説明

周囲温度において水の存在下で重縮合反応によって架橋してエラストマーを形成する1成分型ポリオルガノシロキサン(POS)組成物、及びこうして得られるエラストマー

本発明の分野は、湿分の不在下において貯蔵安定性であり、周囲温度において水の存在下で混合チタン/金属触媒を用いて触媒される重縮合反応によって架橋して様々な支持体に粘着する黄変しないエラストマーになる1成分型シリコーン組成物の分野である。それぞれの1成分型POS組成物は:アルコキシ、アシルオキシ、イミノオキシ又はエノキシタイプの官能基Rfoによって鎖の末端を官能化された線状ジオルガノポリシロキサンA 100重量部;ポリシロキサン樹脂B 0〜30重量部;架橋剤C 0〜15重量部;脂肪族アルコールE 0〜2重量部;非反応性の非官能化ポリマー線状ジオルガノポリシロキサンF 0〜30重量部;無機充填剤G 2〜40重量部;補助剤H 0〜20重量部;及び金属M1+M2 1成分型POS組成物1g当たりに1〜150μg・at(マイクログラム原子):を含み、ここで、M1はチタン、ジルコニウム及びそれらの混合物から選択され、M2は亜鉛、アルミニウム、ホウ素、ビスマス及びそれらの混合物から選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、湿分の不在下において貯蔵安定性であり、周囲温度(例えば5〜35℃)において水(例えば周囲湿分)の存在下で混合チタン/金属触媒によって触媒される重縮合反応によって架橋して様々な支持体に粘着する黄変しないエラストマーになる1成分型シリコーンマスチック(マスチックとは、防水剤や充填剤として用いられる粘質物の総称である)の分野である。
【背景技術】
【0002】
シリコーンエラストマーをベースとするこのようなマスチックは、多くの用途、特に建築産業において、特に気密化、ジョイント(目地仕上げ)、コーティング及び/又は組立てのための手段として、用いられている。これら1成分型シリコーンマスチック(ペースト状形態)の流動学的特性は、これらの用途において大いに注目を集めている。悪天候や熱に対する耐性、低温における可撓性、使いやすさ及び現場で大気中の湿分に触れた際の迅速な架橋/効果に関しても同じである。
【0003】
上記の重縮合反応は、Si−OR0結合が水の存在下で互いに反応するものである(置換基R0は例えばアルキル、アシル又はイミノ残基であることができる)。R0が例えばアルキル残基である場合には、この重縮合反応はアルコールR0OHを放出する。一般的に、この重縮合反応の反応速度は極めて遅い。従って、これらの反応は好適な触媒によって触媒される。
【0004】
触媒としては、スズ、チタン若しくはアミンをベースとする触媒又はこれらの触媒の組成物を用いるのが一般的である。スズをベースとする触媒(特にフランス国特許第2557582号明細書を参照されたい)及びチタンをベースとする触媒(特にフランス国特許第2786497号明細書を参照されたい)は、優れた効果を有する触媒である。時には、亜鉛、ジルコニウム又はアルミニウムをベースとする触媒のようなその他の触媒が挙げられるが、しかしこれらは効果が平凡なので工業的には僅かな程度で用いられるに過ぎなかった。
【0005】
スズをベースとする触媒は広く用いられているが、それらの使用に当たっては時としてスズの毒性が著しいという問題があり、この理由で高性能でありながら毒性が低い他の触媒を見出すことが重要である。チタンをベースとする触媒もまた広く用いられているが、しかし2つの大きな欠点を示す。これらはスズをベースとする触媒より反応速度が遅く、中性の1成分型シリコーン組成物(R0がアルキル又はイミノ残基であるもの)を調製する場合にはスキンができた数時間後にも粘着質の表面手触りが持続するエラストマーが得られ、この時間の間は例えば塵埃がくっつきやすい状態が続くこととなる。これに加えて、スズによって触媒されたマスチックは往々にして(特にアルコールを放出する場合に)安定性の問題を示す。触媒がチタンをベースとする化合物である場合には一般的にこういうことがない。
【0006】
混合チタン/スズ触媒作用(特に旧ソビエト連邦特許第1594195号明細書を参照されたい)がチタンを用いた触媒作用の性能を改善することが知られているが、しかしここでもまたスズの存在に出くわす。
【特許文献1】フランス国特許第2557582号明細書
【特許文献2】フランス国特許第2786497号明細書
【特許文献3】旧ソビエト連邦特許第1594195号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここに、
・第1に、架橋性(即ち架橋可能な)1成分型POS組成物にチタンをベースとする化合物と金属がスズ以外のものである特定の金属化合物との組合せから成る混合触媒を導入することによって、チタンをベースとする触媒に関連する固化反応速度を実質的に促進することができること;並びに
・第2に、最低限でもスズをベースとする触媒を単独で用いた場合にもたらされるものに非常に近い表面架橋反応速度を達成することができること;
・最後に、(組成物の黄変をもたらすことがあることが知られている)チタンをベースとする化合物を完全に無色の特定的な金属化合物と組み合わせることによってチタンをベースとする化合物を少量用いるだけにすることが可能になり、それによりマスチックの黄変の可能性の程度を大いに減ずることができること(この尺度は、半透明マスチックを得ることが望まれる場合に特に有利である):
が見出され、これが本発明が目指す本質的な課題を構成する。
【0008】
かくして、本発明の実施に結びついた利点は、以下のようにまとめられる:
・スズをベースとする触媒のものと非常に近い反応速度が得られる;
・架橋後の最初の日におけるエラストマーの表面の粘着質の手触りが減じられ又は取り除かれる;
・スズが導入されない;
・チタンの割合を下げることによってマスチックが黄変する可能性を減らすことができる。
【0009】
また、上に挙げた組合せにおいてチタンをベースとする化合物をジルコニウムをベースとする化合物に置き換えた場合にも依然として上記の利点が得られることが示された。本発明の内容に従って組合せとして用いられる2種の金属化合物の間には、著しい相乗効果が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
より特定的には、本発明は、その第1の主題事項において、次の(i)〜(9i):
(i)次式の少なくとも1種の架橋性線状ポリオルガノポリシロキサンA:
【化1】

{ここで、置換基R1は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ飽和又は不飽和で置換又は非置換の脂肪族、環状脂肪族又は芳香族C1〜C13一価炭化水素基を表わし;
置換基R2は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ飽和又は不飽和で置換又は非置換の脂肪族、環状脂肪族又は芳香族C1〜C13一価炭化水素基を表わし;
官能化置換基Rfoは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ
・次式のイミノオキシ残基:
【化2】

(ここで、R3は独立的に直鎖状又は分枝鎖状C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキル又はC2〜C8アルケニルを表わす);
・次式のアルコキシ残基:
4O(CH2CH2O)b
(ここで、R4は独立的に直鎖状又は分枝鎖状C1〜C8アルキル又はC3〜C8シクロアルキルを表わし、
bは0又は1である);
・次式のアシルオキシ残基:
【化3】

(ここで、R5は飽和又は不飽和で置換又は非置換の脂肪族、環状脂肪族又は芳香族C1〜C13一価炭化水素基を表わす);又は
・次式のエノキシ残基:
(H)b'(R5)2-b'C=C(−O−)R5
(ここで、R5上で定義した通りであり、
b'は0、1又は2である):
を表わし;
各記号Yは酸素原子又は二価炭化水素基を表わし、
nはPOS−Aに1000〜1000000mPa・sの範囲の25℃における動的粘度を与えるのに充分な値を有し、
aは0又は1である};
(2i)随意としての、式(R1)3SiO1/2(M単位)、(R1)2SiO2/2(D単位)、R1SiO3/2(T単位)及びSiO2(Q単位)(ここで、基R1は同一であっても異なっていてもよく、式(I)について上で与えた意味を有する)のものから選択される少なくとも2個の異なるシロキシ単位を構造中に示し、これらの単位の内の少なくとも1つがT又はQ単位であり、且つ上で与えた定義に相当する少なくとも1個の基Rfoによって官能化された、少なくとも1種のポリオルガノシロキサン樹脂B(この樹脂は、0.1〜10%の範囲の官能基Rfo重量含有率を有し、基R1の一部は基Rfoであるものとする);
(3i)随意としての、次式の少なくとも1種の架橋剤C:
(R2)aSi[Rfo]4-a (II)
(ここで、R2、Rfo及びaは上で定義した通りである);
(4i)随意としての、Rfoによって官能化されたPOS−Aを調製する際及び随意としてのRfoによって官能化された樹脂Bを調製する際に存在させた残留量の官能化触媒D;
(5i)随意としての、少なくとも1種の第1級脂肪族C1〜C3アルコールE;
(6i)随意としての、次式を有する、Rfoで官能化されていない少なくとも1種の非反応性線状ポリジオルガノシロキサンF:
【化4】

(ここで、置換基R1は同一であっても異なっていてもよく、式(I)のポリオルガノシロキサンAについて上で与えたのと同じ意味を有し、
mは式(III)のポリマーに10〜200000mPa・sの範囲の25℃における動的粘度を与えるのに充分な値を有する);
(7i)少なくとも1種の無機充填剤G;
(8i)随意としての、本発明に従う組成物が用いられる用途に応じて必要な場合に一般的に選択される当業者に周知の少なくとも1種の補助剤H;
(9i)有効量の架橋/硬化触媒I:
を含み、湿分の不在下において貯蔵安定性であり、水の存在下で架橋して黄変しない粘着性エラストマーになる1成分型ポリオルガノシロキサン組成物(POS)であって、以下の点(α)、(β)及び(γ):
(α)硬化触媒Iが、チタン、ジルコニウム及びそれらの混合物から選択される金属M1の少なくとも1種の有機誘導体I1と、亜鉛、アルミニウム、ホウ素、ビスマス及びそれらの混合物から選択される金属M2の少なくとも1種の有機誘導体I2との組合せから成ること;
(β)成分(i)〜(8i)全部を含む1成分型組成物1g中に導入される金属M1+M2のμg・at(マイクログラム原子)数が1〜150、好ましくは6〜90の範囲内であること;
(γ)比:
【数1】

が5〜95%、好ましくは8〜92%の範囲内であること:
を特徴とする、前記1成分型ポリオルガノシロキサン組成物に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に従う1成分型シリコーンマスチック組成物は、このタイプの製品のすべての有利な特性及び特定的な特性を有するのに加えて、すでに上に挙げた次の利点をも示す:
・スズをベースとする触媒のものと非常に近い反応速度が得られる;
・架橋後の最初の日におけるエラストマーの表面の粘着質の手触りが減じられ又は取り除かれる;
・スズが導入されない;
・金属M1の割合を下げることによってマスチックが黄変する可能性を減らすことができる。
【0012】
さらに、本発明に従うマスチック組成物は経済性がよく、有利な機械的特性を有する架橋エラストマーをもたらし、このエラストマーは、接着促進剤や補助剤を存在させることを絶対に必須にすることもなく数多くの基板に粘着する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に従う組成物は、必須成分、即ちPOS−Aが次の方法によってその末端を少なくとも部分的に官能化された1具体例に相当する:
・Yが酸素原子を表わす場合:前駆体α,ω−ヒドロキシル化POS−A'の末端≡Si−OH単位と官能基Rfoを有するシランの官能基Rfoとの間の縮合反応を実施し;
・Yが二価炭化水素基を表わす場合:前駆体α,ω−ヒドロPOS−A''の末端≡Si−H単位と官能基Rfoを有するオレフィン性シランとの間の付加反応、又はPOS−A'''の不飽和末端(例えばビニル若しくはアリル)と官能基Rfoを有するヒドロシランとの間の付加反応を実施する。
【0014】
POS−Aは、当業者に周知の技術に従って官能化される。この官能化POS−Aは、ここで検討される1成分型マスチックの、湿分の不在下における安定形態に相当する。実際上は、この安定形態とは、組成物が密封されたカートリッジ中に包装された形態であり、このカートリッジは使用の際に作業者によって開封され、作業者がマスチックを望まれるすべての支持体に塗布することを可能にする。
【0015】
鎖の末端をRfoによって官能化されたPOS−Aのヒドロキシル化前駆体A'は、次式:
【化5】

(ここで、R1及びnは式(I)において上で定義した通りである)
のα,ω−ヒドロキシル化ポリジオルガノシロキサンである。
【0016】
鎖の末端をRfoによって官能化されたPOS−Aのヒドロ前駆体A''は、次式:
【化6】

(ここで、R1及びnは式(I)において上で定義した通りである)
のα,ω−ヒドロポリジオルガノシロキサンである。
【0017】
鎖の末端をRfoによって官能化されたPOS−Aの前駆体A'''は、末端水素原子が不飽和基に置き換えられたことを除いて、A''について上で与えた定義に相当するポリジオルガノシロキサンである。
【0018】
随意としてのRfoによって官能化された樹脂POS−Bは、Rfoによって官能化されたPOS−Aと同じ方法で、官能化基Rfoを有する架橋用シリコーンCとの縮合によって製造される。Rfoによって官能化された樹脂POS−Bの前駆体は、この場合、基R1の一部がOH基に相当することを除いて、Bについて上で与えた定義に相当するヒドロキシル化樹脂POS−B'である。
【0019】
foによって官能化された樹脂POS−Bはまた、≡Si−H単位を有する前駆体樹脂POS−B''と官能基Rfoを有するオレフィン性シランとを反応させることによって製造することもできる。この樹脂は、基R1の一部がここでは水素原子であることを除いて、Bについて上で与えた定義に相当する。
【0020】
本発明に従う1成分型マスチック組成物は、酸タイプのものであることもでき(この場合、官能化基Rfoはアシルオキシ残基を表わす)、中性タイプのものであることもできる(この場合、官能化基Rfoはアルコキシ又はイミノオキシ又はエノキシ残基を表わす)。
【0021】
本発明に従うマスチックの創意に富む性状の少なくとも一部は、硬化触媒Iとして用いられる金属化合物I1及びI2について規定した組合せの賢明で有利な選択に因るものであるということに留意すべきである。
【0022】
本発明の好ましい具体例に従えば、この1成分型シリコーン組成物は、一方で式(I)において記号Yが酸素原子を表わすポリマーをPOS−Aとして含み、他方で中性タイプのものであり、それに依れば、前記成分A、B及びCの官能化置換基Rfoは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ:
・次式のイミノオキシ残基:
【化7】

(ここで、R3は独立的に直鎖状又は分枝鎖状C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキル又はC2〜C8アルケニルを表わし、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル,ビニル及びアリルより成る群から選択される);及び/又は
・次式のアルコキシ残基:
4O(CH2CH2O)b
(ここで、R4は独立的に直鎖状又は分枝鎖状C1〜C8アルキル又はC3〜C8シクロアルキルを表わし、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル及びメチルグリコールより成る群から選択され、
bは0又は1である);
を表わす。
【0023】
実際、このマスチックがイミノオキシ又はアルコキシタイプの中性1成分型シリコーンマスチックである場合には、カートリッジ中における安定性の問題及び黄変の問題がもっと激しくなるということが観察される。
【0024】
本発明のより一層好ましい具体例に従えば、
前記POS−Aが式(I)において記号Yが酸素原子を表わすポリマーであり;
前記官能化置換基Rfoがアルコキシタイプのものであって、上で定義した通りの式R4O(CH2CH2O)b−に相当し;
前記架橋/硬化触媒Iが、
・次のもの:
・・次式のモノマーI1.1:
[L]cM1[(OCH2CH2)dOR7]4-c (V)
{ここで、記号Lはπ関与(participation)を伴う又は伴わないσドナーリガンド、例えばアセチルアセトン、β−ケトエステル、マロン酸エステル又はアセチルイミンから誘導されるタイプのリガンドを表わし;
cは0、1、2、3又は4を表わし;
M1はチタン、ジルコニウム及びそれらの混合物から選択される金属であり;
置換基R7は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ直鎖状又は分枝鎖状C1〜C12アルキル基を表わし;
dは0、1又は2を表わし;
記号dが0を表わす場合にはアルキル基R7は2〜12個の炭素原子を有し、記号dが1又は2を表わす場合にはアルキル基R7は1〜4個の炭素原子を有する};及び
・・式(V)において記号cがせいぜい3であり且つ記号R7が記号dが0を表わす場合についての上記の意味を持つモノマーの部分加水分解から得られるポリマーI1.2:
より成る群から選択される金属M1の少なくとも1種の有機誘導体I1と、
・次のもの:
・・次式のポリカルボキシレートI2.1:
M2(R8COO)v (VI)
・・次式の金属アルコキシド及び/又はキレートI2.2:
(L)eM2(OR9)v-e (VII)
(これら式中、置換基R8は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ直鎖状又は分枝鎖状C1〜C20アルキル基を表わし;
記号R9は式(V)においてR7について上で与えた意味を有し;
記号Lはπ関与を伴う又は伴わないσドナーリガンド、例えばアセチルアセトン、β−ケトエステル、マロン酸エステル又はアセチルイミンから誘導されるタイプのリガンドを表わし;
M2は亜鉛、アルミニウム、ビスマス、ホウ素及びそれらの混合物から選択される原子価vの金属であり;
eは0〜vの範囲の数を表わす):
より成る群から選択される金属M2の少なくとも1種の有機誘導体I2との組合せから成る。
【0025】
これは限定的なことではないが、
・金属M1としてチタンを、
・金属M2として亜鉛、アルミニウム又はそれらの混合物を
選択するのが、本発明を実施するに当たって特に好適な選択であると考えるべきである。
【0026】
本発明の組成物中にこれらの硬化触媒Iを使用することによって、金属化合物I1及びI2を別々に用いた場合と比較して、特にスキン形成時間及び硬化に関する相乗効果によって示される特に驚くべきそして予期しなかった結果を得ることができる。
【0027】
本発明に従う1成分型オルガノポリシロキサン組成物は追加的に、1種又はそれより多くの補助剤H、例えば特に線状ジオルガノポリシロキサンポリマーA100重量部当たりに:
・0.1〜10部の粘着剤H1;
・有効量の、抗カビ剤H2;殺細菌剤H3;不活性有機希釈剤H4(特に高沸点の石油留分やトルエン、キシレン、ヘプタン、ホワイトスピリット、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンのようなもの);可塑剤H5(例えば10〜30個の炭素原子を有する分枝鎖状又は非分枝鎖状アルキル残基を含み且つ200g/モルより大きい分子量を有するアルキルベンゼンの群に属するもの);チキソトロープ剤H6;安定剤H7(特に鉄又はセリウム有機酸塩、例えば鉄若しくはセリウムオクタン酸塩、酸化セリウム、水酸化セリウム、酸化鉄、酸化物CaO又は酸化物MgOのようなもの);或は着色顔料H8:より成る群から選択される少なくとも1種の化合物:
を随意に含むことができる。
【0028】
粘着剤H1を用いる場合、これは、
(1)ケイ素原子に結合した加水分解可能な基、並びに
(2)イソシアナト、エポキシ、アルケニル、イソシアヌレート及び(メタ)アクリレート基の群から選択される基で置換された有機基
の両方を有する有機ケイ素化合物から選択される。
【0029】
粘着剤H1の例としては、下に定義される有機ケイ素化合物を挙げることができる:
・次式:
【化8】

(ここで、Lは−(CH2)3−Si(OCH3)3である)の化合物、
・(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン(GLYMO)、
・ビニルトリメトキシシラン(VTMS)、
・メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(MEMO)、及び
・それらの混合物。
【0030】
本発明に従う組成物の構成成分の性状をもう少し詳細に説明すると、Rfoによって官能化されたポリマーPOS−Aの置換基R1、Rfoによって官能化された樹脂Bの置換基R1及び随意としての非官能化ポリマーFの置換基R1は、
・1〜13個の炭素原子を有するアルキル及びハロアルキル基、
・5〜13個の炭素原子を有するシクロアルキル及びハロシクロアルキル基、
・2〜8個の炭素原子を有するアルケニル基、
・6〜13個の炭素原子を有する単核アリール及びハロアリール基、
・アルキル部分が2〜3個の炭素原子を有するシアノアルキル基
より成る群から選択されるのが好ましく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル,n−ヘキシル、フェニル、ビニル及び3,3,3−トリフルオロプロピル基が特に好ましい。
【0031】
さらにより一層特定的には、限定を意図するものではないが、ポリマーPOS−A及び(随意としての)Fについて上に挙げた置換基R1は、次のものを含む:
・1〜13個の炭素原子を有するアルキル及びハロアルキル基として、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル又は4,4,4,3,3−ペンタフルオロブチル基、
・5〜13個の炭素原子を有するシクロアルキル及びハロシクロアルキル基として、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、プロピルシクロヘキシル、2,3−ジフルオロシクロブチル又は3,4−ジフルオロ−5−メチルシクロヘプチル基、
・2〜8個の炭素原子を有するアルケニル基として、例えばビニル、アリル又はブテン−2−イル基、
・6〜13個の炭素原子を有する単核アリール及びハロアリール基として、例えばフェニル、トリル、キシリル、クロロフェニル、ジクロロフェニル又はトリクロロフェニル基、
・アルキル部分が2〜3個の炭素原子を有するシアノアルキル基として、例えばβ−シアノエチル及びγ−シアノプロピル基。
【0032】
式(I)のRfoで官能化されたジオルガノポリシロキサンA、式(IV)の前駆体A'及びA''並びに随意としての式(III)の非反応性ジオルガノポリシロキサンF中に存在するシロキシ単位D=(R1)2SiO2/2の具体例としては、次のものを挙げることができる:
(CH3)2SiO、
CH3(CH2=CH)SiO、
CH3(C65)SiO、
(C65)2SiO、
CF3CH2CH2(CH3)SiO、
NC−CH2CH2(CH3)SiO、
NC−CH(CH3)CH2(CH2=CH)SiO、
NC−CH2CH2CH2(C65)SiO。
【0033】
本発明においては、式(IV)の前駆体ポリマーA'及びA''として、粘度値及び/又はケイ素原子に結合した置換基の性状の点で互いに異なる数種のポリマーから成る混合物を用いることもできるということを理解されたい。さらに、式(IV)のポリマーA'及びA''は随意に、式R1SiO3/2のシロキシ単位T及び/又は式SiO4/2のシロキシ単位Qをせいぜい1%(この%はケイ素原子100個当たりのT及び/又はQ単位の数を表わす)の割合で含むことができるということが指摘されるべきである。式(III)の非反応性ポリマーF(随意)にも同じことが当てはまる。
【0034】
官能化ポリマーAの置換基R1、前駆体ポリマーA'及びA''の置換基R1並びに非反応性の非官能化ポリマーF(随意)の置換基R1としては、工業製品における入手しやすさの理由で、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ヘキシル、フェニル、ビニル及び3,3,3−トリフルオロプロピル基を用いるのが有利である。これらの置換基の内の少なくとも80%(数を基準とする)がメチル基であるのがより一層有利である。
【0035】
25℃における動的粘度が1000〜1000000mPa・sの範囲、好ましくは10000〜200000mPa・sの範囲である前駆体ポリマーA'及びA''を用いる。
【0036】
非官能化ポリマーF(随意)に関しては、これらは10〜200000mPa・sの範囲、好ましくは50〜150000mPa・sの範囲の25℃における動的粘度を示す。
【0037】
非反応性の非官能化ポリマーFを用いる場合、これらは全部一度に導入してもよく、いくつかの画分に分けて導入してもよく、組成物の調製のいくつかの工程で導入してもよく、単一の工程で導入してもよい。随意としての画分は、性状及び/又は割合に関して同一であっても異なっていてもよい。好ましくは、Fは単一工程で全部一度に導入する。
【0038】
好適な又は有利に用いられるRfoによって官能化された樹脂POS−Bの置換基R1の例としては、官能化ポリマーA、前駆体ポリマーA'及びA''並びに非反応性の非官能化ポリマーF(随意)について上に名称を挙げたタイプの各種の基R1を挙げることができる。これらのシリコーン樹脂は、よく知られた枝分かれ状ポリオルガノシロキサンポリマーであり、その製造方法は多くの特許明細書中に記載されている。用いることができる樹脂の具体例としては、MQ、MDQ、TD及びMDT樹脂を挙げることができる。
【0039】
好ましくは、用いることができる樹脂の例としては、Rfoによって官能化された樹脂POS−Bであって構造中にQ単位を含まないものを挙げることができる。より好ましくは、用いることができる樹脂の例として、T単位を少なくとも20重量%含み、Rfo基の重量含有率が0.3〜5%の範囲である官能化TD及びMDT樹脂を挙げることができる。さらにより一層好ましくは、このタイプの樹脂であって、構造中の置換基R1の少なくとも80%(数を基準とする)がメチル基であるものを用いる。樹脂Bの官能基Rfoは、M、D及び/又はT単位中に存在することができる。
【0040】
官能化POS−A及び架橋剤Cに関しては、特に好適な置換基R2の具体例として、官能化ポリマーA、前駆体ポリマーA'及びA''並びに非反応性の非官能化ポリマーFの置換基R1について上に名称を挙げたものと同じ基を挙げることができる。
【0041】
官能化基Rfoの構成要素である置換基R3、R4及びR5に関しては、好ましくはC1〜C4アルキル基が挙げられる。メチル、エチル、プロピル、イソプロピル及びn−ブチルが特に好適であることは明らかである。
【0042】
各記号Yに関しては、すでに示したように、これは酸素原子又は二価炭化水素基を表わす。二価炭化水素基としては、好ましくはメチレン、エチレン、プロピレン又はブチレン基を挙げることができ、エチレン基が特に好ましい。
【0043】
上記の「本発明のより一層好ましい具体例」に従えば、各記号Yは酸素原子を表わし、官能化基Rfoはアルコキシタイプのものであり、そしてこの範疇においてさらにより一層好ましい具体例に従えば、これらは以下のものより成る群から選択されるシラン架橋剤Cから得られる:
Si(OCH3)4
Si(OCH2CH3)4
Si(OCH2CH2CH3)4
(CH3O)3SiCH3
(C25O)3SiCH3
(CH3O)3Si(CH=CH2)
(C25O)3Si(CH=CH2)
(CH3O)3Si(CH2−CH=CH2)
(CH3O)3Si[CH2−(CH3)C=CH2]
(C25O)3Si(OCH3)
Si(OCH2−CH2−OCH3)4
CH3Si(OCH2−CH2−OCH3)3
(CH2=CH)Si(OCH2CH2OCH3)3
65Si(OCH3)3
65Si(OCH2−CH2−OCH3)3
【0044】
実際上は、特に好適な官能化基Rfoを有するシラン架橋剤Cは、Si(OC25)4、CH3Si(OCH3)3、CH3Si(OC25)3、(C25O)3Si(OCH3)、(CH2=CH)Si(OCH3)3又は(CH2=CH)Si(OC25)3である。
【0045】
本発明の注目すべき特徴に従えば、この組成物は、前駆体A'及びA''(並びに随意としての前駆体B'及びB'')と官能基Rfoを有する好適なシランとの反応(この反応はそれぞれPOS−A及び樹脂Bをもたらす)を行う際に存在させる少なくとも1種の官能化触媒Dを追加的に含むことができる。
【0046】
記号Yが酸素原子を表わし、ヒドロキシル化前駆体A'及び随意としてのB'とシランCとの縮合反応が行われる場合、この官能化触媒Dは、次の化合物から有利に選択することができる:
・酢酸カリウム(米国特許第3504051A号明細書を参照されたい)、
・各種無機酸化物(フランス国特許第1495011A号明細書を参照されたい)、
・カルバメート(ヨーロッパ特許公開第0210402A号公報を参照されたい)、
・水酸化リチウム(ヨーロッパ特許公開第0367696A号公報を参照されたい)、
・水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム(ヨーロッパ特許公開第0457693A号公報を参照されたい)。
【0047】
場合によって、官能化触媒を中和することが必要な場合がある。かくして、水酸化リチウムに関しては、例えば以下のもののような多くの物質をこの目的のために用いることができる:
・リン酸トリクロロエチル、
・ジメチルビニルシリルアセテート、
・フランス国特許第2410004B号明細書に記載されたもののタイプののシリルホスフェート、又は
・沈降シリカ若しくはヒュームドシリカ。
【0048】
記号Yが酸素原子を表わす場合、本発明においては、式LiOH又はLiOH・H2Oの水酸化リチウムを官能化触媒Dとして用いることが推奨される。これは例えば、1〜3個の炭素原子を有する少なくとも1種の脂肪族アルコールE(例えばメタノール、エタノール若しくはイソプロパノール又はこれらのアルコールの混合物等)中の溶液状で用いることができる。反応媒体中に1種(又はそれより多くの)アルコールを存在させる場合、その使用量は、ヒドロキシル化ポリマーA'100部当たりに0.1〜2重量部、好ましくは0.2〜1重量部の範囲内である。
【0049】
官能化触媒Dは有効量で、即ち官能化反応速度ができるだけ速くなるような量で用いられ、特にSi(OC25)4、CH3Si(OCH3)3、CH3Si(OC25)3、(C25O)3Si(OCH3)、(CH2=CH)Si(OCH3)3又は(CH2=CH)Si(OC25)3を官能化剤(これは架橋剤Cにほかならない)として用いる。多くの場合、官能化されたポリマーAの前駆体A'及び官能化された樹脂Bの前駆体B'によってもたらされるシラノール基(≡Si−OH)1モル当たりに0.001〜5モルの触媒Dが用いられる。水酸化リチウムを用いる好ましい場合においては、A'又はB'のシラノール基1モル当たりに0.005〜0.5モルのLiOHを用いる。
【0050】
充填剤Gは無機系のものであり、ケイ質物質又は非ケイ質物質から選択される物質から成ることができる。
【0051】
ケイ質物質に関しては、これらは補強用又は半補強用充填剤としての働きをすることができる。
【0052】
補強用ケイ質充填剤は、コロイドシリカ、熱分解法(若しくはヒュームド)シリカ及び沈降シリカ粉末又はそれらの混合物から選択される。
【0053】
これらの粉末は、一般的に0.1μm未満の平均粒子寸法及び50m2/gより大きい、好ましくは100〜350m2/gの範囲のBET比表面積を示す。
【0054】
また、例えば非晶質シリカ、ケイ藻土又は粉砕石英のような半補強用ケイ質充填剤を用いることもできる。
【0055】
非ケイ質無機材料に関しては、これらは半補強用又は増量無機充填剤として用いることができる。単独で用いることも混合物として用いることもできるこれらの非ケイ質充填剤の例には、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化アルミニウム、水和アルミナ、膨張バーミキュライト、非膨張バーミキュライト、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、雲母、タルク、酸化鉄、硫酸バリウム及び消石灰がある。これらの充填剤は、一般的に0.001〜300μmの範囲の粒子寸法及び100m2/g未満のBET比表面積を有する。
【0056】
限定を意図するものではないが、実際上よく用いられる充填剤は、熱分解法シリカ粉末である。このシリカは、半透明マスチックを得ることが目指される場合に、非晶質の形にある。
【0057】
これらの充填剤は、様々な有機ケイ素化合物で処理することによって表面変性されていることができる。この有機ケイ素化合物は、この用途のために通常用いられるものであり、かくしてオルガノクロロシラン、ジオルガノシクロポリシロキサン、ヘキサオルガノジシロキサン、ヘキサオルガノジシラザン又はジオルガノシクロポリシラザンであることができる(フランス国特許第1126884号、同第1136885号、同第1236505号及び英国特許第1024234号の各明細書)。処理された充填剤は大抵の場合、それらの重量の3〜30%の有機ケイ素化合物を含む。
【0058】
充填剤の導入目的は、本発明に従う組成物の硬化の結果として得られるエラストマーに良好な機械的特徴及び流動学的特徴を与えることである。単一のタイプの充填剤を導入することもでき、いくつかのタイプの充填剤の混合物を導入することもできる。
【0059】
硬化触媒Iに関しては、式(V)の有機誘導体I1.1中の記号R7の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル及びドデシル基を挙げることができ、式(V)の誘導体I1.1中の記号Lの例としては、アセチルアセトナートリガンドを挙げることができる。
【0060】
式(V)のモノマーI1.1の具体例としては、エチルチタネート若しくはジルコネート、プロピルチタネート若しくはジルコネート、イソプロピルチタネート若しくはジルコネート、ブチルチタネート若しくはジルコネート、2−エチルヘキシルチタネート若しくはジルコネート、オクチルチタネート若しくはジルコネート、デシルチタネート若しくはジルコネート、ドデシルチタネート若しくはジルコネート、β−メトキシエチルチタネート若しくはジルコネート、β−エトキシエチルチタネート若しくはジルコネート、β−プロポキシエチルチタネート若しくはジルコネート、式M1[(OCH2CH2)2OCH3]4のチタネート若しくはジルコネート、ビス(アセトアセトニル)ジイソプロピルチタネート若しくはジルコネート、又はビス(アセトアセトニル)ジブチルチタネート若しくはジルコネートを挙げることができる。より一層評価されるモノマー状金属化合物I1.1は、単独の又は混合物としての次の物質である:エチルチタネート、プロピルチタネート、イソプロピルチタネート又はブチル(n−ブチル)チタネート。
【0061】
モノマーI1.1の部分加水分解から得られるポリマーI1.2の具体例としては、イソプロピル、ブチル又は2−エチルヘキシルチタネート又はジルコネートの部分加水分解から得られるポリマーI1.2を挙げることができる。
【0062】
硬化触媒Iに関してはまた、式(VI)及び式(VII)の誘導体I2.1及びI2.2中の記号R8及びR9の例としてはプロピル、イソプロピル、ブチル(n−ブチル)、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル及びドデシル基を、式(VII)の誘導体I2.2中の記号Lの例としてはアセチルアセトナートリガンドを挙げることができる。
【0063】
有機誘導体I2の具体例としては、ジオクタン酸亜鉛、ホウ酸トリブチル、カルボン酸ビスマス及びアルミニウムアセチルアセトナートを挙げることができる。特に評価される化合物I2は、単独の又は混合物としての次の物質である:ジオクタン酸亜鉛、アルミニウムアセチルアセトナート又はアルミニウムブトキシド(直鎖状若しくは分枝鎖状)。
【0064】
硬化触媒Iの各成分I1又はI2のそれぞれの量は、上記の条件(β)及び(γ)を満たすことを条件として、広い範囲内で変えることができる。これらの量は、特にスキン形成時間、粘着質の手触りの持続、硬度及び初期硬度/最終硬度の比に関して望まれる値の程度に応じて選択される。硬化触媒Iを、
(β)成分(i)〜(8i)全部を含む1成分型組成物1g中に導入される金属M1+M2のμg・at(マイクログラム原子)数が25〜55の範囲内になり;
(γ)比:
【数2】

が10〜45%の範囲内になる:
ような量で用いることによって、用途特性についての値の優れた折衷点が得られる。
【0065】
本発明の別の好ましい特徴に従えば、1成分型POS組成物は、
・100重量部の、Rfoによって官能化された線状ジオルガノポリシロキサンA、
・0〜30、好ましくは5〜15重量部の、樹脂B、
・0〜15、好ましくは3.5〜7重量部の、架橋剤C、
・0〜2、好ましくは0〜1重量部の、アルコールE、
・0〜30、好ましくは5〜20重量部の、非反応性の非官能化ポリマー線状ジオルガノポリシロキサンF、
・2〜40、好ましくは8〜20重量部の、無機充填剤G、
・0〜20重量部の、補助剤H、並びに
・上記の一般的又は好ましい条件(β)及び(γ)を満たす金属M1+M2の割合を組成物にもたらすように決定される量の、硬化触媒I
を含む。
【0066】
本発明に従う組成物は、湿分の存在下において周囲温度、特に5〜35℃の範囲の温度で硬化する。硬化(又は架橋)は、組成物本体の外側から内側に向けて起こる。最初に表面においてスキンが形成し、次いで組成物の本体中で架橋が続く。
【0067】
これらの組成物は、建築産業におけるジョイント、又は建築産業の分野並びに自動車、家庭用電気器具及びエレクトロニクス産業の分野における様々な材料(金属;例えばPVCやPMMAのようなプラスチック;天然及び合成ゴム;木材;厚紙;陶器;煉瓦;ガラス;石材;コンクリート;石煉瓦材料)の組立て及び接着のような多様な用途のために用いることができる。
【0068】
本発明の別の局面に従えば、本発明の別の主題事項(本発明の第2の主題事項)は、前記の1成分型シリコーンマスチック組成物を架橋及び硬化させることによって得られ、各種基板に対して粘着することができる、黄変しないエラストマーにある。
【0069】
本発明に従う1成分型オルガノポリシロキサン組成物は、湿分を排除しながら調製され、この調製は、撹拌機を備え、必要ならば真空にすることができ、次いで随意に空気を無水気体、例えば窒素で追い出して置換することができる密閉式反応器中で実施される。
【0070】
この調製のためには、
湿分を排除しながら、
・工程1において、Rfoによって官能化されたPOS−Aの前駆体POS−A'又はA''、Rfoによって官能化された樹脂POS−Bの前駆体樹脂B'又はB''(随意として)、官能基Rfoを有する(随意にオレフィン性の)シラン(これはシランCであることができる)、官能化触媒D、アルコールE(随意として)及び非官能化非反応性POS−F(随意として)を緊密に混合し;
・次いで、工程2において、工程1からの反応混合物に成分G、H(随意として)、F(随意として)及びIを添加して補充したものを緊密に混合すること;並びに
プロセスの実施における様々な時点において、
・前記工程1の際及び/又は
・前記工程2の際及び/又は
・最終工程3
において存在する揮発性物質(低分子量のポリマー、官能化反応の際に生成するアルコール、随意に用いるアルコールE)を排出させること:
ができる装置を用いてバッチ式又は連続式で運転することが推奨される。
【0071】
もちろん、この調製方法の実施のために、その他の可能な成分導入順序も存在する。例えば、次の導入順序を採用することができる。
・工程1:A'+随意としてのB'+C+D+随意としてのE+随意としてのF+G(この工程において揮発性物質を排出させる);
・工程2:C+随意としてのH+随意としてのF+I。
【0072】
装置の例としては、低速分散装置、パドル、プロペラ、アーム若しくはアンカー形ミキサー、遊星型ミキサー、フック形ミキサー、又は一軸若しくは多軸スクリュー押出機を挙げることができる。
【0073】
この調製の各工程は、10〜110℃の範囲内の温度において実施される。好ましくは、各工程を15〜90℃の範囲の温度において実施する。
【0074】
工程1は、完全な官能化反応又は選択した操作条件下において到達可能な最大官能化度にできる限り近い官能化反応をもたらすのに充分な時間(例えば10秒〜10分の範囲の時間)実施される。
【0075】
工程2は、均質組成物に到達するのに充分な時間(例えば10秒〜30分の範囲の時間)実施される。
【0076】
工程3は一般的に、20×102Pa〜900×102Paの範囲の減圧下において、揮発性物質をすべて排出させるのに充分な時間(例えば10秒〜1時間の範囲の時間)実施される。
【実施例】
【0077】
本発明は、以下の実施例によってより一層よく理解されるであろう。以下の実施例は、アルコキシタイプの中性1成分型組成物の調製を記載する。この組成物は、本発明に相当するかどうかに応じて良好な用途特性を持つ架橋エラストマー又は持たない架橋エラストマーをもたらす。
【0078】
例1〜15
【0079】
(1)硬化触媒を含まない1成分型オルガノポリシロキサン組成物(ペースト)の調製
【0080】
約50000mPa・sの粘度を有するα,ω−ジヒドロキシル化ポリジメチルシロキサンオイル1030g及びビニルトリメトキシシランタイプの架橋剤33.0gを、「バタフライ」一軸ミキサーの容器に装填する。全体を200回転/分で2分間混合し、水酸化リチウム官能化触媒4.2gをこの容器中に導入する。400回転/分で撹拌しながら4分間官能化反応を起こさせ、次いで約150m2/gの比表面積を有する熱分解法シリカ33.0gを添加して中庸撹拌速度(160回転/分)及び次いで高撹拌速度(400回転/分で4分間)で撹拌して、シリカを混合物中に完全に分散させる。まあまあ濃密ではあるがまだ流動性がある粘弾性流体が得られる。こうして得られたペーストを真空下でガス抜き(30×102Paの真空下で130回転/分において6分間)し、次いで貯蔵のために容器中に移す。
【0081】
(2)ペーストへの硬化触媒の添加:
【0082】
大気中の湿分によって架橋するマスチックを得るためには、上で得られたペーストに硬化触媒を添加することが必要である。
【0083】
様々な触媒を比較する目的で、各例又は試験においてペースト30gに下記の表1〜4に与えた所定の量の触媒を添加した。
【0084】
以下の触媒を単独で又は組合わせとして試験した:
・テトラブチルチタネート(TBOT、DuPont de Nemours社より);
・鉱油中に80重量%で配合された亜鉛金属を18重量%含むジオクタン酸亜鉛(DOZ、Strem社より販売);
・アルミニウムアセチルアセトナート(ACAC/Al、Strem社より販売);
・ホウ酸トリブチル(TBB、Strem社より販売);
・元素状ビスマスを25重量%含むカルボン酸ビスマス(K-KAT 348、King Industry社より販売)。
【0085】
(3)結果:
【0086】
各組成物の触媒としての能力を2つの方法で評価した:
・スキン形成時間「SFT」(表面架橋が観察されるまでの時間);SFTは、次の方法で測定される:マスチックの細いストリップを付着させ、この細いストリップの表面を一定時間間隔で木製の棒の先端で均す。スキン形成時間は、その棒を持ち上げた時にマスチックがもはや持ち去られなくなる時間によって決定される。
・23℃/50%RHにおいて7日間の架橋の後の硬度(ショアーA)(この硬度は、ASTM規格D−2240に従い、それぞれ2mmの厚さの3つの板状物を重ねることによって得られる厚さ6mmの円盤形の試験片に対して測定する)。
【0087】
(3.1)TBOT−ACAC/AL共触媒作用(例1〜4):
【表1】

【0088】
(3.2)TBOT−DOZ共触媒作用(例5〜8):
【表2】

【0089】
(3.3)TBOT−TBB共触媒作用(例9〜12):
【表3】

【0090】
(3.4)TBOT−K−KAT共触媒作用(例13〜15):
【表4】

【0091】
(3.4)コメント:
【0092】
相乗効果を示すデータを、上記の表1〜4中に太字で挙げた。
【0093】
これらの表から、統計的に触媒間の協力作用があり、全体的に架橋反応速度の改善がもたらされることがわかる。DOZ(表2)を例にとれば、本発明に従って3.8μg・at/g(触媒抜きの1成分型組成物1g当たりの金属亜鉛のマイクログラム原子数)のDOZ及び3.8μg・at/gのTBOTを含む組合せ物を導入すると、SFTの短縮(1.75時間に変化する)及び特にエラストマーについての架橋反応速度の促進がもたらされ、7日後のショアーA硬度は14となるのに対して、3.8μg・at/gのDOZ又はTBOTを単独で用いた場合にはSFTは4時間より長く、7日後の硬度は0である。
【0094】
最も有利な相乗効果は、Ti−Al及びTi−Zn共触媒作用によってもたらされる。
【0095】
例16〜21
【0096】
(1)硬化触媒としてDOZ+TBOT触媒組合せ物を様々な量で含む1成分型オルガノポリシロキサン組成物の調製:
【0097】
「バタフライ」一軸ミキサーの容器に、
・約135000mPa・sの粘度を有するα,ω−ジヒドロキシル化ポリジメチルシロキサンオイル704g、
・約100000mPa・sの粘度を有するα,ω−トリメチルシリル化ポリジメチルシロキサンオイル48g、
・約100mPa・sの粘度を有するα,ω−トリメチルシリル化ポリジメチルシロキサンオイル180g、
・ヒドロキシル化シリコーン樹脂(この樹脂はMDTタイプのものであってヒドロキシル基を1重量%有し、(CH3)3SiO1/2単位4重量%、(CH3)2SiO2/2単位71重量%及びCH3SiO3/2単位25重量%から成り、25℃において100mPa・sの粘度を示す)79g、及び
・ビニルトリメトキシシランタイプの架橋剤36g
を装填する。この全体を200回転/分において2分間混合し、水酸化リチウム官能化触媒4.6gをこの容器中に導入する。400回転/分で撹拌しながら4分間官能化反応を起こさせ、次いでR104の名称でDegussa社より販売されている非晶質シリカ114gを添加して中庸撹拌速度(160回転/分)及び次いで高撹拌速度(400回転/分で4分間)で撹拌して、シリカを混合物中に完全に分散させる。次いでメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(MEMO)18gを添加し、次いでDOZ及びTBOTの組合せから成る硬化触媒を、下記の表5に示した量に従って導入する。400回転/分において4分間混合した後に、撹拌速度を130回転/分に下げ、20×102Paの真空下で混合物をガス抜きする。
【0098】
(2)結果:
【0099】
2つの基準を監視した:
・相対湿度50%下で23℃において17時間の架橋の後の粘着質の手触り(3人の異なる試験者に、粘着質の手触りの持続性に応じて4つのマスチックを分類することを求めた):この試験は、勾配の調節が可能な傾斜平面上に架橋マスチックのフィルムを付着させ、このフィルム上でローラーを転がり降ろさせることから成る:ローラーが勾配全体を降りきる時間(秒)を記録する;勾配は、10°〜40°まで変化させる;30°〜40°の勾配について得られた結果は非常に似ており、それらを区別することはできなかった。
・24時間における硬度(ショアーA)対7日間における硬度の比(%で表わされる)(この硬度は、ASTM規格D−2240に従い、それぞれ2mmの厚さの3つの板状物を重ねることによって得られる厚さ6mmの円盤形の試験片に対して測定する);この比が100%であれば、24時間の架橋で最大の硬度値が達成されたことを意味する。
【0100】
【表5】

【0101】
コメント:
【0102】
2つの化合物の間の相乗効果は、粘着質の手触りを考えるか硬度の比を考えるかに応じてわずかに異なる。
【0103】
粘着質の手触りに関しては、例21と試験Kとを比較することによってわかるように、亜鉛の量が非常に低い(10%)段階から効果が顕著である。
【0104】
硬度の比に関しては、上記の表から、[Zn]/全体の比につれてほとんど連続的に変化し、Znの割合が34%の時点から100%の比に達し、例16に示されたようにこれは触媒の合計量の有意の増加がなくても同じであることが観察できる。この場合、シリコーンエラストマーの固化反応速度が50%改善されるという利点を見積もることができる。
【0105】
例16においては、TBOTの量が参照用試験Kと比較してほぼ40%少ないこと、及び同時に固化速度が改善されることに注目すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の(i)〜(9i):
(i)次式の少なくとも1種の架橋性線状ポリオルガノポリシロキサン:
【化1】

{ここで、置換基R1は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ飽和又は不飽和で置換又は非置換の脂肪族、環状脂肪族又は芳香族C1〜C13一価炭化水素基を表わし;
置換基R2は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ飽和又は不飽和で置換又は非置換の脂肪族、環状脂肪族又は芳香族C1〜C13一価炭化水素基を表わし;
官能化置換基Rfoは同一であっても異なっていてもよく、それぞれ
・次式のイミノオキシ残基:
【化2】

(ここで、R3は独立的に直鎖状又は分枝鎖状C1〜C8アルキル、C3〜C8シクロアルキル又はC2〜C8アルケニルを表わす);
・次式のアルコキシ残基:
4O(CH2CH2O)b
(ここで、R4は独立的に直鎖状又は分枝鎖状C1〜C8アルキル又はC3〜C8シクロアルキルを表わし、
bは0又は1である);
・次式のアシルオキシ残基:
【化3】

(ここで、R5は飽和又は不飽和で置換又は非置換の脂肪族、環状脂肪族又は芳香族C1〜C13一価炭化水素基を表わす);又は
・次式のエノキシ残基:
(H)b'(R5)2-b'C=C(−O−)R5
(ここで、R5は上で定義した通りであり、
b'は0、1又は2である):
を表わし;
各記号Yは酸素原子又は二価炭化水素基を表わし、
nはPOS−Aに1000〜1000000mPa・sの範囲の25℃における動的粘度を与えるのに充分な値を有し、
aは0又は1である};
(2i)随意としての、式(R1)3SiO1/2(M単位)、(R1)2SiO2/2(D単位)、R1SiO3/2(T単位)及びSiO2(Q単位)(ここで、基R1は同一であっても異なっていてもよく、式(I)について上で与えた意味を有する)のものから選択される少なくとも2個の異なるシロキシ単位を構造中に示し、これらの単位の内の少なくとも1つがT又はQ単位であり、且つ上で与えた定義に相当する少なくとも1個の基Rfoによって官能化された、少なくとも1種のポリオルガノシロキサン樹脂B(この樹脂は、0.1〜10%の範囲の官能基Rfo重量含有率を有し、基R1の一部は基Rfoであるものとする);
(3i)随意としての、次式の少なくとも1種の架橋剤C:
(R2)aSi[Rfo]4-a (II)
(ここで、R2、Rfo及びaは上で定義した通りである);
(4i)随意としての、Rfoによって官能化されたPOS−Aを調製する際及び随意としてのRfoによって官能化された樹脂Bを調製する際に存在させた残留量の官能化触媒D;
(5i)随意としての、少なくとも1種の第1級脂肪族C1〜C3アルコールE;
(6i)随意としての、次式を有する、Rfoで官能化されていない少なくとも1種の非反応性線状ポリジオルガノシロキサンF:
【化4】

(ここで、置換基R1は同一であっても異なっていてもよく、式(I)のポリオルガノシロキサンAについて上で与えたのと同じ意味を有し、
mは式(III)のポリマーに10〜200000mPa・sの範囲の25℃における動的粘度を与えるのに充分な値を有する);
(7i)少なくとも1種の無機充填剤G;
(8i)随意としての、本発明に従う組成物が用いられる用途に応じて必要な場合に一般的に選択される当業者に周知の少なくとも1種の補助剤H;
(9i)有効量の架橋/硬化触媒I:
を含み、湿分の不在下において貯蔵安定性であり、水の存在下で架橋して黄変しない粘着性エラストマーになる1成分型ポリオルガノシロキサン組成物(POS)であって、以下の点(α)、(β)及び(γ):
(α)硬化触媒Iが、チタン、ジルコニウム及びそれらの混合物から選択される金属M1の少なくとも1種の有機誘導体I1と、亜鉛、アルミニウム、ホウ素、ビスマス及びそれらの混合物から選択される金属M2の少なくとも1種の有機誘導体I2との組合せから成ること;
(β)成分(i)〜(8i)全部を含む1成分型組成物1g中に導入される金属M1+M2のμg・at(マイクログラム原子)数が1〜150の範囲内であること;並びに
(γ)比:
【数1】

が5〜95%の範囲内であること:
を特徴とする、前記1成分型ポリオルガノシロキサン組成物(POS)。
【請求項2】
硬化触媒Iを
(β)成分(i)〜(8i)全部を含む1成分型組成物1g中に導入される金属M1+M2のμg・at(マイクログラム原子)数が25〜55の範囲内となり、
(γ)比:
【数2】

が10〜45%の範囲内となる
量で用いることを特徴とする、請求項1に記載の1成分型ポリオルガノシロキサン(POS)組成物。
【請求項3】
前記POS−Aが式(I)において記号Yが酸素原子を表わすポリマーであり;
前記成分A、B及びCの官能化置換基Rfoがアルコキシタイプのものであって、上で定義した通りの式R4O(CH2CH2O)b−に相当し;
前記架橋/硬化触媒Iが、
・次のもの:
・・次式のモノマーI1.1:
[L]cM1[(OCH2CH2)dOR7]4-c (V)
(ここで、記号Lはπ関与を伴う又は伴わないσドナーリガンドを表わし;
cは0、1、2、3又は4を表わし;
M1はチタン、ジルコニウム及びそれらの混合物から選択される金属であり;
置換基R7は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ直鎖状又は分枝鎖状C1〜C12アルキル基を表わし;
dは0、1又は2を表わし;
記号dが0を表わす場合にはアルキル基R7は2〜12個の炭素原子を有し、記号dが1又は2を表わす場合にはアルキル基R7は1〜4個の炭素原子を有する);及び
・・式(V)において記号cがせいぜい3であり且つ記号R7が記号dが0を表わす場合についての上記の意味を持つモノマーの部分加水分解から得られるポリマーI1.2:
より成る群から選択される金属M1の少なくとも1種の有機誘導体I1と、
・次のもの:
・・次式のポリカルボキシレートI2.1:
M2(R8COO)v (VI)
・・次式の金属アルコキシド及びキレートI2.2:
(L)eM2(OR9)v-e (VII)
(これら式中、置換基R8は同一であっても異なっていてもよく、それぞれ直鎖状又は分枝鎖状C1〜C20アルキル基を表わし;
記号R9は式(V)においてR7について上で与えた意味を有し;
記号Lはπ関与を伴う又は伴わないσドナーリガンドを表わし;
M2は亜鉛、アルミニウム、ビスマス、ホウ素及びそれらの混合物から選択される原子価vの金属であり;
eは0〜vの範囲の数を表わす):
より成る群から選択される金属M2の少なくとも1種の有機誘導体I2との組合せから成ることを特徴とする、請求項1に記載の1成分型ポリオルガノシロキサン(POS)組成物。
【請求項4】
foによって官能化されたポリマーPOS−Aの置換基R1、随意としてのRfoによって官能化された樹脂Bの置換基R1及び随意としての非官能化ポリマーFの置換基R1
・1〜13個の炭素原子を有するアルキル及びハロアルキル基、
・5〜13個の炭素原子を有するシクロアルキル及びハロシクロアルキル基、
・2〜8個の炭素原子を有するアルケニル基、
・6〜13個の炭素原子を有する単核アリール及びハロアリール基、
・アルキル部分が2〜3個の炭素原子を有するシアノアルキル基
より成る群から選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の1成分型ポリオルガノシロキサン(POS)組成物。
【請求項5】
前記の官能化基Rfoを有する架橋剤シランCがSi(OC25)4、CH3Si(OCH3)3、CH3Si(OC25)3、(C25O)3Si(OCH3)、(CH2=CH)Si(OCH3)3又は(CH2=CH)Si(OC25)3であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の1成分型ポリオルガノシロキサン(POS)組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の1成分型ポリオルガノシロキサン(POS)組成物の製造方法であって、
湿分を排除しながら、
・工程1において、Rfoによって官能化されたPOS−Aの前駆体POS−A'又はA''、Rfoによって官能化された樹脂POS−Bの前駆体樹脂B'又はB''(随意として)、官能基Rfoを有する(随意にオレフィン性の)シラン(これはシランCであることができる)、官能化触媒D、アルコールE(随意として)及び非官能化非反応性POS−F(随意として)を緊密に混合し;
・次いで、工程2において、工程1からの反応混合物に成分G、H(随意として)、F(随意として)及びIを添加して補充したものを緊密に混合すること;並びに
プロセスの実施における様々な時点において、
・前記工程1の際及び/又は
・前記工程2の際及び/又は
・最終工程3
において存在する揮発性物質を排出させること:
ができる装置中でバッチ式又は連続式で運転して実施されることを特徴とする、前記方法。
【請求項7】
鎖の末端をRfoによって官能化されたPOS−Aのヒドロキシル化前駆体A'が次式:
【化5】

(ここで、R1及びnは式(I)において上で定義した通りである)
のα,ω−ヒドロキシル化ポリジオルガノシロキサンであることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
随意としてのRfoによって官能化された樹脂POS−Bのヒドロキシル化前駆体B'が請求項1においてBについて上で与えた定義に相当し、但し基R1の一部がOH基に相当することを特徴とする、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
官能化触媒Dが次の化合物:
・酢酸カリウム、
・各種無機酸化物、
・カルバメート、
・水酸化リチウム、
・水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム
から選択されることを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれかに記載の1成分型シリコーンマスチック組成物又は請求項6〜9のいずれかに記載の方法によって得られる1成分型シリコーンマスチック組成物を架橋及び硬化させることによって得られ、各種基板に対して粘着することができる、黄変しないエラストマー。

【公表番号】特表2007−515499(P2007−515499A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516270(P2006−516270)
【出願日】平成16年6月9日(2004.6.9)
【国際出願番号】PCT/FR2004/001425
【国際公開番号】WO2005/003223
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【氏名又は名称原語表記】RHONE−POULENC CHIMIE
【Fターム(参考)】