説明

吸気装置

【課題】 装置の大型化を招くことなく、十分な吸気抵抗の付与による吸気流量の微量化と、塵埃等による詰まり発生の防止性能の向上との両立を図り得る吸気装置を提供する。
【解決手段】 各小孔721から導入空間74に取り入れられた空気を、フィルタ部に通過させた後、吸気抵抗付与のための吸気抵抗部10に通過させる。吸気抵抗部10を、一端101から他端102までジグザク状に屈曲する屈曲通路104により構成し、吸気を屈曲通路104に通過させることで吸気抵抗を付与して吸気流量をより小さく絞る。オリフィス孔径よりも大きい開口断面にしても、オリフィスよりも大きい吸気抵抗を付与し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば浴槽水中に微細気泡(マイクロバブル)を含んだ噴出流を放出させる気泡発生装置に対し、気泡生成用の空気を外部から吸い込んで供給するための吸気装置に関し、特に微細な気泡を生成する上で必要な吸気量(吸気流量)をコントロールする上で微小径のオリフィス形成に代わる技術であって、かつ不都合発生の要因ともなる塵埃の除去をも効果的に行い得る技術の提供に係る。
【背景技術】
【0002】
従来、ポンプにより浴槽内の浴槽水を循環させながら、エジェクタ効果により空気を混入させて噴出ノズルから気泡混じりの浴槽水を浴槽内に噴出させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このものでは、混入させる空気量調節のために空気取り入れ部を、漏斗状開口により構成された弁座開口と、この弁座開口と対応する所定形状の空気量調節用弁体とで構成し、操作ハンドルの回転操作により空気量調節用弁体を弁座開口に対し昇降(接離)させることで、空気の通過量を変更し得るようにすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−241326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、出願人は、浴槽内から浴槽水を取り出した後に再び浴槽内に戻す際の吐出流に基づく吸気負圧を利用して空気を循環水中に取り込み、これにより、気泡が混合された状態にして浴槽内に吐出させるという気泡発生装置において、気泡の微細化を図る上で吸気流量の微量化が重要な要素と考え、これを実現させるために吸気装置に対しオリフィスを設けて吸気抵抗を付与するようにしている。例えば図12に示すように、外部から取り込まれた空気をフィルタ部201に通過させ、フィルタ部201を通過した後の空気をオリフィス202に通した上で浴槽1側に供給するようにすることで、吸気抵抗を付与して吸気流量が微量になるようにしている。
【0005】
しかしながら、より微細な気泡の生成に向けて、吸気抵抗をより大きくするために前記オリフィス202の孔径をより細径化しようとすると、切削による孔開け加工であっても、合成樹脂成形による孔形成であっても、いずれの形成手段の場合にも限界があり、この結果、一定以上の気泡性能(気泡の微細化)にすることは困難となる。
【0006】
又、オリフィス孔径を細径化すると、空気中に含まれる塵埃等が詰まって閉塞し易くなる傾向となる。これを防止するためには、オリフィス202に流入する前に通過させるフィルタ部(例えばメッシュ構造)201のフィルタ開口をオリフィス孔径よりも小さくする必要がある。
【0007】
しかしながら、形成限界に近いほどに細径化したオリフィス孔径よりもさらにフィルタ開口を小さくすることには、限界がある上に、フィルタ部201にも目詰まりが発生し易くなってしまうことになるというように、オリフィス孔径の細径化による吸気流量の微量化と、塵埃等による詰まり発生防止とは相反する要求性能と言える。そして、このようなフィルタ部201の目詰まりを考慮すると、一部が目詰まりしてもフィルタ機能を維持し得るようにフィルタ部201の全体サイズをより大きくせざるを得なくなり、この結果、装置全体のより大型化を招いてしまうことになる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、装置の大型化を招くことなく、しかも、十分な吸気抵抗の付与による吸気流量の微量化と、塵埃等による詰まり発生の防止性能の向上との両立を図り得る吸気装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明では、気泡発生装置からの吸気負圧を受けて外部から空気を取り込んで前記気泡発生装置に向けて供給するための吸気装置を対象にして次の特定事項を備えることとした。すなわち、外部から取り込まれる空気に含まれる塵埃を捕集するためのフィルタ部と、外部から取り込まれる空気に対し吸気抵抗を付与するための吸気抵抗部と、取り込んだ空気を前記気泡発生装置に向けて供給する吸気通路部とを備えることとし、前記吸気抵抗部として、上流端から下流端にかけてジグザク状に屈曲しつつ延びるように形成された屈曲通路により構成することとした(請求項1)。
【0010】
本発明の場合、下流側である気泡発生装置の側からの吸気負圧の作用に対し、上流側から取り込まれた空気が吸気抵抗部のジグザク状の屈曲通路を上流端から下流端に向けて屈曲を繰り返しながら通過することで前記吸気負圧に対抗する抵抗(吸気抵抗)が付与され、これにより、吸気流量が絞られることになる。このような屈曲通路により構成された吸気抵抗部の場合、ある孔径のオリフィスにより付与される吸気抵抗を、その孔径よりも大きい開口断面を有する屈曲通路により付与可能であるため、オリフィスの形成又は加工の限界サイズを超える程度の吸気抵抗であっても、前記吸気抵抗部であればその形成又は加工が可能となる。このため、従来より大きい吸気抵抗の付与により吸気流量をより小さく絞ることが可能となり、これにより、より微細な気泡を発生させ得ることになる。しかも、オリフィスの場合、孔径をより小さくすればするほど、フィルタとしてより細かい目のものを使用する必要が生じる一方、オリフィスの目詰まり発生の可能性・頻度がより大きくなるのに対し、前記吸気抵抗部であればフィルタ部としてさほど細かいメッシュにしなくても屈曲通路の目詰まり発生のおそれはない。以上より、十分な吸気抵抗の付与による吸気流量の微量化と、塵埃等による詰まり発生の防止性能の向上との両立を図ることが可能となる。しかも、吸気抵抗の付与のためにオリフィスを採用する場合と比べ、予め目詰まり発生を考慮してより大きいサイズのものを付設する必要もなく、フィルタ部をコンパクトなもので構成することができ、装置の大型化を招くこともない。
【0011】
本発明の吸気装置において、前記吸気抵抗部の上流端を前記フィルタ部に連通させる一方、前記吸気抵抗部の下流端を前記吸気通路部に連通させることができる(請求項2)。このようにすることにより、前記フィルタ部を通過した空気に対し前記吸気抵抗部により吸気抵抗が付与され、吸気抵抗が付与された空気が前記吸気通路部を通して前記気泡発生装置に供給されるようにし得る。
【0012】
本発明の吸気装置において、前記吸気抵抗部として、面同士が互いに接合された一対の板状体を備えるものとし、前記屈曲通路として、前記一対の板状体の両接合面の一方又は双方に形成された凹溝により区画形成されたものとすることができる(請求項3)。このようにすることにより、ジグザク状に屈曲する屈曲通路を容易にかつ精度よく形成し得るようになり、吸気抵抗部による所定の吸気抵抗の付与を容易にかつ正確に行うことが可能となる。
【0013】
又、この場合において、前面蓋を含み前記吸気抵抗部及びフィルタ部を内部に収容する外装ハウジングを備えることとし、前記吸気抵抗部を構成する前記板状体の前面が前記ハウジングの前面蓋の後面に相対向するように配設するとともに、前記フィルタ部が前記前面蓋の側から見て前記板状体の後面側位置において前記板状体により隠れるように配設することができる(請求項4)。このようにすることにより、フィルタ部や吸気入口等に対し外部からの水や洗剤等が直接にかかることが防止され、水や洗剤等が直接にかかることに起因するフィルタ機能の悪化を防止することが可能となる。
【0014】
さらに、この場合において、前記吸気通路部として、前記吸気抵抗部を構成する板状体の後面から略水平に後方に延びる本体筒部内に形成することとし、前記本体筒部の外周面に前記吸気抵抗部の屈曲通路の上流端に連通する吸気入口を開口させるとともに、この入口を覆うように前記フィルタ部を被せ、前記吸気抵抗部の板状体及びフィルタ部を、これらの下側に、前記外装ハウジングの内底面との間に下部空間が区画形成されるように配設することができる(請求項5)。このようにすることにより、前記の水や洗剤が外装ハウジング内に万一侵入したとしても、それらは下部空間に落下して溜まり、それらによるフィルタ部等の汚損発生を防止することが可能となる。
【0015】
又、本発明の吸気装置において、前記吸気抵抗部の屈曲通路の開口断面を前記フィルタ部の開口断面よりも大きくなるようにサイズ設定する一方、屈曲通路を角部により屈曲するように形成することができる(請求項6)。この場合、フィルタ部で捕集されないような微小塵埃であっても、屈曲通路を通過する際に屈曲通路を構成する角部に溜まることにより捕集可能となる一方、各角部に溜まったとしても屈曲通路を通過する吸気流量は一定量に維持可能となる。
【0016】
さらに、本発明の吸気装置において、前記気泡発生装置の側からの逆流湯水の通過を阻止するための逆止弁部を備えることとし、前記逆止弁部を前記吸気通路部の下流側位置に配設することができる(請求項7)。このようにすることにより、気泡発生装置からの吸気負圧を受けて吸気を気泡発生装置の側に供給することが可能である一方、気泡発生装置から湯水の逆流に伴う正圧が作用すると、その逆流湯水の通過を確実に阻止して気泡発生装置の側と遮断し得ることになる。
【発明の効果】
【0017】
以上、説明したように、本発明の吸気装置によれば、下流側である気泡発生装置の側からの吸気負圧の作用に対し、上流側から取り込まれた空気が吸気抵抗部のジグザク状の屈曲通路を上流端から下流端に向けて屈曲を繰り返しながら通過することで吸気抵抗を付与することができ、これにより、吸気流量を絞ることができる。このような屈曲通路により構成された吸気抵抗部の場合、ある孔径のオリフィスにより付与される吸気抵抗を、その孔径よりも大きい開口断面を有する屈曲通路により付与可能であるため、オリフィスの形成又は加工の限界サイズを超える程度の吸気抵抗であっても、前記吸気抵抗部であればその形成又は加工を行うことができるようになる。このため、従来より大きい吸気抵抗の付与により吸気流量をより小さく絞ることができるようになり、これにより、より微細な気泡を発生させることができるようになる。しかも、オリフィスの場合、孔径をより小さくすればするほど、フィルタとしてより細かい目のものを使用する必要が生じる一方、オリフィスの目詰まり発生の可能性・頻度がより大きくなるのに対し、前記吸気抵抗部であればフィルタ部としてさほど細かいメッシュにしなくても屈曲通路の目詰まり発生のおそれもない。以上より、十分な吸気抵抗の付与による吸気流量の微量化と、塵埃等による詰まり発生の防止性能の向上との両立を図ることができるようになる。しかも、吸気抵抗の付与のためにオリフィスを採用する場合と比べ、予め目詰まり発生を考慮してより大きいサイズのものを付設する必要もなく、フィルタ部をコンパクトなもので構成することができ、装置の大型化を招くこともない。
【0018】
特に、請求項2によれば、フィルタ部を通過した空気に対し吸気抵抗部により吸気抵抗を付与して、吸気抵抗が付与された空気を吸気通路部を通して気泡発生装置に供給させることができるようになる。
【0019】
請求項3によれば、屈曲通路として、一対の板状体の両接合面の一方又は双方に形成された凹溝により区画形成することで、ジグザク状に屈曲する屈曲通路を容易にかつ精度よく形成することができるようになり、吸気抵抗部による所定の吸気抵抗の付与を容易にかつ正確に行うことができるようになる。
【0020】
この場合において、請求項4によれば、フィルタ部を前面蓋の側から見て板状体の後面側位置において板状体により隠れるように配設することで、フィルタ部や吸気入口等に対し外部からの水や洗剤等が直接にかかることを防止することができ、水や洗剤等が直接にかかることに起因するフィルタ機能の悪化を防止することができるようになる。
【0021】
さらに、この場合において、請求項5によれば、吸気抵抗部の板状体及びフィルタ部の下側に、下部空間を区画形成することで、前記の水や洗剤が外装ハウジング内に万一侵入したとしても、それらは下部空間に落下して溜まり、それらによるフィルタ部等の汚損発生を防止することができるようになる。
【0022】
又、請求項6によれば、フィルタ部で捕集されないような微小塵埃であっても、屈曲通路を通過する際に屈曲通路を構成する角部に溜まることにより捕集することができるようになる一方、各角部に溜まったとしても屈曲通路を通過する吸気流量は一定量に維持可能となって、吸気抵抗の付与性能に影響を与えることもない。
【0023】
さらに、請求項7によれば、逆止弁部を吸気通路部の下流側位置に配設することで、気泡発生装置からの吸気負圧を受けて吸気を気泡発生装置の側に供給することができる一方、気泡発生装置から湯水の逆流に伴う正圧が作用すると、その逆流湯水の通過を確実に阻止して気泡発生装置の側と遮断することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】吸気装置を適用した気泡発生装置により浴槽に対し気泡を噴出可能にした風呂システムの例を示す説明図である。
【図2】図1の循環アダプタを用いた追い焚き運転の作動原理を示す説明図である。
【図3】図1の循環アダプタを用いた気泡発生運転の作動原理を示す図2対応図である。
【図4】図1の吸気装置を拡大断面図により示した図1対応図である。
【図5】図4の吸気装置を前面側から見た斜視図である。
【図6】図5の吸気装置を分解した状態で示す分解斜視図である。
【図7】図7(a)は図4のA−A線における断面説明図であり、図7(b)は図4のB−B線における断面説明図である。
【図8】図6の吸気抵抗部及び本体筒部について分解した状態で示す分解斜視図である。
【図9】図9(a)は図4のC−C線における部分拡大断面説明図であり、図9(b)は図4の部分拡大図である。
【図10】図8の第1の板状体の正面説明図である。
【図11】図11(a)は屈曲通路の他の形態を示す説明図であり、図11(b)は屈曲通路の構造の他の形態を示す図9(b)対応図である。
【図12】本発明の課題を示すために例示した吸気装置の図4対応図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1に示す風呂システムは、浴槽1と、風呂用の追い焚き循環機能を備えた給湯器2と、戻り路31及び往き路32からなり浴槽1及び給湯器2を互いに接続する追い焚き循環配管3と、実施形態に係る気泡発生装置を内蔵・付設した循環アダプタ4とを備えて構成されたものである。給湯器2は、例えば、追い焚き用熱交換器21と、これを加熱する燃焼バーナ22とを備えているものである。
【0027】
浴槽1には、その一側壁面の底部近傍に循環アダプタ4が貫通した状態で設置され、この循環アダプタ4に対し、追い焚き循環配管3の戻り路31の上流端と、往き路32の下流端とが接続されている。そして、給湯器2内の循環ポンプ23が作動されると、浴槽1内の浴槽水(湯又は水)が循環アダプタ4及び戻り路31を通して給湯器2の熱交換器21に戻され、次いで、往き路32及び循環アダプタ4を通して浴槽1内に吐出される、という循環流が生じて循環作動されることになる。この循環作動の際に、燃焼バーナ22が燃焼作動されると、浴槽1から戻された浴槽水が所定温度まで加熱されて追い焚きされることになり、燃焼バーナ22が非燃焼状態のままであると、浴槽水による循環流のみが生じることになる。
【0028】
そして、循環アダプタ4には後述の気泡発生装置5(図示省略)が内蔵され、この気泡発生装置5に対し気泡生成用の空気を外部から取り込んで吸気するための吸気装置6が付設されている。図1の例では、吸気装置6が浴室を区画する壁の外面に設置されている場合を示したが、これに限らず、浴室を区画する壁の内面又は浴槽1のエプロン部分に設置してもよい。
【0029】
実施形態の吸気装置6の詳細な説明に入る前に、まず、気泡発生装置5を内蔵した循環アダプタ4の概略構造例について、主として図2又は図3を参照しつつ説明する。循環アダプタ4は、前述の循環ポンプ23の作動により浴槽1内から浴槽水を吸い込んで戻り路31に流すための吸い込み流路44と、往き路32からの循環水(浴槽水)を浴槽1内にそのまま流す追い焚き吐出流路45と、同様に往き路32からの循環水に対し気泡を巻き込んだ状態で浴槽1内に吐出する吐出流路である気泡吐出流路46と、上記往き路32からの循環水を追い焚き吐出流路45の側に流す(追い焚き運転モード)か、気泡吐出流路46の側に流す(気泡発生運転モード)かのいずれかに切換える切換弁機構43とを備えている。
【0030】
吸い込み流路44は、図2又は図3に矢印Rで示すように、フィルタ部材410を介して前面カバー体41の外周領域から吸い込まれた浴槽水を合流させた後に戻り路31まで導くように延びている。追い焚き吐出流路45は、図2に矢印Gで示すように、往き路31からの循環水を分流室451に導いた後に開閉切換口452を通して前面カバー体41の下側に導き、追い焚き吐出口453から浴槽1内に吐出するように延びている。
【0031】
気泡吐出流路46は、図3に矢印Bで示すように、往き路31からの循環水を上記分流室451を介して分流路461に導いた後、噴出孔462から旋回室463に噴出させて旋回室463に旋回流を生じさせて空気を巻き込み、巻き込んだ気泡と共に循環水を気泡吐出口464を経て浴槽1内の前方に向けて吐出させるように延びている。上記旋回室463はその内周面が円筒状に形成され、上記噴出孔462はその旋回室463に対し接線方向に分流室からの循環水を噴出させるように開口されている。この噴出孔462からの循環水の噴出により旋回室463内に気泡吐出口464の側に向かう旋回流が生じて遠心力が作用することにより中心部が大気圧よりも低い負圧となり、この中心部の負圧が吸気装置6(図1参照)に対し吸気負圧として作用することにより空気が取り込まれ、接続ホース51を通して供給された空気が先端ノズル部52から旋回流に巻き込まれる結果、微小な気泡が混合した状態の循環水が浴槽1内に吐出されることになる。
【0032】
次に、吸気装置6について詳細に説明する。図4に示すように、吸気装置6は、外装ハウジング7と、外装ハウジング7内に収容された内部構造体8とを備えている。外装ハウジング7は、図5及び図6にも示すように本体ハウジング71と、本体ハウジング71の前面開口を例えば螺嵌により着脱可能に閉止する前面蓋72とからなる。本体ハウジング71の後端部から下方に突出する接続部73が一体に形成され、後端部から前端部(図4の右端部)にかけて段階的に拡径されている。そして、外装ハウジング7の内部には、前面蓋72と本体ハウジング71の前端部内面との間に空気を取り入れる導入空間74と、この導入空間74から接続部73に向けて後方に延びる収容孔75とが区画形成されることになる。前面蓋72の外周側の領域には空気取り入れ用の多数の小孔721,721,…(図7(a)も参照)が貫通形成され、各小孔721を通して導入空間74(図7(b)も参照)は外部と連通されている。
【0033】
内部構造体8は、本体筒部81と、本体筒部81の前端において外周囲に拡がる板状体部82と、本体筒部81の後端に配設される逆止弁部83とを備えて構成されている。逆止弁部83を後端に配設した状態で本体筒部81が前記の収容孔75に対し前側から後方に向けて内嵌され、本体筒部81が内嵌されることにより板状体部82が前記の導入空間74内に位置付けられた状態で、内部構造体8は本体ハウジング71に対し連結されるようになっている。
【0034】
本体筒部81の外周面には図8にも示すようにドーナッツ環状の周溝811と、シール用のOリング812を外嵌するための周溝813とが形成されており、本体筒部81の前側領域にはフィルタ部9が外嵌され、このフィルタ部9により前記の周溝811の外周面側が覆われるようになっている。周溝811の底には後述の屈曲通路10の一端101に連通する吸気入口810(図9(a)参照)が開口している。フィルタ部9は後述の屈曲通路104の開口断面よりも十分に小さいフィルタ開口(メッシュの目のサイズ)となるようにメッシュ素材により筒状に形成されたものである。又、板状体部82は、本体筒部81の前面側に一体的に形成された第1の板状体821と、この第1の板状体821と同様形状を有する別体の第2の板状体822とが間にパッキン823を挟み込んだ状態で相対向面同士がビス84,84,…により接合されて一体化されたものである。
【0035】
第1の板状体821の接合面には図8又は図10に示すように上流端となる一端101から下流端となる他端102までジグザク状に屈曲しつつ延びる凹溝103が形成されており、この凹溝103に対しパッキン823及び第2の板状体822が接合されることで閉鎖され、これにより、吸気抵抗部10を構成する屈曲通路104が形成されている(図7(b)、図9(b)参照)。この屈曲通路10の一端101は周溝811に開口する吸気入口810(図9(a)参照)に連通され、他端102は本体筒部81の中心軸に沿って後側に延びる吸気通路部814(図9(a),(b)参照)に連通されている。
【0036】
逆止弁部83は、本体筒部81の後端部に前記の吸気通路部814に臨んで形成された弁座831(図4参照)と、例えばゴム板により形成された撓み性を有する弁体832(図8参照)と、弁蓋833とを備えて構成されている。この逆止弁部83は、気泡発生装置5からの吸気負圧が接続管51(図4参照)及び接続部73を通して弁体832に作用すると、その弁体832の外周側部分が吸引されて撓むことで吸気通路部814が連通することになる一方、気泡発生装置5から湯水の逆流に伴う正圧が作用すると、弁体832が弁座831に密着して吸気通路部814を閉止して気泡発生装置5の側と遮断するようになっている。
【0037】
以上の構成の吸気装置の場合、気泡発生装置5の側から吸気負圧が作用すると、前記の弁体832が撓んで吸気通路部814が連通され、各小孔821から吸気されて取り入れられた空気が導入空間74、周溝811及び吸気入口810を通して吸気抵抗部10の一端101に流入する。そして、下流側からの吸気負圧の作用に対し、上流側からの空気が吸気抵抗部10のジグザク状の屈曲通路104を下流側である他端102に向けて屈曲を繰り返しながら通過することで前記吸気負圧に対抗する抵抗(吸気抵抗)が付与され、つまり吸気流量が絞られることになる。この吸気流量が絞られた後の空気が他端102から吸気通路部814に流出し、開状態の逆止弁部83、接続部73及び接続管51を通して気泡発生装置5に供給されることになる。
【0038】
前記の屈曲通路104を備えた吸気抵抗部10の場合、例えば幅0.7mmで深さ0.7mmの開口断面で100ターン(100回)の屈曲を繰り返すことで、孔径0.1mmのオリフィスに相当する吸気抵抗を付与することが可能となる。つまり、オリフィスの形成又は加工の限界サイズを超える程度の吸気抵抗であっても、本実施形態の吸気抵抗部10であればその形成又は加工が可能であり、従来より大きい吸気抵抗の付与により吸気流量をより小さく絞ることができ、これにより、より微細な気泡を発生させることができるようになる。しかも、オリフィスの場合、孔径をより小さくすればするほど、フィルタとしてより細かいメッシュのものを使用する必要が生じる一方、オリフィスの目詰まり発生の可能性・頻度がより大きくなるのに対し、本実施形態の吸気抵抗部10であればフィルタ部9としてさほど細かいメッシュにしなくても屈曲通路104の目詰まり発生のおそれはない。さらに、屈曲通路104の場合、フィルタ部9で捕集されないような微小塵埃が屈曲通路104を通過する際に図10に示すようにターン部分(屈曲部分)を構成する角部105,105,…に溜まることにより捕集可能となる一方、各角部105に溜まったとしても屈曲通路104を通過する吸気流量は一定量に維持されることになる。以上より、十分な吸気抵抗の付与による吸気流量の微量化と、塵埃等による詰まり発生の防止性能の向上との両立を図ることができるようになる。しかも、吸気抵抗の付与のためにオリフィスを採用する場合と比べ、予め目詰まり発生を考慮してより大きいサイズのものを付設する必要もなく、フィルタ部9をコンパクトなもので構成することができ、装置の大型化を招くこともない。
【0039】
又、フィルタ部9は、前面蓋72の存在以外に、その前面側に板状体部82が前方に立ち塞がるように存在し、この板状体部82の背後に配設されているため、外部から各小孔721を通して水や洗剤等が直接にかかることがなく、これらによるフィルタ機能の悪化を防止することができる。この場合、導入空間74内においてフィルタ部9及び給気入口810は上下方向の中央位置に配設され、フィルタ部9の下方や板状体部82の下方に下部空間741が存在しているため、前記の水や洗剤が各小孔から万一侵入したとしても、それらは下部空間に溜まり、これらによるフィルタ部9等の汚損発生を防止することができる。
【0040】
さらに、各小孔721から流入する空気は、フィルタ部9を通過するまでに導入空間74を通過するため、吸気流量が元々少なくて空気流速が遅い上に、狭い各小孔721から流入した空気が広い導入空間74に入ることで空気の流速は益々遅くなる。このため、各小孔721を通過して塵埃が導入空間74に流入したとしても、フィルタ部9に辿り着く前に前記の下部空間741に落下することになり、フィルタ部9に到達する塵埃を極力減少させることでフィルタ部9の目詰まり発生の可能性を可及的に減らすことができるようになる。
【0041】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記各実施形態では、気泡発生装置5が循環アダプタ4内に配設された例を示したが、これに限らず、気泡発生装置が循環アダプタとは別に単独で浴槽1の壁面に設置されていてもよい。又、その場合の気泡発生装置や循環アダプタ4は浴槽の側壁のみならず、底壁に設置して気泡を含む噴出流が浴槽水に対し上向きに放出されるようにしてもよい。
【0042】
吸気抵抗部10を構成する屈曲通路104として、本実施形態では三角波の如く斜めにジグザク状に屈曲するものを示したが、これに限らず、例えば図11(a)に示す屈曲通路104aのように矩形波(パルス波)の如くほぼ直角にジグザク状に屈曲するものでもよい。又、屈曲通路104の形成方法として、本実施形態では相対向する接合面の一方(板状体821)だけに屈曲溝103を形成しているが、これに限らず、例えば図11(b)に示す如く相対向する接合面の双方に屈曲溝103a,103bを形成し、これを接合することで1つの屈曲通路104bを形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
5 気泡発生装置
6 吸気装置
7 外装ハウジング
9 フィルタ部
10 吸気抵抗部
72 前面蓋
81 本体筒部
83 逆止弁部
101 一端(上流端)
102 他端(下流端)
103 凹溝
104,104a,104b 屈曲通路
105 角部
741 下部空間
821,822 板状体
810 吸気入口
814 吸気通路部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気泡発生装置からの吸気負圧を受けて外部から空気を取り込んで前記気泡発生装置に向けて供給するための吸気装置であって、
外部から取り込まれる空気に含まれる塵埃を捕集するためのフィルタ部と、
外部から取り込まれる空気に対し吸気抵抗を付与するための吸気抵抗部と、
取り込んだ空気を前記気泡発生装置に向けて供給する吸気通路部と
を備え、
前記吸気抵抗部は、上流端から下流端にかけてジグザク状に屈曲しつつ延びるように形成された屈曲通路により構成されている
ことを特徴とする吸気装置。
【請求項2】
請求項1に記載の吸気装置であって、
前記吸気抵抗部の上流端が前記フィルタ部に連通される一方、前記吸気抵抗部の下流端が前記吸気通路部に連通されるように構成されている、吸気装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の吸気装置であって、
前記吸気抵抗部は面同士が互いに接合された一対の板状体を備え、前記屈曲通路は前記一対の板状体の両接合面の一方又は双方に形成された凹溝により区画形成されている、吸気装置。
【請求項4】
請求項3の吸気装置であって、
前面蓋を含み前記吸気抵抗部及びフィルタ部を内部に収容する外装ハウジングを備え、
前記吸気抵抗部を構成する前記板状体の前面が前記ハウジングの前面蓋の後面に相対向するように配設されるとともに、前記フィルタ部が前記前面蓋の側から見て前記板状体の後面側位置において前記板状体により隠れるように配設されている、吸気装置。
【請求項5】
請求項4に記載の吸気装置であって、
前記吸気通路部は前記吸気抵抗部を構成する前記板状体の後面から略水平に後方に延びる本体筒部内に形成され、
前記本体筒部の外周面には前記吸気抵抗部の屈曲通路の上流端に連通する吸気入口が開口されるとともに、この入口を覆うように前記フィルタ部が被されており、
前記吸気抵抗部の板状体及びフィルタ部は、これらの下側に前記外装ハウジングの内底面との間に下部空間が区画形成されるように配設されている、吸気装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の吸気装置であって、
前記吸気抵抗部の屈曲通路の開口断面が前記フィルタ部の開口断面よりも大きくなるようにサイズ設定されている、吸気装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の吸気装置であって、
前記気泡発生装置の側からの逆流湯水の通過を阻止するための逆止弁部を備え、
前記逆止弁部は前記吸気通路部の下流側位置に配設されている、吸気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−45059(P2012−45059A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187706(P2010−187706)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】