説明

吸着管を特徴付ける方法およびシステム

開示されるのは、中に吸着剤を配置した容器を備えること、容器は入口および容器を通してキャリアガスを伝達するための入口および出口を備えること、出口のところの知られている流量に対する入口と出口との間の差圧を決定すること、および知られている流量および差圧に基づいて容器の幾何学的尺度を決定することを含むシステムおよび方法である。いくつかの実施形態では、これらの方法およびシステムは、比に分けた粘度、出力のところのガス圧力と周囲圧力との比に基づく係数を使用して周囲圧力での流量を決定すること、および/または出力のところの温度と周囲温度との比に基づく係数を使用して周囲温度での流量を決定することを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、全体が参考文献として本願明細書に援用される、2004年3月4日に出願した米国仮特許出願第60/521179号の優先権を、米国特許法第119条(e)に基づいて主張するものである。
【0002】
本発明は、例えば、クロマトグラフシステムで使用することができる吸着管の無欠陥性を測定するシステムおよび方法に関するものである。より具体的には、本発明は、吸着管の幾何学的特徴の測定を含む方法およびシステムに関するものである。
【背景技術】
【0003】
吸着管には、多数の様々な応用事例があり、吸着に使用できる充填材料が含まれる。吸着管の応用事例の1つは、ガスクロマトグラフィを含む。ガスクロマトグラフィは、本質的に、カラム内の固定相物質によりキャリアガス中の試験サンプルの構成要素が吸着または吸収され、その後脱着される物理的分離方法である。1パルス分のサンプルがキャリアガスの定常流内に導入され、サンプルはクロマトグラフカラム内に搬送される。カラムの内側は、液体で覆われており、この液体と、サンプルの様々な成分との相互作用−要素の分配係数の間の差に基づき異なる−により、サンプルがそれぞれの要素に分離される。カラムの末端では、個々の成分は多かれ少なかれやがて分離される。ガスの検出は、較正または他の知られているサンプルとの比較により、試験サンプル中に存在する、構成要素、およびその特定の濃度を示す、通常クロマトグラムと呼ばれる時間スケールによるパターンを持つ。これが生じるプロセスの一例は、Hinshawの米国特許第5,545,252号明細書で説明されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
クロマトグラフ分析のよくある応用事例の1つは、熱脱離ユニットを使用して特定の環境の構成要素を決定することである。例えば、空気のあるサンプル中に存在する揮発性有機化合物(VOC)の量を検出することが望まれることが多い。これを行う方法の1つは、吸着剤を詰めた管を試験対象の環境内に運び込み、典型的には「拡散サンプリング」または「受動的サンプリング」と呼ばれる自然な拡散を通じて空気中のVOCを管内に移す方法である。それとは別に、VOCは、小型真空ポンプを使用してガスのサンプル(典型的には周囲空気)を管内に通し引き込むことにより収集することができ、これは、通常、「ポンプサンプリング」と呼ばれる。それぞれの場合に、測定対象の検体(つまり、VOC)は、空気が管内を通るときに、吸着剤により保持され、吸着剤上で濃縮される。Nealへの米国特許第6,649,129号で簡単に説明されているように、VOCが最初にこの方法で収集されると、その後、管は、続いて、熱脱離装置内で加熱され、ヘリウムまたは窒素などの不活性ガス流が管に送られ、VOCは管からクロマトグラフカラム内へ掃き出され、分離および分析が行われる(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
どのような特定の応用例が用いられようと関係なく、サンプルをクロマトグラフカラム内に導入するのに先立って、サンプル中の検体を事前濃縮し、ときおり、そこから水分を除去することが望ましい場合も多い。したがって、Markelovへの米国特許第5,792,423号および6,395,560号で開示されているように、これらのシステムは、典型的には、この目的のためにある種の「トラップ」を備え、検体がトラップに通されて運ばれるときに検体を保持し、後で、通常は加熱により放出され、クロマトグラフカラム内に入れられる(例えば、特許文献3及び4参照)。一例は、吸着剤トラップであり、これは、典型的には、適当な吸着剤物質を充填された管を備え、サンプルガスが最初に管を通過するときに検体を吸着し、その後、検体は、そこから脱着されて、Markelovhへの米国特許第5,932,482号およびTiplerへの米国特許第6,652,625号に開示されている配列などの、クロマトグラフカラム内に導入される(例えば、特許文献5及び6参照)。
【0006】
しかし、これらの様々なシステムに存在する問題の1つは、上述の従来の熱脱離ユニットを伴う応用事例を取り扱う場合に吸着管がトラップとして使用されるだけでなく、吸着管が初期サンプリング管としても使用されることであり、これらの管の無欠陥性が損なわれる場合があることである。この問題のいくつかの原因は、図1A〜Bに例示されている。例えば、熱脱離がうまく働くためには、吸着剤10が管12内にきちんと充填されなければならない。しかし、ときには、そのように行われず、図1Aに示されているように、吸着剤の中に空隙14が形成される。こうした空隙は、ガスの一部が流れる溝となり、それにより、吸着剤充填の吸着および脱着効率が低下する。
【0007】
同様に、ときおり、吸着剤は、充填が不適切であったり、または熱衝撃があったりすると損傷して、小さな断片(微粉)16が発生し、図1Bに示されているように、充填粒子間の隙間を塞ぐことになる。その結果、ガス流が、吸着および脱着時に部分的に妨げられ、またもや吸着管の効率を下げる。
【特許文献1】米国特許第5,545,252号
【特許文献2】米国特許第6,649,129号
【特許文献3】米国特許第5,792,423号
【特許文献4】米国特許第6,395,560号
【特許文献5】米国特許第5,932,482号
【特許文献6】米国特許第6,652,625号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の教示は、管にかかる差圧を決定すること、およびその差圧を管出口のところの流量に関係付けることに基づいて吸着管(「管」)の幾何学的尺度を決定するシステムおよび方法を実現する。例示されている実施形態は、ガスクロマトグラフシステムおよび方法を対象とする応用事例を含むが、本発明の教示は、他の吸着管応用事例にも等しく適用できることは理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態では、本発明の教示は、中に吸着剤を配置した容器を備えること、容器は、容器を通してキャリアガスを伝達するための入口および出口を備えること、出口のところの知られている流量に対する入口と出口との間の差圧を決定すること、および知られている流量と差圧との比に基づいて容器の幾何学的尺度を決定することを含む方法を含む。差圧を決定するうえで、これらの方法は、差圧に関係する測定を行うための少なくとも1つのセンサを備えることを含むことができる。幾何学的尺度を決定することは、さらに、キャリアガスの粘度を決められた比に分けることを含むこともできる。いくつかの実施形態では、容器は、吸着剤トラップまたはサンプル管を含むことができる。これらの方法は、さらに、出力のところのガス圧力と周囲圧力との比に基づく係数を使用して周囲圧力での流量を決定すること、および出力のところの温度と周囲温度との比に基づく係数を使用して周囲温度での流量を決定することのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、本発明の教示は、クロマトグラフカラムへのキャリアガス流路内に容器を設けることを含むクロマトグラフ法に関係し、その容器は、ガス入口、ガス出口、および容器内に配置された吸着剤を含む。クロマトグラフ法は、さらに、吸着剤の長さ方向にそって差圧を測定すること、出口のところの流量を決定すること、および流量と差圧との比に基づいて単位圧力当たりの単位流量を決定することも含む。いくつかの実施形態では、これらの方法は、ガスの粘度に基づいて単位圧力当たりの単位流量を調整することを含むことができる。いくつかの実施形態では、クロマトグラフ法は、(i)出力のところのガス圧力と周囲圧力との比に基づく係数を使用して周囲圧力での流量、および/または(ii)出力のところの温度と周囲温度との比に基づく係数を使用して周囲温度での流量を決定することを含む。
【0011】
一実施形態では、本発明の教示は、したがって、キャリアガスを供給するためのキャリアガス入口、キャリアガスを受け入れるためのクロマトグラフカラム、キャリアガス入口からクロマトグラフカラムにキャリアガスが伝達される流路、流路内に配置され、吸着剤が中に配置された、キャリアガスを中に伝達するための入口および出口を備える容器、および前記流路と連絡する、容器出口のところの流量およびキャリアガスの粘度に関係付けられたときに前記容器内の前記キャリアガスの単位圧力当たりの単位流量を与える吸着剤にそった差圧を決定するため少なくとも1回の測定を行う少なくとも1つのセンサを備えるクロマトグラフシステムを含む。(複数の)センサは、容器入口および容器出口のところの圧力を測定するための少なくとも1つのセンサを含むことができる。
【0012】
一実施形態では、本発明は、キャリアガスを供給するためのキャリアガス入口を備えること、キャリアガスを受け入れるためのクロマトグラフカラムを備えること、測定対象の検体を吸着および脱着するために中に吸着剤が配置され、キャリアガスを中に通して伝達するための入口および出口を有する容器を備えること、キャリアガスをキャリアガス入口から、容器入口を通して容器内に、また容器出口を通して容器の外に伝達すること、および容器の中に通して伝達されるガスのインピーダンスを決定することを含む、クロマトグラフ分析を実行する方法を含む。
【0013】
一実施形態では、本発明は、キャリアガスを供給するためのキャリアガス入口、キャリアガスを受け入れるためのクロマトグラフカラム、キャリアガス入口からクロマトグラフカラムにキャリアガスが伝達される流路、流路内に配置され、測定対象の検体を吸着および脱着するために吸着剤が中に配置された、キャリアガスを中に伝達するための入口および出口を備える容器、および容器の中に通して伝達されるガスの少なくとも1つの特性を測定する容器入口および容器出口の少なくとも一方に隣接する流路と連絡する少なくとも1つのセンサを備えるクロマトグラフシステムを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の教示により吸着管の無欠陥性を検証するクロマトグラフシステムの一実施形態の基本構成要素が図2A〜図2Bに例示されている。説明の中で使用されているように、「上部(top)」、「底部(bottom)」、「よりも上に(above)」、「よりも下に(below)」、「の真上に(over)」、「の真下に(under)」、「の上に(above)」、「の下に(beneath)、「上に(on top)」、「下に(underneath)」、「上へ(up)」、「下へ(down)」、「上側の(upper)」、「下側の(lower)」、「前部(front)」、「後部(rear)」、「背後(back)」、「前方(forward)」、および「後方(backward)」という用語は、図面の中で示されている向きにある場合に参照される対象を指し、その向きは、本発明の対象を実現するうえでは必要ない。
【0015】
クロマトグラフシステムは、典型的には、サンプル管20、キャニスタ22、またはヘッドスペース用バイアル24などのサンプル容器を含み、そこから、測定対象の検体を含む検体がシステム内に供給されるが、いくつかの応用事例では、周囲の外気のサンプルは入口26を介してシステム内にポンプで直接送られる。サンプルは、通常、サンプル容器から抽出されるか、またはキャリアガスの流路内に置かれ、以下でさらに説明するように、ガスがサンプルをシステム内に運び入れる。図2Aに示されているように、サンプルは、典型的には、まず最初に、いくつかの実施形態では、多くの場合吸着剤トラップと呼ばれる、吸着剤32が中に配置された管などの容器30を備える検体事前濃縮器に通される。図2Bに示されているように、吸着剤32が検体を吸着し、ガス混合物の残りが容器30内を通り、システムから排出された後、容器30は、加熱要素34により加熱され、検体は、クロマトグラフカラム40内に脱着される。
【0016】
サンプル管内に収集されたサンプルを試験するため熱脱離ユニットを使用するシステムが、図3に詳しく示されている。これらのシステムでは、吸着管100などの容器は、サンプルが収集される場所へ運ばれる。特定の応用事例により、サンプルは、様々な方法で、例えばポンプでサンプルを容器100内に送り込む、または試験される特定の環境において、空気中の成分を自然拡散により単純に容器100内に移動させるなどの方法により、容器100内に収集することができる。次いで、容器100は、熱脱離デバイスに移され、そこで、別の吸着剤トラップ102と流体により連絡するように置かれ、検体の濃縮をさらに行い、その後、クロマトグラフカラム104内に脱着されるようにできる。
【0017】
このシステムの動作は、図3〜図5に工程毎に例示されている。サンプル容器乾燥パージ工程は、図3に例示されている。そこに示されているように、回転弁106は、キャリアガス入口108、サンプル容器100、およびトラップ102が流体により連絡するように位置決めされる。キャリアガスは、入口108からサンプル容器100の第1の端120に流れる。ガスは、第1の端120を通して容器100に入り、吸着剤110中を流れ、導管132の入口130を介して容器100から外に流れ、排出口112を通って外に出るが、これは、矢印Aで示されている。この方法で、容器100内の水分がそこからパージされる。いくつかの実施形態では、分流が望ましい場合には、弁160も備えられる。
【0018】
サンプル容器脱着およびトラップロード/パージ工程は、図4に例示されている。そこに示されているように、誘導弁114は、キャリアガスを入口108からサンプル容器100の第2の端122に送る。キャリアガスは、導管136の出口134を介して容器100に流れ込み、吸着剤110を通り、容器100の第1の端120を通って外に出、トラップ102に入るが、これは矢印Bにより示されている。このようにして、キャリアガスは、検体が吸着剤110から脱着されるときに検体を掃き上げ、トラップ102内に運ぶ。トラップ102内の吸着剤140は、検体を吸着し、キャリアガスは導管152の入口150を介してトラップ102から外に流れ出し、排出口142から出るが、これは、矢印Bでも示されている。
【0019】
トラップ脱着工程は、図5に例示されている。そこに示されているように、回転弁106は回転され、弁144が開かれる。入口146からキャリアガスが流れ、導管148を通り、出口154を介してトラップ102に入る。次いで、ガスは、吸着剤140内を流れ、検体を脱着時に掃き上げて、検体をトラップ102から外に運び出し、クロマトグラフカラム104内に入れるが、これは、矢印Cにより示されている。
【0020】
サンプル管100およびトラップ102は、それぞれ、吸着剤を充填した容器を備えているため、それらのうちの一方、または両方は、前述のように、チャネルまたは微粉の望ましくない形成を生じる可能性がある。これらのチャネルおよび/または微粉の存在は、トラップの空気圧インピーダンスを変え、したがって、本明細書で説明されているシステムは、このインピーダンスの変化をチェックし、クロマトグラフ分析の結果の質が、管および/またはトラップの無欠陥性が損なわれた結果として低下したかどうかを判定する。
【0021】
このインピーダンス測定は、図7を参照することによりわかるように、システムの内部流路内の圧力を高め、容器100および/または102内を流れるガスの特性を測定し、測定された特性をそのような特性の期待値と比較することにより行える。ある種の特性の期待値は、ここで、いくつかの例として取りあげられており、他の特性および/またはそのような期待特性を計算する方法は、本発明の教示の範囲から逸脱することなく変えることができることは理解できるであろう。
【0022】
例えば、一実施形態では、吸着管100、102は、短い、充填済み、ガスクロマトグラフカラムと幾何学的に等価であると理解することができ、したがって、吸着管の浸透性は、以下の式により表すことができる。
【0023】
【数1】

【0024】
式中、
は、比透過係数であり、
ηは、管を流れるガスの粘度であり、
eは、吸着剤充填剤の粒子間空隙率であり、
Lは、管の長さであり
は、管入口の絶対ガス圧力であり、
は、管出口の絶対ガス圧力であり、
は、圧力pでの管出口のガス速度である。
次に、充填剤の粒子間空隙率eは、以下の式により表すことができる。
【0025】
【数2】

【0026】
式中、
は、粒子間体積であり、
は、空の管の体積である。
管出口のガス速度uは、式1を整理し直すことにより以下のように表すことができる。
【0027】
【数3】

【0028】
≒pなので、式3は、さらに、以下のように簡素化できる。
【0029】
【数4】

【0030】
したがって、吸着管を通る速度は、それにかかる差圧に比例することが立証されている。
【0031】
管出口の体積流量は、以下の式により表すことができる。
=u・A (5)
式中、Aは、粒子間面積である。粒子間面積対開放管面積の比は、以下の式に示されているように、(式2により、充填空隙率に等しい)体積比と同じでなければならない。
【0032】
【数5】

【0033】
式中、Aは、空の管の断面積である。したがって、粒子間面積Aは、以下のように表すことができる。
=A・ε (7)
そこで、式7を式5に代入すると、体積流量の以下の表現が得られる。
=u・Ac・ε (8)
円柱管の断面積Acは、
【0034】
【数6】

【0035】
に等しいため、式8は、
【0036】
【数7】

【0037】
になる。
【0038】
式4の管出口のガス速度uを式9に代入すると、体積流量の以下の表現が得られる。
【0039】
【数8】

【0040】
一定温度Bの与えられた管について、d、η、およびLは、すべて一定でなければならず、また定数kによりまとめて表すことができ、以下の式が得られる。
【0041】
【数9】

【0042】
式中、kは、定数であり、
【0043】
【数10】

【0044】
に等しい。したがって、式11をkに関して表すと、与えられた温度について単位圧力降下当たりの単位流量に関する管の特性が得られる。そのため、kは、管が曝される周囲条件ではなく、管の幾何学的尺度であると理解できる。さらに式11を参照すると、吸着剤の差圧が、例えば、1つまたは複数のセンサを使用して得られた後、そのような差圧を管の出力のところの流量に関係付けて、単位圧力降下当たりの単位流量に基づいて管を特徴付けることができる。
【0045】
式11の中のFの値は、圧力pでの流量を表すであろう。通常、流量は、周囲条件を仮定して表される(例えば、25℃および100kaの標準周囲温度および圧力)。したがって、補正は、以下の式により行うことができる。
【0046】
【数11】

【0047】
式中、
は、周囲圧力および温度での等価な流量であり、
は、周囲絶対圧力であり、
は、周囲絶対温度であり、
は、管出口の絶対温度である。
したがって、式11は、以下の式となる。
【0048】
【数12】

【0049】
本明細書で与えられているように、定数kは、特定の管の幾何学的形状(Lおよびd)およびその中の充填剤の比透過率(B)に基づくので管の幾何学的尺度である。したがって、定数kは、吸着管の「透過係数」と呼ぶことができる。与えられた管についてkの値が知られると、管上の与えられた圧力降下に対する流量、または与えられた流量に対する圧力降下を式13により計算することができる。
【0050】
したがって、管100、102のインピーダンスの変化を決定できるいくつかの方法があり、そのうちのいくつかが図6A〜図6Fに例示されている。例えば、いくつかの実施形態では、この決定は、キャリアガスが知られている流量で管内を流れている間の管の圧力降下を測定することにより行われる。この目的のために採用される典型的な流量は、約20mL/分から約200mL/分の範囲にあり、いくつかの実施形態では、より具体的には、約50mL/分であるが、そのような例示的な流量は、説明のために与えられており、限定するために与えられているわけではない。
【0051】
図6Aに例示されているように、いくつかの実施形態では、電子質量流コントローラなどの流量コントローラ200は、ガスの流量を制御するためにキャリアガスの流路内に置かれ、差圧変換器202は、管102上の圧力降下を測定する圧力測定を行うために流路と連絡するように置かれ、いくつかの実施形態では、管の入口または出口にセンサを入れて、減算により圧力降下を求めるようにすることができる。順方向圧力調整器230を使用して、知られている、一貫した圧力でキャリアガスを管に送達することができる、圧力変換器206を、管の上流(図に示されているとおり)または下流のいずれかの回路内に入れることで、管内のガスの絶対またはゲージ圧を与え、加えられた圧力の管出口のところのガス流量を計算することができる。周囲温度以外の温度で測定が行われる場合、管の付近に保持されている温度センサ233は、そこで加えられた温度の管出口のところのガス流量を計算するために使用される。いくつかの実施形態では、流量コントローラ200は、容器102の下流に置かれるが、いくつかの場合には、図6Bに例示されているように、流量コントローラ204は、容器102の上流に置かれる。そこにも示されているように、いくつかの実施形態には、第1の変換器206は、容器入口の近くに置かれ、第2の変換器208は、容器出口の近くに置かれ、それにより、その位置の絶対またはゲージ圧および容器にかかる差圧に関連する測定を行うが、そのような変換器206、208の位置決めは、変換器の種類、応用事例、および他の設計上の選択事項に基づいて変わりうることを理解されたい。図6Cに例示されているように、さらに他の実施形態では、圧力変換器206のみが使用され、弁220は、容器出口から出るガスを大気圧で大気中に排出するために備えられる。単一のゲージ圧力変換器206は、管内の圧力と管にかかる圧力降下の両方の尺度を与えるために使用される。
【0052】
しかし、いくつかの実施形態では、圧力降下は、知られており、制御され、加えられ、その代わりに、容器102のインピーダンスを測定するために、流量が検出される。例えば、図6Dに例示されているように、これらの実施形態のいくつかでは、順方向圧力調整器230は、キャリアガス入口と容器入口との間の流路内に置かれ、逆圧調整器232は、容器出口とクロマトグラフカラムとの間の流路内に置かれ、容器102で生じる圧力降下を確定する。次いで、ガスの流量を測定するために、流量センサ240が流路内の都合のよい位置に配置される。いくつかの実施形態では、図6Eに示されているように、順方向圧力調整器230のみが採用され、容器出口とクロマトグラフカラムとの間に配置された、弁220は、ガスを大気圧で大気中に排出する。図6Fに示されているように、圧力調整器を使用して圧力降下を確定するこれらの実施形態のうちのいくつかでは、圧力調整器230および調整器232または弁220により確定される圧力降下を確認するために、差圧変換器202が容器入口および出口の近くの流路と連絡するように置かれる。
【0053】
これらの方法では、吸着管の空気圧インピーダンスの変化は、充填剤の無欠陥性に対する時効効果が特に問題となる、吸着剤トラップとして使用される管と、管のバラツキが問題となることを他の何らかの形で証明しうる、分析用のサンプルを収集し、供給するために使用されるサンプル管の両方について、クロマトグラフ分析の一環として検出することができる。いくつかの実施形態では、測定の特定の方法は、管の耐用期間中に管インピーダンスを追跡できる意味のある結果が得られるように標準化される。さらに、いくつかの実施形態では、管は、誤差を低減するために、測定時に周囲温度(典型的には、約20から約25℃の範囲内)に保持される。
【0054】
前記は、例示するものであり、限定する意図はなく、当業者であれば本発明の精神から逸脱することなく明らかな修正を加えられることは理解されるであろう。例えば、本発明の開示全体を通して、「1つの」(英語原文では冠詞「a」または「an」)を使用して名詞を修飾することは、便宜上のことであり、特に断りのない限り、修飾された名詞の1つまたは複数を含むことを理解できるであろう。さらに、例示されている例は、吸着剤「管」を含むが、本発明の教示は、特定の断面を持つ容器に限定されず、この方法およびシステムは、吸着剤が中に含まれる、および/または配置された、異なるサイズおよび形状の容器に適用可能であることは理解できるであろう。したがって、本発明の範囲を決定するために、前記明細書を参照するのではなく、むしろ、主に添付の特許請求の範囲を参照すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1A】吸着剤内の空隙を例示する吸着管のむき出しにした側面図である。
【図1B】吸着剤の充填粒子間の隙間内の塞がりを例示する吸着管のむき出しにした側面図である。
【図2A】トラップロードステージで使用できる例示的なクロマトグラフシステムの概略図である。
【図2B】トラップ脱着ステージの図2Aのクロマトグラフシステムの概略図である。
【図3】サンプル容器乾燥パージステージの図2A〜Bのシステムのさらに詳細を示す概略図である。
【図4】サンプル容器脱着およびトラップロード/パージステージの図3のシステムの概略図である。
【図5】トラップ脱着ステージの図3のシステムの概略図である。
【図6A】図3の容器を通るガス流の測定のさらに詳細を示す概略図である。
【図6B】図3の容器を通るガス流の測定のさらに詳細を示す概略図である。
【図6C】図3の容器を通るガス流の測定のさらに詳細を示す概略図である。
【図6D】図3の容器を通るガス流の測定のさらに詳細を示す概略図である。
【図6E】図3の容器を通るガス流の測定のさらに詳細を示す概略図である。
【図6F】図3の容器を通るガス流の測定のさらに詳細を示す概略図である。
【図7】図3の容器を通るガス流のさらに詳細を示す概略図である。
【符号の説明】
【0056】
20 サンプル管
22 キャニスタ
24 ヘッドスペース用バイアル
26 入口
30 容器
32 吸着剤
34 加熱要素
40 クロマトグラフカラム
100 吸着管
102 吸着剤トラップ
104 クロマトグラフカラム
106 回転弁
108 キャリアガス入口
110 吸着剤
112 排出口
114 誘導弁
120 第1の端
122 第2の端
130 入口
132 導管
140 吸着剤
142 排出口
144 弁
146 入口
148 導管
150 入口
152 導管
154 出口
160 弁
200、204 流量コントローラ
206、208 変換器
220 弁
230 順方向圧力調整器
232 逆圧調整器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
吸着剤が中に配置され、キャリアガスを容器内に通して伝達するための入口および出口を有する容器を備える段階と、
前記出口のところの知られている流量に関する前記入口と前記出口との間の差圧を決定する段階と、
前記知られている流量と前記差圧との比に基づいて前記容器の幾何学的尺度を決定する段階と、を含む方法。
【請求項2】
差圧を決定することは、前記差圧に関係する測定を行うための少なくとも1つのセンサを備えることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
幾何学的尺度を決定することは、前記キャリアガスの粘度を決められた比に分けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記容器は吸着剤トラップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記容器はサンプル管を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
さらに、
出力のところのガス圧力と周囲圧力との比に基づく係数を使用して周囲圧力における流量を決定する段階と、
出力のところの温度と周囲温度との比に基づく係数を使用して周囲温度における流量を決定する段階と、のうちの少なくとも一方を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
さらに、前記容器の前記幾何学的尺度を決定する工程は、式
【数1】

によりkを計算することを含み、式中、(p−p)は前記入口と前記出口との間の差圧であり、Fは周囲圧力および温度での流量であり、pは周囲絶対圧力であり、Tは周囲絶対温度であり、pは管出口のところの絶対ガス圧力であり、Tは、管出口のところの絶対温度である、請求項1に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−526487(P2007−526487A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502064(P2007−502064)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/007260
【国際公開番号】WO2005/088296
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(505359506)パーキンエルマー・エルエーエス・インコーポレーテッド (28)