説明

吸気ダクト構造

【課題】レイアウト性を悪化させることなく、製造コストの上昇を抑制可能な吸気ダクトの構造を提供する。
【解決手段】エンジンのエアクリーナー20の上流側に接続され、内側を空気が流れる空気導入管11と、空気導入管11の入口11aの外周全周に設けられる包囲部分121、及びその包囲部分121の一部分に連続して空気導入管11の出口11bまで延設される延設部分122を備える吸音部材12と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、吸気ダクトの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンの吸気騒音を低減可能な吸気ダクトの構造として、たとえば特許文献1では空気導入管の全周全長に渡って吸音部材を設置しさらにその外側をカバーで覆う構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−286673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述のように空気導入管の全周全長に渡って吸音部材を設置しては吸気ダクトが大形化するので、エンジンルーム内の他部品のレイアウト性が悪くなってしまう。また製造コストが上昇してしまう。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、レイアウト性を悪化させることなく、製造コストの上昇を抑制可能な吸気ダクトの構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下のような解決手段によって前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために本発明の実施形態に対応する符号を付するが、これに限定されるものではない。
【0007】
本発明は、エンジンのエアクリーナー(20)の上流側に接続され、内側を空気が流れる空気導入管(11)と、前記空気導入管(11)の入口(11a)の外周全周に設けられる包囲部分(121)、及びその包囲部分(121)の一部分に連続して空気導入管(11)の出口(11b)まで延設される延設部分(122)を備える吸音部材(12)と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、空気導入管の入口の外周全周に設けられる包囲部分、及びその包囲部分の一部分に連続して空気導入管の出口まで延設される延設部分を備える吸音部材を設けるようにした。すなわちこの吸音部材は、空気導入管の全周全長に渡って設けられるのではない。そのため吸気ダクトが大形化してしまうことを防止でき、エンジンルーム内の他部品と干渉しにくくなり、レイアウト性が向上する。また少ない素材量で実現できることから製造コストの上昇を抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による吸気ダクト構造の一実施形態を説明する図である。
【図2】吸音部材の包囲部分を空気導入管の入口に配置したことでの効果を説明する図である。
【図3】吸音部材の延設部分を、空気導入管の全周長さの1/4の範囲部分に配置したことでの効果を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では図面等を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0011】
図1は、本発明による吸気ダクト構造の一実施形態を説明する図であり、図1(A)はエンジンのエアクリーナーへ取り付けられた状態を示す斜視図、図1(B)は部品構成を示す斜視図、図1(C−1)は要部の側面図、図1(C−2)は図1(C−1)を矢印c2方向から見た図、図1(C−3)は図1(C−1)を矢印c3方向から見た図である。なお図1(C−1)〜図1(C−3)では、吸気ダクトを簡略化して円筒形で図示した。
【0012】
図1(A)に示すように、吸気ダクト10は、エンジンのエアクリーナー20の上流側(ダストサイド)に接続される。すなわち吸気ダクト10の入口から吸入された空気がエアクリーナー20に流入する。
【0013】
図1(B)に示すように、吸気ダクト10は、空気導入管11と、吸音部材12と、ダクトカバー13と、を含む。
【0014】
空気導入管11は、内側に空気が流れる。
【0015】
吸音部材12は、空気導入管11の外側に設けられる。図1(C−1)に示されているように、吸音部材12は、包囲部分121と、延設部分122と、を含む。
【0016】
図1(C−1)及び図1(C−3)に示されているように、包囲部分121は空気導入管11の入口11aの外周全周に設けられる。包囲部分121は、空気導入管11の入口11aから所定長に渡って設けられる。具体的には空気導入管11の全長の1/4以上1/2以下であることが望ましい。本実施形態では、空気導入管11の全長の1/4の場合を例示してある。
【0017】
また図1(C−1)及び図1(C−2)に示されているように、延設部分122は、包囲部分121の一部分に連続して空気導入管11の出口11bまで延設される。具体的には、包囲部分121の全周長さの1/4以上1/2以下の範囲部分に連続して設けることが望ましい。本実施形態では、包囲部分121の全周長さの1/4の範囲部分に連続して設けた場合を例示してある。
【0018】
ダクトカバー13は、吸音部材12が装着された空気導入管11の周囲に取り付けられる。本実施形態ではダクトカバー13は上下に二分割可能になっている。ダクトカバー13は、吸音部材12に沿うように形成されている。すなわち空気導入管11の入口近傍では吸音部材12の包囲部分121に合わせて太径であり、出口側に進む途中で下側のダクトカバーに段部が設けられている。それ以降は空気導入管11の下側部分に沿うように形成されている。
【0019】
図2は、吸音部材の包囲部分を空気導入管の入口に配置したことでの効果を説明する図である。
【0020】
ダクト長A,ダクト長B及びダクト長Cの長さ違いの3本の空気導入管11を用意し、それぞれエンジンのエアクリーナー20の上流側(ダストサイド)に接続した。なおダクト長A,ダクト長B,ダクト長Cの順番で長い。すなわちダクト長A>ダクト長B>ダクト長Cである。そして図2(A)に示すように空気導入管11の全長の1/4の長さの吸音部材12で、空気導入管11の所定位置の全周を包囲した。なおエアクリーナー側、すなわち空気導入管の出口側を位置a、空気導入管の入口側を位置c、位置aと位置cとの中間を位置bとした。そして吸音部材12の包囲位置を位置a〜cに変えたときの音圧の低減効果を測定した。すると図2(B)に示すように、いずれの長さの空気導入管11の場合であっても、出口の位置aに吸音部材12を取り付けたときが音圧低減効果が最も小さく、出口から離れて入口に近づくほど音圧低減効果が大きくなった。なお空気導入管11の全長が長いほど、効果低減効果の上昇代が大きくなった。
【0021】
これに関して本件発明者らの知見は以下である。吸気騒音は、空気導入管内の共鳴現象によって生じると考えられる。このとき空気導入管の入口は開口端であり音波の腹であると考えられる。そのため吸音部材12は、空気導入管11の出口(位置a)に配置するよりも空気導入管11の入口(位置c)に配置した方が音圧低減効果が大きい。
【0022】
以上を踏まえ、吸音部材12は、空気導入管11の入口11aに装着することがよいことが分かる。
【0023】
図3は、吸音部材の延設部分を、空気導入管の全周の1/4の範囲部分に配置したことでの効果を説明する図である。
【0024】
上述のように空気導入管11の入口11aには吸音部材を装着することが望ましい。そこで図3(A−1)〜図3(A−4)に示すような形状違いの4種類の吸音部材を用意した。
【0025】
図3(A−1)の吸音部材12は、空気導入管11の入口11aの全周に設けられ、長さが空気導入管11の全長の1/4である。
【0026】
図3(A−2)の吸音部材12は、図3(A−1)の吸音部材と同形状である包囲部分121の全周の1/4の範囲部分から空気導入管11の出口11bまで連続する延設部分122を含む。この吸音部材が本実施形態である。
【0027】
図3(A−3)の吸音部材12は、延設部分122が、図3(A−2)に示した包囲部分121の全周の1/2の範囲部分から空気導入管11の出口11bまで連続する。
【0028】
図3(A−4)の吸音部材12は、空気導入管11の全周全長に渡って設けられる。
【0029】
図3(A−1)〜図3(A−4)に示すような吸音部材ごとに音圧の低減効果を計測した。
【0030】
低周波数域では、図3(A−1)の吸音部材(一点鎖線)の音圧低減効果が小さかった。図3(A−2)の吸音部材(実線;本実施形態)、図3(A−3)の吸音部材(二点鎖線)及び図3(A−4)の吸音部材(実線)の低周波数域における音圧低減効果は同等であった。この理由は、延設部分が特に空気導入管11に独立して発生するローカル共振による音圧を低減するためである、というのが本件発明者らの知見である。
【0031】
高周波数域では、吸音部材の面積が大きいほど音圧の低減効果が大きかった。
【0032】
そこで本件発明者らは図1に示した吸音部材にしたのである。このように、吸音部材を空気導入管の全周全長に渡って設置するのではなく一部を切り欠くことで、吸気ダクトが大形化することを防止できる。特にエンジンルーム内ではエアクリーナーの上方にはスペースがあるものの、下方は他部品が多くクリアランスが少ない。本実施形態のようにエンジンルーム内に設置したときの上側に延設部分122を形成し、下方では空気導入管11が露出するように吸音部材を取り除き、空気導入管11に沿うようにダクトカバーを形成することで、エンジンルーム内の他部品と干渉しにくくなり、レイアウト性が向上する。また少ない素材量で実現できることから製造コストの上昇を抑制可能である。
【0033】
以上説明した実施形態に限定されることなく、その技術的思想の範囲内において種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に含まれることが明白である。
【符号の説明】
【0034】
10 吸気ダクト
11 空気導入管
11a 入口
11b 出口
12 吸音部材
121 包囲部分
122 延設部分
13 ダクトカバー
20 エアクリーナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンのエアクリーナーの上流側に接続され、内側を空気が流れる空気導入管と、
前記空気導入管の入口の外周全周に設けられる包囲部分、及びその包囲部分の一部分に連続して空気導入管の出口まで延設される延設部分を備える吸音部材と、
を有する吸気ダクト構造。
【請求項2】
前記包囲部分は、前記空気導入管の入口から所定長に渡って設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の吸気ダクト構造。
【請求項3】
前記所定長は、前記空気導入管の全長の1/4以上1/2以下である、
ことを特徴とする請求項2に記載の吸気ダクト構造。
【請求項4】
前記延設部分は、前記包囲部分の全周の1/4以上1/2以下の範囲部分に連続する、
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の吸気ダクト構造。
【請求項5】
前記延設部分は、エンジンルーム内に設置したときの上側に形成される、
ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の吸気ダクト構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−185295(P2010−185295A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28225(P2009−28225)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(000151209)株式会社マーレ フィルターシステムズ (159)