説明

吸水性複合体粒子

【課題】 吸水性樹脂粒子の運搬・輸送による衝突等の衝撃に起因する通液速度の著しい低下を受けずに耐衝撃性が良好で、水性液体、又は尿、経血もしくは汗などの体液等に対して良好な吸水性能を有する吸水性樹脂粒子及びその製造法の提供。
【解決手段】 吸水性架橋重合体粒子(A)に、繊維長1〜300μmの水不溶性繊維(B)を固定化してなり、吸水性架橋重合体粒子(A)100重量部に対する水不溶性繊維(B)の割合が0.1〜10重量部である吸水性複合体粒子、及びその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた耐衝撃性、吸水性及び通液性を有する吸水性複合体粒子及びその製造法に関し、詳しくは、粒子の運搬・輸送による衝突等の衝撃に起因する吸水性能の著しい低下を受けず、水性液体、又は尿、経血もしくは汗などの体液等に対して良好な吸水性能を有する吸水性複合体粒子及びその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
高吸水性樹脂は衛生用品分野では幼児用、大人用あるいは失禁者用の使い捨ておむつや婦人用生理用ナプキン等の吸収性物品、農園芸分野での保水剤等、土木建築分野での汚泥の凝固剤、結露防止剤、止水剤等として幅広く使用されている。
【0003】
近年、衛生用品の薄型化に伴い、吸収体中の吸水性樹脂の割合が増加する傾向にある。衛生用品分野で使用される吸水性樹脂には、(1)吸水性樹脂の本来の体液を吸収・保持する能力(多い吸水量)と(2)吸収体中の繊維(パルプなど)が担っていた体液を拡散する能力(速い通液速度)が求められている。(1)と(2)を満たすためには吸水性樹脂粒子の形状(大きさや凹凸の程度)、架橋密度を精密に制御する必要があり、このような吸水性樹脂の諸物性を規定した特許文献も多く出願されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0004】
また、特許文献4や5には、吸水性ポリマー、水不溶性無機物質及び水不溶性親水性繊維状物質からなる吸液性複合体が開示されている。
【0005】
しかし、これら従来の吸水性樹脂粒子や吸液性複合体は、樹脂の運搬・輸送中の衝突等の衝撃により樹脂粒子が砕け、通液速度が著しく低下する問題があった。
【特許文献1】特開2001−258933号公報
【特許文献2】特開2001−252307号公報
【特許文献3】特表平9−510889号公報
【特許文献4】特開昭63−185447号公報
【特許文献5】特開昭63−267435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、吸水性樹脂粒子の運搬・輸送による衝突等の衝撃に起因する通液速度の著しい低下を受けずに耐衝撃性が良好で、水性液体、又は尿、経血もしくは汗などの体液等に対して良好な吸水性能を有する吸水性樹脂粒子及びその製造法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、吸水性架橋重合体粒子(A)に、繊維長1〜300μmの水不溶性繊維(B)を固定化してなり、吸水性架橋重合体粒子(A)100重量部に対する水不溶性繊維(B)の割合が0.1〜10重量部である吸水性複合体粒子、及びその製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の吸水性複合体粒子は、運搬・輸送による衝突等の衝撃を受けても通液速度が低下せず耐衝撃性が良好で、例えば、おむつなどの衛生用品中の吸収体に使用され、体液をすばやく吸収することができ、また、体液をより広い範囲に拡散することができ、さらに、吸収体が吸収した体液を保持でき、本発明の吸水性複合体粒子を用いることにより衛生用品を薄型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[吸水性架橋重合体粒子(A)]
本発明の用いられる吸水性架橋重合体粒子(A)は、吸水性を有する架橋重合体粒子であれば特に限定されない。
【0010】
吸水性架橋重合体粒子(A)を製造する際に用いられるモノマーは、水溶性で、重合性の不飽和基を有するモノマーである。具体的には、オレフィン系不飽和カルボン酸又はその塩、オレフィン系不飽和カルボン酸エステル、オレフィン系不飽和スルホン酸又はその塩、オレフィン系不飽和リン酸又はその塩、オレフィン系不飽和リン酸エステル、オレフィン系不飽和アミン、オレフィン系不飽和アンモニウム、オレフィン系不飽和アミドなどの重合性不飽和基を有するビニルモノマーが例示される。
【0011】
オレフィン系不飽和カルボン酸又はその塩としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸などの不飽和カルボン酸、これらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。オレフィン系不飽和カルボン酸エステルとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0012】
オレフィン系不飽和スルホン酸又はその塩としては、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸又はその塩等が挙げられる。オレフィン系不飽和リン酸又はその塩としては、(メタ)アクリロイル(ポリ)オキシエチレンリン酸エステル又はその塩等が挙げられる。
【0013】
オレフィン系不飽和アミンとしては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。オレフィン系不飽和アンモニウム塩としては、上記オレフィン系不飽和アミンの4級アンモニウム塩等が挙げられ、オレフィン系不飽和アミドとしては、(メタ)アクリルアミド、メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体やビニルメチルアセトアミド等が挙げられる。
【0014】
他のモノマーの具体例としては、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン、N−ビニルアセトアミドなどのノニオン性の親水基含有不飽和モノマーなどが挙げられる。
これらのモノマーは、単独で若しくは2種以上の混合物として用いることができる。
【0015】
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味し、(メタ)アクリルアミドとは、アクリルアミド又はメタクリルアミドを意味し、(メタ)アクリロイルとはアクリロイル又はメタクリロイルを意味する。
【0016】
これらモノマーの中では、オレフィン系不飽和カルボン酸又はその塩が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、それらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩がより好ましく、アクリル酸、アクリル酸アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アクリル酸アンモニウム塩が更に好ましい。
【0017】
モノマーが常温で固体である場合には水溶液として用いることができる。この際、水溶液中におけるモノマーの濃度は、生産性の観点より10重量%以上が好ましく、20重量%以上がより好ましく、30重量%以上が更に好ましい。
【0018】
水溶性モノマーは、これと共重合し得る水不溶性のモノマーと併用することもできる。該水不溶性のモノマーとしては、例えば、炭素数1〜18のアルキル基を有するアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸などの不飽和カルボン酸エステル、スチレンなどが挙げられる。この場合、水溶性モノマーの含有量は、全モノマー中に50重量%以上、特に70重量%以上が好ましい。
【0019】
モノマーの重合に際しては不活性な疎水性有機溶媒を用いることが好ましい。重合に不活性な疎水性有機溶媒としては、n−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;n−ブチルアルコール、n−アミルアルコール等の炭素数4〜6の脂肪族アルコール;メチルエチルケトン等の脂肪族ケトン;酢酸エチル等の脂肪族エステル類;シリコーンオイル;香料等を例示することができる。これらの疎水性有機溶媒の中では炭素数6〜12の直鎖又は環状の脂肪族炭化水素が好ましい。疎水性有機溶媒は、1種又は2種以上の混合物として用いることができる。疎水性有機溶媒の使用量は、モノマー又はその水溶液100重量部に対して、好ましくは50〜500重量部、更に好ましくは100〜500重量部である。
【0020】
また、疎水性有機溶媒以外に両親媒性有機溶媒を用いてもよい。両親媒性有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール等のアルコール類;アセトン等のケトン類;テトラヒドロフラン及びジオキサン等のエーテル類が挙げられる。両親媒性有機溶媒の使用量は、疎水性有機溶媒との合計量で、モノマー100重量部に対し500重量部までの量が好ましい。
【0021】
また、モノマーの重合に際し分散剤を用いることが好ましく、分散剤としては、陰イオン界面活性剤が好ましい。
【0022】
陰イオン界面活性剤としては、N−アシル(アシル基の炭素数6〜30)アスパラギン酸又はその塩、N−アシル(アシル基の炭素数6〜30)グルタミン酸又はその塩、アシル化(アシル基の炭素数5〜30)タウリン又はその塩や、式(I)
RO(A)mXO3M (I)
(式中、Rは直鎖又は分岐鎖の炭素数6〜22のアルキル基若しくはアルケニル基を示すか、又は総炭素数12〜28のアリール基を示し、Aは直鎖又は分岐鎖のアルキレン基又はオキシアルキレン基を示し、mは平均値で0〜22の数を示し、XはS又はPを示し、Mは陽イオン又は水素原子を示す。)
で表される化合物が挙げられる。
【0023】
N−アシルアスパラギン酸又はその塩としては、N−パルミトイルアスパラギン酸モノナトリウム塩、N−パルミトイルアスパラギン酸ジナトリウム塩、N−パルミトイルアスパラギン酸等が挙げられる。N−アシルグルタミン酸又はその塩としては、N−ミリストイルグルタミン酸モノナトリウム塩、N−ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム塩、N−ステアロイルグルタミン酸モノナトリウム塩、N−ミリストイルグルタミン酸モノナトリウム塩、N−ヤシ油脂防酸アシルグルタミン酸モノナトリウム塩、N−硬化牛脂脂肪酸アシルグルタミン酸モノナトリウム塩、N−ステアロイルグルタミン酸、N−ステアロイルグルタミン酸モノカリウム塩等が挙げられる。アシル化タウリン又はその塩としてはアシル基の炭素数10〜18のアシル化タウリン又はそのアルカリ金属塩が好ましい。
【0024】
式(I)で表される化合物において、Rとしては、炭素数6〜22、更に8〜20、特にデシル基、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基等の炭素数10〜18のアルキル基が好ましい。Mで示される陽イオンとしては、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオンが好ましく、アルカリ金属イオンがより好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオンが更に好ましい。
【0025】
式(I)で表される化合物としては、ポリオキシアルキレン(アルキレン基の炭素数は2〜3、オキシアルキレン基の平均付加モル数0〜22)アルキル又はアルケニル(アルキル基又はアルケニル基の炭素数6〜22)エーテル硫酸エステル又はその塩が好ましく、ポリオキシエチレンアルキル(アルキル基の炭素数12〜18)エーテル硫酸エステル又はそのアルカリ金属塩がより好ましい。
【0026】
本発明においては、分散剤として、陰イオン界面活性剤以外に、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤若しくは高分子型分散剤を併用することもできる。
【0027】
これらの界面活性剤又は高分子型分散剤としては、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノラウレート及びポリオキシメチレンソルビタンモノオレート等のソルビタン脂肪酸エステル;アルキルグルコシド等のグリコシド化合物;エチルセルロース及びベンジルセルロース等のセルロースエーテル;セルロースアセテート、セルロースブチレート及びセルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル;トリメチルステアリルアンモニムクロリド及びカルボキシメチルジメチルセチルアンモニウム等の陽イオン性及び両性の界面活性剤;マレイン化ポリブタジエン、マレイン化ポリエチレン、スチレン−ジメチルアミノエチルメタクリレート4級塩共重合体及びイソプロピルメタクリレート−ジメチルアミノエチルメタクリレート4級塩共重合体等の高分子分散剤を例示することができる。
これらの分散剤は1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0028】
分散剤の使用量は、モノマー100重量部に対して、好ましくは0.01〜25重量部、より好ましくは0.01〜5重量部、更に好ましくは0.01〜2.5重量部である。
【0029】
モノマーの重合に際しては、重合開始剤を用いるのが好ましい。重合開始剤としては、特に限定されないが、酸化性重合開始剤、アゾ系重合開始剤、レドックス系重合開始剤等を用いることができる。
【0030】
酸化性重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド等のケトンパーオキシド;ジ−tert−ブチルパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド等のジアルキルパーオキシド;tert−ブチルパーアセテート、tert−ブチルパーイソブチレート、tret−ブチルピバレート等のアルキルパーエステル;tert−ブチルハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、過酸化水素等のハイドロパーオキシド類;過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニム等の過硫酸塩;過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム等の過塩素酸類;塩素酸カリ、臭素酸カリ等のハロゲン酸塩等が挙げられる。
【0031】
アゾ系重合開始剤としては、2−(カルバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロハライド、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロハライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロハライド、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタノイックアシッド)、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリックアシッド、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、(1−フェニルエチル)アゾジフェニルメタン、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4’−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)などを例示することができる。また、上記の化合物において、ハライドはクロリドであることが経済面より好ましい。
【0032】
レドックス系重合開始剤としては、過酸化水素/第1鉄塩、過硫酸塩/亜硫酸塩、クメンヒドロパーオキシド/第1鉄塩、過酸化水素/L−アスコルビン酸等が挙げられる。
【0033】
重合開始剤の使用に際しては、1種又は2種以上を使用することができ、酸化性重合開始剤,アゾ系重合開始剤,レドックス系重合開始剤を併用しても良い。
【0034】
これらの中でも、本発明の目的を達成する観点から、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロハライド及び2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロハライドを含む群より選択される1種以上が好ましい。
【0035】
重合開始剤の使用量は、モノマーに対して、通常0.001〜10重量%が好ましく、0.01〜5重量%がより好ましい。重合開始剤の添加方法は、特に制限されないが、重合溶媒に添加、及び/又はモノマーに添加するのが好ましい。また、反応の初期にはアゾ系重合開始剤を用い、反応の後半に過硫酸系重合開始剤を用いるのが好ましい。
【0036】
また、重合体粒子に架橋構造を導入する方法としては、架橋剤を使用しない自己架橋によって導入する方法や、1分子中に2個以上の重合性不飽和基及び/又は2個以上の反応性基を有する架橋剤を共重合又は反応させて導入する方法等が例示できる。架橋剤は1種のみ用いてもよいし2種以上使用してもよい。中でも、得られる重合体粒子の吸水特性などから、2個以上の反応性基を有する化合物を架橋剤として用いることが好ましく、さらに、重合体粒子中のイオン基に作用する多価イオンを併用して用いることが好ましい。
【0037】
架橋剤は、重合前、重合時及び/又は重合後に添加することができる。重合段階でモノマー水溶液と混合する方法、重合段階で反応系内に混合する方法、重合して得られる重合体に固体、水溶液又は分散液として噴霧する等して添加する方法等により架橋剤を添加して用いることができる。架橋剤により粒子内部や粒子表面に架橋構造を構築することができる。
【0038】
架橋剤としては、例えば、N,N−ジアリルアクリルアミド、ジアリルアミン、トリアリルアミン、ジアリルメタクリルアミド、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルテレフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、テトラアリロキシエタン、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ポリ(メタ)アリロキシアルカンなどのポリアリル化合物;ジビニルベンゼン、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のポリビニル化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物;グルタールアルデヒド、グリオキザール等のポリアルデヒド;ポリビニルアルコール、ポリエーテル変性シリコーン等のポリオール;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン,アミノ変性シリコーン等のポリアミン;グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等のヒドロキシビニル化合物;2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の多価イソシアネート化合物;1,2−エチレンビスオキサゾリン等の多価オキサゾリン化合物;尿素、チオ尿素、グアニジン、ジシアンジアミド、2−オキサゾリジノン等の炭酸誘導体;1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソパン−2−オン等のアルキレンカーボネート化合物;カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、鉄、ジルコニウム,チタン等の陽イオンから成る多価金属化合物(水酸化物又は塩化物等の無機塩又は有機金属塩);エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサノール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール化合物を挙げることができる。
【0039】
これらの架橋剤の中では、クエン酸チタン、塩化カルシウム等の多価金属化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル;(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリビニル化合物が好ましい。
【0040】
2個以上の重合性不飽和基を有する架橋剤や2個以上の反応性基を有する架橋剤の使用量は、最終生成物の重合体粒子の所望の性能に従い任意の量とすることができるが、全モノマー(2個以上の重合性不飽和基を有する架橋剤以外のモノマー)に対して0.001〜20重量%が好ましく、0.01〜1重量%がさらに好ましい。
【0041】
架橋剤やその水溶液を使用する際には、親水性有機溶媒や,酸やpH緩衝剤を混合して使用してもよい。
【0042】
モノマーを重合させる方法としては、モノマー又はその水溶液と疎水性有機溶媒を含有する溶媒とを一括に混合し、その後重合させる方法(一括重合法)、モノマー又はその水溶液を疎水性有機溶媒を含有する溶媒中に滴下しながら逐次重合させる方法(逐次重合法)、モノマー又はその水溶液を予め一部の疎水性有機溶媒を含有する溶媒と混合又は分散して得られる混合溶液を、疎水性有機溶媒を含有する溶媒中に滴下しながら重合する方法(前分散法)、これらの方法を併用した方法等を挙げることができるが、疎水性有機溶媒を含有する溶媒中へモノマー又はその水溶液を供給する逆相懸濁重合法が好ましく、疎水性有機溶媒を含有する溶媒中に、共沸下、モノマー又はその水溶液を逐次的に又は連続的に供給する方法がより好ましい。
【0043】
モノマーの重合における重合温度は、重合速度を高め、良好な吸水能を有する重合体粒子を得る観点から、20〜120℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。モノマー又はその水溶液の温度は、0〜100℃が好ましく、10〜40℃がより好ましい。
【0044】
モノマーの重合に際し、重合に悪影響を与えない範囲で各種添加剤をモノマー中に共存させて重合することができる。かかる添加剤の具体例としては、澱粉−セルロ−ス、澱粉−セルロ−スの誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリル酸(塩)架橋体、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン等の分散助剤やキノン類などの重合禁止剤、連鎖移動剤、キレート剤等である。
【0045】
本発明の吸水性架橋重合体粒子(A)は、通液性向上等の観点から、その表面が、更に表面処理剤により処理されていてもよい。
【0046】
表面処理剤としては、例えば、硫酸アルミニウム、カリウム明礬、アンモニウム明礬、ナトリウム明礬、(ポリ)塩化アルミニウム、これらの水和物などの多価金属化合物;ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミンなどのポリカチオン化合物;メチルシロキサン(メチコンとも呼ばれる)、ジメチルシロキサン(ジメチコンとも呼ばれる)、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーンなどのシリコーン化合物;シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、ベントナイトなどの無機粒子などが挙げられ、これらの1種のみ用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
【0047】
これらの中でも、シリカなどの無機粒子が、重合体粒子の吸水速度や通液性を向上させる点で好ましい。
【0048】
表面処理剤による吸水性架橋重合体粒子(A)の表面処理は、架橋前、同時、架橋後のいずれに行っても良いが、本発明の効果をより発揮するために、架橋後であることが好ましい。表面処理剤の添加方法は、特に限定されず、ドライブレンドでもよいし、水溶液や分散液として添加しても良い。表面処理剤は、重合体粒子に対して、0.001〜10重量%の割合で用いることが好ましく、0.01〜5重量%の割合で用いることがより好ましい。
【0049】
以上のようにして製造した吸水性架橋重合体粒子(A)は、重合後、必要に応じ通常の後処理、例えば、共沸脱水、デカンテーションや遠心分離による溶媒の除去、減圧乾燥機、流動乾燥機などの手段を用いた乾燥、粉砕処理、造粒処理を施す等して、所望の重合体粒子として得ることができる。
【0050】
架橋重合体粒子(A)は、上記のような製造方法により得られるが、不飽和カルボン酸又はその塩由来の構成単位を含むものが好ましく、ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系架橋重合体がより好ましい。特に(メタ)アクリル酸及び/又はその塩由来の構成単位の含有量が全構成単位中50〜100モル%のものが好ましく、70〜100モル%のものがより好ましく、90〜100モル%のものが更に好ましい。また、重合体中の酸基は、その25〜100モル%が中和されていることが好ましく、50〜99モル%が中和されていることがより好ましく、55〜80モル%が中和されていることが更に好ましい。塩としてはナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、エタノールアミン塩(モノ体、ジ体、若しくはトリ体を含む)などの1種又は2種以上を例示する事ができる。塩を形成させるための酸基の中和は、重合前にモノマーの状態で行っても良いし、あるいは重合途中や重合後に重合体の状態で行っても良いし、それらを併用してもよい。
【0051】
[水不溶性繊維(B)]
本発明に用いられる水不溶性繊維(B)は、繊維長1〜300μmで、水不溶性の繊維であれば特に限定されない。ここで、水不溶性とは、水100gに対して50g未満しか溶解しないことを指す。
【0052】
水不溶性繊維(B)としては、ポリエステル、ポリウレタン、セルロース、パルプ、レーヨン、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、アラミド、アクリル、カーボンナノチューブ、ガラス、金属等の繊維が挙げられ、天然セルロース及び人工セルロースから選ばれる少なくとも1種が好ましい。これらの繊維として、日本工業規格 繊維用語(原料部門)第1部:天然繊維 JIS L0204-1 (1998)、第2部化学繊維 JIS L0204-2 (2001)に記載される繊維を使用することができる。人工セルロースとしては、酢酸セルロース、ニトロセルロース、レーヨンなどのセルロース誘導体が例示される。
【0053】
水不溶性繊維(B)の繊維長は、複合体物の耐衝撃性、ハンドリング性の観点から、1〜300μmであり、10〜100μmが好ましく、10〜50μmが更に好ましい。
【0054】
[吸水性複合体粒子及びその製造方法]
本発明の吸水性複合体粒子は、吸水性架橋重合体粒子(A)に、繊維長1〜300μmの水不溶性繊維(B)を固定化してなるものである。本発明の吸水性複合体粒子中の水不溶性繊維(B)の含有量は、良好な耐衝撃性を得る観点から、吸水性架橋重合体粒子(A)100重量部に対し0.1〜10重量部であり、0.5〜8重量部が好ましく、0.5〜7重量部が更に好ましい。
【0055】
本発明の吸水性複合体粒子は、更に水不溶性繊維(B)を吸水性架橋重合体粒子(A)に固定化するためのバインダーとして水溶性重合体(C)を含有することが好ましい。本発明の吸水性複合体粒子中の水溶性重合体(C)の含有量は、吸水性架橋重合体粒子(A)100重量部に対し0.001〜10重量部が好ましく、0.01〜5重量部が更に好ましい。
【0056】
水溶性重合体(C)としては、水溶性であれば特に限定されないが、ポリ(メタ)アクリル酸(Na),ポリビニルアルコール,ポリビニルピロリドン,ポリアクリルアミド,ポリエチレングリコール,セルロース誘導体,デンプン誘導体等が挙げられる。
ここで水溶性とは、水100gに対して50g以上溶解することを指す。
水溶性重合体(C)の重量平均分子量は500〜5,000,000が好ましく、100〜1,000,000が更に好ましい。
【0057】
本発明の吸水性複合体粒子は、例えば下記(1)又は(2)に示す方法で製造することができる。
(1)疎水性有機溶媒中又は無溶媒下で、吸水性架橋重合体粒子(A)に、水不溶性繊維(B)、又は水不溶性繊維(B)及び水溶性重合体(C)の水溶液を添加することにより、吸水性架橋重合体粒子(A)に水不溶性繊維(B)を固定化する方法。
(2)重合に不活性な疎水性有機溶媒中で、水溶性の重合性不飽和基を有する単量体を含むモノマー成分を重合させるに際し、モノマー成分の添加途中、又は添加終了後に、水不溶性繊維(B)、又は水不溶性繊維(B)及び水溶性重合体(C)を添加して、吸水性架橋重合体粒子(A)に水不溶性繊維(B)を固定化する方法。
【0058】
(1)の方法としては、疎水性有機溶媒中に、吸水性架橋重合体粒子(A)を浸漬膨潤させた後、水不溶性繊維(B)、又は水不溶性繊維(B)と水溶性重合体(C)の水溶液を添加する方法が好ましい。
【0059】
(1)の方法に用いられる疎水性有機溶媒としては、前記の[吸水性架橋重合体粒子(A)]の欄に記載した疎水性有機溶媒が挙げられ、n−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素が好ましい。疎水性有機溶媒の量は吸水性架橋重合体粒子(A)が膨潤する量であれば特に限定されず、吸水性架橋重合体粒子(A)100重量部に対し、25〜900重量部が好ましい。
【0060】
吸水性架橋重合体粒子(A)に水不溶性繊維(B)、又は水不溶性繊維(B)と水溶性重合体(C)の水溶液を添加する際の温度は特に制限はないが、0〜120℃が好ましい。水不溶性繊維(B)はそのまま添加しても、疎水性有機溶媒のスラリーとして添加しても良い。水不溶性繊維(B)の添加量は、良好な耐衝撃性を得る観点から、吸水性架橋重合体粒子(A)100重量部に対し、0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜8重量部が更に好ましく、0.5〜7重量部が更により好ましい。水溶性重合体(C)の添加量は、吸水性架橋重合体粒子(A)100重量部に対し、0.001〜10重量部が好ましく、0.01〜5重量部が更に好ましい。水溶性重合体(C)の水溶液濃度は、0.01〜10重量%が好ましい。
【0061】
(1)の方法においては、水を存在させておいても良い。水の量は特に制限はないが、吸水性架橋重合体粒子(A)100重量部に対して、0〜120重量部が好ましい。
【0062】
上記(2)の方法としては、重合に不活性な疎水性有機溶媒中で、水溶性の重合性不飽和基を有する単量体を含むモノマー成分を重合させるに際し、モノマー成分の仕込み量が全モノマー量の50〜100重量%の間に、水不溶性繊維(B)、又は水不溶性繊維(B)と水溶性重合体(C)の水溶液を添加する方法が好ましい。
【0063】
水不溶性繊維(B)の添加時期は、架橋重合体粒子(A)の表面近傍に水不溶性繊維(B)を固定化させるために、モノマー成分の仕込み量が全モノマー量の50〜100重量%の間に添加することが好ましく、75〜100重量%の間に添加することが更に好ましい。
【0064】
(2)の方法においては、吸水性架橋重合体粒子(A)に水不溶性繊維(B)を固定化した後に、更に表面処理剤により複合体粒子の表面を処理してもよい。
【0065】
ここで用いる表面処理剤及び表面処理方法は、前記の[吸水性架橋重合体粒子(A)]の欄に記載した表面処理剤及び表面処理方法が挙げられる。
【0066】
本発明の複合体粒子は、優れた通液性、吸水量、吸水速度を得る観点及び実使用の場面において例えば人体に触れた場合に不快感を与えない観点から、例えば、さらに分級することなどによって、平均粒径を100〜1000μm、更に200〜550μm、特に270〜420μmに調整することが好ましい。
なお、本発明の複合体粒子の平均粒径は、実施例に示す方法により測定した値である。
【0067】
本発明の複合体粒子の嵩比重は、優れた通液性、吸水量、吸水速度を得る観点から、0.1〜0.9g/mLの範囲が好ましく、0.30〜0.88g/mLの範囲がより好ましい。
なお、本発明の複合体粒子の嵩比重は、実施例に示す方法により測定した値である。
【0068】
本発明の複合体粒子の吸水量は、おむつ等の吸収体当たりの複合体粒子の使用量を抑え、例えば、おむつ等が厚くなるのを抑制する観点から、20g/g以上が好ましく、25g/g以上がより好ましい。
なお、本発明の複合体粒子の吸水量は、実施例に示す方法により測定した値である。
【0069】
本発明の複合体粒子の吸水速度は、尿等を素早く吸収し、漏れを防止する観点から、20mL/分以上が好ましく、30mL/分以上がより好ましく、33mL/分以上が更に好ましい。
なお、本発明の複合体粒子の吸水速度は、実施例に示す方法により測定した値である。
【0070】
本発明の複合体粒子の加圧下通液速度は、膨潤した複合体粒子によるゲルブロッキング(ゲル粒子の目詰まり)を抑制して尿等を素早く拡散し、漏れを防止する観点から、40mL/分以上が好ましく、60mL/分以上がより好ましく、70mL/分以上が更に好ましい。
【0071】
また、本発明の複合体粒子は、運搬・輸送による衝突等の衝撃に起因する通液速度の著しい低下を受けず、良好な耐衝撃性を得るために、以下の実施例に示すラボ衝撃実験後の吸水量が、好ましくは20g/g以上、より好ましくは25g/g以上であり、吸水速度が、好ましくは20mL/分以上、より好ましくは30mL/分、更に好ましくは33mL/分以上であり、加圧下通液速度が、好ましくは40mL/分以上であることが望ましい。
【0072】
本発明の複合体粒子は、平均粒径が100〜1000μm、嵩比重が0.1〜0.9g/mL、ラボ衝撃実験前後の吸水量(対生理食塩水)が20g/g以上、ラボ衝撃実験前後の吸水速度が20mL/分以上、ラボ衝撃実験前後の加圧下通液速度(対生理食塩水)が40mL/分以上であるといった5つの物性をバランス良く保つことにより、吸水性樹脂粒子としての効果を十分に発揮でき、さらに、粒子(樹脂)の運搬・輸送による衝突等の衝撃を緩和し、良好な耐衝撃性を得ることができる。
【0073】
このため、本発明の吸水性複合体粒子は、幼児用、大人用もしくは失禁者用の紙おむつ(使い捨ておむつ)又は婦人用の生理用ナプキン等の衛生用品の吸収体、簡易トイレ用の吸水剤、廃液の固化剤、農業用保水剤などの用途に好適に用いられ、特におむつなどの衛生材料の吸収体に含有される高吸水性樹脂等として好適に用いることができる。
【実施例】
【0074】
以下に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。例中「%」、「部」は特に説明が無い場合には、全て「重量%」、「重量部」である。
なお、実施例及び比較例で行った物性の測定方法は次の通りである。
【0075】
・平均粒径の測定法
複合体粒子100gをJIS Z−8801−1982準拠のフルイを用いて分級し、各フラクションの重量分率より平均粒径を求めた。
【0076】
・嵩比重の測定法
筒井理化学器械(株)製カサ比重測定器(JIS K−3362)を用いて、複合体粒子のゆるめ嵩比重を求めた。
【0077】
・吸水量の測定法
複合体粒子1gを生理食塩水(0.9%NaCl水溶液、大塚製薬製)150mLで30分間膨潤させた後、250メッシュの不織布袋に入れ、遠心分離機にて143Gで10分間脱水し、脱水後の総重量(全体重量)を測定する。そして、次式(1)に従って、遠心脱水後の保持量を測定する。
【0078】
【数1】

【0079】
ここで、不織布袋液残り量=(遠心脱水後の不織布重量)−(不織布袋重量)である。
なお、吸水量の測定は下記のラボ衝撃実験前後の複合体粒子について行った。
【0080】
・吸水速度の測定法
100mLのガラスビーカーに、生理食塩水(0.9重量%塩化ナトリウム水)50mLとマグネチックスターラーチップ(中央部直径8mm、両端部直径7mm、長さ30mmで、表面がフッ素樹脂コーティングされているもの)を入れ、ビーカーをマグネチックスターラー(アズワン製HPS−100)に載せる。マグネチックスターラーの回転数を600±5rpmに調整し、生理食塩水を攪拌させる。測定試料である複合体粒子2.0gを、攪拌中の食塩水の渦の中心部で液中に投入し、JIS K 7224(1996)に準拠して該複合体粒子の吸水速度(秒)を測定する。具体的には、複合体粒子のビーカーへの投入が完了した時点でストップウォッチをスタートさせ、スターラーチップが試験液に覆われた時点(渦が消え、液表面が平らになった時点)でストップウォッチを止め、その時間T(秒)を測定する。ボルテックス法による吸水速度(=1500/T(ml/min))として記録する。測定はn=5測定し、上下各1点の値を削除し、残る3点の平均値を測定値とした。尚、これらの測定は23±2℃、湿度50±5%で行い、測定の前に資料を同環境で24時間以上保存した上で測定する。
なお、吸水速度の測定は下記のラボ衝撃実験前後の複合体粒子について行った。
【0081】
・加圧下通液速度の測定法
100mLのガラスビーカーに、測定試料である複合体粒子0.32±0.005gを膨潤するに十分な量の生理食塩水(0.9重量%塩化ナトリウム水)、例えば複合体粒子の飽和吸収量の5倍以上の生理食塩水に浸して30分間放置する。
【0082】
別途、垂直に立てた円筒(内径25.4mm)の開口部の下端に、フィルター(目開き80〜100μm、バイオカラム焼結ステンレスフィルター)と、コック(内径2mm)付き細管(内径4mm、長さ8cm)とが備えられた濾過円筒管を用意し、コックを閉鎖した状態で該円筒管内に、膨潤した測定試料を含む上記ビーカーの内容物全てを投入する。コックを開いて濾過円筒管内の液面を60mLの目盛り線より5cm上に調整する。次いで、目開きが150μmで直径が25mmである金網を先端に備えた直径2mmの円柱棒を濾過円筒管内に挿入して、該金網と測定試料とが接するようにし、更に測定試料に2.0kPaの荷重が加わるようおもりを載せる。この状態で1分間放置した後、コックを開いて液を流し、濾過円筒管内の液面が60mLの目盛り線から40mLの目盛り線に達する(つまり20mLの液が通過する)までの時間(T1)(秒)をストップウォッチで計測する。計測された時間T1(秒)を用い、次式から2.0kPaでの通液速度を算出する。尚、式中、T0(秒)は、濾過円筒管内に測定試料を入れないで、生理食塩水20mlが金網を通過すのに要する時間を計測した値である。
【0083】
通液速度(mL/min)=20×60/(T1−T0
上記式で得られた値を円筒内の膨潤した複合体粒子層の厚みで除して、20mmあたりの値に換算して加圧下通液速度とする。測定は5回行い(n=5)、上下各1点の値を削除し、残る3点の平均値を測定値とした。
なお、加圧下通液速度の測定は下記のラボ衝撃実験前後の複合体粒子について行った。
【0084】
<ラボ衝撃実験>
50mLのスクリュー管に、測定試料である複合体粒子5.00g、10mmのジルコニアビーズ12個(約47g)を入れ、蓋を閉めて、入江商会製卓上型ビーズミル(V−1型)に載せた。5分間ビーズミル処理により複合体粒子に衝撃を与えた後、複合体粒子を取り出し、ラボ衝撃実験後の複合体粒子とした。
【0085】
合成例1
撹拌機,還流冷却管,モノマー滴下口,窒素ガス導入管,温度計を取り付けたSUS304製5L反応容器(アンカー翼使用)に分散剤として花王(株)エマール20C(ポリオキシエチレン(EO平均付加モル数3)アルキル(C12))エーテル硫酸エステルNa)を0.1%[対アクリル酸重量]を仕込み、重合溶媒シクロヘキサン1600mLを加えた。溶存酸素を追い出す目的で窒素ガスを吹き込み、アンカー翼を300r/minで撹拌し、内温76℃まで昇温した。
【0086】
一方、2L三つ口フラスコ中に、東亞合成(株)製80%アクリル酸506.2g、イオン交換水216.5gを仕込み、氷冷しながら旭硝子(株)製48%苛性ソーダ水溶液330.8gを滴下し、モノマー水溶液としてのアクリル酸ナトリウム水溶液1053.5gを得た。このモノマー水溶液に、N−アシル化グルタミン酸ソーダ(味の素ヘルシーサプライ(株)製、商品名 アミソフトGS−11F)0.175gをイオン交換水3.13gに溶解させたものを添加し、暫く撹拌した後、264g、264g、528gに三分割した。
【0087】
次いで、和光純薬工業(株)製2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(商品名V−50)0.1224g、花王(株)製ポリエチレングリコール(PEG6000)0.204g、イオン交換水14.0gを混合溶解し、開始剤(A)水溶液を調製した。また、和光純薬工業(株)製過硫酸ナトリウム0.49gをイオン交換水10.4gに溶解し、開始剤(B)水溶液を調製した。さらに、クエン酸チタン水溶液(クエン酸/Tiモル比2.0、Ti量0.03%[対アクリル酸])を調製した。
【0088】
三分割したモノマー水溶液の1つ(264g)に、開始剤(A)水溶液7.16gを加えた(モノマー(1))。また、三分割したもう1つのモノマー水溶液(264g)に、開始剤(A)水溶液7.16gとクエン酸チタン水溶液1.57gを加えた(モノマー(2))。三分割した残りのモノマー水溶液(528g)に、開始剤(B)水溶液10.88gとクエン酸チタン水溶液3.15gを加えた(モノマー(3))。
【0089】
前述の5L反応容器の内温が77℃であることを確認した後、モノマー滴下口からマイクロチューブポンプを用いて、モノマー(1)を15分かけて滴下し重合した。引き続き、モノマー(2)を15分かけて滴下し重合した。さらに引き続き、モノマー(3)を30分かけて滴下し重合した。重合終了後、脱水管を用いて共沸脱水を行い、重合体粒子の含水量を重合体粒子100部に対して60部に調整した。その後、架橋剤としてナガセ化成工業(株)製エチレングリコールジグリシジルエーテル(商品名デナコールEX−810)0.326gを水10.0gに溶解したものを添加した。その後、更に共沸脱水を行い、重合体粒子の含水量を重合体粒子100部に対して40部に調整した。冷却後、ヘプタンをデカンテーションで除き、130℃、約6.7kPa、14時間の条件で乾燥させることにより重合体粒子を得た。この重合体粒子100部に対し日本アエロジル(株)製アエロジル200 0.5部をドライブレンドすることにより表面処理を行い、架橋重合体粒子を得た。
【0090】
実施例1
ビーカーに合成例1で得られた架橋重合体粒子20.0gとヘプタン40mLを入れ、撹拌をおこなった。そこに、イオン交換水6.0gを滴下した。さらに、日本製紙ケミカル(株)製KCフロックW−50(繊維長約45μmのセルロース繊維)/ヘプタン=0.2g/20mLのスラリーを一気に添加し、暫く撹拌を続けた。次いで、ポリビニルアルコール(日本合成化学(株)製、ゴーセノールEG−30)の0.5%水溶液を1.0g加えた後、減圧乾燥を行い、吸水性複合体粒子を得た。
【0091】
実施例2
KCフロックW−50/ヘプタンのスラリーを、KCフロックW−50/ヘプタン=1.0g/40mLのスラリーに変える以外は実施例1と同様にして吸水性複合体粒子を得た。
【0092】
実施例3
撹拌機,還流冷却管,モノマー滴下口,窒素ガス導入管,温度計を取り付けたSUS304製5L反応容器(アンカー翼使用)に分散剤として花王(株)エマール20C(ポリオキシエチレン(EO平均付加モル数3)アルキル(C12))エーテル硫酸エステルNa)を0.1%[対アクリル酸重量]を仕込み、重合溶媒シクロヘキサン1600mLを加えた。溶存酸素を追い出す目的で窒素ガスを吹き込み、アンカー翼を300r/minで撹拌し、内温76℃まで昇温した。
【0093】
一方、2L三つ口フラスコ中に、東亞合成(株)製80%アクリル酸506.2g、イオン交換水216.5gを仕込み、氷冷しながら旭硝子(株)製48%苛性ソーダ水溶液330.8gを滴下し、モノマー水溶液としてのアクリル酸ナトリウム水溶液1053.5gを得た。このモノマー水溶液に、N−アシル化グルタミン酸ソーダ(味の素ヘルシーサプライ(株)製、商品名 アミソフトGS−11F)0.175gをイオン交換水3.13gに溶解させたものを添加し、暫く撹拌した後、264g、264g、528gに三分割した。
【0094】
次いで、和光純薬工業(株)製2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(商品名V−50)0.1224g、花王(株)製ポリエチレングリコール(PEG6000)0.204g、イオン交換水14.0gを混合溶解し、開始剤(A)水溶液を調製した。また、和光純薬工業(株)製過硫酸ナトリウム0.49gをイオン交換水10.4gに溶解し、開始剤(B)水溶液を調製した。さらに、クエン酸チタン水溶液(クエン酸/Tiモル比2.0、Ti量0.03%[対アクリル酸])を調製した。
【0095】
三分割したモノマー水溶液の1つ(264g)に、開始剤(A)水溶液7.16gを加えた(モノマー(1))。また、三分割したもう1つのモノマー水溶液(264g)に、開始剤(A)水溶液7.16gとクエン酸チタン水溶液1.57gを加えた(モノマー(2))。三分割した残りのモノマー水溶液(528g)に、開始剤(B)水溶液10.88gとクエン酸チタン水溶液3.15gを加えた(モノマー(3))。
【0096】
前述の5L反応容器の内温が77℃であることを確認した後、モノマー滴下口からマイクロチューブポンプを用いて、モノマー(1)を15分かけて滴下し重合した。引き続き、モノマー(2)を15分かけて滴下し重合した。さらに引き続き、モノマー(3)を30分かけて滴下し重合した。モノマーを滴下してから55分目に、モノマー(3)に日本製紙ケミカル(株)製KCフロックW−400(繊維長約24μmのセルロース繊維)を15g添加し、素早く撹拌した。このセルロース繊維/モノマースラリーを5L反応容器に、引き続き滴下した。
【0097】
重合終了後、脱水管を用いて共沸脱水を行い、重合体粒子の含水量を重合体粒子100部に対して60部に調整した。その後、架橋剤としてナガセ化成工業(株)製エチレングリコールジグリシジルエーテル(商品名デナコールEX−810)0.326gを水10.0gに溶解したものを添加した。その後、更に共沸脱水を行い、重合体粒子の含水量を重合体粒子100部に対して40部に調整した。冷却後、ヘプタンをデカンテーションで除き、130℃、約6.7kPa、14時間の条件で乾燥させた。この重合体粒子100部に対し日本アエロジル(株)製アエロジル200 0.5部をドライブレンドすることにより表面処理を行い、複合体粒子を得た。
【0098】
比較例1
合成例1で得られたの架橋重合体粒子をそのまま評価用粒子として用いた。
【0099】
比較例2
実施例1において、KCフロックW−50の量を10g、ヘプタンの量を100mL、ポリビニルアルコールの0.5%水溶液の量を2.0gに変更した以外は、実施例1と同様にして複合体粒子を得た。
【0100】
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた複合体粒子について、平均粒径及び嵩比重、ラボ衝撃実験前後の吸水量、吸水速度、加圧下通液速度の測定結果を表1に示す。
【0101】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水性架橋重合体粒子(A)に、繊維長1〜300μmの水不溶性繊維(B)を固定化してなり、吸水性架橋重合体粒子(A)100重量部に対する水不溶性繊維(B)の割合が0.1〜10重量部である吸水性複合体粒子。
【請求項2】
水不溶性繊維(B)を吸水性架橋重合体粒子(A)に固定化するバインダーとして水溶性重合体(C)を含有する請求項1記載の吸水性複合体粒子。
【請求項3】
水溶性重合体(C)を、吸水性架橋重合体粒子(A)100重量部に対し0.001〜10重量部含有する請求項2記載の吸水性複合体粒子。
【請求項4】
水不溶性繊維(B)が、天然セルロース及び人工セルロースから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3いずれかに記載の吸水性複合体粒子。
【請求項5】
吸水性架橋重合体粒子(A)又は吸水性複合体粒子の表面が、表面処理剤により処理されている、請求項1〜4いずれかに記載の吸水性複合体粒子。
【請求項6】
表面処理剤が、無機粒子である請求項5記載の吸水性複合体粒子。
【請求項7】
吸水性架橋重合体粒子(A)が、不飽和カルボン酸又はその塩由来の構成単位を含むものである、請求項1〜6いずれかに記載の吸水性複合体粒子。
【請求項8】
平均粒径が100〜1000μm、嵩比重が0.1〜0.9g/mL、吸水量(対生理食塩水)が20g/g以上、吸水速度(対生理食塩水)20mL/分以上、加圧下通液速度(対生理食塩水)が40mL/分以上である、請求項1〜7いずれかに記載の吸水性複合体粒子。
【請求項9】
疎水性有機溶媒中に、吸水性架橋重合体粒子(A)を浸漬膨潤させた後、水不溶性繊維(B)、又は水不溶性繊維(B)と水溶性重合体(C)の水溶液を添加することにより、吸水性架橋重合体粒子(A)に水不溶性繊維(B)を固定化する請求項1〜8いずれかに記載の吸水性複合体粒子の製造方法。
【請求項10】
重合に不活性な疎水性有機溶媒中で、水溶性の重合性不飽和基を有する単量体を含むモノマー成分を重合させるに際し、モノマー成分の仕込み量が全モノマー量の50〜100重量%の間に、水不溶性繊維(B)、又は水不溶性繊維(B)と水溶性重合体(C)の水溶液を添加することにより、吸水性架橋重合体粒子(A)に水不溶性繊維(B)を固定化する請求項1〜8いずれかに記載の吸水性複合体粒子の製造方法。

【公開番号】特開2009−270038(P2009−270038A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−123008(P2008−123008)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】