説明

吸着剤、クレンジング剤、腎臓疾患治療薬、機能性食品、及び、細胞培養材料

【課題】優れた吸着性能を有する、多孔質炭素材料を用いた吸着剤を提供する。
【解決手段】本発明の吸着剤は、ケイ素の含有率が5重量%以上である植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が10m2/グラム以上、ケイ素(Si)の含有率が1重量%以下、BJH法及びMP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成り、インドール、尿酸、アデノシン、α−アミラーゼ、3−メチルインドール、トリプトファン、インジカン、テオフィリン、イノシン−5−1燐酸2ナトリウム塩、アデノシン−5−3燐酸2ナトリウム塩、脂肪酸、色素、疎水性の分子、あるいは、数平均分子量が1×102以上、5×102未満の有機物(例えば、有機分子、若しくは、蛋白質)を吸着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物由来の材料を原料とした多孔質炭素材料から成る吸着剤、クレンジング剤、腎臓疾患治療薬及び機能性食品に関する。
【背景技術】
【0002】
野菜や穀類等の植物の未利用部分の殆どは廃棄されているが、これらの未利用部分の有効利用が、地球環境の保全や改善のために強く求められている。未利用部分の有効利用の一例として、炭化処理が挙げられる。そして、このような植物由来の材料を炭化処理することにより製造された炭素材料を、リチウムイオン二次電池の負極活物質として用いることも検討されている(例えば、特許第3565994号明細書、特許第3719790号明細書、国際公開WO96/27911号パンフレット参照)。
【0003】
肝疾患や腎疾患の患者は、臓器の障害によって体内に様々な毒性物質が生成、蓄積され易く、尿毒症や意識障害などを引き起こす。また、腎疾患(慢性腎不全)の患者のために、血液透析による有毒物質の除去が行われている。しかしながら、血液透析は、特殊な装置及び専門技術者を必要とするだけでなく、患者への肉体的、精神的苦痛も大きい。この血液透析療法を遅らせる手段として、生体に対して安全性や安定性の高いクレメジンのような活性炭経口吸着剤が注目を集めている(特公昭62−11611号公報参照)。活性炭吸着剤により、尿毒症代謝産物や尿毒症毒素を消化器内にて除去し、慢性腎不全の進行を抑制しようとするものである。また、活性炭を用いた抗肥満剤、抗糖尿病剤、抗炎症性腸疾患剤、プリン体の吸着剤の提案もされており、活性炭の医療分野での応用、研究開発が広く進められている。
【0004】
クレンジング剤(洗浄剤、美容用あるいは洗浄用吸着剤)は高級脂肪酸塩や各種界面活性剤を主成分として含有しており、洗浄力の向上はこれらの配合量を増加させることによりなされている。しかしながら、高級脂肪酸塩や界面活性剤による洗浄作用は、皮膚上の皮脂を乳化若しくは可溶化することにより達成されるものであり、配合量の増加による過度の洗浄は、肌荒れやつっぱり感の原因となる。近年では、高級脂肪酸塩に炭を配合することにより、高級脂肪酸塩や各種界面活性剤の配合量を増加させること無く洗浄力の向上を図ることで、使用後において肌の過度な洗浄感が無い洗浄料の開発がなされている(例えば、特開2002−167325参照)。そして、現在、木炭や活性炭、薬用炭を配合したクレンジング料が、多数、市販されており、これらの商品にあっては、高い洗浄効果に加えて、体臭除去効果や抗菌効果を謳ったもの、安全性が高いことを利点とするものもみられる(例えば、特開平9−111296号公報や特開2000−53558参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3565994号明細書
【特許文献2】特許第3719790号明細書
【特許文献3】国際公開WO96/27911号パンフレット
【特許文献4】特公昭62−11611号公報
【特許文献5】特開2002−167325
【特許文献6】特開平9−111296号公報
【特許文献7】特開2000−53558
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、植物由来の材料を炭化処理する技術は十分とは云えず、製造された炭素材料には、機能性の一層の向上が望まれている。また、腎疾患や肝疾患における経口投与吸着剤のための多孔質炭素材料の開発や、人体に悪影響を及ぼす蛋白質やウイルスの吸着を目的とした、あるいは又、より一層、吸着性能に優れた医療用吸着剤としての多孔質炭素材料の開発が強く望まれている。具体的には、毒性物質に対し、より少ない投与量で大きな吸着量を示すような材料が強く望まれている。即ち、このような材料を用いた場合、1回当たりの経口投与量をより少なくすることにより、患者の負担を軽減させることが可能となる。
【0007】
また、従来のクレンジング剤は、単に炭が配合されているだけであり、洗浄効果や整肌効果は、十分であるとは云い難い。従来のクレンジング剤における炭成分は、あくまでも、化学合成洗剤の補助的な役割を担うに留まっている。
【0008】
従って、本発明の目的は、優れた吸着性能を有する、多孔質炭素材料を用いた吸着剤、クレンジング剤、腎臓疾患治療薬及び機能性食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様〜第14の態様に係る吸着剤は、ケイ素の含有率が5重量%以上である植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が10m2/グラム以上、ケイ素(Si)の含有率が1重量%以下、BJH法及びMP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成る。そして、本発明の第1の態様に係る吸着剤はインドールを吸着し、本発明の第2の態様に係る吸着剤は尿酸を吸着し、本発明の第3の態様に係る吸着剤はアデノシンを吸着し、本発明の第4の態様に係る吸着剤はα−アミラーゼを吸着し、本発明の第5の態様に係る吸着剤は3−メチルインドールを吸着し、本発明の第6の態様に係る吸着剤はトリプトファンを吸着し、本発明の第7の態様に係る吸着剤はインジカンを吸着し、本発明の第8の態様に係る吸着剤はテオフィリンを吸着し、本発明の第9の態様に係る吸着剤はイノシン−5−1燐酸2ナトリウム塩を吸着し、本発明の第10の態様に係る吸着剤はアデノシン−5−3燐酸2ナトリウム塩を吸着し、本発明の第11の態様に係る吸着剤は脂肪酸を吸着し、本発明の第12の態様に係る吸着剤は色素を吸着する。また、本発明の第13の態様に係る吸着剤は数平均分子量が1×102以上、5×102未満の有機物(例えば、有機分子、若しくは、蛋白質)を吸着し、本発明の第14の態様に係る吸着剤は疎水性の分子を吸着する。また、本発明の第15の態様に係る医療用の吸着剤、本発明の経口投与用の吸着剤、本発明のクレンジング剤は、ケイ素の含有率が5重量%以上である植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が10m2/グラム以上、ケイ素の含有率が1重量%以下、BJH法及びMP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成る。
【0010】
ここで、疎水性の分子とは、人の肌表面に存在する皮脂および日常生活にて肌・衣服に付着する可能性のある油脂や汚れと定義することができ、具体的には、脂肪酸グリセリンエステルを成分とする油脂や皮脂;単純脂質、複合脂質、誘導脂質といった脂質;蝋等の構成成分である有機酸、特に人の肌表面に存在する油分全般を指し(広義の脂肪酸)、また、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸といった鎖状あるいは分枝鎖を含み、あるいは又、環状構造を有する狭義の脂肪酸を指す。脂肪酸として、具体的には、オレイン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、スクアレン(テルペノイドに属する油脂)、コレステロール(スクアレンから生合成される)、ステアリン酸モノグリセリンを挙げることができる。また、色素として、具体的には、リソールルビンBCA(赤色202号)を含む法定色素(タール色素)全般、即ち、アマランス(赤色2号)、ニューコクシン(赤色102号)、リソールルビンB(赤色201号)、リソールレッドCA(赤色206号)、ローダミンB(赤色231号)、ディープマルーン(赤色220号)、ファストアシッドマゲンタ(赤色227号)、ビオラミンR(赤色401号)、スカーレットレッドNF(赤色501号)、ファストレッドS(赤色506号)、ジブロモフルオレセイン(だいだい色201号)、ジヨードフルオレセインだいだい色206号)、ハンサオレンジ(だいだい色401号)、タートラジン(黄色4号)、フルオレセイン(黄色201号)、ベンチジンイエローG(黄色205号)、ハンサイエロー(黄色401号)、メタニルイエロー(黄色406号)、ファストグリーンFCF(緑色3号)、アリザリンシアニングリーンF(緑色201号)、ナフトールグリーンB(緑色401号)、ブリリアントブルーFCF(青色1号)、インジゴ(青色201号)、スダンブルーB(青色403号)、レゾルシンブラウン(褐色201号)、アリズリンパープルSS(紫色201号)、ナフトールブルーブラック(黒色401号)を挙げることができる。
【0011】
尚、インドールを吸着する本発明の第1の態様に係る吸着剤は、尿毒症をはじめとする腎臓疾患治療薬に適用することができる。尿酸を吸着する本発明の第2の態様に係る吸着剤は、尿毒症をはじめとする腎臓疾患治療薬や、高尿酸血症治療薬に適用することができる。アデノシンを吸着する本発明の第3の態様に係る吸着剤は、プリン体の吸着剤に適用することができる。α−アミラーゼを吸着する本発明の第4の態様に係る吸着剤は、クローン病等を引き起こす炎症性サイトカインのような蛋白質の吸着特性を調べるためのモデル(擬似的な炎症性サイトカイン)に適用することができる。3−メチルインドールを吸着する本発明の第5の態様に係る吸着剤は、尿毒症をはじめとする腎臓疾患治療薬に適用することができる。トリプトファンを吸着する本発明の第6の態様に係る吸着剤は、尿毒症をはじめとする腎臓疾患治療薬に適用することができる。インジカンを吸着する本発明の第7の態様に係る吸着剤は尿毒症をはじめとする腎臓疾患治療薬に適用することができる。テオフィリンを吸着する本発明の第8の態様に係る吸着剤は、薬物中毒(テオフィリン中毒)の解毒吸着剤に適用することができる。イノシン−5−1燐酸2ナトリウム塩を吸着する本発明の第9の態様に係る吸着剤は、プリン体の吸着剤に適用することができる。アデノシン−5−3燐酸2ナトリウム塩を吸着する本発明の第10の態様に係る吸着剤は、プリン体の吸着剤に適用することができる。脂肪酸を吸着する本発明の第11の態様に係る吸着剤、色素を吸着する本発明の第12の態様に係る吸着剤、本発明のクレンジング剤(洗浄剤、美容用あるいは洗浄用吸着剤)は、汗や油脂、口紅等の汚れ成分を除去するものであり、整肌機能を有する場合がある。
【0012】
上記の目的を達成するための本発明の腎臓疾患治療薬は、ケイ素の含有率が5重量%以上である植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が10m2/グラム以上、ケイ素の含有率が1重量%以下、BJH法及びMP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成る。
【0013】
上記の目的を達成するための本発明の機能性食品は、ケイ素の含有率が5重量%以上である植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が10m2/グラム以上、ケイ素の含有率が1重量%以下、BJH法及びMP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料を含む。尚、本発明の機能性食品においては、その他、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤、矯味剤、保存剤、安定化剤、着色剤、香料、ビタミン類、発色剤、光沢剤、甘味料、苦味料、酸味料、うまみ調味料、発酵調味料、酸化防止剤、酵素、酵母エキス、栄養強化剤が含まれていてもよい。また、機能性食品の形態として、粉末状、固形状、錠剤状、粒状、顆粒状、カプセル状、クリーム状、ゾル状、ゲル状、コロイド状を挙げることができる。
【0014】
本発明の第1の態様〜第15の態様に係る吸着剤、本発明の経口投与用の吸着剤、本発明のクレンジング剤、本発明の腎臓疾患治療薬、あるいは、本発明の機能性食品(以下、これらを総称して、単に、『本発明の吸着剤等』と呼ぶ場合がある)における多孔質炭素材料にあっては、限定するものではないが、マグネシウム(Mg)の含有率が0.01重量%以上3重量%以下、カリウム(K)の含有率が0.01重量%以上3重量%以下、カルシウム(Ca)の含有率が0.05重量%以上3重量%以下であることが好ましい。
【0015】
また、本発明の吸着剤等における多孔質炭素材料は、植物由来の材料を800゜C乃至1400゜Cにて炭素化した後、酸又はアルカリで処理することで得ることができる。尚、このような製造方法を『第1の製造方法』と呼ぶ。あるいは又、植物由来の材料に、後述する予備炭素化処理を施し、次いで、酸又はアルカリで処理した後、800゜C乃至1400゜Cにて炭素化することで得ることができる。尚、このような製造方法を『第2の製造方法』と呼ぶ。ここで、炭素化とは、一般に、有機物質(本発明においては、植物由来の材料)を熱処理して炭素質物質に変換することを意味する(例えば、JIS M0104−1984参照)。尚、炭素化のための雰囲気として、酸素を遮断した雰囲気を挙げることができ、具体的には、真空雰囲気、窒素ガスやアルゴンガスといった不活性ガス雰囲気、植物由来の材料を一種の蒸し焼き状態とする雰囲気を挙げることができる。炭素化温度に至るまでの昇温速度として、係る雰囲気下、1゜C/分以上、好ましくは3゜C/分以上、より好ましくは5゜C/分以上を挙げることができる。また、炭素化時間の上限として、10時間、好ましくは7時間、より好ましくは5時間を挙げることができるが、これに限定するものではない。炭素化時間の下限は、植物由来の材料が確実に炭素化される時間とすればよい。また、植物由来の材料を、所望に応じて粉砕して所望の粒度としてもよいし、更には、分級してもよい。また、植物由来の材料を予め洗浄してもよい。
【0016】
本発明の吸着剤等における多孔質炭素材料の第1の製造方法あるいは第2の製造方法にあっては、得られた多孔質炭素材料に賦活処理を施す形態とすることで、孔径が2nmよりも小さいマイクロ細孔(後述する)を増加させることができる。賦活処理の方法として、ガス賦活法、薬品賦活法を挙げることができる。ここで、ガス賦活法とは、賦活剤として酸素や水蒸気、炭酸ガス、空気等を用い、係るガス雰囲気下、700゜C乃至1000゜Cにて、数十分から数時間、多孔質炭素材料を加熱することにより、多孔質炭素材料中の揮発成分や炭素分子により微細構造を発達させる方法である。尚、加熱温度は、植物由来の材料の種類、ガスの種類や濃度等に基づき、適宜、選択すればよいが、好ましくは、800゜C以上950゜C以下である。薬品賦活法とは、ガス賦活法で用いられる酸素や水蒸気の替わりに、塩化亜鉛、塩化鉄、リン酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、硫酸等を用いて賦活させ、塩酸で洗浄、アルカリ性水溶液でpHを調整し、乾燥させる方法である。また、好ましくは、酸又はアルカリでの処理によって、炭素化後の植物由来の材料中のケイ素成分を除去する。ここで、ケイ素成分として、二酸化ケイ素や酸化ケイ素、酸化ケイ素塩といったケイ素酸化物を挙げることができる。
【0017】
また、本発明の吸着剤等における多孔質炭素材料の第1の製造方法にあっては、使用する植物由来の材料にも依るが、植物由来の材料を炭素化する前に、炭素化のための温度よりも低い温度(例えば、400゜C〜700゜C)にて、酸素を遮断した状態で植物由来の材料に加熱処理(予備炭素化処理)を施してもよい。これによって、あるいは又、第2の製造方法にあっては、炭素化の過程において生成するであろうタール成分を抽出することが出来る結果、炭素化の過程において生成するであろうタール成分を減少あるいは除去することができる。尚、酸素を遮断した状態は、例えば、窒素ガスやアルゴンガスといった不活性ガス雰囲気とすることで、あるいは又、真空雰囲気とすることで、あるいは又、植物由来の材料を一種の蒸し焼き状態とすることで達成することができる。また、第1の製造方法あるいは第2の製造方法にあっては、使用する植物由来の材料にも依るが、植物由来の材料中に含まれるミネラル成分や水分を減少させるために、また、炭素化の過程での異臭の発生を防止するために、植物由来の材料をアルコール(例えば、メチルアルコールやエチルアルコール、イソプロピルアルコール)に浸漬してもよい。尚、第1の製造方法にあっては、その後、予備炭素化処理を実行してもよい。不活性ガス中で加熱処理を施すことが好ましい材料として、例えば、木酢液(タールや軽質油分)を多く発生する植物を挙げることができる。また、アルコールによる前処理を施すことが好ましい材料として、例えば、ヨウ素や各種ミネラルを多く含む海藻類を挙げることができる。
【0018】
本発明の吸着剤等における多孔質炭素材料の表面に対して、化学処理又は分子修飾を行ってもよい。化学処理として、例えば、硝酸処理により表面にカルボキシ基を生成させる処理を挙げることができる。また、水蒸気、酸素、アルカリ等による賦活処理と同様の処理を行うことにより、多孔質炭素材料の表面に水酸基、カルボキシ基、ケトン基、エステル基等、種々の官能基を生成させることもできる。更には、多孔質炭素材料と反応可能な水酸基、カルボキシ基、アミノ基等を有する化学種又は蛋白質とを化学反応させることでも、分子修飾が可能である。
【0019】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本発明の吸着剤等(以下、これらを総称して、単に、『本発明』と呼ぶ場合がある)における多孔質炭素材料にあっては、植物由来の材料として、米(稲)、大麦、小麦、ライ麦、稗(ヒエ)、粟(アワ)等の籾殻や藁、あるいは又、葦、茎ワカメを挙げることができるが、これらに限定するものではなく、その他、例えば、陸上に植生する維管束植物、シダ植物、コケ植物、藻類、海草を挙げることができる。尚、これらの材料を、原料として、単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。また、植物由来の材料の形状や形態も特に限定はなく、例えば、籾殻や藁そのものでもよいし、あるいは乾燥処理品でもよい。更には、ビールや洋酒等の飲食品加工において、発酵処理、焙煎処理、抽出処理等の種々の処理を施されたものを使用することもできる。特に、産業廃棄物の資源化を図るという観点から、脱穀等の加工後の藁や籾殻を使用することが好ましい。これらの加工後の藁や籾殻は、例えば、農業協同組合や酒類製造会社、食品会社から、大量、且つ、容易に入手することができる。
【0020】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本発明の吸着剤等の説明において、植物由来の材料を800゜C乃至1400゜Cにて炭素化することにより得られた材料であって、酸又はアルカリでの処理を行う前の材料を、『多孔質炭素材料前駆体[1]』と呼ぶ。また、予備炭素化処理後の植物由来の材料であって、酸又はアルカリでの処理を行う前の材料を、『多孔質炭素材料前駆体[2]』と呼ぶ。
【0021】
本発明における多孔質炭素材料には、リン(P)あるいは硫黄(S)等の非金属元素や、遷移元素等の金属元素が含まれていてもよい。リン(P)の含有率として0.01重量%以上3重量%以下、硫黄(S)の含有率として0.01重量%以上3重量%以下を挙げることができる。尚、これらの元素や上述したマグネシウム(Mg)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)の含有率は、多孔質炭素材料の使用用途によって異なるが、比表面積の値の増加といった観点からは、少ない方が好ましい。多孔質炭素材料には、上記した元素以外の元素を含んでいてもよく、上記した各種元素の含有率の範囲も、多孔質炭素材料の使用用途によって変更し得ることは云うまでもない。
【0022】
本発明において、各種元素の分析は、例えば、エネルギー分散型X線分析装置(例えば、日本電子株式会社製のJED−2200F)を用い、エネルギー分散法(EDS)により行うことができる。ここで、測定条件を、例えば、走査電圧15kV、照射電流13μAとすればよい。
【0023】
本発明における多孔質炭素材料は、細孔(ポア)を多く有している。細孔として、孔径が2nm乃至50nmの『メソ細孔』、及び、孔径が2nmよりも小さい『マイクロ細孔』が含まれる。具体的には、メソ細孔として、例えば、20nm以下の孔径の細孔を多く含み、特に、10nm以下の孔径の細孔を多く含んでいる。また、マイクロ細孔として、例えば、孔径が1.9nm程度の細孔と、1.5nm程度の細孔と、0.8nm〜1nm程度の細孔とを多く含んでいる。本発明における多孔質炭素材料にあっては、BJH法及びMP法による細孔の容積は、それぞれ、0.1cm3/グラム以上であるが、BJH法による細孔容積が0.3cm3/グラム以上であって、しかも、MP法による細孔容積が0.10cm3/グラム以上であることが好ましく、BJH法による細孔容積が0.3cm3/グラム以上であって、しかも、MP法による細孔容積が0.15cm3/グラム以上であることがより好ましく、BJH法による細孔容積が0.3cm3/グラム以上であって、しかも、MP法による細孔容積が0.20cm3/グラム以上であることがより一層好ましい。また、本発明における多孔質炭素材料において、窒素BET法による比表面積の値(以下、単に、『比表面積の値』と呼ぶ場合がある)は、より一層優れた機能性を得るために、好ましくは50m2/グラム以上、より好ましくは100m2/グラム以上であることが望ましい。
【0024】
あるいは又、本発明における多孔質炭素材料は、水銀圧入法による細孔分布において1×10-7m乃至5×10-6mの範囲にピークを有し、且つ、BJH法による細孔分布において2nm乃至20nmの範囲にピークを有する構成とすることができる。そして、この場合、更には、水銀圧入法による細孔分布において2×10-7m乃至2×10-6mの範囲にピークを有し、且つ、BJH法による細孔分布において2nm乃至10nmの範囲にピークを有する構成とすることが好ましい。
【0025】
窒素BET法とは、吸着剤(ここでは、多孔質炭素材料)に吸着分子として窒素を吸脱着させることにより吸着等温線を測定し、測定したデータを式(1)で表されるBET式に基づき解析する方法であり、この方法に基づき比表面積や細孔容積等を算出することができる。具体的には、窒素BET法により比表面積の値を算出する場合、先ず、吸着剤(多孔質炭素材料)に吸着分子として窒素を吸脱着させることにより、吸着等温線を求める。そして、得られた吸着等温線から、式(1)あるいは式(1)を変形した式(1’)に基づき[p/{Va(p0−p)}]を算出し、平衡相対圧(p/p0)に対してプロットする。そして、このプロットを直線と見なし、最小二乗法に基づき、傾きs(=[(C−1)/(C・Vm)])及び切片i(=[1/(C・Vm)])を算出する。そして、求められた傾きs及び切片iから式(2−1)、式(2−2)に基づき、Vm及びCを算出する。更には、Vmから、式(3)に基づき比表面積asBETを算出する(日本ベル株式会社製BELSORP−mini及びBELSORP解析ソフトウェアのマニュアル、第62頁〜第66頁参照)。尚、この窒素BET法は、JIS R 1626−1996「ファインセラミックス粉体の気体吸着BET法による比表面積の測定方法」に準じた測定方法である。
【0026】
a=(Vm・C・p)/[(p0−p){1+(C−1)(p/p0)}] (1)
[p/{Va(p0−p)}]
=[(C−1)/(C・Vm)](p/p0)+[1/(C・Vm)] (1’)
m=1/(s+i) (2−1)
C =(s/i)+1 (2−2)
sBET=(Vm・L・σ)/22414 (3)
【0027】
但し、
a:吸着量
m:単分子層の吸着量
p :窒素の平衡時の圧力
0:窒素の飽和蒸気圧
L :アボガドロ数
σ :窒素の吸着断面積
である。
【0028】
窒素BET法により細孔容積Vpを算出する場合、例えば、求められた吸着等温線の吸着データを直線補間し、細孔容積算出相対圧で設定した相対圧での吸着量Vを求める。この吸着量Vから式(4)に基づき細孔容積Vpを算出することができる(日本ベル株式会社製BELSORP−mini及びBELSORP解析ソフトウェアのマニュアル、第62頁〜第65頁参照)。尚、窒素BET法に基づく細孔容積を、以下、単に『細孔容積』と呼ぶ場合がある。
【0029】
p=(V/22414)×(Mg/ρg) (4)
【0030】
但し、
V :相対圧での吸着量
g:窒素の分子量
ρg:窒素の密度
である。
【0031】
メソ細孔の孔径は、例えば、BJH法に基づき、その孔径に対する細孔容積変化率から細孔の分布として算出することができる。BJH法は、細孔分布解析法として広く用いられている方法である。BJH法に基づき細孔分布解析をする場合、先ず、吸着剤(多孔質炭素材料)に吸着分子として窒素を吸脱着させることにより、脱着等温線を求める。そして、求められた脱着等温線に基づき、細孔が吸着分子(例えば窒素)によって満たされた状態から吸着分子が段階的に着脱する際の吸着層の厚さ、及び、その際に生じた孔の内径(コア半径の2倍)を求め、式(5)に基づき細孔半径rpを算出し、式(6)に基づき細孔容積を算出する。そして、細孔半径及び細孔容積から細孔径(2rp)に対する細孔容積変化率(dVp/drp)をプロットすることにより細孔分布曲線が得られる(日本ベル株式会社製BELSORP−mini及びBELSORP解析ソフトウェアのマニュアル、第85頁〜第88頁参照)。
【0032】
p=t+rk (5)
pn=Rn・dVn−Rn・dtn・c・ΣApj (6)
但し、
n=rpn2/(rkn−1+dtn2 (7)
【0033】
ここで、
p:細孔半径
k:細孔半径rpの細孔の内壁にその圧力において厚さtの吸着層が吸着した場合のコア半径(内径/2)
pn:窒素の第n回目の着脱が生じたときの細孔容積
dVn:そのときの変化量
dtn:窒素の第n回目の着脱が生じたときの吸着層の厚さtnの変化量
kn:その時のコア半径
c:固定値
pn:窒素の第n回目の着脱が生じたときの細孔半径
である。また、ΣApjは、j=1からj=n−1までの細孔の壁面の面積の積算値を表す。
【0034】
マイクロ細孔の孔径は、例えば、MP法に基づき、その孔径に対する細孔容積変化率から細孔の分布として算出することができる。MP法により細孔分布解析を行う場合、先ず、吸着剤(多孔質炭素材料)に窒素を吸着させることにより、吸着等温線を求める。そして、この吸着等温線を吸着層の厚さtに対する細孔容積に変換する(tプロットする)。そして、このプロットの曲率(吸着層の厚さtの変化量に対する細孔容積の変化量)に基づき細孔分布曲線を得ることができる(日本ベル株式会社製BELSORP−mini及びBELSORP解析ソフトウェアのマニュアル、第72頁〜第73頁、第82頁参照)。
【0035】
多孔質炭素材料前駆体[1],[2]を酸又はアルカリで処理するが、具体的な処理方法として、例えば、酸あるいはアルカリの水溶液に多孔質炭素材料前駆体[1],[2]を浸漬する方法や、多孔質炭素材料前駆体[1],[2]と酸又はアルカリとを気相で反応させる方法を挙げることができる。より具体的には、酸によって処理する場合、酸として、例えば、フッ化水素、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化カルシウム、フッ化ナトリウム等の酸性を示すフッ素化合物を挙げることができる。フッ素化合物を用いる場合、多孔質炭素材料前駆体[1],[2]に含まれるケイ素成分におけるケイ素元素に対してフッ素元素が4倍量となればよく、フッ素化合物水溶液の濃度は10重量%以上であることが好ましい。フッ化水素酸によって、多孔質炭素材料前駆体[1],[2]に含まれるケイ素成分(例えば、二酸化ケイ素)を除去する場合、二酸化ケイ素は、化学式(1)又は化学式(2)に示すようにフッ化水素酸と反応し、ヘキサフルオロケイ酸(H2SiF6)あるいは四フッ化ケイ素(SiF4)として除去され、多孔質炭素材料を得ることができる。そして、その後、洗浄、乾燥を行えばよい。
【0036】
SiO2+6HF → H2SiF6+2H2O (1)
SiO2+4HF → SiF4+2H2O (2)
【0037】
また、アルカリ(塩基)によって処理する場合、アルカリとして、例えば、水酸化ナトリウムを挙げることができる。アルカリの水溶液を用いる場合、水溶液のpHは11以上であればよい。水酸化ナトリウム水溶液によって、多孔質炭素材料前駆体[1],[2]に含まれるケイ素成分(例えば、二酸化ケイ素)を除去する場合、水酸化ナトリウム水溶液を熱することにより、二酸化ケイ素は、化学式(3)に示すように反応し、ケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)として除去され、多孔質炭素材料を得ることができる。また、水酸化ナトリウムを気相で反応させて処理する場合、水酸化ナトリウムの固体を熱することにより、化学式(3)に示すように反応し、ケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)として除去され、多孔質炭素材料を得ることができる。そして、その後、洗浄、乾燥を行えばよい。
【0038】
SiO2+2NaOH → Na2SiO3+H2O (3)
【0039】
本発明の吸着剤は、上述した体内の様々な不要な分子を選択的に吸着するために用いることができる。即ち、本発明の吸着剤を、疾患の治療及び予防に有用な医薬内服薬等の経口投与吸着剤あるいは医療用吸着剤として用いることができる。更には、本発明の吸着剤を、上述したとおり、インドールを吸着する吸着剤、尿酸を吸着する吸着剤、アデノシンを吸着する吸着剤、α−アミラーゼを吸着する吸着剤、3−メチルインドールを吸着する吸着剤、トリプトファンを吸着する吸着剤、インジカンを吸着する吸着剤、テオフィリンを吸着する吸着剤、イノシン−5−1燐酸2ナトリウム塩を吸着する吸着剤、脂肪酸(具体的には、例えば、オレイン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、スクアレン、コレステロール)、色素(具体的には、リソールルビンBCA)、疎水性を有する分子、数平均分子量が1×102以上、5×102未満の有機物(例えば、有機分子、若しくは、蛋白質)を吸着する吸着剤として用いるだけでなく、アンモニア、尿素、ジメチルアミン、メチルグアニジンといったグアニジン化合物、含硫アミノ酸、フェノール、p−クレゾール、蓚酸、ホモシステイン、グアジニノコハク酸、ミオイノシトール、インドキシル硫酸、プソイドウリジン、環状アデノシン一リン酸、クレアチニン、β−アミノイソ酪酸、オクトパミン、α−アミノ酪酸、副甲状腺ホルモン、β2−ミクログロブリン、リボヌクレアーゼ、ナトリウム利尿ホルモンや、アスパラギン酸、アルギニン等の水溶性の塩基性及び両性物質を吸着する吸着剤として用いることもできる。また、プリン又はプリン誘導体、プリン塩基であるアデニンやグアニン、プリンヌクレオシドであるグアノシンやイノシン、プリンヌクレオチドであるアデニル酸、グアニル酸、イノシン酸を吸着する吸着剤として用いることもできる。更には、低分子又は高分子核酸であるオリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチドを吸着する吸着剤として用いることもできるし、ポリアミン類、3−デオキシグルコソン、種々のペプチドホルモン、顆粒球抑制タンパク(GIP)、脱顆粒球抑制タンパク(DIP)、化学遊走抑制タンパクを吸着する吸着剤として用いることもできる。更には、その他、カルバミル化ヘモグロビン、糖化終末産物、顆粒球・単球機能阻害物質、酸化作用促進物質等を吸着する吸着剤として用いることもできる。あるいは又、1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル(DPPH,数平均分子量:394)、チロシン(タイロシン,数平均分子量:394)、ミクロシスチン類を吸着する吸着剤として用いることもできる。
【発明の効果】
【0040】
本発明の吸着剤、クレンジング剤、腎臓疾患治療薬あるいは機能性食品における多孔質炭素材料にあっては、植物由来の材料にはケイ素が5重量%以上含まれるが、植物由来の材料を800゜C乃至1400゜Cにて炭素化することで多孔質炭素材料前駆体[1]あるいは多孔質炭素材料に変換する際、このような範囲内の温度での炭素化を行うことにより、植物由来の材料中に含まれるケイ素が、炭化ケイ素(SiC)とはならずに、二酸化ケイ素(SiOx)や酸化ケイ素、酸化ケイ素塩といったケイ素成分(ケイ素酸化物)となる。それ故、次の工程において酸又はアルカリ(塩基)で処理することにより二酸化ケイ素や酸化ケイ素、酸化ケイ素塩といったケイ素成分(ケイ素酸化物)が除去される結果、大きな窒素BET法による比表面積の値を得ることができる。そして、本発明の吸着剤、クレンジング剤、腎臓疾患治療薬あるいは機能性食品における多孔質炭素材料にあっては、窒素BET法による比表面積の値が10m2/グラム以上であり、ケイ素の含有率が1重量%以下、BJH法及びMP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上であるので、優れた機能性、特性が得られる。そして、これにより、例えば、汚れ成分を除去するための多孔質炭素材料として、経口投与吸着剤のための多孔質炭素材料として、また、蛋白質やウイルスの吸着を目的とした多孔質炭素材料として、本発明における多孔質炭素材料は最適であり、本発明の吸着剤によって上述した物質を極めて効果的に吸着することができる。また、優れた特性を有する腎臓疾患治療薬や機能性食品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例1及び比較例1の多孔質炭素材料におけるメソ細孔の細孔分布及びマイクロ細孔の細孔分布を表すグラフである。
【図2】図2は、実施例2−1、実施例2−3、参考例2−3等の多孔質炭素材料における水銀圧入法による細孔分布の測定結果を示すグラフである。
【図3】図3は、実施例2−1、実施例2−3、参考例2−3等の多孔質炭素材料におけるBJH法による細孔分布の測定結果を示すグラフである。
【図4】図4は、クレメジン原体1グラム当たりの吸着量を「1.0」としたときのインドール吸着量、尿酸吸着量、アデノシン吸着量、α−アミラーゼ吸着量の規格化された値を示すグラフである。
【図5】図5は、実施例2−3及び参考例2−2における、インドールの水溶液(水溶液A)での吸着量と吸着時間の関係を調べた結果を示すグラフである。
【図6】図6は、実施例3の多孔質炭素材料の赤外吸収スペクトル測定結果を示すグラフである。
【図7】図7の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例4におけるラットの血漿中の尿酸及びクレアチニンの含有量を測定した結果を示すグラフである。
【図8】図8の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例4におけるラットの体重の経時変化を示すグラフ、及び、平均摂餌量を示すグラフである。
【図9】図9は、実施例5における尿酸、クレアチニン、α−アミラーゼの吸着量を求めた結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。
【実施例1】
【0043】
先ず、実施例1においては、後述する実施例2において説明する本発明の第1の態様〜第15の態様に係る吸着剤、本発明の経口投与用の吸着剤、本発明のクレンジング剤を構成するのに適した多孔質炭素材料及びその製造方法について説明する。
【0044】
実施例1にあっては、多孔質炭素材料の原料である植物由来の材料を米(稲)の籾殻とした。そして、実施例1の多孔質炭素材料は、原料としての籾殻を炭素化して炭素質物質(多孔質炭素材料前駆体)に変換し、次いで、酸処理を施すことで得られる。
【0045】
多孔質炭素材料の製造においては、先ず、粉砕した籾殻(鹿児島県産、イセヒカリの籾殻)に対して、不活性ガス中で加熱処理(予備炭素化処理)を施す。具体的には、籾殻を、窒素気流中において500゜C、5時間、加熱することにより炭化させ、炭化物を得た。尚、このような処理を行うことで、次の炭素化の際に生成されるであろうタール成分を減少あるいは除去することができる。その後、この炭化物の10グラムをアルミナ製の坩堝に入れ、窒素気流中(10リットル/分)において5゜C/分の昇温速度で1000゜Cまで昇温させた。そして、1000゜Cで5時間、炭素化して、炭素質物質(多孔質炭素材料前駆体)に変換した後、室温まで冷却した。尚、炭素化及び冷却中、窒素ガスを流し続けた。次に、この多孔質炭素材料前駆体を46容積%のフッ化水素酸水溶液に一晩浸漬することで酸処理を行った後、水及びエチルアルコールを用いてpH7になるまで洗浄した。そして、最後に乾燥させることにより、後述する実施例2〜実施例6での使用に適した多孔質炭素材料を得ることができた。
【0046】
尚、粉砕した籾殻に対して、不活性ガス中で加熱処理(予備炭素化処理)を施した後、46容積%のフッ化水素酸水溶液に一晩浸漬することで酸処理を行い、その後、炭素化して、多孔質炭素材料を得てもよい。
【0047】
尚、比較のために、酸処理を行わなかった点を除き、実施例1と同じ原料を用い、実施例1と同様の方法に基づき多孔質炭素材料(比較例1の多孔質炭素材料)を得た。
【0048】
実施例1及び比較例1の多孔質炭素材料について、比表面積及び細孔容積を測定したところ、表1に示す結果が得られた。また、実施例1及び比較例1の多孔質炭素材料について、メソ細孔及びマイクロ細孔の細孔径の分布を測定したところ、図1の(A)及び(B)に示す結果が得られた。
【0049】
比表面積及び細孔容積を求めるための測定機器として、BELSORP−mini(日本ベル株式会社製)を用い、窒素吸脱着試験を行った。測定条件として、測定平衡相対圧(p/p0)を0.01〜0.95とした。そして、BELSORP解析ソフトウェアに基づき、比表面積及び細孔容積を算出した。また、メソ細孔及びマイクロ細孔の細孔径分布は、上述した測定機器を用いた窒素吸脱着試験を行い、BELSORP解析ソフトウェアによりBJH法及びMP法に基づき算出した。
【0050】
表1に示すように、酸処理を行った実施例1の多孔質炭素材料の比表面積及び細孔容量は、酸処理を行わなかった比較例1の多孔質炭素材料の比表面積及び細孔容量と比較して著しく大きく、比表面積の値は400m2/グラム以上、細孔容積の値は0.1cm3/グラム以上であった。また、図1の(A)に示すように、実施例1の多孔質炭素材料にあっては、比較例1の多孔質炭素材料と比較して、20nm以下の孔径のメソ細孔を多く含み、特に、10nm以下の孔径のメソ細孔を多く含むことが判った。更には、図1の(B)に示すように、実施例1の多孔質炭素材料にあっては、比較例1の多孔質炭素材料と比較して、孔径が1.9nm程度のマイクロ細孔、1.5nm程度のマイクロ細孔、及び、0.8nm〜1nm程度のマイクロ細孔を多く含むことが判った。
【0051】
また、実施例1及び比較例1の多孔質炭素材料について元素分析を行ったところ、表2に示す結果が得られた。尚、元素分析の測定機器としてエネルギー分散型X線分析装置(日本電子株式会社製のJED−2200F)を用い、エネルギー分散法(EDS)により各元素を定量した後、含有率を重量比(重量%)として算出した。測定条件を、走査電圧15kV、照射電流13μAとした。
【0052】
表2に示すように、酸処理を行った実施例1の多孔質炭素材料においては、酸処理を行わなかった比較例1の多孔質炭素材料よりも、ケイ素(Si)、酸素(O)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)及びナトリウム(Na)の含有率が減少していた。中でも、ケイ素(Si)及び酸素(O)の含有率が、実施例1においては、比較例1より著しく減少し、1重量%以下となっていた。また、リン(P)及び硫黄(S)の含有率は、実施例1の方が、比較例1よりも増加していた。このことから、籾殻を原料として800゜C〜1400゜Cにて炭素化した後、酸での処理を行うことにより製造された多孔質炭素材料にあっては、ケイ素(Si)の含有率が1重量%以下、マグネシウム(Mg)の含有率が0.01重量%以上3重量%以下、カリウム(K)の含有率が0.01重量%以上3重量%以下、カルシウム(Ca)の含有率が0.05重量%以上3重量%以下となることが確認された。また、リン(P)の含有率が0.01重量%以上3重量%以下、硫黄(S)の含有率が0.01重量%以上3重量%以下となることも確認された。尚、その他の元素として、元素の種類を示していないが、炭素(C)が最も多く、その他の元素の内の90%以上が炭素(C)であった。ここで、ケイ素はアモルファスシリカ成分として籾殻に含まれており、原料である籾殻中のケイ素の含有率は、9.4重量%であった。
【0053】
また、実施例1の多孔質炭素材料は、比較例1の多孔質炭素材料よりもケイ素(Si)及び酸素(O)の含有率が著しく減少していたことから、また、比較例1の分析結果からも、二酸化ケイ素が炭素質物質(多孔質炭素材料前駆体)に多く含まれていたことが示唆された。そして、多孔質炭素材料前駆体を酸で処理することにより、含まれる二酸化ケイ素といったケイ素成分が除去され、比表面積の値の増加に寄与することが示唆された。更には、酸での処理によって、メソ細孔及びマイクロ細孔が増加することが確認された。また、フッ化水素酸水溶液の代わりに、水酸化ナトリウム水溶液といったアルカリ(塩基)にて処理して得られた多孔質炭素材料においても、同様の結果が得られた。
【0054】
[表1]
比表面積(m2/グラム) 細孔容積cm3/グラム
実施例1 589 0.60
比較例1 6.26 0.018
【0055】
[表2]

【実施例2】
【0056】
実施例2は、本発明の第1の態様〜第15の態様に係る吸着剤、本発明の経口投与用の吸着剤、本発明のクレンジング剤に関し、実施例2にあっては、実施例1にて得られた多孔質炭素材料を、体内の様々な不要な分子を選択的に吸着するための多孔質炭素材料、汚れ成分を除去するための多孔質炭素材料、経口投与吸着剤のための多孔質炭素材料として適用した。そして、種々の物質について、多孔質炭素材料の単位重量当たりの吸着量を測定した。
【0057】
吸着量の測定にあっては、先ず、14種類の数平均分子量の異なる物質、インドール(数平均分子量:117)、尿酸(数平均分子量:168)、アデノシン(数平均分子量:267)、α−アミラーゼ(数平均分子量:約50000)、3−メチルインドール(数平均分子量:131)、テオフィリン(数平均分子量:180)、L−トリプトファン(数平均分子量:204)、インジカン(数平均分子量:295)、イノシン−5−1燐酸2ナトリウム塩(数平均分子量:392)、アデノシン−5−3燐酸2ナトリウム塩(数平均分子量:551)、オレイン酸(数平均分子量:282)、スクアレン(数平均分子量:411)、コレステロール(数平均分子量:387)、リソールルビンBCA(数平均分子量:424)、ミクロシスチンLR(数平均分子量:994)とpH7.3のリン酸緩衝液とを用いて、以下の表3に示す濃度の各水溶液(水溶液A、水溶液B、水溶液C、水溶液D、水溶液E、水溶液F、水溶液G、水溶液H、水溶液I、水溶液J、水溶液K、水溶液L、水溶液M、水溶液N、水溶液O)を調製した。尚、吸着前の各水溶液濃度は任意に決めた。そして、調製した水溶液40.0ミリリットルのそれぞれに、0.010グラムの多孔質炭素材料を添加し、37±2゜Cにて1時間振とうした。振とう後、500μmの細孔を有するポリテトラフルオロエチレン製のメンブレンフィルターを用いて、水溶液から多孔質炭素材料を除去した。そして、濾液の吸光度をUV可視吸光度測定により測定し、水溶液モル濃度を求めた。尚、吸着前の初期水溶液モル濃度と比較することにより、吸着量を算出した。多孔質炭素材料1グラム当たりの吸着量を、以下の式に基づき算出した。
【0058】
(多孔質炭素材料1グラム当たりの吸着量)=
(溶質の分子量)×{(吸着前の水溶液モル濃度)−(吸着後の水溶液モル濃度)}/
(1000ミリリットル当たりの多孔質炭素材料の量)
【0059】
実施例2にあっては、実施例1にて得られた多孔質炭素材料に基づき、以下の表4に示す吸着剤を製造した。尚、表4における実施例2−1は、実施例1と同じ方法(但し、炭素化温度を800゜C、炭素化時間を1時間とした)で製造された多孔質炭素材料であり、実施例2−2、実施例2−3は、それぞれ、実施例1にて得られた多孔質炭素材料に対して、表4に示す賦活処理を施している。尚、実施例2−2及び実施例2−3にあっては、賦活剤として水蒸気を用い、水蒸気雰囲気下、900゜Cにて、2時間及び3時間、多孔質炭素材料を加熱することにより、多孔質炭素材料中の揮発成分や炭素分子により微細構造を発達させている。併せて、表4に、比表面積の測定結果及び細孔容積測定結果を示す。表4から、実施例2−2と実施例2−3とを比較すると、賦活処理の時間が長くなるほど、比表面積の値及び細孔容積の値が増加することが判る。尚、実施例2−1、実施例2−3、参考例2−3、比較例1の多孔質炭素材料の水銀圧入法による細孔分布、BJH法による細孔分布を測定したところ、水銀圧入法による細孔分布にあっては約1μmのところに大きなピークを有し(図2参照)、BJH法による細孔分布にあっては4nmに大きなピークを有していた(図3参照)。尚、比較例1のデータを、図2及び図3においては、「シリカ除去処理なし」で示す。
【0060】
また、参考のために、参考例2−1及び参考例2−2として、以下の表5に示す活性炭を用いて、1グラム当たりの吸着量を測定した。
【0061】
[表3]

【0062】
[表4]

【0063】
[表5]

【0064】
多孔質炭素材料あるいは活性炭1グラム当たりのインドール吸着量(グラム)、尿酸吸着量(グラム)、アデノシン吸着量(グラム)、α−アミラーゼ吸着量(グラム)3−メチルインドール吸着量(グラム)、テオフィリン吸着量(グラム)、L−トリプトファン吸着量(グラム)、インジカン吸着量(グラム)、イノシン−5−1燐酸2ナトリウム塩吸着量(グラム)、ミクロシスチンLR(数平均分子量:994)、アデノシン−5−3燐酸2ナトリウム塩吸着量(グラム)、オレイン酸吸着量(グラム)、スクアレン吸着量(グラム)、コレステロール吸着量(グラム)、リソールルビンBCA吸着量(グラム)を、以下の表6、表7、表8、表9、表10、表11、表12、表13、表14、表15、表16、表17、表18、表19、表20に示す。
【0065】
[表6]

【0066】
[表7]

【0067】
[表8]

【0068】
[表9]

【0069】
[表10]

【0070】
[表11]

【0071】
[表12]

【0072】
[表13]

【0073】
[表14]

【0074】
[表15]

【0075】
[表16]

【0076】
[表17]

【0077】
[表18]

【0078】
[表19]

【0079】
[表20]

【0080】
表6から、実施例2−1、実施例2−2、実施例2−3にあっては、多孔質炭素材料1グラム当たりのインドール吸着量は、多孔質炭素材料の比表面積の値及び細孔容積の値が増加するに従い、増加する傾向が認められ、しかも、良い相関が認められた。また、参考例2−1及び参考例2−2よりも、実施例2−1、実施例2−2及び実施例2−3のいずれもが、高いインドール吸着量を示した。
【0081】
また、表7から、実施例2−1、実施例2−2、実施例2−3にあっては、多孔質炭素材料1グラム当たりの尿酸吸着量は、多孔質炭素材料の比表面積の値及び細孔容積の値が増加するに従い、増加する傾向が認められ、しかも、良い相関が認められた。また、参考例2−1及び参考例2−2よりも、実施例2−2及び実施例2−3は、高い尿酸吸着量を示した。
【0082】
更には、表8から、実施例2−1、実施例2−2、実施例2−3にあっては、多孔質炭素材料1グラム当たりのアデノシン吸着量は、多孔質炭素材料の比表面積の値及び細孔容積の値が増加するに従い、増加する傾向が認められ、しかも、良い相関が認められた。また、参考例2−1及び参考例2−2よりも、実施例2−1、実施例2−2及び実施例2−3のいずれもが、高いアデノシン吸着量を示した。
【0083】
また、表9から、参考例2−2よりも、実施例2−3の方が、高いα−アミラーゼ吸着量を示した。
【0084】
更には、表10から、実施例2−2、実施例2−3にあっては、多孔質炭素材料1グラム当たりの3−メチルインドール吸着量は、多孔質炭素材料の比表面積の値及び細孔容積の値が増加するに従い、増加する傾向が認められた。また、参考例2−2よりも、実施例2−2及び実施例2−3は、高い3−メチルインドール吸着量を示した。
【0085】
また、表11から、実施例2−1、実施例2−2、実施例2−3にあっては、多孔質炭素材料1グラム当たりのテオフィリン吸着量は、多孔質炭素材料の比表面積の値及び細孔容積の値が増加するに従い、増加する傾向が認められ、しかも、良い相関が認められた。また、参考例2−1及び参考例2−2よりも、実施例2−1、実施例2−2及び実施例2−3は、高いテオフィリン吸着量を示した。
【0086】
更には、表12から、参考例2−1及び参考例2−2よりも、実施例2−3は、高いL−トリプトファン吸着量を示した。
【0087】
また、表13から、参考例2−1及び参考例2−2よりも、実施例2−2及び実施例2−3は、高いインジカン吸着量を示した。
【0088】
更には、表14から、実施例2−2、実施例2−3にあっては、多孔質炭素材料1グラム当たりのイノシン−5−1燐酸2ナトリウム塩吸着量は、多孔質炭素材料の比表面積の値及び細孔容積の値が増加するに従い、増加する傾向が認められた。また、参考例2−1及び参考例2−2よりも、実施例2−2及び実施例2−3は、高いイノシン−5−1燐酸2ナトリウム塩吸着量を示した。
【0089】
また、表15から、参考例2−1及び参考例2−2よりも、実施例2−3は、高いアデノシン−5−3燐酸2ナトリウム塩吸着量を示した。
【0090】
表16から、参考例2−3よりも、実施例2−3は、高いミクロシスチンLR吸着量を示した。
【0091】
更には、表17から、参考例2−3よりも、実施例2−3は、高いオレイン酸吸着量を示した。
【0092】
また、表18から、参考例2−4、参考例2−5よりも、実施例2−3は、高いスクアレン吸着量を示した。
【0093】
更には、表19から、参考例2−3、参考例2−4、参考例2−5よりも、実施例2−3は、高いコレステロール吸着量を示した。
【0094】
また、表20から、参考例2−3、参考例2−4、参考例2−5よりも、実施例2−3は、高いリソールルビンBCA吸着量を示した。
【0095】
表6〜表9に示した結果に基づき、参考例2−2のクレメジン原体1グラム当たりの吸着量を「1.0」としたときのインドール吸着量、尿酸吸着量、アデノシン吸着量、α−アミラーゼ吸着量の規格化された値を、図4及び表21に示す。尚、図4には、参考のために、アリザリンシアニングリーン(数平均分子量:623)、及び、リゾチーム(数平均分子量:14307)の試験結果を加えている。図4から、実施例2における吸着剤は、特に、数平均分子量が1×102以上、5×102未満の有機物を効果的に吸着することが判る。また、表10〜表15に示した結果に基づき、参考例2−2のクレメジン原体1グラム当たりの吸着量を「1.0」としたときの3−メチルインドール吸着量、テオフィリン吸着量、L−トリプトファン吸着量、インジカン吸着量、イノシン−5−1燐酸2ナトリウム塩吸着量、アデノシン−5−3燐酸2ナトリウム塩吸着量の規格化された値を、表22に示す。
【0096】
[表21]

【0097】
[表22]

【0098】
また、実施例2−3及び実施例2−2における、インドールの水溶液(水溶液A)での吸着量と吸着時間の関係を調べた結果を図5に、「A」(実施例2−3)及び「B」(実施例2−2)で示す。実施例2−3にあっては、実施例2−2よりも、短時間でインドールを多量に吸着することが判る。
【0099】
以上に説明したとおり、多孔質炭素材料の比表面積及び細孔容積といったパラメータの違い、多孔質炭素材料の物理的表面状態や化学的表面状態の違い、多孔質炭素材料と被吸着物質との間の化学的相互作用の違いに依存して、分子の吸着特性が異なることが判った。そして、特に、分子量の小さな分子の吸着に関する多孔質炭素材料の挙動と、分子量の大きな分子の吸着に関する多孔質炭素材料の挙動とに相違が認められ、参考例の活性炭と比べて、本発明における多孔質炭素材料は、低分子量を有する物質をより一層良く吸着することが判った。従って、吸着させるべき分子の分子量と多孔質炭素材料の比表面積及び細孔容積といったパラメータとの間の関係や製造方法との関係等を種々の試験に基づき求めることで、多孔質炭素材料によって選択的に分子を吸着することが可能となり、吸着を必要とする様々な医療用途において大きな効果が期待される。
【0100】
富栄養化した湖沼や池では、夏期を中心に、藍藻類(ミクロキスティス等)が異常増殖して、水の表面が緑色の粉をふいたような厚い層が形成されることがあり、これはアオコと呼ばれている。この藍藻類は人体に有害な毒素を発生することが知られているが、多くの毒素の中でミクロシスチンLRという毒素が特に警戒されている。ミクロシスチンLRが生体内に入ると肝臓が大きな損傷を受け、その毒性はマウスによる実験でも報告されている。ミクロシスチンLRを出す有毒アオコは、オーストラリアやヨーロッパ、アメリカの湖、アジア各地で発生している。被害の大きい中国の湖では、一年中、大発生したアオコが消えることはない。そして、湖水は飲料水や農業用水に利用されているため、湖沼において藍藻類が生み出す毒素が人間の飲料水の確保において問題になっており、その解決が強く望まれている。本発明の吸着剤は、上述したとおり、高いミクロシスチン吸着能力を有しており、アオコや、湖沼水、河川水等に含まれる毒性成分のミクロシスチン類を、容易に、確実に、且つ、経済的に吸着することができる。
【実施例3】
【0101】
実施例3は、実施例2の変形である。実施例3にあっては、実施例2において説明した実施例2−1の多孔質炭素材料の表面を有機分子で化学的に修飾した。
【0102】
具体的には、500ミリリットルのナス型フラスコを用いて、3.0グラムの実施例2−1の多孔質炭素材料と、300ミリリットルの濃硝酸とを混合し、室温にて12時間、攪拌した。その後、純水で洗浄した。得られた多孔質炭素材料(実施例3−Aの多孔質炭素材料と呼ぶ)にあっては、カルボニル基を示すピーク(C=O:1500cm-1)及びヒドロキシル基を示すピーク(−OH:3700cm-1)が赤外分光法にて観察できたことから、カルボキシ基の存在が確認することができた。図6に赤外吸収スペクトルを示すが、図6の最下段に示す赤外吸収スペクトルは、実施例2−1の多孔質炭素材料の赤外吸収スペクトルであり、図6の中段に示す赤外吸収スペクトルは、実施例3−Aの多孔質炭素材料の赤外吸収スペクトルである。
【0103】
更に、実施例3−Aの多孔質炭素材料2.5グラムと塩化チオニル37.5ミリリットルを混合し、塩素化を図った。得られた多孔質炭素材料(実施例3−Bの多孔質炭素材料と呼ぶ)にあっては、赤外吸収スペクトルからも判るように、ヒドロキシル基を示すピークが減少し、C=Oのみを示すピークが主に観察された。これは、ヒドロキシル基が塩素に置き換わったためと考えられる(図6の最上段に示す赤外吸収スペクトル参照)。
【0104】
尚、全ての過程において、ベンゼン環の二重結合を示すピークが観察された。
【0105】
得られた実施例3−A及び実施例3−Bの多孔質炭素材料を吸着剤として用い、実施例2と同様にインドール、尿酸、アデノシン、α−アミラーゼ、3−メチルインドール、L−トリプトファン、インジカン、テオフィリン、イノシン−5−1燐酸2ナトリウム塩、アデノシン−5−3燐酸2ナトリウム塩を吸着させたところ、参考例2−2よりも、これらの物質を多く吸着することが判った。
【実施例4】
【0106】
実施例4は、本発明の腎臓疾患治療薬に関する。実施例4の腎臓疾患治療薬は、ケイ素の含有率が5重量%以上である植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が10m2/グラム以上、ケイ素の含有率が1重量%以下、BJH法及びMP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成る。具体的には、この多孔質炭素材料は、実施例2−3において説明した多孔質炭素材料から成る。
【0107】
この多孔質炭素材料の投与形態は、散剤、顆粒、錠剤、糖衣錠、カプセル、懸濁剤、乳剤等、いずれも取り得ることが可能である。カプセル剤として服用する場合には、通常のゼラチン他、腸溶性を有する材料から作製されたカプセルを用いればよい。錠剤にする場合には、乳糖やデンプン等の賦形剤、ヒドロキシプロピルセルロースやアラビアゴム糊、デンプン糊等の結合剤、ステアリン酸マグネシウム等のワックスやタルク等の滑沢剤、セルロース類等の崩壊剤等を用いてもよい。また、その他、アルミナやシリカ成分との複合剤として用いてもよい。
【0108】
ラット雌(種:SPF/系統:Crl:CD(SD)、体重:150〜220グラム、供給元:日本チャールス・リバー株式会社)を使用し、イソフルラン麻酔下で、左腎門部結紮を行い、腎臓を摘出した。そして、10日後に右腎門部結紮を行い、腎臓を摘出した。これにより、両側腎門部結紮腎不全モデルとして試験に使用した。これを各群10匹の3群とした。尚、入手時齢は6週である。そして、給餌方法を、飼料をステンレス製給餌器に入れ,自由に摂取させる方法とし、給水方法を、自動給水装置により自由に摂取させる方法とした。但し,自動給水に慣れないラットについては、タッチドリンク式先管を装着したガラス製の給水器を併用した。また、飼育条件は、以下のとおりである。
【0109】
温度 :23゜C
湿度 :55%RH
換気回数:16回/時間
照明時間:12時間/日(7時から19時までの人工照明)
【0110】
腎臓疾患治療薬の投与開始時齢は9週である。また、投与開始時の体重範囲は150グラム乃至240グラムであった。投与方法を以下のとおりとした。即ち、各群に、各種多孔質炭素材料と水を所定の割合で混合したものを投与した。具体的には、個体毎に調製した被験物質液又は比較対照物質液を攪拌しながら、10ミリリットル注射筒に吸引した。そして、ボルテックスミキサーで注射筒内の炭素材料を分散させた後、速やかにラット用ゾンデを用いて胃内に強制経口投与した。尚、対照群には蒸留水を強制経口投与した。各群への投与の詳細は表23のとおりである。ここで、投与回数及び時間は、1日1回、9時から13時の間とした。但し、投与開始日は腎不全モデル作製後に投与した。
【0111】
実験開始以降、モデルの生死を記録し、瀕死状態の発見の際には、安楽死処分を行った。各群とも観察開始から24時間経過までは、全て生存していた。しかしながら、36時間経過以降になると、実施例2−3において説明した多孔質炭素材料を投与した群の方が、対照群に比べて、生存率が高いことが判った。また、各観察時間の死亡数(表24参照)から、実施例2−3において説明した多孔質炭素材料の投与群の方が、対照群に比べて、中央値(表25参照)が長時間側にあることが判った。これらの結果から、本発明の腎臓疾患治療薬の腎臓疾患の病状の進行を抑制する効果が認められた。尚、図19中、括弧内の数字は中央値を示す。
【0112】
[表23]

【0113】
[表24]

【0114】
[表25]

【0115】
ラットの血漿を採取し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)測定を行い、尿酸及びクレアチニンの含有量の比較を行った。それぞれのピーク面積を求め解析を行った。HPLCの測定条件は以下のとおりである。
【0116】
[測定条件]
採取容量:80マイクロリットル
カラム :ポリヒドロキシメタクリレート
流出液 :pH7.4 リン酸緩衝液
流出速度:1.0ミリリットル/分
検出 :紫外線 254nm
定量法 :ピーク面積
分析時間:約20分
【0117】
測定結果のボックスプロットを、図7の(A)及び(B)に示す。尚、図7の(A)及び(B)は、それぞれ、投与、3日目、午後に採取した試料における尿酸及びクレアチニンのピーク面積である。実施例4の腎臓疾患治療薬を投与した群は、対照群と比較して血中濃度が低くなることが判った。特に、尿酸における低使用量群、高使用量群、及び、クレアチニンの高使用量群において顕著な低下が確認され、実施例4の腎臓疾患治療薬の薬効が認められた。
【0118】
実施例4の腎臓疾患治療薬を飼料に混合し、ラットを用いて摂餌試験を行った。具体的には、以下の方法に基づき、混合飼料を調製した。
【0119】
被験物質である実施例4の腎臓疾患治療薬及び比較対照物質と粉末飼料とを乾式粉体混合機を用いて混合した。ここで、被験物質を1重量%、5重量%及び10重量%含む混餌飼料を作製するにあたって、調製総量1.0キログラムに対して10グラム、50グラム及び100グラムの被験物質を秤量した。一方、比較対照物質では調製総量1.0キログラムに対して5重量%の混餌飼料を作製するため50グラムを秤量した。そして、秤量した被験物質及び比較対照物質と少量の粉末飼料を密閉可能なポリエチレン袋に入れて混合した。次いで、混合物を乾式粉体混合機のドラムに移し、粉末飼料を少しずつ加えて混合する操作を3乃至4回繰り返し、前処理とした。そして、残りの粉末飼料をドラム内に入れ、30分間、乾式粉体混合機を動作させた。その後、ドラムから混合粉末飼料を取り出し、調製濃度毎に密閉容器に入れ、被験飼料として使用した。
【0120】
ラット雌(種:SPF/系統:Crl:CD(SD)、供給元:日本チャールス・リバー株式会社、日野飼育センター)を使用した。尚、性別は雌であり、33匹にて試験を行った。入手時齢は8週である。そして、入手日から6日間の検疫を行った。検疫期間中、一般状態を毎日観察し、体重を1日目(入手日)、3日目及び7日目(検疫終了日)に測定した。また、入手日から投与開始前日までを馴化期間とし、一般状態を1日1回観察した。そして、投与開始時齢を9週とした。投与開始時の体重範囲は150グラム乃至240グラムであった。また、臨床適用経路と同一経路を選択し、投与期間を14日間とした。給餌方法を、飼料をステンレス製給餌器に入れ、自由に摂取させる方法とし、給水方法を、自動給水装置により自由に摂取させる方法とした。但し、自動給水に慣れないラットについては、タッチドリンク式先管を装着したガラス製の給水器を併用した。飼育条件は、以下のとおりである。また、試験群の構成を、以下のとおりとした。
【0121】
温度 :23゜C
湿度 :55%RH
換気回数:16回/時間
照明時間:12時間/日(7時から19時までの人工照明)
【0122】
群 被験飼料 混餌濃度(重量%) ラット数
実施例4−A 実施例4 1 6
実施例4−B 実施例4 5 6
実施例4−C 実施例4 10 6
比較例4−A 媒体(粉末飼料) −− 6
比較例4−B クレメジン 5 6
【0123】
試験の結果、実施例4−A群、実施例4−B群、実施例4−C群及び比較例4−A群、比較例4−B群にあっては、被験飼料を含むと考えられる黒色便の排泄がみられ、混餌飼料給与開始翌日から混餌物質が摂取した餌と共に排泄されていることが確認された。体重の経時変化を図8の(A)に示す。実施例4−B群、実施例4−C群において、投与14日目(Day 15)での体重は比較例4−A群と比べやや低かったが、混餌濃度の増加に伴って減少する傾向は認められず、被験物質摂取による悪影響を示すものではないと考えられた。
【0124】
図8の(B)に各平均摂餌量を示す。実施例及び比較例ともに混餌飼料の摂餌状態は良好で、実施例4−A群及び実施例4−B群では、摂餌量は比較例4−A群とほぼ同等で、実施例4−C群及び比較例4−B群では比較例4−A群を上回る摂餌量を示した。摂餌量の多かったこれらの群では、同様に、糞便量は比較例4−A群と比べて増加を示しており、実施例4の腎臓疾患治療薬を混合した飼料を摂取しても排便に影響は生じていないことが推察された。また、観察期間終了時の剖検では、実施例4−A群、実施例4−B群、実施例4−C群及び比較例4−B群のいずれの濃度群においても、被験物質と考えられる黒色内容物が、比較例4−A群で消化物がみられたのと同じ回腸及び大腸にて観察され、特定の部位に停滞することはなかった。以上の結果から、実施例4の試験条件下において、1重量%乃至10重量%の濃度の実施例4の腎臓疾患治療薬をラットに給与した場合、正常な摂餌が観察され、生体に悪影響を及ぼすことなく、飼育が可能と結論された。
【実施例5】
【0125】
実施例5にあっては、尿酸、クレアチニン、α−アミラーゼを下記の表26に示す濃度で混合した5種類の混合溶液を調製し、それぞれの分子の吸着量を求めた。尚、吸着剤として、実施例2−3の吸着剤、及び、参考例2−2の吸着剤を用いた。その結果を図9のに示す。これらの結果から、参考例2−2の吸着剤と比較して、実施例2−3の吸着剤は、吸着量、及び、尿毒素(尿酸、クレアチニン)に対する選択吸着特性が高いことが確認された。
【0126】
[表26]

【実施例6】
【0127】
実施例6は、本発明の機能性食品に関する。実施例6にあっては、実施例2において説明した多孔質炭素材料(実施例2−1、実施例2−2及び実施例2−3)に基づき、これらの多孔質炭素材料を含む機能性食品を製造した。具体的には、多孔質炭素材料、微結晶セルロースにカルボキシメチルセルロースナトリウムをコーティングした微結晶セルロース製剤、甘味料、及び、調味料を混合し、水に分散させ、混錬、成型(賦形)するといった方法に基づき、機能性食品を製造した。
【0128】
以上、好ましい実施例に基づき本発明を説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。実施例にあっては、多孔質炭素材料の原料として、籾殻を用いる場合について説明したが、その他、藁、葦あるいは茎ワカメ、更には他の植物を原料として用いてもよい。ここで、他の植物として、例えば、陸上に植生する維管束植物、シダ植物、コケ植物、藻類及び海草等を挙げることができ、これらを、単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
【0129】
また、本発明における多孔質炭素材料に関して、窒素BET法に基づく比表面積や種々の元素の含有率について適切な範囲を説明したが、その説明は、比表面積の値や種々の元素の含有率が上記した範囲外となる可能性を完全に否定するものではない。即ち、上記の適切な範囲は、あくまでも本発明の効果を得る上で特に好ましい範囲であり、本発明の効果が得られるのであれば、比表面積の値等が上記の範囲から多少外れてもよい。
【0130】
また、本発明における多孔質炭素材料を、細胞培養材料(細胞培養足場材料)として用いることができる。即ち、細胞培養材料を、ケイ素の含有率が5重量%以上である植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が10m2/グラム以上、ケイ素の含有率が1重量%以下、BJH法及びMP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成る構成とすることができる。具体的には、粉末のポリ乳酸と実施例2−1の多孔質炭素材料とを混合し、成型することで、厚さ0.5mmの薄膜から成るシート状の細胞培養材料を得た。この細胞培養材料を構成する多孔質炭素材料に、細胞の成長因子となる蛋白質等を吸着、徐放させることで、細胞培養材料の上で細胞の培養を容易に、且つ、確実に行うことができる。具体的には、細胞培養に必要な細胞成長因子(例えば、上皮成長因子、インスリン様成長因子、トランスフォーミング成長因子、神経成長因子等)を細胞培養材料を構成する多孔質炭素材料に吸着させ、徐放させることで、効率よく各種細胞を培養することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ素の含有率が5重量%以上である植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が10m2/グラム以上、ケイ素の含有率が1重量%以下、BJH法及びMP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成り、インドールを吸着する吸着剤。
【請求項2】
ケイ素の含有率が5重量%以上である植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が10m2/グラム以上、ケイ素の含有率が1重量%以下、BJH法及びMP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成り、尿酸を吸着する吸着剤。
【請求項3】
ケイ素の含有率が5重量%以上である植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が10m2/グラム以上、ケイ素の含有率が1重量%以下、BJH法及びMP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成り、アデノシンを吸着する吸着剤。
【請求項4】
ケイ素の含有率が5重量%以上である植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が10m2/グラム以上、ケイ素の含有率が1重量%以下、BJH法及びMP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成り、α−アミラーゼを吸着する吸着剤。
【請求項5】
ケイ素の含有率が5重量%以上である植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が10m2/グラム以上、ケイ素の含有率が1重量%以下、BJH法及びMP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成り、3−メチルインドールを吸着する吸着剤。
【請求項6】
ケイ素の含有率が5重量%以上である植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が10m2/グラム以上、ケイ素の含有率が1重量%以下、BJH法及びMP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成り、トリプトファンを吸着する吸着剤。
【請求項7】
ケイ素の含有率が5重量%以上である植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が10m2/グラム以上、ケイ素の含有率が1重量%以下、BJH法及びMP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成り、インジカンを吸着する吸着剤。
【請求項8】
ケイ素の含有率が5重量%以上である植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が10m2/グラム以上、ケイ素の含有率が1重量%以下、BJH法及びMP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成り、テオフィリンを吸着する吸着剤。
【請求項9】
ケイ素の含有率が5重量%以上である植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が10m2/グラム以上、ケイ素の含有率が1重量%以下、BJH法及びMP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成り、イノシン−5−1燐酸2ナトリウム塩を吸着する吸着剤。
【請求項10】
ケイ素の含有率が5重量%以上である植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が10m2/グラム以上、ケイ素の含有率が1重量%以下、BJH法及びMP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成り、アデノシン−5−3燐酸2ナトリウム塩を吸着する吸着剤。
【請求項11】
ケイ素の含有率が5重量%以上である植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が10m2/グラム以上、ケイ素の含有率が1重量%以下、BJH法及びMP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成り、脂肪酸を吸着する吸着剤。
【請求項12】
ケイ素の含有率が5重量%以上である植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が10m2/グラム以上、ケイ素の含有率が1重量%以下、BJH法及びMP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成り、色素を吸着する吸着剤。
【請求項13】
ケイ素の含有率が5重量%以上である植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が10m2/グラム以上、ケイ素の含有率が1重量%以下、BJH法及びMP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成り、数平均分子量が1×102以上、5×102未満の有機物を吸着する吸着剤。
【請求項14】
ケイ素の含有率が5重量%以上である植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が10m2/グラム以上、ケイ素の含有率が1重量%以下、BJH法及びMP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成り、疎水性の分子を吸着する吸着剤。
【請求項15】
ケイ素の含有率が5重量%以上である植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が10m2/グラム以上、ケイ素の含有率が1重量%以下、BJH法及びMP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成る医療用の吸着剤。
【請求項16】
ケイ素の含有率が5重量%以上である植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が10m2/グラム以上、ケイ素の含有率が1重量%以下、BJH法及びMP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成る経口投与用の吸着剤。
【請求項17】
ケイ素の含有率が5重量%以上である植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が10m2/グラム以上、ケイ素の含有率が1重量%以下、BJH法及びMP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成り、脂肪酸を吸着するクレンジング剤。
【請求項18】
ケイ素の含有率が5重量%以上である植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が10m2/グラム以上、ケイ素の含有率が1重量%以下、BJH法及びMP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料から成る腎臓疾患治療薬。
【請求項19】
ケイ素の含有率が5重量%以上である植物由来の材料を原料とし、窒素BET法による比表面積の値が10m2/グラム以上、ケイ素の含有率が1重量%以下、BJH法及びMP法による細孔の容積が0.1cm3/グラム以上である多孔質炭素材料を含む機能性食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−47175(P2013−47175A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−199398(P2012−199398)
【出願日】平成24年9月11日(2012.9.11)
【分割の表示】特願2009−161672(P2009−161672)の分割
【原出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】