説明

吸着フィルタ材料

【課題】 本願発明は、物理学的及び化学的抵抗と、高いレベルの空気透過性を結合した皮膚に接して着用されるNBC防護衣料に使用される吸着フィルタ材料を提供することを目的としている。
【解決手段】 本願発明は、NBC防護衣料、特に下着又は肌着として皮膚に接して着用される衣料のための吸着フィルタ材料であって、該吸着フィルタ材料が多層構造を有し、該多層構造が、第1の布状シート材料、第2の布状シート材料及び前記第1の布状シート材料と第2の布状シート材料の間に配される吸着層によって構成され、該吸着層が、それぞれ独立した粒状、特に球状の活性炭に基づく吸着剤粒子を有し、化学及び/若しくは生物学兵器のような化学的及び/若しくは生物学的有毒物且つ有害物を吸着する吸着フィルタ材料において、前記第1の布状シート材料及び第2の布状シート材料が、少なくとも1方向、好ましくは2方向に弾力性を有するように構成されること、且つ/又は前記第1の布状シート材料及び第2の布状シート材料が、実質的に同一の弾性特性を有することにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、請求項1の前段に特定されるように、化学性毒物、特に化学兵器薬剤に対する防護機能を有し、特にNBC防護衣料、好ましくは下着(肌着)として肌に接して着用されるもののための多層構造の吸着フィルタ材料に関する。さらに、本願発明は、請求項32に記載されるような肌に接して着用されるNBC防護衣料である衣類に関する。さらにまた、本願発明は、請求項33に記載されるような吸着フィルタ材料の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚に吸収され、重篤な肉体的損傷を生じるいくつかの物質が存在する。例えば、糜爛性マスタードガスイエロークロス(Hd)であり、神経ガスサリンである。このような毒物に接触するような人々は、適当な防護服を着用するか、適当な防護材料によってこれらの毒物に対して防護されなければならない。
【0003】
原則的に、防護服は、最も外側の衣料層としての上着の形で着用される従来技術に関して公知のものである。空気及び水蒸気透過性防護服及び不浸透性システムは、これに関して公知のものである。しかしながら、上着として防護服を着用するという概念は、そのような防護服が、警報シナリオ、例えば化学的又は生物学的毒物又は化学兵器薬剤材料と対面する深刻な恐れがある場合にのみ着用されていたという不都合が有している。例えば厳しいストレス状況下において、防護服が着用できなかったり、着用が間に合わなかったりする場合、対応する毒物の危険性は非常に高くなる。さらに、そのような防護服は、それらが場合によって非常に重かったり、曲げにくかったり、通気性が悪かったりするので、最適な着心地を提供しない。
【0004】
下着(肌着)の形で設計された従来の防護衣料方式も存在する。そのような方式は、原則的に、それらが永久的、例えば配備の全期間且つそれ以上の期間にわたって装着され、これによって生物学的毒物又は化学兵器薬剤に対する連続した防護を提供することができるという利点を有する。
【0005】
しかしながら、下着の形態で使用又は着用される従来技術の防護衣料方式は、通常、それらの着心地だけでなくそれらの防護特性についても最適なものではない。例えば、特許文献1及び特許文献2は、皮膚に隣接して着用され、化学蒸気や気体に関する防護特性を提供する下着の形態の大変薄い伸縮自在な防護衣料に関する。これら特許文献に記載された材料は、1mm以下の厚さで大変薄いので、最適な防護性能は、前記材料が相対的に低い破壊強度を有し、そのために最適な機械的安定性を有していないことから、極端な状態において、確保されないことがある。さらに、これら特許文献には、吸着フィルタ材料が、布状構造において具体化されること、吸着剤が含浸されること、カーボンファイバーに基づく編物材料の形態で使用されることなどの提案がなれている。特にカーボンファイバーの物理的特性によって、低い伸縮性が、必然的に悪くなった着心地を有する材料を結果として生じることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】US 2003/0229936 A1
【特許文献2】CA 2 390 629 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような背景に対して、本願発明は、吸着フィルタ材料が、防護衣料の製造に、特にNBC衣料に、好ましくは皮膚に隣接して着用されるものに使用されることにおいて、従来技術の欠点を、少なくとも部分的に防止又は減少させる吸着フィルタ又は防護材料を提供することをその目的とするものである。
【0008】
さらに、本願発明は、皮膚に近接して着用されると共に、完全なフィット性及びこれによる高い着心地が確保された衣類の製造に使用される高い伸縮性及び弾力性と、化学的もしくは生物学的毒物又は化学兵器材料に関して高い防護性能とを結合したNBC防護衣料に使用される吸着フィルタ材料を提供することを目的としている。
【0009】
さらにまた、本願発明は、物理学的及び化学的抵抗と、高いレベルの空気透過性を結合した皮膚に接して着用されるNBC防護衣料に使用される吸着フィルタ材料を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1に示される吸着フィルタ材料によって達成することができる。さらに、有益な発展形及び適応形は、その従属請求項の主題を形成する。さらに、上記目的は、請求項32に記載された衣類によって達成される。さらにまた、本願発明の目的は、請求項33に記載された吸着フィルタ材料の使用によって達成される。
【0011】
したがって、本願発明の第1の様相によれば、本願発明は、特に下着(肌着)のように皮膚に隣接して着用される特にNBC防護衣料のための吸着フィルタ材料を提供するものであり、該吸着フィルタ材料が多層構造を有し、該多層構造が、第1の布状シート材料と、第2の布状シート材料と、第1及び第2の布状シート材料の間に配される吸着フィルタ層とを具備し、該吸着フィルタ層が、独立した粒形状、好ましくは球形状の活性炭に基づき、化学的及び/もしくは生物学的毒物及び有害材料、特に兵器薬剤を吸着する吸着剤粒子を含み、前記第1及び第2の布状シート材料が、それぞれ少なくとも一方向、好ましくは二方向における弾力性を有するように構成されるものであること、且つ/又は、第1及び第2の布状シート材料、少なくとも実質的に同じ弾力性特性を有するものである。
【0012】
したがって、本願発明の1つの基本的な概念は、本願発明の吸着フィルタ材料が、第1の布状シート材料及び第2の布状シート材料が、以下に限定されるように、少なくとも一方向、好ましくは2方向において両面織りの伸縮性又は弾力性を有し且つ第1の布状シート材料及び第2の布状シート材料が、少なくとも実質的に同一の弾力性特性を有するように構成されることであり、これによって、これは本願発明の吸着フィルタ材料が優れた弾力性及び伸縮特性を有し、着用性をかなり改善することが可能となるものである。
【0013】
本願発明の吸着フィルタ材料の高い弾力性によれば、本願発明の吸着フィルタ材料によって形成された防護衣料は、身体又は身体の形状に良好に適合することができるので、防護衣料が皮膚に良好に又は密接に接触するものである。これは、本願発明の吸着フィルタ材料で製造された防護衣料の近接又は直接の接触によって、着用生理学は、特に防護飲料品の折りたたみ、すり減らし又は摩耗が、効果的な方法で抑制されるので、明確に改善される。さらに、本願発明の吸着フィルタ材料で製造された防護衣料は、そのままで「第2の皮膚」として着されるので、この防護衣料は、上着として着用される意味はない。
【0014】
さらに、分離した吸着剤粒子の特定の使用は、そのような粒子がキャリヤ材料に、又はキャリヤ層の間に、高い(引っ張り)ストレス下においても離脱することなく残ったままとなることから、高い機械的ストレス下において、化学的及び生物学的毒物や有害物質に関して高い防護性能を生じる。
【0015】
本願発明の吸着フィルタ材料の高い弾力性は、防護衣料と身体表面又は皮膚との間の中間隙間の形成を最小限にするという効果を有する。また、本願発明の吸着フィルタ材料から製造された防護衣料の皮膚に対する密接な又はしっかりとした適合によって、ベローズ又はベローズ効果が防止又は最小限にされるので、身体の動作が、防護衣料と着用者の間の過度の空気交換を生じず、有害物質の流入が防止されるものである。高い伸縮性によって、本願発明の吸着フィルタ材料によって製造された防護服は、強い身体動作において、継ぎ目においても身体にぴったりと快適にフィットする。
【0016】
肌着及び肌着類と取り替え可能に使用される「下着」という言葉は、皮膚に隣接して着用されるすべての種類のアンダーウェアに関して使用されるものとして理解するべきである。該当する下着又は下着類は、防護衣料、特にNBC防護衣料として存在する。これについて、本願発明の吸着フィルタ材料は、例えば身体全体を覆う防護衣料、オーバーオールやカバーオールの形態に加工されるものに限定されない。しかしながら、同時に、本願発明の吸着フィルタ材料は、下着、(下着)パンツ、靴下、(内側)手袋、帽子、フード等に加工されるものである。
【0017】
布状シート材料及び全体としての吸着フィルタ材料の弾力性構造は、両面織りの伸縮性として理解されるべきである。言い換えると、本願発明の吸着フィルタ材料、又は、第1の布状シート材料及び第2の布状シート材料は、力の作用下において、例えば引っ張り力の作用下において、長さ及び面積において所定の変化をするものであり、力の作用の後では、その材料固有の復元力によって、力の作用以前の元の長さ及び元の面積に戻るものである。これについて、弾力性構造に関する「少なくとも一方向」という表現は、布状シート材料が、縦方向及び/若しくは横方向に伸縮自在であるように構成されることを意味するものと理解するべきである。所定の具体例の範囲において、第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料は、織布の形態で構成され、その弾力性は、そのシート材料の縦糸及び/若しくは横糸に関するものである。その材料は少なくとも一方向に伸縮自在である時、これは、モノエラスティック(単方向伸縮性)シート材料と同義語として参照される。弾力性力が、縦方向及び横方向に関して存在する時、バリエラスティック(可逆性伸縮性)シート材料として参照される。第1の布状シート材料及び第2の布状シート材料が、可逆性、例えば縦方向及び横方向に弾力性があるように構成されることが本願発明の目的に関して好ましく、第1の布状シート材料の弾力性だけでなく第2の布状シート材料の弾力性もまた可逆性において同一であることが望ましく、その相対的偏差は、2つの布状シート材料の1つの弾力性に基づいて多くて50%(相対量として)、好ましくは30%(相対量として)、最も好ましくは10%(相対量として)であることが望ましい。例えば、第1の方向(例えば縦又は縦糸方向)における第1の布状シート材料の弾力性が、元の寸法に基づく30%であるとき、その弾力性、例えば第2の方向(例えば、横又は横糸方向)における第1の布状シート材料の弾力性は、絶対量において、30%±15%、好ましくは30±9%、より好ましくは30±3%の弾力性であるべきである。
【0018】
第1の布状シート材料及び第2の布状シート材料が、少なくとも実質的に同一の弾力性特性を有する場合、例えば第1の布状シート材料及び第2の布状シート材料の弾力性特性及び伸縮性が少なくとも実質的に一致する場合に、それは特に有益である。一方で第1の布状シート材料の弾力性特性及び伸縮性、他方で第2の布状シート材料の弾力性特性及び伸縮性が、一方向、好ましくは可逆性(例えば横方向及び縦方向、又は布状の場合、縦糸方向及び横糸方向)に基づいて、多くて305(相対量として)、好ましくは20%(相対量として)、最も好ましくは5%(相対量として)お互いにずれている(例えば、お互いに比較して)ことが望ましい。また、例えば、一方向(例えば縦方向又は縦糸方向)における第1の布状シート材料の弾力性が、元の寸法の40%である場合、同一方向における第2の布状シート材料の弾力性は、相対量において多くて30%、絶対量において40±12%、好ましくは相対量において20%、絶対量において40±8%、最も好ましくは相対量において10%、絶対量において40±4%ずれていることが望ましい。上述した偏差百分率は、弾力性に基づく相対的偏差又は相対的伸縮性を示す弾力性に基づく相対的百分率と理解するべきである。
【0019】
第1の布状シート材料は、本願発明の範囲において、本願発明の吸着フィルタ材料の着用状態において、又はその吸着フィルタ材料から製造された防護製品の装着状態において、シート材料は、着用者の皮膚に直接接触するものである。このように、第1の布状シート材料は、吸着フィルタ材料の内側層を構成すると共に、着用状態の第2の布状シート材料は、着用者の皮膚から離れた側にあり、そのままで外側層を構成する。
【0020】
第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料は、気体透過性、特に空気透過性、且つ/又は水蒸気透過性であるように構成されることが望ましい。この方法において、本願発明の吸着フィルタ材料によって提供される着心地は、例えば発汗及び/若しくは水蒸気が着用者の身体から効果的に発散されることから、さらに改善されるものである。
【0021】
第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料は、織布、メリヤス、レイドスクリム又は接着布、特に不織布として構成される。本願発明に係る最も好ましい具体例によれば、前記第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料は、メリヤス生地として構成される。これについて、第1の布状シート材料が、第2の布状シート材料と同一の構造を有することは、本願発明の範囲内において可能である。しかしながら、同様に、第1の布状シート材料は、第2の布状シート材料と異なる構造を有することも可能である。限定されない方法において、例えば、第1の布状シート材料が、形成されたループニットとして構成されると同時に、第2の布状シート材料が織布であることも可能である。
【0022】
本願発明による吸着フィルタ材料の低い基本重量を達成するために、さらに本願発明の吸着フィルタ材料によって提供される着心地を改善するために、第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料は、70〜180g/m、特に90〜130g/mの基本重量を有し、第1の布状シート材料及び第2の布状シート材料は、少なくとも同一の基本重量を有するべきである。しかしながら、前記第1の布状シート材料が、第2の布状シート材料と異なる基本重量を有することも、本願発明によれば可能である。例えば、第2の布状シート材料が、薄いカバー層として、第1の布状シート材料よりも低い基本重量を有する場合である。
【0023】
本願発明の特に好ましい実施例に係る第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料は、少なくとも2つの異なる繊維特性の混合物からなるものであり、この場合第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料は、少なくとも1つの弾力性及び/若しくは可逆性伸縮自在繊維品種を有することが望ましい。少なくとも1つの弾力性又は可逆性伸縮自在繊維品種の使用は、結果として、第1の布状シート材料及び第2の布状シート材料且つ全体としての吸着フィルタ材料の弾力性作用が改善されるものである。弾力性若しくは可逆性伸縮自在繊維品種の結合、又は少なくとも1つの異なる繊維品種との混合の結合、及び適当な布構造への加工に関して、これらは当業者にとって公知技術であるので、これについてはさらなる説明は要求されないものと思う。
【0024】
弾力性又は可逆性伸縮自在繊維品種は、物理的及び/若しくは化学的に安定であることが望ましく、特に、前記弾力性又は可逆性伸縮自在繊維品種は、温度安定性、及び/若しくは化学的安定性、及び/若しくは紫外線(UV)及び/若しくはキセノン光に対する抵抗力を有することが望ましい。このような繊維品種は、本願発明の吸着フィルタ材料が、確実に、全体として、化学的安定性に関する改善された特性及び物理的影響力の効果に関する勧説された特性を有することから、本願発明によって、大変寿命の長い及び抵抗能力のある吸着フィルタ材料を提供することができるものである。
【0025】
前記弾力性若しくは可逆性伸縮自在繊維品種は、ポリウレタン繊維とは別の繊維品種であることが望ましい。これは、出願人が見出したように、ポリウレタン繊維が、その低い化学的安定性、及び本願発明の吸着フィルタ材料の範囲での利用に適当でない弾力性特性によるものだからである。これに対して、弾力性及び/若しくは可逆性伸縮自在繊維品種は、弾力性があり特に(横方向に)架橋されたポリオレフィン繊維、弾力性があり特に(横方向に)架橋されたポリエチレン又はポリプロピレン繊維、若しくは弾力性があるポリアミド繊維、又は弾力性があるポリエステル繊維であることが望ましい。特に、弾力性及び/若しくは可逆性に伸縮自在繊維品種は、弾力性のある特に(横方向に)架橋されたポリオレフィン繊維、弾力性のある特に(横方向に)架橋されたポリエチレン又はポリプロピレン繊維であることが望ましい。これは、出願人が見出したように、そのような繊維品種が、優れた弾力性特性、及び化学的及び/若しくは物理的影響力に対して良好な安定性を有するからである。
【0026】
これについて、本願発明によれば、弾力性又は可逆性伸縮自在繊維品種は、ポリオレフィンをベースとすることが望ましい。さらに、前記弾力性又は可逆性伸縮自在繊維品種は、エチレン−オレフィンコポリマーに基づく繊維であることが望ましい。
【0027】
本願発明に係る好ましい実施例によれば、前記弾力性又は可逆性伸縮自在繊維品種は、低結晶性ポリオレフィン、特に低結晶性エチレン−オレフィンコポリマーに基づく繊維であることが望ましい。これについて、低結晶性ポリオレフィン又は低結晶性エチレン−オレフィンコポリマーは、晶子(クリスタライト)又はネットワーク形成共有結合を有することが望ましい。結晶性は、その融解点以下でポリマーに対して機械的強度及び弾力性を提供する熱可逆性結合を具備することが望ましい。また、前記共有結合は、高温でポリマーの結合性を確保する。要するに、結晶性又はネットワーク形成共有結合が、ポリマーに関して高い弾力性ネットワーク構造を確保するために使用され、且つこれが、特に良好な弾力性特性を生じるものである。
【0028】
最適なネットワーク構造を確保するために、ポリオレフィン、特にエチレン−オレフィンコポリマーは、多くて20%の値が広い温度範囲にわたって最適な弾力性特性を確保するので、ポリマーに基づいて多くて20%の結晶性を有することが望ましい。
【0029】
本願発明に係る好ましい具体例によれば、使用される弾力性又は可逆性伸縮自在繊維は、ミシガン州ミッドランドのDow化学会社(DOW)製のDOWXLA(登録商標)繊維からなる。DOWXLA(登録商標)繊維は、全体として弾力性分子ネットワークを形成するために、上述した結晶性及び共有結合によって接続された低結晶性及び可撓性ポリマー鎖を有するエチレン−オレフィンコポリマーからなる。上述した弾力性又は可逆性伸縮自在繊維特性、特に前記DOWXLA(登録商標)繊維は、例えば融解紡糸、特にその後の架橋によって得ることができる。その場合、単又は多フィラメント状繊維が得られる。上述した繊維は、特に多の繊維特性と混合するために使用されると共に、以下に詳述される。
【0030】
DOWXLA(登録商標)繊維の使用は、これらの繊維が、化学薬品、例えばアルカリ物質、酸又は、次亜塩素酸ナトリウムのような酸化溶剤に対する極端に高い抵抗力を有するからである。さらに、そのような繊維は、たくさんの溶剤にほとんど溶けることがない。
【0031】
第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料は、それぞれの布状シート材料に基づいて5〜30重量%、特に7〜25重量%、好ましくは8〜20重量%の前記弾力性又は可逆性伸縮自在繊維を有することが望ましい。これは、布状シート材料及び全体としてこれによる吸着フィルタ材料が、前記弾力性又は可逆性伸縮自在繊維品種の明確な特性だけでなく、特に下記に示すような別の繊維品種の特性を有することを確実にするものである。このように、本願発明の吸着フィルタ材料は、例えば非限定的に、コットン繊維の存在によって確保されるような良好な触感性又は皮膚への親和性と結合された前記弾力性又は可逆性伸縮自在繊維品種の存在による弾力性特性を有するものである。
【0032】
このように、本願発明による好ましい方法においては、第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料は、上述した弾力性又は可逆性伸縮自在繊維品種と同様に、少なくとも1つの繊維品種、特に紡織繊維を有することが望ましい。
【0033】
これについて、弾力性又は可逆性伸縮自在繊維品種を有する混合剤に存在する繊維品種は、天然繊維、好ましくはコットン繊維(CO)及び/若しくは製造された繊維、好ましくは合成繊維、特にポリエステル(PES)、ポリオレフィン(PP)、ポリ塩化ビニル(CLF)、ポリ塩化ビニリデン(CLF)、アセテート(CA)、トリアセテート(CTA)、ポリアクリル(PAN)、ポリアミド(PA)、特に芳香族、好ましくは耐熱性ポリアミド(例えばNOMEX(登録商標))、ポリビニルアルコール(PVAL)、ポリウレタン、ポリビニルエステル、メス−アクリラート、及びその混合物、好ましくはポリアミド(PA)からなる群から選択されるものからなることが望ましい。紡織繊維に関する上述したコードは、ドイツ標準仕様DIN60001−4(1991年8月)から生じる。
【0034】
紡織繊維の概念に関するさらなる詳細については、例えばロンプケミエレクシコン、ゲオルグ論文出版、シュタットガルト/ニューヨーク、第6巻、1999年、4477頁〜4479頁、見出し語:「紡織繊維」、及びその全体的な開示内容、そこに含まれる引用文献等を参照することが望ましい。特に、紡織繊維といいう言葉は、布状加工することができるすべての繊維に関する集合的名称として以下に理解されるべきである。紡織繊維の共通の特徴は、紡織繊維が、原料及び材料構造によって異なる群に割り当てられるが、それらの横断面に関する著しい長さであり、十分な強度及び可撓性である。
【0035】
本願発明によれば、第1の布状シート材料及び第2の布状シート材料は、それぞれに異なる繊維特性、特にさらなる紡織繊維の品種及び/若しくは量に基づく紡織繊維を有するものが提供される。また、本願発明によれば、第1の布状シート材料及び第2の布状シート材料は、弾力性又は可逆性伸縮自在繊維品種の品種又は量に基づく同一の弾力性又は可逆性伸縮自在繊維品種を有するものが提供される。言い換えると、本願発明によれば、同一の弾力性繊維品種が、第1の布状シート材料及び第2の布状シート材料に使用されると共に、紡織繊維は、第1の布状シート材料に関して実証的に且つ非限定的に異なる天然繊維、特にコットン繊維であり、第2の布状シート材料に関して合成繊維、特にポリアミド(PA)であることが提供される。対応する量は、同様にお互いに異なっているか、又は同一であることが可能である。これについて、本願発明によれば、それぞれの布状シート材料が、個々に適合されることが可能である。これについて、例えば、着用状態において着用者の皮膚と直接接触する第1の布状シート材料が、皮膚親和性を達成し、着用者に対する快適な感覚を有することができ、着用状態において身体又は皮膚から離れた側にある第2の布状シート材料は、高い化学的抵抗力が授けられる。しかし、本願発明の範囲内において、第1の布状シート材料及び第2の布状シート材料が、同一の繊維品種を有することも同様に可能である。
【0036】
さらに、本願発明に係る吸着フィルタ材料に関しては、その吸着層に使用される吸着剤粒子が、接着剤によって、第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料に固定されることが望ましく、その場合、特に接着剤は、非連続的及び/若しくは点状に、前記第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料に塗布されることが望ましい。これについて、前記接着剤は、2〜40g/mの塗布量で、前記第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料に塗布されることが望ましい。さらに、前記接着剤は、多くて70%の範囲で、特に多くて60%の範囲で、好ましくは多くて50%の範囲で、より好ましくは多くて40%の範囲で、最も好ましくは多くて30%の範囲で、前記第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料を覆うことが望ましい。これに関して、使用される接着剤、例えば反応性、特にイソシアネート反応性接着剤だけでなく熱溶融型接着剤である接着剤のタイプは、当業者にとって公知のものであるので、これについては詳細に説明しない。接着剤の非連続的又は点状塗布は、層の結果として生じる構成物の一部の高い安定性と共に、本願発明の吸着フィルタ材料の高い通気性又は空気透過性を確保するものである。
【0037】
これは、第2の布状シート材料が第1の布状シート材料及び/若しくはフィルム接着が結果として生じる吸着層の吸着剤粒子に接着されることが、本願発明の範囲において提供される理由である。これについて、前記接着剤は、吸着剤粒子が、布状シート材料に接着される両側にそのまま存在するように塗布されることが望ましく、その場合、接着剤の塗布は、吸着剤粒子の所定の表面部分が、接着剤によって覆われないように実行されるもので、有害物質の効果的な吸着のために、外気との良好な接触を確保することができるものである。これについて、吸着剤粒子の表面積の少なくとも25%、特に少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、及び、より好ましくは少なくとも50%が、吸着すべき有害物に自由に接触(言い換えると、接着剤で覆われていない)ことが望ましいものである。これは、吸着剤粒子の吸着能力、できるだけ実際に使用されることを確保するものである。
【0038】
上述したように、本願発明の吸着フィルタ材料は、気体透過性、特に空気透過性であることが望ましい。これについて、吸着フィルタ材料の気体又は空気透過率は、127Paの通気抵抗で、40〜250リットル・m−2・s−1であり、少なくとも50リットル・m−2・s−1であり、好ましくは少なくとも80リットル・m−2・s−1であり、より好ましくは少なくとも100リットル・m−2・s−1であり、且つ/又は1000リットル・m−2・s−1までであることが望ましい。
【0039】
良好な着心地を確保するように、本願発明の吸着フィルタ材料及び全体の衣服は、25℃で、24時間当たり少なくとも25リットル/m、特に少なくとも30リットル/m、好ましくは少なくとも50リットル/m又はそれ以上の水蒸気透過率(WVTR)を有するものである。前記水蒸気透過率は、特に、25℃で、ASTM E 96の逆カップ法によって測定される。水蒸気透過率の測定に関するさらなる詳細について、例えば測定化学技術「測定化学及び技術」14,1402頁〜1408頁(2003年8月)におけるMcCoullough他「織物の水蒸気透過性の測定に関する標準方法の比較」を参照することが望ましい。
【0040】
さらに、高い着心地性を確保するために、本願発明に係る吸着フィルタ材料は、定常状態において、35℃でDIN EN 31 092:1993(1994年2月)及び/若しくはISO 11 092に基づいて測定された多くて20(m・パスカル)/ワット、特に多くて10(m・パスカル)/ワット、好ましくは5(m・パスカル)/ワットの水蒸気通気抵抗Retを有することが望ましい。
【0041】
本願発明に係る吸着フィルタ材料の曲げ強さは、少なくとも1方向において、好ましくは縦方向及び横方向において、多くて800mg・cm、特に多くて600mg・cm、好ましくは多くて400mg・cmであることが望ましい。その相対的に低い曲げ強さによれば、その材料は、高い可撓性を有し、例えば着用者にとっての肉体的活動における形状の変化に対して大変良好な応答性を有するものであり、さらに全体として着心地を改善することができる。ここで曲げ強さは、ASTM D−1388に従って測定される。
【0042】
本願発明の吸着フィルタ材料のさらなる特性に関して、前記吸着フィルタ材料は、ISO 13938−2に基づいて測定された少なくとも100KPa、特に少なくとも130KPa、好ましくは150KPa、より好ましくは170KPaの破裂圧力を有し、これによって前記材料は全体として高い機械的安定度を有することになるので、例えば戦闘領域に配備された場合の厳しい物理的ストレス下においても破壊されることがなくなるものである。
【0043】
さらに、本願発明の吸着フィルタ材料は、20Nで且つ吸着フィルタ材料(例えば、その元の寸法)に基づいて、少なくとも10%、特に15%、好ましくは20%、より好ましくは25%、さらに好ましくは30%、最も好ましくは35%の少なくとも1方向、好ましくは縦方向及び横方向における弾力性強さを有することが望ましい。ここで、弾力性強さは、DIN 53835−14に基づいて測定される。上述したように、高い弾力性又は弾力性強さ又は可逆性伸縮性は、本願発明の吸着フィルタ材料が、着用者の身体の形に良好に適合し、これによって皮膚に密着するという結果を有するものである。
【0044】
十分な安定性を確保するために、本願発明の吸着フィルタ材料は、適当な厚さを有することが望ましい。本出願人は、本願発明の吸着フィルタ材料が、1.0mmより大きく、特に少なくとも1.05mm、好ましくは少なくとも1.1mmの全厚を有するとき、結果として特に良好な安定性値が生じることを見出した。本願発明の吸着フィルタ材料は、これに関して1.5mmまでの全厚を有するものである。
【0045】
第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料、好ましくは、装着状態において着用者の皮膚に隣に位置する第1の布状シート材料は、本願発明による好ましい実施例によれば、静菌剤及び/若しくは静菌性組成物、特に銀含有組成物及び/若しくは銀でコートされ又は漬浸されることが可能である。これについて、前記組成物の量は、それぞれの布状シート材料に基づく0.0001重量%〜10重量%、0.001重量%〜5重量%、0.01重量%〜1重量%であることが望ましい。しかしながら、第2の布状シート材料も、同様に、静菌剤及び/若しくは静菌性組成物でコートされることが望ましい。これについて、例えば有害微生物のような生物兵器物質に対する付加的な防護機能が、特に提供される。さらに、静菌剤又は静菌性コーティング又は含浸物が、そのままでバクテリアの成長を減少させるので、本願発明の吸着フィルタ材料は、長時間清潔なままであることから、長期間着用することが可能となるものである。
【0046】
さらに、第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料、好ましくは着用状態において着用者の皮膚に近接する側にある第1の布状シート材料は、親水化処理及び/若しくは水吸収性処理される。これは発汗による水分を吸収し、外部に排出するという利点を有する。これについて、適当な含浸物が使用される。同様に、第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料、好ましくは第2の布状シート材料は、防炎化処理されることが望ましい。同様に、前記第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料、好ましくは第2の布状シート材料が、帯電防止処理されることが望ましい。本願発明のさらなる具体例によれば、前記第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料、好ましくは第2の布状シート材料は、赤外線反射特性を有するように処理されることが望ましい。層に所定の処理を行うことによって、特定の使用状態に関する本願発明の吸着フィルタ材料のそれぞれの適合性が確保されるものである。本願発明の吸着フィルタ材料は、いわゆる特定の配備状態に合わせて特注することができるものである。
【0047】
本願発明によって使用される吸着剤粒子は、特に個々の活性炭粒子、好ましくは粒形状(粒形活性炭)又は球形状(球形活性炭)の活性炭粒子からなることが望ましい。
【0048】
これについて、吸着剤粒子、特に活性炭粒子のメジアン径は、0.01〜2mm、好ましくは0.05〜1mm、より好ましくは0.1〜0.5mmであることが望ましい。
【0049】
また、前記吸着剤粒子、特に活性炭粒子は、40〜250g/m、特に50〜180g/m、好ましくは55〜130g/mの量で使用されることが望ましい。
【0050】
本願発明に使用される活性炭粒子は、一般的に摩耗抵抗を有することが望ましい。活性炭粒子の破裂圧力は、5Nであり、特に少なくとも10Nであることが望ましい。個々の活性炭細粒、特に活性炭球粒の破裂圧力は、5〜20Nの範囲内であることが望ましい。これは、活性炭が機械抵抗形状において存在する本願発明の吸着フィルタ材料を提供する。結果として、そのような摩耗抵抗を有する活性炭は、適当なポリマー開始球粒、好ましくはジビニルベンゼン架橋スチレンに基づいた開始球粒の炭化及び活性化によって得ることができるものである。結果として、使用される活性炭粒は、機械的負荷下においてですら、破裂又はダストを形成する傾向にはない(活性炭ダストが形成されない)。特に、使用される活性炭粒は、ダストフリーであり、特に微粉活性炭フリーである。
【0051】
本願発明の吸着フィルタ材料について高い性能能力を確保するために、使用される活性炭が、少なくとも500m/g、特に少なくとも750m/g、好ましくは1000m/g、より好ましくは1200m/gの所定の表面積(BET)を有することが望ましい。通常、本願発明に使用される活性炭は、500〜2500m/g、特に750〜2250m/g、好ましくは900〜2000m/g、より好ましくは1000〜1750m/gの所定の表面積(BET)を有することが望ましい。BET法は、例えばロンプケミエレクシコン、第10版、ゲオルグ論文出版、シュタットガルト/ニューヨーク、表題:「BET法」と、そこに引用されたヴィンナケル−クヒラー、第3版、第7巻93ff頁及びZ.Annal.Chem.238,187頁〜193頁(1968)を参照することによって詳細を検証することが可能である。
【0052】
本願発明の吸着フィルタ材料に高い効率を提供するために、使用される活性炭は、少なくとも250cm/g、特に少なくとも300cm/g、好ましくは少なくとも350cm/g、より好ましくは少なくとも400cm/gの吸着量Vadsを有する活性炭であることが望ましい。この実施例では、活性炭は、250〜1000cm/g、特に300〜900cm/g、好ましくは350〜750cm/gの吸着量Vadsで使用されることが望ましい。
【0053】
本願発明において、活性炭は、少なくとも0.50cm/g、特に少なくとも0.55cm/g、好ましくは少なくとも0.60cm/g、より好ましくは少なくとも0.65cm/g、最も好ましくは少なくとも0.70cm/gのグルヴィッチ総孔量を有することが好ましい。この実施例では、活性炭は、0.50〜0.90cm/g、特に0.55〜0.85cm/g、好ましくは0.60〜0.80cm/g、より好ましくは0.65〜0.80cm/g、最も好ましくは0.70〜0.75cm/gの範囲内のグルヴィッチ総孔量で使用されることが望ましい。グルヴィッチ総孔量の測定に関する詳細は、L.グルヴィッチ(1915)、J.Phys.Chem.Soc.Russ.47,805及びS.Lowell他、多孔性個体及び粉末の特徴付け:表面領域の孔サイズ及び密度、クルワーアカデミック出版、商品技術シリーズ、111ff頁を参照することによって詳細を検証することが可能である。
【0054】
出願人は、特に活性炭の総孔量に基づく大きいミクロ細孔量比率を有する活性炭が適当であることを見出した。本願発明の領域において、ミクロ細孔量という言葉は、25オングストローム(25.5nm)以下、特に20オングストローム(2.0nm)以下の径を有する孔を有する活性炭の孔量として理解されるべきものである。
【0055】
これは、出願人が、有毒物及び/若しくは臭い物質の濃度が使用される活性炭のミクロ孔量比率が特に高い時に十分に減少されることを見出したことによる。特定の理論に制限されることなく、特に大きなミクロ細孔量比率を有する活性炭で達成される特に良好な効果は、ミクロ細孔が、いわゆるすべての側面又は壁部から、それらだけの小さいサイズであることの利点によって、吸着されるべき粒子との相互作用に入ることができるという事実に貢献することができるものである。特に、活性炭は、活性炭の総孔容量に基づいて、少なくとも60%、特に少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%のミクロ細孔量比率を有するものが使用されることが望ましい。
【0056】
本願発明によれば、総孔容量に基づいて、少なくとも60%、特に少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%の25オングストローム以下、好ましくは20オングストローム以下の孔径を有する細孔から形成されるミクロ細孔量比率を有する活性炭を使用することが望ましい。
【0057】
本願発明によって使用される活性炭は、例えば、カーボンブラック法によって測定された少なくとも0.40cm/g、特に少なくとも0.45cm/g、好ましくは少なくとも0.50cm/gのミクロ細孔容量、25オングストローム以下、好ましくは20オングストローム以下の孔径を有する孔から形成されたミクロ細孔容量を有することが望ましい。この実施例では、カーボンブラック法によって測定されたこのミクロ細孔容量が、0.40〜0.80cm/gの範囲内、特に0.45〜0.75cm/gの範囲内、好ましくは0.50〜0.60cm/gの範囲内であることが望ましい。カーボンブラック法による細孔表面積の測定の詳細については、例えば1994年10月アメリカ化学協会ゴム部門の会合で発表されたR.W.Mageeの窒素吸着によるカーボンブラックの外部表面積の評価、クオンタクロムインストルメンツ、AUTOSORB−1 AS1 WinVersion 1.50、操作マニュアル、P/N 05061,クオンタクロムインストルメンツ 2004、フロリダ、USA,71ff頁に引用されるもの等を参照することができる。
【0058】
本願発明に使用される活性炭の高いミクロ孔隙率によれば、この活性炭は同様に高い所定のミクロ細孔表面積比率を有する。この所定のミクロ細孔表面積比率、言い換えると25オングストローム以下、好ましくは20オングストローム以下の孔径を有する細孔による表面積比率は、活性炭の所定の表面積(BET)に基づいて、少なくとも70%、特に少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%であることが望ましい。特に、このミクロ細表面積比率は、70〜95%の範囲内、特に75〜95%の範囲内、好ましくは80〜90%の範囲内であることが望ましい。
【0059】
本願発明に使用される活性炭は、そのミクロ孔隙率によって、大きなミクロ細孔表面積を有することが望ましい。特に、カーボンブラック法によって測定されたミクロ細孔表面積(言い換えると、25オングストローム以下、好ましくは20オングストローム以下の孔径を有する細孔から形成されたミクロ細孔表面積)は、少なくとも400m/g、特に少なくとも800m/g、好ましくは少なくとも1000m/g、より好ましくは少なくとも1200m/gであることが望ましい。好ましい実施例では、このミクロ細孔表面積は、400〜1750m/gの範囲内、特に800〜1500m/gの範囲内、好ましくは1000〜1400m/gの範囲内、より好ましくは1100〜1300m/gの範囲内であることが望ましい。
【0060】
本願発明によれば、多くて35オングストローム、好ましくは多くて30オングストローム、より好ましくは多くて25オングストロームの平均孔径を有するミクロ多孔性活性炭を使用することが望ましい。特に、この平均孔径は、15〜35オングストロームの範囲内、特に15〜30オングストロームの範囲内、好ましくは15〜25オングストロームの範囲内であることが望ましい。
【0061】
本願発明に使用される活性炭の密度に関して、使用される活性炭の生密度は、700〜975g/cmの範囲内、特に750〜950g/cmの範囲内、好ましくは800〜900g/cmの範囲内であることが望ましい。これに対して、使用される活性炭の注入嵩密度は、300〜900g/cmの範囲内、特に350〜800g/cmの範囲内、好ましくは400〜750g/cmの範囲内であることが望ましい。
【0062】
使用される活性炭が、40〜70%、特に45〜65%、好ましくは50〜60%の全体孔隙率を有する時に、特に良好な効率を得ることができるものである。
【0063】
本願発明によれば、使用される活性炭は、0.1〜2.5cm/gの範囲内、特に0.2〜2.0cm/gの範囲内、好ましくは0.3〜1.5cm/gの範囲内、より好ましくは0.4〜1.0cm/gの範囲内の総孔容量を有することが望ましい。36オングストローム以下の孔径を有する孔の比率は、少なくとも65%、特に少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%であり、且つ95%まで、特に90%までに到達する値であることが望ましい。
【0064】
上述した特性及び使用を有する本願発明に使用される活性炭は、本出願人によって商品として製造されている。
【0065】
吸着性能を強化するために、本願発明に使用される活性炭は、含浸物を有する。これは、当業者にとってよく知られたことである。同様に、前記活性炭は、当業者にそのまま知られている触媒で含浸されることが望ましい。
【0066】
本願発明による吸着フィルタ材料の本発明の適合は、化学兵器薬剤に関して優れたバリア効果を提供する。化学兵器薬剤、特にビス[2−クロロエチル]スルフィド(マスタードガス、HD又はイエロークロスとして知られている)に関する前記吸着フィルタ材料のバリア効果は、CRDEC−SP−84010、方法2.2に基づいて測定されたように、24時間当たり多くて4μg/cm、特に多くて24時間当たり3.5μg/cm、好ましくは多くて3.0μg/cm、より好ましくは多くて2.5μg/cmの浸透性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1は、本願発明の好ましい具体例の一例に係る吸着フィルタ材料の層構造による概略断面図を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0068】
本願発明のさらなる利点、特性及び特徴は、図面において示される好ましい実施例についての下記する説明から明確になるものものと思う。
【0069】
図1は、本願発明の例に対応する吸着フィルタ材料1の層構造による概略断面図を示す。特にNBC防護衣服、好ましくは皮膚に近接して着用される肌着(下着)として使用される吸着フィルタ材料は、第1の布状シート材料2と、第2の布状シート材料5と、第1及び第2の布状シート材料2,5の間に設けられる吸着層とからなる多層構造を有し、前記吸着層が、活性炭からなる独立した、特に粒状、好ましくは球状吸着粒子3を有し、該吸着粒子3が化学的及び/若しくは生物学的有毒及び有害物、特に兵器薬剤を吸着するものである。この本願発明の吸着材料1は、第1の布状シート材料2及び第2の布状シート材料5が、それぞれ、少なくとも1方向、好ましくは2つの方向において弾力性を有するように抗し得されることに特徴を有する。
【0070】
図1は、吸着粒子3が、接着剤4、4’によって第1の布状シート材料2及び第2の布状シート材料5に接着されることを示している。同様に、図1は、第2の布状シート材料5が、接着剤のドット又はブリッジ4”を介して第1の布状シート材料2に直接接着される。
【0071】
本願発明の第2の様相によれば、本願発明は、上記に定義されたような吸着フィルタ材料を有し、及び/若しくは上記に定義されたような吸着フィルタ材料を使用して得られる特許性のある衣料、特にNBC防護衣料であって、特に肌着(下着)として皮膚に隣接して着用される衣類を提供する。本願発明の衣料に関するさらなる詳細については、本願発明の吸着フィルタ材料に関する上記例を参照することが望ましく、本願発明の衣料に関して必要な変更を加えて提供することができるものである。
【0072】
本願発明の第3の様相によれば、本願発明は、衣料、特にNBC防護衣料であって、特に肌着(下着)として皮膚に隣接して着用される衣料の製造に上記に定義されたような吸着フィルタ材料を使用することを提供する。本願発明の使用に関するさらなる詳細については、本願発明の吸着フィルタ材料に関する上記内容を参照することが望ましく、本願発明の使用に関して必要な変更を加えて提供することができるものである。
【0073】
本願発明の吸着フィルタ材料及びこれから得られる衣料であって、特に化学的毒物又は化学兵器薬剤に関する防護性能を有する防護衣服の形のものは、大木の利点を具備する。例えば:
・本願発明の吸着フィルタ材料の特別な構造、これらの層の間に位置する軽量吸着粒子、特に軽量であるが高い反応性を有するナノ又はミクロ多孔性活性炭粒子の層を有する一方向又は2方向弾力性ニット織物のサンドイッチ形状が、結果として本願発明の吸着フィルタ材料において高い弾力性又は可逆性の伸縮自在性を生じるものであり、生理学上の良好な着用性と同時に、化学的若しくは生物学的毒物、又は兵器薬剤に対する高い防護性を確保することができる。
・本願発明の吸着フィルタ材料は、第2の皮膚のように、人体に直接着用することができる防護衣服に加工することができる。高い弾力性は、本願発明の吸着フィルタ材料から得られる防護衣服が皮膚に直接に存在することから、防護衣服と皮膚の間の中間空間を実質的になくすことができ、肉体的活動が活発な時ですら、ベローズ効果を最小限にすることができるので、着心地性と防護性能の両方を改善することができる。
・本願発明の吸着フィルタ材料において気体透過性、特に空気透過性及び/若しくは水蒸気透過性が、着心地性をさらに向上させることができるので、発汗作用による汗を効果的に着用者から排出することができる。
・本願発明の吸着フィルタ材料は、物理的及び化学的に安定している特定の繊維を選択することによるのではなく、高い物理的及び化学的安定性を有する。
・特別な層構造は、それぞれの布状シート材料が同一の構造を有することができ、又はお互いに異なって構成されることができるので、それぞれの層は、それぞれに適合させ又は要求される性能に従って特別に加工されるものである。点状態で皮膚に近接する層又は対応する布状シート材料が、皮膚に優しく形成されるので、点状態で皮膚から遠い側の層又は対応する布状シート材料は、有害物質に関して付加的な防護機能を有するように仕上げられる。
・本願発明の吸着フィルタ材料は、改善された生理学的着用性を有する軽量で、特に空気透過性で、柔軟及び弾力性のある材料からなり、下着、特にNBC防護下着として使用され、皮膚に直接近接して着用可能である。それは、軽量で、柔軟且つ弾力性を有する設計に導き且つ減少された重量に導く特定の材料を選択することであり、これは生理学的着用性又は快適性において著しい改善を生じるものである。
【0074】
本願発明のさらなる進化、改良及び変形は、本願発明の範囲を逸脱することなく明細書の読むことによって当業者であれば容易に理解することができるものである。
【0075】
本願発明は、図示された具体例を参照して説明されるが、それは本願発明を限定するものではない。
【実施例】
【0076】
吸着フィルタ材料の4つの異なるサンプル、いわゆる本願発明の2つの例と2つの比較される例が調査された。吸着フィルタ材料のすべては、内側層(第1の布状シート材料)、活性炭の基づく吸着層、及び外側層(第2の布状シート材料)からなる比較可能な層構造を有する。
【0077】
a) 例1(本願発明)
弾力性繊維品種としてDOW XLA(登録商標)繊維と、さらなる繊維品種としてのコットン(CO)繊維に基づくニット織物形状の第1の布状シート材料を具備する吸着フィルタ材料が製造される。前記CO繊維と前記DOW XLA(登録商標)繊維の比率は、88/12である。前記第1の布状シート材料の基礎重量は、120g/mである。前記第1の布状シート材料とナノ又はミクロ多孔性活性炭に基づく吸着層の間に使用される接着剤は、10g/mの割合で使用されるコポリアミド接着剤である。前記ナノ又はミクロ多孔性カーボンは、120g/mで使用される。吸着層と第2の布状シート材料の間に使用される接着剤は、35g/mの割合で使用されるポルウレタン反応性熱溶融型接着剤である。使用される被覆(第2の布状シート材料)は、ポリアミド(PA)繊維及びDOW XLA(登録商標)繊維に基づくニット織物であり、120g/mの基礎重量を有する。PA繊維とDOW XLA(登録商標)繊維との割合は、82/18である。吸着フィルタ材料の特性は、下記の表1に示される。
【0078】
【表1】

【0079】
使用されるナノ又はミクロ多孔性活性炭は、少なくとも60%のミクロ細孔比率を有する。
【0080】
例1に示される本願発明の吸着フィルタ材料は、優れた弾力性力及び低い曲げ剛性と、高い破裂圧力とを有するものである。さらに、本願発明の吸着フィルタ材料は、大変良好な空気透過率を有する。このため、例1の本願発明の吸着フィルタ材料は、例えば下着の製造に利用されることが望ましい。
【0081】
b) 例2(本願発明):
さらなる本願発明の吸着フィルタ材料が形成され、テストされる。この吸着フィルタ材料は、110g/mの基礎重量で、88/12の割合でCO繊維とDOW XLA(登録商標)繊維からなるニット織物に基づくキャリヤ層(第1の布状シート材料)を有する。さらに、前記キャリヤ層は、銀含有組成物に基づく抗菌性の銀仕上げを有する。前記キャリヤ層と前記吸着層の間の接着に使用される接着剤は、35g/mの割合で使用されるポリウレタン反応性接着剤である。前記吸着層は、120g/mの割合で使用されるナノ又はミクロ多孔性活性炭からなる。コポリアミド接着剤が、吸着層と被覆(第2の布状シート材料)との間に10g/mの割合で使用される。被覆(第2の布状シート材料)は、抗菌性銀コーティングを有する弾力性ニット織物であり、前記被覆は88/12の割合でCO繊維及びDOW XLA(登録商標)繊維を含むものである。この吸着フィルタ材料の特性は、下記する表2に示される。
【0082】
【表2】

【0083】
使用されるナノ又はミクロ多孔性活性炭は、少なくとも60%のミクロ細孔比率を有する。
【0084】
このように、例2に示される本願発明の吸着フィルタ材料は、上述したものと同様に、弾力性、曲げ剛性、空気透過率及び破裂圧力について優れた特性を示している。さらに、微生物学的試験は、例2の示される本願発明の吸着フィルタ材料が、材料上又は材料内においてバクテリアの成長を減少させたことを示した。このため、例2に示される本願発明の吸着フィルタ材料は、特に(内側につける)手袋の製造に使用されることが望ましい。
【0085】
c)例3(比較用):
比較用吸着フィルタ材料は、弾力性シート材料を使用しないで製造される。さらに、40%より低いミクロ孔隙率を有する活性炭が使用される。この材料の伸縮自在性は、本願の例と比較して明確に劣っており、さらに、曲げ剛性は、明らかに上昇する。最後に、破裂圧力は明らかに減少している。結果として、例3の材料は、可撓性又は弾力性で劣っており、機械的負荷の下でのより速く破裂し、活性炭は、伸縮負荷の下でより速く分離する。
【0086】
d)例4(比較用):
吸着フィルタ材料は、例1と比較可能な構造で、弾力性繊維の代わりにポリウレタン繊維で形成される。例4の吸着フィルタ材料は、弾力性、曲げ剛性及び破裂圧力に関して本願発明の例より劣る値を有する。化学的安定性、特に化学兵器に関する安定性は、本願発明の吸着フィルタ材料の場合よりも明らかに悪い。下記するように、ポリウレタン繊維は、化学薬品の反応下、特に化学兵器の反応下において、分解又は損傷する。
【0087】
従来技術の製品と比較して例1及び2に示される本願発明の吸着フィルタ材料の優れた特性は、実行されるさらなるテストにおいて確認される。
【0088】
1.化学兵器に関するバリア効果:
a) 最初の一連のテストが、例1の本願発明の吸着フィルタ材料と比較物としての例3の吸着フィルタ材料について、ビス[2−クロロエチル]硫化物(マスタードガス、HD又はイエロークロスと同義語)に関するバリア効果に関して実行され、CRDEC−SP−84010、方法2.2に基づいて測定された。それについて、本願発明の吸着フィルタ材料について、24時間当たり2.5μg/cmより少ない透過量のバリア効果を生じ、比較の例3では、24時間当たり約3.5μg/cmと悪い値を有するものである。
b)さらに、別のテストにおいて、例1で示される本願発明の吸着フィルタ材料のバリア効果は、アメリカ特許出願公開公報第2003/0229936号に記載されるような吸着フィルタ材料からなる比較例と比較される。これについて、活性炭ニットが、アメリカ特許出願公開公報第2003/0229936号によれば、吸着層に使用される。製造された材料のバリア効果が、第1段階において測定される。最初のうちは、両材料とも、マスタードガスについて、CRDEC−SP−84010、方法2.2に基づくテストにおいて良好な防護又はバリア性能が認められた。例1に示す本願発明の吸着フィルタ材料は、24時間当たり2.5μg/cmの透過量で示されるバリア効果を示し、活性炭ニットを有する比較例では、24時間当たり6.0μg/cmの透過量を示した。その後、本願発明の例1に係る吸着フィルタ材料と、活性炭ニットを具備するアメリカ特許出願公開第2003/0229936号に係る吸着フィルタ材料とは、厳しい機械的ストレスを加えられる。これについて、両吸着フィルタ材料には、横方向及び縦方向の両方において、10Nの動作引張力を使用して繰り返し弾力的に引き延ばされる。その後、両材料は、60kPaの膨張圧力によって破裂圧力を測定する上述した方法において、10回膨張させられる。この後、両材料は、バリア効果が再テストされる。この結果、例1に示される本願発明の吸着フィルタ材料は、24時間当たり2.5μg/cm2より少なくない優れた値が計測されたが、活性炭ニットを有するアメリカ特許出願公開2003/0229936号に基づく比較例では、24時間当たり10μg/cm2より大きな値となり、明らかに悪くなった値が計測された。材料の目視検査は、活性炭ニットに明らかな損傷の印が見られた。
【0089】
2.化学薬品に対する安定性:
さらなる一連のテストにおいて、次亜塩素酸ナトリウムに対する安定性が、例1の本願発明について、ポリウレタン繊維を有する比較例4と比較してテストされた。これについて、対応する両吸着フィルタ材料が、pH10の次亜塩素酸ナトリウム2g/リットルを含む溶液にさらされる。両材料は、24時間50℃で溶液にさらされる。さらした後乾燥された両材料は、ISO13938−2に基づいて破裂圧力テストが実施される。例1に示される本願発明の材料について、約10%のみの破裂圧力の減少が測定され、例4の比較例では、60%以上の破裂圧力の明らかな減少が測定された。これについて、比較例4について材料の目視検査によって、繊維の衰退、特に繊維の崩壊が見られた。
【0090】
前述したテストは、本願発明の吸着フィルタ材料が、化学兵器に対する防護だけでなく弾力性についても明らかに改善された性能を有することを示している。また、前記テストは、本願発明の吸着フィルタ材料が、高いミクロ孔隙率を有する活性炭を使用することによってさらに性能を向上させることができたことを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
NBC防護衣料、特に下着又は肌着として皮膚に接して着用される衣料のための吸着フィルタ材料であって、該吸着フィルタ材料が多層構造を有し、該多層構造が、第1の布状シート材料、第2の布状シート材料及び前記第1の布状シート材料と第2の布状シート材料の間に配される吸着層によって構成され、該吸着層が、それぞれ独立した粒状、特に球状の活性炭に基づく吸着剤粒子を有し、化学及び/若しくは生物学兵器のような化学的及び/若しくは生物学的有毒物且つ有害物を吸着する吸着フィルタ材料において、
前記第1の布状シート材料及び第2の布状シート材料が、少なくとも1方向、好ましくは2方向に弾力性を有するように構成されること、且つ/又は
前記第1の布状シート材料及び第2の布状シート材料が、実質的に同一の弾性特性を有することを特徴とする吸着フィルタ材料。
【請求項2】
前記第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料が、気体透過性、特に空気透過性、及び/若しくは水蒸気透過性を有するように構成されることを特徴とする請求項1記載の吸着フィルタ材料。
【請求項3】
前記第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料が、織物、メリヤス、レイドスクリム又は接着布、特に不織布として、好ましくはメリヤス生地として構成されることを特徴とする請求項1又は2記載の吸着フィルタ材料。
【請求項4】
前記第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料が、70〜180g/m、特に90〜130g/mの基礎重量を有し、第1の布状シート材料及び第2の布状シート材料が、実質的に同一の基礎重量を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の吸着フィルタ材料。
【請求項5】
前記第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料が、少なくとも2つの異なる繊維品種の混合物からなり、前記第1の布状シート材料及び前記第2の布状シート材料が、少なくとも1つの弾力性及び/若しくは可逆性伸縮自在繊維品種を具備することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の吸着フィルタ材料。
【請求項6】
前記弾力性及び/若しくは可逆性伸縮自在繊維品種は、物理学的且つ/又は化学的安定性であり、特に前記弾力性及び/若しくは可逆性伸縮自在繊維品種は、熱安定性且つ/又は化学的安定性且つ/又は紫外線及び/若しくはキセノン光に対する抵抗力であることを特徴とする請求項5記載の吸着フィルタ材料。
【請求項7】
前記弾力性及び/若しくは可逆性伸縮自在繊維品種が、ポリウレタン繊維と異なる繊維品種であること、且つ/又は、前記弾力性及び/若しくは可逆性伸縮自在繊維品種は、弾力性を有する特に横方向に架橋されたポリオレフィン繊維であり、好ましくは弾力性を有する特に横方向に架橋されたポリエチレン又はポリプロピレン繊維であり、又は、弾力性を有するポリアミド繊維若しくは弾力性のあるポリエステル繊維であることを特徴とする請求項5又は6に記載の吸着フィルタ材料。
【請求項8】
前記弾力性及び/若しくは可逆性伸縮自在繊維品種は、ポリオレフィンベースのものであり、特に前記弾力性及び/若しくは可逆性伸縮自在繊維品種は、エチレン−オレフィンコポリマーに基づく繊維であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1つに記載の吸着フィルタ材料。
【請求項9】
前記弾力性及び/若しくは可逆性伸縮自在繊維品種は、低結晶性ポリオレフィン、特に低結晶性エチレン-オレフィンコポリマーに基づく繊維であり、低結晶性ポリオレフィン、特に低結晶性エチレン-オレフィンコポリマーは、晶子及び/若しくはネットワーク形成共有結合を有することを特徴とする請求項8記載の吸着フィルタ材料。
【請求項10】
ポリオレフィン、特にエチレン−オレフィンコポリマーは、ポリマーに基づいて、約20%の結晶度を有することを特徴とする請求項9記載の吸着フィルタ材料。
【請求項11】
前記第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料は、それぞれの布状シート材料に基づいて4重量%〜30重量%、特に7重量%〜25重量%、好ましくは8重量%〜20重量%の量の弾力性及び/若しくは可逆性伸縮自在繊維品種を有することを特徴とする請求項5〜10のいずれか1つに記載の吸着フィルタ材料。
【請求項12】
前記第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料と共に、弾力性及び/若しくは可逆性伸縮自在繊維品種は、少なくとも1つの繊維品種、特に織布を有し、可逆性伸縮自在繊維品種の混合物に存在するさらなる繊維品種は、天然繊維、好ましくはコットン繊維、及び/若しくは合成繊維、好ましくは、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アセテート、トリアセテート、ポリアクリル、ポリアミド、特に芳香族、好ましくは耐熱性ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリビニルエステル、メスアクリラート、及びその混合物、好ましくはポリアミドからなる群から選択される合成繊維を具備することを特徴とする請求項5〜11のいずれか1つに記載の吸着フィルタ材料。
【請求項13】
前記第1の布状シート材料及び第2の布状シート材料が、それぞれ異なる繊維品種、特に品種に基づく紡織繊維を具備すること、且つ/又は、前記第1の布状シート材料及び前記第2の布状シート材料が、弾力性及び/若しくは可逆性伸縮自在繊維品種の品種及び/若しくは量に基づいた同一の弾力性及び/若しくは可逆性伸縮自在繊維品種を具備することを特徴とする請求項12記載の吸着フィルタ材料。
【請求項14】
前記吸着層の吸着剤粒子は、接着剤によって前記第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料に固定され、特に前記接着剤が、第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料に非連続的に及び/若しくは点状に塗布され、且つ/又は、特に前記接着剤が20〜40g/mの塗布量で塗布され、特に前記接着剤は、多くて70%の範囲で、特に多くて60%の範囲で、好ましくは多くて50%の範囲で、より好ましくは多くて40%の範囲で、最も好ましくは多くて30%の範囲で、前記第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料を覆うことを特徴とする請求項5〜11のいずれか1つに記載の吸着フィルタ材料。
【請求項15】
前記第2の布状シート材料は、前記第1の布状シート材料及び/若しくは吸着層の吸着剤粒子にしっかりと接着されることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1つに記載の吸着フィルタ材料。
【請求項16】
前記吸着フィルタ材料は、気体透過性、特に空気透過性であり、気体又は空気透過率が、127Paの通気抵抗で、少なくとも40〜250リットル・m−2・s−1であり、少なくとも50リットル・m−2・s−1であり、好ましくは少なくとも80リットル・m−2・s−1であり、より好ましくは少なくとも100リットル・m−2・s−1であり、且つ/又は1000リットル・m−2・s−1までであることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1つに記載の吸着フィルタ材料。
【請求項17】
前記吸着フィルタ材料は、少なくとも1方向、好ましくは縦方向及び横方向において、多くて800mg・cm、特に多くて600mg・cm、好ましくは多くて400mg・gの曲げ強さを有することを特徴とする請求項1〜16のいずれか1つに記載の吸着フィルタ材料。
【請求項18】
前記吸着フィルタ材料は、少なくとも100kPa、特に少なくとも130kPa、好ましくは少なくとも150kPa、より好ましくは少なくとも170kPaの破裂圧力を有することを特徴とする請求項1〜17のいずれか1つに記載の吸着フィルタ材料。
【請求項19】
前記吸着フィルタ材料は、20Nの力で、吸着フィルタ材料に基づいて、少なくとも10%、特に少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも25%、さらに好ましくは少なくとも30%、最も好ましくは少なくとも35%の少なくとも1方向、好ましくは縦方向及び横方向における弾性強さを有することを特徴とする請求項1〜18のいずれか1つに記載の吸着フィルタ材料。
【請求項20】
前記吸着フィルタ材料は、1.0mmより大きく、少なくとも1.05mmであり、好ましくは少なくとも1.1mmである全厚を有すること、且つ/又は、前記吸着フィルタ材料は、1.5mmまでの全厚を有することを特徴とする請求項1〜19のいずれか1つに記載の吸着フィルタ材料。
【請求項21】
前記第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料、好ましくは第1の布状シート材料は、静菌剤及び/若しくは静菌性組成物、特に銀含有組成物及び/若しくは銀でコーティング又は漬浸され、前記組成物の量が、それぞれの布状シート材料の基づく重量比で、0.0001〜10重量%、特に0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜1重量%であることを特徴とする請求項1〜20のいずれか1つに記載の吸着フィルタ材料。
【請求項22】
前記第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料、好ましくは第1の布状シート材料が、親水性処理され及び/若しくは水吸収性処理されること、且つ/又は、前記第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料、好ましくは第2の布状シート材料が、防炎化処理されること、且つ/又は、前記第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料、好ましくは第2の布状シート材料が、帯電防止処理されること、且つ/又は、前記第1の布状シート材料及び/若しくは第2の布状シート材料、好ましくは第2の布状シート材料が、赤外線反射特性を有するように処理されることを特徴とする請求項1〜21のいずれか1つに記載の吸着フィルタ材料。
【請求項23】
前記吸着層、特に吸着剤粒子は、独立した活性炭粒子、好ましくは粒状活性炭又は球状活性炭からなることを特徴とする請求項1〜22のいずれか1つに記載の吸着フィルタ材料。
【請求項24】
前記吸着剤粒子、特に活性炭粒子のメジアン径は、0.01〜2mm、好ましくは0.05〜1mm、より好ましくは0.1〜0.5mmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜23のいずれか1つに記載の吸着フィルタ材料。
【請求項25】
前記吸着剤粒子、特に活性炭粒子は、40〜250g/m、特に50〜180g/m、好ましくは55〜130g/mの量で使用されることを特徴とする請求項1〜24のいずれか1つに記載の吸着フィルタ材料。
【請求項26】
前記活性炭が、該活性炭の総孔量に基づく大きなミクロ細孔量比率を有する活性炭であること、且つ/又は、前記活性炭が、該活性炭の総孔量に基づいて、少なくとも60%、特に少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%のミクロ細孔量比率を有することを特徴とする請求項1〜25のいずれか1つに記載の吸着フィルタ材料。
【請求項27】
前記活性炭が、総孔量に基づいて少なくとも60%、特に少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%の25オングストローム以下、好ましくは20オングストローム以下の孔径を有する細孔から形成されるミクロ細孔量比率を有する活性炭であることを特徴とする請求項1〜26のいずれか1つに記載の吸着フィルタ材料。
【請求項28】
前記活性炭が、少なくとも0.40cm/g、特に少なくとも0.45cm/g、好ましくは少なくとも0.50cm/gのカーボンブラック法によるミクロ細孔量、特に25オングストローム以下、好ましくは20オングストローム以下の孔径を有する細孔から構成されるミクロ細孔量を有する活性炭であることを特徴とする請求項1〜27のいずれか1つに記載の吸着フィルタ材料。
【請求項29】
前記活性炭が、該活性炭の所定の全表面積に基づいて、少なくとも70%、特に少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%の25オングストローム以下、好ましくは20オングストローム以下の孔径を有する細孔から形成される所定のミクロ細孔表面積比率を有する活性炭であることを特徴とする請求項1〜28のいずれか1つに記載の吸着フィルタ材料。
【請求項30】
前記活性炭が、カーボンブラック法によるミクロ細孔表面積、特に少なくとも400m/g、特に少なくとも800m/g、好ましくは少なくとも1000m/g、より好ましくは1200m/gの25オングストローム以下、好ましくは20オングストローム以下の孔径を有する細孔から形成されたミクロ細孔表面積を有する活性炭であることを特徴とする請求項1〜29のいずれか1つに記載の吸着フィルタ材料。
【請求項31】
前記活性炭は、多くて35オングストローム、好ましくは多くて30オングストローム、より好ましくは25オングストロームの平均孔径を有する活性炭であることを特徴とする請求項1〜30のいずれか1つに記載の吸着フィルタ材料。
【請求項32】
請求項1〜31のいずれか1つに記載の吸着フィルタ材料を具備し、及び/若しくは請求項1〜31のいずれか1つに記載の吸着フィルタ材料から製造される下着又は肌着として、皮膚に接して着用されるNBC防護衣服である衣料品。
【請求項33】
下着又は肌着として皮膚に接して着用されるNBC防護衣服である衣料品の製造において、請求項1〜31のいずれか1つに記載の吸着フィルタ材料を使用すること。


【図1】
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【公表番号】特表2010−534079(P2010−534079A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504475(P2010−504475)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【国際出願番号】PCT/EP2008/002125
【国際公開番号】WO2008/135114
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(505065467)ブリュッヒャー ゲーエムベーハー (27)
【Fターム(参考)】