説明

吸水性樹脂組成物およびこれを用いた積層体

【課題】外観、塗布性、防曇性、耐水性及び耐熱性等に優れた、透明防曇性塗膜を形成できる吸水性樹脂組成物およびこれを用いた積層体を提供する。
【解決手段】(メタ)アクリルアミド系モノマーを他のモノマーと共重合した特定の(メタ)アクリルアミド系共重合体(A)と、少なくとも1種類の2官能以上の(メタ)アクリレート化合物(B)とを組み合わせることで、優れた防曇性を有する活性エネルギー線硬化型の吸水性樹脂組成物およびこれを用いた積層体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吸水性樹脂組成物および、これを用いた防曇塗料用樹脂組成物、吸水性を有する硬化物、ならびにプラスチック基材等との積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
アクリル板及びポリカーボネート等のプラスチック透明体は、その軽量性、透明性、加工性および割れにくさと割れた場合の安全性の観点から、特にスポーツゴーグル、ヘルメットシールド、安全メガネ、安全シールド等の人体の保護具用途、また各種表示機器や計器カバー、レンズ、センサーカバー等の産業用途、住宅店舗における間仕切りやショーケース等の住設用途、自動車、鉄道車両等の間仕切りや棚、計器カバー、窓ガラス等の輸送関連用途に用いられている。これらの用途に使用されるプラスチック材料は、高温多湿の場所又は温度差や湿度差の大きい場所で使用された場合においては、その表面に結露が生じるため曇り、透明性が失われることがある。これらの問題を解決するために、従来から、非反応性の界面活性剤からなる防曇性組成物を基材表面に塗工する方法が行われているが、この方法では塗工後の初期においては防曇効果が発揮されるものの、一旦処理面を払拭すれば防曇性が低下し、持続性に欠けるものであった。そこで、防曇性の耐久性を向上すべく、ポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどの親水性ポリマーを塗布し、熱硬化により硬化した被膜により防曇性をもたせる方法も提案されているが、持続性の向上はみられるものの、充分な防曇性能とはいえず、さらに耐傷付き性などの機械的強度が実用上不足している、あるいは、ゴーグル等に熱成形すると、成形時の熱により防曇性が低下する、といった問題がある。
【0003】
特許文献1では、耐傷付き性を向上すべく、アクリルアミド系化合物を共重合したポリマーとエポキシ基を含有するポリマーおよびエポキシ基を有するシランカップリング剤ならびにメラミン骨格を有する化合物を組み合わせて熱硬化する防曇性コーティング組成物が提案されているが、硬化には130℃で1時間程度の時間がかかり、更に混合液の貯蔵安定性が短いために、生産性が極端に低下する問題があった。
【0004】
特許文献2では、アルキレングリコール骨格を有するジ(メタ)アクリレートと不飽和基を有する反応性界面活性剤の組み合わせにより、活性エネルギー線硬化型の防曇性組成物が提案されているが、防曇性能の持続性は向上するものの、一般的な活性エネルギー線硬化型樹脂と比較すると硬化性が極端に低く、実用上の生産性には問題があった。また、特許文献3では、アルキレングリコール骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートが提案されているが、アルキレングリコール骨格は高温高湿度環境下では酸化されやすい性質があるため、住設用途や車両用途などで想定される環境下では持続性が極端に低下する問題があった。これに対して、特許文献4では、アルキレングリコール骨格を有する化合物の高温高湿度環境下での耐久性向上のため、紫外線吸収剤や熱安定剤などの酸化防止剤の組み合わせが提案されているが、酸化防止剤自身が酸化されることで着色するため、外観が徐々に低下する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−41519号公報
【特許文献2】特開平11−140109号公報
【特許文献3】特開2005−290333号公報
【特許文献4】特開2006−28335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、上記問題を解決し、著しく持続性が向上した防曇性能をもち、かつ外観、塗布性、防曇性、耐水性及び耐熱性等に優れた、透明防曇性塗膜を形成できる吸水性樹脂組成物およびこれを用いた防曇塗料用樹脂組成物、硬化物、ならびに積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記問題点を解決するため鋭意検討した結果、(メタ)アクリルアミド系モノマーを他のモノマーと共重合した特定の(メタ)アクリルアミド系共重合体と、少なくとも1種類の2官能以上の(メタ)アクリレート化合物とを含有する組成物が、表面硬度に優れ、防曇性及びその持続性に優れる吸水性塗膜を形成することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記一般式1で示される(メタ)アクリルアミド系モノマー(A−1)由来の構造単位と該(メタ)アクリルアミド系モノマー(A−1)以外のモノマーであって該(メタ)アクリルアミド系モノマー(A−1)と共重合可能なモノマー(A−2)由来の構造単位とを含有する(メタ)アクリルアミド系共重合体(A)と、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物(B)とを少なくとも含む吸水性樹脂組成物を提供する。
【化1】

(但し、式1中R1は水素原子又はメチル基を示す。R2、R3は同一でも異なっても良く、水素原子、若しくは水酸基を持っても良い炭素数1〜6のアルキル基であるか、又は隣接するNと共にピロリジン環、ピペリジン環若しくはモルホリン環を形成していてもよい)
【0009】
好ましくは、上記(メタ)アクリルアミド系モノマー(A−1)の一部又は全部がN,N−ジメチルアクリルアミドであり、上記モノマー(A−2)の一部又は全部がメタクリル酸メチルである。
また、好ましくは、上記(メタ)アクリルアミド系共重合体(A)のポリエチレンオキサイド換算の重量平均分子量が500〜200,000である。
さらに、好ましくは、吸水性樹脂組成物中の樹脂分100重量部中の上記(メタ)アクリルアミド系モノマー(A−1)由来の構造単位の含有量が40〜85重量部である。
【0010】
また、本発明は、上記吸水性樹脂組成物を含む防曇塗料用樹脂組成物を提供する。
【0011】
また、本発明は、上記吸水性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物を提供する。
【0012】
また、本発明は、上記防曇塗料用樹脂組成物を、基材上に塗布・硬化して得られた積層体を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、(メタ)アクリルアミド系モノマー(A−1)を他のモノマー(A−2)と共重合した特定の(メタ)アクリルアミド系共重合体(A)と、少なくとも1種類の2官能以上の(メタ)アクリレート化合物(B)とを組み合わせることにより、著しく持続性が向上した防曇性能をもち、かつ外観、塗布性、防曇性、耐水性及び耐熱性等に優れた硬化物、ならびに透明防曇性塗膜を形成できる吸水性樹脂組成物および防曇塗料用樹脂組成物、これを用いた積層体を提供することができる。本発明の吸水性樹脂組成物およびこれを用いた防曇塗料用樹脂組成物、硬化物、ならびに積層体は、さらに、帯電防止性、セルフクリーニング性(自己浄化性)に優れ、インクジェット受像層(水性インクタイプ)にも使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<吸水性樹脂組成物>
本発明の吸水性樹脂組成物は、下記一般式1で示される(メタ)アクリルアミド系モノマー(A−1)由来の構造単位と該(メタ)アクリルアミド系モノマー(A−1)以外のモノマーであって該(メタ)アクリルアミド系モノマー(A−1)と共重合可能なモノマー(A−2)由来の構造単位とを含有する(メタ)アクリルアミド系共重合体(A)と、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物(B)とを少なくとも含んでいる。
【化2】

上記一般式1中、R1は水素原子又はメチル基を示す。R2、R3は同一でも異なっても良く、水素原子、若しくは水酸基を持っても良い炭素数1〜6のアルキル基であるか、又は隣接するNと共にピロリジン環、ピペリジン環若しくはモルホリン環を形成していてもよい。炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。
【0015】
<(メタ)アクリルアミド系共重合体(A)>
本発明の吸水性樹脂組成物に含まれる(メタ)アクリルアミド系共重合体(A)は、上記一般式1で示される(メタ)アクリルアミド系モノマー(A−1)と該(メタ)アクリルアミド系モノマー(A−1)以外のモノマーであって該(メタ)アクリルアミド系モノマー(A−1)と共重合可能なモノマー(A−2)とを共重合(ビニル重合)させて得られる。
【0016】
<(メタ)アクリルアミド系モノマー(A−1)>
上記一般式1で示される(メタ)アクリルアミド系モノマー(A−1)の具体例としては、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。尚、(メタ)アクリルアミド系モノマー(A−1)は(メタ)アクリルアミド系共重合体(A)の重合の際、2種以上用いることも可能である。(メタ)アクリルアミド系モノマー(A−1)は、その一部又は全部(50〜100重量%)がN,N−ジメチルアクリルアミドであることが好ましい。
【0017】
(メタ)アクリルアミド系共重合体(A)中の(メタ)アクリルアミド系モノマー(A−1)由来の構造単位の含有量は、例えば50〜90重量%、好ましくは50〜85重量%、さらに好ましくは60〜80重量%とすることができる。50重量%を下回ると吸水性が低下するため防曇塗料として用いることが困難になる場合があり、85重量%を上回ると耐水性が著しく低下する場合がある。
【0018】
<(メタ)アクリルアミド系モノマー(A−1)以外のモノマーであって上記(メタ)アクリルアミド系モノマー(A−1)と共重合可能なモノマー(A−2)>
(メタ)アクリルアミド系モノマー(A−1)以外のモノマーであって上記(メタ)アクリルアミド系モノマー(A−1)と共重合可能なモノマー(A−2)[以下、単にモノマー(A−2)と称する場合がある]の具体例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマーの他、各種の(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン系モノマーが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜20のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、デシル、ドデシル基など)を有するアルキル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等の炭素数6〜20アリール基(例えば、フェニル基又はナフチル基など)を有するアリール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート等のアラルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。スチレン系モノマーとしては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。なかでも、炭素数1〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。尚、モノマー(A−2)は(メタ)アクリルアミド系共重合体(A)の重合の際、2種以上用いることも可能である。モノマー(A−2)は、その一部又は全部(50〜100重量%)がメタクリル酸メチルであることが好ましい。
【0019】
(メタ)アクリルアミド系共重合体(A)中のモノマー(A−2)由来の構造単位の含有量は、例えば10〜50重量%、好ましくは15〜50重量%、さらに好ましくは20〜40重量%とすることができる。50重量%を超えると吸水性が低下するため防曇塗料として用いることが困難になる場合があり、15重量%を下回ると耐水性が著しく低下する場合がある。
【0020】
(メタ)アクリルアミド系共重合体(A)中における(メタ)アクリルアミド系モノマー(A−1)由来の構造単位とモノマー(A−2)由来の構造単位との重量比(A−1)/(A−2)は、例えば、95/5〜40/60、好ましくは90/10〜50/50とすることができる。(A−1)/(A−2)が40/60を下回ると吸水性が低下するため防曇塗料として用いることが困難になる場合があり、95/5を超えると耐水性が著しく低下する場合がある。
【0021】
<重合>
(メタ)アクリルアミド系共重合体(A)の重合は、溶液重合、塊状重合、懸濁重合、塊状−懸濁重合、乳化重合など、ポリスチレンやポリ(メタ)アクリル酸エステルを製造する際に用いる慣用の方法により行うことができる。これらのなかでも溶液重合が好ましい。モノマー(A−2)、重合開始剤は、それぞれ、反応系に一括供給してもよく、その一部又は全部を反応系に滴下してもよい。例えば、一定温度に保持したモノマーと重合溶媒の混合液中に、重合開始剤を重合溶媒に溶解した溶液を滴下して重合する方法や、予めモノマー、重合開始剤を重合溶媒に溶解させた溶液を、一定温度に保持した重合溶媒中に滴下して重合する方法(滴下重合法)などを採用できる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロプイオネート)などのアゾ系の重合開始剤等を使用できる。
【0022】
<重合溶媒>
重合溶媒は、共重合組成等に応じて適宜選択できる。重合溶媒としては、例えば、エーテル(ジエチルエーテル;エチレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノ又はジアリールエーテル、ジプロピレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、トリプロピレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、1,3−プロパンジオールモノ又はジアルキルエーテル、1,3−ブタンジオールモノ又はジアルキルエーテル、1,4−ブタンジオールモノ又はジアルキルエーテル、グリセリンモノ,ジ又はトリアルキルエーテル等のグリコールエーテル類などの鎖状エーテル;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテルなど)、エステル(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、C5-6シクロアルカンジオールモノ又はジアセテート、C5-6シクロアルカンジメタノールモノ又はジアセテート等のカルボン酸エステル類;エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ又はジアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ又はジアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ又はジアセテート、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノ又はジアセテート、1,3−プロパンジオールモノアルキルエーテルアセテート、1,3−プロパンジオールモノ又はジアセテート、1,3−ブタンジオールモノアルキルエーテルアセテート、1,3−ブタンジオールモノ又はジアセテート、1,4−ブタンジオールモノアルキルエーテルアセテート、1,4−ブタンジオールモノ又はジアセテート、グリセリンモノ,ジ又はトリアセテート、グリセリンモノ又はジC1-4アルキルエーテルジ又はモノアセテート、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノ又はジアセテート等のグリコールアセテート類又はグリコールエーテルアセテート類など)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オンなど)、アミド(N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなど)、スルホキシド(ジメチルスルホキシドなど)、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、C5-6シクロアルカンジオール、C5-6シクロアルカンジメタノールなど)、炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素など)、これらの混合溶媒などが挙げられる。重合温度は、例えば30〜150℃程度の範囲で適宜選択できる。
【0023】
上記方法により、本発明の吸水性樹脂組成物に含まれる(メタ)アクリルアミド系共重合体(A)が生成する。(メタ)アクリルアミド系共重合体(A)の重量平均分子量は、ポリエチレンオキサイド換算の値で、例えば500〜200,000、好ましくは3,000〜100,000、さらに好ましくは5,000〜50,000程度であり、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、1〜5程度である。重量平均分子量が200,000を超えると塗料としての粘度が著しく高くなるため、希釈剤として用いる水や有機溶媒が多量に必要となる場合があり、また、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物(B)との相溶性が著しく低下する場合がある。重量平均分子量が500を下回ると耐水性や耐熱性が低下する場合がある。
【0024】
上記方法で得られた重合液は、必要に応じて固形分濃度を調整したり、溶媒交換したり、濾過処理を施した後、添加剤(充填剤、消泡剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤など)を配合することもできる。また、重合により生成した共重合体を沈殿又は再沈殿等により精製し、この精製したポリマーを、前記適宜な添加物とともに用途に応じた溶媒に溶解することもできる。
【0025】
<2官能以上の(メタ)アクリレート化合物(B)>
本発明の吸水性樹脂組成物に含まれる2官能以上の(メタ)アクリレート化合物(B)としては、モノマー(A−2)として用いられる(メタ)アクリル酸エステルのうち2官能以上の化合物、及びその他、一般的に反応性希釈剤として用いられる多官能モノマー、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等があげられる。
【0026】
多官能モノマーの具体例としては、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0027】
市販されている製品としては、例えばDPGDA(ダイセル・サイテック社製)、ファンクリル FA−125M(日立化成工業社製)、HDDA(ダイセル・サイテック社製)、TPGDA(ダイセル・サイテック社製)、IRR214−K(ダイセル・サイテック社製)、PETIA(ダイセル・サイテック社製 主にペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートからなる混合物)、DPHA(ダイセル・サイテック社製 主にジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートからなる混合物)等が挙げられる。
【0028】
ポリエステル(メタ)アクリレートは、ポリオールと(メタ)アクリル酸エステルから合成される多官能(メタ)アクリレートであり、市販されている製品としては、例えばアロニックスM−6100、同M−7100、同M−8030(いずれも東亞合成社製)、EBECRYL450、同800、同1830(いずれもダイセル・サイテック社製)等が挙げられる。
【0029】
ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリイソシアネートまたはポリイソシアネートとポリオールで合成したウレタンプレポリマーと、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルから合成される多官能(メタ)アクリレートであり、市販されている製品としては、例えばEBECRYL220、同1290、同8402、KRM8200(いずれもダイセル・サイテック社製)等が挙げられる。
【0030】
エポキシ(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールAのグリシジルエーテルに代表される化合物と(メタ)アクリル酸から合成される多官能(メタ)アクリレートなどが挙げられ、市販されている製品としては、例えばEBECRYL600、同3700、同3701(いずれもダイセル・サイテック社製)等が挙げられる。尚、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物(B)は、2種以上用いることも可能である。
【0031】
<単官能(メタ)アクリレート化合物(C)>
本発明の吸水性樹脂組成物には、さらに、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物(B)の他に、単官能(メタ)アクリレート化合物(C)を用いても良い。単官能(メタ)アクリレート化合物(C)としては、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどの複素環含有(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリンなどの上記(メタ)アクリルアミド系モノマー(A−1)として例示の上記式1で表されるアミド系(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの脂環含有(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート[特に、アリールオキシアルキル(メタ)アクリレート]等が挙げられる。市販されている製品としては、V#150(大阪有機化学社製)、ACMO(興人社製)、IBOA(ダイセル・サイテック社製)、EBECRYL114(ダイセル・サイテック社製)がある。尚、単官能(メタ)アクリレート化合物(C)は、2種以上用いることも可能である。
【0032】
本発明の吸水性樹脂組成物中、樹脂分の総量[例えば、(メタ)アクリルアミド系共重合体(A)、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物(B)及び必要に応じて加える単官能(メタ)アクリレート化合物(C)の総量]は、例えば10〜90重量%、好ましくは20〜60重量%、さらに30〜50重量%とすることができる。樹脂分の総量が10重量%より少ないと、十分な塗膜厚が得られない場合があり、90重量%より多いと、高粘度により生産性が低下する場合がある。なお、本明細書において樹脂分とは、ポリマー及び重合性化合物(モノマー)を指す。
【0033】
また、本発明の吸水性樹脂組成物は、樹脂分の総量を100重量部とした際に、(メタ)アクリルアミド系モノマー(A−1)由来の構造単位の含有量が40〜85重量部になる範囲で用いることが好ましく、より好ましくは45〜75重量部になる範囲で用いることができる。85重量部を超えると吸水性は向上するが、耐水性が低下する場合があり、40重量部を下回ると吸水性が低下するため、防曇塗料として用いることが困難になる場合がある。
【0034】
また、本発明の吸水性樹脂組成物では、樹脂分の総量を100重量部とした際に、(メタ)アクリルアミド系共重合体(A)の含有量は、例えば40〜95重量部、好ましくは40〜85重量部、より好ましくは45〜80重量部、さらに好ましくは50〜75重量部とすることができる。(メタ)アクリルアミド系共重合体(A)の含有量が95重量部を超えると十分な耐水性が得られない場合があり、40重量部を下回ると十分な防曇性が得られない場合がある。
【0035】
また、本発明の吸水性樹脂組成物では、樹脂分の総量を100重量部とした際に、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物(B)の含有量は、例えば5〜60重量部、好ましくは15〜60重量部、より好ましくは20〜55重量部、さらに好ましくは25〜50重量部とすることができる。2官能以上の(メタ)アクリレート化合物(B)の含有量が60重量部を超えると十分な防曇性が得られない場合があり、5重量部を下回ると十分な耐水性、耐熱性が得られない場合がある。
【0036】
また、本発明の吸水性樹脂組成物では、樹脂分の総量を100重量部とした際に、単官能(メタ)アクリレート化合物(C)の含有量は、例えば0〜59重量部、好ましくは0〜55重量部、より好ましくは0〜50重量部、さらに好ましくは0〜40重量部、特に好ましくは0〜25重量部とすることができる。単官能(メタ)アクリレート化合物(C)の含有量が59重量部を超えると十分な耐水性、耐熱性が得られない場合がある。
【0037】
本発明の吸水性樹脂組成物には、貯蔵中のゲル化を防止し、貯蔵安定性を維持するために、安定剤を配合することができる。好適な安定剤としては、例えばハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルハイドロキノン及びカテコール等のフェノール類、ベンゾキノン、ナフトキノン及びジフェニルベンゾキノン等のキノン類、フェノチアジン並びに銅塩等が挙げられる。これらの安定剤の使用割合は、樹脂組成成分100重量部に対して0.0001〜0.1重量部とするのが好ましい。
【0038】
<光重合開始剤、光増感剤>
本発明の吸水性樹脂組成物は、可視光線又は紫外線及び電子線等の活性エネルギー線により容易に硬化させることができる。可視光線又は紫外線により硬化させる場合には、一般的に使用されている光重合開始剤や光増感剤を配合する。光重合開始剤の具体的としては、以下の化合物が挙げられる。アセトフェノン系の光重合開始剤としては、2−メチル〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノン〔BASF社製イルガキュア−907〕、ベンジルジメチルケタール〔BASF社製イルガキュア−651〕、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン〔BASF社製イルガキュア−184〕、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン〔BASF社製ダロキュアー1173〕、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン〔BASF社製イルガキュア−2959〕及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン〔BASF社製イルガキュア−369〕等が挙げられる。ベンゾインエーテル系の光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル及びベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。ベンゾフェノン系の光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド及び2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等が挙げられる。チオキサントン系の光重合開始剤としては、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン及び1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。ホスフィンオキサイド系の光重合開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等が挙げられる。光増感剤としては、具体的には、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4−ジメチルアミノベンゾフェノン及び4,4−ジエチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
【0039】
これら光重合開始剤及び光増感剤の配合割合は、常法に従えば良く、例えば2官能以上の(メタ)アクリレート化合物(B)成分100重量部に対して0.5〜20重量部が好ましい。0.5重量部未満では硬化不良を引き起こす可能性があり、20重量部を越えると、硬化塗膜の着色や光開始剤由来の臭気が残存する等による塗膜特性が低下する恐れがある。特に好ましい開始剤の使用量としては、1〜10重量部である。本発明の吸水性樹脂組成物を電子線や放射線の照射により硬化させる場合には、上記例示の光重合開始剤や光増感剤を使用してもよく、また、光重合開始剤や光増感剤を配合しなくてもよい。
【0040】
<希釈溶媒>
希釈溶媒としては、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、酢酸n−ブチル、メチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル溶媒等があり、PRTR[Pollutant Release and Transfer Register、化学物質排出移動量届出制度]法や毒性の観点から、好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルである。必要に応じてメチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコールなども使用できる。希釈溶媒の含有量は、吸水性樹脂組成物中、例えば10〜90重量%、好ましくは40〜80重量%、より好ましくは50〜70重量%とすることができる。希釈溶媒の含有量が90重量%より多いと十分な塗膜厚が得られない場合があり、10重量%より少ないと高粘度により生産性が低下する場合がある。
【0041】
<添加剤>
本発明の吸水性樹脂組成物には、必要に応じて種々の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、例えば、染顔料、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、分散剤、チクソトロピー性付与剤などが挙げられる。これらの添加物の添加量は、樹脂組成物中の樹脂分100重量部に対して、0重量部以上10重量部以下、好ましくは0.05重量部以上5重量部以下である。
【0042】
<紫外線吸収剤>
本発明の吸水性樹脂組成物に含まれてもよい紫外線吸収剤は特に限定されることはなく、組成物に均一に溶解し、かつ必要な耐候性が付与できるものであれば使用できる。特に、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、安息香酸フェニル系から誘導された化合物で、それらの最大吸収波長が240〜380nmの範囲にある紫外線吸収剤が好ましく、特にベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤が好ましく、さらにこの上記2種を組み合わせて用いるのが最も好ましい。
【0043】
紫外線吸収剤としては、たとえば、2−ヒドロキシベンゾフェノン、5−クロロ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチロキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタテシロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキン−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノンフェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート、p−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニルサリシレート、3−ヒドロキシフェニルベンゾエート、フェニレン−1,3−ジベンゾエート、2−(2−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンとグリシジルアルキル(C12−C13)エーテルとの反応生成物等が挙げられるが、これらのうちベンゾフェノン系の2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、及び2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、べンゾトリアゾール系の2−(2−ヒドロキシ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールが特に好ましく、これらは2種以上を組み合わせても良い。
【0044】
<レベリング剤>
本発明において、吸水性樹脂組成物の塗工適性を得るために、塗工後の塗膜表面に作用し表面張力を低下させるレベリング性添加剤を加えてもよい。レベリング性添加剤としては、フッ素系添加剤、シロキサン系添加剤、アクリル系添加剤、及びアセチレングリコール系添加剤から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
【0045】
特に制限されないが、例えば、フッ素系添加剤として住友スリーエム社製フロラードFC−430、フロラードFC170、DIC社製メガファックF177、メガファックF471、シロキサン系添加剤としてビックケミー社製BYK−300、BYK−077、アクリル系添加剤としてビックケミー社製BYK−380、楠本化成社製ディスパロンL−1984−50、ディスパロンL−1970、そしてアセチレングリコール系添加剤として信越化学工業社製ダイノール604、サーフィノール104などが挙げられる。これらのレベリング性添加剤を単独、若しくは併用して使用できる。
【0046】
[無機フィラー]
本発明の吸水性樹脂組成物は、さらに、無機フィラーを含んでいてもよい。無機フィラーとしては、特に限定するものではないが、ナノシリカ、ナノチタニア、ナノジルコニア、カーボンナノチューブ等、シリカ、アルミナ、マイカ、合成マイカ、タルク、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、チタン酸バリウム、カオリン、ベントナイト、珪藻土、窒化ホウ素、窒化アルミ、炭化ケイ素、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化セシウム、酸化マグネシウム、ガラスビーズ、ガラス繊維、グラファイト、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、セルロースなどを1種類以上使用することができる。これらの無機フィラーは、例えば国際公開第96/31572号に記載されている火炎加水分解法や、火炎熱分解法、プラズマ法等の公知の方法で製造することができる。
【0047】
好ましい無機フィラーとしては、ナノシリカ、ナノチタニア、ナノジルコニア、カーボンナノチューブ等の安定化されたコロイド状無機粒子のナノ分散ゾル類等を用いることができ、市販品としては、BAYER社製のシリカゾル、Goldschmidt社製のSnO2ゾル類、MERCK社製のTiO2ゾル類、Nissan Chemicals社製のSiO2、ZrO2、A123およびSb23ゾルまたはDEGUSSA社製のAerosil分散物類などの市販品が入手可能である。
【0048】
無機フィラーは、表面の改質によりこれらの粘度挙動を変化させることができる。粒子の表面改質は、公知の表面改質剤を用いて行うことができる。このような表面改質剤としては、例えば、無機フィラーの表面に存在する官能基と共有結合や錯形成等の相互作用が可能な化合物や、重合体マトリックスと相互作用可能な化合物を用いることができる。このような表面改質剤としては、例えば、分子内にカルボキシル基、(第1級、第2級、第3級)アミノ基、4級アンモニウム基、カルボニル基、グリシジル基、ビニル基、(メタ)アクリロキシ基、メルカプト基等の官能基を有する化合物等を用いることができる。このような表面改質剤としては、通常、標準温度および圧力条件下で液体であり、分子内の炭素数が例えば15以下、好ましくは10以下、特に好ましくは8以下の低分子有機化合物で構成される。前記低分子有機化合物の分子量は、例えば500以下、好ましくは350以下、特に200以下である。
【0049】
好ましい表面改質剤としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、クエン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、シュウ酸、マレイン酸およびフマル酸などの炭素数1〜12の飽和または不飽和モノおよびポリカルボン酸類(好ましくは、モノカルボン酸類);及びこれらのエステル類(好ましくはメタクリル酸メチル等のC1-4アルキルエステル類);アミド類;アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、3,5−ヘプタンジオン、アセト酢酸およびC1-4アルキルアセト酢酸類などのβ−ジカルボニル化合物等が挙げられる。また、特に限定されないが、公知慣用のシランカップリング剤を表面改質剤として使用することもできる。
【0050】
無機フィラーの粒径は、通常0.01nm〜200μm程度、好ましくは0.1nm〜100μm、特に0.1nm〜50μm程度である。
【0051】
無機フィラーの含有量は、化合物(A)および化合物(B)の合計含有量を100重量部とすると、1〜2000重量部であることが好ましく、さらに好ましくは10〜1000重量部である。また、吸水性樹脂組成物の全量に対する、無機フィラーの含有量は、例えば、5〜95重量%、好ましくは10〜90重量%である。
【0052】
本発明の吸水性樹脂組成物は塗布性に優れ、硬化後は、著しく持続性が向上した防曇性能をもち、かつ外観、防曇性、耐水性及び耐熱性等に優れた硬化物を形成できる。また、本発明の吸水性樹脂組成物は、さらに、帯電防止性、セルフクリーニング性(自己浄化性)に優れ、インクジェット受像層(水性インクタイプ)にも使用できる。
【0053】
<防曇塗料用樹脂組成物>
本発明の吸水性樹脂組成物は防曇塗料用樹脂組成物として使用できる。本発明の防曇塗料用樹脂組成物は上記吸水性樹脂組成物を含んでいるため、著しく持続性が向上した防曇性能をもち、かつ外観、塗布性、防曇性、耐水性及び耐熱性等に優れた、透明防曇性塗膜を形成できる。また、本発明の防曇塗料用樹脂組成物は、さらに、帯電防止性、セルフクリーニング性(自己浄化性)に優れ、インクジェット受像層(水性インクタイプ)にも使用できる。
【0054】
<硬化物>
本発明の硬化物は、上記吸水性樹脂組成物を硬化することにより得られる。本発明の硬化物は、著しく持続性が向上した防曇性能をもち、かつ外観、防曇性、耐水性及び耐熱性等に優れている。また、本発明の硬化物は、さらに、帯電防止性、セルフクリーニング性(自己浄化性)に優れ、インクジェット受像層(水性インクタイプ)としても使用できる。
【0055】
(硬化方法)
上記吸水性樹脂組成物の硬化は、例えば、紫外線または電子線等の活性エネルギー線を照射することにより極めて短時間で硬化させることができる。紫外線照射を行う時の光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯などが用いられる。照射時間は、光源の種類、光源と塗布面との距離、その他の条件により異なるが、長くとも数十秒であり、通常は数秒である。通常、ランプ出力80〜300W/cm程度の照射源が用いられる。電子線照射の場合は、50〜1000KeVの範囲のエネルギーを持つ電子線を用い、2〜5Mradの照射量とすることが好ましい。活性エネルギー線照射後は、必要に応じて加熱を行って硬化の促進を図ってもよい。
【0056】
<積層体>
本発明の積層体は、基材と、該基材上に上記記載の吸水性樹脂組成物を塗布硬化させて形成した硬化塗膜とを有する。積層体の構成として層間密着性を向上するために基材と吸水性樹脂組成物の硬化塗膜との間に中間層があっても良い。
【0057】
<基材>
本発明の吸水性樹脂組成物を塗布・硬化する基材としてはガラス、金属、プラスチック基材のフィルム、シート、成型物等が挙げられる。プラスチック基材は、透明なものが好ましく、プラスチックとしては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、セロファン、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテル、ポリスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、アクリル等の熱可塑性樹脂プラスチック基材を挙げることができる。
【0058】
(塗工/乾燥方法)
本発明の吸水性樹脂組成物を基材に塗布する場合、塗布方法としては、特に限定されず、エアレススプレー、エアスプレー、ロールコート、バーコート、グラビアコート、ダイコートなどを用いることが可能である。中でも、薄膜塗布、部分塗布、コスト、作業性などの観点からロールコートが最も好ましい。なお、塗布は、プラスチック基材などの製造工程中で行う、いわゆるインラインコート法でもよいし、既に製造されたプラスチック基材に別工程で塗布を行う、いわゆるオフラインコート法でもよい。
【0059】
(硬化方法)
本発明の吸水性樹脂組成物を対象物であるプラスチック基材に塗布した後、硬化物のところで記載したのと同様の方法で硬化させることができる。
【0060】
本発明の積層体は、著しく持続性が向上した防曇性能をもち、かつ外観、防曇性、耐水性及び耐熱性等に優れている。また、本発明の積層体は、さらに、帯電防止性、セルフクリーニング性(自己浄化性)に優れ、インクジェット受像層(水性インクタイプ)としても使用できる。
【実施例】
【0061】
以下に、実施例に基づき本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。これらの例に用いた化合物、薬剤の略号、内容は下記の通りである。

TMPTA ; トリメチロールプロパントリアクリレート、ダイセル・サイテック社製
PETIA ; ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物、ダイセル・サイテック社製
DPHA ; ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物、ダイセル・サイテック社製
KRM8200 ; 多官能ウレタンアクリレート、ダイセル・サイテック社製
EBECRYL3700 ; ビスA型エポキシアクリレート、ダイセル・サイテック社製
EBECRYL1830 ; 多官能ポリエステルアクリレート、ダイセル・サイテック社製
IBOA ; イソボルニルアクリレート、ダイセル・サイテック社製

光開始剤 ; 1−ヒドロキシシクロヘキサン−1−イルフェニルケトン、チバ・ジャパン社製 Irgacure184

MMPG ; プロピレングリコールモノメチルエーテル

P−1 ;N,N−ジメチルアクリルアミド/メタクリル酸メチル/メタクリル酸(75/20/5)共重合体、Mw 44,000
P−2 ;N,N−ジメチルアクリルアミド/メタクリル酸メチル(75/25)共重合体、Mw 14,600
P−3 ;N,N−ジメチルアクリルアミド/メタクリル酸メチル(50/50)共重合体、Mw 19,000
P−4 ;N,N−ジメチルアクリルアミド/メタクリル酸メチル共重合体(90/10)、Mw 10,200
P−5 ;N,N−ジエチルメタクリルアミド/メタクリル酸メチル(75/25)共重合体、Mw 20,400
P−6 ;N,N−ジメチルアクリルアミド/N,N−ジエチルメタクリルアミド/メタクリル酸メチル(60/15/25)共重合体、Mw 25,000
P−7 ;N,N−ジメチルアクリルアミド/N−アクリロイルモルホリン/メタクリル酸メチル(60/15/25)共重合体、Mw 22,000
【0062】
<合成例>
(合成例1:P−1の合成例)
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素導入管、及び二つの滴下ロートを備えた2リットル容量のセパラブルフラスコに、N,N−ジメチルアクリルアミド67.5g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル18.0g、メタクリル酸4.51g、メトキシプロパノール150gを仕込み、70℃に昇温後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)[和光純薬工業(株)製 V−65]0.24gをメトキシプロパノール4.9gに溶解した液を添加し、30分初期重合を行った。
その後、予め二つの滴下ロートに仕込んでおいたN,N−ジメチルアクリルアミド158g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル42.0g、メタクリル酸10.5gの混合液と2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)[和光純薬工業(株)製 V−65]1.33gをメトキシプロパノール134gに溶解した液をともに三時間かけて並行滴下した。
モノマー類や開始剤の滴下終了後30分間70℃での重合を継続し、更に2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)[和光純薬工業(株)製 V−65]0.37gをメトキシプロパノール13.3gに溶解した液を一時間かけて滴下した。その後一時間重合を継続した後、残存モノマーの低減のために2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)[和光純薬工業(株)製 V−65]0.37gをメトキシプロパノール13.3gに溶解した液を一時間後に添加し、二時間の熟成後、メトキシプロパノール379gを添加した後、常温まで冷却して、アクリル共重合体を得た。この内樹脂分は30wt%、同樹脂中の(メタ)アクリルアミド分は75wt%であった。
島津製作所社製GPC LC−10システムを用いて測定したポリエチレンオキサイド換算の重量平均分子量は44,000であった。(カラムは、TSK−GURD PWXL 1本、TSK−GEL GMPW 2本、移動相は、酢酸3重量部、酢酸ナトリウム2重量部、蒸留水77重量部およびアセトニトリル18重量部の混合液で流量は0.6mL/分、検出器は、示差屈折率検出器、温度は40℃、濃度0.5重量%のサンプルを40μL注入し測定)
【0063】
(合成例2/P−2の合成)
合成例1と同様の装置に、N,N−ジメチルアクリルアミド 18.7g、メタクリル酸メチル6.2g、メトキシプロパノール150gを仕込み、90℃に昇温後、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロプイオネート)[和光純薬工業(株)製 V−601]0.48gをメトキシプロパノール4.9gに溶解した液を添加し、30分初期重合を行った。
その後、予め二つの滴下ロートに仕込んでおいたN,N−ジメチルアクリルアミド 206g、メタクリル酸メチル69gの混合液とジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロプイオネート)[和光純薬工業(株)製 V−601]3.92gをメトキシプロパノール134gに溶解した液をともに四時間かけて並行滴下した。
モノマー類や開始剤の滴下終了後30分間90℃での重合を継続し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロプイオネート)[和光純薬工業(株)製 V−601]0.96gをメトキシプロパノール29.7gに溶解した液を一時間かけて滴下した。その後一時間重合を継続した後、残存モノマーの低減のためにジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロプイオネート)[和光純薬工業(株)製 V−601]0.96gをメトキシプロパノール29.7gに溶解した液を添加し、90℃で2時間熟成後に、メトキシプロパノール344gを添加した後、常温まで冷却して、アクリル共重合体を得た。この内樹脂分は30wt%、同樹脂中の(メタ)アクリルアミド分は75wt%であった。
合成例1と同様に測定したポリエチレンオキサイド換算の重量平均分子量は14,600であった。
【0064】
(合成例3:P−3の合成例)
合成例1と同様の装置に、N,N−ジメチルアクリルアミド 12.5g、メタクリル酸メチル12.5g、メトキシプロパノール150gを仕込み、90℃に昇温後、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロプイオネート)[和光純薬工業(株)製 V−601]0.48gをメトキシプロパノール4.9gに溶解した液を添加し、30分初期重合を行った。
その後、予め二つの滴下ロートに仕込んでおいたN,N−ジメチルアクリルアミド 138g、メタクリル酸メチル138gの混合液とジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロプイオネート)[和光純薬工業(株)製 V−601]3.92gをメトキシプロパノール134gに溶解した液をともに四時間かけて並行滴下した。
モノマー類や開始剤の滴下終了後30分間90℃での重合を継続し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロプイオネート)[和光純薬工業(株)製 V−601]0.96gをメトキシプロパノール29.7gに溶解した液を一時間かけて滴下した。その後一時間重合を継続した後、残存モノマーの低減のためにジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロプイオネート)[和光純薬工業(株)製 V−601]0.96gをメトキシプロパノール29.7gに溶解した液を添加し、90℃で2時間熟成後に、メトキシプロパノール344gを添加した後、常温まで冷却して、アクリル共重合体を得た。この内樹脂分は30wt%、同樹脂中の(メタ)アクリルアミド分は50wt%であった。
合成例1と同様に測定したポリエチレンオキサイド換算の重量平均分子量は19,000であった。
【0065】
(合成例4:P−4の合成例)
合成例1と同様の装置に、N,N−ジメチルアクリルアミド 22.5g、メタクリル酸メチル2.5g、メトキシプロパノール150gを仕込み、80℃に昇温後、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロプイオネート)[和光純薬工業(株)製 V−601]0.48gをメトキシプロパノール4.9gに溶解した液を添加し、30分初期重合を行った。
その後、予め二つの滴下ロートに仕込んでおいたN,N−ジメチルアクリルアミド 248g、メタクリル酸メチル27.6gの混合液とジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロプイオネート)[和光純薬工業(株)製 V−601]3.92gをメトキシプロパノール134gに溶解した液をともに四時間かけて並行滴下した。
モノマー類や開始剤の滴下終了後30分間80℃での重合を継続し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロプイオネート)[和光純薬工業(株)製 V−601]0.96gをメトキシプロパノール29.7gに溶解した液を一時間かけて滴下した。その後一時間重合を継続した後、残存モノマーの低減のためにジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロプイオネート)[和光純薬工業(株)製 V−601]0.96gをメトキシプロパノール29.7gに溶解した液を添加し、80℃で2時間熟成後に、メトキシプロパノール344gを添加した後、常温まで冷却して、アクリル共重合体を得た。この内樹脂分は30wt%、同樹脂中の(メタ)アクリルアミド分は90wt%であった。
合成例1と同様に測定した換算の重量平均分子量は10,200であった。
【0066】
(合成例5/P−5の合成)
合成例2のN,N−ジメチルアクリルアミドをN,N−ジエチルメタクリルアミドに置換えた以外は、合成例2と同様の操作を行い、メタクリル共重合体を得た。この内樹脂分は30wt%、同樹脂中の(メタ)アクリルアミド分は75wt%であった。
合成例1と同様に測定したポリエチレンオキサイド換算の重量平均分子量は20,400であった。
【0067】
(合成例6/P−6の合成)
合成例2のN,N−ジメチルアクリルアミドを、N,N−ジメチルアクリルアミドとN,N−ジエチルメタクリルアミドの混合物(重量比8:2)に置換えた以外は、合成例2と同様の操作を行い、メタクリル共重合体を得た。この内樹脂分は30wt%、同樹脂中の(メタ)アクリルアミド分は75wt%であった。
合成例1と同様に測定したポリエチレンオキサイド換算の重量平均分子量は25,000であった。
【0068】
(合成例7/P−7の合成)
合成例2のN,N−ジメチルアクリルアミドを、N,N−ジメチルアクリルアミドとN−アクリロイルモルホリンの混合物(重量比8:2)に置換えた以外は、合成例2と同様の操作を行い、メタクリル共重合体を得た。この内樹脂分は30wt%、同樹脂中の(メタ)アクリルアミド分は75wt%であった。
合成例1と同様に測定したポリエチレンオキサイド換算の重量平均分子量は22,000であった。
【0069】
<実施例1〜14、及び比較例1〜2>
ステンレス製ビーカーに、表1に示す成分を充填し、プライミクス社製ホモジナイザー「T.K.ROBOMIX」を用いて混合攪拌し、実施例1〜14、及び比較例1〜2の各配合液(吸水性樹脂組成物)を得た。得られた各配合液の樹脂分と樹脂分中の(メタ)アクリルアミド[(メタ)アクリルアミド系モノマー(A−1)]の比率は、表1の下段に示した。
【0070】
【表1】

【0071】
(試験)
各配合液を用いて、以下の試験方法に記載の通り、塗布パネルの作成および呼気防曇性、温水防曇性、結露防曇性、鉛筆硬度の測定、耐傷付き性、耐温水性、耐湿熱性、耐熱性の試験を行った。各試験結果を表2に示した。
【0072】
(塗布パネルの作成)
日本テストパネル社製の1mm厚のポリカーボネートパネルに、バーコーターにて各配合液を塗布した後、80℃で3分間乾燥後、アイグラフィックス社製のUV照射機 EYE INVERTOR GRANDAGE ECS−401GXを用いて光量1000mJ/cm2で硬化し、膜厚10〜15μmの塗布パネルを作成した。
【0073】
(呼気防曇性)
室温下で1時間養生したパネルの塗布面に、ゆっくりと呼気を5秒間吹きかけ、曇りの有無を目視判定し、以下の基準で評価した。
○;変化なし
△;僅かに曇りあり
×;明らかに曇りあり
【0074】
(温水防曇性)
40℃の温水を100ml入れた容量200mlビーカーに、パネルの塗布面が温水面になるようにビーカー上部に載せ、60秒間静置した後、曇りの有無を目視判定し、以下の基準で評価した。
○;変化なし
△;僅かに曇りあり
×;明らかに曇りあり
【0075】
(結露防曇性)
氷塊の上に、パネルの塗布面を上向きにして載せ、60秒間静置した後、曇りの有無を目視判定し、以下の基準で評価した。
○;変化なし
△;僅かに曇りあり
×;明らかに曇りあり
【0076】
(鉛筆硬度)
JIS K5400に準拠して評価した。
【0077】
(耐傷付き性)
パネルの塗布面を、#0000スチールウールを用いて、荷重100g/cm2にて10往復させたあと目視観察し、5点法で判定した。
5点;傷なし
4点;傷1〜5本
3点;傷6〜10本
2点;傷11本以上
1点;全面傷付き
【0078】
(耐温水性)
60℃温水中に塗布パネルを浸漬し、8時間経過後に塗膜の状態を目視観察(外観評価)、および呼気防曇性を評価した。
外観評価
○;変化なし
△;白化または光沢低下
×;塗膜の一部溶解または剥離
【0079】
(耐湿熱性)
85℃×90%RHの環境試験機中に塗布パネルを静置し、10日間経過後に塗膜の状態を目視観察(外観評価)、および呼気防曇性を評価した。
外観評価
○;変化なし
△;白化または光沢低下
×;塗膜の一部溶解または剥離
【0080】
(耐熱性)
120℃のオーブン中に塗布パネルを静置し、10日間経過後に塗膜の状態を目視観察(外観評価)、および呼気防曇性を評価した。
外観評価
○;変化なし
△;わずかに着色
×;着色または光沢低下
【0081】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式1で示される(メタ)アクリルアミド系モノマー(A−1)由来の構造単位と該(メタ)アクリルアミド系モノマー(A−1)以外のモノマーであって該(メタ)アクリルアミド系モノマー(A−1)と共重合可能なモノマー(A−2)由来の構造単位とを含有する(メタ)アクリルアミド系共重合体(A)と、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物(B)とを少なくとも含む吸水性樹脂組成物。
【化1】

(但し、式1中R1は水素原子又はメチル基を示す。R2、R3は同一でも異なっても良く、水素原子、若しくは水酸基を持っても良い炭素数1〜6のアルキル基であるか、又は隣接するNと共にピロリジン環、ピペリジン環若しくはモルホリン環を形成していてもよい)
【請求項2】
前記(メタ)アクリルアミド系モノマー(A−1)の一部又は全部がN,N−ジメチルアクリルアミドであり、前記モノマー(A−2)の一部又は全部がメタクリル酸メチルである請求項1記載の吸水性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(メタ)アクリルアミド系共重合体(A)のポリエチレンオキサイド換算の重量平均分子量が500〜200,000である請求項1又は2に記載の吸水性樹脂組成物。
【請求項4】
吸水性樹脂組成物中の樹脂分100重量部中の前記(メタ)アクリルアミド系モノマー(A−1)由来の構造単位の含有量が40〜85重量部である請求項1〜3の何れか1項に記載の吸水性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の吸水性樹脂組成物を含む防曇塗料用樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜4の何れか1項に記載の吸水性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
【請求項7】
請求項5に記載の防曇塗料用樹脂組成物を、基材上に塗布・硬化して得られた積層体。

【公開番号】特開2012−131913(P2012−131913A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285560(P2010−285560)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(592019589)ダイセル・サイテック株式会社 (16)
【出願人】(595138155)ダイセルファインケム株式会社 (11)
【Fターム(参考)】