説明

吸湿脱臭敷きマットとその製造方法

【課題】極めて優れた吸湿・吸水特性を実現する。敷きマットに使用して、全ての消炭で有効に吸湿脱臭して、居住環境や医療用に使用して最適な環境を実現する。
【解決手段】吸湿脱臭敷きマットは、通気性のある表面シート35の内側に炭層30を設けている。炭層30は、湾曲する形状に成形してなるカール繊維32を立体的に方向性なく所定の厚さに集合して交点を結合して、弾性変形する繊維弾性空隙マット31と、この繊維弾性空隙マット31のカール繊維32の空隙に充填してなる粒状炭33とからなる。粒状炭33は、木材チップ2を燃やして作られる消炭3である。吸湿脱臭敷きマットは、繊維弾性空隙マット31の表面に表面シート35を接着して、繊維弾性空隙マット31の空隙を消炭3が透過しない状態に閉塞しており、繊維弾性空隙マット31を厚さ方向に弾性変形させて、表面シート35に空気を通過させて強制換気している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットの居住域に敷いて使用され、あるいはベッドの上に敷いて医療用や治療用に使用され、あるいはまた、家庭で敷き布団の下に敷き、あるいは敷き布団に代わって使用される敷きマットとその製造方法に関し、とくに、脱臭特性と吸湿・吸水特性に優れた敷きマットとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭を使用して脱臭するペット用の間仕切りパネルは開発されている(特許文献1参照)。この公報に記載されるペット用の間仕切りパネルの断面図を図1に示す。この間仕切りパネルは、ペーパーコア92の内部に炭93を充填して、両面に不織布91を貼り付けた炭入りパネル90の表面に、ガラリや穴のある表面板95を配置して、フラッシュパネル構造としている。この間仕切りパネルは、ペーパーコア92に7mmメッシュ以下の紛炭93を充填している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−57097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上の公報の間仕切りパネルは、ペーパーコアの区画室に紛炭を充填したものであるから、間仕切りパネルには使用できるが、ペット用や医療用の敷きマットに使用できない。ペーパーコアの耐荷重に制約を受けるからである。耐荷重を大きくするために区画チャンバーを小さくすると、紛炭を簡単に充填できなくなり、また、充填量が少なくなって、吸湿・吸水特性が低下する。また、ペーパーコアは薄い紙で区画チャンバーを区画するので敷きマットに使用して快適なクッション性を実現できない欠点があり、また、区画チャンバーを区画する紙は変形すると復元しない欠点もある。このため、敷きマットに使用して、局部的に荷重が作用して表面に凹部ができると、これが平面状に復元しない欠点もある。
【0005】
さらにまた、引用文献の間仕切りパネルは、紛炭をペーパーコアの各々の区画室に分離して充填している。この構造は、各々の区画室に装填される紛炭の相互の吸水率を均等化できない欠点もある。このため、ペット用の敷きマットに使用して、一部の区画室に充填している紛炭がペットの尿などを吸水すると、隣の区画室に充填している紛炭に分散して吸水させるのが難しく、区画室の紛炭の吸水率がアンバランスになる。吸水率がアンバランスになると、多量の水分を吸湿する部分が過湿状態となってカビなどが発生しやすくなる。さらに、紛炭が吸水する全体の水分量も減少して、敷きマットでペットの居住空間を快適に調整する作用が低下する。
【0006】
さらに、以上のパネルに使用される紛炭には、木炭を所定の大きさに破砕したものや粒状の活性炭が使用される。ところが、木炭や活性炭は、製造コストが高くなることに加えて、ペット用の敷きマットに使用して十分に満足できる吸湿・吸水特性を満足できない。空隙率が小さくて比重が大きいからである。木炭や活性炭は、木材等を乾留したり赤熱状態で活性化して製造される。木炭は、天然の木を炭窯で乾留して製造される備長炭等があり、活性炭は、木炭を赤熱して水蒸気で活性化して製造される。この方法で製造される木炭や活性炭は、無数の微細な空隙があることから吸着剤に利用される。このため、ペット用の敷きマットに使用して脱臭効果は期待できるが、ベッドなどの居住域に敷きマットとして使用するとき、十分に満足できる吸水特性を実現できない。
【0007】
本発明は、以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、極めて優れた吸湿・吸水特性を実現することに加えて、敷きマットに使用して快適な居住環境を実現でき、さらに、全ての消炭で有効に吸湿脱臭して、居住環境や医療用に使用して最適な環境を実現する吸湿脱臭敷きマットとその製造方法を提供することにある。
【0008】
さらに、本発明の他の大切な目的は、原料コストと製造コストを低減して、安価に多量生産しながら、優れた脱臭特性を実現できるペット用又は医療用の吸湿脱臭敷きマットとその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0009】
本発明の吸湿脱臭敷きマットは、通気性のある表面シート35の内側に炭層30を設けている。炭層30は、所定の曲率半径で湾曲する形状に成形してなるカール繊維32を立体的に方向性なく所定の厚さに集合してカール繊維32の間に空隙を設けて、カール繊維32の交点を結合して、表面に作用する荷重で厚さ方向に弾性変形する繊維弾性空隙マット31と、この繊維弾性空隙マット31のカール繊維32の空隙に充填してなる粒状炭33とからなる。粒状炭33は、木材をチップ状に破砕してなる木材チップ2を燃やして作られる消炭3である。表面シート35は、通気性があって、粒状炭33を透過させない微細な隙間を有する。吸湿脱臭敷きマットは、繊維弾性空隙マット31の表面に表面シート35を接着して、繊維弾性空隙マット31の空隙を消炭3が透過しない状態に閉塞しており、繊維弾性空隙マット31を厚さ方向に弾性変形させて、表面シート35に空気を通過させて強制換気している。
【0010】
以上の吸湿脱臭敷きマットは、極めて優れた吸湿・脱臭特性を実現する特徴がある。この特徴は、吸湿・脱臭特性を実現する粒状炭を消炭とし、この消炭を繊維弾性空隙マットの空隙に充填し、さらにまた、繊維弾性空隙マットを、所定の曲率半径で湾曲する形状に成形してなるカール繊維を立体的に方向性なく所定の厚さに集合してカール繊維の間に空隙を設けて、カール繊維の交点を結合して、表面に作用する荷重で厚さ方向に弾性変形する構造とするからである。この構造の吸湿脱臭敷きマットは、繊維弾性空隙マットの全面に均一に粒状炭を充填でき、かつ、粒状炭を充填している空隙を互いに連結する状態にでき、さらに繊維弾性空隙マットが表面荷重で厚さ方向に弾性変形して強制換気されることから、極めて優れた吸湿・脱臭特性を実現する。さらに、繊維弾性空隙マットの空隙に充填してなる粒状炭の消炭は、木炭や活性炭のように、木材を乾留したり活性化して製造するのではない。消炭は、木材をチップ状に破砕した木材チップを燃やして製造したものである。この消炭は、木材チップの全体を燃える状態とした後、酸素の供給を停止して製造される。この方法で製造される消炭は、原料コストを極めて安くできることに加えて、簡単な焼却炉で多量に製造できることから、たとえば建物を壊して発生する多量の廃材や間伐材を原料として有効に再利用できる。消炭は、木材チップを全体が燃える状態として製造されることから、得られる消炭の体積量は原料に対して相当に少なくなる。たとえば、以下の方法で製造される消炭は、原料の木材チップの約半分に減少する。ただ、木材チップには、極めて安価な廃棄木材を使用できることから、消炭の体積が半減しても、得られた消炭の特性が、木炭や活性炭よりも優れたことが有効となる。消炭は、製造工程で体積が半減することに加えて、燃料に使用しては発生熱量が少ないことから、燃料としては決して優れたものではない。ただ、木炭や活性炭に比較すると、極めて空隙率が高くて軽いので、吸湿・吸水特性は木炭や活性炭に比較にならないほどに優れている。このため、吸湿脱臭敷きマットに使用されては、多量の水分を吸収して、ペット用や医療用の敷きマットに使用して、居住環境を極めて快適にできる優れた特徴を実現する。とくに、ペット用に使用されては、動物の尿を多量に吸水でき、また、医療用に使用されては、患者の尿も多量に吸収して、快適な居住環境を実現する。
【0011】
さらに、本発明の特筆すべき特徴は、空隙率を極めて大きくできる粒状炭の消炭の吸湿・脱臭特性をさらに向上できることにある。それは、本発明の吸湿脱臭敷きマットが、カール繊維を立体的に方向性なく集合してできる空隙に消炭を充填しているからである。繊維弾性空隙マットの空隙に充填している消炭は、カール繊維を消炭の間に配置している。この状態で繊維弾性空隙マットに充填される消炭は、密圧状態とならず、互いに分離された状態となって、カール繊維でもって消炭の間に、空気をスムーズに送風できる送風隙間ができる。さらに、消炭の間にできる送風隙間は、カール繊維によって連続する状態となって、外部に開口される。この構造の吸湿脱臭敷きマットは、繊維弾性空隙マットが弾性変形して空気を強制送風する状態で、消炭の間にできるできる送風隙間を通過して、消炭の内部まで均一に送風される。このため、カール繊維の間に充填している全ての消炭が空気に接触し、各々の消炭が、極めて効率よく空気を吸湿し、また脱臭する効果がある。
【0012】
さらに、消炭は、木材を燃やして炭にしたものであるから、廃棄木材に含まれる種々の有機物や雑菌が完全に消失できる特徴もある。このため、廃棄木材を消炭として利用することで、有効に利用されていない多量の廃棄木材を有効に再利用して、ペットやユーザーの快適な居住環境を実現する。すなわち、廃棄するのに困っている廃棄木材を使用して、居住環境を快適にするという理想的な特性を実現する。
【0013】
以上の消炭は、たとえば、図7と図8に示す焼却炉10で製造される。焼却炉10に木材をチップ状に破砕した木材チップ2を充填する。空気穴15の開閉蓋16を開いた状態で上の木材チップ2に着火する。開閉蓋16は、バネ(図示せず)で閉じる方向に引っ張られているが、割り箸などの木材ロッド19を先端に固定している突張棒23で突っ張って開口されている。割り箸の木材ロッド19が消失すると空気穴15はバネに引っ張られて閉塞される。木材チップ2の上に着火された火は、次第に下の木材チップ2を燃やし、底の木材チップ2が燃えるようになると、割り箸の木材ロッド19が燃えて開閉蓋16が閉じられる。開閉蓋16が閉じられると空気の供給が停止される。この状態で冷却すると消炭ができる。以上の方法で製造される消炭は、燃える状態で酸素の供給を停止することから、木炭や活性炭に比較して柔らかくて、多孔質な状態となって優れた吸湿性と脱臭特性を実現する。
【0014】
さらに、以上の吸湿脱臭敷きマットは、粒状炭に消炭を使用することに加えて、繊維弾性空隙マットを、所定の曲率半径で湾曲する形状に成形しているカール繊維を立体的に方向性なく所定の厚さに集合してカール繊維の間に空隙を設けて、カール繊維の交点を結合して、表面に作用する荷重で厚さ方向に弾性変形する基材とする。この繊維弾性空隙マットは、空隙を互いに連通する状態とするので、空隙に充填している消炭の吸水率がアンバランスになることがなく、とくに、繊維弾性空隙マットが厚さ方向に弾性変形して強制換気されるので、繊維弾性空隙マットの空隙に充填している消炭の吸水量を均一化して、特定の消炭が過湿状態となるのを解消し、消炭全体の吸水量を相当に増大できる。
【0015】
とくに、以上の吸湿脱臭敷きマットの繊維弾性空隙マットが、厚さ方向に弾性変形できることから、ペット用や医療用に使用されて、ペットや患者の荷重で常に弾性変形して、ペットや患者に快適な環境を実現し、また、弾性変形することで空隙内の空気をポンプ作用で強制換気する。繊維弾性空隙マットから内外に強制換気される空気は、空隙に充填している消炭の吸水率のアンバランスを解消すると共に、ペットや患者に敷きマットとして使用して快適なクッション性を実現する。
【0016】
したがって、以上の吸湿脱臭敷きマットは、繊維弾性空隙マットの空隙に充填している消炭の吸水率のアンバランスを少なくして、空隙に充填している全ての消炭で有効に室内空気を最適な環境にコントロールでき、さらに、上に載ってクッションのように弾性変形することで快適な敷きマットとなる。さらに、繊維弾性空隙マットは、カール繊維によって、全面を均一に弾性変形して、快適なクッション性を実現する。
【0017】
本発明の吸湿脱臭敷きマットは、繊維弾性空隙マット31のカール繊維32の太さを0.2mm〜1mmとする合成繊維とすることができる。
以上の吸湿脱臭敷きマットは、カール繊維を特定の太さの合成繊維とすることで繊維弾性空隙マットを理想的な状態で弾性変形できる。このため、この吸湿脱臭敷きマットは、使用する状態において、繊維弾性空隙マットを快適に弾性変形させて、効率よく強制換気して、効果的な吸湿・脱臭特性を実現できる。
【0018】
本発明の吸湿脱臭敷きマットは、繊維弾性空隙マット31のカール繊維32を、5mm〜2cmの曲率半径の湾曲形状に成形することができる。
この吸湿脱臭敷きマットは、カール繊維の曲率半径を特定することで、カール繊維の間にできる空隙率を高くして、多量の消炭からなる粒状炭を充填して、吸湿・脱臭特性を向上できる。
【0019】
本発明の吸湿脱臭敷きマットは、表面シート35を、繊維弾性空隙マット31の表面に接着してなるクッションシート36と、このクッションシート36の表面に接着してなる通気性を有する軟質シート37で構成することができる。
以上の吸湿脱臭敷きマットは、カール繊維からなる繊維弾性空隙マットの表面にクッションシートを設けているので、湾曲しているカール繊維が直接に軟質シートに接触することがなく、クッションシートを緩衝層として、カール繊維を軟質シートに接触できる。このため、クッションシートの緩衝作用でもって、表面シートの表面を均一なクッション性を実現する。また、カール繊維が軟質シートに局部的に押圧して、破損するのも防止できる。
【0020】
本発明の吸湿脱臭敷きマットは、クッションシート36を、連続気泡を有する軟質のプラスチック発泡体とすることができる。
この吸湿脱臭敷きマットは、連続気泡を有する軟質のプラスチック発泡体のクッションシートでもって、通気性を実現しながら、繊維弾性空隙マットの空隙に充填している粒状炭が外部に漏れるのを有効に阻止できる。また、連続気泡のプラスチック発泡体によって、吸湿脱臭敷きマット表面の快適なクッション性も実現できる。
【0021】
本発明の吸湿脱臭敷きマットは、消炭3を、表面をエマルジョンタイプの接続剤からなる通気性を有する薄膜コーティング層7で被覆することができる。
【0022】
以上の吸湿脱臭敷きマットは、軽くて破損しやすい消炭の表面を、通気性を有する薄膜コーティング層で被覆しているので、消炭の吸水特性を低下させることなく、消炭表面の破損を防止できる。とくに、繊維弾性空隙マットが弾性変形して粒状炭に圧力が作用する状態で消炭の破損を有効に防止できる。消炭は、空隙率が高くて全体が極めて柔軟なことから、優れた脱臭特性と吸水特性を有するが、取り扱い工程で表面から割れた粉状の黒い粉が多量に発生しやすい。破損した黒い粉の量が多く、また、これが非常に小さく、さらにまた、繊維質材料の空隙やプラスチック発泡体の気泡が大きいと、表面シートの微細な空隙を通過して表面に漏れやすい。さらに、消炭が破損されて粉末状になって、粉末状で繊維弾性空隙マットの空隙に充填されると、空隙率が小さくなって脱臭特性と吸水特性が低下する弊害がある。このように、独特の物性を有する消炭は、表面を通気性のある薄膜コーティング層で被覆することで、脱臭特性と吸水特性を低下することなく、被覆から破損しやすい消炭の欠点を解消できる。また、表面を薄膜コーティング層で被覆して破損し難くなった消炭は、繊維弾性空隙マットを振動させるなどの方法で、カール繊維の間に設けている空隙に充填して、破損することなくスムーズに充填できる。
【0023】
さらに、木材を特定の大きさのチップ状に破砕した木材チップを燃やして得られる消炭は、消炭になる工程で突出する角が少なくなる。この消炭を粒状炭として繊維弾性空隙マットを振動させて空隙に充填すると、角のある木炭のようにブリッジになり難く、カール繊維の間の空隙にスムーズに充填されて、脱臭特性と吸水特性を向上できる。
【0024】
本発明の吸湿脱臭敷きマットは、消炭3の表面を被覆してなる薄膜コーティング層7を、酢酸ビニル樹脂とすることができる。
この吸湿脱臭敷きマットは、エマルジョンタイプの酢酸ビニル樹脂からなる薄膜コーティング層で消炭の表面を被覆することから、柔らかくて表面が破損しやすい消炭の欠点のを解消しながら、溶媒などの環境に悪いガスを発生することがなく、環境に優しくて健康的な敷きマットにできる。また、薄膜コーティング層の酢酸ビニル樹脂は水溶性であるから、水で薄めて消炭の表面に付着することで膜厚を極めて薄く調整できる。すなわち、水で薄める倍率をコントロールすることで、消炭の表面に付着する状態での通気性を最適な状態にできる。
【0025】
本発明の吸湿脱臭敷きマットの製造方法は、通気性のある表面シート35の内側に炭層30を設けている吸湿脱臭敷きマットの製造方法であって、炭層30を、所定の曲率半径で湾曲する形状に成形してなるカール繊維32を立体的に方向性なく所定の厚さに集合してカール繊維32の間に空隙を設けて、カール繊維32の交点を結合して、表面に作用する荷重で厚さ方向に弾性変形する繊維弾性空隙マット31と、この繊維弾性空隙マット31のカール繊維32の空隙に充填してなる粒状炭33とで製作している。粒状炭33は、木材をチップ状に破砕して木材チップ2とし、この木材チップ2を燃やし、空気を遮断して消炭3として製作している。さらに、吸湿脱臭敷きマットの製造方法は、繊維弾性空隙マット31を振動させて、繊維弾性空隙マット31のカール繊維32の隙間に、消炭3からなる粒状炭33を充填している。吸湿脱臭敷きマットの製造方法は、消炭の粒状炭33を充填している繊維弾性空隙マット31の表面に、通気性があって粒状炭33を透過させない微細な隙間を有する表面シート35を接着して、この表面シート35でもって、繊維弾性空隙マット31の空隙から消炭3が漏れないように表面を閉塞している。
【0026】
以上の吸湿脱臭敷きマットの製造方法は、前記請求項1の吸湿脱臭敷きマットの特徴に加えて、消炭からなる粒状炭を繊維弾性空隙マットに均一に分散しながら、簡単かつ容易に、しかも安価に多量生産できる特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】従来のペット用の間仕切りパネルの断面図である。
【図2】本発明の一実施例にかかる吸湿脱臭敷きマットの分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施例にかかる吸湿脱臭敷きマットの断面図である。
【図4】繊維弾性空隙マットの一例を示す拡大写真である。
【図5】図4に示す繊維弾性空隙マットの隙間に粒状炭を充填した状態を示す拡大写真である。
【図6】図2に示す吸湿脱臭敷きマットに使用する消炭の製造工程を示す概略工程図である。
【図7】消炭を製造する焼却炉の一例を示す斜視図である。
【図8】図7に示す焼却炉の垂直断面図である。
【図9】円滑工程を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための吸湿脱臭敷きマットを例示するものであって、本発明は吸湿脱臭敷きマットを以下のものに特定しない。
【0029】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0030】
本発明の実施例にかかる吸湿脱臭敷きマットの概略分解斜視図を図2に、断面図を図3に示す。これらの図に示す吸湿脱臭敷きマットは、例えば、ペット用の敷きマットに、あるいはベッドの上に敷いて治療用や医療用の敷きマットとして、あるいはまた、家庭用で敷き布団の下に、又は敷き布団に代わって使用される。図に示す吸湿脱臭敷きマットは、通気性のある表面シート35の内側に炭層30を設けている。図の吸湿脱臭敷きマットは、2枚の表面シート35の内側に炭層30を設けている。
【0031】
炭層30は、繊維弾性空隙マット31の隙間に粒状炭33を充填している。図4は、繊維弾性空隙マット31の拡大写真を、図5は、図4に示す繊維弾性空隙マット31の隙間に粒状炭33を充填した状態の拡大写真をそれぞれ示している。これらの写真に示すように、繊維弾性空隙マット31は、所定の曲率半径で湾曲する形状に成形しているカール繊維32を立体的に方向性なく所定の厚さに集合して、カール繊維32の間に空隙を設けながら、カール繊維32の交点を結合して、表面に作用する荷重で厚さ方向に弾性変形するマットとしたものである。この繊維弾性空隙マット31のカール繊維32の隙間に粒状炭33を充填している。
【0032】
繊維弾性空隙マット31のカール繊維32は、太さを0.5mmφとする合成繊維である。ただし、このカール繊維32には、好ましくは、太さを0.2mm〜1mmとする合成繊維も使用できる。カール繊維が細すぎると、クッション性が柔軟になって、ペットやユーザーが上に乗って薄く変形して粒状炭の消炭を破損し、また、反対にカール繊維が太すぎると、クッション性が少なくなってペットやユーザーが上に載っ乗って弾性変形する割合が少なく、弾性変形による強制送風の効果が減少する。したがって、カール繊維の太さは、使用する繊維の材質と用途によって最適値に設定される。カール繊維32は、ペットのように軽い荷重に使用されるものにあっては、好ましくは0.2mm〜0.7mmと細く、人が乗る吸湿脱臭敷きマットにあっては、好ましくは0.3mm〜1mmと太くする。また、カール繊維32の合成繊維は、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維などのように、弾性変形する全ての繊維を使用できる。
【0033】
さらに、繊維弾性空隙マット31のカール繊維32が湾曲する曲率半径は、最適には5mm〜1cmとする。カール繊維32は、全ての部分を同じ曲率半径で湾曲するように成形するのではない。カール繊維32は、たとえば円柱状の芯材に巻き付けて加熱し、あるいは加熱することなく湾曲する形状に成形し、あるいはテンションをかける状態で加熱し、または加熱しないロール全周の1/4〜1/2に通過させて湾曲し、あるいは表面を波形とするロールであって、加熱し又は加熱しない2本のロールで挟着しながら移送して湾曲する形状に成形することができる。湾曲成形されたカール繊維32は、全ての部分を同じ曲率半径で湾曲しない。したがって、この明細書において、カール繊維32の曲率半径は、湾曲している部分の平均的な曲率半径を意味するものとする。カール繊維32が湾曲する曲率半径は、大きくしてカール繊維32の隙間を大きく、また、小さくしてカール繊維32の隙間を小さくできる。カール繊維32の曲率半径は、隙間に充填する粒状炭33の平均粒径を考慮して最適な値に設定される。カール繊維32の曲率半径を、粒状炭33の平均粒径よりも小さくして、粒状炭33をスムーズにカール繊維32の隙間に充填できる。カール繊維32の曲率半径は、粒状炭33の平均粒径を考慮して、好ましくは5mm〜2cm、さらに好ましくは、5mm〜1.5cmとする。
【0034】
繊維弾性空隙マット31は、カール繊維32を立体的に方向性なく、所定の厚さに集合して、カール繊維32の交点を接着剤で結合し、あるいは熱溶着して結合して製作される。カール繊維32の交点を結合する接着剤は、カール繊維32を集合する状態でスプレーして塗布される。また、繊維弾性空隙マット31を接着剤液に浸漬した後、圧搾して余分な接着剤を除去して、カール繊維32の交点を接着剤で結合することもできる。カール繊維32の交点を熱溶着する繊維弾性空隙マット31は、カール繊維32として、表面を融点の低い合成樹脂でコーティングしている繊維を使用し、所定の厚さに集合した後、加熱して表面のコーティングを溶融して溶着する。
【0035】
繊維弾性空隙マット31の厚さも用途を考慮して最適値とするが、例えば3cm〜5cmとする。繊維弾性空隙マットを厚くして、多量の粒状炭を充填できる。また、クッション性も向上できる。ただ、繊維弾性空隙マットを厚くすると製造コストが高くなるので、繊維弾性空隙マットの厚さは、用途と製造コストを考慮して、例えば1cm〜10cm、好ましくは2cm〜8cmとすることもできる。
【0036】
粒状炭33は、木材をチップ状に破砕して木材チップとし、この木材チップを燃やして作られる消炭である。粒状炭33の消炭は、図6に示す工程で製造される。図6の製造工程は、木材9をチップ状に加工して木材チップ2とする破砕工程と、破砕された木材チップ2を燃やして消炭3とする消炭工程と、焼かれた消炭3を回転容器に入れて回転して、消炭3の突出部を円滑化する円滑工程と、円滑化された円滑消炭3’の表面を薄膜コーティング層7で被覆するコーティング工程とで消炭を製造する。
【0037】
破砕工程は、針葉樹、落葉樹、竹などの木材9を刃物で破砕してチップ状に加工する。この工程は、木材に加えて、バークを添加することもできる。また、木材9には、建物を壊して得られる廃棄木材を使用し、あるいは間伐材を使用することで有効に利用されていない木材を有効利用することができる。破砕工程は、木材9を、5mm以上であって2cm以下の木材チップ2に破砕する。木材チップを5mm以下に破砕すると、消炭に加工する工程での歩留まりが悪くなる。反対に木材チップを2cmよりも大きくすると、カール繊維32の隙間に充填するのが難しくなる。したがって、破砕工程において、好ましくは、木材9を約1cmの木材チップ2に破砕する。
【0038】
消炭工程は、木材を、備長炭のように硬い木炭に加工するのではない。木材チップ2は、図7と図8に示す焼却炉10で消炭3とする。この焼却炉10は、上を開口して底を閉塞する金属筒11で、上の開口部12を供給蓋13で閉塞している。金属筒11は、100リットル〜1000リットルの木材チップ2を充填できる大きさで、高さを1m〜3mとしている。この焼却炉10は、金属筒11の上端に煙突14を設けて、供給蓋13を閉じる状態で煙突14から排気する。供給蓋13を開いて木材チップ2が金属筒11に充填される。
【0039】
図の焼却炉10は、内部に空気を供給できるように、金属筒11の底部の側面に吸気口27を開口している。この吸気口27には、金属筒11の内部に空気を供給するガイド具17を挿入している。図のガイド具17は、金属筒11の内部に挿入される挿入部17Aと、金属筒11の外側に配置される筒部17Bとからなる。挿入部17Aは、上面を開口してなる溝型で、両側面と底面には、5〜10mm程度の孔を無数に開口している。この挿入部17Aは、吸気口27から金属筒11の内部に挿入された状態で、図8に示すように、金属筒11に充満される木材チップ2が上方から供給される。筒部17Bは、挿入部17Aよりも大きな外形の筒体で、挿入部17Aの後端に連結している。筒部17Bは、後端面に空気穴15を開口しており、この空気穴15を開閉蓋16で開閉できるようにしている。開閉蓋16は、バネ(図示せず)に引っ張られて弾性的に閉塞されるように、上縁を蝶番18で筒部17Bに連結している。この開閉蓋16は、先端に木材ロッド19を連結している突張棒23で突っ張って開かれる。突張棒23は金属ロッドで、割り箸のように燃える木材ロッド19を、先端に挿入して連結している。この突張棒23は、木材ロッド19を挿入部17Aの内部に挿入する状態で、その両端で挿入部17Aの先端面と開閉蓋16とを突っ張って、開閉蓋16が空気穴15を開いた状態とする。この状態で、図8に示すように、木材チップ2を充填して木材チップ2の底部にガイド具17の挿入部17Aを埋設する。
【0040】
さらに、図の焼却炉10は、金属筒11の底から多少上方に離れた位置に多孔板24を配設して、金属筒11の底部に空気室25を設けている。多孔板24は、金属板に、木材チップが落下しない程度の小さな孔を無数に開口したものである。ただ、多孔板は、金網とすることもできる。多孔板24は、金属筒11の底に配設した受け具26の上面に水平な姿勢で配設して、その下側に空気室25を設けている。さらに、この多孔板24の上面に、ガイド具17の挿入部17Aを配置している。この構造は、空気穴15から供給される空気を、ガイド具17を介して空気室25に供給して、空気室25から、金属筒11に充満される木材チップ2の全体に供給できる特徴がある。
【0041】
以上の焼却炉10は、内部に木材チップ2を充填した後、木材チップ2の上に着火して、供給蓋13を閉じる。木材チップ2は、空気穴15から流入する空気が空気室25から供給されるので、上から下に着火して全体に着火する。木材チップ2の全体に着火すると、挿入部17Aの内側の木材ロッド19が消失して、突張棒23が開閉蓋16を突っ張ることができなくなり、開閉蓋16はバネで閉塞される。この状態になると、金属筒11に空気が供給されなくなり、着火された木材チップ2の火が消えて消炭となる。図7と図8の焼却炉は、木材チップ2に空気を供給しながら完全に着火した後、空気の供給を遮断して消火するので、木材チップ2は燃えがらである消炭3となる。
【0042】
円滑工程は、図9に示すように、消炭工程で製造された消炭3を回転容器22に入れて回転して、消炭3の突出部を円滑化する。図に示す回転容器22は、円筒状の金属筒体22Aである。金属筒体22Aである回転容器22は、たとえば、傾斜する姿勢で配設されて、内側に消炭3が供給される状態で回転される。回転容器22に供給される消炭3は、金属筒体22Aの内部を転がりながら、供給側から排出側へと移送されて表面が円滑化される。金属筒体22Aは、図示しないが、多孔質な金属板で製作することができる。この金属筒体は、消炭から削り取られる微細な屑や小片を表面の孔から排出しながら移送できる。金属筒体22Aの内部を転動する消炭3は、金属筒体22Aの内面に接触して、あるいは、多数の消炭3が互いに接触し合って表面の突出部が削られて円滑になる。木材チップから得られる消炭は、焼けて消炭になる工程で突出する角が少なくなるが、破砕工程で生じた表面の突出部が、消炭となった後も残存することがある。また、消炭は、その表面がもろくなって崩れやすい状態となることもある。この円滑工程では、消炭3の表面に残存する突出部や、表面のもろくなった部分を取り除いて消炭3の表面を円滑にする。このように、表面を円滑にしてなる円滑消炭3’は、カール繊維32の隙間の充填効率が高く、脱臭特性と吸水特性を向上できる。それは、ブリッジにならず、カール繊維32の隙間にスムーズに充填できるからである。ただ、消炭は、木材チップを燃やす工程で角が少なくなるので、この円滑工程は必ずしも必要ではなく、この工程を省略することもできる。
【0043】
カール繊維32の隙間に充填される消炭3は、各々を分離する状態としながら、コーティング工程で表面を薄膜コーティング層7で被覆する。コーティング工程は、円滑消炭3’を水で希釈されたエマルジョンタイプの接着剤の液に浸漬し、ザルで水切りして乾燥する。このコーティング工程は、エマルジョンタイプの接着剤に酢酸ビニル樹脂を使用する。消炭3の表面をコーティングする薄膜コーティング層7の膜厚は、接着剤を水で希釈する倍率でコントロールする。好ましくは、エマルジョンタイプの接着剤を25倍〜30倍に希釈して、すなわち、接着剤に、重量比で25倍〜30倍の水を添加して撹拌し、この希釈接着剤液に消炭3を浸漬した後、ザルに上げて水切りし、乾燥して通気性のある薄膜コーティング層7を設けることができる。この状態でコーティングされた消炭3は、各々が分離された状態となる。薄膜コーティング層7が厚すぎると、通気性が悪くなって吸水特性が低下し、薄すぎると消炭表面をコーティングする作用が低下して消炭3の表面が破損しやすくなる。したがって、希釈接着剤液は、たとえば、接着剤を、重量比で10倍〜40倍、このましくは25倍〜30倍に希釈して、通気性のある薄膜コーティング層7を設ける。接着剤には、酢酸ビニル樹脂が使用できる。ただ、接着剤には、エマルジョンタイプの他の全ての接着剤を使用することもできる。エマルジョンタイプの接着剤は、乾燥状態で水に接触して接着力を失うもの、すなわち乾燥状態で水に接触して水に溶解される酢酸ビニル樹脂などの接着剤を使用する。この接着剤からなる薄膜コーティング層7は、カール繊維32の隙間に消炭3を充填するまでの工程で、消炭表面の破損を防止できる。カール繊維32の隙間に充填された消炭3は、表面が破損することがなく、この状態で薄膜コーティング層7は消炭3の表面を保護する必要はない。カール繊維32の隙間に充填された消炭3は、表面をより広い面積で露出させて、吸水特性を向上することが大切である。水に溶解されるエマルジョンタイプの接着剤は、消炭3の表面に付着する水で溶解されて、消炭3の表面をより広い面積で露出して、消炭3の吸水特性を向上する。したがって、薄膜コーティング層7は、水で溶解されるエマルジョンタイプの接着剤を使用することで、消炭3を破損しない状態でカール繊維32の隙間に充填しながら、カール繊維32の隙間に充填する状態では消炭3の吸水特性を向上できる。
【0044】
図2の吸湿脱臭敷きマットは、以上の工程で製造される、表面を薄膜コーティング層7で被覆して粒状となっている消炭3を粒状炭33としてカール繊維32の隙間に充填している。
【0045】
さらに、吸湿脱臭敷きマットは、繊維弾性空隙マット31のカール繊維32の隙間に、消炭3に加えて炭酸カルシウムを充填することができる。この吸湿脱臭敷きマットは、消炭に炭酸カルシウムを添加するので、炭酸カルシウムで消炭の燃焼を阻止して、耐火特性や防炎特性を向上できる。
【0046】
カール繊維32の隙間に粒状炭33を充填した後、繊維弾性空隙マット31の表面に表面シート35を接着して、繊維弾性空隙マット31の空隙を消炭3が透過しない状態に閉塞する。図3の断面図に示す表面シート35は、繊維弾性空隙マット31の表面に接着しているクッションシート36の表面に、通気性を有する軟質シート37を積層して接着している。クッションシート36は、連続気泡を有する軟質のプラスチック発泡体、たとえば軟質のウレタンフォームである。クッションシート36は、繊維弾性空隙マット31よりも薄く、たとえば2mm〜10mm、好ましくは3mm〜8mmとしている。吸湿脱臭敷きマットは、クッションシート36を厚くして柔軟なクッション性を向上できる。軟質シート37は、厚さを1mm〜3mmとする不織布が使用できる。この表面シート35は、クッションシート36と軟質シート37の両方で粒状炭33が外部に漏れるのを阻止できる。表面シート35は、必ずしも多層構造とする必要はなく、微細な気泡を有する連続気泡を有するプラスチック発泡体、あるいは細繊維を集合している不織布などを単層で使用することもできる。
【0047】
図2と図3の吸湿脱臭敷きマットは、繊維弾性空隙マット31の両面に通気性のある表面シート35を接着して、2枚の表面シート35の間に炭層30を設けている。この構造の吸湿脱臭敷きマットは、両面を上下反転して同じように使用できる。ただ、図示しないが吸湿脱臭敷きマットは、繊維弾性空隙マットの片面に通気性のある表面シートを接着して、片面には通気性のない裏シートを接着することもできる。
【実施例1】
【0048】
廃棄木材を1cmのチップ状に破砕し、この木材チップ2を、図7と図8に示す焼却炉10で消炭3に加工し、得られた消炭3を、図9に示す回転容器22に入れて回転して、消炭3の突出部を円滑化する。さらに得られた消炭3を酢酸ビニル樹脂を30倍に希釈してなる接着剤溶液に浸漬し、溶液から取り出して水切りした状態で乾燥して表面を薄膜コーティング層7で被覆する。この消炭3を、曲率半径を約8mmとするカール繊維32からなる厚さを4cmとする繊維弾性空隙マット31の上に供給しながら、繊維弾性空隙マット31を振動させて、カール繊維32の隙間に充填する。このとき、繊維弾性空隙マット31は下面に、表面シート35をあらかじめ接着している。表面シート35は、プラスチック発泡体からなるクッションシート36の表面に不織布の軟質シート37を積層して接着したもので、クッションシート36を繊維弾性空隙マット31に接着している。繊維弾性空隙マット31に消炭3の粒状炭33を充填した後、繊維弾性空隙マット31の上面に表面シート35を接着する。この表面シート35もプラスチック発泡体の表面に不織布の軟質シート37を積層して接着したもので、プラスチック発泡体を繊維弾性空隙マット31の表面に接着する。以上の工程で、外形の寸法を180cm×90cmの長方形とする吸湿脱臭敷きマットを製作すると、この吸湿脱臭敷きマットは、全体で約1.5リットルの水を吸収し、しかも表面は湿潤な状態とならない。また、空隙率の大きい消炭によって、ペットや医療用に使用して優れた脱臭作用も実現する。
【符号の説明】
【0049】
2…木材チップ
3…消炭 3’…円滑消炭
7…薄膜コーティング層
9…木材
10…焼却炉
11…金属筒
12…開口部
13…供給蓋
14…煙突
15…空気穴
16…開閉蓋
17…ガイド具 17A…挿入部
17B…筒部
18…蝶番
19…木材ロッド
22…回転容器 22A…金属筒体
23…突張棒
24…多孔板
25…空気室
26…受け具
27…吸気口
30…炭層
31…繊維弾性空隙マット
32…カール繊維
33…粒状炭
35…表面シート
36…クッションシート
37…軟質シート
90…炭入りパネル
91…不織布
92…ペーパーコア
93…炭
95…表面板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性のある表面シート(35)の内側に炭層(30)を設けている吸湿脱臭敷きマットであって、
前記炭層(30)が、所定の曲率半径で湾曲する形状に成形してなるカール繊維(32)を立体的に方向性なく所定の厚さに集合してカール繊維(32)の間に空隙を設けて、カール繊維(32)の交点を結合して、表面に作用する荷重で厚さ方向に弾性変形する繊維弾性空隙マット(31)と、この繊維弾性空隙マット(31)のカール繊維(32)の空隙に充填してなる粒状炭(33)とからなり、
前記粒状炭(33)は、木材をチップ状に破砕してなる木材チップ(2)を燃やして作られる消炭(3)で、前記表面シート(35)は通気性があって粒状炭(33)を透過させない微細な隙間を有し、前記繊維弾性空隙マット(31)の表面に表面シート(35)が接着されて、前記繊維弾性空隙マット(31)の空隙を消炭(3)が透過しない状態に閉塞しており、前記繊維弾性空隙マット(31)が厚さ方向に弾性変形して、表面シート(35)を空気が通過して強制換気されるようにしてなることを特徴とする吸湿脱臭敷きマット。
【請求項2】
前記繊維弾性空隙マット(31)のカール繊維(32)が太さを0.2mm〜1mmとする合成繊維である請求項1に記載される吸湿脱臭敷きマット。
【請求項3】
前記繊維弾性空隙マット(31)のカール繊維(32)が、5mm〜2cmの曲率半径に湾曲形状に成形してなる請求項1又は2に記載される吸湿脱臭敷きマット。
【請求項4】
前記表面シート(35)が、前記繊維弾性空隙マット(31)の表面に接着してなるクッションシート(36)と、このクッションシート(36)の表面に接着してなる通気性を有する軟質シート(37)からなる請求項1に記載される吸湿脱臭敷きマット。
【請求項5】
前記クッションシート(36)が、連続気泡を有する軟質のプラスチック発泡体である請求項4に記載される吸湿脱臭敷きマット。
【請求項6】
前記消炭(3)が、表面をエマルジョンタイプの接続剤からなる通気性を有する薄膜コーティング層(7)で被覆されてなる請求項1に記載される吸湿脱臭敷きマット。
【請求項7】
前記消炭(3)の表面を被覆してなる薄膜コーティング層(7)が酢酸ビニル樹脂である請求項6に記載される吸湿脱臭敷きマット。
【請求項8】
通気性のある表面シート(35)の内側に炭層(30)を設けている吸湿脱臭敷きマットの製造方法であって、
前記炭層(30)を、所定の曲率半径で湾曲する形状に成形してなるカール繊維(32)を立体的に方向性なく所定の厚さに集合してカール繊維(32)の間に空隙を設けて、カール繊維(32)の交点を結合して、表面に作用する荷重で厚さ方向に弾性変形する繊維弾性空隙マット(31)と、この繊維弾性空隙マット(31)のカール繊維(32)の空隙に充填してなる粒状炭(33)とで製作し、
さらに、前記粒状炭(33)は、木材をチップ状に破砕して木材チップ(2)とし、この木材チップ(2)を燃やし、空気を遮断して消炭(3)として製作し、
前記繊維弾性空隙マット(31)を振動させて、繊維弾性空隙マット(31)のカール繊維(32)の隙間に、前記消炭(3)からなる粒状炭(33)を充填し、消炭(3)の粒状炭(33)を充填している繊維弾性空隙マット(31)の表面に、通気性があって粒状炭(33)を透過させない微細な隙間を有する表面シート(35)を接着して、この表面シート(35)でもって前記繊維弾性空隙マット(31)の空隙から消炭(3)が漏れないように表面を閉塞することを特徴とする吸湿脱臭敷きマットの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−220899(P2010−220899A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72903(P2009−72903)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(306012628)
【出願人】(509006174)
【Fターム(参考)】