説明

吸引ノズル、および、粉粒体の貯留容器

【課題】粉粒体がブリッジを形成した場合でも、そのブリッジを崩して、粉粒体を安定に吸引することができる吸引ノズル、および、その吸引ノズルを備えた粉粒体の貯留容器を提供すること。
【解決手段】
気流を発生させる吸引ブロワ5に接続され、気流により粉粒体を吸引する吸引ノズル3を備える貯留タンクにおいて、吸引ブロワ5に接続される内管21の途中に、内管21内に空気を導入する第1通気管23と、第1通気管23への空気の導入量を調整する第1バルブ14とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気流により粉粒体を吸引する吸引ノズル、および、その吸引ノズルを備えた粉粒体の貯留容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、樹脂ペレットや樹脂粉砕物などの粉粒体を、例えば、乾燥機や成形機などの輸送目標へ、輸送管を介して吸引輸送する吸引式の気力輸送システムが知られている。
【0003】
このような気力輸送システムにおいて、粉粒体が貯留されるタンク(すなわち、輸送元)には、例えば、粉粒体を吸引する内管と、ノズル端部において、内管を被覆するように内管に外嵌され、内管のノズル端部に外気を供給する外管とを備える吸引ノズルが知られている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【0004】
この吸引ノズルでは、外気は、内管と外管との間を通過して、ノズル端部において、内管に流入している。また、粉粒体は、外管から内管に流入される外気とともに、内管に吸引される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭63−59139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、上記のような気力輸送システムでは、吸引途中において気力輸送システムが一旦停止され、ノズル端部の内管内に粉粒体が存在する状態で粉粒体の流動が停止されると、内管内において、粉粒体がブリッジを形成して詰まる場合がある。
【0007】
その場合、上記した特許文献1に記載の吸引ノズルでは、形成されたブリッジをほぐすことが困難である。
【0008】
そこで、本発明の目的は、粉粒体がブリッジを形成した場合でも、そのブリッジを崩して、粉粒体を安定に吸引することができる吸引ノズル、および、その吸引ノズルを備えた粉粒体の貯留容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、気流を発生させる気流発生装置に接続され、前記気流により粉粒体を吸引する吸引ノズルであって、前記気流発生装置に接続され、粉粒体を吸引する第1配管と、前記第1配管の途中に設けられ、前記第1配管内に空気を導入する第1空気導入部と前記第1空気導入部に設けられ、空気の導入量を調整する調整弁とを備えることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、第1配管内に空気を導入する第1空気導入部が、第1配管の途中に設けられている。
【0011】
そのため、第1配管の途中において粉粒体がブリッジを形成し、粉粒体を吸引することが困難になった場合でも、第1空気導入部から空気を導入することにより、そのブリッジを崩して、粉粒体を吸引することができる。
【0012】
しかも、調整弁により、前記第1配管への空気の導入量を調整することができる。
【0013】
その結果、粉粒体を安定に吸引することができる。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1配管の外周面と間隔を隔てて、前記第1配管に外嵌される第2配管と、前記第2配管の途中に設けられ、前記第2配管内に空気を導入する第2空気導入部とを、さらに備え、前記第1配管および前記第2配管は、前記第1配管の吸引方向上流側端部が、前記第2配管の前記吸引方向上流側端部に対して前記吸引方向上流側へ進出する進出位置と、前記第1配管の吸引方向上流側端部と、前記第2配管の前記吸引方向上流側端部とが、前記吸引方向と直交する方向に投影したときに、互いに重なる重複位置とに、相対的にスライド可能に設けられていることを特徴としている。
【0015】
このような構成によれば、第1配管の吸引方向上流側端部を、第2空気導入部から空気が導入される第2配管の吸引方向上流側端部に対して、吸引方向上流側へ進出させることができる。
【0016】
これにより、第1配管の吸引方向上流側端部が、第2配管の吸引方向上流側端部に対して吸引方向上流側へ進出されているときには、第2配管に導入される空気は、一旦、第2配管の吸引方向上流側端部から放出された後、第1配管の吸引方向上流側端部を周り込むようにしてわずかに吸引される。
【0017】
そのため、第1配管の吸引方向上流側端部に吸引される空気量を低減させて、粉粒体を、空気によってわずかに拡散させながら、比較的高濃度に、第1配管に吸引させることができる。
【0018】
その結果、第1配管の吸引方向上流側端部を第2配管の吸引方向上流側端部に対して進出させることにより、容易に粉粒体の吸引量を調整することができる。
【0019】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1配管の外周面と間隔を隔てて、前記第1配管に外嵌される第2配管と、前記第2配管の途中に設けられ、前記第2配管内に空気を導入する第2空気導入部とを、さらに備え、前記第1配管および前記第2配管は、前記第1配管の吸引方向上流側端部が、前記第2配管の前記吸引方向上流側端部に対して前記吸引方向下流側へ退避する退避位置と、前記第1配管の吸引方向上流側端部と、前記第2配管の前記吸引方向上流側端部とが、前記吸引方向と直交する方向に投影したときに、互いに重なる重複位置とに、相対的にスライド可能に設けられていることを特徴としている。
【0020】
このような構成によれば、第1配管の吸引方向上流側端部を、第2空気導入部から空気が導入される第2配管の吸引方向上流側端部に対して、吸引方向下流側へ退避させることができる。
【0021】
これにより、第1配管の吸引方向上流側端部が、第2配管の吸引方向上流側端部に対して吸引方向下流側へ退避されているときには、第2配管に導入される空気は、第2配管内において、第1配管の吸引方向上流側端部に多量に吸引される。
【0022】
そのため、第1配管の吸引方向上流側端部に吸引される空気量を増加させることができ、粉粒体を、空気によってより拡散させながら、比較的低濃度に、第1配管に吸引させることができる。
【0023】
その結果、第1配管の吸引方向上流側端部を第2配管の吸引方向上流側端部に対して退避させることにより、容易に粉粒体の吸引量を調整することができる。
【0024】
また、請求項4に記載の発明は、粉粒体の貯留容器であって、粉粒体を貯留する貯留槽と、前記貯留槽の内部空間に対して進退可能に設けられる請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸引ノズルと、前記第1配管の前記吸引方向下流側端部に接続され、前記第1配管内において、前記吸引方向上流側から前記吸引方向下流側へ向かう気流を発生させる気力発生装置とを備え、前記第1配管は、水平方向および鉛直方向に対して傾斜するように前記貯留槽の内部空間に挿入されており、前記第1配管の前記吸引方向上流側端部は、鉛直方向下側に向かって開放される開口が形成されるように、水平方向に沿って延びる端縁を有していることを特徴としている。
【0025】
このような構成によれば、第1配管が、水平方向および鉛直方向に対して傾斜するように貯留槽の内部空間に挿入されている。
【0026】
そのため、貯留槽内において水平方向に延びる攪拌羽根を設ければ、第1配管が傾斜している分、第1配管を攪拌羽根から退避させることができ、第1配管と攪拌羽根とを、互いに干渉することを防止しながら、効率よく配置することができる。
【0027】
また、第1配管の吸引方向上流側端部は、鉛直方向下側に向かって開放される開口が形成されるように、水平方向に沿って延びる端縁を有している。
【0028】
そのため、粉粒体を鉛直方向下側から第1配管に吸引させることができ、粉粒体が、その自重によって、鉛直方向上側から第1配管内に侵入することを防止することができる。
【0029】
その結果、吸引ノズルの吸引力のみによって粉粒体を吸引することができ、吸引ノズルの吸引力を調整することによって、容易に粉粒体の吸引量を調整することができる。
【発明の効果】
【0030】
請求項1に記載の発明によれば、粉粒体を安定に吸引することができる。
【0031】
また、請求項2に記載の発明によれば、第1配管の吸引方向上流側端部を第2配管の吸引方向上流側端部に対して進出させることにより、容易に粉粒体の吸引量を調整することができる。
【0032】
また、請求項3に記載の発明によれば、第1配管の吸引方向上流側端部を第2配管の吸引方向上流側端部に対して退避させることにより、容易に粉粒体の吸引量を調整することができる。
【0033】
また、請求項4に記載の発明によれば、第1配管と攪拌羽根とを、互いに干渉することを防止しながら、効率よく配置することができる。また、吸引ノズルの吸引力のみによって粉粒体を吸引することができ、吸引ノズルの吸引力を調整することによって、容易に粉粒体の吸引量を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の貯留タンクの一実施形態を示す側面図である。
【図2】図1に示す貯留タンクの平面図である。
【図3】図1に示す吸引ノズルの側面図であり、内管と外管とが進出位置に配置された状態を示す。
【図4】図1に示す吸引ノズルの側面図であり、内管と外管とが重複位置に配置された状態を示す。
【図5】図1に示す吸引ノズルの側面図であり、内管と外管とが退避位置に配置された状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、本発明の貯留タンクの一実施形態を示す側面図である。図2は、図1に示す貯留タンクの平面図である。
【0036】
貯留タンク1(粉粒体の貯留容器の一例)は、図1に示すように、略円筒形状のタンクであり、貯留槽2と、吸引ノズル3と、撹拌部材4とを備えている。
【0037】
貯留槽2は、上下方向に延びる略有底円筒形状に形成されており、吸引ノズル3が挿入される2つのノズル挿入部11と、上端部を閉鎖する蓋部材12とを備えている。また、貯留槽2の周側壁には、2つのノズル挿入穴17が形成されている。
【0038】
ノズル挿入穴17は、貯留槽2の下端部において、貯留槽2の周側壁を貫通するように形成されている。
【0039】
各ノズル挿入部11は、それぞれ、ノズル挿入管18とノズル支持部材19とを備えている。
【0040】
ノズル挿入管18は、ノズル挿入穴17の周端縁から、貯留槽2の径方向一方側へ向かうに従って上方に傾斜するように、突出形成されている。また、ノズル挿入管18は、吸引ノズル3の外管22(後述)よりも大径な略円筒形状に形成されている。
【0041】
ノズル支持部材19は、吸引ノズル3の外管22(後述)の外径と略同径(やや大径)の内径を有する略円筒形状に形成されており、ノズル挿入管18の突出方向一端部に、フランジによって固定されている。また、ノズル支持部材19には、外管22のスライドを規制するピン20が、ノズル支持部材19の周壁を径方向に貫通するように設けられている。
【0042】
蓋部材12は、上下方向に厚みを有する略円板形状に形成され、第1バルブ14(調整弁の一例)および第2バルブ15を備えている。また、蓋部材12には、外気取込口13、および材料投入口9が形成されている。
【0043】
第1バルブ14は、貯留槽2の径方向一方側半分部分に、2つ設けられている。また、第1バルブ14は、チューブなどにより、吸引ノズル3の第1通気管23(後述)に接続されている(図2点線参照)。第1バルブ14は、貯留槽2から第1通気管23へ向かう気流の通過を許容する開状態と、貯留槽2から第1通気管23へ向かう気流の通過を規制する閉状態とに切り替えられる。
【0044】
第2バルブ15は、第1バルブ14と別に、貯留槽2の径方向一方側半分部分に、2つ設けられている。また、第1バルブ15は、チューブなどにより、吸引ノズル3の第2通気管24(後述)に接続されている(図2点線参照)。第2バルブ15は、貯留槽2から第2通気管24へ向かう気流の通過を許容する開状態と、貯留槽2から第2通気管24へむかう気流の通過を規制する閉状態とに切り替えられる。
【0045】
外気取込口13は、貯留槽2の径方向他方側半分部分(すなわち、ノズル挿入部11が形成されている径方向一方側に対して反対側の半分)において、蓋部材12を上下方向に貫通するように略円形状に形成されている。また、外気取込口13は、外気中の粉塵を捕集するためのフィルタ16により、被覆されている。
【0046】
材料投入口9は、貯留槽2の径方向一方側半分部分において、蓋部材12を上下方向に貫通するように、2つ、略円形状に形成されている。材料投入口9には、図示しない配管を介して、例えば、粉粒体の重量を計量する計量装置(図示せず)が接続される。
【0047】
吸引ノズル3は、内管21(第1配管の一例)と、内管21に外嵌される外管22(第2配管の一例)とを備えている。
【0048】
内管21は、ノズル挿入管18の突出方向に沿って延びる略円筒形状に形成されている。また、内管21の軸線方向一端部は、吸引ノズル3が貯留槽2のノズル挿入部11に挿入されたときに、下方に向かって開放される開口26が形成されるように、水平方向に沿って延びる端縁25を有している。
【0049】
また、内管21の軸線方向他端部には、内管21に連通される第1通気管23が設けられている。なお、第1通気管23は、第1バルブ14とともに第1空気導入部を構成する。
【0050】
第1通気管23は、内管21から分岐される配管であり、内管21の軸線方向他端部から上方に向かって延びる略円筒形状に形成されている。
【0051】
外管22は、ノズル挿入管18の突出方向に沿って延び、内管21に外嵌されたときに内管21の外周面と間隔を隔てるように、内管21よりも大径な略円筒形状に形成されている。また、外管22は、内管21の第1通気管23よりも軸線方向一方側の部分と比べて、短く形成されている。また、外管22の軸線方向一端部は、内管21と同様に、吸引ノズル3が貯留槽2のノズル挿入部11に挿入されたときに、下方に向かって開放される開口28が形成されるように、水平方向に沿って延びる端縁29を有している。
【0052】
また、外管22の軸線方向他端部には、外管22に連通される第2通気管24(第2空気導入部の一例)と、内管21をスライド可能に支持する内管支持部材27とが設けられている。
【0053】
第2通気管24は、外管22から分岐される配管であり、外管22の軸線方向他端部から上方に向かって延びる略円筒形状に形成されている。
【0054】
内管支持部材27は、内管21の外径と略同径(やや大径)の内径を有する略円筒形状に形成されており、外管22の軸線方向他端部に固定されている。また、内管支持部材27には、内管21のスライドを規制するピン30が、内管支持部材27の周壁を径方向に貫通するように設けられている。
【0055】
そして、吸引ノズル3は、内管21の軸線方向一端部(詳しくは、第1通気管23よりも軸線方向一方側の部分)に、外管22がスライド可能に外嵌されている。
【0056】
また、吸引ノズル3は、外管22の軸線方向一端部(詳しくは、第2通気管24よりも軸線方向一方側の部分)において、ノズル挿入管18に挿入されている。
【0057】
また、内管支持部材27のピン30の先端が内管21の周壁と干渉するように、ピン30が内管支持部材27の径方向内側へ押圧されることにより、内管21と外管22とのスライドが規制されている。また、ノズル支持部材19のピン20の先端が内管21の周壁と干渉するように、ピン20がノズル支持部材19の径方向内側へ押圧されることにより、外管22のノズル挿入管18に対するスライドが規制されている。
【0058】
なお、内管21と外管22とをスライドさせるには、ピン30を内管支持部材27の径方向外側へ移動させて、ピン30の内管21に対する干渉を解除して、スライドさせる。外管22をノズル挿入管18に対してスライドさせるには、ピン20をノズル支持部材19の径方向外側へ移動させて、ピン20の外管22に対する干渉を解除して、スライドさせる。
【0059】
そして、吸引ノズル3には、内管21の軸線方向他端部において、吸引ブロワ5(気流発生装置の一例)が接続されている。吸引ブロワ5は、内管21内を吸引し、内管21内において軸線方向一方から軸線方向他方へ向かう気流を発生させる。
【0060】
撹拌部材4は、回転軸41と、その回転軸41に設けられる上羽根42および下羽根43とを備えている。
【0061】
回転軸41は、貯留槽2の径方向略中央に配置されるように、蓋部材12を上下方向に回転可能に貫通し、その上端部が、蓋部材12の上方においてモータ44に接続されるとともに、その下端部が、貯留槽2内に突出されている。なお、モータ44は、蓋部材12に位置固定されている。
【0062】
上羽根42は、貯留槽2内に突出された回転軸41の上下方向略中央において、回転軸41の径方向外側に延びるように設けられている。
【0063】
下羽根43は、貯留槽2内に突出された回転軸41の下端部において、回転軸41の径方向外側に延びるように設けられている。
【0064】
次いで、図3〜図5を参照して、貯留タンク1の動作を説明する。
【0065】
図3は、図1に示す吸引ノズルの側面図であり、内管と外管とが進出位置に配置された状態を示す。図4は、図1に示す吸引ノズルの側面図であり、内管と外管とが重複位置に配置された状態を示す。図5は、図1に示す吸引ノズルの側面図であり、内管と外管とが退避位置に配置された状態を示す。
【0066】
なお、貯留タンク1内には、材料投入口9を介して投入された粉粒体が、撹拌部材4の上羽根42の上まで、具体的には、第1レベルL1まで、貯留されている。また、第1バルブ14および第2バルブ15は、開状態となっている。
【0067】
また、吸引ノズル3の外管22は、図3に示すように、ノズル挿入管18に最も深く挿入され、外管22の軸線方向一端部は、貯留槽2内に最も長く突出されている。また、吸引ノズル3の内管21は、外管22に最も深く挿入され、内管21の軸線方向一端部は、外管22の軸線方向一端部よりも貯留槽2内に進出されている。すなわち、内管21および外管22は、内管21の軸線方向一端部(吸引方向上流側端部)が、外管22の軸線方向一端部(吸引方向上流側端部)に対して、軸線方向一方側(吸引方向上流側)へ進出する進出位置に配置されている。
【0068】
このとき、内管21および外管22の軸線方向一端部は、貯留タンク1内の粉粒体に埋もれている。
【0069】
そして、貯留タンク1内の粉粒体を吸引するには、まず、内管21を外管22から引き出すように、軸線方向他方側へスライドさせる。
【0070】
すると、内管21の軸線方向一端部は、図5に示すように、その径方向において、外管22の軸線方向一端部と重なる重複位置(図4参照)を経て、外管22内に退避される。これにより、内管21および外管22は、内管21の軸線方向一端部(吸引方向上流側端部)が、外管22の軸線方向一端部(吸引方向上流側端部)に対して、軸線方向他方側(吸引方向下流側)へ退避する退避位置に配置される。
【0071】
次いで、吸引ブロワ5を作動させると、内管21内を軸線方向一方から軸線方向他方へ向かう気流(以下、第1吸引気流)が発生する。また、貯留槽2の上側の空間(第1レベルL1より上方の、粉粒体が貯留されていない空間)から、第1バルブ14を介して、第1通気管23へ向かう気流(以下、第1分散気流とする。)が発生する。
【0072】
また、外管22内の空気が内管21の軸線方向一端部に吸引されることにより、外管22内を軸線方向一方から軸線方向他方へ向かう気流(以下、第2吸引気流とする。)が発生する。また、貯留槽2の上側の空間から、第2バルブ15を介して、第2通気管24へ向かう気流(以下、第2分散気流とする。)が発生する。なお、第2分散気流は、内管21と外管22との間を通過して、内管21の軸線方向一端部に吸引される。
【0073】
すると、貯留槽2内の粉粒体は、まず、第2吸引気流によって、外管22の軸線方向一端部から外管22内に吸引される。
【0074】
次いで、貯留槽2内の粉粒体は、第1吸引気流によって、第2分散気流とともに、内管21の軸線方向一端部から内管21内に吸引される。
【0075】
このとき、貯留槽2内の粉粒体は、第2分散気流によって分散されながら、内管21内に吸引される。
【0076】
その後、内管21内に吸引された粉粒体は、第1吸引気流によって、第1分散気流とともに、内管21内を軸線方向一端部から軸線方向他端部へ搬送される。
【0077】
このとき、内管21内に吸引された粉粒体は、第1分散気流によって分散されながら、内管21内を搬送される。
【0078】
そして、吸引ノズル3による吸引によって貯留槽2内の粉粒体が減少して、貯留タンク1内の粉粒体のレベルが、外管22の軸線方向一端部よりも下、具体的には、第2レベルL2よりも下になると、外管22への粉粒体の吸引効率が低下する。
【0079】
そこで、再び、内管21を外管22に挿入するように、内管21を軸線方向一方側へスライドさせる。
【0080】
すると、内管21の軸線方向一端部は、図3に示すように、重複位置(図4参照)を経て、外管22の軸線方向一端部よりも貯留槽2内に進出される。
【0081】
これにより、内管21および外管22は、再び、進出位置に配置され、第1吸引気流が、貯留槽2内の粉粒体に対して、より強く作用する。
【0082】
すると、貯留槽2内の粉粒体は、外管22内への吸引を経ることなく、第1吸引気流によって、直接、内管21の軸線方向一端部から内管21内に吸引される。
【0083】
このとき、貯留タンク1内の粉粒体のレベルは、第2レベルL2よりも下にあり、吸引ノズル3の軸線方向一端部は、粉粒体に埋もれることなく、貯留槽2内に進出されているので、内管21の軸線方向一端部に、直接、貯留槽2内の空気が吸引されることにより、内管21に吸引される粉粒体が分散される。なお、第2分散気流は、一旦、外管22の軸線方向一端部から放出された後、内管21の軸線方向一端部を周り込むようにしてわずかに吸引される。
【0084】
その後、内管21内に吸引された粉粒体は、第1吸引気流によって、第1分散気流とともに、内管21内を軸線方向一端部から軸線方向他端部へ搬送される。
【0085】
このとき、内管21内に吸引された粉粒体は、第1分散気流によって分散されながら、内管21内を搬送される。
【0086】
この吸引ノズル3および貯留タンク1によれば、図3に示すように、内管21内に空気を導入する第1通気管23が、内管21の途中に設けられている。
【0087】
そのため、内管21の途中において粉粒体がブリッジを形成し、粉粒体を吸引することが困難になった場合でも、第1通気管23から第1分散気流を導入することにより、そのブリッジを崩して(粉粒体を分散させて)、粉粒体を吸引することができる。
【0088】
しかも、第1バルブ14により、内管21への第1分散気流の導入量を調整することができる。
【0089】
その結果、粉粒体を安定に吸引することができる。
【0090】
また、この吸引ノズル3および貯留タンク1によれば、図3に示すように、内管21の軸線方向一端部を、第2通気管24から空気が導入される外管22の軸線方向一端部に対して、軸線方向一方側へ進出させることができる。
【0091】
これにより、内管21の軸線方向一端部が、外管22の軸線方向一端部に対して軸線方向一方側へ進出されているときには、第2分散気流は、一旦、外管22の軸線方向一端部から放出された後、内管21の軸線方向一端部を周り込むようにしてわずかに吸引される。
【0092】
そのため、内管21の軸線方向一端部に吸引される空気量を低減させて、粉粒体を、空気によってわずかに拡散させながら、比較的高濃度に、内管21に吸引させることができる。
【0093】
その結果、内管21の軸線方向一端部を外管22の軸線方向一端部に対して進出させることにより、容易に粉粒体の吸引量を調整することができる。
【0094】
また、この吸引ノズル3および貯留タンク1によれば、図5に示すように、内管21の軸線方向一端部を、第2通気管24から空気が導入される外管22の軸線方向一端部に対して、軸線方向他方側へ退避させることができる。
【0095】
これにより、内管21の軸線方向一端部が、外管22の軸線方向一端部に対して軸線方向他方側へ退避されているときには、外管22に導入される第2分散気流は、外管22内において、内管21の軸線方向一端部に多量に吸引される。
【0096】
そのため、内管21の軸線方向一端部に吸引される空気量を増加させることができ、粉粒体を、空気によってより拡散させながら、比較的低濃度に、内管21に吸引させることができる。
【0097】
その結果、内管21の軸線方向一端部を外管22の軸線方向一端部に対して退避させることにより、容易に粉粒体の吸引量を調整することができる。
【0098】
また、この吸引ノズル3および貯留タンク1によれば、図1に示すように、内管21が、水平方向および鉛直方向に対して傾斜するように貯留槽2の内部空間に挿入されている。
【0099】
そのため、吸引ノズル3が傾斜している分、吸引ノズル3を上羽根から退避させることができ、吸引ノズル3と上羽根とを、互いに干渉することを防止しながら、効率よく配置することができる。
【0100】
また、内管21の軸線方向一端部は、下側に向かって開放される開口26が形成されるように、水平方向に沿って延びる端縁25を有している。
【0101】
そのため、粉粒体を下側から内管21に吸引させることができ、粉粒体が、その自重によって、上側から内管21内に侵入することを防止することができる。
【0102】
その結果、吸引ノズル3の吸引力のみによって粉粒体を吸引することができ、吸引ノズル3の吸引力を調整することによって、容易に粉粒体の吸引量を調整することができる。
【符号の説明】
【0103】
1 貯留タンク(粉粒体の貯留容器の一例)
2 貯留槽
3 吸引ノズル
5 吸引ブロワ(気流発生装置の一例)
14 第1バルブ(調整弁の一例、第1空気導入部の一例)
21 内管(第1配管の一例)
22 外管(第2配管の一例)
23 第1通気管(第1空気導入部の一例)
24 第2通気管(第2空気導入部の一例)
25 端縁
26 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気流を発生させる気流発生装置に接続され、前記気流により粉粒体を吸引する吸引ノズルであって、
前記気流発生装置に接続され、粉粒体を吸引する第1配管と、
前記第1配管の途中に設けられ、前記第1配管内に空気を導入する第1空気導入部と
前記第1空気導入部に設けられ、空気の導入量を調整する調整弁と
を備えることを特徴とする、吸引ノズル。
【請求項2】
前記第1配管の外周面と間隔を隔てて、前記第1配管に外嵌される第2配管と、
前記第2配管の途中に設けられ、前記第2配管内に空気を導入する第2空気導入部とを、さらに備え、
前記第1配管および前記第2配管は、
前記第1配管の吸引方向上流側端部が、前記第2配管の前記吸引方向上流側端部に対して前記吸引方向上流側へ進出する進出位置と、
前記第1配管の吸引方向上流側端部と、前記第2配管の前記吸引方向上流側端部とが、前記吸引方向と直交する方向に投影したときに、互いに重なる重複位置と
に、相対的にスライド可能に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の吸引ノズル。
【請求項3】
前記第1配管の外周面と間隔を隔てて、前記第1配管に外嵌される第2配管と、
前記第2配管の途中に設けられ、前記第2配管内に空気を導入する第2空気導入部とを、さらに備え、
前記第1配管および前記第2配管は、
前記第1配管の吸引方向上流側端部が、前記第2配管の前記吸引方向上流側端部に対して前記吸引方向下流側へ退避する退避位置と、
前記第1配管の吸引方向上流側端部と、前記第2配管の前記吸引方向上流側端部とが、前記吸引方向と直交する方向に投影したときに、互いに重なる重複位置と
に、相対的にスライド可能に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の吸引ノズル。
【請求項4】
粉粒体を貯留する貯留槽と、
前記貯留槽の内部空間に対して進退可能に設けられる請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸引ノズルと、
前記第1配管の前記吸引方向下流側端部に接続され、前記第1配管内において、前記吸引方向上流側から前記吸引方向下流側へ向かう気流を発生させる気力発生装置とを備え、
前記第1配管は、水平方向および鉛直方向に対して傾斜するように前記貯留槽の内部空間に挿入されており、
前記第1配管の前記吸引方向上流側端部は、鉛直方向下側に向かって開放される開口が形成されるように、水平方向に沿って延びる端縁を有していることを特徴とする、粉粒体の貯留容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−121714(P2012−121714A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275499(P2010−275499)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000129183)株式会社カワタ (120)
【Fターム(参考)】