説明

呈味付与剤

【課題】 飲食品、特に果実風味の無果汁飲料や果汁含量の低い飲料、に優れた呈味を付与できる呈味付与剤を提供することである。
【解決手段】 マンゴー果実の溶媒による抽出物を有効成分として含有することを特徴とする呈味付与剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果実風味の無果汁飲料や果汁含量の低い飲料に対し、果汁含有量が高い飲料のような自然な風味、コク、ボリューム、呈味感、果実感などを付与する素材を提供することである。
【背景技術】
【0002】
味は甘味、酸味、苦味、塩味、旨味の基本五味からなり、飲食品の呈味は複雑な味の混合として総合的に認識される。飲食品の呈味を改良する場合、最も単純には、それぞれの味に寄与する味物質の使用量を増減させることで可能になる。
しかし近年の健康志向の高まりから、糖類や塩類についてはその使用量を低減化させる傾向にある。
また、低カロリー化の拡がりによって、甘味料として砂糖(ショ糖)を配合するかわりに、アスパルテーム、ステビア、アセスルファムK、スクラロースなどの低カロリーで高甘味度の甘味料(高甘味度甘味料)を用いて甘味を付与する場合、呈味の重厚感が失われるため質感を維持できないことがある。
また、味物質の種類によってはその物質由来の不快味などが問題となる場合があり、使用できる味物質の種類や量が制限されることがあるため、飲食品に十分な味の強度を付与することが難しくなることがある。
【0003】
上記問題を解決する方法として、スピラントールとアリウム属植物抽出物を用いて塩味を増強させる方法(特許文献1)、茶の溶媒抽出物を用いて旨味を増強させる方法(特許文献2)などが提案されている。これらは、塩味や旨味といった特定の呈味だけを増強するという目的においては効果を発揮するが、飲食品に総合的呈味を付与するという点では必ずしも十分ではなかった。
【0004】
総合的に呈味や風味を付与するという例では、例えば重合カテキンを用いて飲食品の風味を増強する方法(特許文献3)、甘蔗由来の蒸留物を用いて飲食物の風味を向上させる方法(特許文献4)、清澄乳酸菌・酵母発酵乳清液を用いて果実特有の風味を増強する方法(特許文献5)などが提案されているが、これらの効果は十分ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−14212号公報
【特許文献2】特開2006−296357号公報
【特許文献3】特開2010−154806号公報
【特許文献4】特開2003−274890号公報
【特許文献5】特開平7−75521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、飲食品、特に果実風味の無果汁飲料や果汁含量の低い飲料に優れた呈味を付与できる呈味付与剤、香味料組成物、及びこれらを含有する飲食品、並びに該呈味付与剤の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは従来技術の問題点を解決すべく鋭意研究した結果、マンゴー果実の溶媒による抽出物が、飲食品に対する呈味付与剤として優れた効果を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、マンゴー果実の溶媒による抽出物を有効成分として含有することを特徴とする呈味付与剤である。また、当該呈味付与剤を含有する香味料組成物、並びに当該香味料組成物を添加したことを特徴とする飲食品である。
さらに、本発明は、マンゴー果実を、質量で0.75〜10倍の溶媒を使用して40〜95℃の温度条件下で抽出処理し、溶媒不溶物を除去して抽出液を得る工程、次いで、必要に応じて、当該抽出液を乾燥して粉末状にする工程、或いは当該抽出液を濃縮してペースト状にする工程、からなることを特徴とする呈味付与剤の製造方法、である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の呈味付与剤は、異味異臭がほとんど無いため飲食品本来の香味に悪影響を及ぼすことなく、飲食品にコク、ボリュームなどの呈味感を付与することができるとともに、飲食品の呈味をより自然で天然らしい、好ましいものに変える効果がある。
従って、各種飲食品に幅広く利用できるが、特に果実風味の無果汁飲料や、果汁含量の低い飲料に対し、果汁含量が高い飲料のような自然な風味、コク、ボリューム、果実感、呈味感などを付与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施の形態に即して詳細に説明する。
(A)呈味付与剤
(1)原材料
マンゴー(学名Mangifera indica L.)は、熱帯アジアを原産とするムクロジ目ウルシ科マンゴー属の常緑高木である。
本発明においては、その果実、特に果皮を除去した果肉を抽出対象とすることが好ましい。マンゴーは500以上の多数の品種があり、また古来より栽培されているため産地もインド、メキシコ、パキスタン、インドネシア、タイ、フィリピン、台湾や日本の沖縄、九州の広範囲にわたるが、本発明ではマンゴー種であれば品種や産地を問わずに使用することができる。
入手の容易さを基準にすれば、例えば、カラバオ種(いわゆるペリカンマンゴー)やアルフォンソ種(インド産)、アーウィン種(いわゆるアップルマンゴー)、トタプリ種、トミーアトキンス種などが選択され、単独で、又は2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
また、熟度に関しては、未熟果であってもよいが、成熟果、特に完熟果が好ましい。
【0011】
また、果実そのものでも、目的に応じて前処理を施したものであってもよい。すなわち、生の果実、果汁、濃縮果汁、ピューレ、濃縮ピューレ及びこれらの乾燥物などが挙げられ、これらに限定されるものではないが、抽出効率を考慮すると好ましくはピューレ、さらに好ましくは濃縮ピューレを用いるのがよい。
なお、マンゴーピューレは、マンゴープリン、マンゴーケーキ等の洋菓子材料用に多種多様のものが輸入・販売されているので極めて容易に入手することができる。乾燥物もドライマンゴーとして多種多様のものが市販されているので簡単に入手して使用することができる。
【0012】
(2)製造方法
まずは、マンゴー果実を溶媒、好ましくは極性有機溶媒、又は水と極性有機溶媒の混合溶媒により抽出する。
極性有機溶媒としてはエタノール、プロパノール、ブタノールのような炭素数2〜4の脂肪族アルコール、グリセリン、プロピレングリコールのような多価アルコールが挙げられるが、人体への安全性と取扱性の観点からエタノールが好ましい。特に好ましくは、濃度が50〜99質量%のエタノール水溶液である。
抽出に用いられる溶媒の量は任意に選択できるが、一般にはマンゴー果実に対し質量で0.75〜10倍程度が用いられ、好ましくは1〜3倍量が用いられる。
抽出に用いる溶媒の温度は特に制限はないが、固形分の回収率を考慮すると好ましくは40〜95℃、さらに好ましくは80〜90℃である。
【0013】
次いで、溶媒不溶物を除去して抽出液を得るが、不溶物を除去する方法としては、遠心分離、濾過、圧搾等の各種の固液分離手段を用いることができる。
得られた抽出液は、そのままの状態で呈味付与剤として飲食品等に添加して使用できるが、例えば水、エタノール等の食品用溶剤で適宜希釈して使用することもできる。
さらに乾燥や濃縮して粉末状、ペースト状の抽出エキスとしても使用できる。
【0014】
(B)呈味付与剤の適用対象及び添加量
呈味付与の対象となる飲食品としては、例えば、コーヒー、紅茶、清涼飲料、乳酸菌飲料、無果汁飲料、果汁入り飲料、栄養ドリンクなどの飲料類、チューハイなどの酒類、スナック類、栄養食品、アイスクリーム、シャーベット等の冷菓類、ゼリー、プリン、羊かん等のデザート類、クッキー、ケーキ、チョコレート、チューイングガム、饅頭等の菓子類、菓子パン、食パン等のパン類、ラムネ菓子、タブレット、錠菓類などを挙げることができるが、特に清涼飲料、無果汁飲料、果汁入り飲料等に好適である。
【0015】
添加量は一般に、固形濃度35%の呈味付与剤を例とすると、香料に添加して香味料組成物とする場合は、5〜70質量%が適当であり、好ましくは20〜50質量%である。
また、飲食品では、一般に50〜700ppmが適当であり、好ましくは200〜500ppmである。
【0016】
(C)呈味付与剤を含む香味料組成物
本発明の呈味付与剤と他の植物エキスや香料素材と組み合わせた香味料組成物として使用することも可能である。
そのような植物エキスや香料素材としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
アセト酢酸エチル、アセトフェノン、アニスアルデヒド、α−アミルシンナムサルデヒド、アントラニル酸メチル、イオノン、イソオイゲノール、イソ吉草酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、イソチオシアン酸アリル、イソチオシアン酸3−ブテニル、イソチオシアン酸4−ペンテニル、イソチオシアン酸ベンジル、イソチオシアン酸3−メチルチオプロピル、イソチオシアネート類、インドール及びその誘導体、γ−ウンデカラクトン、エステル類、エチルバニリン、エーテル類、
【0017】
オイゲノール、オクタノール、オクタナール、オクタン酸エチル、ギ酸イソアミル、ギ酸ゲラニル、ギ酸シトロネリル、ケイ皮酸、ケイ皮酸エチル、ケイ皮酸メチル、ケトン類、ゲラニオール、酢酸イソアミル、酢酸エチル、酢酸ゲラニル、酢酸シクロヘキシル、酢酸シトロネリル、酢酸シンナミル、酢酸テルピニル、酢酸フェネチル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル、酢酸l−メンチル、酢酸リナリル、サリチル酸メチル、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、シトラール、シトロネラール、シトロネロール、1,8−シネオール、脂肪酸類、脂肪族高級アルコール類、脂肪族高級アルデヒド類、脂肪族高級炭化水素類、シンナミルアルコール、シンナムアルデヒド、チオエーテル類、チオール類、デカナール、デカノール、デカン酸エチル、テルピネオール、リモネン、ピネン、
【0018】
ミルセン、タピノーレン、テルペン系炭化水素類、γ−ノナラクトン、バニリン、パラメチルアセトフェノン、ヒドロキシシトロネラール、ヒドロキシシトロネラールジメチルアセタール、ピペロナール、フェニル酢酸イソアミル、フェニル酢酸イソブチル、フェニル酢酸エチル、フェノールエーテル類、フェノール類、フルフラール及びその誘導体、プロピオン酸、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ベンジル、ヘキサン酸、ヘキサン酸アリル、ヘキサン酸エチル、ヘプタン酸エチル、l−ペリラアルデヒド、ベンジルアルコール、ベンズアルデヒド、芳香族アルコール類、芳香族アルデヒド類、d−ボルネオール、マルトール、N−メチルアントラニル酸メチル、メチルβ−ナフチルケトン、dl−メントール、l−メントール、酪酸、
【0019】
酪酸イソアミル、酪酸エチル、酪酸シクロヘキシル、酪酸ブチル、ラクトン類、リナロオール等の合成或いは天然由来の香料の他、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツなどシトラス系精油類、アップル、バナナ、グレープ、メロン、ピーチ、パイナップル、ストロベリーなどフルーツ系の精油或いは回収フレーバー、ミルク、クリーム、バター、チーズ、ヨーグルトなど乳系の抽出香料、緑茶、ウーロン茶、紅茶、コーヒー、ココアなど嗜好品系の回収フレーバー、ペパーミント、スペアミントなどミント系の精油、アサノミ、アサフェチダ、アジョワン、アニス、アンゼリカ、ウイキョウ、ウコン、オレガノ、オールスパイス、オレンジノピール、カショウ、カッシア、カモミル、カラシナ、カルダモン、カレーリーフ、カンゾウ、キャラウェー、クチナシ、
【0020】
クミン、クレソン、クローブ、ケシノミ、ケイパー、コショウ、ゴマ、コリアンダー、サッサフラス、サフラン、サボリー、サルビア、サンショウ、シソ、シナモン、シャロット、ジュニパーベリー、ショウガ、スターアニス、スペアミント、セイヨウワサビ、セロリー、ソーレル、タイム、タマネギ、タマリンド、タラゴン、チャイブ、ディル、トウガラシ、ナツメグ、ニガヨモギ、ニジェラ、ニンジン、ニンニク、バジル、パセリ、ハッカ、バニラ、パプリカ、ヒソップ、フェネグリーク、ペパーミント、ホースミント、ホースラディッシュ、マジョラム、ミョウガ、ラベンダー、リンデン、レモンバーム、ローズ、ローズマリー、ローレル、ワサビなどから得られる香辛料抽出物、アイスランドモス、アカヤジオウ、アケビ、アサ、アサフェチダ、アジアンタム、
【0021】
アジョワン、アズキ、アスパラサスリネアリス、アップルミント、アーティチョーク、アニス、アボカド、アマチャ、アマチャズル、アミガサユリ、アミリス、アーモンド、アリタソウ、アルカンナ、アルテミシア、アルニカ、アルファルファ、アロエ、アンゴスツラ、アンゴラウィード、アンズ、アンズタケ、アンゼリカ、アンバー、アンバーグリス、アンブレット、イカ、イカリソウ、イグサ、イースト、イタドリ、イチゴ、イチジク、イチョウ、イノコヅチ、イランイラン、イワオウギ、インペラトリア、インモルテル、ウィンターグリーン、ウォータークレス、ウコギ、ウコン、ウスバサイシン、ウッドラフ、ウニ、ウメ、ウーロンチャ、エゴマ、エノキダケ、エビ、エビスグサ、エリゲロン、エルダー、エレウテロコック、エレカンペン、エレミ、エンゴサク、
【0022】
エンジュ、エンダイブ、欧州アザミ、オウレン、オオバコ、オカゼリ、オキアミ、オーク、オークモス、オケラ、オスマンサス、オポポナックス、オミナエシ、オモダカ、オランダセンニチ、オリガナム、オリス、オリバナム、オリーブ、オールスパイス、オレンジ、オレンジフラワー、カイ、カイニンソウ、カカオ、カキ、カサイ、カシューナッツ、カスカラ、カスカリラ、カストリウム、カタクリ、カツオブシ、カッシー、カッシャフィスチュラ、カテキュ、カニ、カーネーション、カノコソウ、カモミル、カヤプテ、カラシ、カラスウリ、カラスビシャク、ガラナ、カラムス、ガランガ、カーラント、カリッサ、カリン、カルダモン、ガルバナム、カレー、カワミドリ、カンゾウ、ガンビア、カンラン、キウィーフルーツ、キカイガラタケ、キキョウ、キク、
【0023】
キクラゲ、キササゲ、ギシギシ、キダチアロエ、キナ、キハダ、キバナオウギ、ギボウシ、ギムネマシルベスタ、キャットニップ、キャラウェー、キャロップ、キュウリ、キラヤ、キンミズヒキ、グァバ、グァヤク、クコ、クサスギカズラ、クサボケ、クズ、クスノキ、クスノハガシワ、グーズベリー、クチナシ、クベバ、クマコケモモ、グミ、クミン、グラウンドアイビー、クララ、クラリセージ、クランベリー、クリ、クルミ、クリーム、グレインオブパラダイス、クレタディタニー、グレープフルーツ、クローバー、クローブ、クロモジ、クワ、クワッシャ、ケイパー、ゲットウ、ケード、ケブラコ、ゲルマンダー、ケンチュール、ケンポナシ、ゲンノショウコ、コウジ、コウダケ、コウチャ、コウホネ、コカ、コガネバナ、コクトウ、コクルイ、ココナッツ、
【0024】
ゴシュユ、コショウ、コスタス、コストマリー、コパイパ、コーヒー、コブシ、ゴボウ、ゴマ、コーラ、コリアンダー、コルツフート、ゴールデンロッド、コロンボ、コンサイ、コンズランゴ、コンフリー、サイプレス、魚、サクラ、サクランボ、ザクロ、サケカス、ササ、ササクサ、サーチ、サッサフラス、サフラン、サポジラ、サボテン、サラシナショウマ、サルサパリラ、サルシファイ、サルノコシカケ、サンザシ、サンシュユ、サンショウ、サンタハーブ、サンダラック、サンダルウッド、サンダルレッド、シイタケ、ジェネ、シソ、シダー、シトラス、シトロネラ、シヌス、シベット、シマルーバ、シメジ、シャクヤク、ジャスミン、ジャノヒゲ、ジャボランジ、シャロット、シュクシャ、ジュニパーベリー、ショウガ、ショウユ、ショウユカス、
【0025】
ジョウリュウシュ、ショウロ、シロタモギタケ、ジンセン、シンナモン、酢、スイカ、スイセン、スギ、スターアニス、スターフルーツ、スチラックス、スッポン、スッポンタケ、ズドラベッツ、スネークルート、スパイクナード、スプルース、スペアミント、スベリヒユ、スローベリー、セイボリー、セキショウ、セージ、ゼドアリー、セネガ、ゼラニウム、セロリー、センキュウ、センタウリア、センゲン、セントジョーンズウォルト、センナ、ソース、ダイオウ、ダイズ、タイム、タケノコ、タコ、タデ、ダバナ、タマゴ、タマゴタケ、タマネギ、タマリンド、ダミアナ、タモギタケ、タラゴン、タラノキ、タンジー、タンジェリン、タンポポ、チェリモラ、チェリーローレル、チェリーワイルド、チガヤ、チコリ、チーズ、チチタケ、チャイブ、チャービル、チャンパカ、チュベローズ、チョウセンゴミシ、チラータ、ツクシ、ツケモノ、ツタ、
【0026】
ツバキ、ツユクサ、ツリガネニンジン、ツルドクダミ、ディアタング、ティスル、ディタニー、ディル、デーツ、テンダイウヤク、テンマ、トウガラシ、トウキ、ドウショクブツタンパクシツ、ドウショクブツユ、トウミツ、トウモロコシ、ドクダミ、トチュウ、ドッググラス、トマト、ドラゴンブラッド、ドリアン、トリュフ、トルーバルサム、トンカ、ナギナタコウジュ、ナシ、ナスターシャム、ナッツ、ナットウ、ナツメ、ナツメグ、ナデシコ、ナメコ、ナラタケ、ニアウリ、ニュウサンキンバイヨウエキ、ニンジン、ニンニク、ネズミモチ、ネットル、ネムノキ、ノットグラス、バイオレット、パイナップル、ハイビスカス、麦芽、ハコベ、バジル、ハス、ハスカップ、パースカップ、パセリ、バター、バターオイル、バターミルク、バーチ、ハチミツ、パチュリー、
【0027】
ハッカ、バックビーン、ハッコウシュ、ハッコウニュウ、ハッコウミエキ、パッションフルーツ、ハツタケ、バッファローベリー、ハトムギ、ハナスゲ、バナナ、バニラ、ハネーサックル、パパイヤ、バーベリー、ハマゴウ、ハマスゲ、ハマナス、ハマボウフウ、ハマメリス、バラ、パルマローザ、バンレイシ、ヒキオコシ、ヒシ、ピスタチオ、ヒソップ、ヒッコリー、ピーナッツ、ヒノキ、ヒバ、ピプシシワ、ヒメハギ、ヒヤシンス、ヒラタケ、ビワ、ビンロウ、フェイジョア、フェネグリーク、フェンネル、フジバカマ、フジモドキ、フスマ、フーゼルユ、プチグレイン、ブチュ、ブドウ、ブドウサケカス、フトモモ、ブナ、ブナハリタケ、ブラックキャラウェイ、ブラックベリー、プラム、ブリオニア、プリックリーアッシュ、プリムローズ、プルネラ、
【0028】
ブルーベリー、ブレッドフルーツ、ヘイ、ベイ、ヘーゼルナッツ、ベチバー、ベーテル、ベニバナ、ペニーロイヤル、ペパーミント、ヘビ、ペピーノ、ペプトン、ベルガモット、ベルガモットミント、ペルーバルサム、ベルベナ、ベロニカ、ベンゾイン、ボアドローズ、ホアハウンド、ホウ、ホウキタケ、ホウショウ、ボウフウ、ホエイ、ホオノキ、ホースミント、ホースラディッシュ、ボタン、ホップ、ポピー、ポプラ、ポポー、ホホバ、ホヤ、ボルドー、ボロニア、マイタケ、マグウォルト、マシュマロー、マジョラム、マスティック、マソイ、マタタビ、マチコ、マツ、マツオウジ、マッシュルーム、マツタケ、マツブサ、マツホド、マテチャ、マメ、マリーゴールド、マルバダイオウ、マルメロ、マレイン、マロー、マンゴー、マンゴスチン、ミカン、ミシマサイコ、
【0029】
ミソ、ミツマタ、ミツロウ、ミート、ミモザ、ミョウガ、ミルク、ミルテ、ミルフォイル、ミルラ、ミロバラン、ムギチャ、ムスク、ムラサキ、メスキート、メドウスィート、メハジキ、メープル、メリッサ、メリロット、メロン、モウセンゴケ、モニリアバイヨウエキ、モミノキ、モモ、モロヘイヤ、ヤクチ、ヤマモモ、ユーカリ、ユキノシタ、ユズ、ユッカ、ユリ、ヨウサイ、ヨロイグサ、ライオンズフート、ライチ、ライフエバーラスティングフラワー、ライム、ライラック、ラカンカ、ラカンショウ、ラズベリー、ラタニア、ラディッシュ、ラブダナム、ラベンダー、ラングウォルト、ラングモス、ランブータン、リキュール、リーク、リツェア、リナロエ、リュウガン、リョウフンソウ、リョクチャ、リンゴ、リンデン、リンドウ、ルー、ルリジサ、レセダ、レモン、レンギョウ、レンゲ、レンブ、ローズマリー、ロベージ、ローレル、ロンゴザ、ワサビ、ワタフジウツギ、ワームウッド、ワームシード、ワラビ、ワレモコウなどから得られる天然香料などが例示され、適宜選択して使用される。
【実施例】
【0030】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例の記載に限定されるものではない。
【0031】
〔I〕呈味付与剤の製造例
以下の実施例及び比較例における原材料のマンゴーピューレ、ドライマンゴー、ピーチピューレ、ストロベリーピューレ、バナナピューレ、アプリコットピューレ、グァバピューレ、パッションフルーツ果汁、パパイヤピューレ及びウメペーストは、いずれも市販品を使用した。
【0032】
[実施例1]
マンゴーピューレ(3倍濃縮)150gを92.4質量%エタノール水溶液150gで、加熱還流にて1時間抽出した後、遠心分離により溶媒不溶物を除去して抽出液240gを得た。
この抽出液に92.4質量%エタノール水溶液120gを配合し、撹拌均一化した後−5℃で一晩静置し、濾過により不溶物を分離・清澄化させ、濾液330gを得た。
この濾液を減圧下で濃縮を行い、濃縮液60gを得た後、濃度調整によって固形分濃度35%、エタノール濃度(溶剤比)50質量%のマンゴーエキス100gを得た。撹拌均一化した後−5℃で一晩静置し、濾過により不溶物を分離・清澄化させ、本発明の呈味付与剤を得た(エキス1)。
【0033】
[実施例2]
マンゴーピューレ(ストレート)100gを50質量%エタノール水溶液300gで、加熱還流にて1時間抽出した後、遠心分離により固形分濃度3.8%、エタノール濃度(溶剤比)45質量%の抽出液370gを得た。
この抽出液を−5℃で一晩静置し、濾過により不溶物を分離・清澄化させ、本発明の呈味付与剤を得た(エキス2)。
【0034】
[実施例3]
ドライマンゴー100gを50質量%エタノール水溶液300gで、加熱還流にて1時間抽出した後、遠心分離により溶媒不溶物を除去して固形分濃度21%、エタノール濃度(溶剤比)47質量%の抽出液290gを得た。
この抽出液を−5℃で一晩静置し、濾過により不溶物を分離・清澄化させ、本発明の呈味付与剤を得た(エキス3)。
【0035】
[比較例1]
ピーチピューレ150gを92.4質量%エタノール水溶液150gで、加熱還流にて1時間抽出した後、遠心分離により溶媒不溶物を除去して抽出液260gを得た。
この抽出液に92.4質量%エタノール水溶液130gを配合し、撹拌均一化した後−5℃で一晩静置し、濾過により不溶物を分離・清澄化させ、濾液360gを得た。
この濾液を減圧下で濃縮を行い、濃縮液55gを得た後、濃度調整によって固形分濃度10%、エタノール濃度(溶剤比)50質量%のエキス95gを得た。撹拌均一化した後−5℃で一晩静置し、濾過により不溶物を分離・清澄化させ、比較例のピーチエキスを得た(エキス4)。
【0036】
[比較例2]
ストロベリーピューレ(Brix24)100gを92.4質量%エタノール水溶液100gで、加熱還流にて1時間抽出した後、遠心分離により溶媒不溶物を除去して抽出液170gを得た。
この抽出液に92.4質量%エタノール水溶液85gを配合し、撹拌均一化した後−5℃で一晩静置し、濾過により不溶物を分離・清澄化させ、濾液250gを得た。
この濾液を減圧下で濃縮を行い、濃縮液45gを得た後、濃度調整によって固形分濃度25%、エタノール濃度(溶剤比)50質量%のエキス70gを得た。撹拌均一化した後−5℃で一晩静置し、濾過により不溶物を分離・清澄化させ、比較例のストロベリーエキスを得た(エキス5)。
【0037】
[比較例3]
バナナピューレ140gを92.4質量%エタノール水溶液140gで、加熱還流にて1時間抽出した後、遠心分離により溶媒不溶物を除去して抽出液220gを得た。
この抽出液に92.4質量%エタノール水溶液110gを配合し、撹拌均一化した後−5℃で一晩静置し、濾過により不溶物を分離・清澄化させ、濾液320gを得た。
この濾液を減圧下で濃縮を行い、濃縮液50gを得た後、濃度調整によって固形分濃度20%、エタノール濃度(溶剤比)50質量%のエキス80gを得た。撹拌均一化した後−5℃で一晩静置し、濾過により不溶物を分離・清澄化させ、比較例のバナナエキスを得た(エキス6)。
【0038】
[比較例4]
アプリコットピューレ(ストレート)170gを92.4質量%エタノール水溶液170gで、加熱還流にて1時間抽出した後、遠心分離により溶媒不溶物を除去して抽出液280gを得た。
この抽出液に92.4質量%エタノール水溶液140gを配合し、撹拌均一化した後−5℃で一晩静置し、濾過により不溶物を分離・清澄化させ、濾液400gを得た。
この濾液を減圧下で濃縮を行い、濃縮液55gを得た後、濃度調整によって固形分濃度10%、エタノール濃度(溶剤比)50質量%のエキス100gを得た。撹拌均一化した後−5℃で一晩静置し、濾過により不溶物を分離・清澄化させ、比較例のアプリコットエキスを得た(エキス7)。
【0039】
[比較例5]
グァバピューレ170gを92.4質量%エタノール水溶液170gで、加熱還流にて1時間抽出した後、遠心分離により溶媒不溶物を除去して抽出液290gを得た。この抽出液に92.4質量%エタノール水溶液145gを配合し、撹拌均一化した後−5℃で一晩静置し、濾過により不溶物を分離・清澄化させ、濾液420gを得た。
この濾液を減圧下で濃縮を行い、濃縮液55gを得た後、濃度調整によって固形分濃度10%、エタノール濃度(溶剤比)50質量%のエキス95gを得た。撹拌均一化した後−5℃で一晩静置し、濾過により不溶物を分離・清澄化させ、比較例のグァバエキスを得た(エキス8)。
【0040】
[比較例6]
パッションフルーツ果汁170gを92.4質量%エタノール水溶液170gで、加熱還流にて1時間抽出した後、遠心分離により溶媒不溶物を除去して抽出液300gを得た。
この抽出液に92.4質量%エタノール水溶液150gを配合し、撹拌均一化した後−5℃で一晩静置し、濾過により不溶物を分離・清澄化させ、濾液420gを得た。
この濾液を減圧下で濃縮を行い、濃縮液70gを得た後、濃度調整によって固形分濃度15%、エタノール濃度(溶剤比)50質量%のエキス120gを得た。撹拌均一化した後−5℃で一晩静置し、濾過により不溶物を分離・清澄化させ、比較例のパッションフルーツエキスを得た(エキス9)。
【0041】
[比較例7]
パパイヤピューレ170gを92.4質量%エタノール水溶液170gで、加熱還流にて1時間抽出した後、遠心分離により溶媒不溶物を除去して抽出液280gを得た。
この抽出液に92.4質量%エタノール水溶液140gを配合し、撹拌均一化した後−5℃で一晩静置し、濾過により不溶物を分離・清澄化させ、濾液400gを得た。
この濾液を減圧下で濃縮を行い、濃縮液60gを得た後、濃度調整によって固形分濃度12%、エタノール濃度50質量%(溶剤比)のエキス115gを得た。撹拌均一化した後−5℃で一晩静置し、濾過により不溶物を分離・清澄化させ、比較例のパパイヤエキスを得た(エキス10)。
【0042】
[比較例8]
ウメペースト110gを92.4質量%エタノール水溶液74gで、40℃にて1時間抽出した後、遠心分離により溶媒不溶物を除去して固形分濃度22%、エタノール濃度(溶剤比)47質量%の抽出液130gを得た。
この抽出液を−5℃で一晩静置し、濾過により不溶物を分離・清澄化させ、比較例のウメエキスを得た(エキス11)。
【0043】
〔II〕呈味付与剤の評価
[試験例1](マンゴーベース飲料)
グラニュー糖80g、クエン酸0.8gを、水1000gで調整した酸入りシロップに、マンゴーフレーバー(当社製)添加し、マンゴーベースを製造した。
上記製造例で得られたエキス1を0.05%(質量比)添加したものと、エキス1を添加したものと固形分濃度が同等となるようにエキス2〜11を添加したものを作成し、シロップ飲料を製造した。
各添加率を表1に示した。
【0044】
[試験例2](アップルベース飲料)
グラニュー糖80g、クエン酸0.8gを、水1000gで調整した酸入りシロップに、アップルフレーバー(当社製)添加し、アップルベースを製造した。
上記製造例で得られたエキス1を0.05%(質量比)添加したものと、エキス1を添加したものと固形分濃度が同等となるようにエキス2〜11を添加したものを作成し、シロップ飲料を製造した。
各添加率を表1に示した。
【0045】
【表1】

【0046】
[官能評価1]
試験例1、2の各飲料について、熟練したパネル7名により官能評価を行った。
何も添加していない飲料をコントロール(4点)として、「呈味」、「異味異臭」について、非常に強い(7点)〜ない、又は非常に弱い(1点);「嗜好性」(ベースフレーバーとの相性の良さ)については、非常に高い(7点)〜非常に低い(1点);とする7段階評価を行った。
評価点の平均点を表2、3に示した。
【0047】
【表2】

【0048】
【表3】

【0049】
以上の結果より、マンゴーを原料とする本発明の呈味付与剤(エキス1〜3)は、その他のフルーツで作ったエキス4〜11よりも呈味が強く、嗜好性が高く、その一方で異味異臭は弱いことがわかった。
よって、飲食品自体の風味に違和感を与えることなく、呈味をより自然で天然らしい、好ましいものに変える効果があるといえる。
【0050】
[試験例3]
グラニュー糖80g、クエン酸0.8gを、水1000gで調整し、酸入りシロップを製造した。
この酸入りシロップに、本発明の呈味付与剤(エキス1)を50%配合した香料組成物を0.1%賦香してシロップ飲料を製造した。また、コントロールとして、呈味付与剤(エキス1)無配合の香料組成物0.1%で賦香した酸入りシロップ飲料を製造した。
【0051】
[官能評価2]
試験例3で製造した飲料について、熟練したパネル10名により官能評価を行い、本発明の呈味付与剤(エキス1)を配合しない香料組成物を添加したシロップ飲料をコントロール(4点)として、「呈味」、「果実感」、「果汁感」、「フルーティー」について、非常に強い(7点)〜ない、又は非常に弱い(1点);とする7段階評価を行った。
評価点の平均点を表4に示した。
【0052】
【表4】

【0053】
上記に示すとおり、本発明の呈味付与剤の添加により、香料組成物の本来の香りに悪影響を及ぼすことなく、より自然で天然らしい呈味を付与できることがわかった。
【0054】
[試験例4]
アスパルテーム0.5g、クエン酸1.0gを、水1000gで調整した酸入りシロップに、オレンジフレーバー(当社製)添加し、オレンジベースを製造した。
本発明の呈味付与剤(エキス1)を0.05%(質量比)添加し、シロップ飲料を製造した。コントロールとして、本発明の呈味付与剤(エキス1)が無添加のものを用意した。
【0055】
[官能評価3]
試験例4で製造した飲料について、熟練したパネル5名により官能評価を行った。
香味のコメントを表5に示した。
【0056】
【表5】

【0057】
上記に示すとおり、本発明の呈味付与剤の添加により、高甘味度甘味料を含む飲料に対して、より自然な呈味感や重厚感を付与できることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の呈味付与剤を飲食品に添加することにより、飲食品の呈味を強くするとともに、飲食品の呈味をより自然で天然らしい、好ましいものに変える効果があり、各種の飲食品に幅広く利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンゴー果実の溶媒による抽出物を有効成分として含有することを特徴とする呈味付与剤。
【請求項2】
マンゴー果実が、果皮を除去した果肉のピューレ状又は乾燥物状の加工形態である請求項1に記載の呈味付与剤。
【請求項3】
溶媒が、極性有機溶媒又は水と極性有機溶媒の混合溶媒である請求項1又は2に記載の呈味付与剤。
【請求項4】
溶媒が、50〜99質量%のエタノール水溶液である請求項3に記載の呈味付与剤。
【請求項5】
溶媒の使用量が、マンゴー果実に対して質量で0.75〜10倍である請求項1〜4のいずれか1項に記載の呈味付与剤。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の呈味付与剤を含有する香味料組成物。
【請求項7】
請求項6記載の香味料組成物を添加したことを特徴とする飲食品。
【請求項8】
マンゴー果実を、質量で0.75〜10倍の溶媒を使用して40〜95℃の温度条件下で抽出処理し、溶媒不溶物を除去して抽出液を得る工程、
次いで、必要に応じて、当該抽出液を乾燥して粉末状にする工程、或いは当該抽出液を濃縮してペースト状にする工程、
からなることを特徴とする呈味付与剤の製造方法。

【公開番号】特開2013−27328(P2013−27328A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164049(P2011−164049)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(591011410)小川香料株式会社 (173)
【Fターム(参考)】