吸気ダクト装置
【課題】吸気ダクトとレゾネータとの間の連結壁に設けられた被係合部の変形を助長することができ、爪部に無理な荷重が掛かることによって亀裂や破損を生じるおそれを抑制することができる吸気ダクト装置を提供する。
【解決手段】ハウジングのエア入口に連結される吸気ダクト31と、ハウジングの開口に連結されるレゾネータ32とを備える。吸気ダクト31とレゾネータ32とをそれらの間に架設された連結壁33を介して隣接状態で一体化する。吸気ダクト31及びレゾネータ32をそれぞれ2分割するとともに、それらの分割体36A,36B,36Cを爪部41と被係合部40との係合により結合するように構成する。連結壁33には被係合部40の変形を助長するための変形助長部44を設ける。
【解決手段】ハウジングのエア入口に連結される吸気ダクト31と、ハウジングの開口に連結されるレゾネータ32とを備える。吸気ダクト31とレゾネータ32とをそれらの間に架設された連結壁33を介して隣接状態で一体化する。吸気ダクト31及びレゾネータ32をそれぞれ2分割するとともに、それらの分割体36A,36B,36Cを爪部41と被係合部40との係合により結合するように構成する。連結壁33には被係合部40の変形を助長するための変形助長部44を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両のエンジンにエアを供給するための吸気ダクト装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の吸気ダクト装置としては、例えば特許文献1に開示されるような構成が提案されている。この従来構成においては、吸気ダクトに第1分岐部及び第2分岐部が隣接して突出形成されている。第1分岐部にはホース接続部が接続されている。ホース接続部にはブローバイガス還流用のホースが接続される。第2分岐部にはレゾネータが接続されている。レゾネータは連結部を介してホース接続部と一体的に連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−203901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この従来構成の吸気ダクト装置において、前記のようにレゾネータとホース接続部とを連結部を介して一体的に連結する構成においては、それらの部材を半割状に2分割すれば射出成形が容易である。この場合、前記連結部の周辺は、その連結部やレゾネータ及びホース接続部の壁部が存在するために、剛性が高い。従って、2分割された両分割体を前記連結部の部分で結合する構成した場合には、結合のための爪部やその爪部が掛け止めされる受け部等が変形しにくい。従って、両分割体の結合作業に手間がかかるばかりでなく、無理に変形させようとすると、爪部等に無理な荷重が掛かって、亀裂や破損を生じやすいという問題があった。
【0005】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、係合部と被係合部との係合時に、吸気ダクトとレゾネータとの間の連結壁に設けられた被係合部の変形を助長することができ、爪部に無理な荷重がかかることによって亀裂や破損を生じるおそれを抑制することができる吸気ダクト装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明は、ハウジングのエア入口に連結される吸気ダクトと、ハウジングの開口に連結される連結口を有するレゾネータとを備え、前記吸気ダクトとレゾネータとを連結壁を介して隣接状態で一体化し、前記吸気ダクト及びレゾネータをそれぞれ2分割するとともに、それらの分割体を爪部と被係合部との係合により結合するように構成した吸気ダクト装置において、前記被係合部を前記連結壁に設けるとともに、その連結壁には被係合部の変形を助長するための変形助長部を設けたことを特徴としている。
【0007】
従って、この発明の吸気ダクト装置においては、分割体の組み付けに際して、吸気ダクトとレゾネータとの間の連結壁に設けられた被係合部とそれに対応する爪部とが係合されるとき、爪部が変形されるとともに、被係合部も変形助長部による変形助長によって変形される。よって、爪部に無理な荷重が掛かることがなく、爪部に亀裂や破損を生じるおそれを抑制することができる。
【0008】
また、前記の構成において、前記変形助長部は、連結壁の薄肉部により構成するとよい。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、この発明によれば、係合部と被係合部との係合時に、吸気ダクトとレゾネータとの間の連結壁に設けられた被係合部の変形を助長することができ、爪部に無理な荷重が掛かることによって亀裂や破損を生じるおそれを抑制することができるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態の吸気ダクト装置及びエアクリーナ装置を示す分解平面図。
【図2】図1の吸気ダクト装置を拡大して示す平面図。
【図3】図2の吸気ダクト装置の正面図。
【図4】図3の吸気ダクト装置を分解して示す正面図。
【図5】図4の吸気ダクト装置における第1分割体の平面図。
【図6】図2の6−6線における拡大断面図。
【図7】図2の7−7線における部分拡大断面図。
【図8】図2の8−8線における部分拡大断面図。
【図9】図2の9−9線における部分拡大断面図。
【図10】(a)〜(c)は図7〜図9の結合構造における分割体の結合時の状態を示す部分断面図。
【図11】ハウジングのエア入口及び開口に対する吸気ダクトの給気口及びレゾネータの連結口の連結部分を拡大して示す部分平面図。
【図12】図11の12−12線における断面図。
【図13】図12の13−13線における部分断面図。
【図14】変更例を示す断面図。
【図15】別の変更例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、この発明を具体化した実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、エアクリーナ装置21のクリーナハウジング(以下、単にハウジングという)22内において、そのハウジング22を構成する第1ケース22Aと第2ケース22Bとの間には、フィルタ23が配置されている。フィルタ23の上流側である第1ケース22Aの壁部には、エア入口24及び開口25が平行な軸線上に位置するように並設されている。図12に示すように、エア入口24は一対の円弧部24aと一対の平行部24bとにより断面ほぼ長円形の筒状をなすように形成されている。開口25は断面円形の筒状をなすように形成され、一方の前記平行部24bの一端部側に偏倚してかつ近接して配置されている。フィルタ23の下流側である第2ケース22Bの壁部には、図示しないエンジンの吸気系に接続されるエア出口26が形成されている。ハウジング22の外側下部には、エアクリーナ装置21をボルト等により車両のエンジンルーム内の取付部(図示しない)に固定するための複数の固定座27が設けられている。
【0012】
図1〜図3に示すように、前記エアクリーナ装置21に連結される吸気ダクト装置30は、断面ほぼ長円形の筒状をなす吸気ダクト31と、中空箱形状をなすレゾネータ32とを備えている。吸気ダクト31とレゾネータ32とは、それらの間に架設された連結壁33を介して隣接状態で一体化されている。吸気ダクト31の端部には、ハウジング22のエア入口24に挿入されて連結される連結口34が設けられている。この連結口34は前記エア入口と相似形をなし、一対の円弧部34aと一対の平行部34bとを有している。レゾネータ32の外側面には、ハウジング22の開口25に挿入されて連結される断面円形をなす円筒状の導入ダクト35が前記連結口34の軸線に対する平行な軸線に沿って延びるように突設されている。
【0013】
図3〜図5に示すように、前記吸気ダクト装置30の吸気ダクト31及びレゾネータ32は、図3の上下に2分割して構成されている。すなわち、この吸気ダクト31及びレゾネータ32は、前記連結壁33を介して一体に連結形成された吸気ダクト31の下方部分及びレゾネータ32の下方部分よりなる第1分割体36Aと、吸気ダクト31の上方部分としてのダクト側第2分割体36Bと、レゾネータ32の上方部分としてのレゾネータ側第2分割体36Cとより構成されている。第1分割体36Aとダクト側第2分割体36Bとが吸気ダクト31を構成し、第1分割体36Aとレゾネータ側第2分割体36Cとがレゾネータ32のハウジングを構成する。そして、前記吸気ダクト31の環状の連結口34及びレゾネータ32の環状の導入ダクト35は、第1分割体36A側に一体に形成されている。第1分割体36Aにおけるレゾネータ32の下方部分の外側には、吸気ダクト装置30をボルト等により車両のエンジンルーム内に固定するための複数の固定座37が突設されている。
【0014】
図5〜図7に示すように、前記第1分割体36Aの上端開口の縁部には、突条38が同縁部の延長方向に沿って形成されている。ダクト側第2分割体36B及びレゾネータ側第2分割体36Cの下端開口の縁部には、前記突条38に外嵌可能な受け溝39が縁部の延長方向に沿って形成されている。そして、この突条38と受け溝39との嵌合によって、第1分割体36Aとダクト側第2分割体36B及びレゾネータ側第2分割体36Cとがそれらの開口縁においてほぼ気密状態に結合される。
【0015】
図2及び図6に示すように、前記第1分割体36Aの上端開口の縁部の外側には、平面ほぼ四角枠状をなす複数の被係合部としての受け部40が相互間隔をおいて突出形成されており、その受け部40の内側には被掛け止め部40aが形成されている。吸気ダクト31とレゾネータ32との間の連結壁33にも受け部40が設けられている。
【0016】
図8に示すように、ダクト側第2分割体36B及びレゾネータ側第2分割体36Cの下端開口の縁部の外側には、前記受け部40の被掛け止め部40aに対してその内側から掛止される弾性変形可能な複数の爪部41が相互間隔をおいて下方に向かって突出形成されている。そして、各爪部41が受け部40の被掛け止め部40aに対して内側から掛止されることにより、第1分割体36Aとダクト側第2分割体36B及びレゾネータ側第2分割体36Cとが結合状態にロックされる。第1分割体36Aの外側における各受け部40と対応する部分には、受け部40からの爪部41の離脱をしにくくするために、掛止位置の爪部41の変形を規制するための規制部42が突設されている。
【0017】
図2〜図4及び図9に示すように、前記ダクト側第2分割体36B及びレゾネータ側第2分割体36Cの下端開口の縁部の外側において、前記各爪部41の形成箇所間のほぼ中間位置には、複数の拘束部としての突出片43が下方に向かって突出形成されており、その内側面には傾斜面よりなるガイド面43aが形成されている。そして、図10(a)に示すように、第1分割体36Aとダクト側第2分割体36B及びレゾネータ側第2分割体36Cとの結合に際して、爪部41が内側に弾性変形しながら受け部40に掛止されるとき、図10(c)に示すように、突出片43が第1分割体36Aの外側面にそのガイド面43aにおいてガイドされながら当接される。この当接により、図10(b)に示すように、ダクト側第2分割体36B及びレゾネータ側第2分割体36Cの壁部が、爪部41の受け部40に対する掛け止め時に内側に変形されるのが拘束されて、対向する分割体36A,36B,36Cの突条38と受け溝39との間で位置ずれが生じないようになっている。
【0018】
図5及び図6に示すように、前記吸気ダクト31の連結口34の近傍とレゾネータ32の導入ダクト35近傍との間の連結壁33上に隣接して設けられた被係合部としての受け部40間には、変形助長部を構成する薄肉部44が形成されている。そして、連結壁33上の各受け部40に対して爪部41が掛け止めされるとき、この薄肉部44によって各受け部40の変形も助長される。
【0019】
また、図11に示すように、前記ダクト側第2分割体36B及びレゾネータ側第2分割体36Cに設けられた複数の爪部41のうちで、レゾネータ32の導入ダクト35近傍の両側に設けられた一対の爪部41Aの幅W1が、その他の爪部41Bの幅W2よりも狭くなるように形成されて、それらの爪部41Aが他の爪部41Bよりも弾性変形し易くなるように構成されている。
【0020】
図11〜図13に示すように、前記吸気ダクト31の連結口34の周壁には、複数のスリット48が周方向に間隔をおくとともに、軸線方向へ平行に延びるように形成されている。連結口34の一対の平行部34bの各一対のスリット48間における板状部34cの先端には、爪部よりなる一対の抜け止め部49が突出形成されている。そして、吸気ダクト31の連結口34がハウジング22のエア入口24に挿入された状態で、この抜け止め部49がエア入口24の内端周縁に係合されることにより、連結口34がエア入口24に対して抜け止め保持される。
【0021】
図11〜図13に示すように、前記レゾネータ32の導入ダクト35の外周面には、突条よりなる複数のガタつき防止部50が周方向に間隔をおくとともに、軸線方向へ平行に延びるように突出形成されている。これらのガタつき防止部50はその高さが導入ダクト35の基端側に向かって高くなるクサビ形状をなしている。そして、レゾネータ32の導入ダクト35がハウジング22の開口25に嵌合された状態で、これらのガタつき防止部50が開口25の内周面に圧接されることにより、導入ダクト35と開口25との間のガタつきが防止される。このガタつき防止部50の角張った頂点は、開口25の長さ方向(図11における上下方向)の中間部に位置している。
【0022】
図11〜図13に示すように、前記吸気ダクト31の連結口34の周壁上部の円弧部には、平面部51が形成されている。図3及び図4に示すように、ハウジング22のエア入口24の周壁上部の円弧部には、連結口34の平面部51に対応する平面部52が形成されている。連結口34の外周面には、突条よりなる複数の係合片53が各スリット48の両側縁に沿って延びるように突出形成されている。これらの係合片53はその高さが連結口34の基端側に向かって高くなるクサビ形状をなしている。
【0023】
そして、吸気ダクト31の連結口34がハウジング22のエア入口24に嵌合された状態で、両平面部51,52が互いに接合されることにより、図12に示すように、導入ダクト35の軸心Cを中心とした連結口34の回動が規制されて、その平面部51,52の接合箇所で回動荷重が受け止められるようになっている。また、連結口34がエア入口24に嵌合された状態で、各係合片53がエア入口24の内周面に圧接されて、連結口34とエア入口24との間のガタつきが防止されるようになっている。
【0024】
次に、以上のように構成されたエアクリーナ装置の組み付け方法を説明する。
まず、図4に示す第1及び第2分割体36A〜36Cが射出成形によって成形される。そして、第1分割体36Aに対して第2分割体36B,36Cがそれぞれ組み付けられる。すなわち、図7,図8及び図10(a)(b)に示すように、爪部41が内側に弾性変形しながら受け部40の内側の被掛け止め部40aに掛止され、受け溝39が突条38に嵌められる、このとき、図10(c)に示すように、突出片43が第1分割体36Aの外側面に当接される。この当接により、図10(b)に示すように、爪部41が内側に変形されても、第2,レゾネータ側第2分割体36B,36Cの縁部の変形が拘束される。従って、対向する第1,第2分割体36A,36B,36Cの突条38と受け溝39との間で位置ずれを生じるおそれが防止され、第1分割体36Aと第2分割体36B,36Cとが適切に結合される。
【0025】
また、図5に示すように、前記吸気ダクト31の連結口34の近傍とレゾネータ32の導入ダクト35の近傍との間の連結壁33上に隣接して設けられた受け部40間には、薄肉部44が形成されている。そして、連結壁33上の各受け部40に対して爪部41が弾性変形しながら係合されるとき、導入ダクト35,連結口34や連結壁33の存在により受け部40の周囲の剛性が高くても、この薄肉部44によって各受け部40の変形が助長され、爪部41に亀裂や破損を生じるおそれが防止される。
【0026】
さらに、図11に示すように、レゾネータ32の導入ダクト35近傍の両側に設けられた一対の爪部41Aの幅W1が、その他の爪部41Bの幅W2よりも狭くなるように形成されている。このため、導入ダクト35近傍の爪部41Aが弾性変形しながら受け部40に係合されるとき、導入ダクト35,連結口34や連結壁33の存在により爪部41の周囲の剛性が高く、爪部41Aやその周囲が変形され難い場合でも、爪部41Aが容易に弾性変形して受け部40に係合される。
【0027】
以上のようにして組み付けられた吸気ダクト装置30は、エアクリーナのハウジング22に組み付けられる。すなわち、図11に示すように、吸気ダクト31の連結口34がハウジング22のエア入口24に嵌合されるとともに、レゾネータ3の導入ダクト35がハウジング22の開口25に嵌合される。
【0028】
この状態において、連結口34の先端の抜け止め部49がエア入口24の内端周縁に係合されることにより、連結口34がエア入口24に対して抜け止め保持される。また、連結口34の外周面の係合片53がエア入口24の内周面に圧接されて、連結口34のガタつきが防止される。
【0029】
一方、この状態においては、レゾネータ32の導入ダクト35のガタつき防止部50が開口25の内周面に食い込むようにして圧接されることにより、導入ダクト35と開口25との間のガタつきが防止されるとともに、開口25からの導入ダクト35が抜け出ることが防止される。
【0030】
そして、この状態においては、連結口34及びエア入口24の両平面部51,52が互いに平面接触で接合されている。このため、図12に示すように、その平面部51,52の接合箇所で回動荷重が受け止められ、導入ダクト35の軸心を中心とした連結口34の部分の回動が規制される。
【0031】
次に、以上のように組み付けられたエアクリーナ装置の作用を説明する。
この実施形態のエアクリーナ装置21は、そのエア出口26がエンジンの連結口に接続された状態で、エンジンルーム内に搭載される。この状態でエンジンが稼働されると、外気が吸気ダクト31及びエア入口24を介してハウジング22内に取り込まれる。そして、そのエアはフィルタ23によって濾過されて、エア出口26を介してエンジンに供給される。
【0032】
また、エンジンからの吸気音がハウジング22内に導入されるが、その吸気音のうち、特定領域の周波数の吸気音は導入ダクト35からレゾネータ32内に導入されて、共鳴作用によって打ち消される。従って、吸気ダクト31の先端開口からは、特定周波数領域の騒音を除去した静謐な、あるいは音色を調整した吸気音が放散される。
【0033】
そして、エンジン稼働時にはエンジンの振動や車両走行にともなう振動がこのエアクリーナ装置に加えられるが、第1分割体36Aと第2及びレゾネータ側第2分割体36B,36Cとは突条38と受け溝39とが適切に嵌合し合っている。また、ハウジング22と吸気ダクト装置30とはエア入口24と連結口34との間及び開口25と導入ダクト35との間においてガタつきや相対移動が防止されている。従って、エアクリーナ装置21が共振したり、騒音を発生したりすることを防止することが可能になる。
【0034】
この実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) 吸気ダクト31の連結口34には、エア入口24からの抜け止め機能を果たすための抜け止め部49が設けられている。導入ダクト35には、開口25との間のガタつきを防止するためのガタつき防止部50が設けられている。このため、相互に一体化された吸気ダクト31及びレゾネータ32の連結口34及び導入ダクト35が、ハウジング22のエア入口24及び開口25に嵌合されると、吸気ダクト31側において抜け止め部49により、連結口34がエア入口24に対して抜け止めされる。それとともに、レゾネータ32側においてガタつき防止部50により、導入ダクト35と開口25との間のガタつきが防止される。よって、一体化された吸気ダクト31及びレゾネータ32の連結口34及び導入ダクト35を、ハウジング22のエア入口24及び開口25に対して、抜け止め状態でガタつきなく連結することができる。しかも、抜け止め部49による抜け止め機能と、ガタつき防止部50によるガタつき防止機能とが、吸気ダクト31の連結口34側と、レゾネータ32の導入ダクト35側とに分担されているため、連結口34及び導入ダクト35の双方にそれぞれ両機能を持たせる場合と比較して、吸気ダクト装置30の構造を簡略化することができる。
【0035】
(2) 吸気ダクト31の連結口34に、その軸線方向に延びる複数のスリット48を形成するとともに、各スリット48によって形成された板状部34cの先端に抜け止め部49が形成されている。このため、基端部をエア入口24に挿入する際に、板状部34cが撓むため、エア入口24に対する連結口34の挿入を小さな力で行なうことができる。
【0036】
(3) 吸気ダクト31の連結口34に、エア入口24の内周面に圧接されるガタつき防止部としての係合部53が形成されているため、この連結口34とエア入口24との間においてもガタつきを防止できる。
【0037】
(4) 導入ダクト35のガタつき防止部50を、導入ダクト35の軸線方向に延びるとともに、頂部が導入ダクト35の基端側に向かって高くなるクサビ形の突条によって構成しているため、ガタつき防止部50が開口25の内周面に食い込む。従って、ガタ付き防止がより確実になるとともに、ガタつき防止部50が導入ダクト35の抜け止め防止作用も発揮する。しかも、ガタつき防止部50の角張った頂点が開口25の長さ方向の中間部に位置していることにより、導入ダクト35は開口25から外方へ抜け出ることが適切に防止される。
【0038】
(5) エア入口24及び連結口34の円弧部の頂部に平面部51,52が形成されているため、導入ダクト35が断面円形をなしていても、連結口34がエア入口24内において連結口34の軸線を中心に回転したり、ガタついたりすることを抑制できる。すなわち、レゾネータ32がその外周部の固定座37において固定されているとともに、開口25及び導入ダクト35が断面円形であるため、吸気ダクト装置30には図12に示す開口25及び導入ダクト35の軸心Cを中心とした矢印方向あるいはその逆方向への回転力が作用する。ここで、開口25及び導入ダクト35に前記平面部51,52が形成されていない場合は、特に、エア入口24と連結口34との間及び開口25と導入ダクト35との間の寸法公差が相殺されることなく、相乗されている場合には、前記回転力によってエア入口24と連結口34との間にすべりが生じて、それらの間に相対回転が生じるおそれがある。しかし、開口25及び導入ダクト35がエア入口24及び連結口34に対して平行部24b,34bの端部側に偏倚された位置にあって平面部51,52と開口25及び導入ダクト35が離れた位置に配置されているため、前記相対回転は抑止される。従って、ガタつきや異音の発生を防止することが可能になる。
【0039】
(6) エア入口24及び連結口34に平行部24b,34bが形成されているため、導入ダクト35のねじれ等に起因するエア入口24に対する連結口34の回転が抑止される。従って、前記と同様にガタつきや異音の発生を防止することが可能になる。
【0040】
(7) ダクト側,レゾネータ側第2分割体36B,36Cの縁部の外側には、第1分割体36Aとの係合によりダクト側,レゾネータ側第2分割体36B,36Cの縁部が内側に変形することを拘束する突出片43が設けられている。従って、各分割体36A〜36Cの対向する縁部に設けられた突条38と受け溝39との間の位置ずれを防止することができて、各分割体36A〜36Cを結合不良が生じることなく容易に組み付けすることができる。
【0041】
(8) 前記第1分割体36Aの外側に爪部41の内側への移動を規制する規制部42が設けられているため、第1分割体36Aとダクト側,レゾネータ側第2分割体36B,36Cとの結合状態において整備作業者等が爪部41を押したとしても、爪部41が受け部40から外れることを防止できる。
【0042】
(9) 前記突出片43の内側面には傾斜面よりなるガイド面43aが形成されているため、突条38と受け溝39との嵌合を手探りであっても容易に行うことができる。
(10) 連結壁33において分割体36A,36B,36Cを結合するための爪部41が係合される受け部40の変形を助長するための変形助長部が連結壁33に設けられている。よって、受け部40に対する爪部41の掛け止めに際して爪部40に無理な荷重が掛かることがなく、爪部41に亀裂や破損を生じるおそれを抑制することができる。そして、前記変形助長部が、連結壁33の薄肉部44により構成されている。このため、変形助長部の構造が簡単であるとともに、連結壁33や導入ダクト35等の存在により、受け部40の周囲が高剛性であっても、受け部40の変形を効果的に助長することができる。
【0043】
(11) レゾネータ32の導入ダクト35近傍の両側に設けられた爪部41Aの幅W1が、その他の爪部41Bの幅W2よりも狭くなるように形成されて、爪部41Aが弾性変形し易くなるように構成されている。このため、導入ダクト35等の存在により、爪部41Aの周囲が高剛性であっても、爪部41Aが変形しやすくなり、受け部40に対する爪部41Aの掛け止めを容易に行なうことができる。
【0044】
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 図14に示すように、前記第1分割体36Aの突条38とダクト側第2分割体36B及びレゾネータ側第2分割体36Cの受け溝39との間の対向面に傾斜面46,47を形成すること。このように構成した場合には、分割体36A〜36Cの結合組み付け時に、傾斜面46,47の案内作用により、突条38と受け溝39とを円滑に係合させることができる。また、分割体36A〜36Cの結合組み付け状態においてそれらに車両振動等が伝達された場合、突条38と受け溝39との傾斜面46,47間で滑りが生じるため、衝突騒音が発生するおそれを抑制することができる。
【0045】
・ 図15に示すように、変形助長部として、前記実施形態の薄肉部44に代えて、連結壁33にスリット45を形成すること。
・ エア入口24と連結口35との間の平面部51,52を2箇所の円弧部の頂部にそれぞれ設けること。
【0046】
・ エア入口24及び連結口35を一対の平行部24b,34bが形成されていない形状,例えば、楕円形状あるいはほぼ楕円形状に形成したり、あるいは平行部24b,34bを有する隅丸長四角形状にしたりすること。エア入口24及び連結口35が楕円形状及びほぼ楕円形状の場合は、その長径部の端部の位置に平面部51,52が形成される。
【符号の説明】
【0047】
21…エアクリーナ装置、22…ハウジング、24…エア入口、25…開口、30…吸気ダクト装置、31…吸気ダクト、32…レゾネータ、33…連結壁、34…連結口、36A…第1分割体、36B…ダクト側第2分割体、36C…レゾネータ側第2分割体、40…被係合部としての受け部、41…爪部、44…変形助長部としての変形助長部を構成する薄肉部、47…変形助長部を構成するスリット。
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両のエンジンにエアを供給するための吸気ダクト装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の吸気ダクト装置としては、例えば特許文献1に開示されるような構成が提案されている。この従来構成においては、吸気ダクトに第1分岐部及び第2分岐部が隣接して突出形成されている。第1分岐部にはホース接続部が接続されている。ホース接続部にはブローバイガス還流用のホースが接続される。第2分岐部にはレゾネータが接続されている。レゾネータは連結部を介してホース接続部と一体的に連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−203901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この従来構成の吸気ダクト装置において、前記のようにレゾネータとホース接続部とを連結部を介して一体的に連結する構成においては、それらの部材を半割状に2分割すれば射出成形が容易である。この場合、前記連結部の周辺は、その連結部やレゾネータ及びホース接続部の壁部が存在するために、剛性が高い。従って、2分割された両分割体を前記連結部の部分で結合する構成した場合には、結合のための爪部やその爪部が掛け止めされる受け部等が変形しにくい。従って、両分割体の結合作業に手間がかかるばかりでなく、無理に変形させようとすると、爪部等に無理な荷重が掛かって、亀裂や破損を生じやすいという問題があった。
【0005】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、係合部と被係合部との係合時に、吸気ダクトとレゾネータとの間の連結壁に設けられた被係合部の変形を助長することができ、爪部に無理な荷重がかかることによって亀裂や破損を生じるおそれを抑制することができる吸気ダクト装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明は、ハウジングのエア入口に連結される吸気ダクトと、ハウジングの開口に連結される連結口を有するレゾネータとを備え、前記吸気ダクトとレゾネータとを連結壁を介して隣接状態で一体化し、前記吸気ダクト及びレゾネータをそれぞれ2分割するとともに、それらの分割体を爪部と被係合部との係合により結合するように構成した吸気ダクト装置において、前記被係合部を前記連結壁に設けるとともに、その連結壁には被係合部の変形を助長するための変形助長部を設けたことを特徴としている。
【0007】
従って、この発明の吸気ダクト装置においては、分割体の組み付けに際して、吸気ダクトとレゾネータとの間の連結壁に設けられた被係合部とそれに対応する爪部とが係合されるとき、爪部が変形されるとともに、被係合部も変形助長部による変形助長によって変形される。よって、爪部に無理な荷重が掛かることがなく、爪部に亀裂や破損を生じるおそれを抑制することができる。
【0008】
また、前記の構成において、前記変形助長部は、連結壁の薄肉部により構成するとよい。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、この発明によれば、係合部と被係合部との係合時に、吸気ダクトとレゾネータとの間の連結壁に設けられた被係合部の変形を助長することができ、爪部に無理な荷重が掛かることによって亀裂や破損を生じるおそれを抑制することができるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態の吸気ダクト装置及びエアクリーナ装置を示す分解平面図。
【図2】図1の吸気ダクト装置を拡大して示す平面図。
【図3】図2の吸気ダクト装置の正面図。
【図4】図3の吸気ダクト装置を分解して示す正面図。
【図5】図4の吸気ダクト装置における第1分割体の平面図。
【図6】図2の6−6線における拡大断面図。
【図7】図2の7−7線における部分拡大断面図。
【図8】図2の8−8線における部分拡大断面図。
【図9】図2の9−9線における部分拡大断面図。
【図10】(a)〜(c)は図7〜図9の結合構造における分割体の結合時の状態を示す部分断面図。
【図11】ハウジングのエア入口及び開口に対する吸気ダクトの給気口及びレゾネータの連結口の連結部分を拡大して示す部分平面図。
【図12】図11の12−12線における断面図。
【図13】図12の13−13線における部分断面図。
【図14】変更例を示す断面図。
【図15】別の変更例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、この発明を具体化した実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、エアクリーナ装置21のクリーナハウジング(以下、単にハウジングという)22内において、そのハウジング22を構成する第1ケース22Aと第2ケース22Bとの間には、フィルタ23が配置されている。フィルタ23の上流側である第1ケース22Aの壁部には、エア入口24及び開口25が平行な軸線上に位置するように並設されている。図12に示すように、エア入口24は一対の円弧部24aと一対の平行部24bとにより断面ほぼ長円形の筒状をなすように形成されている。開口25は断面円形の筒状をなすように形成され、一方の前記平行部24bの一端部側に偏倚してかつ近接して配置されている。フィルタ23の下流側である第2ケース22Bの壁部には、図示しないエンジンの吸気系に接続されるエア出口26が形成されている。ハウジング22の外側下部には、エアクリーナ装置21をボルト等により車両のエンジンルーム内の取付部(図示しない)に固定するための複数の固定座27が設けられている。
【0012】
図1〜図3に示すように、前記エアクリーナ装置21に連結される吸気ダクト装置30は、断面ほぼ長円形の筒状をなす吸気ダクト31と、中空箱形状をなすレゾネータ32とを備えている。吸気ダクト31とレゾネータ32とは、それらの間に架設された連結壁33を介して隣接状態で一体化されている。吸気ダクト31の端部には、ハウジング22のエア入口24に挿入されて連結される連結口34が設けられている。この連結口34は前記エア入口と相似形をなし、一対の円弧部34aと一対の平行部34bとを有している。レゾネータ32の外側面には、ハウジング22の開口25に挿入されて連結される断面円形をなす円筒状の導入ダクト35が前記連結口34の軸線に対する平行な軸線に沿って延びるように突設されている。
【0013】
図3〜図5に示すように、前記吸気ダクト装置30の吸気ダクト31及びレゾネータ32は、図3の上下に2分割して構成されている。すなわち、この吸気ダクト31及びレゾネータ32は、前記連結壁33を介して一体に連結形成された吸気ダクト31の下方部分及びレゾネータ32の下方部分よりなる第1分割体36Aと、吸気ダクト31の上方部分としてのダクト側第2分割体36Bと、レゾネータ32の上方部分としてのレゾネータ側第2分割体36Cとより構成されている。第1分割体36Aとダクト側第2分割体36Bとが吸気ダクト31を構成し、第1分割体36Aとレゾネータ側第2分割体36Cとがレゾネータ32のハウジングを構成する。そして、前記吸気ダクト31の環状の連結口34及びレゾネータ32の環状の導入ダクト35は、第1分割体36A側に一体に形成されている。第1分割体36Aにおけるレゾネータ32の下方部分の外側には、吸気ダクト装置30をボルト等により車両のエンジンルーム内に固定するための複数の固定座37が突設されている。
【0014】
図5〜図7に示すように、前記第1分割体36Aの上端開口の縁部には、突条38が同縁部の延長方向に沿って形成されている。ダクト側第2分割体36B及びレゾネータ側第2分割体36Cの下端開口の縁部には、前記突条38に外嵌可能な受け溝39が縁部の延長方向に沿って形成されている。そして、この突条38と受け溝39との嵌合によって、第1分割体36Aとダクト側第2分割体36B及びレゾネータ側第2分割体36Cとがそれらの開口縁においてほぼ気密状態に結合される。
【0015】
図2及び図6に示すように、前記第1分割体36Aの上端開口の縁部の外側には、平面ほぼ四角枠状をなす複数の被係合部としての受け部40が相互間隔をおいて突出形成されており、その受け部40の内側には被掛け止め部40aが形成されている。吸気ダクト31とレゾネータ32との間の連結壁33にも受け部40が設けられている。
【0016】
図8に示すように、ダクト側第2分割体36B及びレゾネータ側第2分割体36Cの下端開口の縁部の外側には、前記受け部40の被掛け止め部40aに対してその内側から掛止される弾性変形可能な複数の爪部41が相互間隔をおいて下方に向かって突出形成されている。そして、各爪部41が受け部40の被掛け止め部40aに対して内側から掛止されることにより、第1分割体36Aとダクト側第2分割体36B及びレゾネータ側第2分割体36Cとが結合状態にロックされる。第1分割体36Aの外側における各受け部40と対応する部分には、受け部40からの爪部41の離脱をしにくくするために、掛止位置の爪部41の変形を規制するための規制部42が突設されている。
【0017】
図2〜図4及び図9に示すように、前記ダクト側第2分割体36B及びレゾネータ側第2分割体36Cの下端開口の縁部の外側において、前記各爪部41の形成箇所間のほぼ中間位置には、複数の拘束部としての突出片43が下方に向かって突出形成されており、その内側面には傾斜面よりなるガイド面43aが形成されている。そして、図10(a)に示すように、第1分割体36Aとダクト側第2分割体36B及びレゾネータ側第2分割体36Cとの結合に際して、爪部41が内側に弾性変形しながら受け部40に掛止されるとき、図10(c)に示すように、突出片43が第1分割体36Aの外側面にそのガイド面43aにおいてガイドされながら当接される。この当接により、図10(b)に示すように、ダクト側第2分割体36B及びレゾネータ側第2分割体36Cの壁部が、爪部41の受け部40に対する掛け止め時に内側に変形されるのが拘束されて、対向する分割体36A,36B,36Cの突条38と受け溝39との間で位置ずれが生じないようになっている。
【0018】
図5及び図6に示すように、前記吸気ダクト31の連結口34の近傍とレゾネータ32の導入ダクト35近傍との間の連結壁33上に隣接して設けられた被係合部としての受け部40間には、変形助長部を構成する薄肉部44が形成されている。そして、連結壁33上の各受け部40に対して爪部41が掛け止めされるとき、この薄肉部44によって各受け部40の変形も助長される。
【0019】
また、図11に示すように、前記ダクト側第2分割体36B及びレゾネータ側第2分割体36Cに設けられた複数の爪部41のうちで、レゾネータ32の導入ダクト35近傍の両側に設けられた一対の爪部41Aの幅W1が、その他の爪部41Bの幅W2よりも狭くなるように形成されて、それらの爪部41Aが他の爪部41Bよりも弾性変形し易くなるように構成されている。
【0020】
図11〜図13に示すように、前記吸気ダクト31の連結口34の周壁には、複数のスリット48が周方向に間隔をおくとともに、軸線方向へ平行に延びるように形成されている。連結口34の一対の平行部34bの各一対のスリット48間における板状部34cの先端には、爪部よりなる一対の抜け止め部49が突出形成されている。そして、吸気ダクト31の連結口34がハウジング22のエア入口24に挿入された状態で、この抜け止め部49がエア入口24の内端周縁に係合されることにより、連結口34がエア入口24に対して抜け止め保持される。
【0021】
図11〜図13に示すように、前記レゾネータ32の導入ダクト35の外周面には、突条よりなる複数のガタつき防止部50が周方向に間隔をおくとともに、軸線方向へ平行に延びるように突出形成されている。これらのガタつき防止部50はその高さが導入ダクト35の基端側に向かって高くなるクサビ形状をなしている。そして、レゾネータ32の導入ダクト35がハウジング22の開口25に嵌合された状態で、これらのガタつき防止部50が開口25の内周面に圧接されることにより、導入ダクト35と開口25との間のガタつきが防止される。このガタつき防止部50の角張った頂点は、開口25の長さ方向(図11における上下方向)の中間部に位置している。
【0022】
図11〜図13に示すように、前記吸気ダクト31の連結口34の周壁上部の円弧部には、平面部51が形成されている。図3及び図4に示すように、ハウジング22のエア入口24の周壁上部の円弧部には、連結口34の平面部51に対応する平面部52が形成されている。連結口34の外周面には、突条よりなる複数の係合片53が各スリット48の両側縁に沿って延びるように突出形成されている。これらの係合片53はその高さが連結口34の基端側に向かって高くなるクサビ形状をなしている。
【0023】
そして、吸気ダクト31の連結口34がハウジング22のエア入口24に嵌合された状態で、両平面部51,52が互いに接合されることにより、図12に示すように、導入ダクト35の軸心Cを中心とした連結口34の回動が規制されて、その平面部51,52の接合箇所で回動荷重が受け止められるようになっている。また、連結口34がエア入口24に嵌合された状態で、各係合片53がエア入口24の内周面に圧接されて、連結口34とエア入口24との間のガタつきが防止されるようになっている。
【0024】
次に、以上のように構成されたエアクリーナ装置の組み付け方法を説明する。
まず、図4に示す第1及び第2分割体36A〜36Cが射出成形によって成形される。そして、第1分割体36Aに対して第2分割体36B,36Cがそれぞれ組み付けられる。すなわち、図7,図8及び図10(a)(b)に示すように、爪部41が内側に弾性変形しながら受け部40の内側の被掛け止め部40aに掛止され、受け溝39が突条38に嵌められる、このとき、図10(c)に示すように、突出片43が第1分割体36Aの外側面に当接される。この当接により、図10(b)に示すように、爪部41が内側に変形されても、第2,レゾネータ側第2分割体36B,36Cの縁部の変形が拘束される。従って、対向する第1,第2分割体36A,36B,36Cの突条38と受け溝39との間で位置ずれを生じるおそれが防止され、第1分割体36Aと第2分割体36B,36Cとが適切に結合される。
【0025】
また、図5に示すように、前記吸気ダクト31の連結口34の近傍とレゾネータ32の導入ダクト35の近傍との間の連結壁33上に隣接して設けられた受け部40間には、薄肉部44が形成されている。そして、連結壁33上の各受け部40に対して爪部41が弾性変形しながら係合されるとき、導入ダクト35,連結口34や連結壁33の存在により受け部40の周囲の剛性が高くても、この薄肉部44によって各受け部40の変形が助長され、爪部41に亀裂や破損を生じるおそれが防止される。
【0026】
さらに、図11に示すように、レゾネータ32の導入ダクト35近傍の両側に設けられた一対の爪部41Aの幅W1が、その他の爪部41Bの幅W2よりも狭くなるように形成されている。このため、導入ダクト35近傍の爪部41Aが弾性変形しながら受け部40に係合されるとき、導入ダクト35,連結口34や連結壁33の存在により爪部41の周囲の剛性が高く、爪部41Aやその周囲が変形され難い場合でも、爪部41Aが容易に弾性変形して受け部40に係合される。
【0027】
以上のようにして組み付けられた吸気ダクト装置30は、エアクリーナのハウジング22に組み付けられる。すなわち、図11に示すように、吸気ダクト31の連結口34がハウジング22のエア入口24に嵌合されるとともに、レゾネータ3の導入ダクト35がハウジング22の開口25に嵌合される。
【0028】
この状態において、連結口34の先端の抜け止め部49がエア入口24の内端周縁に係合されることにより、連結口34がエア入口24に対して抜け止め保持される。また、連結口34の外周面の係合片53がエア入口24の内周面に圧接されて、連結口34のガタつきが防止される。
【0029】
一方、この状態においては、レゾネータ32の導入ダクト35のガタつき防止部50が開口25の内周面に食い込むようにして圧接されることにより、導入ダクト35と開口25との間のガタつきが防止されるとともに、開口25からの導入ダクト35が抜け出ることが防止される。
【0030】
そして、この状態においては、連結口34及びエア入口24の両平面部51,52が互いに平面接触で接合されている。このため、図12に示すように、その平面部51,52の接合箇所で回動荷重が受け止められ、導入ダクト35の軸心を中心とした連結口34の部分の回動が規制される。
【0031】
次に、以上のように組み付けられたエアクリーナ装置の作用を説明する。
この実施形態のエアクリーナ装置21は、そのエア出口26がエンジンの連結口に接続された状態で、エンジンルーム内に搭載される。この状態でエンジンが稼働されると、外気が吸気ダクト31及びエア入口24を介してハウジング22内に取り込まれる。そして、そのエアはフィルタ23によって濾過されて、エア出口26を介してエンジンに供給される。
【0032】
また、エンジンからの吸気音がハウジング22内に導入されるが、その吸気音のうち、特定領域の周波数の吸気音は導入ダクト35からレゾネータ32内に導入されて、共鳴作用によって打ち消される。従って、吸気ダクト31の先端開口からは、特定周波数領域の騒音を除去した静謐な、あるいは音色を調整した吸気音が放散される。
【0033】
そして、エンジン稼働時にはエンジンの振動や車両走行にともなう振動がこのエアクリーナ装置に加えられるが、第1分割体36Aと第2及びレゾネータ側第2分割体36B,36Cとは突条38と受け溝39とが適切に嵌合し合っている。また、ハウジング22と吸気ダクト装置30とはエア入口24と連結口34との間及び開口25と導入ダクト35との間においてガタつきや相対移動が防止されている。従って、エアクリーナ装置21が共振したり、騒音を発生したりすることを防止することが可能になる。
【0034】
この実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) 吸気ダクト31の連結口34には、エア入口24からの抜け止め機能を果たすための抜け止め部49が設けられている。導入ダクト35には、開口25との間のガタつきを防止するためのガタつき防止部50が設けられている。このため、相互に一体化された吸気ダクト31及びレゾネータ32の連結口34及び導入ダクト35が、ハウジング22のエア入口24及び開口25に嵌合されると、吸気ダクト31側において抜け止め部49により、連結口34がエア入口24に対して抜け止めされる。それとともに、レゾネータ32側においてガタつき防止部50により、導入ダクト35と開口25との間のガタつきが防止される。よって、一体化された吸気ダクト31及びレゾネータ32の連結口34及び導入ダクト35を、ハウジング22のエア入口24及び開口25に対して、抜け止め状態でガタつきなく連結することができる。しかも、抜け止め部49による抜け止め機能と、ガタつき防止部50によるガタつき防止機能とが、吸気ダクト31の連結口34側と、レゾネータ32の導入ダクト35側とに分担されているため、連結口34及び導入ダクト35の双方にそれぞれ両機能を持たせる場合と比較して、吸気ダクト装置30の構造を簡略化することができる。
【0035】
(2) 吸気ダクト31の連結口34に、その軸線方向に延びる複数のスリット48を形成するとともに、各スリット48によって形成された板状部34cの先端に抜け止め部49が形成されている。このため、基端部をエア入口24に挿入する際に、板状部34cが撓むため、エア入口24に対する連結口34の挿入を小さな力で行なうことができる。
【0036】
(3) 吸気ダクト31の連結口34に、エア入口24の内周面に圧接されるガタつき防止部としての係合部53が形成されているため、この連結口34とエア入口24との間においてもガタつきを防止できる。
【0037】
(4) 導入ダクト35のガタつき防止部50を、導入ダクト35の軸線方向に延びるとともに、頂部が導入ダクト35の基端側に向かって高くなるクサビ形の突条によって構成しているため、ガタつき防止部50が開口25の内周面に食い込む。従って、ガタ付き防止がより確実になるとともに、ガタつき防止部50が導入ダクト35の抜け止め防止作用も発揮する。しかも、ガタつき防止部50の角張った頂点が開口25の長さ方向の中間部に位置していることにより、導入ダクト35は開口25から外方へ抜け出ることが適切に防止される。
【0038】
(5) エア入口24及び連結口34の円弧部の頂部に平面部51,52が形成されているため、導入ダクト35が断面円形をなしていても、連結口34がエア入口24内において連結口34の軸線を中心に回転したり、ガタついたりすることを抑制できる。すなわち、レゾネータ32がその外周部の固定座37において固定されているとともに、開口25及び導入ダクト35が断面円形であるため、吸気ダクト装置30には図12に示す開口25及び導入ダクト35の軸心Cを中心とした矢印方向あるいはその逆方向への回転力が作用する。ここで、開口25及び導入ダクト35に前記平面部51,52が形成されていない場合は、特に、エア入口24と連結口34との間及び開口25と導入ダクト35との間の寸法公差が相殺されることなく、相乗されている場合には、前記回転力によってエア入口24と連結口34との間にすべりが生じて、それらの間に相対回転が生じるおそれがある。しかし、開口25及び導入ダクト35がエア入口24及び連結口34に対して平行部24b,34bの端部側に偏倚された位置にあって平面部51,52と開口25及び導入ダクト35が離れた位置に配置されているため、前記相対回転は抑止される。従って、ガタつきや異音の発生を防止することが可能になる。
【0039】
(6) エア入口24及び連結口34に平行部24b,34bが形成されているため、導入ダクト35のねじれ等に起因するエア入口24に対する連結口34の回転が抑止される。従って、前記と同様にガタつきや異音の発生を防止することが可能になる。
【0040】
(7) ダクト側,レゾネータ側第2分割体36B,36Cの縁部の外側には、第1分割体36Aとの係合によりダクト側,レゾネータ側第2分割体36B,36Cの縁部が内側に変形することを拘束する突出片43が設けられている。従って、各分割体36A〜36Cの対向する縁部に設けられた突条38と受け溝39との間の位置ずれを防止することができて、各分割体36A〜36Cを結合不良が生じることなく容易に組み付けすることができる。
【0041】
(8) 前記第1分割体36Aの外側に爪部41の内側への移動を規制する規制部42が設けられているため、第1分割体36Aとダクト側,レゾネータ側第2分割体36B,36Cとの結合状態において整備作業者等が爪部41を押したとしても、爪部41が受け部40から外れることを防止できる。
【0042】
(9) 前記突出片43の内側面には傾斜面よりなるガイド面43aが形成されているため、突条38と受け溝39との嵌合を手探りであっても容易に行うことができる。
(10) 連結壁33において分割体36A,36B,36Cを結合するための爪部41が係合される受け部40の変形を助長するための変形助長部が連結壁33に設けられている。よって、受け部40に対する爪部41の掛け止めに際して爪部40に無理な荷重が掛かることがなく、爪部41に亀裂や破損を生じるおそれを抑制することができる。そして、前記変形助長部が、連結壁33の薄肉部44により構成されている。このため、変形助長部の構造が簡単であるとともに、連結壁33や導入ダクト35等の存在により、受け部40の周囲が高剛性であっても、受け部40の変形を効果的に助長することができる。
【0043】
(11) レゾネータ32の導入ダクト35近傍の両側に設けられた爪部41Aの幅W1が、その他の爪部41Bの幅W2よりも狭くなるように形成されて、爪部41Aが弾性変形し易くなるように構成されている。このため、導入ダクト35等の存在により、爪部41Aの周囲が高剛性であっても、爪部41Aが変形しやすくなり、受け部40に対する爪部41Aの掛け止めを容易に行なうことができる。
【0044】
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 図14に示すように、前記第1分割体36Aの突条38とダクト側第2分割体36B及びレゾネータ側第2分割体36Cの受け溝39との間の対向面に傾斜面46,47を形成すること。このように構成した場合には、分割体36A〜36Cの結合組み付け時に、傾斜面46,47の案内作用により、突条38と受け溝39とを円滑に係合させることができる。また、分割体36A〜36Cの結合組み付け状態においてそれらに車両振動等が伝達された場合、突条38と受け溝39との傾斜面46,47間で滑りが生じるため、衝突騒音が発生するおそれを抑制することができる。
【0045】
・ 図15に示すように、変形助長部として、前記実施形態の薄肉部44に代えて、連結壁33にスリット45を形成すること。
・ エア入口24と連結口35との間の平面部51,52を2箇所の円弧部の頂部にそれぞれ設けること。
【0046】
・ エア入口24及び連結口35を一対の平行部24b,34bが形成されていない形状,例えば、楕円形状あるいはほぼ楕円形状に形成したり、あるいは平行部24b,34bを有する隅丸長四角形状にしたりすること。エア入口24及び連結口35が楕円形状及びほぼ楕円形状の場合は、その長径部の端部の位置に平面部51,52が形成される。
【符号の説明】
【0047】
21…エアクリーナ装置、22…ハウジング、24…エア入口、25…開口、30…吸気ダクト装置、31…吸気ダクト、32…レゾネータ、33…連結壁、34…連結口、36A…第1分割体、36B…ダクト側第2分割体、36C…レゾネータ側第2分割体、40…被係合部としての受け部、41…爪部、44…変形助長部としての変形助長部を構成する薄肉部、47…変形助長部を構成するスリット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングのエア入口に連結される吸気ダクトと、ハウジングの開口に連結される連結口を有するレゾネータとを備え、前記吸気ダクトとレゾネータとを連結壁を介して隣接状態で一体化し、前記吸気ダクト及びレゾネータをそれぞれ2分割するとともに、それらの分割体を爪部と被係合部との係合により結合するように構成した吸気ダクト装置において、
前記被係合部を前記連結壁に設けるとともに、その連結壁には被係合部の変形を助長するための変形助長部を設けたことを特徴とする吸気ダクト装置。
【請求項2】
前記変形助長部は、連結壁の薄肉部により構成されたことを特徴とする請求項1に記載の吸気ダクト装置。
【請求項1】
ハウジングのエア入口に連結される吸気ダクトと、ハウジングの開口に連結される連結口を有するレゾネータとを備え、前記吸気ダクトとレゾネータとを連結壁を介して隣接状態で一体化し、前記吸気ダクト及びレゾネータをそれぞれ2分割するとともに、それらの分割体を爪部と被係合部との係合により結合するように構成した吸気ダクト装置において、
前記被係合部を前記連結壁に設けるとともに、その連結壁には被係合部の変形を助長するための変形助長部を設けたことを特徴とする吸気ダクト装置。
【請求項2】
前記変形助長部は、連結壁の薄肉部により構成されたことを特徴とする請求項1に記載の吸気ダクト装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−113091(P2013−113091A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256733(P2011−256733)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
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