説明

吸着ユニット、吸着装置、及びその再生方法

【課題】通電加熱方式を用いて、その中の吸着材料を再生する、吸着ユニット、吸着装置、及びその再生方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る吸着ユニットは、その中に流体チャネルが定義された電熱基板、及び前記電熱基板上に形成され、前記流体チャネルに接触し、前記流体チャネルを流れる気体内の水分または揮発性有機化合物(VOC)を吸着する吸着材料層を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着ユニット、吸着装置、及びその再生方法に関し、特に、通電加熱方式を用いてその中の吸着材料を再生する、吸着ユニット、吸着装置、及びその再生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な吸着材料は、活性炭、活性アルミナ、シリカゲル、ゼオライトなどである。吸着材料は、空気中の揮発性有機化合物(VOCs)または水分を吸着することができる。吸着材料は、マクロ細孔(約50nmより大きい細孔径)、メソ細孔またはマイクロ細孔(約2nmより小さい細孔径)を含む構造で形成され、高比表面積の吸着材となることができる。VOCまたは水分の分子は、ファンデルワールス力(Van der Waals force)によって吸着材料の表面に吸着される。吸着材料は、通常、複数タワー(multi-tower)構造または回転ホイール(rotary wheel)構造を有する吸着装置に用いられ、連続、継続的に動作を行う。
【0003】
吸着装置の吸着材料が飽和値に達した時、通常、吸着材料と吸着物間のファンデルワールス結合を切断(break)するために熱対流が用いられる。熱対流は、吸着されたVOCまたは吸着材料の表面からの水分の分子を脱着させて吸着材料を再生させる。吸着プロセス及び脱着プロセスは、吸着材料に重複して用いられ、空気中の異様な臭気の除去及び脱湿を提供する。
【0004】
しかしながら、熱対流による再生方法では、空気がまず加熱される必要があり、加熱された空気と吸着材料間の伝熱によって脱着が実行される。加熱機によって空気を加熱し、加熱された空気を脱着をするための吸着材料に送るプロセスでは、熱損失が生じ易く、且つ空気を加熱する加熱機の自体の加熱効率が十分でないため、脱着プロセスは、大量の電力消費を必要とする。また、サイズを縮小した、すなわち小型化した吸着装置では、往々にして熱交換のための十分な面積を持つ加熱機を実装するのに十分な空間がない。よって、空気の加熱中、加熱機の表面の極端な高温により、余分な輻射(放射)熱損失が通常生じる。
【0005】
図1は、台湾特許出願公開201026374に開示された乾燥ホイール(desiccant wheel)を用いた従来の家庭用コンデンス除湿機(condensing dehumidifier)のエネルギー消費分析を示している。そこに用いられる加熱機の表面の極端な高温により、加熱機で消費されるほとんどのエネルギーは、輻射式で放出される。従来の家庭用コンデンス除湿機の電力消費分析では、凝縮量(condensing amount)は、約6.6リットル/日(20℃、60%RH)、加熱機の電力消費は、約600ワットであり、その中の479ワットは、輻射熱用で、121ワットのみが空気を加熱するのに用いられる。
【0006】
図2は、台湾特許出願公開201026374に開示された低消費エネルギー脱着方法である。前記方法は、除湿材料30の両側に例えば網状金属電極310の電極構造31と32を接合し、電圧源33がブラシ330と接続されることにより電気エネルギーが供給され、それによって、再生領域内での水分子の電子励起が引き起こされ、水分子が吸着材から脱着するエネルギーを得る。しかしながら、上述の方法の再生能力は、例えばVOCまたは水分などの吸着物と吸着材料間の電気伝導率によって決まる。吸着材料は、不規則な多孔質構造であり、発生されたエネルギーは、水分子と結合された吸着材料に電気エネルギーを供給する時の不均一な電気伝導率と加熱の問題により、再生の不均一性の問題を招く可能性があり、吸着の効果及び吸着装置の再生の効果は低下する。また、電極構造31と32の網状金属電極310は、再生に用いるチャネルをブロックすることがあるため、再生脱着プロセスに用いる有効な表面積が減少する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
よって、このような欠点を解決する吸着ユニット、吸着装置、及びその再生方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の吸着ユニットは、中に(内側に)流体チャネルが定義、規定されるように実質的に筒状に構成された電熱基板、及び、電熱基板の流体チャネル側に形成され、流体チャネルに露呈し、流体チャネルを流れる気体内の水分または揮発性有機化合物(VOC)を吸着する吸着材料層を含む。
【0009】
また、本発明の吸着装置は、その中(内部、内側に)空間に規定されるように形成された絶縁フレーム、絶縁フレームの空間に収容されて規則的に配置された複数の上述の吸着ユニット、及び絶縁フレームの外表面上に配置され、複数の吸着ユニットに電気的接続された複数の接触電極板を含む。
【0010】
また、本発明の吸着ユニットの再生方法は、少なくとも1つの吸着物が吸着材料層の表面に提供される吸着ユニットを提供するステップ、電源を提供し、電源を吸着ユニットの電熱基板に接合するステップ、及び電源によって電流を電熱基板に提供し、電熱基板が熱エネルギーを発生し、熱エネルギーは、吸着材料層に熱伝導されて吸着材料を加熱し、流体チャネルへの少なくとも1つの吸着物を脱着するステップを含む。
【0011】
詳細な説明は、添付の図面と併せて以下の実施形態に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、乾燥ホイールを用いた従来の家庭用コンデンス除湿機のエネルギー消費分析結果を示す図である。
【図2】図2は、従来の低消費エネルギー脱着方法を示す概略図である。
【図3】図3は、本発明の吸着ユニットの一実施形態を表す図である。
【図4】図4は、図3に示す吸着ユニットの再生プロセスを表す図である。
【図5】図5は、本発明の吸着装置の一実施形態を表す断面図である。
【図6】図6は、本発明の吸着装置の他の実施形態を表す断面図である。
【図7】図7は、本発明の吸着装置のさらに他の実施形態を表す断面図である。
【図8】図8は、本発明の吸着装置のさらに他の実施形態を表す断面図である。
【図9】図9は、本発明の吸着装置の一実施形態を表す斜視図である。
【図10】図10は、図9に示された吸着装置の断面を表す斜視図である。
【図11】図11は、本発明の吸着装置の他の実施形態を表す斜視図である。
【図12】図12は、本発明の吸着装置のさらに他の実施形態を表す斜視図である。
【図13】図13は、本発明の吸着装置のさらに他の実施形態を表す斜視図である。
【図14】図14は、本発明の実施形態に基づく単一タワー(single-tower)タイプ吸着装置を表す図である。
【図15】図15は、本発明の実施形態に基づくツインタワー(twin-tower)タイプ吸着装置を表す図である。
【図16】図16は、本発明の実施例に係る吸着ユニットの断面を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明は、本発明を実施するベストモードが開示されている。この説明は、本発明の一般原理を例示する目的のためのもので本発明を限定するものではない。本発明の範囲は、添付の請求の範囲を参考にして決定される。
【0014】
図3は、電熱基板102、熱伝導接着層104、及び吸着材料層106を含む例示的な吸着ユニット100を表しており、熱伝導接着層104は、吸着材料層106に用いられる材料によって選択的に形成されることができる任意選択層である。熱が、直接、電熱基板102を吸着材料層106と接触させることで伝導されるか、またはその間に配置された熱伝導接着層104を介して電熱基板102を吸着材料層106と接触させることで伝導されるかに関わらず、熱脱着プロセスは、電熱基板102によって発生された熱エネルギーの熱伝導によって吸着材料層106に対して行われる。
【0015】
熱電基板102は、1つの実施形態として、超伝導加熱板(super conductive heating plates)、正温度係数(PTC)サーミスタ、または例えばタングステンフィラメントまたは他の熱電(thermal electrical)材料などの他の電熱材料を含むことができる。
【0016】
熱伝導接着層104は、電熱基板102と吸着材料層106との間に選択的に形成される。熱伝導接着層104は、例えばケイ素酸化物及びアルミニウム酸化物などの無機接着剤またはバインダー、或いは例えばポリビニルブチラール(poly(vinyl butyral))及びポリビニルアルコール(poly(vinyl alcohol))などの有機接着剤またはバインダーなどの、導熱性、耐熱性及び絶縁性の材料を含むことができる。
【0017】
吸着材料層106は、1つの実施形態として、例えばシリカゲル、活性アルミナ、ゼオライト、または活性炭などの多孔質吸着材を含むことができる。この時、吸着材料層106は、熱伝導接着層104をその間に介在させることなく電熱基板102上に直接形成されるか、または、熱伝導接着層104によって電熱基板102の内壁に接着され、これにより、電熱基板102に流体チャネル110が定義される。流体は、液体と気体を含む物質の相のサブセット(subset)を指す。いくつかの実施形態では、気体流は、流体の1つの形を例示する。
【0018】
図3に示されるように、吸着ユニット100の吸着動作(吸着プロセス)中、揮発性有機化合物(VOC)または水分を含む気流112は、流体チャネル110内に導入され、気流112のVOCまたは水分が吸着材料層106によって吸着される。吸着材料層106によって吸着されたVOCまたは水分は、吸着物114として示されている。この時、流体チャネル110から流れ出ることができる処理された気流116は、より低い湿度またはより低いVOC濃度を含むため、周囲の空気を浄化する目的が達成される。
【0019】
図4では、吸着ユニット100が一定期間、吸着プロセスで動作された時、吸着材料層106は、飽和状態に達する可能性がある。よって、吸着ユニット100を再生する脱着プロセスが必要とされる。この時、吸着ユニット100は、例えば直流(DC)電源または交流(AC)電源の電源108と接続され、電熱基板102は、電源108と直接または間接的に接続され、電源108は、所定の電圧を提供し、電熱基板102を直接加熱し、次いで熱エネルギー118を発生する。供給される電圧は、電熱基板102あるいは吸着ユニット100の体積等に応じて決められる必要な電気エネルギー量に応じて決められる。
【0020】
電熱基板102によって発生された熱エネルギー118は、吸着材料層106に直接伝播するか、または熱伝導接着層104の熱伝導によって吸着材料層106を加熱する。その結果、吸着材料層106上の吸着物114は、熱エネルギーを受けた後、脱離が達成されるまで、吸着材料層106の表面から脱離可能(脱着可能)な状態となる。再生の動作中(脱着プロセス中)、例えば乾燥空気流などの他の気流120が流体チャネル110内に更に導入され、吸着材料層106から脱離可能(脱着可能)な状態とされた吸着物114と結合される。その結果、吸着物114は吸着材料層106から脱離される。このようにして流体チャネル110から流出した気体122は、より高い湿度またはより高いVOC濃度を含み、これにより吸着ユニット100の再生プロセスは達成される。
【0021】
図4に示されるように、吸着ユニット100においては、再生プロセス中、電源108によって電熱基板102から発生された熱エネルギー118は熱伝導接着層104を直接且つ均一に加熱するため、再生プロセスの熱損失は大幅に減少される。熱損失は、電熱基板102、熱伝導接着層104、及び吸着材料層106の材料の熱(thermotic)損失によってのみ発生する。よって、脱着効果は大幅に改善される。
【0022】
図5〜図8は、図3及び図4に示された吸着ユニット100を含む吸着装置の断面図であり、吸着装置200の異なる領域は、規則的に配列された複数の吸着ユニット100で配列されることができる。各吸着ユニット100の電熱ユニット100は、例えば長方形(図5)、六角形(図6)、波形(図7)、または螺旋形(図8)の異なる幾何学形状を含み得る。注意するのは、吸着ユニット100の形状は、上述の形状を限定するものではなく、他の形状でもよい。
【0023】
1つの実施形態では、吸着装置200は、その中に複数の吸着ユニット100を統合した輪状体であることができる。図9に示されるように、吸着装置200は、複数の接合されて規則的に配置された吸着ユニット100を含み、これらの吸着ユニット100は、絶縁フレーム202(本実施形態では絶縁の輪状体として示される)で包まれ、複数の絶縁板204が吸着装置200に配置され、その中に複数の領域を定義する。すなわち絶縁板204は、輪状体内部を、各々が複数の吸着ユニット100を含むような複数の領域に分割し、これにより各領域を定義する。吸着装置200は、吸着装置200を固定する輪状体軸心206を更に含む。
【0024】
図9に示す例においては、複数の絶縁板204は、輪状態の内部に、輪状体軸心206を中心として径方向に、輪状体軸心206の周囲に等配に設置されており、輪状体の内部を周方向に沿って複数の領域に分割している。
【0025】
複数の接触電極板208は、複数の一部の絶縁フレーム202上の表面上に形成され、吸着装置200の吸着ユニット100は、よって、接触電極板208によって外部電源と電気的接続されて再生プロセスを実行する。
【0026】
図10には、図9に示された吸着装置のライン7−7に沿った径方向の断面が示されている。図10に示すように、接触電極板208及び吸着ユニット100は、絶縁フレーム202を貫通する導電金属板210によって接合され、これにより、外部電源からの電流が吸着ユニット100に送られる。
【0027】
図11及び図12は、図9に示された吸着装置200と同様の吸着装置200’を表しており、実質的に同じ構成要素には同一の番号が付けられている。図11に示す吸着装置200’は、図9に示した吸着装置200と同様の構成要素を含み、ガス入口側に配置されたガス入口キャップ212、及び、ガス出口側に配置されたガス出口キャップ214を更に含む。
【0028】
ガス入口キャップ212は、吸着装置200’内に吸着領域216及び脱着領域218を定義する。吸着領域216には、吸着プロセス用の気体流220が導入され、吸着プロセスが進められる。また、脱着領域218には、脱着プロセス(再生プロセス)用の気体流222が導入され、吸着物の脱着を助け、吸着物を気体流222とともに吸着装置200’から離脱させる。ガス出口キャップ214にも、ガス入口キャップ212の吸着領域216と脱着領域218に対応する吸着領域と脱着領域(図示されていない)が形成されており、吸着されて脱着された気体流を他の適切な領域に導入する。なお、これら吸着領域216及び脱着領域218は、図9を参照して例示した輪状体の内部に絶縁板204により定義した領域に対応する大きさ、形状としてもよいし、異なる大きさ、形状であってもよい。
【0029】
吸着物の脱着がより高い脱着温度、例えば、180℃以上の温度を有する水分または100〜160℃以上の温度を有するVOCを必要とする時は、図12に示された吸着装置200の構造を用いることができる。予冷領域224は、ガス入口キャップ212の脱着領域218に隣接して増設されるのが好適である。予冷気体流226は、脱着領域218の散熱(放熱)を加速するように導入されることができるため、脱着領域218に定義されて脱着プロセスを経た後、吸着領域に定義されて吸着プロセスに入る前に予冷領域で予冷されることにより、後続の吸着プロセスの動作を直ちに効果的に機能させるために役立つ。
【0030】
もう1つの実施形態では、吸着装置は、複数の吸着ユニット100と統合される立方状体、例えば図13に示された吸着装置400であることができる。ここでは、吸着装置400は、接続されて規則的に配置された複数の吸着ユニット100を含み、複数の吸着ユニット100は、立方状構造を形成し、絶縁フレーム402は、その外側から立方体構造を包み、立方体構造を保護して絶縁する。1セットの接触電極板404及び406は、絶縁フレーム402の上に配置され、吸着ユニット100及び外部電源(図示されていない)と電気的接続するため、電流が吸着ユニット100の電熱基板102に導入されるようにし、それを直接加熱して脱着プロセスを実行する。ここでは、吸着装置400は、図14及び図15に示されるように、単一タワータイプ吸着装置、またはツインタワータイプ吸着装置にそれぞれ用いられることができる。
【0031】
図14では、図13に示された吸着装置400と統合された単一タワータイプ吸着装置500が示されている。ここでは、単一タワータイプ吸着装置500は、ガス入口キャップ502、吸着装置400、及びガス出口キャップ504を含む。ガス入口キャップ502は、吸着装置400のガス入口側と接合され、吸着動作中、吸着の気体流506を単一タワータイプ吸着装置500に導入するか、または脱着動作中、外部気体流508を単一タワータイプ吸着装置500に導入し、脱着物を含む気体流を単一タワータイプ吸着装置500から排出させる。ガス出口キャップ504は、吸着装置400のガス出口側と接合され、吸着プロセスによって既に処理された気体流510、または脱着物を含む気体流512を単一タワータイプ吸着装置500から適切な所に排出させる。この実施形態では、単一タワータイプ吸着装置500は、よって吸着及び脱着機能の両方を行うことができる。
【0032】
図15は、図13に示された吸着装置400と統合されたツインタワータイプ吸着装置600を表している。ここでは、ツインタワータイプ吸着装置600は、2セットの吸着装置400を含み、吸着装置400のガス入口側は、ガス入口キャップ602とそれぞれ接合され、吸着動作中、吸着の気体流606をツインタワータイプ吸着装置600内に導入するか、または脱着動作中、外部気体流808をツインタワータイプ吸着装置600に導入し、脱着物を含む気体流をツインタワータイプ吸着装置600から排出させる。
【0033】
ガス出口キャップ604は、吸着装置400のガス出口側と接合され、吸着プロセスによって既に処理された気体流610、または脱着物を含む気体流612を単一タワータイプ吸着装置600から適切な所に排出させる。この実施形態では、ツインタワータイプ吸着装置600は、2セットの吸着装置400を含み、1セットの吸着装置400が吸着プロセスを実行する時、もう1セットの吸着装置400が吸着プロセスを実行するため、処理されている吸着量が増加され、脱着プロセス時間が減少されることができる。ツインタワータイプ吸着装置600は、制御バルブ620及び630によってツインタワータイプ吸着装置600の入口配管のオン/オフ状態(on/off states)を交互に行うことで制御されることができる。
【0034】
実施例
図16では、三角形の電熱基板102を含む例示的な吸着ユニットの断面が示されている。吸着材料層106は、三角形の電熱基板102の内表面上に形成されてチャネル110を定義する。ここでは、電熱基板102は、約0.05mmの厚さを有し、吸着材料層106は、約0.5mmの厚さt1を有する。電熱基板102は、約5mmの長さを有し、チャネル110は、約20mmの長さを有する。再生用の気体流(図示されていない)が2m/s及び25℃の条件における吸着装置のチャネル110内に導入された時、吸着装置の吸着材料層106の脱着プロセス中に必要な熱エネルギーは、以下のように計算される。
【0035】
直熱(thermal heating)基板102は、アルミニウム合金でできており、約0.21cal/g−℃の特定の熱容量(Cp)、約210〜255w/m−kの熱伝導係数(k)、及び約2.7g/cmを有する。吸着材料層106は、分子篩でできており、約0.95cal/g−℃の特定の熱容量(Cp)、約0.588w/m−kの熱伝導係数(k)、及び約2.03g/cc(湿(dry))、1.57g/cc(乾燥dry)の密度を有する。
【0036】
次式(1)により計算されるように、分子篩の塗布断面積は、約6.22mmである。また、分子篩の塗布体積は、約6.2×20=124mm=1.24ccである。吸着材料層の乾燥重量は、約1.57g/cc×1.24=1.95gである。
【0037】
【数1】

【0038】
温度140℃で再生されるのに必要な吸着材の水分吸着量10wt%に基づくと、水分量は、約1.95×10%=0.195gである。チャネル110は、3wの電力で100秒加熱される。よって、エネルギー消費は、約3×10=300Jである。グラム当たりの水分脱着のエネルギー消費は、約300J/0195g=1540J/gである。上述の計算に基づき、注意するのは、脱着プロセスが直接加熱によって行われると、水分吸着量が10%の時、エネルギー消費は、1540J/gであり、水分吸着量が5%の時、エネルギー消費は、3080J/gである。
【0039】
図1に示された乾燥ホイールを用いた従来の家庭用コンデンス除湿機のエネルギー消費分析と比較するか、または台湾特許出願公開201026374に開示された電極によって行われる通電脱着(electrical desorption)方式によって得られる4200〜4700J/gのエネルギー消費と比較しても、上述の実施形態の吸着ユニットは、その再生プロセス中、より少ないエネルギーが消費され、そのエネルギー消費は、台湾特許出願公開201026374に開示されたエネルギー消費の約30〜70%だけである。
【0040】
よって、本発明に基づく吸着ユニット及び再生方式は、エネルギー消費がより減少する利点を有する。また、その脱着とその再生用に、吸着ユニット及び吸着装置は、その中に電熱基板が統合されるため、余分な加熱機を用いることが回避される。よって、体積が減少された吸着ユニット及び吸着装置が提供され得る。
【0041】
この発明は、実施例の方法及び望ましい実施の形態によって記述されているが、本発明は、これらを限定するものではないことは理解される。逆に、種々の変更及び同様の配置をカバーするものである(当業者には明白なように)。よって、添付の請求の範囲は、最も広義な解釈が与えられ、全てのこのような変更及び同様の配置を含むべきである。
【符号の説明】
【0042】
30 除湿材料
31、32 電極構造
33 電圧源
310 網状金属電極
330 ブラシ
100 吸着ユニット
102 電熱基板
104 熱伝導接着層
106 吸着材料層
108 電源
110 流体チャネル
112 気流
114 吸着物
116 気流
118 熱エネルギー
120 気流
122 気流
200、200’ 吸着装置
202 絶縁フレーム
204 絶縁板
206 輪状体軸心
208 接触電極板
210 導電金属板
212 ガス入口キャップ
214 ガス出口キャップ
216 吸着領域
218 脱着領域
220 気体流
222 脱着プロセス用の気体流
224 脱着プロセス用の気体流
226 予冷気体流
400 吸着装置
402 絶縁フレーム
404、406 接触電極板
500 単一タワータイプ吸着装置
502 ガス入口キャップ
504 ガス出口キャップ
506 吸着の気体流
508 外部気体流
510 吸着プロセスによって既に処理された気体流
512 脱着物を含む気体流
600 ツインタワータイプ吸着装置
602 ガス入口キャップ
604 ガス出口キャップ
606 吸着の気体流
608 外部気体流
610 吸着プロセスによって既に処理された気体流
612 脱着物を含む気体流
620、630 制御バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側に流体チャネルが規定されるように形成された電熱基板、及び
前記電熱基板の前記流体チャネル側に形成され、前記流体チャネルに露呈し、前記流体チャネルを流れる気体内の水分または揮発性有機化合物(VOC)を吸着する吸着材料層
を含む吸着ユニット。
【請求項2】
前記電熱基板は、超伝導加熱板または正温度係数サーミスタを含む請求項1に記載の吸着ユニット。
【請求項3】
前記電熱基板と前記吸着材料層との間に配置された熱伝導接着層を更に含み、当該熱伝導接着層は、有機または無機接着剤、またはバインダーを含む請求項1に記載の吸着ユニット。
【請求項4】
前記無機接着剤は、ケイ素酸化物及びアルミニウム酸化物を含む請求項3に記載の吸着ユニット。
【請求項5】
前記有機接着剤は、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、またはその組み合わせを含む請求項3に記載の吸着ユニット。
【請求項6】
前記吸着材料層は、多孔質吸着材を含む請求項1に記載の吸着ユニット。
【請求項7】
前記多孔質吸着材は、シリカゲル、活性アルミナ、ゼオライト、または活性炭を含む請求項1に記載の吸着ユニット。
【請求項8】
内部に空間が規定されるように形成された絶縁フレーム、
前記絶縁フレームの前記空間に収容されて規則的に配置された請求項1に記載の複数の吸着ユニット、及び
前記絶縁フレームの外表面上に配置され、前記複数の吸着ユニットに電気的接続された複数の接触電極板
を含む吸着装置。
【請求項9】
前記絶縁フレームは、絶縁の輪状体であり、
前記吸着装置は、
前記絶縁の輪状体内に配置され、当該輪状体内に配置された前記複数の吸着ユニットを、各々が複数の前記吸着ユニットを含む複数の領域に分割定義する複数の絶縁板、及び
前記絶縁の輪状体の中心に配置されて前記吸着装置を固定するための軸心
を更に含む請求項8に記載の吸着装置。
【請求項10】
前記絶縁の輪状体を貫通し、前記吸着ユニットを前記接触電極板の1つと接合させる導電金属板を更に含む請求項9に記載の吸着装置。
【請求項11】
ガス入口キャップ及び前記絶縁の輪状体の反対側に配置されたガス出口キャップを更に含み、
前記ガス入口キャップ及び前記ガス出口キャップは、前記吸着装置内の吸着領域及び脱着領域を定義する請求項9に記載の吸着装置。
【請求項12】
前記ガス入口キャップ及び前記ガス出口キャップは、前記吸着装置内に予冷領域を更に定義し、前記予冷領域は、前記脱着領域に隣接する請求項11に記載の吸着装置。
【請求項13】
前記絶縁フレームは、絶縁の立方状フレームであり、
前記絶縁装置は、
前記絶縁の立方状フレームの1つ側に接合されたガス入口キャップ、及び
前記絶縁の立方状フレームのもう1つ側に接合された、前記ガス入口キャップに相対するガス出口キャップ
を更に含む請求項8に記載の吸着装置。
【請求項14】
前記吸着装置は、タワータイプ吸着装置である請求項13に記載の吸着装置。
【請求項15】
少なくとも1つの吸着物が 前記吸着材料層の表面に提供される、請求項1に記載の吸着ユニットを提供するステップ、
電源を提供し、前記電源を前記吸着ユニットの前記電熱基板に接合するステップ、及び
前記電源によって電流を前記電熱基板に提供し、前記電熱基板が熱エネルギーを発生し、前記熱エネルギーは、前記吸着材料層に熱伝導されて吸着材料を加熱し、前記流体チャネルへの前記少なくとも1つの吸着物を脱着するステップを含む
吸着ユニットの再生方法。
【請求項16】
前記電流は、直流または交流である請求項15に記載の再生方法。
【請求項17】
前記気流を前記流体チャネルに導入し、前記吸着材料層から脱着された前記少なくとも1つの吸着物と結合され、前記吸着ユニットから前記少なくとも1つの吸着物を脱離させる請求項15に記載の再生方法。
【請求項18】
前記気流は、乾燥空気流を含む請求項17に記載の再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−59760(P2013−59760A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−155228(P2012−155228)
【出願日】平成24年7月11日(2012.7.11)
【出願人】(390023582)財團法人工業技術研究院 (524)
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【Fターム(参考)】