説明

吸水性ポリマーの製造方法及び吸収性樹脂粒子

【課題】
多糖類を用いた吸水性ポリマーであって、高い吸水性能を発揮する吸水性ポリマーを製造する方法を提供することである。
【解決手段】
イオン液体の存在下、セルロースとエーテル化剤及び/又はエステル化剤とを反応させて変性セルロースを得る工程を含むことを特徴とする吸水性ポリマーの製造方法を用いる。
さらに、変性セルロースと架橋剤とを反応させて架橋セルロースを得る工程を含むことが好ましい。また、この製造方法で得た吸水性ポリマーと、架橋ポリアクリル酸(塩)とを含む吸収性樹脂粒子を用いる。吸水性ポリマー及び架橋ポリアクリル酸(塩)の重量に基づいて、吸水性ポリマーの含有量が15〜95重量%、架橋ポリアクリル酸(塩)の含有量が5〜85重量%であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性ポリマー及び吸収性樹脂粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
多糖類(カルボキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルデンプン等)をアミノ酸により架橋させてなる吸収性樹脂が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平8−89796号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多糖類をアミノ酸により架橋させた吸収性樹脂では、吸収性能が低いという欠点がある。
すなわち、本発明の目的は、多糖類を用いた吸水性ポリマーであって、高い吸水性能を発揮する吸水性ポリマーを製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の吸水性ポリマーの製造方法の特徴は、イオン液体の存在下、セルロースとエーテル化剤及び/又はエステル化剤とを反応させて変性セルロースを得る工程を含む点を要旨とする。また、さらに、変性セルロースと架橋剤とを反応させて架橋セルロースを得る工程を含むことが好ましい。
【0005】
また、本発明の吸収性樹脂粒子の特徴は、上記製造方法で得た吸水性ポリマーと、架橋ポリアクリル酸(塩)とを含む点を要旨とする。また、吸水性ポリマー及び架橋ポリアクリル酸(塩)の重量に基づいて、吸水性ポリマーの含有量が15〜95重量%、架橋ポリアクリル酸(塩)の含有量が5〜85重量%であることが好ましい。
【0006】
また、本発明の吸収体の特徴は、上記の吸収性樹脂粒子を用いた点を要旨とする。
また、本発明の吸収性物品の特徴は、上記の吸収体を用いた点を要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の吸水性ポリマーの製造方法によると、多糖類(セルロース)を用いているにもかかわらず、高い吸水性能を発揮する吸水性ポリマーを容易に製造できる。
また、本発明の吸収性樹脂粒子は、多糖類(セルロース)を用いているにもかかわらず、高い吸水性能を発揮する。
また、本発明の吸収体は、上記の吸収性樹脂粒子を用いているため、高い吸収性能を発揮する。
また、本発明の吸収性物品は、上記の吸収体を用いているため、高い吸収性能を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
イオン液体は、セルロースを均一に溶解できるイオン液体であれば特に限定はない。
なお、セルロースは、結晶性が高く、一般の単純溶媒{ヘキサン、トルエン、テトラハイドロフラン、ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシド等}には溶解しない。セルロースを均一に溶解できるもの{特開2006−223152、特開2006−008866、特開2005−076026、特開2002−178387、特開平10−080942、特開平09−164200、特開2002−028968、特開2001−017072、特開2000−117116、特開平11−315151、特開平11−279323、特開平10−272675、特開平10−272674又は特開平08−225681の各公報に記載されたセルロース溶剤若しくはセルロース溶媒}であれば、イオン液体に換えて、又はイオン液体と共に使用することができる。
【0009】
イオン液体としては、アミジニウムカチオンとアニオンとから構成されるイオン液体及びグアニジニウムカチオンとアニオンとから構成されるイオン液体が含まれる。
【0010】
アミジニウムカチオンとしては、イミダゾリニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、テトラヒドロピリミジニウムカチオン及びジヒドロピリミジニウムカチオン等が使用できる。
【0011】
イミダゾリニウムカチオンとしては、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1,3,4−トリメチル−2−エチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチルイミダゾリニウム及び1,3−ジメチル−2,4−ジエチルイミダゾリニウム等が挙げられる。
【0012】
イミダゾリウムカチオンとしては、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム及び1,2,3−トリメチルイミダゾリウム等が挙げられる。
【0013】
テトラヒドロピリミジニウムカチオンとしては、1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3,4−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム及び1,2,3,5−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム等が挙げられる。
【0014】
ジヒドロピリミジニウムカチオンとしては、1,3−ジメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウム、1,3−ジメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウム、1,2,3−トリメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウム、1,2,3−トリメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウム、1,2,3,4−テトラメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウム及び1,2,3,4−テトラメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウム等が挙げられる。
【0015】
グアニジニウムカチオンとしては、イミダゾリニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン、イミダゾリウム骨格を有するグアニジニウムカチオン、テトラヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン及びジヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン等が使用できる。
【0016】
イミダゾリニウム骨格を有するグアニジニウムカチオンとしては、2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチルイミダゾリニウム及び2−ジメチルアミノ−1−メチル−3,4−ジエチルイミダゾリニウム等が挙げられる。
【0017】
イミダゾリウム骨格を有するグアニジニウムカチオンとしては、2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチルイミダゾリウム及び2−ジメチルアミノ−1−メチル−3,4−ジエチルイミダゾリウム等が挙げられる。
【0018】
テトラヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジニウムカチオンとしては、2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム及び2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム等が挙げられる。
【0019】
ジヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジニウムカチオンとしては、2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチル−1,4−ジヒドロピリミジニウム及び2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチル−1,6−ジヒドロピリミジニウム等が挙げられる。
【0020】
アニオンとしては、ハロゲンアニオン、擬ハロゲンアニオン、カルボン酸アニオン、超強酸アニオン、スルホン酸アニオン及びリン酸アニオン等が使用できる。
【0021】
ハロゲンアニオンとしては、塩素アニオン、臭素アニオン及びヨウ素アニオン等が挙げられる。
【0022】
擬ハロゲンアニオンとしては、シアンアニオン(CN)、チオシアネートアニオン(SCN)、シアネートアニオン(OCN)、フルミネートアニオン(CNO)及びアジドアニオン(N)等が挙げられる。
【0023】
カルボン酸アニオンとしては、炭素数1〜18のモノカルボン酸アニオン及びジカルボン酸アニオン等が用いられ、ギ酸アニオン、酢酸アニオン、フマル酸アニオン、シュウ酸アニオン、乳酸アニオン及びピルビン酸アニオン等が挙げられる。
【0024】
超強酸アニオンとしては、ホウフッ素酸アニオン、四フッ化ホウ素酸アニオン、過塩素酸アニオン、六フッ化リン酸アニオン、六フッ化アンチモン酸アニオン及び六フッ化ヒ素酸アニオン等が挙げられる。
【0025】
スルホン酸アニオンとしては、炭素数1〜26のスルホン酸等が用いられ、メタンスルホン酸アニオン、p−トルエンスルホン酸アニオン、オクチルベンゼンスルホン酸アニオン、ドデシルベンゼンスルホン酸アニオン、ラウリルベンゼンスルホン酸アニオン、オクタデシルベンゼンスルホン酸アニオン、エイコシルベンゼンスルホン酸アニオン、オクタンスルホン酸アニオン、ドデカンスルホン酸アニオン及びエイコサンスルホン酸アニオン等が挙げられる。
【0026】
リン酸アニオンとしては、リン酸アニオン(PO)及び炭素数1〜40のリン酸エステルアニオン等が用いられ、リン酸アニオン、メチルリン酸モノエステルアニオン、オクチルリン酸モノエステルアニオン、オクチルリン酸ジエステルアニオン、ラウリルリン酸モノエステルアニオン、ラウリルリン酸ジエステルアニオン、ステアリルリン酸モノエステルアニオン、ステアリルリン酸ジエステルアニオン、エイコシルリン酸モノエステルアニオン及びエイコシルリン酸ジエステルアニオン等が挙げられる。
【0027】
これらのイオン液体のうち、セルロースの溶解性の観点等から、100℃で液状であるイオン液体{イミダゾリウムカルボキシレート及びイミダゾリウムハロゲン等}が好ましく、さらに好ましくはイミダゾリウムアセテート及びイミダゾリウムクロライド、特に好ましくは1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド及び1−エチル−2,3−メチルイミダゾリウムアセテートである。
【0028】
セルロースとしては、植物セルロース{綿リンター、木材パルプ又は溶解パルプ等から得られる。}、バクテリアセルロース{アセトバクター属等に属する微生物が産出する。}、再生セルロース、微結晶セルロース及び天然多糖類等が使用できる。
【0029】
セルロースは、イオン液体との接触面積が大きい形状が好ましく、粉末状が好ましい。
【0030】
セルロースの使用量(重量部)は、イオン液体100重量部に対して、1〜180が好ましく、さらに好ましくは5〜87、特に好ましくは10〜71である。この範囲であると、セルロースとエーテル化剤及び/又はエステル化剤とがさらに良好に反応する。
【0031】
エ−テル化剤としては、炭素数2〜4のアルキレンオキシド、モノハロゲン化酢酸、炭酸ジアルキル及び硫酸ジアルキル等が含まれる。
【0032】
炭素数2〜4のアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシ等が挙げられる。
【0033】
モノハロゲン化酢酸としては、モノクロル酢酸及びモノブロム酢酸等が挙げられる。
【0034】
炭酸ジアルキルとしては、炭酸ジメチル及び炭酸ジエチル等が挙げられる。
【0035】
硫酸ジアルキルとしては、硫酸ジメチル及び硫酸ジエチル等が挙げられる。
【0036】
これらのエーテル化剤のうち、製造コスト及び吸水性能の観点等から、アルキレンオキシド及びモノハロゲン化酢酸が好ましく、さらに好ましくはモノハロゲン化酢酸である。
【0037】
エステル化剤としては、有機エステル化剤及び無機エステル化剤が含まれる。
有機エステル化剤としては、炭素数4〜20のカルボン酸無水物、炭素数2〜20のカルボン酸ハライド及び炭素数1〜20の有機酸等が使用できる。
【0038】
カルボン酸無水物としては、無水マレイン酸及び無水フタル酸等が挙げられる。
【0039】
カルボン酸ハライドとしては、酢酸クロリド、マレイン酸クロリドフタル酸ブロミド及びコハク酸クロリド等が挙げられる。
【0040】
有機酸としては、ヘキサンジカルボン酸、マレイン酸、フタル酸、ヘキサントリカルボン酸及びベンゼントリカルボン酸等が挙げられる。
【0041】
無機エステル化剤としては、無機酸及び無機ハライド等が使用できる。
無機酸としては、硫酸、硝酸及びリン酸等が挙げられる。
【0042】
無機ハライドとして、クロロ硫酸及びブロモ硫酸等が挙げられる。
【0043】
これらのエステル化剤のうち、製造コスト及び吸水性能の観点等から、有機カルボン酸無水物、有機カルボン酸ハライド及び無機ハライドが好ましく、さらに好ましくは有機カルボン酸無水物である。
【0044】
エーテル化剤及び/又はエステル化剤の使用量(重量部;これらの両方を使用する場合はこれらの重量部)は、セルロース100重量部に対して、10〜500が好ましく、さらに好ましくは40〜400、特に好ましくは76〜300である。この範囲であると、セルロースとエーテル化剤及び/又はエステル化剤とがさらに良好に反応する。
【0045】
イオン液体の存在下、セルロースとエーテル化剤及び/又はエステル化剤とを反応させて変性セルロースを得る工程において、(1)セルロースはイオン液体に溶解させた後、エーテル化剤及び/又はエステル化剤と反応させてもよいし、(2)エーテル化剤及び/又はエステル化剤をイオン液体に溶解させた後、セルロースと反応させてもよいし、(3)イオン液体に、セルロースとエーテル化剤及び/又はエステル化剤とを溶解させた後、これらを反応させてもよいし、(4)イオン液体に、セルロースとエーテル化剤及び/又はエステル化剤とを溶解させながら、これらを反応させてもよい。
【0046】
セルロースとエーテル化剤との反応には、反応促進剤が使用することが好ましい。
反応促進剤としては、有機アルカリ及び無機アルカリが含まれる。
有機アルカリしては、アミン、第四級アンモニウム水酸化物及びアミジン骨格含有化合物等が使用できる。
【0047】
アミンとしては、炭素数1〜8のアルキルを持つ1〜3級アミン{メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、トリメチルアミン及びトリエチルアミン等}、炭素数2〜6のアルキレンを持つ(ポリ)アルキレンポリアミン{エチレンジアミン、ジエチレントリアミン及びテトラメチレンジアミン等}、及び炭素数2〜6のヒドロキシアルキルを持つアルカノールアミン{モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等}及びヒドラジン等が挙げられる。
【0048】
第四級アンモニウム水酸化物としては、炭素数1〜6のアルキルを4つ持つアンモニウム{テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラn−又はi−プロピルアンモニウム、テトラn−、i−又はt−ブチルアンモニウム、テトラペンチルアンモニウム、テトラヘキシルアンモニウム、トリメチルエチルアンモニウム及びジメチルジエチルアンモニウム}水酸化物等が挙げられる。
【0049】
アミジン骨格含有化合物としては、グアニジン{グアニジン、メチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、エチルグアニジン、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−2H−ピリミド[1,2−a]ピリミジン及び1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−1−メチル−2H−ピリミド[1,2a]ピリミジン等}、環式又は非環式のアミジン{1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7及び1,6−ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5等}等が挙げられる。
【0050】
無機アルカリとしては、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物等が使用できる。
【0051】
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等が挙げられる。
【0052】
アルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウム等が挙げられる。
【0053】
これらの反応促進剤のうち、使用量が少ないという観点及び変性セルロース中の金属含有量が少ないという観点から、有機アルカリが好ましく、さらに好ましくはアミン及び第四級アンモニウム水酸化物、特に好ましくはトリメチルアミン及びテトラメチルアンモニウム水酸化物、最も好ましくはテトラメチルアンモニウム水酸化物である。
【0054】
反応促進剤を用いる場合、この使用量(当量)は、セルロースの水酸基1当量に対して、0.02〜5が好ましく、さらに好ましくは0.05〜2である。この範囲であると、セルロースとエーテル化剤との反応がさらに効率よく進行する。
【0055】
セルロースとエステル化剤との反応には反応促進剤を使用する必要はない。しかし、公知のエステル化触媒{硫酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸及びトリエチルアミン等}を使用してもよい。
【0056】
セルロースとエーテル化剤及び/又はエステル化剤との反応温度(℃)は、50〜140が好ましく、さらに好ましくは60〜120である。この範囲であると、セルロースとエーテル化剤との反応がさらに効率よく進行する。
【0057】
セルロースとエーテル化剤との反応時間(時間)は、1〜20が好ましく、さらに好ましくは2〜10である。この範囲であると、セルロースとエーテル化剤との反応がさらに効率よく進行する。
【0058】
セルロースとエステル化剤との反応時間(時間)は、0.5〜10が好ましく、さらに好ましくは1〜5である。この範囲であると、セルロースとエステル化剤との反応がさらに効率よく進行する。
【0059】
セルロースとエーテル化剤及び/又はエステル化剤とを反応させて得られる反応液を、大量の熱水{この反応液の3〜50倍の重量の熱水(60〜100℃、好ましくは70〜100℃、さらに好ましくは80〜100℃)}に、攪拌しながら投入すると、変性セルロースを粉末状(粒子径600〜1000μm程度)で析出させることができる。
【0060】
析出した変性セルロースは、デカンテーション、ろ過及び/又は遠心分離等により、変性セルロースを分離することができる。分離した変性セルロースは、熱水洗浄及び/又はスチーム洗浄することができる。
【0061】
このようにして得られる変性セルロースの置換度は、吸水性能の観点等から、1〜3が好ましく、さらに好ましくは2〜3、特に好ましくは2.5〜3である。
【0062】
なお、置換度とは、グルコース環の3個の水酸基{グルコース環の1位、4位の水酸基を含まない}のうち、エーテル化剤及び/又はエステル化剤との反応により変性された水酸基の個数{平均値}を意味する。そして、置換度は、以下の手順で求められる{参考:Hondges.K.L.、分析化学(Analytical Chemistry)、第51巻、1979年、2172頁;SteadHindley、J.Chromatog、1969年、470−475頁等}。
【0063】
1.水酸化カリウム水溶液で煮沸して、セルロースとエステル化剤との結合を開裂させた後、中和して、エステル化剤に対応する無機酸又はカルボン酸を得る。さらに、臭化水素酸又はヨウ化水素酸によって、セルロースとエーテル化剤との結合を開裂させ、エーテル化剤に対応する臭化物又はヨウ化物を得る。
2.得られたもの{エステル化剤に対応するもの又はエーテル化剤に対応するもの;以下分析物と略する。}の中を公知の定性分析(GC−MS、NMR,IR、滴定等)により、無機酸、カルボン酸、臭化物及び/又はヨウ化物の存在を特定する。
3.分析物の量を、公知の方法{イオンクロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィー等}によって定量して、一定量{Xg}の変性セルロースをエーテル化剤及び/又はエステル化剤によって変性していた変成基の量{Y1g、Y2mol}を得る。
4.一定量{Xg}の変性セルロースからエーテル化剤及び/又はエステル化剤によって変性された変成基の量{Y1g}を差し引いたセルロース残基の重さ(X−Y1)に、変性基の量{Y2モル}に対応する水素原子の重さを加算し、さらに末端の水酸基及び水素原子の重さ{18}を差し引いて、セルロースの構成単位{C10}の量{(X−Y1)+Y2−18}を求め、この値をグルコース環の水酸基{グルコース環の1位、4位の水酸基を含まない}1個あたりの分子量54{162÷3=54}で除算して、一定量{Xg}の変性セルロースに含まれている水酸基{グルコース環の1位、4位の水酸基を含まない}のモル数<{(X−Y1)+Y2−18}/54>を求め、変成基の量{Y2mol}をこのモル数で除算することにより、変性度を求める。すなわち、次式から変性度が求められる。
【0064】
(変性度)=Y2/<{(X−Y1)+Y2−18}/54>
【0065】
このようにして得られる変性セルロースは、公知の乾燥方法により乾燥して、このまま吸水性ポリマーとしてもよいが、さらに、架橋剤とを反応させて架橋セルロースとすることが好ましい。
【0066】
架橋剤としては、公知の架橋剤{特開昭59−189103号公報等に記載の多価グリシジル;特開昭58−180233号公報又は特開昭61−16903号公報等に記載の多価アルコール、多価アミン、多価アジリジン及び多価イソシアネート;特開昭61−211305号公報又は特開昭61−252212号公報等に記載のシランカップリング剤;特開昭51−136588号公報又は特開昭61−257235号公報等に記載の多価金属;並びに特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報又は特開2005−95759号公報に記載の水溶性多官能モノマー等}が使用できる。
【0067】
これらの架橋剤のうち、比較的低い温度で架橋反応が進行するという観点から、多価グリシジル、多価アミン、多価アルコール、多価カルボン酸、多価イソシアネート及びシランカップリング剤が好ましく、さらに好ましくは多価グリシジル及びシランカップリング剤、特に好ましくは多価グリシジル、最も好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。
【0068】
架橋剤を使用する場合、この使用量(重量%)は、変性セルロースの重量に基づいて、0.001〜5が好ましく、さらに好ましくは0.005〜3、特に好ましくは0.01〜1である。この範囲であると、吸水性能がさらに良好となる。
【0069】
架橋反応の方法としては、吸水性樹脂に関する公知の表面架橋反応の方法が適用でき、たとえば、架橋剤、水及び有機溶媒からなる混合液と、変性セルロースとを混合して、加熱下に反応させる方法が含まれる。この場合、水の量(重量%)は、架橋反応の効率の観点から、変性セルロースの重量に基づいて、1〜1000が好ましく、さらに好ましくは10〜500、特に好ましくは100〜400である。有機溶媒としては、公知の親水性溶媒等が使用でき、メタノール及びジエチレングリコール等が好ましい。有機溶媒の量(重量%)は、架橋反応の効率の観点から、変性セルロースの重量に基づいて、1〜300が好ましく、さらに好ましくは10〜100である。加熱温度(℃)は、架橋剤の種類等によって適宜決定されるが、80〜200が好ましく、さらに好ましくは90〜180、特に好ましくは100〜160である。反応時間(分)は、反応温度等により適宜決定されるが、3〜60が好ましく、さらに好ましくは4〜50、特に好ましくは5〜40である。
【0070】
このようにして得られる架橋セルロースは、公知の乾燥方法により乾燥して、このまま吸水性ポリマーとしてもよく、また、公知の粉砕方法により粉砕したり、公知の方法により粒度調整したりして吸水性ポリマーとしてもよい。
【0071】
このようにして得られる吸水性ポリマーはこのまま使用に供してもよいが、架橋ポリアクリル酸(塩)と共に、吸収性樹脂粒子とすることが好ましい。
【0072】
架橋ポリアクリル酸(塩)としては、公知のもの{特開昭55−133413号公報、特公昭54−30710号公報、特開昭56−26909号公報、特開平11−5808号公報、特開2003−052742号公報、特開2003−082250号公報、特開2003−165883号公報、特開2003−176421号公報、特開2003−183528号公報、特開2003−192732号公報、特開2003−225565号公報、特開2003−238696号公報、特開2003−335970号公報、特開2004−091673号公報、特開2004−121400号公報、特開2004−123835号公報、特開2005−075982号公報、特開2005−095759号公報、特開2005−097569号公報、特開2005−186015号公報、特開2005−186016号公報、特開2005−247931号公報、特開2006−057040号公報、特開2006−110545号公報、特開2006−122737号公報、特開2006−131767号公報、特開2006−160774号公報、特開2006−206777号公報、特開2006−219661号公報又は特開2007−024496号公報等に記載された架橋ポリアクリル酸(塩)等}等が使用できる。なお、架橋ポリアクリル酸(塩)は表面架橋しているものでも、していないものでもよい。
【0073】
吸水性ポリマーの含有量(重量%)は、吸水性ポリマー及び架橋ポリアクリル酸(塩)の重量に基づいて、15〜95が好ましく、さらに好ましくは20〜80、特に好ましくは30〜70である。この範囲であると、吸水特性がさらに良好となる。
【0074】
架橋ポリアクリル酸(塩)の含有量(重量%)は、吸水性ポリマー及び架橋ポリアクリル酸(塩)の重量に基づいて、5〜85が好ましく、さらに好ましくは15〜80、特に好ましくは30〜70である。この範囲であると、吸水特性がさらに良好となる。
【0075】
吸収性樹脂粒子は、吸水性ポリマー及び架橋ポリアクリル酸(塩)を含有すればよく、(1)吸水性ポリマーの存在下でアクリル酸(塩)を重合して得てもよいし、(2)吸水性ポリマーとアクリル酸(塩)とを混合して得てもよい。また、変性セルロースと架橋剤とを反応させて架橋セルロースを得る工程は、架橋ポリアクリル酸(塩)の存在下で行ってもよい。
【0076】
吸収性樹脂粒子は、公知の方法により、乾燥、粉砕、粒度調整及び/又は表面架橋されてもよい。
【0077】
本発明の製造方法で得られる吸水性ポリマーや本発明の吸収性樹脂粒子には、公知の添加剤{特開2003−225565号公報、特開2006−131767号公報等に記載の防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤、無機質粉末及び/又は有機質繊維状物等}等を含有させることができる。
【0078】
本発明の製造方法で得られる吸水性ポリマーや本発明の吸収性樹脂粒子は、公知の吸収体{特開2003−225565号公報、特開2006−131767号公報、特開2005−097569号公報等}等に適用でき、この吸収体を用いて吸収性物品を製造し得る。
【実施例】
【0079】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に定めない限り、部は重量部、%は重量%を示す。なお、吸水特性{吸水倍率、保水量、荷重下吸収量}及び吸収性物品の性能評価は次の方法により行った。
【0080】
<吸水倍率の測定法>
目開き63μmのナイロン網で作成したティーバッグ(縦20cm、横10cm)に測定試料1.00gを入れ、生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)1,000ml中に無撹拌下、1時間浸漬した後、15分間吊るして水切りしてから重量(X1)を測定し、次式から吸水倍率を測定した。なお、使用する生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃である。
【0081】
{吸水倍率(g/g)}=(x1)−(x2)
【0082】
(X2)は、測定試料の無い場合について上記と同様の操作により計測したティーバックの重量である。
【0083】
<保水量の測定法>
目開き63μm(JIS Z8801−1:2006)のナイロン網で作成したティーバッグ(縦20cm、横10cm)に測定試料1.00gを入れ、生理食塩水(食塩濃度0.9%)1000ml中に無撹拌下、1時間浸漬した後、測定試料ごとティーバックを15分間吊るして水切りした。その後、ティーバッグを遠心分離器にいれ、150Gで90秒間遠心脱水して余剰の生理食塩水を取り除き、ティーバックを含めた重量(h1)を測定し、次式から保水量を求めた。なお、使用した生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃であった。
【0084】
{保水量(g/g)}=(h1)−(h2)
【0085】
(h2)は、測定試料の無い場合について上記と同様の操作により計測したティーバックの重量である。
【0086】
<荷重下吸収量の測定法>
目開き63μm(JIS Z8801−1:2006)のナイロン網を底面に貼った円筒型プラスチックチューブ(内径:25mm、高さ:34mm)内に、測定試料{250μmフルイ及び500μmフルイでふるい分けしたもの}0.16gを秤量し、円筒型プラスチックチューブを垂直にしてナイロン網上に試料がほぼ均一厚さになるように整えた後、この試料の上に、分銅(重量:100g、外径:24.5mm、)を乗せた。この円筒型プラスチックチューブ全体の重量(M1)を計量した後、生理食塩水(食塩濃度0.9%)60mlの入ったシャーレ(直径:12cm)の中に試料及び分銅の入ったプラスチックチューブを垂直に立ててナイロン網側を下面にして浸し、60分静置した。60分後に、円筒型プラスチックチューブをシャーレから引き上げ、斜めに傾け、垂れた水滴を除去した後、測定試料及び分銅の入った円筒型プラスチックチューブ全体の重量(M2)を計量し、次式から加圧下吸収量を求めた。なお、使用した生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃であった。
【0087】
荷重下吸収量(g/g)={(M2)−(M1)}/0.16
【0088】
<吸収性物品の性能評価(SDME表面ドライネス)>
フラッフパルプ100部と、測定試料10部とを気流型混合装置{株式会社オーテック社製パッドフォーマー}で混合して混合物を得た。この混合物を坪量約1.3g/cmとなるように、吸水紙(坪量15.5g/m、アドバンテック社製、フィルターペーパー2番、14cm×6cm)上へ均一に積層し、5Kg/cmの圧力で30秒間プレスしてから、14cm×36cmの長方形に裁断し、吸水紙を覆い被せて吸収体を作成した。
そして、吸収体に、ポリエチレンシート(タマポリ社製ポリエチレンフィルムUB−1)を裏面に、不織布(坪量20.0g/m:旭化成社製エルタスガード)を表面に配置することにより、評価用の吸収性物品を得た。
【0089】
ついで、評価用の吸収性物品について、SDMEによる表面ドライネス値を次のようにして測定した。
SDME(Surface Dryness Measurement Equipment)試験器(WK system社製)の検出器を、十分に湿らした測定試料{評価用吸収性物品を覆う程度の生理食塩水に浸し、60分放置して調製した。}の上に置き、0%ドライネス値を設定し、次に、SDME試験器の検出器を、乾いた測定試料{評価用吸収性物品を80℃、2時間加熱乾燥して調製した。}の上に置き、100%ドライネスを設定し、SDME試験器の校正を行った。
次に、評価用吸収性物品の中央に金属リング(内径70mm、外径80mm長さ50mm、重量300g)をセットし、生理食塩水80mlを注入し、注入後直ちに金属リングを取り去くと同時に、評価用吸収性物品の中央にSDME検出器を載せて測定を開始した。測定開始後、5分後の値をSDMEによる表面ドライネス値とした。
【0090】
<製造例1>
攪拌機、冷却管、温度計を備えたオートクレーブ中で、イオン液体(1−エチル−2,3−メチルイミダゾリウムアセテート)100部、25%テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド水溶液134部及びセルロース{日本製紙ケミカル(株)製、 重合度=約1,200}10部を、50℃で1時間攪拌して、均一混合物を得た。ついで、この混合物を80℃まで昇温させ、減圧下80℃で1時間撹拌して水分を9.0%以下まで脱水した。なお、水分は,赤外線加熱型測定器{FD−230、Kett株式会社、試料5g、125±1℃、15分}で測定した{以下同様である。}。
【0091】
その後、混合物にエーテル化剤{モノクロル酢酸}30部を添加した後、120℃に昇温し、120℃で2時間反応させた。その後、反応液を80℃の熱水8600部に投入し固形物を析出させた。析出した固形物を遠心分離機{18,000G、30分間}を用いて分離した後、脱イオン水200部で水洗操作及び分離する操作を4回繰り返した。引き続き、70℃で24時間減圧乾燥して、変性セルロース(A1)18.5部を得た。変性セルロース(A1)の置換度は3であった。
【0092】
<製造例2>
攪拌機、冷却管、温度計を備えたオートクレーブ中で、イオン液体(1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド)14.1部、25%テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド水溶液3.35部及びセルロース{日本製紙ケミカル(株)製、 重合度=約1,200}10部を、50℃で1時間攪拌して、均一混合物を得た。ついで、この混合物を80℃まで昇温させ、減圧下80℃で1時間撹拌して水分を9.0%以下まで脱水した。
【0093】
その後、60℃に調整した混合物にエーテル化剤{モノクロル酢酸}19部を添加した後、60℃で10時間反応させた。その後、反応液を100℃の熱水131部に投入し固形物を析出させた。析出した固形物を遠心分離機{18,000G、30分間}を用いて分離した後、脱イオン水200部で水洗操作及び分離する操作を4回繰り返した。引き続き、70℃で24時間減圧乾燥して、変性セルロース(A2)18.5部を得た。変性セルロース(A2)の置換度は2.5であった。
【0094】
<製造例3>
攪拌機、冷却管、温度計を備えたオートクレーブ中で、イオン液体(1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド)100部及びセルロース{日本製紙ケミカル(株)製、 重合度=約1,200}10部を、減圧下80℃で1時間撹拌して、水分を6.0%以下に脱水した後、エステル化剤{無水酢酸}15.6部を滴下して、120℃で1時間反応させた。その後、反応液を85〜90℃の熱水1,000部に投入し固形分を析出させた。析出した固形分を遠心分離機{18,000G、30分間}を用いて分離した後、脱イオン水200部で水洗操作及び分離する操作を4回繰り返した。引き続き、70℃で24時間減圧乾燥して、変性セルロース(A3)14.7部を得た。変性セルロース(A3)の置換度は、2.5であった。
【0095】
<製造例4>
エーテル化剤{モノクロル酢酸}の使用量を30部から15.2部に変更したこと、及び25%テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド水溶液の使用量を134部から335部に変更したこと以外、製造例1と同様にして変性セルロース(A4)を得た。変性セルロース(A4)の置換度は2.0であった。
【0096】
<製造例5>
エーテル化剤{モノクロル酢酸}の使用量を30部から7.6部に変更したこと、及び25%テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド水溶液の使用量を134部から1.34部に変更したこと以外、製造例1と同様にして変性セルロース(A5)を得た。変性セルロース(A5)の置換度は1.0であった。
【0097】
<製造例6>
エステル化の反応条件を120℃、1時間から60℃、5時間に変更したこと以外、製造例3と同様にして変性セルロース(A6)を得た。変性セルロース(A6)の置換度は2.5であった。
【0098】
<実施例1>
製造例1で得た変性セルロース(A1)10部を脱イオン水90部に分散させた後、30%水酸化ナトリウム水溶液17.4部を添加して変性セルロース水溶液を得た。ついで、この水溶液に、架橋剤{エチレングリコールジグリシジルエーテル}0.1部を加え、密閉下で90℃、3時間架橋反応をおこない、ゲル状体を得た。このゲル状体を140℃、風速2.0m/秒の条件の通気型バンド乾燥機で乾燥し、乾燥体を得た。この乾燥体を市販のジューサーミキサー(Oster社製 OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、ふるい分けして、目開き710〜150μmの粒子径範囲に調整して、吸水性ポリマー(1)を得た。
【0099】
<実施例2>
製造例1で得た変性セルロース(A1)を製造例2で得た変性セルロース(A2)に変更したこと、及び架橋剤の使用量を0.1部から0.01部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、吸水性ポリマー(2)を得た。
【0100】
<実施例3>
製造例1で得た変性セルロース(A1)を製造例4で得た変性セルロース(A4)に変更したこと、及び架橋剤の使用量を0.1部から0.3部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、吸水性ポリマー(3)を得た。
【0101】
<実施例4>
製造例1で得た変性セルロース(A1)を製造例5で得た変性セルロース(A5)に変更したこと、及び架橋剤の使用量を0.1部から0.0005部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、吸水性ポリマー(4)を得た。
【0102】
<実施例5>
製造例1で得た変性セルロース(A1)を製造例3で得た変性セルロース(A3)に変更したこと、及び架橋剤の使用量を0.1部から0.5部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、吸水性ポリマー(5)を得た。
【0103】
<実施例6>
製造例1で得た変性セルロース(A1)を製造例2で得た変性セルロース(A2)部に変更したこと、及び架橋剤の使用量を0.1部から0.0001部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、吸収性ポリマー(6)を得た。
【0104】
<実施例7>
アクリル酸60部、製造例2で得た変性セルロース(A2)1401.1部、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.3部及びイオン交換水3441部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.003部、2%アスコルビン酸水溶液0.006部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が80℃に達した後、80±2℃で約5時間重合することによりゲル状含水重合体を得た。なお、溶存酸素は、ポーラログラフィ電極{インライン用酸素センサー32−248−7501、メトラー・トレンド株式会社}及びDOメーター{UC−12−SOL、セントラル科学株式会社}を用いて測定した。
【0105】
次にこのゲル状含水重合体をミンチ機(ROYAL社製 12VR−400K)で細断しながら、30%水酸化ナトリウム水溶液83.3部を添加して混合・中和し、中和重合体を得た。ついで、中和重合体を140℃、風速2.0m/秒の条件の通気型バンド乾燥機で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体を市販のジューサーミキサー(Oster社製 OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、ふるい分けして、目開き710〜150μmの粒子径範囲に調整して、乾燥粒子を得た。ついで、乾燥粒子50部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、濃度10%のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液0.14部を添加し均一混合した後、150℃で30分間静置して、本発明の吸収性樹脂粒子(1)を得た。
【0106】
<実施例8>
製造例2で得た変性セルロース(A2)の使用量を1401.1部から417.9部に変更したこと、及びエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液の使用量を0.14部から0.21に変更したこと以外、実施例7と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(2)を得た。
【0107】
<実施例9>
製造例2で得た変性セルロース(A2)の使用量を1401.1部から172.1部に変更したこと、及びエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液の使用量を0.14部から0.18に変更したこと以外、実施例7と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(3)を得た。
【0108】
<実施例10>
アクリル酸60部、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.3部及びイオン交換水140部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.003部、2%アスコルビン酸水溶液0.006部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が80℃に達した後、80±2℃で約5時間重合することによりゲル状含水重合体を得た。
【0109】
次にこのゲル状含水重合体をミンチ機(ROYAL社製 12VR−400K)で細断しながら、30%水酸化ナトリウム水溶液83.3部及び製造例3で得た変性セルロース(A3)31.6部を添加して混合・中和し、中和重合体を得た。ついで、中和重合体を140℃、風速2.0m/秒の条件の通気型バンド乾燥機で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体を市販のジューサーミキサー(Oster社製 OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、ふるい分けして、目開き710〜150μmの粒子径範囲に調整して、乾燥粒子を得た。ついで、乾燥粒子50部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、濃度10%のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液0.25部を添加し均一混合した後、150℃で30分間静置して、本発明の吸収性樹脂粒子(4)を得た。
【0110】
<実施例11>
製造例3で得た変性セルロース(A3)の使用量を31.6部から17.4部に変更したこと、及びエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液の使用量を0.25部から1.74に変更したこと以外、実施例10と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(5)を得た。
【0111】
<実施例12>
製造例3で得た変性セルロース(A3)の使用量を31.6部から13.0部に変更したこと、及びエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液の使用量を0.25部から3.9に変更したこと以外、実施例10と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(6)を得た。
【0112】
<実施例13>
製造例3で得た変性セルロース(A3)を製造例6で得た変性セルロース(A6)に変更したこと、及びエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液の使用量を0.25部から15.82に変更したこと以外、実施例10と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(7)を得た。
【0113】
<比較例1>
イオン交換水480部に、カルボキシメチルセルロース(アクアロン株式会社製:商品名 アクアソルブB313)20部を溶解させることにより、4%カルボキシメチルセルロース水溶液500部を調整した。また別の容器にイオン交換水99.9部に、アスパラギン酸0.1部を溶解させることにより、0.1%アスパラギン酸水溶液を調整した。
次いで、カルボキシメチルセルロース水溶液及びアスパラギン酸水溶液を40℃で30分間均一混合した後、140℃、風速2.0m/秒の条件の通気型バンド乾燥機で乾燥し、乾燥体を得た。
乾燥体を市販のジューサーミキサー(Oster社製 OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、ふるい分けして、目開き710〜150μmの粒子径範囲に調整して、比較用の吸水性ポリマー(H1)を得た。
【0114】
<比較例2>
吸収性樹脂粒子(H1)50部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、濃度10%のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液0.25部を添加し均一混合した後、150℃で30分間静置して比較用の吸水性ポリマー(H2)を得た。
【0115】
実施例1〜6で得た吸水性ポリマー、実施例7〜13で得た吸収性樹脂粒子及び比較例1〜2で得た吸水性ポリマーの性能評価結果を表1に示す。
【0116】
【表1】


【0117】
表1から判るように、本発明の製造方法で得た吸水性ポリマー及び吸収性樹脂粒子(実施例1〜6)は、比較例1〜2の吸水性ポリマに比べ、吸水性能{吸収倍率、保水量及び荷重下吸収量}及び吸収性物品の吸収性能{SDME値}に著しく優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明の製造方法で得た吸水性ポリマー及び吸収性樹脂粒子は、吸水性ポリマー等と繊維状物とを含有してなる吸収体に適用できる。また、この吸収体は、これを備えてなる吸収性物品{紙おむつ、生理用ナプキン及び医療用保血剤等の衛生用品等}に有用である。また、本発明の製造方法で得た吸水性ポリマー及び吸収性樹脂粒子は、ペット尿吸収剤、携帯トイレ用尿ゲル化剤、青果物用鮮度保持剤、肉類・魚介類用ドリップ吸収剤、保冷剤、使い捨てカイロ、電池用ゲル化剤、植物・土壌用保水剤、結露防止剤、止水剤、パッキング剤、及び人工雪等の種々の用途にも使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン液体の存在下、セルロースとエーテル化剤及び/又はエステル化剤とを反応させて変性セルロースを得る工程を含むことを特徴とする吸水性ポリマーの製造方法。
【請求項2】
さらに、変性セルロースと架橋剤とを反応させて架橋セルロースを得る工程を含む請求項1に記載の吸水性ポリマーの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された製造方法で得た吸水性ポリマーと、架橋ポリアクリル酸(塩)とを含む吸収性樹脂粒子。
【請求項4】
吸水性ポリマー及び架橋ポリアクリル酸(塩)の重量に基づいて、
吸水性ポリマーの含有量が15〜95重量%、架橋ポリアクリル酸(塩)の含有量が5〜85重量%である請求項3に記載の吸収性樹脂粒子。
【請求項5】
請求項3又は4に記載された吸収性樹脂粒子を用いた吸収体。
【請求項6】
請求項5に記載された吸収体を用いた吸収性物品。

【公開番号】特開2008−303319(P2008−303319A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−152640(P2007−152640)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【出願人】(301023009)サンダイヤポリマー株式会社 (57)
【Fターム(参考)】