説明

呈味改善剤

【課題】安全で長期に摂取しうる呈味改善剤を提供すること、また、呈味改善剤を用いた飲食品を提供すること、特に、野菜ジュース、トマト加工飲料、豆乳などの異味の改善、嗜好性の低さを改良することを目的とする。
【解決手段】本発明は、マンゴスチン原料を極性溶媒で抽出した処理物からなる飲食品の呈味改善剤、該呈味改善剤を含有する飲食品、及び該呈味改善剤の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食品の呈味を改善するマンゴスチン抽出物及びその製造方法、該呈味改善剤を含有する香味料、及び有効量の該呈味改善剤を含有する飲食品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食の欧米化により、野菜の摂取量が減少している。野菜ジュースは、各種のビタミン、ミネラル、植物性繊維、その他微量栄養素を豊富に含み、かつ、簡便に摂取できるため、野菜不足の解消、栄養補給、健康維持、美容などの目的としで飲用されている。しかしながら、多くの野菜ジュースには独特の青臭さ、野菜臭さを有するため、飲用に抵抗を持つ人も多い。豆乳飲料、トマト加工飲料でも同様の傾向が見られる。
【0003】
また、果汁入り飲料についても、各種ビタミンなどを豊富に含むことから、栄養補給、健康維持、美容等の目的として飲用されている。しかし、100%果汁入り飲料(特に柑橘類になど)には独特の苦味成分が多く含まれることから、果汁飲料における苦味のマスキングも課題とされている。また、果汁の種類によって、独特の風味を有し、忌避される場合もある。
【0004】
近年多く発売されるようになったアミノ酸入り飲料は、筋肉疲労軽減やスタミナ維持、代謝亢進などの健康維持を目的として飲用されている。しかし、イソロイシン、ロイシン、バリン、セリン、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、リジン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン、プロリンなどの多くのL型アミノ酸が、濃度によっては苦味を有することが分かっている。実際、アミノ酸飲料は、苦味を呈することが多く、アミノ酸による苦味をマスキングすることが課題とされている。
【0005】
飲料の異味の低減には、ペプチドを添加する方法(例えば、特許文献1参照)やトレハロースを添加する方法(例えば、特許文献2参照)などがある。また、高甘味度甘味料であるネオテームを添加する方法(例えば、特許文献3参照)が報告されているが、高甘味度甘味料はそれ自身に苦味や金属味などの異味があり、異味をマスキングするために使用量を増やすと渋みをマスキングする一方で、嗜好性に影響を及ぼすことがあるといった課題もある。しかし、いずれにしても、最近では消費者の添加物に対する意識が強くなっており、安全性をイメージしやすい、天然素材が求められている。また、味、臭いに特異な厭味が少ないことを求める傾向とともに、糖類や塩類についてはその使用量を抑制する傾向にある。
【0006】
マンゴスチン(Mangosteen 学名:Garcinia mangostana L.)は、東南アジアを原産とするオトギリソウ科の植物である。マンゴスチンの果実又は果皮は、伝統的に、赤痢や伝染性下痢症の治療薬、抗菌や寄生虫駆除、マラリア、尿路感染症、梅毒、淋病の治療薬などとして使用されている(例えば、非特許文献1参照)。また、5α−レダクターゼ阻害剤(例えば、特許文献4参照)、美白・抗炎症作用(例えば、特許文献5参照)、IκBキナーゼ阻害剤(例えば、特許文献6参照)としての利用法も知られている。しかしながら、本発明のように、呈味改善作用を有することについては何ら知られていない。
また、マンゴスチンジュースの製造工程において果皮等を含む搾汁残渣が多量に副生されるが、上記の効果を訴求した商品への利用は少なく、通常はほとんどが廃棄されている。搾汁残渣は、腐敗しやすく、公害防止の観点からも処理策が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−278917号公報
【特許文献2】特許3270013号公報
【特許文献3】特開2009−240297号公報
【特許文献4】特開平5−17365号公報
【特許文献5】特開平4−244004号公報
【特許文献6】特開2010−195831公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Food and Chemical Toxicology 2008 Vol.46 3227−3239
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、飲食品が本来有する味を損なうことなく、安全かつ安価に、飲食品の青臭さ(野菜臭さ、豆臭さなど)、苦味、エグ味などの異味を低減すると共に、コクの付与、甘みの付与などの有益な作用を兼ね備えた呈味改善剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、マンゴスチン抽出物が飲食品、特に野菜ジュース飲料、トマト加工飲料、豆乳などの飲料の風味を改善し、嗜好性が向上させることを発見した。また、本発明は、マンゴスチン抽出物を0.01%以上添加したことを特徴とする飲食品であり、また、キサントン類を0.01%以上含有する呈味改善剤である。
【0011】
本発明者による前記の知見に基づく本発明は、以下の通りである:
(1)マンゴスチン果実、果汁、濃縮果汁、搾汁残渣、果皮及び/又はこれらの乾燥物から選ばれる1種又は2種以上の原料を極性溶媒で抽出した処理物からなる、飲食品の呈味改善剤。
(2)極性溶媒がエタノール溶媒である、上記(1)記載の呈味改善剤。
(3)キサントン類を0.01%以上含有する、上記(1)〜(2)記載の呈味改善剤。
(4)α−マンゴスチンを0.01%以上含有する、上記(1)〜(2)記載の呈味改善剤。
(5)上記(1)〜(4)の呈味改善剤を0.01〜10%含有する、飲食品。
(6)野菜ジュース、果汁ジュース又は豆乳である、上記(5)記載の飲食品。
(7)マンゴスチン果実、果汁、濃縮果汁、搾汁残渣、果皮及び/又はこれらの乾燥物から選ばれる1種又は2種以上の原料を、極性溶媒として10体積%以上90体積%未満のエタノール溶媒を用いて抽出する工程を含むキサントン類を含む呈味改善剤の製造方法。
(8)飲食品に上記(1)〜(4)記載の呈味改善剤を添加する工程を含む呈味改善方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、飲食品、特に野菜ジュース飲料、トマト加工飲料、豆乳の風味を改善し、嗜好性を向上させた飲料を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0014】
本発明の呈味改善剤は、マンゴスチン果実、果汁、濃縮果汁、搾汁残渣、果皮及び/又はこれらの乾燥物から選ばれる1種又は2種以上の原料(以下、単に「マンゴスチン原料」と略記する場合がある)を極性溶媒で抽出した処理物である(以下、極性溶媒を用いた抽出処理をして得られる処理物を単に「マンゴスチン抽出物」と略記する場合がある)。
【0015】
マンゴスチン原料は、特に限定されず、マンゴスチン果実や果皮等の固形分を含んでいてもよく、マンゴスチン果実や果皮等の固形分をろ過により除去した溶液であってもよい。
【0016】
マンゴスチンジュースなどに用いるマンゴスチンの搾汁液は、マンゴスチン果実を洗浄し、果皮を除き、破砕したのち、これを搾汁して得られる。この搾汁の過程において、搾汁残渣や果皮が発生する。搾汁残渣や果皮にはキサントン類が豊富に含まれている。
上記搾汁残渣や果皮は、一般的に廃棄されるか、家畜飼料となるが、この搾汁残渣や果皮を用いれば、廃棄原料を有効利用でき、しかも高濃度のキサントン類を含む組成物を容易に効率よく得ることができるため好ましい。
【0017】
マンゴスチン原料の極性溶媒を用いた抽出の温度は、0℃〜極性溶媒の沸点程度であり、通常は常温で行う。極性溶媒としてエタノールを使用する場合、抽出効率の観点から、0℃以上55℃未満が好ましく、5℃以上40℃以下がより好ましい。作業容易性の観点から、室温程度の25℃前後で抽出を行うことが特に好ましい。
抽出時間は、1分〜24時間が好ましいが、これより長時間抽出を行っても良い。抽出は、静置、攪拌のいずれでもよい。マンゴスチン原料に1〜50倍量、好ましくは5〜20倍量程度の極性溶媒を加え抽出することによって、マンゴスチン抽出物を得ることができる。抽出効率を高めるため、マンゴスチン原料は乾燥品であってもよい。
【0018】
極性溶媒としては、食品添加物の抽出溶剤となり得る極性溶媒であれば特に限定されず、例えば、アセトン、エタノール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸エチル、酢酸メチル、ジエチルエーテル、シクロヘキサン、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,2−トリクロロエテン、1−ブタノール、2−ブタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、プロピレングリコール、ヘキサン、水、メタノール等から選択される1又は複数の有機溶媒を用いることができる。
これらのうち好ましくは、エタノール(10体積%以上90体積%未満)、メタノール(10体積%以上90体積%未満)、1−ブタノール(30体積%以上90体積%未満)及びヘキサン(5体積%70体積%未満)から選択される有機溶媒を用いることができ、最も好ましくはエタノールを用いることができる。
例えば、極性溶媒として、10体積%以上90体積%未満のエタノール溶媒を用いることができ、好ましくは30体積%以上70体積%以下のエタノール溶媒を用いることができ、より好ましくは70体積%程度のエタノール溶媒用いることができる。なお、70体積%のエタノール溶媒とは、水とエタノールの体積比3:7の混合物を指す。
【0019】
本発明におけるマンゴスチン抽出物は、溶液状やピューレ状であってもよく、適当な濃度まで減圧濃縮又は膜濃縮することによって濃厚な液状組成物とすることも可能である。マンゴスチン抽出物を乾燥させて得られる固形物であってもよい。
【0020】
極性溶媒を用いた抽出処理をして得られるマンゴスチン抽出物は、溶液状物をドラム式乾燥、噴霧乾燥又は凍結乾燥したものであってもよく、乾燥物とすることにより保存安定性に優れる。
【0021】
マンゴスチン抽出物の添加量は、呈味改善剤としての精製度によっても多少異なるが、本発明のマンゴスチン抽出物が、味・臭いに特異な厭味が少ないことから、比較的広範な濃度で添加することができる。本発明のマンゴスチン抽出物を果汁、野菜ジュース、トマト加工飲料、ミックスジュース、豆乳等の飲食品に配合した場合、マンゴスチン抽出物を添加しても、果汁、野菜ジュース、トマト加工飲料、ミックスジュース、豆乳の本来の味が損なわれず、マンゴスチン抽出物を添加しない飲食品と比較して風味が損なわれない。
マンゴスチン抽出物を飲料に添加する場合には、1,000mL当り、乾燥物換算で、好ましくは10mg〜25,000mg、より好ましくは100mg〜10,000mgである。
【0022】
マンゴスチン抽出物には、キサントン類を0.01%以上含有することが望ましい。αーマンゴスチン、βーマンゴスチン、γーマンゴスチン、ガルタニン及び8−デオキシガルタニンの総量をキサントン類の総量として規定することができる。
キサントン類は、マンゴスチン抽出物をDMSOに溶解し、試料溶液をフィルター(0.45μm)で濾過し、逆相系カラムを装着した高速液体クロマトグラフを用いて分析することができる。移動相A液は、0.1%ギ酸を含有した蒸留水、移動相B液は0.1%ギ酸を含有したアセトニトリル溶液とし、試料注入量は10μLとして、検出はフォトダイオードアレイ検出器により行うことができる。
【0023】
マンゴスチン抽出物中のα−マンゴスチン量は、0.001%以上含有することが望ましく、より好ましくは0.01%以上である。飲食品としては、0.0001%以上含有することが望ましい。しかしながら、長期間に亘って健康維持の目的で摂取する場合には、上記範囲より少量であってもよい。
【0024】
本発明のマンゴスチン抽出物は、呈味改善剤としてばかりでなく、そのまま飲食品として、特定保健用食品、栄養機能食品、健康食品、機能性食品、健康補助食品等として利用できる他、更に食品添加物、例えば、甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、苦味料、酸味料、乳化剤、強化剤、製造用剤及び香料などを添加して各種製剤として用いることもでき、清涼飲料水や食品に配合する香味料組成物としても利用することができる。
【0025】
飲食品として好ましい形態は、飴、ゼリー、錠菓、飲料、スープ、麺、煎餅、和菓子、冷菓、焼き菓子等の食品や飲料であり、好ましくは、果汁飲料、野菜ジュース、果物野菜ジュース、茶飲料、コーヒー飲料、スポーツドリンク等の容器詰飲料である。
【0026】
マンゴスチン抽出物の飲食品、ダイエット用の組成物としての摂取量は、用途に応じて適宜調整することができるが、乾燥物換算で、好ましくは1回10mg〜25,000mgであり、より好ましくは1回100mg〜10,000mg、さらに好ましくは1回100mg〜1,000mgである。摂取回数は、特に限定されないが、好ましくは1日1〜3回であり、必要に応じて摂取回数を増減してもよい。
【0027】
本発明のマンゴスチン抽出物は、医薬品として、薬学的に許容可能な賦形剤を添加して、医薬製剤として用いることができる。医薬製剤としては、粉末、顆粒、錠剤等の公知の剤型に製剤化して用いることができ、液体、ペースト等の液剤として用いることもできる。
【0028】
医薬製剤としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、液剤、シロップ剤、チュアブル、トローチ等の経口剤、注射剤、舌下剤、吸入剤、点眼剤、坐剤等の剤形として用いることができる。医薬製剤の剤形として、好ましくは、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、注射剤である。
【0029】
マンゴスチン抽出物の医薬品としての投与量は、個々の薬剤の活性、患者の症状、年齢、体重等の種々の条件により適宜調整することができるが、例えば、乾燥物換算で、好ましくは1回10mg〜25,000mgであり、より好ましくは1回100mg〜10,000mg、さらに好ましくは1回100mg〜1,000mgである。マンゴスチン抽出物に含まれるα−マンゴスチンとしては1回0.1mg〜25mgであり、好ましくは1mg〜10mgである。投与回数は、特に限定されないが、好ましくは1日1〜3回であり、必要に応じて投与回数を増減してもよい。
上記医薬製剤は、抗ストレス(ストレス解消)用、リラックス用、抗不安用、精神安定用、鎮静用、興奮抑制用、行動障害改善用、衝動性抑制用、情動障害改善用、又は多動性抑制用の用途として期待できる。また、動物、中でも哺乳類(イヌ、ネコ、ウシ、ウマなどが挙げられる)においても同様である。
【実施例】
【0030】
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0031】
[実施例1]
(1)マンゴスチン抽出物の製造
タイから100%果肉部を含むマンゴスチンジュース(以下、100%果肉部マンゴスチンジュース)、70%果肉部30%果皮抽出物を含むマンゴスチンジュース(以下、70%果肉部マンゴスチンジュース)を輸入した。果皮抽出物は、マンゴスチン果実を洗浄し、マンゴスチン果実ジュースを得る過程で発生した果皮を熱水で抽出した後、濾過して得られた果皮の熱水抽出液である。
それぞれ1Lのジュースに、4倍量の99.5%エタノールを加え、室温で2時間攪拌後、濾紙を用いて濾過し、液層をエバポレーターにより濃縮し、凍結乾燥することで、100%果肉部マンゴスチンジュースでは196g、70%果肉部マンゴスチンジュースでは142.7gの抽出物を得た。
得られた各抽出物をDMSOに溶解し、試料溶液をフィルター(0.45μm)で濾過し、逆相系カラム(Capcell Pak C18、4.6mm×250mm、資生堂社製)を装着した高速液体クロマトグラフ(型式600、Waters社製)を用いて分析した。移動相A液は0.1%ギ酸を含有した蒸留水、B液は0.1%ギ酸を含有したアセトニトリル溶液とし、試料注入量は10μL、検出はフォトダイオードアレイ検出器(型式2996、Waters社製)により行った。抽出物に含まれるキサントン類量の結果を表1に示す。
【0032】
【表1】

【0033】
[実施例2]
(2)マンゴスチン抽出物の含有飲料及び食品の官能評価
市販の野菜ジュース(食塩無添加)、トマト加工飲料(食塩無添加)、豆乳(無調製)に100%果肉部マンゴスチンジュース抽出物及び70%果肉部マンゴスチンジュース抽出物を1重量%含有する飲料をそれぞれ作製し、嗜好性、青臭さ(トマト臭さ、豆臭さを含む)に関してパネラー10又は11名による官能評価を行った。
抽出物を添加しない飲料(対照)の嗜好性及び青臭さの強さを5段階中3としたときの、各飲料の嗜好性及び青臭さの強さを5段階で評価し、パネラー10又は11名の評価の平均を算出した。結果を表2〜4に示す。*はコントロール群に対する各群のTukey法による有意差を示す。
70%果肉部マンゴスチンジュース抽出物及び100%果肉部マンゴスチンジュース抽出物を添加することで、野菜ジュース、トマト加工飲料、豆乳の甘みが増加した。70%果肉部マンゴスチンジュース抽出物を添加することで、野菜ジュースの青臭さが低減され、嗜好性が向上した飲料となった。トマトジュースでは、70%果肉部マンゴスチンジュース抽出物及び100%果肉部マンゴスチンジュース抽出物を添加することで、トマトジュースの青臭さ(トマト臭さ)が低減され、嗜好性が向上した。豆乳では、70%果肉部マンゴスチンジュース抽出物を添加することで、青臭さ(豆臭さ)が低減し、嗜好性が向上した。結果を表2〜4に示す。
【0034】
【表2】

【0035】
【表3】

【0036】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明のマンゴスチン抽出物を有効成分とする組成物は、飲食品(特に野菜ジュース、トマト加工飲料、豆乳)に添加することにより、甘みの増加、青臭さ(トマト臭さ、豆臭さ)の低減により風味が改善し、嗜好性を向上させることができる。また、天然物素材であるため、安全性も高く、長期摂取も可能である。本発明は、また、医薬品、飲食品等の分野で有用である。キサントン類を含むマンゴスチン抽出物を飲食品(特に野菜ジュース、トマト加工飲料、豆乳)に添加することにより、風味が損なわれず、負担なくキサントン類を継続摂取することが可能となる。さらに、本発明によれば、該組成物をマンゴスチン搾汁残渣より容易に効率よく分離することができるため、廃棄物の有効利用が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンゴスチン果実、果汁、濃縮果汁、搾汁残渣、果皮及び/又はこれらの乾燥物から選ばれる1種又は2種以上の原料を極性溶媒で抽出した処理物からなる、飲食品の呈味改善剤。
【請求項2】
極性溶媒がエタノール溶媒である、請求項1記載の呈味改善剤。
【請求項3】
キサントン類を0.01%以上含有する、請求項1〜2記載の呈味改善剤。
【請求項4】
α−マンゴスチンを0.01%以上含有する、請求項1〜2記載の呈味改善剤。
【請求項5】
請求項1〜4の呈味改善剤を0.01〜10%含有する、飲食品。
【請求項6】
野菜ジュース、果汁ジュース又は豆乳である、請求項5記載の飲食品。
【請求項7】
マンゴスチン果実、果汁、濃縮果汁、搾汁残渣、果皮及び/又はこれらの乾燥物から選ばれる1種又は2種以上の原料を、極性溶媒として10体積%以上90体積%未満のエタノール溶媒を用いて抽出する工程を含むキサントン類を含む呈味改善剤の製造方法。
【請求項8】
飲食品に請求項1〜4記載の呈味改善剤を添加する工程を含む呈味改善方法。

【公開番号】特開2013−94089(P2013−94089A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238447(P2011−238447)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000004477)キッコーマン株式会社 (212)
【Fターム(参考)】