説明

周囲において変化する軸方向の可撓性を有する管腔内医療装置

【課題】身体通路あるいは導管内でその曲がり部分に一致するように回転あるいは定位することができる拡張可能な管腔内医療装置を提供する。
【解決手段】筒状構造を呈する複数の構造部を有する植え込み可能な医療装置100である。複数の構造部は、長軸方向に定位された支柱部材108と円周方向に隣接する支柱部材を連結する複数の円弧状部材110との連続系列体として形成された複数の環状部106と、隣接する支柱部材および/または円弧状部材を架橋するように構成された結合要素114とを含む。筒状構造は、医療装置の長さに沿って延在する、相対的に高い軸方向の剛性を呈する第1の周囲セグメントおよび相対的に高い軸方向の可撓性を呈する第2の周囲セグメントを有する。相対的に高い軸方向の剛性を呈する第1の周囲セグメントは、長軸方向に延在する硬化ロッドを含む。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
この発明は、身体通路あるいは導管内で使用される拡張可能な管腔内医療装置に関するものであり、この管腔内医療装置は、装置の周囲において様々な程度の可撓性を呈する。
【0002】
〔発明の背景〕
管腔内の補綴装置の使用は、従来の血管手術の代替方法を与えるものであることが実証されてきた。管腔内の補綴装置は、動脈瘤の修復において血管の内層として、または血管に対して機械的な支持構造を設けると共に、狭窄あるいは閉塞した血管の崩壊を防止するため、共通して使用されている。
【0003】
血管内の補綴具では、血管あるいは脈管系内の他の管状構造体内に、ステント等、概ね管状の補綴装置を経皮的に挿入することが必要とされる。ステントは、通常は、扁平な(展開前の)状態で、カテーテルによって、脈管系内の特定位置まで送出される。一旦、ステントが所望の位置まで送出されると、ステントは、血管壁に向けて拡張されることによって、展開される。拡張されたステントは、通常は、圧縮状態でのステントの直径と比べて数倍の直径を有している。ステントの拡張は、機械的拡張装置(バルーンカテーテルを利用する拡張式ステント)あるいは自己拡張等、この技術分野における公知の方法によって実行されてもよい。
【0004】
ステントは、好ましくは、植え込み後にステント位置に生じる血栓症を最小限に抑制するために、最小の幅および壁厚を有している。好適なステントは、血管の弾性的反動に抗するに十分なフープ強度をも有している。現在の多くの管状ステントは、上述した要求を満たす目的で、直線的な縦長のコネクタか、波状の縦長の連結コネクタのいずれかによって連結された、多様な円周方向の組になった支柱部材(circumferential sets of strut members)を使用している。
【0005】
支柱部材は、通常、補綴装置の周囲で拡張する複数の支柱部材が存在しており、肘構造に類似した湾曲型または円弧型の部材に対して順に連結された、多くの斜め部分から形成されることができ、これにより閉環状(closed ring)の配置においてジグザグ構造を形成する。拡張した場合には、ステントは、血管の壁部を構造面で支持する。支柱部材は、単一の壁厚および概ね単一の支柱幅を有する金属製の単一部品から形成されてもよい。湾曲型の部材は、概ね単一の壁厚および概ね単一の幅を有するように形成されている。
【0006】
支柱部材の幾何学的構造は均一であるが、負荷を受けた状態で、各支柱部材が受ける歪みは均一ではない。ステントに対して、その特定の断面を横切るように加えられる「応力」とは、単位面積当たりの力である。応力の次元は、圧力であり、単位面積当たりのエネルギに等しい。ステントに対して加えられる応力は、ステントが展開中に受ける力を含み、かつ、ステントに対して血管の壁部によって加えられる単位面積当たりの反力を含むものである。結果としてステントが受ける「歪み」(変形)は、対象の断面に対して垂直な、わずかな拡張として定義される。
【0007】
展開および操作中に、各支柱部材は、その全長に沿って種々の負荷を受ける。強い応力および/または歪みは、鼓動している心臓の応力が存在する状態で、ステントに対して金属亀裂および潜在的な疲労による不具合を生じさせることになり得る。また、動脈の「拍動数」が、通常、毎分70回以上、すなわち、毎年、約4千万回であることから、上述した装置が10年間で10サイクルを超える負荷サイクルに耐えるように設計されるようにする必要があることを忘れてはならない。したがって、周期的疲労による不具合を防止することは、ステントの設計において、特に重要な検討事項である。装置の設計については、許容できる応力を保証するために物理的に検査され、かつ、分析的に評価されることが可能で、歪みの程度は、生理的負荷の条件に基づいて得られる。このような設計は、通常、伝統的な方法として、応力または歪みと装置寿命との関係を利用した(S-N)方法を用いてなされるものであり、設計および装置寿命予測は、数値的な応力予測と、加えられた応力または歪みと装置部品の全寿命との間の実験的に判断された関係との組み合わせに依存する。ここで、疲労荷重の説明を目的とすると、疲労荷重には、ステントの軸方向への負荷、屈曲負荷、捩れ負荷または捩り負荷、および/または、これらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されるものではない。この技術分野における当業者の一人は、他の疲労荷重の条件も検討され得るものと理解するだろう。
【0008】
分岐点は、血管が二つの枝または部分、すなわち、主枝血管および側枝血管に分割される位置である。一つ、二つまたは両方の枝血管は、屈曲状態あるいは曲がり状態を呈することがある。血管の分岐点は、概ね、非対称な円形部分を有する。すなわち、分岐した血管は、主枝血管が一つまたはそれ以上の枝に分割される箇所で、血管の周囲が非対称の形状を呈する。したがって、主枝血管に結合する箇所の側枝血管内の開口部は、非対称となることがある。側枝血管は、傾斜角度で、主枝血管に結合することがあり、これにより側枝血管の開口部を非対称に導くことになる。
【0009】
いずれにせよ、血管内の分岐部分または曲がり部分は、この部分にインプラントが展開される必要がある場合、課題を提示する可能性がある。インプラントが(治療効果を最大化するといった目的で、主枝血管または側枝血管のうちの一つの血管における曲がり状態に一致させる、などのために)特定の方位でなされる必要がある場合には、装置が曲がり状態に一致できるように、インプラントがその表面の少なくとも一部で可撓性を有すれば、有益となるだろう。
【0010】
ステント等の医療用インプラントは、その装置の他の周囲領域と比べて相対的に高い可撓性を呈する周囲領域を有し、これにより、少なくとも一つの曲がり方向で相対的に高い可撓性を呈する一方で、他の曲がり方向では相対的に高い剛性を呈する点で、有利であり、技術レベルを向上させるだろう。このようなインプラントの配置構成例では、ステントが少なくとも一つの方向に優先的に曲がり、これにより、この装置が展開位置に向かう途中において収縮状態で移動(traverse)する場合、装置は血管の湾曲部に一致することができ、あるいは、展開位置において、インプラントが曲がり部分で展開される場合には、展開された状態で血管の幾何学構造に一致することができる。同様に、このような可撓性および一致性は、血管が、血管内部を非線形状にする病変部を有する場合にも有利である。
【0011】
〔発明の概要〕
この発明は、医療用のインプラント等、拡張可能な管腔内医療装置に関するものであり、この装置は、その周囲に沿って様々な軸方向の可撓性または剛性を呈する領域を有している。一つの具体的な形態では、この発明は、実質的に円筒形状を有するステントであり、ステントには、その周囲において、様々な軸方向の可撓性、剛性あるいはその両方の特性が備えられている。すなわち、ステントには、装置周囲の少なくとも一つの領域において軸方向の可撓性あるいは軸方向の剛性を与える構造が備えられるか、あるいは、複数の領域において軸方向の可撓性および剛性を与える構造的特性が備えられてもよい。他の具体的な形態では、この発明は、身体通路内あるいは導管内で使用される拡張可能な管腔内医療装置に関するものである。この装置は、少なくとも他の一つの周囲領域よりも高い軸方向の可撓性を呈する少なくとも一つの周囲領域あるいはセグメントを有している。または、この装置は、少なくとも他の一つの周囲領域よりも高い軸方向の剛性を呈する少なくとも一つの周囲領域あるいはセグメントを有している。重ねて述べると、拡張可能な管腔内医療装置は、ステント等の医療用インプラントであってもよい。
【0012】
この発明の具体的な形態では、ステントは、少なくとも他の二つの領域よりも相対的に高い軸方向の可撓性を呈する少なくとも二つの領域を有している。別の形態としてのステントは、少なくとも他の二つの領域よりも相対的に高い軸方向の剛性を呈する少なくとも二つの領域を有している。この発明の、より具体的な形態では、これらの領域は、装置の周囲で交互に配置され、これにより、例えば、相対的に高い軸方向の可撓性を呈する既定の領域は、相対的に高い剛性を呈する領域の間に配置される(可撓性と剛性との関係が逆の場合もまた同じである)。
【0013】
この発明のより具体的な形態では、相対的に高い軸方向の可撓性を呈する領域は、装置の断面を横切って互いに対向するように配置され、かつ、相対的に高い軸方向の剛性を呈する領域は、装置を横切って互いに対向するように配置されている。より具体的な配置構成例では、高い可撓性を呈する領域は、互いに180°離れた位置関係になるように配置され、高い剛性を呈する領域は、互いに180°離れた位置関係になるように配置されている。
【0014】
この発明の具体的な形態では、医療用装置は、軸方向の可撓性および剛性を呈する領域を装置に与える構造的特性および/または構成により、実質的に一つの方向のみに曲げられる。この種の配置構造は、装置に一つのみの優先的な曲げ方向を与えるように、軸方向の剛性および可撓性を呈する領域を調整することによって、得られる。この特定の領域または側面は、曲がり部分の内側、すなわち短い側面になり、装置の他の領域よりも相対的に高い可撓性を呈する。
【0015】
相対的な剛性を呈する軸方向領域と、相対的な可撓性を呈する軸方向領域とを備えた、この発明の装置は、装置が、(1)血管内の分岐部分または曲がり部分を経由するか、(2)ガイドワイヤ内の曲がり部分または湾曲部分を越えて、移動するか、あるいは、(3)部材を湾曲経路内に押し入れる、血管内に配された他の偏心部分(eccentricities)を移動(traverse)する際、好ましい特徴である装置の定位を容易にすることができる。装置がその長軸回りに回転するのに十分な自由度を有する限り、装置は、その移動経路において最小抵抗の経路をとり、これにより、血管内の曲がり部分に一致するように、装置自体を回転させ、あるいは定位することができる。したがって、装置の定位は、血管あるいはガイドワイヤの曲がり方向に、装置の相対的な可撓性を呈する領域を位置合わせするため装置を回転させた結果として達成される。
【0016】
脈管構造の曲がり部分および湾曲部分を比較的容易に通過するように構成された点以外に、装置は、多くの有益な形で使用される。分岐部分あるいは分岐部分の近傍において展開されるステント等の装置は、分岐部分および、特に、側枝血管内の開口部の形状に一致させることを意図した、装置周囲の非対称形状という設計上の特徴を有してもよい。このような装置は、その周囲が適切に定位された状態で展開される必要があり、この適切な定位は、相対的な剛性を呈する領域および相対的な可撓性を呈する領域を血管にあてがうことによってなされ、これにより、装置が、血管内の湾曲部分に、自己定位(self-orient)される。このような自己定位という特性は、装置を通過するガイドワイヤによって、湾曲部分がいわば付与される場合に有用である。例えば、装置は、分岐した側枝血管内に挿入されるガイドワイヤ上を移動してもよく、これにより、適切に定位された装置が側枝血管内に展開される。他の例では、予め曲げられた部分を有するガイドワイヤは、血管の特徴が定位可能な状態になっていない箇所において、装置の定位を有効にするのに使用される。換言すれば、所望の位置でガイドワイヤに湾曲部分を配置することによって、装置が湾曲部分を移動(traverse)するときに、装置は、自己定位する。このような配置構成例は、血管の比較的に直線状のセグメント内で定位を行うことが望ましい場合に有利である。いずれにせよ、上述した配置構成例では、展開の目的であろうと、あるいは医療的に有用な他の目的であろうと、位置調整を目的とした装置の回転が容易になる。
【0017】
ヒトの動脈等、動物の血管内への医療用インプラントの植え込み時に、医療用インプラントは、血管の形状および幾何学的構造に一致するように位置調整される。この位置調整自体は、少なくとも二つの方法で行われる。第一に、インプラントは、血管の曲がり部分に適切に一致するよう調整された場合には、この血管内の湾曲部分あるいは曲がり部分に従って撓むか、あるいは曲がる。例えば、相対的に高い軸方向の可撓性を呈するインプラントの周囲領域は、動脈内の曲がり部分に沿って曲がるように調整され、それにより血管流路に一致することができる。このような配置構成例では、相対的に高い可撓性を呈するインプラントの少なくとも一つの周囲領域は、軸方向の張力を受けた状態にあり、一つの領域は、軸方向の圧縮を受けた状態にある。第二に、病変部の存在により、血管は、植え込みの標的部位において、非対称形状の断面を呈することがある。したがって、可撓性を呈する領域が病変部に接触するようにステントを調整することにより、ステントが、病変部が存在する領域に一致することができる。
【0018】
この発明のステントは、様々な軸方向の可撓性および剛性を呈する周囲領域を備えていることから、均一な剛性/可撓性を呈するステントと比べて、容易に展開できるはずである。ステントは、捩れた動脈流路を経由して送出されるように、所望の曲がり面に可撓性を与えるために調整され得る。ステントは、拡張工程中に、周囲の捩れを最小にするだろう。したがって、ステントの可撓性を呈する部分あるいは領域の方位は、植え込み後においても依然として、同一位置に残るだろう。
【0019】
ステントは、通常、送出装置によって、収縮状態で送出され、これにより、収縮状態のままで、血管内の湾曲部分あるいは曲がり部分を通過することになると理解されるはずである。この発明のステントは、収縮状態であろうと、あるいはその後の展開時(およびその展開の後)にステントが拡張した状態であろうと、血管内の湾曲部分あるいは曲がり部分に一致するように撓むことができる。
【0020】
〔発明の詳細な説明〕
図1は、ここではステントである医療装置例を示しており、この明細書の開示内容に従って変更できる医療装置を示している。医療装置100は、一つまたはそれ以上の環状部106を含み、これら環状部106は、近位側の開口端および遠位側の開口端を備えた筒状の構造を有しており、これら二つの開口端は、開口端間に延在する長軸を画定している。各環状部106は、実質的に長軸方向に定位された半径方向の支柱(radial strut)部材108と、隣接するこれらの支柱部材108を連結する複数の半径方向の円弧状(radial arc)部材110との連続系列体(continuous series)として形成されている。
【0021】
この発明の医療装置は、長軸方向で隣接する環状部106に結合された結合要素114を含む。この具体的な描写では、隣接する可撓性のある支柱116は、両方の端部が連結されることで、図1において、実質的にN字形状のような波形に似たパターンとなっている。図示されているように、結合要素114における、可撓性を呈する複数の円弧状部材118は実質的に半円形状を有すると共に、各円弧状部材118の中心に対して実質的に対称形状を有しており、これらの具体的な特徴は、この発明にとって必須とみなされるべきである。
【0022】
各結合要素114は二つの端部を有している。結合要素114の一端部は、一つの環状部、例えば環状部106(b)上の半径方向の円弧状部材110に取り付けられており、結合要素114の他端部は、隣接する環状部、例えば環状部106(c)上の別の半径方向の円弧状部材110に取り付けられている。結合要素114は、長軸方向で隣接する環状部106(a)〜106(d)を一緒に、半径方向の円弧状の結合領域117で結合する。図2は、図1の装置を拡張した状態で示している。この医療装置は、バルーン等の拡張式装置によって拡張されてもよく、あるいは、ニチノール等の自己拡張材料から構成されてもよい。
【0023】
医療装置は、多くの手段で、少なくとも他の領域よりも高い軸方向の可撓性を呈する少なくとも一つの領域を備えることができる。例えば、医療装置は、結合要素114の数、位置および設計上のパラメータを操作することによって、相対的に高い軸方向の可撓性を呈する領域および/または相対的に高い軸方向の剛性を呈する領域を備えることができる。この発明の第1の実施の形態では、図3に示されているように、相対的に高い軸方向の可撓性を呈する一つの領域は、結合要素114を省略することによって形成され、可撓性を呈するセグメントまたは領域を創出する。図3は、結合要素114が医療装置上に長軸方向に延在する線に沿って除去された、相対的な可撓性を呈する周辺領域を有する医療装置を示している。結合要素の削減は、相対的に多い結合要素114を有する領域と比べた場合に、結合要素114を「除去した」領域において、医療装置の可撓性を相対的に高める。図3は、相対的に可撓性を呈する領域から、すべての結合領域が省略された状態を表しているが、多くの結合要素が選択的に省略される、すなわち、すべての結合要素が省略されるわけではない配置構成も可能である。例えば、結合要素は、医療装置の一端から他端へ長軸方向に沿って省略されるか、あるいは、上述のような長軸方向のセグメントの一部において省略されてもよい。別の配置構成例では、結合部は、周方向に、すなわち、医療装置の周囲に沿うパターンに対応する位置において省略されてもよい。同様に、結合要素は、長軸方向の位置と周方向の位置との双方で省略され得る。他の配置構成例では、結合要素は、医療装置の反対側の互いに約180°離れた二つの位置で省略されている。
【0024】
図4は、結合要素114の寸法、特に、結合要素114の幅、もしくは奥行(または幅および奥行)を、装置の相対的に高い可撓性を呈する領域において短くしている一つの実施の形態を示している。図4は、結合要素114(a)が結合要素114(b)の幅寸法より相対的に狭い幅寸法を有しており、これにより、結合要素114(a)が結合要素114(b)より高い可撓性を呈することが予想される医療装置の表面に沿う一つのセグメントを具体的に示している。結合要素114(a)の奥行は、結合要素114(b)(あるいは、医療装置のセグメントにおける図示しない他の結合要素114)の奥行または結合要素の振幅(amplitude)と比較して変更され得る。さらに、環状部106等の他の部分の幅、もしくは奥行(または幅および奥行)も変更され得ると認められるはずである。
【0025】
これに代えて、結合要素114の設計に関連するいずれのファクタの幅および/もしくは奥行、振幅、経路の長さ、またはこれらの組み合わせも、医療装置の一つの周囲領域あるいはセグメントにおいて、医療装置の他の周囲領域と比べて相対的に高い軸方向の剛性を呈する領域を設けるために、変更されてもよい(あるいは、一方、相対的に高い軸方向の可撓性を呈する領域を設けるために変更されてもよい)。例えば、(医療装置の他の周囲領域における結合要素114と比較して)増加した幅および/または奥行を有する結合要素114は、高い曲げ抵抗性を呈し、これにより、医療装置の表面の少なくとも一部上で、高い剛性を呈する。また、結合要素114が隣接する環状部106に連結する位置は、医療装置のセグメントの可撓性あるいは剛性を変更するために選択されてもよい。
【0026】
インプラントが、この医療装置の他の周囲領域よりも相対的に高い可撓性および/または剛性を呈する一つの周囲領域を備える手段は、他にもある。例えば、所定のセグメントにおけるインプラントの壁厚は、このインプラントの他の領域の壁厚より大きくてもよい。図5は、そのような配置構成例を描写するものであり、ここで、領域Aは、領域Bよりも半径方向で厚くなっている。医療装置がより大きな壁厚を有する領域Aにおいて相対的に低い可撓性を呈することは予想されるはずである。同様に、インプラントの領域Bの壁厚は、領域Aと比較して、医療装置の可撓性を相対的に高める。この配置構成例では、選択されたセグメントにおける結合要素114、環状部106、半径方向の支柱部材108、半径方向の円弧状部材110、可撓性を帯びた支柱116および可撓性を帯びた円弧状部材118は、インプラントの他の領域におけるものより半径方向に厚くあるいは薄く、いずれかで作製されてもよい。各領域の壁厚を変化させたインプラントは、異なる所望の壁厚を有する領域を形成できるダイを通じて装置を押し出すことによって製造され得る。この配置構成例では、医療装置の一部、およびそれを含む部分は、上述したように、ダイの寸法に応じて、より厚く、あるいはより薄くなり、つまり、相対的に高い剛性あるいは可撓性を呈するだろう。これに代えて、医療装置の一部は、その表面を相対的に薄くするために加工あるいは研磨されることができ、これにより、相対的に薄い、可撓性の高い医療装置の領域を作り出すことができる。この方法は、医療装置が金属材料から製造される場合に、特に有効である。
【0027】
図6に示すように、他の実施の形態では、環状部106の振幅は、医療装置の180°の領域上で変化する。環状部の振幅が最も小さな値(A)となる0°を示す装置周囲の位置で始まり、その後、周囲回りに180°移動(traversing)すると、環状部106(a)の振幅は、医療装置の周囲上で増大し、同様に環状部106(b)〜106(f)の振幅は、徐々に増大していき、環状部106(g)で最も大きな値(A)となる。図6には図示されていないが、医療装置の背面部は、図示された内容と実質的に対称形状になっている。この配置構成例では、符号106(a)および106(b)等で示された、相対的に小さな振幅を呈する環状部は、符号106(f)および106(g)等で示された、相対的に大きな振幅を呈する環状部よりも、相対的に高い可撓性を呈する。
【0028】
図7に示された他の実施の形態では、医療装置の相対的に高い可撓性を呈する領域には、医療装置の相対的に低い可撓性を呈する他の領域内に見出される結合要素114aの長さよりも長い結合要素114bが設けられている。医療装置の相対的に低い可撓性を呈する他の領域における結合要素が相対的に直線状であり、短いのに対し、相対的に高い可撓性を呈する領域における結合要素は、より長い経路の長さに導くより多く捩じれた経路を形成することで、相対的に大きな自由度を呈することができる。結合要素114bに対向する結合要素が結合要素114bと実質的に同種であってもよく、結合要素114aに対向する結合要素が結合要素114aと実質的に同種であってもよいことが理解されるべきである。
【0029】
図8A〜図8Fは、医療装置の周囲において相対的に高い可撓性を呈する領域および相対的に高い剛性を呈する領域を配置するための配置構成例を示している。図8Aにおける医療装置には、その周囲の残部に比べ相対的に高い軸方向の剛性を呈する一つの領域が設けられている。図8Bにおける医療装置には、その周囲の残部に比べ相対的に高い軸方向の可撓性を呈する一つの領域が設けられている。医療装置の全長の大部分をその軸方向に走る硬化ロッド(stiffing rod)は、医療装置の周囲の残部によって呈される剛性よりも高い剛性度を提供することができる。図8Bは、医療装置の周囲の残部に比べ相対的に低い軸方向の剛性を呈する一つの領域を設けた医療装置を示している。相対的に高い軸方向の剛性を呈する領域は、図8Bに描写されているように、医療装置の周囲において支配的であることが可能であり、あるいは、医療装置の周囲の小さい一部を構成してもよい。
【0030】
図8Cは、相対的に高い軸方向の剛性を呈する領域が互いに180°だけ離れた位置に配された医療装置を示している。図8Dは、相対的に低い軸方向の剛性を呈する領域が互いに180°だけ離れた位置に配された医療装置を示している。図8Eは、相対的に低い軸方向の剛性を呈する領域と相対的に高い軸方向の剛性を呈する領域が90°位置で交互に配された医療装置を示している。図8Fでは、装置周囲に沿って移動(traverse)すると、90°の区画の端から端へと軸方向の剛性が「高」から「低」へ低減し、または逆に、軸方向の剛性が「低」から「高」へ増大する医療装置を示している。上述したすべての実施の形態は、一連の図8A〜図8Fに示されたパターンで、配置構成が可能である。
【0031】
医療装置は、図9に示された主枝血管の湾曲と、この主枝血管の湾曲の外側から分岐した側枝血管とを有する血管構造、および図10に示された主枝血管の湾曲と、この主枝血管の湾曲の内側から分岐した側枝血管とを有する血管構造等、異なる分岐構造の配置構成で使用されてもよい。医療装置を回転させることによって、医療装置は、治療中の要求のとおり、主枝血管あるいは側枝血管の開口部内で展開されるように、定位することになる。
【0032】
医療装置は、材料を円筒形状の装置にレーザー加工することによって作製されてもよい。ステントを製造するために使用されるのに適切な材料には、コバルト・クロム合金ならびに、コバルト・ニッケル系合金、ニッケルチタン合金、ステンレス鋼、他の第一鉄系金属合金、耐熱金属、耐熱金属合金、チタンおよびチタン系合金等の他の非鉄合金が含まれる。また、ステントは、セラミック材料あるいはポリマー材料から作製されてもよい。
【0033】
治療剤あるいは医薬品は、薬剤層あるいは薬剤溶出層の形態で、あるいは医療装置が作製された後の表面処理で、医療装置に適用されてもよい。一つの好適な実施の形態では、治療剤あるいは医薬品には、次のような一つまたはそれ以上の製剤が含まれてもよい。すなわち:ビンカアルカロイド類(すなわち、ビンカブラスチン、ビンクリスチンおよびビノレルビン)、パクリタキセル、エピディポドフィロトキシン(epidipodophyllotoxin)(すなわち、エトポシド、テニポシド)、抗生物質(ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン、ドキソルビシンおよびイダルビシン)、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)およびマイトマイシン、酵素類(L−アスパラギンを系統的に代謝し、かつアスパラギンの合成能を有しない細胞を奪うL−アスパラギナーゼ)等の天然物を含む抗増殖性/抗有糸分裂性剤;G(GP)II/III阻害剤およびビトロネクチン受容体拮抗薬等の抗血小板薬;ナイトロジェン・マスタード類(メクロレタミン、シクロホスファミドおよび類似体、メルファン、クロラムブシル)、エチレンイミン類およびメチルメラミン類(ヘキサメチルメラミンおよびチオテパ)、スルホン酸アルキル−ブスルファン、ニトロソウレア類(カルムスチン(BCNU:ビス・クロロエチルニトロソウレア)および類似体、ストレプトゾシン)、トラゼン−ダカルバジニン(trazenes - dacarbazinine)(DTIC:ダカルバジン)等の抗増殖性/抗有糸分裂性アルキル化剤;葉酸類似体(メトトレキサート)、ピリミジン類似体(フルオロウラシル、フロクスウリジンおよびシタラビン)、プリン類似体およびこれらに関連した阻害剤(メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチンおよび2−クロロデオキシアデノシン(クラドリビン))等の抗増殖性/抗有糸分裂性代謝拮抗物質;白金配位錯体(シスプラチン、カルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシウレア、ミトタン、アミノグルテチミド;ホルモン類(すなわち、エストロゲン);抗凝固剤(ヘパリン、合成ヘパリン塩類および他のトロンビン阻害剤);繊維素溶解剤(組織プラスミノゲン活性化因子、ストプトキナーゼおよびウロキナーゼなど)、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキシマブ;抗遊走剤(antimigratory);抗分泌剤(ブレベルジン(breveldin));副腎皮質ステロイド類(コルチゾール、コルチゾン、フルドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、6α−メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、ベータメタゾンおよびテキサメタゾン)、非ステロイド剤(サリチル酸誘導体、すなわちアスピリン;パラアミノフェノール誘導体、すなわちアセトミノフェン;インドールおよびインデン酢酸(インドメタシン、スリンダクおよびエトドラク)、ヘテロアリール酢酸(トルメチン、ジクロフェナクおよびケトロラク)、アリールプロピオン酸(イブプロフェンおよびその誘導体)、アントラニル酸(メフェナム酸およびメクロフェナム酸)、エノール酸(ピロキシカム、テノキシカム、フェニルブタゾンおよびオキシフェンタトラゾン(oxyphenthatrazone))、ナブメトン、金化合物(オーラノフィン、オーロチオグルコース、金チオリンゴ酸ナトリウム)等の抗炎症剤;免疫抑制剤:(シクロスポリン、タクロリムス(FK−506)、シロリムス(ラパマイシン)、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル);血管形成剤:VEGF(血管内皮細胞増殖因子)、FGF(繊維芽細胞増殖因子);アンギオテンシン受容体遮断剤;酸化窒素供与体;アンチセンスオリゴヌクレオチド(oligionucleotide)類およびこれらの組み合わせ;細胞周期阻害剤、mTOR(哺乳類のラパマイシン標的蛋白)阻害剤および増殖因子受容体シグナル伝達キナーゼ阻害剤;レテノイド(retenoid)類;サイクリン/CDK(サイクリン依存キナーゼ)阻害剤;HMG(閉経期尿性腺刺激ホルモン)補酵素レダクターゼ阻害剤(スタチン類);およびプロテアーゼ阻害剤、である。
【0034】
この発明の多くの変更例が詳細に図示され、また記述されたが、この発明の範囲内において意図された他の変更例および使用方法は、この明細書の開示内容に基づいて、この技術分野における当業者にとって容易に明白になるであろう。上述した具体的な実施の形態の種々のコンビネーションおよびサブコンビネーションは、この発明の範囲内でなされ、またこの範囲内に含まれるものと意図されている。例えば、心臓用のステントとして図示された種々の実施の形態は、患者体内の他の血管あるいは管腔、特に、血管あるいは管腔がステントによる支持を必要とする体内の他の領域を治療するために修正されてもよい。このような他の適用箇所には、例えば、冠状動脈、脈管、非脈管、および抹消の血管および導管が含まれてもよい。したがって、この発明の精神、すなわち添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の適用、修正および置換が、この発明の相当物をもとになされてもよいと理解されるはずである。
【0035】
〔実施の態様〕
(1)植え込み可能な医療装置において、
第1開口端と第2開口端との間に位置する複数の筒状構造部であって、
前記第1開口端と前記第2開口端との間に延在する長軸を有し、
実質的に長軸方向に定位された半径方向の支柱(radial strut)部材と、円周方向に隣接する前記半径方向の支柱部材を連結する複数の半径方向の円弧状(radial arc)部材との連続系列体として形成された複数の環状部を含む、
筒状構造部と、
第1端部および第2端部を有する複数の結合要素であって、前記第1端部および前記第2端部が、隣接する前記半径方向の支柱部材および/または前記半径方向の円弧状部材を架橋するように構成された、結合要素と、
を含み、
前記医療装置の前記筒状構造部が、
前記医療装置の長さに沿って実質的に延在し、かつ相対的に高い軸方向の剛性を呈する第1の周囲セグメント(circumferential segment)、および、
前記医療装置の長さに沿って実質的に延在し、かつ相対的に高い軸方向の可撓性を呈する第2の周囲セグメント、
を有している、医療装置。
(2)実施態様(1)記載の医療装置において、
前記第2の周囲セグメントには、前記第1の周囲セグメント内に設けられた前記結合要素の数より少ない数の結合要素が設けられている、医療装置。
(3)実施態様(1)記載の医療装置において、
前記医療装置には、相対的に高い軸方向の剛性を呈する二つの周囲セグメントと、相対的に高い軸方向の可撓性を呈する二つの周囲セグメントとが設けられており、
相対的に高い軸方向の可撓性を呈する前記二つの周囲セグメント、および相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記二つの周囲セグメントが、前記医療装置の周囲で交互に配置されるように前記医療装置上に配置されている、医療装置。
(4)実施態様(3)記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の可撓性を呈する前記二つの周囲セグメントには、相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記二つの周囲セグメント内に設けられた前記結合要素の数より少ない数の結合要素が設けられている、医療装置。
(5)実施態様(3)記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の可撓性を呈する前記二つの周囲セグメントが、前記医療装置を横断するように互いに約180°離れた位置関係で配置されている、医療装置。
(6)実施態様(3)記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記二つの周囲セグメントが、前記医療装置を横断するように互いに約180°離れた位置関係で配置されている、医療装置。
(7)実施態様(5)記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の可撓性を呈する前記二つの周囲セグメントには、相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記二つの周囲セグメント内に設けられた前記結合要素の数より少ない数の結合要素が設けられている、医療装置。
(8)実施態様(5)記載の医療装置において、
相対的に高い可撓性を呈する前記二つの周囲セグメントのうち、少なくとも一つの周囲セグメントでは、認識可能なパターンで結合要素が省略されている、医療装置。
(9)実施態様(1)記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の可撓性を呈する前記第2の周囲セグメント内に配された前記結合要素が、相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記第1の周囲セグメント内に配された前記結合要素の寸法と比較した場合に、少なくとも一つの相対的に小さな寸法を備えている、医療装置。
(10)実施態様(9)記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の可撓性を呈する前記第2の周囲セグメント内に配された前記結合要素のうち、少なくとも一つの結合要素では、当該結合要素の全長の少なくとも一部分についての幅寸法または径方向厚さ寸法の少なくとも一つの寸法が、相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記第1の周囲セグメントの前記結合要素の幅寸法または奥行寸法と比較した場合に、小さくされている、医療装置。
【0036】
(11)実施態様(3)記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の可撓性を呈する前記二つの周囲セグメントが、
結合要素であって、この結合要素の少なくとも一つの寸法が、相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記二つの周囲セグメント内の比較可能な前記結合要素の寸法と比較した場合に、相対的に小さい、結合要素、
を含む、医療装置。
(12)実施態様(11)記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の可撓性を呈する前記二つの周囲セグメントが、
結合要素であって、この結合要素の全長の少なくとも一部分についての幅寸法または径方向厚さ寸法の少なくとも一つの寸法が、相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記周囲セグメントの前記結合要素の幅寸法または奥行寸法と比較した場合に、小さくされている、結合要素、
を含む、医療装置。
(13)実施態様(11)記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の可撓性を呈する前記周囲セグメントが、前記医療装置を横断するように互いに約180°離れた位置関係で配置されている、医療装置。
(14)実施態様(11)記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記周囲セグメントが、前記医療装置を横断するように互いに約180°離れた位置関係で配置されている、医療装置。
(15)実施態様(3)記載の医療装置において、
相対的に高い剛性を呈する前記周囲セグメントには、相対的に高い軸方向の可撓性を呈する前記周囲セグメント内の前記結合要素の比較可能な寸法と比較した場合に、相対的に大きい少なくとも一つの寸法を有する結合要素が設けられている、医療装置。
(16)実施態様(15)記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記周囲セグメントが、
結合要素であって、この結合要素の全長の少なくとも一部分についての幅寸法または径方向厚さ寸法の少なくとも一つの寸法が、相対的に高い軸方向の可撓性を呈する前記周囲セグメントの前記結合要素の幅寸法または奥行寸法と比較した場合に、大きくされている、結合要素、
を含む、医療装置。
(17)実施態様(15)記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の可撓性を呈する前記周囲セグメントが、前記医療装置を横断するように互いに約180°離れた位置関係で配置されている、医療装置。
(18)実施態様(15)記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記周囲セグメントが、前記医療装置を横断するように互いに約180°離れた位置関係で配置されている、医療装置。
(19)実施態様(1)記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の可撓性を呈する前記第2のセグメントの前記結合要素のうち、少なくとも一つの結合要素が、相対的に高い剛性を呈する前記セグメント内の前記結合要素の経路の長さ(path length)より相対的に長い経路の長さを備えている、医療装置。
(20)実施態様(3)記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の可撓性を呈する前記周囲セグメントには、相対的に高い剛性を呈する前記周囲セグメント内の前記結合要素の経路の長さより相対的に長い経路の長さを有する結合要素が設けられている、医療装置。
【0037】
(21)実施態様(20)記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の可撓性を呈する前記周囲セグメントが、前記医療装置を横断するように互いに約180°離れた位置関係で配置されている、医療装置。
(22)実施態様(20)記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記周囲セグメントが、前記医療装置を横断するように互いに約180°離れた位置関係で配置されている、医療装置。
(23)実施態様(3)記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記二つの周囲セグメントには、相対的に高い可撓性を呈する前記周囲セグメント内の前記結合要素の経路の長さより相対的に短い経路の長さを有する結合要素が設けられている、医療装置。
(24)実施態様(23)記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の可撓性を呈する前記周囲セグメントが、前記医療装置を横断するように互いに約180°離れた位置関係で配置されている、医療装置。
(25)実施態様(23)記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記周囲セグメントが、前記医療装置を横断するように互いに約180°離れた位置関係で配置されている、医療装置。
(26)実施態様(1)記載の医療装置において、
前記環状部が、相対的に最も小さな振幅から相対的に最も大きな振幅へ変化する振幅を呈する、医療装置。
(27)実施態様(26)記載の医療装置において、
前記環状部の振幅が、相対的に最も小さな振幅から相対的に最も大きな振幅へ増大していくように変化する、医療装置。
(28)実施態様(1)記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記第1の周囲セグメントが、相対的に高い軸方向の可撓性を呈する前記第2の周囲セグメントの壁厚より相対的に厚い壁厚を備えている、医療装置。
(29)実施態様(3)記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記周囲セグメントが、相対的に高い軸方向の可撓性を呈する前記二つの周囲セグメントの壁厚より相対的に厚い壁厚を備えている、医療装置。
(30)実施態様(29)記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の可撓性を呈する前記周囲セグメントが、前記医療装置を横断するように互いに約180°離れた位置関係で配置されている、医療装置。
【0038】
(31)実施態様(29)記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記周囲セグメントが、前記医療装置を横断するように互いに約180°離れた位置関係で配置されている、医療装置。
(32)実施態様(3)記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の可撓性を呈する前記周囲セグメントが、相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記周囲セグメントの壁厚より相対的に薄い壁厚を備えている、医療装置。
(33)実施態様(32)記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の可撓性を呈する前記周囲セグメントが、前記医療装置を横断するように互いに約180°離れた位置関係で配置されている、医療装置。
(34)実施態様(32)記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記周囲セグメントが、前記医療装置を横断するように互いに約180°離れた位置関係で配置されている、医療装置。
【0039】
(35)植え込み可能な医療装置において、
相互連結要素によって画定された筒状構造部であって、第1開口端、第2開口端、および前記第1開口端と前記第2開口端との間で延在する長さ寸法を有する、筒状構造部、
を含み、
前記医療装置の前記筒状構造部が、
前記医療装置の長さに沿って実質的に延在し、かつ相対的に高い軸方向の剛性を呈する第1の周囲セグメント、および、
前記医療装置の長さに沿って実質的に延在し、かつ相対的に高い軸方向の可撓性を呈する第2の周囲セグメント、
を有している、医療装置。
(36)実施態様(35)記載の医療装置において、
前記相互連結要素が、蛇行した形状で設けられている、医療装置。
(37)実施態様(35)記載の医療装置において、
前記相互連結要素が、前記医療装置の実質的に長軸方向および周方向に配された複数の湾曲要素をさらに含み、
長軸方向で隣接する前記要素が、結合要素によって、互いに連結されており、
前記第2のセグメントには、前記第1の周囲セグメント内に設けられた結合要素の数より少ない数の結合要素が設けられている、医療装置。
(38)実施態様(35)記載の医療装置において、
前記医療装置には、相対的に高い軸方向の剛性を呈する二つの周囲セグメントと、相対的に高い軸方向の可撓性を呈する二つの周囲セグメントとが設けられており、
相対的に高い軸方向の可撓性を呈する前記二つのセグメント、および相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記二つのセグメントが、交互に配置されるように前記医療装置上に配置されている、医療装置。
(39)実施態様(1)記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記セグメントが、長軸方向に延在する硬化ロッド(stiffing rod)を含み、当該硬化ロッドは、前記医療装置の実質的に全長に沿って延在している、医療装置。
(40)実施態様(35)記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記セグメントが、長軸方向に延在する硬化ロッドを含み、当該硬化ロッドは、前記医療装置の実質的に全長に沿って延在している、医療装置。
(41)実施態様(35)記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記セグメントが、前記医療装置の壁周辺の支配的な部分である、医療装置。
(42)実施態様(35)記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記セグメントが、前記医療装置の壁周辺の小さい部分である、医療装置。
【0040】
(43)患者に対して医療処置を施す方法において、
実施態様(1)記載の医療用インプラントを患者体内の導管内の診断部位あるいは治療部位へ移動させるステップと、
前記医療用インプラントの前記導管内の位置への定位を可能にするステップと、
を含む、方法。
(44)実施態様(43)記載の方法において、
前記部位は、血管内の分岐部分である、方法。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明の一つの実施の形態による、拡張していない、もしくは収縮した、展開前の状態にある管腔内ステントを示す斜視図である。
【図2】この発明の一つの実施の形態による、完全に拡張した状態にある管腔内ステントを示す斜視図である。
【図3】この発明の一つの実施の形態を示す斜視図である。
【図4】この発明の他の実施の形態を示す斜視図である。
【図5】この発明のさらに他の実施の形態を示す斜視図である。
【図6】この発明の更なる他の実施の形態を示す斜視図である。
【図7】この発明の更なる他の実施の形態を示す斜視図である。
【図8A】この発明の医療装置を構成するための配置例を示す断面図である。
【図8B】この発明の医療装置を構成するための配置例を示す断面図である。
【図8C】この発明の医療装置を構成するための配置例を示す断面図である。
【図8D】この発明の医療装置を構成するための配置例を示す断面図である。
【図8E】この発明の医療装置を構成するための配置例を示す断面図である。
【図8F】この発明の医療装置を構成するための配置例を示す断面図である。
【図9】患者の脈管構造における第1の分岐構造を示す断面図である。
【図10】患者の脈管構造における第2の分岐構造を示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植え込み可能な医療装置において、
筒状構造を呈する複数の構造部であって、前記筒状構造の第1開口端と第2開口端との間に位置する複数の構造部を含み、
前記筒状構造は、前記第1開口端と前記第2開口端との間に延在する長軸を有し、
前記複数の構造部は、
実質的に長軸方向に定位された支柱部材と、円周方向に隣接する前記支柱部材を連結する複数の円弧状部材との連続系列体として形成された複数の環状部と、
第1端部および第2端部を有する複数の結合要素であって、前記第1端部および前記第2端部が、隣接する前記支柱部材および/または前記円弧状部材を架橋するように構成された、結合要素と、
を含み、
前記医療装置の前記筒状構造が、
前記医療装置の長さに沿って実質的に延在し、かつ相対的に高い軸方向の剛性を呈する第1の周囲セグメント、および、
前記医療装置の長さに沿って実質的に延在し、かつ相対的に高い軸方向の可撓性を呈する第2の周囲セグメント、
を有し、
相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記第1の周囲セグメントは、長軸方向に延在する硬化ロッドを含み、当該硬化ロッドは、前記医療装置の実質的に全長に沿って延在している、医療装置。
【請求項2】
請求項1記載の医療装置において、
前記第2の周囲セグメントには、前記第1の周囲セグメント内に設けられた前記結合要素の数より少ない数の結合要素が設けられている、医療装置。
【請求項3】
請求項1記載の医療装置において、
前記医療装置には、二つの前記第1の周囲セグメントと、二つの前記第2の周囲セグメントとが設けられており、
前記第2の周囲セグメント、および前記第1の周囲セグメントが、前記医療装置の周囲で交互に配置されるように前記医療装置上に配置されている、医療装置。
【請求項4】
請求項3記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の可撓性を呈する二つの前記第2の周囲セグメントには、相対的に高い軸方向の剛性を呈する二つの前記第1の周囲セグメント内に設けられた前記結合要素の数より少ない数の結合要素が設けられている、医療装置。
【請求項5】
請求項3記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の可撓性を呈する二つの前記第2の周囲セグメントが、前記医療装置を横断するように互いに約180°離れた位置関係で配置されている、医療装置。
【請求項6】
請求項3記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の剛性を呈する二つの前記第1の周囲セグメントが、前記医療装置を横断するように互いに約180°離れた位置関係で配置されている、医療装置。
【請求項7】
請求項5記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の可撓性を呈する二つの前記第2の周囲セグメントには、相対的に高い軸方向の剛性を呈する二つの前記第1の周囲セグメント内に設けられた前記結合要素の数より少ない数の結合要素が設けられている、医療装置。
【請求項8】
請求項5記載の医療装置において、
相対的に高い可撓性を呈する二つの前記第2の周囲セグメントのうち、少なくとも一つの周囲セグメントでは、結合要素が省略されている、医療装置。
【請求項9】
請求項1記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の可撓性を呈する前記第2の周囲セグメント内に配された前記結合要素が、相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記第1の周囲セグメント内に配された前記結合要素の寸法と比較した場合に、少なくとも一つの相対的に小さな寸法を備えている、医療装置。
【請求項10】
請求項9記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の可撓性を呈する前記第2の周囲セグメント内に配された前記結合要素のうち、少なくとも一つの結合要素では、当該結合要素の全長の少なくとも一部分についての幅寸法または径方向厚さ寸法の少なくとも一つの寸法が、相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記第1の周囲セグメントの前記結合要素の幅寸法または径方向厚さ寸法と比較した場合に、小さくされている、医療装置。
【請求項11】
請求項3記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の可撓性を呈する二つの前記第2の周囲セグメントが、
結合要素であって、この結合要素の少なくとも一つの寸法が、相対的に高い軸方向の剛性を呈する二つの前記第1の周囲セグメント内の比較可能な前記結合要素の寸法と比較した場合に、相対的に小さい、結合要素、
を含む、医療装置。
【請求項12】
請求項11記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の可撓性を呈する二つの前記第2の周囲セグメントが、
結合要素であって、この結合要素の全長の少なくとも一部分についての幅寸法または径方向厚さ寸法の少なくとも一つの寸法が、相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記第1の周囲セグメントの前記結合要素の幅寸法または径方向厚さ寸法と比較した場合に、小さくされている、結合要素、
を含む、医療装置。
【請求項13】
請求項3記載の医療装置において、
相対的に高い剛性を呈する前記第1の周囲セグメントには、相対的に高い軸方向の可撓性を呈する前記第2の周囲セグメント内の前記結合要素の比較可能な寸法と比較した場合に、相対的に大きい少なくとも一つの寸法を有する結合要素が設けられている、医療装置。
【請求項14】
請求項13記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記第1の周囲セグメントが、
結合要素であって、この結合要素の全長の少なくとも一部分についての幅寸法または径方向厚さ寸法の少なくとも一つの寸法が、相対的に高い軸方向の可撓性を呈する前記第2の周囲セグメントの前記結合要素の幅寸法または径方向厚さ寸法と比較した場合に、大きくされている、結合要素、
を含む、医療装置。
【請求項15】
請求項1記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の可撓性を呈する前記第2の周囲セグメントの前記結合要素のうち、少なくとも一つの結合要素が、相対的に高い剛性を呈する前記第1の周囲セグメント内の前記結合要素の経路の長さより相対的に長い経路の長さを備えている、医療装置。
【請求項16】
請求項3記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の可撓性を呈する前記第2の周囲セグメントには、相対的に高い剛性を呈する前記第1の周囲セグメント内の前記結合要素の経路の長さより相対的に長い経路の長さを有する結合要素が設けられている、医療装置。
【請求項17】
請求項3記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記第1の二つの周囲セグメントには、相対的に高い可撓性を呈する前記第2の周囲セグメント内の前記結合要素の経路の長さより相対的に短い経路の長さを有する結合要素が設けられている、医療装置。
【請求項18】
請求項1記載の医療装置において、
前記環状部が、相対的に最も小さな振幅から相対的に最も大きな振幅へ変化する振幅を呈する、医療装置。
【請求項19】
請求項18記載の医療装置において、
前記環状部の振幅が、相対的に最も小さな振幅から相対的に最も大きな振幅へ増大していくように変化する、医療装置。
【請求項20】
請求項1記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記第1の周囲セグメントが、相対的に高い軸方向の可撓性を呈する前記第2の周囲セグメントの壁厚より相対的に厚い壁厚を備えている、医療装置。
【請求項21】
請求項3記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記第1の周囲セグメントが、相対的に高い軸方向の可撓性を呈する二つの前記第2の周囲セグメントの壁厚より相対的に厚い壁厚を備えている、医療装置。
【請求項22】
請求項3記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の可撓性を呈する前記第2の周囲セグメントが、相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記第1の周囲セグメントの壁厚より相対的に薄い壁厚を備えている、医療装置。
【請求項23】
請求項11、13、16、17、または21記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の可撓性を呈する前記第2の周囲セグメントが、前記医療装置を横断するように互いに約180°離れた位置関係で配置されている、医療装置。
【請求項24】
請求項11、13、16、17、または21記載の医療装置において、
相対的に高い軸方向の剛性を呈する前記第1の周囲セグメントが、前記医療装置を横断するように互いに約180°離れた位置関係で配置されている、医療装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−13754(P2013−13754A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−202435(P2012−202435)
【出願日】平成24年9月14日(2012.9.14)
【分割の表示】特願2008−363(P2008−363)の分割
【原出願日】平成20年1月7日(2008.1.7)
【出願人】(597041828)コーディス・コーポレイション (206)
【氏名又は名称原語表記】Cordis Corporation
【Fターム(参考)】