説明

吸水性多糖類及びその製造方法

【解決手段】多糖類超吸収性粒子の製造方法は、水の存在下において多糖類を架橋剤としてのポリホスフェート又はポリリン酸と混合して多糖類ゲルを形成する工程と、多糖類ゲルを乾燥させる工程と、乾燥させた多糖類ゲルを粉砕して多糖類超吸収性ポリマー粒子を得る工程と、粒子をポリホスフェート又はポリリン酸で被覆する工程と、被覆した粒子を架橋させる工程と、粒子を多価金属塩又は酸によって表面処理する工程と、を含む。また、本発明は、上記方法によって得られる多糖類超吸収性ポリマー粒子、吸水性多糖類、複合体、複合体の製造方法、上記方法によって得られる複合体、吸水性多糖類又は複合体の使用及びポリホスフェートの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
超吸収性材料は、0.9質量%塩化ナトリウム水溶液中において、超吸収性材料の重量の少なくとも約10倍から約30倍の重量の液体を吸収することができる水膨潤性を有する非水溶性材料を意味する。本発明は、水、水性液体及び血液を吸収する多糖類超吸収性粒子並びに超吸収剤ポリマー及び粒子の製造方法に関する。本願明細書に使用し、当業界において一般に使用されている「SAP」という頭字語は、超吸収性ポリマー、超吸収剤ポリマー組成物、超吸収剤ポリマー粒子又はそれらの変形を意味する。
【背景技術】
【0002】
通常、超吸収性ポリマーは、超吸収性材料の一般的な定義に従い、膨潤及びヒドロゲルの生成によって大量の水性液体及び尿又は血液等の体液を吸収し、所定の圧力下でそれらを保持することができる部分的に中和された架橋ポリマーである。超吸収性ポリマー組成物は、表面処理(表面架橋、表面処理又は他の処理等)された超吸収性ポリマーである。通常、市販されている超吸収性ポリマー組成物は、架橋ポリアクリル酸又は架橋澱粉−アクリル酸グラフトポリマーからなり、カルボキシル基の一部が水酸化ナトリウム溶液又は水酸化カリウム溶液によって中和されている。超吸収性ポリマー組成物粒子は、超吸収性ポリマー又は超吸収性ポリマー組成物の粒子であり、通常は約150〜約850μmの粒径を有する。超吸収性ポリマー及びそれらの用途と製造についての概要は、非特許文献1に記載されている。
【0003】
SAP及びSAP粒子の主な用途は、衛生用品、例えば、乳幼児用おむつ、失禁用製品又は生理用ナプキンである。フィット感、着用感、審美的理由及び環境的な観点から、衛生用品をより小さく、薄くする傾向が高まっている。これは、これらの衛生用品における高体積の綿毛繊維の含有量を減少させることによって行われている。衛生用品における一定の総体液保持容量を確保するために、これらの衛生用品のSAP含有量が高められている。
【0004】
現在使用されている超吸収性材料のほとんどは、主としてわずかに架橋された合成ポリマーからなる。合成ポリマーとしては、例えば、再生不可能な材料からなり、生分解性が不十分か、生分解性を有していないアクリル酸又はアクリルアミドからなるポリマー及びコポリマーが挙げられる。
【0005】
本発明は、全体として、多糖類超吸収性ポリマー粒子の製造方法、この方法によって得られる多糖類超吸収性ポリマー粒子並びに多糖類超吸収性ポリマー粒子の使用に関する。文献には、多糖類からなり、少なくとも部分的に生分解性を有する多くの吸水性ポリマーが記載されている。しかしながら、多糖類からなり超吸収性ポリマーを製造するための原料は水溶性である場合が多く、衛生用途のための超吸収体として使用するためには非水溶性としなければならない。
【0006】
特許文献1及び特許文献2には、カルボキシアルキル多糖類からなる超吸収体が記載されている。これらの文献に記載された方法では、カルボキシアルキル多糖類を水に溶解し、乾燥又は沈殿によって単離し、続いて多糖類骨格のヒドロキシル基を酸性カルボキシル基と反応させることによって内部エステル結合を介して熱架橋させる。上記架橋反応はpH、温度、反応時間のわずかな変化によって非常に影響を受けやすく、吸収特性が大きく異なる吸収体が得られる。上記材料は圧力下で高い吸収容量を有するが、吸収体を保存すると吸収特性は数週間以内に本来の吸収特性よりも大きく低下してしまう。
【0007】
特許文献3には、カルボキシアルキル多糖類からなり、アルミニウム塩やクエン酸等の多官能架橋剤を添加することによって経時劣化安定性を向上させた超吸収性ポリマーが記載されている。上記吸収体は、カルボキシアルキル多糖類と架橋剤を含む均一な水溶液から製造され、水溶液中には上記成分が低濃度で存在し、単離した後、熱架橋させる。水溶液の濃度が非常に低いために、上記吸収体の合成では高いエネルギーと長い時間が必要となる。実施形態における経時劣化安定性の向上は、実用上の要求を満たすものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0 538 904 A1号
【特許文献2】米国特許第5,247,072号
【特許文献3】米国特許第5,550,189号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】F.L.Buchholz及びA.T.Graham編、Modern Superabsorbent Polymer Technology、Wiley−VCH、ニューヨーク、1998年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、先行技術から生じる欠点を克服することにある。また、本発明の目的は、上述の欠点を有しておらず、再生可能な原料からなり、生分解性を有する超吸収性ポリマーを提供することにある。超吸収性ポリマーは、吸収特性を可能な限り保持し、高い長期保存安定性を有していなければならない。また、本発明は、ふるい分けや搬送等の加工処理時に微細なダストが形成されることを防止するために高い機械的安定性を有する吸収性粒子を提供することを目的とする。
【0011】
本発明の別の目的は、容易かつ経済的であるとともに確実に実施することができ、均一な生成物(製品)を製造することができ、溶媒を少量しか使用せず、可能であれば有機溶媒を使用しない、超吸収性ポリマーの製造方法を提供することにある。さらに、方法は、毒性が懸念される物質を使用せずに実施することができなくてはならない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的は、水の存在下において多糖類を架橋剤としてのポリホスフェート又はポリリン酸と混合して多糖類ゲルを形成する工程と、前記多糖類ゲルを乾燥させる工程と、前記多糖類ゲルを粉砕して多糖類超吸収性ポリマー粒子を得る工程と、前記多糖類超吸収性ポリマー粒子を架橋剤としてのポリホスフェート又はポリリン酸で被覆する工程と、前記被覆した多糖類超吸収性ポリマー粒子を架橋させる工程と、前記乾燥させた多糖類超吸収性ポリマー粒子を多価金属塩又は酸による処理から選択される処理によって表面処理する工程と、を含む吸水性多糖類超吸収性ポリマーの製造方法によって達成される。
【0013】
また、本発明は、約30日間の浸透率半減期(permeability half life)を有する多糖類超吸収性ポリマー粒子に関する。また、本発明の目的は、本発明の多糖類超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性物品に関する。
【0014】
本発明のその他の特徴及び利点は以下の説明から明らかになるだろう。以下、本発明の実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は本発明の全範囲を表すものではない。本発明の全範囲は請求項に記載されている。本願明細書に記載する値の範囲は当該範囲内の全ての値を意図するものであり、特定の範囲内の実数値である終点を有する下位範囲を記載する請求項の根拠となるものである。例えば、本願明細書に開示する1〜5という範囲は、1〜5、1〜4、1〜3、1〜2、2〜5、2〜4、2〜3、3〜5、3〜4及び4〜5のいずれかを記載する請求項の根拠となるものである。
【0015】
本発明の上記及びその他の特徴、態様及び利点は以下の説明、請求項及び図面から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】自由膨潤ゲル床浸透率試験に使用される試験装置の側面図である。
【図2】図1に示す自由膨潤ゲル床浸透率試験装置に使用されるシリンダー/カップアセンブリの側断面図である。
【図3】図1に示す自由膨潤ゲル床浸透率試験装置に使用されるプランジャーの平面図である。
【図4】荷重下吸収率試験に使用される試験装置の側面図である。
【図5】浸透率半減期試験によって得られた超吸収性ポリマーのGBPと熟成時間のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
定義
【0018】
本願明細書において使用する「含む」という用語は、記載する特徴、要素、実体、工程又は成分の存在を示す非限定的な用語であり、1以上のその他の特徴、要素、実体、工程又は成分の存在を排除するものではない。
【0019】
「吸収性物品」という用語は、通常は、流体を吸収し、封じ込めることができる物品を意味する。例えば、パーソナルケア吸収性物品は、皮膚上又は皮膚の近傍に配置され、体内から排出された様々な体液を吸収し、封じ込める物品を意味する。
【0020】
超吸収性ポリマーに関連して使用する「架橋」という用語は、通常は水溶性の成分を、実質的に非水溶性だが膨潤可能な状態に変化させる手段を意味する。そのような架橋手段としては、例えば、物理的エンタングルメント、結晶性ドメイン、共有結合、イオン性錯体及び会合、水素結合等の親水性会合、疎水性会合、ファンデルワールス力が挙げられる。
【0021】
「ダルシー」は、透過性のCGS単位である。1ダルシーは、固体の2つの面間の圧力差が1気圧である場合に、1センチポアズの粘度を有する1cmの流体が、1cmの厚み及び1cmの断面積を有する固体の部分を1秒間において流れる際の浸透率である。浸透率は面積と同じ単位を有する。浸透率のSI単位はないため、平方センチメートル(cm)を使用する。1ダルシーは、約0.98692×10−12又は約0.98692×10−8cmと等しい。
【0022】
本願明細書において使用する「使い捨て」という用語は、吸収性物品が、1回の使用後に洗濯したり、他の方法で吸収性物品として復元又は再利用されないことを意味する。そのような使い捨て吸収性物品の例としては、例えば、パーソナルケア吸収性物品、衛生/医学用吸収性物品及び家庭/工業用吸収性物品が挙げられる。
【0023】
「乾燥超吸収性ポリマー組成物」という用語は、通常は、約10%未満の水分を有する超吸収性ポリマー組成物を意味する。
【0024】
超吸収性ポリマー組成物の所与の試料の「質量平均粒径」とは、試料を質量基準で2等分するものであり、すなわち、重量基準において試料の半分は質量平均粒径よりも大きな粒径を有し、重量基準において試料の半分は質量平均粒径よりも小さな粒径を有する。従って、例えば、超吸収性ポリマー組成物の試料の質量平均粒径は、重量基準において試料の2分の1の粒径が2μmより大きいと測定された場合には2μmである。
【0025】
「酸」という用語は、通常は、酸性を有し、通常は弱酸であり、水中において完全に解離せず、低い分子量を有する化合物を意味し、リン酸、酢酸、乳酸、クエン酸、グリコール酸、グルコン酸が例として挙げられる。
【0026】
「粒子」という用語は、「超吸収性ポリマー」という用語と共に使用する場合には、個別単位の形状をいう。単位は、フレーク、繊維、凝集体、顆粒、粉、球、粉末等並びにそれらの組み合わせを含む。粒子は、例えば、立方体、棒状、多面体、球状又は半球状、円筒状、半円筒状、有角形状、不規則形状等の所望の形状を有していてもよい。針、フレーク、繊維等の高いアスペクト比を有する形状も含まれる。「粒子」という用語は、複数の粒子等からなる凝集体も含む。また、粒子又はそれらの凝集体は、2種類以上の材料からなることができる。
【0027】
超吸収剤ポリマー組成物の「浸透率半減期」という用語は、ゲル床浸透率が初期値の半分まで減少するまでに必要な時間と定義される。浸透率半減期は、本願明細書に記載する試験方法の試験条件において測定する。
【0028】
「ポリマー」という用語は、ホモポリマー、コポリマー、例えばブロックコポリマー、グラフトコポリマー、ランダムコポリマー及び交互コポリマー、ターポリマー等並びにブレンド及びそれらの変性体を含むが、それらに限定されるものではない。「ポリマー」という用語は、特記しない限りにおいて、材料の構造異性体を含む。これらの構造は、アイソタクチック、シンジオタクチック及びアタクチック対称を含むが、それらに限定されるものではない。
【0029】
「ポリオレフィン」という用語は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリスチレン、エチレンビニルアセテートコポリマー等の材料、それらのホモポリマー、コポリマー、ターポリマー等並びにそれらのブレンド及び変性体を含むが、それらに限定されるものではない。「ポリオレフィン」という用語は、考えられ得るあらゆる構造を含み、アイソタクチック、シンジオタクチック及びランダム対称を含むが、それらに限定されるものではない。コポリマーはアタクチック及びブロックコポリマーを含む。
【0030】
「超吸収性材料」という用語は、水膨潤性かつ非水溶性の有機又は無機材料を意味し、最適条件下で、0.9質量%塩化ナトリウム水溶液内において、材料の重量の少なくとも約10倍又は少なくとも約15倍又は少なくとも約25倍の重量の液体を吸収することができる超吸収性ポリマー及び超吸収性ポリマー組成物を含む。
【0031】
「超吸収性ポリマー組成物」という用語は、本発明において定義するように表面添加剤を含む超吸収性ポリマーを意味する。
【0032】
「超吸収性ポリマー」及び「超吸収性ポリマー試作品」という用語は、超吸収性ポリマーの製造し、材料の乾燥及び粉砕機内での粗い粉砕を含む本願明細書に記載する全ての工程を実施することによって製造される材料を意味する。
【0033】
「表面架橋」という用語は、超吸収剤ポリマー粒子の表面における機能的架橋度が、超吸収剤ポリマー粒子の内部における機能的架橋度よりも高いことを意味する。ここで、「表面」とは、粒子の外側の境界を意味する。多孔性超吸収剤ポリマー粒子の場合には、露出した内表面も表面の定義に含まれる。
【0034】
「熱可塑性」という用語は、熱に曝された際に軟化し、室温に冷却されると実質的に非軟化状態に戻る材料の性質を意味する。
【0035】
「重量%」という用語は、本願明細書において使用し、超吸収性ポリマー組成物の成分に言及する場合には、特に異なって指示されていない場合には、乾燥超吸収性ポリマー組成物の重量に基づくものと解釈されるべきである。
【0036】
これらの用語は、本願明細書の残りの部分においてさらに定義される場合がある。
【0037】
上記目的は、水の存在下において多糖類を架橋剤としてのポリホスフェート又はポリリン酸と混合して多糖類ゲルを形成する工程と、前記多糖類ゲルを乾燥させる工程と、前記多糖類ゲルを粉砕して多糖類超吸収性ポリマー粒子を得る工程と、前記多糖類超吸収性ポリマー粒子を架橋剤としてのポリホスフェート又はポリリン酸で被覆する工程と、前記被覆した多糖類超吸収性ポリマー粒子を架橋させる工程と、前記乾燥させた多糖類超吸収性ポリマー粒子を多価金属塩又は酸による処理から選択される処理によって表面処理する工程と、を含む吸水性多糖類超吸収性ポリマーの製造方法によって達成される。
【0038】
本発明に係る方法で使用される多糖類は水溶性又は水膨潤性であり、未架橋の状態で使用することができる。多糖類は、水酸基以外の基、特に水溶性を向上させる基によって変性されていてもよい。そのような基としては、例えば、カルボキシル基、カルボキシルアルキル基、例えば、カルボキシメチル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシメチル基及び/又はヒドロキシエチル基、例えば、ヒドロキシメチル基、リン酸エステル基が挙げられる。
【0039】
官能基による変性に応じて、本発明に係る方法で使用される多糖類は、荷電又は非荷電多糖類のいずれかからなることができる。また、荷電多糖類及び非荷電多糖類の多糖類混合物を使用してもよい。本発明に係る非荷電多糖類としては、例えば、ヒドロキシプロピルデンプン、アミロース、アミロペクチン等のデンプン又はデンプン誘導体、エチルヒドロキシエチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース又はセルロース誘導体、グアー又はイナゴマメ種子粉等のポリガラクトマンナン等が挙げられる。
【0040】
本発明に係る荷電多糖類は、カルボキシル基を含有しておらず、変性によってカルボキシル基が付与された多糖類、又はカルボキシル基を含有しており、必要に応じて変性によってカルボキシル基がさらに付与された多糖類に由来するポリカルボキシ多糖類を含むことができる。多糖類の第一のグループとしては、例えば、酸化デンプン、カルボキシル化リン酸デンプン、酸化セルロース、カルボキシメチルセルロース又はカルボキシメチルデンプン、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)が挙げられる。カルボキシル基を含む多糖類としては、例えば、キサンタン、アルギナート又はアラビアゴム等が挙げられる。
【0041】
本発明の別の実施形態では、例えば、カルボキシメチルグアー、カルボキシル化ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシル化ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン等のポリカルボキシ多糖類、酸化デンプン、キサンタン、これらのポリカルボキシ多糖類の混合物を多糖類として使用することができ、多糖類は例えばカルボキシメチルセルロースである。本発明に係る方法では、カルボキシル基置換度の高低にかかわらず、ポリカルボキシ多糖類誘導体を使用することができる。ポリカルボキシ多糖類誘導体は、約0.3〜約1.5の平均カルボキシル基置換度を有することができ、約0.4〜約1.2の範囲のカルボキシル基置換度を有するポリカルボキシ多糖類誘導体を使用することができる。
【0042】
本発明に係る方法の別の実施形態では、カルボキシル基を含まない多糖類を添加したポリカルボキシ多糖類を使用することができる。例えば、ポリガラクトマニン又はヒドロキシアルキルセルロース等の高膨潤性多糖類を使用することができる。変性に使用されるカルボキシル基を含まない多糖類の量は、要求される特性プロファイルに応じて決定され、例えば、未架橋ポリカルボキシ多糖類に対して、約20重量%又は約10重量%又は約5重量%である。
【0043】
カルボキシル基を含まない多糖類は、ポリホスフェート又はポリリン酸との接触前に未架橋ポリカルボキシ多糖類と混合するか、未架橋ポリカルボキシ多糖類をポリホスフェート又はポリリン酸と接触させた後にポリカルボキシ多糖類と混合することができる。別の実施形態では、カルボキシル基を含まない多糖類を最初にポリホスフェート又はポリリン酸、又はポリホスフェート又はポリリン酸を含む水溶液と接触させ、得られた混合物をポリカルボキシ多糖類と混合してもよい。
【0044】
ポリホスフェート又はポリリン酸の例としては、鎖状ホスフェート(catena−phosphates)又は環状ホスフェート(シクロホスフェート、「メタホスフェート」とも呼ばれる)が挙げられ、ポリホスフェートはポリリン酸の塩又はエステルである。ポリホスフェートは、Mn+2[P3n+1]又はM[H3n+1]で表される組成を有する化合物、例えば、M[H3n+1]で表される構造を有する化合物であってもよい これらのうち、Na3n+1で表される組成を有する化合物、例えば、「Grahamsche塩」、「Maddrellsche塩」、「Kurrolsche塩」又は洗剤に使用される「カルゴン(Calgon)」を使用することができる。本発明の別の態様では、メタホスフェートは、M[POで表される組成を有する化合物であってもよい。上記式において、Mはナトリウム又はカリウム等の一価金属を表す。nは、少なくとも2又は少なくとも約10又は少なくとも50であってもよく、約5000又は約1000又は約100以下である。
【0045】
本発明に係る方法の別の実施形態では、一リン酸二水素を縮合して調製され、鎖状基として結合された酸性基の水素原子が金属で置換されていないポリホスフェートを使用することができる。ポリホスフェートは、M[H3n+1]で表される組成を有することができ、M及びnの定義は上述した通りである。ポリリン酸は、水をP10に制御下で添加するか、HPOを加熱しながら縮合させることによって得ることができる。本発明に係るポリリン酸は、Hn+23n+1又は(HPOで表される組成を有することができ、(HPOで表される組成を有するポリリン酸はメタリン酸とも呼ばれ、nは、少なくとも約2又は少なくとも約10又は少なくとも約20又は少なくとも約50であり、約10,000又は約1000又は約100以下である。nの値が増加すると、上述したHn+23n+1で表される組成がメタリン酸の組成(HPOに近づく。
【0046】
本発明の一実施形態では、未架橋多糖類の重量に対して、約0.001〜約20重量%、例えば、約0.01〜約10重量%又は約0.05〜約5重量%の量でポリホスフェート又はポリリン酸を未架橋多糖類と接触させる。
【0047】
本発明に係る方法で使用する未架橋ポリカルボキシ多糖類のカルボキシル基は、少なくとも約50モル%又は少なくとも約80モル%又は少なくとも約90モル%又は少なくとも100モル%が中和されていることが好ましい。中和剤の例としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化アニモニウム、アミンが挙げられる。
【0048】
本発明に係る方法において使用する水溶性多糖類は、天然ポリマー構造によって与えられる分子量分布の範囲内で高い平均分子量を有し、例えば、綿リントから製造されるカルボキシメチルセルロース等の希釈水溶液中で高い溶液粘度を有することができる。1%水溶液の溶液粘度が約2000mPasを超える多糖類を使用することができる。本発明に係る方法において使用するポリカルボキシ多糖類は、約5000mPas又は約7000mPasを超える1%水溶液の溶液粘度を有することができる。
【0049】
本発明の製造方法では、多糖類は副成分として塩を高い含有量で含むことができる。通常、本発明に係る多糖類として使用するカルボキシメチルメルロースの塩含有量は、食品用としては約0.5重量%であり、産業用としては約2重量%であり、保護コロイドとしての用途に使用される製品については約25〜約50重量%である。本発明に係る方法によって得られる吸水性多糖類は、塩負荷に対して高い耐性を有することができるが、未架橋多糖類は、本発明に係る方法において使用する未架橋多糖類の重量に対して、約20重量%以下又は約15重量%以下又は約5重量%以下又は約2重量%以下の塩含有量を有することができる。
【0050】
本発明の多糖類は、例えば、粉末、微粉末、顆粒、繊維、薄片、ビーズ又は成形体として使用してもよく、粒径が約1〜約2000μmの粉末材料として使用することができる。
【0051】
本発明に係る方法の第一の工程における多糖類ゲルの形成時において、多糖類と、水と、ポリホスフェート又はポリリン酸との混合物における多糖類の含有量は、約5〜約65重量%又は約10〜約50重量%又は約15〜約30重量%の広い範囲内で変化させることができる。
【0052】
本発明の別の実施形態では、水の存在下において、約15〜約60℃又は約18〜約40℃又は約20〜約30℃の温度でポリホスフェート又はポリリン酸を未架橋多糖類と接触させる。本発明の別の実施形態では、ポリホスフェート又はポリリン酸の多糖類との接触は、室温(通常は約22℃〜約28℃)で行なうことができる。
【0053】
多糖類を架橋させるために、上述したポリホスフェート又はポリリン酸を単独で使用するか、ポリホスフェート又はポリリン酸以外の材料からなる他の架橋剤と混合して使用してもよい。国際公開第WO02/096953 A1号に共有結合性架橋剤、イオン結合性架橋剤又は後架橋剤として記載されている架橋剤や、国際公開第WO00/21581 A1号の6頁第一パラグラフに記載されている架橋剤を使用することができる。ポリホスフェート又はポリリン酸以外の材料からなる他の架橋剤とポリホスフェート又はポリリン酸との重量比は、約1:0.01〜約1:50又は約1:0.1〜約1:20又は約1:1〜約1:10とすることができる。
【0054】
架橋多糖類の膨潤時間は、ポリホスフェート又はポリリン酸を未架橋多糖類と接触させる温度並びに使用される開始化合物に応じて異なり、簡単な予備実験によって容易に決定することができる。本発明の一態様では、本発明に係る方法の第一の工程は、膨潤による多糖類のさらなる体積増加が観察されない時点で終了する。別の態様では、ポリホスフェート又はポリリン酸と未架橋多糖類との接触時間は、約1分〜約48時間又は約1〜約24時間又は約12〜約20時間である。
【0055】
本発明の別の実施形態では、ポリホスフェート又はポリリン酸と未架橋多糖類との混合は、約7〜約13又は約7.5〜約12.5又は約8〜約12のpHで行うことができる。この条件は、ポリカルボキシ多糖類を多糖類として使用する場合に採用することができる。pHを上述した所定のpH範囲内に調節することにより、多糖類に存在するカルボキシル基が部分的に中和される。また、ポリリン酸も少なくとも部分的に中和することができる。
【0056】
本発明に係る方法の別の実施形態では、未架橋多糖類とポリホスフェート又はポリリン酸との混合する際に、最初に、ポリホスフェート又はポリリン酸を水に溶解又は分散させることができる。pH値は、約7〜約13、例えば、約7.5〜約12.5、例えば、約8〜約12に調節し、ポリホスフェート又はポリリン酸の水溶液又は水分散液を未架橋多糖類と混合する。
【0057】
本発明に係る方法の別の実施形態では、未架橋多糖類とポリホスフェート又はポリリン酸との混合は、最初に乾燥状態で未架橋多糖類をポリホスフェート又はポリリン酸と混合し、得られた混合物を水と接触させることによって行なうことができる。酸又は塩基を水又はポリカルボキシ多糖類とポリホスフェート又はポリリン酸との混合物に添加することにより、未架橋多糖類とポリホスフェート又はポリリン酸とを約7〜約13又は約7.5〜約12.5又は約8〜約12のpHで確実に接触させることができる。
【0058】
本発明に係る方法の別の実施形態では、未架橋多糖類とポリホスフェート又はポリリン酸との混合は、最初に未架橋多糖類を水と接触させ、膨潤した多糖類をポリホスフェート又はポリリン酸と接触させることによって行なうことができる。また、酸又は塩基を水又は水と接触させた多糖類又はポリホスフェート又はポリリン酸と接触させた多糖類に添加することにより、未架橋多糖類とポリホスフェート又はポリリン酸とを、約7〜約13又は約7.5〜約12.5又は約8〜約12のpHで接触させることができる。
【0059】
本発明の別の実施形態では、添加剤の存在下において未架橋多糖類とポリホスフェート又はポリリン酸とを混合し、添加剤を未架橋多糖類又はポリホスフェート又はポリリン酸と結合させるか、添加剤をポリホスフェート又はポリリン酸と接触させた未架橋多糖類に添加することができる。最初にポリホスフェート又はポリリン酸の水溶液又は水分散液を用意し、多糖類に水溶液又は水分散液を添加することによって未架橋多糖類とポリホスフェート又はポリリン酸との接触を行なう場合には、添加剤をポリホスフェート又はポリリン酸の水溶液又は水分散液に添加することもできる。
【0060】
本発明の別の態様では、均一化のための混合温度と乾燥又は架橋温度とは異なる。温度差は、少なくとも約10℃又は少なくとも約20℃又は少なくとも約40℃又は少なくとも約80℃であってもよい。本発明に係る方法の別の実施形態では、均一化のための混合温度は、約2〜約40℃又は約10〜約35℃又は約15〜約30℃である。温度を調節するために、ニーダーの温度を制御してもよい。混練軸を取り囲むハウジング及び/又は混練軸の温度を制御してもよい。
【0061】
本発明に係る方法の別の実施形態では、乾燥又は粉砕工程に続いて、架橋多糖類粒子の外側部分を後架橋剤で表面処理又は後架橋する工程を行う。粒子の外側部分とは、粒子の中心までの距離がポリマー粒子の半径の少なくとも約75%、例えば、少なくとも約85%、例えば、少なくとも約95%である粒子の体積部分を意味する。
【0062】
乾燥させた粒子状の架橋ポリカルボキシ多糖類の表面架橋は、架橋多糖類の重量に対して、約0.001〜約25重量%、例えば、約0.1〜約20重量%の後架橋剤を使用して行うことができる。後架橋剤は、約0.01〜約80重量%、例えば、約0.1〜約60重量%溶液として使用することができる。後架橋剤の添加は、適当なミキサー内で行う。ミキサーの例としては、パターソン・ケリーミキサー、DRAIS乱流ミキサー、レーディゲミキサー、ルベルクミキサー、ワームミキサ、プレートミキサー、流動床ミキサー、シュージミキサーが挙げられる。後架橋剤溶液の噴霧した後、熱処理工程を、例えば下流の乾燥機内において、約40〜約250℃、例えば、約60〜約200℃、例えば、約80〜約160℃の温度で、約5分〜約6時間、例えば、約10分〜約2時間、例えば、約10分〜約1時間行い、溶媒を除去する。最適な後熱処理時間は、各架橋剤について数回の実験を行うことによって容易に決定することができる。後熱処理時間の上限は、超吸収体の所望の特性プロファイルが熱ダメージによって再び損なわれるまでである。熱処理は、例えば、回転式炉オーブン、流動床式乾燥機、プレート乾燥機、パドル乾燥機又は赤外線乾燥機等の従来の乾燥機又はオーブンを使用して行うことができる。
【0063】
表面後架橋剤の水溶液の温度は、使用前に、約15〜約100℃、例えば、約20〜約60℃に調節することができる。共有結合性表面後架橋は、必要に応じて触媒によって促進することができる。触媒としては、カルボキシル基とヒドロキシル基とのエステル化反応を促進する化合物、例えば、次亜リン酸塩、アセチルアセトネート、鉱酸、硫酸、ルイス酸を使用することができる。一態様では、硫酸及び次亜リン酸塩を使用する。表面後架橋剤と架橋触媒の重量比は、約1:0.001〜約1:1、例えば、約1:0.1〜約2:1である。一実施形態では、架橋触媒を表面後架橋剤の溶液と混合する。
【0064】
表面処理又は後架橋剤は、水溶性多価金属塩又は酸を含むことができる。金属カチオンの例としては、Al、Fe、Zr、Mg、Znのカチオンが挙げられる。金属カチオンは、少なくとも+3の価数(Al等)を有することができる。多価金属塩におけるアニオンの例としては、ハロゲン化物、クロロ水化物、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩が挙げられる。硫酸アルミニウムを多価金属塩としてしようすることができ、市販品を容易に入手することができる。硫酸アルミニウムとしては硫酸アルミニウム水和物が挙げられ、例えば、約12〜約14の水和水を有する硫酸アルミニウムが挙げられる。多価金属塩の混合物を使用することもできる。酸は、リン酸、酢酸、乳酸、クエン酸及びグルコン酸から選択されてもよい。
【0065】
ポリマーと多価金属塩又は酸は、公知の手段を使用して乾式混合又は溶液中で混合することが好適である。水溶液が好ましい。乾式混合では、塩と超吸収性ポリマーの実質的に均一な混合物が維持するために十分な量のバインダーを使用することができる。バインダーは、水又は少なくとも150℃の沸点を有する不揮発性有機物化合物であってもよい。バインダーの例としては、水、プロピレングリコール、グリセリン、ポリ(エチレングリコール)等のポリオールが挙げられる。
【0066】
表面処理溶液は、必要に応じて1種以上の添加剤を約70重量%以下の量で含むことができる。添加剤は、超吸収体粒子の内部への溶媒の浸透を遅らせることで吸収体の表面上で架橋剤溶液を均一に分布させ、粒子表面の溶解性を低下させることで湿潤した超吸収体粒子が付着し合う傾向を低下させる水溶性化合物である。添加剤の例としては、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、アセトン、グリセリン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の水混和性有機溶媒、水溶性を有する親水性有機固体、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルコール、好ましくはポリエチレングリコール等のポリマーが挙げられる。
【0067】
添加剤は、未架橋多糖類の重量に対して、約0.01〜約20重量%又は約0.1〜約10重量%又は約1〜約5重量%の量で添加することができる。一態様では、添加剤は、生成されるヒドロゲルの処理性を向上させ、乾燥後に少なくとも部分的に生成物に残存するブロッキング防止添加剤である。別の態様では、ブロッキング防止添加剤は、天然又は合成繊維材料又は大きな表面積を有する他の材料、例えば、シリカゲル、合成ケイ酸、非水溶性鉱物塩から選択される材料である。
【0068】
添加剤としては、塩基、塩、発泡剤から選択される水溶性添加剤も挙げられる。発泡剤としては、触媒又は熱の影響下でガスを放出する無機又は有機化合物、例えば、アゾ及びジアゾ化合物、炭酸塩、アンモニウム塩、尿素から選択される。その他の添加剤としては、例えば、アルカリ金属水酸化物、アンモニア、アルカリ金属炭酸塩又は酢酸塩等の塩基性塩等のpH調整剤が挙げられる。また、例えば、溶液のイオン強度又は粉末状吸収性樹脂の塩含有量を調整するためのアルカリ金属又はアルカリ土類金属硫酸塩又は塩化物等の中性塩が挙げられる。また、例えば沸点が100℃未満の水混和性有機溶媒を水溶性ヒドロゲルにおける添加剤として使用してもよい。その後の乾燥時に、揮発性有機溶媒のほとんどをヒドロゲルから蒸発させる。これらの溶媒は、表面後架橋時に完全に蒸発させる。
【0069】
水の存在下における未架橋多糖類とポリホスフェート又はポリリン酸との接触は、連続的又は非連続的に行なうことができる。好適な混合装置は、例えば、VATニーダー等の非連続式ニーダー、密閉式ミキサー又は一軸、二軸あるいは多軸ミキサー等の連続式ニーダーである。
【0070】
本発明の別の実施形態では、例えば、押出機内において、水又はポリホスフェート又はポリリン酸の水溶液又は水分散液を乾燥した多糖類原料に連続的に添加し、水が少量成分となるように方法を実施する。多糖類と、ポリホスフェート又はポリリン酸と、水との混合物は、水と混和するが、多糖類とは混和しない1種以上の有機溶媒を約30重量%以下又は約20重量%以下の量でさらに含むことができる。なお、有機溶媒の存在下において未架橋多糖類とポリホスフェート又はポリリン酸とを混合してもよい。
【0071】
膨潤ゲルは、架橋前に粉砕することができる。ゲルを粉砕することにより、特にゲル表面とゲル体積との比が増加し、乾燥工程で必要とされるエネルギー導入量がかなり減少する。ゲルの粉砕方法は限定されない。一実施形態では、ゲルの粉砕は、ゲルをブレーカープレートを介してプレスしてストランド状にし、ストランド状のゲルを必要に応じて切断器具でさらに短く寸断することによって行うことができる。ゲルの堅さは、ポリホスフェート又はポリリン酸の種類又は添加量を変更することによって調節することができる。
【0072】
本発明に係る方法の第二の工程では、多糖類ゲル又は粉砕した多糖類ゲルを架橋させて架橋多糖類を形成すると共に、残存水含有量が低くなるまで乾燥させる。また、多糖類が乾燥しない条件下において多糖類を架橋させた後、架橋多糖類ゲルを乾燥させてもよい。予備膨潤工程の直後に架橋工程を行うことができるが、多糖類ゲル又は粉砕された多糖類ゲルを、本発明によって製造される超吸収体の特性を変化させることなく、次の工程で処理する前に、より長時間(例えば数週間)保存することも可能である。
【0073】
本発明の別の実施形態では、多糖類ゲルを架橋させると共に、約70℃又は約100℃又は約115℃を超える温度で乾燥させ、架橋又は乾燥温度は約300℃以下又は約250℃以下又は約200℃以下である。また、例えば、減圧下において、約70℃未満の低い温度で多糖類ゲルを乾燥させた後、多糖類を架橋させることのできる温度まで乾燥多糖類の温度を上昇させて加熱してもよい。原則として、ポリホスフェート又はポリリン酸によって多糖類ゲルを少なくとも部分的に架橋させるために十分であり、多糖類が分解する温度を超えなければ、任意の温度で架橋工程を実施することができる。
【0074】
架橋又は乾燥温度に関して注意すべきことは、ゲルのポリマー含有量、混合物のpH、混合方法、架橋又は乾燥温度、乾燥時間等のパラメータが互いに影響を及ぼし、多糖類のポリホスフェート又はポリリン酸による架橋時にヒドロゲルの内部架橋が生じないように各パラメータを互いに関連させて選択するということである。例えば、多糖類ゲルの製造時にpHが約7未満の水溶液を使用する場合、ポリカルボキシ多糖類を使用すると多糖類誘導体に存在するカルボキシレート基の一部が遊離酸に変換されるため、乾燥工程が終了に近づくにつれて、ヒドロキシル基のエステル化によって内部架橋剤として作用するようになる。このような望ましくない内部架橋を防止又は可能な限り抑制するために、約70〜約100℃の温度で架橋又は乾燥を行うことが好ましい。pHは約6以上に調節することができる。本発明の別の実施形態では、多糖類ゲルを製造するために、pHが7以上の水溶液を選択し、約110℃を超える温度、例えば、115℃〜120℃を超える温度で架橋又は乾燥を行う。
【0075】
多糖類ゲルの乾燥については種々の方法が知られている。例えば、蒸気乾燥、蒸発乾燥、放射線乾燥(例:赤外線乾燥)、高周波乾燥(例:マイクロ波乾燥)、真空乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥等が挙げられる。乾燥は、例えば、2軸式のロール型乾燥機を使用する薄層乾燥法、熱風が内部で循環する乾燥室内の複数層のプレート上にヒドロゲルポリマー粒子を載せて乾燥させるプレート乾燥法、ロール乾燥機を使用する回転ドラム法、又は以下でベルト乾燥とも呼ぶコンベアーベルト法によって行ってもよい。トンネル内を循環する循環コンベアーの有孔トレー上に乾燥させる生成物を置き、トンネル通過中にトレーの孔から吹き出す熱風によって生成物を乾燥させるベルト乾燥は、水膨潤性を有する親水性ヒドロゲルの最も経済的な乾燥方法である。
【0076】
本発明の別の実施形態では、多糖類ゲルを乾燥することによって得られたポリマーの水分は、約30重量%未満又は約15重量%未満又は約10重量%未満であってもよい。多糖類ゲルを連続式ミキサー、例えば、押出機内で製造する場合、pHが約7以上である表面後架橋されていない生成物は、約40g/g以上の高い保持率を有し、約120℃で約60分を超える時間で加熱すると安定し、より高いpHで生成された生成物とはわずかに異なるだけである。一方、ヒドロゲルをバッチ処理で調製する場合には、加熱に対する安定性はゲルのpHが上昇するにつれて増加する。従って、バッチ処理によってヒドロゲルを形成する場合のpHは、例えば、約10以上に設定する。
【0077】
本発明に係る方法の別の実施形態では、多糖類ゲル又は破砕された多糖類ゲルの乾燥後に得られた架橋ポリカルボキシ多糖類をさらに別の工程で粉砕する。多糖類ゲルの粉砕及び乾燥架橋ポリカルボキシ多糖類の粉砕によって、粒子状の架橋多糖類が得られる。乾燥多糖類ゲル又は予備破砕された乾燥多糖類ゲルの粉砕において、乾燥させる生成物をベルト乾燥の最終工程で、約70℃未満、例えば、約60℃未満、例えば、約50℃未満の温度まで冷却することができる。乾燥及び冷却した多糖類ゲル又は粉砕した多糖類ゲルは、例えば、フィンガーブレーカーを使用して予め粉砕する。次に、予め破砕されたゲル粒子を粉砕するが、できる限り微細な粒子を得るために、ローラーミルを用いて粉砕する。一実施形態では、粉砕を2段階で行い、第1段階では粗砕ローラーミル、第2段階では微粉砕ローラーミルを使用し、第2段階を1又は2段階で実施してもよい。
【0078】
通常、本発明の粒子状架橋多糖類は約150〜約850μmの粒径を有する。粒子状架橋多糖類は、米国規格30メッシュのふるいを通過させ、米国規格50メッシュのふるい上に保持した場合に、約300〜約600μmの粒径を有する少なくとも約40重量%の粒子、約300〜約600μmの粒径を有する少なくとも約50重量%の粒子又は約300〜約600μmの粒径を有する少なくとも約60重量%の粒子を含むことができる。また、本発明の粒子状架橋多糖類の粒径分布は、例えば、W.S.Tyler,Inc.社(オハイオ州メンター)から入手できるRO−TAP(登録商標)Mechanical Sieve Shaker Model Bを使用して測定した場合に、約600μmよりも大きい粒径を有する約30重量%未満の粒子及び約300μm未満の粒径を有する約30重量%未満の粒子を含むことができる。粗すぎる粒子は再度粉砕し、細かすぎる粒子は製造工程で再利用してもよい。
【0079】
無機材料を架橋多糖類粒子と接触させることができ、この処理は吸水性ポリマーの特性を変化させるために適している。無機材料の例としては、ケイ酸塩、特に、ゼオライト等の骨格ケイ酸塩、ケイ酸水溶液又はシリカゾルを乾燥させることによって得られたケイ酸塩、沈降ケイ酸や発熱性ケイ酸等の市販品、アエロジル、アルミン酸、二酸化チタン、亜鉛華、粘土材料、当業者に公知のその他の鉱物及び炭素含有無機材料が挙げられる。
【0080】
本発明の別の態様では、上述した無機材料又はそれらの混合物を使用する場合、それらの材料を、架橋多糖類の全重量に対して、約0.1〜約1重量%、例えば、約0.25〜約0.75重量%、例えば、約0.4〜約0.6重量%の量で、架橋多糖類と接触させることができる。
【0081】
本発明の別の実施形態では、無機材料は、約30〜約850m/g、例えば、約40〜約500m/g、例えば、約100〜約300m/g、例えば、約150〜約250m/gの、BET法で測定した比表面積を有することができる。無機材料がSipernat又はアエロジルである場合、表面積は、約30〜約850m/g、例えば、約40〜約500m/g、例えば、約100〜約300m/gであり、表面積は、ISO 5794、Annex Dに従って表面積計(areameter)内で窒素を使用して測定する。
【0082】
粒子状の無機材料を使用する場合には、無機材料の少なくとも約90重量%又は少なくとも約95重量%又は少なくとも約99重量%が、約200μm未満又は約100μm未満又は約1μm未満又は約500nm未満又は約100nm未満の粒径を有する。Sipernatは、約10〜約180μm又は約20〜約150μm又は約30〜約110μmの粒径を有する。本発明に係る方法の別の実施形態では、Sipernatは、約1〜約40μm又は約2〜約30μm又は約3〜約20μmの粒径を有する。粒径は、ASTM C690−1992に準拠し、Multisizer Capillary法によって測定することができる。アエロジルの粒径は、約5〜約50nm、例えば、約8〜約20nmである(例えば、Degussa社製の「Aerosil 200」)。粒径は、ASTM C690−1992に準拠してマルチサイザー(multisizer)を使用して測定することができる。
【0083】
また、本発明は、上述した方法によって得られる、少なくとも部分的に中和された吸水性多糖類に関する。本発明に係る方法によって得られる吸水性多糖類は、水、水溶液、体液の吸収能力及び保持能力が優れている。また、表面のみを架橋させることによって、外圧下での水溶液の吸収能力が明らかに向上する。さらに、本発明に係る方法によって得られる吸水性多糖類は、保存安定性を有し、ポリアクリル塩酸の製造時に生じることの多い残留モノマーや有機溶媒を実質的に含有せず、水性液体にごく僅かしか溶解せず、生分解性が高い。
【0084】
また、本発明は、多糖類の重量に対して、約0.001〜約20重量%又は約0.01〜約10重量%又は約0.05〜約5重量%のポリホスフェート又はポリリン酸によって架橋させ、多価金属塩又は酸によって表面処理された吸水性多糖類粒子に関する。酸は、酢酸、乳酸、クエン酸、グルコン酸等の弱酸であってもよい。
【0085】
また、本発明は、吸水性多糖類に対して、少なくとも約5重量%又は少なくとも約90重量%の分岐多糖類、例えば、セルロース及び/又はその誘導体を含み、無機粒子で被覆された表面部分を有する粒子状吸水性多糖類に関する。別の態様では、本発明に係る粒子状吸水性多糖類は、少なくとも表面部分に結合剤を含むことができる。本発明に係る粒子状吸水性多糖類は、粒子状吸水性多糖類に対して、約0.001〜約20重量%又は約0.01〜約10重量%の無機粒子を含むことができる。本発明に係る粒子状吸水性多糖類は、粒子状吸水性多糖類に対して、例えば、約0.001〜約20重量%又は約0.01〜約10重量%の結合剤を含むことができる。本発明の一態様では、多糖類としては、本発明に係る吸水性多糖類の製造方法に関連して述べた多糖類を使用することができ、無機粒子及び結合剤に関しても同様である。
【0086】
本発明の粒子状吸水性多糖類は、自由膨潤ゲル床浸透率(Free Swell Gel Bed Permeability(FSGBP))、遠心保持容量(Centrifuge Retention Capacity(CRC))及び約0.9psiにおける荷重下吸収率(AUL(0.9psi)によって測定される所定の特性を示す。自由膨潤ゲル床浸透率(GBP)試験は、「自由膨潤」状態後の閉じ込め圧力下における超吸収性材料の膨潤床の浸透率(ダルシー)の測定法である(例えば、吸収性構造から分離)。「自由膨潤」という用語は、超吸収性材料が後述するように試験溶液を吸収する際に、膨潤抑制荷重を与えることなく超吸収性材料を膨潤させることを意味する。遠心保持容量(CRC)試験では、制御条件下で飽和させ、遠心分離を行った後に、超吸収性ポリマー組成物の流体保持能力を測定する。得られる保持容量は、試料1gあたりに保持される液体の量(g)で示される(g/g)。
【0087】
本発明の方法によって得られる粒子状吸水性多糖類は、約25〜約40g/g又は約26〜約30g/gの遠心保持容量、約10〜約20g/g又は約13〜約18g/gの0.9psiにおける荷重下吸収率、約5〜約100ダルシーの自由膨潤ゲル床浸透率、少なくとも約30日又は少なくとも約60日又は少なくとも180日の浸透率半減期、約90日間で少なくとも約40%又は約90日間で少なくとも約50%又は約90日間で少なくとも約65%又は約90日間で少なくとも約75%の、本願明細書に記載する試験方法によって測定した生分解性を有することができる。
【0088】
本発明に係る粒子状吸水性多糖類の別の実施形態では、本願明細書に記載する試験方法に従って測定した生分解性は、約45日間で約25〜約50%又は約90日間で約50%を超え、約90%以下又は約45日間で少なくとも約28%又は約90日間で少なくとも約51%である。
【0089】
また、本発明の一実施形態に係る方法によって得られる多糖類超吸収性ポリマー粒子は保存安定性を有し、残留モノマーや有機溶媒を実質的に含有せず、水性液体内でごく僅かしか溶解せず、生分解性が高い。
【0090】
また、本発明は、本発明の多糖類超吸収性ポリマー粒子と、市販の超吸収性ポリマー粒子等の他の超吸収性ポリマー粒子とのブレンド又は混合物を含む吸収性材料に関する。上記ブレンド又は混合物は、約10〜約90重量%の本発明の粒子状吸水性多糖類と、約10〜約90重量%の他の超吸収性ポリマー粒子と、を含むことができる。
【0091】
また、本発明は、上述した粒子状吸水性多糖類と基材とを含む複合体に関する。一態様では、本発明に係る粒子状吸水性多糖類と基材とを互いに強固に結合させる。基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド等のポリマーからなるシート、金属、不織布材料、綿毛、薄織物、織布、天然又は合成繊維又は発泡体を使用することができる。複合体は、シール材、ケーブル、吸収性コア、それらを含むおむつ又は衛生用品であってもよい。また、本発明は、本発明に係る粒子状吸水性多糖類と、基材と、必要に応じて適当な添加剤と、を接触させる複合体の製造方法に関する。一態様では、接触は、ウェットレイド法、エアレイド法、圧縮、押出又は混合によって行う。
【実施例】
【0092】
試験法及び実施例によって本発明についてさらに説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0093】
試験手順
【0094】
遠心保持容量試験
【0095】
遠心保持容量(CRC)試験では、制御条件下で飽和させ、遠心分離を行った後に、超吸収性ポリマーの流体保持能力を測定する。得られる保持容量は、試料1gあたりに保持される液体の量(g)で示される(g/g)。試験対象の試料は、米国規格30メッシュふるいで予め篩い分け、米国規格50メッシュふるい上に保持された粒子から用意する。従って、超吸収性ポリマー試料は、約300〜約600μmの粒径を有する粒子からなる。粒子は手動又は自動で予め篩い分けることができる。
【0096】
保持容量は、約0.2gの予め篩い分けた超吸収性ポリマー試料を水透過性バッグに入れ、試料が試験溶液(0.9重量%塩化ナトリウム蒸留水溶液)を自由に吸収する状態で測定する。例えば、Dexter Corporation社(米国コネチカット州ウィンザーロックス)から1234T熱シールフィルター紙として入手することができる熱シールティーバッグ材料をほとんどの用途で使用することができる。バッグは、バッグ材料の5インチ×3インチの試料を半分に折り曲げ、開放端の2つを熱シールして2.5インチ×3インチの長方形のパウチとすることによって形成する。熱シールは材料の端部の内側約0.25インチの部分とする。試料がパウチに入れた後、パウチの残りの開放端も熱シールする。空のバッグも対照として用意する。3つの試料を試験対象の各超吸収性ポリマー組成物について用意する。
【0097】
シールされたバッグを約23℃で試験溶液を含むパンに浸漬し、完全に湿潤するまでバッグを保持する。湿潤後、試料を約30分間にわたって溶液内に残す。その後、試料を溶液から取り出し、非吸収性の平面上に一時的に置く。
【0098】
次に、バッグをバスケットに入れ、湿潤したバッグは互いに分離し、バスケットの外周端に配置する。バスケットは約350Gの加速度(g−force)を試料に与えることができる遠心分離装置である。適当な遠心分離機は、例えば、CLAY ADAMS DYNAC II(型式#0103、水回収バスケット、デジタル回転数計、平坦なバッグ試料を保持及び排液する機械加工された排液バスケット)である。複数の試料を遠心分離する場合、試料は回転時にバスケットをバランスさせるために遠心分離装置内で対向する位置に配置する。バッグ(濡れた空のバッグを含む)は、(例えば、変動が約280〜約300Gである場合に約290Gの目標加速度を得るために)1600rpmで3分間遠心分離する。加速度は、急速加速又は重力(海抜32ft/秒)を受ける物体に対する慣性力の単位である。バッグを取り出して計量する。空のバッグ(対照)を最初に計量した後、超吸収性ポリマー組成物試料を含むバッグを計量する。超吸収性ポリマー試料が保持する溶液の量は、バッグが保持する溶液の量を考慮すると吸収性ポリマーの遠心保持容量(CRC)であり、吸収性ポリマー1gあたりの液体の量(g)として表される。より具体的には、保持容量は以下の式により決定される。
(遠心後の試料/バッグ−遠心後の空のバッグ−乾燥試料重量)/乾燥試料重量
【0099】
3つの試料に対して試験を行い、結果を平均して超吸収性ポリマー組成物の遠心保持容量(CRC)とする。
【0100】
自由膨潤ゲル床浸透率(FSGBP)試験
【0101】
自由膨潤ゲル床浸透率試験は0psi膨潤圧力下ゲル床浸透率(GBP)試験とも呼ばれ、ゲル粒子(例えば、表面処理された吸収性材料又は表面処理される前の超吸収性材料)の膨潤床浸透率を「自由膨潤」条件下で測定する。「自由膨潤」という用語は、ゲル粒子が後述するように試験溶液を吸収する際に、抑制荷重を与えることなくゲル粒子を膨潤させることを意味する。図1〜図3は、ゲル床浸透率試験を行うための適当な装置500を示す。試験装置アセンブリ528は、試料容器530と、プランジャー536と、を含む。プランジャーは、長手軸に沿って形成された円筒穴を有するシャフト538と、シャフトの基部に位置するヘッド550と、を含む。シャフト穴562は、約16mmの直径を有する。プランジャーヘッドは接着等によってシャフトに取り付けられている。12個の穴544がシャフトの放射軸に形成されており、90度の間隔で配置され、約6.4mmの直径を有する。シャフト538は、LEXANロッド又は同等の材料から機械加工によって形成され、約2.2cmの外径と約16mmの内径を有する。
【0102】
プランジャーヘッド550は、7個の孔560の同心内側リング及び14個の孔554の同心外側リングを有し、全ての孔は約8.8mmの直径と、シャフトと位置合わせした約16mmの孔を有する。プランジャーヘッド550は、LEXANロッド又は同等の材料から機械加工によって形成され、約16mmの高さを有し、シリンダー534内で最小の壁クリアランスを有するが、自由にスライドするような直径を有する。プランジャーヘッド550とシャフト538の全長は約8.25cmであり、シャフトの先端を機械加工してプランジャー536の質量を所望の値とすることができる。プランジャー536は、二軸方向に延伸され、プランジャー536の下端に取り付けられる100メッシュステンレス鋼ふるい564を含む。ふるいは、ふるいをプランジャーヘッド550に固定する適当な溶媒を使用してプランジャーヘッド550に取り付けられている。ふるいの開口部に過剰な溶媒が移動し、液体流の開口領域を減少させないように注意する。IPS Corporation社(米国カルフォルニア州ガーデナ)から入手できるアクリル溶媒「Weld−on 4」が溶媒として適当である。
【0103】
試料容器530は、シリンダー534と、二軸方向に延伸され、シリンダー534の下端に取り付けられる400メッシュステンレス鋼ふるい566とを含む。ふるいは、ふるいをシリンダーに固定する適当な溶媒を使用してシリンダーに取り付けられている。ふるいの開口部に過剰な溶媒が移動し、液体流の開口領域を減少させないように注意する。IPS Corporation社(米国カルフォルニア州ガーデナ)から入手できるアクリル溶媒「Weld−on 4」が溶媒として適当である。図2の568で示されるゲル粒子試料は、試験時にはシリンダー534内でふるい566上に支持される。
【0104】
シリンダー534は、透明なLEXANロッド又は同等の材料に形成するか、LEXAN管又は同等の材料から切断することができ、約6cmの内径(例えば、約28.27cmの断面積)、約0.5cmの壁厚、約7.95cmの高さを有する。段差は、66mmの外径を有する領域534aがシリンダー534の基部31mmに存在するようにシリンダー534の外径に機械加工されている。領域534aの直径にフィットするo−リング540を段差の上部に設けることができる。
【0105】
環状おもり548は、約2.2cmの直径及び1.3cmの深さを有する穴を有し、シャフト538上を自由に摺動する。また、環状おもりは、約16mmの直径を有する貫通穴548aを有する。環状おもり548は、ステンレス鋼又は0.9重量%の塩化ナトリウム蒸留水溶液である試験溶液の存在下で耐食性を示す適当な材料で形成することができる。プランジャー536と環状おもり548の合計重量は約596gであり、約28.27cmの試料領域にわたって試料568に加えられる約0.3psi(約20.7dyne/cm(2.07kPa))の圧力に相当する。
【0106】
以下に説明するように試験時に試験溶液が試験装置を流れると、試料容器530は堰600上に静止する。堰の目的は、試料容器530の上部から溢れた液体を分離回収装置601に流すことである。堰は秤602の上方に配置することができ、秤602上のビーカー603に膨潤試料568を通過した食塩水を回収する。
【0107】
自由膨潤条件下でゲル床浸透率試験を行うために、おもり548を載せたプランジャー536を空の試料容器530に入れ、おもり548の上部から試料容器530の底部までの高さを0.01mm単位で正確に適当な厚み計を使用して測定する。厚み計が測定時に与える力はできるだけ小さくし、好ましくは約0.74ニュートン未満である。空の試験容器530、プランジャー536及びおもり548の合計高さを測定し、複数の試験装置を使用する場合のプランジャー536及びおもり548の移動を把握することが重要である。試料568が飽和して膨潤するときに同一のプランジャー536及びおもり548を測定に使用する。試料容器530が載置された台が水平であり、おもり548の上面が試料容器530の底面と平行であることが望ましい。
【0108】
試験対象の試料は、米国規格30メッシュふるいで予め篩い分け、米国規格50メッシュふるい上に保持された超吸収性ポリマー組成物粒子から用意する。従って、試験試料は、約300〜約600μmの粒径を有する粒子からなる。超吸収性ポリマー粒子は、例えば、W.S.Tyler,Inc.社(オハイオ州メンター)から入手できるRO−TAP(登録商標)Mechanical Sieve Shaker Model Bで予め篩い分けることができる。篩い分けは10分間行う。約2.0gの試料を試料容器530内に入れ、試料容器の底部に均一に広げる。次に、2.0gの試料を入れ、プランジャー536及びおもり548を入れていない容器を0.9%食塩水に約60分間浸漬し、試料を飽和させ、自由に膨潤させる。飽和時に、試料容器530を液体貯槽内に配置されたメッシュ上に置き、試料容器530は液体貯槽の底部のやや上方に上昇する。メッシュは、試料カップ530への食塩水の流れを妨げない。適当なメッシュは、Eagle Supply and Plastic社(米国ウィスコンシン州アプレトン)から部品番号7308として入手することができる。食塩水は、試験セル内で完全に平らな表面を形成するため、超吸収性ポリマー組成物粒子を完全には被覆しない。また、食塩水の深さは、セル内の表面が膨潤した超吸収性ポリマーのみによって定められる程低下させない。
【0109】
この期間の最後に、プランジャー536及びおもり548を試料容器530内の飽和試料568上に置き、試料容器530、プランジャー536、おもり548及び試料568を溶液から取り出す。取り出し後であって測定前に、試料容器530、プランジャー536、おもり548及び試料568を平らで大きなグリッド状で均一な厚みを有する非変形性プレート上に約30秒間保持する。おもり548の上部から試料容器530の底部までの高さを再び測定することによって飽和試料568の厚みを決定する。ゼロ点が最初の高さ測定から変化していなければ、先に使用した同一の厚み計を使用する。試料容器530、プランジャー536、おもり548及び試料568は、試料容器中の液体が表面張力により平面上に放出されることを防止する平らで大きなグリッド状で均一な厚みを有する非変形性プレート上に配置することができる。プレートは7.6×7.6cmの寸法を有し、各グリッドは1.59cmの長さ、1.59cmの幅、1.12cmの深さを有する。適当な平らで大きなグリッド状の非変形性のプレート材料は、McMaster Carr Supply Company社(米国イリノイ州シカゴ)から入手できる放物状拡散板(カタログ番号:1624K27)であり、この拡散板を適当な寸法に切断する。このプレートは、空のアセンブリの高さを測定する際にも存在していてもよい。高さの測定は、厚み計を取り付けた後にできる限り速やかに行う。空の試料容器530、プランジャー536及びおもり548の測定から得られる高さの測定値を試料568の飽和後に得られる高さの測定値から減算する。得られる値は、膨潤試料の厚み又は高さ「H」である。
【0110】
浸透率の測定は、飽和試料568、プランジャー536及びおもり548が内部に配置された試料容器530に0.9%食塩水を供給することによって開始する。容器への試験溶液の流量は食塩水がシリンダー534の上部から溢れるするように調節され、それによって試料容器530の高さに等しいヘッド圧力が生じる。試験溶液は、シリンダーの上部から一定かつ少量のオーバーフローを生じさせる適当な手段、例えば、流量調節ポンプ604を使用して添加する。溢れた液体は分離回収装置601に流れる。時間当たりに試料568を通過する溶液の量を秤602及びビーカー603を使用して重量測定法によって測定する。オーバーフローが開始すると、秤602からのデータ点を少なくとも60秒間にわたって1秒毎に収集する。データ収集は手動又はデータ収集ソフトウェアを使用して行うことができる。膨潤試料568を通過する流速Q(g/秒)は、時間(秒)に対して試料568(g)を通過する流体の線形最小二乗法によって決定する。
【0111】
浸透率(cm)は以下の式により得られる。
【数1】

式中、Kは浸透率(cm)、Qは流速(g/秒)、Hは膨潤試料の高さ(cm)、μは液体粘度(ポイズ)(この試験で使用される試験溶液については約1ポイズ)、Aは液体流の断面積(この試験で使用される試料容器については28.27cm)、ρは液体密度(g/cm)(この試験で使用される試験溶液については約1g/cm)、Pは静水圧力(dynes/cm)(通常は約7797dynes/cm)である。静水圧力はP=ρ×g×hによって算出される(式中、ρは液体密度(g/cm)、gは重力加速、公称で981cm/秒、hは液体の高さであり、例えば本願明細書に記載するゲル床浸透率試験については7.95cmである)。
【0112】
少なくとも2つの試料について試験を行い、結果を平均して試料のゲル床浸透率を決定する。
【0113】
荷重下吸収(AUL0.9psi)試験
【0114】
荷重下吸収性(AUL)試験では、超吸収性ポリマー組成物粒子が、0.9psiの荷重下において室温で0.9重量%塩化ナトリウム蒸留水溶液(試験溶液)を吸収する能力を測定する。AUL試験装置は以下の構成を有する。
シリンダー、ピストン(4.4g)、標準おもり(317g)を含むAULアセンブリ。アセンブリの要素の詳細は後述する。
トレー壁と接触することなく底部にガラスフリットを置くことができる幅を有する正方形の平底プラスチックトレー。寸法が9×9インチ(22.9×22.9cm)であり、深さが0.5〜1インチ(1.3〜2.5cm)のプラスチックトレーをこの試験法において通常使用する。
直径12.5cmの「C」気孔率(25〜50μm)を有する焼成ガラスフリット。フリットは、食塩水(0.9重量%塩化ナトリウム蒸留水溶液)内で平衡化して予め準備する。少なくとも2つの部分を食塩水で洗浄し、フリットはAUL測定前に少なくとも12時間にわたって食塩水に浸漬する。
Whatman Grade 1 円形ろ紙(直径:12.5cm)。
食塩水(0.9重量%塩化ナトリウム蒸留水溶液)の供給。
【0115】
図4に示すように、超吸収性ポリマー組成物粒子410を入れるAULアセンブリ400のシリンダー412は、同心性を確保するために、1インチ(2.54cm)の内径を有する熱可塑性管を機械加工して得られる。機械加工後、400メッシュステンレス鋼ワイヤクロス414を赤熱するまで炎中で加熱することによってシリンダー412の底部に取り付け、シリンダー412を冷却するまでステンレス鋼ワイヤクロス上に保持する。失敗したり、壊れたりした場合には、シールの仕上げを行うためにはんだごてを使用することができる。シリンダーの平滑な底部を維持し、内側をゆがめないように注意する。
【0116】
4.4gのピストン416は、直径が1インチの固体材料(例えば、PLEXIGLAS(登録商標))で製造し、移動可能にシリンダー412にぴったりとフィットするように機械加工する。
【0117】
標準おもり(317g)418は、62,053dyne/cm(約0.9psi)の拘束荷重を与えるために使用する。おもりは、1インチ(2.5cm)の直径を有する円筒状のステンレス鋼おもりであり、移動可能にシリンダーにぴったりとフィットするように機械加工する。
【0118】
特記しない限り、少なくとも約300gsm(0.16g)の超吸収性ポリマー組成物粒子の層に相当する試料410をAUL測定に使用する。試料410は、米国規格30メッシュふるいで予め篩い分け、米国規格50メッシュふるい上に保持された超吸収性ポリマー組成物粒子から用意する。超吸収性ポリマー組成物粒子は、例えば、W.S.Tyler,Inc.社(オハイオ州メンター)から入手できるRO−TAP(登録商標)Mechanical Sieve Shaker Model Bで予め篩い分けることができる。篩い分けは約10分間行う。
【0119】
シリンダー412に超吸収性ポリマー組成物粒子を入れる前にシリンダー412の内側を帯電防止布で拭く。
【0120】
篩い分けた超吸収性ポリマー組成物粒子410の所望量(約0.16g)の試料を秤量紙上で計量し、シリンダー412の底部においてワイヤクロス414上に均一に分散させる。シリンダー412の底部における超吸収性ポリマー組成物粒子の重量は、以下に説明するAUL計算で使用するために「SA」として記録する。超吸収性ポリマー粒子がシリンダーの壁に密着しないように注意する。シリンダー412内の超吸収性ポリマー組成物粒子410上にピストン(4.4g)412及び標準おもり(317g)418を注意深く置いた後、シリンダー、ピストン、おもり及び超吸収性ポリマー組成物粒子を含むAULアセンブリを計量し、重量を「A」として記録する。
【0121】
焼成ガラスフリット424(上述)をプラスチックトレー420内に配置し、焼成ガラスフリット424の上面の高さと同等な高さまで食塩水422を添加する。円形ろ紙426をガラスフリット424上にゆっくりと置き、超吸収性ポリマー組成物粒子を含むAULアセンブリをろ紙426の上部に配置する。次に、1時間の試験期間にわたってAULアセンブリ400をろ紙426の上部に放置する。トレー内の食塩水の高さを一定に保つように注意する。1時間の試験の最後にAUL装置を計量し、重量「B」として記録する。
【0122】
AUL(0.9psi)は以下のように算出する。
【数2】

式中、
Aは、乾燥SAPを有するAULユニットの重量であり、
Bは60分間の吸収後のSAPを有するAULユニットの重量であり、
SAは実際のSAPの重量である。
【0123】
少なくとも2回の試験を実施し、結果を平均して0.9psi荷重下のAUL値を決定する。試験は約23℃の温度及び約50%の相対湿度で行う。
【0124】
浸透率半減期試験
【0125】
浸透率半減期試験では、一定条件下において水分の存在下における超吸収性ポリマーの貯蔵安定性を測定する。得られる浸透率半減期は、ゲル床浸透率が初期値の半分まで減少するまでに必要な時間である。試験試料に、超吸収性ポリマーの重量に対して5%の水を塗布し、室温で1日間放置する。試料に塗布する水は、現実の状況における超吸収性ポリマーの保存時の水分吸収を模擬するためである。試料をガラス瓶内に密封し、研究室オーブン内において50℃で保管する。試料のFSGBPは、約2カ月にわたって毎週又は隔週で測定する。FSGBP値を熟成時間に対してプロットし、指数傾向線をデータ点に当てはめて浸透率半減期を決定する。
【0126】
実施例1:超吸収性ポリマーの製造
【0127】
カルボキシメチルセルロースナトリウムの量に対して0.1重量%のポリリン酸(115%、Sigma−Aldrich社製)を脱イオン水に溶解し、水酸化ナトリウムによってpHを11.5に調節した。カルボキシメチルセルロースナトリウム(15重量%の活性物質含有量を有するオランダのNoviant社製のCekol(登録商標)100,000)を均一に溶液に混練し、肉挽機から押し出した。次に、押し出したゲルを、Procter & Schwartz Model 062強制空気オーブン内において120℃で60分間乾燥させた。乾燥させた材料をProdeva Model 315−S粉砕機内で粗く粉砕し、MPI666−F 3段ローラーミル内で粉砕し、Minox MTS 600DS3Vで篩い分け、850μmを超える粒径を有する粒子及び150μm未満の粒径を有する粒子を除去した。150〜850μmの粒径を有する粒子を、中和ポリリン酸(pH:11.0、6重量%)の12.5重量%水溶液及び0.55重量%のSipernat 22(登録商標)(Evonik−Degussa社製)で被覆した。被覆された試料を対流式オーブン内において135℃で75分間加熱して表面架橋させた。次に、表面架橋させた粒子状材料を20/100メッシュの米国標準ふるいで篩い分け、850μmを超える粒径を有する粒子及び150μm未満の粒径を有する粒子を除去した。得られた試料A1は以下の物性を有していた。
【0128】
【表1】

【0129】
実施例2
【0130】
300gの試料A1をKitchen−Aidミキサー内で撹拌した。Paascheエアブラシ噴霧器を使用して、硫酸アルミニウム溶液(3gのAl(SO・14HOを15gの水に溶解)を粒子に塗布した。液体の噴霧時にはミキサーを高速で運転した。得られた試料A2を1日間放置した後、50℃で浸透率半減期試験のために保管した。結果を表2に示す。試料A2の浸透率半減期は約75日間と算出された。
【0131】
【表2】

【0132】
実施例3
【0133】
300gの試料A1をKitchen−Aidミキサー内で撹拌した。Paascheエアブラシ噴霧器を使用して、乳酸溶液(1.5gの乳酸を15gの水に溶解)を粒子に塗布した。液体の噴霧時にはミキサーを高速で運転した。得られた試料A3を1日間放置した後、50℃で浸透率半減期試験のために保管した。結果を表3に示す。試料A3は、試験期間にわたって比較的一定したGBPを示した。
【0134】
【表3】

【0135】
比較例A4
【0136】
300gの試料A1をKitchen−Aidミキサー内で撹拌した。Paascheエアブラシ噴霧器を使用して15gの水を粒子に塗布した。液体の噴霧時にはミキサーを高速で運転した。得られた比較試料A4を1日間放置した後、50℃で浸透率半減期試験のために保管した。結果を表4に示す。試料A4の浸透率半減期は約25日間と算出された。
【0137】
【表4】

【0138】
表4及び図5に示すように、試料A4はこれらの3つの試料の中で最も安定性が低かった。試料A4のGBPは急速に減少し、加速試験条件における浸透率半減期は約25日間だった。表面処理を行った試料A2及びA3は、向上した安定性を示し、表5に示すように、浸透率半減期は約75日間以上だった。
【0139】
【表5】

【0140】
実施例以外であって、特に異なる記載がない場合には、明細書及び請求項で使用する成分、反応条件等の量を表す全ての数字は、全ての場合において「約」という用語によって修飾することができる。従って、反対の指示がない限りにおいて、明細書及び請求項に記載された数値パラメータは本発明によって得られる所望の特性に応じて変動し得る近似値である。請求項の範囲への均等論の適用を制限するものとしてではなく、各数値パラメータは有意な数字及び四捨五入法に照らして解釈されるべきである。
【0141】
本発明の広い範囲を記載する数値範囲及び数値パラメータは近似値であるが、具体的な実施例において記載された数値はできる限り正確に報告されている。しかしながら、数値は、各試験測定における標準偏差から生じる所定の誤差を本質的に含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i.水の存在下において多糖類を架橋剤としてのポリホスフェート又はポリリン酸と混合して多糖類ゲルを形成する工程と、
ii.前記多糖類ゲルを乾燥させる工程と、
iii.前記乾燥させた多糖類ゲルを粉砕して乾燥多糖類超吸収性ポリマー粒子を得る工程と、
iv.前記多糖類超吸収性ポリマー粒子を架橋剤としてのポリホスフェート又はポリリン酸で被覆する工程と、
v.前記被覆した多糖類超吸収性ポリマー粒子を加熱して表面架橋させる工程と、
vi.前記乾燥させた多糖類超吸収性ポリマー粒子の表面を多価金属塩又は酸による処理から選択される処理によって処理する工程と、
を含む表面処理多糖類超吸収性ポリマー粒子の製造方法。
【請求項2】
前記多糖類が未架橋多糖類である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記多糖類がポリカルボキシ多糖類である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記未架橋ポリカルボキシ多糖類のカルボキシル基の少なくとも約50モル%が中和されている、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記架橋又は加熱を約70〜約180℃の温度で行う、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記架橋剤の混合工程を約8〜約12のpHで行う、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記多糖類と前記ポリホスフェート又は前記ポリリン酸との混合工程を、最初に前記ポリホスフェートを水に溶解し、前記ポリホスフェートの水溶液のpHを約8〜約12に設定し、前記ポリホスフェートの水溶液を未架橋多糖類と混合することによって行なう、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記多糖類の重量に対して約0.001〜約20重量%の前記架橋剤を前記多糖類と混合する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記多糖類が、前記多糖類の全重量に対して約20重量%未満の塩含有量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記多価金属塩が、Al、Fe、Zr、Mg、Znから選択されるカチオンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記多価金属塩が、+3の価数を有するカチオンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記多価金属塩が、ハロゲン化物、クロロ水化物、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩から選択されるアニオンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記多価金属塩が硫酸アルミニウムである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記多価金属塩が、約12〜約14の水和水を有する硫酸アルミニウムである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記酸が、リン酸、酢酸、乳酸、クエン酸、グルコン酸から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリホスフェートが、Mn+2[P3n+1]又はM[H3n+1](式中、Mは一価の金属であり、nは少なくとも2である)で表される組成を有する化合物を架橋剤として含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
架橋剤としての前記ポリリン酸がHn+23n+1又は(HPO(式中、nは少なくとも2である)で表される組成を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法によって得られる多糖類超吸収性ポリマー粒子。
【請求項19】
前記多糖類が、少なくとも部分的に中和されたポリカルボキシ多糖類である、請求項18に記載の多糖類超吸収性ポリマー粒子。
【請求項20】
前記多糖類が、米国規格20メッシュのふるいを通過させ、米国規格100メッシュのふるい上に保持した場合に約150〜約850μmの粒径を有する粒子である、請求項19に記載の多糖類超吸収性ポリマー粒子。
【請求項21】
前記多糖類超吸収性粒子の少なくとも約50重量%が、米国規格30メッシュのふるいを通過させ、米国規格50メッシュのふるい上に保持した場合に約300〜約600μmの粒径を有する、請求項20に記載の多糖類超吸収性ポリマー粒子。
【請求項22】
約15〜約40g/gの、遠心保持容量試験によって測定した遠心保持容量を有する、請求項21に記載の多糖類超吸収性ポリマー粒子。
【請求項23】
約10〜約20g/gの、荷重下吸収(AUL0.9psi)試験によって測定した0.9psiにおける荷重下吸収率を有する、請求項21に記載の多糖類超吸収性ポリマー粒子。
【請求項24】
約10〜約100ダルシーの、自由膨潤ゲル床浸透率試験によって測定した自由膨潤ゲル床浸透率を有する、請求項21に記載の多糖類超吸収性ポリマー粒子。
【請求項25】
約20〜約100ダルシーの自由膨潤ゲル床浸透率を有する、請求項21に記載の多糖類超吸収性ポリマー粒子。
【請求項26】
約30日間の浸透率半減期を有する、請求項21に記載の多糖類超吸収性ポリマー粒子。
【請求項27】
約60日間の浸透率半減期を有する、請求項21に記載の多糖類超吸収性ポリマー粒子。
【請求項28】
約70日間の浸透率半減期を有する、請求項20に記載の多糖類超吸収性ポリマー粒子。
【請求項29】
表面処理多糖類超吸収性ポリマー粒子の製造方法であって、
a.水の存在下において多糖類を架橋剤としてのポリホスフェート又はポリリン酸と混合して多糖類ゲルを形成する工程と、
b.前記多糖類ゲルを乾燥させる工程と、
c.前記乾燥させた多糖類ゲルを粉砕して乾燥多糖類超吸収性ポリマー粒子を得る工程と、
d.前記多糖類超吸収性ポリマー粒子を架橋剤としてのポリホスフェート又はポリリン酸で被覆する工程と、
e.前記被覆した多糖類超吸収性ポリマー粒子を加熱して表面架橋させる工程と、
f.前記乾燥させた多糖類超吸収性ポリマー粒子の表面を多価金属塩又は酸による処理から選択される処理によって処理する工程と、
を含み、
前記多糖類超吸収性ポリマー粒子が約30日間の浸透率半減期を有する方法。
【請求項30】
前記多糖類が未架橋多糖類である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記多糖類がポリカルボキシ多糖類である、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記未架橋ポリカルボキシ多糖類のカルボキシル基の少なくとも約50モル%が中和されている、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記架橋又は加熱を約70〜約180℃の温度で行う、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記架橋剤の混合工程を約8〜約12のpHで行う、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記多糖類と前記ポリホスフェート又は前記ポリリン酸との混合工程を、最初に前記ポリホスフェートを水に溶解し、前記ポリホスフェートの水溶液のpHを約8〜約12に設定し、前記ポリホスフェートの水溶液を未架橋多糖類と混合することによって行なう、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記多糖類の重量に対して約0.001〜約20重量%の前記架橋剤を前記多糖類と混合する、請求項29に記載の方法。
【請求項37】
前記多糖類が、前記多糖類の全重量に対して約20重量%未満の塩含有量を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
前記多価金属塩が、Al、Fe、Zr、Mg、Znから選択されるカチオンを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項39】
前記多価金属塩が、+3の価数を有するカチオンを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項40】
前記多価金属塩が、ハロゲン化物、クロロ水化物、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩から選択されるアニオンを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項41】
前記多価金属塩が硫酸アルミニウムである、請求項29に記載の方法。
【請求項42】
前記多価金属塩が、約12〜約14の水和水を有する硫酸アルミニウムである、請求項29に記載の方法。
【請求項43】
前記酸が、リン酸、酢酸、乳酸、クエン酸、グルコン酸から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項44】
前記ポリホスフェートが、Mn+2[P3n+1]又はM[H3n+1](式中、Mは一価の金属であり、nは少なくとも2である)で表される組成を有する化合物を架橋剤として含む、請求項29に記載の方法。
【請求項45】
架橋剤としての前記ポリリン酸がHn+23n+1又は(HPO(式中、nは少なくとも2である)で表される組成を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項46】
請求項29に記載の方法によって得られる多糖類超吸収性ポリマー粒子。
【請求項47】
前記多糖類が、少なくとも部分的に中和されたポリカルボキシ多糖類である、請求項46に記載の多糖類超吸収性ポリマー粒子。
【請求項48】
約60日間の浸透率半減期を有する、請求項46に記載の多糖類超吸収性ポリマー粒子。
【請求項49】
約70日間の浸透率半減期を有する、請求項29に記載の多糖類超吸収性ポリマー粒子。
【請求項50】
約30日間の浸透率半減期を有する多糖類超吸収性ポリマー粒子。
【請求項51】
約60日間の浸透率半減期を有する多糖類超吸収性ポリマー粒子。
【請求項52】
約70日間の浸透率半減期を有する多糖類超吸収性ポリマー粒子。
【請求項53】
a.約1〜約40重量%の、約30日間の浸透率半減期を有する多糖類超吸収性ポリマー粒子と、b.約60〜約99重量%の、前記約30日間の浸透率半減期を有する多糖類超吸収性ポリマー粒子とは異なる第2の超吸収性ポリマー粒子と、を含む超吸収性材料。
【請求項54】
前記第2の超吸収性ポリマー粒子がアクリレート超吸収性ポリマーである、請求項53に記載の超吸収性材料。
【請求項55】
請求項1に記載の多糖類超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性物品。
【請求項56】
請求項29に記載の多糖類超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性物品。
【請求項57】
請求項53に記載の多糖類超吸収性ポリマー粒子を含む吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−509947(P2012−509947A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536810(P2011−536810)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【国際出願番号】PCT/EP2009/064181
【国際公開番号】WO2010/060716
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(511077203)エボニック ストックハウゼン エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】