吸水型防水マット
【課題】 本発明は、軽量であり、施工性に優れ、止水性能をコントロールでき、固定ピンなどの打ち込みによる穴からの漏水を防止できる吸水型防水マットを提供するところにある。
【解決手段】 本発明に係る吸水型防水マット(A1)は、繊維状の高吸水性ポリマー(11)と、高吸水性ポリマー以外の繊維(12)からなる不織布により構成されている。不織布の厚みは、例えば3mmから30mmであり、繊維状の高吸水性ポリマー(11)の配合比率は30重量%以上である。
【解決手段】 本発明に係る吸水型防水マット(A1)は、繊維状の高吸水性ポリマー(11)と、高吸水性ポリマー以外の繊維(12)からなる不織布により構成されている。不織布の厚みは、例えば3mmから30mmであり、繊維状の高吸水性ポリマー(11)の配合比率は30重量%以上である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、堤防護岸に敷設して、河川の水や雨水が堤体内に浸透するのを防ぐ遮水工法に使用する吸水型防水マットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、堤防護岸の遮水工法においては、止水シートと不織布を組み合わせた遮水マットが使用されてきた。また、吸水性を持ち、防水性を持つものには、粉状ベントナイトを不織布や織布で挟み込んだベントナイトシートが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような遮水マットは、止水性能をコントロールすることが困難であり、固定ピンによる穴からの漏水を防止できない欠点がある。また、ベントナイトシートは重量物であるため、施工性に劣るという欠点があった。
【0004】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、軽量であり、施工性に優れ、止水性をコントロールでき、固定ピンなどの打ち込みによる穴からの漏水を防止できる吸水型防水マットを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る吸水型防水マットは、堤防護岸に敷設するマットであって、高吸水性ポリマーを含むことで、吸水性を有し、防水性又は難透水性を有することを特徴とするものである。
【0006】
上記吸水型防水マットは、高吸水性ポリマーを繊維状にして不織布としてもよいし、繊維状の高吸水性ポリマーを混綿した不織布でもよい。また、不織布に粒状もしくはシート状の高吸水性ポリマーを挟み込んだり、被覆したりしてもよいし、不織布にゲル状や固形の高吸水性ポリマーを付着させた構造としてもよい。
【0007】
また、上記吸水型防水マットは、高吸水性ポリマーの密度や量を調整することにより、吸水及び防水性能を変化させることができる。
【0008】
さらに上記吸水型防水マットは、その片面又は両面に、もしくはその内部に繊維性生地を積層することで、強度を上げたり、ポリマーの流出を防いだり、他の材料との接合を向上させたりすることができる。
【0009】
さらにまた上記吸水型防水マットは、その片面又は両面に止水シートを積層することで、より高い防水性を提供することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の吸水型防水マットによれば、繊維状、粒状、シート状又はゲル状の高吸水性ポリマーが水分を吸収して大きく膨潤するので、防水性能が飛躍的に向上し、固定ピンを打ち込むことによる穴やその他の原因による穴があいても、すぐに膨潤した高吸水性ポリマーによりその穴が閉塞されるので、その穴からの漏水が防止できる。また、繊維状、粒状、シート状又はゲル状の高吸水性ポリマーは軽量であるため、当該防水マットが軽量なものとなり、施工性がよい利点がある。さらに、繊維状、粒状、シート状又はゲル状の高吸水性ポリマーは、その含有量を容易に調整することができるため、吸水性能をコントロールできる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
高吸水性ポリマー
本発明で用いる高吸水性ポリマーとしては特に限定はなく、水に不溶で、かつ水分や湿気を速やかに吸収し、非(もしくは難)生分解性であり、自重の数十倍から百倍近い水分を(例えば吸水倍率10〜400倍)吸収して膨潤する従来公知の素材(デンプン系、セルロース系、その他の多糖類系、及びタンパク質系の天然高分子類並びに、ポリビニルアルコール系、アクリル系、その他の付加重合体、ポリエーテル系、縮合系ポリマー及びその他合成高分子系の合成高分子類)が挙げられる。
【0012】
具体的には、デンプン−アクリロニトリルグラフト重合体加水分解物、デンプン−アクリル酸グラフト重合体、デンプン−スチレンスルホン酸グラフト重合体、デンプン−ビニルスルホン酸グラフト重合体、デンプン−アクリルアミドグラフト重合体、セルロース−アクリロニトリルグラフト重合体、セルロース−スチレンスルホン酸グラフト重合体、カルボキシメチルセルロースの架橋体、ヒアルロン酸、アガロース、コラーゲン及びその他のタンパク質、更に、ポリビニルアルコール架橋重合体、PVA吸水ゲル凍結・解凍エラストマー、ポリアクリル酸ナトリウム塩、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体、アクリル酸ナトリウム−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル系重合体ケン化物、ヒドロキシエチルメタクリレートポリマー、無水マレイン酸系重合体及び共重体、ビニルピロリドン系重合体及び共重合体、ポリエチレングリコール・ジアクリレート架橋重合体、エステル系ポリマー、アミド系ポリマーなどが挙げられる。
【0013】
高吸水性ポリマーの形状としては、繊維状、粒状、シート状、流動状又は繊維に凝着した固形状のものを使用する。
【0014】
不織布
吸水型防水マットを構成する不織布に使用する繊維としては、非(もしくは難)生分解性の繊維であれば特に限定はなく、例えばポリエステル繊維、アクリル樹脂繊維、ポリオレフィン繊維、ポリアミド繊維などが挙げられる。前記繊維は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても構わない。また、繊維状の高吸水性ポリマーのみでもよい。
【0015】
繊維性生地
繊維性生地としては、不織布、織布、編み物、グリッドなどが使用でき、これらを構成する繊維としては、非(もしくは難)生分解性の繊維であれば特に限定はなく、例えばポリエステル繊維、アクリル樹脂繊維、ポリオレフィン繊維、ポリアミド繊維などが挙げられる。
【0016】
止水シート
本発明で使用可能な止水シートの素材の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体などが挙げられる。これらは1種のみを単独で使用しても良いし、2種以上を併用することもできる。
【0017】
この止水シートは、前述した不織布の片面に接着方法により一体化されているが、前記不織布の上に非透水性シートを接着方法により一体化しても良いし、溶融状態にある合成樹脂を前記不織布上に流して(塗布して)フィルム状に形成しても良い。なお、前記接着方法としては、熱融着、接着剤、固定治具などの種々の方法が採用されるが、それらに限られるものではない。
【0018】
その他
吸水型防水マットの厚みとしては、例えば3mm〜30mmであることが好ましい。3mm未満であれば、高吸水性ポリマーを多く含ませることが出来ず、大きな吸水能力を期待することはできなくなる。30mmを超える場合、施工に支障が生じる可能性があるので好ましくない。
【0019】
吸水型防水マットにおける高吸水性シート中の高吸水性ポリマーの含有率としては10重量%〜90重量%であることが好ましい。10重量%未満の場合、大きな吸水能力を期待することはできなくなる。また、90重量%を超える場合、他の繊維製生地を構成する繊維の含有率が低くなり、機械的な強度を保持することが難しくなる可能性がある。吸水型防水マットにおける高吸水性ポリマー含有率のさらに好ましい範囲は30〜70重量%である。
【0020】
また、不織布および繊維性生地の積層にはニードルパンチや接着、熱融着などの方法がある。不織布および繊維性生地は2層、3層と積層させても良い。
【0021】
不織布に吹き付けもしくは含浸させ、凝着させる方法は、液状の高吸水性ポリマーを繊維からなる不織布に霧状に吹き付けたり、塗ったり、浸漬させたりする方法がある。
【0022】
以下に本発明の一実施例を図面に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【実施例1】
【0023】
図1は、吸水型防水マット(A1)の構成を示した断面図である。
【0024】
図1に示すように、吸水型防水マット(A1)は繊維状の高吸水性ポリマー(11)と、高吸水性ポリマー以外の繊維(12)からなる不織布により構成されている。不織布の厚みは、例えば3mmから30mmであり、繊維状の高吸水性ポリマー(11)の配合比率は30重量%以上である。
【実施例2】
【0025】
図2は、吸水型防水マット(A2)の構成を示した断面図である。
【0026】
図2に示す吸水型防水マット(A2)は、粒状の高吸水性ポリマー(13)を高吸水性ポリマーのみの不織布(14)と高吸水性ポリマー以外の繊維からなる不織布(15)で挟み込んだものより構成されている。例えば高吸水性ポリマーのみの不織布(14)の厚みは、3mmから10mmであり、粒状の高吸水性ポリマー(13)の目付は100g/m2から1000g/m2あり、高吸水性ポリマー以外の繊維からなる不織布(15)の厚みは、0.5mmから30mmである。
【実施例3】
【0027】
図3は、繊維性生地を積層する防水型防水マット(A3)の構成を示した断面図である。
【0028】
図3に示すように、吸水型防水マット(A3)は高吸水性ポリマー以外の繊維からなる不織布(15)とシート状の高吸水性ポリマー(16)に繊維性生地(17)を積層させた構造をなしている。例えば高吸水性ポリマー以外の繊維からなる不織布(15)の厚みは、0.5mmから30mmであり、シート状の高吸水性ポリマー(16)の厚みは、0.3mmから5mmであり繊維性生地(17)の厚みは、0.5mmから30mmである。
【実施例4】
【0029】
図4は、繊維性生地を積層する防水型防水マット(A4)の構成を示した断面図である。
【0030】
図4に示す吸水型防水マット(A4)は、高吸水性ポリマー以外の繊維(12)と凝着した高吸水性ポリマー(19)から構成される、高吸水性ポリマーを凝着させた不織布(18)と、繊維性生地(17)を積層させた構造をなしている。例えば高吸水性ポリマーを凝着させた不織布(18)の厚みは、3mmから30mmであり、繊維性生地(17)の厚みは、0.5mmから30mmである。
【実施例5】
【0031】
図5は、止水シートを積層する吸水型防水マット(A5)の構成を示した断面図である。
【0032】
図5に示すように、吸水型防水マット(A5)は高吸水性ポリマー以外の繊維からなる不織布(15)に吹き付けた高吸水性ポリマ(21)と止水シート(20)を積層させた構造をなしている。例えば高吸水性ポリマー以外の繊維からなる不織布(15)の厚みは、0.5mmから30mmであり、吹き付けた高吸水性ポリマーの目付は100g/m2から1000g/m2あり、止水シート(20)の厚みは、0.5mmから5mmである。
【使用例】
【0033】
上記実施例1〜5において説明した吸水型防水マット(A1)・・・(A5)(総称して符号Aを使用する)は、図6〜図8の概略断面図に示されるように使用される。
【0034】
すなわち、図6は河川堤防Gの堤外側(川側)の法面G1に吸水型防水マットAを敷設した場合であり、図7は河川堤防Gの堤内側(陸側)の法面G2に吸水型防水マットAを敷設した場合であり、図8は河川堤防Gの堤外側(川側)の法面G1及び堤内側(陸側)の法面G2に吸水型防水マットAを敷設した場合である。いずれの場合においても、敷設された吸水型防水マットAの上に覆土やブロック、あるいは20cm角程度のブロックをシートやグリッドなどにより連結してマット状にしたブロックマットなどの護岸材Sを積層して完成させる。したがって、吸水型防水マットAに含まれる高吸水性ポリマーが膨潤することにより護岸性能が向上すると共に、護岸材Sを固定するピンなどを突き刺す際に形成される穴を膨潤した高吸水性ポリマーが閉塞するので、該穴からの漏水を防ぐことが可能となる。
【0035】
また、上記の図6〜図8にて示した本発明に係る吸水型防水マットAの使用例に、図9及び図10に示すような使用例を追加して使用してもよい。すなわち、図9に示す使用例は、河川堤防Gの天端G3に吸水型防水マットAを施設し、その上に護岸材Sを積層して完成させたものである。図10に示す使用例は、河川堤防Gの高水敷G4、いわゆる河川敷に吸水型防水マットAを施設し、その上に護岸材Sを積層して完成させたものである。
【0036】
さらに、本発明に係る吸水型防水マットAの敷設方法として、図6〜図10に示すような覆い被せる敷設方法に限られるものではなく、図11及び図12に示すように、の一部を地中に吸水型防水マットA埋設する敷設方法を採用してもよく、このように敷設した場合は、吸水型防水マットA自体の固定力が向上する利点がある。図11は吸水型防水マットAの端部を法面に埋め込んだ状態を示しており、図12は吸水型防水マットAを分割してそれぞれの端部を埋め込んだ状態を示している。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施例である吸水型防水マットの構成を示す概略断面図である。
【図2】本発明の第2の実施例である吸水型防水マットの構成を示す概略断面図である。
【図3】本発明の第3の実施例である吸水型防水マットの構成を示す概略断面図である。
【図4】本発明の第4の実施例である吸水型防水マットの構成を示す概略断面図である。
【図5】本発明の第5の実施例である吸水型防水マットの構成を示す概略断面図である。
【図6】河川堤防の堤外側法面に吸水型防水マットを敷設した状態を示す断面図である。
【図7】河川堤防の堤内側法面に吸水型防水マットを敷設した状態を示す断面図である。
【図8】河川堤防の堤外側法面及び堤内側法面に吸水型防水マットを敷設した状態を示す断面図である。
【図9】河川堤防の天端に吸水型防水マットを敷設した状態を示す断面図である。
【図10】河川堤防の高水敷に吸水型防水マットを敷設した状態を示す断面図である。
【図11】吸水型防水マットAの端部を法面に埋め込んだ状態を示す断面図である。
【図12】吸水型防水マットAを分割してそれぞれの端部を法面に埋め込んだ状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0038】
A(A1,A2,A3,A4,A5)・・・吸水型防水マット
11・・・繊維状の高吸水性ポリマー
12・・・高吸水性ポリマー以外の繊維
13・・・粒状の高吸水性ポリマー
14・・・高吸水性ポリマーのみの不織布
15・・・高吸水性ポリマー以外の繊維からなる不織布
16・・・シート状の高吸水性ポリマー
17・・・繊維性生地
18・・・高吸水性ポリマーを凝着させた不織布
19・・・凝着した高吸水性ポリマー
20・・・止水シート
21・・・吹き付けた高吸水性ポリマー
G・・・・河川堤防
G1・・・河川堤防の堤外側法面
G2・・・河川堤防の堤内側法面
G3・・・河川堤防の天端
G4・・・河川堤防の高水敷
S・・・・護岸材
【技術分野】
【0001】
本発明は、堤防護岸に敷設して、河川の水や雨水が堤体内に浸透するのを防ぐ遮水工法に使用する吸水型防水マットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、堤防護岸の遮水工法においては、止水シートと不織布を組み合わせた遮水マットが使用されてきた。また、吸水性を持ち、防水性を持つものには、粉状ベントナイトを不織布や織布で挟み込んだベントナイトシートが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような遮水マットは、止水性能をコントロールすることが困難であり、固定ピンによる穴からの漏水を防止できない欠点がある。また、ベントナイトシートは重量物であるため、施工性に劣るという欠点があった。
【0004】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、軽量であり、施工性に優れ、止水性をコントロールでき、固定ピンなどの打ち込みによる穴からの漏水を防止できる吸水型防水マットを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る吸水型防水マットは、堤防護岸に敷設するマットであって、高吸水性ポリマーを含むことで、吸水性を有し、防水性又は難透水性を有することを特徴とするものである。
【0006】
上記吸水型防水マットは、高吸水性ポリマーを繊維状にして不織布としてもよいし、繊維状の高吸水性ポリマーを混綿した不織布でもよい。また、不織布に粒状もしくはシート状の高吸水性ポリマーを挟み込んだり、被覆したりしてもよいし、不織布にゲル状や固形の高吸水性ポリマーを付着させた構造としてもよい。
【0007】
また、上記吸水型防水マットは、高吸水性ポリマーの密度や量を調整することにより、吸水及び防水性能を変化させることができる。
【0008】
さらに上記吸水型防水マットは、その片面又は両面に、もしくはその内部に繊維性生地を積層することで、強度を上げたり、ポリマーの流出を防いだり、他の材料との接合を向上させたりすることができる。
【0009】
さらにまた上記吸水型防水マットは、その片面又は両面に止水シートを積層することで、より高い防水性を提供することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の吸水型防水マットによれば、繊維状、粒状、シート状又はゲル状の高吸水性ポリマーが水分を吸収して大きく膨潤するので、防水性能が飛躍的に向上し、固定ピンを打ち込むことによる穴やその他の原因による穴があいても、すぐに膨潤した高吸水性ポリマーによりその穴が閉塞されるので、その穴からの漏水が防止できる。また、繊維状、粒状、シート状又はゲル状の高吸水性ポリマーは軽量であるため、当該防水マットが軽量なものとなり、施工性がよい利点がある。さらに、繊維状、粒状、シート状又はゲル状の高吸水性ポリマーは、その含有量を容易に調整することができるため、吸水性能をコントロールできる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
高吸水性ポリマー
本発明で用いる高吸水性ポリマーとしては特に限定はなく、水に不溶で、かつ水分や湿気を速やかに吸収し、非(もしくは難)生分解性であり、自重の数十倍から百倍近い水分を(例えば吸水倍率10〜400倍)吸収して膨潤する従来公知の素材(デンプン系、セルロース系、その他の多糖類系、及びタンパク質系の天然高分子類並びに、ポリビニルアルコール系、アクリル系、その他の付加重合体、ポリエーテル系、縮合系ポリマー及びその他合成高分子系の合成高分子類)が挙げられる。
【0012】
具体的には、デンプン−アクリロニトリルグラフト重合体加水分解物、デンプン−アクリル酸グラフト重合体、デンプン−スチレンスルホン酸グラフト重合体、デンプン−ビニルスルホン酸グラフト重合体、デンプン−アクリルアミドグラフト重合体、セルロース−アクリロニトリルグラフト重合体、セルロース−スチレンスルホン酸グラフト重合体、カルボキシメチルセルロースの架橋体、ヒアルロン酸、アガロース、コラーゲン及びその他のタンパク質、更に、ポリビニルアルコール架橋重合体、PVA吸水ゲル凍結・解凍エラストマー、ポリアクリル酸ナトリウム塩、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体、アクリル酸ナトリウム−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル系重合体ケン化物、ヒドロキシエチルメタクリレートポリマー、無水マレイン酸系重合体及び共重体、ビニルピロリドン系重合体及び共重合体、ポリエチレングリコール・ジアクリレート架橋重合体、エステル系ポリマー、アミド系ポリマーなどが挙げられる。
【0013】
高吸水性ポリマーの形状としては、繊維状、粒状、シート状、流動状又は繊維に凝着した固形状のものを使用する。
【0014】
不織布
吸水型防水マットを構成する不織布に使用する繊維としては、非(もしくは難)生分解性の繊維であれば特に限定はなく、例えばポリエステル繊維、アクリル樹脂繊維、ポリオレフィン繊維、ポリアミド繊維などが挙げられる。前記繊維は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても構わない。また、繊維状の高吸水性ポリマーのみでもよい。
【0015】
繊維性生地
繊維性生地としては、不織布、織布、編み物、グリッドなどが使用でき、これらを構成する繊維としては、非(もしくは難)生分解性の繊維であれば特に限定はなく、例えばポリエステル繊維、アクリル樹脂繊維、ポリオレフィン繊維、ポリアミド繊維などが挙げられる。
【0016】
止水シート
本発明で使用可能な止水シートの素材の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体などが挙げられる。これらは1種のみを単独で使用しても良いし、2種以上を併用することもできる。
【0017】
この止水シートは、前述した不織布の片面に接着方法により一体化されているが、前記不織布の上に非透水性シートを接着方法により一体化しても良いし、溶融状態にある合成樹脂を前記不織布上に流して(塗布して)フィルム状に形成しても良い。なお、前記接着方法としては、熱融着、接着剤、固定治具などの種々の方法が採用されるが、それらに限られるものではない。
【0018】
その他
吸水型防水マットの厚みとしては、例えば3mm〜30mmであることが好ましい。3mm未満であれば、高吸水性ポリマーを多く含ませることが出来ず、大きな吸水能力を期待することはできなくなる。30mmを超える場合、施工に支障が生じる可能性があるので好ましくない。
【0019】
吸水型防水マットにおける高吸水性シート中の高吸水性ポリマーの含有率としては10重量%〜90重量%であることが好ましい。10重量%未満の場合、大きな吸水能力を期待することはできなくなる。また、90重量%を超える場合、他の繊維製生地を構成する繊維の含有率が低くなり、機械的な強度を保持することが難しくなる可能性がある。吸水型防水マットにおける高吸水性ポリマー含有率のさらに好ましい範囲は30〜70重量%である。
【0020】
また、不織布および繊維性生地の積層にはニードルパンチや接着、熱融着などの方法がある。不織布および繊維性生地は2層、3層と積層させても良い。
【0021】
不織布に吹き付けもしくは含浸させ、凝着させる方法は、液状の高吸水性ポリマーを繊維からなる不織布に霧状に吹き付けたり、塗ったり、浸漬させたりする方法がある。
【0022】
以下に本発明の一実施例を図面に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【実施例1】
【0023】
図1は、吸水型防水マット(A1)の構成を示した断面図である。
【0024】
図1に示すように、吸水型防水マット(A1)は繊維状の高吸水性ポリマー(11)と、高吸水性ポリマー以外の繊維(12)からなる不織布により構成されている。不織布の厚みは、例えば3mmから30mmであり、繊維状の高吸水性ポリマー(11)の配合比率は30重量%以上である。
【実施例2】
【0025】
図2は、吸水型防水マット(A2)の構成を示した断面図である。
【0026】
図2に示す吸水型防水マット(A2)は、粒状の高吸水性ポリマー(13)を高吸水性ポリマーのみの不織布(14)と高吸水性ポリマー以外の繊維からなる不織布(15)で挟み込んだものより構成されている。例えば高吸水性ポリマーのみの不織布(14)の厚みは、3mmから10mmであり、粒状の高吸水性ポリマー(13)の目付は100g/m2から1000g/m2あり、高吸水性ポリマー以外の繊維からなる不織布(15)の厚みは、0.5mmから30mmである。
【実施例3】
【0027】
図3は、繊維性生地を積層する防水型防水マット(A3)の構成を示した断面図である。
【0028】
図3に示すように、吸水型防水マット(A3)は高吸水性ポリマー以外の繊維からなる不織布(15)とシート状の高吸水性ポリマー(16)に繊維性生地(17)を積層させた構造をなしている。例えば高吸水性ポリマー以外の繊維からなる不織布(15)の厚みは、0.5mmから30mmであり、シート状の高吸水性ポリマー(16)の厚みは、0.3mmから5mmであり繊維性生地(17)の厚みは、0.5mmから30mmである。
【実施例4】
【0029】
図4は、繊維性生地を積層する防水型防水マット(A4)の構成を示した断面図である。
【0030】
図4に示す吸水型防水マット(A4)は、高吸水性ポリマー以外の繊維(12)と凝着した高吸水性ポリマー(19)から構成される、高吸水性ポリマーを凝着させた不織布(18)と、繊維性生地(17)を積層させた構造をなしている。例えば高吸水性ポリマーを凝着させた不織布(18)の厚みは、3mmから30mmであり、繊維性生地(17)の厚みは、0.5mmから30mmである。
【実施例5】
【0031】
図5は、止水シートを積層する吸水型防水マット(A5)の構成を示した断面図である。
【0032】
図5に示すように、吸水型防水マット(A5)は高吸水性ポリマー以外の繊維からなる不織布(15)に吹き付けた高吸水性ポリマ(21)と止水シート(20)を積層させた構造をなしている。例えば高吸水性ポリマー以外の繊維からなる不織布(15)の厚みは、0.5mmから30mmであり、吹き付けた高吸水性ポリマーの目付は100g/m2から1000g/m2あり、止水シート(20)の厚みは、0.5mmから5mmである。
【使用例】
【0033】
上記実施例1〜5において説明した吸水型防水マット(A1)・・・(A5)(総称して符号Aを使用する)は、図6〜図8の概略断面図に示されるように使用される。
【0034】
すなわち、図6は河川堤防Gの堤外側(川側)の法面G1に吸水型防水マットAを敷設した場合であり、図7は河川堤防Gの堤内側(陸側)の法面G2に吸水型防水マットAを敷設した場合であり、図8は河川堤防Gの堤外側(川側)の法面G1及び堤内側(陸側)の法面G2に吸水型防水マットAを敷設した場合である。いずれの場合においても、敷設された吸水型防水マットAの上に覆土やブロック、あるいは20cm角程度のブロックをシートやグリッドなどにより連結してマット状にしたブロックマットなどの護岸材Sを積層して完成させる。したがって、吸水型防水マットAに含まれる高吸水性ポリマーが膨潤することにより護岸性能が向上すると共に、護岸材Sを固定するピンなどを突き刺す際に形成される穴を膨潤した高吸水性ポリマーが閉塞するので、該穴からの漏水を防ぐことが可能となる。
【0035】
また、上記の図6〜図8にて示した本発明に係る吸水型防水マットAの使用例に、図9及び図10に示すような使用例を追加して使用してもよい。すなわち、図9に示す使用例は、河川堤防Gの天端G3に吸水型防水マットAを施設し、その上に護岸材Sを積層して完成させたものである。図10に示す使用例は、河川堤防Gの高水敷G4、いわゆる河川敷に吸水型防水マットAを施設し、その上に護岸材Sを積層して完成させたものである。
【0036】
さらに、本発明に係る吸水型防水マットAの敷設方法として、図6〜図10に示すような覆い被せる敷設方法に限られるものではなく、図11及び図12に示すように、の一部を地中に吸水型防水マットA埋設する敷設方法を採用してもよく、このように敷設した場合は、吸水型防水マットA自体の固定力が向上する利点がある。図11は吸水型防水マットAの端部を法面に埋め込んだ状態を示しており、図12は吸水型防水マットAを分割してそれぞれの端部を埋め込んだ状態を示している。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施例である吸水型防水マットの構成を示す概略断面図である。
【図2】本発明の第2の実施例である吸水型防水マットの構成を示す概略断面図である。
【図3】本発明の第3の実施例である吸水型防水マットの構成を示す概略断面図である。
【図4】本発明の第4の実施例である吸水型防水マットの構成を示す概略断面図である。
【図5】本発明の第5の実施例である吸水型防水マットの構成を示す概略断面図である。
【図6】河川堤防の堤外側法面に吸水型防水マットを敷設した状態を示す断面図である。
【図7】河川堤防の堤内側法面に吸水型防水マットを敷設した状態を示す断面図である。
【図8】河川堤防の堤外側法面及び堤内側法面に吸水型防水マットを敷設した状態を示す断面図である。
【図9】河川堤防の天端に吸水型防水マットを敷設した状態を示す断面図である。
【図10】河川堤防の高水敷に吸水型防水マットを敷設した状態を示す断面図である。
【図11】吸水型防水マットAの端部を法面に埋め込んだ状態を示す断面図である。
【図12】吸水型防水マットAを分割してそれぞれの端部を法面に埋め込んだ状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0038】
A(A1,A2,A3,A4,A5)・・・吸水型防水マット
11・・・繊維状の高吸水性ポリマー
12・・・高吸水性ポリマー以外の繊維
13・・・粒状の高吸水性ポリマー
14・・・高吸水性ポリマーのみの不織布
15・・・高吸水性ポリマー以外の繊維からなる不織布
16・・・シート状の高吸水性ポリマー
17・・・繊維性生地
18・・・高吸水性ポリマーを凝着させた不織布
19・・・凝着した高吸水性ポリマー
20・・・止水シート
21・・・吹き付けた高吸水性ポリマー
G・・・・河川堤防
G1・・・河川堤防の堤外側法面
G2・・・河川堤防の堤内側法面
G3・・・河川堤防の天端
G4・・・河川堤防の高水敷
S・・・・護岸材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
堤防護岸に敷設するマットであって、繊維状又は粒状又はシート状又はゲル状のうちのいずれか一つ又は複数の高吸水性ポリマーを含む不織布であり、吸水性を有し、防水性又は難透水性を有することを特徴とする吸水型防水マット。
【請求項2】
堤防護岸に敷設するマットであって、不織布に高吸水性ポリマーを吹き付けもしくは含浸させ、凝着させたものであり、吸水性を有し、防水性又は難透水性を有することを特徴とする吸水型防水マット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吸水型防水マットの片面又は両面、もしくは内部に繊維性生地を積層したものであることを特徴とする吸水型防水マット。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の吸水型防水マットの片面又は両面に止水シートを積層したことを特徴とする吸水型防水マット。
【請求項1】
堤防護岸に敷設するマットであって、繊維状又は粒状又はシート状又はゲル状のうちのいずれか一つ又は複数の高吸水性ポリマーを含む不織布であり、吸水性を有し、防水性又は難透水性を有することを特徴とする吸水型防水マット。
【請求項2】
堤防護岸に敷設するマットであって、不織布に高吸水性ポリマーを吹き付けもしくは含浸させ、凝着させたものであり、吸水性を有し、防水性又は難透水性を有することを特徴とする吸水型防水マット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吸水型防水マットの片面又は両面、もしくは内部に繊維性生地を積層したものであることを特徴とする吸水型防水マット。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の吸水型防水マットの片面又は両面に止水シートを積層したことを特徴とする吸水型防水マット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−16529(P2007−16529A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−200976(P2005−200976)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【出願人】(390039114)株式会社田中 (21)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【出願人】(390039114)株式会社田中 (21)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]