説明

吸着剤、その製造方法及びそれを用いたSr−90/Y−90発生器

本発明は、吸着剤、その製造方法及びそれを用いたストロンチウム/イットリウム発生器に関するもので、より詳細には、吸着剤の骨格構造であるシリカ表面に有機シロキサン官能基およびリン酸基を有する、二官能性有機シラン化合物を有する放射性同位元素吸着剤、および放射性同位元素吸着剤の製造方法、および放射性同位元素吸着剤を用いたストロンチウム/イットリウム発生器に関するものである。放射性同位元素吸着剤は、90Yに対し高い吸着容量、例えば吸着剤0.4gを充填したカラムを用いて、高純度のY90で、ICi90Sr/90Yから95%以上の抽出率を有するため、90Yを必要とする分野で有用に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着剤、その製造方法及びそれを用いた90Sr/90Y発生器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
90Yは、医療のための放射性同位元素であり、臨床に使用されている。90Yの使用増えるにつれて、過去幾年にわたって多様な型の発生器システムが開発されている。
【0003】
しかしながら、現在、登録された特許のほとんどは、金属錯化剤を用いた溶媒抽出プロセス、常用吸着剤を用いた分離プロセス、およびそれに類似するものなどのプロセス特許である。
【0004】
従来技術を詳しく見ると、特許文献1は、イットリウムの分離法を開示し、ここでは鉱酸水溶液ならびに有機酸および有機リン酸溶液の少なくとも一種にイットリウム含有混合物を溶解させた溶液を、多段式液体−液体抽出システムで逆流接触させて、溶質を抽出し、その後抽出した溶質を抽出システムの第一工程に戻して再び逆流接触手順をさらに行い、イットリウム含有溶液を回収し、その後回収したイットリウム溶液と他の溶媒(この溶媒のうち、少なくとも種は初めに使用した溶媒と異なる)とを混合し、混合溶液を形成し、その後その混合溶液を互いに多段式で逆流接触させて溶質を回収し、その後抽出した溶質を多段式液体−液体抽出システムの第一工程に戻し、純粋なイットリウム含有溶液を分離している。
【0005】
特許文献2には、以下の工程:
(a)水溶液に90Sr硝酸塩及び90Y硝酸塩を含む放射性ストロンチウム硝酸塩を溶解する工程;
(b)混合溶液を蒸発させ、その後1次乾燥し、固体を得る工程;
【0006】
(c)固体を80重量%以上の硝酸に接触させ、これにより90Yが酸溶液に溶解してストロンチウムが固体として沈澱する工程;及び
(d)90Yを含む酸溶液から固体を分離し、これにより90Yを精製する工程、
を含む90Srから90Yを精製する方法を開示している。
【0007】
しかしながら、上記溶媒抽出プロセスは、多量の放射性有機廃液を発生させるという問題がある。
【0008】
したがって、最近では、主に吸着プロセスが用いられており、2段、3段、またはそれ以上のカラム段階を用いて、90Y溶液の90Sr/90Y比10―5〜10―8を有する最終90Y溶液を得る技術が開発されている。特に、90Srは、28.8年という半減期を有し、人体内に吸収される場合には、骨に蓄積するため、含有量が90Y溶液1Ci当たり20μCi以下に厳格に制限されている放射性同位元素である。
【0009】
特許文献3は、以下:90Srの供給源を含む水溶液から無機イオン交換物質上に90Srを吸着する工程;及び5以上のpHを有し、キレート剤を含む溶液で前記無機イオン交換物質から90Yを溶離する工程を含む、90Srから90Yを分離する方法を開示している。
【0010】
特許文献4は、フェルト型の炭素またはグラファイトに吸着された有機リン化合物などの疎水性キレート抽出剤を用いる、水溶液中の金属イオンを分離する方法を開示し、また異なるpHで選択的に90Yを吸着するように設計された二つの抽出カラムを含むる90Y発生器システムを開示している。
【0011】
しかしながら、このような無機イオン交換物質または疎水性キレート抽出剤などの溶媒抽出剤を用いる場合、放射線によって有機物が分解されて分解され、毒性物質が90Yと一緒に放出されるという問題がある。
【0012】
したがって、本発明者等は、人体に有害な毒性物質が発生することなく、単純なプロセスを通して90Y溶液を製造するためのシステムを構築しようと努力を重ねた。その結果、、二官能性有機シラン化合物、例えば吸着剤の骨格構造であるシリカへのリン酸基を導入することによって調製した吸着剤が、90Srに対して非常に低い親和性を有し、90Yに対して非常に高い親和性を有することを見出した。本明細書中に示される式を介した吸着剤を構成することおよびカラム材料としての使用により、吸着カラムを1段で使用しても高純度の90Yを生産することができる。これらの発見に基づき、本発明を完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】韓国登録特許第3034号
【特許文献2】米国公開特許第2006/0018813号
【特許文献3】米国公開特許第2004/0005272号
【特許文献4】米国公開特許第2004/0164025号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明は、従来技術において生じる上記問題に留意しており、本発明の課題は90Y発生器用吸着剤を提供することである。
【0015】
本発明の別の課題は、吸着剤の調製方法を提供することである。
【0016】
本発明のまた別の課題は、吸着剤を用いた90Y発生器を提供することである。
【0017】
本発明のまた別の課題は、吸着剤を用いて、90Srおよび90Yを含む溶液から、90Yを分離する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、本発明は、90Y発生器用吸着剤を提供する。
【0019】
また、本発明は、吸着剤の調製方法を提供する。
【0020】
さらに、本発明は、前記吸着剤を用いた90Y発生器を提供する。
【0021】
また、本発明は、吸着剤を用いて、90Srおよび90Yを含む溶液から、90Yを分離する方法を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明による放射性同位元素吸着剤は、90Yに対する高い吸着容量および95%以上の選択性を有し、1段カラムシステムを用いることによって、高純度の90Yを抽出することができ、したがって90Yを必要とする分野で有用に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
上記および他の課題、構成および本発明の利点は、付随する図と併せて以下の詳細な説明からより明確に理解されるであろう。
【図1】は、本発明の一態様例による吸着カラムを示す写真である。
【図2】は、本発明の一態様例による多様なpHでのイットリウムとストロンチウムの吸着率を示すグラフである。
【図3】は、本発明の一態様例によるpHによるイットリウムとストロンチウムの吸着選択性を示すグラフである。
【図4】は、本発明の一態様例による洗浄溶液の量によるストロンチウム/イットリウム比を示すグラフである。
【図5】は、本発明の一態様例による異種吸着剤を用いた2段カラムシステムを示す概略図である。
【図6】は、本発明の一態様例による同種吸着剤を用いた2段カラムシステムを示す概略図である。
【図7】は、本発明の一態様例による同種吸着剤を用いた2段カラムシステムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい態様を図を添付の図を参照しながら詳細を記載する。
本発明は、90Y発生器用吸着剤を提供する。

本発明による吸着剤を、吸着剤の骨格構造であるシリカ上に、有機シロキサン官能基およびリン酸基を有する二官能性有機シラン化合物を導入することによって調製する。
【0025】
金属(90Y)イオン分離に用いられる有機・無機複合材料の開発において最も重要な要素は、有機・無機複合材料気孔表面で金属イオンと反応して、溶液から金属イオンを分離する機能性リガンドの合成である。このようなリガンドを有機−無機複合物質の気孔表面に挿入するためには、リガンドの両端に互いに相異した反応基を有していなければならない。すなわち、一方の端には金属イオンと結合することができるN、O、S、Pなどの元素を有する官能基を有していなければならず、もう一方の端には有機・無機複合材料の骨格構造である、シリカマトリックスを一体的に構成し得る有機シロキサン官能基を有していなければならない。このような化合物を二官能性有機シラン化合物(bifunctional organosilane compounds)という。このような化合物は、一部市販されているが合成と精製が容易ではなく、その数が制限的である。したがって、本発明では、所与の条件において、ランタン系列元素と反応するかまたはアルカリ金属とは容易に反応しない二官能性有機シラン化合物を製造した。
【0026】
本発明による吸着剤において、有機シロキサン官能基とリン酸基を有する二官能性有機シラン化合物は、下記化学式1または2で表わされる分子構造を有してもよい。
【0027】
【化1】

【0028】
(式中、RはC〜Cの直鎖または分枝鎖アルキル基で、MはH、Na、Kまたは同様のもの、およびnは1〜10の整数である。)
【0029】
【化2】

【0030】
(式中、MはH、Na、Kまたは同様のもの、およびnは1〜10の整数である。)
【0031】
本発明者等は、前記化学式1で示される二官能性有機シロキサン化合物がシリカ表面に結合した吸着剤をKRI−POSと命名し、前記化学式2で示される二官能性有機シロキサン化合物がシリカ表面に結合した吸着剤をKRI−PSOと命名した。
【0032】
本発明の吸着剤において、KRI−POSまたはKRI−PSOは、所定のP:Si比を有する。P:Si比は1:3〜1:11であってよく、好ましくは1:3〜1:6である。
【0033】
本発明の吸着剤において、吸着剤の粒子サイズは、50〜500μmの粒子サイズであってよいが、これに限定されない。粒子の大きさが50μm未満または500μmより大きい場合においても吸着容量には問題がない。しかしながら、前記範囲を逸脱する場合には、吸着カラム内で溶媒の流れが円滑になされなかったり放射性同位元素の吸着および脱着が遅延したりし得る。
【0034】
本発明による吸着剤において、KRI−POSまたはKRI−PSOは、ゾル・ゲル法を通して調製することができる。
【0035】
本発明において、KRI−POSの調製方法は、以下の工程:
テトラエトキシシラン(TEOS)及び塩酸(塩酸には限定されず他の鉱酸)とアルコールとを混合し、その後撹拌して反応混合物を形成する工程(工程1);
工程1で形成した反応混合物に3−トリヒドロキシプロピルメチル−ホスホネート(POS)を添加して撹拌し、ゲルを形成する工程(工程2);及び
工程2で形成したゲルを熟成、乾燥及び粉砕し、吸着剤を調製する工程(工程3);
を含んでもよい。
【0036】
まず、工程1において、テトラエトキシシラン(TEOS)及び塩酸をアルコールと混合し、撹拌する。
【0037】
ここで、前記アルコール溶液は、アルキルアルコール、アリルアルコールおよびこれらの混合物から選択されてもよく、また塩酸は大量の水で希釈して使用してもよく、本発明において0.1〜0.15Mの濃度を有する塩酸を使用してもよい。
【0038】
この工程において、エタノール:TEOS:水:HClのモル比は、4:1:12〜24:0.001〜0.05であることが好ましい。
【0039】
次に工程2において、前記工程1で製造された反応混合物に3−トリヒドロキシプロピルメチル−ホスホネート(POS)を添加撹拌してゲルを形成する。
【0040】
この工程において、3−トリヒドロキシプロピルメチル−ホスホネート(POS)は、TEOS:POS比2〜10:1の比を有するように反応に添加することが好ましい。
【0041】
次に工程3において、工程2で形成されたゲルを熟成、乾燥及び粉砕し、吸着剤を調製する。
【0042】
具体的には、この工程において、工程2で形成されたゲルを、約24時間放置して熟成させ、その後80℃で乾燥させる。続いて、乾燥したゲルを、乳鉢と乳棒を用いて粉砕し、好ましくは50〜500μmの粒子サイズを有する均一なKRI−POS粒子を得る。
【0043】
その後、得られたKRI−POS粒子を、アルコールまたはアセトンなどの有機溶媒で洗浄し、その後乾燥して、純粋なKRI−POS粒子を得る。
【0044】
本発明の別の態様において、前記KRI−PSOの調製方法は、以下の工程:
ジエチルホスファートエチルトリエトキシシラン(PSA)、テトラエトキシシラン(TEOS)及び塩酸(または他の鉱酸)をアルコール溶液と混合し、その後撹拌して、反応混合物を形成する工程(工程a);
工程aで形成した反応混合物にトリエチルアミン(TEA)を添加し、その後撹拌してゲルを形成する工程(工程b);
工程bで形成したゲルを熟成、乾燥及び粉砕してKRI−PSA粒子を調製する工程(工程c);及び
工程cで形成したKRI−PSA粒子からアルキル基を除去して吸着剤を調製する工程(工程d);
を含む。
【0045】
まず、工程aにおいて、ジエチルホスファートエチルトリエトキシシラン(PSA)、テトラエトキシシラン(TEOS)及び塩酸とアルコール溶液とを混合し、その後撹拌する。
【0046】
ここで、アルコール溶液は、アルキルアルコール、アリルアルコールまたはそれらの物から選択されてもよく、塩酸は大量の水で希釈して使用してもよく、本発明において0.1〜0.15Mの濃度を有する塩酸を使用することが好ましい。
【0047】
この工程において、エタノール:TEOS:PSA:水:HCl比は、16:1:2〜16:6〜30:0.01〜0.3であることが好ましい。
【0048】
次に、工程bにおいて、前記工程aで形成された反応混合物にトリエチルアミン(TEA)などの有機塩基性化合物やアンモニアのような無機塩基性溶液を添加して、その後撹拌してゲルを形成する。
【0049】
この工程において、トリエチルアミン(TEA)は、PSA:TEA比1:0.01〜0.6を有するように反応に添加することが好ましい。
【0050】
次に工程cにおいて、工程bで形成されたゲルを熟成、乾燥及び粉砕してKRI−PSA粒子を形成する。
【0051】
具体的には、工程bで形成されたゲルを、約24時間放置して熟成させ、その後、80℃で乾燥させる。続いて、乾燥したゲルを、乳鉢と乳棒を用いて粉砕し、好ましくは50〜500μmの均一な粒子サイズを有するKRI−PSA粒子を得る。
【0052】
その後、アルコールまたはアセトンなどの有機溶媒で洗浄し、その後乾燥して、純粋なKRI−PSA粒子を得る。
【0053】
次に工程dにおいて、工程cで形成された吸着剤のKRI−PSAからアルキル基を除去して吸着剤を形成する。
【0054】
この工程において、工程cで形成されたKRI−PSAを濃塩酸に入れて還流下で数時間〜数十時間加熱し、ろ過し、その後蒸留水で洗浄する。
【0055】
その後、アルコール、アセトンまたは同様のもので洗浄し、その後乾燥してKRI−PSOを調製する。
【0056】
また、本発明は、吸着剤が充填された吸着カラムを含む90Sr/90Y発生器を提供する。
【0057】
本発明の吸着剤は、従来の吸着剤より吸着能力がより優れているため(表1参照)、90Yを抽出する放射性同位元素発生器において、カラム充填材料として有利に使用することができる。
【0058】
本発明の90Sr/90Y発生器において、図1に示されるSEP−PAK(登録商標)型プラスチックカラムを吸着カラムとして使用することができる。SEP−PAK(登録商標)型カラムは、吸着剤が充填されたプラスチック本体、プラスチック本体内部下端のフィルター、プラスチック本体内部上端のフィルターおよびプラスチック本体最上端を覆うふたを含む、パッケージ型カラムの一種である。また、SEP−PAK(登録商標)型カラムは、小さいので、使用後に廃棄する場合にも、放射性同位元素分離に非常に有用に用いることができる。
【0059】
さらに、本発明は、以下の工程:
本発明の吸着剤を充填したカラムに90Sr/90Yを含む0.1〜0.5Nの硝酸を通液して90Yを吸着する工程(工程A);
0.1〜0.5Nの硝酸溶液を吸着カラムに通液して、90Srを洗浄除去する工程(工程B);及び
2〜5Nの硝酸溶液を吸着カラムに通液して90Yを溶離する工程(工程C)、
を含む90Sr/90Y溶液から90Yを分離する方法を提供する。
【0060】
本発明の吸着剤は、90Yに対する高選択性、95%以上の高担持容量を有するため、1段吸着カラムのみの使用によっても高純度の90Yを製造することができる。
【0061】
しかしながら、より高純度の90Yを製造するために図5に示すとおり、工程Cで分離した90Y溶液を異種の吸着剤が充填された吸着カラムに移動させてさらに分離過程を再度行なう。この場合において、異種の吸着剤は、本発明による吸着剤および関連分野で一般的に使用されている吸着剤を用いることができるが、それに限定されない。例えば、KRI−PSOが充填された吸着カラムを第一カラムとして用いる場合、第二カラムとして、KRI−POSが充填された吸着カラムまたは下記の化学式3で示されるKRI−CMPOが充填された吸着カラムを使用することができる。
【0062】
【化3】

【0063】
また、同種の吸着剤が充填された吸着カラムを使用する場合には、図6に示すとおり、工程Cで分離した90Y溶液を加熱して硝酸を揮発させて除去した後、所定量のSr(NO溶液を90Y溶液に添加した、その後同種の吸着剤が充填された吸着カラムに移動させてさらに分離プロセスを行なうか、図7のように前記工程Cで分離した90Y溶液に水酸化ナトリウム(NaOH)などの塩基を添加して硝酸濃度を約0.1〜0.5Nの範囲に調整し、その後同種の吸着剤が充填された吸着カラムに移動させてさらに分離プロセスを行なう。
【0064】
以下、本発明を例を参照してさらに詳細に説明する。下記の例は、本発明を例示するだけのものであって、本発明の内容がこれ例によって限定されるのではない。
【0065】
<例1>KRI−POSの合成(P:Si=1:6)
テトラエトキシシラン(TEOS)52.8mmol(11.76mL)をエタノール211mmol(12.4mL)に溶解し、混合溶液を形成し、その後塩酸(0.14mol/L)11.4mLを混合溶液に撹拌しながら添加し、反応混合物を形成した。30分後に3−トリハイドロキシプロピルメチル−ホスホネート(POS)10.56mmol(4.8mL、水中42%)をゆっくり添加し、その後撹拌してゲルを形成した。続いてゲルを室温で24時間放置し、80℃で乾燥した。続いて、乾燥したゲルを乳鉢および乳棒で粉砕し、篩いによって50〜500μmの粒子サイズを有する粒子を収集した。その後、分離された粒子を続いて水、エタノールおよびアセトンで洗浄し、その後乾燥して目的とするKRI−POS吸着剤を調製した。
【0066】
<例2>KRI−POSの合成(P:Si=1:4)
エタノール211mmol(12.4mL)に、テトラエトキシシラン(TEOS)52.8mmol(11.76mL)及び塩酸(0.14mol/L)11.4mLを添加したことを除き、例1と同様の方法を用いて、目的とするKRI−POS吸着剤を調製した。
【0067】
<例3>KRI−PSOの合成(P:Si=1:5)
ジエチルホスファートエチルトリエトキシシラン(PSA)39.6mmol、14.4mL及びテトラエトキシシラン(TEOS)158.4mmol、35.4mLとエタノール(633.6mmol、37.2mL)とを混合し、混合溶液を形成し、その後塩酸(0.14M)633.6mmol(11.4mL)を混合溶液に添加し、その後撹拌し、1時間反応させ、反応混合物を得た。続いて、トリエチルアミン(TEA)5.7mmol(1.2mL)を反応混合物に添加し、その後撹拌してゲルを形成した。続いてゲルを24時間放置し、その後80℃で乾燥した。続いて、乾燥したゲルを乳鉢および乳棒で粉砕し、篩いによって50〜500μmの粒子サイズを有する粒子を収集した。その後、分離された粒子を続いて水、エタノールおよびアセトンで洗浄し、その後乾燥してKRI−PSA吸着剤を調製した。
【0068】
調製したKRI−PSAを濃塩酸に添加し、15時間加熱および還流させ、その後冷却し、ろ過し、反応固体材料を回収した。その後分離材料を続いて水、エタノールおよびアセトンで洗浄し、その後80℃で乾燥して目的とするKRI−PSO吸着剤を調製した。
【0069】
<例4>90Y発生器カラムの調製
吸着カラムとして、小型のSEP−PAK(登録商標)型プラスチックカラムを使用した。
SEP−PAK(登録商標)型プラスチックカラムは、例1で調製したKRI−POS吸着剤を充填したプラスチック本体、プラスチック本体内部下端に設けられたフィルター、プラスチック本体内部上端に設けられたフィルターおよびプラスチック本体最上部を覆うふたを含む。図1に示すとおり、吸着カラムのふたに注射器を装着して90Y発生器カラムを調製した。
【0070】
<例5>90Y発生器カラムの調製
例1で調製したKRI−POS吸着剤の代わりに例3で調製したKRI−PSO吸着剤を充填することを除き、例4と同様の方法を用いて図1に示すとおりの90Y発生器カラムを製造した。
【0071】
<実験例1>90Sr/90Y吸着容量容量試験
本発明の吸着剤のpH変化による90Srおよび90Y吸着容量を以下のように試験した。
【0072】
具体的には、pH2〜10の90Srおよび90Yを含む溶液を、例1で調製したKRI−POSKRI−POS吸着剤または例3で調製したKRI−PSO吸着剤に加えて所定の時間撹拌し、動じにそのその吸着容量をガンマスペクトロメータ(MCA)を用いて測定した。
【0073】
測定結果を図2に示す。
【0074】
図2に示すとおり、90YはpH2〜4でほぼ100%吸着されている一方、90Srの場合にはpH6以上では100%の吸着を示すが、pH3以下では吸着が急激に低下する。このことから、本発明の吸着剤を用いた90Sr/90Y発生器システムにおいて、pHが2以下になるように硝酸の濃度を調節して90Srの吸着は最小化して、90Yの吸着を維持した。
【0075】
したがって、本発明による吸着剤は、pHを適切に調整することにより、ストロンチウムを吸着せずに、イットリウムのみを吸着することができるため、90Y発生器に有用に用いることができる。
【0076】
<実験例2>90Sr/90Y吸着プロセス
本発明の吸着剤を用いた90Sr/90Y発生器システムにおいて、カラムを用いた吸着プロセスの好ましい条件を調べるために、次のような試験を行なった。
【0077】
カラムでの90Sr/90Yの吸着および分離条件を決定するために、1Ci90Sr/90Y溶液(崩壊平衡において、1Ci90Srおよび1Ci90Yのストロンチウムおよびイットリウムの化学平衡量を含有する溶液)を想定して得られるた溶液(硝酸濃度0.1N、0.2N、0.3N、0.5N)25mLに微量の90Sr/90Yをトレーサーとして添加し、その後例4または5で調製した本発明の吸着剤(KRI−POSまたはKRI−PSO)0.4gを充填したSEP−PAK(登録商標)型カラムに、注射器を用いて、想定した溶液を流速1mL/分で導入した。その後、SEP−PAK(登録商標)型カラムに導入した90Sr/90Yの溶液の放射能およびSEP−PAK(登録商標)型カラム通過後の放射能を測定して90Srと90Yの吸着量を分析した。
【0078】
測定結果を図3に示す。
【0079】
図3に示すとおり、KRI−PSO吸着剤の場合において、0.1〜0.2Nの硝酸濃度を有する硝酸溶液では、イットリウムの吸着容量は約90%であったが、KRI−POSの場合において、0.1Nの硝酸濃度を有する硝酸溶液では、はイットリウムの吸着容量は約65%であり、0.1Nより高い硝酸濃度を有する硝酸溶液で減少した。したがって、吸着プロセスでは0.1Nの硝酸溶液を使用することが好ましい。
【0080】
<実験例3>90Sr/90Y吸着/脱着プロセス
本発明の吸着剤を用いた90Sr/90Y発生器システムにおいてカラムを用いた脱着プロセスの好ましい条件を調べるために次のような試験を行なった。
【0081】
1Ci90Sr/90Y溶液(崩壊平衡において、1Ci90Srおよび1Ci90Yのストロンチウムおよびイットリウムの化学平衡量を含有する溶液)を想定して得られる溶液(硝酸濃度0.1N、0.2N、0.3N、0.5N)25mLに微量の90Sr/90Yをトレーサーとして添加し、その後例4または5で調製した本発明の吸着剤(KRI−POSまたはKRI−PSO)0.2gを充填したSEP−PAK(登録商標)型カラムに、注射器を用いて、想定した溶液を流速1mL/分で導入した。その後、SEP−PAK(登録商標)型カラムに導入した90Sr/90Yの溶液の放射能およびSEP−PAK(登録商標)型カラム通過後の放射能を測定して90Srと90Yの吸着量を分析した。
【0082】
カラムに吸着溶液を通液後、カラム内の未反応90Sr/90Y溶液及び吸着されている90Srを洗い出すために、0.1〜0.5Nの硝酸溶液を2〜3回カラムに通液した。90Yの溶離(脱着)は、3N硝酸溶液10mLを用いて行ない、吸着量および溶出量の結果を表1に示す。
【0083】
【表1】

【0084】
表1に示すとおり、KRI−POSとKRI−PSO吸着剤はともに0.1Nの硝酸溶液で大部分のイットリウムを吸着しているため、その吸着容量が非常に優れていることが分かる。溶離効率に関して、KRI−POS吸着剤の場合において、は3Nの硝酸を用いた場合はその溶離効率は62%であり追加で5Nの硝酸を用いた場合でさえその溶離効率は約10%の増加であり、全溶離効率は72%であった。また、KRI−PSO吸着剤の場合において、イットリウムの吸着効率及び抽出効率の両方が95%以上であった。したがって、本発明によるKRI−POS吸着剤とKRI−PSO吸着剤は、優れた吸着効率及び抽出効率を有しているため、90Sr/90Y発生器システム用吸着剤として有用に使用することができる。
【0085】
<実験例4>10−5未満の90Sr/90Y比を有する90Y溶液の製造
90Sr/90Y発生器システムの重要な要素の一つは、溶出された90Y溶液中に残存する90Srの量である。
【0086】
90Srは、28.8年という半減期を有し、人体内に吸収された場合には、骨に蓄積するため、含有量が90Y溶液1Ci当たり20μCiまでに厳格に制限されている。実際、90Sr/90Y比≦20μCi/Ciである90Y溶液が放射化学的等級(Radiochemical grade)で販売されていて、特に病院で使用できるように滅菌された、使用期限内まで90Sr/90Y比≦20μCi/Ciを有する90Y溶液が、の溶液を医療用に販売されている。
【0087】
したがって、90Sr/90Y比≦20μCi/Ciを有する90Y溶液を抽出するために、さまざまな方法で90Sr/90Y比を小さくする実験を行なった。
【0088】
(1)非放射性ストロンチウムの過剰添加
KRI−PSO0.4gをSEP−PAK(登録商標)型カラムに充填し、その後、0.1Nの硝酸濃度で、硝酸ストロンチウムおよび微量の85Srを用いて、1Ci90Sr想定溶液25mLをKRI−PSOカラムに供給した。続いて、吸着カラムを15mLの0.3Nの硝酸で洗浄後、3.0N硝酸15mLで溶離した。一方、4倍の硝酸ストロンチウムである同様の実験を、溶出液中に存在するストロンチウムの量を比較するために行なった。測定結果を表2に示す。
【0089】
【表2】

【0090】
表2に示すとおり、1Ci想定溶液を投入し、その後続いて溶離する場合、3.0Nの硝酸による溶出液中の85Srの量は、投入液中の量に対して2.27×10−5であり、一方4倍量の非放射性ストロンチウムを追加で投入液に添加した場合、その量は6.41×10−6で1Ci想定溶液を投入する場合の量の1/3.5に減少することが分かる。
【0091】
したがって、過剰量の非放射性ストロンチウムを投入液に添加することによって、90Y溶液内の90Sr/90Y比を小さくすることができることもまた分かる。
【0092】
(2)洗浄溶液の量
適切な洗浄条件を決定するために、5〜45mLの範囲で5mLずつ洗浄溶液を増やしながら、90Yの回収収率およびSr/Y比を測定した。この場合において、85Srと90Sr/90Yの両方をトレーサーとして用い、カラムを洗浄した洗浄液をガンマスペクトロメーターおよびと液体シンチレーションカウンターを用いて分析した。
【0093】
分析結果を図4に示す。
【0094】
図4に示すとおり、洗浄溶液中のSr/Yの比は、0.3N及び0.5Nの硝酸溶液の量によって減少することが分かる。しかしながら、洗浄によるイットリウムの損失の観点では、0.3N硝酸洗浄液の5mL毎に、カラムに初期投与した量に対して毎0.36%のイットリウム量が減少した一方、0.5N硝酸溶液によるカラムからは、毎0.61%のイットリウム量が溶出しているのが実験から分かる。したがって、45mLの洗浄溶液を用いる場合、0.3Nの硝酸および0.5Nの硝酸による、吸着工程からの損失を含む全体の損失は、それぞれ16%および28%である。
【0095】
洗浄後、3N硝酸10mLを用いて90Yをカラムから抽出した結果、0.3N硝酸洗浄溶液において、吸着カラムへの初期供給液のイットリウムの計81%が回収され、一方0.5Nの硝酸洗浄溶液において、70%のイットリウムが回収されたことが分かる。したがって、洗浄後カラムに残存した90Yのほとんどが3.0N回収されたことが示された。また、3.0Nの硝酸による溶離によって回収されたことが分かる。また、0.3N硝酸洗浄液の場合において、イットリウム溶液中のSr/Y比は、約8×10−7、0.5Nの硝酸洗浄液の場合において、イットリウム溶液中のSr/Y比は、約5×10−7だった。したがって、20μCi/Ci以下の90Sr/90Y比を有するイットリウム溶液を、放射化学的等級(Radiochemical grade)で生産することができる。
【0096】
<実験例5>2段カラムによる90Sr/90Y分離
本発明の吸着剤を用いた90Sr/90Y発生器システムにおいて、同一の吸着剤が充填された2段吸着カラムを用いる場合のイットリウムの回収率及び純度を調べるために、次のような試験を行なった。
【0097】
<5−1>イットリウムの回収率測定
第一のSEP−PAK(登録商標)型カラムにKRI−PSO0.4g充填して、90Srの1Ci想定溶液25mLを、硝酸ストロンチウムおよび微量の90Sr/90Y溶液を0.1N硝酸濃度で用いて、カラムに供給し、90Yを吸着剤に担持させた。担持工程に続いて、0.2N硝酸10mLおよび0.3N硝酸10mLを第一カラムに順次通液してカラムを洗浄した。続いて、3N硝酸10mLをカラムに通液して90Yおよび第一カラムに残存する90Srを溶離した。その後、第一カラムからの溶出液0.2mLを、液体シンチレーションカウンター(LSC)を用いて90Srおよび90Yの放射能量の測定のために採取し、前記溶出液からの9mLを、1NNaOH溶液23.64mLを添加して、硝酸濃度が0.1Nになるように再調整した。
【0098】
続いて、非放射性ストロンチウム7.5mgを含む0.1N硝酸0.1mLを再調整した溶液に添加し、第二カラム用の供給液を作成した。その後、溶液0.2mLを、その放射能量を測定するために用い、供給液を0.4gのKRI−PSO吸着剤を充填した第二のカラムに通液した。その後、カラムからの流出液の放射能量を測定した。以後、0.2N硝酸10mLおよび0.3N硝酸10mLを第二カラムに順次通液して洗浄した。続いて、3N硝酸10mLを第二カラムに通液し、第二カラムに担持されたイットリウムを溶離した。第二カラムを通過した溶出液の5分の1mLを、液体シンチレーションカウンター(LSC)を用いる90Srおよび90Yの放射能量の測定に用いた。
【0099】
結果として、3N硝酸を用いて、第一カラムから溶出されたイットリウムは、初期量の100%が回収され、その後第二カラムに供給したイットリウムの96%が3N硝酸によって第二カラムの溶出から回収された。
【0100】
前記結果から、2段吸着カラムを用いる場合でも、イットリウムの分離後の回収率が96%以上であることが分かる。
【0101】
<5−2>イットリウム純度の測定
イットリウムの純度は、溶出された90Y溶液内に残存する90Srの放射能量を評価することによって調べた。90Y溶液内に残存する90Srの放射能量を評価するために、90Sr/90Yをトレーサーに用いる代わりに、85Srをトレーサーに用いて以下の試験を行なった。純粋なβ線のみを放出する90Srとは異なり、85Srは、γ線を放出し、多重波高分析器(MCA)を用いて極微量でも分析することができるため、85Srを90Sr/90Y吸着/脱着挙動を分析するトレーサーとして用いる。
【0102】
カラムにKRI−PSO吸着剤0.4gを第一の吸着カラムに充填し、非放射性ストロンチウム300mg/Lおよび85Sr20μCiを含む0.1N硝酸溶液25mLを、前記KRI−PSO吸着剤のカラムに通液した。続いて、0.2N硝酸10mLおよび0.3N硝酸10mLをカラムに順次に通液してカラムを洗浄した。その後、各洗浄液の多重波高分析器(MCA)を用いて放射能量を分析した。続いて、3Nの硝酸10mLを通液して第一吸着カラム内の残存するストロンチウムを脱着させた。その後、1NNaOH溶液26.37mLを添加して硝酸濃度が0.1Nになるように硝酸溶液を再調整し、その後多重波高分析器(MCA)を用いて放射能量を分析した。
【0103】
続いて、第二カラムのために、非放射性ストロンチウム7.5mgを含む0.1N硝酸0.1mLを、再調整した溶液に添加した。その後、第二カラム用の供給液0.2mLは、放射能量測定のために用い、残りの供給液を0.4gのKRI−PSO吸着剤で充填させた第二カラムに通液した。その後、0.2N硝酸10mLおよび0.3N硝酸10mLをカラムに順次通液してカラムを洗浄した。続いて、3N硝酸10mLを通液して第二カラム内に残存するストロンチウムを溶離した。その後、多重波高分析器(MCA)を用いて、溶出液の放射能量を分析した。
【0104】
第一および第二カラムの吸着容量、洗浄効率、回収率、および総回収率は、測定した溶液の放射能量から下記の計算方法で計算した。
【0105】
*吸着容量=カラム通液後の供給液の放射能量/カラム通液前の溶液の放射能量
*洗浄効率=担持カラム通液後の洗浄溶液の放射能量/担持カラム自体の放射能量
*回収率=各カラムの溶出液の放射能量/担持のための各カラムへの供給液の放射能量
*総回収率=第二カラムの溶出液の放射能量/第一カラムへの初期供給液の放射能量
【0106】
計算結果を表3に示した。
【0107】
【表3】

【0108】
表3に示すとおり、ストロンチウム水溶液を第一絡むに通液し、NaOHで再調整し、再調整した溶液に過剰量の非放射性ストロンチウムを添加し、第二カラムを通液した場合、最終的に溶出および回収されたイットリウム量は、第一カラムに初期に供給したストロンチウムの量に対して、10−10より小さいことが分かる。
【0109】
したがって、前記方法を用いて90Yを分離する場合、10−10より小さい90Sr/90Y比で、95%以上の90Yを分離して回収することがでる。
【0110】
本発明の好ましい態様を例示する目的で開示したが、当業者は付随の請求項に記載された範囲および精神を逸脱することなしに、様々な変更、追加および代替を認識することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着剤の骨格構造であるシリカの表面に結合している、下記の化学式1または化学式2で表わされる二官能性有機シラン化合物を含む放射性同位元素吸着剤。
【化1】

(式中、RはC〜Cの直鎖または分枝鎖アルキル基であり、MはH、Na、Kの陽イオンであり、nは1〜10の整数である。)
【化2】

(式中、MはH、Na、Kの陽イオンで、nは1〜10の整数である。)
【請求項2】
吸着剤が、P:Si比、1:3〜1:11を有することを特徴とする、請求項1に記載の放射性同位元素吸着剤。
【請求項3】
吸着剤が、50〜500μmの粒子サイズを有する、請求項1に記載の放射性同位元素吸着剤。
【請求項4】
以下の工程:
テトラエトキシシラン(TEOS)及び0.14Mの塩酸をエチルアルコールと混合し、混合溶液を形成し、その後撹拌して反応混合物を形成する工程(工程1);
前記反応混合物に3−トリヒドロキシプロピルメチル−ホスホネート(POS)を添加して撹拌してゲルを形成する工程(工程2);及び
前記ゲルを熟成、乾燥及び粉砕し、吸着剤を調製する工程(工程3);
を含む請求項1に記載の放射性同位元素吸着剤の調製方法。
【請求項5】
以下の工程:
ジエチルホスファートエチルトリエトキシシラン(PSA)、テトラエトキシシラン(TEOS)及び塩酸をアルコール溶液と混合して混合溶液を形成し、その後撹拌して、反応させ、反応混合物を形成する工程(工程a);
前記反応混合物にトリエチルアミン(TEA)を添加し、その後撹拌してゲルを形成する工程(工程b);
前記ゲルを熟成、乾燥及び粉砕してKRI−PSA粒子を調製する工程(工程c);及び
前記KRI−PSA粒子からアルキル基を除去して吸着剤を調製する工程(工程d);
を含む請求項1に記載の放射性同位元素吸着剤の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の放射性同位元素吸着剤が充填された吸着カラムを含む90Sr/90Y発生器。
【請求項7】
吸着カラムが、SEP−PAK(登録商標)型のプラスチックカラムであることを特徴とする、請求項6に記載の90Sr/90Y発生器。
【請求項8】
以下の工程:
請求項1に記載の放射性同位元素吸着剤が充填されたカラムに0.1〜0.5Nの硝酸を含む90Sr/90Y溶液を通液して90Yを吸着する工程(工程A);
未反応の90Srおよび90Sr/90Y溶液及び前記吸着カラムに吸着した90Srを除去するために0.1〜0.5Nの硝酸溶液を通液して洗浄する工程(工程B);及び
前記吸着カラムに2〜5Nの硝酸溶液を通液して90Yを溶離する工程(工程C);
を含む90Sr/90Y溶液から90Yを分離する方法。
【請求項9】
高純度の90Yを製造するために、工程Cで分離した90Y溶液を、異種の吸着剤が充填された吸着カラムに移動してさらに分離プロセスを行うことをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
高純度の90Yを製造するために、以下の工程:
工程Cで分離した90Y溶液を加熱し、硝酸をを蒸発させ、硝酸を除去し、その後、ある量のSr(NO溶液を90Y溶液に添加し、その後、同種の吸着剤が充填された吸着カラムに溶液を供給し、さらに分離プロセスを行うこと、
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
高純度の90Yを生産するために、以下の工程:
工程Cで分離した90Y溶液中の硝酸(HNO)を水酸化ナトリウム(NaOH)溶液を用いて部分中和し、90Y溶液中の硝酸濃度を0.1〜0.5N範囲の濃度に調整し、その後同種の吸着剤が充填された吸着カラムに、再調整した90Y溶液を供給し、さらに分離プロセスを行うこと、
をさらに含む、請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−515214(P2011−515214A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501722(P2011−501722)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【国際出願番号】PCT/KR2009/001574
【国際公開番号】WO2009/120038
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(500002490)コリア アトミック エナジー リサーチ インスティチュート (20)
【Fターム(参考)】