説明

吸込口体および電気掃除機

【課題】ケース体の幅寸法よりも狭い隙間に対して効果的に掃除できる床ブラシを提供する。
【解決手段】横長のケース体31の後面側に開口した後部開口と、上面側に開口した上部開口とのいずれか一方に選択的に接続管32を接続可能とする。後部開口と上部開口との他方をシャッタ33により閉塞する。通常の掃除の際には、接続管32を後部開口に接続しシャッタ33により上部開口を閉塞してケース体31の左右幅寸法L1を用い、狭い隙間の掃除の際には、接続管32を上部開口に接続しシャッタ33により後部開口を閉塞してケース体31の前後寸法L2を用いる。いずれの掃除の際でも、共通の下部吸込口47を介する共通の吸込風路のみから空気とともに塵埃を吸い込んで真空度を保ち、ケース体31の幅寸法よりも狭い隙間に対して効果的に掃除できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横長のケース体を有する吸込口体およびこれを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気掃除機は、電動送風機を収容した掃除機本体を備えている。この掃除機本体には、電動送風機の吸込側に連通して本体集塵室が区画されており、この本体集塵室は、掃除機本体に開口形成された本体吸込口を介して外部と連通可能となっている。そして、本体吸込口には、ホース体、延長管および吸込口体としての床ブラシが順次接続され、この床ブラシを被掃除面である床面上で走行させることにより、電動送風機の駆動で発生した負圧によって床面上の塵埃を吸い込み、本体集塵室に集塵するように構成されている。
【0003】
ところで、床ブラシは、左右幅方向に長い、すなわち横長で、かつ、扁平なケース体と、このケース体に回動可能に接続された接続管とを有しており、ケース体の床面に対向する下面には、ケース体の形状に沿って横長の吸込口である下部吸込口が開口形成されている。このため、床ブラシは、比較的広い部分の掃除は容易であるものの、床ブラシの横幅よりも狭い隙間などの掃除には適さないという問題がある。
【0004】
そこで、ケース体の前側に、下部吸込口と連続する前部吸込口を形成し、この前部吸込口を前カバーにより開閉可能として、通常の掃除の際にはケース体の下部吸込口から塵埃を吸い込み、隙間を掃除する際には、ケース体の前部吸込口を床面に向けるようにケース体を立たせてケース体の左右幅寸法よりも小さいケース体の厚み寸法を利用する構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−325782号公報(第7−9頁、図4−5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の床ブラシでは、隙間を掃除する際でも、ケース体の下部吸込口は依然として開口したままの状態であるため、前部吸込口からの吸込風路以外に、下部吸込口からの吸込風路が形成されることとなり、隙間を掃除する際の真空度の確保が容易でなく、塵埃を充分に吸い込むことができないという問題を有している。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、ケース体の幅寸法よりも狭い隙間に対して効果的に掃除できる吸込口体およびこれを備えた電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下面側に開口した吸込口に連通し少なくとも側面側と上面側とに開口した開口部を備えた横長のケース体と、開口部の側面側と上面側とのいずれか一方に選択的に接続可能な接続管と、開口部の側面側と上面側との他方を閉塞する閉塞部材とを具備したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、横長のケース体の少なくとも側面側と上面側とに開口した開口部に対して、側面側と上面側とのいずれか一方に選択的に接続管を接続可能とし、開口部の側面側と上面側との他方を閉塞部材により閉塞することにより、通常の掃除の際には、接続管を開口部の側面側に接続し閉塞部材により開口部の上面側を閉塞してケース体の幅寸法を用い、ケース体の幅寸法よりも狭い隙間を掃除する際には、接続管を開口部の上面側に接続し閉塞部材により開口部の側面側を閉塞してケース体の幅寸法よりも小さい前後寸法を用いて、通常の掃除の際でも、狭い隙間の掃除の際でも、共通の吸込口を介する共通の吸込風路のみから空気とともに塵埃を吸い込んで真空度を保ち、ケース体の幅寸法よりも狭い隙間に対して効果的に掃除できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施の形態の吸込口体の通常の掃除に用いる状態を前方から示す斜視図である。
【図2】同上吸込口体の通常の掃除に用いる状態を後方から示す斜視図である。
【図3】同上吸込口体の分解斜視図である。
【図4】同上吸込口体の接続管のケース体への固定部を拡大して示す斜視図である。
【図5】同上吸込口体の閉塞部材のケース体への固定部を拡大して示す斜視図である。
【図6】同上吸込口体の隙間の掃除に用いる状態を前方から示す斜視図である。
【図7】同上吸込口体の隙間の掃除に用いる状態を後方から示す斜視図である。
【図8】同上吸込口体を備えた電気掃除機を示す斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態の吸込口体の通常の掃除に用いる状態を後方から示す斜視図である。
【図10】同上吸込口体の隙間の掃除に用いる状態を後方から示す斜視図である。
【図11】同上吸込口体の分解斜視図である。
【図12】同上吸込口体のケース体の要部を拡大して示す斜視図である。
【図13】同上接続管と閉塞部材とを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の第1の実施の形態の構成を図1ないし図8を参照して説明する。
【0012】
図8において、11はいわゆるキャニスタ型の電気掃除機を示し、この電気掃除機11は、管部12と、この管部12が着脱可能に接続される掃除機本体13とを有している。
【0013】
管部12は、掃除機本体13に接続される直管状の接続管部15と、この接続管部15の先端側に連通する可撓性を有するホース体16と、このホース体16の先端側に設けられた手元操作部17と、この手元操作部17の先端側に着脱可能に接続される延長管18と、この延長管18の先端側に着脱可能に接続される吸込口体としての床ブラシ19とを備えている。
【0014】
手元操作部17には、把持部21がホース体16側へと突出し、この把持部21には、操作用の設定ボタン22が複数設けられている。
【0015】
また、掃除機本体13は、電動送風機27を収容する図示しない電動送風機室と、この電動送風機室に連通する図示しない本体集塵室とを内部に備え、両側に設けられた走行輪28(一方のみ図示)によって被掃除面である床面上を走行可能となっている。さらに、本体集塵室には、管部12の基端側である接続管部15が接続可能となっている。そして、本体集塵室には、集塵袋である紙パック、あるいは集塵装置である集塵カップなどの図示しない集塵部が着脱可能に配置されている。
【0016】
電動送風機27は、掃除機本体13内に収容された図示しない二次電池、あるいは、図示しない電源コードを介して接続された商用交流電源などから給電され、掃除機本体13内の制御手段である図示しない制御回路により、設定ボタン22で設定された所定の動作モードで動作されて管部12を介して空気とともに塵埃を吸い込むものである。
【0017】
また、床ブラシ19は、図1に示すように、例えば合成樹脂などにより形成されたケース体31と、このケース体31に着脱可能で延長管18(図8)に接続される接続管32と、この接続管32とともにケース体31に着脱可能な閉塞部材としてのシャッタ33とを備えている。
【0018】
ケース体31は、上側が開口した下ケース41と、この下ケース41の上側を覆う上ケース42と、これら下ケース41と上ケース42との前部に亘って形成された前部吸込口43に取り付けられた前カバー44とを備え、内部に吸込空間45が区画形成されている。また、このケース体31は、左右幅寸法L1が前後寸法L2よりも大きい、すなわち横長に形成されている。
【0019】
下ケース41は、平面視で四角形状の平板状に形成されており、前側に、床面に対向して開口する吸込口としての下部吸込口47が形成されている。この下部吸込口47は、ケース体31の左右幅方向に沿って長手状、すなわち横長に形成されており、前部吸込口43と連続している。なお、下部吸込口47には、回転清掃体を回転可能に配置してもよい。
【0020】
上ケース42は、図1および図2に示すように、左右幅方向に沿って平坦状の前面部51と、この前面部51の左右幅方向両側部に前後方向に沿って連続する平坦状の両側面部52,52と、左右幅方向に沿って平坦状の側面である後面部53と、これら前面部51、両側面部52,52および後面部53の上部に連続する平坦状の上面部54とを備え、下側が開口した箱状に形成されている。また、上ケース42の後面部53の左右幅方向の中心域には、前方へと窪んだ四角形状の側面側凹部である後側凹部56が形成され、上面部54の左右幅方向の中心域には、下方へと窪んだ四角形状の上面側凹部である上側凹部57が形成されている。
【0021】
前面部51には、前部吸込口43の上側が切り欠き形成されている。
【0022】
後面部53には、図2および図3に示すように、後側凹部56に位置して、側部開口としての後部開口61が丸孔状に開口形成され、この後部開口61の両側に、接続管32あるいはシャッタ33を固定するための(側部)固定手段としての後部固定部62,62が形成され、これら後部開口61および後部固定部62,62の外側を覆って、四角形枠状、すなわち額縁状の取付枠部63がリブ状に形成されている。
【0023】
後部開口61は、ケース体31内の吸込空間45を介して下部吸込口47(図1)と連通している。
【0024】
各後部固定部62は、後方へとリブ状に突出しており、接続管32側あるいはシャッタ33側を係止するための係止孔62aがそれぞれ形成されている。
【0025】
取付枠部63は、接続管32を後部開口61に接続する際、あるいはシャッタ33により後部開口61を閉塞する際の、接続管32あるいはシャッタ33の取り付け位置を規定するものである。
【0026】
一方、上面部54には、上側凹部57に位置して、上部開口67が丸孔状に開口形成され、この上部開口67の両側でかつ上側凹部57内に、接続管32あるいはシャッタ33を固定するための(上部)固定手段としての上部固定部68,68が形成されている。
【0027】
上部開口67は、後部開口61と等しい径寸法を有しており、ケース体31内の吸込空間45を介して下部吸込口47(図1)と連通している。また、これら後部開口61と上部開口67とにより、開口部69が構成されている。
【0028】
各上部固定部68は、上方へとリブ状に突出しており、接続管32側あるいはシャッタ33側を係止するための係止孔68aがそれぞれ形成されている。
【0029】
上側凹部57は、取付枠部63の内縁部と略等しい四角形状に区画されている。
【0030】
また、図1に示す前部吸込口43は、図示しない壁際の床面上の塵埃を吸い込むためのもので、ケース体31の左右幅方向に沿って長手状に形成されている。
【0031】
前カバー44は、上端部が前部吸込口43の上端部にて上ケース42に軸支されており、下端側が前後方向へと回動可能となっている。そして、この前カバー44は、下端側がケース体31の前面部51よりも前方へと突出しており、この下端側が図示しない壁などに当接することでこの下端側が後方へと回動し、ケース体31の前側および下側の真空度を高めるように構成されている。
【0032】
また、接続管32は、取付部材71と、この取付部材71に周方向に回転可能に接続された略円筒状の回転部72と、この回転部72に一端部が回動可能に軸支され他端部が延長管18(図8)の先端側に接続される長尺状の接続管本体73とをそれぞれ別体で備えた回転ユニットである。
【0033】
取付部材71は、ケース体31の取付枠部63あるいは上側凹部57に嵌合する四角形板状に形成されており、中央部に、開口61,67と略等しい径寸法を有し回転部72が連通接続される丸孔状の図示しない接続開口が形成されている。また、この取付部材71の接続開口の周縁部には、後部開口61あるいは上部開口67に挿入嵌合される円筒リブ状の接続部77が一体形成されている。さらに、この取付部材71の両側には、接続管32をケース体31に固定するための接続管係止手段としての接続管係止部78,78が設けられている。
【0034】
ここで、各接続管係止部78は、図4に示すように、取付部材71から一体にリブ状に突出するリブ部81と、このリブ部81に回動可能に軸支された係止体82と、この係止体82を付勢する付勢体としてのコイルばね83とを有している。
【0035】
リブ部81は、取付部材71の側方に向けて開口する平面視コ字状のリブであり、係止体82を軸支するための丸孔状の軸支孔81a,81aが形成されている。
【0036】
係止体82は、取付部材71の厚み方向に長手状に形成されており、長手方向の両端間に位置する回転軸82aが軸支孔81a,81aに挿入されて軸支され、長手方向の一端側に、係止孔62a,68a(図3)に係止される図示しない爪部が形成され、長手方向の他端側がコイルばね83により爪部を突出させる方向へと付勢されている。
【0037】
また、図2および図3に示すように、回転部72は、接続管本体73側の端部に、切欠部72aが切り欠き形成されている。この切欠部72aは、接続管本体73が回転部72に対して軸方向に交差する方向へと回動する際に接続管本体73との干渉を避けるための逃げ部である。さらに、回転部72は、ケース体31の前後寸法L2よりも最大径寸法が小さく設定されている。
【0038】
また、接続管本体73は、回転部72側に、球面状に拡径された摺動部である拡径部73aを有しているとともに、この拡径部73aが回転部72内に挿入され、図示しない回動軸により回動可能に軸支されている。
【0039】
拡径部73aは、回動軸を中心として回転部72の軸方向に交差する方向へと接続管本体73を回動させた際に回転部72の内部に対して気密に摺動する部分である。
【0040】
したがって、接続管32は、左右方向に回転可能で、かつ、上下方向に傾動可能な傾動管となっている。
【0041】
また、シャッタ33は、ケース体31の取付枠部63あるいは上側凹部57に嵌合する四角形板状に形成されており、このシャッタ33の中央部には、後部開口61あるいは上部開口67に挿入嵌合される円筒リブ状の閉塞部86が一体形成されている。さらに、このシャッタ33の両側には、シャッタ33をケース体31に固定するための閉塞部材係止手段としてのシャッタ係止部87,87が設けられている。
【0042】
ここで、各シャッタ係止部87は、各接続管係止部78と同様の構成を有している。すなわち、図5に示すように、各シャッタ係止部87は、シャッタ33に一体に形成されたリブ部91と、このリブ部91に回動可能に軸支された係止体92と、この係止体92を付勢する付勢体としてのコイルばね93とを有している。
【0043】
リブ部91は、シャッタ33の側方に向けて開口しており、係止体92を軸支するための丸孔状の軸支孔91a,91aが形成されている。
【0044】
係止体92は、シャッタ33の厚み方向に長手状に形成されており、長手方向の両端間に位置する回転軸92aが軸支孔91a,91aに挿入されて軸支され、長手方向の一端側に、係止孔62a,68a(図3)に係止される図示しない爪部が形成され、長手方向の他端側がコイルばね93により爪部を突出させる方向へと付勢されている。
【0045】
次に、上記第1の実施の形態の動作を説明する。
【0046】
掃除の際には、図8に示す掃除機本体13の本体集塵室に集塵部を取り付け、電源コードをコンセントに接続するなど、電動送風機27に給電可能な状態とし、作業者が設定ボタン22を操作することで、掃除機本体13内の制御回路が電動送風機27を駆動させる。
【0047】
通常の広い領域を掃除する際には、図1および図2に示すように、接続管32をケース体31の後部開口61に接続し、シャッタ33により上部開口67を閉塞する。このとき、接続管32では、図3に示すように、取付部材71の接続部77を後部開口61へと挿入し、各接続管係止部78をケース体31の各後部固定部62とそれぞれ位置合わせしながら接続管32をケース体31の後側凹部56へと押し込むことで、各後部固定部62に当接した各接続管係止部78の係止体82の爪部側が、係止体82が回転軸82a(図4)を中心として回動してコイルばね83(図4)の付勢に抗して外方へと押し開かれた後、各後部固定部62の係止孔62aに爪部が挿入嵌合される位置でコイルばね83(図4)の付勢によって復帰する。この結果、接続管32が後部開口61に連通接続される。この状態で、作業者は、接続管32を回転部72から周方向に回動させ、切欠部72aをケース体31の上方に向けた状態とする。また、シャッタ33では、閉塞部86を上部開口67へと挿入し、各シャッタ係止部87をケース体31の各上部固定部68とそれぞれ位置合わせしながらシャッタ33をケース体31の上側凹部57へと押し込むことで、各上部固定部68に当接した各シャッタ係止部87の係止体92の爪部側が、係止体92が回転軸92a(図5)を中心として回動してコイルばね93(図5)の付勢に抗して外方へと押し開かれた後、各上部固定部68の係止孔68aに爪部が挿入嵌合される位置でコイルばね93(図5)の付勢によって復帰する。この結果、シャッタ33が上部開口67を閉塞し、床ブラシ19が図1および図2に示す状態となる。
【0048】
そして、作業者は、床面上に床ブラシ19を載置し、把持部21(図8)を把持して床ブラシ19を走行させる。
【0049】
一方、床ブラシ19のケース体31の左右幅寸法L1よりも狭い幅の壁、あるいは家具の間などの隙間S(図6)を掃除する際には、図6および図7に示すように、接続管32をケース体31の上部開口67に接続し、シャッタ33により後部開口61を閉塞する。このとき、接続管32では、図3に示す取付部材71の接続部77を上部開口67へと挿入し、各接続管係止部78をケース体31の各上部固定部68とそれぞれ位置合わせしながら接続管32をケース体31の上側凹部57へと押し込むことで、各上部固定部68に当接した各接続管係止部78の係止体82の爪部側が、係止体82が回転軸82a(図4)を中心として回動してコイルばね83(図4)の付勢に抗して外方へと押し開かれた後、各上部固定部68の係止孔68aに爪部が挿入嵌合される位置でコイルばね83(図4)の付勢によって復帰する。この結果、接続管32が上部開口67に連通接続される。この状態で、作業者は、接続管32を回転部72から周方向に回動させ、切欠部72aをケース体31の幅方向に向けた状態として、接続管本体73をケース体31の側方へと回動させる。また、シャッタ33では、閉塞部86を後部開口61へと挿入し、各シャッタ係止部87をケース体31の各後部固定部62とそれぞれ位置合わせしながらシャッタ33をケース体31の後側凹部56へと押し込むことで、各後部固定部62に当接した各シャッタ係止部87の係止体92の爪部側が、係止体92が回転軸92a(図5)を中心として回動してコイルばね93(図5)の付勢に抗して外方へと押し開かれた後、各後部固定部62の係止孔62aに爪部が挿入嵌合される位置でコイルばね93(図5)の付勢によって復帰する。この結果、シャッタ33が後部開口61を閉塞し、床ブラシ19が図6および図7に示す状態となる。すなわち、接続管32全体がケース体31の上方に位置し、接続管32がケース体31の前後方向に突出せず、ケース体31の左右幅方向に沿った状態となる。
【0050】
そして、作業者は、床面上に床ブラシ19を載置し、把持部21(図8)を把持して床ブラシ19を隙間Sに挿入して走行させる。
【0051】
なお、接続管32およびシャッタ33をケース体31から取り外す際には、係止体82,92の爪部側と反対側の端部をコイルばね83,93の付勢に抗して押圧することにより、図3に示すように、各係止体82,92の爪部が係止孔62a,68aから外れて係止が解除される。
【0052】
さらに、作業者は、床面の種類などに応じて、設定ボタン22(図8)を操作して回転清掃体を適宜回転させる。
【0053】
そして、電動送風機27(図8)の負圧の作用によって図1および図6に示す下部吸込口47(および前部吸込口43)から空気とともに塵埃を吸い込む。下部吸込口47(および前部吸込口43)から吸い込んだ空気は吸込風となり、塵埃とともに吸込空間45、接続管32、延長管18(図8)、ホース体16(図8)および接続管部15(図8)を介して掃除機本体13(図8)の本体集塵室へと吸い込まれ、この本体集塵室内の集塵部によって塵埃が捕集される。そして、この塵埃が捕集された吸込風は、電動送風機室内の電動送風機27(図8)の吸込側へと吸い込まれ、この電動送風機27(図8)内を冷却しつつ通過して排気風となり、掃除機本体13(図8)の排気孔からこの掃除機本体13(図8)の外部へと排気される。
【0054】
掃除が終了すると、作業者は設定ボタン22(図8)を適宜操作して電動送風機27(図8)の駆動を停止させる。
【0055】
上述したように、上記第1の実施の形態では、横長のケース体31の後側に開口した開口部69の後部開口61と上側に開口した開口部69の上部開口67とのいずれか一方に選択的に接続管32を接続可能とし、これら後部開口61と上部開口67との他方をシャッタ33により閉塞する構成とした。このため、通常の掃除の際には、図1および図2に示すように、接続管32を後部開口61に接続してシャッタ33により上部開口67を閉塞し、ケース体31の左右幅寸法L1を用いて広い面積を掃除することができ、図6および図7に示すように、ケース体31の左右幅寸法L1(図1)よりも狭い隙間Sを掃除する際には、接続管32を上部開口67に接続してシャッタ33により後部開口61を閉塞し、ケース体31の左右幅寸法L1(図1)よりも小さい前後寸法L2(図1)を用いて隙間Sを掃除することができる。したがって、通常の掃除の際でも、狭い隙間Sの掃除の際でも、共通の下部吸込口47を介する共通の吸込風路のみから空気とともに塵埃を吸い込んで真空度を保ち、ケース体31の左右幅寸法L1(図1)よりも狭い隙間Sに対して効果的に掃除できる。
【0056】
すなわち、図1および図2に示す通常の掃除の際でも、図6および図7に示す隙間Sの掃除の際でも、電動送風機27(図8)の負圧が作用するのは下部吸込口47(および前部吸込口43)のみであり、他の吸込風路が何ら形成されることがないので、下部吸込口47から塵埃を効率よく吸い込むことができる。
【0057】
また、図6および図7に示す隙間Sの掃除の際には、接続管32の全体がケース体31の上方に位置するので、最小でケース体31の前後寸法L2(図1)までの隙間Sの掃除にまで床ブラシ19を対応させることができる。
【0058】
次に、第2の実施の形態を図9ないし図13を参照して説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0059】
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態の接続管32の取付部材71およびシャッタ33に代えて、閉塞部材としてのシャッタ101を接続管32と一体的に形成した接続体102を用いるものである。
【0060】
図13に示すように、シャッタ101は、接続管32の回転部72が周方向に回転可能に接続される第1本体としての取付部である接続板部104と、この接続板部104に対して側面視でL字状(屈曲状)に連続した第2本体としての閉塞部である閉塞板部105とを一体的に備えている。
【0061】
接続板部104は、四角形板状に形成されており、回転部72と連通する丸孔状の接続開口107が中心部に開口形成され、この接続開口107の周縁部に対して、回転部72と反対側に向けて、略円筒リブ状の接続部108が突出して形成されている。そして、この接続部108が図11および図12に示す開口61,67のいずれかに選択的に挿入されることにより、開口部69と接続管32とが接続開口107を介して連通するように構成されている。また、接続板部104の閉塞板部105との連続側と反対側の端部には、(一方の)位置決め手段としての第1位置決め凸部111,111が左右幅方向の中心線に対して互いに非対称な位置にそれぞれ突出して形成されている。さらに、接続板部104の左右両側部には、接続体102の係止固定用の(一方の)固定手段としての第1固定部112(一方のみ図示)がそれぞれ接続管32側へと突出して形成されている。そして、各第1固定部112には、係止孔112aがそれぞれ形成されている。
【0062】
また、閉塞板部105は、四角形板状に形成されており、図11および図12に示す開口61,67のいずれかを選択的に閉塞可能に構成されている。また、図13に示すように、閉塞板部105の接続板部104との連続側と反対側の端部には、(他方の)位置決め手段としての第2位置決め凸部115,115が左右幅方向の中心線に対して互いに非対称な位置にそれぞれ突出して形成されている。さらに、閉塞板部105の左右両側部には、接続体102の係止固定用の(他方の)固定手段としての第2固定部116がそれぞれ接続管32側へと突出して形成されている。そして、各第2固定部116は、各第1固定部112と同様の形状を有しており、係止孔116aがそれぞれ形成されている。
【0063】
なお、接続板部104と閉塞板部105とは、互いに略直交する方向に沿って形成されているが、互いになす角度は多少変形することが可能である。また、接続板部104と閉塞板部105とは、互いにヒンジによって軸支してもよい。
【0064】
一方、図9ないし図12に示すように、ケース体31には、後側凹部56から上面部54へと連続状に、接続体102の接続用の接続凹部121が形成されている。この接続凹部121には、開口61,67(開口部69)がそれぞれ位置している。また、接続凹部121は、後側凹部56側の下縁部に、図9に示す状態のときに第1位置決め凸部111,111(図13)が嵌合して接続体102を接続凹部121に対して位置決めするための第1位置決め凹部124,124と、図10に示す状態のときに第2位置決め凸部115,115(図13)が嵌合して接続体102を接続凹部121に対して位置決めするための第2位置決め凹部125,125とが、それぞれ左右幅方向の中心線に対して互いに非対称な位置にそれぞれ形成されている。さらに、接続凹部121の後側凹部56側の左右両側部の外部には、接続体102をケース体31に固定するための(一方の)固定係止手段としての後部係止部127,127が互いに対向して配置されている。
【0065】
ここで、これら後部係止部127は、図12に示すように、後側凹部56内に位置しており、ケース体31に一体に形成されたリブ部131と、このリブ部131に回動可能に軸支された係止体132と、この係止体132を付勢する付勢体としてのコイルばね133とを有している。
【0066】
リブ部131は、接続凹部121に向けて開口しており、係止体132を軸支するための丸孔状の軸支孔131a,131aが形成されている。
【0067】
係止体132は、長手方向の両端間に位置する回転軸132aが軸支孔131a,131aに挿入されて軸支され、長手方向の一端側に、係止孔112a,116a(図11)に係止される爪部132bが接続凹部121側へと突出して形成され、長手方向の他端側がコイルばね133により爪部132bを接続凹部121に対して離間させる方向へと付勢されている。
【0068】
また、接続凹部121は、上面部54側の前縁部に、図9に示す状態のときに第2位置決め凸部115,115(図13)が嵌合して接続体102を接続凹部121に対して位置決めするための第3位置決め凹部135,135と、図10に示す状態のときに第1位置決め凸部111,111(図13)が嵌合して接続体102を接続凹部121に対して位置決めするための第4位置決め凹部136,136とが、それぞれ左右幅方向の中心線に対して互いに非対称な位置にそれぞれ形成されている。さらに、接続凹部121の上面部54側の左右両側部の外部には、接続体102をケース体31に固定するための(他方の)固定係止手段としての上部係止部137,137が互いに対向して配置されている。
【0069】
これら上部係止部137は、後部係止部127と同様の構成を有している。すなわち、図12に示すように、上部係止部137は、ケース体31に一体に形成されたリブ部141と、このリブ部141に回動可能に軸支された係止体142と、この係止体142を付勢する付勢体としてのコイルばね143(図12)とを有している。
【0070】
リブ部141は、接続凹部121に向けて開口しており、係止体142を軸支するための丸孔状の軸支孔141a,141aが形成されている。
【0071】
係止体142は、長手方向の両端間に位置する回転軸142aが軸支孔141a,141aに挿入されて軸支され、長手方向の一端側に、係止孔112a,116a(図11)に係止される爪部142bが接続凹部121側へと突出して形成され、長手方向の他端側がコイルばね143により爪部142bを接続凹部121に対して離間させる方向へと付勢されている。
【0072】
次に、上記第2の実施の形態の動作を説明する。
【0073】
通常の広い領域を掃除する際には、図9に示すように、接続管32がケース体31の後部開口61(図11)に連通するように接続体102を接続凹部121に接続し、シャッタ101の閉塞板部105により上部開口67(図11)を閉塞する。接続体102の取り付けの際には、図12および図13に示すように、接続体102をケース体31の後方から接続凹部121へと押し込むように挿入すると、接続板部104の両側部が、各後部係止部127の係止体132の爪部132bにそれぞれ当接し、この爪部132b側が接続凹部121側へと接近するように各係止体132が回転軸132aを中心としてコイルばね133の付勢に沿って回動した後、各第1固定部112の係止孔112aに爪部132bが挿入嵌合される位置でコイルばね133の収縮によって復帰し、接続板部104を接続凹部121に押さえつける。この結果、接続管32が後部開口61に連通接続される。続いて、接続体102の閉塞板部105を、各上部係止部137の上方から接続凹部121へと押し込むように挿入すると、閉塞板部105の両側部が、各上部係止部137の係止体142の爪部142bにそれぞれ当接し、この爪部142b側が接続凹部121側へと接近するように各係止体142が回転軸142aを中心としてコイルばね143の付勢に沿って回動した後、各第2固定部116の係止孔116aに爪部142bが挿入嵌合される位置でコイルばね143の収縮によって復帰し、閉塞板部105を接続凹部121に押さえつける。この状態で、第1位置決め凸部111,111が、第1位置決め凹部124,124に嵌合し、各第2位置決め凸部115,115が第3位置決め凹部135,135に嵌合する。この結果、シャッタ101が上部開口67を閉塞し、床ブラシ19が図9に示す状態となる。
【0074】
この状態で、作業者は、接続管32を回転部72から周方向に回動させ、切欠部72aをケース体31の上方に向けた状態とする。
【0075】
一方、床ブラシ19のケース体31の左右幅寸法L1よりも狭い幅の壁、あるいは家具の間などの図10に示す隙間Sを掃除する際には、接続管32がケース体31の上部開口67(図11)に連通するように接続体102を接続凹部121に接続し、シャッタ101の閉塞板部105により後部開口61(図11)を閉塞する。接続体102の取り付けの際には、図12および図13に示すように、接続体102をケース体31の上方から接続凹部121へと押し込むように挿入すると、接続板部104の両側部が、各上部係止部137の係止体142の爪部142bにそれぞれ当接し、この爪部142b側が接続凹部121側へと接近するように各係止体142が回転軸142aを中心としてコイルばね143の付勢に沿って回動した後、各第1固定部112の係止孔112aに爪部142bが挿入嵌合される位置でコイルばね143の収縮によって復帰し、接続板部104を接続凹部121に押さえつける。この結果、接続管32が上部開口67に連通接続される。続いて、接続体102の閉塞板部105を、各後部係止部127の後方から接続凹部121へと押し込むように挿入すると、閉塞板部105の両側部が、各後部係止部127の係止体132の爪部132bにそれぞれ当接し、この爪部132b側が接続凹部121側へと接近するように各係止体132が回転軸132aを中心としてコイルばね133の付勢に沿って回動した後、各第2固定部116の係止孔116aに爪部132bが挿入嵌合される位置でコイルばね133の収縮によって復帰し、閉塞板部105を接続凹部121に押さえつける。この状態で、第1位置決め凸部111,111が、第4位置決め凹部136,136に嵌合し、各第2位置決め凸部115,115が第2位置決め凹部125,125に嵌合する。この結果、シャッタ101が後部開口61を閉塞し、床ブラシ19が図10に示す状態となる。この状態で、作業者は、図10の想像線に示すように、接続管32を回転部72から周方向に回動させ、切欠部72aをケース体31の幅方向に向けた状態として、接続管本体73をケース体31の側方へと回動させる。すなわち、接続管32全体がケース体31の上方に位置し、接続管32がケース体31の前後方向に突出せず、ケース体31の左右幅方向に沿った状態となる。
【0076】
なお、図11に示すように、接続体102をケース体31から取り外す際には、図12に示す係止体132,132(係止体142,142)の爪部132b,132b(爪部142b,142b)側と反対側の端部をコイルばね133,133(コイルばね143,143)の付勢に沿って押圧、すなわち、係止体132,132(係止体142,142)の端部を互いに接近させる方向へと押圧することにより、各係止体132,132(係止体142,142)の爪部132b,132b(爪部142b,142b)が図13に示す係止孔116a,116a(係止孔112a,112a)から外れて係止が解除される。
【0077】
このように、横長のケース体31の後側に開口した開口部69の後部開口61と上側に開口した開口部69の上部開口67とのいずれか一方に選択的に接続管32を接続可能とし、これら後部開口61と上部開口67との他方をシャッタ101により閉塞するなど、上記第1の実施の形態と同様の構成を有することにより、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0078】
また、接続管32とシャッタ101とを一体として接続体102を構成することにより、この接続体102の取り付けによって接続管32の接続とシャッタ101による開口61,67の閉塞とを同時に行うことができ、接続管32とシャッタ101とを別体とする場合よりも取り付けの作業性が良好になるとともに、部品点数が少なくなるので、部品コストを抑制できる。
【0079】
なお、上記第2の実施の形態において、開口部69は、ケース体31の少なくとも側面側(後側)と上面側とのそれぞれに開口していれば、側面側と上面側との間で連続していてもよい。
【0080】
また、例えば位置決め凹部125,135を孔状に形成して第2位置決め凸部115を係止可能とすることにより、閉塞板部105側をこの係止のみで係止してもよい。この場合、各第2固定部116は不要となる。
【0081】
さらに、例えばケース体31の内部に閉塞部材を開口61,67間の位置に回動可能に取り付け、接続管32を後部開口61に挿入接続した際にはこの接続管32により閉塞部材を上方へと回動させるように押動して閉塞部材により上部開口67を閉塞させ、接続管32を上部開口67に挿入接続した際にはこの接続管32により閉塞部材を後方へと回動させるように押動して閉塞部材により後部開口61を閉塞させる構成などとすることも可能である。
【0082】
そして、上記各実施の形態において、回転清掃体、前部吸込口43および前カバー44などは、必須の構成ではない。さらに、回転清掃体は、例えばエアタービンあるいはモータなどの駆動手段により回転させる構成だけでなく、床面との接触抵抗により回転するものでもよい。
【0083】
また、電気掃除機11の構成は、上記構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0084】
11 電気掃除機
13 掃除機本体
19 吸込口体としての床ブラシ
27 電動送風機
31 ケース体
32 接続管
33,101 閉塞部材としてのシャッタ
47 吸込口としての下部吸込口
69 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面側に開口した吸込口、および、この吸込口に連通し少なくとも側面側と上面側とに開口した開口部を備えた横長のケース体と、
前記開口部の側面側と上面側とのいずれか一方に選択的に接続可能な接続管と、
前記開口部の側面側と上面側との他方を閉塞する閉塞部材と
を具備したことを特徴とした吸込口体。
【請求項2】
電動送風機を収容した掃除機本体と、
前記電動送風機の吸込側に連通可能な請求項1記載の吸込口体と
を具備したことを特徴とした電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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