説明

吸気音発生装置

【課題】振動体の耐久性を向上でき、さらに吸気音の音圧を増加できる吸気音発生装置を提供する。
【解決手段】エンジン2の吸気通路30に接続されて吸気系内の吸気脈動を導く導入管41と、吸気脈動によって振動する振動面52と、その振動面52の振動を促進する蛇腹部53とを有し、導入管41の一端を覆うように設けられる振動体50と、振動体50を介して導入管41と連接されるとともに、その振動体50の振動によって生じる吸気音のうち所定周波数帯の吸気音の音圧を増大する共鳴管42と、を備える。そのため部材強度の高い樹脂によって振動体50を形成しても振動面52の振動は阻害されず、所定周波数の吸気音の音圧を共鳴管42によって増大することができるだけでなく、振動体50の耐久性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの吸気脈動を利用して吸気音を発生させる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、吸気脈動に起因して発生する音波(以下「吸気音」という)を車室内に伝達するエンジンが知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の吸気音発生装置では、吸気脈動によって振動体であるダイヤフラムを振動させ、これにより発生する吸気音の所定周波数における音圧を共鳴管で増大させる。これにより、車室内において迫力のある吸気音を得ることができる。
【特許文献1】特開2007−170228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の吸気音発生装置では、ダイヤフラムを円盤形状の膜として形成し、ダイヤフラムの外縁を導入管と共鳴管とによって挟み込むことでダイヤフラムを固定するため、ダイヤフラムが振動しにくい。そのためダイヤフラムが振動しやすいように低弾性率のゴムによってダイヤフラムを形成することが考えられるが、このようなゴム製のダイヤフラムは振動体としての部材強度が低いため、寿命が短く耐久性に問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、振動体の耐久性を向上でき、かつ吸気音の音圧を増大することができる吸気音発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下のような解決手段によって前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために本発明の実施形態に対応する符号を付するが、これに限定されるものではない。
【0007】
本発明は、エンジン(2)の吸気通路(30)に接続されて吸気系内の吸気脈動を導く導入管(41)と、吸気脈動によって振動する振動面(52)と、その振動面(52)の振動を促進する蛇腹部(53)とを有し、導入管(41)の一端を覆うように設けられる振動体(50)と、振動体(50)を介して導入管(41)と連接されるとともに、その振動体(50)の振動によって生じる吸気音のうち所定周波数帯の吸気音の音圧を増大する共鳴管(42)と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、導入管と共鳴管との間に配置される振動体は、振動面の振動を促進する蛇腹部を備えるので、ゴムよりも部材強度の高い樹脂によって振動体を形成しても振動面の振動は阻害されない。そのため、所定周波数の吸気音の音圧を共鳴管によって増大することができるだけでなく、振動体の耐久性を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、車両上方から見た車両のエンジンルーム1を示す概略構成図である。図中下側が車両前方である。
【0011】
エンジンルーム1の内部には、6気筒のエンジン2が収納される。
【0012】
エンジン2は、外部から取り込んだ空気(以下「吸気」という)を各気筒に供給する吸気系3を有する。吸気系3は、吸気通路30と、エアクリーナ31と、スロットルバルブ32と、吸気マニホールド33とを備える。
【0013】
吸気通路30は、車両の前面に空気を取り入れるための吸気口34を開口する。吸気通路30には、エアクリーナ31とスロットルバルブ32とが上流側から順番に配置される。そして、この吸気通路30は、スロットルバルブ32を介して吸気マニホールド33に接続する。
【0014】
エアクリーナ31は、フィルタエレメント31Aによってダストサイド31Bとクリーンサイド31Cに隔成する。エアクリーナ31のフィルタエレメント31Aは、吸気口34から取り込まれた吸気に含まれる塵や埃を除去する。
【0015】
スロットルバルブ32は、吸気流通面積を変化させることで、吸気通路30を流れる吸気の吸気量を調整する。
【0016】
吸気マニホールド33は、複数のブランチ管33Aを備える。これらブランチ管33Aは、エンジン2の各気筒にそれぞれ連通する。したがって、吸気通路30を通り吸気マニホールド33に流入した吸気は、ブランチ管33Aを介してエンジン2の各気筒に分配される。
【0017】
上記した吸気系3ではエンジン2のピストンや吸気バルブの往復運動に起因して吸気脈動が生じる。この吸気脈動を利用して吸気音を発生させるため、エアクリーナ31とスロットルバルブ32との間の吸気通路30に吸気音発生装置40が設けられる。この吸気音発生装置40は、吸気脈動を加振源として振動体50を振動させることによって吸気音を発生させ、その吸気音を車室内に伝達する。
【0018】
この吸気音発生装置40について、図2を参照して説明する。
【0019】
図2は、吸気音発生装置40の概略構成図である。図2(A)は吸気音発生装置40の斜視図であり、図2(B)は吸気音発生装置40の断面図である。
【0020】
図2(A)に示すように、吸気音発生装置40は、吸気脈動を加振源として振動する振動体50と、吸気通路内の吸気脈動を導く導入管41と、所定周波数帯の吸気音の音圧を増大させる共鳴管42とを備える。そして、吸気音発生装置40では、図2(B)に示すように、導入管41が共鳴管42に接続し、導入管41と共鳴管42との間に振動体50が配置される。
【0021】
導入管41は一端側で、エアクリーナ31とスロットルバルブ32との間の吸気通路30に連通する。導入管41の他端側にはフランジ41Aが形成され、フランジ41Aで共鳴管42の一端と接続する。また、導入管41の他端側には、振動体50の内部に挿入される挿入管41Bが形成される。この挿入管41Bの内径は、導入管41の内径よりも小さく設定される。
【0022】
振動体50は、挿入管41Bを覆うように導入管41の端部に固定され、共鳴管42の内部に収納される。振動体50は、ゴム特性を有する樹脂であって部材強度がゴムよりも高いポリエステル系の熱可塑性エラストマー(TPEE)によって形成される。この振動体50は一端が閉塞された円筒形状(カップ形状)に形成され、フランジ部51と、振動面52と、蛇腹部53とを備える。
【0023】
フランジ部51は、振動体50の開口端側に形成される。このフランジ部51を導入管41と共鳴管42とによって挟み込んで溶着することによって、振動体50は導入管41と共鳴管42との間に配置される。
【0024】
振動面52は、振動体50の一端を閉塞する端面として形成される。この振動面52は、吸気脈動を加振源として振動する。
【0025】
蛇腹部53は、振動体50の円筒側面に形成される。この蛇腹部53は、振動面52が図中左右に振動しやすくなるように形成される。
【0026】
このように構成される振動体50では、導入管41内の吸気脈動の圧力変動によって振動面52が振動し、この振動面52の振動に起因して音波(吸気音)が共鳴管42の内部に発生する。
【0027】
共鳴管42は、所定周波数帯の吸気音の音圧をいわゆる気柱共鳴によって増大する。共鳴管42は外部に開口する開口部42Aを有し、この開口部42Aから増大された吸気音が放出される。開口部42Aは、吸気音が車室内で聞きやすいようにエンジンルーム1内の遮音されにくい位置に配置される。
【0028】
共鳴管42では、共鳴管42の軸方向長さ及び内径を調整することで、目的とする周波数帯の吸気音の音圧を増加させることができる。なお、本実施形態では、高周波数側の吸気音の音圧を増加させるように共鳴管42の軸方向長さ及び内径を設定する。
【0029】
このような吸気音発生装置40を備えた車両では、吸気脈動を利用して振動体50によって吸気音を発生させ、その吸気音の所定周波数帯の音圧を共鳴管42によって増大させるので、車室内において迫力のある吸気音を得ることができる。
【0030】
ところで、吸気音発生装置40は共鳴管42によって所定周波数帯の吸気音の音圧を増大させるほか、振動体内に挿入される挿入管41Bの形状(挿入管長さL1及び挿入管内径D1)を最適化することで吸気音発生時の音圧をできるだけ増大させる。このように吸気音発生時の音圧を増大させてから、共鳴管42によって所定周波数帯の音圧を大きくすれば、車室内において吸気音がより聞きやすくなる。
【0031】
そこで、吸気音発生装置40では、(1)挿入管長さL1に対する振動体長さL2の割合(以下「長さ割合」という)RLに基づく音圧特性、及び(2)挿入管内径D1に対する振動体内径D2の割合(以下「内径割合」という)RDに基づく音圧特性から、吸気音発生時の音圧ができるだけ大きくなるように挿入管41Bの形状を最適化する。
【0032】
なお、図2(B)に示すように、挿入管長さL1は振動体50の開口端から振動体内に挿入される挿入管41Bの長さであり、振動体長さL2は振動体50の開口端から振動面52までの長さである。また、挿入管内径D1は挿入管41Bの直径であって、振動体内径D2は円筒形状に形成される振動体50の直径である。
【0033】
図3は、吸気音の音圧向上代を示す図である。図3(A)は長さ割合RLに基づく音圧向上代を示し、図3(B)は内径割合RDに基づく音圧向上代を示す。
(1)長さ割合RLに基づく吸気音の音圧向上
長さ割合RLに基づく音圧特性は、図3(A)に示すように、長さ割合RLが所定値RL0を越えるまでは長さ割合RLが大きくなるほど(挿入管41Bの端部が振動体50の振動面52に近くなるほど)音圧向上代は増加し、所定値RL0を越えると一定となる。
【0034】
挿入管41Bからの吸気脈動は振動体内で放射状に広がるが、挿入管41Bの端部が振動面52に近づくほど挿入管41Bからの吸気脈動が振動面52に当たりやすくなり、振動面52の振動が大きくなるので、吸気音の音圧向上代は増加する。しかしながら、挿入管41Bの端部がある程度振動面52に近づくと、吸気脈動のほとんどが振動面52に当たるようになるので、吸気音の音圧向上代は一定となる。
【0035】
したがって、吸気音発生装置40では、長さ割合RLが所定値RL0よりも大きくなるように挿入管長さL1を決定して、吸気音発生時の音圧を増大させる。但し、長さ割合RLを大きくして挿入管41Bの端部を振動面52に近づけすぎると、振動面52が振動した時に振動面52と挿入管41Bとが接触してしまうおそれがあるので、振動面52と挿入管41Bとが接触しない範囲で、長さ割合RLが所定値RL0よりも大きくなるように挿入管長さL1を決定する。
【0036】
(2)内径割合RDに基づく吸気音の音圧向上
内径割合RDに基づく音圧特性は、図3(B)に示すように、内径割合RDが所定値RD0と所定値RD1との間にあるときに吸気音の音圧向上代が最大となる。
【0037】
内径割合RDが所定値RD0を越えるまでは内径割合RDを小さくするほど(挿入管41Bの内径を小さくするほど)、導入管41から挿入管41Bに流れる吸気脈動の圧力変動の振幅が大きくなり、振動面52の振動が大きくなるので、吸気音の音圧向上代は増加する。内径割合RDが所定値RD0よりも小さくなると、吸気脈動の圧力変動の振幅がそれ以上大きくならないため音圧向上代は一定となる。しかしながら、内径割合RDが所定値RD1を越えて小さくなると、挿入管41Bの内径が小さくなりすぎて吸気脈動が挿入管41Bを通過しにくくなり、振動面52が加振されにくくなるので、吸気音の音圧向上代は低下してしまう。
【0038】
したがって、吸気音発生装置40では、内径割合RDが所定値RD0と所定値RD1との間となるように挿入管内径D1を決定して、吸気音発生時の音圧を増大させる。
【0039】
そして、長さ割合RLが所定値RL0よりも大きいRLAとなるように挿入管長さL1を設定し(図3(A)参照)、内径割合RDが所定値RD0と所定値RD1との間にあるRDAとなるように挿入管内径D1を設定して(図3(B)参照)、挿入管形状を最適化したときの車室内での吸気音の音圧について、図4を参照して説明する。
【0040】
図4は、車室内での6次の吸気音の周波数と音圧との関係を示す音圧特性図である。吸気音発生装置40ではエンジン気筒数に基づいて定まる次数の吸気音を共鳴管42の開口部42Aから放出し、6気筒エンジンの場合には6次の吸気音が支配的となる。図4において、実線Aは挿入管形状を最適化した場合の音圧特性を示し、破線Bは挿入管41Bを設けずに導入管41の端部に振動体50を配置した場合の音圧特性を示す。
【0041】
吸気音発生装置40の共鳴管42は高周波数の吸気音の音圧を増大するように設定されており、吸気音発生時の音圧が増加するように挿入管形状を最適化されているので、挿入管41Bを使用していない破線Bの音圧特性と比較して、実線Aの音圧特性では領域Cで示す高周波数側において吸気音の音圧が特に向上する。そのため、目的とする所定周波数の吸気音を車室内においてより聞こえやすくすることができる。
【0042】
以上により、第1実施形態の吸気音発生装置40では、下記の効果を得ることができる。
【0043】
吸気音発生装置40において、導入管41と共鳴管42との間に配置される振動体50は、円周側面に振動面52の振動を促進する蛇腹部53を備えるので、ゴムよりも部材強度の高い樹脂によって振動体50を形成しても振動面52の振動は阻害されない。そのため、吸気音発生装置40では、所定周波数の吸気音の音圧を共鳴管42によって増大することができるだけでなく、振動体50の耐久性を向上させることが可能となる。
【0044】
また、吸気音発生装置40では、導入管41の端部に挿入管41Bを形成し、この挿入管形状(挿入管長さL1や挿入管内径D1)を振動体形状(振動体長さL2や振動体内径D2)に対して最適化するので、吸気音発生時の音圧を高めることができ、車室内においてより迫力のある吸気音を得ることが可能となる。
【0045】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態の吸気音発生装置40の概略構成図である。図5(A)は、吸気音発生装置40の断面を示す。また、図5(B)は、図5(A)のB−B断面を示す。
【0046】
第2実施形態の吸気音発生装置40は、第1実施形態とほぼ同様の構成であるが、共鳴管42の構成において一部相違する。つまり、振動体50の振動面52の位置を規制するストッパ60を共鳴管内部に設けるようにしたもので、以下にその相違点を中心に説明する。
【0047】
エンジン2において、いわゆるバックファイアが発生すると、吸気系3の内部には非常に大きな圧力波(以下「過大脈動」という)が形成される。このような圧力波を振動体50の振動面52が受けると、振動体50が軸方向(図5(A)中右方向)に伸長しすぎて、振動体50が破損してしまうおそれがある。
【0048】
そこで、第2実施形態の吸気音発生装置40では、図5(A)に示すように、振動面52の位置を規制するストッパ60を共鳴管42の内部に形成する。
【0049】
ストッパ60は、共鳴管内部において振動体50の振動面52との間隔が間隔dとなる位置に設けられる。ストッパ60は、共鳴管軸方向に延びる板状の突起として形成される。このストッパ60は、図5(B)に示す通り、共鳴管内周壁から共鳴管中心に向かって、振動面52の一部と対向するように突出形成される。ストッパ60は、共鳴管内周方向に等間隔に4つ設けられる。なお、ストッパ60は、共鳴管42に一体形成するようにしてもよいし、共鳴管42とは別体として形成するようにしてもよい。
【0050】
このように共鳴管42にストッパ60を形成するため、振動面52が過大脈動を受けて振動体50が伸長しても、振動面52がストッパ60に当接するので、振動体50が伸長しすぎることがない。そのため、過大脈動による振動体50の破損が抑制される。
【0051】
ところで、ストッパ60を共鳴管42に形成する吸気音発生装置40では、(1)共鳴管軸方向に直交する方向におけるストッパ断面積に対する共鳴管断面積の割合(以下「絞り率」という)RSや、(2)振動面52とストッパ60との間隔dを調整することで、共鳴管42の共鳴周波数を変更することができる。導入管内での共鳴効果によって導入管41の共鳴周波数近傍の吸気脈動も増大されるが、この導入管41の共鳴周波数と共鳴管42の共鳴周波数とを近づけることで、所定周波数帯の吸気音の音圧を増大させることができる。
【0052】
図6は、吸気音の音圧向上効果を示す図である。図6(A)は絞り率RSに基づく音圧向上代を示し、図6(B)は振動面52とストッパ60との間隔dに基づく音圧向上代を示す。
【0053】
(1)絞り率RSに基づく吸気音の音圧向上
ストッパ60の断面積を変化させて絞り率RSを変えると、共鳴管42での共鳴周波数を変更することができ、図6(A)に示すように絞り率RSが所定値RS0で吸気音の音圧向上代が最も大きくなる。これは絞り率RSが所定値RS0において、共鳴管42の共鳴周波数が導入管41の共鳴周波数に近づくからである。また、絞り率RSが所定値RS0を越えるまでは絞り率RSを大きくするほど(ストッパ位置での共鳴管42の断面積を小さくするほど)、ストッパ60を通過する吸気音圧力波の圧力変動の振幅が大きくなるので吸気音の音圧向上代は増加するが、絞り率RSが所定値RS1を越えて大きくなると、共鳴管42の断面積が小さくなりすぎて吸気音が遮音されやすくなるので音圧向上代は低下する。
【0054】
(2)間隔dに基づく吸気音の音圧向上
ストッパ60の振動体50の振動面52との間隔dを変えると、共鳴管42での共鳴周波数を変更することができ、図6(B)に示すように間隔dが所定値d0で吸気音の音圧向上代が最も大きくなる。これは間隔dが所定値d0において、共鳴管42の共鳴周波数が導入管41の共鳴周波数に近づくからである。
【0055】
そして、絞り率RSが所定値RS0となるようにストッパ60の断面積を設定し(図6(A)参照)、ストッパ60と振動面52との間隔dが所定値d0となるように設定して(図6(B)参照)、ストッパ60の構成を最適化したときの車室内での吸気音の音圧について、図6(C)を参照して説明する。
【0056】
図6(C)は、車室内での6次の吸気音の周波数と音圧との関係を示す音圧特性図であって、吸気音の音圧が増幅される吸気音の高周波側を示す図である。図6において、実線Dはストッパ60の構成を最適化した場合の音圧特性を示し、破線Eはストッパ60を形成していない場合の音圧特性を示す。
【0057】
ストッパを形成しない場合の共鳴管42の共鳴周波数はf3であるが、ストッパ60の構成を最適化すると、共鳴管42の共鳴周波数がf2となって、導入管41の共鳴周波数f1に近づく。そのため、ストッパ60を備える吸気音発生装置40では、実線Dに示すように、領域Fにおいて共鳴管42の共鳴周波数帯の吸気音の音圧を特に向上させることができる。これにより、目的とする所定周波数の吸気音を車室内においてより聞こえやすくすることができる。
【0058】
以上により、第2実施形態の吸気音発生装置40では、下記の効果を得ることができる。
【0059】
吸気音発生装置40は、共鳴管42にストッパ60を形成するため、振動面52が過大脈動を受けて振動体50が伸長しても、振動面52がストッパ60に当接するので、過大脈動による振動体50の破損を抑制することが可能となる。
【0060】
また、吸気音発生装置40では、ストッパ60の断面積や配置位置によって共鳴管42の共鳴周波数を調整することができ、所定周波数の吸気音の音圧を増加させることが可能となる。
【0061】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなし得ることは明白である。
【0062】
例えば、第1実施形態では振動体50をTPEEで構成したが、ゴムで構成するようにしてもよい。この場合には振動体50の部材強度を確保するためにゴム厚さを厚くするが、ゴム厚さを厚くしても振動体50は蛇腹部53を備えるので、振動面52の振動が阻害されることはない。
【0063】
また、第1実施形態では、内径割合RDに基づいて吸気音発生時の音圧が増大するように挿入管41Bの内径を決定したが、挿入管41Bの開口面積に対する振動体50の開口面積の割合と音圧向上代との関係に基づいて挿入管41Bの開口面積を決定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】車両のエンジンルーム内の概略構成図である。
【図2】吸気音発生装置の概略構成図である。
【図3】吸気音の音圧向上代を示す図である。
【図4】車室内における吸気音の周波数−音圧特性を示す図である。
【図5】第2実施形態の吸気音発生装置の概略構成図である。
【図6】吸気音の音圧向上効果を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
2 エンジン
3 吸気系
30 吸気通路
31 エアクリーナ
32 スロットルバルブ
33 吸気マニホールド
40 吸気音発生装置
41 導入管
41B 挿入管
42 共鳴管
50 振動体
51 フランジ部
52 振動面
53 蛇腹部
60 ストッパ(突出部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの吸気通路に接続されて吸気系内の吸気脈動を導く導入管と、
前記吸気脈動によって振動する振動面と、その振動面の振動を促進する蛇腹部とを有し、前記導入管の一端を覆うように設けられる振動体と、
前記振動体を介して前記導入管と連接されるとともに、その振動体の振動によって生じる吸気音のうち所定周波数帯の吸気音の音圧を増大する共鳴管と、
を備えることを特徴とするエンジンの吸気音発生装置。
【請求項2】
前記振動体は円筒形状であって、円筒一端を閉塞する端面として前記振動面を形成し、円筒側面に軸方向に沿って前記蛇腹部を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの吸気音発生装置。
【請求項3】
前記振動体は、前記振動体の開口端にフランジ部を備え、前記導入管の端部と前記共鳴管の端部との間に前記フランジ部を溶着することで固定される、
ことを特徴とする請求項2に記載のエンジンの吸気音発生装置。
【請求項4】
前記振動体が配置される側の前記導入管の端部には、前記導入管よりも通路内径が小さく、前記振動体内に挿入される挿入管が形成される、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載のエンジンの吸気音発生装置。
【請求項5】
前記挿入管の挿入長さは、前記挿入管の挿入長さに対する前記振動体の開口端から前記振動面までの長さの割合と音圧向上代との関係に基づいて吸気音の音圧が増大するように設定される、
ことを特徴とする請求項4に記載のエンジンの吸気音発生装置。
【請求項6】
前記挿入管の開口面積は、前記挿入管の開口面積に対する前記振動体の開口面積の割合と音圧向上代との関係に基づいて吸気音の音圧が増大するように設定される、
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のエンジンの吸気音発生装置。
【請求項7】
前記共鳴管は、過大脈動が入力した時に前記振動面の位置を規制するストッパを備える、
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一つに記載のエンジンの吸気音発生装置。
【請求項8】
前記ストッパは、前記振動面の一部と対向するように前記共鳴管内部から突出形成される突出部である、
ことを特徴とする請求項7に記載のエンジンの吸気音発生装置。
【請求項9】
前記ストッパは、前記共鳴管の内周に複数形成される、
ことを特徴とする請求項8に記載のエンジンの吸気音発生装置。
【請求項10】
前記ストッパの共鳴管軸方向に直交する方向の断面積は、ストッパ断面積に対する共鳴管断面積の割合と音圧向上代との関係に基づいて吸気音の音圧が増大するように設定される、
ことを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか一つに記載のエンジンの吸気音発生装置。
【請求項11】
前記ストッパの配置位置は、前記振動面と前記ストッパの間隔と音圧向上代との関係に基づいて吸気音の音圧が増大するように設定される、
ことを特徴とする請求項7から請求項10のいずれか一つに記載のエンジンの吸気音発生装置。
【請求項12】
前記振動体は、ゴム特性を有する樹脂であるポリエステル系の熱可塑性エラストマーによって形成される、
ことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一つに記載のエンジンの吸気音発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−222011(P2009−222011A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−69536(P2008−69536)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(000151209)株式会社マーレ フィルターシステムズ (159)