説明

吸殻消火装置

【課題】投入された煙草の吸殻を滞留することなく確実に送り込むことができるとともに、確実に消火でき、また、吸殻以外の硬い異物が混入していても、支障なく作動させることができる、特にパチンコ遊技場での使用に適した吸殻消火装置を提供する。
【解決手段】上下に循環する消火ベルト13と、この消火ベルトと対向して回転し、投入された吸殻5を消火ベルト13に押し付けてこれと共に下方へ送り込む羽根車22と、この羽根車22の下方で消火ベルト13と対向して回転することにより、羽根車22で送り込まれてきた吸殻を消火ベルト13に押し付けてこれと挟圧しながら下方へ送る押圧ローラ19・20とを備えている。これら羽根車及び押圧ローラは、スプリングで消火ベルト13側に付勢された揺動可能なそれぞれの揺動枠23・21に軸支されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煙草の吸殻を挟んで押し潰すようにして消火する吸殻消火装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水を使わずに消火するこの種の吸殻消火装置として、従来、特許文献1及び特許文献2に記載されているようにローラで挟んで消火するローラ型と、特許文献3、特許文献4及び特許文献5に記載されているようにベルトで挟んで消火するベルト型とが知られている。
【0003】
しかし、従来のローラ型はローラ同士を対向させただけの構造、また、ベルト型はベルト同士を対向させただけの構造で、吸殻の送り込みの確実性、消火の確実性、吸殻以外の硬い異物混入時の対処については、構造上、格別な配慮がされていない。
【特許文献1】特開平9−99167号公報
【特許文献2】特開平8−275767号公報
【特許文献3】特開平8−9952号公報
【特許文献4】特許第2566511号公報
【特許文献5】特開2003−88352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、投入された吸殻を滞留することなく確実に送り込むことができるとともに、確実に消火でき、また、吸殻以外の硬い異物が混入していても、支障なく作動させることができる、特にパチンコ遊技場での使用に適した吸殻消火装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る本発明の吸殻消火装置は、上下に循環する消火ベルトと、この消火ベルトと対向して回転し、投入された吸殻を消火ベルトに押し付けてこれと共に下方へ送り込む羽根車と、この羽根車の下方で消火ベルトと対向して回転することにより、羽根車で送り込まれてきた吸殻を消火ベルトに押し付けてこれと挟圧しながら下方へ送る押圧ローラとを備え、羽根車及び押圧ローラが、スプリングで消火ベルト側に付勢された揺動可能なそれぞれの揺動枠に軸支されていることを特徴とする。
【0006】
これに従属する請求項2に係る発明の吸殻消火装置は、羽根車を軸支した揺動枠が押圧ローラを軸支した揺動枠に揺動可能に装着されている。
【0007】
同じく請求項3に係る発明の吸殻消火装置は、モータの回転により循環するタイミングベルトに、消火ベルトの駆動プーリと一体回転する消火ベルト側タイミングプーリと、押圧ローラ側を回転させる押圧ローラ側タイミングプーリとが噛み合い、この押圧ローラ側タイミングプーリと一体回転するギアと、押圧ローラと一体回転するギアと、羽根車と一体回転するギアとが順次噛み合い、タイミングベルトの循環により消火ベルトが循環すると同時に、押圧ローラ及び羽根車が回転するようになっている。
【0008】
請求項4に係る発明の吸殻消火装置は、一次押圧ローラと二次押圧ローラとが共通の揺動枠に上下に間隔をおいて軸支され、そのそれぞれと一体回転するギアが、押圧ローラ側タイミングプーリと一体回転するギアと噛み合い、同時回転するようになっている。
【0009】
請求項5に係る発明の吸殻消火装置は、一次押圧ローラとこれに回転伝達するギアとの間に、一次押圧ローラの負荷が所定以上となったときギアとの一体回転を解放する摩擦クラッチ機構が設けられている。
【0010】
請求項6に係る発明の吸殻消火装置は、消火ベルトを循環させる駆動プーリ及び従動プーリが、スプリングで押圧ローラ側に付勢された揺動可能な揺動枠に軸支されている。
【0011】
請求項7に係る発明の吸殻消火装置は、さらに、消火された吸殻を回収する着脱自在な吸殻回収箱と、その着脱を検出してモータの回転と停止を制御する安全回路とを備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、投入された吸殻を、上下に循環する消火ベルトに羽根車の回転により巻き込むようにして押し付けるので、吸殻を滞留することなく確実に下方へ送り込むことができる。
また、このように送り込まれてきた吸殻を押圧ローラが引き継ぎ、回転しながら消火ベルトに引き続き押し付け、これと挟圧することにより押し潰して消火するので、確実に消火できる。
さらに、羽根車と押圧ローラのそれぞれが、スプリングで消火ベルト側に付勢された揺動可能なそれぞれの揺動枠に軸支されているので、羽根車と押圧ローラのそれぞれがスプリングのバネ力を付与されながら個別に揺動することになる。従って、吸殻の長さや変形の如何に拘わらずその送り込み及び押し潰しを的確に行うことができるとともに、吸殻以外の硬い異物が混入していても、それによって動作停止を起こしたり損傷することなく作動させることができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、羽根車を軸支した揺動枠が押圧ローラを軸支した揺動枠に揺動可能に装着されているので、羽根車が、吸殻(又は異物)を消火ベルトに押し付けながらそれから離れる方向へ先に揺動したとき、押圧ローラも同方向に少し揺動することになる。従って、羽根車によって送り込まれたきた吸殻(又は異物)を、押圧ローラと消火ベルトとの間にスムーズに入り込ませることができるとともに、その直後に羽根車を元の位置にスムーズに復帰させることができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、消火ベルトと押圧ローラ及び羽根車への動力伝達を共通のタイミングベルトによって同時に行えるので、動力伝達機構を簡素にできる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、一次押圧ローラと二次押圧ローラとで吸殻を二度押し潰すことができるので、一層確実に消火できる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、一次押圧ローラの負荷が所定以上となったときそれへの回転伝達が摩擦クラッチ機構により自動的に切断するので、一次押圧ローラと二次押圧ローラとの間に硬い異物が挟まれてロック状態となるような事態を防止できる。
【0017】
請求項6に係る発明によれば、消火ベルトも押圧ローラから離れる方向に揺動できるので、硬い異物による動作停止をより確実に防止できる。
【0018】
請求項7に係る発明によれば、消火された吸殻を回収する吸殻回収箱が取り外されると、モータが自動的に停止するので、吸殻回収箱に回収された吸殻を撤去する際などに安全である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0020】
図1及び図2に示すように、本例の吸殻消火装置1は、パチンコ遊技場において、パチンコ台の島からコンベア2によって搬送されてくる煙草の吸殻を消火して回収するもので、そのコンベア2の終端に設置して使用される。
【0021】
この吸殻消火装置1は、縦長のハウジング3内に組み込まれ、このハウジング3内の上端部が吸殻投入口4となっていて、コンベア2で搬送されてきた吸殻5はハウジング3の片側からこの吸殻投入口4へ投入される。その投入された吸殻5が所定の位置に落下するように、吸殻投入口4の前後には傾斜した案内板6・7が配置されている。
【0022】
吸殻投入口4の下側には、図2〜図5に示すように、ベルトユニット8とローラユニット9とが前後に対設されている。
ベルトユニット8は、駆動プーリ10と従動プーリ11とを、上下に離してそれぞれの軸10a・11aにより揺動枠12に回転自在に軸支し、これら駆動プーリ10と従動プーリ11とにステンレス製の消火ベルト13を上下に循環するように掛け回し、また、駆動プーリ10と従動プーリ11との中間位置において、これらより小径の補助ローラ14を消火ベルト13と接触させて揺動枠12に回転自在に軸支したものである。
【0023】
この揺動枠12は、ハウジング3の側板3aに固定された固定枠15に、駆動プーリ10の軸10aを支点に前後に揺動可能に枢支されているとともに、揺動枠12の下端とハウジング3の側板3aとの間に張架したスプリング16によってローラユニット9側へ付勢され、図4及び図5に示すように、通常はストッパ17に当接する位置に保持される。これにより消火ベルト13は垂直姿勢に保持される。消火ベルト13には、駆動プーリ10と従動プーリ11との中間位置において、テンションローラ18にて外側からテンションが付与されている。
【0024】
ローラユニット9は、一次押圧ローラ19と二次押圧ローラ20とを、上下に離してそれぞれの軸19a・20aにより下側の揺動枠21に回転自在に軸支し、また、羽根車22をその軸22aにより上側の揺動枠23に回転自在に軸支したものである。
【0025】
下側の揺動枠21は、図6及び図7に示すように、二次押圧ローラ20の軸20aを支点に、固定枠15に対して所定角度範囲内だけ前後揺動可能に枢支されている。
一方、上側の揺動枠23は、一次押圧ローラ19の軸19aを支点に、下側の揺動枠21に対して所定角度範囲内だけ前後揺動可能に枢支されている。
そして、下側の揺動枠21は、その下端とハウジング3の側板3aとの間に張架したスプリング24によってベルトユニット8側へ付勢され、また、上側の揺動枠23は、その下端と下側の揺動枠21の上端との間に張架したスプリング25によってベルトユニット8側へ付勢されている。
【0026】
ローラユニット9側において、羽根車22と一次押圧ローラ19と二次押圧ローラ20とは上中下の三段の配置関係となっており、羽根車22は、ベルトユニット8側の駆動プーリ10とほぼ同じ高さ位置で消火ベルト13と対向し、一次押圧ローラ19は、ベルトユニット8側の補助ローラ14とほぼ同じ高さ位置で消火ベルト13と対向し、二次押圧ローラ20は、ベルトユニット8側の従動プーリ11とほぼ同じ高さ位置で消火ベルト13と対向する。
【0027】
そして、一次押圧ローラ19及び二次押圧ローラ20、さらに羽根車22は、次のような5列のギア列により同時回転するようになっている。
すなわち、図4、図6及び図7に示すように、下側の揺動枠21上では、それに軸26aで軸支された第1ギア26に、一次押圧ローラ19の軸19aに軸受けされて一次押圧ローラ19と一体回転可能な第2ギア27と、二次押圧ローラ20の軸20aに軸受けされて二次押圧ローラ20と一体回転する第3ギア28とが上下で噛み合っている。また、上側の揺動枠23上では、それに軸29aで軸支された第4ギア29に、羽根車22の軸22aに軸受けされて羽根車22と一体回転する第5ギア30が上側で噛み合い、さらに、この第4ギア29には、その下側で第2ギア27も噛み合っている。
【0028】
従って、先ず第1ギア26が回転すると、それ以降のギア27〜30が順次回転することにより一次押圧ローラ19及び二次押圧ローラ20、さらに羽根車22が同時に回転することになるが、その駆動は、ハウジング3内に設置されたモータ31の回転をベルトユニット8側にも伝える次のような共通の伝達機構によって、消火ベルト13の駆動と同時に行われるようになっている。
【0029】
すなわち、図1〜図3に示すように、モータ31の軸31aに固定された駆動タイミングプーリ32と、消火ベルト13の駆動プーリ10と一体回転する消火ベルト側の従動タイミングプーリ33と、上記第1ギア26と同軸26aで一体回転する押圧ローラ側の従動タイミングプーリ34とに、ゴム製のタイミングベルト35が掛け回されており、モータ31が駆動するとこのタイミングベルト35が循環して、駆動プーリ10が回転することにより消火ベルト13が循環すると同時に、第1ギア26が回転することにより一次押圧ローラ19と二次押圧ローラ20と羽根車22とが同時に回転する。
【0030】
従動タイミングプーリ33は、駆動プーリ10に合わせて径が大きいが、これに比べて駆動タイミングプーリ32及び従動タイミングプーリ34は径が小さくなっている。タイミングベルト35は、駆動タイミングプーリ32と従動タイミングプーリ33との間において、テンションローラ36により外側からテンションを付与されている。
【0031】
上記のように、ローラユニット9側で上中下の三段の配置関係になっている羽根車22と一次押圧ローラ19と二次押圧ローラ20の個々の構造について説明する。これらはいずれもステンレス製である。
【0032】
羽根車22は、図5及び図7に示すように、その軸22aの回りを回転する角筒22bに、複数枚(本例の場合は3枚)の横長の羽根板22cを放射状に突設したもので、その一端に固定した上記第5ギア30と一体回転する。
【0033】
一次押圧ローラ19は、その軸19aの回りを回転する横長円柱形で、その外周面の周方向の複数箇所(本例の場合は4箇所)に、L形に切欠した切欠凹部19bを全長に形成している。この一次押圧ローラ19には、それと同軸の上記第2ギア27によって回転伝達されるが、その回転伝達は次のような摩擦クラッチ機構により接離できるようになっている。
【0034】
すなわち、図6及び図7に示すように、一次押圧ローラ19の一端には、摩擦リング37が付設されて第2ギア27との間に介在している。一方、一次押圧ローラ19の他端には、その横穴19c内に配置されたスプリング38を受ける鍔付きカラー39が付設され、一次押圧ローラ19は、このスプリング38により摩擦リング37を介して第2ギア27の側面に押し付けられている。
【0035】
従って、一次押圧ローラ19の負荷が、摩擦リング37と第2ギア27との摩擦力を越えなけえれば、一次押圧ローラ19は第2ギア27と一体回転するが、負荷が摩擦力を越えると、摩擦リング37と第2ギア27との間に滑りが生じ、第2ギア27が回転しても一次押圧ローラ19はこれに従動して回転しない。
【0036】
二次押圧ローラ20も、その軸20aの回りを回転する横長円柱形で、一次押圧ローラ19と同様に切欠凹部20bを全長に形成しているが、それと同軸の上記第3ギア28を一端に固定していて、この第3ギア28と常に一体回転する。
【0037】
ハウジング3内の下部には、吸殻回収箱40が着脱自在に設置されている。この吸殻回収箱40の天板40aには、回収口40bが形成されているとともに、前板に把手40c(図1参照)が形成されている。上記のようにベルトユニット8とローラユニット9とで間で消火されて通り抜けてくる吸殻5は、回収口40bから吸殻回収箱40内に落下する。
【0038】
この吸殻回収箱40をハウジング3内の所定位置にセットすると、吸殻回収箱40の背面においてこれを検出するスイッチ41がオンとなり、吸殻回収箱40がセットされていることが、モータ31を制御する安全回路(図示せず)によって検知される。吸殻回収箱40を取り外してスイッチ41がオフとなると、モータ31は安全回路の作用によりオフとなる。
【0039】
また、ハウジング3内には、図3に示すように消火ベルト13の作動を検出するベルト作動検出用センサ42、発火を検出(熱検知)する発火検出用センサ43、未消火を検出(煙検知)するセンサ(図示せず)も設置されており、これらのセンサによっても安全回路が作動するようになっている。また、これらのセンサによる異常検知の際に、外部へ報知するための外部出力端子も備えている。
【0040】
次に、このように構成された吸殻消火装置1の作用について図8〜図11を参照して説明する。
消火ベルト13が循環すると同時に、羽根車22、一次押圧ローラ19及び二次押圧ローラ20が回転しているときに、投入口4から吸殻5が投入されると、その吸殻5は、図8に示すように、羽根車22により巻き込まれるようにして消火ベルト13に押し付けられ、これを押し付けられた消火ベルト13の背後では駆動プーリ10が消火ベルト13の変形を規制するので、吸殻5は、羽根車22と消火ベルト13とに挟まれて下方へ送り込まれる。
【0041】
このとき、羽根車22の羽根板22bが吸殻5に食い込むが、羽根車22を軸支している上側の揺動枠23が、スプリング25に抗して消火ベルト13から離れる方向へ揺動するので、吸殻5を切断するまでには至らない。また、上側の揺動枠23がこのように揺動するのに伴い、これを枢支している下側の揺動枠21も同方向に少し揺動するので、一次押圧ローラ19が消火ベルト13から少し離れてそれとの間隔が少し拡がり、その拡がったところに吸殻5が入り込み、羽根車22から一次押圧ローラ19へと引き継がれる。
【0042】
一次押圧ローラ19は、その外周面のL形の各切欠凹部20bが尖った段状部を形成しているので、これが滑り止めとなって吸殻5を図9に示すように消火ベルト13に押し付け、これを押し付けられた消火ベルト13の背後では補助ローラ14が消火ベルト13の変形を規制するので、吸殻5は、一次押圧ローラ19と消火ベルト13との挟圧により押し潰されながら下方へ送られることにより、ここで消火(一次消火)される。
【0043】
このとき、一次押圧ローラ19を軸支している下側の揺動枠21と、消火ベルト13側の揺動枠12とは、互いに離れる方向に所要量ずつ揺動して、吸殻5の通過を許容する。
【0044】
続いて、吸殻5は一次押圧ローラ19から二次押圧ローラ20に引き継がれ、この二次押圧ローラ20によって再び消火ベルト13に同様に押し付けられ、これを押し付けられた消火ベルト13の背後では従動プーリ11が消火ベルト13の変形を規制するので、吸殻5は、二次押圧ローラ20と消火ベルト13との挟圧によりさらに押し潰されながら下方へ送られることにより、ここでも消火(二次消火)される。
【0045】
このときも、二次押圧ローラ20を軸支している下側の揺動枠21と、消火ベルト13側の揺動枠12とは、互いに離れる方向に所要量ずつ揺動して、吸殻5の通過を許容する。
【0046】
二次押圧ローラ20と消火ベルト13との間を通り抜けた吸殻5は、吸殻回収箱40内へ落下して行く。
【0047】
吸殻5ではなく、押し潰せない硬い異物が投入された場合、その異物が羽根車22と消火ベルト13との間を通れないほどの大きいものであれば、吸殻投入口4で留まるので、その撤去は容易である。
【0048】
しかし、羽根車22と消火ベルト13との間を通り抜ける大きさで、しかも、図11に示すように、一次押圧ローラ19の切欠凹部19bと二次押圧ローラ20の切欠凹部20bとの間に挟まるような長さの異物50である場合には、同時に回転するようになっている一次押圧ローラ19と二次押圧ローラ20の回転が、消火ベルト13にてこれら両押圧ローラ19・20に押し付けられる異物50によって同時にロックされ、それによってまた消火ベルト13の回転もロックされて、異物50がそこに留まってしまう恐れがある。
しかし、本実施例では、一次押圧ローラ19に対して図7に示したような摩擦クラッチ機構が設けてあるので、そのような事態は起こらない。
【0049】
すなわち、一次押圧ローラ19の負荷が所定以上となると、上記のように、摩擦リング37と第2ギア27との間に滑りが生じ、第2ギア27が回転しても一次押圧ローラ19はこれに従動して回転しないが、二次押圧ローラ20は回転し続け、また消火ベルト13も循環し続けるので、異物50は、二次押圧ローラ20と消火ベルト13とにより、一次押圧ローラ19と二次押圧ローラ20との間から解放されて下方へ送られる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施例の吸殻消火装置全体の透視斜視図である。
【図2】その縦断面図である。
【図3】要部の拡大断面図である。
【図4】図3とは異なる位置での拡大断面図である。
【図5】さらに異なる位置での拡大断面図である。
【図6】要部の切欠正面図である。
【図7】その断面図である。
【図8】動作を説明する要部の断面図で、吸殻が羽根車と消火ベルトとの間まで送られた状態である。
【図9】同じく一次押圧ローラと消火ベルトとの間まで送られた状態である。
【図10】同じく二次押圧ローラと消火ベルトとの間まで送られた状態である。
【図11】硬い異物が入り込んだ場合の要部の断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 吸殻消火装置
2 コンベア
3 ハウジング
3a 側板
4 吸殻投入口
5 吸殻
6・7 案内板
8 ベルトユニット
9 ローラユニット
10 駆動プーリ
11 従動プーリ
10a・11a 軸
12 揺動枠
13 消火ベルト
14 補助ローラ
15 固定枠
16 スプリング
17 ストッパ
18 テンションローラ
19 一次押圧ローラ
19b 切欠凹部
19c 横穴
20 二次押圧ローラ
19a・20a 軸
21 下側の揺動枠
22 羽根車
22a 軸
22b 角筒
22c 羽根板
23 上側の揺動枠
24・25 スプリング
26 第1ギア
26a 軸
27 第2ギア
28 第3ギア
29 第4ギア
29a 軸
30 第5ギア
31 モータ
31a 軸
32 駆動タイミングプーリ
33・34 従動タイミングプーリ
35 タイミングベルト
36 テンションローラ
37 摩擦リング
38 スプリング
39 鍔付きカラー
40 吸殻回収箱
40a 天板
40b 回収口
40c 把手
41 スイッチ
42 ベルト作動検出用センサ
43 発火検出用センサ
50 異物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
煙草の吸殻を挟んで押し潰すようにして消火する吸殻消火装置において、上下に循環する消火ベルトと、この消火ベルトと対向して回転し、投入された吸殻を消火ベルトに押し付けてこれと共に下方へ送り込む羽根車と、この羽根車の下方で前記消火ベルトと対向して回転することにより、前記羽根車で送り込まれてきた吸殻を消火ベルトに押し付けてこれと挟圧しながら下方へ送る押圧ローラとを備え、前記羽根車及び押圧ローラが、スプリングで消火ベルト側に付勢された揺動可能なそれぞれの揺動枠に軸支されていることを特徴とする吸殻消火装置。
【請求項2】
羽根車を軸支した揺動枠が押圧ローラを軸支した揺動枠に揺動可能に装着されていることをことを特徴とする請求項1に記載の吸殻消火装置。
【請求項3】
モータの回転により循環するタイミングベルトに、消火ベルトの駆動プーリと一体回転する消火ベルト側タイミングプーリと、押圧ローラ側を回転させる押圧ローラ側タイミングプーリとが噛み合い、この押圧ローラ側タイミングプーリと一体回転するギアと、押圧ローラと一体回転するギアと、羽根車と一体回転するギアとが順次噛み合い、タイミングベルトの循環により消火ベルトが循環すると同時に、押圧ローラ及び羽根車が回転するようになっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の吸殻消火装置。
【請求項4】
一次押圧ローラと二次押圧ローラとが共通の揺動枠に上下に間隔をおいて軸支され、そのそれぞれと一体回転するギアが、押圧ローラ側タイミングプーリと一体回転するギアと噛み合い、同時回転するようになっていることを特徴とする請求項3に記載の吸殻消火装置。
【請求項5】
一次押圧ローラとこれに回転伝達するギアとの間に、一次押圧ローラの負荷が所定以上となったときギアとの一体回転を解放する摩擦クラッチ機構が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の吸殻消火装置。
【請求項6】
消火ベルトを循環させる駆動プーリ及び従動プーリが、スプリングで押圧ローラ側に付勢された揺動可能な揺動枠に軸支されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の吸殻消火装置。
【請求項7】
消火された吸殻を回収する着脱自在な吸殻回収箱と、その着脱を検出してモータの回転と停止を制御する安全回路とを備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の吸殻消火装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−38975(P2009−38975A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−204074(P2007−204074)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【出願人】(000002266)シルバー精工株式会社 (17)