説明

吹出しノズル

【課題】ガスの吹出し口において吹出されたガスの流速の均一性を向上することのできる吹出しノズルを提供する。
【解決手段】
吹出しノズル10は、3つのチャンバC1,C2,C3と、チャンバ間を連結する連結流路と、上流端チャンバC1にガスを供給する供給流路12と、下流端チャンバC3からガスを出す吹出し流路とを備え、紙の幅方向に沿って吹出し流路からガスを吹き出す。吹出し流路及び連結流路は、幅方向に広がる板状の管である。また、上流端チャンバC1及び中間チャンバC2は、幅方向に沿って延びる筒状の外周壁を有するとともに、該外周壁には、ガスを導入する導入口I1,I2と幅方向に広がる導出口D1,D2とが形成されている。導出口D1,D2は、外周壁の内周面に沿って旋回するガスの旋回流SwF2,SwF3の旋回方向とは反対方向となるように周壁に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シート状に形成された対象物の表面に向けて不活性ガス等のガスを吹出す吹出しノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特許文献1に記載のように、コーティング剤に紫外線や電子線を照射する装置に設けられた吹出しノズルが知られている。吹出しノズルは、紙やフィルム等に塗布されたコーティング剤の硬化に際し、コーティング剤に向けて窒素ガス等の不活性ガスを吹出す。これにより、コーティング剤の周囲に存在する酸素が不活性ガスに置換されるため、ラジカル重合反応であるコーティング剤の硬化反応が酸素によって阻害されるのを防止する。この不活性ガスは高価なため、より少ない量で効率よく酸素を置換することが、また、コーティング品質の向上に対応するためコーティング剤をより均一に硬化させることが求められている。これらの要求に対応するため、コーティング剤表面に、より均一な速度で不活性ガスを吹き付けることができる吹出しノズルが開発されてきた。図12は、このような吹出しノズルの斜視構造を示す斜視図であり、図13は、同吹出しノズルの側面構造を示す側面図である。
【0003】
特許文献1に記載の吹出しノズルには、図12に示されるように、上流端チャンバ101、第1スリット102、下流端チャンバ103、及び第2スリット104が直列に接続されている。上流端チャンバ101が有する側面のうちで対向する一対の側面には、それぞれ供給流路100Iが設けられている。これら二つの供給流路100Iから不活性ガスが供給されると、その不活性ガスは、上流端チャンバ101、第1スリット102、及び下流端チャンバ103を順に通過して第2スリット104に到達する。そして第2スリット104に到達した不活性ガスは、第2スリット104に形成された吹出し口100Sから紙Pの頂面Paに向けて吹出される。
【0004】
上述した吹出し口100Sは、通常、コーティング剤の塗布された紙Pの幅方向Dwと該吹出し口100Sの延びる方向とが互いに平行になるように、紙Pの上方に配置される。そして不活性ガスを吹出す吹出し口100Sが、幅方向Dwと直交する走査方向Dscに沿って紙Pに対して相対的に移動する。この際、吹出しノズル100から吹出される不活性ガスの速度によってコーティング剤における硬化の度合いが変わる。そこで、硬化の度合いにばらつきが生じることを抑えるため、上述した吹出しノズル100では、不活性ガスの流速を上記幅方向Dwにおいて均一にすることが求められている。
【0005】
こうした要求に応じるために、上流端チャンバ101及び下流端チャンバ103は、それぞれ紙Pの幅方向Dwに延びる直方体形状に形成されている。また、図13に示されるように、上流端チャンバ101と下流端チャンバ103との間には、走査方向Dscにおける幅が上流端チャンバ101よりも大幅に小さい第1スリット102が接続されている。さらに、下流端チャンバ103の下流側にも、走査方向Dscにおける幅が下流端チャンバ103よりも大幅に小さい第2スリット104が接続されている。そして、これら第1スリット102と第2スリット104とが、紙Pの頂面Paと直交する平面Pi上に並ぶように配置されている。
【0006】
上述した構成によれば、まず、互いに対向する2つの供給流路100Iから幅方向Dwに向けて不活性ガスが供給される。上流端チャンバ101に導入された窒素ガスは第1スリット102を通り、下流端チャンバ103へ導入され、最終的に第2スリット104から吹出される。上流端チャンバは、下流端チャンバの圧力分布を緩和する効果があり、吹
出し口100Sにおける幅方向Dwの流速が均一化されやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2002−524239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した吹出しノズル100によれば、上流端チャンバ101の形状や下流端チャンバ103の形状が幅方向Dwに延びる直方体形状で、下流方向のスリットより幅方向Dwへ移動する流体抵抗が小さいため、吹出される不活性ガスの流速はこれらのチャンバ内で確かに幅方向Dwに均一化されやすい。しかしながら、上述したように、第1スリット102と第2スリット104とが同一の平面Pi上に並ぶ構成では、第1スリット102を流れる不活性ガスがその流れの方向を保ちつつ第2スリット104まで至りやすくもある。その結果、第1スリット102における流速のばらつきが第2スリット104における流速のばらつきに大きな影響を及ぼすことになるため、不活性ガスの流速を幅方向Dwにおいて均一にするうえで、依然として改善の余地を残すものとなっている。
【0009】
なお、このような流速の均一化に対する要請は、上述のような紫外線の照射装置に設けられた吹出しノズルに限らず、例えば、シート状に形成された対象物の表面に付着した水分を乾燥させる、あるいは吹き飛ばすための空気等を吹出すノズル等、他の用途に用いられる吹出しノズルにも共通するものである。
【0010】
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ガスの吹出し口において吹出されたガスの流速の均一性を向上することのできる吹出しノズルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、この発明は、複数のチャンバと、前記チャンバ間を連結する連結流路と、前記複数のチャンバにおける上流端のチャンバにガスを供給する供給流路と、前記複数のチャンバにおける下流端のチャンバからガスを吹出す吹出し流路とを備え、シート状対象物における幅方向に沿って該シート状対象物に前記吹出し流路からガスを吹出す吹出しノズルであって、前記吹出し流路及び前記連結流路は、該流路の断面が前記幅方向に延びる板状の管であり、前記複数のチャンバの少なくとも1つは、前記幅方向に延びる筒状の外周壁を有し、該外周壁には、該チャンバ内にガスを導入する導入孔と、該流路の断面が前記幅方向に延びる導出孔とが形成され、前記導出孔は、前記外周壁の内周面に沿って旋回するガスの旋回方向とは反対方向に前記外周壁に形成される。
【0012】
この発明では、吹出しノズルを構成するチャンバの少なくとも一つで、該チャンバ内に導入されたガスが該チャンバの内周面に沿った旋回流を形成することになる。そのうえ、旋回流が形成されるチャンバでは、ガスの旋回方向とは反対方向に、該ガスが導出されることになる。そのため、該チャンバの内周面に沿って旋回するガスが導出孔から導出され難くなる。その結果、導入孔から導入されたガスは、旋回方向とは異なる方向、ひいてはシート状対象物の幅方向に拡散しやすくなる。それゆえに、吹出し流路の出口におけるガス流速の均一性を高めることができる。
【0013】
また、この発明は、前記複数のチャンバの少なくとも1つでは、前記幅方向に延びる4つの板部材により前記外周壁が構成され、前記4つの板部材には、前記導入孔が形成された導入板と、前記導入板を挟んで対向する第1の対向板と第2の対向板と、前記第1の対向板と前記第2の対向板とを連結して前記導入板と対向する連結板とが含まれ、前記導入
孔は、前記導入板における前記第1の対向板側に形成され、前記導出孔は、前記第2の対向板における前記導入板側に形成されることが好ましい。
【0014】
この発明では、吹出しノズルを構成するチャンバの少なくとも一つが、導入板と該導入板を挟んで対向する一対の対向板とから構成される。そしてガスを導入する導入孔が、導入板における第1の対向板側に形成されている。またガスを導出する導出孔が、第2の対向板における導入板側に形成されている。このような構成によれば、導入孔から導入されたガスは、例えば、第1の対向板の内表面を導入孔側から連結板側へ、次に連結板の内表面を第2の対向板側へ、更に第2の対向板の内表面を導入板側へ流れる。そして導入板の内表面に到達したガスは、導入板の内表面を第2の対向板側から第1の対向板側へ流れる。これに対して、第2の対向板における導入板側に形成された導出孔においては、上述した流れと反対の方向、すなわち第1の対向板側から第2の対向板側へガスが流れる。その結果、該チャンバ内で旋回するガスの流れと、導出孔に沿ったガスの流れとが確実に反対の方向となる。それゆえに、該チャンバ内のガスを、その旋回方向とは反対の方向に向けて導出することができる。これにより、シート状対象物の幅方向におけるガス流速が、より均一化されるようになる。
【0015】
また、この発明は、前記吹出し流路と前記連結流路とが互いに対向する板状の管であることが好ましい。
上述したように、吹出し流路と連結流路とは、それぞれ幅方向に広がる板状の管である。このような構成では、連結流路の流路長や吹出し流路の流路長が大きくなる程、シート状対象物の幅方向におけるガス流速の均一性が高められる。一方、連結流路と吹出し流路とが同一の平面上に並ぶ場合、連結流路の流路長や吹出し流路の流路長が大きくなれば、該平面に沿って吹出しノズルが大型化することになる。
【0016】
この点、この発明では、連結流路と吹出し流路とが互いに対向するように形成されている。そのため、連結流路及び吹出し流路が同一平面上に並ぶ構成と比較して、吹出しノズルの大型化を抑えることができる。
【0017】
また、この発明は、前記複数のチャンバが、前記供給流路から前記シート状対象物に向けて一列に配列され、前記下流端のチャンバが、前記上流端のチャンバの前記シート状対象物側に配置され、前記上流端のチャンバと前記下流端のチャンバとの間の中間のチャンバが、前記下流端のチャンバの前記シート状対象物側に配置され、前記上流端のチャンバと前記下流端のチャンバとを結ぶガスの経路が前記中間のチャンバで折り返されることが好ましい。
【0018】
この発明では、供給流路からシート対象物に向けて、上流端のチャンバ、下流端のチャンバ、中間のチャンバの順に、各チャンバが一列に配置されて、上流端のチャンバと下流端のチャンバとを結ぶガスの経路が中間のチャンバで折り返される。吹出しノズルの占有する体積が同じという前提では、上述のように経路が折り返されることによって、直線状の経路よりも経路長が長くなる。そのため、シート状対象物の幅方向におけるガス流速が、より均一化されるようになる。
【0019】
さらに、この発明において、前記複数のチャンバの各々は、前記幅方向に延びる直方体形状に形成され、前記上流端のチャンバでは、上流正面板、上流背面板、上流頂面板、及び上流底面板により前記外周壁が構成され、前記上流頂面板には、該上流端のチャンバにおける前記導入孔が形成され、前記上流背面板には、該上流端のチャンバにおける前記導出孔が形成され、該チャンバにおける前記導入孔が、前記上流頂面板の前記上流正面板側に形成され、該チャンバにおける前記導出孔が、前記上流背面板の前記上流頂面板側に形成され、前記中間のチャンバでは、中間正面板、中間背面板、中間頂面板、及び中間底面
板により前記外周壁が構成され、前記中間背面板には、該中間のチャンバにおける前記導入孔が形成され、前記中間頂面板には、該中間のチャンバにおける前記導出孔が形成され、該チャンバにおける前記導入孔が、前記中間背面板の前記中間底面板側に形成され、該チャンバにおける前記導出孔が、前記中間頂面板の前記中間背面板側に形成され、前記上流端のチャンバと前記中間のチャンバとを連結する前記連結流路は、前記上流背面板及び前記中間背面板に対する背面側に形成され、前記下流端のチャンバでは、下流正面板、下流背面板、下流頂面板、及び下流底面板により前記外周壁が構成され、前記下流底面板には、前記中間のチャンバにおける前記導出孔と対向するように、該下流端のチャンバにおける前記導入孔が形成され、前記下流正面板には、該下流端のチャンバにおける前記導出孔が形成される構成が好ましい。
【0020】
この発明によれば、上流端のチャンバ及び中間のチャンバにおいて、ガスの旋回方向とは反対方向に導出孔が延設される。そのため、上流端のチャンバ及び中間のチャンバにおいて、該チャンバ内のガスを、シート状対象物の幅方向へ拡散させられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(a)本発明に係る吹出しノズルの一実施形態の分解斜視構造を示す図、(b)吹出しノズルの斜視構造を示す図。
【図2】(a)吹出しノズル中央部の側断面構造を示す図、(b)(c)吹出しノズルの部分断面構造を示す図。
【図3】吹出しノズルの構造と吹出しノズル内のガス流とを模式的に示す図。
【図4】吹出しノズルの構造と各部位の寸法とを模式的に示す図。
【図5】従来の吹出しノズルの構造と寸法とを示す図。
【図6】従来の吹出しノズル内のガス流を模式的に示す図。
【図7】試験例の吹出しノズルの構造を模式的に示す図。
【図8】試験例の吹出しノズルの構造を模式的に示す図。
【図9】試験例の吹出しノズルの構造を模式的に示す図。
【図10】変形例の吹出しノズルの構造を模式的に示す図。
【図11】変形例の吹出しノズルの構造を模式的に示す図。
【図12】従来の吹出しノズルの斜視構造を示す図。
【図13】従来の吹出しノズルの側面構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の吹出しノズルを具現化した一実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。図1(a)(b)には吹出しノズルの斜視構造が示されている。また、図2(a)(b)(c)には吹出しノズルの断面構造が示されている。
【0023】
まず、吹出しノズル10の全体構成について、図1を参照して説明する。図1に示されるように、吹出しノズル10が有する矩形平板状の筐体頂面板11には、円筒状の供給流路12が、筐体頂面板11の頂面11aにおける中心に立設されている。以下、筐体頂面板11の頂面11aにおける長軸方向をDexとし、該頂面11aにおける短軸方向をDshとする。
【0024】
筐体頂面板11の底面11bには、筐体頂面板11における長軸方向Dexの全体にわたり、互いに対向する矩形平板状の一対の筐体正面板13及び筐体背面板14が接合されている。また筐体頂面板11の左右両端面には、筐体頂面板11における短軸方向Dshの全体にわたり、互いに対向する矩形平板状の一対の筐体左側面板15及び筐体右側面板16が接合されている。そして筐体頂面板11、筐体正面板13、筐体背面板14、筐体左側面板15、及び筐体右側面板16によって囲まれる空間には、長軸方向Dexの全体にわたり、該空間を区画する第1区画部材17と第2区画部材18とが収容されている。
なお、第1区画部材17は筐体正面板13、筐体左側面板15、及び筐体右側面板16に固定されている。また第2区画部材18は、筐体背面板14、筐体左側面板15、及び筐体右側面板16に固定されている。そして筐体正面板13における下端面と第2区画部材18の下端面とによって、長軸方向Dexに沿って延びる吹出し口10Sが形成されている。
【0025】
ちなみに、吹出しノズル10の使用時には、吹出し口10Sの延びる方向、すなわち長軸方向Dexが、シート状対象物である例えばコーティング剤が塗布された紙Pの幅方向Dwと互いに平行になるように配置される。そして吹出しノズル10は、長軸方向Dexと幅方向Dwとが互いに平行な状態を維持して、紙Pの幅方向Dwに沿って吹出し口10Sからガスを吹き出しつつ、幅方向Dwに垂直な走査方向Dsc(短軸方向Dsh)に走査される。
【0026】
次に、吹出しノズル10の内部構造について、図2を参照して説明する。上述した第1区画部材17は、長軸方向Dexに対して垂直な断面の形状が長軸方向Dexの全体にわたり連続するかたちに形成されている。また第2区画部材18も同じく、長軸方向Dexに対して垂直な断面の形状が長軸方向Dexの全体にわたり連続するかたちに形成されている。
【0027】
図2(a)(b)に示されるように、第1区画部材17は、筐体背面板14と平行な平板状の背面区画壁17aを有している。この背面区画壁17aには、短軸方向Dshにおける幅が相対的に小さい幅W1を有した第1背面区画壁17bと、短軸方向Dshにおける幅が相対的に大きい幅W2を有した共通背面区画壁17cとが形成されている。このように構成された背面区画壁17aにおける左右両端面は、それぞれ筐体左側面板15と筐体右側面板16とに接合されている。この際、背面区画壁17aと筐体頂面板11との間には隙間が形成され、かつ、背面区画壁17aと筐体背面板14との間にも隙間が形成されるように、背面区画壁17aは固定されている。なお、背面区画壁17aと筐体頂面板11との間隔CR1は、例えば背面区画壁17aと筐体背面板14との間隔CR2と等しく、具体例としては1mmである。
【0028】
また第1区画部材17は、第1背面区画壁17bと共通背面区画壁17cとの境界に、筐体正面板13に向けて突出する平板状の第1共通チャンバ壁17dを有している。第1共通チャンバ壁17dにおける突出端面17eは、筐体正面板13に接合されている。また第1共通チャンバ壁17dにおける左右両端面は、それぞれ筐体左側面板15及び筐体右側面板16に接合されている。
【0029】
図2(a)(c)に示されるように、第2区画部材18は、筐体正面板13と平行な平板状の共通正面区画壁18aを有している。共通正面区画壁18aにおける左右両端面は、それぞれ筐体左側面板15と筐体右側面板16とに接合されている。この際、共通正面区画壁18aと筐体正面板13との間には隙間が形成され、かつ、共通正面区画壁18aと上記第1共通チャンバ壁17dとの間にも隙間が形成されるように、共通正面区画壁18aは固定されている。なお、共通正面区画壁18aと筐体正面板13との間隔CR3は、例えば2mmであり、共通正面区画壁18aと第1共通チャンバ壁17dとの間隔CR4は、例えば1mmである。
【0030】
また第2区画部材18は、筐体背面板14に向けて突出する平板状の底面区画壁18bと、同じく筐体背面板14に向けて突出する平板状の第2共通チャンバ壁18cとを有している。底面区画壁18bにおける短軸方向Dshの幅W4は、底面区画壁18bにおける突出端面18dが筐体背面板14に接合されるように設定されている。また底面区画壁18bにおける厚みは、共通背面区画壁17cの底面と底面区画壁18bとの間に隙間が
形成されるように設定されている。また第2共通チャンバ壁18cにおける短軸方向Dshの幅W3は、第2共通チャンバ壁18cにおける突出端面18eと共通背面区画壁17cとの間に隙間が形成されるように設定されている。共通背面区画壁17cの底面と底面区画壁18bとの間隔CR5は、例えば第2共通チャンバ壁18cにおける突出端面18eと共通背面区画壁17cとの間隔CR6と等しく、例えば1mmである。
【0031】
そして筐体頂面板11、筐体正面板13、筐体背面板14、筐体左側面板15、及び筐体右側面板16によって囲まれる空間には、上述した構成の第1区画部材17及び第2区画部材18が収容されることによって、図2(a)に示されるように、下記(a)〜(i)のチャンバ及びスリットが形成される。
【0032】
(a)上流端チャンバC1
(b)第1スリットS1(上流端チャンバの導出孔)
(c)第2スリットS2(連結流路)
(d)第3スリットS3(中間チャンバの導入孔)
(e)中間チャンバC2
(f)第4スリットS4(中間チャンバの導出孔及び下流端チャンバの導入孔)
(g)下流端チャンバC3
(h)第5スリットS5(下流端チャンバの導出孔)
(i)第6スリットS6(吹出し流路)
次に、吹出しノズル10が有する上記(a)〜(i)のチャンバ及びスリットについて、その詳細な構成を以下に説明する。
【0033】
(a)上流端チャンバC1
長軸方向Dexに延びる4つの板部材である筐体頂面板11、筐体正面板13、第1共通チャンバ壁17d、及び第1背面区画壁17bと、これらを挟む筐体左側面板15及び筐体右側面板16とによって、長軸方向Dexに延びる直方体形状の上流端チャンバC1が形成されている。この上流端チャンバC1においては、上流頂面板としての筐体頂面板11、上流正面板としての筐体正面板13、上流底面板としての第1共通チャンバ壁17d、及び上流背面板としての第1背面区画壁17bによって、長軸方向Dexに延びる矩形筒状の外周壁が構成されている。
【0034】
なお、筐体頂面板11において供給流路12が接続された部位には、該供給流路12に連通する貫通孔が形成されている。筐体頂面板11に形成された貫通孔は、上流端チャンバC1における導入孔であって、筐体頂面板11の底面11bにおける開口が、上流端チャンバC1の導入口I1として機能する。つまり、上流端チャンバC1の外周壁には、貫通孔が形成された導入板としての筐体頂面板11、筐体頂面板11を挟んで対向する対向板としての筐体正面板13と第1背面区画壁17b、及び筐体正面板13と第1背面区画壁17bとを連結して筐体頂面板11と対向する連結板としての第1共通チャンバ壁17dが含まれる。
【0035】
ちなみに、筐体正面板13における短軸方向Dshの幅は、筐体背面板14における短軸方向Dshの幅よりも大きい。そのため、筐体頂面板11における頂面11aの中心に接続された供給流路12は、上流端チャンバC1内の空間に対して筐体正面板13側に偏倚している。
【0036】
(b)第1スリットS1
長軸方向Dexに延びる筐体頂面板11の底面11b及び第1背面区画壁17bの頂面と、これらを挟む筐体左側面板15及び筐体右側面板16とによって、長軸方向Dexに連続する第1スリットS1が短軸方向Dshに延びるように形成されている。なお、第1
スリットS1は、上流端チャンバC1における導出孔であって、上流端チャンバC1内における第1スリットS1の開口が、上流端チャンバC1の導出口D1として機能する。
【0037】
つまり上流端チャンバC1では、導入孔が形成された導入板(筐体頂面板11)と、該導入板を挟んで対向する第1の対向板(筐体正面板13)と第2の対向板(第1背面区画壁17b)とにおいて、下記条件が満たされるように導入孔と導出孔とが形成されている。
【0038】
(条件1)導入孔は、導入板における第1の対向板側に形成される。
(条件2)導出孔は、第2の対向板における導入板側に形成される。
また上記導入口I1のサイズは、上流端チャンバC1の内周面における頂面部分の長さに対して、例えば50%程度であって、該頂面部分に対して十分に小さいものである。また上記導出口D1のサイズも、上流端チャンバC1の内周面における背面部分の長さに対して、例えば5%程度であって、該背面部分に対して十分に小さいものである。
【0039】
このような構成の第1スリットS1によれば、供給流路12から導入されたガスが、第1共通チャンバ壁17dの内表面、第1背面区画壁17bの内表面の順に流れ、そして筐体頂面板11の内表面においては、背面側から正面側へガスが流れる。一方、第1スリットS1においては、正面側から背面側へガスが流れる。つまり、上流端チャンバC1内におけるガスの旋回方向と、第1スリットS1における流れの方向とが、長軸方向Dexから見て反対の方向となる。そして、上流端チャンバC1内を流れるガスのうち、そこにおける旋回方向とは反対方向に流れるガスのみが第1スリットS1から導出されることとなる。その結果、導出口D1の近傍ではガスが導出され難くなる分、上流端チャンバC1内のガスが長軸方向Dexへ拡散しやすくなり、同長軸方向Dexのガス流速が均一化されるようになる。
【0040】
(c)第2スリットS2
長軸方向Dexに延びる筐体背面板14の正面及び背面区画壁17aの背面と、これらを挟む筐体左側面板15及び筐体右側面板16とによって、長軸方向Dexに延びる第2スリットS2が筐体頂面板11から底面区画壁18bに向かって形成されている。なお、第2スリットS2は、ガスの流れの方向と垂直な断面が長軸方向Dexに延びるように形成された板状の管であって、上流端チャンバC1と第2チャンバとを連結する連結流路である。そして上流端チャンバC1から出たガスは、上流端チャンバC1の導出口D1から中間チャンバC2側に向かってこの第2スリットS2内を流れる。
【0041】
(d)第3スリットS3
長軸方向Dexに延びる共通背面区画壁17cの底面及び底面区画壁18bの頂面と、これらを挟む筐体左側面板15及び筐体右側面板16によって、長軸方向Dexに延びる第3スリットS3が短軸方向Dshに沿って形成されている。
【0042】
(e)中間チャンバC2
長軸方向Dexに延びる4つの板部材である第2共通チャンバ壁18c、共通正面区画壁18a、底面区画壁18b、共通背面区画壁17cと、これらを挟む筐体左側面板15及び筐体右側面板16とによって、長軸方向Dexに延びる直方体形状の中間チャンバC2が形成されている。この第2チャンバにおいては、4つの板部材である中間頂面板としての第2共通チャンバ壁18c、中間正面板としての共通正面区画壁18a、中間底面板としての底面区画壁18b、中間背面板としての共通背面区画壁17cによって、長軸方向Dexに延びる矩形筒状の外周壁が構成されている。
【0043】
なお、上記第3スリットS3は、中間チャンバC2における導入孔であって、中間チャ
ンバC2内における第3スリットS3の開口が、中間チャンバC2の導入口I2として機能する。そして中間チャンバC2では、導入孔が形成された導入板(共通背面区画壁17c)と、該導入板を挟んで対向する第1の対向板(底面区画壁18b)と第2の対向板(第2共通チャンバ壁18c)とにおいて、上記条件1が満たされるように導入孔が形成されている。
【0044】
(f)第4スリットS4
長軸方向Dexに延びる共通背面区画壁17cの正面及び第2共通チャンバ壁18cの背面である突出端面18eと、これらを挟む筐体左側面板15及び筐体右側面板16とによって、長軸方向Dexに延びる第4スリットS4が底面区画壁18b側から第1共通チャンバ壁17dに向かって形成されている。なお、第4スリットS4は、中間チャンバC2における導出孔を構成するとともに、中間チャンバC2内における第4スリットS4の開口が、中間チャンバC2の導出口D2として機能する。つまり中間チャンバC2では、導出口が形成された導出板(第2共通チャンバ壁18c)と、該導出板を挟んで対向する第1対向板(底面区画壁18b)と第2対向板(第2共通チャンバ壁18c)とにおいて、上記条件2が満たされるように導出孔が形成されている。
【0045】
なお、上記導入口I2のサイズは、中間チャンバC2の内周面のうち、該導入口I2を含む平面部分の長さに対して、例えば7%程度であって、該平面部分に対して十分に小さいものである。また上記導出口D2のサイズも、中間チャンバC2の内周面のうち、該導出口D2を含む平面部分の長さに対して、例えば7%程度であって、該平面部分に対して十分に小さいものである。
【0046】
このような構成の第4スリットS4によれば、第3スリットS3から導入されたガスが、底面区画壁18bの内表面、共通正面区画壁18aの内表面、第2共通チャンバ壁18cの内表面の順に流れ、そして共通背面区画壁17cにおいては、頂面側から底面側へガスが流れる。一方、第4スリットS4においては、底面側から頂面側へガスが流れる。つまり、中間チャンバC2におけるガスの旋回方向と、第4スリットS4におけるガスの流れとが反対方向となる。そして、中間チャンバC2内を流れるガスのうち、そこにおける旋回方向とは反対方向に流れるガスのみが第4スリットS4から導出されることとなる。その結果、導出口D2の近傍ではガスが導出され難くなる分、中間チャンバC2内のガスが長軸方向Dexへ拡散しやすくなり、同長軸方向Dexのガス流速が均一化されるようになる。
【0047】
(g)下流端チャンバC3
長軸方向Dexに延びる4つの板部材である第1共通チャンバ壁17d、共通正面区画壁18a、第2共通チャンバ壁18c、及び共通背面区画壁17cと、これらを挟む筐体左側面板15及び筐体右側面板16とによって、長軸方向Dexに延びる直方体形状の第3チャンバが形成されている。この下流端チャンバC3においては、4つの板部材である下流頂面板としての第1共通チャンバ壁17d、下流正面板としての共通正面区画壁18a、下流底面板としての第2共通チャンバ壁18c、及び下流背面板としての共通背面区画壁17cによって、長軸方向Dexに延びる矩形筒状の外周壁が構成されている。
【0048】
なお、上記第4スリットS4は、下流端チャンバC3における導入孔であって、下流端チャンバC3内における第4スリットS4の開口が、下流端チャンバC3の導入口I3として機能する。
【0049】
(h)第5スリットS5
長軸方向Dexに延びる第1共通チャンバ壁17dの底面及び共通正面区画壁18aの頂面と、これらを挟む筐体左側面板15及び筐体右側面板16とによって、長軸方向De
xに延びる第5スリットS5が短軸方向Dshに沿って形成されている。なお、第5スリットS5は、下流端チャンバC3の導出孔であって、下流端チャンバC3内における第5スリットS5の開口が下流端チャンバC3の導出口D3として機能する。
【0050】
なお、上記導入口I3のサイズは、下流端チャンバC3の内周面のうち、該導入口I3を含む平面部分の長さに対して、例えば7%程度であって、該平面部分に対して十分に小さいものである。また上記導出口D3のサイズも、下流端チャンバC3の内周面のうち、該導出口D3を含む平面部分の長さに対して、例えば7%程度であって、該平面部分に対して十分に小さいものである。
【0051】
(i)第6スリットS6
長軸方向Dexに延びる筐体正面板13の背面及び共通正面区画壁18aの正面と、これらを挟む筐体左側面板15及び筐体右側面板16とによって、第1共通チャンバ壁17dから紙Pに延びる第6スリットS6が形成されている。なお、第6スリットS6は、ガスの流れの方向と垂直な断面が長軸方向Dexに延びるように形成された板状の管であって、下流端チャンバC3からガスを出す吹出し流路である。
【0052】
上述したように、連結流路である第2スリットS2と吹出し流路である第6スリットS6とは、それぞれガスの流れと垂直な断面である該流路の断面が長軸方向Dexに延びるように形成された板状の管である。このような構成では、第2スリットS2の流路長や第6スリットS6の流路長が長くなる程、長軸方向Dexにおけるガス流速の均一性が高められる。一方、第2スリットS2や第6スリットS6が同一平面上に並ぶ場合、第2スリットS2の流路長や第6スリットS6の流路長が長くなれば、該平面に沿って吹出しノズル10そのものが大型化することになる。この点、上述した構成によれば、第2スリットS2と第6スリットS6とが短軸方向Dshにおいて互いに対向するように形成されている。そのため、第2スリットS2と第6スリットS6とが同一平面上に並ぶ構成と比較して、吹出しノズル10の大型化を抑えることができる。
【0053】
また上述したように、上流端チャンバC1、中間チャンバC2、及び下流端チャンバC3が、供給流路12から紙Pに向けて一列に配列されている。また下流端チャンバC3が、上流端チャンバC1の紙P側に配置されている。そして、中間チャンバC2が、下流端チャンバC3の紙P側に配置されて、上流端チャンバC1と下流端チャンバC3とを結ぶガスの経路が中間チャンバC2で折り返されている。このような構成によれば、吹出しノズル10の占有する体積が同じという前提では、ガスの経路が折り返されることによって、直線状の経路よりも経路長が長くなる。そのため、紙Pの幅方向Dwにおけるガス流速が、より均一化されるようになる。
【0054】
次に、上記吹出しノズル10を模式的に示した図3を用いて、吹出しノズル10内でのガスの流れ方についてより詳細に説明する。なお、図3では、吹出しノズル10を構成する上記部材によって区画された3つのチャンバと6つのスリットとのみを記載している。また、吹出しノズル10内に導入されたガスの流れる方向が矢印で示されている。
【0055】
図3に示されるように、供給流路12の入口12aから供給流路12内に導入されたガスは、上流端チャンバC1内の頂面Tに垂直な方向から該頂面Tに向かって供給流路12内を流れる。そして、上流端チャンバC1内の頂面Tに形成された導入口I1から上流端チャンバC1内に流入したガスは、頂面Tから底面BTに対して略垂直に流れることで底面BTに衝突する。底面BTへの衝突によって、底面BTに対して略垂直な方向に流れていたガスは、上流端チャンバC1の長軸方向Dexに拡散しつつ、底面BTに沿って正面Fあるいは背面Bに向かって流れる。その後、ガスは正面Fあるいは背面Bに沿って流れることで頂面Tに達すると、該頂面Tに沿って流れるようになる。つまり、上流端チャン
バC1に導入されたガスは、上流端チャンバC1の外周壁の内周面に沿った流れである旋回流を形成するようになる。
【0056】
このように、上流端チャンバC1内に導入されたガスは、上流端チャンバC1の底面BT、正面F、及び頂面Tに沿って回転する流れである旋回流SwF1と、上流端チャンバC1の底面BT、背面B、及び頂面Tに沿って回転する流れである旋回流SwF2とを形成する。これら旋回流SwF1,SwF2は、上流端チャンバC1の長軸方向Dex、つまり紙Pの幅方向Dwにらせん状に回転しながら進むように形成される。
【0057】
なお、本実施形態における旋回流とは、上述のように、導入口から導入されたガスがチャンバを構成する外周壁の内側面に沿ってチャンバ内で旋回し、導入口が形成された内側面に再び戻るような流れを意味している。つまり、例えばチャンバの隅部等に局所的に見られるものであって、チャンバの外周壁の内周面に沿った流れを有しない、あるいは導入口が形成された内側面に再び戻ることのない流れは含まれない。
【0058】
また、上流端チャンバC1内の旋回流SwF1,SwF2の形成は、導入口I1におけるガス圧力、導入口I1におけるガス流速の他、ガスの流れに対して垂直な各流路の断面積(流路面積)、すなわち上流端チャンバC1の流路面積、及び供給流路12の流路面積によって左右される。例えば、供給流路12の流路面積に対する上流端チャンバC1の流路面積の比が小さくても、導入口I1におけるガス圧力が十分に高い、あるいはガス流速が十分に高い場合には、上流端チャンバC1内に旋回流が形成される。他方、導入口I1におけるガス圧力やガス流速が小さくても、供給流路12の流路面積に対する上流端チャンバC1の流路面積の比が十分に大きい場合には、これもまた、上流端チャンバC1内に旋回流が形成される。
【0059】
2つの旋回流SwF1,SwF2を形成しながら上流端チャンバC1内を流れたガスは、上流端チャンバC1の導出口D1から第1スリットS1に導出される。なお、供給流路12が上流端チャンバC1に対して筐体正面板13側に偏倚しているため、上流端チャンバC1内では、2つの旋回流SwF1,SwF2のうち、特に旋回流SwF2が主たる流れとなる。
【0060】
旋回流SwF2を形成しながら上流端チャンバC1内を流れたガスは、導出口D1から上流端チャンバC1外に導出される。この際、導出口D1から延びる第1スリットS1では、旋回流SwF2の旋回方向とは反対方向の流れRF、言い換えれば、導出口D1が形成された背面Bと直交する流れが形成される。そのため、旋回流SwF2の旋回方向に沿って第1スリットS1が形成される場合と比較して、上流端チャンバC1内のガスが導出口D1から導出され難くなり、こうしたガスが上流端チャンバC1内で旋回を繰り返しつつ長軸方向Dexへ流動する。それゆえに、導入口I1から導入されたガスが、旋回方向とは異なる方向、ひいては長軸方向Dex(紙Pの幅方向Dw)に拡散するようになる。その結果、吹出し流路の出口におけるガス流速の均一性を高めることができる。
【0061】
上記第1スリットS1を通過したガスは、第2スリットS2及び第3スリットS3を流れた後、中間チャンバC2の導入口I2から中間チャンバC2内に流入する。中間チャンバC2内に流入したガスは、中間チャンバC2の周壁の内周面である底面BT、正面F、頂面T、及び背面Bをこの順に沿って流れる旋回流SwF3を形成する。旋回流SwF3は、上流端チャンバC1にて形成される旋回流SwF1,SwF2と同様に、中間チャンバC2における長軸方向Dexに進むように形成される。
【0062】
旋回流SwF3を形成しながら中間チャンバC2内を流れたガスは、導出口D2から中間チャンバC2外に導出される。この際、導出口D2から延びる第4スリットS4では、
上流端チャンバC1の導出口D1と同様に、中間チャンバC2内に形成される旋回流SwF3の旋回方向とは反対方向の流れRF、言い換えれば、導出口D2が形成された頂面Tと直交する流れが形成される。そのため、旋回流SwF3の旋回方向に沿って第4スリットS4が形成される場合と比較して、中間チャンバC2内のガスが導出口D2から導出され難くなり、こうしたガスが中間チャンバC2内で旋回を繰り返しつつ長軸方向Dexへ流動する。それゆえに、導入口I2から導入されたガスが、旋回方向とは異なる方向、ひいては紙Pの幅方向Dwに拡散するようになる。その結果、吹出し流路の出口におけるガス流速の均一性を高めることができる。
【0063】
上記中間チャンバC2の導出口D2から導出されたガスは、中間チャンバC2に接続された第4スリットS4の形状に沿って流れた後、下流端チャンバC3の導入口I3から下流端チャンバC3内に流入する。下流端チャンバC3内に流入したガスは、下流端チャンバC3の周壁の内周面を構成する背面Bに沿って流れた後、頂面T、正面F、及び底面BTの順に流れる旋回流SwF4を形成する。なお、旋回流SwF4も、上流端チャンバC1内に形成される旋回流SwF1,SwF2や中間チャンバC2に形成される旋回流SwF3と同様に、下流端チャンバC3における長軸方向Dexの全体にわたって形成される。
【0064】
旋回流SwF4を形成しながら下流端チャンバC3内を流れたガスは、下流端チャンバC3の正面Fにおける頂面T側に形成された導出口D3から下流端チャンバC3外に導出される。この際、導出口D3から延びる第5スリットS5では、下流端チャンバC3内に形成される旋回流SwF4の旋回方向に沿った流れFF、言い換えれば、頂面Tに沿った流れが形成される。そのため、旋回流SwF4の旋回方向に沿って第5スリットS5が形成される分、下流端チャンバC3内のガスが導出口D3から導出されやすくなる。そして導出口D3から導出されたガスは、第5スリットS5及び第6スリットS6を流れた後、第6スリットS6の開口である吹出し口10Sから吹出しノズル10外に吹出される。
【0065】
[実施例]
チャンバ及びスリットの構造が互いに異なる吹出しノズル10と吹出しノズル100とを用い、これら吹出しノズル10,100内におけるガスの流通態様と、吹出しノズル10,100の吹出し口10S,100Sにおけるガスの流速を、熱流体解析ソフトであるFLUENT ver12.0(ANSYS社製、登録商標)を用いて算出した。流速算出時の各種条件は以下のように設定した。また、乱流モデルは標準kεモデルを用いた。
・流体密度:1.225kg/m3
・流体粘度:1.79×10−5Pa・s
・流入流量:320l/min
・吹出し口での圧力:大気圧
【0066】
[実施例1]
図4に示される吹出しノズル10の各部位の寸法を以下のように設定した。そして、各チャンバ及びスリットにおける長軸方向Dex(幅方向Dw)の幅を500mmとし、吹出しノズル10においてガスが流れる空間を743,852個の立方体メッシュに分割して解析した。
・供給流路12の入口12aの直径D:15mm
・上流端チャンバC1の幅W1:32mm
・上流端チャンバC1の高さH1:20mm
・中間チャンバC2の幅W2及び下流端チャンバC3の幅W3:15mm
・中間チャンバC2の高さH2及び下流端チャンバC3の高さH3:15mm
・第1スリットS1の幅Ws1:5mm
・第1スリットS1の高さHs1:1mm
・第2スリットS2の幅Ws2:1mm
・第2スリットS2の高さHs2:70mm
・第3スリットS3の幅Ws3:10mm
・第3スリットS3の高さHs3:1mm
・第4スリットS4の幅Ws4:1mm
・第4スリットS4の高さHs4:10mm
・第5スリットS5の幅Ws5:10mm
・第5スリットS5の高さHs5:1mm
・第6スリットS6の幅Ws6:2mm
・第6スリットS6の高さHs6:59mm
吹出し口10Sにおいて、長軸方向Dexの中央線Mにおける流速ばらつきは、0.35%であった。なお、この流速ばらつきは、中央線M上における流速の最大値から最小値を引いた値を流速の平均値で割ることによって算出した。
【0067】
吹出しノズル10内におけるガスの流通態様は、先の図3に示す通りであった。すなわち、上流端チャンバC1、中間チャンバC2、及び下流端チャンバC3のいずれにおいても各チャンバC1,C2,C3が有する外周壁の内周面に沿った旋回流の形成が認められた。また、上流端チャンバC1及び中間チャンバC2の導出口D1,D2においては、各チャンバC1,C2に形成される旋回流の旋回方向とは反対方向にガスが導出されることが認められた。
【0068】
[比較例1]
図12、図13に示される従来の吹出しノズル100の各部位の寸法を図5に基づいて以下のように設定した。そして、各チャンバ及びスリットにおける上記長軸方向Dex(幅方向Dw)の幅を800mmとし、吹出しノズル100においてガスが流れる空間を485,940個の立方体メッシュに分割して解析した。
・導入口101Iの直径D:32mm
・上流端チャンバ101の高さH1:40mm
・下流端チャンバ103の四角柱部分の高さH2:25mm
・上流端チャンバ101の幅及び上記四角柱部分の1/2幅W1:30mm
・下流端チャンバ103の三角柱部分の高さH3:15mm
・上記三角柱部分の1/2幅W2:21.5mm
・第1スリット102の幅Ws1:2mm
・第1スリット102の高さHs1:4mm
・第2スリット104の幅Ws2:3mm
・第2スリット104の高さHs2:15mm
吹出し口100Sにおいて、長軸方向Dexの中央線Mにおける流速ばらつきは、21.4%であった。なお、この流速ばらつきは、上記実施例1と同様の方法で算出した。また吹出しノズル100内におけるガスの流通態様は、図6に示す通りであった。
【0069】
すなわち、上流端チャンバ101内に導入口101Iから導入されたガスは、第1スリット102との接続箇所である導出口101Dに向かって直進するとともに、第1スリット102内をその形状に沿って流通することが認められた。そして、第1スリット102及び下流端チャンバ103の導入口103Iを介して下流端チャンバ103内に流入したガスは、下流端チャンバ103の導入口103Iから第2スリット104が有する吹出し口100Sまで直進する直進流StFを形成することが認められた。また、下流端チャンバ103内のガスは、直進流StFを挟んで2つの旋回流SwF1を形成することが認められた。2つの旋回流SwF1は、下流端チャンバ103における対向する内壁それぞれの内周面に沿って旋回することも認められた。加えて、下流端チャンバ103内のガスは、直進流StFとして導出口103Dから導出されるとともに、旋回流SwF1の旋回方
向に沿って導出口103Dから導出されることが認められた。
【0070】
このように、実施例1の吹出しノズル10によれば、上流端チャンバC1、中間チャンバC2、及び下流端チャンバC3において、ガスの旋回流が形成される。そのうえ、上流端チャンバC1及び中間チャンバC2では、各チャンバC1,C2内に形成される旋回流の旋回方向とは反対方向に沿って導出孔が形成されている。そのため、比較例1の吹出しノズル100ように、ガスの導出方向が旋回流SwF1の旋回方向に沿った方向のみからなる構成と比較して、吹出し口10Sの長軸方向Dexにガスが拡散されやすくなる。そのため、吹出し口10Sにおけるガス流速の均一性が向上すると言える。
【0071】
[試験例]
以下、吹出しノズルの試験例について、図7〜図9を参照して説明する。各試験例における吹出しノズル20,30,40は、上記実施例1の下流端チャンバC3が割愛された構成であって、中間チャンバC2における第4スリットS4の位置が互いに異なる構成である。そのため以下では、実施例1との相違点である第4スリットS4の構成を中心に説明する。
なお、試験例1、試験例2及び試験例3における各スリットS4,S5,S6の流路長及び流路面積は、実施例1のものと等しい。ただし、試験例1における第5スリットS5の流路長は実施例1のものに中間チャンバC2の幅を加えた長さとした。そして、これら各試験例におけるガスの流通態様を、上記実施例と同様の方法で解析するとともに、吹出し口におけるガス流速の均一性も上記実施例と同様の方法で算出した。
【0072】
[試験例1]
図7に示されるように、試験例1の吹出しノズル20が有する中間チャンバC2には、その頂面Tにおける背面B側に導出口D2が形成されている。この導出口D2には、中間チャンバC2の頂面Tと直交する第4スリットS4が、上流端チャンバC1に向けて延びるように接続されている。また、第4スリットS4の先端には、該第4スリットに直交する第5スリットS5が、紙Pと平行になるように接続されている。そして、第5スリットS5の先端には、該第5スリットS5に直交する第6スリットS6が紙Pに向けて延びるように接続されている。なお、第6スリットS6には、吹出しノズル20外に露出した吹出し口20Sが形成されている。
つまり試験例1の吹出しノズル20は、下流端チャンバC3が割愛された構成ではあるものの、実施例1と同様に、チャンバC1,C2とスリットS1,S2,S3,S4,S5とからなるガスの経路が、中間チャンバC2で折り返されている。このような試験例1の吹出しノズル20でも、中間チャンバC2内に導入されたガスが、該中間チャンバC2の周壁の内周面に沿った旋回流を形成するとともに、中間チャンバC2の導出口D2から、該旋回流の旋回方向とは反対方向RFに導出されることが認められた。そして、試験例1の吹出しノズル20では、吹出し口20Sの長軸方向Dexにおける中央線Mでの流速ばらつきが、上記実施例よりも大きい0.70%ではあるものの、1.00%に満たない良好な値であった。
【0073】
[試験例2]
図8に示されるように、試験例2の吹出しノズル30が有する中間チャンバC2では、その頂面Tにおける正面F側に導出口D2が形成されている。この導出口D2には、中間チャンバC2の頂面Tと直交する第4スリットS4が、上流端チャンバC1に向けて延びるように接続されている。また、第4スリットS4の先端には、該第4スリットに直交する第5スリットS5が、紙Pと平行になるように接続されている。そして、第5スリットS5の先端には、該第5スリットS5に直交する第6スリットS6が紙Pに向けて延びるように接続されている。なお、第6スリットS6には、吹出しノズル20外に露出した吹出し口20Sが形成されている。
つまり試験例2の吹出しノズル30では、試験例1と同様に中間チャンバC2でガスの経路が折り返されているものの、中間チャンバC2におけるガスが正面Fに沿って導出されることとなる。このような試験例2の吹出しノズル20の場合、中間チャンバC2内に導入されたガスが、該中間チャンバC2の周壁の内周面に沿った旋回流を形成する一方、中間チャンバC2の導出口D2からは、旋回方向と同方向FFに導出されることが認められた。そのため、試験例2の吹出しノズル30では、吹出し口30Sの長軸方向Dexにおける中央線Mでの流速ばらつきが、上記実施例1及び試験例1よりも大きい1.02%であった。
【0074】
[試験例3]
図9に示されるように、試験例3の吹出しノズル40が有する中間チャンバC2では、その正面Fにおける底面BT側に導出口D2が形成されている。この導出口D2には、中間チャンバC2の底面BTに平行な第4スリットS4が、正面に向けて延びるように接続されている。また、第4スリットS4の先端には、該第4スリットS4と直交する第6スリットS6が紙Pに向けて延びるように接続されている。そして第6スリットS6の先端には、吹出しノズル40外に露出した吹出し口40Sが形成されている。
つまり試験例3の吹出しノズル40は、ガスの経路に屈曲点を有するものの、該ガスの経路が折り返されない構成となっている。このような試験例3の吹出しノズル30の場合、試験例2と同じく、中間チャンバC2内に導入されたガスが、該中間チャンバC2の周壁の内周面に沿った旋回流を形成する一方、中間チャンバC2の導出口D2からは、旋回方向と同方向FFに導出されることが認められた。そのため、試験例3の吹出しノズル40では、吹出し口40Sの長軸方向Dexにおける中央線Mでの流速ばらつきが、上記試験例1、及び試験例2よりも大きい2.10%であった。
【0075】
ちなみに、図3、図7〜図9に示されるベクトル図は、いずれもFLUENT ver12.0を用いた解析によって得られたガスの流通態様を示している。しかしながら、このようなガスの流通態様は、図3、図7〜図9に示される吹出しノズル10,20,30,40,100を透明樹脂で形成し、且つ、ドライアイスの昇華によって生成された白煙を含有させた空気を各吹出しノズル10,20,30,40,100に導入することによって観測することもできた。
【0076】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下に列挙する効果が得られるようになる。
(1)吹出しノズル10を構成する上流端チャンバC1を、頂面Tと該頂面Tを挟んで対向する正面F及び背面Bとから構成した。そしてガスを導入する導入口I1を、頂面Tにおける正面F側に形成するとともに、ガスを導出する導出口D1を、背面Bにおける頂面T側に形成した。このような構成によれば、導入口I1から導入されたガスが、底面BT、背面Bの順に流れた後、背面Bにおける頂面T側に到達する。この際、背面Bにおける頂面T側に導出口D1が形成されているため、頂面Tに沿ったガスの流れと、導出口D1に沿ったガスの流れとが反対方向となる。それゆえに、該上流端チャンバC1内のガスを、その旋回方向とは反対方向に向けて導出することができる。これにより、紙Pの幅方向Dwにおけるガス流速が、より均一化されるようになる。
【0077】
(2)吹出しノズル10を構成する中間チャンバC2を、背面Bと該背面Bを挟んで対向する底面BT及び頂面Tとから構成した。そしてガスを導入する導入口I2を、背面Bにおける底面BT側に形成するとともに、ガスを導出する導出口D2を、頂面Tにおける背面B側に形成した。このような構成によれば、導入口I2から導入されたガスが、底面BT、正面F、頂面Tの順に流れ、そして頂面Tにおける背面B側に到達する。この際、頂面Tにおける背面B側に導出口D2が形成されているため、背面Bに沿ったガスの流れと、導出口D2に沿ったガスの流れとが反対方向となる。それゆえに、該中間チャンバC
2内のガスを、その旋回方向とは反対方向に向けて導出することができる。これにより、紙Pの幅方向Dwにおけるガス流速が、より均一化されるようになる。
【0078】
(3)連結流路である第2スリットS2と吹出し流路である第6スリットS6とを結ぶガスの経路が折り返される構成とした。そのため、第2スリットS2と第6スリットS6とが同一の直線上に並ぶ構成と比較して、ガスの経路が折り返されている分だけ、吹出しノズル10の大型化を抑えることができる。また、吹出しノズル10の占有する体積が、本実施形態の折り返し構造と従来の直線構造とで同じであるとすれば、折り返された構造における経路長が、直線構造における経路長よりも長くなる。そのため、シート状対向物である紙Pの幅方向Dwにおけるガス流速が、より均一化されるようになる。
【0079】
[変形例]
なお、上記実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・吹出しノズル10が吹出すガスは、上記窒素ガスや不活性ガスに限らず、吹出しノズル10の用途に応じたガスを吹出すことができる。例えば、水滴の付いた対象物を乾燥させる場合であれば、吹出しノズル10から空気あるいは加熱した空気を吹出すようにすればよい。
【0080】
・供給流路12は、上流端チャンバC1内の空間に対して筐体正面板13側に偏倚して設けるようにした。これに限らず、上流端チャンバC1内に旋回流SwF1,SwF2が生じるのであれば、供給流路12を上流端チャンバC1の正面Fからの距離と背面Bからの距離とが等しい位置に設けるようにしてもよい。
【0081】
・筐体頂面板11にこれと直交する方向に延設される供給流路12を接続した。これに限らず、筐体左側面板15と筐体右側面板16の片側あるいは両側に、これらと直交する方向に延設された供給流路を接続するようにしてもよい。この場合、筐体左側面板15に接続された供給流路と、筐体右側面板16に接続された供給流路の片方あるいは両方からガスが導入される。また、上記実施形態では供給流路12は円筒形としたが、筺体頂面板11に近づくにつれ幅を広げるような断面三角形状として、導入口I1があらかじめ長軸方向Dexに長くなっている形状としてもよい。
【0082】
・吹出しノズルは、3つ以上のチャンバを有するようにしてもよい。
【0083】
・中間チャンバC2と下流端チャンバC3とを同一の形状とした。これに限らず、中間チャンバC2と下流端チャンバC3とが互いに異なる形状であってもよい。
【0084】
・上流端チャンバC1が、中間チャンバC2及び下流端チャンバC3のいずれとも異なる形状とした。これに限らず、上流端チャンバC1を、中間チャンバC2及び下流端チャンバC3のいずれかと同一の形状とするようにしてもよい。
【0085】
・上記各チャンバ及び各スリットの寸法は、複数のチャンバの少なくとも一つが旋回流を形成する構成であれば、任意に変更することができる。なお、旋回流が形成されるか否かの指標としては、以下のように定義されるレイノルズ数相当の値Rcを用いることが好ましい。この際、チャンバ内に旋回流が形成される最小のRcを上述した数値計算や観測等によって取得した後、Rcが該最小値以上になるように、各チャンバの寸法等を定めることが好ましい。
Rc=(導入孔が接続されているチャンバ壁面の長軸方向Dexと直交する方向の長さ/チャンバに接続されている導入口のギャップ幅)×ガス流入速度×流体密度/流体粘度
【0086】
・上流端チャンバC1に接続される第1スリットS1は、上流端チャンバC1の背面B
における頂面T側に接続されるとともに、同頂面Tと平行な方向に縁設されるようにした。これに限らず、例えば図10に示される吹出しノズル50のように、上流端チャンバC1の底面BTにおける背面B側に接続されるとともに、底面BTと直交する方向に延びるようにしてもよい。これによっても、上流端チャンバC1内に形成される旋回流SwFの旋回方向とは反対の方向RFにガスが導出される。なお、上記実施例と同一の方法で吹出し口50Sにおけるガス流速を算出したところ、こうした吹出しノズル50では、吹出し口50Sの長軸方向Dexにおける中央線Mでの流速ばらつきが0.70%であった。
【0087】
・あるいは、図11に示される吹出しノズル60のように、上流端チャンバC1の底面BTに段差部61を設けるとともに、該段差部61における背面B側に形成された導出口D1に第1スリットS1を接続するようにしてもよい。これによっても、上流端チャンバC1内に形成される旋回流SwFの旋回方向とは反対の方向RFにガスが導出される。なお、上記実施例と同一の方法で吹出し口60Sにおけるガス流速を算出したところ、こうした吹出しノズル60では、吹出し口60Sの長軸方向Dexにおける中央線Mでの流速ばらつきが0.53%であった。
【0088】
・吹出しノズル10は、チャンバC1,C2の周壁の内周面に沿ったガスの旋回流の旋回方向とは反対方向にガスを導出する導出口D1,D2を備えるチャンバC1,C2と、折り返し構造のガスの経路との両方を備えるようにした。これに限らず、折り返し構造のガスの経路を備えておらずとも、複数のチャンバの少なくとも一つが、チャンバの周壁の内周面に沿ったガスの旋回流の旋回方向とは反対方向にガスを導出する導出孔を備えるものであれば、吹出し口の幅方向におけるガス流速の均一性を向上させることができる。
【0089】
・上記実施形態では、上流端チャンバC1と中間チャンバC2とが、該チャンバC1,C2内に形成されるガスの旋回流の旋回方向と反対方向RFにガスを導出する導出口D1,D2を有するようにした。これに限らず、吹出しノズルが備える複数のチャンバのうち、少なくとも1つが、該チャンバ内で形成される旋回流の旋回方向と反対の方向にガスを導出する導出孔を有するようにすればよい。例えば、上記実施例1の構成であれば、上流端チャンバC1、中間チャンバC2、及び下流端チャンバC3の少なくとも一方が、上述のような導出孔を有するようにすればよい。
【符号の説明】
【0090】
B…背面、F…正面、M…中央線、P…シート状対象物としての紙、T…頂面、BT…底面、C1…上流端チャンバ、C2…中間チャンバ、C3…下流端チャンバ、D1,D2,D3,101D,102D,103D…導出口、Dex…長軸方向、Dsc…走査方向、Dsh…短軸方向、Dw…幅方向、I1,I2,I3,101I,102I,103I…導入口、Pa…頂面、Pi…平面、RF…反対方向、FF…同方向、S1,102…第1スリット、S2,104…第2スリット、S3…第3スリット、S4…第4スリット、S5…第5スリット、S6…第6スリット、W1,W2,W3,W4…幅、CR1,CR2,CR3,CR4,CR5,CR6…間隔、StF…直進流、SwF1,SwF2,SwF3,SwF4…旋回流、10,20,30,40,50,60,100…吹出しノズル、10S,20S,30S,40S,50S,60S,100S…吹出し口、11…筐体頂面板、12…供給流路、13…筐体正面板、14…筐体背面板、15…筐体左側面板、16…筐体右側面板、17…第1区画部材、17a…背面区画壁、17b…第1背面区画壁、17c…共通背面区画壁、17d…第1共通区画壁、17e…突出端面、18…第2区画部材、18a…正面区画壁、18b…底面区画壁、18c…第2共通区画壁、18d,18e…突出端面、61…段差部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャンバと、
前記チャンバ間を連結する連結流路と、
前記複数のチャンバにおける上流端のチャンバにガスを供給する供給流路と、
前記複数のチャンバにおける下流端のチャンバからガスを吹出す吹出し流路とを備え、
シート状対象物における幅方向に沿って該シート状対象物に前記吹出し流路からガスを吹出す吹出しノズルであって、
前記吹出し流路及び前記連結流路は、該流路の断面が前記幅方向に延びる板状の管であり、
前記複数のチャンバの少なくとも1つは、前記幅方向に延びる筒状の外周壁を有し、該外周壁には、該チャンバ内にガスを導入する導入孔と、該流路の断面が前記幅方向に延びる導出孔とが形成され、
前記導出孔は、前記外周壁の内周面に沿って旋回するガスの旋回方向とは反対方向に前記外周壁に形成される
ことを特徴とする吹出しノズル。
【請求項2】
前記複数のチャンバの少なくとも1つでは、
前記幅方向に延びる4つの板部材により前記外周壁が構成され、
前記4つの板部材には、
前記導入孔が形成された導入板と、
前記導入板を挟んで対向する第1の対向板と第2の対向板と、
前記第1の対向板と前記第2の対向板とを連結して前記導入板と対向する連結板と
が含まれ、
前記導入孔は、前記導入板における前記第1の対向板側に形成され、
前記導出孔は、前記第2の対向板における前記導入板側に形成される
請求項1に記載の吹出しノズル。
【請求項3】
前記吹出し流路と前記連結流路とが互いに対向する板状の管である
請求項1又は2に記載の吹出しノズル。
【請求項4】
前記複数のチャンバは、
前記供給流路から前記シート状対象物に向けて一列に配列され、
前記下流端のチャンバが、
前記上流端のチャンバの前記シート状対象物側に配置され、
前記上流端のチャンバと前記下流端のチャンバとの間の中間のチャンバが、
前記下流端のチャンバの前記シート状対象物側に配置され、
前記上流端のチャンバと前記下流端のチャンバとを結ぶガスの経路が前記中間のチャンバで折り返される
請求項1〜3のいずれか一項に記載の吹出しノズル。
【請求項5】
前記複数のチャンバの各々は、前記幅方向に延びる直方体形状に形成され、
前記上流端のチャンバでは、
上流正面板、上流背面板、上流頂面板、及び上流底面板により前記外周壁が構成され、
前記上流頂面板には、該上流端のチャンバにおける前記導入孔が形成され、
前記上流背面板には、該上流端のチャンバにおける前記導出孔が形成され、
該チャンバにおける前記導入孔が、前記上流頂面板の前記上流正面板側に形成され、
該チャンバにおける前記導出孔が、前記上流背面板の前記上流頂面板側に形成され、
前記中間のチャンバでは、
中間正面板、中間背面板、中間頂面板、及び中間底面板により前記外周壁が構成され、
前記中間背面板には、該中間のチャンバにおける前記導入孔が形成され、
前記中間頂面板には、該中間のチャンバにおける前記導出孔が形成され、
該チャンバにおける前記導入孔が、前記中間背面板の前記中間底面板側に形成され、
該チャンバにおける前記導出孔が、前記中間頂面板の前記中間背面板側に形成され、
前記上流端のチャンバと前記中間のチャンバとを連結する前記連結流路は、
前記上流背面板及び前記中間背面板に対する背面側に形成され、
前記下流端のチャンバでは、
下流正面板、下流背面板、下流頂面板、及び下流底面板により前記外周壁が構成され、
前記下流底面板には、前記中間のチャンバにおける前記導出孔と対向するように、該下流端のチャンバにおける前記導入孔が形成され、
前記下流正面板には、該下流端のチャンバにおける前記導出孔が形成される
請求項4に記載の吹出しノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−11314(P2012−11314A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150432(P2010−150432)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】