説明

吸殻消火装置および消火ローラ

【課題】消火ローラの消耗品としての交換回数を削減するとともに、異物等の通過を容易にするようにした。
【解決手段】消火ローラ8,9は、弾性変形可能な耐食性ゴムの円筒体で形成されとともに、外周面に軸方向の切欠溝84,94が刻設されている。切欠溝84,94は、異なる回転方向に対称となるように一対刻設されている。中央貫通孔81,91の周囲には、軸方向の弾性変形用貫通孔82,92が複数穿設されている。弾性変形用貫通孔82,92間に対応する外周面には、軸方向の縦溝83,93が刻設されている。切欠溝84,94は、縦溝83,93の回転方向側の内側壁を切り欠いて形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吸殻消火装置および消火ローラに関し、特に煙草の吸殻を押し潰すと同時に水を浸み込ませることによって消火する吸殻消火装置およびそれに用いられる消火ローラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のローラ型の吸殻消火装置は、消火ローラ自体または消火ローラの外周面部分がスポンジ等の軟性多孔質物質で形成された一対の消火ローラを備え、これら一対の消火ローラの間で吸殻を挟圧して押し潰すと同時に一対の消火ローラに付着された水を強制的に浸み込ませることにより消火するものが一般的であった(特許文献1,特許文献2,特許文献3等参照)。
【0003】
一方、従来からパチンコ店等で使用される吸殻等の廃棄物の自動回収装置には、ベルトコンベア式のものと、チェーン式のものとがあった。ベルトコンベア式の自動回収装置の場合には、ベルトコンベアから落ちた吸殻の葉や灰がベルトコンベアを収容する回収管路の底面に溜まって、回収管路内の清掃を頻繁に行わなければならなかった。これに対して、チェーン式の自動回収装置の場合には、ローラチェーンの複数箇所に搬送部材を突設し、搬送部材が回収管路の底面を摺接移動するので、底面にたまった吸殻は葉や灰を含めて回収容器まで搬送されて一括して回収することができるという利点があった(特許文献4参照)。
【特許文献1】実開昭48−068691(明細書第2頁第6−7行)
【特許文献2】実開昭49−055966(明細書第3頁第14−16行)
【特許文献3】特開2000−083644(明細書第13段落)
【特許文献4】特開2001−2233431(明細書第27段落)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のローラ型の吸殻消火装置は、消火ローラ自体または消火ローラの外周面部分がスポンジ等の軟性多孔質物質で形成されていたので、吸殻から出る灰や脂で外周面の孔がすぐ目詰まりを起こして保水性を保てなくなったり、異物等が通過した際に変形して復元できなくなったりするという問題点があった。このため、消火ローラを頻繁に交換しなければならず、消火ローラの消耗品として交換費用が嵩んだり、面倒な交換作業が頻繁に発生するという問題点があった。
【0005】
一方、チェーン式の自動回収装置は、ローラチェーンの複数箇所に搬送部材が突設されていて、搬送部材が回収管路の底面を摺接移動するので、搬送部材がローラチェーンから外れやすいという問題点があった。特に、チェーン式の自動回収装置をローラ型の吸殻消火装置と組み合わせて使用した場合には、ローラチェーンから搬送部材が外れて吸殻と一緒にローラ型の吸殻消火装置まで搬送されてきて、搬送部材が一対の消火ローラ間に噛み込まれて吸殻消火装置の動作をロックしてしまうという問題点があった。
【0006】
これらの問題点を解消するためには、消火ローラ自体または消火ローラの外周面部分をスポンジ等の軟性多孔質物質ではなく、弾性変形可能な耐食性ゴムでなる円筒体で形成することが考えられるが、消火ローラを単に円筒体だけの形状にすると異物等が引っ掛かる部分がないので、異物等を一対の消火ローラ間を通過させて排出することができなくなるという問題点がある。特に、チェーン式の自動回収装置をローラ型の吸殻消火装置と組み合わせて使用した場合には、自動回収装置のローラチェーンから外れた搬送部材を吸殻消火装置の一対の消火ローラ間を通過させて排出する必要があるが、消火ローラに搬送部材が引っ掛からずに何時までも排出されずに一対の消火ローラの転がり接触位置に留まってしまうという問題点がある。
【0007】
本発明の目的は、上述の点に鑑み、消火ローラを弾性変形可能な耐食性ゴムの円筒体で形成するとともに外周面に軸方向の切欠溝を刻設することにより、消火ローラの消耗品としての交換回数を削減するとともに異物等の通過を容易にするようにした吸殻消火装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、弾性変形可能な耐食性ゴムでなる円筒体の外周面に軸方向の切欠溝を刻設することにより、消耗品としての交換回数を削減するとともに異物等の通過を容易にするようにした消火ローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る吸殻消火装置は、吸殻を一対の消火ローラの間で挟圧して押し潰しながら下方に送ると同時に前記一対の消火ローラに付着された水を強制的に浸み込ませることにより消火する吸殻消火装置において、前記消火ローラが、弾性変形可能な耐食性ゴムの円筒体で形成されるとともに外周面に軸方向の切欠溝を刻設されており、吸殻消火装置の回転軸に中央貫通孔を挿脱自在に嵌合されて配設されることを特徴とする。請求項1に係る吸殻消火装置によれば、消火ローラを弾性変形可能な耐食性ゴムの円筒体で形成し、外周面に軸方向の切欠溝を刻設したことにより、消火ローラの目詰まりおよび復元力喪失を解消するとともに、異物等の引き込み力を高めることができるという効果がある。なお、消火ローラを吸殻消火装置の回転軸に嵌合配設する際に方向性を考慮すれば、1つの形状の消火ローラを一対の消火ローラのいずれにも使用することが可能である。
【0010】
請求項2に係る吸殻消火装置は、請求項1に記載の吸殻消火装置において、前記切欠溝が前記消火ローラの異なる回転方向に対称となるように一対刻設されていることを特徴とする。請求項2に係る吸殻消火装置によれば、切欠溝が消火ローラの異なる回転方向に対称となるように一対刻設されているので、消火ローラを吸殻消火装置の回転軸に嵌合配設する際に方向性を考慮する必要がなくなるという効果がある。
【0011】
請求項3に係る吸殻消火装置は、請求項1または2に記載の吸殻消火装置において、前記消火ローラが、前記中央貫通孔の周囲に軸方向の弾性変形用貫通孔が複数穿設されたことを特徴とする。請求項3に係る吸殻消火装置によれば、消火ローラの中央貫通孔の周囲に軸方向の弾性変形用貫通孔を複数穿設したことにより、消火ローラの見掛け上の硬度を弾性変形可能な耐食性ゴムのゴム硬度よりも小さくすることができ、消火ローラを形成するゴム素材の選択の幅が広がるという効果がある。
【0012】
請求項4に係る吸殻消火装置は、請求項3に記載の吸殻消火装置において、前記消火ローラが、前記弾性変形用貫通孔間に対応する外周面に軸方向の縦溝が刻設されたことを特徴とする。請求項4に係る吸殻消火装置によれば、弾性変形用貫通孔間に対応する外周面に軸方向の縦溝を刻設したことにより、消火ローラの見掛け上の硬度を弾性変形可能な耐食性ゴムのゴム硬度よりもさらに小さくすることができ、消火ローラを形成するゴム素材の選択の幅がより広がるという効果がある。
【0013】
請求項5に係る吸殻消火装置は、請求項4に記載の吸殻消火装置において、前記切欠溝が、前記縦溝の回転方向側の内側壁を切り欠いて形成されていることを特徴とする。請求項5に係る吸殻消火装置によれば、縦溝の回転方向側の内側壁を切り欠いて切欠溝を形成したことにより、任意の位置に切欠溝を形成する場合に比べて、切欠溝の形成が容易になるという効果がある。
【0014】
請求項6に係る吸殻消火装置は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の吸殻消火装置において、前記一対の消火ローラの一方が、他方の消火ローラと対接する方向に若干移動可能に付勢されて配設されていることを特徴とする。請求項6に係る吸殻消火装置によれば、一対の消火ローラの一方が、他方の消火ローラと対接する方向に若干移動可能に付勢されて配設されていることにより、消火ローラの弾性変形と相俟ってより大きな異物等の通過を可能にするという効果がある。
【0015】
請求項7に係る消火ローラは、弾性変形可能な耐食性ゴムの円筒体で形成されるとともに外周面に軸方向の切欠溝を刻設されていることを特徴とする。請求項7に係る消火ローラによれば、弾性変形可能な耐食性ゴムの円筒体で形成し、外周面に軸方向の切欠溝を刻設したことにより、消火ローラの目詰まりおよび復元力喪失を解消するとともに、異物等の引き込み力を高めることができるという効果がある。なお、消火ローラを吸殻消火装置の回転軸に嵌合配設する際に方向性を考慮すれば、1つの形状の消火ローラを一対の消火ローラのいずれにも使用することができる。
【0016】
請求項8に係る消火ローラは、請求項7に記載の消火ローラにおいて、前記切欠溝が前記消火ローラの異なる回転方向に対称となるように一対刻設されていることを特徴とする。請求項8に係る消火ローラによれば、消火ローラの外周面に切欠溝が異なる回転方向に対称となるように一対刻設されているので、消火ローラを吸殻消火装置の回転軸に嵌合配設する際に方向性を考慮する必要がなくなるという効果がある。
【0017】
請求項9に係る消火ローラは、請求項8に記載の消火ローラにおいて、前記中央貫通孔の周囲に軸方向の弾性変形用貫通孔が複数穿設されたことを特徴とする。請求項9に係る消火ローラによれば、中央貫通孔の周囲に軸方向の弾性変形用貫通孔を複数穿設したことにより、消火ローラの見掛け上の硬度を弾性変形可能な耐食性ゴムのゴム硬度よりも小さくすることができ、消火ローラを形成するゴム素材の選択の幅が広がるという効果がある。
【0018】
請求項10に係る消火ローラは、請求項9に記載の消火ローラにおいて、前記弾性変形用貫通孔間に対応する外周面に軸方向の縦溝が刻設されたことを特徴とする。請求項10に係る消火ローラによれば、弾性変形用貫通孔間に対応する外周面に軸方向の縦溝を刻設したことにより、消火ローラの見掛け上の硬度を弾性変形可能な耐食性ゴムのゴム硬度よりもさらに小さくすることができ、消火ローラを形成するゴム素材の選択の幅がより広がるという効果がある。
【0019】
請求項11に係る消火ローラは、請求項10に記載の消火ローラにおいて、前記切欠溝が、前記縦溝の回転方向側の内側壁を切り欠いて形成されていることを特徴とする。請求項11に係る消火ローラによれば、縦溝の回転方向側の内側壁を切り欠いて切欠溝を形成したことにより、任意の位置に切欠溝を形成する場合に比べて、切欠溝の形成が容易になるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0020】
消火ローラの消耗品としての交換回数を削減するとともに、異物等の通過を容易にするという目的を、消火ローラを弾性変形可能な耐食性ゴムの円筒体で形成するとともに、外表面に軸方向の切欠溝を刻設することにより達成した。
【0021】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0022】
図1から図8は、本発明の実施例に係る吸殻消火装置1を示す正面図,背面図,平面図,底面図,右側面図,左側面図,正面側斜視図,および背面側斜視図である。本実施例に係る吸殻消火装置1は、図9および図10に示すように、縦長の直方体状のハウジング2と、ハウジング2の内側上部に固定された消火ユニット部3と、ハウジング2内の消火ユニット部3の下位位置に正面側から着脱自在に設置される吸殻回収箱4とから、その主要部が構成されている。本実施例に係る吸殻消火装置1は、例えば、パチンコ遊技場において、パチンコ台の島からチェーン式の自動回収装置100によって搬送されてくる煙草の吸殻Bを消火して回収するもので、そのチェーン式の自動回収装置100の終端に設置して使用される。なお、チェーン式の自動回収装置100自体は、既述した特許文献4等によってすでに公知のものである。図9および図10中、符号101はリング状に繋がったローラチェーン、102はローラチェーン101の複数箇所に突設された断面星型紡錘状部材でなる搬送部材、103は搬送部材102が底面を摺接移動する回収管路、M2はチェーン駆動用モータである。その他の部材は、本発明とは直接関係しないので、それらの詳しい説明を割愛する。
【0023】
ハウジング2の正面上半部には、消火ユニット部3に対応するように、本体カバー2aがビス等により取り付けられている。本体カバー2aには、消火ユニット部3の内部を外部に露出させるための窓(図示せず)が穿設されていて、この窓には、蝶番(図示せず)およびスナップラッチ2cによって開閉自在となるようにメンテナンスカバー2bが取り付けられている。このため、スナップラッチ2cに指を掛けてメンテナンスカバー2bを開けると、窓から消火ユニット部3の内部が外部に露呈される。この状態で、窓から後述する水タンク20に漏斗等で水を補給することができるようになっている。ハウジング2の正面下半部には、ハウジング2の下半部内に吸殻回収箱4を収納設置するための開口2dとなっている。
【0024】
ハウジング2内の上端部は、図8に示すように、チェーン式の自動回収装置100で搬送されてきた吸殻Bが投入される吸殻投入口2eとなっている。ハウジング2内の吸殻投入口2eの近傍には、投入された吸殻Bが自重で落下するように、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9の転がり接触位置に向けて傾斜した5枚の案内板6a,6b,6c,6d,6e(図3参照)が取り付けられている。
【0025】
消火ユニット部3は、図9および図10に示すように、左側板,背面板21(図13参照),右側板および前面板25(図14参照)からなる取付枠体5を備え、取付枠体5は、ハウジング2内の上半部に固着されている。なお、前面板25は、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9の交換のために、取付枠体5に対して着脱自在に取り付けられている。取付枠体5には、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9を駆動させる回収モータM1と、回収モータM1の動力を伝達するギアボックス7と、ギアボックス7に互いに転がり接触するように水平平行に回転自在に配置された駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9と、水を収容して配置された水タンク20と、水タンク20に吸引チューブ(図示せず)が挿入された給水ポンプP1と、給水ポンプP1の吐出チューブ(図示せず)が連結された水溜め部材10と、水溜め部材10と駆動側消火ローラ8との間に駆動側消火ローラ8に一端が摺動接触するように配置された保水スポンジ部材30と、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9にガムなどの異物等が貼り付いたときに掻き落とすための左スクレーパー11および右スクレーパー12とが取り付けられている。
【0026】
水タンク20は、有効水量が例えば240ml程度の透明または半透明の合成樹脂製の箱体で形成されており、下端部を消火ユニット部3の取付枠体5の長方形穴に嵌め込まれ、上端部を取付枠体5の曲げ部に嵌め込まれて配置されている。ハウジング2から本体カバー2aを取り外し、水タンク20を持ち上げて取付枠体5の嵌め込み部から外すと、水タンク20を容易に外すことができる。
【0027】
給水ポンプP1は、水タンク20に収容された水を吸い上げ、水溜め部材10に給水する。給水ポンプP1としては、例えば、毎秒1ml程度の流量の液体ポンプが使用される。給水ポンプP1から吐出された水は水溜め部材10にて分散され、同時に水検知センサS1(図20参照)にて検知され、水タンク20の水切れや給水ポンプP1の故障等のチェックがなされる。水溜め部材10から駆動側消火ローラ8側に流れた水は、保水スポンジ部材30にて一旦保持されつつ、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9に給水される。吸殻消火装置1への電源投入直後は、給水ポンプP1による給水量を多くして駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9を早めに濡らす。以後、定期的に給水する(例えば、1ml/5分)。1日の使用水量は、160〜170mlであり、100本位の吸殻Bにて吸収可能である。
【0028】
水溜め部材10は、図15(a)〜(e)に示すように、横長の直方体状に樹脂成形されており、中央に給水ポンプP1の吐出チューブが挿入される丸穴10aが、丸穴10aの左右両側に水検知センサS1の左右の電極棒S1a,S1b(図20参照)が挿入される凹部10b,10cがそれぞれ穿設されている。また、丸穴10aに吐出された水が凹部10b,10cをそれぞれ通過して外部に流出するための縦溝10d,10eが形成されている。このため、水検知センサS1は、給水ポンプP1により水が吐出された一瞬だけ導通して水を検知するようになっている。
【0029】
回収モータM1は、ギアボックス7に取り付けられ、図5および図6に示すように、吸殻消火装置1の背面側に突出するように配設されている。吸殻消火装置1の背面側の、回収モータM1の下位位置には、回収箱検知スイッチS3が突設されている。回収箱検知スイッチS3は、吸殻回収箱4がハウジング2内に設置されると、吸殻回収箱4の背面で押されてオンとなるスイッチであり、吸殻回収箱4が正しく設置されていることが、回収モータM1を制御する安全回路(図示せず)によって検知される。吸殻回収箱4をハウジング2から取り外して回収箱検知スイッチS3がオフすると、回収モータM1は安全回路の作用により停止する。
【0030】
ギアボックス7は、図10に示すように、取付枠体5の背面板21の内面側に固着されており、回収モータM1の出力軸に固着された出力ギアM1aと、出力ギアM1aに噛合された駆動ギア8cと、駆動ギア8cに噛合された従動ギア9cとが配設されている。駆動ギア8cには、駆動側消火ローラ8の駆動回転軸8aが同軸的に取り付けられており、従動ギア9cには、従動側消火ローラ9の従動回転軸9aが同軸的に取り付けられている。
【0031】
駆動側消火ローラ8は、図11に示すように、弾性変形可能な耐食性ゴム製の円筒体で形成され、駆動回転軸8aに中央貫通孔81を挿脱自在に嵌合されて配設されている。駆動側消火ローラ8が弾性変形可能な耐食性ゴムで形成されているので、駆動側消火ローラ8の表面に水が付着することができる(濡性がある)が、内部まで浸透することはない。したがって、駆動側消火ローラ8は、外周面が灰や脂で目詰まりを起こして保水性を保てなくなったり、異物等が通過した際に変形して復元できなくなったりすることはなくなる。このため、駆動側消火ローラ8を頻繁に交換する必要がなくなり、駆動側消火ローラ8の消耗品としての交換費用を削減し、面倒な交換作業を少なくすることができる。また、駆動側消火ローラ8の外周面には、軸方向の切欠溝84が駆動側消火ローラ8の異なる回転方向に対称となるように一対刻設されている。駆動側消火ローラ8の外周面に軸方向の切欠溝84が刻設されているので、異物等が切欠溝84に引っ掛かるようになり、異物等を従動側消火ローラ9を挟んで通過させることができるようになる。さらに、切欠溝84が駆動側消火ローラ8の異なる回転方向に対称となるように一対刻設されているので、駆動側消火ローラ8を駆動回転軸8aに嵌合配設する際に方向性を考慮する必要がなくなる。さらにまた、駆動側消火ローラ8は、中央貫通孔81の周囲に軸方向の弾性変形用貫通孔82が9つ穿設されている。中央貫通孔81の周囲に軸方向の弾性変形用貫通孔82が9つ穿設されているので、駆動側消火ローラ8は、見掛け上の硬度を弾性変形可能な耐食性ゴムのゴム硬度よりも小さくすることができ、駆動側消火ローラ8を形成するゴム素材の選択の幅が広がることになる。また、駆動側消火ローラ8が、弾性変形用貫通孔82間に対応する外周面に軸方向の縦溝83が刻設されている。弾性変形用貫通孔82間に対応する外周面に軸方向の縦溝83を刻設したことにより、弾性変形用貫通孔82間の繋ぎ部分の肉抜きが行われるので、駆動側消火ローラ8の見掛け上の硬度を弾性変形可能な耐食性ゴムのゴム硬度よりもさらに小さくすることができ、駆動側消火ローラ8を形成するゴム素材の選択の幅がより広がることになる。駆動側消火ローラ8の肉厚は、駆動回転軸8a,従動回転軸9a間の所定の間隔の半分より大きく、駆動側消火ローラ8は、駆動回転軸8aに嵌着された状態で所定以上の圧力で従動側消火ローラ9に弾性的に圧接される。駆動ギア8cを一体的に貫通するように、図12に示す駆動回転軸8aが配設されている。駆動側消火ローラ8は、回転駆動されることにより従動側消火ローラ9とともに煙草の吸殻Bを挟圧して消火する。
【0032】
従動側消火ローラ9は、同じく図11に示すように、弾性変形可能な耐食性ゴム製の円筒体で形成され、従動回転軸9aに中央貫通孔91を挿脱自在に嵌合されて配設されている。従動側消火ローラ9が弾性変形可能な耐食性ゴムで形成されているので、従動側消火ローラ9の表面に水が付着することができる(濡性がある)が、内部まで浸透することはない。したがって、従動側消火ローラ9は、外周面が灰や脂で目詰まりを起こして保水性を保てなくなったり、異物等が通過した際に変形して復元できなくなったりすることはなくなる。このため、従動側消火ローラ9を頻繁に交換する必要がなくなり、従動側消火ローラ9の消耗品として交換費用を削減し、面倒な交換作業を少なくすることができる。また、従動側消火ローラ9の外周面には、軸方向の切欠溝94が従動側消火ローラ9の異なる回転方向に対称となるように一対刻設されている。従動側消火ローラ9の外周面に軸方向の切欠溝94が刻設されているので、異物等が切欠溝94に引っ掛かるようになり、異物等を駆動側消火ローラ8を挟んで通過させることができるようになる。さらに、切欠溝94が従動側消火ローラ9の異なる回転方向に対称となるように一対刻設されているので、従動側消火ローラ9を従動回転軸9aに嵌合配設する際に方向性を考慮する必要がなくなる。さらにまた、従動側消火ローラ9は、中央貫通孔91の周囲に軸方向の弾性変形用貫通孔92が9つ穿設されている。中央貫通孔91の周囲に軸方向の弾性変形用貫通孔92が9つ穿設されているので、従動側消火ローラ9は、見掛け上の硬度を弾性変形可能な耐食性ゴムのゴム硬度よりも小さくすることができ、従動側消火ローラ9を形成するゴム素材の選択の幅が広がることになる。また、従動側消火ローラ9が、弾性変形用貫通孔92間に対応する外周面に軸方向の縦溝93が刻設されている。弾性変形用貫通孔92間に対応する外周面に軸方向の縦溝93を刻設したことにより、弾性変形用貫通孔92間の繋ぎ部分の肉抜きが行われるので、従動側消火ローラ9の見掛け上の硬度を弾性変形可能な耐食性ゴムのゴム硬度よりもさらに小さくすることができ、従動側消火ローラ9を形成するゴム素材の選択の幅がより広がることになる。従動側消火ローラ9の肉厚は、駆動回転軸8a,従動回転軸9a間の所定の間隔の半分より大きく、従動側消火ローラ9は、従動回転軸9aに嵌着された状態で所定以上の圧力で従動側消火ローラ9に弾性的に圧接される。従動ギア9cを一体的に貫通するように、図12に示す従動回転軸9aが配設されている。従動側消火ローラ9は、回転従動されることにより駆動側消火ローラ8とともに煙草の吸殻Bを挟圧して消火する。
【0033】
従動回転軸9aは、図13に示すように、その一端を取付枠体5の背面板21に固植された支軸22に一端を回転自在に取り付けられた逆L字形クランク23にかしめ付けられており、逆L字形クランク23の他端には、一端を取付枠体5に掛着された緊縮性コイルばね24の他端が掛着されている。従動回転軸9aの他端は、図14に示すように、取付枠体5の前面板25に固植された支軸26に一端を回転自在に取り付けられたI字形クランク27にかしめ付けられており、I字形クランク27の他端には一端を取付枠体5に掛着された緊縮性コイルばね28の他端が掛着されている。この結果、従動側消火ローラ9は、駆動側消火ローラ8に対接する方向に付勢されながら若干移動可能に配設されている。すなわち、逆L字形クランク23に緊縮性コイルばね24にて回転運動を与えると同時に、I字形クランク27に緊縮性コイルばね28にて回転運動を与えることにより、従動側消火ローラ9を約1mm移動させることができる。逆L字形クランク23が従動回転軸9aの一端を受け、逆L字形クランク23と同様に回転し、従動側消火ローラ9を移動させると同時に、I字形クランク27が従動回転軸9aの他端を受け、I字形クランク27と同様に回転し、従動側消火ローラ9を移動させる。駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9は、熱、繰り返し圧縮等により外径が減少してくるが、従動側消火ローラ9が移動することにより駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9同士の接触が保たれ、寿命が延長できる。また、ローラ外径の製造時のばらつきにも対応できる。
【0034】
駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9は、ゴム硬度が5°〜30°程度の比較的に柔らかい弾性変形可能な耐食性ゴムで円筒体に成形されている。弾性変形可能な耐食性ゴムとしては、例えば、クロロプレンゴム
(polychloroprene) がある。クロロプレンゴムは、クロロプレンの重合によって得られる合成ゴムであるが、耐候性、耐熱性、耐油性、耐薬品性は天然ゴムよりも優れ、加工も容易であるという性能を持っている。なお、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9を形成する弾性変形可能な耐食性ゴムとしては、クロロプレンゴムに限られず、ニトリルブタジエンゴム,ブチルゴム,シリコーンゴム等の他のゴム素材を使用することができる。
【0035】
駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9の中央貫通孔81,91の内径は、駆動回転軸8aおよび従動回転軸9aの外径より少し小さくできていて、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9は、図9で見て手前に引き出すことにより駆動回転軸8aおよび従動回転軸9aから容易に取り外すことができる。逆に、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9を駆動回転軸8aおよび従動回転軸9aに取り付ける場合は、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9の中央貫通孔81,91を駆動回転軸8aおよび従動回転軸9aに圧入して内径を少し押し広げて密着させて空回りしないように嵌着させる。従って、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9は、駆動回転軸8aおよび従動回転軸9aに着脱自在に交換可能となっている。駆動側消火ローラ8を着脱自在に交換可能としたのは、駆動側消火ローラ8が直接触れる吸殻Bの灰や脂で汚れるため、また従動側消火ローラ9との転がり接触や保水スポンジ部材30との摺動接触により磨耗するためである。また、従動側消火ローラ9を交換可能としたのは、従動側消火ローラ9が直接触れる吸殻Bの灰や脂で汚れるため、また駆動側消火ローラ8との転がり接触により磨耗するためである。なお、本実施例のように、駆動回転軸8aと従動回転軸9aとを同サイズとすることにより、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9として同じものを使用することができる。
【0036】
ギアボックス7では、駆動ギア8cと従動ギア9cとが噛み合っているので、回収モータM1が駆動すると、回収モータM1の出力軸に固定された出力ギアM1aが回転し、出力ギアM1aに噛合する駆動ギア8cを介して駆動側消火ローラ8が正面から見て時計方向(以下、順方向という)に回転すると同時に、駆動ギア8cに噛合する従動ギア9cを介して従動側消火ローラ9が正面から見て反時計方向(以下、逆方向という)に回転する。これにより、駆動側消火ローラ8と従動側消火ローラ9とが所定以上の接触圧力で転がり接触しながら転がり接触位置が上方から下方に移動することになる。
【0037】
なお、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9の内径と駆動回転軸8aおよび従動回転軸9aの外径とを同時に調節することにより、通過させたり、通過させなかったりする異物等の大きさを調整することが可能である。
【0038】
保水スポンジ部材30は、図16(a),(b)に示すように、例えば、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)スポンジ板等でなる1枚の板体で形成されている。保水スポンジ部材30は、駆動側消火ローラ8と接触するので吸殻Bの灰や脂で汚れるため、また駆動側消火ローラ8と摺動接触で磨耗するおそれがあるため、容易に交換できるようになっている。このため、保水スポンジ部材30には、3つの取付孔30aと、2つの切れ目30bとが形成されている。切れ目30bは、保持する水の駆動側消火ローラ8への転移を容易にするためのものである。PVAスポンジは、一見ソリッドなブロック状であっても、ミクロの目で捉えるとその容積の90%は中空である。そして、この中空(気孔)を形成する基質部は、立体網目構造を成し、個々の気孔を完全に連続化している。このため、PVAスポンジは、極めて親水性が高く、縦横にめぐる微細気孔によって毛細管現象が生じるので、抜群の吸水性および保水性を発揮する。すなわち、PVAスポンジは、水に接すると、立体網目構造が即座に吸水を開始し、みるみるうちに水を内部に取り込んで、しっかりと保持する。
【0039】
左スクレーパー11は、図17(a)〜(d)に示す左スクレーパー取付半部11aに、図19(a),(b)に示す左スクレーパー被取付半部11bが取り付けられて構成されている。左スクレーパー取付半部11aは、ブレード状の板体で形成されていて、駆動側消火ローラ8の軸方向に配設され、駆動側消火ローラ8の下面にほぼ45度方向から対接して駆動側消火ローラ8が回転するたびに駆動側消火ローラ8の外周面に付着した吸殻Bの灰や脂を掻き落とす役目をする。左スクレーパー取付半部11aによって掻き落とされた吸殻Bの灰や脂は、自重によって吸殻回収箱4内に落下する。また、左スクレーパー被取付半部11bは、逃げ孔11b1,11b2が穿設されたブレード状の板体で形成されていて、駆動側消火ローラ8の軸方向に配設され、駆動側消火ローラ8の下面にほぼ45度方向から対接して駆動側消火ローラ8が回転するたびに駆動側消火ローラ8の外周面に付着した吸殻Bの灰や脂を掻き落とす役目をする。左スクレーパー被取付半部11bによって掻き落とされた吸殻Bの灰や脂は、逃げ孔11b1,11b2によって左スクレーパー被取付半部11bに付着しにくく、容易に自重によって吸殻回収箱4内に落下する。
【0040】
右スクレーパー12は、図18(a)〜(c)に示す右スクレーパー取付半部12aに、図19(a),(b)に示す右スクレーパー被取付半部12bが取り付けられて構成されている。右スクレーパー取付半部12aは、ブレード状の板体で形成されていて、従動側消火ローラ9の軸方向に配設され、従動側消火ローラ9の下面にほぼ45度方向から対接して従動側消火ローラ9が回転するたびに従動側消火ローラ9の外周面に付着した吸殻Bの灰や脂を掻き落とす役目をする。右スクレーパー取付半部12aによって掻き落とされた吸殻Bの灰や脂は、自重によって吸殻回収箱4内に落下する。また、右スクレーパー被取付半部12bは、逃げ孔12b1,12b2が穿設されたブレード状の板体で形成されていて、従動側消火ローラ9の軸方向に配設され、従動側消火ローラ9の下面にほぼ45度方向から対接して従動側消火ローラ9が回転するたびに従動側消火ローラ9の外周面に付着した吸殻Bの灰や脂を掻き落とす役目をする。右スクレーパー被取付半部12bによって掻き落とされた吸殻Bの灰や脂は、逃げ孔12b1,12b2によって右スクレーパー被取付半部12bに付着しにくく、容易に自重によって吸殻回収箱4内に落下する。
【0041】
吸殻回収箱4は、直方体状の箱体で形成され、その上端面には回収口(図示せず)が開口されているとともに、前板に一段と奥まった把手4a(図7等参照)が形成されている。吸殻回収箱4は、ハウジング2内の下半部に、正面側から開口2dを通じて着脱自在に設置される。駆動側消火ローラ8と従動側消火ローラ9との間を消火されて通り抜けてくる吸殻Bは、自重により回収口を通じて吸殻回収箱4内に落下する。吸殻回収箱4内に落下してくる吸殻Bは、押し潰され、かつ水を浸み込まされているので、完全に消火されており、吸殻回収箱4内に水を張る必要がないことは言うまでもない。
【0042】
図20は、本実施例に係る吸殻消火装置1の電気回路の概要を示す回路ブロック図である。この電気回路は、水検知センサ回路CT1,回転センサ回路CT2,マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)MPU,モータ運転回路CT3,警報リレー回路CT4,表示ランプ回路CT5,ポンプ運転回路CT6等より構成されている。なお、上記マイコンMPUの代わりに、ロジック集積回路の組み合わせ回路でも、構成が可能である。
【0043】
水検知センサ回路CT1は、DC5V電圧Vccと、間欠通電用スイッチング素子SW1と、水検知センサS1の電極棒S1a,S1bと、抵抗R1と、接地電圧GNDとの直列回路を構成する。水検知センサS1は、水タンク20への水の補給し忘れや給水ポンプP1の故障等が想定できるので、安全性の確保のために必要である。水溜め部材10に一対の電極棒S1a,S1bを設置するだけで水検知センサS1としての機能を持たせ、水が水溜め部材10に来ていないことを警報することができる。水検知センサS1は、2本の電極棒S1a,S1bに電圧を掛け、水が2つの電極棒S1a,S1b間に触れるときだけ導通することを利用している。しかし、水に複数の金属を入れると金属間に電圧差が生じ、イオンの移動が起こり、腐食が生じるが、金属間が導通状態にあると腐食の浸行が早くなる。それを食い止めるため、回路的に通常は閉鎖し、時折導通(間欠通電)させて水の量を監視することとしている。運転を開始して一定時間間隔(例えば、5分間)ごとに一定時間(例えば、1秒間)だけ通電して、一対の電極棒S1a,S1bの間の電位差を測定し、一定以上の電位差を生じれば一対の電極棒S1a,S1bは水に触れていないことがわかる。水検知センサS1は、マイコンMPUにより、非通電5分程度、通電1秒程度の、間欠通電をする。このように通電を間欠にすることで、水検知センサS1の電極棒表面の溶解・腐食の進行を遅らせ、寿命を延ばすことが期待される。水検知センサS1に通電している1秒間に、抵抗の端子電圧R1をマイコンMPUで読み取り、高電位ならば水有りと判断し、0Vならば水無しと判断する。水有りと判断したならば、マイコンMPUからモータ運転信号を継続し、回収モータM1およびチェーン駆動用モータM2の運転を継続する。水無しと判断したならば、回収モータM1およびチェーン駆動用モータM2を停止し、警報リレーRyをオンし水無しランプL2を点灯する。
【0044】
回転センサ回路CT2は、DC5V電圧Vccと、駆動ギア8cまたは従動ギア9cに固定した永久磁石mg1と、永久磁石mg1の磁気を感知する磁気センサMS1と、接地電圧GNDとで回転センサS2を構成する。回転センサS2は、ハウジング2内に設置され、駆動側消火ローラ8または従動側消火ローラ9の回転を検出する。例えば、駆動側消火ローラ8または従動側消火ローラ9が15秒間に1回転し、その間、1秒間だけ磁気センサMS1が永久磁石mg1の磁気を感知するようにする。回転センサS2は、ローラプーリーに固定した永久磁石mg1と、その磁気を感知する磁気センサMS1とで構成される。回収モータM1の運転中に、駆動ギア8cまたは従動ギア9cの回転によるセンサ出力信号を、マイコンMPUで読み取り、パルス信号であれば回転正常と判断し、パルス信号が途切れたならば回転異常と判断する。回転正常と判断したならば、マイコンMPUからのモータ運転信号を継続し、回収モータM1およびチェーン駆動用モータM2の運転を継続する。回転異常と判断したならば、回収モータM1およびチェーン駆動用モータM2を停止し、警報リレーRy2をオンし回転異常ランプL3を点灯する。
【0045】
モータ運転回路CT3は、DC5V電圧Vccと、スイッチング素子SW2と、運転リレーRy1と、回収モータM1と、チェーン駆動用モータM2と、AC100V電源と、接地電圧GNDとから構成されている。なお、チェーン駆動用モータM2は、吸殻消火装置1に設けられたものではなく、吸殻消火装置1とケーブル(図示せず)で接続されて使用されるチェーン式の自動回収装置100に設けられているものである。
【0046】
警報リレー回路CT4は、DC5V電圧Vccと、スイッチング素子SW3と、警報リレーRy2と、警報ランプL1と、DC電源と、接地電圧GNDとから構成されている。
【0047】
表示ランプ回路CT5は、DC5V電圧Vccと、スイッチング素子SW4と、水無しランプL2と、抵抗R2と、スイッチング素子SW5と、回転異常ランプL3と、抵抗R3と、接地電圧GNDとから構成されている。警報ランプL1,水無しランプL2および回転異常ランプL3は、吸殻消火装置1の正面下端部寄りに並置されて配設されている(図1等参照)。
【0048】
ポンプ運転回路CT6は、電源電圧Vccと、間欠運転スイッチング素子SW6と、給水ポンプP1と、接地電圧GNDとの直列回路として構成されている。ポンプ運転回路CT6は、マイコンMPUにより、停止時間5分程度、運転1秒程度で間欠運転する。このように給水ポンプP1の運転を間欠にすることで、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9への給水を適正量に制御することが期待される。
【0049】
次に、このように構成された本実施例に係る吸殻消火装置1の動作について、図21ないし図24のフローチャートを参照しながら説明する。
【0050】
パチンコ遊技場では、開店始業前に吸殻消火装置1のメンテナンスカバー2bを開いて、水タンク20に所定量以上の水が収容されるように水を補給する。この後、メンテナンスカバー2bを閉じる。
【0051】
次に、パチンコ遊技場では、開店に備えて吸殻消火装置1の電源スイッチ(図示せず)をオンにする。すると、図示しない電源回路を通じて、電源ランプ(図示せず)が点灯する。
【0052】
吸殻消火装置1に電源を投入すると、マイコンMPUは、初期設定した後(図21のステップS101)、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9の回転を開始する(図21のステップS102)。詳しくは、マイコンMPUは、モータ運転信号をモータ運転回路CT3に出力する。モータ運転回路CT3では、モータ運転信号を入力すると、スイッチング素子SW2がオンし、リレーRy1がオンして、AC100V電源から回収モータM1およびチェーン駆動用モータM2に通電が開始される。回収モータM1に通電が開始され、回収モータM1が回転すると、出力ギアM1aに噛合する駆動ギア8cを介して駆動側消火ローラ8が順方向に回転すると同時に、駆動ギア8cに噛合する従動ギア9cを介して従動側消火ローラ9が逆方向に回転する。また、回収モータM1と同時にチェーン駆動用モータM2も回転されることにより、チェーン式の自動回収装置100が駆動されて、パチンコ台の島に配置された複数の灰皿から吸殻Bがローラチェーン101および搬送部材102によって搬送され、吸殻投入口2eに導かれ、自重によって落下して、吸殻消火装置1に投入されるようになる。
【0053】
次に、マイコンMPUは、初回の給水プロセスを実施する(図21のステップS103)。詳しくは、マイコンMPUは、まず、給水時間の延長回数を30回に設定する(図22のステップS201)。初回の給水プロセスでは、電源投入時の給水ポンプP1まわりの状態として、通水が全く無い状態(吸殻消火装置1を設置して初回の動作の場合)と、稼働中の吸殻消火装置1の電源が切られ再度投入された状態との2つのケースが想定される。通水が全く無い状態の場合は全くの乾燥状態から、給水ポンプP1により水を吸い上げ、駆動側消火ローラ8にまで水が回るようにしなければならない。そのため、初回の給水プロセスでは、給水ポンプP1の最長動作時間を長く(30秒程度)に設定し、十分に水が回るような設定としている。
【0054】
次に、マイコンMPUは、ポンプ運転回路CT6にポンプ運転制御信号を出力する(図22のステップS202)。ポンプ運転回路CT6では、ポンプ運転制御信号が入力されると、間欠運転スイッチング素子SW6がオンして、電源Vccから給水ポンプP1への通電が開始され、給水ポンプP1が動作される。これにより、給水ポンプP1は、水タンク20から吸引チューブを通じて水を吸い上げ、吐出チューブを通じて水溜め部材10に供給する。
【0055】
続いて、マイコンMPUは、給水時間(1秒)等の規定時間を待つプロセスを実行する(図22のステップS203)。この間、給水ポンプP1による給水は続いている。
【0056】
次に、マイコンMPUは、水検知センサ回路CT1からの水検知センサ信号に基づいて水検知センサS1を確認し(図22のステップS204)、給水ポンプP1からの水の吐出を検知したかどうかを判断する(図22のステップS205)。具体的には、給水ポンプP1からの水の吐出があれば、水検知センサS1の電極棒S1a,S1b間が導通し、水検知センサ信号がオンになるので、これに基づいて水の吐出の有無を判断する。
【0057】
水の吐出が検知されていなければ(図22のステップS205:NO)、マイコンMPUは、給水時間の延長回数が0であるかどうかを判断する(図22のステップS206)。給水時間の延長回数が0でなければ(図22のステップS206:NO)、マイコンMPUは、給水時間の延長回数を1つ減らす(図22のステップS207)。
【0058】
次に、マイコンMPUは、回転センサ回路CT2からの同期信号に基づいて駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9の回転が正常であるかどうかを判断する(図22のステップS208)。具体的には、マイコンMPUは、回収モータM1の運転中に、回転センサS2から駆動回転軸8aまたは従動回転軸9aの回転出力信号を読み取り、パルス信号であれば回転正常と判断し、パルス信号が途切れたならば回転異常と判断する。
【0059】
ステップS208で駆動側消火ローラ8または従動側消火ローラ9の回転が正常であると判断したならば(図22のステップS208:YES)、マイコンMPUは、モータ運転回路CT3へのモータ運転信号の出力を継続することにより回収モータM1およびチェーン駆動用モータM2の運転を継続し、ステップS203に制御を戻してステップS203ないしS208を繰り返す。
【0060】
ステップS208で駆動側消火ローラ8または従動側消火ローラ9の回転異常であると判断したならば(図22のステップS208:NO)、マイコンMPUは、モータ運転回路CT3へのモータ運転信号の出力を停止する(図22のステップS213)。モータ運転回路CT3では、モータ運転信号が停止されると、スイッチング素子SW2がオフし、リレーRy1がオフして、AC100V電源から回収モータM1およびチェーン駆動用モータM2に通電が停止されることにより駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9の回転が停止する。次に、マイコンMPUは、ポンプ運転回路CT6へのポンプ運転制御信号の出力を停止する(図22のステップS214)。ポンプ運転回路CT6では、ポンプ運転制御信号が停止されると、間欠運転スイッチング素子SW6がオフして、給水ポンプP1への通電が停止されて、給水ポンプP1が停止する。続いて、マイコンMPUは、表示ランプ回路CT5に回転異常信号を出力する(図22のステップS215)。表示ランプ回路CT5では、回転異常信号が入力されると、スイッチング素子SW5がオンして、電源Vccからの通電により回転異常ランプL3が点灯して駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9の回転異常が表示される。以上により、吸殻消火装置1は、エラー停止状態となる。これと同時に、マイコンMPUは、警報出力信号を警報リレー回路CT4に出力する。警報リレー回路CT4では、警報出力信号を受けると、スイッチング素子SW3がオンして、警報リレーRy2がオンする。これにより、警報ランプL1にDC電源が供給されて点灯による回転異常警報が発せられる。これを見たパチンコ遊技場の係員は、吸殻消火装置1のメンテナンスカバー2bを開いて、回転異常の原因となる異物等を除去することができる。
【0061】
ステップS205で水の吐出を検知したと判断すれば(図22のステップS205:YES)、マイコンMPUは、ポンプ運転回路CT6へのポンプ運転制御信号の出力を停止する(図22のステップS209)。ポンプ運転回路CT6では、ポンプ運転制御信号が停止されると、間欠運転スイッチング素子SW6がオフして、給水ポンプP1への通電が停止されて、給水ポンプP1が停止する。初回の給水プロセスでは、稼働中の吸殻消火装置1の電源が切られ、再度投入された状態のケースも想定されるため、給水ポンプP1を単純に30秒間動作させるのではなく、水検知センサS1を監視し水の吐出が検知されたならば、ただちに給水を停止している。これにより、給水プロセスを終了する。
【0062】
ステップS206で給水時間の延長回数が0になると(図22のステップS206:YES)、マイコンMPUは、モータ運転回路CT3へのモータ運転信号の出力を停止する(図22のステップS210)。ここでは、給水ポンプP1を30秒間動作させても、水の吐出が検出できないときは、水タンク20が空である、あるいは給水ポンプP1に異常があると判断し、回収モータM1を停止させている。モータ運転回路CT3では、モータ運転信号が停止されると、スイッチング素子SW2がオフし、リレーRy1がオフして、AC100V電源から回収モータM1およびチェーン駆動用モータM2への通電が停止され、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9の回転が停止される。次に、マイコンMPUは、ポンプ運転回路CT6へのポンプ運転制御信号の出力を停止する(図22のステップS211)。ポンプ運転回路CT6では、ポンプ運転制御信号が停止されると、間欠運転スイッチング素子SW6がオフして、給水ポンプP1への通電が停止されて、給水ポンプP1が停止する。続いて、マイコンMPUは、表示ランプ回路CT5に水無し信号を出力する(図22のステップS212)。表示ランプ回路CT5では、水無し信号が入力されると、スイッチング素子SW4がオンして、電源Vccからの通電により水無しランプL2が点灯して水タンク20の水無しが表示される。以上により、吸殻消火装置1は、エラー停止状態となる。これと同時に、マイコンMPUは、警報出力信号を警報リレー回路CT4に出力する。警報リレー回路CT4では、警報出力信号を受けると、スイッチング素子SW3がオンして、警報リレーRy2がオンする。これにより、警報ランプL1にDC電源が供給されて点灯による水無し警報が発せられる。これを見たパチンコ遊技場の係員は、水タンク20に所定量以上の水量が収容されるように水を補給することができる。水タンク20の容積が1日に消費される水量以上に十分にあれば、毎日1回の水チェックと給水で十分であるが、容積が少ない場合や給水を忘れた場合には、水溜め部材10に水検知センサS1があれば、警報を発生させることができる。
【0063】
初回の給水プロセス(図21のステップS103)が終了した後、マイコンMPUは、給水間隔1分間の給水のタイミングを待つプロセスを実施する(図21のステップS104)。詳しくは、給水のタイミングを待つプロセスS104では、マイコンMPUは、まず、回転センサ回路CT2からの同期信号に基づいて駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9の回転は正常かどうかを判断する(図23のステップS301)。駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9の回転が正常であれば(図23のステップS301:YES)、マイコンMPUは、給水のタイミングであるかどうか、すなわち給水間隔(1分)が経過したかどうかを判断する(図23のステップS302)。給水のタイミングでなければ(図23のステップS302:NO)、マイコンMPUは、ステップS301に制御を戻し、ステップS301およびステップS302を繰り返す。ステップS302で給水のタイミングであれば(図23のステップS302:YES)、マイコンMPUは、給水間隔1分間の給水のタイミングを待つプロセスを終了する。
【0064】
一方、ステップS301で駆動側消火ローラ8または従動側消火ローラ9の回転が異常であれば(図23のステップS301:NO)、マイコンMPUは、モータ運転回路CT3へのモータ運転信号の出力を停止する(図23のステップS303)。モータ運転回路CT3では、モータ運転信号が停止されると、スイッチング素子SW2がオフし、リレーRy1がオフして、AC100V電源から回収モータM1およびチェーン駆動用モータM2に通電が停止されることにより駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9の回転が停止する。次に、マイコンMPUは、ポンプ運転回路CT6へのポンプ運転制御信号の出力を停止する(図23のステップS304)。ポンプ運転回路CT6では、ポンプ運転制御信号が停止されると、間欠運転スイッチング素子SW6がオフして、給水ポンプP1への通電が停止されて、給水ポンプP1が停止する。続いて、マイコンMPUは、表示ランプ回路CT5に回転異常信号を出力する(図23のステップS305)。表示ランプ回路CT5では、回転異常信号が入力されると、スイッチング素子SW5がオンして、電源Vccからの通電により回転異常ランプL3が点灯して駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9の回転異常が表示される。以上により、吸殻消火装置1は、エラー停止状態となる。これと同時に、マイコンMPUは、警報出力信号を警報リレー回路CT4に出力する。警報リレー回路CT4では、警報出力信号を受けると、スイッチング素子SW3がオンして、警報リレーRy2がオンする。これにより、警報ランプL1にDC電源が供給されて点灯による回転異常警報が発せられる。これを見たパチンコ遊技場の係員は、吸殻消火装置1のメンテナンスカバー2bを開いて、回転異常の原因となる異物等を除去することができる。
【0065】
給水間隔1分の給水のタイミングを待つプロセス(図21のステップS104)が終了すると、マイコンMPUは、給水時間1秒、給水延長1回で給水プロセスを実施する(図21のステップS105)。この給水プロセスでは、マイコンMPUは、まず、ポンプ運転回路CT6にポンプ運転制御信号を出力する(図24のステップS401)。ポンプ運転回路CT6では、ポンプ運転制御信号が入力されると、間欠運転スイッチング素子SW6がオンして、電源Vccから給水ポンプP1への通電が開始され、給水ポンプP1が動作される。これにより、給水ポンプP1は、水タンク20から吸引チューブを通じて水を吸い上げ、吐出チューブを通じて水溜め部材10に供給する。
【0066】
次に、マイコンMPUは、給水時間(1秒)等の規定時間を待つプロセスを実行する(図24のステップS402)。この間、給水ポンプP1による給水は続いている。
【0067】
続いて、マイコンMPUは、水検知センサ回路CT1からの水検知センサ信号に基づいて水検知センサS1を確認し(図24のステップS403)、給水ポンプP1からの水の吐出を検知したかどうかを判断する(図24のステップS404)。具体的には、給水ポンプP1からの水の吐出があれば、水検知センサS1の電極棒S1a,S1b間が導通し、水検知センサ信号がオンになるので、これに基づいて水の吐出の有無を判断する。
【0068】
水の吐出が検知されていなければ(図24のステップS404:NO)、マイコンMPUは、給水時間の延長回数が0であるかどうかを判断する(図24のステップS405)。給水時間の延長回数が0でなければ(図24のステップS405:NO)、マイコンMPUは、給水時間の延長回数を1つ減らし(図24のステップS406)、もう1ml分の供給動作を行わせるために、ステップS402に制御を戻して、ステップS402ないしS406を繰り返す。このように、初回の給水プロセスの後、5回分の給水プロセス(図21のステップS105)では、水溜め部材10と駆動側消火ローラ8との間の水系に設置された保水スポンジ部材30等により、水溜め部材10に供給された水がただちに駆動側消火ローラ8に回らない場合が想定される。そのため、初回の給水プロセスの後の5回分の給水プロセスの間隔を1分間の短い時間に設定し、駆動側消火ローラ8に速やかに水が供給させる動作としている。
【0069】
ステップS404で水の吐出を検出すれば(図24のステップS404:YES)、マイコンMPUは、ポンプ運転回路CT6へのポンプ運転制御信号の出力を停止する(図24のステップS407)。ポンプ運転回路CT6では、ポンプ運転制御信号が停止されると、間欠運転スイッチング素子SW6がオフして、給水ポンプP1への通電が停止されて、給水ポンプP1が停止する。これにより、給水プロセスを終了する。
【0070】
ステップS405で給水時間の延長回数が0となると(図24のステップS405:YES)、マイコンMPUは、モータ運転回路CT3へのモータ運転信号の出力を停止する(図24のステップS408)。ここでは、給水ポンプP1を2秒間動作させても、水の吐出が検出できないときは、水タンク20が空である、あるいは給水ポンプP1に異常があると判断し、回収モータM1を停止させている。モータ運転回路CT3では、モータ運転信号が停止されると、スイッチング素子SW2がオフし、リレーRy1がオフして、AC100V電源から回収モータM1およびチェーン駆動用モータM2への通電が停止され、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9の回転が停止される。次に、マイコンMPUは、ポンプ運転回路CT6へのポンプ運転制御信号の出力を停止する(図24のステップS409)。ポンプ運転回路CT6では、ポンプ運転制御信号が停止されると、間欠運転スイッチング素子SW6がオフして、給水ポンプP1への通電が停止されて、給水ポンプP1が停止する。続いて、マイコンMPUは、表示ランプ回路CT5に水無し信号を出力する(図24のステップS410)。表示ランプ回路CT5では、水無し信号が入力されると、スイッチング素子SW4がオンして、電源Vccからの通電により水無しランプL2が点灯して水タンク20の水無しが表示される。以上により、吸殻消火装置1は、エラー停止状態となる。これと同時に、マイコンMPUは、警報出力信号を警報リレー回路CT4に出力する。警報リレー回路CT4では、警報出力信号を受けると、スイッチング素子SW3がオンして、警報リレーRy2がオンする。これにより、警報ランプL1にDC電源が供給されて点灯による水無し警報が発せられる。これを見たパチンコ遊技場の係員は、水タンク20に所定量以上の水量が収容されるように水を補給することができる。水タンク20の容積が1日に消費される水量以上に十分にあれば、毎日1回の水チェックと給水で十分であるが、容積が少ない場合や給水を忘れた場合には、水溜め部材10に水検知センサS1があれば、警報を発生させることができる。
【0071】
給水間隔1分、給水時間1秒、給水延長1回の給水プロセス(図21のステップS105)が終了すると、マイコンMPUは、この給水プロセスを5回実施したかどうかを判断し(図21のステップS106)、5回実施していなければ(図21のステップS106:NO)、ステップS104に制御を戻して、給水間隔1分、給水時間1秒、給水延長1回の給水プロセスを繰り返す。
【0072】
給水間隔1分、給水時間1秒、給水延長1回の給水プロセスを5回実施すると(図21のステップS106:YES)、駆動側消火ローラ8が順方向に回転することにより、駆動側消火ローラ8の保水スポンジ部材30との摺動接触面が移動し、駆動側消火ローラ8の乾いた摺動接触面に水が連続的に供給されるようになる。さらに、駆動側消火ローラ8に供給された水は軸方向にも広がり、駆動側消火ローラ8の外周面に全長にわたって水が付着されるとともに、余分な水は縦溝83および切欠溝84に保持されることになる。また、駆動側消火ローラ8と転がり接触する従動側消火ローラ9の乾いた転がり接触面にも水が移り、従動側消火ローラ9の外周面にも全長にわたって水が付着されるとともに、余分な水は縦溝93および切欠溝94に保持されることになる。この間、数分程度で、駆動側消火ローラ8の外周面および従動側消火ローラ9の外周面全体に水が行き渡ることになる。
【0073】
このような駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9が水を付着して転がり接触しながら回転する状態で、吸殻Bが吸殻投入口2eから吸殻消火装置1に投入されると、吸殻Bは、自重によって落下し、案内板6a,6b,6c,6d,6eに案内されながら、駆動側消火ローラ8と従動側消火ローラ9との転がり接触位置に導かれ、駆動側消火ローラ8と従動側消火ローラ9との間に巻き込まれて挟圧されながら下方へ送り込まれる。すると、吸殻Bは、駆動側消火ローラ8と従動側消火ローラ9との間で押し潰されると同時に、水を付着した駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9から水を強制的に浸み込まされることになる。この結果、吸殻Bは、たとえ火が着いていたとしても、完全に消火される。また、吸殻Bが押し潰されるので、体積を圧縮されて一般ゴミとして廃棄しやすくなる。さらに、吸殻Bが水を浸み込ませることにより、水をまったく吸わせなかった場合の吸殻Bの回収時の灰の飛散を防止することが可能になる。そして、消火された吸殻Bは、駆動側消火ローラ8と従動側消火ローラ9との回転に伴って、両者の転がり接触位置を通り抜けて、自重によって吸殻回収箱4内に落下する。吸殻回収箱4内に落下した吸殻Bは、水を吸って完全に消火されているので、そのまま一般ゴミとして廃棄することができる。なお、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9の外周面に付着した吸殻Bの灰や脂は、左スクレーパー11および右スクレーパー12によって掻き落され、自重によって吸殻回収箱4内に落下する。しかし、一部の灰や脂は駆動側消火ローラ8の外周面および従動側消火ローラ9の外周面に薄い膜として残り、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9の保水性を高める役目をする。
【0074】
また、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9が水を付着して転がり接触しながら回転する状態で、チェーン式の自動回収装置100のローラチェーン101から外れた搬送部材102が吸殻投入口2eから吸殻消火装置1に投入されると、搬送部材102は、自重によって落下し、案内板6a,6b,6c,6d,6eに案内されながら、駆動側消火ローラ8と従動側消火ローラ9との転がり接触位置に導かれ、駆動側消火ローラ8と従動側消火ローラ9との間に巻き込まれて挟圧されながら下方へ送り込まれる。すると、搬送部材102は、駆動側消火ローラ8の切欠溝84または従動側消火ローラ9の切欠溝94に引っ掛けられ、駆動側消火ローラ8と従動側消火ローラ9との接触位置に引き込まれる。このとき、従動側消火ローラ9は、駆動側消火ローラ8に対接する方向に付勢されながら若干移動可能に配設されているので、逆L字形クランク23に緊縮性コイルばね24にて回転運動を与えると同時に、I字形クランク27に緊縮性コイルばね28にて回転運動を与えることにより、従動側消火ローラ9を若干(約1mm)移動させる。すなわち、逆L字形クランク23が従動回転軸9aの一端を受け、逆L字形クランク23と同様に回転し、従動側消火ローラ9を移動させると同時に、I字形クランク27が従動回転軸9aの他端を受け、I字形クランク27と同様に回転し、従動側消火ローラ9を移動させる。また、駆動側消火ローラ8または従動側消火ローラ9が、搬送部材102に押されて、弾性変形用貫通孔82および縦溝83や弾性変形用貫通孔92および縦溝93を屈曲変形あるいは湾曲変形する。これにより、駆動側消火ローラ8と従動側消火ローラ9との間隔が広がり、搬送部材102が駆動側消火ローラ8と従動側消火ローラ9との回転に伴って、両者の転がり接触位置を通り抜けて、自重によって吸殻回収箱4内に落下する。搬送部材102が通り抜けた後には、従動側消火ローラ9が緊縮性コイルばね28の復元弾力により駆動側消火ローラ8と接触する方向に移動するとともに、搬送部材102により押さえを失い、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9が、駆動側消火ローラ8の弾性変形用貫通孔82および縦溝83や従動側消火ローラ9の弾性変形用貫通孔92および縦溝93が自身の復元弾性力により元の形に復元する。なお、搬送部材102とほぼ同等の大きさの異物等が吸殻消火装置1に投入された場合については、搬送部材102が吸殻消火装置1に投入された場合と同様の動作になることはいうまでもない。
【0075】
吸殻Bや搬送部材102ではなく、駆動側消火ローラ8と従動側消火ローラ9との間で通過させることができないほど大きく硬い異物等(例えば、ライター等)が吸殻投入口2eから吸殻消火装置1に投入された場合、その異物等は駆動側消火ローラ8と従動側消火ローラ9との転がり接触位置付近に留まることになる。この場合、パチンコ遊技場では、警報ランプL1の点灯による回転異常警報に基づいて、吸殻消火装置1のメンテナンスカバー2bを開いて指等でそれを比較的容易に除去することができる。
【0076】
しかし、駆動側消火ローラ8と従動側消火ローラ9との間を通り抜ける大きさで、しかも、駆動側消火ローラ8と従動側消火ローラ9との間に挟まるような長さの異物等(例えば、鉛筆等)である場合には、駆動側消火ローラ8と従動側消火ローラ9との回転が、駆動回転軸8aおよび従動回転軸9aに押し付けられる異物等によって同時にロックされ、異物等が駆動側消火ローラ8と従動側消火ローラ9との間に挟まったまま留まってしまう恐れがある。このような場合には、図示しない逆転スイッチを操作することにより、マイコンMPUが、回収モータM1を逆回転させて、駆動側消火ローラ8を逆方向に、従動側消火ローラ9を順方向に回転させることができる。これにより、異物等が下方から上方に戻ってきて浮き上がることになるので、メンテナンスカバー2bを開いて指等でそれを比較的容易に撤去することができる。
【0077】
給水間隔1分、給水時間1秒、給水延長1回の給水プロセスを5回実施した後は(図21のステップS106:YES)、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9に十分な水が付着された状態になるので、マイコンMPUは、給水間隔5分間の給水のタイミングを待つプロセスを実施する(図21のステップS107)。この給水間隔5分間の給水のタイミングを待つプロセスは、ステップS104で説明した給水間隔1分間の給水のタイミングを待つプロセス(図23のステップS301〜S305)の給水間隔が5分間になるだけで、他は全く同様であるので、その詳しい説明を割愛する。
【0078】
給水間隔5分間の給水のタイミングを待つプロセス(図21のステップS107)が終了すると、マイコンMPUは、給水時間1秒、給水延長1回で給水プロセスを実施する(図21のステップS108)。この給水プロセスは、ステップS105で説明した給水時間1秒、給水延長1回の給水プロセス(図24のステップS401〜S410)と全く同様であるので、その詳しい説明を割愛する。すなわち、通常動作の給水プロセスでは(図21のステップS108)、5分間隔で、約1mlの水を供給し、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9の消火性能を保つ。給水ポンプP1を規定時間動作させても、水検知センサS1が水の吐出を検出できない場合、もう1ml分の供給動作を行う。それでも水の吐出を検出できない場合は、水タンク20が空、ないしは給水ポンプP1に異常があると判断し、エラーとする。
【0079】
給水間隔5分、給水時間1秒、給水延長1回の給水プロセス(図21のステップS108)が終了すると、マイコンMPUは、給水間隔5分、給水時間1秒、給水延長1回の給水プロセスを繰り返すためにステップS107に制御を戻して、ステップS107ないしS108を繰り返す。
【0080】
本実施例によれば、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9を弾性変形可能な耐食性ゴムの円筒体で形成し、外周面に軸方向の切欠溝84,94を刻設したことにより、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9の目詰まりおよび復元力喪失を解消するとともに、駆動側消火ローラ8と従動側消火ローラ9との転がり接触位置への異物等の引き込み力を高めることができる。なお、消火ローラを吸殻消火装置1の駆動回転軸8aおよび従動回転軸9aに嵌合配設する際に方向性を考慮すれば、1つの形状の消火ローラを駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9のいずれにも使用することが可能である。
【0081】
また、切欠溝84,94が駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9の異なる回転方向に対称となるように一対刻設されているので、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9を吸殻消火装置1の駆動回転軸8aおよび従動回転軸9aに嵌合配設する際に方向性を考慮する必要がなくなる。
【0082】
さらに、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9の中央貫通孔81,91の周囲に軸方向の弾性変形用貫通孔82,92を複数穿設したことにより、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9の見掛け上の硬度を弾性変形可能な耐食性ゴムのゴム硬度よりも小さくすることができ、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9を形成するゴム素材の選択の幅が広がる。
【0083】
さらにまた、弾性変形用貫通孔82,92間に対応する外周面に軸方向の縦溝83,93を刻設したことにより、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9の見掛け上の硬度を弾性変形可能な耐食性ゴムのゴム硬度よりもさらに小さくすることができ、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9を形成するゴム素材の選択の幅がより広がる。
【0084】
また、縦溝83,93の回転方向側の内側壁を切り欠いて切欠溝84,94を形成したことにより、任意の位置に切欠溝を形成する場合に比べて、切欠溝84,94の形成が容易になる。
【0085】
さらに、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9の一方が、他方と対接する方向に若干移動可能に付勢されて配設されていることにより、駆動側消火ローラ8および従動側消火ローラ9の弾性変形と相俟ってより大きな異物等の通過を容易にする。
【0086】
以上、本発明の実施例を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【0087】
例えば、上記実施例では、水を付着する一対の消火ローラを転がり接触させながら回転させることにより吸殻を一対の消火ローラ間で挟圧して押し潰すと同時に水を強制的に浸み込ませて消火するようにしたが、1つの消火ローラを静止する相手部材に摺動接触させながら回転させることにより吸殻を消火ローラと相手部材との間で挟圧して押し潰すと同時に水を強制的に浸み込ませて消火するようにすることもできる。
【0088】
また、上記実施例では、保水スポンジ部材を設け、駆動側消火ローラと摺動接触させるようにしたが、保水スポンジ部材は、水溜め部材において水の空間的および時間的な拡散が十分に行うことができれば、必ずしも設ける必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施例の吸殻消火装置の正面図。
【図2】本実施例の吸殻消火装置の背面図。
【図3】本実施例の吸殻消火装置の平面図。
【図4】本実施例の吸殻消火装置の底面図。
【図5】本実施例の吸殻消火装置の左側面図。
【図6】本実施例の吸殻消火装置の右側面図。
【図7】本実施例の吸殻消火装置の正面側斜視図。
【図8】本実施例の吸殻消火装置の背面側斜視図。
【図9】本実施例の吸殻消火装置の正面断面図。
【図10】本実施例の吸殻消火装置の側面断面図。
【図11】(a)〜(f)は消火ローラの斜視図,正面図,底面図,背面図,左側面図および断面図。
【図12】回転軸を拡大して示す図。
【図13】従動回転軸の一端の取付枠体への取り付け状態を示す要部図。
【図14】従動回転軸の他端の取付枠体への取り付け状態を示す要部図。
【図15】(a)〜(e)は水溜め部材の平面図,底面図,正面図,側面図および断面図。
【図16】(a)および(b)は保水スポンジ部材の正面図および側面図。
【図17】(a)〜(d)は左スクレーパー取付半部の4面図。
【図18】(a)〜(c)は右スクレーパー取付半部の3面図。
【図19】(a)および(b)はスクレーパー被取付半部の正面図および側面図。
【図20】本実施例の吸殻消火装置の電気回路図。
【図21】本実施例の吸殻消火装置のメインフローチャート。
【図22】図21中の初回の給水プロセスのフローチャート。
【図23】図21中の給水のタイミングを待つプロセスのフローチャート。
【図24】図21中の給水プロセスのフローチャート。
【符号の説明】
【0090】
1 吸殻消火装置
2 ハウジング
2a 本体カバー
2b メンテナンスカバー
2c スナップラッチ
2d 開口
2e 吸殻投入口
3 消火ユニット部
4 吸殻回収箱
4a 把手
5 取付枠体
6a,6b,6c,6d,6e 案内板
7 ギアボックス
8 駆動側消火ローラ
8a 駆動回転軸
8c 駆動ギア
9 従動側消火ローラ
9a 従動回転軸
9c 従動ギア
10 水溜め部材
11 左スクレーパー
12 右スクレーパー
20 水タンク
21 背面板
22 支軸
23 逆L字形クランク
24 緊縮性コイルばね
25 前面板
26 支軸
27 I字形クランク
28 緊縮性コイルばね
30 保水スポンジ部材
B 吸殻
CT1 水検知センサ回路
CT2 回転センサ回路
CT3 モータ運転回路
CT4 警報リレー回路
CT5 表示ランプ回路
CT6 ポンプ運転回路
L1 警報ランプ
L2 水無しランプ
L3 回転異常ランプ
M1 回収モータ
M1a 出力ギア
M2 チェーン駆動用モータ
MPU マイコン
P1 給水ポンプ
S1 水検知センサ
S2 回転センサ
S3 回収箱検知スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸殻を一対の消火ローラの間で挟圧して押し潰しながら下方に送ると同時に前記一対の消火ローラに付着された水を強制的に浸み込ませることにより消火する吸殻消火装置において、
前記消火ローラが、弾性変形可能な耐食性ゴムの円筒体で形成されるとともに外周面に軸方向の切欠溝を刻設されており、吸殻消火装置の回転軸に中央貫通孔を挿脱自在に嵌合されて配設されることを特徴とする吸殻消火装置。
【請求項2】
前記切欠溝が前記消火ローラの異なる回転方向に対称となるように一対刻設されていることを特徴とする請求項1に記載の吸殻消火装置。
【請求項3】
前記消火ローラが、前記中央貫通孔の周囲に軸方向の弾性変形用貫通孔が複数穿設されたことを特徴とする請求項1または2記載の吸殻消火装置。
【請求項4】
前記消火ローラが、前記弾性変形用貫通孔間に対応する外周面に軸方向の縦溝が刻設されたことを特徴とする請求項3記載の吸殻消火装置。
【請求項5】
前記切欠溝が、前記縦溝の回転方向側の内側壁を切り欠いて形成されていることを特徴とする請求項4記載の吸殻消火装置。
【請求項6】
前記一対の消火ローラの一方が、他方の消火ローラと対接する方向に若干移動可能に付勢されて配設されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の吸殻消火装置。
【請求項7】
弾性変形可能な耐食性ゴムの円筒体で形成されるとともに外周面に軸方向の切欠溝を刻設されていることを特徴とする消火ローラ。
【請求項8】
前記切欠溝が異なる回転方向に対称となるように一対刻設されていることを特徴とする請求項7に記載の消火ローラ。
【請求項9】
前記中央貫通孔の周囲に軸方向の弾性変形用貫通孔が複数穿設されたことを特徴とする請求項1記載の消火ローラ。
【請求項10】
前記弾性変形用貫通孔間に対応する外周面に軸方向の縦溝が刻設されたことを特徴とする請求項9記載の消火ローラ。
【請求項11】
前記切欠溝が、前記縦溝の回転方向側の内側壁を切り欠いて形成されていることを特徴とする請求項10記載の消火ローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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