説明

吸水性不織布

【課題】 優れた吸水性、吸放湿性を保持するとともに、吸水性樹脂の含有量により吸水性と強度が制御可能である吸水性不織布を提供する。
【解決手段】 ポリアルキレングリコールを共重合した熱可塑吸水性樹脂を1〜100wt%の範囲で含有している吸水性繊維から構成され、40℃、相対湿度80%下での吸湿率が7%以上、保水率が15%以上の吸水性不織布。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性を有する熱可塑性不織布に関するものであり、特に熱可塑性不織布の大幅な吸水、保水特性の改善に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、衛生材料や一般生活関連材料あるいは農業資材用、産業資材用の素材として、ポリアミドやポリエステル、ポリプロピレン等の汎用の熱可塑性重合体からなる不織布が知られているが、これらの不織布は疎水性であり、吸水性に乏しいものである。これまでにも、これら合繊不織布に吸水性を付与するために、各種の提案がなされている。
具体的には、合成繊維を親水性物質で表面被覆する方法(例えば、特許文献1)、アルキルフォスフェート金属塩を付着させる方法(例えば特許文献2)、繊維の表面あるいは断面形状を変化させる方法(例えば、特許文献3)、繊維に多孔性を付与する方法(例えば、特許文献4)、吸水ポリマーと吸水繊維を用いる方法(例えば、特許文献5)、ポリアルキレンオキシド変性物またはこの変生物とポリアミドまたはポリエステルとの混合物を鞘成分とする芯鞘型混合繊維を用いる方法(特許文献6)等を挙げることが出来る。
【0003】
しかしながら、合繊繊維を親水性物質で表面被覆する方法やアルキルフォスフェート金属塩を付着させる方法は、初期の親水性には優れるものの、吸水性および保水性という点では十分な性能を示さない。
吸水ポリマーと吸水繊維を用いる方法では、吸水性に優れるものの、吸水ポリマーとの不織布積層体である為、一般に高強度のものを得ることは困難である。
繊維の表面あるいは断面形状を変化させる方法や多孔性を付与する方法は、後加工や特殊な製法を必要としコスト面で不利である等の問題がある。
【0004】
また、ポリアルキレンオキシド変性物を用いる方法は、吸水性には優れるものの、寸法安定性が悪く、また、ポリアルキレンオキシド変性物は曳糸性に乏しく、芯鞘型の繊維構造や他の熱可塑性樹脂との混合繊維でなければ繊維化が困難である等の問題があった。
一方、吸水性を有する不織布として、木綿や麻等の天然繊維が交絡一体化してなる、いわゆるスパンレース不織布が知られているが、この不織布は強力が低く、また繊維自体が熱可塑性でないために、不織不化を図るの際して加工方法が限定されるものであった。
【0005】
【特許文献1】特開2002−348779号公報
【特許文献2】特開平8−181678号公報
【特許文献3】特開2001−271228号公報
【特許文献4】特開2000−290832号公報
【特許文献5】特開平8−120550号公報
【特許文献6】特開平11−191663号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、大幅な吸水性、保水性付与が困難な熱可塑性不織布に対し、後加工の必要がなく、コスト面で有利であり、かつ製造が容易で、実用強度を損なうことなく、十分な吸水性、保水性を付与し得る熱可塑吸水性不織布を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の熱可塑性の吸水性樹脂を用いることにより飛躍的に吸水性が向上した吸水性不織布を得ることができた。すな
わち、本発明によれば、ポリアルキレングリコールを共重合した熱可塑吸水性樹脂を特定の範囲で含有している吸水性繊維から構成され、吸水性及び保水性に優れた吸水性不織布が提供される。
【0008】
上記吸水性不織布において、吸水性樹脂としては、ポリテトラメチレンテレフタレートを主成分とするポリエステルとポリエチレングリコールとの共重合体であって、ポリエチレングリコールの共重合量としては5〜90重量%、好ましくは10%〜80重量%の範囲が適当である。上記吸水性不織布を構成する繊維は、熱可塑吸水性樹脂とその他の熱可塑性樹脂との複合あるいはブレンドして得られる繊維、またはこれらの繊維と熱可塑性樹脂からなる繊維との混合繊維であってもよい。
【0009】
熱可塑吸水性樹脂と複合、ブレンドまたは混繊に使用される熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、又、ポリオレフィン系ポリマーが好適である。
上記吸水性不織布は、スパンボンド法またはメルトブロー法により製造されたものが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の熱可塑吸水性樹脂を用いた吸水性繊維からなる吸水性不織布は、吸水性付与の為の後加工の必要がなく、コスト面で有利であり、吸水性樹脂の含有量により吸水性と強度のバランスを制御することが可能であり、かつ、熱可塑性不織布において、強度を大きく損なうことなく、高い吸水性、保水性を有しており、吸水吸放湿性を要求される用途に好適に利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の吸水性長繊維不織布は、ポリアルキレングリコールを共重合した熱可塑吸水性樹脂を特定の範囲で含有している吸水性繊維から構成され、吸水性及び保水性に優れた吸水性不織布であり、JIS−L−1096滴下法による吸水速度が55秒以下であり、且つ保水率が7%以上である。
本発明で用いる熱可塑性吸水性樹脂は、40℃、相対湿度80%下での吸湿率が7%以上、保水率が15%以上の熱可塑吸水性樹脂であり、ポリアルキレングリコールを共重合した熱可塑吸水性樹脂である。好ましくは、40℃、相対湿度80%下での吸湿率が9%以上、保水率が20%以上の熱可塑吸水性樹脂である。
【0012】
熱可塑性の吸水性樹脂は、ポリテトラメチレンテレフタレート主成分とするポリエステルと、ポリエチレングリコールとの共重合体からなる樹脂であって、ポリエチレングリコールの共重合量としては5〜90重量%、好ましくは10〜80重量%、特に好ましくは30〜60重量%の範囲である。熱可塑性の吸水性樹脂におけるポリエチレングリコールの共重合量割合は、紡糸安定性と吸水性のバランスを考慮して設定され、紡糸安定性を損なわない範囲で含有させることができる。
【0013】
吸水性繊維における吸水性樹脂の含有量は、1〜100重量%の範囲である。図1に例示したように、不織布の強力と、保水率は相反する関係にあるが、両者の特性をバランスさせるという観点から考慮すると、吸水性樹脂の含有率は、好ましくは10〜90重量%、さらに好ましくは30〜70重量%であり、この範囲にあると、強力を大きく損なうことなく、優れた吸水性、保水性を得ることができる。
【0014】
図1では、ポリエチレンテレフタレート樹脂に吸水性樹脂をブレンドした場合の、ブレンド率と保水性、強力の関係を例示したものである。この図から判るように、吸水性樹脂が無添加のときは、保水率は約3%程度あるが、10%添加すると保水率は無添加に対比
して約3倍の10%に成り、30%添加すると保水率は、驚くことに約10倍の30%にまで増大し、吸水性樹脂の添加量に比例して、保水率が増加することが窺える。ポリエステル不織布で、保水率がこのように大きなものは今まで、存在しなかった。
【0015】
このような挙動から推察すると、不織布を構成する吸水性繊維に含まれる吸水性樹脂は、単糸の中で均一に分散して存在しているものと推定され、その吸水性樹脂そのものが、一旦水を吸水すると、吸水性樹脂内部に水分を抱き込み、保水して、離しにくい特殊な構造をとっているものといえる。疎水性繊維構造の内部に、水分を抱き込む構造を有し、その構造にポリエチレングリコールの共重合率が大きく関与しているものと推定している。本発明の吸水性不織布は、このような特殊な構造を有する吸水性繊維からなる不織布である。
【0016】
本発明の熱可塑吸水性樹脂の溶融粘度は特に制限はないが、常用のスパンボンド法やメルトブロー法にて繊維を得るためには、生産性の観点から、せん断速度1000秒-1での溶融粘度が100〜10000poiseの範囲のものを使用するのが好ましい。
吸水性不織布に使用される繊維の繊度は、その製造法によっても異なるが0.01〜25dtex、特に0.05〜15dtexの範囲が適当である。特に、吸水性樹脂をメルトブロー法を用いて極細繊維化することに適しており、この方法での不織布を形成することが好ましく、繊維径で0.5〜5μmの細い繊度の吸水性極細繊維が得られることで望ましい。
【0017】
熱可塑吸水性樹脂との複合、混合または吸水性繊維との混繊に用いられる熱可塑性樹脂としてはポリエステル系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、またはポリオレフィン系ポリマー等を挙げることができる。
ポリオレフィン系ポリマーとしては、例えば、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等を挙げる事ができる。ポリプロピレンに関しては、一般的なチーグラーナッタ触媒により合成されるものでもよいし、メタロセンに代表されるシングルサイト活性触媒により合成されたものであってもよい。ポリエチレンに関しては、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等を挙げることができる。更には、ポリプロピレンとポリエチレンとの共重合体やポリプロピレン中にポリエチレンやその他の添加剤を添加したポリマーであってもよい。
【0018】
ポリアミド系ポリマーとしては、例えば、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロンMXD6(ポリメタキシレンアジパミド)等を挙げることができる。更には、これらのナイロンを主体とする共重合体あるいはこれらの混合物であってもよい。
ポリエステル系ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、生分解性ポリエステル等を挙げることができる。更には、これらのポリエステルを主体とする共重合体あるいはこれらの混合物であってもよい。
【0019】
前記の熱可塑性樹脂の溶融粘度は特に制限はないが、常用のスパンボンド法やメルトブロー法にて繊維を得るためには、生産性の観点から、せん断速度1000秒-1での溶融粘度が100〜10000poiseの範囲のものを使用するのが好ましい。
また、本発明の熱可塑吸水性繊維には、本発明の目的を損なわない範囲で、他の常用の各種添加成分、例えば、各種エラストマー類などの衝撃性改良材、結晶核剤、着色防止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミンなどの酸化防止剤、エチレンビスステアリルアミドや高級脂肪酸エステルなどの離型剤、ハロゲン化銅に代表される銅化合物などの耐熱剤、エポキシ化合物、可塑剤、滑剤、耐候剤、難燃剤、着色剤などの添加剤を添加することが出来る。
【0020】
本発明において、吸水性繊維は、熱可塑吸水性樹脂と熱可塑性樹脂との混合であってもよく、繊維の断面形状についても円形や楕円形、三角や四角等の多角形、扁平や中空等の異型断面形状でもよく、要求される特性に応じて任意に設定することが出来る。
本発明の吸水性不織布は、公知の方法を用いて得られるものであり、製造方法としては従来公知の方法が任意に採用でき、特に制限はない。
吸水性不織布を構成する繊維として短繊維あるいは長繊維が用いられ、その形成方法としても、スパンボンド法とメルトブロー法に代表される紡糸直結法、カーディングやエアレイなどの乾式法、抄紙法などの湿式法などいずれの方法を用いても良い。
【0021】
吸湿性繊維からなるウェブを接着する方法としても、カレンダー法、スルーエアヒーティング法などの熱的接着法、接着剤を用いる化学的接着法、ニードルパンチ法、水流交絡法、ステッチボンド法などの機械的接着法などのいずれの方法を用いても良い。
スパンボンド法、またはメルトブロー法により得られる本発明の吸水性不織布は、ボンディング部の破損による短繊維の脱落がないなどの物性上の特徴、及び生産性が高く、カード式短繊維不織布に比較して長所が多いため、衛生、土木、建築、農業・園芸、食品包材を中心に広範な用途で使用されており、本発明の吸水性不織布としては好適である。
【0022】
本発明の吸水性不織布は、例えば、以下の様な方法で得られる。
熱可塑吸水性不織布の繊維形成には、通常使用される紡糸口金を用いて溶融紡糸をすればよい。紡糸した糸条は、冷却した後に延伸しウェブをコンベア上で捕集し任意の方法により布帛とする。さらに、本発明の吸水性不織布には、本発明の目的を損なわない範囲で、他の常用の後加工、例えば、難燃剤、消臭剤、抗菌剤、防ダニ剤などの付与をしてもよいし、染色、撥水加工などを施してもよい。
【0023】
また、混合繊維を形成する場合の吸水性樹脂と熱可塑性樹脂を混合させる方法は、混合する樹脂をマスターバッチ化する方法、ドライブレンドにより混合する方法等があるが、コスト面からドライブレンド法を採用することが好ましい。
また、本発明の吸水性不織布の形状、形態、目付等についても、必要特性に応じて任意に設定することが出来る。
なお、吸水性不織布に印刷、染色、コーティング加工などを施すことも可能であるし、種類の異なる素材、製法、製品を複合化しても何ら差し支えない。
【0024】
本発明の吸水性不織布は、従来の吸水性材料が用いられている用途に広く使用可能である。例えば、衣料部材、ディスポ衣料、靴部材などの衣料用途、保護衣、防護用品などの防護用途、手術着、マスク、ハップ剤基布などの医療用途、ルーフィング、タフト・カーペット基布、結露防止シートなどの建築用途、補強材、保護材、地中埋設管の補修材などの土木用途、自動車内装、自動車部品などの車両用途、救急用品、洗浄用品、おしぼりなどの衛生用途、カーペット、家具部材、壁紙などの家具・インテリア用途、ウェットワイパー、クリーニング材などのワイパー用途、空気フィルター、バグフィルター、エレクトレットフィルターなどのフィルター用途、布団、布団袋、枕カバーなどの寝装用途、べた掛けシート、防草シート、園芸プランターなどの農業・園芸用途、人工皮革用基布、合成皮革用基布、塩ビレザー用基布などの人工皮革類の基布用途、収納用品、食品等の包装資材、台所用品などの生活資材用途、電気材料、製品材料、機器部材などの工業資材用途などである。
【実施例】
【0025】
以下、実施例などにより本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例などにより何ら限定されるものではない。
なお、測定方法、評価方法等は下記の通りである。
<吸水速度>
JIS−L−1096の6.26.1滴下法に示された方法で測定した吸水に要した秒数にて吸水速度を評価した。秒数が小さいほど、吸水速度が大きいといえる。
【0026】
<不織布の保水率>
下記式(1)で示す吸水率で不織布の保水性を評価した。まず、試料を温度20℃、相対湿度65%の雰囲気中で24時間調湿して重量W1(g)を測定し、次に温度20℃の水道水中に24時間浸漬した後取り出し、遠心脱水機にて3500rpmで5分間脱水後、重量W2(g)を測定し、下記式(1)で保水率T0(%)を求めた。
保水率T0(%)=〔(W2−W1)/W1〕×100(1)
【0027】
<ポリエステルの固有粘度>
オルトクロロフェノールを溶媒とし、試料濃度1g/100c、温度35℃の条件で定法により測定した。
<メルトフローレート>
JIS−K−7210に記載の方法に準じてメルトフローレート(MFR)を測定した。
<ポリアミドの相対粘度>
濃度97%の硫酸を溶媒とし,試料濃度1g/100cc、温度25℃の条件で定法により測定した。
【0028】
[実施例1]
固有粘度が0.92でポリエチレングリコールの共重合率が45wt%であるポリテトラメチレンテレフタレートとポリエチレングリコールとの共重合ポリエステル樹脂を常用のスパンボンド溶融紡糸装置に供給し、230℃にて均一に溶融混合し、円形断面の紡糸孔を有する紡糸口金から溶融紡出して、引き取り速度3000m/分で引き取り、開繊分散し移動するウェブ捕集面上に捕集、堆積させて20μmの吸水性長繊維からなる目付が40g/m2 の熱可塑吸水性樹脂100%からなる熱可塑性ウェブを得た。
得られた熱可塑吸水性繊維からなるウェブを125℃に加熱したピンポイントエンボス(圧着面積率7.1%)ロールとフラットロール間で、線圧45N/cmにて部分熱圧着して40g/m2 の不織布を作成した。得られた不織布の各物性を表1に示す。引張強度はやや低いが、吸水速度は0.9秒と極めて優れた吸水性を有し、且つ保水率は84.8%と非常の高い保水特性を有している。
【0029】
[実施例2]
実施例1と同一の条件で熱可塑吸水性樹脂100%からなる熱可塑性ウェブを得て、その後、得られた吸水性繊維からなるウェブをノズル径0.15mm、ノズルピッチ0.8mm、列数2列のノズルから水圧50kg/cm2 の柱状流を噴射し、水流交絡処理し、40g/m2 の不織布を作成した。得られた不織布の各物性を表1に示す。引張強度はやや低いが、吸水速度は0.9秒と極めて優れた吸水性を有し、且つ保水率は84.8%と非常の高い保水特性を有している。
【0030】
[実施例3]
実施例1と同一の条件で熱可塑吸水性樹脂100%からなる熱可塑性ウェブを得てその後、得られた吸水性繊維からなるウェブを、ニードルパンチの条件としてパンチング密度が10個/cm、ニードルの突き込み深さ10mmで処理し、40g/m2 の不織布を作成した。得られた不織布の各物性を表1に示す。保水率は84.8%、吸水速度が0.9秒と、非常の高い吸水特性を有している。
【0031】
[実施例4]
固有粘度が0.92でポリエチレングリコールの共重合率が45wt%であるポリテトラメチレンテレフタレートとポリエチレングリコールとの共重合ポリエステル樹脂を常用のメルトブロー溶融紡糸装置に供給し、270℃にて均一に溶融混合し、円形断面の紡糸孔を有する紡糸口金から溶融紡出して、移動するウェブ捕集面上に捕集、堆積させて2.5μmの吸水性繊維からなる目付が40g/m2 のウェブを得た。得られた吸水性繊維からなるウェブを100℃に加熱した一対のフラットロール間で線圧45N/cmにて熱圧着して40g/m2 の不織布を作成した。得られた不織布の各物性を表1に示す。得られた不織布の各物性を表1に示す。保水率は84.8%、吸水速度が0.9秒と、非常の高い吸水特性を有している。
実施例1〜実施例4の結果を見ると、熱可塑吸水性樹脂100%からなる吸水性不織布は、接合方法、繊維繊度を変化させても、同一の吸水特性を有し、この吸水特性は、熱可塑性吸水樹脂の吸水特性が反映されたものと言える。
【0032】
[実施例5]
MFRが40のポリプロピレン樹脂に、固有粘度が0.92でポリエチレングリコールの共重合率が45wt%であるポリテトラメチレンテレフタレートとポリエチレングリコールとの共重合ポリエステル樹脂の含有量が10wt%となるようにドライブレンドにて混合し、常用のスパンボンド溶融紡糸装置に供給した。次に、230℃にて均一に溶融混合し、円形断面の紡糸孔を有する紡糸口金から溶融紡出して速度3200m/分にて引き取り、開繊分散し、移動するウェブ捕集面上に捕集、堆積させて2.7dtexの繊維からなるウェブを形成し、135℃に加熱したピンポイントエンボス(圧着面積率7.1%)ロールとフラットロール間で線圧45N/cmにて部分熱圧着して、40g/m2 の不織布を作成した。この不織布の各物性を表1に示す。
吸水性樹脂の含有量が10%であり、後述の比較例1の対比すると、保水率は、1.8%から8.7%へ約5倍の増加となっており、ポリプロピレン不織布に十分な吸水性を付与することができた。
【0033】
[実施例6]
MFRが40のポリプロピレン樹脂を芯、固有粘度が0.92でポリエチレングリコールの共重合率が45wt%であるポリテトラメチレンテレフタレートとポリエチレングリコールとの共重合ポリエステル樹脂を鞘成分とし、芯/鞘の重量比が70/30で定法により溶融紡糸して速度3200m/分にて引き取り、開繊分散し移動するウェブ捕集面上に捕集、堆積させて2.7dtexの吸水性繊維からなる目付が40g/m2 のウェブを得た。得られた吸水性繊維からなるウェブを125℃に加熱したピンポイントエンボス(圧着面積率7.1%)ロールとフラットロール間で線圧45N/cmにて部分熱圧着して、40g/m2 の不織布を作成した。この不織布の各物性を表1に示す。
吸水性樹脂の含有量が30%であり、後述の比較例1の対比すると、保水率は、1.8%から25.5%へ約15倍の増加となっており、吸水速度も大幅に向上しており、ポリプロピレン不織布に十分な吸水性を付与することができた。
【0034】
[実施例7]
MFR40のポリプロピレン樹脂を230℃に加熱して溶融させながら第一押出機から押し出し、一方、固有粘度が0.92でポリエチレングリコールの共重合率が45wt%であるポリテトラメチレンテレフタレートとポリエチレングリコールとの共重合ポリエステル樹脂を230℃に加熱して溶融させながら第二押出機から押し出し、ギヤポンプによってサイドバイサイド型複合繊維紡糸孔を備えた紡糸口金に導入し、紡糸孔から両樹脂を溶融紡糸し、速度3200m/分にて引き取り、開繊分散し、移動するウェブ捕集面上に捕集、堆積させてサイドバイサイド型複合繊維からなる目付が40g/m2 のウェブを得た。得られた吸水性繊維からなるウェブを130℃に加熱したピンポイントエンボス(圧着面積率7.1%)ロールとフラットロール間で線圧45N/cmにて部分熱圧着して、
40g/m2 の不織布を作成した。この不織布の各物性を表1に示す。
吸水性樹脂の含有量が50%であり、後述の比較例1と対比すると、保水率は、1.8%から42.4%へ約25倍の増加となっており、吸水速度も大幅に向上しており、ポリプロピレン不織布に十分な吸水性を付与することができた。
【0035】
[実施例8〜実施例10]
MFRが900のポリプロピレン樹脂に固有粘度が0.92でポリエチレングリコールの共重合率が45wt%であるポリテトラメチレンテレフタレートとポリエチレングリコールとの共重合ポリエステル樹脂の含有量が(30、50、70)wt%となるようにドライブレンドにて混合し、常用のメルトブロー溶融紡糸装置に供給した。次に、270℃にて均一に溶融混合し、円形断面の紡糸孔を有する紡糸口金から溶融紡出して移動するウェブ捕集面上に捕集、堆積させて2.5μmの繊維からなるウェブを形成し、100℃に加熱した一対のフラットロール間で線圧45N/cmにて熱圧着して、40g/m2 の不織布を作成した。吸水性樹脂の混合率を30%(実施例8)、50%(実施例9)、70%(実施例10)として、この不織布の各物性を表1に示す。吸水速度はやや低いが、保水性に非常に優れた良好な結果を得た。
【0036】
[実施例11]
相対粘度が2.5のナイロン6樹脂(N6)に、固有粘度が0.92でポリエチレングリコールの共重合率が45wt%であるポリテトラメチレンテレフタレートとポリエチレングリコールとの共重合ポリエステル樹脂の含有量が10wt%となるようにドライブレンドにて混合し、常用のスパンボンド溶融紡糸装置に供給した。次に260℃にて均一に溶融混合し、円形断面の紡糸孔を有する紡糸口金から溶融紡出して速度4250m/分にて引き取り、開繊分散し、移動するウェブ捕集面上に捕集、堆積させて2.0dtexのナイロン6繊維からなる目付が40g/m2 のウェブを得た。得られた吸水性繊維からなるウェブを180℃に加熱したピンポイントエンボス(圧着面積率7.1%)ロールとフラットロール間で線圧45N/cmにて部分熱圧着して40g/m2 の不織布を作成した。得られた不織布の各物性を表1に示す。
吸水性樹脂の含有量が10%であり、後述の比較例3と対比すると、保水率は、12.3%から19.6%へ約1.5倍の増加となっており、吸水速度も大幅に向上しており、ナイロン不織布に十分な吸水性を付与することができた。
【0037】
[実施例12]
相対粘度が2.6のナイロン6樹脂(N6)を芯、固有粘度が0.92でポリエチレングリコールの共重合率が45wt%であるポリテトラメチレンテレフタレートとポリエチレングリコールとの共重合ポリエステル樹脂を鞘成分とし、芯/鞘の重量比が70/30で定法により溶融紡糸して速度4250m/分にて引き取り、開繊分散し、移動するウェブ捕集面上に捕集、堆積させて2.0dtexの吸水性繊維からなる目付が40g/m2 のウェブを得た。得られた吸水性繊維からなるウェブを130℃に加熱したピンポイントエンボス(圧着面積率7.1%)ロールとフラットロール間で線圧45N/cmにて部分熱圧着して、40g/m2 の不織布を作成した。この不織布の各物性を表1に示す。
吸水性樹脂の含有量が30%であり、後述の比較例3と対比すると、保水率は、12.3%から34.1%へ約3倍の増加となっており、吸水速度も大幅に向上しており、ナイロン不織布に十分な吸水性を付与することができた。
【0038】
[実施例13]
相対粘度が2.6のナイロン6樹脂(N6)を260℃に加熱して溶融させながら第一押出機から押し出し、一方、固有粘度が0.92でポリエチレングリコールの共重合率が45wt%であるポリテトラメチレンテレフタレートとポリエチレングリコールとの共重合ポリエステル樹脂を230℃に加熱して溶融させながら第二押出機から押し出し、ギヤ
ポンプによってサイドバイサイド型複合繊維紡糸孔を備えた紡糸口金に導入し、紡糸孔から両樹脂を溶融紡糸し、速度4250m/分にて引き取り、開繊分散し、移動するウェブ捕集面上に捕集、堆積させてサイドバイサイド型複合繊維からなる目付が40g/m2 のウェブを得た。得られた吸水性繊維からなるウェブを150℃に加熱したピンポイントエンボス(圧着面積率7.1%)ロールとフラットロール間で線圧45N/cmにて部分熱圧着して、40g/m2 の不織布を作成した。この不織布の各物性を表1に示す。
吸水性樹脂の含有量が50%であり、後述の比較例3と対比すると、保水率は、12.3%から48.6%へ約4倍の増加となっており、吸水速度も大幅に向上しており、ナイロン不織布に十分な吸水性を付与することができた。
【0039】
[実施例14〜16]
相対粘度が1.5のナイロン6樹脂(N6)に、固有粘度が0.92でポリエチレングリコールの共重合率が45wt%であるポリテトラメチレンテレフタレートとポリエチレングリコールとの共重合ポリエステル樹脂の含有量が30wt%(実施例14)、50wt%(実施例15)、70wt%(実施例16)となるようにドライブレンドにて混合し、常用のメルトブロー溶融紡糸装置に供給した。次に、290℃にて均一に溶融混合し、円形断面の紡糸孔を有する紡糸口金から溶融紡出して移動するウェブ捕集面上に捕集、堆積させて2.5μmの繊維からなるウェブを形成し、100℃に加熱した一対のフラットロール間で線圧45N/cmにて熱圧着して、40g/m2 の不織布を作成した。この不織布の各物性を表1に示す。
後述の比較例4と対比すると、強度は殆ど同等であるが、吸水性に優れ、保水率は、比較例4に対比して、実施例14で約3倍、実施例15で約4倍、実施例16で約5倍の増加効果を得た。
【0040】
[実施例17〜19]
固有粘度が0.77のポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)に、固有粘度が0.92でポリエチレングリコールの共重合率が45wt%であるポリテトラメチレンテレフタレートとポリエチレングリコールとの共重合ポリエステル樹脂の含有量が30wt%(実施例17)、50wt%(実施例18)、70wt%(実施例19)となるようにドライブレンドにて混合し、常用のスパンボンド溶融紡糸装置に供給した。次に、290℃にて均一に溶融混合し、円形断面の紡糸孔を有する紡糸口金から溶融紡出して速度4500m/分にて引き取り、開繊分散し、移動するウェブ捕集面上に捕集、堆積させて2.0dtexの繊維からなるウェブを形成し、220℃に加熱したピンポイントエンボス(圧着面積率7.1%)ロールとフラットロール間で線圧45N/cmにて部分熱圧着して、40g/m2 の不織布を作成した。この不織布の各物性を表1に示す。
吸水性樹脂の含有量が30%、50%、70%であり、後述の比較例5と対比すると、保水率は、比較例5の3.4%に対し、25.5%、42.4%、60.5%の数値であり、約8倍から約18倍の効果を有しており、吸水速度も大幅に向上しており、ポリエステル不織布に十分な吸水性を付与することができた。
【0041】
[実施例20]
固有粘度が0.77のポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)を芯、固有粘度が0.92でポリエチレングリコールの共重合率が45wt%であるポリテトラメチレンテレフタレートとポリエチレングリコールとの共重合ポリエステル樹脂を鞘成分とし、芯/鞘の重量比が70/30で定法により溶融紡糸して速度4250m/分にて引き取り、開繊分散し移動するウェブ捕集面上に捕集、堆積させて2.0dtexの吸水性繊維からなる目付が40g/m2 のウェブを得た。得られた吸水性繊維からなるウェブを130℃に加熱したピンポイントエンボス(圧着面積率7.1%)ロールとフラットロール間で線圧45N/cmにて部分熱圧着して、40g/m2 の不織布を作成した。この不織布の各物性を表1に示す。
【0042】
[実施例21]
固有粘度が0.77のポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)を290℃に加熱して溶融させながら第一押出機から押し出し、一方、固有粘度が0.92でポリエチレングリコールの共重合率が45wt%であるポリテトラメチレンテレフタレートとポリエチレングリコールとの共重合ポリエステル樹脂を230℃に加熱して溶融させながら第二押出機から押し出し、ギヤポンプによってサイドバイサイド型複合繊維紡糸孔を備えた紡糸口金に導入し、紡糸孔から両樹脂を溶融紡糸し、速度4250m/分にて引き取り、開繊分散し移動するウェブ捕集面上に捕集、堆積させてサイドバイサイド型複合繊維からなる目付が40g/m2のウェブを得た。得られた吸水性繊維からなるウェブを210℃に加熱したピンポイントエンボス(圧着面積率7.1%)ロールとフラットロール間で線圧45N/cmにて部分熱圧着して、40g/m2 の不織布を作成した。この不織布の各物性を表1に示す。
【0043】
[実施例22]
固有粘度が0.42のポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)に、固有粘度が0.92でポリエチレングリコールの共重合率が45wt%であるポリテトラメチレンテレフタレートとポリエチレングリコールとの共重合ポリエステル樹脂の含有量が30wt%となるようにドライブレンドにて混合し、常用のメルトブロー溶融紡糸装置に供給した。次に、290℃にて均一に溶融混合し、円形断面の紡糸孔を有する紡糸口金から溶融紡出して移動するウェブ捕集面上に捕集、堆積させて2.5μmの繊維からなるウェブを形成し、100℃に加熱した一対のフラットロール間で線圧45N/cmにて熱圧着して、40g/m2 の不織布を作成した。この不織布の各物性を表1に示す。
【0044】
[実施例23]
固有粘度が0.42のポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)に、固有粘度が0.92でポリエチレングリコールの共重合率が45wt%であるポリテトラメチレンテレフタレートとポリエチレングリコールとの共重合ポリエステル樹脂の含有量が50wt%となるようにドライブレンドにて混合し、常用のメルトブロー溶融紡糸装置に供給した。次に、290℃にて均一に溶融混合し、円形断面の紡糸孔を有する紡糸口金から溶融紡出して移動するウェブ捕集面上に捕集、堆積させて2.5μmの繊維からなるウェブを形成し、100℃に加熱した一対のフラットロール間で線圧45N/cmにて熱圧着して、40g/m2 の不織布を作成した。この不織布の各物性を表1に示す。
【0045】
[実施例24]
固有粘度が0.42のポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)に、固有粘度が0.92でポリエチレングリコールの共重合率が45wt%であるポリテトラメチレンテレフタレートとポリエチレングリコールとの共重合ポリエステル樹脂の含有量が70wt%となるようにドライブレンドにて混合し、常用のメルトブロー溶融紡糸装置に供給した。次に、290℃にて均一に溶融混合し、円形断面の紡糸孔を有する紡糸口金から溶融紡出して移動するウェブ捕集面上に捕集、堆積させて2.5μmの繊維からなるウェブを形成し、100℃に加熱した一対のフラットロール間で線圧45N/cmにて熱圧着して、40g/m2 の不織布を作成した。この不織布の各物性を表1に示す。
【0046】
[比較例1]
MFR40のポリプロピレン樹脂(PP)を常用のスパンボンド溶融紡糸装置に供給し230℃にて均一に溶融混合し、円形断面の紡糸孔を有する紡糸口金から溶融紡出して、引き取り速度3000m/分で引き取り、開繊分散し、移動するウェブ捕集面上に捕集、堆積させて20μmのポリプロピレン繊維からなる目付が40g/m2 のウェブを得た。得られたポリプロピレン繊維からなるウェブを135℃に加熱したピンポイントエンボス
(圧着面積率7.1%)ロールとフラットロール間で線圧45N/cmにて部分熱圧着して40g/m2 の不織布を作成した。得られた不織布の各物性を表2に示す。
【0047】
[比較例2]
MFR900ポリプロピレン樹脂(PP)を常用のメルトブロー溶融紡糸装置に供給し、270℃にて均一に溶融混合し、円形断面の紡糸孔を有する紡糸口金から溶融紡出して、移動するウェブ捕集面上に捕集、堆積させて2.5μmのポリプロピレン繊維からなる目付が40g/m2 のウェブを得た。得られたポリプロピレン繊維からなるウェブを100℃に加熱した一対のフラットロール間で線圧45N/cmにて熱圧着して40g/m2 の不織布を作成した。得られた不織布の各物性を表2に示す。
【0048】
[比較例3]
相対粘度が2.6のナイロン6樹脂(N6)を常用のスパンボンド溶融紡糸装置に供給し260℃にて均一に溶融混合し、円形断面の紡糸孔を有する紡糸口金から溶融紡出して、引き取り速度4250m/分で引き取り、開繊分散し移動するウェブ捕集面上に捕集、堆積させて20μmのナイロン6繊維からなる目付が40g/m2 のウェブを得た。得られたナイロン6繊維からなるウェブを185℃に加熱したピンポイントエンボス(圧着面積率7.1%)ロールとフラットロール間で線圧45N/cmにて部分熱圧着して40g/m2 の不織布を作成した。得られた不織布の各物性を表2に示す。
【0049】
[比較例4]
相対粘度が1.6のナイロン6樹脂(N6)を常用のメルトブロー溶融紡糸装置に供給し、290℃にて均一に溶融混合し、円形断面の紡糸孔を有する紡糸口金から溶融紡出して、移動するウェブ捕集面上に捕集、堆積させて2.5μmのナイロン6繊維からなる目付が40g/m2 のウェブを得た。得られたナイロン6繊維からなるウェブを110℃に加熱した一対のフラットロール間で線圧45N/cmにて熱圧着して40g/m2 の不織布を作成した。得られた不織布の各物性を表2に示す。
【0050】
[比較例5]
固有粘度が0.70のポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)を常用のスパンボンド溶融紡糸装置に供給し290℃にて均一に溶融混合し、円形断面の紡糸孔を有する紡糸口金から溶融紡出して、引き取り速度4250m/分で引き取り、開繊分散し、移動するウェブ捕集面上に捕集、堆積させて14μmのPET繊維からなる目付が40g/m2 のウェブを得た。得られたPET繊維からなるウェブを235℃に加熱したピンポイントエンボス(圧着面積率7.1%)ロールとフラットロール間で線圧45N/cmにて部分熱圧着して40g/m2 の不織布を作成した。得られた不織布の各物性を表2に示す。
【0051】
[比較例6]
固有粘度が0.42のポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)を常用のメルトブロー溶融紡糸装置に供給し、300℃にて均一に溶融混合し、円形断面の紡糸孔を有する紡糸口金から溶融紡出して、移動するウェブ捕集面上に捕集、堆積させて2.5μmのPET繊維からなる目付が40g/m2 のウェブを得た。得られたPET繊維からなるウェブを120℃に加熱した一対のフラットロール間で線圧45N/cmにて熱圧着して40g/m2 の不織布を作成した。得られた不織布の各物性を表2に示す。
[比較例7、8]
また、比較例7として再生セルロース100%、および比較例8としてコットン100%からなる吸水性不織布の各物性を表2に示す。
【0052】
【表1】

【0053】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の吸水性不織布は、ボンディング部の破損による短繊維の脱落がないなどの物性上の特徴、及び生産性が高く、カード式短繊維不織布に比較して長所が多いため、衛生、土木、建築、農業・園芸、食品包材を中心に広範な用途で使用されており、本発明の吸水性繊維からなる長繊維不織布としては好適である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】PET樹脂と吸水性樹脂とのブレンド繊維で構成された不織布の強力と保水率の関係図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアルキレングリコールを共重合した熱可塑吸水性樹脂を1〜100wt%の範囲で含有している吸水性繊維から構成されることを特徴とする吸水性不織布。
【請求項2】
前記吸水性不織布において、JIS−L−1096滴下法による吸水速度が55秒以下であり、且つ保水率が7%以上であることを特徴とする請求項1に記載の吸水性不織布。
【請求項3】
前記吸水性繊維が、熱可塑吸水性樹脂と熱可塑性樹脂との複合またはブレンドして得られることを特徴とする請求項1又は2に記載の吸水性不織布。
【請求項4】
前記吸水性繊維と、熱可塑性繊維との、混合繊維から構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の吸水性不織布。
【請求項5】
前記熱可塑吸水性樹脂が、ポリテトラメチレンテレフタレートを主成分とするポリエステルと、ポリエチレングリコールとの共重合体であり、ポリエチレングリコールの共重合量が5〜90重量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の吸水性不織布。
【請求項6】
熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系、またはポリアミド系、またはポリエステル系樹脂であることを特徴とする請求項3に記載の吸水性不織布。
【請求項7】
吸水性不織布が、スパンボンド法あるいはメルトブロー法で形成された不織布であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の吸水性不織布。
【請求項8】
吸水性不織布における接合が、部分熱圧着法、またはウォータージェット法、またはニードルパンチ法であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の吸水性不織布。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2006−299424(P2006−299424A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−117851(P2005−117851)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【出願人】(303046303)旭化成せんい株式会社 (548)
【Fターム(参考)】