説明

吸着能を有する、たとえばフィルム、繊維、織布および不織布のような包装材料

本発明は、低濃度、好ましくは、たとえば15ppm未満の、望ましくないかまたは目標とする物質を吸着させるのに使用することが可能な組成物に関する。典型的には、その吸着は、封入された蒸気相からとすることができる。そのような吸着能は、収容された、実質的に封入された気相容積または雰囲気中において、低濃度である、望ましくないかまたは目標とする物質のための吸着性能を有することが可能な、シクロデキストリン化合物とポリエチレンイミンとを含む組成物を使用することによって達成される。そのような吸着能は、封入された容積を含むかまたはそれらを囲むバルクポリマーもしくはフィルム、繊維、ウェブ、織布、不織布、シート、包装、およびその他のそのような構造物の形態で使用される、熱可塑性プラスチック物質を用いて得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、PCT国際特許出願として2010年9月30日に、米国以外のすべての国の場合の指定出願人としては、米国企業のCellresin Technologies,LLCの名前で、そして、米国の場合のみの指定出願人としては、発明者のWillard F.Wood(米国市民)およびRonald A.Erickson(米国市民)の名前で出願されるものであって、本件は、米国特許出願第12/570,683号(2009年9月30日出願)に対する優先権を主張するものである(その出願の内容を参考として引用し本明細書に組み入れるものとする)。
【0002】
本発明は、封入された蒸気相から、低濃度の、好ましくはたとえば15ppm未満の、望ましくないかまたは目標とする物質を吸着することが可能な、繊維、フィルムおよび布地などの包装において使用される組成物に関する。そのような吸着能は、収容された、実質的に封入された気相容積または雰囲気中において、低濃度である、望ましくないかまたは目標とする物質のための吸着性能を有することが可能な組成物を使用することによって達成される。本発明は、気相容積または雰囲気を封入し、吸着性能を有する容器に関する。
【背景技術】
【0003】
封入された容積(enclosed volume)または封入された周囲蒸気相(enclosed ambient vapor phase)から、低濃度の、各種の望ましくないかまたは目標とする物質を吸着させるには、根本的な問題点が存在している。極小のパーツ・パー・ミリオンの濃度で、封入された周囲雰囲気から、(すなわち)封入された蒸気相から、各種の望ましくないかまたは目標とする物質の顕著な量を吸着させようとすると、重大な問題が起きる。低濃度の目標物質は、10−5気圧未満の蒸気圧しか示さない。
【0004】
吸着は、固相の表面が気相または液相に暴露されるときに起こり、その界面領域において成分の一つまたは複数が濃縮される。「吸着(adsorption)」という用語は、界面層に分子が集積するプロセスを扱っている。吸着プロセスには、吸収(absorption)、すなわち、固体相の中へ気体または液体が浸透することを伴う。固体物質による気体または液体の全取込み量(total uptake)(吸着および吸収)が、収着(sorption)である。封入された容積または封入された周囲蒸気相における低濃度では、エネルギー基準においては、物質が吸着されるための物理的な要因がほとんどない。特定の表面の上への吸着質(adsorbate)の物理的吸着または凝縮は、吸着される物質の臨界温度(すなわち、その温度またはそれ以上では、その物質が液化することができない温度)よりは低いかまたはそれに近い温度で起きる、可逆的なプロセスである。固体のフラットな表面(マクロポーラス表面または>50nmを超える内部幅を有する細孔を含む)の上のみで進行するこの吸着プロセスは、その吸着媒が、メソポーラス(2〜50nm)、ミクロポーラス(<2nm)またはナノポーラス(ポーラス物質のサブセットであって、典型的にはより大きい多孔度(0.4より大)と1〜100nmの間の細孔径を有する)な構造を有する場合に起きる毛管凝縮とは区別することができる。毛管吸着質の凝縮は、マクロポアの中では起きない。多孔質固体による気体の物理的吸着に比べると、毛管凝縮は重要ではあるが、二次的な役割しか果たしていない。
【0005】
吸着理論は主として、Langmuirの式(単層吸着の概念、エネルギー的に均質な固体表面上で形成される)およびBETの式(多層等温式、Brunauer、EmmettおよびTellerにより提唱)、毛管凝縮理論、Polanyiポテンシャル理論(吸着ポテンシャルおよび特性吸着曲線、それらは吸着温度に依存する)、および後者に関連するDR式(吸着エネルギーに配慮した吸着)に基づいている。Langmuir式およびBET式は、特に低い相対圧力および高い相対圧力の範囲において、実験値からの顕著な偏差を有している。理論値と実験値で食い違いがあるということは、吸着プロセスに影響するさらなる物理的因子;界面領域における相互作用に起因する効果が存在していることを示唆している。その不一致性は、最も現実的な固体の(多結晶質および非晶質)吸着媒のエネルギー的不均質性に関連している。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、(固体表面上の欠陥に加えて)表面の不均質性の概念が、構造中における乱れを起こす可能性があり、(その存在が、吸着媒の表面性能に大きな影響を与える可能性がある)添加剤(ポリエチレンイミン)によってもたらされ得るということが実験的には証明されていると考えられる。
【0006】
目標物質が、極めて低い圧力範囲にある場合には、吸着は、表面上または極めて浅い細孔の内部において最も活性の高い部位で起きる。繊維、フィルムまたは布地の機能性形態にある合成ポリマー物質たとえば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、およびその他のそのような物質による吸着能は、この重要な問題の一つの例である。本願発明者らは、望ましくないかまたは目標とする物質の沸点が低くなるにつれて、一定濃度における気体物質の吸着が、その気体物質が封入された容積の蒸気相の中に実質的に留まるために、次第により困難となってくるということも見出した。気体物質と界面層との間の分子的相互作用は、その特定の表面組成物および/または細孔構造に依存する。蒸気相中の分子が固体の表面に近づくと、分子間引力と斥力との間で平衡が成立する。さらに、多くの吸着性物質は、バルク物質としてまたはコーティングの中で、表面の上に存在している小さな残存電荷を有することができるか、または電荷の分離すなわち、双極子効果を示すことができる。そのような残存する電荷または双極子は、目標物質が表面に近づくことを禁止して、表面上への実質的な吸着を妨げる可能性がある。たとえば、多くの容器の中で、望ましくないかまたは目標とする物質が、低くはあるが好ましくない濃度で生成し、その容器の中に留まる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、封入された容積または封入された周囲蒸気相から、望ましくないかまたは目標とする物質を吸着することが可能な物質の組合せを含む吸着剤から誘導される、改良された吸着能に関する。低い電荷効果と高い表面積とを有する吸着剤が、低い物質濃度のための機能性吸着能を得ることができる。そのような吸着能は、封入された容積を含むかまたはそれらを囲む、コーティングの形態におけるか、またはフィルム、繊維、ウェブ、織布、不織布、硬質シート、セルロース系包装材、およびその他のそのような構造物中のバルクポリマーの形態において使用することが可能な、熱可塑性プラスチック材料を用いて得ることができる。その吸着能は、望ましくないかまたは目標とする物質を低減させるための容器構造において使用することもできる。本発明の吸着媒は典型的には、本発明の吸着媒ならびに望ましくないかまたは目標とする物質を望ましくない濃度で含む、封入された容積、(別の言い方では)封入された周囲蒸気相の文脈において使用される。その濃度は、検出可能または感知可能な限界より低くするべきである。可能な最低限の濃度を望まれることが多い。
【0008】
本発明の熱可塑性プラスチック材料には、ある種の所定の最小表面積を有する、活性な吸着性組成物を含む。その物質は、表面に拡げたバルクポリマー中または表面コーティング中に吸着媒を有していることができる。その吸着媒は、少なくとも単層のコーティング中にシクロデキストリン(CD)組成物を、有効量のポリエチレンイミン化合物と組み合わせて含んでいて、そのような物質が吸着しにくいという本来の傾向を、満足のいくレベルで抑制している。そのCDは、置換されたCDであっても、あるいはポリオレフィン−CDグラフト化物質であってもよい。状況に応じて、それらの実質的にいかなる化学種または混合物でも、封入された容積または封入された周囲蒸気相の中に存在する望ましくないかまたは目標とする物質とすることができる。そのような物質は、約15〜0.01ppm;5〜0.01ppm;1〜0.01ppm;または0.5未満〜0.01ppm(濃度は全容積基準)の濃度で存在していてよく、本発明の吸着特性の対象物となって、検出不能限界、ヒトに対して有害ではない限界、または生物学的応答を起こさせることのない限界にまで濃度を下げることができる。蒸気中のそれらの物質の濃度が低下するにつれて、吸着の困難さが増大する。
【0009】
本発明には、熱可塑性ポリマー材料、負の電荷と正の電荷物質のバランスを維持することが可能であって、それらの組成物の吸着媒物質の上または中への吸着を促進することができる活性吸着媒複合材料を含む、熱可塑性プラスチック組成物が含まれる。本発明の組成物にはさらに、熱可塑性プラスチック物品の表面の表面積を向上または増大させる物質を含むこともできる。表面積が増大し、細孔径が好ましいと、吸着性物質中への化合物の吸着性が向上する。本発明の熱可塑性プラスチック材料は、たとえば以下のような各種の末端用途において使用することができる:ウェブ層もしくは構造物、保護バリヤー布地もしくは物品、濾過ユニット、顔面マスク、貯蔵バッグ、ゴミ袋、脱臭物質および、その他そのような用途。一つの特に有用な用途は、新鮮な果物および野菜のための貯蔵バッグであって、それは、収容されるか封入された雰囲気からエチレンを積極的に吸着して、包装の中のエチレン濃度を、果物および野菜の熟成(ripening)を抑制できるレベルにまで下げ、それによって貯蔵寿命および製品の品質を長引かせることができる。
【0010】
本特許の開示の目的のためには、シクロデキストリンにおける「置換度(D.S.)」という用語は、シクロデキストリン環のそれぞれのグルコース残基の上における置換基の統計的に平均した数を意味している。「農産物(produce)」という用語は、その成長もしくは成熟において、ある濃度のエチレンを生成することが可能な、各種の呼吸植物物質(respiring plant material)(別な名称としてクリマクテリック・クロップス(climacteric crops)とも呼ばれる)を意味している。「封入された容積または封入された周囲蒸気相」という用語は、目標とする物質を含む雰囲気を意味している。この容積または蒸気相には、容器の中の所望の空間を含むことができる。その容器には、吸着媒物質からなっていても、あるいはそれらの物質を含んでいてもよい。後者の場合においては、たとえば、軟質または硬質の包装が、吸着媒の不織布繊維の小片を含んでいてもよい。「望ましくないかまたは目標とする物質」には、雰囲気全体を基準にして典型的には約15ppm未満の濃度で、その封入された容積の中に存在することが可能な気体物質または揮発性物質が含まれ、約15〜0.01ppm;5〜0.01ppm;1〜0.01ppm;または0.5未満〜0.01ppmの濃度を有することができる。別な場合においては、そのような目標とする物質は、収容された雰囲気中に、約10〜約1ppm、約1〜約0.1ppm、または約0.1〜約0.01ppmの濃度で見出されることが多い。それらの望ましくないかまたは目標とする物質は、封入された容積または封入された周囲蒸気相の中に、ガス、蒸気、または液体もしくは固体の分散体として存在することができる。これらの物質は多くの場合、悪臭、刺激臭、または不快臭もしくは非不快臭化合物である。
【0011】
「容器(container)」という用語は、通常の意味合いで使用されている。「繊維(fiber)」という用語は、通常の意味合いで使用されている。「布地(fabric)」という用語は、典型的には、各種の厚み、長さ、幅、および組成の材料を含めて、織物ウェブおよび不織ウェブの両方を意味している。製品には、典型的には、本発明の熱可塑性プラスチック繊維から作成した布地を含むが、他の布地たとえば、セルロース系材料、リネンその他を含んでいてもよい。本発明の物質の応用は、顔面マスク、ティッシュ、拭い布、タオル、衣服、家具、自動車およびその他の輸送機器、産業用もしくは家庭用の濾過などにおいて使用することができる。本発明において記載されたような、ヤーンまたはその他の不織布において使用される繊維は、典型的には、比較的小さな繊維径を有する繊維を意味している。そのような直径は、一般的には、約1ミクロン未満から100ミクロンもの大きさまでの範囲である。そのような繊維は、約1〜約50ミクロンの直径を有していることが多い。組み立てたときに、最終製品には、先に開示された構造物の1種または複数を含むことができる。繊維は1層の熱可塑性プラスチック層の中に組み入れることも、2層以上の熱可塑性プラスチック層を組み合わせることも、さらに織布を、フィルムまたは他のそのような構造の上に積層することも可能な不織布と組み合わせることもできる。本発明の精神と範囲から外れることなく作成することが可能な、本発明の各種の組合せまたは構造物の組合せが存在する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】シリカ基材の上の置換されたCD物質の有用な性質を示す図である。
【図2】シリカ基材の上の置換されたCD物質の有用な性質を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の吸着性組成物には、置換されたCD、またはペンデントCD残基を有するポリマーを含むことができる。これらの物質は、コーティング加工、押出加工、積層加工、織物加工、または成形加工して、各種の有用なフィルム、シート、繊維、不織ウェブ、モノリシック構造物、または通常の加工技術を使用するその他の形状とすることができる。これらの有用な形態を、容器の構成の中に組み入れることも可能である。置換されたCD、またはポリオレフィン−CDグラフト化物質は、コーティングであっても、バルクポリマーの中にあってもよい。
【0014】
実質的にいかなる化学種も、望ましくないかまたは目標とする物質となりうる。それらの望ましくないかまたは目標とする物質は、封入された容積または封入された周囲蒸気相の中に、ガス、蒸気、または液体もしくは固体の分散体として存在することができる。これらの物質は多くの場合、悪臭、刺激臭、または不快臭もしくは非不快臭化合物である。そのような化合物の化学的ファミリーとしては、アルカン、アルケン、アルキン、アルカンチオール、アルキルスルフィド、アルコール、アルデヒド、アミン、カルボン酸、エーテル、およびケトンが挙げられる。非限定的な化合物の例としては以下のものが挙げられる:メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、アセチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、アレン、イソブテン、1,3−ブタジエン、1−ブチン、2−メチルプロペン、2−メチル−2−ブテン、シクロプロパン、シクロブタン、メチルシクロプロパン、メタンチオール、エタンチオール、1−プロパンチオール、2−プロパンチオール、2−ブタンチオール、カルボニルスルフィド、メチルアリルスルフィド、メチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、ジメチルトリスルフィド、エチルスルフィド、メチルプロピルスルフィド、アリルメルカプタン、ギ酸、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、ジアセチル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルメチルアミン、ブチルアミン、およびシクロプロピルアミン。
【0015】
そのような物質は、約15〜0.010ppmの濃度で存在することが可能であり、ヒトには感知できない濃度か、または生物学的応答を起こさせない限度にまで低下させる、本発明の吸着特性の対象となりうる。不快限度とは、個人がその望ましくないかまたは目標とする物質を嗅いだときに、好ましくないかまたは不快であるような限界を指している。生物学的応答をもたらすことが可能な限度とは、フェロモンまたはたとえばエチレンのような気体状のホルモンが、生物学的生物体(biological organism)において所望の結果を起こさせるような量をさしている。
【0016】
エチレンは、生物学的応答を起こさせることが可能な、望ましくないかまたは目標とする物質の一例である。エチレンは、新鮮な果物、野菜、花卉における熟成、およびその他の呼吸生物学的産生物(respiring biological product)を促進する気体状ホルモンである。エチレン濃度を低下させると、熟成を禁止し、製品寿命を長引かせることができる。収穫後のクリマクテリック・コープスは、各種の異なったエチレン感度(ethylene sensitivity)および呼吸速度を有している;たとえば、エチレン産生速度(μL・kg−1・時間−1)は、ブルーベリー、パイナップルおよびキイチゴでは、0.1〜1、バナナ、メロンおよびトマトでは1.0〜10、リンゴ、桃および梨では10〜100である。影響を受けやすいクロップの場合、封入された容積または封入された周囲蒸気相中におけるエチレンの濃度は、好ましくは、封入された容積全体を基準にして、0.10ppm未満のエチレン(容積/容積)、または約1〜5μL・kg−1製品とするべきである。
【0017】
ポリエチレンイミンは、環状モノマーのエチレンイミンを重合させることによって生成するポリアミンである。典型的なポリマーは、ポリマー内部および鎖分岐の中に一級末端(−NH)基、二級(−NH−)アミン基、そして分岐点では三級アミン基を有することができる。直鎖状のポリエチレンイミン(PEI)は、主として二級アミンを、末端の一級アミン基と共に含んでいる。分岐状のPEIには、一級、二級および三級アミノ基が含まれる。直鎖状のPEIは、室温では固体であるが、それに対して分岐状のPEIは、すべての分子量で液体である。直鎖状のポリエチレンイミンは、低pHで熱水もしくは冷水中、そしてメタノール、エタノール、またはクロロホルムには可溶性であるが、ベンゼン、エチルエーテル、およびアセトンには不溶性である。ポリエチレンイミン(CAS REGISTRY NUMBER:09002−98−6)は、以下の一般式で表される:

H(−NHCHCH−)NH;または
H(NACHCH−)(NACHCH−)(−NACHCH−NH)H;
(式中、A1はそれぞれ独立して、水素、アルコキシ基、または直鎖状もしくは分岐状のポリエチレンイミン基であり、xはそれぞれ独立して、5〜20,000である。)

ポリエチレンイミンは、約500〜約1,000,000;好ましくは約2,000〜約800,000;より好ましくは約10,000〜約750,000;最も好ましくは約50,000〜約750,000の平均分子量を有している。非限定的なさらなる材料の例としては、以下のものが挙げられる:エピクロロヒドリン改質ポリエチレンイミン、エトキシル化ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミンジアミンデンドリマー、ポリ(1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン)、およびポリ(ジメチルアミン−コ−エピクロロヒドリン−コ−エチレンジアミン)。シリカ粒子を使用して、本発明の物質の表面積を上げることができる。具体的には、本発明において使用するのに好ましいシリカゲル粒子は、1グラムあたりの表面積が大きい、比較的小さな粒径の物質である。好ましい物質の粒径は、約0.007〜700ミクロンの範囲であり、その好ましい物質は、約200〜1,000m・gm−1の範囲の表面積を有している。本発明の組成物は、多くの場合、ポリエチレンイミン物質をシリカ物質の上および中に分散させることにより調製して、そのシリカ表面の上に有効なポリエチレンイミン物質を有する、相対的に高い表面積のシリカ基材が得られるようにする。次いで、そのような物質を、本発明のシクロデキストリンまたはシクロデキストリンポリマーと組み合わせて、本発明の有用な吸着媒組成物を作成する。
【0018】
本発明では、非晶質シリカ−シリカゲル、沈降シリカ、およびヒュームドシリカの三つの形態を使用する。二酸化ケイ素(SiO)の一形態である合成非晶質シリカ(CAS #7631−86−9)は、合成されているために、天然で得られる非晶質シリカ、たとえば珪藻土とは区別される。人工産物であるために、それは95%を超える純非晶質シリカであるが、それに対して天然で得られる非晶質シリカには、シリカの結晶形もまた含まれている。非晶質シリカはさらに二つの形態に分類することが可能であるが、それらは、それらの製造プロセスが異なっていることを特徴としているが、それらは、沈降シリカおよびシリカゲルを含む湿式法シリカ(CAS #112926−00−8)と、ヒュームドシリカまたは熱分解シリカを含む加熱法シリカ(CAS #112945−52−5)とである。沈降シリカがいくぶんかのミクロポア(>0.3μm)を有しているのに対して、ヒュームドシリカは実質的に非孔質であり、そしてシリカゲルは、高度に多孔質であって、マクロポア、メソポア、およびミクロポアを有していて、0.0001〜1μmの範囲の細孔径を提供する。細孔径(pore size)は、円筒状の細孔の直径として、または隙間の相対する壁の間の距離として測定した、細孔の幅として定義される。ヒュームドシリカは、商業的には、Degussa Corporation(Areosil)およびCabot Corporation(Cab−O−Sil)によって製造されている。シリカゲルは、W.R.Grace(Davisil)およびMerck Chemicalsによって製造されている。
【0019】
置換されたCDまたはポリオレフィン−CDグラフト化物質は、ポリマー上の層もしくはコーティングの中、またはバルクポリマーの中で使用することができる。本発明の置換されたCD、またはペンデントCD残基を有するポリマーとのブレンド物の中には、各種のポリマーを思い浮かべることができるが、他の実施態様においては、ポリマー物品を、水溶液を用いてコーティングするか、または置換されたCD、またはペンデントCD残基を有するポリマーを用いて押出コーティングすることも可能である。別な方法として、置換されたCD、またはペンデントCD残基を有するポリマーのフィルムまたは不織布層を用いて、ポリマー物品を覆うこともできる。可能であるポリマーの化学的組成は、本明細書に開示の範囲に限定されるのではなく、代わりに、溶液中または溶融状態で、CD、置換されたCD、またはペンデントCD残基を有するポリマーと相溶性のあるいかなるポリマー材料であってもよいが、ここでそのブレンド物は、ブレンド物の使用の最終結果である用途において有用な物理的性質を有している。たとえば、ナイロン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、ポリ−α−オレフィンたとえばポリブタジエンおよびポリα−オクテン、ならびにポリアミドたとえば、ナイロン−6およびナイロン−6,6、ポリウレア、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリケトン、ポリ塩化ビニル、フルオロポリマー、ならびにシリコーンポリマーが、有用な物品を形成させるのに一般的に使用されるポリマーである。同様にして、多くの市販されている有用なコポリマー、ターポリマーなども使用することができる。たとえば、ポリエステル、PLAポリマーおよびコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリエチレンオキシド−コ−(プロピレンオキシド)、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリ(エーテル−エーテル−ケトン)なども、各種の末端使用用途における有用なコポリマーおよびターポリマーである。
【0020】
有用なポリマーの一つのタイプは、ポリオレフィンであって、ポリエチレン、ポリプロピレンならびにそれらに関連するコポリマーおよびターポリマーが挙げられる。いくつかの実施態様においては、置換されたCD、またはペンデントCD残基を有するポリマーの混合物を使用するか、または未改質のポリオレフィン樹脂とブレンドすることができる。これらの実施態様においては、その未改質熱可塑性樹脂は、約0.5〜1800g−10min−1のメルトインデックスを有することが可能であり、その変性ポリマーは、約0.7〜1,500g−10min−1、または約1〜1,200g−10min−1のメルトインデックスを有するポリマーから誘導することができる。また別なタイプの有用なポリマーはポリエステルである。ポリエステルは、それから多くの容器、不織布、および各種その他の物品が作成される、一般的には有用なタイプのポリマーである。ポリエステルの使用には、同時係属出願中の米国特許出願第10/163,817号明細書に記載されている用途が含まれる。本発明に組み入れてブレンドするか、または本発明のものを局所的にコーティングすることが可能な一つの有用なポリエステル材料は、ポリ乳酸、すなわちポリラクチド(PLA)である。PLAは、再生可能な資源から得られ、一般的に−CH(R)−C(O)−O−の繰り返し単位を有する生分解性で、熱可塑性の脂肪族ポリエステルである。それは、もっとも一般的には、コーンスターチまたはサトウキビのような出発物質から形成される。細菌発酵を使用して乳酸を産生させ、それをオリゴマー化し、次いで、触媒的に二量化して、開環重合のためのラクチドモノマーを得る。もっとも一般的には第一スズオクトエートまたは塩化スズ(II)開環触媒を使用する開環重合によって、容易に高分子量の形態とすることができる。PLAは、ほとんどの熱可塑性プラスチックと同様に加工して、繊維(たとえば、慣用される溶融紡糸法を使用して)およびフィルムにすることができる。NatureWorks LLC(Cargill Corporationの全額出資子会社)では、NatureWorksポリマーの商品名でPLAを製造している。PLAを入手することが可能な他の会社としては、Toyota(Japan)、Hycail(Netherland)、およびGalactic(Belgium)が挙げられる。
【0021】
PLAは生分解性であるので、食品包装、バラ詰め包装(loose fill packaging)、および使い捨て容器のような物品のためのバイオプラスチックを調製するのに採用することができる。PLAは、繊維に加工することもできる。
【0022】
熱可塑性プラスチックと共に使用される、置換されるかまたはポリオレフィン−CDグラフト化された物質は、加工して広く各種の包装および構造型とすることが可能な、高度に多用性のある物質である。包装材料を製造するために使用される主な製造法としては、たとえば、キャストフィルム押出し法、インフレートフィルム押出し法(筒状)、押出しコーティング法、押出し積層法、接着積層法、配向押出しフィルム法、吹込み成形法、射出成形法、および圧縮成形法が挙げられる。包装を目的とする場合には通常、熱可塑性プラスチックを加工して、次の構造カテゴリーの一つとすることができる:軟質フィルム、硬質シート、ボトルおよび桶(tub)。
【0023】
本発明は、封入された雰囲気または蒸気相の中の、望ましくないかまたは目標とする物質の濃度を低下させることを目的としている。そのような雰囲気または蒸気相は、多くの場合、容器の内部に保持され、実質的に容器によって取り囲まれている。本発明の文脈においては、「容器(container)」という用語は、その慣用される意味合いで使用されている。そのような容器には、本発明の蒸気相または雰囲気を密閉することが可能な、事実上いかなる物品も含まれる。それらの容器は、セルロース系材料、熱可塑性プラスチック、熱硬化性プラスチック、金属、およびその他の慣用される包装材料など、事実上いかなる材料からも製造することができる。それらの容器は、事実上いかなる幾何学的形態または寸法をとることができる。容器の内容積は、10ミリメートルのような小容量から100リットルを超えるまでの範囲とすることができるが、典型的には約100ミリメートルから4リットルのサイズ範囲である。容器の構成は、事実上いかなる構成とすることも可能であり、たとえば、軟質プラスチックから製造した容器、硬質および半硬質シート、吹込み成形プラスチックボトル、折畳み接着した板紙材料、プラスチックおよびセルロース系の包み(envelope)、およびその他の容器構成などが挙げられる。本発明の容器の重要な特徴は、それが本発明の雰囲気または蒸気相を封入して、封入された雰囲気または蒸気相から本発明の望ましくないかまたは目標とする組成物の濃度を低下させる目的のために、しっかりと、または本発明の組成物と組み合わせてそれを作成することができることである。この点に関しては、本発明の容器を製造する際に、その容器を製造するための材料の中に本発明の組成物を組み入れることができる。たとえば、PET飲料容器を、そのPETプラスチック容器の中に保持される蒸気相の中に生成する可能性のある望ましくないかまたは目標とする物質の濃度を低下させることが可能な、本発明のシクロデキストリン化合物およびその他の物質を含む熱可塑性ポリエステルから製造することが可能である。別な方法として、そのような容器を、本発明の組成物を用いて容器の内側をコーティングするか、または容器の内側に、本発明の組成物から製造するかもしくは本発明の組成物によってコーティングすることが可能なインサート材料を導入することによって、製造することが可能であるが、ただし、そのインサートが本発明の内部構造物の中に保持されており、本発明の組成物が望ましくないかまたは目標とする組成物の濃度を低下させることが可能である必要がある。本発明の組成物、または本発明の組成物を用いてコーティングされた物質を含むインサートは、各種の実施態様をとることができる。たとえば、本発明の組成物を用いて軟質の食品ラッパーをコーティングすることができる。そのようなラッパーは、熱可塑性プラスチック材料から、またはセルロース系もしくは紙から誘導された組成物から製造することができる。そのようなラッパーは、一次的なラッピング構造として使用することもできるし、あるいは、たとえば朝食用加工食品のため内部包装材に使用されているような、食品を含む内部包装材を含むこともできる。本発明における熱可塑性プラスチック組成物は、食品を包装するのに有用な、事実上いかなる形状または構成物に成形することも可能であり、そして本発明のコーティング組成物は、包装技術において有用な、事実上いかなる容器表面の上にもコーティングすることができる。本発明のまた別な実施態様は、それらの組成物を含む多孔質の不織布(スパンボンドまたはメルトブローン)または織布のサッシェ(sachet)であるが、それらの組成物は、食品包装の密閉環境の内側の壁に、置かれるかまたは付着させられる。そのようなサッシェは、たとえば、包装された食料品の密閉雰囲気中の望ましくないかまたは目標とする物質を連続的に低下させて、それによって、製品の鮮度を保持および維持(preserving and maintaining)して、長期間にわたって消費者に受け入れられるようにする。本発明の組成物は、サッシェの形態において使用することも可能である。それらのサッシェが、本発明の組成物を、特定のフィルムまたは繊維の形態で含んでいることも可能である。別な方法として、それらのサッシェを、本発明の組成物から製造された繊維またはフィルムから製造して、本発明の物質を含むように成形することもできる。本願出願人らの発明のサッシェは、浸透性のある、多孔質または非多孔質の材料で組み立てた中空の容器を含む。その容器は、いかなる形態をとることも可能であって、たとえば包み(envelope)、シート、不織布もしくは織布の形態が挙げられるが、これらに限定される訳ではない。それらの容器は、接着材封止法、ヒートシール法、または縫製法(sewing)など、各種の閉じ込め技術を使用して封をすることができる。それらの多孔質材料は、本発明の目標とする吸着媒に対して多孔質である。本願出願人らの発明のサッシェは、成形して閉鎖容器とすることが可能な透過性または多孔質材料から組み立てられる。そのような材料は、ヒートシールすることによって閉鎖容器とすることが可能な、織布、不織布またはフィルムの形状にある熱可塑性プラスチックであってよい。しかしながら、その壁が、不連続な開口部を有していて、それによって吸着媒が到達したときにそこを通過することが可能であるならば、本願出願人らの発明の閉鎖容器が、非多孔質の材料から組み立てられていてもよい。有用な材料の例としては、合成品たとえば不織ポリエステル;合成不織ポリプロピレンと天然の綿織物とのからみあい(interlock)材料が挙げられる。不織布繊維(スパンボンド、メルトブローン、またはエレクトロスパン)には、以下のものからなる群より選択される繊維が含まれる:ポリオレフィン(たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリ乳酸、ポリエステル(PET、CPET、およびrPET)、ナイロン、アセテート、繊維に成形することが可能な各種その他のポリマーおよびコポリマー;シートまたは織物に成形することが可能な、綿、セルロースを含む天然繊維、ならびにそれらの組合せ。サッシェ閉鎖容器は、材料の重量の目安として約3〜約120グラム/平方メートルの基本重量を有する、シート商品または平坦な材料から組み立てる。本願出願人らの発明のサッシェの幾何学的形状は、球状、楕円体状、円筒状、または円錐状であってよい。その寸法は、次のようになるようにするのがよい:その長さは、約1インチ〜6インチの範囲で変化してよく;その幅は、約1インチ〜約5インチの範囲で変化してよく;そして、球状のサッシェの場合には、その直径が約1インチ〜約5インチの範囲で変化してよい。本願出願人らの発明のサッシェを組み立てる際には、2枚のシート様の予め組み立てた部分、閉止可能もしくはヒートシール可能な端を有する周辺部を合わせる方法を使用することができる。ポリマーの繊維または粒子を予め組み立てたセクションの一つの表面の上に置き、その予め組み立てたセクションを慣用されるようにして組み合わせる。代表的な包装された製品としては、数例を挙げれば、収穫後の農産物、塩味のスナック食品たとえば、ポテトチップスおよびピーナッツ、パン製品、菓子、朝食用加工食品、米などが挙げられる。
【0024】
ある種の実施態様においては、本発明の開示が、本発明のフィルムを含む容器物品を提供する。そのようなフィルムは、好ましくは500μm以下、より好ましくは0.5〜400μmの厚みを有している。ある種の薄膜用途および/または取扱いでは、そのフィルムの厚みが、好ましくは10〜300μm、より好ましくは20〜200μmである。そのフィルムには、ポリオレフィン樹脂と化学的に改質したポリオレフィン樹脂とのブレンド物、または熱可塑性樹脂(たとえば、PE、PP、PETおよびポリ乳酸(PLA))のブレンド物を含む熱可塑性ポリマー組成物を含むことが可能であり、そして通常の方法を使用して製造することができる。軟質フィルムは、典型的には、ストレートダイまたはサーキュラーダイを通して溶融押出し加工し、たとえば約4マイクロメートル(μm)〜約200μmの厚みを有することができる。それらのフィルムは、もっと厚い厚みで押出し加工してから、一方向または二方向に延伸させて、薄く均質なフィルムとしてもよい。押出し加工後の一軸または二軸の延伸によって分子構造の配向性を与えることも可能であり、それによって、フィルムの強度およびバリヤー性能を向上させることができる。熱可塑性プラスチック材料を押出しおよび積層加工するためのプロセスは、米国特許第3,400,190号明細書;米国特許第3,440,686号明細書;米国特許第3,477,099号明細書;米国特許第3,479,425号明細書;米国特許第3,476,627号明細書;米国特許第3,524,795号明細書;米国特許第3,557,265号明細書;米国特許第3,583,032号明細書;および米国特許第3,365,750号明細書に記載されている。ポリオレフィンたとえばポリエチレンおよびポリプロピレンから、多くの共押出し構造物が製造されている。それらのポリオレフィンは、本発明の組成物にも有用である。低密度ポリエチレン(LDPE)および線状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂は、それらが靱性およびヒートシール特性を有しているために、共押出し構造物においてもっぱら使用されてきた。高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂は、それらの防湿層、剛性および機械加工特性のために、選択される。ポリプロピレン(PP)は、配向させることによって、高い衝撃性と剛性を有する透明で機械加工性の高いフィルムが得られるために、選択される。ポリオレフィンを他の樹脂と組み合わせて、多層の機能性を達成させることもできる。エチレン−酢酸ビニル(EVA)、エチレン−アクリル酸(EAA)、およびエチレン−メタクリル酸(EMA)のコポリマーは、それらの低温シーリング特性のために、スキン層として通常使用される。
【0025】
半硬質のフィルムは、ストレートダイ溶融押出し法またはカレンダー法によって製造される。多層構造物は、たとえば、共押出しまたは接着積層とすることができる。典型的な熱成形グレードのフィルムは、たとえば約200ミクロン〜約1ミリメートルの厚みを有することができる。その共押出し加工したシート構造物を、高バリヤー性包装材としてもよい。ポリスチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、およびポリエチレンは、半硬質の包装用途のための共押出し加工に使用される、主たる構造材料である。半硬質の包装材のための公知の共押出し構造物は、米国特許第3,479,425号明細書および米国特許第3,557,265号明細書に記載されている。構造樹脂の選択は、使用時の要件、共押出し加工性、および容器成形への配慮に依存する。そのようなフィルムは、加熱で軟化して、真空成形して、桶、ポット、ブリスター、トレーおよびパネットとすることができる。
【0026】
硬質フィルムは、たとえば、押出し法、共押出し法、異形押出し法、射出成形法、圧縮成形法、反応射出成形法、射出吹込み成形法、または当業者に公知の各種その他の加熱法によって、作成することができる。硬質構造物は典型的には、1ミリメートルよりも厚い厚みを有しており、そして最高で2.0cm、またはさらにそれ以上の厚みを有していてもよい。これらの容器の多くは、厚い壁の厚みが十分なバリヤー性を与えるために、単層構造である。高いバリヤー性が要求される場合には、多層構造法を使用することもできる。そのような硬質構造の一つが、たとえば食品、衣服、汚れもの、家庭廃棄物などを貯蔵するための貯蔵ユニットである。そのような構造物は、たとえばおむつ用バケツ、冷蔵庫用の野菜箱、再使用食品容器、一般的な貯蔵箱、またはごみ容器などであってよい。
【0027】
複合材料、典型的には多層プラスチック構造物は、1種または複数のプラスチックまたは非プラスチック材料を共存させることで、さらに拡張させることができる。プラスチックと組み合わせて複合材料を形成させることが可能な材料は、たとえば、熱硬化性樹脂、アルミニウム、紙、フェルト、板紙、不織布、および同様の材料とすることができる。紙、板紙、フォイル、および熱可塑性ポリマーを組み合わせることによって、たとえばシール可能な高バリヤー性構造を得ることができる。多層包装構造物は、米国特許第3,274,905号明細書;米国特許第4,720,039号明細書;米国特許第5,829,669号明細書および米国特許第6,244,500号明細書に記載されている。熱可塑性プラスチックを板紙と組み合わせると、気密性の硬質複合材料構造物、たとえば円形キャニスターおよび成形複合材料板紙カン(paperboard can)、板紙バケツ、繊維カートリッジなどを得ることができる。そのような構造物の一般的な使用法としては、たとえば、粉末化飲料および小児用調製粉乳(infant formula)、シリアル、コーヒー、スナック食品、ナッツ、クッキーおよびクラッカー、菓子、スパイス/調味料、栄養サプリメント、およびペットフードなどがある。そのような用途においては、本発明の組成物は、特に包装の内部における望ましくない食品分解で風味や臭気に影響が出やすい食品に使用した場合には、高バリヤー性包装のための新規な包装性能特性を与える。
【0028】
多機能性の包装樹脂は、一つの製造工程、たとえば共押出し法に組み入れることができる。多層構造は、単一のダイを通過させて複数のポリマーを同時に押出し加工することによって形成される異なったポリマーが区別された共押出し層である。積層法または共押出し法によって製造された多層フィルムは、単層フィルムに比較して、多くのまたは全部の性能を向上させることができる。典型的には、多層プラスチックフィルムでは、本発明の組成物を、所望の機能に応じて、1層または複数の層、典型的には封入された雰囲気に暴露される一つの層に組み入れることができる。
【0029】
共押出し多層構造物は、次の三つのカテゴリーに分類することができる:単一樹脂、非対称(unbalanced)、および対称(balanced)。たとえば、ただ1種のポリマーを使用した多層フィルム(AAA)、2種以上のポリマーの組合せを用いた非対称共押出しフィルム(ABC)、および2種以上のポリマーの組合せを有する対称多層構造物(A/B/C/B/A)が存在しうる。非対称構造物では、典型的には、機能性層をヒートシール樹脂と組み合わせる。対称構造物では、一般的には、フィルムの外側表面および内側表の両方の上に、同一のヒートシール可能な樹脂を有している。
【0030】
ある種の実施態様においては、本発明の開示が、布地を含む容器物品を提供する。そのような布地は、封入された容積または封入された周囲蒸気相を含む構造の一部とすることができる。その布地は織布または不織ウェブを含み、そのウェブは、ポリオレフィン樹脂と化学的改質をしたポリオレフィン樹脂とのブレンド物、または熱可塑性樹脂(たとえば、PE、PP、PET、およびポリ乳酸(PLA))のブレンド物を含む熱可塑性ポリマー組成物を含む繊維を含んでいる。その物品には、スパンボンド布地、メルトブローン布地、エレクトロスパン布地、およびそれらの組合せを含む不織ウェブが含まれる。スパンボンド布地およびメルトブローン布地の例は当業者には公知であり、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)、スパンボンド−メルトブローン−メルトブローン−スパンボンド(SMMS)、および同様で順序または組合せを変えたものなどであってよい。その他の物品、たとえば、ペットのトイレ、靴箱、食品貯蔵箱もしくはゴミ箱、洗濯かご、または衣裳ボックスまたはバッグも、その中に本発明の組成物を含むライナーを有利に組み入れることができる。さらに、使い捨てのプラスチックゴミ袋、衣裳バッグ、おむつバッグ、真空掃除機用バッグなどにおいて使用されるポリオレフィンもまた、共有結合的に結合されたシクロデキストリンを有する有効量のポリオレフィンを含むポリマーを使用して製造することも可能である。いくつかの実施態様においては、上述の物品または成分のいずれもを、上述のプロセスのいずれか、または以下に記載の溶融ベースのプロセスのいずれかを用いて、調製または加工して、スパンボンド、メルトブローン、ナノファイバー、多孔質フィルムを含む、所望の物品または成分構造、ならびにそれらの組合せを形成させるか、または共形成させることが可能である。いくつかの実施態様においては、上述の物品または成分のいずれであっても、以下のステープルベースもしくは天然繊維ベースのプロセスまたは構造物、およびそれらの組合せのいずれかを用いて、水交絡、ボンデッドカード化、ニードルパンチ化、エアレイド、ウェットレイド、および同様のプロセスおよび構造物、またはそれらの組合せを含めて、調製または加工することも可能である。
【0031】
本明細書の開示において使用される繊維には、当業者公知の各種のポリマー繊維を含むことができる。本明細書に開示の成形物品において使用される糸状の繊維としては、ポリオレフィン、または、ポリオレフィン、ナイロン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、PEO、PET、および水溶性ポリマー[酢酸セルロース、キトサン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ペクチン、ゼラチン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ポリアクリルアミド(PAAm)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、多糖類、およびスチレン−アクリレートコポリマーの分散体]と、ポリエチレンイミンおよびシリカ粒子と組み合わせたCD化合物を含む吸着媒とのブレンド物を含む組成物が挙げられ、それらを使用して、不織布の方式の中で、1種または複数の、重ね合わせるかまたは相互連結した繊維からなる不織ウェブを構築またはコーティングすることができる。それらの繊維は、たとえば、スパンメルト法、メルトブローン法、またはエレクトロスパン法によって製造された長フィラメントの形態とすることが可能である。当業者公知の各種の不織布ポリオレフィン繊維を、本発明に開示の実施態様において使用してよい。不織ウェブは、たとえば、体液たとえば、血液、尿、経血、涙液、および同様の流体または排出物が原因の悪臭を低減または除去するための改良された臭気調節系を有する物品を構成するために使用してもよい。いくつかの実施態様においては、共押出し法またはエレクトロスピニング法を使用して、本発明の組成物を表面上にコーティングするか、または繊維の表面全体に均一に分散させ、悪臭化合物をその繊維の表面上に吸着させて、そこでそれらを繊維の長さ方向全体にわたってCDによって錯体化させるかまたは効果的にトラップして、それによってそれらが実質的に嗅覚で感知できないようにすることができる。
【0032】
置換されたCDまたはペンデントCD残基を有するポリマーに加えて、本明細書に開示の容器には、各種の実施態様において、以下のものを含むことができる:天然繊維と合成繊維の混合物;反応性繊維;捕捉性繊維(たとえば、ゼオライト、活性炭、および同様の捕捉剤);生分解性ポリマー物質たとえばポリ乳酸;低基本重量;またはそれらの組合せ。本明細書に開示の容器は、それらに付与された以下のような一連の性質を有していてよい:通気性;伸縮性;形状または身体に対するなじみ性;布様の美しさおよび感触;剛性;高強度;透明性または不透明性;平滑または模様付き表面、など。
【0033】
上述の繊維用途に加えて、方法および材料も含めて、それから仕上げたウェブおよび布地が、2成分繊維を含んでいることができる。2成分繊維技術は、生産者に、たとえば以下のようなことを可能とする:コストの削減;強度および柔らかさの改良;超微細繊維の製造;バルキー性、捲縮性、またはその両方の改良;および同様のプロセスおよび製品の改良。2成分繊維の一つのタイプは、その繊維が、ある量の比較的高い融点を有するポリマーと、第二の量の比較的低い融点を有するポリマーとを含む公知の材料である。ウェブまたはウェブの層を形成させる際に、その繊維を加熱して、低融点のポリマーが、溶融、融解して、層またはウェブを結合して機械的に安定な、単一の物体とすることが可能なようにする。比較的に高融点のポリマー成分は、その層またはウェブに機械的な強度と安定性を与えることができる。このようにして、2成分繊維では、加熱ボンデッドウェブを二次加工することが可能となり、それによってそれらから作成される不織ウェブに、さらなる強度、凝集性、および堅牢性を与えることができる。そのような性質が望まれている場合には、2成分繊維を使用することが、多くの場合、これらの性質を付与するには十分であり、さらなるバインダーまたは手順を必要とすることなく、そのウェブに、さらなる凝集性、強度などを与えることができる。本発明のいくつかの実施態様には、ナノファイバーも含まれていてよい。ナノファイバーは、たとえばエレクトロスピニング法によって形成させることが可能であり、そこでは約10nmから数百nmまでの直径を有する繊維が紡糸される。得られた繊維の性質は、たとえば、電場の均質性(field uniformity)、ポリマー粘度、電場強度、ノズルとコレクターの間の距離、および同様の理由に依存する可能性がある。
【0034】
繊維および布地を調製するために有用なウェブ製造方法には、各種その他の適切な方法、たとえば押出し加工法、共押出し法、スパンレース法、多孔質フィルム法、共成形法、ボンデッドカード化法、ニードルパンチ法、エアレイド法、ウェットレイド法、および同様の方法、またはそれらの組合せを含むことができる。スパンレース加工法は、水交絡法とも呼ばれ、高速の水ジェットを使用することによって、ウェブ中の繊維を機械的に巻き付けおよび結節させることを含む。スパンレース処理した不織布は、柔らかく、強く、扱いやすく、良好な吸収性を有しているので、拭い布に適している。いくつかの実施態様においては、繊維および布地を調製するのに有用な方法として、各種その他の適切な加工方法、たとえば、加熱接着法、化学的または樹脂接着法、および同様の方法を、さらに含むことができる。いくつかの実施態様においては、本発明の繊維、布地および吸収剤物質には、たとえば以下に記載のその他の適切な機能性または高性能の添加剤または処理剤を含むことができる:抗菌剤、帯電防止剤、難燃剤、フッ素化合物、濡れ剤、紫外線安定剤、ラミネート、バインダーもしくは接着剤、ホットメルト接着剤、充填剤、シランカップリング剤、および同様の添加剤または処理剤、またはそれらの組合せ。いくつかの実施態様においては、その性質および繊維または最終物品における目的に応じて、添加剤は、たとえば、マスターバッチの中に添加しておくか、押出機に直接添加するか、繊維またはウェブの表面に局所的に適用するか、同様の添加方法を用いるか、またはそれらの組合せで、含ませることができる。いくつかの実施態様においては、バインダーまたは接着剤としては、たとえば以下のものを挙げることができる:アクリル系化合物、ホットメルト、ラテックス、ポリ塩化ビニル、感圧接着剤、スチレン化アクリル系化合物、スチレンブタジエン、酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル、ビニルアクリル系化合物、溶融加工可能な繊維、部分溶融性2成分繊維(たとえば、PE/PP、PE/PET、特別配合のPET/PET)、および同様の材料、またはそれらの組合せ。
【0035】
シクロデキストリン(CD)は、ある種の酵素たとえばシクロデキストリングリコトランスフェラーゼ(CGTase)の作用によって形成される、α−D−グルコースの環状オリゴマーである。それぞれ、6個、7個、および8個のα−1,4−結合グルコースモノマーからなる、3種のシクロデキストリン(アルファ、ベータ、およびガンマ)が市販されている。これらのオリゴサッカライドの最も安定な三次元分子配置は、円環体状物(toroid)の形状であって、その円環体状物の小さい開口部と大きい開口部には、一級および二級のヒドロキシル基が存在している。グルコースモノマーを特定して組み合わせることによって、CDに、特定の容積を有する中空の内部空間を有する、硬質で、円錐を切断した分子構造が与えられる。CDは、置換されたCDまたはペンデントCD残基を有するポリマーとして使用することができる。CD分子は、グルコース残基の6位の一級ヒドロキシル、および2位および3位の二級ヒドロキシルを利用する。CD分子の幾何学的構造および環の置換基の化学的性質のために、ヒドロキシル基のすべてが同じ反応性を有している訳ではない。しかしながら、細心の注意を払い、効果的な反応条件を用いれば、実質的に乾燥させた(dry)CD分子を反応させて、グラフト化されたCDを得ることは可能である。所望により、選択された置換基を有する、すなわち、一級ヒドロキシルのみが置換されていたり、二級ヒドロキシル基の一方または両方のみが置換されていたりするCDもまた、グラフト化させることが可能である。2個の異なった置換基、または3個の異なった置換基を有する、誘導された分子を直接合成することもまた可能である。それらの置換基は、ランダムに配置することも、あるいは特定のヒドロキシルに向かわせることも可能である。それらの置換基は、それらがグラフト化反応の反応サイトになるように選択すればよい。たとえば、CDのアルコール誘導体(たとえば、ヒドロキシエチルおよびヒドロキシプロピル)およびアミノ誘導体は、ポリマー骨格上の置換基と反応して、グラフト化CDを生成することができる。
【0036】
オリゴサッカライド環が、切断した円錐のような円環体(torus)を形成していて、グルコース残渣それぞれの一級ヒドロキシル基が、その円環体の狭い方の末端に並んでいる。二級のグルコピラノースのヒドロキシル基は、広い方の末端に位置している。親化合物のCD分子および有用な誘導体は、次式(環の炭素には、慣用される番号をつけている)で表すことができるが、式中、空結合は環状分子のバランスを表しており、RおよびRは、図示されたように一級または二級ヒドロキシルである。CDの内部キャビティサイズを配慮しなければならず、官能基の変性は、目標とする揮発分または不純物との包接複合体を形成させることに加えて、所望するバルクポリマーおよび表面ポリマー特性を変化させるのに適したものでなければならない。特定の結果を達成するためには、二つ以上のキャビティサイズと官能基が必要となることもあり得る。したがって、特定の末端用途では、ポリマーに対して、2個以上のCD化学種をグラフトさせるのが有利となるかもしれない。
【0037】
置換されたCD物質を製造するために好ましい調製スキームには、CD分子の一級または二級ヒドロキシルのところにおける反応が含まれる。このことは、CDのヒドロキシル官能基が、置換基を形成する反応剤と反応するということを意味している。CD分子の一級または二級いずれかの環ヒドロキシルの上にエステルまたはエーテル結合を形成させることには、周知の反応が含まれる。さらに、利用可能な誘導体基を用いて置換されるヒドロキシルの全部が利用されているのではないCDは、利用可能な残りのヒドロキシルの一つまたは複数を用いてグラフトすることができる。シクロデキストリン分子の一級OH基は、二級の基よりも容易に反応する。しかしながら、分子は実質的にどの位置で置換することも可能で、有用な組成物を形成させることができる。おおまかに言って、本願発明者らは、広く各種のペンダント置換残基を分子の上で使用できることを見出した。これらの誘導体化されたシクロデキストリン分子としては、たとえば、アルキル化シクロデキストリン、ヒドロカルビル−アミノシクロデキストリン、および同様の誘導体が挙げられる。その置換残基は、その誘導体化した物質に相溶性を与える領域を備えていなければならない。本明細書に開示のペンダントした熱可塑性ポリマーのアミノおよびその他のアジドシクロデキストリン誘導体は、本明細書に開示のシート、フィルム、繊維、または容器において使用することができる。スルホニル誘導体化シクロデキストリンは、アジド(N−1)イオンによるスルホネート基の求核的置換を介して、スルホニル基置換されたシクロデキストリンからアミノ誘導体を形成させるのに使用することができる。次いで還元によって、そのアジド誘導体を置換されたアミノ化合物に転換させる。そのような誘導体は、対称的置換アミン基(シクロデキストリン骨格の上に対称的に配された2個以上のアミノまたはアジド基を有するそれらの誘導体)の中、または対称的に置換されたアミンまたはアジド誘導体化シクロデキストリンとして製造することができる。窒素含有基が生成するのは求核的置換反応であるために、6位の炭素原子にある一級ヒドロキシル基が、窒素含有基がもっとも導入されやすいサイトである。本明細書の開示において有用となりうる窒素含有基の例としては、以下のものが挙げられる:アセチルアミノ基(−NHAc)、アルキルアミノたとえばメチルアミノ、エチルアミノ、ブチルアミノ、イソブチルアミノ、イソプロピルアミノ、ヘキシルアミノ、およびその他のアルキルアミノ置換基。それらのアミノまたはアルキルアミノ置換基は、窒素原子と反応してそのアミン基をさらに誘導体化する他の化合物との反応性をさらに有していてもよい。その他の可能性がある窒素含有置換基としては、たとえば、ジアルキルアミノたとえばジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ピペリヂノ、ピペリジノ、および同様の置換基などが挙げられる。シクロデキストリン分子は、たとえば、ペンダントしたイミダゾール基、ヒスチジン基、イミダゾール基、ピリジノ基、および置換されたピリジノ基のようなヘテロサイクリック核で置換することができる。シクロデキストリン誘導体は、硫黄含有官能基を用いて変性して、シクロデキストリンの上に相溶化置換基を導入することもできる。硫黄含有基は、スルフヒドリル化合物に基づいて作ることができ、シクロデキストリンの誘導体化に利用することができる。そのような硫黄含有基としては、たとえば、ヒドロキシエチルチオ(−S−CHCHOH)、イミダゾリルメチルチオ、アミノアルキルチオ、および同様の基が挙げられる。
【0038】
本発明にはさらに、ペンデントCD残基を有するポリマーも含む。たとえば当業者公知の溶液、溶融状態、固体状態を使用して、商業的なポリマー機能化が達成される。そのプロセスでは、ビニルポリマーの上、またはオレフィンと他のモノマーたとえばビニルモノマーとのコポリマー(主としてオレフィン部分で構成されている)も含めて、ポリオレフィンポリマーの上に、モノマーを共有結合的に結合させる。この開示において有用なポリオレフィンとしては、たとえば以下のものが挙げられる:ポリ(エチレン)すなわちPE、ポリ(プロピレン)すなわちPP、ポリ(エチレン−コ−プロピレン)すなわちPEP、エチレン/アクリル酸メチルコポリマー、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー、エチレン−α−オクテンコポリマー、エチレン−ブテンコポリマー、ならびに同様のポリマーおよびコポリマー。それらのポリオレフィンは、たとえば不飽和の無水物またはカルボン酸のような不飽和化合物を用いて機能的な改質を行うことができる。さらには、たとえば、エチレン−アクリレート(エチルもしくはブチル)−無水マレイン酸、エチレン−アクリル酸メチル−メタクリル酸グリシジル、および同様のポリマーの改質ターポリマーもあり得る。いくつかの実施態様においては、包装材グレードのビニルポリマーであれば、いかなるものも使用することができる。本発明の変性ポリマーは、いくつかの実施態様においては、約0.7〜1,800g−10min−1のメルトインデックスを有するポリマーから誘導することができる。他の実施態様においては、本発明の変性ポリマーを、約1〜約1,200g−10min−1のメルトインデックスを有するポリマーから誘導することができる。
【0039】
官能化ポリオレフィンを、本発明のコーティングと共に使用したり、CDペンダントしたポリマーとブレンドしたりすることができる。官能化ポリオレフィンは、広く各種の工業的用途を有していて、たとえば以下の用途が挙げられる:食品産業用の、多層フィルムおよびボトルにおける押出しまたは共押出しタイ樹脂、エンジニアリングポリマーのための相溶化剤、および自動車産業のためのプラスチック燃料タンクのタイ樹脂、ケーブルのため、屋根構造材に使用される充填材のためのハロゲン非含有ポリマーの可撓化および相溶化、ならびに同様の用途。本発明の開示において有用な官能化ポリオレフィンとしては、たとえば以下のものが挙げられる:マレイン化ポリエチレンおよびポリプロピレン(OREVACおよびLOTRYL(Atofina Chemicals Inc.(Philadelphia,Pa.)製)、PLEXARおよびINTEGRATE樹脂(Equistar Chemicals L.P.(Houston,Tex.)製)、FUSABOND樹脂(DuPont Co.(Wilmington,Del.)製)、OPTM樹脂(Manas(Ankara,Turkey)製)、ADMER樹脂(Mitsui Chemicals(Rye Brook(N.Y.)製)およびEXXELOR(Exxon/Mobil Corp.(Irving,Tex.)製))、無水マレイン酸官能化エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA−MA、たとえばOrevac EVA−MA(Atofina製)またはFusabond CシリーズEVA−MA(DuPont製);EPDM(たとえば、エチレン−プロピレン−ブタジエンまたはエチレン−プロピレン−1,4−ヘキサジエンポリマー)、エチレン/1−ブテンコポリマー、エチレン/1−ヘキセンコポリマー、エチレン/1−オクテンコポリマー、エチレン−アクリル酸n−ブチル−無水マレイン酸コポリマー、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸ターポリマー、またはエチレンとメタクリル酸グリシジルとのコポリマー。オレフィン系ではないその他のポリマーも、本発明の実施態様において採用することが可能である。たとえば、スチレン−無水マレイン酸(SMA)コポリマーは、反応性コポリマーの特に有用な群である。SMAコポリマーは、たとえば、Hiloy SMAコポリマー(A.Schulman Inc.(Akron,Ohio)製)、Prevex,SMA(General Electric Co.(Fairfield,Conn.)製)、およびDylark SMA(NOVA Chemicals of Calgary(Alberta Mon Township,Pa.)製)として入手することができる。エチレン−プロピレン−1,4−ヘキサジエンポリマーは、次式のように表すことができるが、ここで、x、y、およびzは、たとえば、約70〜90重量%のエチレン、約10〜30重量%のプロピレンおよび約5重量%までの1,4−ヘキサジエンが得られるように選択することができ、RおよびRは、同一の基、H、または末端基であってよい。
【0040】
SMAコポリマーを形成させるためにスチレンを無水マレイン酸と共重合させると、ポリスチレンよりも高いガラス転移温度を有する物質が得られ、それは、無水マレイン酸官能基を備えているために、化学的な反応性がある。SMAコポリマーは、ブレンド物または複合材料において使用されることが多く、その場合、無水マレイン酸の相互作用または反応性が、望ましい界面効果を与える。SMAは、自動車産業において、内装部品のための射出成形および熱成形のために使用されている。SMAがポリスチレンよりも優れているのは、自動車用途で要求される、より高い加熱撓み温度を有しているためである。SMAコポリマーはまた、バインダーポリマーとしても広範囲に使用されてきたが、それは反応性の無水マレイン酸残基のためであって、それは、調節可能な表面エネルギーおよび化学的相溶性を与えるための一つまたは複数の基を用いて容易に官能化することが可能である。たとえば、Keilらの米国特許第5,576,145号明細書、米国特許第5,698,370号明細書、および米国特許第5773518号明細書に、SMAベースのバインダーポリマーが開示されていて、その中では、2種の非相溶性のポリマーの間の層間接着性を与えるための手段として、無水マレイン酸残基が、約50〜約65モルパーセントの間で、100よりも高い分子量を有する、アルキル、アリール、シクロアルキル、アルクアリール、またはアリールアルキルアルコールでモノエステル化されている。
【0041】
CDにグラフト化して、本発明のCDグラフト化ポリマーを形成させることが可能な、また別な有用なポリマーは、ポリプロピレンである。ポリプロピレンに結合された無水マレイン酸は、たとえば、Honeywell Performance Products(Heverlee,Belgium)またはSigma Aldrich Company(St.Louis,Mo.)から市販されている。しかしながら、無水マレイン酸は、たとえば押出し反応の際に、ポリプロピレンの溶融した押出し流れに無水マレイン酸を添加することによって、ポリプロピレンに容易に付加させることもできる。そのような反応スキームにおいては、有利には、その押出し工程よりもさらに下流でCDを添加して、そこでそれを、改質ポリプロピレンの上の無水マレイン酸基と反応させることができる。たとえば過酸化水素のようなラジカル源を使用して、ポリプロピレンの中に無水マレイン酸を組み入れる一般的な反応スキームを、以下において示す。
【0042】
本明細書に開示のペンデントCD残基を有する組成物は、各種の有用なフィルム、シート、繊維、不織ウェブ、モノリシック構造物、またはその他の形状物に、従来からの加工技術を使用して、コーティング、押出し加工、積層化、紡織、または成形することができる。実質的に物品全体にわたって分散された、本明細書に開示のペンデントCD残基を有するオレフィン系組成物を有する物品を製作することに加えて、その物品は、ペンデントCD残基を含むオレフィン系の組成物が析出されるか、またはそれらが製造工程の間に移行する不連続な領域を有することができる。たとえば、物品は、モノリシックな物品の表面上、または物品の表面の一部の上に、析出されたペンデントCD残基を含むオレフィン系の組成物を含むコーティングまたはフィルムを有していてもよい。別な方法として、その物品が、ペンデントCD残基を含むオレフィン系の組成物が存在している表面以外の、一つまたは複数の別々の部分を有していることも可能である。
【0043】
本明細書の開示のペンデントCDを含むポリマーは、たとえば反応押出成形法を使用して調製してもよいが、この方法では、乾燥させたシクロデキストリンもしくはその誘導体(湿分0.10%未満)、官能化ポリオレフィン、および場合によっては第二のポリオレフィンを押出機の中にフィードするが、このときの温度は、シクロデキストリンが溶融ポリマーとしての官能化ポリオレフィンと反応して、シクロデキストリンが押出機の中で移行して、たとえば、シクロデキストリンをポリオレフィンに対して共有結合的に結合させているエステル基を含む反応生成物を形成するような温度とする。官能化ポリオレフィンの非官能化ポリオレフィンに対する比率を調節して、特定の用途および二次加工プロセスに適合するようにすることができる。いくつかの実施態様においては、本発明の開示は、シクロデキストリンとポリマーグラフト化カップリング剤(すなわち、無水物、エポキシドなど)との化学量論的な反応生成物を目的としていて、それによって得られるのが特にマスターバッチとして適している変性ポリマーであって、そのマスターバッチは次いで、1種または複数の非官能化熱可塑性ポリマーまたは熱可塑性エラストマーを用いて、1部のマスターバッチ組成物対1.5部の非官能化ポリマーの重量比でレットダウンさせることができる。別の言い方をすれば、ポリマーとマスターバッチとのブレンド物、すなわちブレンドした後での官能化ポリマーには、約0.02〜50重量%のCD官能化ポリマーを含むことが可能であり、ある種の用途においては、そのポリマーが、約0.1〜10重量%の官能化ポリマー、または約0.5〜5重量%の官能化ポリマーを含むことができる。メルトグラフト反応のための化学量論比は、グラムモル(グラム式量)を基準に計算することができるが、ここで1グラムモルのCD(α、βまたはγ)は、1グラムモルのグラフトされる無水物、グリシジル、またはカルボン酸残基と等価である。
【0044】
CD粒子の上にPEIを均質に表面コーティングしてから、反応性押出し加工によって官能化ポリオレフィンの上にCDをグラフト化させることができる。CDのPEIコーティングおよび影響を受けやすい乾燥は同時に、制御された雰囲気中で、CDを一定速度で回転させる真空タンブルドライヤーの中で実施する。循環オイル加熱壁面のジャケットを有し、ドライヤーの水平回転の中心にそって走行する液体スプレーバーを備えた、ステンレス鋼製のタンブルドライヤーを使用して、一定の運動をしているCD粒子の上にPEIコーティング水溶液をスプレーする。真空によって、水の沸点が低下し、その間に、容器の壁面に対してCD粒子が一定の接触をすることで迅速に熱が入力されて、均質な乾燥が得られる。このコーティング方法によって、塊状化、凝集が防止され、CD粒子への均質なPEIコーティングが可能となる。
【0045】
CDをドライヤードラムの中に装填して、密閉してから、循環オイルを加熱して120℃とし、ドラムを20rpmで回転させ、真空ポンプ系で、ドラム中の圧力を28インチHgの真空に下げる。圧力を維持しながら、ドライヤードラム中のCDを加熱する。次いで、約1重量%〜25重量%のPEIを含むPEI水溶液を、2分以上の時間をかけて、液体スプレーバーを通して導入する。回転を続けて、CDの表面の上にPEIをコーティングすることが可能になるようにする。PEI溶液の濃度およびコーティング重量に依存して、5〜30分の間隔をあけて、樹脂エマルションの添加を繰り返すが、全部のPEIコーティング溶液を添加しおわるまで、操作条件は同じレベルに維持する。PEIコーティングの水全部を、冷水コンデンサートラップで回収してから、オイルを加熱して130℃とし、CDが水1%未満の湿分に達するまで続ける。乾燥窒素を用いてパージしながら、CDが65℃未満になるまでCDを放冷し、次いで抜き出して、防湿包装の中に充填する。
【0046】
真空タンブルドライヤー法は、PEIコートシリカゲル、沈降シリカおよびヒュームドシリカに対しても使用することができる。その方法は、PEI水溶液が約0.1重量%〜5重量%のPEIを含むことを除けば、先のCDコーティング法と同じである。いくつかの実施態様においては、未改質のシクロデキストリンをポリオレフィン上の無水マレイン酸ペンダントした基に対してカップリングさせることを、高収率で、かつ触媒または重合開始剤を使用せずにきれいに実施することができる。そうすることによって、それから調製されたグラフト化CDポリマー生成物および物品は、その生成物中に、たとえば触媒、重合開始剤、または遊離のシクロデキストリンとして、そのような低分子夾雑物を含まない。そのような夾雑物は、もし存在していれば、製品のポリマー、ポリマーブレンド物、または有用な物品から、望ましくない浸出を起こす可能性がある。本明細書に開示の物品は、コーティングを有する熱可塑性ポリマー組成物、ポリオレフィン樹脂と置換されたCDとのブレンド物またはCD改質ポリオレフィン樹脂を含むフィルム、シート、または不織ウェブを、適切に含むか、それらからなるか、またはそれらから実質的になっていてよいが、その改質ポリオレフィンは、ランダムに置換され、共有結合的に結合されたシクロデキストリン基を有している。したがって、本明細書において説明的に開示された本発明は、本明細書において具体的に開示されていない各種の要素の非存在下に、適切に実施してもよい。
【0047】
本明細書に開示の食品包装物品または食品包装成分は、たとえば、トレー、包装ライナー、バリヤー層、捕捉剤層、および同様の構成成分、またはそれらの組合せのような、包装構成成分とすることができる。長年にわたって確立されていた食品包装の概念は、食品の貯蔵寿命を長引かせるそれらの能力に限定されていた。本明細書に開示の革新的な食品包装の概念では、たとえば、包装の内部環境と相互作用を有し、それらの性質を変化させるように応答して、特定の包装のヘッドスペース雰囲気を維持、調節もしくは改良するか、または「スカルピング(scalping)」(すなわち、ポリマー包装材料による食品からの揮発性成分の取り込み)によって包装部材への食品の香りのロスを最小限とし、それによって、製品の品質に寄与し、貯蔵寿命を延長することができる。包装のヘッドスペース酸素を調節するために、現在使用されている最も知られているタイプの技術は、酸素捕捉剤である。
【0048】
本発明の開示は、包装された食品からの望ましくない異臭を選択的に除去するための、包装された食品と接触するポリマー層の使用に関する。食品包装接触層は、たとえば、脂質の酸化、脂質の加水分解、タンパク質/アミノ酸の崩壊、および包装された食品の同様の変化または反応によって生成した、食品包装の内部からの不快臭/芳香(offensive odors/aromas)を除去するために構成することができる。本明細書に開示のそれらの活性包装ポリマーの改良は、慣用されるポリオレフィンに比較すると顕著なものであって、その製品の貯蔵寿命の間にわたって食品の風味をかなり改良することができる。
【0049】
プラスチック産業が成熟するにつれて、多数の特徴的な包装用途が開発されるようになってきた。多くの単層および多層構造物が、液体または固体、食品または非食品を貯蔵するために利用することができる。特定の内部包装環境を維持または改良して、改良された品質、安全性および貯蔵寿命を保証することを可能としながらも、さらに、一段と、より薄いフィルムでこの目的を達成する、高性能で付加価値の高い包装が依然として必要とされている。現在実施されている低酸素−バリヤー包装法は、貯蔵されている食品または包装によって引き起こされる劣化性の化学反応をすべて排除するものではなく、そのために、望ましくない化学的副生物、たとえば悪臭や味の劣化が微量ずつ生成し続けて、それらが、包装および製品のヘッドスペースの中に事実上保持されて、それによって、製品の香り特性および貯蔵寿命が低下している。これらの化合物の比率(割合)または全濃度が高くなりすぎると、それらが食品に異臭を与える可能性がある。湿分レベルが低いか中程度の食品が、たとえばシリアル、クラッカー、クッキー、塩味のスナック食品などの、貯蔵安定性の食品の大部分を構成している。それらは、脂肪、タンパク質、およびデンプン類を含んでおり、多くの劣化化学反応にさらされる。最も重要な化学変化は、加水分解反応、酵素作用、酸化反応、特に脂質酸化(これは、多くの脂質含有食品の香味(flavor)を変化させる)、および非酵素系褐変を伴う。それらの反応から生成する化合物は、それらの化学的および物理的性質によって、広く変化する。それらは、それらの香味への影響でも異なっている。いくつかのものは、不快な臭気および香味を作り出し、多くの場合、食品の保存における主たる問題点の原因となる。朝食用加工食品においては、たとえば高温および低湿度を使用した加速貯蔵寿命試験では、多くの劣化化合物が生成する。本発明の組成物は、そのような化合物を吸着することによって、揮発性の化学的に近い化合物のヘッドスペースでの蓄積を最小限とすることができる。
【0050】
収穫した新鮮な果物、野菜、および切り花の多くのものが、包装のヘッドスペース中のエチレンガスのレベルが高くなることの結果としての劣化のために、失われる。果物、野菜、および新鮮な花卉の熟成を抑制するための一つの方法は、ヘッドスペース中に存在しているエチレンガスを低減させることである。LDPEフィルムのエチレン吸収容量は、本発明の組成物の、薄い接触内側層を有することによって改良することができる。PEIおよびシリカを含むシクロデキストリングラフト化ポリマーを、多層構造における内側の製品接触層として使用して、その製品をとりまくヘッドスペース中のエチレンガスを低減させ、適切な湿度(一般的には、約80%RHより高い)を維持して、望ましくない萎れおよびしわ寄りが起きないようにすることによって、製品の貯蔵寿命を長引かせることができる。農産物を不透過性フィルムの中に密閉すると、ヘッドスペースのOレベルが低いレベルにまで低下し、嫌気性呼吸が起きて、たとえばエタノール、アセトアルデヒドおよび有機酸のような望ましくない臭気および香味化合物が生成する。本発明の組成物の一つの利点は、LDPEスキン層の中または不織布繊維の表面上で使用して、オレフィン固有の、湿分、ガスまたは透明度に対するバリヤー性能を劣化させることなく、エチレンガスおよびその他の官能刺激性(organoleptic)前駆体のヘッドスペースからの分配性を改良することが可能とする、高い表面積とCD濃度である。
【0051】
本発明のまた別な実施態様においては、多層フィルムを食品包装フィルムとして使用することができるが、ここで、一つの層が、その包装の上の層の一部として組み込まれた置換されたCDまたはポリオレフィン−CDグラフト化物質を有している。これらの実施態様においては、共押出し法が一つの方法であって、それにより、ポリマーにグラフトされたCDを、包装フィルム中の2層以上の層の一つの中に組み込むことができる。そのような実施態様を与えるまた別な方法は、コーティング法であって、この場合には、押出しコーティングしたポリマーを用いるか、またはフィルム表面の表面エネルギーを高めるために予めコロナ処理しておいたフィルムの表面の上に水性コーティングを用いることにより、包装フィルムが得られる。そのコーティングされたポリマーまたはコーティングの一部または全部に、本発明の組成物を含むことができる。置換されるかまたはポリオレフィン−CDグラフト化された物質が、新鮮な農産物、たとえば果物、野菜、および花卉のための包装の中に組み込まれた場合には、当業者ならば、そのCDを、包装のほんの一部分だけに存在させておくことが可能であって、しかも、エチレンまたはその他の有害な蒸気相物質を捕捉するのに有効であるということを認識するであろう。ほとんどの用途においては、大量のCDは必要ない。
【0052】
本発明のさらに別な実施態様においては、本発明のCDグラフト化ポリマーを、フィルムのウェブとして、または不織布繊維として提供することもできるが、この場合、ウェブ片を単に包装に加えてから、新鮮な果物、野菜、または花卉を詰める。そのような実施態様においては、使用される包装材料は、適切であればどのような材料であってもよく、いかなる制限も受けない。一般的に使用される包装材料たとえば、ポリエチレン、PLAまたはポリエステルなどは、何の制限もなく使用できるが、その理由は、本発明の組成物は、包装される新鮮な農産物と共に、完成した包装に単に添加されるからである。個別の材料の中に組成物が存在しているので、望ましくない蒸気相物質を望ましくは捕捉したいような、いかなる包装に対しても、それを添加することができる。
【0053】
組成物は、以下の表に見られるような成分量を用いて作成することができる。
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

【0056】
上に示した吸着媒組成物は通常、水の中に分散され、水は約50重量%〜95重量%である。次いで、その水性組成物を基材に適用して、その基材が暴露される封入された容積から、望ましくないかまたは目標とする物質を低減させる。使用されるかまたは適用される組成物の量は、基材(すなわち、繊維またはフィルム)の性質および意図している用途に応じて変化させてよい。ほとんどの実施態様においては、その悪臭制御組成物は、基材の約2.5〜約50重量%、いくつかの実施態様においては基材の約5〜約30重量%、いくつかの実施態様においては、基材の約10〜約20重量%を構成している。その吸着媒組成物は、各種の周知の適用法のいずれかを使用して、基材に適用してもよい。たとえば、その組成物を、基材のマトリックスの中に組み入れてもよいし、および/またはその表面に適用してもよい。基材に対して水性組成物を適用するのに好適な方法としては、スプレー法、浸漬法、水性コーティング法、染色法などが挙げられる。非水性組成物を適用するための方法としては、先に説明した各種の溶融押出し加工法が挙げられる。
【0057】
本発明の組成物は、外側にガス透過性/蒸気透過性シート材料を有していて、内側の本発明の組成物が容器の内容物と接触することを防ぐ、吸着媒のバッグ、パケットまたはサッシェの形態に成形してもよい。その外側シートはガス透過性シートからなっていて、そのシートの縁部分を、好ましくはヒートシール法または加熱融着法によって外縁部分でシールして、一体化した多層構造を形成している。したがって、本発明の組成物は、層化構造の内部に封入されており、その外側シート(上側および下側)には、封入された気相容積または雰囲気がサッシェに入れるような、無数の微細な細孔を有するガス/蒸気−透過性シートが含まれている。外側のシート材料(たとえば、疎水性処理した多孔質の紙、不織布繊維、またはミクロポーラスプラスチックフィルム)が、サッシェの本発明の組成物が密封包装内容物、たとえば食料品と相互に接触したり、混合されたりすることを防止するバリヤーとして意図された、バッグ、パケットまたはサッシェ構造の主要な部分を構成している。外側のサッシェ材料は、水抵抗性であるか、または水に対する不透過性バリヤーを与えるが、多孔質であって、ガスおよび蒸気、たとえば、エチレン、低沸点有機化合物および水の蒸気が、細孔を通過して入ってくることが容易に可能である。その多孔質のバリヤー材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマーおよびエチレン−アクリル系エステルコポリマー、ポリエステル、または複合材料もしくは積層物から製作することができる。公知のパケットおよびサッシェ構造物は、米国特許第4,856,649号明細書、米国特許第5,371,322号明細書、米国特許第5,773,105号明細書、および米国特許第6,776,947号明細書に記載されている。ガス/蒸気透過性は、外側保護バリヤー材料として、不織布繊維(DuPontのTyvek(登録商標))、多孔質紙(TokusoのGDT II)またはミクロポーラスプラスチックフィルム(ClopayのMicropore(商標))からなるシートを使用することによって、得ることができる。本発明において使用する多孔質のバリヤー材料は、実用性の面から、150um以下の厚みを有しているのが好ましい。厚みが10〜50umの範囲であれば、より好ましい。そのバリヤーが、約10〜200g/mの間の重量を有し、Gurley秒で表して約5〜約150秒/100ccの多孔度と、500〜9,500g/m/日のMVTR(ASTM E96−2000に基づく)を有しているのが好ましい。
【0058】
内側の本発明の組成物は、10um〜25mmの厚みを有する、単一層、多重層、ラミネート、または複合材料構造物の一つから作成することができる。その内側層を、三次元の不織布または独立気泡ポリエチレンシートまたはその他の形状とすることも可能である。バッグ、パケットまたはサッシェは、特定の望ましくないかまたは目標とする物質に合わせた、封入された容積サイズと組成にすることができる。
【0059】
エチレンの収着
表1に、室温における静的な試験条件下において、一連の実施例物質がエチレンガスを低減させる性能を示している。表1には、主として4種のグループについてのデータが含まれる:1)市販のフィルム;2)ポリエチレンイミン表面コーティングを有するシクロデキストリン粉末;3)シクロデキストリンおよびポリエチレンイミン溶液の表面コーティングを有するスパンボンド(SB)不織布繊維、4)シクロデキストリン、ポリエチレンイミン(PEI)およびシリカゲルまたはヒュームドシリカのいずれかの溶液からの表面コーティングを有するSB不織布繊維。
【0060】
それぞれの物質について、PTFE/シリコーンのセプタムスクリューキャップを用いて密封した250mLガラスセラムボトル中の14パーツ・パー・ミリオンのエチレンガスを用いてチャレンジした。ボトルの中に試験サンプルを入れて密封してから、200μLのエチレンガス(17,922ppm)を注入して、14.3ppmのエチレン濃度とする。サンプルを20℃で保存し、選択された時間間隔、4、24、48および72時間に、GC/FIDによってそのヘッドスペースを分析する。収着量は、最初に測定したエチレン濃度からの差と、並行して分析した参照標準によって求める。
【0061】
実施例のセクションにおいて、それぞれの物質についての詳細なサンプル調製情報を提供する。表1に、さらなる試験時間間隔データも含めて、すべての該当する情報をまとめている。4種のバーチャート分類を簡単にまとめると次のようになる:
1.市販のフィルム
2種の市販のフィルム製品について、エチレン収着量の試験をした。メーカーは、それらのバッグは、密閉したバッグ中に貯蔵した農産物によって発生したエチレンガスを低減させるであろうと主張している。室温での静的エチレン収着試験における性能のための基準としてこれら2種の製品を使用すると、すべてのその他の実施例物質を比較することができる。市販のフィルム試験サンプルは、サイズが21.5cm×21.5cm、重量が約1.35グラムであり、フィルムは同一の密度を有していた。(比較例9Aおよび9B)
2.PEI表面コーティングを有するシクロデキストリン粉末
アルファシクロデキストリン(サンプル1A)は、同一の条件下では、メチルベータシクロデキストリン(1B、3A〜4H)よりも顕著に低いエチレン収着量を示す。エチレン収着量試験のためのPEIコーティングを有するシクロデキストリン粉末の重量は1.0グラムであった。
3.PEIを含むシクロデキストリンの表面コーティングを有するスパンボンド不織布繊維
表面コーティングしたスパンボンド(SB)不織布繊維サンプル(5A〜5E)は、寸法が21.5cm×21.5cmで、重量が約0.95グラムであり、0.10〜0.18グラムのシクロデキストリンコーティングを有していた。CDコーティングしたSBサンプルは、市販のフィルムと同程度のエチレン収着量を有していた。
4.シクロデキストリン、PEI、およびシリカゲルまたはヒュームドシリカのいずれかの溶液からの表面コーティングを有するスパンボンド不織布繊維
シリカゲル(7A〜7G)およびヒュームドシリカ(8A〜8C)のいずれもが、メチル化ベータシクロデキストリンおよびPEIと組み合わせると、エチレン収着性能を顕著に改良する。コーティングしたSB繊維サンプルは、寸法が21.5cm×21.5cm、重量が約0.95グラムで、コーティング重量は、0.3〜0.9グラムの間で変化させた。
【0062】
表1に示しているのは、以下のもののエチレン収着性能である:市販のバッグ、親化合物のアルファCDおよびPEI表面コーティングを有するメチル化ベータシクロデキストリン誘導体、SB繊維の上に適用したCDの薄いコーティング、ならびにメチル化ベータCD、PEI、およびシリカゲルまたはヒュームドシリカの混合物を含むSB繊維コーティング。未改質のCDは、メチル誘導体に比較して少ないエチレン収着量を有しているが、それに対して、不織布繊維表面に適用したメチルベータCDコーティングは、シリカゲルまたはヒュームドシリカのいずれかを含む同一のコーティングよりも、顕著に低いエチレン収着量を有している。文献では、日本の研究者らがエチレンをアルファシクロデキストリンと錯体形成させたという報告があるが、しかしながら、エチレンは、1〜1.5大気圧の水媒体中で錯体形成する。このエチレンの圧力は、本発明のエチレンヘッドスペース圧力からは、5桁〜8桁よりもさらに高いものである。
【0063】
吸着試験方法
静的吸着試験方法は、固定容積(たとえば、ガラスボトル)によって囲まれた試験基材の観点から、最も容易に説明される。試験基材および容積は、開始時には、その密閉容積ボトルの内側に、試験溶質(エチレンガス)をまったく含んでいない。時間ゼロで、所定の重量の試験基材を、既知濃度のエチレンガスのチャレンジ標準(challenge standard)に暴露させる。エチレンのチャレンジ標準を導入してから、各種の時間間隔で、ヘッドスペースの濃度を測定する。試験構造体をとりまくエチレンのヘッドスペース濃度を、ガスクロマトグラフィーを用いて定量化する。
【0064】
フレームイオン化検出器(FID)、1mLのサンプリングループを有する六方加熱サンプリングバルブ、およびデータ集積ソフトウェア(HP ChemStation A06.03−509)を備えて運転されるガスクロマトグラフ(HP 5890)を使用して、エチレンのヘッドスペース濃度を測定する。250mLボトル容積あたりのエチレンのμLとして測定し、μL/Lすなわちパーツ・パー・ミリオン(容積/容積)エチレンとして表した、5点のエチレン較正曲線を使用して、試験サンプル中の静的ヘッドスペース濃度を測定する。
【0065】
Teflon(登録商標)表面を有するシリコーンセプタムを備えた、250mLのセラムボトルの中に、試験基材を入れる。セプタムを通してガラスボトルの中に、200μLの作業用「ストック(stock)」チャレンジ標準(17,922PPM))を注入する。その試験の間、セラムボトルは室温(20℃)に保持する。それぞれのサンプリング間隔で、GCカラムに直結されている、Valco Instrumentの六方マニュアルガスサンプリングバルブ(Valco #DC6WE)インターフェースを使用して、サンプルボトルから1mLのガスを抜き出すことによって、セラムボトルのヘッドスペースのサンプリングを行う。
【0066】
【表3】

【0067】
エチレンの作業用標準は、25mLの99.5%純度エチレンガス(Scotty Gas #25881−U)を、1リットルの空気を含むTedlar(登録商標)ガスサンプリングバッグの中で希釈して、調製する。エチレンの作業用標準の濃度は、17,922μL/L(PPM)である。
【0068】
較正標準は、250μLのガスタイトシリンジ(Hamilton Gastight(登録商標)#1725)を介して、50、100、150、200、および250μLの作業用標準を、Teflon(登録商標)表面を有するシリコーンセプタムを取り付けた250mLのセラムボトルの中に注入することによって、5段階の濃度レベルで調製する。ChemStationソフトウェアを使用し、線形回帰式を用いてエチレン応答因子を計算する。エチレン標準曲線の相関係数は0.999である。
【0069】
試験基材を250mLのセラムボトルの中に入れ、200μLのエチレンの作業用標準を注入すると、14.3ppmのエチレンヘッドスペース濃度が得られる。作業用標準を添加してから5分のところで、ボトルのヘッドスペースの最初の分析をおこなって、正確なエチレンのヘッドスペース濃度を得る。ちなみに、エチレンのチャレンジを添加してから最初の5分の間では、吸着はほとんど、またはまったく起きない。サンプルボトルは20℃で保存する。選択された時間間隔で、GC/FIDによってそのヘッドスペースを分析する。吸着は、5分のところで最初に測定したエチレン濃度と、後からのヘッドスペースサンプリング時間との差から求める。試験の精密度と正確度を並行してモニターして、QC参照標準の分析を行う。サンプルおよびQC参照サンプルを三重に分析して、平均値をとる。
【実施例】
【0070】
実施例1
2グラムのポリエチレンイミン(Aldrich Chemical #423475)の4%水溶液を、5グラムのアルファシクロデキストリン(Wacker Chemie W6)の上にコーティングし、再び5グラムのメチルベータシクロデキストリン(Wacker Chemie メチルベータCD、DS=1.2)を用いた。その水性コーティングしたW6およびメチルベータCDのシクロデキストリンを、105℃で乾燥させる。乾燥させてから、そのコーティングしたCDサンプルを乳鉢と乳棒によって摩砕して、微細な粉末とする。三級アミンのDowex樹脂(Dowex SD−2、Dowex M−77、およびMSA1)は、入手したままで試験した。1.0グラムのCD粉末またはDowex樹脂を、250mLセラムボトルの中にいれ、PTFE/シリコーンセプタムスクリューキャップを用いて密閉する。250mLのサンプルボトルに、200μLのエチレンガス(17,922ppm)を用いてチャレンジすると、14.3ppmのエチレンヘッドスペース濃度が得られる。それらのサンプルは20℃で保存したが、選択された時間間隔で、そのヘッドスペースをGC/FIDによって選択する。収着量は、最初に測定したエチレン濃度と、並行して分析した参照標準との差によって求める。
【0071】
【表4】

【0072】
実施例2
4グラムの、ポリエチレンイミン(Aldrich Chemical #423475、423475、および181978)の3種の水溶液を、2グラムのヒュームドシリカ(Cabot EH−5)の上にコーティングする。その水性コーティングしたヒュームドシリカを105℃で乾燥させる。乾燥させてから、そのコーティングしたシリカサンプルを乳鉢と乳棒によって摩砕して、微細な粉末とする。1.0グラムの粉末を、250mLセラムボトルの中にいれ、PTFE/シリコーンセプタムスクリューキャップを用いて密閉する。250mLのサンプルボトルに、200μLのエチレンガス(17,922ppm)を用いてチャレンジすると、14.3ppmのエチレンヘッドスペース濃度が得られる。それらのサンプルは20℃で保存したが、選択された時間間隔で、そのヘッドスペースをGC/FIDによって選択する。収着量は、最初に測定したエチレン濃度と、並行して分析した参照標準との差によって求める。
【0073】
【表5】

【0074】
実施例3
2.5グラムのポリエチレンイミン(Aldrich Chemical #423475、423475、および181978)の2、6、および12重量%の水溶液を、5グラムのメチルベータシクロデキストリン(Wacker Chemie メチルベータCD、DS=1.2)の上にコーティングする。その水性コーティングしたメチルベータCDのシクロデキストリンを、105℃で乾燥させる。乾燥させてから、そのコーティングしたCDサンプルを乳鉢と乳棒によって摩砕して、微細な粉末とする。1.0グラムの粉末を、250mLセラムボトルの中にいれ、PTFE/シリコーンセプタムスクリューキャップを用いて密閉する。250mLのサンプルボトルに、200μLのエチレンガス(17,922ppm)を用いてチャレンジすると、14.3ppmのエチレンヘッドスペース濃度が得られる。それらのサンプルは20℃で保存したが、選択された時間間隔で、そのヘッドスペースをGC/FIDによって選択する。収着量は、最初に測定したエチレン濃度と、並行して分析した参照標準との差によって求める。
【0075】
【表6】

【0076】
実施例3D、PEIコーティングしたシリカゲル(Aldrich #246751)、40〜200メッシュを、Davisil 643シリカゲル(Aldrich #236810)試験(入手したまま)と比較した。1グラムのシリカゲル(実施例3E)を、250mLセラムボトルの中にいれ、PTFE/シリコーンセプタムスクリューキャップを用いて密閉する。250mLのサンプルボトルに、200μLのエチレンガス(17,922ppm)を用いてチャレンジすると、14.3ppmのエチレンヘッドスペース濃度が得られる。それらのサンプルは20℃で保存したが、選択された時間間隔で、そのヘッドスペースをGC/FIDによって選択する。収着量は、最初に測定したエチレン濃度と、並行して分析した参照標準との差によって求める。
【0077】
【表7】

【0078】
実施例4
2.5グラムの、ポリエチレンイミン(Aldrich Chemical #408719、468533、および424560)の4%水溶液を、5グラムのメチルベータシクロデキストリン(Wacker Chemie メチルベータCD、DS=0.6および1.2)および5グラムのメチルガンマシクロデキストリン(Wacker W8M、DS=1.8)の上にコーティングする。その水性コーティングしたメチルベータCDのシクロデキストリンを、105℃で乾燥させる。乾燥させてから、そのコーティングしたCDサンプルを乳鉢と乳棒によって摩砕して、微細な粉末とする。1グラムの粉末を、250mLセラムボトルの中にいれ、PTFE/シリコーンセプタムスクリューキャップを用いて密閉する。250mLのサンプルボトルに、200μLのエチレンガス(17,922ppm)を用いてチャレンジすると、14.3ppmのエチレンヘッドスペース濃度が得られる。それらのサンプルは20℃で保存したが、選択された時間間隔で、そのヘッドスペースをGC/FIDによって選択する。収着量は、最初に測定したエチレン濃度と、並行して分析した参照標準との差によって求める。
【0079】
【表8】

【0080】
実施例5
98%メチルベータシクロデキストリンと2%ポリエチレンイミン(Aldrich Chemical #408700、408719、468533、424560、および423475)の水溶液を、予め秤量しておいた21.5cm×21.5cmのスパンボンド繊維シート(21gsmウェブ、15μm平均繊維直径)の上にコーティングする。その水溶液を用いて繊維シートをディップコーティングさせ、次いで、そのコーティングした繊維サンプルを24時間かけて風乾させてから、デシケーター中硫酸ナトリウム上に4時間置く。乾燥させた、コーティングした繊維サンプルを秤量して、コーティング重量を計算する。そのコーティングした繊維シートを、250mLセラムボトルの中にいれ、PTFE/シリコーンセプタムスクリューキャップを用いて密閉する。250mLのサンプルボトルに、200μLのエチレンガス(17,922ppm)を用いてチャレンジすると、14.3ppmのエチレンヘッドスペース濃度が得られる。それらのサンプルは20℃で保存したが、選択された時間間隔で、そのヘッドスペースをGC/FIDによって選択する。収着量は、最初に測定したエチレン濃度と、並行して分析した参照標準との差によって求める。
【0081】
【表9】

【0082】
実施例6
実施例6と同じ水溶液に0.01%のラウリル硫酸ナトリウムを加え、予め秤量しておいたスパンボンド繊維シートの上にディップコーティングさせる。乾燥させた、コーティングした繊維サンプルを秤量して、コーティング重量を計算する。実施例5と同じ方法で、そのコーティングした繊維シートを分析する。
【0083】
【表10】

【0084】
実施例7
メチルベータシクロデキストリン(Wacker メチルベータCD、DS=0.6)、ポリエチレンイミン(Aldrich Chemical #423475および181978)およびDavisil 643シリカゲル(Aldrich #236810)の水溶液を、予め秤量しておいた21.5cm×21.5cmのスパンボンド繊維シート(21gsmウェブ、15m繊維直径)の上にコーティングする。水溶液はいずれも、濡れ剤として0.05重量%のTergitol 15−S−9を含んでいた。その水溶液を用いて繊維シートをディップコーティングさせ、次いで、そのコーティングした繊維サンプルを24時間かけて風乾させてから、デシケーター中硫酸ナトリウム上に4時間置く。乾燥させた、コーティングした繊維サンプルを秤量して、コーティング重量を計算する。そのコーティングした繊維シートを、250mLセラムボトルの中にいれ、PTFE/シリコーンセプタムスクリューキャップを用いて密閉する。250mLのサンプルボトルに、200μLのエチレンガス(17,922ppm)を用いてチャレンジすると、14.3ppmのエチレンヘッドスペース濃度が得られる。それらのサンプルは20℃で保存したが、選択された時間間隔で、そのヘッドスペースをGC/FIDによって選択する。収着量は、最初に測定したエチレン濃度と、並行して分析した参照標準との差によって求める。試験サンプルは二重に分析し、平均収着値を報告。
【0085】
【表11】

【0086】
実施例8
メチルベータシクロデキストリン(Wacker メチルベータCD、DS=0.6)、ポリエチレンイミン(Aldrich Chemical #423475)およびDavisil 643シリカゲル(Aldrich #236810)およびヒュームドシリカ(Cabot EH−5)の水溶液を、予め秤量しておいた21.5cm×21.5cmのスパンボンド繊維シート(21gsmウェブ、15μm繊維直径)の上にコーティングする。水溶液はいずれも、濡れ剤として0.05重量%のTergitol 15−S−9を含んでいた。その水溶液を用いて繊維シートをディップコーティングさせ、次いで、そのコーティングした繊維サンプルを24時間かけて風乾させてから、デシケーター中硫酸ナトリウム上に4時間置く。乾燥させた、コーティングした繊維サンプルを秤量して、コーティング重量を計算する。そのコーティングした繊維シートを、250mLセラムボトルの中にいれ、PTFE/シリコーンセプタムスクリューキャップを用いて密閉する。250mLのサンプルボトルに、200μLのエチレンガス(17,922ppm)を用いてチャレンジすると、14.3ppmのエチレンヘッドスペース濃度が得られる。それらのサンプルは20℃で保存したが、選択された時間間隔で、そのヘッドスペースをGC/FIDによって選択する。収着量は、最初に測定したエチレン濃度と、並行して分析した参照標準との差によって求める。試験サンプルは二重に分析し、平均収着値を報告。
【0087】
【表12】

【0088】
比較例9
二つの市販のフィルム製品(Long Life(商標)Vegetable and Fruit Bags−−豪州国特許第647410号明細書および米国特許第5221571号明細書に従って製造され、Seven Seas Trading S.L.によって販売、ならびにDebbie Meyer(商標)Green GBags(登録商標)−−Debbie Meyer and Housewares America、Inc.によって販売)について、エチレン収着量の試験を行った。メーカーは、それらのバッグは、バッグ中に貯蔵した農産物によって発生したエチレンレベルを低減させるであろうと主張している。それらのバッグを21.5cm×21.5cmの小片に分割して、250mLセラムボトルの中に入れて、PTFE/シリコーンセプタムスクリューキャップを用いて密閉した。250mLのサンプルボトルに、200μLのエチレンガス(17,922ppm)を用いてチャレンジすると、14.3ppmのエチレンヘッドスペース濃度が得られる。それらのサンプルは20℃で保存したが、選択された時間間隔で、そのヘッドスペースをGC/FIDによって選択する。収着量は、最初に測定したエチレン濃度と、並行して分析した参照標準との差によって求める。
【0089】
【表13】

【0090】
上述の実施例と表のデータを用いて、本願出願人の発明の有用性を示す。比較例9においては、試験した市販のフィルムでは、有意なエチレンの吸収を得ることが不可能であることが示されている。これらの市販のフィルムは、エチレン吸収が極めてわずかであり、果物の過熟を防ぐという意味合いではこれらのフィルムは、有用な性質をほとんどまたはまったく有していない。実施例1〜8は、本発明の物質についての実質的な活性を表している。
【0091】
【表14】

【0092】
表のデータにおいて、W6、W7およびW8の命名法は、それぞれα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、およびλ−シクロデキストリンを指している。W7Mは、DSが1.3のメチル化β−シクロデキストリンを指している。
【0093】
実施例1、ポリエチレンイミンが、メチル化ベータ−シクロデキストリンの場合のエチレンの吸収を改良しているが、アルファシクロデキストリンを用いた場合と同等の高い性能は得られていない。マクロポーラスなスチレン−ジビニルベンゼン三級アミンおよび四級アミンDowex樹脂(Dowex SD−2、Dowex M−77、およびMSA1)は、14パーツ・パー・ミリオンのエチレンで顕著なエチレン吸収を示すが、30パーツ・パー・ミリオン以上のエチレンでは、ある程度のレベルの吸着が達成される。
【0094】
実施例2は、ポリエチレンイミンと高表面積のヒュームドシリカの組合せを使用した、エチレン吸収機能性を示している。
【0095】
実施例3は、各種のポリエチレンイミン物質が、メチル化ベータ−シクロデキストリンと協同して、エチレン吸着機能性を示している。PEIコーティングなしでは、シリカの上へのポリエチレンイミンコーティングの方が、シリカゲル(入手したままの)よりも良好なエチレン吸着性を有している。PEIコーティングしたメチル化ベータ−CDは、PEIコーティングしたシリカゲルよりも高いエチレン収着量を示す。
【0096】
実施例4は、異なったPEIで同一のPEIコーティング重量における、置換度が0.6、1.2および1.8(グルコースサブユニットあたりの置換基)の3種の異なったメチル化シクロデキストリンを示している。PEIコーティングしたメチル化ベータ−CDについてのエチレン吸着量の比較から、0.6の置換度のものが、置換度が1.2に等しいメチル化ベータ−CDよりも高いエチレン吸収性を有していることがわかる。置換度が1.8の、PEIコーティングしたメチル化ガンマ−CDでは、より置換度が低いメチル化ベータ−CDのいずれよりも、エチレン吸収性が低い結果となっている。
【0097】
実施例5および6では、PEIおよびメチル化ベータ−CDのスパンボンド繊維コーティング(実施例5)を、PEI、メチル化ベータ−CD、およびラウリル硫酸ナトリウムのスパンボンドコーティング(実施例6)と比較している。ラウリル硫酸ナトリウムをコーティング溶液に添加して、繊維コーティング溶液のスパンボンド繊維の上へのウェットアウト性を改良した。結局のところ、ラウリル硫酸ナトリウムはエチレン吸着性を改良せず、エチレン吸着性を低下させる可能性がある。
【0098】
実施例7では、メチル化ベータ−シクロデキストリン(DS=0.6)の中に、表面積を増大させるためのシリカゲル粒子およびPEIコーティング溶液を導入した効果を示している。繊維コーティング溶液にシリカゲル粒子を添加すると、本発明の組成物の表面積が増えるために、エチレン吸収性が実質的に改良される。さらに、その表面積が、メチル化ベータCDとPEIとの機能性組合せを用いて被覆される。この発見は驚くべきことであるが、その理由は、改質シクロデキストリンを使用すると低圧(10−4気圧)で極めて低沸点(−103.7℃)の有機ガスを実質的にヘッドスペースで削減し、またPEIの添加によって吸着能が改良されるからである。
【0099】
実施例8では、表面積を増大させるためにヒュームドシリカまたはシリカゲル粒子をW7M/PEIコーティングの中に加えた場合の効果を示している。さらに、イオン性界面活性剤を使用しても、繊維表面の濡れが改良される。シリカゲルおよびヒュームドシリカは、同等かつ受容可能なエチレン吸収性を示す。ノニオン性界面活性剤は、エチレン吸収性に関しては、なんら実質的な効果を有していないように見える。
【0100】
シリカ粒子の上へのシクロデキストリンの吸着の測定
Davisil 710シリカゲル(Aldrich#236756)と共に、メチルベータCD(Wacker W7M、DS=1.0)の水溶液を調製した。5.0グラムのメチルベータCD(DS=1.0)、5.5グラムのDavisil 710、および189.5グラムの脱イオン水を、市販のWaring Blender(Hamilton Beach/Protor−Silex.Inc.,Model 919)に加えた。Waring Blenderは、低速で、30秒間隔で操作した。それぞれの30秒間隔が終わるごとに、10mLのシリンジを使用して、ブレンダーのボウルから10mLのアリコートを捕集し、次いでそのアリコートを、47mmのナイロンフィルター(0.45μm細孔径、Osmonics 1213825)を通して濾過した。シリカゲルを除去した、透明な上澄みを捕集し、タール塗布したアルミニウム秤量皿の中に、0.01mgの単位まで計量する。その秤量皿を105℃のオーブンに入れ、恒量になるまで乾燥させる。30秒間隔ごとに、メチルベータCD残渣を計算する。
【0101】
【表15】

【0102】
Cab−O−Sil(登録商標)EH−5ヒュームドシリカ(Cabot Corp.)と共にメチルベータCD(Wacker W7M、DS=1.0)の水溶液を調製した。5.7グラムのメチルベータCD(DS=1.0)、5.5グラムのDavisil 710、および188.8グラムの脱イオン水を、市販のWaring Blender(Hamilton Beach/Protor−Silex.Inc.,Model919)に加えた。Waring Blenderは、低速で、30秒間隔で操作した。それぞれの30秒間隔が終わるごとに、10mLのシリンジを使用して、ブレンダーのボウルから10mLのアリコートを捕集し、次いでそのアリコートを、47mmのナイロンフィルター(0.45μm細孔径、Osmonics 1213825)を通して濾過した。ヒュームドシリカを除去した、透明な上澄みを捕集し、タール塗布したアルミニウム秤量皿の中に、0.01mgの単位まで計量する。その秤量皿を105℃のオーブンに入れ、恒量になるまで乾燥させる。30秒間隔ごとに、メチルベータCD残渣を計算する。
【0103】
【表16】

【0104】
これまでの記述によって、本発明の実施態様を開示している。本明細書および特許請求項において、本明細書に開示の実施態様を記載する際に採用された、組成物中の成分の量、濃度、容積、プロセス温度、プロセス時間、収率、流量、圧力、および同様の値、ならびにそれらの範囲を修飾している、「約(about)」という表現は、たとえば、化合物、組成物、濃縮物または使用配合物を作成するために使用される典型的な測定手順および取扱い手順において;それらの手順における不注意による誤りにおいて;その方法を実施するのに使用される出発原料または成分の製造法、メーカー、または純度における違いにおいて;ならびに同様のそれらに近い事情において、起こりうる数量における変動を指している。「約」という用語にはさらに、特定の初期濃度または混合を用いた配合物がエージングを受けたために変化した量や、特定の初期濃度または混合を用いた配合物を混合または加工処理したために変化した量もまた、包含されている。「約」という用語によって修飾されている場合には、本明細書に添付された特許請求項には、それらの量に等価なものが含まれる。「場合によっては(optional、またはoptionally)」という表現は、その後に記述されている事象または状況が、(必ずという訳ではないが)起きる可能性があるということを意味しており、また、その記述には、その事象または状況が起きる場合と、それが起きない場合とが含まれていることも意味している。たとえば、「A、場合によってはB」という表現は、Bが(必ずという訳ではないが)存在している可能性があるということを意味していて、その記述には、AがBを含んでいる状況と、AがBを含んでいない状況とが含まれる。「含む(includesまたはincluding)」および類似の用語は、「含むが、それらに限定される訳ではない」ということを意味している。本発明は、開示または引用された要素のいずれをも、適切に、「含む(comprise)」か、「〜からなる(consist of)」か、または「実質的に〜からなる(consist essentially of)」ことができる。したがって、本明細書において説明的に開示された本発明は、本明細書において具体的に開示されていない各種の要素の不存在下に、適切に実施することができる。単数が使用されていても、典型的には、複数も含まれており、そして、少なくとも複数を排除するものではない。
【0105】
本明細書、図面、実施例およびデータは、現在までに開発された本発明を詳しく説明したものである。しかしながら、本発明は、不織布、繊維、フィルム、シート、ボトル、キャップ、およびその他の実施態様の形態で、本発明の精神と意図された範囲から外れることなく実施することができる。したがって、本発明は、添付された請求項の中に存在する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
15パート・パー・ミリオン未満の蒸気相濃度にある、望ましくないかまたは目標とする物質を吸収することが可能な吸着媒であって、前記吸着媒が、少なくとも200m・gm−1の表面積を有する構造を含み、前記吸着媒が:
a.前記吸着媒上に、約0.1〜50重量%のシクロデキストリンの濃度での、置換されたシクロデキストリンまたはポリオレフィン−シクロデキストリングラフト化物質;
b.シクロデキストリン化合物に固有の表面電荷を抑制して、吸着性を最大にするための、有効量のポリエチレンイミン;
を含む、吸着媒。
【請求項2】
前記シクロデキストリンが、約0.30〜0.95の置換度を有する、置換されたシクロデキストリンである、請求項1に記載の吸着媒。
【請求項3】
前記置換されたシクロデキストリンが、シクロデキストリンC1〜5アルキルエーテルである、請求項2に記載の吸着媒。
【請求項4】
前記置換されたシクロデキストリンが、シクロデキストリンメチルエーテルである、請求項2に記載の吸着媒。
【請求項5】
前記メチルエーテル置換基が、前記シクロデキストリンの2ヒドロキシル位の上にある、請求項4に記載の吸着媒。
【請求項6】
前記ポリエチレンイミンが、800〜1,000,000の分子量を有する、請求項1に記載の吸着媒。
【請求項7】
前記ポリエチレンイミンが、置換されたポリエチレンイミンである、請求項1に記載の吸着媒。
【請求項8】
前記ポリエチレンイミン組成物が、エトキシル化ポリエチレンイミンを含む、請求項1に記載の吸着媒。
【請求項9】
前記吸着媒が、約200〜1000m・gm−1の範囲の表面積を有するシリカをさらに含む、請求項1に記載の吸着媒。
【請求項10】
前記シクロデキストリンの含量を基準にして、約0.5〜5重量%のポリエチレンイミンが存在している、請求項1に記載の吸着媒。
【請求項11】
前記吸着媒が、基材の上で使用される、請求項1に記載の吸着媒。
【請求項12】
前記基材が、繊維を含む、請求項11に記載の吸着媒。
【請求項13】
前記基材が、布地を含む、請求項11に記載の吸着媒。
【請求項14】
前記布地が、不織布を含む、請求項13に記載の吸着媒。
【請求項15】
前記基材が、約0.01〜10mmの厚みを有するウェブを含む、請求項11に記載の吸着媒。
【請求項16】
前記基材が、板紙ウェブを含む、請求項11に記載の吸着媒。
【請求項17】
前記基材が、ポリオレフィンフィルムを含む、請求項11に記載の吸着媒。
【請求項18】
望ましくないかまたは目標とする物質を含む蒸気相、および15パート・パー・ミリオン未満の濃度にある、望ましくないかまたは目標とする物質を吸着することが可能な吸着媒を含む封入された容積であって、前記吸着媒が、少なくとも200m・gm−1の表面積を有する基材、および以下のものを含むコーティング:
a.前記吸着媒の上に約0.5〜50重量%の前記シクロデキストリンを担持させた、シクロデキストリン化合物;
b.シクロデキストリン化合物に固有の表面電荷を抑制して、吸着性を得ることを最大にするための、有効量のポリエチレンイミン;
を含む、封入された容積。
【請求項19】
前記シクロデキストリンが、約0.30〜0.95の置換度を有する、置換されたシクロデキストリンである、請求項18に記載の封入された容積。
【請求項20】
前記置換されたシクロデキストリンが、シクロデキストリンC1〜5アルキルエーテルである、請求項19に記載の封入された容積。
【請求項21】
前記置換されたシクロデキストリンが、シクロデキストリンメチルエーテルである、請求項19に記載の封入された容積。
【請求項22】
前記メチルエーテル置換基が、前記シクロデキストリンの2ヒドロキシル位の上にある、請求項19に記載の封入された容積。
【請求項23】
前記ポリエチレンイミンが、800〜1,000,000の分子量を有する、請求項18に記載の封入された容積。
【請求項24】
前記ポリエチレンイミンが、置換されたポリエチレンイミンである、請求項23に記載の封入された容積。
【請求項25】
前記ポリエチレンイミン組成物が、エトキシル化ポリエチレンイミンを含む、請求項18に記載の封入された容積。
【請求項26】
前記封入された容積が、約200〜1000m・gm−1の範囲の表面積を有するシリカをさらに含む、請求項19に記載の封入された容積。
【請求項27】
前記シクロデキストリンの含量を基準にして、約0.5〜5重量%のポリエチレンイミンが存在している、請求項18に記載の封入された容積。
【請求項28】
前記封入された容積が、基材を含む、請求項18に記載の封入された容積。
【請求項29】
前記基材が、布地を含む、請求項18に記載の封入された容積。
【請求項30】
前記布地が、不織布を含む、請求項18に記載の封入された容積。
【請求項31】
前記基材が、約0.01〜10mmの厚みを有するウェブを含む、請求項18に記載の封入された容積。
【請求項32】
前記基材が、板紙ウェブを含む、請求項19に記載の封入された容積。
【請求項33】
前記基材が、ポリオレフィンフィルムを含む、請求項18に記載の封入された容積。
【請求項34】
収穫後の農産物および花卉のための容器の内部からエチレンを吸着し、そして前記収穫後の農産物および花卉の保存寿命を延長させる方法であって、前記方法が、収穫後の農産物および花卉をエチレン吸着性組成物と共に容器の中に置くことを含み、前記組成物が;
a.前記組成物上に、約0.1〜50重量%のシクロデキストリンの濃度での、置換されたシクロデキストリンまたはポリオレフィン−シクロデキストリングラフト化物質;
b.シクロデキストリン化合物に固有の表面電荷を抑制して、吸着性を得ることを最大にするための、有効量のポリエチレンイミン;
を含む、吸着の方法。
【請求項35】
前記シクロデキストリンが、約0.30〜0.95の置換度を有する、置換されたシクロデキストリンである、請求項34に記載の吸着の方法。
【請求項36】
前記置換されたシクロデキストリンが、シクロデキストリンC1〜5アルキルエーテルである、請求項35に記載の吸着の方法。
【請求項37】
前記置換されたシクロデキストリンが、シクロデキストリンメチルエーテルである、請求項35に記載の吸着の方法。
【請求項38】
前記メチルエーテル置換基が、前記シクロデキストリンの2ヒドロキシル位の上にある、請求項37に記載の吸着の方法。
【請求項39】
前記ポリエチレンイミンが、800〜1,000,000の分子量を有する、請求項34に記載の吸着の方法。
【請求項40】
前記ポリエチレンイミンが、置換されたポリエチレンイミンである、請求項39に記載の吸着の方法。
【請求項41】
前記ポリエチレンイミン組成物が、エトキシル化ポリエチレンイミンを含む、請求項39に記載の吸着の方法。
【請求項42】
前記封入された容積が、約200〜1000m・gm−1の範囲の表面積を有するシリカをさらに含む、請求項34に記載の吸着の方法。
【請求項43】
前記シクロデキストリンの含量を基準にして、約0.5〜5重量%のポリエチレンイミンが存在している、請求項34に記載の吸着の方法。
【請求項44】
前記封入された容積が、基材を含む、請求項36に記載の吸着の方法。
【請求項45】
前記基材が、布地を含む、請求項45に記載の吸着の方法。
【請求項46】
前記布地が、不織布を含む、請求項46に記載の吸着の方法。
【請求項47】
前記基材が、約0.01〜10mmの厚みを有するウェブを含む、請求項45に記載の吸着の方法。
【請求項48】
前記基材が、板紙ウェブを含む、請求項45に記載の吸着の方法。
【請求項49】
前記基材が、ポリオレフィンフィルムを含む、請求項45に記載の吸着の方法。
【請求項50】
15パート・パー・ミリオン未満の濃度にある、望ましくないかまたは目標とする物質を吸着することが可能な吸着媒を含むサッシェであって、前記吸着媒が、少なくとも200m・gm−1の表面積を有する基材、および、
a.前記吸着媒の上に約0.5〜50重量%の前記シクロデキストリンを担持させた、シクロデキストリン化合物;
b.シクロデキストリン化合物に固有の表面電荷を抑制して、吸着性を得ることを最大にするための、有効量のポリエチレンイミン;
を含む、吸収剤
を含む、サッシェ。
【請求項51】
前記シクロデキストリンが、約0.30〜0.95の置換度を有する、置換されたシクロデキストリンである、請求項51に記載のサッシェ。
【請求項52】
前記置換されたシクロデキストリンが、シクロデキストリンC1〜5アルキルエーテルである、請求項51に記載のサッシェ。
【請求項53】
前記置換されたシクロデキストリンが、シクロデキストリンメチルエーテルである、請求項53に記載のサッシェ。
【請求項54】
前記メチルエーテル置換基が、前記シクロデキストリンの2ヒドロキシル位の上にある、請求項54に記載のサッシェ。
【請求項55】
前記ポリエチレンイミンが、800〜1,000,000の分子量を有する、請求項51に記載のサッシェ。
【請求項56】
前記ポリエチレンイミンが、置換されたポリエチレンイミンである、請求項51に記載のサッシェ。
【請求項57】
前記ポリエチレンイミン組成物が、エトキシル化ポリエチレンイミンを含む、請求項51に記載のサッシェ。
【請求項58】
前記サッシェが、約200〜1000m・gm−1の範囲の表面積を有するシリカをさらに含む、請求項51に記載のサッシェ。
【請求項59】
前記シクロデキストリンの含量を基準にして、約0.5〜5重量%のポリエチレンイミンが存在している、請求項51に記載のサッシェ。
【請求項60】
前記吸着媒が、サッシェ基材を含む、請求項51に記載のサッシェ。
【請求項61】
前記サッシェが基材を含み、そして前記吸着媒を含む、請求項51に記載のサッシェ。
【請求項62】
前記基材が、布地を含む、請求項62に記載のサッシェ。
【請求項63】
前記布地が、不織布を含む、請求項63に記載のサッシェ。
【請求項64】
前記基材が、約0.01〜10mmの厚みを有するウェブを含む、請求項62に記載のサッシェ。
【請求項65】
前記基材が、板紙ウェブを含む、請求項62に記載のサッシェ。
【請求項66】
前記基材が、ポリオレフィンフィルムを含む、請求項62に記載のサッシェ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−506549(P2013−506549A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532294(P2012−532294)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/050813
【国際公開番号】WO2011/041479
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(509234032)セルレシン テクノロジーズ, エルエルシー (4)
【Fターム(参考)】