説明

吸水性ポリマー構造体及び吸水性ポリマー構造体の製造方法、複合体及び複合体の製造方法、化学製品、水溶液及び水溶液の製造方法、並びに水溶液の使用

【解決課題】 衛生用品の吸収性ポリマーに対する要求を満たすために、圧力下における高い吸収容量だけではなく、通常は相反する特性である高い保持性と優れた透過性を併せ持つ超吸収体ポリマーを提供すること。
【解決手段】 未処理の吸収性ポリマー構造体(Pu1)の外側部分を、少なくとも1種の化学架橋剤と少なくとも1種の分散コロイド無機化合物とを含む水溶液に接触させる工程と;前記外側部分を水溶液と接触させた前記吸収性ポリマー構造体を40〜300℃の温度に加熱し、前記吸収性ポリマー構造体の前記外側部分を内側部分よりも強く架橋させ、前記無機化合物を前記吸収性ポリマー構造体の前記外側部分に少なくとも部分的に固定させる工程と;を含むことを特徴とする吸収性ポリマー構造体(Pa)の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性ポリマー構造体の製造方法、本発明の方法によって得られる吸収性ポリマー構造体、吸収性ポリマー構造体、化合物、化合物の製造方法、本発明の方法によって得られる化合物、吸収性ポリマー構造体または化合物を含む化学製品、吸収性ポリマー構造体または化合物の化学製品における使用、水溶液、水溶液の製造方法、本発明の方法によって得られる水溶液、吸収性ポリマー構造体の外側部分の処理における水溶液の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
超吸収体は非水溶性架橋ポリマーであり、膨潤とヒドロゲルの形成によって、多量の水性液体、特に体液、好ましくは尿または血液を吸収し、所定の圧力下で液体を保持することができる。この特性のために、これらのポリマーは、主に衛生用品、例えば、おしめ、失禁用品または生理用ナプキンなどに組み込まれて使用されている。
【0003】
市販されている既存の超吸収体は、架橋ポリアクリル酸または架橋デンプン−アクリル酸グラフトポリマーから本質的に形成され、カルボキシル基は水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムで部分的に中和されている。
【0004】
審美的・環境的な理由から、より小さく、薄い衛生用品を製造する傾向がある。衛生用品の一定の保持容量を確保するために、容積の大きい綿毛の割合を減少させることによってのみこうした要請を満たすことができる。これは、液体の輸送と分散に関して超吸収体にさらなる透過性が必要とされることを意味する。
【0005】
超吸収体材料の透過性は、膨潤した状態で液体を三次元に輸送・分散する能力である。この過程は、膨潤した超吸収体ゲルにおいては、ゲル粒子間の隙間を介した毛管輸送によって進行する。膨潤した超吸収体粒子間における液体の輸送は拡散の法則に従うものであり、非常にゆっくりとしたプロセスである。したがって、衛生用品の使用における液体の分散には全く寄与しない。ゲル安定性の不足のために毛管輸送を行うことのできない超吸収体材料では、ゲル閉塞現象を防止するための粒子の分離は、これらの材料を繊維マトリックスに埋め込むことによって確保されている。新世代のおしめ構造では、吸収層は、液体の輸送を促すために繊維材料をほとんどまたは全く含んでいない。したがって、超吸収体は、膨潤ゲルが液体を輸送できる十分な毛管空間を含むように、膨潤状態における十分に高い安定性を有することが必要である。
【0006】
高いゲル安定性を有する超吸収体材料を得るためにポリマーの架橋度を高めることができるが、必然的に膨潤能力と保持容量が減少することになる。ドイツ特許公開第196 46 484号に記載されているような異なる架橋剤とコモノマーの最適な組み合わせによって透過性を改善させることができるが、例えば超吸収体のみで構成された層をおしめ構造に組み込むことを可能にするレベルではない。
【0007】
また、ポリマー粒子の表面を二次処理することによって超吸収体特性を改善させる方法を適用することができる。従来技術で知られている表面処理としては、例えば、吸収性ポリマー構造体の表面の二次架橋、吸収性ポリマー構造体の表面の無機化合物への接触、無機化合物の存在下での吸収性ポリマー構造体の表面の二次架橋が知られている。
【0008】
欧州特許出願公開第0 450 923号、欧州特許出願公開第0 450 922号、ドイツ特許公開第35 23 617号、米国特許第5,140,076号、米国特許第4,734,478号は、吸収性ポリマーの表面の二次架橋時または二次架橋後に、表面を分散シリカなどの無機化合物に接触させることによって吸収性ポリマーの表面を処理することを開示している。この種の表面処理によって、圧力下における吸収速度の増加に加え、吸収性ポリマーの透過性の向上が達成される。
【0009】
ドイツ特許公開第35 03 458号は、改良された吸収性樹脂の製造方法を開示しており、遊離酸または塩の形態のカルボキシル基を有するモノマー単位を構成成分として含有する吸水性樹脂と架橋媒体と水の混合物を、細かく分割された金属酸化物の粉末の存在下で、撹拌下で加熱し、樹脂を架橋させるとともに水を除去する。これによって、優れた吸水容量と吸収速度を有する吸収性樹脂が得られる。
【0010】
米国特許第4,535,098号は、シリカゾルなどの分散コロイド無機化合物の存在下で吸収性ポリマーを膨潤させるか、分散コロイド無機化合物の存在下で吸収性ポリマーを生成することによって、二次架橋されていない超吸収体のゲル強度を向上させるための方法を開示している。
【0011】
ドイツ特許公開第198 05 447号は、二官能化合物によってポリアクリロニトリル加水分解物を二次架橋させ、同時に超吸収性ポリマーの表面構造にシリカを固定するための方法を開示している。ここでは、水/アルコール混合物中のシリカと架橋媒体を表面に接触させる。シリカを固定することによって、負荷下吸水性の改善とゲル閉塞の減少が達成される。
【0012】
ドイツ特許公開第198 54 575号は、超吸収体の重合時または重合後あるいは部分中和時にケイ酸のアルカリ塩を添加することを開示している。この表面処理によって透過性の改善が達成されるが、これは膨潤しない添加剤によって引き起こされたポリマーの部分的に減少した保持性によるものである。
【0013】
米国特許第5,147,921号は、重合されるモノマー溶液中に分散させることのできる不活性充填剤としてのシリカゾルの添加を開示している。
【0014】
特開平6−16822号は、無機ゾルによる吸収性ポリマーの表面の二次処理を開示している。凝集する傾向がある混合物の加工性の点から、有機溶媒成分が添加される。有機溶媒成分の例としては、ジオールのモノメチルエーテルとジメチルエーテルおよびジオールが挙げられている。乾燥後の吸収性ポリマーは、超吸収体に応力を与えない単純な試験において、高いゲル安定性、ゲル閉塞の減少傾向、改善された水透過性を示す。
【0015】
従来技術では、超吸収体粒子の凝集を防止するために、無機粒子を超吸収体と乾式混合するか、多量の有機溶剤を使用して二次架橋プロセスに導入する方法が開示されている。しかし、これらの方法には多量の溶媒を扱わなければならないという欠点があり、経済性および環境的な理由から望ましいものではない。また、超吸収性ポリマーは、多量の液体に混合されると凝集する傾向があり、連続する製造プロセスにおいて加工性が大きく損なわれる。一方、細かく分割された無機物質と単純に混合する場合には、分解やダストなどの欠点がある。無機粒子はすぐに沈殿するため、水溶液中の無機添加剤を架橋剤に添加することは困難である。また、無機分散体を正確に添加することは困難である。
【0016】
従来技術に開示された細かく分割された無機物の存在によって、吸収性ポリマーの表面において化学二次架橋剤の不均一な分散が発生し、架橋も不均一となる。このため、全体的な性能、特に保持性と透過性に劣った超吸収体ポリマーが得られることになる。従来技術の表面処理プロセスにおいては、化学架橋剤を含む水溶液またはアルコール溶液を多量に使用することによってのみ均一な分散が可能である。
【0017】
【特許文献1】ドイツ特許公開第196 46 484号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開第0 450 923号公報
【特許文献3】欧州特許出願公開第0 450 922号公報
【特許文献4】ドイツ特許公開第35 23 617号公報
【特許文献5】米国特許第5,140,076号公報
【特許文献6】米国特許第4,734,478号公報
【特許文献7】ドイツ特許公開第35 03 458号公報
【特許文献8】米国特許第4,535,098号公報
【特許文献9】ドイツ特許公開第198 05 447号公報
【特許文献10】ドイツ特許公開第198 54 575号公報
【特許文献11】米国特許第5,147,921号公報
【特許文献12】特開平6−16822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、最新の技術から生じる欠点を克服することにある。
【0019】
また、本発明の目的は、衛生用品、特におしめ、失禁用品または生理用ナプキンの吸収性ポリマーに対する要求を満たすために、圧力下における高い吸収容量だけではなく、通常は相反する特性である高い保持性と優れた透過性を併せ持つ超吸収体ポリマーを提供することにある。特に、これらのポリマーは、超吸収体ポリマーが体液と接触する際に、アクリルアミドやアクリロニトリルなどの毒性を有するモノマーが流れ出し、例えば、超吸収体ポリマーをおしめに使用する場合には、おしめの着用者の皮膚に接触するので、アクリルアミドやアクリロニトリルなどの毒性を有するモノマーを可能な限り少ない量で含まなければならない。
【0020】
また、本発明の目的は、現在の技術水準から知られている衛生用品と比較して、体液を良好に保持することができ、圧力下で液体を吸収することができ、液体を吸収した際に、液体を衛生用品内で迅速かつ均等に分散させることのできるおしめなどの衛生用品を提供することにある。
【0021】
また、本発明の目的は、可能な限り少量の有機溶媒を使用してそのような吸収性ポリマーを製造することができる方法を提供することにある。この製造方法では、無機添加剤は超吸収体ポリマーを少量のみ置換し、ポリマー特性に負の影響を及ぼさない。この方法において吸収性ポリマーの表面の処理のために採用される溶液は、単相系として取り扱われ、一貫して添加される。コーティングされた超吸収体は、プロセスにおいて僅かしか凝集塊を形成せず、連続的な調節工程に適用される。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的は、未処理の吸収性ポリマー構造体(Pu1)の外側部分を処理することによって吸収性ポリマー構造体(Pa)を製造するための方法であって、未処理の吸収性ポリマー構造体(Pu1)の外側部分を、少なくとも1種の化学架橋剤と少なくとも1種の分散コロイド無機化合物とを含む水溶液に接触させる工程と;外側部分を水溶液と接触させた吸収性ポリマー構造体を40〜300℃の温度に加熱し、好ましくは、吸収性ポリマー構造体の外側部分を内側部分よりも強く架橋させ、無機化合物を吸収性ポリマー構造体の外側部分に少なくとも部分的に固定させる工程と;を含むことを特徴とする方法によって達成される。
【0023】
また、上記目的は、分散コロイド無機化合物によって処理されていない吸収性ポリマー構造体(Pu2)の外側部分を処理することによって吸収性ポリマー構造体(Pa)を製造するための方法であって、吸収性ポリマー構造体(Pu2)の外側部分を、少なくとも1種の化学架橋剤と少なくとも1種の分散コロイド無機化合物とを含む水溶液に接触させる工程と;外側部分を水溶液と接触させた吸収性ポリマー構造体を40〜300℃の温度に加熱し、好ましくは、吸収性ポリマー構造体の外側部分を内側部分よりも強く架橋させ、無機化合物を吸収性ポリマー構造体の外側部分に少なくとも部分的に固定させる工程と;を含むことを特徴とする方法によって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明に係る吸収性ポリマー構造体(Pa)は、繊維、発泡体または粒子であり、繊維および粒子が好ましく、粒子が特に好ましい。そのような形態の吸収性ポリマー構造体(Pa)は、吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)として繊維、発泡体または粒子を使用することによって得られる。
【0025】
本発明に係る好ましい吸収性ポリマー繊維は、織物の織り糸としてまたは直接織物に組み込むことができる寸法を有する。本発明によれば、吸収性ポリマー繊維は、1〜500mm、好ましくは2〜500mm、特に好ましくは5〜100mmの長さを有し、1〜200デニール、好ましくは3〜100デニール、特に好ましくは5〜60デニールの直径を有することが好ましい。
【0026】
本発明に係る好ましい吸収性ポリマー粒子は、10〜3000μm、好ましくは20〜2000μm、特に好ましくは150〜850μmのERT420.1−99による平均粒径を有する。
【0027】
本発明に係る方法における吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)は、以下の成分(α1)〜(α5)((α1)〜(α5)の合計重量は100重量%である)からなるポリマー構造体であることが好ましい。
(α1)20〜99.999重量%、好ましくは55〜98.99重量%、特に好ましくは70〜98.79重量%の、エチレン性不飽和酸性基含有モノマーまたはその塩の重合物、またはエチレン性不飽和プロトン化若しくは第四級化窒素含有モノマー、若しくはそれらの混合物であって、少なくともエチレン性不飽和酸性基含有モノマー、好ましくはアクリル酸を含む混合物の重合物。
(α2)0〜80重量%、好ましくは0〜44.99重量%、特に好ましくは0.1〜44.89重量%の、(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマーの重合物。
(α3)0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量%、特に好ましくは0.01〜2.5重量%の少なくとも1種の架橋剤。
(α4)0〜30重量%、好ましくは0〜5重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%の水溶性ポリマー。
(α5)0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%、特に好ましくは0.1〜8重量%の1種以上の添加剤。
【0028】
モノエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)は、部分的または完全に中和されていてもよい。モノエチレン性不飽和酸性基含有モノマーは、好ましくは25モル%、特に好ましくは50モル%、さらに好ましくは50〜80モル%まで中和されていることが好ましい。これに関しては、ドイツ特許公開第195 29 348号明細書を参照するものとし、その開示内容は本明細書の開示の一部をなすものとする。中和は、重合後に部分的または完全に行うことも可能である。中和は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アンモニア、炭酸塩、重炭酸塩を使用して行うことができる。酸とともに水溶性の塩を形成する塩基も使用することができる。複数の塩基を使用した中和も可能である。アンモニアとアルカリ金属水酸化物を使用した中和が好ましく、水酸化ナトリウムとアンモニアを使用した中和が特に好ましい。
【0029】
遊離酸基がポリマー中に多く含まれるため、ポリマーのpHは酸性領域にある。この酸性吸水性ポリマーは、遊離塩基、好ましくはアミノ基を有するポリマーによって少なくとも部分的に中和することができ、酸性ポリマーと比較すると塩基性である。これらのポリマーは「混合床イオン交換性吸収性ポリマー(MBIEAポリマー)」として文献に記載されており、特にWO99/34843に開示されている。WO99/34843の開示内容は、この参照によって本明細書の開示の一部をなすものとする。原則として、MBIEAポリマーは、アニオンを交換する塩基性ポリマーと、塩基性ポリマーと比較すると酸性であって、カチオンを交換するポリマーと、からなる化合物を生成する。塩基性ポリマーは塩基性基を有し、塩基性基または塩基性基に変換できる基を有するモノマーを重合することによって通常は得られる。これらのモノマーのうち、第1級、第2級または第3級アミン、あるいは対応するホスフィン、または少なくとも2つの上述の官能基を有するモノマーが特に重要である。これらのモノマーとしては、エチレンアミン、アリルアミン、ジアリルアミン、4−アミノブテン、アルキルオキシサイクリン、ビニルホルムアミド、5−アミノペンテン、カルボジイミド、ホルムアルダシン、メラミン、それらの第2級または第3級アミン誘導体等が挙げられる。モノエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)は、部分的または完全に中和されていてもよく、部分的に中和されていることが好ましい。
【0030】
モノエチレン性不飽和酸性基含有モノマーは、好ましくは少なくとも25モル%、特に好ましくは少なくとも50モル%、さらに好ましくは50〜90モル%まで中和されていることが好ましい。モノマー(α1)の中和は、重合前または重合後に行うことができる。中和は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アンモニア、炭酸塩、重炭酸塩を使用して行うことができる。酸とともに水溶性の塩を形成する塩基も使用することができる。複数の塩基を使用した中和も可能である。アンモニアまたはアルカリ金属水酸化物を使用した中和が好ましく、水酸化ナトリウムまたはアンモニアを使用した中和が特に好ましい。
【0031】
好ましいモノエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)は、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、α−クロロアクリル酸、α−シアノアクリル酸、β−メチルアクリル酸(クロトン酸)、α−フェニルアクリル酸、β−アクリロキシプロピオン酸、ソルビン酸、α−クロロソルビン酸、2’−メチルイソクロトン酸、桂皮酸、p−クロロ桂皮酸、β−ステアリン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、フマル酸、トリカルボキシエチレン、マレイン酸無水物であり、アクリル酸とメタクリル酸が特に好ましく、アクリル酸がさらに好ましい。
【0032】
これらのカルボキシレート基含有モノマー以外の好ましいモノエチレン性不飽和酸性基含有モノマー(α1)は、エチレン性不飽和スルホン酸モノマーまたはエチレン性不飽和ホスホン酸モノマーである。
【0033】
好ましいエチレン性不飽和スルホン酸モノマーは、アリルスルホン酸、脂肪族または芳香族ビニルスルホン酸、アクリル酸、メタクリル酸である。好ましい脂肪族または芳香族ビニルスルホン酸は、ビニルスルホン酸、4−ビニルベンジルスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸である。
【0034】
好ましいアクリル酸およびメタクリル酸としては、スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロピルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が挙げられる。
【0035】
また、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、ビニルベンジルホスホン酸、(メタ)アクリルアミドアルキルホスホン酸、アクリルアミドアルキルジホスホン酸、ホスホノメチル化ビニルアミン、(メタ)アクリルホスホン酸誘導体等のエチレン性不飽和ホスホン酸モノマーも好ましい。
【0036】
プロトン化窒素を含有する好ましいエチレン性不飽和モノマー(α1)は、プロトン化ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート塩酸塩、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート塩酸塩またはプロトン化ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート硫酸塩、プロトン化ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド塩酸塩またはジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド硫酸塩である。
【0037】
四級化窒素を含有する好ましいエチレン性不飽和モノマー(α1)は、四級化ジアルキルアンモニウムアルキル(メタ)アクリレート、例えばトリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレート−メト硫酸塩またはジメチルエチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレート−エト硫酸塩、四級化(メタ)アクリルアミドアルキルジアルキルアミン、例えば(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩酸塩または(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム硫酸塩である。
【0038】
本発明によれば、成分(α1)は、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、さらに好ましくは少なくとも90重量%のカルボキシレート基含有モノマーを含むことが好ましい。本発明によれば、成分(α1)は、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%のアクリル酸を含むことが好ましく、そのアクリル酸のうち、好ましくは少なくとも20モル%、特に好ましくは少なくとも50モル%まで中和されていることが好ましい。
【0039】
(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマー(α2)としては、アクリルアミドおよび(メタ)アクリルアミドが好ましい。
【0040】
アクリルアミドおよびメタクリルアミド以外の(メタ)アクリルアミドとしては、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノ(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド等のアルキル置換(メタ)アクリルアミドまたは(メタ)アクリルアミドのアミノアルキル置換誘導体が挙げられる。ビニルアミドとしては、N−ビニルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、ビニルピロリドンが挙げられる。これらのうち、アクリルアミドが特に好ましい。
【0041】
(α1)と共重合可能な好ましいモノエチレン性不飽和モノマー(α2)としては、水分散性モノマーも挙げられる。好ましい水分散性モノマーは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル、メチルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メチルポリエチレングリコールアリルエーテル、酢酸ビニル、スチレン、イソブチレンである。
【0042】
本発明に係る好ましい架橋剤(α3)は、1分子中に少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する化合物(架橋剤I);縮合反応(=縮合架橋剤)、付加反応または開環反応によってモノマー(α1)または(α2)の官能基と反応できる官能基を少なくとも2つ有する化合物(架橋剤II);少なくとも1つのエチレン性不飽和基と、縮合反応、付加反応、または開環反応によってモノマー(α1)または(α2)の官能基と反応できる官能基とを少なくとも1つ有する化合物(架橋剤III);または多価金属カチオン(架橋剤IV)である。架橋剤Iの化合物を使用したポリマーの架橋は、架橋剤分子のエチレン性不飽和基とモノエチレン性不飽和モノマー(α1)または(α2)とのラジカル重合によって行われる。一方、架橋剤IIの化合物および架橋剤の多価金属カチオンを使用したポリマーの架橋は、モノマー(α1)または(α2)の官能基の縮合反応(架橋剤II)または多価金属カチオン(架橋剤IV)とモノマー(α1)または(α2)の官能基との静電相互作用によって行われる。架橋剤IIIの化合物を使用したポリマーの架橋は、エチレン性不飽和基のラジカル重合またはモノマー(α1)または(α2)の官能基と架橋剤の官能基との縮合反応によって行われる。
【0043】
架橋剤Iの好ましい化合物は、ポリ(メタ)アクリル酸エステルまたはポリ(メタ)アクリルアミドであり、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリオール;アミノアルコール;ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミン等のポリアルキレンポリアミン;またはアルコキシ化ポリオールを、アクリル酸またはメタクリル酸と反応させることによって得られる。架橋剤Iの好ましい化合物としては、ポリビニル化合物;ポリ(メタ)アリル化合物;モノビニル化合物の(メタ)アクリル酸エステル;モノ(メタ)アリル化合物の(メタ)アクリル酸エステル、好ましくはポリオールまたはアミノアルコールのモノ(メタ)アリル化合物の(メタ)アクリル酸エステルも挙げられる。これに関しては、ドイツ特許公開第195 43 366号およびドイツ特許公開第195 43 368号明細書を参照するものとする。これらの明細書の開示内容は、この参照によって本明細書の開示の一部をなすものとする。
【0044】
架橋剤Iの化合物の例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,18−オクタデカンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等のアルケニルジ(メタ)アクリレート;N−メチルジ(メタ)アクリルアミド、N,N’−3−メチルブチリデンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等のアルケニルジ(メタ)アクリルアミド;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルコキシジ(メタ)アクリレート;ビスフェノールA−ジ(メタ)アクリレート;エトキシ化ビスフェノールA−ジ(メタ)アクリレート;ベンジリデンジ(メタ)アクリレート;1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパノール−2;ヒドロキノンジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンのジ(メタ)アクリル酸エステル、好ましくは水酸基1個に対して1〜30モルのアルキレンオキシドでアルコキシ化されたトリメチロールプロパンのジ(メタ)アクリル酸エステル、好ましくはエトキシ化トリメチロールプロパンのジ(メタ)アクリル酸エステル;チオエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;チオプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート;チオポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;チオポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート;1,4−ブタンジオールジビニルエーテル等のジビニルエーテル;アジピン酸ジビニル等のジビニルエステル;ブタジエン、1,6−ヘキサジエン等のアルカンジエン;ジビニルベンゼン;ジ(メタ)アリルフタラート、ジ(メタ)アリルスクシナート等のジ(メタ)アリル化合物;ジ(メタ)アリルジメチルアンモニウムクロリドのホモポリマーまたはコポリマー;ジエチル(メタ)アリルアミノメチル(メタ)アクリレートアンモニウムクロリドのホモポリマーまたはコポリマー;ビニル(メタ)アクリレート等のビニル(メタ)アクリル化合物;(メタ)アリル(メタ)アクリレート、水酸基1個に対して1〜30モルのエチレンオキシドでエトキシ化された(メタ)アリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アリル(メタ)アクリル化合物;ジ(メタ)アリルマレート、ジ(メタ)アリルフマレート、ジ(メタ)アリルスクシナート、ジ(メタ)アリルテレフタラート等のポリカルボン酸のジ(メタ)アリルエステル;グリセリントリ(メタ)アクリレート等の3個以上のエチレン性不飽和ラジカル重合性基を有する化合物;エチレンオキシドでエトキシ化されたグリセリンの(メタ)アクリル酸エステル、好ましくは水酸基1個に対して1〜30モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたグリセリンの(メタ)アクリル酸エステル;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;アルキレンオキシドでアルコキシ化されたトリメチロールプロパンのトリ(メタ)アクリル酸エステル、好ましくは水酸基1個に対して1〜30モルのアルキレンオキシドでアルコキシ化されたトリメチロールプロパンのトリ(メタ)アクリル酸エステル、好ましくはエトキシ化トリメチロールプロパンのトリ(メタ)アクリル酸エステル;トリメタクリルアミド;(メタ)アリリデンジ(メタ)アクリレート;3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート;トリ(メタ)アリルシアヌレート;トリ(メタ)アリルイソシアヌレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート;エチレンオキシドでエトキシ化されたペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル、好ましくは水酸基1個に対して1〜30モルのエチレンオキシドでエトキシ化されたペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステル;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート;トリビニルトリメリテート;トリ(メタ)アリルアミン;ジ(メタ)アリルメチルアミン等のジ(メタ)アリルアルキルアミン;トリ(メタ)アリルホスフェート;テトラ(メタ)アリルエチレンジアミン;ポリ(メタ)アリルエステル;テトラ(メタ)アリルオキシエタン;テトラ(メタ)アリルアンモニウムハライドが挙げられる。
【0045】
好ましい架橋剤IIの化合物は、モノマー(α1)または(α2)の官能基と、好ましくはモノマー(α1)の酸性基と、縮合反応(=縮合架橋剤)、付加反応または開環反応によって反応することができる官能基を少なくとも2つ有する化合物である。架橋剤IIの化合物の官能基の例としては、水酸基、アミノ基、アルデヒド基、グリシド基、イソシアナート基、カーボネート基、エピクロロ基が挙げられる。
【0046】
架橋剤IIの化合物の例としては、ポリオール、例えばエチレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のポリエチレングリコール;プロピレングリコール;ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等のポリプロピレングリコール;1,3−ブタンジオール;1,4−ブタンジオール;1,5−ペンタンジオール;2,4−ペンタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;2,5−ヘキサンジオール;グリセリン;ポリグリセリン;トリメチロールプロパン;ポリオキシプロピレン;オキシエチレン−オキシプロピレンブロックコポリマー;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ペンタエリスリトール;ポリビニルアルコール;ソルビトール;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンまたはプロパノールアミン等のアミノアルコール;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアアミン、テトラエチレンペンタアミン、ペンタエチレンヘキサアアミン等のポリアミン化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル化合物;1,4−フェニレンビス(2−オキサゾリン);グリシドール;ポリイソシアネート、好ましくは2,4−トルエンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネ−ト等のジイソシアネ−ト;2,2−ビスヒドキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]等のポリアジリジン化合物;1,6−ヘキサメチレンジエチレン尿素およびジフェニルメタン−ビス−4,4’−N,N’−ジエチレン尿素;エピクロルおよびエピブロムヒドリンおよびα−メチルエピクロルヒドリン等のハロゲン化エポキシド;1,3−ジオキソラン−2−オン(炭酸エチレン)、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン(炭酸プロピレン)、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソラン−2−オン、ポリ−1,3−ジオキソラン−2−オン等のアルキレン炭酸塩;ジメチルアミンとエピクロルヒドリンの縮合生成物等のポリ四級アミンが挙げられる。架橋剤IIの化合物としては、1,2−エチレンビスオキサゾリン等のポリオキサゾリン;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のシラン基を有する架橋剤;2−オキサゾリジノン、ビス−及びポリ−2−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン;ケイ酸ジグリコールも好ましい。
【0047】
好ましい架橋剤IIIの化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基またはアミノ基を有する(メタ)アクリル酸のエステル、水酸基またはアミノ基を有する(メタ)アクリルアミド、ジオールのモノ(メタ)アリル化合物が挙げられる。
【0048】
架橋剤IVの多価金属カチオンは、1価または多価カチオンから誘導することが好ましく、1価カチオンはカリウム、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属のカチオン、好ましくはリチウムのカチオンである。好ましい2価カチオンは、亜鉛又はベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム等のアルカリ土類金属から誘導され、マグネシウムから誘導されることが好ましい。本発明において使用できるより高い価数を有するカチオンは、アルミニウム、鉄、クロム、マンガン、チタニウム、ジルコニウム、その他の遷移金属、それらのカチオンの複塩、それらの塩の混合物のカチオンである。アルミニウム塩、ミョウバン、それらの水和物、例えばAlCl×6HO、NaAl(SO×12HO、KAl(SO×12HO、Al(SO×14−18HOを使用することが好ましい。
【0049】
Al(SOおよびその水和物を架橋剤IVとして使用することが特に好ましい。
【0050】
好ましい吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)は、以下の架橋剤または架橋剤の組み合わせを使用して架橋されたポリマー構造体である。I、II、III、IV、I II、I III、I IV、I II III、I II IV、I III IV、II III IV、II IV、III IV。上記の架橋剤の組み合わせは、それぞれがポリマーの架橋剤の好ましい実施形態である。
【0051】
吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)のさらなる好ましい実施形態は、上述した架橋剤Iのいずれかを使用して架橋されたポリマー構造体である。架橋剤Iのうち、水溶性架橋剤が好ましい。この点においては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリアリルメチルアンモニウムクロリド、テトラアリルアンモニウムクロリド、アクリル酸1モルあたり9モルのエチレンオキシドを使用して得られたアリルノナエチレングリコールアクリレートが特に好ましい。
【0052】
水溶性ポリマー(α4)としては、好ましくは、部分的または完全にケン化されたポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、ポリグリコール、またはポリアクリル酸を含む水溶性ポリマーを、本発明に係る吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)に重合することができる。これらのポリマーの分子量は、ポリマーが水溶性であれば重要ではない。好ましい水溶性ポリマーは、デンプン、デンプン誘導体、ポリビニルアルコールである。水溶性ポリマー、好ましくはポリビニルアルコールなどの合成ポリマーは、重合されるモノマーのグラフト基材としても機能する。
【0053】
添加剤(α5)としては、懸濁化剤、界面活性剤、消臭剤、充填剤または酸化防止剤を、好ましくは本発明に係る方法で使用される吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)に添加することができる。
【0054】
本発明によれば、吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)は、水溶液の重量に対して5〜80重量%、好ましくは10〜70重量%、特に好ましくは20〜50重量%のアクリル酸を含有する水溶液中で、アクリル酸と必要に応じて上記の架橋剤の1つとを重合させ、次いで、得られたポリマーゲルを細片化し、細片化したゲルを乾燥し、乾燥したポリマーゲルを必要に応じて粉砕することによって得られる粒子状の架橋ポリアクリレートであることが特に好ましい。このようにして得られた吸収性ポリマー構造体は、0.5〜0.25重量%、好ましくは1〜10重量%の水分を有することが好ましい。
【0055】
本発明の好ましい実施形態では、吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)は、少なくとも20モル%、好ましくは少なくとも50モル%が中和されたアクリル酸に対して、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも75重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%まで中和されている。
【0056】
吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)は、ポリアクリロニトリルエマルションに基づくものではないことが好ましい。吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)は、37モル%未満、特に好ましくは20モル%未満、より好ましくは10モル%未満、さらに好ましくは5モル%未満のアクリルアミドおよび/またはアクリロニトリルモノマーに基づくものであることが好ましい。この点において、吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)は、1000ppm未満、特に好ましくは500ppm未満、より好ましくは100ppm未満、さらに好ましくは10ppm未満のアクリルアミドおよび/またはアクリロニトリルモノマーに基づく、可溶性モノマーまたはポリマーを含むことが好ましい。
【0057】
吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)は、上記のモノマーおよび架橋剤から各種の重合手段によって製造される。例えば、好ましくは押出機等の混錬反応器内で行われる、塊状重合、溶液重合、噴霧重合、逆乳化重合、逆懸濁重合が挙げられる。溶液重合は、水を溶媒として行われることが好ましい。溶液重合は、連続的または断続的に行われる。従来技術においては、開始剤および反応溶液の温度、種類、量等の反応条件に関して、幅広い様々な可能性があることが示されている。代表的な方法は、米国特許第4,286,082号明細書、ドイツ特許公開第27 06 135号明細書、米国特許第4,076,663号明細書、ドイツ特許公開第35 03 458号明細書、ドイツ特許公開第40 20 780号明細書、ドイツ特許公開第42 44 548号明細書、ドイツ特許公開第43 23 001号明細書、ドイツ特許公開第43 33 056号明細書、ドイツ特許公開第44 18 818号明細書に記載されている。
これらの明細書の開示内容は、この参照によって本明細書の開示の一部をなすものとする。
【0058】
吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)を製造するための別の方法としては、上記のモノエチレン性不飽和モノマー(α1)または(α2)から、未架橋の直鎖状ポリマーを、好ましくはラジカル手段によって製造し、得られたポリマーを、架橋剤として作用する試薬(α3)、好ましくは架橋剤IIおよびIVの試薬を使用して転換させる方法が挙げられる。この変形は、ポリマー構造体を、例えば繊維、フィルム、または織物、織布、ウェブ、フリース等の他の平面構造体に成形し、この形態で架橋する場合に好ましく使用される。
【0059】
重合は、通常は開始剤によって開始させる。重合を開始させるための開始剤としては、重合条件下でラジカルを生成する全ての開始剤が使用でき、それらの開始剤は従来から超吸収体の製造に使用されている。また、重合性水溶液に対する電子線の作用によって重合を開始させることもできる。また、上述した開始剤を使用せずに、光開始剤の存在下におけるエネルギー光線の作用によって重合を開始させることもできる。重合開始剤は、本発明に係るモノマーの溶液に溶解または分散させて使用することができる。ラジカルに分解する公知の全ての化合物を開始剤として使用することができる。特に、過酸化物、ヒドロペルオキシド、過酸化水素、過硫酸、アゾ化合物、レドックス触媒が例として挙げられる。水溶性触媒を使用することが好ましい。場合によっては、異なる重合開始剤の混合物を使用することが有利である。そのような混合物のうち、過酸化水素とペルオキソ二硫酸ナトリウムまたはペルオキソ二硫酸カリウムとの混合物が好ましく、任意の混合比で使用することができる。好ましい有機過酸化物としては、過酸化アセチルアセトン、過酸化メチルエチルケトン、t−ブチルヒドロペルオキシド、クモールヒドロペルオキシド、過ピバル酸−t−アミル、過ピバル酸−t−ブチル、過ネオヘキソン酸−t−ブチル、イソ酪酸−t−ブチル、過−2−エチルヘキセン酸−t−ブチル、過イソノナノン酸−t−ブチル、過マレイン酸−t−ブチル、過安息香酸−t−ブチル、3,5,5−トリメチルヘキサン酸−t−ブチル、過ネオデカン酸アミルが挙げられる。その他の好ましい重合開始剤としては、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、アゾビスアミジノプロパン二塩酸塩、2,2’−アゾビス(N,N−ジメチレン)イソブチルアミジン二塩酸塩、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾ化合物が挙げられる。上述の化合物は通常の量で使用され、重合されるモノマーの量に対して、好ましくは0.01〜5モル%、より好ましくは0.1〜2モル%の範囲で使用される。
【0060】
レドックス触媒は、酸化剤成分として、上述の過酸化物の少なくとも1種を、そして、還元剤成分として、好ましくはアスコルビン酸、グルコース、ソルボース、マンノース、アンモニアまたはアルカリ金属の亜硫酸水素塩、硫酸塩、チオ硫酸塩、次亜硫酸塩または硫化物、鉄(II)イオンまたは銀イオンなどの金属塩、またはヒドロキシメチルスルホキシル酸ナトリウムを含む。レドックス触媒の還元剤成分としては、アスコルビン酸またはピロ亜硫酸ナトリウムを使用することが好ましい。重合で使用するモノマーの量に対して、1×10−5〜1モル%のレドックス触媒の還元剤成分と1×10−5〜5モル%のレドックス触媒の酸化剤成分とを使用する。レドックス触媒の酸化剤成分の代わりに、または酸化剤成分に加えて、1種以上の、好ましくは水溶性のアゾ化合物を使用することができる。
【0061】
エネルギー光線の作用によって重合を開始させる場合には、通常は光開始剤を使用する。光開始剤は、例えばα開裂剤(α−splitter)、H引抜系(H−abstracting system)またはアジドであってもよい。そのような開始剤の例としては、ミヒラーケトンなどのベンゾフェノン誘導体、フェナントレン誘導体、フルオレン誘導体、アントラキノン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ベンゾインエーテルとその誘導体、上述したラジカル発生剤などのアゾ化合物、置換ヘキサアリールビスイミダゾール、アシルホスフィンオキシドが挙げられる。アジ化物の例としては、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル−4−アジドシンナメート、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル−4−アジドナフチルケトン、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル−4−アジドベンゾエート、5−アジド−1−ナフチル−2’−(N,N−ジメチルアミノ)−エチルスルホン、N−(4−スルホニルアジドフェニル)マレイミド、N−アセチル−4−スルホニルアジドアニリン、4−スルホニルアジドアニリン、4−アジドアニリン、4−アジドフェナシルブロミド、p−アジド安息香酸、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノンが挙げられる。光開始剤は、重合されるモノマーに対して好ましくは0.01〜5重量%の範囲で通常使用される。
【0062】
本発明によれば、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、アスコルビン酸を含むレドックス系が好ましく使用される。本発明に係る開始剤としてはアゾ化合物が通常は好ましく、アゾ−ビス(アミジノプロパン)二塩酸塩が特に好ましい。
【0063】
通常、30〜90℃の温度範囲で開始剤を使用して、重合を開始させる。
【0064】
ポリマーゲルは、通常は100〜200℃の温度で、水分含有量を0.5〜25重量%、好ましくは1〜10重量%まで乾燥させる。
【0065】
好ましい実施形態では、本発明に係る方法で使用される吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)は、以下の特性(ERT=欧州不織布協会(European Disposables And Nonwovens Association:EDANA)推奨試験)の少なくとも1つを有する。
(A)ERT440.1−99による0.9重量%食塩水の最大吸収量が、少なくとも10〜1,000g/g、好ましくは15〜500g/g、特に好ましくは20〜300g/gである。
(B)ERT470.1−99による0.9重量%食塩水で抽出可能な部分が、吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)の30重量%未満、好ましくは20重量%未満、特に好ましくは10重量%未満である。
(C)ERT460.1−99による嵩密度が、300〜1,000g/l、好ましくは310〜800g/l、特に好ましくは320〜700g/lである。
(D)ERT400.1−99による、1リットルの水中での、吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)1gのpHが、4〜10、好ましくは5〜9、特に好ましくは5.5〜7.5である。
(E)ERT441.1−99によるCRC値が、10〜100g/g、好ましくは15〜80g/g、特に好ましくは20〜60g/gである。
【0066】
上記特性の2以上の組み合わせは、それぞれが本発明に係る方法の好ましい実施形態である。特に好ましい実施形態では、吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)は、以下のアルファベットで示される特性またはアルファベットの組み合わせで示される特性を有する。A、B、C、D、E、AB、AC、AD、AE、ABC、ABD、ABE、ACD、ACE、ADE、ABCD、ABCE、ABDE、ACDE、ABCDE。
【0067】
本発明に係る方法では、吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)と水溶液との接触は、水溶液を吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)と十分に混合することによって行われることが好ましい。水溶液は実質的に有機溶媒を含まないことが好ましく、特に多価アルコールおよびポリアルキレングリコールエーテルを含まないことが好ましく、ジエチレングリコールモノメチルエーテルおよび1,3−ブタンジオールを含まないことが特に好ましい。この点において、水溶液は、室温で液体である水溶液に存在する全成分の総量に対して、好ましくは少なくとも50重量%、特に好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、さらに好ましくは少なくとも90重量%の水を含むことが特に好ましい。
【0068】
これによって、化学架橋剤は、分散コロイド無機化合物を含有する水溶液中に最初から存在することができる。ただし、化学架橋剤と分散コロイド無機化合物を、別々に、好ましくは同時に、吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)に接触させることもできる。この場合、2種類の溶液、すなわち、化学架橋剤を含む溶液と、分散コロイド無機化合物を含む溶液とを、同時に吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)と混合することが好ましいが、化学架橋剤と分散コロイド無機化合物は均一に分散されていなければならない。
【0069】
上記成分を混合するための好適なミキサーとしては、パターソン・ケリー(Patterson−Kelley)ミキサー、DRAIS乱流ミキサー、レディジ(Lodige)ミキサー、ルベルク(Ruberg)ミキサー、スクリューミキサー、パンミキサー、流動床ミキサー、回転刃によって高周波でポリマー構造体を混合する連続垂直ミキサー(シュージ(Schugi)ミキサー)を挙げることができる。本発明に係る方法では、吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)を、吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)の重量に対して、20重量%以下、特に好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下、最も好ましくは3重量%未満の水と接触させることが好ましい。
【0070】
本発明によれば、好ましい形態である球状粒子の状態で、吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)を使用する場合は、分散コロイド無機化合物に、球状粒子の吸収性ポリマー構造体の外側部分のみを接触させることが好ましい。ポリマー構造体の外側部分とは、粒子の中心と外側部分の各空間点との距離が、粒子状の吸収性ポリマー構造体の半径の少なくとも50%、特に好ましくは75%、より好ましくは90%、さらに好ましくは95%である部分を意味する。本発明によれば、ポリマー構造体への分散コロイド無機化合物の不均一な固定は、乾燥させたポリマー構造体を水溶液に接触させ、少量の水を使用して、吸収性ポリマー構造体の外側部分のみに水溶液を吸収させることによって行われる。
【0071】
本発明に係る方法では、分散コロイド無機化合物の少なくとも30重量%、特に好ましくは60重量%、最も好ましくは90重量%が、1〜100nm、好ましくは5〜80nm、最も好ましくは6〜50nmの粒径を有することが好ましい。
【0072】
本発明に係る方法では、無機化合物を、吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)の重量に対して、好ましくは0.001〜10重量%、特に好ましくは0.01〜5重量%、最も好ましくは0.05〜1.5重量%の量で吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)に接触させる。
【0073】
無機化合物としては、安定した分散コロイド状、好ましくは単相の水溶液で、20℃の標準圧において、少なくとも6時間、好ましくは少なくとも24時間、特に好ましくは72時間〜6ヶ月間にわたって、固体無機沈殿物の堆積などの相分離を発生することのない、非水溶性無機化合物を使用することができる。
【0074】
分散コロイド溶液は、好ましくは、100〜1000Å(すなわち、10−4〜10−5cm)の粒径を有する粒子を含む溶液を意味する。これらの溶液は、溶液を通過する光線を全方向に散乱させる性質を有するため、溶液を通過する光線の光路を特定することができる(チンダル効果(Tyndall effect):ホールマン、ヴィルベルク(Hollemann,Wiberg)共著、無機化学教本、第91〜100版、Gruyter−Verlag、765頁参照)。
【0075】
本発明に係る方法に使用される分散コロイド無機化合物は、ポリケイ酸を含む粒子であることが特に好ましい。そのような粒子を含む分散コロイド溶液(シリカゾル)は、例えば、加水分解によって塩基として反応するケイ酸ナトリウム溶液を慎重に酸性化させること、または分子ケイ酸を水に溶解し、得られた分散コロイド溶液を安定化させることによって得られる。そのようなシリカゾルの製造方法は当業者には公知であり、例えば、Jander,Blasius、分析・調製無機化学教本(text book of analytic and praeparativen inorganic chemistry)、S.Hirzel出版、シュツットガルトに記載されている。
【0076】
本発明によれば、分散コロイドケイ酸の他に、酸化鉄(III)水和物ゾル、酸化スズ(IV)水和物ゾル、またはハロゲン化銀、特に塩化銀のゾルも、分散コロイド無機化合物として特に好ましい。
【0077】
本発明に係る方法では、水溶液に含有される化学架橋剤は、好ましくは、縮合反応(=縮合架橋剤)、付加反応または開環反応によってポリマーの官能基と反応することができる少なくとも2つの官能基を有する化合物、または多価金属カチオンとポリマーの官能基との静電相互作用によってポリマーを架橋させることができる多価金属カチオンである。本発明に係る方法において、吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)の外側部分を二次的に架橋させるための化学架橋剤(「二次架橋剤」とも言う)としては、架橋剤(α3)に関連して架橋剤IIおよびIVとして言及した架橋剤が好ましい。
【0078】
これらの化合物のうち、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリビニルアルコール、ソルビトール、1,3−ジオキソラン−2−オン(炭酸エチレン)、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン(炭酸プロピレン)、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソラン−2−オン、ポリ−1,3−ジオキソラン−2−オンなどの縮合架橋剤が二次架橋剤として特に好ましい。
【0079】
二次架橋剤として使用する架橋剤としては、炭酸エチレンが特に好ましい。
【0080】
本発明に係る方法に使用される二次架橋剤は、吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)に対して、好ましくは0.01〜30重量%、特に好ましくは0.1〜20重量%、最も好ましくは0.3〜5重量%の量で使用される。
【0081】
本発明に係る方法においては、化学架橋剤と無機化合物を含有する水溶液を吸収性構造体(Pu1)または(Pu2)に接触させた後、40〜300℃、好ましくは80〜250℃、特に好ましくは150〜220℃の温度で吸収性ポリマー構造体を加熱することによって二次架橋反応が起こる。二次加熱の最適な時間は、架橋剤と分散コロイド無機化合物について容易に調べることができる。二次加熱時間の上限は、超吸収体の所望の特性プロファイルが熱のダメージによって損なわれる時である。熱処理は、円筒状回転オーブン、流動床オーブン、ディスクドライヤー、パドルドライヤー、赤外線ドライヤーなどの通常のドライヤーまたはオーブンを使用して行われる。
【0082】
本発明によれば、吸収性ポリマー構造体の外側部分が、熱処理によって内側部分よりも強く架橋され、無機化合物が、熱処理によって外側部分に少なくとも部分的に固定されることが好ましい。また、外側部分の半径は、内側部分の半径の3倍よりも小さいことが好ましい。
【0083】
本発明に係る方法の別の実施形態では、吸収性ポリマー構造体の外側部分を、化学架橋剤と分散コロイド無機化合物とを含有する水溶液との接触前後、好ましくは接触後に、Al3+イオンを含む化合物と接触させる。Al3+イオンを含む化合物を、吸収性ポリマー構造体の重量に対して、0.01〜30重量%、特に好ましくは0.1〜20重量%、最も好ましくは0.3〜5重量%の量で吸収性ポリマー構造体と接触させることが好ましい。
【0084】
吸収性ポリマー構造体の外側部分とAl3+イオンを含む化合物との接触は、好ましくは、吸収性ポリマー構造体(Pa)とAl3+イオンを含む化合物を乾燥条件で混合するか、吸収性ポリマー構造体(Pa)を、溶媒、好ましくは水と、メタノール、エタノールなどの水混和性有機溶媒またはそれらの少なくとも2種の混合物と、Al3+イオンを含む化合物とからなる流体に接触させることによって行うことができ、好ましくは、ポリマー粒子を流体とともに噴霧し、混合することによって行う。また、吸収性ポリマー構造体(Pa)とAl3+イオンを含む流体との接触は、2段階のプロセスによって行うことが好ましい。2段階のプロセスは、複数の吸収性ポリマー構造体を流体に混合する第1の混合工程と、流体をポリマー粒子の内部で均一に分散させる第2の混合工程とを有し、第1の混合工程では、媒体中での各ポリマー粒子の移動エネルギーが、各ポリマー粒子間の付着エネルギーよりも大きくなる速度で、ポリマー粒子を混合し、第2の混合工程では、第1の混合工程よりも低い速度で、ポリマー粒子を十分に混合する。
【0085】
上述した2段階のプロセスで、吸収性ポリマー構造体(Pa)をAl3+イオンを含む化合物を含有する流体で処理することによって、吸収性が改善された吸収性ポリマー構造体を得ることができる。
【0086】
Al3+イオンを含む化合物は、結晶水を考慮せずに、流体の合計重量に対して、0.1〜50重量%、特に好ましくは1〜30重量%の量で流体に含まれることが好ましい。また、流体は、吸収性ポリマー構造体(Pa)の重量に対して、0.01〜15重量%、特に好ましくは0.05〜6重量%の量で吸収性ポリマー構造体(Pa)と接触させることが好ましい。
【0087】
好ましいAl3+イオンを含む化合物は、AlCl×6HO、NaAl(SO×12HO、KAl(SO×12HO、Al(SO×14−18HOである。
【0088】
本発明は、上述した本発明に係る方法によって得られる吸収性ポリマー構造体(Pa)にも関する。
【0089】
また、本発明は、内側部分と内側部分を取り囲む外側部分とを有する吸収性ポリマー構造体(Pa)であって、外側部分は内側部分よりも架橋度が高く、無機化合物が少なくとも外側部分に、好ましくは外側部分のみに部分的に固定され、以下の特性の少なくとも1つを有する吸収性ポリマー構造体(Pa)にも関する。
(β1)ERT441.1−99によるCRCが26g/g未満であって、SFCが少なくとも80×10−7cm・s・g−1、好ましくは少なくとも100×10−7cm・s・g−1、特に好ましくは少なくとも120×10−7cm・s・g−1である。
(β2)ERT441.1−99によるCRCが26g/g以上27g/g未満であって、SFCが少なくとも70×10−7cm・s・g−1、好ましくは少なくとも90×10−7cm・s・g−1、特に好ましくは少なくとも110×10−7cm・s・g−1である。
(β3)ERT441.1−99によるCRCが27g/g以上28g/g未満であって、SFCが少なくとも60×10−7cm・s・g−1、好ましくは少なくとも80×10−7cm・s・g−1、特に好ましくは少なくとも100×10−7cm・s・g−1である。
(β4)ERT441.1−99によるCRCが28g/g以上29g/g未満であって、SFCが少なくとも45×10−7cm・s・g−1、好ましくは少なくとも65×10−7cm・s・g−1、特に好ましくは少なくとも85×10−7cm・s・g−1である。
(β5)ERT441.1−99によるCRCが29g/g以上30g/g未満であって、SFCが少なくとも30×10−7cm・s・g−1、好ましくは少なくとも50×10−7cm・s・g−1、特に好ましくは少なくとも70×10−7cm・s・g−1である。
(β6)ERT441.1−99によるCRCが30g/g以上31g/g未満であって、SFCが少なくとも20×10−7cm・s・g−1、好ましくは少なくとも40×10−7cm・s・g−1、特に好ましくは少なくとも60×10−7cm・s・g−1である。
(β7)ERT441.1−99によるCRCが31g/g以上であって、SFCが少なくとも10×10−7cm・s・g−1、好ましくは少なくとも20×10−7cm・s・g−1、特に好ましくは少なくとも30×10−7cm・s・g−1である。
【0090】
上記特性の2以上の組み合わせは、それぞれが本発明に係る吸収性ポリマー構造体(Pa)の好ましい実施形態である。本発明に係る特に好ましい実施形態では、吸収性ポリマー構造体(Pa)は、以下のアルファベットで示される特性またはアルファベットの組み合わせで示される特性を有する。β1,β2,β3,β4,β5,β6,β7,これらのうち、β2,β3,β4,β5,β6が特に好ましい。
【0091】
本発明によれば、吸収性ポリマー構造体(Pa)は、少なくとも18g/g、好ましくは少なくとも20g/g、特に好ましくは少なくとも22g/gのERT442.1−99に準拠した50g/cmの圧力下における圧力下吸収性(AAP)を有することが好ましい。
【0092】
本発明に係る吸収性ポリマー構造体では、外側部分の半径は、内側部分の半径の2倍よりも小さいことが好ましい。
【0093】
吸収性ポリマー構造体(Pa)の特に好ましい実施形態では、ポリマー構造体の外側部分とは、粒子の中心と外側部分の各空間点との距離が、粒子状の吸収性ポリマー構造体の半径の少なくとも50%、特に好ましくは75%、より好ましくは90%、さらに好ましくは95%である部分を意味する。
【0094】
本発明に係る吸収性ポリマー構造体(Pa)の外側部分において少なくとも部分的に固定される無機化合物は、安定した分散コロイド水溶液を得ることができる、あらゆる非水溶性無機化合物である。
【0095】
本発明に係る吸収性ポリマー構造体(Pa)の外側部分において少なくとも部分的に固定される無機化合物は、ポリケイ酸の縮合物であることが特に好ましい。
【0096】
本発明に係る吸収性ポリマー構造体(Pa)の上記特性は、本発明に係る方法によって得られる吸収性ポリマー構造体(Pa)についても当てはまる。
【0097】
本発明に係る方法および本発明に係る吸収性ポリマー構造体(Pa)の本発明に係る一実施形態によれば、本発明に係る特性値は、下限値のみを示す場合には、上限値は最も好ましい下限値の20倍、好ましくは10倍、最も好ましくは5倍である。
【0098】
本発明は、上述した吸収性ポリマー構造体(Pa)と基材とを含む複合体にも関する。本発明に係るポリマー構造体(Pa)と基材とは、好ましくは強固に接着されている。基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドなどのポリマーフィルム、金属、不織布、綿毛、薄織物、織布、天然または合成繊維、その他の発泡体が好ましい。
【0099】
本発明に係る好ましい複合体は、シール材、ケーブル、吸収性コア、それらを有するおむつや衛生用品である。
【0100】
シール材は吸水性フィルムであることが好ましく、吸収性ポリマー構造体は基材としてのポリマーマトリックスまたは繊維マトリックスに組み込まれる。好ましくは、吸収性ポリマー構造体(Pa)をポリマーまたは繊維マトリックス形成ポリマーと混合し、任意に熱処理を行うことによってそれらを結合させる。吸収性構造体が繊維として使用される場合には、吸収性構造体から織り糸を得、基材として別の材料を含む別の繊維と紡糸し、編むか織ることによって束ねるか、別の繊維と紡糸せずに直接束ねることができる。典型的な方法は、H.Savano et al.,International Wire & Cable Symposium Proceedings 40, 333 to 338 (1991);M.Fukuma et al.,International Wire & Cable Symposium Proceedings,36,350〜355(1987);米国特許第4,703,132号に記載されている。これらの開示内容は、この参照によって本明細書の開示の一部をなすものとする。
【0101】
複合体がケーブルである実施形態では、粒子としての吸収性ポリマー構造体(Pa)は、直接、好ましくはケーブルの絶縁材の下に使用される。ケーブルの別の実施形態では、吸収性ポリマー構造体(Pa)は、膨潤性の耐張力性織り糸として使用することができる。ケーブルの別の実施形態によれば、吸収性ポリマー構造体(Pa)は、膨潤性フィルムとして使用される。ケーブルの別の実施形態では、吸収性ポリマー構造体(Pa)は、ケーブルの中央の吸水性コアとして使用される。ケーブルの場合、吸収性ポリマー構造体(Pa)を含まないケーブルの全構成要素が基材となる。これらの構成要素とは、導電体または導光体等のケーブルに組み込まれた導体;光または電気絶縁材料;ケーブルの機械的要求を満たすケーブルの構成要素、例えば、合成材料などの耐張力材料からなる網目構造、繊維、織物や、ゴムまたは他の材料からなり、ケーブルの外面の破壊を防止する碍子などである。
【0102】
複合体が吸収性コアの場合、吸収性ポリマー構造体(Pa)は基材に組み込まれる。基材は繊維材料であることが好ましい。本発明で使用することができる繊維材料には、(変性または非変性)天然繊維、合成繊維が含まれる。好適な非変性および変性天然繊維としては、例えば、綿布、アフリカハネガヤ、サトウキビ、ケンプ、亜麻、絹、羊毛、セルロース、化学変性パルプ、黄麻、レーヨン、エチルセルロース、および酢酸セルロースが挙げられる。好適な合成繊維は、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニリデン、Orion(登録商標)等のポリアクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチルビニルアセテート、可溶性または不溶性のポリビニルアルコール;ポリエチレン(例えばPULPEX(登録商標))およびポリプロピレン等のポリオレフィン;ナイロン等のポリアミド;DACRON(登録商標)またはKodel(登録商標)等のポリエステル;ポリウレタン、ポリスチレン等から製造される。使用される繊維は、天然繊維のみ、合成繊維のみ、または天然繊維および合成繊維の任意の組み合わせを含むことができる。
【0103】
本発明で使用される繊維は親水性でも疎水性でもよく、あるいは親水性繊維と疎水性繊維の組み合わせを含んでもよい。ここでいう「親水性」という用語は、これらの繊維上に加えられる水性液体(例えば水性体液)により、繊維または繊維の表面が湿潤され得ることを指す。親水性および湿潤性は、通常、関係する液体および固体の接触角および表面張力に関して定義される。詳細は、米国化学会の出版物、ロバート・F・グールド編『接触角、湿潤性、および接着』(版権1964年)で論じられている。液体と繊維またはその表面の接触角が90°未満であるか、液体が自発的に表面上に分散する場合(両条件は通常同時に生じる)、繊維または繊維の表面が液体により湿潤する(すなわち親水性である)。一方、接触角が90°より大きく、液体が繊維の表面上に自発的に広がらない場合、繊維または繊維の表面が疎水性であると考えられる。
【0104】
本発明に係る好ましい繊維は親水性繊維である。好適な親水性繊維としては、セルロース繊維、変性セルロース繊維、レーヨン、ポリエチレンテレフタレート(例えば、DACRON(登録商標))などのポリエステル線維、親水性ナイロン(HYDROFIL(登録商標))などが挙げられる。好適な親水性繊維は、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリスチレン、ポリウレタン等からなる熱可塑性繊維などの疎水性繊維を、界面活性剤またはシリカによる処理によって親水性化させることによっても得られる。入手性とコストの理由から、セルロース繊維、特にパルプ繊維が、本発明において好ましく使用される。本発明で使用する好ましい親水性繊維としては、化学強化セルロース繊維も挙げられる。「化学強化セルロース繊維」とは、乾燥条件および水性条件での繊維の剛性を増加させるように化学媒体によって強化されたセルロース繊維を言う。そのような媒体は、例えば、繊維を被覆および/または含浸する化学硬化剤であってもよい。また、ポリマー鎖の架橋など、繊維の化学構造を変化させることによって硬化させる化学硬化剤であってもよい。セルロース繊維を被覆または含浸できるポリマー硬化剤としては、米国ニュージャージー州ブリッジウォーターのNational Starch and Chemical社から入手できる窒素含有基(例えば、アミノ基)を有するカチオン性デンプン、ラテックス、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂などの耐湿性樹脂(例えば、米国デラウェア州ウィルミントンのHercules社のKymene(登録商標)557H)、例えば、米国特許第3,556,932に記載されたポリアクリルアミド樹脂、米国コネチカット州スタンフォ−トのAmerican Cyanamid社のParez(登録商標)631NZなどの市販のポリアクリルアミド、ウレアホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。各形態で架橋によって強化された繊維(すなわち、強化繊維とその製造方法)は、例えば、米国特許第3,224,926号、米国特許第3,440,135号、米国特許第3,932,209号、米国特許第4,035,147号に記載されている。好ましい架橋剤としては、グルタルアルデヒド、グリオキサール、ホルムアルデヒド、グリオキサル酸、オキシジコハク酸、クエン酸が挙げられる。架橋、被覆、含浸または架橋によって得られた強化セルロース繊維は、より合わせられるかカールされていてもよく、好ましくはより合わせられてカールされている。
【0105】
上記の繊維材料の他に、コアは熱可塑性材料を含むことができる。溶融すると、通常は毛管勾配によって、熱可塑性材料の少なくとも一部は繊維間を通って繊維の交点に至る。これらの交点は、熱可塑性材料の結合位置となる。エレメントを冷却すると、熱可塑性材料はこれらの交点で固化し、各層の繊維のマトリックスまたは組織を保持する結合位置を形成する。熱可塑性材料は、粒子、繊維または繊維と粒子の組み合わせなどの様々な形態で使用される。これらの材料としては、ポリエチレン(例えば、PULPEX(登録商標))やポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエステル、コポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸エチルビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリレート、ポリアミド、コポリアミド、ポリスチレン、ポリウレタン、塩化ビニル/酢酸ビニルなどのこれらの材料のコポリマーなどが挙げられる。コアの基材としては、セルロースからなる材料、好ましくは繊維材料が使用される。
【0106】
コアの別の実施形態では、コアは、基材と吸収性ポリマー構造体(Pa)に加えて、粉末状物質、例えばシクロデキストリン、ゼオライト、無機塩または有機塩等の消臭物質を含むことができる。
【0107】
吸収性コアの一実施形態では、吸収性ポリマー構造体(Pa)は、コアに対して10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、特に好ましくは40〜70重量%の量で組み込まれる。コアの一実施形態では、吸収性ポリマー構造体(Pa)は粒子としてコアに組み込まれる。このように、吸収性ポリマー構造体(Pa)は繊維材料に均一に分散されるか、繊維材料間に層状に存在するか、繊維材料中で濃度勾配を有する。コアの別の実施形態では、吸収性ポリマー構造体(Pa)は繊維としてコアに組み込まれる。
【0108】
例えば、吸収速度、浸透性、保持容量、圧力下吸収、粒径分布、または化学組成が異なる複数の吸収性ポリマー粒子を必要に応じて同時に使用することもできる。これらの各種ポリマー粒子は、吸収性パッド中に混合されていてもよく、コアの異なる場所に配置されていてもよい。異なる場所へ配置は、コアの厚み、長さまたは幅方向のいずれでもよい。
【0109】
コアは、当業者に知られている方法、例えば、成形ホイール、成形ポケット、製品型枠、適切な計量装置によるドラム成形によって結合される。また、計量、繊維の産出、水素結合(例えば、ドイツ特許公開第19 750 890号)、熱結合、ラテックス結合(例えば、欧州特許第850 615号)、ハイブリッド結合等の繊維の固定化のあらゆる形態が含まれるエアレイド法(例えば、欧州特許第850 615号、米国特許第4,640,810号)、ウェットレイド法(例えば、WO99/49905)、カーディング法、メルトブローン法、スパンブローン法、(EDANA(ブリュッセル)による定義内の)超吸収体不織布を単独または2種以上の組み合わせで製造するための同様な工程等の確立された工程が挙げられる。使用できるその他の方法としては、最も広い意味での積層体の製造や、押出成形または共押出成形による湿式もしくは乾式の構造体と後成形構造物の製造である。
【0110】
吸収コアの別の実施形態では、コアは、体液の貯蔵層として機能する、基材と基材に組み込まれた吸収性ポリマー構造体(Pa)に加えて、好ましくは体液を吸収してコアに迅速に分散させる吸収層を含む。したがって、吸収層は貯蔵層の直接上に配置されてもよいし、吸収層は好ましくは液安定界面層によって貯蔵層から分離されていてもよい。この界面層は、吸収層と貯蔵層の支持基材として機能する。界面層の好ましい材料としては、ポリエステル紡糸フリース、またはポリプロピレン、ポリエチレン若しくはナイロンからなるフリースが挙げられる。
【0111】
本発明に係るコアの一実施形態では、吸収層は吸収性ポリマーを含まない。吸収層は適当なサイズを有することができるが、貯蔵層の全長または全幅を超えてはならない。吸収層は、例えば、細片またはパッチの形状であってもよい。吸収層全体は好ましくは親水性であるが、疎水性成分を有していてもよい。吸収層は、織布材料、フリース材料、または他の適当な材料を含むことができる。吸収層は、好ましくは、疎水性ポリエチレンテレフタレート繊維(PET繊維)、化学強化セルロース繊維、またはそれらの混合物からなる。その他の好適な材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロンまたはバイオ繊維が挙げられる。吸収層がフリース材料を含む場合には、吸収層は複数の異なる方法で製造される。これらの方法には、ウェットレイイング、空気流塗布、溶融塗布、紡糸フリース形成およびカーディング(熱接合、溶媒による接合、またはメルトスピン法による接合を含む)が含まれる。吸収層内で繊維を整列させることが望ましい場合には、最後に述べた方法(紡糸フリース形成およびカーディング)が好ましく、そのような方法では繊維を単一の方向に容易に整列させることができる。吸収層の特に好ましい材料は、PET紡糸フリースである。
【0112】
複合体がおむつである実施形態では、吸収性ポリマー構造体と異なるおむつの構成要素は、複合体の基材を含む。好ましい実施形態では、おむつは上述したコアを含む。この場合、コアと異なるおむつの構成要素が複合材料の基材となる。一般に、おむつとして用いられる複合体は、不透水性の下層、透水性の、好ましくは疎水性の上層、および下層と上層の間に配置されている、吸収性ポリマー構造体(Pa)を含む層からなる。吸収性ポリマーを含む層は、上述したコアであることが好ましい。下層は当業者に公知であるいかなる材料を含んでもよく、ポリエチレンまたはポリプロピレンが好ましい。同様に、上層も当業者に知られている好適な材料を含むことができ、ポリエステル、ポリオレフィン、ビスコース等が好ましく、上層の十分な透液性を確保する十分な多孔性を有する層が形成される。これらに関しては、米国特許第5,061,295号、米国再発行特許第26,151号、米国特許第3,592,194号、米国特許第3,489,148号、米国特許第3,860,003号を参照する。これらの開示内容は、この参照によって本明細書の開示の一部をなすものとする。
【0113】
本発明は、本発明に係る吸収性ポリマー構造体、基材、必要に応じて好適な添加剤を互いに接触させる複合体の製造方法も含む。接触は、ウェットレイド法、エアレイド法、圧縮、押出、混合によって行われることが好ましい。
【0114】
また、本発明は上述した方法によって得られる複合体も含む。
【0115】
また、本発明は、発泡体、成形体、繊維、シート、フィルム、ケーブル、シール材、吸液性衛生用品、植物・菌類生育調節剤または植物防疫剤用の担体、建設材料用の添加剤、包装材料、土壌添加剤などの化学製品も含み、これらの化学製品は、本発明に係る吸収性ポリマー構造体(Pa)または上述した基材を含んでいる。
【0116】
また、本発明は、本発明に係る吸収性ポリマー構造体(Pa)または上述した基材の、発泡体、成形体、繊維、シート、フィルム、ケーブル、シール材、吸液性衛生用品、植物・菌類生育調節剤または植物防疫剤用の担体、建設材料用の添加剤、包装材料、土壌添加剤などの化学製品への使用も含む。
【0117】
植物・菌類生育調節剤または植物防疫剤用の担体への使用では、植物・菌類生育調節剤または植物防疫剤は、担体によって制御される時間後に放出される。
【0118】
また、本発明は、少なくとも1種の化学架橋剤と少なくとも1種の分散コロイド無機化合物とを含む水溶液に関し、化学架橋剤と無機化合物は、本発明に係る吸収性ポリマー構造(Pa)の製造方法に関連して上述した化学架橋剤と無機化合物に、対応する。
【0119】
本発明に係る水溶液に存在する化学架橋剤の量は、水溶液の量に対して、好ましくは5〜70重量%、特に好ましくは20〜60重量%、最も好ましくは30〜50重量%である。
【0120】
本発明に係る水溶液に存在する無機化合物の量は、水溶液の量に対して、好ましくは1〜40重量%、特に好ましくは1.5〜35重量%、最も好ましくは2.5〜32重量%である。
【0121】
また、本発明は、この水溶液の製造方法であって、少なくとも1種の分散コロイド無機化合物を含む水溶液を少なくとも1種の化学架橋剤と混合することを特徴とする方法に関する。本発明に係る方法では、化学架橋剤は、そのまま、あるいは分散コロイド無機化合物を含む水溶液の形態で混合される。
【0122】
また、本発明は、上記方法によって得られる水溶液に関する。
【0123】
また、本発明は、少なくとも1種の化学架橋剤と少なくとも1種の分散コロイド無機化合物とを含む水溶液または上記水溶液の製造方法によって得られる水溶液の、吸収性ポリマー構造(Pu1)または(Pu2)の外側部分の処理における使用に関する。処理は、上述した本発明に係る吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)の外側部分の処理方法と同様に行われる。吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)は、上述した本発明に係る吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)の外側部分の処理方法で説明した吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)を含む。
【0124】
また、本発明は、少なくとも1種の化学架橋剤と少なくとも1種の分散コロイド無機化合物とを含む水溶液または上記水溶液の製造方法によって得られる水溶液の、吸収性ポリマー構造(Pu1)または(Pu2)の以下の特性の少なくとも1つの調節における使用に関する。
(γ1)生理食塩水透過率(SFC)
(γ2)遠心分離保持容量(CRC)
(γ3)圧力下吸収(AAP)
【0125】
上記特性の2以上の組み合わせは、それぞれが本発明に係る水溶液の本発明に係る使用の好ましい形態である。本発明に係るさらなる実施形態としては、水溶液の、以下の特性または特性の組み合わせを調節するための使用が、特に好ましい。γ1,γ2,γ3,γ1γ2,γ1γ3,γ2γ3,γ1γ2γ3。
【0126】
本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0127】
未処理の吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)の製造
【0128】
粉末A
水酸化ナトリウムで70モル%まで中和したアクリル酸280g、水466.8g、ポリエチレングリコール(300)ジアクリレート1.4g、アリルオキシポリエチレングリコールアクリレート1.68gからなるモノマー溶液を、窒素を吹き込むことによって脱酸素処理し、4℃の開始温度まで冷却した。開始温度に達した後、開始剤溶液(水10gに溶解した2,2’−アゾビス−2−アミジノプロパン二塩酸塩0.1g、水10gに溶解したペルオキシ二硫酸ナトリウム0.3g、水1gに溶解した30%過酸化水素溶液0.07g、水2gに溶解したアスコルビン酸0.015g)を加えた。最終温度(約100℃)に達した後、得られたゲルを細片化し、150℃で90分間乾燥した。乾燥したポリマーを粗く粉砕し、次いで、細かく粉砕し、次いで、粒径が150〜850μmの粉末に篩い分けた。
粉末Aは28.8g/gの保持容量を有していた。
【0129】
粉末B
水酸化ナトリウムで70モル%まで中和したアクリル酸280g、水467.6g、ポリエチレングリコール(300)ジアクリレート0.98g、アリルオキシポリエチレングリコールアクリレート1.26gからなるモノマー溶液を、窒素を吹き込むことによって脱酸素処理し、4℃の開始温度まで冷却した。開始温度に達した後、開始剤溶液(水10gに溶解した2,2’−アゾビス−2−アミジノプロパン二塩酸塩0.1g、水10gに溶解したペルオキシ二硫酸ナトリウム0.3g、水1gに溶解した30%過酸化水素溶液0.07g、水2gに溶解したアスコルビン酸0.015g)を加えた。最終温度(約100℃)に達した後、得られたゲルを細片化し、150℃で90分間乾燥した。乾燥したポリマーを粗く粉砕し、次いで、細かく粉砕し、次いで、粒径が150〜850μmの粉末に篩い分けた。
粉末Bは31.2g/gの保持容量を有していた。
【0130】
粉末C
水酸化ナトリウムで70モル%まで中和したアクリル酸280g、水468.6g、ポリエチレングリコール(300)ジアクリレート0.42g、アリルオキシポリエチレングリコールアクリレート0.84gからなるモノマー溶液を、窒素を吹き込むことによって脱酸素処理し、4℃の開始温度まで冷却した。開始温度に達した後、開始剤溶液(水10gに溶解した2,2’−アゾビス−2−アミノプロパン二塩酸塩0.1g、水10gに溶解したペルオキシ二硫酸ナトリウム0.3g、水1gに溶解した30%過酸化水素溶液0.07g、水2gに溶解したアスコルビン酸0.015g)を加えた。最終温度(約100℃)に達した後、得られたゲルを細片化し、150℃で90分間乾燥した。乾燥したポリマーを粗く粉砕し、次いで、細かく粉砕し、次いで、粒径が150〜850μmの粉末に篩い分けた。
粉末Cは37.1g/gの保持容量を有していた。
【0131】
架橋剤、水またはケイ酸ゾルなどの各成分が未処理吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)の外側部分を処理するために使用される以下の実施例で与えられる量は、未処理吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)の重量に対する量である。
【0132】
未処理吸収性ポリマー構造体(Pu1)の外側部分の処理が保持性、透過性、圧力下吸収に与える影響
【0133】
(実施例1)
粉末A50gを、Krupsケークミキサーで激しく撹拌しながら炭酸エチレン0.5g、ケイ酸ゾル(Levasil 200(登録商標)、Bayer AG製、固形分:約30重量%)0.42g及び水1.08gの溶液に混合し、混合物を180℃に設定したオーブンで30分間加熱した。
【0134】
(実施例2)
粉末A50gを、Krupsケークミキサーで激しく撹拌しながら炭酸エチレン0.5g、ケイ酸ゾル(Levasil 200(登録商標)、Bayer AG製、固形分:約30重量%)0.84g及び水0.66gの溶液に混合し、混合物を180℃に設定したオーブンで30分間加熱した。
【0135】
(実施例3)
粉末B50gを、Krupsケークミキサーで激しく撹拌しながら炭酸エチレン0.5g、ケイ酸ゾル(Levasil 200(登録商標)、Bayer AG製、固形分:約30重量%)0.42g及び水1.08gの溶液に混合し、混合物を180℃に設定したオーブンで30分間加熱した。
【0136】
(実施例4)
粉末B50gを、Krupsケークミキサーで激しく撹拌しながら炭酸エチレン0.5g、ケイ酸ゾル(Levasil 200(登録商標)、Bayer AG製、固形分:約30重量%)0.84g及び水0.66gの溶液に混合し、混合物を180℃に設定したオーブンで30分間加熱した。
【0137】
(実施例5)
粉末C50gを、Krupsケークミキサーで激しく撹拌しながら炭酸エチレン0.5g、ケイ酸ゾル(Levasil 200(登録商標)、Bayer AG製、固形分:約30重量%)0.42g及び水1.08gの溶液に混合し、混合物を180℃に設定したオーブンで30分間加熱した。
【0138】
(比較例1)
粉末A50gを、Krupsケークミキサーで激しく撹拌しながら炭酸エチレン0.5g及び水1.5gの溶液に混合し、混合物を180℃に設定したオーブンで30分間加熱した。
【0139】
(比較例2)
粉末B50gを、Krupsケークミキサーで激しく撹拌しながら炭酸エチレン0.5g及び水1.5gの溶液に混合し、混合物を180℃に設定したオーブンで30分間加熱した。
【0140】
(比較例3)
比較例2で得られた架橋ポリマー構造体を、激しく撹拌しながらケイ酸ゾル(Levasil 200(登録商標)、Bayer AG製、固形分:約30重量%)0.84g及び水0.16gと混合した。この生成物には最終加熱工程は行わなかった。
【0141】
(比較例4)
比較例2で得られた架橋ポリマー構造体を、激しく撹拌しながらケイ酸ゾル(Levasil 200(登録商標)、Bayer AG製、固形分:約30重量%)0.84g及び水0.16gと混合し、混合物を100℃に設定したオーブンで60分間加熱した。
【0142】
(比較例5)
粉末B50gを、Krupsケークミキサーで激しく撹拌しながら炭酸エチレン0.5g、Aerosil(登録商標)(熱分解ケイ酸ゾル、Degussa AG製)0.125g及び水2gの溶液に混合し、混合物を180℃に設定したオーブンで30分間加熱した。Aerosilの水懸濁液を形成するために水の量を増加させなければならなかった。それにもかかわらず、Aerosilはすぐに沈殿し、粉末Bへの均一な添加が不可能なため、容易に添加できる懸濁液を得るのは不可能だった。コーティングされたポリマーは凝集する傾向があり、不均一だった。
【0143】
(比較例6)
粉末C50gを、Krupsケークミキサーで激しく撹拌しながら炭酸エチレン0.5g及び水1.5gの溶液に混合し、混合物を180℃に設定したオーブンで30分間加熱した。
【0144】
(比較例7)
粉末B50gを、Krupsケークミキサーで激しく撹拌しながらジエチレングリコールモノメチルエーテル0.25g、ケイ酸ゾル(Levasil 200(登録商標)、Bayer AG製、固形分:約30重量%)0.25g及び水1.25gの溶液に混合し、混合物を120℃に設定したオーブンで3分間加熱した。この処理は、特開平6−16822号の実施例1に係る処理に対応する。
【0145】
(比較例8)
粉末B50gを、Krupsケークミキサーで激しく撹拌しながら1,3−ブタンジオール0.25g、ケイ酸ゾル(Levasil 200(登録商標)、Bayer AG製、固形分:約30重量%)0.25g及び水1.25gの溶液に混合し、混合物を120℃に設定したオーブンで3分間加熱した。この処理は、特開平6−16822号の実施例2に係る処理に対応する。
【0146】
実施例1〜4および比較例1〜8で得られた吸収性構造体の特性を表1に示す。
【0147】
本発明に従って製造された吸収性ポリマー構造体は、透過性(SFC)においてかなりの改善を示し、ケイ酸ゾルを使用せずに外側部分を架橋した製品と比較して、同じまたは増加した保持性を示した(実施例1〜4、比較例1,2) 既に架橋したポリマー構造体のケイ酸による二次処理では、その後の熱処理に関わらず所望の結果は得られなかった(比較例3,4,6)。
【0148】
二次架橋時のAerosil 200の添加は、優れた超吸収体特性にはつながらなかった(比較例5)。また、多量のAerosilは、許容範囲の量の水に分散させることはできなかった。
【0149】
比較例7,8は、特開平6−16822号の実施例に対応し、透過性と保持性に関してポリマーの優れた性能を達成することは不可能であることを示している。
【0150】
【表1】

【0151】
未処理吸収性ポリマー構造体(Pu1)の外側部分の処理がポリマー構造体の凝集傾向に与える影響
【0152】
(実施例6)
粉末B50gを、Krupsケークミキサーで激しく撹拌しながら炭酸エチレン0.5g、ケイ酸ゾル(Levasil 200(登録商標)、Bayer AG製、固形分:約30重量%)0.125g及び水1.38gの溶液に混合した。水溶液に接触させた吸収性ポリマー構造体からプレス部分を調製し、密度及びプレス部分を破壊するために必要な圧力を測定した。
【0153】
(実施例7)
粉末B50gを、Krupsケークミキサーで激しく撹拌しながら炭酸エチレン0.5g、ケイ酸ゾル(Levasil 200(登録商標)、Bayer AG製、固形分:約30重量%)0.125g及び水1.25gの溶液に混合した。水溶液に接触させた吸収性ポリマー構造体からプレス部分を調製し、密度及びプレス部分を破壊するために必要な圧力を測定した。
【0154】
(比較例9)
粉末B50gを、Krupsケークミキサーで激しく撹拌しながら炭酸エチレン0.5g及び水1.5gの溶液に混合した。水溶液に接触させた吸収性ポリマー構造体からプレス部分を調製し、密度及びプレス部分を破壊するために必要な圧力を測定した。
【0155】
実施例5,6及び比較例9で水溶液に接触させた吸収性構造体の特性を表2に示す。
【0156】
【表2】

【0157】
これらの結果は、安定した凝集の形成がケイ酸ゾルの添加によって著しく抑制されることを示している。ケイ酸ゾルの添加によって、凝集によって加工性を損なうことなく、吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)は多量の液体を吸収することができる。
【0158】
試験方法
【0159】
膨潤状態における透過性(SFC試験)
膨潤状態における透過性(生理食塩水透過率=SFC)の測定を、WO95/22356に記載の方法にしたがって行った。約0.9gの超吸収体材料を篩い分け底面を有するシリンダーに秤量し、ふるいの表面に慎重に分散させる。超吸収体材料を、20g/cmの圧力下でJAYCO合成尿で1時間膨張させる。超吸収体の膨張高さを記録した後、水平にした貯蔵容器からの0.118M NaCl溶液を一定の静水圧下で膨潤ゲル層を通過させる。膨潤ゲル層を、測定時には特別なふるいシリンダで覆い、ゲル上での0.118M NaCl溶液の均一な分散とゲル床状態に関する測定時(測定温度:20〜25℃)の一定の条件を確保する。膨潤した超吸収体に作用する圧力は常に20g/cmとする。コンピューターと秤を使用して、時間の関数としてのゲルシートを通過する液体の量を、10分間にわたって20秒の間隔で記録する。膨潤ゲル層を通過する流速g/秒を、勾配外挿法による回帰分析および2〜10分間における流量の時間点t=0における中心の測定によって決定する。SFC値(K)をcm3・s・g−1で示し、以下のように計算した。
K={F(t=0)×L}/(r×A×ΔP)={F(t=0)×L}/139506
(t=0):流速(g/秒)
:ゲル層の厚み(cm)
r:NaCl溶液の濃度(1.003g/cm3
A:測定シリンダのゲル層の上部の表面(28.27cm2
ΔP:ゲル層への静圧(4920dyne/cm2
K:SFC値
【0160】
凝集傾向の測定
液体でコーティングされた超吸収体の凝集傾向をJ.R.Johanson Inc製のIndiciserで測定する。超吸収体を調査対象の二次架橋剤溶液でコーティングし、50gの粉末を調査に使用する。5.23cmの内径を有する空洞金属シリンダのプレススタンプによって、160,000Paの圧力を使用して約2cmの高さを有するプレス部分を作成する。プレス部分を4.2cmの直径を有する第2のシリンダに通過させることによって破壊し、破壊に必要な力を測定する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未処理の吸収性ポリマー構造体(Pu1)の外側部分を処理することによって吸収性ポリマー構造体(Pa)を製造するための方法であって、
前記未処理の吸収性ポリマー構造体(Pu1)の前記外側部分を、少なくとも1種の化学架橋剤と少なくとも1種の分散コロイド無機化合物とを含む水溶液に接触させる工程と;
前記外側部分を前記水溶液と接触させた前記吸収性ポリマー構造体を40〜300℃の温度に加熱し、前記吸収性ポリマー構造体の前記外側部分を内側部分よりも強く架橋させ、前記無機化合物を前記吸収性ポリマー構造体の前記外側部分に少なくとも部分的に固定させる工程と;
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
分散コロイド無機化合物によって処理されていない吸収性ポリマー構造体(Pu2)の外側部分を処理することによって吸収性ポリマー構造体(Pa)を製造するための方法であって、
前記吸収性ポリマー構造体(Pu2)の前記外側部分を、少なくとも1種の化学架橋剤と少なくとも1種の分散コロイド無機化合物とを含む水溶液に接触させる工程と;
前記外側部分を前記水溶液と接触させた前記吸収性ポリマー構造体を40〜300℃の温度に加熱し、前記吸収性ポリマー構造体の前記外側部分を内側部分よりも強く架橋させ、前記無機化合物を前記吸収性ポリマー構造体の前記外側部分に少なくとも部分的に固定させる工程と;
を含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2において、前記吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)は、以下の成分(α1)〜(α5)((α1)〜(α5)の重量の合計は100重量%):
(α1)20〜99.999重量%の、エチレン性不飽和酸性基含有モノマーまたはその塩の重合物、またはエチレン性不飽和プロトン化若しくは第四級化窒素含有モノマー、若しくはそれらの混合物の重合物。
(α2)0〜80重量%の、(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマーの重合物。
(α3)0.001〜5重量%の少なくとも1種の架橋剤。
(α4)0〜30重量%の水溶性ポリマー。
(α5)0〜20重量%の1種以上の添加剤。
を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
前記請求項のいずれかにおいて、前記吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)は、以下の特性:
(A)0.9重量%食塩水の最大吸収量が、少なくとも10〜1,000g/gである。
(B)0.9重量%食塩水で抽出可能な部分が、吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)の30重量%未満である。
(C)嵩密度が、300〜1,000g/lである。
(D)1リットルの水中での、吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)1gのpHが、4〜10である。
(E)CRC値が、10〜100g/gである。
の少なくとも1つを有することを特徴とする方法。
【請求項5】
前記請求項のいずれかにおいて、前記吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)を、前記吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)の重量に対して、20重量%以下の前記水溶液と接触させることを特徴とする方法。
【請求項6】
前記請求項のいずれかにおいて、前記化学架橋剤を含む水溶液と、前記分散コロイド無機化合物を含む水溶液とを、同時に前記吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)と接触させることを特徴とする方法。
【請求項7】
前記請求項のいずれかにおいて、前記吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)の前記外側部分と接触させた前記水溶液中の前記無機化合物の少なくとも30重量%が、1〜100nmの粒径を有することを特徴とする方法。
【請求項8】
前記請求項のいずれかにおいて、前記吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)の前記外側部分の処理において、前記無機化合物を、前記吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)に対して、0.001〜10重量%の量で使用することを特徴とする方法。
【請求項9】
前記請求項のいずれかにおいて、ポリケイ酸を含む粒子を前記無機化合物として使用することを特徴とする方法。
【請求項10】
前記請求項のいずれかにおいて、縮合架橋剤を前記化学架橋剤として使用することを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1または10に記載の方法によって得られる吸収性ポリマー構造体(Pa)。
【請求項12】
内側部分と内側部分を取り囲む外側部分とを有する吸収性ポリマー構造体(Pa)であって、前記外側部分は前記内側部分よりも架橋度が高く、無機化合物が前記外側部分に少なくとも部分的に固定され、以下の特性:
(β1)CRCが26g/g未満であって、SFCが少なくとも80×10−7cm・s・g−1である。
(β2)CRCが26g/g以上27g/g未満であって、SFCが少なくとも70×10−7cm・s・g−1である。
(β3)CRCが27g/g以上28g/g未満であって、SFCが少なくとも60×10−7cm・s・g−1である。
(β4)CRCが28g/g以上29g/g未満であって、SFCが少なくとも45×10−7cm・s・g−1である。
(β5)CRCが29g/g以上30g/g未満であって、SFCが少なくとも30×10−7cm・s・g−1である。
(β6)CRCが30g/g以上31g/g未満であって、SFCが少なくとも20×10−7cm・s・g−1である。
(β7)CRCが31g/g以上であって、SFCが少なくとも10×10−7cm・s・g−1である。
の少なくとも1つを有する吸収性ポリマー構造体(Pa)。
【請求項13】
請求項12において、50g/cmの圧力において少なくとも18g/gの圧力下吸収(AAP)を有することを特徴とする吸収性ポリマー構造体(Pa)。
【請求項14】
請求項12または13において、前記無機化合物はポリケイ酸の縮合物であることを特徴とする吸収性ポリマー構造体(Pa)。
【請求項15】
請求項11または12に記載の吸収性ポリマー構造体(Pa)と、基材と、を含むことを特徴とする複合体。
【請求項16】
複合体の製造方法であって、請求項11または12に記載の吸収性ポリマー構造体(Pa)と、基材と、必要に応じて添加剤と、を接触させることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法によって得られる複合体。
【請求項18】
請求項11または12に記載の吸収性ポリマー構造体(Pa)または請求項15または17に記載の複合体を含むことを特徴とする化学製品。
【請求項19】
請求項11または12に記載の吸収性ポリマー構造体(Pa)または請求項15または17に記載の複合体の、化学製品における使用。
【請求項20】
少なくとも1種の化学架橋剤と少なくとも1種の分散コロイド無機化合物を含む水溶液。
【請求項21】
請求項20に記載の水溶液の製造方法であって、少なくとも1種の分散コロイド無機化合物を含む水溶液を、少なくとも1種の化学架橋剤と混合することを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21において、前記化学架橋剤は水溶液として使用されることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項21または22に記載の方法によって得られる水溶液。
【請求項24】
請求項20または23において、前記無機化合物はポリケイ酸を含む粒子であることを特徴とする水溶液。
【請求項25】
請求項20または23に記載の水溶液の、未処理の吸収性ポリマー構造体(Pu1)の外側部分の処理における使用。
【請求項26】
請求項20または23に記載の水溶液の、分散コロイド無機化合物で処理されていない吸収性ポリマー構造体(Pu2)の外側部分の処理における使用。
【請求項27】
請求項20または23に記載の水溶液の、未処理の吸収性ポリマー構造体(Pu1)の以下の特性:
(γ1)生理食塩水透過率(SFC)
(γ2)遠心分離保持容量(CRC)
(γ3)圧力下吸収(AAP)
の少なくとも1つを調節するための使用。
【請求項28】
請求項20または23に記載の水溶液の、分散コロイド無機化合物で処理されていない吸収性ポリマー構造体(Pu2)の以下の特性:
(γ1)生理食塩水透過率(SFC)
(γ2)遠心分離保持容量(CRC)
(γ3)圧力下吸収(AAP)
の少なくとも1つを調節するための使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
未処理の吸収性ポリマー構造体(Pu1)の外側部分を処理することによ吸収性ポリマー構造体(Pa)造方法であって、
前記未処理の吸収性ポリマー構造体(Pu1)の前記外側部分を、少なくとも1種の化学架橋剤と少なくとも1種の分散コロイド無機化合物とを含む水溶液に接触させる工程と;
前記外側部分を前記水溶液と接触させた前記吸収性ポリマー構造体を40〜300℃の温度に加熱し、前記吸収性ポリマー構造体の前記外側部分を内側部分よりも強く架橋させ、前記無機化合物を前記吸収性ポリマー構造体の前記外側部分に少なくとも部分的に固定させる工程と;
を含むことを特徴とする吸収性ポリマー構造体(Pa)の製造方法。
【請求項2】
分散コロイド無機化合物によって処理されていない吸収性ポリマー構造体(Pu2)の外側部分を処理することによ吸収性ポリマー構造体(Pa)造方法であって、
前記吸収性ポリマー構造体(Pu2)の前記外側部分を、少なくとも1種の化学架橋剤と少なくとも1種の分散コロイド無機化合物とを含む水溶液に接触させる工程と;
前記外側部分を前記水溶液と接触させた前記吸収性ポリマー構造体を40〜300℃の温度に加熱し、前記吸収性ポリマー構造体の前記外側部分を内側部分よりも強く架橋させ、前記無機化合物を前記吸収性ポリマー構造体の前記外側部分に少なくとも部分的に固定させる工程と;
を含むことを特徴とする吸収性ポリマー構造体(Pa)の製造方法。
【請求項3】
記吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)は、以下の成分(α1)〜(α5)((α1)〜(α5)の重量の合計は100重量%):
(α1)20〜99.999重量%の、エチレン性不飽和酸性基含有モノマーまたはその塩の重合物、またはエチレン性不飽和プロトン化若しくは第四級化窒素含有モノマー、若しくはそれらの混合物の重合物
(α2)0〜80重量%の、(α1)と共重合可能なモノエチレン性不飽和モノマーの重合物
(α3)0.001〜5重量%の少なくとも1種の架橋剤
(α4)0〜30重量%の水溶性ポリマー
(α5)0〜20重量%の1種以上の添加剤
を含むことを特徴とする請求項1又は2いずれか1項記載の吸収性ポリマー構造体(Pa)の製造方法。
【請求項4】
記吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)は、以下の特性:
(A)0.9重量%食塩水の最大吸収量が、少なくとも10〜1,000g/gであること、
(B)0.9重量%食塩水で抽出可能な部分が、吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)の30重量%未満であること、
(C)嵩密度が、300〜1,000g/lであること、
(D)1リットルの水中での、吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)1gのpHが、4〜10であること、
(E)CRC値が、10〜100g/gであること、
の少なくとも1つを有することを特徴とする請求項1〜2いずれか1項記載の吸収性ポリマー構造体(Pa)の製造方法。
【請求項5】
記吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)を、前記吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)の重量に対して、20重量%以下の前記水溶液と接触させることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の吸収性ポリマー構造体(Pa)の製造方法。
【請求項6】
記化学架橋剤を含む水溶液と、前記分散コロイド無機化合物を含む水溶液とを、同時に前記吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)と接触させることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の吸収性ポリマー構造体(Pa)の製造方法。
【請求項7】
記吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)の前記外側部分と接触させた前記水溶液中の前記無機化合物の少なくとも30重量%が、1〜100nmの粒径を有することを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載の吸収性ポリマー構造体(Pa)の製造方法。
【請求項8】
記吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)の前記外側部分の処理において、前記無機化合物を、前記吸収性ポリマー構造体(Pu1)または(Pu2)に対して、0.001〜10重量%の量で使用することを特徴とする請求項1〜7いずれか1項記載の吸収性ポリマー構造体(Pa)の製造方法。
【請求項9】
リケイ酸を含む粒子を前記無機化合物として使用することを特徴とする請求項1〜8いずれか1項記載の吸収性ポリマー構造体(Pa)の製造方法。
【請求項10】
合架橋剤を前記化学架橋剤として使用することを特徴とする請求項1〜9いずれか1項記載の吸収性ポリマー構造体(Pa)の製造方法。
【請求項11】
未処理の吸収性ポリマー構造体(Pu1)の外側部分を処理することにより得られる吸収性ポリマー構造体(Pa)であって、
前記未処理の吸収性ポリマー構造体(Pu1)の前記外側部分を、少なくとも1種の化学架橋剤と少なくとも1種の分散コロイド無機化合物とを含む水溶液に接触させる工程と;
前記外側部分を前記水溶液と接触させた前記吸収性ポリマー構造体を40〜300℃の温度に加熱し、前記吸収性ポリマー構造体の前記外側部分を内側部分よりも強く架橋させ、前記無機化合物を前記吸収性ポリマー構造体の前記外側部分に少なくとも部分的に固定させる工程と;
を行い得られることを特徴とする吸収性ポリマー構造体(Pa)。
【請求項12】
分散コロイド無機化合物によって処理されていない吸収性ポリマー構造体(Pu2)の外側部分を処理することにより得られる吸収性ポリマー構造体(Pa)であって、
前記吸収性ポリマー構造体(Pu2)の前記外側部分を、少なくとも1種の化学架橋剤と少なくとも1種の分散コロイド無機化合物とを含む水溶液に接触させる工程と;
前記外側部分を前記水溶液と接触させた前記吸収性ポリマー構造体を40〜300℃の温度に加熱し、前記吸収性ポリマー構造体の前記外側部分を内側部分よりも強く架橋させ、前記無機化合物を前記吸収性ポリマー構造体の前記外側部分に少なくとも部分的に固定させる工程と;
を行い得られることを特徴とする吸収性ポリマー構造体(Pa)。
【請求項13】
内側部分と内側部分を取り囲む外側部分とを有する吸収性ポリマー構造体(Pa)であって、前記外側部分は前記内側部分よりも架橋度が高く、無機化合物が前記外側部分に少なくとも部分的に固定され、以下の特性:
(β1)CRCが26g/g未満であって、SFCが少なくとも80×10−7cm・s・g−1であること、
(β2)CRCが26g/g以上27g/g未満であって、SFCが少なくとも70×10−7cm・s・g−1であること、
(β3)CRCが27g/g以上28g/g未満であって、SFCが少なくとも60×10−7cm・s・g−1であること、
(β4)CRCが28g/g以上29g/g未満であって、SFCが少なくとも45×10−7cm・s・g−1であること、
(β5)CRCが29g/g以上30g/g未満であって、SFCが少なくとも30×10−7cm・s・g−1であること、
(β6)CRCが30g/g以上31g/g未満であって、SFCが少なくとも20×10−7cm・s・g−1であること、
(β7)CRCが31g/g以上であって、SFCが少なくとも10×10−7cm・s・g−1であること、
の少なくとも1つを有する吸収性ポリマー構造体(Pa)。
【請求項14】
50g/cmの圧力において少なくとも18g/gの圧力下吸収(AAP)を有することを特徴とする請求項13記載の吸収性ポリマー構造体(Pa)。
【請求項15】
前記無機化合物はポリケイ酸の縮合物であることを特徴とする請求項13又は14に記載の吸収性ポリマー構造体(Pa)。
【請求項16】
請求項11〜13に記載の吸収性ポリマー構造体(Pa)と、基材と、を含むことを特徴とする複合体。
【請求項17】
請求項11〜13に記載の吸収性ポリマー構造体(Pa)と、基材と、を接触させることを特徴とする複合体の製造方法。
【請求項18】
請求項11〜13に記載の吸収性ポリマー構造体(Pa)と、基材と、を接触させて得られることを特徴とする複合体。
【請求項19】
請求項11〜13いずれか1項に記載の吸収性ポリマー構造体(Pa)または請求項16若しくは18に記載の複合体を含むことを特徴とする化学製品。
【請求項20】
請求項11〜13いずれか1項に記載の吸収性ポリマー構造体(Pa)または請求項16若しくは18に記載の複合体の、化学製品における使用。
【請求項21】
少なくとも1種の化学架橋剤と少なくとも1種の分散コロイド無機化合物を含むことを特徴とする水溶液。
【請求項22】
少なくとも1種の分散コロイド無機化合物を含む水溶液を、少なくとも1種の化学架橋剤と混合することを特徴とする水溶液の製造方法。
【請求項23】
前記化学架橋剤は、水溶液の形態で混合されることを特徴とする請求項22記載の水溶液の製造方法。
【請求項24】
少なくとも1種の分散コロイド無機化合物を含む水溶液を、少なくとも1種の化学架橋剤と混合して得られることを特徴とする水溶液。
【請求項25】
前記無機化合物はポリケイ酸を含む粒子であることを特徴とする請求項21又は24に記載の水溶液。
【請求項26】
請求項21または24に記載の水溶液の、未処理の吸収性ポリマー構造体(Pu1)の外側部分の処理における使用。
【請求項27】
請求項21または24に記載の水溶液の、分散コロイド無機化合物で処理されていない吸収性ポリマー構造体(Pu2)の外側部分の処理における使用。
【請求項28】
請求項21または24に記載の水溶液の、未処理の吸収性ポリマー構造体(Pu1)の以下の特性:
(γ1)生理食塩水透過率(SFC)
(γ2)遠心分離保持容量(CRC)
(γ3)圧力下吸収(AAP)
の少なくとも1つを調節するための使用。
【請求項29】
請求項21または24に記載の水溶液の、分散コロイド無機化合物で処理されていない吸収性ポリマー構造体(Pu2)の以下の特性:
(γ1)生理食塩水透過率(SFC)
(γ2)遠心分離保持容量(CRC)
(γ3)圧力下吸収(AAP)
の少なくとも1つを調節するための使用。

【公表番号】特表2006−503948(P2006−503948A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−545982(P2004−545982)
【出願日】平成15年10月24日(2003.10.24)
【国際出願番号】PCT/EP2003/011828
【国際公開番号】WO2004/037903
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(504341139)ストックハウゼン ゲーエムベーハー (35)
【Fターム(参考)】