペラジンカルバメートの液への溶解度が低い為、添加レベルは0、8モル/リットル以下の濃度に制限されている。
【0009】
また特許文献5には、さらに環内に窒素原子を含み分岐ヒドロキシル基あるいは分岐アルキル基を有する化合物を広い濃度範囲(0.1〜50%)で用いる吸収液が有用であることが示されているが、アルコール類の添加が必須条件となっている。
【0010】
前記MEA、などの公知のアルカノールアミンは、水と任意の比率で混合が可能できるため高濃度化が容易なものが多い。しかしながらそれら1種類のみを含む水溶液においては、濃度を増加させた際に、吸収容量性能が濃度に比例しない場合がある。従ってアミンの種類によっては、高濃度化を図っても、期待された吸収液循環量の低減の効果が得られない場合がある。従って、CO2回収エネルギーの低減の為には、含窒素化合物の高濃度化によって、粘度の上昇が抑えられ、なおかつ、吸収容量性能・吸収反応熱性能が効果的に向上する、吸収液の開発が課題となっていた。
【0011】
本発明は、前記問題に鑑み、含窒素化合物の高濃度化によっても、粘度の上昇が抑えられると共に、吸収容量性能・吸収反応熱性能が効果的に向上する吸収液、吸収液を用いたCO2又はH2S又はその双方の除去装置及び方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは前記課題に鑑み、ガス中のCO2を除去する際に用いられる吸収液について鋭意検討した結果、アルカノールアミンと特定の構造を有する含窒素化合物の混合水溶液が、高濃度領域においても粘度上昇が抑えられ、同重量%濃度のアルカノールアミンおよび含窒素化合物単独の水溶液に比べて優れたCO2吸収容量性能・吸収反応熱性能を示すことを見出し、ガス中のCO2又はH2Sの除去を少ないエネルギーで除去できる、吸収液及び該吸収液を用いたCO2又はH2S除去装置及び方法を提供する本発明を完成させることが出来た。
【0013】
上述の課題を解決するための本発明の第1の発明は、ガス中のCO2又はH2S又はその双方を吸収する吸収液であって、第1の化合物成分と、分子内に1級、2級、3級の窒素を少なくとも2種類以上有する含窒素化合物、又は全て有する含窒素化合物からなる第2の化合物成分とを含むことを特徴とする吸収液にある。
ここで、前記第1の化合物成分は、下記化合物または、これらの混合物である。
【化1】

【化2】

【化3】

ここで、式(I)〜(III)中、
x、yは、1≦x≦5、2≦y≦10であり、
1、R2、R3、R4は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=1〜21、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【0014】
第2の発明は、第1の発明において、前記第2の化合物成分が、環内に2級の窒素を有する含窒素化合物又は、環内に3級の窒素を有する含窒素化合物であることを特徴とする吸収液にある。
【0015】
第3の発明は、第1の発明において、前記第2の化合物成分が、環内に2級及び3級の窒素を有する含窒素化合物であることを特徴とする吸収液にある。
【0016】
第4の発明は、第2又は3の発明において、前記第2の化合物成分が、環から分岐する置換基のいずれかに窒素を有する含窒素化合物であることを特徴とする吸収液にある。
【0017】
第5の発明は、第4の発明において、前記環から分岐する置換基に1級の窒素を有する含窒素化合物であることを特徴とする吸収液にある。
【0018】
第6の発明は、第1の発明において、前記第2の化合物成分が、分子内に窒素を3つ以上有することを特徴とする吸収液にある。
【0019】
第7の発明は、第6の発明において、分子内に1級、2級、3級の窒素を全て有する含窒素化合物であることを特徴とする吸収液にある。
【0020】
第8の発明は、第1の発明において、前記第2の化合物成分は、下記式(IV)〜(X
III)のいずれかの含窒素化合物または、これらの混合物であることを特徴とする吸収液にある。
【化4】

【化5】

ここで、式(IV)〜(V)中、
5、R6は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
7、R8は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【化6】

ここで、式(VI)中、
9、R11は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
10は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【化7】

ここで、式(VII)中、
9、R11は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
10、R12は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【化8】

ここで、式(VIII)中、
9は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
13、R14、R15、R16は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【化9】

ここで、式(IX)中、
9、R18は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
10、R15、R17は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【化10】

ここで、式(X)中、
9は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
13、R14、R16、R19は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【化11】

ここで、式(XI)中、
9、R18は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
14、R17、R20は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【化12】

ここで、式(XII)中、
9、R21は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
14、R16、R17は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【化13】

ここで、式(XIII)中、
9、R18は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
14、R16、R17は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【0021】
第9の発明は、第1の発明において、前記第2の化合物成分は、下記式(XIV)〜(XIX)のいずれかの含窒素化合物または、これらの混合物であることを特徴とする吸収
液にある。
【化14】

ここで、式(XIV)中、
22は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
23、R24は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【化15】

ここで、式(XV)中、
25は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
23、R26は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【化16】

ここで、式(XVI)中、
23、R27、R28は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【化17】

ここで、式(XVII)中、
22は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
23、R24、R27、R29は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【化18】

ここで、式(XVIII)中、
25は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
23、R26、R29は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【化19】

ここで、式(XIX)中、
23、R27、R28、R29は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【0022】
第10の発明は、第1の発明において、前記第2の化合物成分は、下記式(XX)の含窒素化合物であることを特徴とする吸収液にある。
【化20】

ここで、式(XX)中、
30、R32、R33、R34は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
31は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【0023】
第11の発明は、第1乃至10のいずれか一つの発明において、第1の化合物成分が15重量%以上、45重量%以下の範囲で含むと共に、第2の化合物成分が15重量%以上、45重量%以下の範囲で含み、且つ全体で30重量%を超え、90重量%以下であることを特徴とする吸収液にある。
【0024】
第12の発明は、第1乃至11のいずれか一つの発明において、第1の化合物成分における式(I)のR1、R2が、Hであることを特徴とする吸収液にある。
【0025】
第13の発明は、第1乃至11のいずれか一つの発明において、第1の化合物成分における式(I)のxが2〜4であると共に、yが4〜8であることを特徴とする吸収液にある。
【0026】
第14の発明は、第1乃至11のいずれか一つの発明において、第1の化合物成分における式(I)のR1がHであると共に、R2が−CmHnOoNp(ここでm=1〜5、n=1〜11、o=0〜5、p=0〜5である。)であることを特徴とする吸収液にある。
【0027】
第15の発明は、第1乃至11のいずれか一つの発明において、第1の化合物成分における式(I)のxが2〜4あり、yが4〜8であるとともに、R2がCH3またはC25またはC37またはC49であることを特徴とする吸収液にある。
【0028】
第16の発明は、第1乃至11のいずれか一つの発明において、第1の化合物成分における式(I)のR1、R2が−CmHnOoNp(ここでm=1〜5、n=1〜11、o=0〜5、p=0〜5である。)であることを特徴とする吸収液にある。
【0029】
第17の発明は、第1乃至11のいずれか一つの発明において、第1の化合物成分における式(I)のxが2、yが4であり、R1がCH3、R2がC24OHであることを特徴とする吸収液にある。
【0030】
第18の発明は、CO2又はH2S又はその双方を含有するガスと吸収液とを接触させてCO2又はH2S又はその双方を除去する吸収塔と、CO2又はH2S又はその双方を吸収した溶液を再生する再生塔と、再生塔でCO2又はH2S又はその双方を除去して再生した溶液を吸収塔で再利用するCO2又はH2S又はその双方の除去装置であって、第1乃至17のいずれか一つの発明の吸収液を用いてなることを特徴とするCO2又はH2S又はその双方の除去装置にある。
【0031】
第19の発明は、CO2又はH2S又はその双方を含有するガスと吸収液とを接触させてCO2又はH2S又はその双方を除去する吸収塔と、CO2又はH2S又はその双方を吸収した溶液を再生する再生塔と、再生塔でCO2又はH2S又はその双方を除去して再生した溶液を吸収塔で再利用するCO2又はH2S又はその双方の除去方法であって、第1乃至17のいずれか一つの発明の吸収液を用いてCO2又はH2S又はその双方を除去することを特徴とするCO2又はH2S又はその双方の除去方法にある。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、ガス中のCO2又はH2S又はその双方を吸収する第1の含窒素化合物成分であるアルカノールアミンと、分子内に1級、2級、3級の窒素を2つ以上有する含窒素化合物、又は全て有する含窒素化合物からなる第2の成分とを含む吸収液を用いることにより、高濃度領域においても粘度の上昇を抑さえることができると共に、同重量%濃度のアルカノールアミンおよび含窒素化合物単独の水溶液に比べて優れたCO2又はH2S除去性能を有し、しかも吸収反応熱性能に優れたものを提供できる。
【0033】
また、アミン濃度30重量%以上の高濃度の吸収液を用いる際、同濃度のアミン単独での使用に比べて優れた吸収容量性能・吸収反応熱性能を有する吸収液が提供される為、アミン単独での使用に比べて吸収液循環量の低減と、吸収したCO2又はH2S又はその双方を解離させるのに必要な熱量の低減が図れる。吸収液循環量が低減できると、措置がコンパクトになるだけでなく、解離させるのに必要な熱量が少なくて済み、また、解離熱そのものが低減できると、少ないエネルギーで回収が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態、実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態、実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0035】
[発明の実施形態]
本発明にかかる吸収液は、ガス中のCO2又はH2S又はその双方を吸収する吸収液であって、第1の化合物成分と、分子内に1級、2級、3級の窒素を少なくとも2種類以上有する含窒素化合物、又は全て有する含窒素化合物からなる第2の化合物成分とを含むものである。
ここで、前記第1の化合物成分は、下記化合物または、これらの混合物である。
【化21】

【化22】

【化23】

ここで、式(I)〜(III)中、
x、yは、1≦x≦5、2≦y≦10であり、
1、R2、R3、R4は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=1〜21、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【0036】
ここで、本発明で用いられる式(I)にかかる吸収液は、例えばモノエタノールアミン(MEA)、メチルジエタノールアミン(MDEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、ジイソプロパノールアミン(DIPA)、3−アミノ−1−プロパノール(AP)、2−アミノ2−メチルプロパノール(AMP)、エチルジエタノールアミン(EDEA)、2−メチルアミノエタノール(MAE)、2−エチルアミノエタノール(EAE)、2−n−プロピルアミノエタノール、2−n−ブチルアミノエタノール(n−BAE)、2−n−ペンチルアミノエタノール、2−イソプロピルアミノエタノール、2−sec−ブチルアミノエタノール、2−イソブチルアミノエタノール(IBAE)、2−ジメチルアミノエタノール(DMAE)、2−ジエチルアミノエタノール(DEAE)等を例示することができる。
【0037】
ここで、本発明で用いられる式(II)にかかる吸収液は、例えば2、3−ジアミノプロピオン酸(DAPA)、グリシン等を例示することができる。
【0038】
ここで、本発明で用いられる下記式(III)にかかる吸収液は、例えば1,2−エチレンジアミン等を例示することができる。
なお、これら含窒素化合物は、2種以上を混合して用いてもよい。
【0039】
また、本発明において、前記第2の化合物成分としては、1)環内に2級又は3級の窒素を有する含窒素化合物、2)環内に2級及び3級の窒素を有する含窒素化合物、3)前記2)又は3)において、環から分岐する置換基のいずれかに窒素を有する含窒素化合物、4)前記3)において、前記環から分岐する置換基に1級の窒素を有する含窒素化合物、5)前記第2の化合物成分が、分子内に少なくとも3つ以上の窒素を有する含窒素化合物、6)前記5)において、分子内に少なくとも異なる等級の窒素を有する含窒素化合物のいずれかを用いることができる。
【0040】
以下、前記1)乃至6)の含窒素化合物の一例を下記式(III)乃至式(XX)に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ここで、式(IV)及び(V)で示される含窒素化合物は、式中に直鎖含窒素化合物で、1級、2級、3級の窒素を全て有するものである。
【0041】
また、式(VI)乃至(XIII)で示される含窒素化合物は、環状含窒素化合物で、1級、2級、3級の窒素を全て有するものである。
【0042】
また、式(XIV)乃至(XIX)で示される含窒素化合物は、環状含窒素化合物であると共に、環状部分と分岐部分に窒素の等級が異なるものを有するものである。
【0043】
また、式(XX)で示される含窒素化合物は、環状含窒素化合物であると共に、少なくとも3以上の窒素を含み、しかも分子内に少なくとも窒素の等級が異なるものを有するものである。
【0044】
ここで、本発明で用いられる下記式(IV)にかかる吸収液は、例えば4,7−ジアザ−2−アミノ−2−エチル−7−メチルオクタン等を例示することができる。
【0045】
【化24】

ここで、式(IV)中、
5、R6は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
7、R8は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【0046】
ここで、本発明で用いられる下記式(V)にかかる吸収液は、例えば4,7−ジアザ−
2−アミノ−2,4−ジエチルオクタン等を例示することができる。
【0047】
【化25】

ここで、式(V)中、
5、R6は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
7、R8は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【0048】
ここで、本発明で用いられる下記式(VI)にかかる吸収液は、例えば1−(2−アミノエチル)ピペラジン(AEPZ)などを例示することができる。
【0049】
【化26】

ここで、式(VI)中、
9、R11は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
10は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【0050】
ここで、本発明で用いられる下記式(VII)にかかる吸収液は、例えば1−メチル−2−アミノメチルピペラジン等を例示することができる。
【0051】
【化27】

ここで、式(VII)中、
9、R11は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
10、R12は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【0052】
ここで、本発明で用いられる下記式(VIII)にかかる吸収液は、例えば(2−アミノ)−(5ジメチルアミノ)ピロリジン等を例示することができる。
【0053】
【化28】

ここで、式(VIII)中、
9は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
13、R14、R15、R16は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【0054】
ここで、本発明で用いられる下記式(IX)にかかる吸収液は、例えば2−(アミノエチル(メチルアミノ))ピロリジン等を例示することができる。
【0055】
【化29】

ここで、式(IX)中、
9、R18は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
10、R15、R17は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【0056】
ここで、本発明で用いられる下記式(X)にかかる吸収液は、例えば(1−メチル)(2
−アミノ)−(5メチルアミノ)ピロリジン等を例示することができる。
【0057】
【化30】

ここで、式(X)中、
9は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
13、R14、R16、R19は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【0058】
ここで、本発明で用いられる下記式(XI)にかかる吸収液は、例えば(1−メチル)(2
−アミノエチルアミノ)ピロリジン等を例示することができる。
【0059】
【化31】

ここで、式(XI)中、
9、R18は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
14、R17、R20は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【0060】
ここで、本発明で用いられる下記式(XII)にかかる吸収液は、例えば(1−アミノメチル)(4−メチルアミノ)ピペリジン等を例示することができる。
【0061】
【化32】

ここで、式(XII)中、
9、R21は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
14、R16、R17は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【0062】
ここで、本発明で用いられる下記式(XIII)にかかる吸収液は、例えば(1−メチル
アミノエチル)4−アミノピペリジン等を例示することができる。
【0063】
【化33】

ここで、式(XIII)中、
9、R18は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
14、R16、R17は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【0064】
ここで、本発明で用いられる下記式(XIV)にかかる吸収液は、例えば4−アミノピ
ペリジン等を例示することができる。
【0065】
【化34】

ここで、式(XIV)中、
22は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
23、R24は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【0066】
ここで、本発明で用いられる下記式(XV)にかかる吸収液は、例えば(1−アミノメ
チル)ピペリジン等を例示することができる。
【0067】
【化35】

ここで、式(XV)中、
25は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
23、R26は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【0068】
ここで、本発明で用いられる下記式(XV1)にかかる吸収液は、例えばN−メチル−2アミノピペリジン等を例示することができる。
【0069】
【化36】

ここで、式(XVI)中、
23、R27、R28は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【0070】
ここで、本発明で用いられる下記式(XVII)にかかる吸収液は、例えばN,Nジアルキル-4アミノピペリジン等を例示することができる。
【0071】
【化37】

ここで、式(XVII)中、
22は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
23、R24、R27、R29は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【0072】
ここで、本発明で用いられる下記式(XVIII)にかかる吸収液は、例えば(Nアルキルアミノメチル)ピペリジン等を例示することができる。
【0073】
【化38】

ここで、式(XVIII)中、
25は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
23、R26、R29は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【0074】
ここで、本発明で用いられる下記式(XIX)にかかる吸収液は、例えば(Nアルキル
−4アミノアルキル)ピペリジン等を例示することができる。
【0075】
【化39】

ここで、式(XIX)中、
23、R27、R28、R29は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【0076】
ここで、本発明で用いられる下記式(XX)にかかる吸収液は、例えば(1−メチル-アミノエチル)(4−メチル)ピペラジン等を例示することができる。
【0077】
【化40】

ここで、式(XX)中、
30、R32、R33、R34は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
31は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【0078】
ここで、本発明のガスとの接触に用いる吸収液中のアミン成分の濃度としては、第1の化合物成分が15重量%以上、45重量%以下の範囲で含むと共に、第2の化合物成分が15重量%以上、45重量%以下の範囲で含み、且つ全体で30重量%を超え、90重量%以下とするのが好ましい。また、両者の配合量は、より好ましくは40〜70重量%の範囲とするのが好ましい。
【0079】
これは、後述する実施例に示すように、これらの範囲外であると、粘度の上昇が抑えられないからである。また、吸収容量性能・吸収反応熱性能における飛躍的な向上に寄与しないからである。
【0080】
一方、アミン以外の成分は、通常、水であるが、他の溶媒でも良く、またそれらの混合物でも良い。さらに、必要に応じて腐食防止剤、劣化防止剤などが加えられる。
【0081】
本発明において、ガスとの接触時の吸収液の温度は、通常30〜70℃の範囲である。
【0082】
本発明が適用できるガス条件は、全圧が大気圧近傍でCO2濃度が10%のものに代表されるが、これに限定されるものではない。
【0083】
本発明により処理されるガスとしては、例えば石炭ガス化ガス、合成ガス、コークス炉ガス、石油ガス、天然ガス等を挙げることができるが、これらの限定されるものではなく、CO2又はH2S等の酸性ガスを含むガスであれば、いずれのガスでもよい。
【0084】
本発明のガス中のCO2又はH2S又はその双方を除去する方法で採用できるプロセスは、特に限定されないが、CO2を除去する除去装置の一例について図1を参照しつつ説明する。
【0085】
図1はCO2除去装置の概略図である。図1に示すように、ガスは、CO2含有ガス供給口4を通って、吸収塔1へ導かれる。吸収塔1に押し込められた該ガスは、ノズル7から供給されるCO2吸収液と充填部2で向流接触させられ、ガス中のCO2は、吸収液により吸収除去され、ガスは、脱CO2ガス排出口5から排出される。吸収塔1に供給される吸収液は、CO2を吸収し、熱交換器14、加熱器8に送られ、加熱されて再生塔15に送られる。該再生塔15では、吸収液は、ノズル16より充填部17を経て、下部に流れる。この間にCO2が脱離して吸収液が再生する。再生した吸収液は、ポンプ9によって熱交換器14、吸収液冷却器26を経て、吸収液供給口6から吸収塔1に戻される。一方、再生塔15の上部において、吸収液から分離されたCO2は、ノズル18から供給される還流水と接触し、再生塔還流冷却器23により冷却され、還流ドラム21にてCO2に同伴した水蒸気が凝縮した還流水と分離し、回収CO2ライン22よりCO2回収工程に導かれる。還流水は、還流水ポンプ20で再生塔15に送られる。なお、この実施の形態では、あくまでその概要を説明するものであり、付属する機器を一部省略して説明している。
【0086】
本発明にかかる吸収液を上述したCO2除去装置の吸収液として用いることにより、効率的なCO2の吸収除去を行うことができる。
【実施例】
【0087】
以下、実施例に基づき、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0088】
反応熱計測装置(カルベ型熱量計)のサンプル側、参照側の各ガラス製反応容器に、第1の化合物成分として1級アミノ基を有するモノエタノールアミン(MEA)を30重量%、並びに第2の化合物成分として、1級、2級、3級アミノ基を有する1−(2−アミノエチル)ピペラジン(AEPZ)を30重量%含む水溶液を混合して吸収液とした(実施例1)。
【0089】
また、第1の化合物成分として、2級アミノ基を有する2−エチルアミノエタノール(EAE) を30重量%、並びに第2の化合物成分としてAEPZを30重量%含む水溶液を混合して吸収液とした(実施例2)。
【0090】
また、第1の化合物成分として、3級アミノ基を有するメチルジエタノールアミン(MDEA) を30重量%、並びに第2の化合物成分としてAEPZを30重量%含む水溶液を混合して吸収液とした(実施例3)。
【0091】
これらの実施例1乃至3にかかる吸収液を各々5g入れ、恒温槽温度を40℃に設定した。そして温度を40℃に保持しながら、試験ガスを大気圧下で50ml/分の流速でサンプル側、参照側の吸収液にバブリングにより接触させた。
ここで、試験ガスとしては、サンプル側にはCO2:10モル%、N2:90モル%の組成を有する40℃のモデルガスを、参照側にはN2:100モル%の40℃のガスを用いた。
【0092】
試験ガスを通気し続け、サンプル側と参照側で発生する熱量の時間微分値(W)を測定し、それらの差(ヒートフロー)の時間変化からCO2吸収反応に伴う発熱量(kJ)を算出した。ヒートフロー値がピークの2%以下の値まで収束した時点をCO2吸収反応の終了(飽和)点と判断し、通気開始から終了までの時間を反応時間(分)とした。反応終了後のCO2吸収液に含まれるCO2について、CO2分析計(全有機体炭素計)を用いて測定し、吸収液のCO2飽和吸収量(molCO2/kg吸収液)を算出した。
【0093】
反応終了までの発熱量、反応時間、CO2飽和吸収量から、CO2吸収反応速度(molCO2/min)、CO2吸収反応熱(kJ/molCO2)を算出した。
【0094】
また、上記の複数アミン混合液のほか、比較例としてMEA、EAE、MDEA、AEPZの各30重量%及び60重量%水溶液に対しても同様の試験を行った。
【0095】
前記実施例及び比較例にかかるCO2飽和吸収量、CO2吸収反応速度、CO2吸収反応熱の結果を、下記「表1」に示す。
【0096】
【表1】

【0097】
「表1」に示すように、MEA、EAE、MDEA、AEPZ各々の30重量%の吸収液(比較例1−1、2−1、3−1、4−1)と60重量%の吸収液(比較例1−2、2−2、3−2、4−2)の性能を比較すると、CO2飽和吸収量性能およびCO2反応熱性能はアミン濃度に比例しておらず、アミン1種類のみを含む水溶液では、アミン濃度増加による性能向上は十分には見込めないことが明らかである。
【0098】
一方、MEAとAEPZとの混合吸収液(実施例1)、EAEとAEPZとの混合吸収液(実施例2)、及びMDEAとAEPZとの吸収液(実施例3)では、同重量%濃度のアルカノールアミンおよびアミン化合物単独の水溶液(比較例1−2、2−2、3−2、4−2)に比べてCO2吸収容量性能・CO2吸収反応熱性能ともに優れた結果を示した。
【0099】
例えば、実施例2のEAE30重量%+AMPZ30重量%は、その構成成分単独から成る比較例2−2のEAE60重量%に対してCO2吸収容量が20%増でかつCO2吸収反応熱が10%減であり、比較例4−2のAEPZ60重量%に対してCO2吸収容量が15%増でかつCO2吸収反応熱が7%減と、混合効果による顕著な性能向上を実現した。
【0100】
CO2の回収に要するエネルギーの大部分は、CO2吸収容量性能が寄与する因子とCO2吸収反応熱性能が寄与する因子に支配されるため、本発明による上記の性能向上により、大幅な省エネルギーが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
以上のように、本発明にかかる吸収液によれば、吸収液循環量の低減と、吸収したCO2を解離させるのに必要な熱量の低減が図れるため、各種ボイラ等のプラント設備から排出されるガスからのCO2 (二酸化炭素)又はH2S(硫化水素)の除去・回収に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】CO2除去装置の概略図である。
【符号の説明】
【0103】
1 吸収塔
15 再生塔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス中のCO2又はH2S又はその双方を吸収する吸収液であって、
第1の化合物成分と、
分子内に1級、2級、3級の窒素を少なくとも2種類以上有する含窒素化合物、又は全て有する含窒素化合物からなる第2の化合物成分とを含むことを特徴とする吸収液。
ここで、前記第1の化合物成分は、下記化合物または、これらの混合物である。
【化1】

【化2】

【化3】

ここで、式(I)〜(III)中、
x、yは、1≦x≦5、2≦y≦10であり、
1、R2、R3、R4は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=1〜21、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2の化合物成分が、環内に2級の窒素を有する含窒素化合物又は、環内に3級の窒素を有する含窒素化合物であることを特徴とする吸収液。
【請求項3】
請求項1において、
前記第2の化合物成分が、環内に2級及び3級の窒素を有する含窒素化合物であることを特徴とする吸収液。
【請求項4】
請求項2又は3において、
前記第2の化合物成分が、環から分岐する置換基のいずれかに窒素を有する含窒素化合物であることを特徴とする吸収液。
【請求項5】
請求項4において、
前記環から分岐する置換基に1級の窒素を有する含窒素化合物であることを特徴とする吸収液。
【請求項6】
請求項1において、
前記第2の化合物成分が、分子内に窒素を3つ以上有する含窒素化合物であることを特徴とする吸収液。
【請求項7】
請求項6において、
分子内に1級、2級、3級の窒素を全て有する含窒素化合物であることを特徴とする吸収液。
【請求項8】
請求項1において、
前記第2の化合物成分は、下記式(IV)〜(XIII)のいずれかの含窒素化合物また
は、これらの混合物であることを特徴とする吸収液。
【化4】

【化5】

ここで、式(IV)〜(V)中、
5、R6は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
7、R8は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【化6】

ここで、式(VI)中、
9、R11は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
10は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【化7】

ここで、式(VII)中、
9、R11は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
10、R12は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【化8】

ここで、式(VIII)中、
9は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
13、R14、R15、R16は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【化9】

ここで、式(IX)中、
9、R18は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
10、R15、R17は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【化10】

ここで、式(X)中、
9は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
13、R14、R16、R19は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【化11】

ここで、式(XI)中、
9、R18は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
14、R17、R20は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【化12】

ここで、式(XII)中、
9、R21は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
14、R16、R17は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【化13】

ここで、式(XIII)中、
9、R18は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
14、R16、R17は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【請求項9】
請求項1において、
前記第2の化合物成分は、下記式(XIV)〜(XIX)のいずれかの含窒素化合物ま
たは、これらの混合物であることを特徴とする吸収液。
【化14】

ここで、式(XIV)中、
22は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
23、R24は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【化15】

ここで、式(XV)中、
25は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
23、R26は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【化16】

ここで、式(XVI)中、
23、R27、R28は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【化17】

ここで、式(XVII)中、
22は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
23、R24、R27、R29は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【化18】

ここで、式(XVIII)中、
25は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
23、R26、R29は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【化19】

ここで、式(XIX)中、
23、R27、R28、R29は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【請求項10】
請求項1において、
前記第2の化合物成分は、下記式(XX)の含窒素化合物であることを特徴とする吸収液。
【化20】

ここで、式(XX)中、
30、R32、R33、R34は、−Cijkl(ここで、i=0〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
31は、−Cijkl(ここで、i=1〜10、j=0〜26、k=0〜5、l=0〜5である。)である。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一つにおいて、
第1の化合物成分が15重量%以上、45重量%以下の範囲で含むと共に、第2の化合物成分が15重量%以上、45重量%以下の範囲で含み、且つ全体で30重量%を超え、90重量%以下であることを特徴とする吸収液。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一つにおいて、
第1の化合物成分における式(I)のR1、R2が、Hであることを特徴とする吸収液。
【請求項13】
請求項1乃至11のいずれか一つにおいて、
第1の化合物成分における式(I)のxが2〜4であると共に、yが4〜8であることを特徴とする吸収液。
【請求項14】
請求項1乃至11のいずれか一つにおいて、
第1の化合物成分における式(I)のR1がHであると共に、R2が−CmHnOoNp(ここでm=1〜5、n=1〜11、o=0〜5、p=0〜5である。)であることを特徴とする吸収液。
【請求項15】
請求項1乃至11のいずれか一つにおいて、
第1の化合物成分における式(I)のxが2〜4あり、yが4〜8であるとともに、R2がCH3またはC25またはC37またはC49であることを特徴とする吸収液。
【請求項16】
請求項1乃至11のいずれか一つにおいて、
第1の化合物成分における式(I)のR1、R2が−CmHnOoNp(ここでm=1〜5、n=1〜11、o=0〜5、p=0〜5である。)であることを特徴とする吸収液。
【請求項17】
請求項1乃至11のいずれか一つにおいて、
第1の化合物成分における式(I)のxが2、yが4であり、R1がCH3、R2がC24OHであることを特徴とする吸収液。
【請求項18】
CO2又はH2S又はその双方を含有するガスと吸収液とを接触させてCO2又はH2S又はその双方を除去する吸収塔と、CO2又はH2S又はその双方を吸収した溶液を再生する再生塔と、再生塔でCO2又はH2S又はその双方を除去して再生した溶液を吸収塔で再利用するCO2又はH2S又はその双方の除去装置であって、
請求項1乃至17のいずれか一つの吸収液を用いてなることを特徴とするCO2又はH2S又はその双方の除去装置。
【請求項19】
CO2又はH2S又はその双方を含有するガスと吸収液とを接触させてCO2又はH2S又はその双方を除去する吸収塔と、CO2又はH2S又はその双方を吸収した溶液を再生する再生塔と、再生塔でCO2又はH2S又はその双方を除去して再生した溶液を吸収塔で再利用するCO2又はH2S又はその双方の除去方法であって、
請求項1乃至17のいずれか一つの吸収液を用いてCO2又はH2S又はその双方を除去することを特徴とするCO2又はH2S又はその双方の除去方法。

【図1】
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【公開番号】特開2006−167520(P2006−167520A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−360528(P2004−360528)
【出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】