説明

吸引式壜台、及びこれを用いた容器搬送装置並びに容器検査装置

【課題】ペタロイド形状など外周部に凹凸が設けられた形状の底部を有する容器を確実に保持することが可能な吸引式壜台を提供する。
【解決手段】容器100の底部を支持する支持面20aを有し、その底部に吸引力を作用させて容器100を保持する吸引式壜台20Aにおいて、底部に吸着する吸着部28が上端に、吸着部28に開口する吸引路33が内部にそれぞれ設けられるロータ23と、吸着部28の周囲に配置されて支持面20aとなる上面24aを有し、ロータ23に上下動可能に支持される容器支持台24と、容器支持台24の上面24aの高さが吸着部28の上面の高さ以上になるように容器支持台24を上方に付勢するスプリング25と、吸引路33に吸引力が作用すると内部が減圧され、これにより吸着部28が容器支持台24の上面24aよりも上方に突出するように容器支持台24を下方に移動させる減圧室42とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の底部に吸引力を作用させてその容器を保持する吸引式壜台、及びこれを用いた容器搬送装置並びに容器検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の搬送経路に沿って容器を搬送しつつその容器を自転させ、自転している容器の外観を撮像して容器の外観の異常の有無を検査する検査装置が知られている。このような検査装置では、容器の外観を撮像する際に邪魔にならないように壜台の上に載置された容器の底部を保持してその容器を搬送することが望ましい。このように底部を保持して容器を搬送すべくスターホイール装置などの搬送装置に使用される壜台として、壜台の上端に吸着カップ(吸引カップや吸着パッドとも呼ばれる。)などの吸着部を設け、この吸着部に吸引力を作用させつつ吸着部を容器の底部に接触させてその底部を吸引保持する吸引式壜台が知られている。このような壜台として、容器の底面に刻印などの凸部が設けられた容器を吸引保持すべく尖端部の断面がV字形であり、そのV字形の外周部と内周部とを壜の底面に接触させる吸着パッドを備えたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平9−2658号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
容器の検査装置では、外周部に下方に突出する凸部が周方向に所定間隔で設けられた形状、いわゆるペタロイド形状の底部を有する容器の検査も行われる。このようなペタロイド形状の底部を有する容器としては、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)製の容器いわゆるペットボトルが知られている。ペタロイド形状の底部を有する容器を吸引保持すべく、特許文献1の壜台に設けられた吸着パッドをこの容器の底部に接触させても、外周部の凸部によって容器の凸部と吸着パッドとの間に隙間が形成されるので、吸着パッドに吸引力を作用させたときにこの隙間から空気が吸い込まれて吸着パッド内の圧力が低下しない。そのため、吸着パッドが容器の底部に密着せず、容器の保持が不十分になるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、ペタロイド形状など外周部に凹凸が設けられた形状の底部を有する容器を確実に保持することが可能な吸引式壜台及び容器搬送装置並びに容器検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の吸引式壜台は、保持対象の容器(100)の底部(101)を支持する支持面(20a)を有し、前記保持対象の容器の底部に吸引力を作用させてその容器を保持する吸引式壜台(20A、20B)において、前記支持面の中央部に配置され、前記保持対象の容器の底部に吸着する吸着部(28)が上端(23a)に設けられるともに、前記支持面に支持されている保持対象の容器の底部と対向するように前記吸着部に開口する吸引路(33)が内部に設けられる支柱部材(23)と、前記吸着部の周囲に配置されて前記支持面となる上面(24a)を有し、前記支柱部材に上下動可能に支持される容器支持部材(24)と、前記容器支持部材の前記上面の高さが前記支柱部材の前記吸着部の上端の高さ以上になるように前記容器支持部材を上方に付勢する付勢手段(25)と、前記保持対象の容器を保持すべく前記吸引路に作用させた吸引力を利用して前記吸着部が前記容器支持部材の前記上面よりも上方に突出するように前記付勢手段に抗して前記容器支持部材を下方に移動させる駆動手段(42)と、を備えることにより、上述した課題を解決する。
【0007】
本発明の吸引式壜台によれば、支持面の中央部に容器の底部の中央部が位置するように支持面に容器を載置することにより、吸引路に吸引力を作用させたときに駆動手段で容器支持部材を下方に移動させて吸着部を支持面より突出させ、吸着部を底部の中央部に近付けることができる。これにより、底部の中央部に吸引力を作用させることができるので、ペタロイド形状などの外周部に凹凸がある形状の底部を有する容器を確実に保持することができる。一方、吸引路に吸引力が作用していないときは、容器支持部材の上面の高さが吸着部の上端の高さ以上になるように容器支持部材が付勢手段で上方に付勢されるので、支持面から突出するものが無くなる。そのため、容器を上下させたり傾かせたりすることなく容器をこの壜台に移動させることができる。駆動手段は吸引路に与えられた吸引力を利用して容器支持部材を移動させるので、新たにモータやアクチュエータなどの駆動源を設ける必要がない。そのため、コストを低減できる。
【0008】
本発明の吸引式壜台の一形態において、前記容器支持部材は、前記上面を有する頂部(40)と、前記頂部の外周の全周から下方に延びるスカート部(41)とを有し、前記支柱部材には、半径方向外周に突出し、前記スカート部内に嵌合するフランジ部(27)が設けられ、前記駆動手段として、前記容器支持部材と前記支柱部材との間に前記頂部、前記スカート部、及び前記フランジ部によって形成され、前記吸引路と連通する減圧室(42)を備えていてもよい。この場合、吸引路に吸引力を作用させて減圧室から空気を吸引することにより、減圧室の圧力を低下させることができる。一方、容器支持部材の頂部には大気圧が作用している。そのため、この大気圧と減圧室内の圧力の差を利用して容器支持部材を下方に移動させることができる。この形態では、壜台の外部に駆動手段を設ける必要がないので、壜台をコンパクトにすることができる。
【0009】
本発明の吸引式壜台の一形態においては、前記保持対象の容器の底部に前記吸着部が接触し、かつ前記保持対象の容器の底部の外周部が前記支持面に支持される下限位置よりも下方に前記容器支持部材が移動することを制限する移動制限手段(36)をさらに備えていてもよい。この場合、容器支持部材が下限位置より下方に移動することを制限できるので、支持面と容器の底部とが離間すること、いわゆる支持面から容器が浮くことを防止できる。そのため、支持面で容器の底部の外周部を支持しつつ吸着部を容器の底部の中央部に密着させて容器の底部に吸引力を作用させることができる。従って、容器をより確実に保持することができる。
【0010】
この形態において、前記移動制限手段は、前記下限位置を変更可能であってもよい。容器の底部の外周部に設けられる凸部の大きさは容器の大きさなどに応じて異なる。この形態では、容器支持部材の下限位置を変更できるので、移動制限手段などの部品を交換することなく底部の凸部の大きさの異なる容器を保持できる。
【0011】
本発明の吸引式壜台の一形態においては、前記吸着部として、内部空間(50a)が前記吸引路と接続されるようにして前記支柱部材に取り付けられ、前記吸引路への吸引力の作用に伴って前記吸引式壜台にて保持すべき保持対象の容器の底部に吸着するよう変形可能な弾性体製の吸着カップ(50)が設けられてもよい。この場合、容器の底部に吸着カップを吸着させて容器を保持できるので、容器をより確実に保持することができる。
【0012】
本発明の容器搬送装置は、所定の搬送経路に沿って容器(100)を搬送する容器搬送装置(10)において、上述した吸引式壜台(20A、20B)と、前記吸引式壜台を前記所定の搬送経路に沿って移動させる移動手段(14)と、を備えることにより、上述した課題を解決する。
【0013】
本発明の容器搬送装置によれば、上述した本発明の吸引式壜台を備えるので、ペタロイド形状などの外周部に凹凸が設けられた形状の底部を有する容器を確実に保持できる。そのため、この容器を移動手段によって確実に移動させることができる。
【0014】
本発明の容器検査装置は、所定の搬送経路に沿って容器(100)を搬送しつつ搬送中の容器を撮像し、得られた画像に基づいてその容器の異常の有無を検査する容器検査装置(1)において、上述した吸引式壜台(20A、20B)と、前記吸引式壜台を前記所定の搬送経路に沿って移動させる移動手段(14)とを有する容器搬送装置(10)と、前記容器搬送装置によって搬送されている容器を撮像する撮像手段(5)と、を備えることにより、上述した課題を解決する。
【0015】
本発明の容器検査装置によれば、上述した本発明の吸引式壜台を有する容器搬送装置で容器を搬送するので、ペタロイド形状などの外周部に凹凸が設けられた形状の底部を有する容器であっても容器の底部を確実に吸引保持して搬送できる。そのため、底部以外の部分の容器の検査をこの搬送中に行うことができる。また、壜台上に容器を確実に吸引保持できるので、搬送中の容器の振動を抑制し、検査精度を向上させることができる。
【0016】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0017】
以上に説明したように、本発明によれば、吸引路に吸引力を作用させることにより、吸着部を容器の底部の中央部に近付けることができるので、この底部の中央部に吸引力を作用させることができる。そのため、ペタロイド形状など外周部に凹凸がある形状の底部を有する容器を確実に保持することができる。特に、このような形状の底部が設けられるPET製の容器(ペットボトル)はガラス製の壜などと比較して軽いので、このように底部を確実に保持することにより搬送中に容器が転倒することをより確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明の一形態に係る容器検査装置を示している。この容器検査装置1は、図2に一例を示した容器100に対して検査を行うものである。容器100は、PET製の容器いわゆるペットボトルであり、飲料などの内容物が充填されて密閉される周知のものである。図2に示したように容器100の底部101の外周部101aには、下方に突出する複数(例えば5個)の凸部102が設けられている。図2に示したように複数の凸部102は、周方向に所定の間隔で設けられている。そのため、容器100の底部101は、外周部101aに対して中央部101bが凹み、かつ外周部101aに周方向に凹凸が交互に設けられた形状、いわゆるペタロイド形状に形成されている。
【0019】
容器検査装置1は、この容器100を所定経路に沿って搬送しつつその搬送中の容器100に対して種々の検査を行うものである。検査としては、例えば容器100の外観の異常の有無を検査する外観検査が行われる。容器検査装置1は、容器100を所定経路に沿って搬送させるために搬送方向上流側から順に、スクリュー式搬送装置2、第1スターホイール式搬送装置3、容器搬送装置としてのホイール式搬送装置10、及び第2スターホイール式搬送装置4を備えている。また、容器検査装置1は、搬送されている容器100の外観を撮像する撮像手段としての複数のカメラ5を備えている。第2スターホイール式搬送装置4から排出された容器100は、排出コンベア6にて下流の工程に搬送される。第1スターホイール式搬送装置3及び第2スターホイール式搬送装置4は、スターホイール3a、4aの外周に等間隔で設けられた複数のポケット(不図示)に容器100を取り込んで搬送する周知のものである。また、スクリュー式搬送装置2は、スクリュー2aによって容器100の間隔を下流の第1スターホイール式搬送装置3のポケット間のピッチに揃える周知のものである。そのため、これらの搬送装置2、3、4についての詳細な説明は省略する。また、容器検査装置1による外観検査の方法は、複数のカメラ5で撮像した容器100の各部の画像に基づいて容器100の外観の異常の有無を検査する周知の検査方法でよいため、詳細な説明は省略する。
【0020】
図3は、ホイール式搬送装置10の断面を示した図である。ホイール式搬送装置10は、本発明の一形態に係る壜台20Aの支持面20a上に載置された容器100を壜台20Aに保持させ、この壜台20Aに保持させた容器100を自転させつつ所定の搬送経路に沿って搬送するものである。図3に示したようにホイール式搬送装置10は、架台11に複数の軸受12を介して回転自在に支持される回転軸13と、回転軸13の上端に取り付けられて回転軸13と一体回転する移動手段としての円盤状のホイール14と、ホイール14の外周に周方向に等間隔で設けられる複数の壜台20Aとを備えている。回転軸13の下端にはギア15が一体回転するように設けられており、このギア15に不図示の駆動モータの回転が伝達されることにより回転軸13及びホイール14が回転駆動される。また、ホイール式搬送装置10は、壜台20Aによる容器100の保持及びその保持の解除を切り替えるための切替弁16を備えている。切替弁16は、吸引手段としての吸引ポンプ17と壜台20Aとの間の空気吸引経路の途中に設けられ、ホイール式搬送装置10で容器100を搬送すべき区間において壜台20Aに吸引力が作用するように吸引ポンプ17と壜台20Aとの接続及び遮断を切り替える周知のものである。そのため、詳細な説明は省略する。
【0021】
図4を参照して壜台20Aについて説明する。なお、図4は壜台20Aの内部を拡大して示す図である。図4に示したように壜台20Aは、ホイール14に形成された壜台取付孔14aに嵌め合わされるホルダ21と、ホルダ21に軸受22を介して取り付けられて軸線CLの回りに回転自在な支柱部材としてのロータ23と、ロータ23に上下動可能に取り付けられる容器支持部材としての容器支持台24と、容器支持台24を上方に付勢する付勢手段としてのスプリング25とを備えている。図4に示したようにロータ23と容器支持台24とは同軸に設けられる。そのため、ロータ23の上端23aが支持面20aの中央部に配置され、容器支持台24の上面24aがロータ23の上端23aの周囲に配置される。ホルダ21及びロータ23は、ステンレス鋼などの金属にて構成されている。ロータ23は、軸受22の内周に嵌め合わされるロータ軸26と、そのロータ軸26の上端から半径方向外周に突出するフランジ27と、フランジ27の上面から突出する吸着部28とを備えている。これらロータ軸26、フランジ27、及び吸着部28は、軸線CLと同軸に設けられている。
【0022】
図4に示したようにフランジ27は、ロータ軸26に近い側から順に、上面29aが容器支持台24の下面24bと対向するように半径方向外周に突出する大径部29と、容器支持台23の内周に嵌り込む嵌合部30とを備えている。嵌合部30の上面30aには、その上面30aよりも上方に突出し、上端にボール31を転動自在に支持するための凹部32aが形成される突出部32が設けられる。ボール31は、ロータ23と容器支持台24との間に介在し、容器支持台24とロータ23とが同軸になるようにロータ23に対する容器支持台24の位置を調整するためのものである。突出部32は、周方向に所定の間隔で複数設けられる。
【0023】
図3及び図4に示したようにロータ23は、その内部に吸引路33を備えている。この吸引路33は、ロータ23の軸線CL上に形成されている。吸引路33の上端は、吸着部28の上面に開口する。図3に示したように吸引路33の下端には継ぎ手18が取り付けられ、吸引路33はこの継ぎ手18に接続された接続配管19を介して切替弁16と接続される。図4に示したように吸着部28には、ゴムなどの弾性体製のパッド34が設けられる。パッド34は、ロータ23の上端23aに取り付けられる。パッド34には、パッド34をロータ23の上端23aに取り付けても吸引路33の上端が開口するように吸引路33と同じ径の孔34aが設けられており、パッド34はこの孔34aと吸引路33とが同軸になるようにロータ23の上端23aに取り付けられる。パッド34の上面34bの直径Rには、容器100の底部101のうち外周部101aの内周の直径RB(図2参照)より小さい値が設定される。このようにパッド34の上面34bの大きさを設定することにより、パッド34を容器100の底部101の中央部101bに密着させることができる。
【0024】
ロータ23には、容器支持台24がスプリング25にて上方に付勢された際に、容器支持台24の上面24aと吸着部28の上端、すなわちパッド34の上面34bとが同じ高さになる位置(以下、上限位置と称することがある。)で容器支持台24が停止するように容器支持台24の上方への移動を制限するストッパ35が設けられている。ストッパ35としては、例えばスナップリングが設けられる。このように容器支持台24の上方への移動を制限することにより、パッド34の上面34bと容器支持台24の上面24aとにより支持面20aが形成される。大径部29の外周面には雄ねじ部29aが形成されている。図4に示したようにこの雄ねじ部29aには、雄ねじ部29aにねじ込み可能な雌ねじ部36aが内周面に形成された移動制限手段としての円筒状の下降端位置調整部材36がねじ込まれている。そのため、大径部29に対して下降端位置調整部材36を軸線CL回りに回転させることにより、下降端位置調整部材36を図4の上下方向に移動させることができる。すなわち、下降端位置調整部材36の上下方向の位置を変更することができる。図3に示したようにロータ軸26にはロータ23を軸線CLの回りに回転させるためのプーリ37が取り付けられている。プーリ37はホイール14の回転経路の一部に設けられた不図示のベルトと噛み合い、そのベルトの走行に伴って回転駆動される。
【0025】
容器支持台24は、ステンレス鋼などの金属製の支持台本体38と、支持台本体38の上面に取り付けられて容器100が載置されるゴムなどの弾性体製のパッド39とを備えている。図4に示したようにパッド39の上面39aに容器100の底部101の外周部101bが載置される。そのため、このパッド39の上面39aが壜台20Aの支持面20aの一部となる。支持台本体38は、パッド39が取り付けられる頂部40と、頂部40の外周から下方に延びる円筒状のスカート部41とを備えている。頂部40の中央には、ロータ23の吸着部28が貫通する孔40aが設けられている。スカート部41の内周面には、突出部32の凹部32aに支持されているボール31と当接する転動部41aと、フランジ27の嵌合部30が嵌め込まれる挿入部41bとが設けられる。挿入部41bの深さは、フランジ27の嵌合部30の高さよりも大きい。そのため、図4に示したようにロータ23と容器支持台24との間には、フランジ27及び容器支持台23にて減圧室42が形成される。減圧室42は、連通路33aを介して吸引路33と連通している。図4に示したようにスプリング25は、減圧室42内に配置される。頂部40において突出部32に支持されているボール31と対向する部分には、容器支持台24が下方に移動した際にボール31と当接する凹部40bが設けられる。
【0026】
この壜台20Aによれば、切替弁16によって吸引路33と吸引ポンプ17とが接続され、吸引路33からの空気の吸引が開始されると吸引路33と連通している減圧室42からも空気が吸引されるので、減圧室42内の圧力が低下する。一方、容器支持台24の上面24aには大気圧が作用する。そのため、減圧室42と大気圧との差を利用して容器支持台24をスプリング25に抗して下方に移動させることができる。このように容器支持台24を駆動することにより、減圧室42が本発明の駆動手段として機能する。
【0027】
図5は、吸引路33に吸引力を作用させて容器支持台24を下方に移動させた状態の壜台20Aを示している。図5に示したように、容器支持台24を下方に移動させることにより、パッド34の上面34bを容器支持台24の上面24aよりも上方に突出させることができる。そのため、壜台20Aの支持面20aの中央付近に容器100の底部101の中央部101bが配置されるように壜台20Aに容器100を載置することにより、図5に示したようにパッド34の上面34bを容器100の底部101の中央部101bに接触させ、容器100を吸引保持することができる。また、この際に容器100の底部101の各凸部102が容器支持台24の上面24aに接し、かつパッド34の上面34bが容器100の底部101の中央部101bに吸着するように吸着部28の上端28aの突出量Lを設定することにより、容器100の凸部102が支持面20aから離間する、いわゆる容器100が浮くことを防止できるので、容器100を安定に保持できる。
【0028】
一方、図4に示したように壜台20Aに吸引力が作用していないときは、スプリング25によって容器支持台24が上限位置に駆動されるので、壜台20Aの支持面20a上に突出する突起物が無くなる。そのため、第1スターホイール式搬送装置3から壜台20A上への容器100の移動時や壜台20Aから第2スターホイール式搬送装置4への容器100の移動時に容器支持台24を上限位置に移動させておくことにより、容器100を上下に移動させたり、傾かせたりすることなく壜台20Aに容器100を載せたり、壜台20Aから容器100を移動させることができる。
【0029】
図5に示したように容器支持台24は、容器支持台24の下面24bが下降端位置調整部材36に当接する位置(以下、下限位置と称することがある。)までしか下方に移動することができない。容器支持台24が上限位置にあるときは容器支持台24の上面24aとパッド34の上面34bとがほぼ同じ高さである。そのため、容器支持台24が下限位置に移動したときの容器支持台24の上面24aに対するパッド34の上面34bの突出量L(図5参照)は、容器支持台24が上限位置にあるときの容器支持台24の下面24bと下降端位置調整部材36との間の距離G(図4参照)と等しい。上述したように大径部29に対して下降端位置調整部材36を回転させることにより、下降端位置調整部材36の上下方向の位置を調整できる。そのため、下降端位置調整部材36の上下方向の位置を調整して容器支持台24の下面24bと下降端位置調整部材36との間の距離Gを調整することにより、容器支持台24が下限位置に移動したときのパッド34の上面34bの突出量Lを調整することができる。
【0030】
以上に説明したように、本発明の壜台20Aによれば、壜台20Aに吸引力を作用させることによりその吸引力を利用して容器支持台24を下方に移動させることができるので、図5に示したようにペタロイド形状など、外周部101aに下方に突出する凸部102が設けられた形状の底部101を有する容器100に対してもその底部101の中央部101bにパッド34の上面34bを密着させつつ容器支持台24で底部101の外周部101aを支持できる。そのため、このような形状の底部101を有する容器100を確実に保持することができる。壜台20Aに吸引力が作用していないときは、壜台20Aの支持面20a上に突出する突起物が無くなるので、容器100を上下に移動させたり傾かせたりすることなく容器100を速やかに壜台20A上に載せたり壜台20A上から移動させたりすることができる。容器支持台24の上下動は容器100を吸引保持するために壜台20Aに作用させた吸引力を利用して行うので、この容器支持台24を駆動するために新たにモータやアクチュエータなどの駆動源を設ける必要がない。そのため、コストを低減できる。
【0031】
容器100の底部101に設けられる凸部102の突出量は、容器100によって異なる。本発明の壜台20Aでは、容器支持台24が下限位置に移動したときのパッド34の上面34bの突出量Lを下降端位置調整部材36にて容易に調整できる。そのため、凸部102の突出量が異なる容器100に壜台20Aを対応させる、いわゆる型替えを、壜台20Aの部品を交換することなく行うことができる。また、下降端位置調整部材36の位置調整のみで型替えを行うことができるので、型替え作業を簡略化でき、また作業時間を短縮することができる。
【0032】
ホイール式搬送装置10によれば、上述した壜台20Aを備えるので、ペタロイド形状の底部101を有する容器100であっても底部101に吸引力を作用させて容器100を保持することができる。そのため、このような容器100の胴部や口栓部を保持部材で覆うことなく容器100を自転させつつ搬送することができる。また、容器100の底部101を確実に吸引保持できるので、自転時及び搬送時の容器100のふらつきを抑制できる。従って、ホイール式搬送装置10による搬送中に容器100の底部以外の部分の検査を行うことができる。なお、このように壜台20Aを備えることにより、ホイール式搬送装置10が本発明の容器搬送装置に対応する。
【0033】
図6は、本発明の他の形態に係る壜台20Bを示している。図6に示したようにこの形態の壜台20Bは、上面34bが平坦なパッド34の代わりに上方に向かうに従って漸次拡がる漏斗状の吸着カップ50が吸着部28の上面に設けられている点が異なる。これ以外の点は、上述した形態と同じであるため、上述した形態と共通の部分には同一の符号を付して説明を省略する。吸着カップ50は、パッド34と同様にゴムなどの弾性体で形成される。吸着カップ50は、内部空間50aが吸引路33と接続されるようにロータ23の上端23aに取り付けられる。この形態では、容器支持台24が上限位置に移動したときに吸着カップ50の上端の高さが容器支持台24の上面24aの高さ以下になるように下降端位置調整部材の位置が調整される。この形態によれば、吸着カップ50を容器100の底部101に吸着するように変形させ、吸着カップ50の内部空間50aに吸引力を作用させることにより、容器100の底部101により強い吸引力を作用させることができるので、壜台20Bに容器100をより確実に保持させることができる。
【0034】
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施してよい。例えば、本発明の壜台にて保持される容器は、ペタロイド形状の底部を有する容器に限定されない。例えば、中央部に対して外周部が全周に亘って下方に突出した形状の底部を有する容器、及び底部が平坦な容器を本発明の壜台で保持してもよい。なお、底部が平坦な容器を保持させる場合は減圧室に吸引力が作用しても容器支持台が上限位置に固定されるように下降端位置調整部材の上下方向の位置を調整すればよい。また、容器はペットボトルに限定されず、ガラス製の壜でもよい。
【0035】
吸引力が作用していないときの容器支持台の上限位置は、ロータの上端と容器支持台の上面とが同じ高さになる位置に限定されない。上限位置には、支持面からロータの上端が突出しない位置が設定されていればよく、例えばロータの上端が容器支持台の上面よりも低くなる位置、言い換えると容器支持台内にロータの上端が収容される位置を設定してもよい。
【0036】
容器支持台を下方に駆動する駆動手段は、減圧室に限定されない。例えば、内部が減圧されると縮む駆動機構を壜台に設け、この駆動機構に吸引力を作用させて容器支持台を下方に移動させてもよい。
【0037】
本発明の壜台が適用される容器搬送装置は、ホイール式搬送装置に限定されない。本発明の壜台は、壜台を所定の搬送経路に沿って移動させることにより壜台上に載せた容器を搬送する種々の搬送装置に適用してよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一形態に係る容器搬送装置が組み込まれた容器検査装置を示す図。
【図2】図1の容器検査装置で検査される容器の一例を示す図。
【図3】図1のホイール式搬送装置の断面を示す図。
【図4】本発明の一形態に係る壜台を拡大して示す図。
【図5】吸引路に吸引力が作用している状態の壜台を示す図。
【図6】本発明の他の形態に係る壜台を示す図。
【符号の説明】
【0039】
1 容器検査装置
5 カメラ(撮像手段)
10 ホイール式搬送装置
14 ホイール(移動手段)
20A、20B 壜台
20a 支持面
23 ロータ(支柱部材)
23a 上端
24 容器支持台(容器支持部材)
24a 上面
25 スプリング(付勢手段)
27 フランジ(フランジ部)
28 吸着部
33 吸引路
36 下降端位置調整部材(移動制限手段)
40 頂部
41 スカート部
42 減圧室(駆動手段)
50 吸着カップ
50a 内部空間
100 容器
101 底部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持対象の容器の底部を支持する支持面を有し、前記保持対象の容器の底部に吸引力を作用させてその容器を保持する吸引式壜台において、
前記支持面の中央部に配置され、前記保持対象の容器の底部に吸着する吸着部が上端に設けられるともに、前記支持面に支持されている保持対象の容器の底部と対向するように前記吸着部に開口する吸引路が内部に設けられる支柱部材と、前記吸着部の周囲に配置されて前記支持面となる上面を有し、前記支柱部材に上下動可能に支持される容器支持部材と、前記容器支持部材の前記上面の高さが前記支柱部材の前記吸着部の上端の高さ以上になるように前記容器支持部材を上方に付勢する付勢手段と、前記保持対象の容器を保持すべく前記吸引路に作用させた吸引力を利用して前記吸着部が前記容器支持部材の前記上面よりも上方に突出するように前記付勢手段に抗して前記容器支持部材を下方に移動させる駆動手段と、を備えることを特徴とする吸引式壜台。
【請求項2】
前記容器支持部材は、前記上面を有する頂部と、前記頂部の外周の全周から下方に延びるスカート部とを有し、
前記支柱部材には、半径方向外周に突出し、前記スカート部内に嵌合するフランジ部が設けられ、
前記駆動手段として、前記容器支持部材と前記支柱部材との間に前記頂部、前記スカート部、及び前記フランジ部によって形成され、前記吸引路と連通する減圧室を備えることを特徴とする請求項1に記載の吸引式壜台。
【請求項3】
前記保持対象の容器の底部に前記吸着部が接触し、かつ前記保持対象の容器の底部の外周部が前記支持面に支持される下限位置よりも下方に前記容器支持部材が移動することを制限する移動制限手段をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の吸引式壜台。
【請求項4】
前記移動制限手段は、前記下限位置を変更可能であることを特徴とする請求項3に記載の吸引式壜台。
【請求項5】
前記吸着部として、内部空間が前記吸引路と接続されるようにして前記支柱部材に取り付けられ、前記吸引路への吸引力の作用に伴って前記吸引式壜台にて保持すべき保持対象の容器の底部に吸着するよう変形可能な弾性体製の吸着カップが設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸引式壜台。
【請求項6】
所定の搬送経路に沿って容器を搬送する容器搬送装置において、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸引式壜台と、前記吸引式壜台を前記所定の搬送経路に沿って移動させる移動手段と、を備えることを特徴とする容器搬送装置。
【請求項7】
所定の搬送経路に沿って容器を搬送しつつ搬送中の容器を撮像し、得られた画像に基づいてその容器の異常の有無を検査する容器検査装置において、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸引式壜台と、前記吸引式壜台を前記所定の搬送経路に沿って移動させる移動手段とを有する容器搬送装置と、
前記容器搬送装置によって搬送されている容器を撮像する撮像手段と、を備えることを特徴とする容器検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−161269(P2009−161269A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−339736(P2007−339736)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(390014661)キリンテクノシステム株式会社 (126)
【Fターム(参考)】