説明

吸気系配管冷却装置と、吸気系配管冷却システムと、吸気系配管冷却システムを備えたエンジンと、吸気系配管冷却システムを備えたエンジンを搭載した車輌。

【課題】 過給機付エンジンへの吸気温度を、燃焼効率を良くする温度で供給できるようにする吸気系の冷却装置を開発すること。
【解決手段】 自動車用過給機付エンジン10を設け、エンジン10の上方又はラジエータ14の前方にインタークーラー本体1が配置されている車輌において、車の前方に新規に取付けた空気取込み口11から走行ラム圧風19を取り入れて中継ダクト12によってラジエータ14より後方に位置する吸気系配管に取付けた冷却カバー13へ導き、この冷却カバー13でインタークーラー本体1の出口チャンバー2からスロットルバルブ4手前の第2インテークホース3まで、または冷却カバー延長部13Aとして次のスロットルバルブ4とサージタンク8を含む間を包み込む形状の構造によって、走行ラム圧風19を取り入れ当て流して吸気を冷却するように構成していることを特徴とする吸気系配管冷却装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インタークーラー周辺の吸気系配管部を冷却するための冷却装置や吸気系配管冷却システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
過給機付きエンジンは、過給機コンプレッサーによって吸気を加圧させてエンジンの出力を上げるために取付けられているが、吸気は同時に過給機コンプレッサーによって加熱されて高温になってしまいエンジンに供給するには高温すぎるために、吸気系配管にインタークーラーを装着し、これに走行ラム圧風を当て吸気を冷却してエンジンに供給するようにしている。
尚、走行ラム圧風とは、車両が走行時に空気取り入れ口から取り込まれた風のことを表している。
【0003】
一般的に、外気温度が約20℃で過給機からインタークーラー本体へ入る入口の吸気温度は、エンジンの過酷使用時は最高130℃以上となり、通常使用時の温度は70℃〜90℃前後を推移しているのに対して、前方からの走行ラム圧風を受けてインタークーラーで冷却された出口部の最高温度は約60℃以下になり通常温度は40℃〜50℃程度に冷却されていると説明されている。
【0004】
過給機付きエンジンにインタークーラーを装着する場合、従来の設置場所はエンジンに対して大きく分けて2つのタイプがある。一つは、エンジンの前方にラジエータがあり、そのラジエータの前部にインタークーラーが配置されているタイプ(以下、ラジエータの前方配置タイプ)であり、もう一つは、エンジンの前方にラジエータがあり、そのエンジンの上方にインタークーラーが配置されているタイプ(以下、ラジエータの後方配置タイプ)である。
【0005】
ラジエータの前方配置タイプでは、過給機付エンジンの前方にラジエータがあり、そのラジエータの前部にインタークーラーが配置されていて、吸気はエアクリーナーを通り過給機コンプレッサーで加圧され、同時に加熱されて第1インテークホースによりラジエータの前方に配置しているインタークーラーに入り、車輌の前方から取り入れた走行ラム圧風によって冷却されている。
【0006】
また、ラジエータの後方配置タイプでは、過給機付きエンジンの前方にはラジエータがあり、そのエンジンの上方にインタークーラーを配置していて、吸気はエアクリーナーを通り過給機コンプレッサーで加圧され、同時に加熱されて第1インテークホースによりエンジン上方にあるインタークーラーに入り、この上方にあるボンネットエアーインテークから取り入れた走行ラム圧風によって冷却されている。
【0007】
しかし、ラジエータの前方配置タイプでは、インタークーラー本体から次の第2インテークホースによってラジエータの横を通りエンジンルーム内に入りエンジンの横近傍を通り抜けて後方奥にあるスロットルバルブまでホースが続いていて、この間にはラジエータ及びエンジンから出る約80℃の熱源に近接しているため何時もこの第2インテークホースは加熱されていて約80℃近くの高温になっている。その結果、インタークーラー本体で冷却された吸気はここで再び加熱されて65℃程度以上の高温になってエンジンへ供給されてしまう。
【0008】
また、ラジエータの後方配置タイプでは、ラジエータ及びエンジンから出る約80℃の熱源により、エンジンの上方に有るインタークーラーをはじめ全ての吸気系配管は何時も加熱されていて、上方に有るボンネットエアーインテークから取り入れた走行ラム圧風によってインタークーラー本体のコア部分は車の走行により徐々に冷却されるが、以降の出口チャンバーや第2インテークホースは冷却されず熱源に近接しているため何時も加熱された状態で約80℃近くの高温になっている。その結果、インタークーラー本体で冷却された吸気はここで再び加熱されて65℃程度以上の高温になってエンジンへ供給されてしまう。
【0009】
さらに、運転中の低速時や停車時には、走行ラム圧風が弱い、又は無いためにインタークーラーの冷却能力は減少してしまい、ラジエータとエンジンから出る約80℃の熱源によって吸気系配管の全てが直ぐに加熱されてしまい約70℃以上の高温になっている。その結果、吸気は冷却されずに高温のままエンジンへ供給されている。
【0010】
また、停車中から走行を始めた場合は、既にラジエータとエンジンの熱源によって吸気系配管の全てが加熱されて80℃近い高温になっていて、吸気は走行ラム圧風によってインタークーラー本体のコア部分では冷却を始めるが、それ以降の出口チャンバーや第2インテークホースの配管は、一旦高温になってしまうと冷却できない状態が続き中高速走行を続けることで冷却されて徐々にではあるが温度は少し低下してくるが、高温状態が長時間続くことになる。
【0011】
そこで、エンジンの吸気温度を積極的に下げる工夫をした冷却装置として実用新案の第2563482号に記載されている「インタークーラー新気導入構造」がある。この実用新案の第2563482号に記載している過給機付きエンジンでは、図9、図10に図示しているように車体の中央部または後部にエンジンを設置している自動車で、吸気系に介在する空冷式インタークーラー101はエンジン110の近傍に有り、吸気系配管経路は、エアクリーナー105から過給機コンプレッサー106、第1インテークホース107を介してインタークーラー101に供給され、さらに第2インテークホース103、スロットルバルブ104、インテークマニホールド109を介してエンジン110に供給されている。
【0012】
インタークーラー101を走行ラム圧119で冷却するために、自動車フロントバンパー111に設けた新気取入れ口112に連絡するサイドメンバー113からなる新気導入経路120を通り、新規に設けた新気導入ダクト114によってインタークーラー101全体をカバーした構造で取付けられている。
【0013】
さらに、このインタークーラー101の後面には電気式モーターファン115を取付けてエンジンコントロール信号による制御によって、インタークーラー101の冷却を行うことを特徴とするインタークーラー新気導入構造が提出されている。
【0014】
しかし、高温のエンジンルーム内に集約されている吸気系配管に於いて、吸気はインタークーラー本体101部分で電気式モーターファン115によって積極的に冷却されたとしてもインタークーラー本体101冷却コア部の次にある出口チャンバー102や、ここから配管されている少々長い第2インテークホース103はエンジン110に近接しているために冷却されることは無く、常に約80℃近い熱を受けて加熱されている。そのため吸気は再びこの部分で低く見積っても65℃以上の高温になって、スロットルバルブ104を介してエンジン110に供給されていることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】実用新案登録第2563482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
いずれのインタークーラーの構成配置においても、インタークーラーによって吸気は冷却されているが、その後ラジエータやエンジンの熱によって吸気系配管が加熱されているため、吸気は再び高温になってしまい空気密度が低くなった状態でエンジンに供給されている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
そこで、そのような課題を解決するために本発明の吸気系配管冷却装置は、自動車用過給機付エンジンを設け、エンジンの上方又はラジエータの前方にインタークーラー本体が配置されている車輌であって、吸気はエアクリーナーから過給機コンプレッサー、第1インテークホース、入口チャンバーを介してインタークーラー本体に供給され、さらにインタークーラー本体から出口チャンバー、第2インテークホース、スロットルバルブ、インテークマニホールドを介してエンジンに供給される吸気系配管において、空気取込み口と、冷却カバーと、空気取込み口と冷却カバーとを接続する中継ダクトからなり、空気取込み口は車の前方から冷風を取り入れられる場所に取付け、冷却カバーはインタークーラーの出口チャンバーからスロットルバルブ手前の第2インテークホースまで、または冷却カバー延長部として次のスロットルバルブとサージタンクを含む間で、ラジエータより後方に位置する吸気系配管を包み込むように構成していることを特徴としていて、前記の空気取込み口が、ラジエータの上方、横かその前方、またはボンネットか、ボンネットエアーインテークの何れかにある。
【0018】
また、本発明の吸気系配管冷却システムは、自動車用過給機付エンジンを設け、エンジンの上方又はラジエータの前方にインタークーラー本体が配置されている車輛であって、吸気はエアクリーナーから過給機コンプレッサー、第1インテークホース、入口チャンバーを介してインタークーラー本体に供給され、さらにインタークーラー本体から出口チャンバー、第2インテークホース、スロットルバルブ、インテークマニホールドを介してエンジンに供給される吸気系配管において、空気取込み口と、冷却カバーと、空気取込み口と冷却カバーとを接続する中継ダクトからなり、空気取込み口は車の前方から冷風を取り入れられる場所に取付け、冷却カバーはインタークーラーの出口チャンバーからスロットルバルブ手前の第2インテークホースまで、または冷却カバー延長部として次のスロットルバルブとサージタンクを含む間で、ラジエータより後方に位置する吸気系配管を包み込むように構成した冷却装置を備えたことを特徴としていて、前記の空気取込み口が、ラジエータの上方、横かその前方、またはボンネットか、ボンネットエアーインテークの何れかにある。
【0019】
また、エンジンには吸気系配管冷却システムを備えたことを特徴としたこと、及び車輌には吸気系配管冷却システムを備えたエンジンを搭載したことを特徴とする。
【0020】
本発明の冷却装置は、空気取込み口と、冷却カバーと、空気取込み口と冷却カバーを接続する中継ダクトからなっていて、車の前方に取付けた空気取込み口から新規に取り入れた走行ラム圧風を中継ダクトによってラジエータより後方に位置する冷却カバーへ導き、ラジエータの後方配置タイプでは出口チャンバーと第2インテークホースを、又はラジエータの前方配置タイプでは第2インテークホースを各々包み込む形状に構成してあり、これらの部分に走行ラム圧風を当て流すことで冷却する構造になっている。
【0021】
その結果、高温の吸気はインタークーラーで冷却され、そのままの温度で後方に続く吸気系配管の出口チャンバーや第2インテークホースによって再び加熱される事は無く40℃程度以下でスロットルバルブに入りインテークマニホールドを介してエンジンに供給される。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、常に冷却された空気密度の高い吸気をエンジンへ供給できるため、充填効率が向上し低速回転からトルクが上がり回転上昇反応が良くなり出力と燃費が向上する。
【0023】
本発明により、停車または低速走行時の走行ラム圧風が無い、又は少ない状態に於いても吸気配管に取り付けた冷却カバーによってエンジン及びラジエータからの熱を、遮熱効果によって出口チャンバー及び第2インテークホースを加熱させないで低い温度を維持し、温度が上がってきてもこの冷却装置で取り入れた走行ラム圧風で冷却した吸気配管によって、インタークーラー本体で冷却されたままの空気密度の高い吸気をエンジンへ供給できる。
【0024】
本発明により、停車中既にラジエータとエンジンの熱源によって吸気系配管の全てが加熱されて高温になっている状態から走行を始めると、走行ラム圧風によってインタークーラー及び出口チャンバーや第2インテークホースの配管は、各々同時に冷却を早く始めるために、吸気は加熱される事無く低い温度でエンジンへ供給できる。
【0025】
本発明により、夏期高温時の運転中でも出口チャンバー及び第2インテークホース部分を指で触って居られる45℃程度以下の温度に収まり、車が停車して走行ラム圧風が無くても短時間で高温になることは無く、冷却された吸気を常にエンジンへ供給できる。即ち、これは過給機無しエンジンと同等の吸気温度範囲に近づき、過給機付きエンジンであっても吸気温度変化が少なく低温を保って燃焼効率を良くすることが出来る。また、今後ハード面やソフト面から吸気温度コントロールの向上させるための対策が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】後方配置タイプに本発明の吸気系配管冷却装置を取付けた構成図。
【図2】本発明の吸気系配管冷却装置で図1の側面図。
【図3】本発明の吸気系配管冷却装置の分解図。
【図4】前方配置タイプに本発明の吸気系配管冷却装置を取付けた構成図。
【図5】ボンネット前部に空気取込み口を取付けた本発明の吸気系配管冷却装置の構成図。
【図6】本発明の吸気系配管冷却装置で図5の側面図。
【図7】後方配置タイプに本発明の吸気系配管冷却装置で冷却カバー延長部を取付けた構成図。
【図8】本発明の吸気系配管冷却装置で冷却カバー延長部を取付けた図7のエンジン後方から見た側面図。
【図9】従来例の吸気を積極的に下げる構成図。
【図10】従来例のインタークーラー部分の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を図1、図2に示す一実施例によって説明すれば、この自動車はラジエータの後方配置タイプの車両であって、エンジン10の前方にはラジエータ14があり、エンジン10の上方にインタークーラー本体1が設置されている。
【0028】
各部の構成配置は、エンジン10左側に排気系のエキゾーストマニホールド16に過給機タービン17が設置されていて排気管&マフラー18の配管があり、エンジン10の右側には吸気系のスロットルバルブ4、サージタンク8、インテークマニホールド9、そしてエンジン10へ供給される吸気系配管がある。
【0029】
吸気系配管は、エンジン10の左側に有るエアクリーナー5から、過給機コンプレッサー6、第1インテークホース7を通り、エンジン10の上方にある入口チャンバー21からインタークーラー本体1に入り、前方の出口チャンバー2より右側へ第2インテークホース3を介して、前記のスロットルバルブ4に繋がっている。
【0030】
吸気の流れは、エンジン10の左に有るエアクリーナー5から吸気を取り入れて過給機コンプレッサー6で加圧と加熱されて、第1インテークホース7を通りエンジン10の上方にある入口チャンバー21からインタークーラー本体1に供給され、その上部にあるボンネットエアーインテーク22から取り込んだ走行ラム圧風19を上方からインタークーラー本体1に当て吸気を冷却して、エンジン10の右側へ進む出口チャンバー2から第2インテークホース3を介して、スロットルバルブ4、サージタンク8、インテークマニホールド9、そしてエンジン10に供給されている。
【0031】
本発明の吸気系配管冷却装置を図1、図2で説明すれば、空気取込み口11と、中継ダクト12と、冷却カバー13からなり、空気取込み口11はラジエータ14左横のラジエータ取付け板の穴部分に位置を合わせて固定し、エンジン10の上に有る出口チャンバー2の方向へ曲げた中継ダクト12を接続している。次に、冷却カバー13は出口チャンバー2と第2インテークホース3を包みスロットルバルブ4の手前までとして可動スライド継ぎ28で中継ダクト2に繋いでいる。また、フロントグリル24とラジエータ取付け板との間に仕切り板23と走行風ガイド29を付けている。
【0032】
本発明の吸気系配管冷却装置の取付け部品を図3に示す一実施例によって説明すれば、空気取込み口11と、中継ダクト12と、冷却カバー13からなり、各々パイプ形状をした部品で構成していて、塩ビ薄肉厚パイプとアルミ板等を利用している。
【0033】
はじめに、空気取込み口11はφ75−φ60の段落とし塩ビパイプを利用し、φ60側は変形させないで、φ75側には切欠きを入れて加熱成型加工により取付けスペースに合わせた形状に口を広げて漏斗型に仕上げている。
【0034】
中継ダクト12は、φ60の45°曲げ塩ビパイプを使用して空気取込み口11と冷却カバー13とを繋ぐために、各々φ60塩ビパイプの長さを調整し空気取込み口11と中継ダクト12を接続して一体に組立ている。
【0035】
空気取込み口11は、ラジエータ14横のラジエータ取付け板の隙間穴部分に合わせて配置して、空気取込み口11の前部は2ヶ所、中継ダクト12側の後部はインタークーラーカバー27に穴を1ヶ所明けて、各々結束バンド25にて取付けている。
【0036】
出口チャンバー2に、2本のL型アルミ板を冷却フィン26として接着しておいた。
【0037】
冷却カバー13は、入口側に中継ダクト12と接続するため少し大きい円筒でピストン構造の可動スライド継ぎ部28を構成して、出口チャンバー2と第2インテークホース3を一体に包み込むようにアルミ薄板で半円筒形のC型に曲げて、出口チャンバー2の外面全体に走行ラム圧風19が通る隙間を出来るだけ均等に造り、第2インテークホース3のL型を含んでスロットルバルブ4手前の冷却風出口20部分までを別のアルミ薄板で前と同様のC型に包み込む形状にして接続している。
【0038】
次に、上記の、出口チャンバー2と第2インテークホース3部分の半円筒形に加工したC型カバーが冷却カバー13の内張りとなって、別途アルミ薄板で部分的に隙間を明けて2重に包む形状の外側を取り付けることによってこの冷却カバー13が完成し、これの取付け穴を上部に2ヶ所、下部は固定用ツメを付けている。
【0039】
冷却カバー13の取付けは、下部は固定用ツメで既存の部品の隙間に差し込んで引っ掛けて留めて、上部の取付け穴2ヶ所でインタークーラーカバー27にも2ヶ所の穴を明けて各々ネジで取付けている。
【0040】
また、空気取込み口11前方のラジエータ14とフロントグリル24の空間にラジエータ14側と空気取込み口11側への走行ラム圧風19に対してアルミ板で仕切り板23を支柱に結束バンド25により4ヶ所で取付けた。さらに反対面に走行ラム圧風19を少しでも多く集める走行風ガイド29として、t5のスポンジ板を適当に半漏斗状に曲げて部分的に接着貼り付けして固定している。
【実施例】
【0041】
本発明の吸気系配管冷却装置を図4に示す他の実施例によって説明すれば、この自動車はラジエータの前方配置タイプの車両であって、エンジン10の前方にはラジエータ14が配置されており、このラジエータ14の前方にインタークーラー本体1が設置されている。
【0042】
各部の構成配置は、エンジン10前方には排気系のエキゾーストマニホールド16にターボチャージャーが配置されていて、過給機タービン17から右側へ排気管&マフラー18の配管が並び、エンジン10の後方にはスロットルバルブ4、サージタンク8、インテークマニホールド9そしてエンジン10へ供給される吸気系配管がある。
【0043】
エンジン10の左側にはエアクリーナー5、過給機コンプレッサー6から第1インテークホース7を通りのラジエータ14の前方にある入口チャンバー21へ、そしてインタークーラー本体1に入り、左側の出口チャンバー2から第2インテークホース3を介してラジエータ14の後ろに進みエンジン10の左横を通り、前記のエンジン10後方のスロットルバルブ4に繋がってエンジン10に配管されている。
【0044】
吸気の流れは、エンジン10の左前に有るエアクリーナー5から吸気を取り入れて過給機コンプレッサー6で加圧と過熱されて、第1インテークホース7を通りラジエータ14の前方にある入口チャンバー21よりインタークーラー本体1に供給され、前方からの走行ラム圧風19によってインタークーラー本体1で吸気は冷却されて、出口チャンバー2から第2インテークホース3によって、エンジンルームへの複合カーブによりエンジン10の左側を通り、後方のスロットルバルブ4を介してサージタンク8、インテークマニホールド9そしてエンジン10に供給されている。
【0045】
図4に示す本発明の吸気系配管冷却装置は、空気取込み口11と、中継ダクト12と、冷却カバー13からなり、各々パイプ形状の部品からなっていて、塩ビ薄肉厚パイプ、アルミフレキシブルパイプ、アルミ薄板等を利用して製作している。
空気取込み口11は、ラジエータ14前方のインタークーラー本体1の出口チャンバー2横に固定し、複合カーブしている第2インテークホース3を中継ダクト12で包み、第2インテークホース3後部のスロットルバルブ4手前までを冷却カバー13で包み込んだ構成にして、これ等を繋いで取付けている。
【0046】
図4に示す本発明の吸気系配管冷却装置の取付について説明すると、はじめに、空気取込み口11をφ150−φ100塩ビの段落としを利用して、φ100側は中継ダクト12への繋ぎ用としてφ100塩ビパイプを約40mm出して接着しておき、φ150側の側面は出口チャンバー2の形状に合わせて切欠きと穴をあけて第2インテークホース3の配管が通るように加熱成型加工で出来るだけ大きな漏斗形にしている。
【0047】
中継ダクト12は、アルミφ100フレキシブルパイプで複合カーブしている第2インテークホース3を包み込むが、まず第2インテークホース3の配管を一旦外してコイル状に巻いた針金30を第2インテークホース3に螺旋状に巻き付けておき、アルミのフレキシブルパイプを被せて行き冷却風の通路を作り、前に加工した空気取込み口11のφ100塩ビパイプを繋いでジュビリバンドで縛り、取付位置を決めて結束バンド25でフロントグリル24に取付けて、一旦外した第2インテークホース3を元にもどしている。
【0048】
冷却カバー13は、第2インテークホース3の前部、及び後部を中継ダクト12と同様にコイル状に巻いた針金30を巻き付けた上に、上下2枚セットの半円筒形板で包み、中継ダクト12に繋いでジュビリバンドで縛り、直線部も同様にコイル状に巻いた針金30を巻き付けてアルミ薄板を半円筒に加工した上下2枚セットの片面を曲げ合わせて繋いで片側はネジとナットで固定している。また、第2インテークホース3の取付け固定部分は冷却カバー13に切欠き穴を加工して、要所をジュビリバンドで縛り固定している。
【0049】
次に、本発明の吸気系配管冷却システムをラジエータの後方配置タイプに取付けた時と未装着時の走行テスト結果の一例では、温度測定部を車のフロントナンバープレート部分をA点(以下、A点)とし、出口チャンバー2部分をB点(以下、B点)として以降温度確認を行った。
【0050】
当日気温31度の夏季にエンジン冷間時より約10分間暖気してからA点とB点の温度を比較したが、両方共にほぼ同温の30℃で差は無かった。
【0051】
次に、通常走行からターボを利かしたアクセル、ブレーキの繰り返しを約15分間走行した後にB点の出口チャンバー2部分は45℃程度であった。本発明の冷却システム未装着時は60℃程度になっていた。
【0052】
引き続き3分ほどアイドリング状態で停車していると冷却カバー13自体は触っていられない70℃以上に熱くなってきたが、B点は徐々に昇温し50℃程度に昇温してきた。
【0053】
それから、引き続きアイドリング状態で停車約5分経過後にはB点の出口チャンバー2部分も触っていられないほどの65℃以上の温度に昇温してきた。冷却カバー13で遮熱され遅れて昇温していることが確認できた。また、当装置に冷却ファンを取付けて停車時に冷却カバー13へ送風すればこの昇温はもっと抑えられただろう。
【0054】
続いて、B点が熱くなった状態から中速度の40〜60Km/hで約1,8Km走りB点の出口チャンバー2部分を確認すると45℃程度の温度にまで下がっている。本発明の冷却システムが無い場合では、3〜4Km走ってB点を確認しても温度低下は感じられなく熱くて触れない状態の70℃程度であった。
【0055】
したがって、インタークーラー本体1から後の出口チャンバー2と第2インテークホース3部分は一度加熱してしまうと長時間温度が下がらないのが未装着時であったが、本発明の冷却システムを設置した結果、吸気の昇温を抑えて昇温しても早く温度を下げる改善が確認できた。
【0056】
次に、冬季のテストでは、B点の出口チャンバー2の温度は何時もA点のフロントナンバープレートと同程度の温度で熱くなることは無く、走行後5分以上停車しているとB点は少し暖かい25℃程度になるが、走り始めるとすぐに冷えてA点と同程度の温度になった。
【0057】
過給機付きエンジンでは安定した吸気の冷却が重要であり、特に気温の高い夏季には本発明の吸気系配管冷却システムによって良い燃焼効果が発揮され、中低速回転からストレス無しに何時でも気持よく吹け上がり、高温対策のとれた高品位レベルのターボ付きエンジンとなり燃費も良くなった。
また、一般的な別の例になるが2Lクラスの過給機付きエンジンで、インタークーラーで冷却された出口側の吸気温度を以前より10℃下げたことでトルクが上がり、出力が約10馬力以上アップしたと説明されていたように、吸気を冷却することでエンジン出力の効率が向上していることに注目したい。
【0058】
なお、冷却カバーへの冷却は走行ラム圧風だけで冷却することに加えて、本発明の冷却装置にファンを取付けて走行ラム圧風が弱い時や無い時、または昇温時に動作させることによって、特に夏季高温の停車時、低速走行時等は効果的に温度上昇を抑えることが可能になるだろう。
【0059】
また、空気取込み口11をボンネットエアーインテーク22の部分か、ボンネット31に新設(図5、図6参照)して中継ダクト12を介して冷却カバー13へ繋ぐ方法も有り、エンジンルーム内の配置に合ったレイアウトから空気取込み口11の配置を選択することができる。
【0060】
上記に記載した空気取込み口11以外でも、例えばヘッドライトの下部とかボンネット31の前部と言うように冷却風を取り込める場所であれば何所でもかなわない。
【0061】
また、冷却カバー13はインタークーラー本体1の出口チャンバー2からスロットルバルブ4手前の第2インテークホース3まで、または冷却カバー延長部13Aを次のスロットルバルブ4とサージタンク8を含む間(図7、図8参照)に追加選択することができる。
【0062】
上記に記載している冷却カバー延長部13Aを出口チャンバー2からサージタンク8までを含む間に延長して取付ける場合、冷却風出口20はインテークマニホールド9の部分にすることで、より長い吸気系配管を冷却することができてエンジン10に吸気される直前まで冷却することができる。
ただし、吸気系配管冷却システムの配管長が長くなるので走行ラム圧風19を取り入れる空気取込み口11から冷却風出口20まで、システム全体の冷却風の流れを考慮した設計が効果の鍵(ノウハウ)になる。
【符号の説明】
【0063】
1・・・・インタークーラー本体
2・・・・出口チャンバー
3・・・・第2インテークホース
4・・・・スロットルバルブ
5・・・・エアクリーナー
6・・・・過給機コンプレッサー
7・・・・第1インテークホース
8・・・・サージタンク
9・・・・インテークマニホールド
10・・・エンジン
11・・・空気取込み口
12・・・中継ダクト
13・・・冷却カバー
13A・・冷却カバー延長部
14・・・ラジエータ
15・・・ラジエータファン
16・・・エキゾーストマニホールド
17・・・過給機タービン
18・・・排気管&マフラー
19・・・走行ラム圧風
20・・・冷却風出口
21・・・入口チャンバー
22・・・ボンネットエアーインテーク
23・・・仕切り板
24・・・フロントグリル
25・・・結束バンド
26・・・冷却フィン
27・・・インタークーラーカバー
28・・・スライド式繋ぎ部
29・・・走行風ガイド
30・・・コイル状に巻いた針金
31・・・ボンネット
101・・インタークーラー本体
102・・出口チャンバー
103・・第2インテークホース
104・・スロットルバルブ
105・・エアクリーナー
106・・過給機コンプレッサー
107・・第1インテークホース
108・・サージタンク
109・・インテークマニホールド
110・・エンジン
111・・フロントバンパー
112・・新気取入れ口
113・・サイドメンバー
114・・新気導入ダクト
115・・モーターファン
116・・エキゾーストマニホールド
117・・過給機タービン
118・・排気管&マフラー
119・・走行ラム圧
120・・新気導入経路
121・・入口チャンバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用過給機付エンジンを設け、エンジンの上方又はラジエータの前方にインタークーラー本体が配置されている車輌であって、吸気はエアクリーナーから過給機コンプレッサー、第1インテークホース、入口チャンバーを介してインタークーラー本体に供給され、さらにインタークーラー本体から出口チャンバー、第2インテークホース、スロットルバルブ、インテークマニホールドを介してエンジンに供給される吸気系配管において、空気取込み口と、冷却カバーと、空気取込み口と冷却カバーとを接続する中継ダクトからなり、空気取込み口は車の前方から冷風を取り入れられる場所に取付け、冷却カバーはインタークーラーの出口チャンバーからスロットルバルブ手前の第2インテークホースまで、または冷却カバー延長部として次のスロットルバルブとサージタンクを含む間で、ラジエータより後方に位置する吸気系配管を包み込むように構成させていることを特徴とする吸気系配管冷却装置。
【請求項2】
前記の空気取込み口が、ラジエータの上方、横かその前方、またはボンネットか、ボンネットエアーインテークの何れかにあることを特徴とする請求項1に記載の吸気系配管冷却装置。
【請求項3】
自動車用過給機付エンジンを設け、エンジンの上方又はラジエータの前方にインタークーラー本体が配置されている車輌であって、吸気はエアクリーナーから過給機コンプレッサー、第1インテークホース、入口チャンバーを介してインタークーラー本体に供給され、さらにインタークーラー本体から出口チャンバー、第2インテークホース、スロットルバルブ、インテークマニホールドを介してエンジンに供給される吸気系配管において、空気取込み口と、冷却カバーと、空気取込み口と冷却カバーとを接続する中継ダクトからなり、空気取込み口は車の前方から冷風を取り入れられる場所に取付け、冷却カバーはインタークーラーの出口チャンバーからスロットルバルブ手前の第2インテークホースまで、または冷却カバー延長部として次のスロットルバルブとサージタンクを含む間で、ラジエータより後方に位置する吸気系配管を包み込むように構成した冷却装置を備えたことを特徴とする吸気系配管冷却システム。
【請求項4】
前記の空気取込み口が、ラジエータの上方、横かその前方、またはボンネットか、ボンネットエアーインテークの何れかにあることを特徴とする請求項3に記載の吸気系配管冷却システム。
【請求項5】
請求項3〜4に記載された吸気系配管冷却システムを備えたことを特徴とするエンジン。
【請求項6】
請求項5に記載する吸気系配管冷却システムを備えたエンジンを搭載したことを特徴とする車輌。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−149633(P2012−149633A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168520(P2011−168520)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(710014627)
【Fターム(参考)】