説明

吸水性ポリマー粒子の連続的な製造方法

吸水性ポリマー粒子の連続的な製造方法であって少なくとも1つの粒子状の搬送物質量流量が入射された電磁波によって測定される製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性ポリマー粒子の連続的な製造方法において、少なくとも1つの粒子状の搬送物質量流量(Foerdergutmassenstrom)を入射された電磁波によって測定する方法に関する。
【0002】
吸水性ポリマー粒子の製造は、モノグラフ"Modern Superabsorbent Polymer Technology",F.L.Buchholz及びA.T.Graham,Wiley−VCH,1998,第71〜103頁に記載される。
【0003】
吸水性ポリマーは、おむつ、タンポン、生理帯及びその他の衛生用品を製造するための、水溶液を吸収する製品として使用されているが、農業園芸における保水剤としても使用されている。
【0004】
該吸水性ポリマーの特性は、架橋度によって調節することができる。架橋度が高まると、ゲル強度が高まり、そして遠心保持能力(CRC)が低下する。
【0005】
例えばおむつでの膨潤ゲルベッドにおける液体通過性(Fluessigkeitsweiterleitung)(SFC)並びに圧力下吸収(AUL)などの応用特性の改善のためには、吸水性ポリマー粒子は、一般に、後架橋される。それによって、粒子表面の架橋度のみが高まり、そうして圧力下吸収(AUL)と遠心保持能力(CRC)とのつながりを少なくとも部分的になくすことができる。前記の後架橋は、水性ゲル相中で実施することができる。しかし、好ましくは、乾燥され、粉砕されかつ篩別されたポリマー粒子(基礎ポリマー)は、その表面上で後架橋剤によって被覆され、熱的に後架橋され、そして乾燥される。このために適切な架橋剤は、親水性ポリマーのカルボキシル基と共有結合を形成することができる少なくとも2の基を有する化合物である。
【0006】
EP1426157号A1は、吸水性ポリマー粒子の連続的な製造方法を記載している。個々の方法工程は、緩衝容器によって切り離されている。後架橋において連続的な配量を保証するために、2つの受容器を使用することが提案される。後架橋への搬送物質量流量は、該受容器への充填状態の変化の測定によって決定される。
【0007】
WO2005/122075号A1は、吸水性ポリマー粒子の連続的な製造方法において、人工神経回路網を介して調節する方法を開示している。使用例では、遠心保持能力(CRC)のモノマー溶液の架橋剤含有率に対する依存性が、遠心保持能力(CRC)の制御のために用いられる。
【0008】
WO96/24838号A1は、搬送物質量流量の測定のための、特に火力発電所での炭素粉塵を有するボイラの燃焼の制御のための光学的方法を記載している。
【0009】
DE19911654号C1は、粒子の速度と寸法の測定のための装置を開示している。
【0010】
本発明の課題は、吸水性ポリマー粒子の連続的な製造のための改善された方法を提供することであった。特に、本方法は高いプロセス安定性の点で優れているべきである。更に、プロセス障害は直ちに検出できることが望ましい。
【0011】
本発明の更なる課題は、技術水準に対して少ない緩衝容器しか必要としない、吸水性ポリマー粒子の連続的な製造方法を提供することであった。
【0012】
前記課題は、吸水性ポリマー粒子の連続的な製造方法であって少なくとも1つの粒子状の搬送物質量流量が測定される製造方法において、電磁波を、少なくとも0.1m/sの速度で流動している搬送物質量流量に入射することを特徴とする方法によって解決された。
【0013】
吸水性ポリマー粒子は、一般に少なくとも15g/g、好ましくは少なくとも20g/g、有利には少なくとも25g/g、特に有利には少なくとも30g/g、殊に有利には少なくとも35g/gの遠心保持能力(CRC)を有する。吸水性ポリマー粒子の遠心保持能力は、通常は、60g/g未満であり、その際、遠心保持能力(CRC)は、EDANA(欧州不織布工業会(European Disposables and Nonwovens Association))によって推奨された試験方法No.441.2−02"遠心保持能力(Centrifuge retention capacity)"によって測定される。
【0014】
本発明による方法により測定される、粒子状の搬送物質量流量は、目的生成物の粒子寸法とは異なる粒子寸法を有してよい。例えば、150μm未満の直径を有する粒子又は850μmより大きい直径を有する粒子からなる搬送物質量流量を測定することができる。かかる粒子は、通常は、プロセスにおいて、相応の分級工程を介して分離され、そして好ましくは別の位置で該プロセスへと返送される。しかし、吸水性ポリマー粒子とは別の粒子、例えば約10nmの平均直径を有する一次粒子を有する熱分解法シリカからなる搬送物質量流量を測定することもできる。
【0015】
搬送物質量流量の測定は、搬送物質量流量と共に単位時間あたりに輸送される物質を測定することを意味する。
【0016】
電磁線の波長には制限を受けない。しかし有利には、レーザダイオードを照射源として使用することができる。レーザダイオードによって放出される放射線の波長は、有利には0.5〜50μm(6〜600THz)である。しかしまた、マイクロ波を電磁線として使用することも可能である。その際、その波長は、有利には1〜10mm(30〜300GHz)である。
【0017】
搬送物質量流量は、例えば、入射された電磁波が、搬送物質量流量の粒子によって回折されることによって測定できる。光検出器によって、その回折をもとに、例えばDE19911654号C1に記載されるようにして、粒子寸法と粒子速度を測定することができる。このために、有利にはレーザダイオードが照射源として使用される。係る測定は、例えば測定装置Parsum(登録商標)IPP50(Malvern Instruments GmbH社、Herrenberg,DE)を用いて実施することができる。粒子寸法と粒子速度から、搬送物質量流量を計算することができる。
【0018】
更に、搬送物質量流量は、入射された電磁波が、搬送物質量流量の粒子から反射されることによって測定できる。引き続き、反射された電磁波を、その周波数と振幅に関して、例えばWO96/24838号A1に記載されるようにして評価する。このために、有利にはマイクロ波が使用される。係る測定は、例えば測定装置SolidFlow(SWR engineering Messtechnik GmbH社、Schliengen,DE)によって実施できる。
【0019】
20cmより大きい管径の場合に、好ましくは2もしくは3個のセンサが使用され、その際、該センサは90゜もしくは120゜で互いに配置されていることが望ましい。
【0020】
該センサは、操業開始前に較正され、その際、有利には少なくとも3つの搬送物質量流量が、非線形挙動の認識のために使用される。
【0021】
入射の間の搬送物質量流量の速度は、有利には少なくとも1m/s、有利には少なくとも5m/s、特に有利には少なくとも10m/s、殊に有利には少なくとも12m/sである。40m/sより高い速度は、それに関連する機械的負荷の増大に基づきあまり好ましくない。
【0022】
搬送物質量流量は、通常は、円形の断面を有する管中で搬送され、好ましくはステンレス鋼が使用される。搬送物質量流量は、気圧的に及び/又は重力的に搬送することができる。
【0023】
好ましくは、搬送物質量流量は、少なくとも部分的に吸水性ポリマー粒子を含有する。搬送される吸水性ポリマー粒子の含水率は、好ましくは0.1〜10質量%、特に有利には0.5〜8質量%、殊に有利には1〜5質量%であり、その際、含水率は、EDANA(欧州不織布工業会)によって推奨される試験法第430.2−02"湿分含量(Moisture content)"に従って測定される。
【0024】
搬送物質量流量は、通常は連続的に測定される。これは、搬送物質量流量と共に単位時間あたりに搬送される全ての物質を、予想外の撹乱を除き測定することを意味する。
【0025】
気圧的搬送での最適なガス初速度は、搬送導管の直径に依存する。この依存性は、最良にはフルード数で記載される:
【数1】

Fr=フルード数
v=ガス速度
D=輸送導管の内径
g=重力加速度
本発明による気圧的搬送でのフルード数は、好ましくは10〜40、特に有利には11〜30、殊に有利には12〜20である。
【0026】
搬送速度が低すぎる場合には、気圧的搬送は不安定になり、より高い搬送速度は、機械的負荷の増大の結果として不所望な摩擦を高める。
【0027】
気圧的搬送の搬送物負荷は、好ましくは0.5〜20kg/kg、特に有利には1〜10kg/kg、殊に有利には2〜6kg/kgであり、その際、該搬送物負荷は、搬送物質量流量とガス質量流量との商である。
【0028】
基本的に、搬送物負荷が高まると、最適なガス初速度も高まる。
【0029】
気圧的搬送が行われる管状導管の直径は、好ましくは3〜30cm、特に有利には4〜25cm、殊に有利には5〜20cmである。管径が小さすぎると、気圧的搬送を通じてより高い機械的負荷がもたらされ、それにより不所望な摩擦を促進する。管径が大きすぎると、搬送導管における吸水性ポリマー粒子の同様に不所望な沈降が起こることがある。
【0030】
本発明による方法は、吸水性ポリマーの製造において高いプロセス安定性と、プロセス障害の迅速な検出を可能にする。
【0031】
突然の変化は、しばしばプロセス障害の指標である。例えば、使用される分級法に際して使用される篩別機を監視することができる。搬送物質量流量の急激な増大は、その際、篩いの破損を示している。プロセス障害の迅速な認識は、規格外製品の量を減らす。
【0032】
更に、分級法でその閉塞及び/又は篩い過剰負荷の結果として、個別の篩分級物の割合を徐々に推移されることがある。この障害は、分級の分離精度を低下させ、そして前記障害は、本発明による搬送物質量流量の適時の測定によって早期に認識することができる。
【0033】
搬送物質量流量の測定は、制御装置内の設定値の適合のためにも使用することができる。そのための例は、気圧的搬送でのガス質量流量の制御、後乾燥での加熱温度の制御、そして重合と同時に小粒(細粒)を返送する場合の架橋剤量の制御である。それらの例は、以下のように説明される:
吸水性ポリマー粒子は、好ましくは気圧的搬送システムによって輸送され、その際、基本的に3種の搬送様式に区別できる。
【0034】
高いガス速度の範囲での飛行搬送と流動搬送は、ほぼ、自由流動される個々の粒子の法則に当てはまる。それは古典的な様式の気圧的搬送である。生成物の沈積は全く起こらない。実質的に均一な搬送物分布が管中には存在する。
【0035】
ガス速度が低下すると、束状搬送の範囲に至り、そこでは搬送物は、とりわけ管の下半分で流動する。管の上半分では、飛行搬送が存在する。
【0036】
ガス速度が小さい場合に、搬送は、極めてゆっくりと、高密度流(プラグ搬送、インパルス搬送)として高い圧力損失を伴って起こる。
【0037】
高い搬送速度は、吸水性ポリマー粒子の機械的負荷を高め、そして不所望な摩擦をもたらす。従って、低い搬送速度が好ましい。
【0038】
しかし束状搬送の範囲で搬送速度が低すぎると問題である。それというのも、高密度流搬送と束状搬送との間の不安定な範囲においては安定な搬送が不可能だからである。むしろ、その際に生ずる機械的負荷は、取り付け具から搬送導管を引き抜くまでに、搬送システムに深刻な被害をもたらすことがある。
【0039】
例えば搬送物質量流量が気圧的搬送システムの不均一な負荷の結果として高まって、かつガス質量流量が十分に高められていない場合に、低すぎる搬送速度が生ずることがある。
【0040】
本発明による方法は、ここで搬送導管の前方領域で既に実際の搬送物質量流量の適時の測定を可能にする。それは、ガス質量流量の迅速な適合を可能にする。それによって、不安定な範囲とのより低い安全性間隔が可能となり、かつ気圧的搬送は、より低い搬送速度で行うことができる。不所望な摩擦を最小限にすることができる。
【0041】
本発明による方法は、また、後乾燥での加熱温度の制御のためにも使用することができる。
【0042】
通常は、重合に際して生ずるヒドロゲルは、バンド乾燥器で乾燥される。その乾燥の後に、不完全に乾燥された部分を、例えばEP948997号A2に記載されるようにして分離する。不完全に乾燥された部分は、個別の乾燥器中で後乾燥することができる。
【0043】
不完全に乾燥された部分の量は、明らかな変動を受ける。従って、この量変動を1つの受容器を介して正常なものにすることが好ましい。
【0044】
本発明による方法による搬送物質量流量の適時の測定によって、後乾燥の乾燥性能を最適に適合させることができ、1つの受容器がもはや必要なくなる。
【0045】
しかし本発明による方法は、また、重合と同時に小粒(細粒)を返送する場合に架橋剤の制御のためにも使用することができる。
【0046】
吸水性ポリマー粒子の製造に際して、粉砕の後にも、後架橋の後にも分級される。その際に、小粒(細粒)が分離される。経済的な理由から、この小粒(細粒)を返送することが合理的である。好ましくは、粉砕後に生ずる小粒(細粒)も後架橋の後に生ずる小粒(細粒)もいずれも共通のサイロにおいて一緒に貯蔵し、かつ重合へと搬送される。
【0047】
ここで、返送された後架橋された小粒は、最終生成物の遠心保持能力(CRC)を低下させることが明らかになった。従って、重合時の架橋剤量は、返送された後架橋された小粒(細粒)の量に相応して適合させる必要がある。このためには、本発明による方法が特に良好に適している。返送された小粒(細粒)の搬送物質量流量の適時の測定によって、直接的に、返送された混合物中の後架橋された小粒(細粒)の割合が計算され、重合時の架橋剤量を適合させることができる。
【0048】
好ましくは、この測定ユニットは、同時に、既に上述した篩別の監視のために使用され、それによって該プロセス中での測定装置の数を少なく保つことができる。
【0049】
本発明による方法で使用される吸水性ポリマー粒子は、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーa)と、選択的に少なくとも1つの架橋剤b)と、少なくとも1つの開始剤c)と、水d)とを含有するモノマー溶液の重合によって製造することができる。
【0050】
モノマーa)は、好ましくは水溶性である。すなわち、23℃での水中での溶解度は、一般に少なくとも1g/100g(水)、好ましくは少なくとも5g/100g(水)、特に有利には少なくとも25g/100g(水)、殊に有利には少なくとも50g/100g(水)であり、それを、好ましくは1つの酸基ごとに有する。
【0051】
好適なモノマーa)は、例えばエチレン性不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸及びイタコン酸である。特に好ましいモノマーは、アクリル酸及びメタクリル酸である。殊に、アクリル酸が好ましい。
【0052】
好ましいモノマーa)は、少なくとも1つの酸基を有し、その際、該酸基は、好ましくは少なくとも部分的に中和されている。
【0053】
モノマーa)の全量に対するアクリル酸及び/又はそれらの塩の割合は、有利には少なくとも50モル%、特に有利には少なくとも90モル%、殊に有利には少なくとも95モル%である。
【0054】
モノマーa)、特にアクリル酸は、有利には0.025質量%までのヒドロキノン半エーテルを含む。好ましいヒドロキノン半エーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)及び/又はトコフェロールである。
【0055】
トコフェロールとは、以下の式
【化1】

[式中、R1は、水素もしくはメチルを意味し、R2は、水素もしくはメチルを意味し、R3は、水素もしくはメチルを意味し、かつR4は、水素もしくは1〜20個の炭素原子を有する酸基を意味する]で示される化合物を表す。
【0056】
4についての好ましい基は、アセチル、アスコルビル、スクシニル、ニコチニル及び他の生理学的に認容性のカルボン酸である。カルボン酸は、モノカルボン酸、ジカルボン酸もしくはトリカルボン酸であってよい。
【0057】
有利には、R1=R2=R3=メチルであるα−トコフェロール、特にラセミ体のα−トコフェロールである。R1は、特に有利には水素又はアセチルである。特に有利には、RRR−α−トコフェロールである。
【0058】
モノマー溶液は、それぞれアクリル酸に対して、有利には高くても130質量ppm、特に有利には高くても70質量ppm、好ましくは少なくとも10質量ppm、特に好ましくは少なくとも30質量ppm、特に約50質量ppmのヒドロキノン半エーテルを含有し、その際、アクリル酸塩は、アクリル酸としてともに考慮される。例えば、モノマー溶液の製造のために、ヒドロキノン半エーテルの相応の含有率を有するアクリル酸を使用することができる。
【0059】
架橋剤b)は、少なくとも2つの重合可能な基を有し、それらがラジカル的に重合してポリマー網目構造を形成しうる化合物である。好適な架橋剤b)は、例えばエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルオキシエタン(それらはEP530438号A1に記載されている)、ジアクリレート及びトリアクリレート(それらはEP547847号A1、EP559476号A1、EP632068号A1、WO93/21237号A1、WO2003/104299号A1、WO2003/104300号A1、WO2003/104301号A1及びDE10331450号A1に記載される)、混合型アクリレートであってアクリレート基の他に更なるエチレン性不飽和基を有するもの(それらはDE10331456号A1及びDE10355401号A1に記載される)又は架橋剤混合物(それらは例えばDE19543368号A1、DE19646484号A1、WO90/15830号A1及びWO2002/32962号に記載されている)である。
【0060】
適切な架橋剤b)は、特にN,N′−メチレンビスアクリルアミドおよびN,N′−メチレンビスメタクリルアミド、不飽和モノカルボン酸またはポリカルボン酸とポリオールとのエステル、例えばジアクリレート又はトリアクリレート、例えばブタンジオールジアクリレート又はエチレングリコールジアクリレート、又はブタンジオールジメタクリレート又はエチレングリコールジメタクリレート並びにトリメチロールプロパントリアクリレート及びアリル化合物、例えばアリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、マレイン酸ジアリルエステル、ポリアリルエステル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、テトラアリルエチレンジアミン、リン酸のアリルエステル並びに例えば、EP343427号A2中に記載されているようなビニルホスホン酸誘導体である。更に適した架橋剤b)は、ペンタエリトリトールジ−、ペンタエリトリトール−及びペンタエリトリトールテトラアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、エチレングリコールジアリルエーテル、グリセリンジ−及びグリセリントリアリルエーテル、ソルビトールを基礎とするポリアリルエーテル、並びにそれらのエトキシ化された別形である。本発明による方法においては、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレートを使用可能であり、その際、使用されるポリエチレングリコールは、100〜1000の分子量を有する。
【0061】
しかしながら、特に好ましい架橋剤b)は、3ないし20エトキシ化されたグリセリンの、3ないし20エトキシ化されたトリメチロールプロパンの、3ないし20エトキシ化されたトリメチロールエタンのジ−及びトリアクリレート、特に2ないし6エトキシ化されたグリセリンの又はトリメチロールプロパンのジ−及びトリアクリレート、3プロポキシ化されたグリセリンの又はトリメチロールプロパンのジ−及びトリアクリレートであり、並びに3混合エトキシ化された又はプロポキシ化されたグリセリンの又はトリメチロールプロパンのジ−及びトリアクリレート、15エトキシ化されたグリセリンの又はトリメチロールプロパンのジ−及びトリアクリレート、並びに少なくとも40エトキシ化されたグリセリンの、トリメチロールエタンのもしくはトリメチロールプロパンのジ−及びトリアクリレートである。
【0062】
殊に好ましい架橋剤b)は、例えばWO2003/104301号A1に記載される、アクリル酸もしくはメタクリル酸とエステル化してジ−又はトリアクリレートとなった多重エトキシ化された及び/又はプロポキシ化されたグリセリンである。特に有利には、3ないし10エトキシ化されたグリセリンのジアクリレート及び/又はトリアクリレートである。殊に、1ないし5エトキシ化された及び/又はプロポキシ化されたグリセリンのジアクリレート又はトリアクリレートが好ましい。最も好ましくは、3ないし5エトキシ化された及び/又はプロポキシ化されたグリセリンのトリアクリレートである。
【0063】
架橋剤b)の量は、それぞれモノマー溶液に対して、有利には0.01〜5質量%、特に有利には0.05〜2質量%、殊に有利には0.1〜1質量%である。
【0064】
開始剤c)としては、重合条件下でラジカル形成する全ての化合物、例えばペルオキシド、ヒドロペルオキシド、過酸化水素、過硫酸塩、アゾ化合物及びいわゆるレドックス開始剤を使用することができる。水溶性の開始剤を使用することが好ましい。多くの場合に、種々の開始剤の混合物、例えば過酸化水素とペルオキソ二硫酸ナトリウムもしくはペルオキソ二硫酸カリウムとからの混合物を使用することが好ましい。過酸化水素とペルオキソ二硫酸ナトリウムとからの混合物は、あらゆる任意の比率で使用することができる。
【0065】
特に好ましい開始剤c)は、アゾ開始剤、例えば2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド及び2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド及び光開始剤、例えば2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン及び1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、レドックス開始剤、例えば過硫酸ナトリウム/ヒドロキシメチルスルフィン酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム/ヒドロキシメチルスルフィン酸、過酸化水素/ヒドロキシメチルスルフィン酸、過硫酸ナトリウム/アスコルビン酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム/アスコルビン酸及び過酸化水素/アスコルビン酸、光開始剤、例えば1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン並びにそれらの混合物である。
【0066】
開始剤は、通常の量で、例えばモノマーa)に対して、0.001〜5質量%の量で、好ましくは0.01〜1質量%の量で使用される。
【0067】
好ましい重合抑制剤は、最適な作用のために溶解された酸素を必要とする。従って、モノマー溶液からは、重合前に、不活性化によって、すなわち不活性ガス、好ましくは窒素での流過によって、溶解酸素を除去されることがある。有利には、モノマー溶液の重合前の酸素含有率は、1質量ppm未満に、特に有利には0.5質量ppm未満に低下される。
【0068】
好適なポリマーの製造並びに他の好適な親水性のエチレン性不飽和モノマーa)は、DE19941423号A1、EP686650号A1、WO2001/45758号A1及びWO2003/104301号A1に記載されている。
【0069】
好適な反応器は、混練反応器又はバンド反応器(Bandreaktor)である。混練機中で、水性モノマー溶液の重合に際して生ずるポリマーゲルは、例えば二重反転撹拌軸によって、WO2001/38402号A1に記載されるように連続的に粉砕される。バンド上での重合は、例えばDE3825366号A1及びUS6,241,928号に記載されている。バンド反応器中での重合の場合には、例えば肉挽き機、押出機もしくは混練機中で、更なる方法工程において粉砕せねばならないポリマーゲルが生成する。
【0070】
好ましくは、ヒドロゲルは、重合反応器を出た後に、さらにより高い温度で、好ましくは少なくとも50℃で、特に好ましくは少なくとも70℃で、殊に好ましくは少なくとも80℃で、かつ好ましくは100℃未満で、例えば隔離された容器中で貯蔵される。通常は2〜12時間の貯蔵によって、モノマー転化率は更に高められる。
【0071】
重合反応器中でのモノマー転化率がより高い場合には、その貯蔵を明らかに短縮でき、もしくは貯蔵を省くことができる。
【0072】
得られるヒドロゲルの酸基は、通常は部分的に、好ましくは25〜95モル%までが、有利には50〜80モル%までが、特に有利には60〜75モル%までが中和されており、その際、慣用の中和剤、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属炭酸水素塩並びにそれらの混合物を使用することができる。アルカリ金属塩の代わりに、アンモニウム塩を使用することもできる。ナトリウム及びカリウムは、アルカリ金属として特に好ましいが、殊には、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム並びにそれらの混合物が好ましい。
【0073】
中和は、好ましくはモノマーの段階で実施される。それは、通常、水溶液として、溶融物として、又は有利には固体として中和剤を混加することによって行われる。例えば、50質量%を明らかに下回る含水量を有する水酸化ナトリウムは、23℃より高い融点を有するロウ状材料として存在しうる。この場合に、配量は、ばら材としても、又は高められた温度で溶融物としても可能である。
【0074】
しかしながらまた、中和を重合の後でヒドロゲルの段階で実施することもできる。更に、40モル%までの、有利には10〜30モル%の、特に有利には15〜25モル%の酸基を重合前に中和することが可能であり、その際、一部の中和剤を既にモノマー溶液に添加し、そして所望の最終中和度が、重合後にはじめてヒドロゲルの段階で調整される。ヒドロゲルが少なくとも部分的に重合後に中和される場合に、該ヒドロゲルは、好ましくは機械的に、例えば肉挽き機を用いて粉砕され、その際、中和剤を、噴霧するか、散布するか、又は注入し、次に注意深く混合してよい。そのために、得られたゲル材料は、なお数回均質化のために粉砕することができる。
【0075】
該ヒドロゲルは、次いで、好ましくはベルト型乾燥機を用いて、残留湿分含量が、好ましくは15質量%未満、特に10質量%未満になるまで乾燥され、その際、含水率は、EDANA(欧州不織布工業会)によって推奨される試験法第430.2−02"湿分含量(Moisture content)"に従って測定される。しかしながら、選択的に、乾燥のために、流動床乾燥機もしくは加熱された鋤刃混合機を使用することもできる。特に白色な生成物を得るためには、有利には、このゲルの乾燥に際して、気化水の迅速な排出を保証することが好ましい。このために、乾燥温度は最適化されるべきであり、空気の供給と排出は、制御されて行われねばならず、かつその都度において十分な通風を顧慮すべきである。当然、乾燥は、ゲルの固体含有率が可能な限り高ければ高いほど、一層容易になり、生成物はより一層白色になる。有利には、ゲルの乾燥前の固体含量は、従って30〜80質量%である。特に、乾燥機を、窒素もしくは他の非酸化性の不活性ガスで通風することが好ましい。しかしながら選択的には、乾燥の間に、酸化的な黄変過程を避けるために、酸素分圧のみを軽く下げることもできる。
【0076】
乾燥されたヒドロゲルは、その後に粉砕して分級され、その際、粉砕のためには、通常は、一段階もしくは多段階のシリンダーミル、好ましくは二段階もしくは三段階のシリンダーミル、ピンドディスクミル(Stiftmuehlen)、ハンマーミル又は振動ミルが使用される。
【0077】
生成物フラクションとして分離される吸水性ポリマー粒子の平均粒度は、好ましくは少なくとも200μm、特に有利には250〜600μm、殊には300〜500μmである。生成物フラクションの平均粒度は、EDANA(欧州不織布工業会)によって推奨された試験方法第420.2−02"粒度分布(Particle size distribution)"によって測定され、その際、篩分級物の質量割合が累積的にプロットされ、平均粒度はグラフ的に測定される。この場合に、平均粒度は、累積された50質量%について生ずるメッシュ幅の値である。
【0078】
ポリマー粒子は、後架橋させて、更なる特性の改善をすることができる。適切な後架橋剤は、ヒドロゲルのカルボキシル基と共有結合を形成しうる少なくとも2つの基を有する化合物である。好適な化合物は、例えばアルコキシシリル化合物、ポリアジリジン、ポリアミン、ポリアミドアミン、ジエポキシドもしくはポリエポキシド(それらはEP83022号A2、EP543303号A1及びEP937736号A2に記載される)、二官能性もしくは多官能性のアルコール(それらはDE3314019号A1、DE3523617号A1及びEP450922号A2に記載される)又はβ−ヒドロキシアルキルアミド(それらはDE10204938号A1及びUS6,239,230号に記載される)である。更に、DE4020780号C1において、環状カーボネートが、DE19807502号A1において、2−オキサゾリドン及びそれらの誘導体、例えば2−ヒドロキシエチル−2−オキサゾリドンが、DE19807992号C1において、ビス−及びポリ−2−オキサゾリジノンが、DE19854573号A1において、2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン及びそれらの誘導体が、DE19854574号A1においては、N−アシル−2−オキサゾリドンが、DE10204937号A1においては、環状尿素が、DE10334584号A1においては、二環状アミドアセタールが、EP1199327号A2においては、オキセタン及び環状尿素が、そしてWO2003/031482号A1においては、モルホリン−2,3−ジオン及びそれらの誘導体が、好適な後架橋剤として記載されている。
【0079】
更に、付加的な重合可能なエチレン性不飽和基を含む後架橋剤を使用してもよく、それは、DE3713601号A1に記載されている。
【0080】
後架橋剤の量は、それぞれポリマーに対して、有利には0.01〜1質量%、特に有利には0.05〜0.5質量%、殊に有利には0.1〜0.2質量%である。
【0081】
本発明の好ましい一実施態様においては、後架橋剤に加えて、多価カチオンが粒子表面上に施与される。
【0082】
本発明による方法において使用することができる多価カチオンはたとえば二価のカチオン、たとえば亜鉛、マグネシウム、カルシウムおよびストロンチウムのカチオン、三価のカチオン、たとえばアルミニウム、鉄、クロム、希土類およびマンガンのカチオン、四価のカチオン、たとえばチタンおよびジルコニウムのカチオンである。対イオンとして、塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン及びカルボン酸イオン、例えば酢酸イオン及び乳酸イオンが可能である。硫酸アルミニウムが有利である。金属塩の他にも、ポリアミンを多価カチオンとして使用してもよい。
【0083】
多価カチオンの使用量は、それぞれポリマーに対して、例えば0.001〜0.5質量%、好ましくは0.005〜0.2質量%、特に有利には0.02〜0.1質量%である。
【0084】
後架橋は、通常は、後架橋剤の溶液を、ヒドロゲル上にもしくは乾燥ポリマー粒子上に噴霧して実施される。噴霧に引き続いて、熱的に乾燥され、この場合に架橋反応は、乾燥前にも乾燥の間にも起こりうる。
【0085】
架橋剤の溶液の噴霧は、有利には、可動式の混合装置を有する混合機、例えばスクリュー混合機、パドル混合機、ディスク混合機、鋤刃混合機及びブレード混合機中で行われる。特に有利には、垂直混合機、殊に有利には、鋤刃混合機及びパドル混合機である。好適な混合機は、例えばLoedige−混合機、Bepex−混合機、Nauta−混合機、Processall−混合機及びSchugi−混合機である。
【0086】
熱的乾燥は、有利には、接触乾燥機中で、特に有利にはパドル乾燥機、殊に有利にはディスク乾燥機中で実施される。
【0087】
好適な乾燥機は、例えばBepex−乾燥機及びNara−乾燥機である。さらに、流動床乾燥機も使用することができる。
【0088】
乾燥は、混合機それ自体中で、ジャケットの加熱または熱風の吹き込みによって行なうことができる。後接続された乾燥機、例えば箱形乾燥機、回転管炉または加熱可能なスクリューは、同様に適当である。特に好ましくは、流動床乾燥機中で混合及び乾燥される。
【0089】
好ましい乾燥温度は、100〜250℃の範囲であり、好ましくは120〜220℃の範囲であり、特に130〜210℃の範囲である。反応型混合機もしくは乾燥機における前記温度での好ましい滞留時間は、好ましくは少なくとも10分、特に好ましくは少なくとも20分、殊に好ましくは少なくとも30分である。
【0090】
引き続き、後架橋されたポリマーを改めて分級することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水性ポリマー粒子の連続的な製造方法であって少なくとも1つの粒子状の搬送物質量流量が測定される製造方法において、電磁波を、少なくとも0.1m/sの速度で流動している搬送物質量流量に入射することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、搬送物質量流量を、円形の断面を有する管中で搬送することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、搬送物質量流量を、気圧的に搬送することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法において、搬送物質量流量が、少なくとも部分的に吸水性ポリマー粒子を含有することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、搬送された吸水性ポリマー粒子が、10質量%未満の含水率を有することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法において、搬送物質量流量を、連続的に測定することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法において、電磁波を、ダイオードレーザによって入射することを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法において、入射される電磁波が、マイクロ波であることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法において、搬送物質量流量の測定を、プロセス障害の検出のために使用することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法において、搬送物質量流量の測定を、制御装置内の設定値の適合のために使用することを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法において、吸水性ポリマー粒子が、少なくとも50モル%までが、少なくとも部分的に中和された重合されたアクリル酸を含有することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法において、吸水性ポリマー粒子が、少なくとも15g/gの遠心保持能力を有することを特徴とする方法。

【公表番号】特表2010−504534(P2010−504534A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529675(P2009−529675)
【出願日】平成19年9月24日(2007.9.24)
【国際出願番号】PCT/EP2007/060075
【国際公開番号】WO2008/037674
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】