説明

吸放湿材料、及び吸放湿材料の製造方法

【課題】珪質頁岩を改質することで、原石と比べた場合に、中湿域から高湿域にかけての最大吸湿量を増大させ、相対湿度を低下させた場合に、吸湿した水分が放湿され、蓄湿のない速やかな放湿を実現できる、優れた吸放湿材料を提供すること。
【解決手段】平均細孔直径が3〜18nm、比表面積が80m2/g以上である多数の細孔を有する珪質頁岩の少なくとも細孔内に、塩化ナトリウムが付着されてなることを特徴とする吸放湿材料、および、その製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸放湿材料、及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、珪質頁岩を改質することで吸放湿性能を格段に向上させた、調湿建材、デシカント空調装置、厨房排気浄化装置などの幅広い用途に好適に適用できる吸放湿材料、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅の高気密化・高断熱化にともない、従来の住宅に比べて、室内外の自然換気量が激減している。このような換気不良は、室内に水蒸気がこもって壁や窓に結露を生じさせる原因となり、さらに、それらがカビやダニの発生を誘引する結果となっている。これに対し、水蒸気を吸収及び放出する吸放湿材料を用いることで、自律的に室内の水蒸気量を調整できるようにした調湿建材の提案がされており、実用化されている。また、最近では、冷却・除湿型の空調装置に代わる新しい技術として、吸放湿材料を用いた潜熱・顕熱分離型のデシカント空調装置が使用されるようになり、業務用を中心として実用化が進んでいる。デシカント空調装置は、消費エネルギーや温暖化ガスの排出を抑えることができるなどの特長を有することから、今後、小型化することで家庭用として用いることも期待されている。さらに、燃焼ガスを生じない電気調理器の普及にともない、吸放湿材料などを含む浄化フィルターを備えた室内空気循環型の厨房排気浄化装置が使用されるようになってきている。
【0003】
上記したように、近年、吸放湿材料に対する注目は著しく、その用途は拡大している。吸放湿材料における最も重要な点は、その吸放湿性能にあるが、主に生活空間で使用されることから、健康への影響がないこと、安価であること、繰り返しての使用が容易であること、使い勝手のよいこと、などが要求される。従来より用いられている吸放湿材料としては、例えば、ゼオライト、シリカゲル、活性炭などの多孔質体や、ポリアクリル酸ナトリウムなどの高吸水性ポリマーなどが挙げられる。近年、天然の多孔質体である珪質頁岩に、極めて高い吸放湿性能があることが見出され、その産出量が豊富で、従来の高性能の吸放湿材料に比べて安価であり、健康への影響がなく、使い勝手にも優れることから、吸放湿材料として注目され、壁材などの調湿建材として用いられるようになってきている。
【0004】
珪質頁岩は、珪藻プランクトンが堆積して形成された珪藻土が、地圧と熱による地質的変性を受けることによって、一部が結晶化されたものであり、一般に珪藻土と呼ばれている珪藻泥岩とは明確に区別されるものである。そして、珪質頁岩の中でも、極めて微細な細孔径を多数有する珪質頁岩、具体的には、平均細孔直径が3〜12nm、比表面積が80m2/g以上である珪質頁岩は、優れた吸放湿性能を示すことが明らかとなっている(特許文献1参照)。このような特性を有する珪質頁岩としては、例えば、北海道天北地方から産出される稚内層珪質頁岩などが挙げられるが、このような珪質頁岩を調湿機能材料として利用することについて、種々の提案がなされている(特許文献2又は3参照)。
【0005】
図9は、稚内層珪質頁岩の原石の水蒸気吸着等温線を示している。図9に示されるとおり、稚内層珪質頁岩は、原石のままでも極めて優れた吸放湿性能を有する。より詳細にみると、低湿域(相対湿度33〜53%)から中湿域(相対湿度53〜75%)付近までは水分吸着量が比較的低い一方で、高湿域(相対湿度75〜93%)では、水蒸気の毛細管凝縮による物理的吸着の進行により、水分吸着量が急激に増大することが示されている。
【0006】
しかし、前記した珪質頁岩を調湿建材などの室内用途に適用する場合には、人間が快適に感じるとされる、40〜60%程度の相対湿度を安定的に維持するために、高湿域だけでなく、中湿域でも、ある程度の高い水分吸着能(吸湿性能)を有することが求められる。また、デシカント空調装置の除湿フィルターに用いる場合にも、中湿域から高湿域にかけて高い水分吸着能を有することが必要である。さらに、この場合は、吸着した水分をより速やかに、放湿して、再度、吸湿できる状態に容易にすることができ、繰り返し高い水分吸着能が発揮できるものであることが望まれる。すなわち、珪質頁岩の吸放湿材料としての価値を高め、より幅広い用途への適用を可能とするためには、中湿域においても、原石の高湿域におけると同程度の吸放湿性能を有することが求められる。また、今後、調湿建材や浄化フィルターのさらなる高機能化や、デシカント空調装置の小型化を実現させていくためには、吸放湿材料として使用する珪質頁岩の、中湿域から高湿域にかけての吸放湿性能(最大吸湿量の増大と、蓄湿のない速やかな放湿能など)をより一層向上させることが望まれる。
【0007】
【特許文献1】特開平4−354514号公報
【特許文献2】特開2002−114564号公報
【特許文献3】特開2005−058964号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、従来の材料に比べて吸放湿性能に優れる珪質頁岩の、中湿域から高湿域にかけての吸放湿性能を改善し、その性能をより向上させることで、様々な用途において好適に使用できる吸放湿材料を提供することにある。より具体的には、珪質頁岩を改質することで、原石と比べて、中湿域から高湿域にかけての水分吸着量が増大され、また、相対湿度を低下させた場合に、吸湿した水分の多くが放湿され、蓄湿のない速やかな吸放湿を繰り返し行い得る、吸放湿材料を提供することにある。また、本発明の目的は、上記した優れた効果を発揮する改質した吸放湿材料を、簡易かつ経済的に得るための製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、平均細孔直径が3〜18nm、比表面積が80m2/g以上である多数の細孔を有する珪質頁岩の少なくとも細孔内に、塩化ナトリウムが付着されてなることを特徴とする吸放湿材料である。
【0010】
また、本発明の吸放湿材料は、塩化ナトリウムの付着量が、10〜150mg/gの範囲内であることが好ましい。また、本発明の吸放湿材料は、前記珪質頁岩の細孔容量が、0.45ml/g以上であることが好ましい。
【0011】
また、本発明の吸放湿材料は、前記珪質頁岩の少なくとも細孔内に、さらに、塩化リチウム、塩化マグネシウム及び/又は塩化カルシウムが付着されていることが好ましい。また、本発明の吸放湿材料は、塩化リチウム、塩化マグネシウム及び/又は塩化カルシウムの付着量が、10〜250mg/gの範囲内であることが好ましい。また、本発明の吸放湿材料は、調湿建材の構成材料として、或いは、デシカント空調装置の除湿フィルターに用いることができる。
【0012】
本発明の別の実施形態は、平均細孔直径が3〜12nm、比表面積が80m2/g以上である多数の細孔を有する珪質頁岩を1〜20質量%の範囲内の塩化ナトリウム水溶液に浸漬する工程、浸漬した珪質頁岩を乾燥処理する工程を有することを特徴とする吸放湿材料の製造方法である。
【0013】
また、本発明の吸放湿材料の製造方法は、前記珪質頁岩を塩化ナトリウム水溶液に浸漬する工程において、真空引きを行うことが好ましい。本発明の吸放湿材料の製造方法は、前記塩化ナトリウム水溶液に、さらに、塩化リチウム、塩化マグネシウム及び/又は塩化カルシウムを含有させていることが好ましい。また、本発明の吸放湿材料の製造方法は、前記塩化ナトリウム水溶液に浸漬する工程の前に、さらに、珪質頁岩をアルカリエッチング処理して細孔を拡げる工程を有することが好ましく、また、アルカリエッチング処理を、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの水溶液に浸漬させた後、真空引きすることによって行うことが好ましい。本発明の吸放湿材料の製造方法は、前記塩化ナトリウム水溶液に、さらに、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを含有させていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、従来の材料に比べて吸放湿性能に優れる珪質頁岩における、中湿域から高湿域にかけての吸放湿性能が改善され、また、その性能がより向上された、様々な用途において好適に使用できる吸放湿材料が提供される。すなわち、珪質頁岩を改質することで、原石と比べて、中湿域から高湿域にかけての水分吸着量が増大され、また、相対湿度を低下させた場合に、吸湿した水分の多くが放湿され、蓄湿のない速やかな吸放湿を繰り返し行い得る、吸放湿材料の提供が可能となる。また、本発明によれば、上記した優れた効果を発揮する改質した吸放湿材料を簡易かつ経済的に得ることのできる製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。前記した課題を解決するために、本発明者らは、珪質頁岩の吸放湿性能を向上させることについて、種々の検討を行った。その検討の過程で、前記した特性を有する珪質頁岩の細孔内に、潮解性を有する、塩化リチウムや塩化カルシウムを付着させて、吸放湿性能の変化についての検討を行った。その結果、これらの物質を付着させた場合、原石と比較し、全湿度領域において、吸湿量が飛躍的に増大することがわかった。また、付着させた量に応じてその吸湿量が増大すること、塩化カルシウムを付着させた場合よりも、塩化リチウムを付着させた場合の方が、付着量が少なくても吸湿量が増大することがわかった(図3及び4参照)。
【0016】
しかし一方で、中湿域から高湿域にかけての水分吸着能(吸湿性能)が特に改善されるわけではなく、全体として向上する傾向にあり、また、原石の場合と同様に、相対湿度を低下させた場合に、吸湿した水分が全て放湿されず、蓄湿が生じ、吸放湿材料としては、さらなる改善の余地があると認識するに至った。そこで、本発明者らが、上記の事実を踏まえて、さらなる検討を重ねた結果、珪質頁岩の少なくとも細孔内に塩化ナトリウムを付着させることで、塩化リチウムや塩化カルシウムを付着させた系からは、到底、予想することができない下記の効果が得られることを見い出し、本発明に到達したものである。すなわち、図1に示されているように、珪質頁岩の細孔内に塩化ナトリウムを付着させた場合には、原石における吸放湿性能と比較して、下記の効果が得られることがわかった。まず、第1に、原石に比較し、吸湿量が飛躍的に増大するが、特に吸放湿材料に期待される、中湿域から高湿域にかけての吸湿量が、1.5〜3倍程度に増大することを見い出した。具体的には、細孔内に付着させた塩化ナトリウムの量にもよるが、特に、原石では、その吸湿量が、中湿域の相対湿度では100mg/g以下と少なかったのに対し、その2〜3倍近くまで大幅に増大する(図1参照)。また、第2に、相対湿度が低湿域になるにつれて水分の放湿が速やかになり、吸湿した水分のほぼ全てを放湿させることができることを見い出した(図1及び2参照)。以下、本発明の吸放湿材料の構成について詳細に説明する。
【0017】
本発明において、担体として用いる珪質頁岩は、微細な細孔を多数有し、その径の平均細孔直径が3〜12nmであり、かつ、比表面積が80m2/g以上である。なお、後述するが、珪質頁岩原石を改質させて細孔を拡大させたもの(平均細孔直径18nm以下)も本発明において担体として使用することができる。上記した特性の珪質頁岩原石は、先に述べたように、原石においても優れた吸放湿性能を有しており、このような珪質頁岩原石としては、例えば、北海道天北地方で産出される、いわゆる、稚内層珪質頁岩と呼ばれるものが挙げられる。稚内層珪質頁岩は、上記した特性を有する他、細孔容量が0.1〜0.4ml/gの範囲内にあり、最大吸湿率が15質量%以上の、シャープな細孔径分布を有する天然の多孔質体である。本発明では、このような特性の珪質頁岩の細孔に、塩化ナトリウムを付着させることで、吸放湿性能の改質を図る。本発明者らの検討によれば、特に、本発明においては、比表面積が100m2/g以上の珪質頁岩を用いることが好ましい。
【0018】
なお、本発明において、細孔容量は、BJH(Barrett Joyner Halenda)法で測定した。また、比表面積は、BET(Brunauer Emmett Teller)法で測定した。また、平均細孔直径は、前記の方法で測定した、細孔容量と比表面積とから、細孔が円柱体と仮定して、下記の式から計算により求めた。なお、最大吸湿率は、測定対象物を150℃のオーブンに入れ72時間保持した後に測定した対象物の絶乾質量と、その後、25℃、相対湿度95%の恒温恒湿槽に入れて48時間保持した後に再度測定する対象物の質量との質量増加率により得られる。相対湿度に応じての水分吸着量及び水分放湿量の変化は、水蒸気吸着量測定装置で連続して測定することができる。
(式)平均細孔直径=4×細孔容量(ml/g)÷比表面積(m2/g)
【0019】
前記した特性を有する珪質頁岩の表面及び細孔内に付着される塩化ナトリウムの付着量は、特に制限はないが、10〜150mg/gの範囲内であることが好ましい。10mg/g未満の場合は、吸放湿性能の向上効果が低い場合がある。一方、塩化ナトリウムの付着量を多くするほど吸湿性能をより増大させることができるが、放湿性能や放湿速度を低下させる場合がある。そして、150mg/gを超える場合は、使用する用途によって、通風などで飛まつを生じさせる場合が多くなる。特に好ましい塩化ナトリウムの付着量は、10〜80mg/g、さらには、15〜60mg/gの範囲内である。
【0020】
また、本発明の吸放湿材料は、担体である前記珪質頁岩の少なくとも細孔内に、さらに、塩化リチウム、塩化マグネシウム及び/又は塩化カルシウムが付着されていることが好ましい。これらの物質は、前記したとおり、全湿度領域において、珪質頁岩の吸湿性能を飛躍的に向上させることができるものである。そして、これらの物質を塩化ナトリウムとともに前記珪質頁岩に付着させることにより、より高い吸湿性能向上効果が得られるようになる。本発明においては、上記した中でも、塩化リチウム又は塩化カルシウムを用いることが好ましく、さらには、吸湿性能向上効果が最も得られる塩化リチウムを用いることが特に好ましい。
【0021】
前記した、塩化リチウム、塩化マグネシウム及び/又は塩化カルシウムの珪質頁岩への付着量は、特に制限はないが、10〜250mg/gの範囲内であることが好ましい。10mg/g未満の場合は、吸湿性能向上効果が低い場合があり、250mg/gを超える場合は、水分とともに上記した物質が流出してしまう場合がある。塩化リチウムのさらに好ましい付着量は、20〜120mg/gの範囲内であり、特には、20〜50mg/gの範囲内である。また、塩化カルシウムのさらに好ましい付着量は、20〜180mg/gの範囲内であり、特には、20〜50mg/gの範囲内である。
【0022】
本発明において、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムを、前記珪質頁岩の表面及び細孔内に付着させる方法は、特に制限はないが、例えば、前記珪質頁岩を、これらの水溶液に浸漬させた後、乾燥処理する方法が挙げられる。すなわち、本発明の吸放湿材料は、前記した特性を有する珪質頁岩を塩化ナトリウム水溶液に浸漬する工程と、浸漬した珪質頁岩を乾燥処理する工程とを少なくとも有する製造方法により得ることができる。さらに、塩化ナトリウムと、塩化リチウム、塩化マグネシウム及び/又は塩化カルシウムとがともに付着された形態の吸放湿材料は、例えば、塩化ナトリウムを上記の方法で付着させる前後で、塩化リチウムなどを上記の方法で付着させることにより得ることができる。また、付着させる全ての物質を含んだ水溶液に前記珪質頁岩を浸漬させた後、乾燥処理することにより得ることもできる。
【0023】
また、前記した本発明の吸放湿材料を製造する方法においては、前記した最適な付着量を確保するために、水溶液中における濃度を、塩化ナトリウムは1〜20質量%の範囲内、塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムは1〜25質量%の範囲内にそれぞれ調製することが好ましい。特には、塩化ナトリウム水溶液の濃度は、1〜15質量%、さらには、1〜8質量%の範囲内に調整することが好ましい。また、塩化リチウム水溶液の濃度は、3〜20質量%、さらには、3〜7質量%の範囲内に調整することが好ましく、塩化カルシウム水溶液の濃度は、3〜20質量%、さらには3〜7質量%の範囲内に調製することが好ましい。
【0024】
前記した、本発明の吸放湿材料を製造する方法においては、前記珪質頁岩を、前記した水溶液に浸漬させた状態で、真空引きを行うことが好ましい。真空引きを行うことにより、珪質頁岩の細孔内部に残存している空気が引き抜かれ、細孔深部まで水溶液を進入させることができるようになる。すなわち、珪質頁岩の細孔内壁と水溶液との接触効率を高めることができるようになり、水溶液中の物質を、より効率的、さらにはより安定的に付着できるようになる。真空引きの条件は、特に制限はないが、例えば、常温で、30〜200分とすることが好ましい。
【0025】
真空引きを行う以外にも、珪質頁岩を前記した水溶液に浸漬させた状態で、静置させることで、前記した各物質を付着させてもよい。静置させる場合の条件は、特に制限はないが、例えば、常温で、700〜2,000分とすることが好ましい。
【0026】
また、乾燥処理は、風乾でもよいし、熱風乾燥やオーブンによる強制乾燥、あるいは減圧乾燥であってもよい。本発明においては、絶乾させることが好ましく、例えば、40〜400℃で乾燥処理することが好ましい。なお、珪質頁岩は、900℃までは、空隙がほとんど変化しないことから、乾燥温度の上限に関しては、特に制限されない。乾燥処理に使用する装置に合わせて効率的な条件に設定すればよい。
【0027】
また、前記した製造方法の他にも、珪質頁岩をボールミルなどで湿式粉砕する際に、水に変えて塩化ナトリウム水溶液を用いることで、珪質頁岩に塩化ナトリウムを付着させる方法が挙げられる。この方法では、塩化ナトリウムの付着と珪質頁岩の微粉砕化を同時に行うことができるため、非常に効率的であり、安価に行い得る。粉砕条件は、特に制限はなく、所望の粒径の粉末を得るのに適した粉砕時間などを選択することができる。例えば、粒径を20μm以下とする場合は、12時間以上粉砕処理するなど、求める粒径にするための粉砕条件で粉砕すれば、塩化ナトリウムを付着させることができる。なお、この方法における乾燥処理は、前記と同様の方法で行い得る。また、塩化ナトリウム以外の、塩化リチウムなども当該方法で珪質頁岩に付着させることができる。
【0028】
また、本発明において、担体である珪質頁岩としては、前記した特性を有する珪質頁岩原石をそのまま用いてもよいし、細孔の状態を改質させたものを用いてもよい。珪質頁岩の細孔の状態を改質する方法としては、例えば、アルカリエッチング処理が挙げられる。エッチング処理した場合、珪質頁岩原石よりも、比表面積はやや低下する傾向にあるが、細孔容量を増大させることができ、吸放湿性能も向上させることが可能となる。なお、アルカリエッチング処理した場合、珪質頁岩原石の細孔も拡がる傾向にある。この場合、その平均細孔直径は、18nm以下に調整することが好ましい。すなわち、本発明において、担体として用いる珪質頁岩(原石、改質品)の平均細孔直径は、3〜18nmの範囲内である。さらに、アルカリエッチング処理された珪質頁岩に塩化ナトリウムを付着させた場合には、相乗的に吸放湿性能を向上させることが可能となる。本発明においては、エッチング処理などの方法で、前記珪質頁岩の細孔容量が、0.40ml/g以上、さらには、0.45ml/g以上となるように調整することが好ましい。一方で、細孔容量を大きくし過ぎると、珪質頁岩のもつ優れた吸放湿性能が損なわれるおそれがあるので、細孔容量は、0.65ml/g以下であることが好ましい。特に好ましい細孔容量は、吸放湿性能の向上効果の高い、0.45〜0.50ml/gの範囲内である。
【0029】
アルカリエッチング処理は、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ性化合物の水溶液に前記珪質頁岩を浸漬させることにより行うことができる。特には、水酸化ナトリウム水溶液を用いることが好ましい。アルカリ性化合物の水溶液の濃度は、例えば、0.5〜3.0mol/lの範囲内にすることができる。また、珪質頁岩をアルカリ性化合物の水溶液に浸漬させた状態で、真空引きを行ってもよいし、静置させたままでもよい。好ましくは、吸放湿性能を向上させる効果がより高い真空引きである。真空引きの条件は、例えば、常温で、45〜300分することが好ましく、また、静置の条件は、常温で、1,000〜2,500分とすることが好ましい。アルカリエッチング処理を行った後は、前記した方法などにより、乾燥処理を行うことが好ましい。なお、アルカリエッチング処理は、前記した塩化ナトリウムの珪質頁岩への付着と同時に行ってもよい。具体的には、塩化ナトリウムと、アルカリ性化合物とをともに含む水溶液に、珪質頁岩を浸漬させて、乾燥処理することで、珪質頁岩への塩化ナトリウム付着とアルカリエッチング処理を同時に行い得る。
【0030】
本発明の吸放湿材料は、他の機能を付与することなどを目的として、珪質頁岩の表面又は細孔内に、上記した物質以外のものが付着されていてもよい。また、前記した水溶液には、バインダー成分を配合させてもよい。また、本発明の吸放湿材料は、用途などに合わせて、粒径などを適宜調整できる。
【0031】
以上の構成を有する本発明の吸放湿材料は、中湿域から高湿域にかけて、高い吸湿性能を発揮し、さらに放湿性能にも優れるものである。また、本発明の吸放湿材料は、珪質頁岩と、付着される塩化ナトリウムは、健康への悪影響がないことは明らかであり、さらに、いずれも安価に入手できるものであることから、コスト面でも優れており、様々な用途への使用が期待できるものである。
【0032】
例えば、本発明の吸放湿材料は、調湿建材の構成材料として用いることができる。具体的には、調湿建材、例えば、壁材、天井材、タイルなどを構成する、基材、接着層、表層などに付着又は配合させる材料として用いることができる。この場合、人間が快適に生活できる中湿域の状態を安定的に維持できる調湿建材を得ることが可能となる。
【0033】
また、本発明の吸放湿材料は、デシカント空調装置の除湿フィルターにも好適に用いることもできる。具体的には、除湿フィルターを構成する基材に、付着又は配合させる材料として用いることができる。従来、デシカント空調装置の除湿フィルターに用いられている吸放湿材料は、その再生に80℃以上の高温熱源が必要であった。そのため、装置内には、加熱器や、蒸気コイル、温水コイルなどを組み込まなければならないため、装置が大型化し、その用途の多くは業務用に限定されていた。しかし、本発明の吸放湿材料は、前記したように、中湿域から高湿域にかけて高い吸湿性能を示すと同時に、相対湿度を下げるだけで容易に吸着した水分を放湿できるので、40℃程度の低温で容易に再生できるという、上記の用途に好適な特性を有するものである(図2参照)。このため、本発明の吸放湿材料は、デシカント空調装置の小型化を実現させるものであり、これにより、家庭用としての普及を可能にするものである。
【0034】
また、本発明の吸放湿材料は、厨房排気浄化装置に用いる浄化フィルター用途にも好適である。特に、電気調理器の湯煙から水蒸気を除去するための浄化フィルター用途に好適である。具体的には、浄化フィルターを構成する基材に、付着又は配合させる材料として用いることができる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記実施例により限定されるものではない。なお、本実施例において、比表面積の値はBET法により測定したものであり、細孔容量の値はBJH法により測定したものである。また、平均細孔直径は、比表面積と細孔容量とから、前記した式を用いて算出したものである。
【0036】
<稚内層珪質頁岩(原石)の利用>
(塩化ナトリウム付着珪質頁岩)
〔試料の作製〕
北海道天北地方から産出した稚内層珪質頁岩を、ハンマークラッシャーにて粉砕し、ふるいをかけて、粒径を1〜2mmに調製した。また、この稚内層珪質頁岩は、比表面積が149m2/g、平均細孔直径が10.2nm、細孔容量が0.38ml/gであった。
【0037】
次に、上記で得られた稚内層珪質頁岩粒子(原石)を、5質量%の塩化ナトリウム水溶液に含浸させた後、デシケータ内で1時間真空引き(常温)を行った。その後、さらに、吸引ろ過し、150℃のオーブンで絶乾することにより、稚内層珪質頁岩の表面及び細孔内部に塩化ナトリウムを付着させた、実施例1の吸放湿材料を得た。なお、実施例1の吸放湿材料における塩化ナトリウムの付着量を、塩化ナトリウムを付着させる前後の珪質頁岩(絶乾)の質量変化により測定したところ、37.2mg/gであった。
【0038】
また、5質量%の塩化ナトリウム水溶液に代えて、10質量%の塩化ナトリウム水溶液を用い、上記と同様の方法で、実施例2の吸放湿材料(塩化ナトリウムの付着量69.7mg/g)を得た。
【0039】
〔水蒸気吸着等温線の測定〕
稚内層珪質頁岩(原石)、実施例1及び2の吸放湿材料について、水蒸気吸着量測定装置(製品名:HYDROSORB1000,ユアサアイオニクス(株)製)により測定した25℃における水蒸気吸着等温線を図1に示す。図1に示すとおり、塩化ナトリウムを付着させることで、中湿域から高湿域にかけて水分吸着量(吸湿性能)が飛躍的に向上することが確認された。なお、実施例1及び2の吸放湿材料の表面状態を確認したところ、実施例1の吸放湿材料は、珪質頁岩原石と大きな差異はなかったが、実施例2の吸放湿材料は、その表面に再結晶した塩化ナトリウムのかたまりが生じているのを微量ながら見て取れた。
【0040】
〔吸着・再生試験〕
稚内層珪質頁岩(原石)、実施例1の吸放湿材料を、それぞれ、温度40℃、相対湿度30%の条件で24時間養生した後、質量を測定し、基準値とした。次に、これらを、温度30℃、相対湿度70%の条件下で2時間吸湿処理した後、温度40℃、相対湿度30%の条件下で2時間再生処理を行った。さらに、これを1サイクルとして、吸湿・再生を20サイクルまで繰り返し処理した。5サイクルまでの基準値に対する経時の質量変化を図2に示す。また、実施例1の吸放湿材料について、20サイクル終了後に質量を測定したところ、基準値との質量差はほとんどなかった。つまり、図2及び上記事実が示すとおり、本発明の吸放湿材料は、40℃の低温で容易に再生できるとともに、蓄湿がなく、繰り返し使用に耐え得るものであることが確認された。
【0041】
(塩化リチウム/塩化カルシウム付着珪質頁岩)
〔試料の作製〕
・塩化リチウム
上記で粒径1〜2mmに粉砕した稚内層珪質頁岩(原石)を、5質量%、10質量%、20質量%の塩化リチウム水溶液にそれぞれ含浸させた後、デシケータ内で1時間真空引き(常温)を行った。その後、水分を吸引ろ過し、150℃のオーブンで絶乾することにより、稚内層珪質頁岩の表面及び細孔内部に塩化リチウムを付着させた、参考例1〜3の吸放湿材料を得た。なお、参考例1〜3の吸放湿材料における塩化リチウムの付着量を塩化リチウムを付着させる前後の珪質頁岩(絶乾)の質量変化により測定したところ、それぞれ、33.8mg/g、57.9mg/g、120mg/gであった。
【0042】
・塩化カルシウム
上記で粒径1〜2mmに粉砕した稚内層珪質頁岩(原石)を、5質量%、10質量%、20質量%の塩化カルシウム水溶液にそれぞれ含浸させた後、デシケータ内で1時間真空引き(常温)を行った。その後、水分を吸引ろ過し、150℃のオーブンで絶乾することにより、稚内層珪質頁岩の表面及び細孔内部に塩化カルシウムを付着させた、参考例4〜6の吸放湿材料を得た。なお、参考例4〜6の吸放湿材料における塩化カルシウムの付着量を、塩化カルシウムを付着させる前後の珪質頁岩(絶乾)の質量変化により測定したところ、それぞれ、36.6mg/g、82.8mg/g、179mg/gであった。
【0043】
〔水蒸気吸着等温線の測定〕
稚内層珪質頁岩(原石)、参考例1〜6の吸放湿材料について、水蒸気吸着量測定装置(製品名:HYDROSORB1000,ユアサアイオニクス(株)製)により測定した25℃における水蒸気吸着等温線を図3、4に示す。図3、4に示すとおり、塩化リチウム又は塩化カルシウムを付着させることで、全湿度領域において平均的に、水分吸着量が大きく向上することが確認された。また、この効果は、同等の付着量では、塩化リチウムの方がより顕著であることが確認された。
【0044】
(塩化ナトリウム、塩化リチウム複合付着珪質頁岩)
〔試料の作製〕
4質量%の塩化リチウム水溶液を用いる以外は、参考例3と同様の方法で、参考例7の吸放湿材料(塩化リチウムの付着量27.0mg/g)を得た。また、5質量%の塩化ナトリウムと4質量%の塩化リチウムとをともに含む水溶液を用いる以外は、実施例1と同様の方法で、実施例3の吸放湿材料(塩化ナトリウムの付着量35.8mg/g、塩化リチウムの付着量25.8mg/g)を得た。
【0045】
〔水蒸気吸着等温線の測定〕
稚内層珪質頁岩(原石)、参考例7、実施例1、3の吸放湿材料について、水蒸気吸着量測定装置(製品名:HYDROSORB1000,ユアサアイオニクス(株)製)により測定した25℃における水蒸気吸着等温線を図5に示す。図5に示すとおり、珪質頁岩に塩化ナトリウムと塩化リチウムとをともに付着させることで、より高い吸放湿性能が得られることが確認された。
【0046】
<アルカリエッチング処理された珪質頁岩の利用>
(珪質頁岩のアルカリエッチング処理)
〔真空処理〕
上記で粒径1〜2mmに調製した稚内層珪質頁岩粒子(原石)を、1.0mol/lの水酸化ナトリウム水溶液に含浸させた後、デシケータ内で2時間真空引き(常温)を行った。その後、水分を吸引ろ過し、150℃のオーブンで絶乾することにより、アルカリエッチング処理された珪質頁岩1を得た。
【0047】
〔静置処理〕
上記で粒径1〜2mmに調製した稚内層珪質頁岩粒子(原石)を、1.0mol/lの水酸化ナトリウム水溶液に含浸させた後、デシケータ内で24時間静置(常温)させた。その後、水分を吸引ろ過し、150℃のオーブンで絶乾することにより、アルカリエッチング処理された珪質頁岩2を得た。
【0048】
稚内層珪質頁岩(原石)と、上記で得た珪質頁岩1、2の特性を下記表1に示す。
表1に示すとおり、アルカリエッチング処理を行うことにより、特に真空処理を行った場合は、珪質頁岩の水分吸着量が向上することが確認された。

【0049】
(塩化ナトリウム付着珪質頁岩)
上記で得た珪質頁岩1、2を、それぞれ、5質量%の塩化ナトリウム水溶液に含浸させた後、デシケータ内で1時間真空引き(常温)を行った。その後、さらに、吸引ろ過し、150℃のオーブンで絶乾することにより、珪質頁岩(アルカリ処理)の表面及び細孔内部に塩化ナトリウムを付着させた、実施例4、5の吸放湿材料を得た。なお、実施例4における塩化ナトリウムの付着量は27.9mg/g、実施例5における塩化ナトリウムの付着量は30.4mg/gであった。
【0050】
〔水蒸気吸着等温線の測定〕
稚内層珪質頁岩(原石)、珪質頁岩1、実施例1、4の吸放湿材料について、水蒸気吸着量測定装置(製品名:HYDROSORB1000,ユアサアイオニクス(株)製)により測定した25℃における水蒸気吸着等温線を図6に示す。図6に示すとおり、アルカリエッチング処理(真空処理)を行った珪質頁岩に、塩化ナトリウムを付着させることで、相乗的に水分吸着量が向上し、単に塩化ナトリウムを付着させた場合よりも、水分吸着量の向上効果が高いことが確認された。
【0051】
稚内層珪質頁岩(原石)、珪質頁岩2、実施例1、5の吸放湿材料について、水蒸気吸着量測定装置(製品名:HYDROSORB1000,ユアサアイオニクス(株)製)により測定した25℃における水蒸気吸着等温線を図7に示す。図7に示すとおり、アルカリエッチング処理(静置処理)を行った珪質頁岩に、塩化ナトリウムを付着させた場合には、最大水分吸着量の変化はほとんどなかったが、高湿域における水分吸着量が相対的に向上していることが確認された。
【0052】
(塩化ナトリウム、塩化リチウム複合付着珪質頁岩)
また、5質量%の塩化ナトリウムと4質量%の塩化リチウムとを含む水溶液を用いる以外は、実施例5と同様の方法で、実施例6の吸放湿材料(塩化ナトリウムの付着量35.4mg/g、塩化リチウムの付着量25.2mg/g)を得た。
【0053】
〔水蒸気吸着等温線の測定〕
稚内層珪質頁岩(原石)、珪質頁岩2、実施例3、6の吸放湿材料について、水蒸気吸着量測定装置(製品名:HYDROSORB1000,ユアサアイオニクス(株)製)により測定した25℃における水蒸気吸着等温線を図8に示す。図8に示すとおり、アルカリ処理を行った場合には、塩化ナトリウムと塩化リチウムをともに付着させた際の水分吸着量が飛躍的に向上することが確認された。
【0054】
<他の製法(ボールミル)>
粒径2.5mm以下に粉砕処理された珪質頁岩70kgを、100kgボールミル内に投入して、5質量%の塩化ナトリウム水溶液を使用して、20μm以下の粒径となるように粉砕処理した後、乾燥処理し、微粉末状である、実施例7の吸放湿材料を得た。実施例7の吸放湿材料についても、水蒸気吸着等温線を測定した結果、実施例1の吸放湿材料と同程度の吸放湿性能を有していることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明によれば、中湿域から高湿域にかけての優れた吸湿性能と、優れた放湿性能とを有し、蓄湿のない速やかな吸放湿を繰り返し行うことのできる吸放湿材料が提供される。したがって、本発明の吸放湿材料は、調湿建材、デシカント空調装置、厨房排気浄化装置などの様々な用途に適用させて有効に活用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】実施例の吸放湿材料と、珪質頁岩原石の水蒸気吸着等温線。
【図2】実施例の吸放湿材料と、珪質頁岩原石の繰り返しの吸放湿性能を示す測定結果。
【図3】参考例の吸放湿材料(塩化リチウム付着)と、珪質頁岩原石の水蒸気吸着等温線。
【図4】参考例の吸放湿材料(塩化カルシウム付着)と、珪質頁岩原石の水蒸気吸着等温線。
【図5】塩化リチウムを併用した場合の効果を示す水蒸気吸着等温線。
【図6】珪質頁岩原石をアルカリ処理した場合の効果を示す水蒸気吸着等温線。
【図7】珪質頁岩原石をアルカリ処理した場合の効果を示す水蒸気吸着等温線。
【図8】塩化リチウムの併用と、珪質頁岩原石をアルカリ処理した場合の効果を示す水蒸気吸着等温線。
【図9】珪質頁岩原石の水蒸気吸着等温線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均細孔直径が3〜18nm、比表面積が80m2/g以上である多数の細孔を有する珪質頁岩の少なくとも細孔内に、塩化ナトリウムが付着されてなることを特徴とする吸放湿材料。
【請求項2】
塩化ナトリウムの付着量が、10〜150mg/gの範囲内である請求項1に記載の吸放湿材料。
【請求項3】
前記珪質頁岩の細孔容量が、0.45ml/g以上である請求項1又は2に記載の吸放湿材料。
【請求項4】
前記珪質頁岩の少なくとも細孔内に、さらに、塩化リチウム、塩化マグネシウム及び/又は塩化カルシウムが付着されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸放湿材料。
【請求項5】
塩化リチウム、塩化マグネシウム及び/又は塩化カルシウムの付着量が、10〜250mg/gの範囲内である請求項4に記載の吸放湿材料。
【請求項6】
調湿建材の構成材料として用いられる請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸放湿材料。
【請求項7】
デシカント空調装置の除湿フィルターに用いられる請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸放湿材料。
【請求項8】
平均細孔直径が3〜12nm、比表面積が80m2/g以上である多数の細孔を有する珪質頁岩を1〜20質量%の範囲内の塩化ナトリウム水溶液に浸漬する工程、浸漬した珪質頁岩を乾燥処理する工程を有することを特徴とする吸放湿材料の製造方法。
【請求項9】
前記珪質頁岩を塩化ナトリウム水溶液に浸漬する工程において、真空引きを行う請求項8に記載の吸放湿材料の製造方法。
【請求項10】
前記塩化ナトリウム水溶液に、さらに、塩化リチウム、塩化マグネシウム及び/又は塩化カルシウムを含有させている請求項8又は9に記載の吸放湿材料の製造方法。
【請求項11】
前記塩化ナトリウム水溶液に浸漬する工程の前に、さらに、珪質頁岩をアルカリエッチング処理して細孔を拡げる工程を有する請求項8〜10のいずれか1項に記載の吸放湿材料の製造方法。
【請求項12】
アルカリエッチング処理を、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの水溶液に浸漬させた後、真空引きすることにより行う請求項11に記載の吸放湿材料の製造方法。
【請求項13】
前記塩化ナトリウム水溶液に、さらに、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを含有させている請求項8〜10のいずれか1項に記載の吸放湿材料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−94636(P2010−94636A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−269255(P2008−269255)
【出願日】平成20年10月19日(2008.10.19)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 エネルギー使用合理化技術戦略的開発委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504173471)国立大学法人北海道大学 (971)
【出願人】(506106866)株式会社自然素材研究所 (21)
【出願人】(507081430)有限会社稚内グリーンファクトリー (7)
【Fターム(参考)】