説明

吸込口体

【課題】回転清掃体の組み付け性を確保し且つ回転清掃体の軸受部への糸クズの入り込みを防止することができる吸込口体と電気掃除機を提供する。
【解決手段】底面に吸込開口21が形成された吸込室22を有する吸込口本体23と、吸込室22に回転可能に配置された回転清掃体60と、吸込室22の両側に設けられた軸受室30とを備え、吸込室22の一方の区画壁40に挿入開口41が形成され、この挿入開口41から一方の軸受室30内へ回転清掃体60の軸部61の一端部を挿入して回転自在に支持させ、軸部61の他端部を他方の軸受室の上壁部と底壁部とによって回転自在に挟み込んで回転清掃体60を組み付ける吸込口体であって、軸部61の一端部に複数のフランジF3,F4を形成し、これらフランジF3,F4の周端面にそれぞれ対向し且つその周端面との間に所定の間隙を形成する複数の環状リブR1,R2を一方の軸受室30に設け、複数のフランジF3,F4のうち、フランジF3よりもフランジF4の径を小さくした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、吸込室に回転可能に配置された回転清掃体を備えた吸込口体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、底面吸込開口が形成された吸込室を有する吸込口本体と、吸込室に回転可能に配置された回転清掃体とを備えた吸込口体が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
かかる吸込口体は、吸込室の両側に設けた軸受室を有しており、回転清掃体の軸部の両端部にはその軸部を回転自在に保持する保持部材が装着されている。この軸受部は軸受室に支持され、これにより回転清掃体が吸込室内で回転自在となっている。軸受室は仕切壁によって吸込室と区画されている。
【特許文献1】特開平10−179474号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような吸込口体にあっては、仕切壁に回転清掃体の軸部を通す孔が形成されているので、この孔から糸クズなどが入り込み、この糸クズなどが保持部材内に入って回転清掃体をロックしてしまう虞があった。
【0005】
そこで、回転清掃体の軸部の両端部にフランジを形成し、このフランジによって糸クズなどが保持部材内に入り込まないようにしたものがある。
【0006】
しかしながら、回転清掃体の軸部の両端部にフランジを設けていることにより、その両端部を仕切壁の孔に通すことができず、このため、その両端部を吸込口本体の上ケースと底部板とで挟み込んで固定しなければならない。
【0007】
このため、回転清掃体の組み付けが面倒であるという問題があった。
【0008】
そこで、吸込室と一方の軸受室との間の側壁に孔を設け、回転清掃体の軸部の一端部の軸受部をその孔から軸受室へ挿入して取り付け、軸部の他端部の軸受部を挟み込んで組み付けるようにしたものが考えられている。
【0009】
しかし、その側壁の孔を介して回転清掃体の軸受部へ糸クズなどが入り込み易くなってしまうという問題が発生する。
【0010】
この発明の目的は、回転清掃体の組み付け性を確保することができるとともに、回転清掃体の軸受部への糸クズの入り込みを防止することができる吸込口体と、この吸込口体を備えた電気掃除機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、底面に吸込開口が形成された吸込室を有する吸込口本体と、前記吸込室に回転可能に配置された回転清掃体と、前記吸込室の両側に設けられた軸受室とを備え、前記吸込室の一方の側壁に挿入開口が形成され、この挿入開口から一方の軸受室内へ前記回転清掃体の軸部の一端部を挿入して回転自在に支持させ、前記軸部の他端部を他方の軸受室の上壁部と底壁部とによって回転自在に挟み込んで前記回転清掃体を組み付ける吸込口体であって、
前記軸部の一端部に複数のフランジを形成し、
この複数のフランジのうち、端部側にあるフランジの径をこのフランジよりも内側にあるフランジの径より小さくし、
これらフランジの周端面にそれぞれ対向し且つその周端面との間に所定の間隙を形成する複数の環状リブを前記一方の軸受室に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、回転清掃体の組み付け性を確保することができるとともに、回転清掃体の軸受部への糸クズの入り込みを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明に係る吸込口体とこの吸込口体を備えた電気掃除機の実施の形態である実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0014】
図1に示す電気掃除機10は、掃除機本体11と、この掃除機本体11に着脱自在に接続されたホース12と、このホース12の他端の手元操作管13に着脱自在に接続された延長管14と、この延長管14の先端部に着脱自在に接続された吸込口体20等とを備えている。掃除機本体11内には図示しない電動送風機が設けられており、この電動送風機により吸込口体20から塵埃を吸引するようになっている。
【0015】
吸込口体20は、図2および図3に示すように、底面に吸込開口21を形成した吸込室22を有する吸込口本体23と、吸込室22内に回転自在に配置された回転清掃体60と、吸込口本体23の後部に矢印P1(上下)方向に回動可能に設けた連結管24等とを備えている。連結管24には、延長管14の先端部が着脱自在に接続される。また、連結管24は、回転管25を介して軸線J回りに回動可能となっている。
【0016】
回転清掃体60は、図4に示すように軸部61と、この軸部61に取り付けられるとともに螺旋状に形成された複数のブレード62とを有している。
【0017】
軸部61の一端部(図4において左端部)には、キャップ63と軸受部64とが一体的に装着されており、軸受部64は軸部61の一端を回転自在に保持するものである。
【0018】
キャップ63は、径の大きさの異なる複数の筒部と、この筒部に一体形成された4つのフランジF1〜F4と有しており、軸部61の端部側となる最外側にあるフランジF4の径が最小となっており、最内側にあるフランジF1の径が最大となっている。すなわち、フランジF1〜F4の径の大小関係は、F1>F2=F3>F4となっている。また、フランジF1はブレード62の端部に当接している。
【0019】
軸部61の他端部(図4において右端部)には、キャップ65と軸受部66とが一体的に装着されており、軸受部66は軸部61の他端を回転自在に保持するものである。
【0020】
キャップ65は、径の大きさの異なる複数の筒部と、この筒部に一体形成された3つのフランジF5〜F7および従動プーリ65Aとを有している。
【0021】
吸込口本体23は、図3に示すように、吸込室22の両側に形成した軸受室30,31と、吸込室22の前面に設けた前カバー32とを有している。吸込口本体23内には図示しないモータが内蔵されており、このモータの駆動軸に設けた駆動プーリ(図示せず)と回転清掃体60の従動プーリ65Aとの間にタイミングベルトBが巻回され、モータによって回転清掃体60が回転するようになっている。
【0022】
また、図3において、26は被清掃面を検知する検知ローラ、27はローラである。
【0023】
軸受室30と吸込室22とは、図5および図6に示すように区画壁(側壁)40によって区画されており、区画壁40には挿入開口41が形成されている。挿入開口41の下部は開放されている。
【0024】
軸受室30には、図5に示すように、3つの円弧状のリブ(半環状リブ)R1a〜R3aと、回転清掃体60の軸受部64(図4参照)を支持する支持部42が形成されている。リブR1a〜R3aの高さはR1a<R2a<R3aに設定されている。
【0025】
リブR3aおよび支持部42は、吸込口本体23を構成する下ケース23Aに一体形成された底壁部43(図6参照)の内側に一体に形成されている。
【0026】
支持部42は、相対向した一対の挟持壁部42Aと、一対の挟持壁部42A間に形成された下当接部42Bとから構成されている。
【0027】
そして、リブR1aとリブR2aとの間が凹部H1aとなっており、リブR2aとリブR3aとの間が凹部H2aとなっており、リブR3aと下当接部42Bとの間が凹部H3aとなっている。
【0028】
同様に、吸込口本体23の上ケース23D(図1参照)の下面には、図7に示すように、3つの円弧状のリブ(半環状リブ)R1b〜R3bと、回転清掃体60の軸受部64(図4参照)を支持する支持部45が形成されている。支持部45は、支持部42(図5参照)と同様に相対向した一対の挟持壁部45Aと、一対の挟持壁部45A間に形成された上当接部45Bとから構成されている。
【0029】
そして、リブR1bとリブR2bとの間が凹部H1bとなっており、リブR2bとリブR3bとの間が凹部H2bとなっており、リブR3bと上当接部45Bとの間が凹部H3bとなっている。
【0030】
また、下ケース23AのリブR1a〜R3aと上ケース23DのリブR1b〜R3bとで3つの環状リブR1〜R3が形成されている。また、リブR1〜R3の内径は内側(図5において右側)のリブほど大きくなっている。この環状リブR1,R2は、回転清掃体60を組み付けた場合に回転清掃体60のフランジF3,F4に対向するように設定されている(図7参照)。
【0031】
軸受室31は、図8に示すように区画壁50によって吸込室22から区画されており、区画壁50には半円形状の切欠50Aが形成されている。また、軸受室31にはリブ52と、回転清掃体60の軸受部66を支持する支持部53とが形成されている。リブ52には半円形状の切欠52Aが形成されている。区画壁50やリブ52や支持部53は吸込口本体23の上ケース(上壁部)23D(図1参照)の下面に一体に形成されている。
【0032】
そして、区画壁50は回転清掃体60のフランジF5とフランジF6との間に配置され、リブ52は回転清掃体60のフランジF6とフランジF7との間に配置される。
【0033】
軸受室31の底部には、図示しない底壁板(底壁部)がネジ止めされるようになっており、この底壁板には、上記と同様に区画壁とリブと支持部とが形成されている。この底壁板を軸受室31の底部にネジ止めすることにより、上ケース23Dと底壁板とで回転清掃体60の軸受部66を上下から挟み込んで固定するものである。
【0034】
また、フランジF5〜F7と区画壁50およびリブ52とが交互に配置されることにより、糸クズなどが回転清掃体60の軸受部66へ進入してしまうことが防止される。
【0035】
次に、回転清掃体60の組み付け方について説明する。
【0036】
先ず、図4に示す回転清掃体60の軸受部64およびフランジF3,F4を吸込室22(図3参照)から図5に示す区画壁40の開口41内に挿入して、その軸受部64を軸受室30の支持部42の一対の挟持壁部42A,45A間と、下当接部42Bと上当接部45Bとの間(図7参照)に挿入させる。この挿入により、回転清掃体60の軸受部64は支持部42に取り付けられ、回転清掃体60の軸部61はその支持部42により回転自在に支持されることになる。
【0037】
また、回転清掃体60の軸受部64が軸受室30の支持部42に取り付けられると、図7に示すように、回転清掃体60のフランジF1は区画壁40の挿入開口41内に配置され、回転清掃体60のフランジF3,F4は軸受室30のリブR1,R2に対向する。
【0038】
回転清掃体60の軸受部64およびフランジF3,F4の挿入は、フランジF3,F4の径がF3>F4に設定され、環状リブR1〜R3の内径がR1>R2>R3に設定されていることにより、その挿入はし易いものとなる。
【0039】
次に、図8に示すように、回転清掃体60の従動プーリ65AにタイミングベルトBを巻回するとともに回転清掃体60の軸受部66を軸受室31の支持部53に取り付けさせ、図示しない底壁板を軸受室31の底部にネジ止めする。これにより、回転清掃体60の軸受部66が吸込口本体23の上ケース23Dと底壁板とにより挟持され、回転清掃体60の組み付けは完了することになる。
【0040】
このように、回転清掃体60の一方の軸受部64を区画壁40の開口41内に挿入し、他方の軸受部66を軸受室31の支持部53に取り付け、底壁板をネジ止めするだけであるから、その回転清掃体60の組み付けは簡単に行うことができる。
【0041】
また、図7に示すように、軸受室30のリブR2aの高さはリブR1aの高さより高く設定され、すなわち、環状リブR2の内径が環状リブR1の内径より小さく設定され且つフランジF3の径がフランジF2の径より大きく設定されているので、回転清掃体60が回転しているとき、回転清掃体60のフランジF3とリブR1aとの間に入り込んでリブR1aを乗り越えた糸クズなどは、回転清掃体60のフランジF4とリブR2aとの間に入り込みにくいものとなる。
【0042】
さらに、回転清掃体60のフランジF4とリブR2aとの間に入り込んでリブR2aを乗り越えた糸クズ等は、リブR3aがリブR2aより高く設定されていることにより、リブR3を乗り越えにくいものとなる。さらに、その糸クズがリブR3を乗り越えた場合、リブR3と下当接部42Bとの間に凹部H3aが形成されていることにより、その糸クズは回転清掃体60の軸受部64内に入り込みにくいものとなる。
【0043】
これらにより、糸クズが回転清掃体60の軸受部64内に入り込んでしまうことを確実に防止することができることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る電機掃除機の外観を示した斜視図である。
【図2】図1に示す電気掃除機の吸込口体を示した側面図である。
【図3】図2に示す吸込口体の底面を示した底面図である。
【図4】図3に示す吸込口体の回転清掃体を示した正面図である。
【図5】図3に示す吸込口体の軸受室を示した部分拡大図である
【図6】吸込口体の底面の一部を示した拡大斜視図である。
【図7】吸込口体の一部を断面にした部分拡大断面図である。
【図8】吸込口体の底面の一部を示した部分拡大図である。
【符号の説明】
【0045】
20 吸込口体
21 吸込開口
22 吸込室
23 吸込口本体
30 軸受室
40 区画壁(側壁)
41 挿入開口
60 回転清掃体
R1 環状リブ
R2 環状リブ
F3 フランジ
F4 フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面に吸込開口が形成された吸込室を有する吸込口本体と、前記吸込室に回転可能に配置された回転清掃体と、前記吸込室の両側に設けられた軸受室とを備え、前記吸込室の一方の側壁に挿入開口が形成され、この挿入開口から一方の軸受室内へ前記回転清掃体の軸部の一端部を挿入して回転自在に支持させ、前記軸部の他端部を他方の軸受室の上壁部と底壁部とによって回転自在に挟み込んで前記回転清掃体を組み付ける吸込口体であって、
前記軸部の一端部に複数のフランジを形成し、
この複数のフランジのうち、端部側にあるフランジの径をこのフランジよりも内側にあるフランジの径より小さくし、
これらフランジの周端面にそれぞれ対向し且つその周端面との間に所定の間隙を形成する複数の環状リブを前記一方の軸受室に設けたことを特徴とする吸込口体。
【請求項2】
請求項1に記載の吸込口体を備えたことを特徴とする電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−200308(P2008−200308A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−40276(P2007−40276)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】