説明

吸引作用によってフィットするブーツ

吸引作用によってフィットする衣類が開示される。着用者にフィットするように形作られた本体と、水の外および水中で動作できるように本体に取り付けられ、本体と着用者との間に閉じ込められた空気および水を除去し、かつ本体と着用者との間に真空を発生させるポンプとを有する、水に関係する活動用の衣類が提供される。本体と着用者との間に真空を発生させると、衣類が着用者にぴったりとフィットし、このようにぴったりとフィットすることによって、本体を通じた着用者の触覚感度が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は衣類、特に可とう性の衣類に関する。本発明は具体的には、水に関係する活動用の衣類に関する。本発明は、特にブーティ(bootie)に適用できるが、他の衣類および用途にも適用することができる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ウェットスーツおよびブーティは通常、スキューバダイビング、シュノーケリング、サーフィン、セーリング、カイトサーフィン、サーフスキー、ウインドサーフィン、カヌー、カヤック乗り、ジェットスキー、ウェットスーツなどが使用される他の任意の用途のような水に関係する活動に従事する際に使用される。
【0003】
これらの活動、特にサーフィンを行っている間、ウェットスーツ、ブーティ、または他の同様のそのような衣類と着用者の体との間に空気および水が閉じ込められる。閉じ込められた空気および水は着用者の体温で加熱されることによって絶縁層を形成するが、閉じ込められた空気および水は、着用者の体をウェットスーツ、ブーティ、または他の同様のそのような衣類から分離する。このように、閉じ込められた空気および水は、緩衝体として働き、ウェットスーツ、ブーティ、または他の同様のそのような衣類を通じた着用者の触覚感度を低下する。このように感度が低下すると、ウェットスーツ、ブーティ、または他の同様のそのような衣類を着用者にぴったりとフィットさせた場合に得られる情報または感触が着用者から奪われる。例えば、サーフィンでは、緩衝効果によって、ボードのハンドリングおよび波の状態に関するサーファーのサーフボードからサーファーが得る情報のフィードバックが少なくなり、サーフボード上およびその周りで平衡をとって動く能力を下げる恐れがある。
【0004】
スキーブーツを着用者の足にぴったりとフィットさせてスキーを行っている間の着用者の感触を向上させることに関して、George等の米国特許第5727338号は、ポンプを使用して剛体のスキーブーツから空気を排出すると共に、柔らかいブーツ裏地が着用者の脚にぴったりとフィットするようにブーツ内に真空を発生させている。同様の真空フィットブーツが米国特許第4702022号および米国特許第4654986号に開示されている。
【0005】
本明細書における従来技術の参照は、この従来技術がオーストラリアまたは他の管轄区域における一般常識の一部を形成することを認めるか、または何らかの形で示唆することとはみなされず、またはそうみなすべきではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のことを考慮して、本発明の目的は、触覚感度が改善された衣類を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、着用者にフィットするように形作られた本体と、水の外および水中で動作できるように本体に取り付けられ、本体と着用者との間に閉じ込められた空気および水を除去し、かつ本体と着用者との間に真空を発生させるポンプとを有する、水に関係する活動用の衣類が提供される。本体と着用者との間に真空を発生させると、衣類が着用者にぴったりとフィットし、このようにぴったりとフィットすることによって、本体を通じた着用者の触覚感度が向上する。
【0008】
真空によって、衣類の外側が、着用者の体の、衣類がフィットする部分の形状に合うように、衣類全体が着用者にぴったりとフィットすることが理解されよう。
【0009】
好ましい実施態様では、衣類は、ネオプレンや同様のそのような材料のような可とう性の材料で形成され、ブーティであってよいが、ウェットスーツまたは同様のそのような衣類もしくはその一部であってもよい。ポンプは、ブーティまたは同様にそのような衣類上に着用者によって手動で操作できるように形成されるか、または取り付けられることが好ましいが、ブーティもしくは同様のそのような衣類の、本体内または表面内部もしくは表面上の空洞または空気室として形成してよい。
【0010】
ブーティの場合、本発明によって形成されるブーティは、着用者の足の踵の上に、ユーザの手、反対側の足によって、またはフットストラップや、セールボートのデッキ、セールボードもしくはその他の表面のような固定された物体にポンプを当てることによって作動させることができるように、配置されたポンプを有することが好ましい。このような配置では、衣類は、ブーティの内部の空気および水をつま先領域からポンプまで運ぶ導管を有することが好ましい。ポンプおよび導管をこのように配置することが好ましいが、他の配置を使用してもよい。例えば、導管は、ブーティまたは衣類内の、水が溜まる複数の異なる位置から水を収集するように形成することができる。例えば、これはブーティのアーチの各側、かかと領域ならびにつま先領域であってよい。導管は、水に混入した砂および砂利がポンプに入るのを防止するフィルタを有することが好ましい。導管を使用しない場合でも、ポンプが水に混入した砂および砂利がポンプに入るのを防止できるようにフィルタを有することが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、添付の図面を参照して本発明を一例として説明する。
【0012】
図1を参照すると、本発明の好ましい実施態様による衣類がウェットスーツブーティ(bootie)10として示されている。ブーティ10は、本体12と、本体12と着用者の足との間に閉じ込められた空気および水を除去し、本体12が着用者の足にぴったりとフィットするように本体12と着用者の足との間に真空を発生させるポンプ30とを有している。
【0013】
本体12は、ソール12と、アッパー14と、ポンプ30が取り付けられたヒール42とを含んでいる。ポンプ30は、この配置で取り付けられると、足首の動きを制限せず、フルレングスウェットスーツにもサーフボードのアンクルロープにも干渉することがない。
【0014】
ポンプ30は、適切なゴムまたは同様の材料から中空のドームとして形成された弾力性のある空気袋32で構成されている。空気袋32は、柔らかいゴム引きされた材料で形成され、空気袋32に弾力性を付与すると共に、空気袋32が、着用者または他の人を負傷させることや、着用者のサーフボードまたはその他の装備を損傷することがないようにすることが好ましい。本明細書の空気袋32はドームとして示されているが、空気袋32は、水中の抵抗を最小限に抑える他の形状に形成されてよい。ポンプ30は、それぞれブーティ10の内部から空気袋32へ、そして空気袋32から外部環境へ空気および水を送る逆止め弁または同様の装置34、36をさらに有する。逆止め弁34、36は、非腐食材料で形成され、したがって海水中での長期間の使用に耐えることができる。逆止め弁34、36は、混入した砂および砂利を通過させ、かつ水中の抵抗を最小限に抑えるように形作られたスリットバルブまたは他の適切な方式であることが好ましい。
【0015】
チューブ形の導管38が設けられている。導管38は、ブーティ10の周りを延びて、ブーティ10の内側の、つま先領域44の所で終わり、したがって、ポンプ30が、重力の影響で水が溜まるブーティ10の下部から水を除去するように動作することが好ましい。導管は、ポンプ入口52の所でポンプに入る。導管38は、ブーティのソール16の外側フォールド46がブーティのアッパー14を包み込むように外側フォールド46内に隠されることが好ましい。導管38は、PVC、シリコン、他の同様のそのような材料のような、丸まらず、曲げられた場合にその形状を保持することができる柔らかい可とう性の管材で作られることが好ましい。あるいは、導管は、他の手段によってブーティ10の構造の内側にエッチング、成形、または形成された溝または流路の形をしていてもよい。
【0016】
導管38の自由端にフィルタ40が設けられて取り付けられている。フィルタ40は、砂および砂利が導管38に入って逆止め弁34を遮断するのを防止するようになっている。フィルタ40は、空気および水を通過させ、砂および砂利が通過するのを防止する多孔性の織物またはその他の材料である。ブーティ10の内張りをフィルタ40として使用することもできる。フィルタは、導管の自由端または各端部をブーティ10の内壁に対して密閉し、導管の端部がブーティ10の内側に入る領域を覆うことが好ましい。フィルタ40に使用される柔らかい織物材料は、ブーティ10内の導管38の縁部に対する着用者の緩衝体としても働く。ブーティの内張りをフィルタ40として使用する場合、導管の端部は、ブーティ10の内張りの所で終わり、フィルタ40のために他の材料は必要とされない。フィルタ40は、導管が使用されない場合、ポンプに直接適合させてもよい。
【0017】
ポンプ30は、空気袋32を変形させてその体積を減らすことによって作動することができる。空気袋32の体積を減らすと、空気袋32の内側の圧力が増え、逆止め弁34は閉じられたままであるが、圧力の増加のために逆止め弁36が開く。したがって、空気袋32内の空気および水は弁36を通って外部環境に排出される。これが1つの作動方法である。本特許は、この方法を対象とすると共に任意の他の作動方法も対象とする。
【0018】
空気袋32は、変形した後、そのドーム形状に戻る。そうする際に、空気袋内の圧力は、ブーティの内部の圧力よりも小さくなり、したがって、弁36が閉じ、弁34が開き、それによってブーティ10から空気および水を吸い出す。空気袋32がそのドーム形状に戻ると、空気袋32を再び変形させ、空気袋32内に保持された空気および水を逆止め弁36を介して排出することができる。
【0019】
空気袋32の汲み出し動作を繰り返すことによって、ブーティ10内の空気および水が除去され、着用者の足への本体12のフィットが部分的に向上する。しかしながら、空気袋32の汲み出し動作は、本体12を着用者の足の周りにぴったりとフィットさせて、それ故にブーティ10を通じた触覚感度を最適化する真空がブーティ10内に形成される程度に行うことができる。
【0020】
図2は、指割れのブーティの形態の、上記ブーティの変形実施形態であり、この場合、水が溜まる点から延びる枝部として導管38を形成するのが好ましい。図2の場合、枝分かれした導管が終わる点は、ブーティ10を下向きにしたときに水が溜まる指割れ部48の各側である。図2では、両方の枝部がポンプ30内のポンプ入口52内まで延びている。導管38は、ブーティまたは同様のそのような衣類内の複数の点に枝分かれして、ブーティまたは同様のそのような衣類内の空気および水の除去を最適化することができる。
【0021】
図3は、ポンプ入口52用のケーシング部と、内部逆止め弁34用のケーシング部と、空気袋32と、外部逆止め弁36とを有する、ポンプ30の好ましい実施形態の外側ケーシング50を示している。
【0022】
図4は、ブーティ10のヒール42の形状に成形され、ポンプ入口52を有する、ポンプ30の好ましい実施形態の内側ケーシング54を示している。
【0023】
他の実施形態では、ポンプ30は、電池、太陽、またはその他の電源から電力を供給される小形電気ポンプを含んでよい。電気ポンプおよび電源は、衣類またはブーティ10の外側に配置するか、またはブーティまたは衣類の本体12内に配置することができる。電気ポンプは、それぞれ、衣類またはブーティ10内の、水が溜まる複数の異なる位置から水を取り込み、砂および砂利が導管に入って電気ポンプを妨害するのを防止する、上述の導管およびフィルタ40をさらに含んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明によるブーティの断面図である。
【図2】指割れのブーティへの本発明の適用を示す図である。
【図3】本発明のポンプの好ましい実施形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水に関係する活動用の、吸引作用によってフィットする衣類であって、
着用者にフィットするように形作られた本体と、
水の外および水中で動作できるように前記本体に取り付けられ、前記本体と前記着用者との間に閉じ込められた空気および水を除去し、かつ前記本体と前記着用者との間に真空を発生させ、前記衣類を前記着用者にぴったりとフィットさせるポンプとを有する衣類。
【請求項2】
前記衣類の外側が、前記着用者の体の、前記衣類がフィットする部分の形状に合うように、前記真空によって前記衣類全体が前記着用者にぴったりとフィットする、請求項1または2に記載の、吸引作用によってフィットする衣類。
【請求項3】
前記衣類は、ネオプレンのような可とう性の材料で形成され、ブーティである、請求項1または2に記載の、吸引作用によってフィットする衣類。
【請求項4】
前記ポンプは、前記衣類の前記本体上または前記本体内に、前記着用者によって手動で操作できるように取り付けられている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の、吸引作用によってフィットする衣類。
【請求項5】
前記ポンプは、前記本体の、前記衣類の表面の空洞または空気室として形成される、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の、吸引作用によってフィットする衣類。
【請求項6】
前記ポンプは、前記衣類の前記本体上または前記本体内に取り付けられ、小形電気ポンプである、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の、吸引作用によってフィットする衣類。
【請求項7】
前記衣類は、前記衣類の内部の空気および水を、水が溜まる複数の異なる位置から運ぶ導管を有する、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の、吸引作用によってフィットする衣類。
【請求項8】
前記衣類は、水に混入した砂が前記ポンプに入るのを防止するフィルタを有する、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の、吸引作用によってフィットする衣類。
【請求項9】
添付の図面を参照して本明細書で実質的に説明する、吸引作用によってフィットする衣類。
【請求項10】
本明細書に開示されて特徴づけられた、吸引作用によってフィットする衣類は、本発明の様々な他の態様を構成する、本文もしくは図面に示された個々の特徴または本文もしくは図面から明らかになる個々の特徴のうちの2つまたは3つ以上の他のすべての組合せに広げられる。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−537798(P2007−537798A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516875(P2007−516875)
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【国際出願番号】PCT/AU2005/000665
【国際公開番号】WO2005/112679
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(506388727)
【氏名又は名称原語表記】FINNEGAN, Neil
【Fターム(参考)】