周囲CO2を捕捉するための機能性イオン交換膜を備えた空気収集機
モノマーまたはモノマーブレンドまたはポリマーバインダーと、バインダーのための混和性液体担体と、粒子形態のCO2吸着剤またはゲッターとの混合物を提供する工程と;前記混合物を湿潤フィルムまたは膜に形成する工程と;前記液体担体を少なくとも一部蒸発させて、フィルムまたは膜を形成する工程と;前記フィルムまたは膜を処理して、該フィルムまたは膜の本体内に孔を形成する工程と、を含む、CO2捕捉要素を形成するための方法が開示されている。さらに、吸着剤およびポリマーを含む混合物を下部材料に適用するステップと;前記混合物を前記材料上の定位置で重合するステップと;前記ポリマー被覆材料をアミノ化するステップと、を含む、CO2捕捉要素を形成するための方法が開示されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一局面における実施形態は、選択された気体を空気から除去することに関する。本発明の実施形態は、特に空気からの二酸化炭素(CO2)の抜き取りに用途を有し、そのような用途に関連して記載されるが、NOxおよびSO2を含む他の気体の隔離を含む他の用途も想定される。
【背景技術】
【0002】
大気中のCO2のレベルの急激な上昇と、それと同等の地表温度の上昇との間に強力な相互関係が存在することを示唆する強力な証拠が存在する。この効果は、通常、地球温暖化として公知である。様々なCO2放出ソースのうち、ソースにて軽減することが実際的ではない多数の小さい、広く分布する排出源が存在している。加えて、炭化水素を燃料とする発電所などの大規模な排出源は、大気中へのCO2の排気から完全に保護されているわけではない。これらの主なソースおよび他のソースは、組み合わされて大気中のCO2濃度の急激な上昇率をもたらしている。全ての排出源がそのソースにおいて修正される迄、増大するが比較的低い背景濃度の大気中CO2を捕捉する他の技術が必要である。現存する排出低下技術の拡大と、周囲CO2の直接的な捕捉に向けた新規な技術の開発に対する努力が為されている。これらの努力は、得られた濃縮したCO2の排気流が大気中へ再導入されることを防止するよう管理する方法論を必要としている。
【0003】
CO2の生産は、木炭からの発電所での電気生成など、多様な工業用途において生じ、また、一般にエンジンなどの燃焼装置内で燃焼される燃料の主成分である炭化水素の使用において生じる。それらの燃焼装置から排出される排気ガスはCO2ガスを含み、これは現在、大気中に単に放出されている。しかしながら、温暖化ガスの問題が高まるにつれ、全てのソースからのCO2放出が削減される必要があろう。可動ソースに関する最良の選択肢は、自動車または飛行機内の可動燃焼装置からではなく、空気からの直接的なCO2の収集であると思われる。空気からCO2を除去することの利点は、可動装置上でCO2を貯蔵する必要がなくなることである。
【0004】
周囲空気からの二酸化炭素(CO2)の抜き取りは、炭素ベースの燃料の使用を可能にし、事後の関連した温暖化ガスの放出に対処するであろう。CO2は有毒ではなく、またppm量では有害ではないが、単に大気中に蓄積されることにより環境問題を生じるため、空気からCO2を除去して、他の場所および異なる時間における等しい規模の放出を補償することが可能である。
【0005】
空気からCO2を除去するための様々な方法および機器が開発されてきた。先行技術による方法の一つでは、気体と液体との混合を最大にするラシヒリングと称されるもので満たしたタンク内で、空気をアルカリ性溶液などの吸着剤で洗浄する。CO2は吸着剤と相互作用し、吸着剤に捕捉される。少量のCO2を排除するために、ゲル吸収剤も使用されている。これらの方法はCO2除去に有効であるが、空気から二酸化炭素を効率的に除去することにおいて重大な欠点を有する。即ち、空気は、かなり高圧で吸着剤を通過するよう操作される必要がある。
【0006】
空気から有意な量の低濃度CO2を洗浄除去する任意の技術に関する最も困難な課題は、元から生成されているCO2よりも少量のエネルギー消費によって、大量の空気を処理し、CO2を濃縮することを含む。洗浄除去方法中、比較的高い圧力損失が生じ、それにより空気の圧縮に必要なエネルギーが大量に消費される。この空気の圧縮に使用される追加のエネルギーは、空気圧を増大させるために必要なエネルギーが、この方法で打ち消した捕捉した量の値を超過し得るそれ自体のCO2を生成し得るため、この方法の二酸化炭素バランス全体に関して好ましくない効果を有し得る。
【0007】
先行技術の方法では、該方法が空気を加熱または冷却し、または空気圧を相当量変化させるため、CO2の捕捉が不十分となっていた。その結果、この捕捉方法が、動力の供給に使用される電気の生成の副産物としてのCO2を大気中に導入し得るため、CO2の正味の低下はごく僅かである。
【0008】
共通の譲受人に譲渡された同時係属の2007年3月8日出願の米国特許出願第11/683,824号明細書、特許文献1において、空気の流れを可能にする比較的大きい表面積を提供するように形成された、固体機能性陰イオン交換材料を使用した空気捕捉装置が記載されている。固体陰イオン交換材料は、機能性ポリスチレンもしくは同様物などの陰イオン交換材料からなる膜から形成され、または陰イオン交換材料で被覆された不活性基体材料からなる膜を含んでもよい。本発明者らの以前の発明の好ましい実施形態では、陰イオン交換材料は、Snowpure,LLC,San Clemente,Californiaから入手可能な、商業的に入手可能な陰イオン交換膜材料を細長く切って形成された厚さ1mm×幅1mmの「ヌードル様」を含んでいる。製造業者は、この膜材料を、ポリプロピレンマトリックス中で混合され、特許文献2および特許文献3の教示に従って膜として押出された粉砕陰イオン交換樹脂として説明している。固体陰イオン交換ポリマーは、セルまたは同様物に形成されてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0217982号明細書
【特許文献2】米国特許第6,503,957号明細書
【特許文献3】米国特許第6,716,888号明細書
【特許文献4】米国特許第3,876,738号明細書
【特許文献5】米国特許第4,340,480号明細書
【特許文献6】米国特許第4,770,777号明細書
【特許文献7】米国特許第5,215,662号明細書
【特許文献8】国際公開第08/131132号パンフレット
【特許文献9】米国仮特許出願第60/989,405号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Mizutani,Y.,Journal of Membrane Science,1990,49,121−144
【非特許文献2】Choi,Y.ら,Desalination,2002,146,287−291
【非特許文献3】Choi,Y.ら、Journal of Membrane Science,2003、221,219−231
【非特許文献4】Choi,Y.ら、Journal of Membrane Science,2003,223,201−215
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、CO2空気捕捉のための固体吸着剤としての、上述したような現在使用されているイオン交換材料に代わる固体イオン交換材料を探索する。より詳細には、固体CO2吸着剤を支持体内または支持体上に固定化することによる、CO2空気捕捉のための固体吸着剤の形成方法を提供する。本発明の好ましい実施形態において、固体CO2吸着剤は、多孔質マトリックス中に一緒に保持された固体微粒子吸着剤を含む。代替的に、固体CO2吸着剤は、支持マトリックスの表面上に支持された固体微粒子吸着剤を含んでもよい。支持マトリックスは、長尺状要素に切断または細長く切られてもよい膜、整列または無整列であってもよい繊維ストランド、管または管の束、ハニカム、円盤または同様物などの様々な幾何学的形状の形態をとってもよい。
【0012】
本発明の更なる特徴および利点は、以下の詳細な説明を同様の番号が同様の部分を表す付属の図面と共に参照して明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】マトリックス全体に散在する樹脂ビーズを示す、先行技術によるSnowpure膜からなるポリマーマトリックスの三次元の図である。
【図2】本研究に使用されるCO2/H2O蒸気測定装置の概略図である。
【図3】ゲル化前のPSU−樹脂膜を示す図である。
【図4】最終的な膜形成後のPSU−樹脂膜を示す図である。
【図5】0.78グラムのPSU−樹脂複合膜サンプルのCO2吸着能または脱着動力学を示すグラフである。チャンバ内のサンプルの吸着能は、CO2の大気中濃度(〜400ppm)を表す水平破線と、400ppmのCO2空気がチャンバを通過した際に膜により吸収されているCO2の量を示す吸着曲線との間の面積から概算することができる。
【図6】1.13gの参照膜SnowpureのCO2吸着を示す、別のCO2対時間のグラフである。
【図7】2つの膜、1.13gのSnowpure参照膜および1.03gのPSU PVP膜のCO2吸着能を示す、CO2対時間のグラフである。
【図8】2つの膜、0.88gのPVDF−HFP膜と共にプロットされた同一のSnowpure参照膜のCO2吸着能を示す、CO2対時間のグラフである。
【図9】水蒸気で飽和された空気がチャンバを通してパージされた際に生じるCO2脱着パターンを示す、CO2対時間のグラフである。
【図10】膜を乾燥するために空気がそこを通してパージされた際の、1に等しいVBC/スチレン比を示すCO2対時間のグラフである。
【図11】水蒸気がチャンバを通して1回パージされた、膜、および比が1に等しいVBC/スチレンに関する、CO2対時間のグラフである。
【図12】チャンバ内の膜の空気パージの、1に等しいVBC/スチレン比に関するCO2対時間のグラフである。
【図13】サンプル膜を収容するチャンバを通して空気がパージされた際の、2に等しいサンプルのVBC/スチレン比の挙動を示す、CO2対時間のグラフである。
【図14】高湿度空気パージを用いた、2に等しいVBC/スチレン比を有するサンプル膜に関するCO2対時間のグラフである。
【図15】2.7gの膜およびVBCのみ、ならびに2.9グラムのsnowpure膜に関する、CO2対時間のグラフである。
【図16】乾燥空気パージを用いた、2.0gのサンプルポリエステル/綿糸VBCのみに関するCO2対時間のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
固体CO2吸着剤を形成するための代替的方法を開発するために、本発明者らは、最初、現在使用されている商業的に入手可能な材料の構造と、そのような材料がCO2を吸収できる理由とをより深く理解する必要があった。前述の特許文献2および特許文献3から最高に理解されるように、Snowpure材料は、ポリプロピレンを支持マトリックスとして使用し、粉砕した陰イオン交換樹脂粉末を活性フィラーとして使用した熱押出方法により形成される。ポリプロピレンポリマーは疎水性を有するため、物理的支持を提供することができ、水性溶液中に可溶でない。ポリプロピレンポリマーマトリックスは、狭い分子量分布と低い融点(125〜130℃であるが、通常、ポリプロピレンは、約160℃で融解する)とを有する。低い融点は、押出方法中、樹脂粉末の熱分解を回避することを助ける。またポリプロピレンマトリックスは、高い塩基性または酸性などの化学的条件下で安定である。
【0015】
前記のSnowpureの米国特許によれば、Snowpureにより記載された製造方法において、ポリプロピレンは押出機内で融解し、樹脂粉末がグリセリンと共に融解ポリマーに添加される。樹脂粒子は親水性を有し、湿潤した際に交換可能なイオンを有する。グリセリンは、樹脂粒子のポリマーマトリックス中への分散を助け、樹脂とポリマーとの間にバリア層を形成すると思われる。押出後、膜を80℃の水浴中に浸してグリセリンを除去し、また樹脂を完全に拡張する。この構造は、ポリプロピレンポリマーマトリックスと、ポリマー中で連続チャネルを形成すると思われる樹脂粉末の塊との二相からなるため、「複合」膜と称される。図1は、樹脂の充填容積が、以下に示すよりも相当大きいことを除き、Snowpureから得られた材料の基本構造の簡略化した図である。
【0016】
連続した樹脂ビーズにより示される連続したチャネルは、Snowpure材料の膜機能に重要であると思われる。樹脂塊が不連続であるかまたは互いに分離し、ポリマーにより包囲されている場合、最終的な膜は疎水性を有し、水中でイオンを伝導できず、またはCO2を全く吸収できないであろう。
【0017】
以下の実施例に、CO2空気捕捉用の固体吸着剤を形成するための代替的な方法を記載する:
製造の第一の方法は、溶媒キャスティング法に基づく。
【0018】
この方法は、分散された固体CO2吸着剤の粒子を有する液体担体中の重合可能なモノマーまたはポリマーにより開始する。この方法で使用される重合可能なモノマーは、2つの主な性質を有する。第一に、重合可能なモノマーまたはモノマーブレンドまたはポリマーは、液体担体に可溶である必要がある;第二に、重合可能なモノマーまたはモノマーブレンドまたはポリマーは、ポリマーシートまたはフィルムを形成できる必要がある。好ましいポリマーの中でも、ポリビスフェノール−A−カーボネート、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリスチレン、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリ(フッ化ビニリデン)、スチレン/アクリル酸ブチル/メタクリル酸ターポリマーおよびポリ(フッ化ビニリデン−コ−ヘキサフルオロプロピレン)が言及される。
【0019】
固体CO2吸着剤は、制御された条件下で気体CO2を吸収および放出可能な材料である。固体CO2吸着剤は、特許文献2および特許文献3に記載されているような固体イオン交換樹脂、ならびにDow,Dupont and Rohm and Haasを含む様々な販売者から商業的に入手可能な、強塩基タイプ1およびタイプ2機能性イオン交換材料などの固体CO2吸着剤または「ゲッター」を含んでもよい。
【0020】
重合可能なモノマーまたはモノマーブレンドまたはポリマーと固体CO2吸着剤との混合物を固体吸着剤および液体担体と混合し、溶媒キャスティング法に適用する。モノマーまたはモノマーブレンドまたはポリマーを溶解し、固体CO2吸着剤粒子を液体担体中に均一に分散させる。混合物を平坦な表面、例えばホットプレート上のステンレス鋼ブロック上に注ぎ、液体担体が蒸発した際、全体に分散した粒子を有するシートまたはフィルムが表面上に残留する。しかしながら、この方法では、シートの構造は、液体担体、モノマーまたはモノマーブレンドおよび粒子の間の相互作用により決定される。
【0021】
一実施形態において、本発明者らは、ポリ(フッ化ビニリデン)とジメチルホルムアミド(DMF)中の樹脂粒子とを混合することによりシートを形成した。イオン交換樹脂を100〜1000ミクロン、好ましくは200〜500ミクロンの粒径に粉砕または切断する。樹脂粒子は、キャスト膜の10〜90容積パーセント、好ましくは20〜80容積パーセントを占める筈である。完成したシートは、0.1〜2.0mm、好ましくは0.2〜1.0mmの厚さを有することが好ましい。実験により、グリセリンの添加なしでは、樹脂含有率50%のシートでさえも尚疎水性であり、このことは、粒子塊がポリマーにより分離されることを示す。モノマー、フィラーおよび液体担体混合物にグリセリンまたはフェノールフタレインが添加された場合、形成されたシートは、親水性かつイオン伝導性である。図2に、同様の条件下での両方の膜のCO2吸収曲線を示す。
【0022】
ポリマー膜製造の第二の方法は、相反転/浸漬沈殿方法である。相反転方法は、一般に、全てが参照により本明細書に組み入れられる特許文献4、特許文献5、特許文献6および特許文献7に記載されている。一般に、この方法は、溶媒または溶媒の混合物中に溶解したポリマーにより形成されたポリマー溶液を、水などの混和性の非溶媒(即ち、ポリマーは可溶でないが、非溶媒は溶媒と混和性である液体)中に浸漬することである。水浴などの非溶媒中で、ポリマーは水分子の浸透により固化を開始する一方、溶媒は水中に拡散し、ポリマー全体の以前溶媒が存在した箇所に空間を残留させる。それ故、形成された膜は、非対称である。膜の表面は、比較的高密度のゲル表面を有する一方、膜体の内部は比較的多孔質である。しかしながら、この方法で形成された空間は、相互接続している。相反転技術は、約20年間確立されている。この技術を用いて、逆浸透およびナノ濾過膜も形成される。エタノール/水溶液のパーベーパレーション分離または気体分離のための中空繊維膜にも適用される。本発明者らの出願では、多孔質構造は、ポリマーマトリックス中に組み込まれた樹脂に対する空気のアクセスを容易にし得る。
【0023】
ポリマー膜製造の第三の方法は、液体モノマーと開始剤との混合物を、ポリプロピレン、PVC、ポリエステル、セルロースなどの織繊維または不織繊維マトリックス中に吸収させる吸着方法である。モノマーは、熱または放射条件下で重合して、マトリックス表面上に薄い層を形成する。非特許文献1は、ペースト方法を使用したイオン交換膜の調製を報告しており、この調製ではモノマーおよび微粉末化PVCからなるペーストをPVC布地上に被覆し、布地を熱に暴露した。後にChoiらは、吸着方法によるイオン交換膜の製造を記載した論文を発行し、この製造ではモノマーを、ポリプロピレン、またはPVCフィルムなどの非多孔性の補強材料中に吸収させる。非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4。モノマーが非多孔性の補強材料中に吸収されると同時に、非多孔性の補強材料が膨張された。膨張した補強材料は、吸収したモノマーのための拡大された自由容積を可能にした。膜をモノマー重合(陰イオン交換膜)のためにUV放射で処理した。本発明者らの実験では、塩化ビニルベンジル、スチレン、ジビニルベンゼンなどのモノマーと開始剤の過酸化ベンゾイルとの溶液を、フィルター紙、ポリエステル/セルロース紙、布地などの非多孔性もしくは多孔性構造、または多孔質アルミナ、ポリカーボネートなどの多孔質フィルムに毛管現象を介して吸収させた。次に、溶液で飽和された布を熱または放射に暴露して、モノマーを重合した。得られたカーボネート形態の膜は、大気からのCO2吸収において水分揺動効果を示した。
【0024】
材料および方法
以下のプロトコールまたは材料の調製方法は、実施例全体で繰り返され、従ってこれらは様々な実施形態の開示を簡素化する目的で存在する。
【0025】
1)アミノ化プロトコール。
合成膜を、トリメチルアミンの40%水性溶液中に50℃で10時間浸した。次に、それらを水道水で濯ぎ、100mlの0.1M HCl溶液中に2回配置して、残留した非結合トリメチルアミンの全部を中和した。この時点で、膜のカウンターイオンは塩化物であり、塩化物は炭酸塩化プロセスを介して炭酸塩と交換された(下記参照)。
【0026】
炭酸塩化プロトコール。
塩化物形態のサンプルを、0.5M Na2CO3中に2回浸漬し、室温で30分間撹拌することにより炭酸塩イオンと交換した後、中性となる迄DI水で濯ぐ。
【0027】
ポリマー充填能。
支持マトリックスは、全重合および誘導工程全体を通して化学的および機械的に安定である必要があり、また最大量の被覆ポリマーで充填される必要がある。本発明者らは、「マトリックスの充填能」を(マトリックス上に被覆されたポリマーの正味重量)/(マトリックスの正味重量)と定義する。
【0028】
イオン交換能の測定方法。
以下により形成されたサンプル膜は、それらのCO2吸着効率を試験するためにそれらのイオン交換能(「IEC」)を測定された。IECは、乾燥材料の単位重量当たりのイオン基の全量として定義される(mmol/g)。より大きいIEC数は、より高いCO2吸収能に対応する。一般に、サンプルは、約60℃の炉内で、乾燥する迄(重量損失が存在しなくなる迄)加熱された。約1.0gの乾燥したサンプルを計量し、20mlの0.5M NaNO3溶液中に撹拌しながら30分間浸した。サンプルを濾過し、別の新鮮な20mlの0.5M NaNOa溶液中に撹拌しながら更に30分間浸した。濾過した全溶液を収集し、0.1M標準HCl溶液によりpH7に滴定した。滴定結果から総イオン数を推定し、IECは比として計算することができた:総イオン数(mmol)/乾燥サンプル重量(グラム)。
【0029】
CO2/H2O測定方法。
図2は、この研究に使用されたCO2/H2O蒸気測定装置の概略図である。以下により形成されたサンプルをSnowpure(登録商標)基準材料と、それらのCO2吸着能力に関して正確に比較するために、同一または同様の重量のサンプルまたはSnowpure(登録商標)を、2つの排出口を有する容器(ガラス製広口瓶、0.25リットル)内に密封した。膜を乾燥または水和するために、空気(絶対湿度〜5ppt)または水蒸気で飽和された空気(絶対湿度〜30ppt)を、75°Fにて一定の流速(通常、0.1L/分)で容器内におよび容器を通して揚送し、サンプル材料を収容するガラス製広口瓶を通過させた。次に、存在する空気をIRGA(IR Gas Analyzer,Model LI−840,LI−COR,Inc.)を通して案内し、これはCO2およびH2O蒸気含有率を、選択された間隔で、通常10秒毎に検出する。次に、空気を大気へ排出する。
【0030】
相反転方法。材料:DMF(ジメチルホルムアミド)溶媒(95%);PSU(ポリスルホン)ペレット(Aldrich、P/N 428302,Mw〜35,000);PVDF粉末(ポリ(フッ化ビニリデン)、Aldrich、P/N 182702、Mw〜534,000);PVP(ポリビニルピロリドン、Sigma−Aldrich、Mw〜10,000);PVDF−HFP(ポリ(フッ化ビニリデン−コ−ヘキサフルオロプロピレン)およびDowex(登録商標)Marathon A陰イオン交換樹脂Cl形態(SigmaAldrich、P/N 433942)。樹脂ビーズを、使用前に室温でボールミルして40〜100ミクロンとした。本発明で使用し得るポリマーマトリックス材料は、ポリビスフェノール−A−カーボネート、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ(フッ化ビニリデン)、スチレン/アクリル酸ブチル/メタクリル酸ターポリマーおよびポリ(フッ化ビニリデン−コ−ヘキサフルオロプロピレン)を含むが、これらに限定されない。ポリマーのための好ましい有機溶媒は、ジメチルホルムアミドもしくはテトラヒドロフランまたはN−メチルピロリドン(NMP)から選択されてもよい。混合物に、グリセリン、ポリビニルピロリドン(PVP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フェノールフタレインまたは他の可塑剤を加えてもよい。相反転手順に関して、水性ベースの溶液は、水もしくはメタノール、エタノール、イソプロパノールまたはそれらの混合物であってもよい。複合膜に使用される樹脂粒子は、直径が10〜100マイクロメートルで変動してもよく、樹脂含有率は、ポリマーマトリックスの20〜80重量%、好ましくは30〜60重量%で変動してもよい。最終的な不均一膜の厚さは、0.1〜1.0mmで変動してもよく、0.5mmが好ましい。
【0031】
実施例I−PSU−樹脂膜の相浸漬
PSU−樹脂膜:0.5gのPSUペレットを20mlバイアル内に計量し、2.5mlのDMFをバイアル内に加え、混合物をポリマーがDMFに溶解する迄撹拌した。別のバイアル内に0.5gの粉砕イオン交換樹脂粉末を計量し、2.0mlのDMFを加えた。混合物を均質となる迄撹拌した。2つのバイアルの内容物を一緒にし、更に30分間撹拌した。混合物を、50℃に維持したホットプレート上の6×4インチの矩形ステンレス鋼ブロック表面上に流し込んだ。約10分後、膜は完全にゲル化した(この時点で膜は透明に見え、表面上に液体は全く存在しなかった)。ホットプレートからブロックを取り出し、室温に冷ました後、脱イオン水浴(2リットル)中に浸した。数分後、ブロックから膜を剥がした。膜を2日間撹拌しながら水浴中に残留させ(水浴中の水は1日後交換した)、熱水中で1時間煮沸して、膜中に存在する残留溶媒の全部を除去した。次に、膜を一般的な炭酸塩化プロトコールにより炭酸塩化した。
【0032】
図3および図4に、各々、ゲル化前および最終的な膜形成後のPSU−樹脂膜を示す。IRGAは膜に接触した空気を測定し、それ故、膜のCO2吸着能をリアルタイムで反映する。本明細書に記載する本発明の膜と比較される標準的なCO2吸収剤として、Snowpure(登録商標)膜を使用する。
【0033】
結果:
図5および図6に関して、チャンバ内の所定の膜のCO2吸着能は、CO2の大気中濃度(〜400ppm)を表す水平破線と、400ppmのCO2空気がチャンバを通過する際に膜により吸収されているCO2の量を示す吸収曲線との間の面積から概算することができる。簡単に、面積を切って紙の重量を測定してもよい。比較されている膜間の紙重量の比は、サンプルの重量が同様であれば、CO2吸着能と直接比例する。これは、400ppm曲線下とCO2吸着曲線上の面積の積分としても公知である。
【0034】
図5および図6から、PSU膜のCO2吸着能は、Snowpureサンプルと比較して小さい(PSUの単位重量当たりの吸収面積は、Snowpureと比較して小さい)。理論的には、同一の量の樹脂により、膜は同一量のCO2を吸収する筈である。Snowpure(登録商標)膜と比較して低いPVDF−およびPSU−樹脂−CO3膜によるCO2吸収の、可能な理由の一つは、樹脂粒子がポリプロピレンポリマーによってより緊密に包囲されていることである。これを解決する一つの方法は、膜の多孔性をより高めることである。以下の実験において、本発明者らは、成形前に、混合物にPVP(ポリビニルピロリドン)を加えた。PVPは、極性非プロトン性溶媒および水の両方に可溶である。膜を成形し、後に水中に浸した後、PVPを水と混合し、孔を膜中に残留させた。
【0035】
実施例II−PVPにより補助される相反転
膜(PSU PVP)の調製:0.5gのPSUを20mlバイアル内に計量し、2.5mlのDMFを加え、混合物を全ポリマーが熔解する迄撹拌した。別のバイアル内に0.5gの樹脂および0.2gのPVPを計量し、2.5mlのDMFを加えた。混合物を均質となる迄撹拌した。2つのバイアルの内容物を一緒にし、室温で更に30分間撹拌した。混合物を、50℃に維持したホットプレート上の6×4インチの同一の矩形ステンレス鋼ブロック表面上に流し込んだ。約10分後、膜は完全にゲル化した(この時点で膜全体は透明に見え、表面上に流動溶媒は全く存在しなかった)。ホットプレートからブロックを取り出し、室温に冷ました後、脱イオン水浴中に浸した。数分後、ブロックから膜を剥がした。次に、膜を2日間撹拌しながら水浴中に残留させ(水浴中の水は1日後交換した)、熱水中で1時間煮沸して、膜中に存在する溶媒および全PVPを除去した。次に、膜を一般的なプロトコールにより炭酸塩化した。
【0036】
結果:
図7から、PSU PVP膜のCO2吸着能は、実験IのPSU膜と比較して遙かに大きく、このことはPVPの添加が膜多孔性を増大させることを示している。IEC値は、1.90mmol/gである。このPSU PVP膜の膜材料と、同様にIEC値1.9を有するSnowpure(登録商標)とのCO2吸着が比較された(図7)。排出流中のCO2不足の積分に基づく、Snowpure材料とPSU PVP膜とのCO2取り込みの数値的概算は、収容力が非常に類似していることを示唆する。本発明者らは、PSU PVP膜がSnowpure(登録商標)と同等のCO2吸収能力を有するものと結論付ける。
【0037】
PSUポリマーを除けば、他の熱可塑性ポリマーも相浸漬方法を介してマトリックスとして使用することができる。
【0038】
実施例III−PVDF−HFP膜の相浸漬
膜(PVDF−HFP)の調製:0.5gのPVDF−HFPを20mlのバイアル内に計量し、3.0mlのDMFを加え、混合物を全ポリマーが溶解する迄撹拌した。別のバイアル内に0.5gの樹脂を計量し、2.0mlのDMFを加えた。混合物を均質となる迄撹拌した。2つのバイアルの内容物を一緒にし、室温で更に30分間撹拌した。混合物を、50℃に維持したホットプレート上の6×4インチの同一の矩形ステンレス鋼ブロック表面上に流し込んだ。約10分後、膜は完全にゲル化した(この時点で膜全体は透明に見え、表面上に流動溶媒は全く存在しなかった)。ホットプレートからブロックを取り出し、室温に冷ました後、脱イオン水浴中に浸した。数分後、ブロックから膜を剥がした。次に、膜を2日間撹拌しながら水浴中に残留させ(水浴中の水は1日後交換した)、熱水中で1時間煮沸して、膜中の溶媒および残留する全PVPを除去した。次に、膜を一般的なプロトコールにより炭酸塩化した。
【0039】
結果:PVDF−HFP膜は、PVP添加なしで、図8においてSnowpureと同等のCO2吸着能力を示す。この膜は、IEC 1.85を有する。
【0040】
B 吸着方法
以下の実施形態では、塩化ビニルベンジル、スチレン、ジビニルベンゼンなどのモノマーの溶液と、重合開始剤である過酸化ベンゾイルとを、毛管現象を介してフィルター紙、ポリエステル/セルロース紙、布地などの非多孔性構造、または多孔質アルミナ、ポリカーボネートフィルムなどの多孔質フィルムに吸収させた。次に、溶液で飽和された布を熱または放射に暴露して、モノマーを重合した。得られた炭酸塩形態の膜は、大気からのCO2の吸収および脱着における水分揺動効果を示した。
【0041】
試薬:
塩化ビニルベンジル(VBC、Aldrich、97%)、スチレン(Sigma−Aldrich、99%)、ジビニルベンゼン(Aldrich、80%)および安息香酸(Fluka、99%)を全てAl2O3カラムに通過させることにより乾燥し、0℃で貯蔵し、再結晶化により精製した。ビーカー内の過酸化ベンゾイル(粉末)を最小量のクロロホルム中に溶解した。溶液を分液漏斗内に移動した。溶液は二層に分離した。水層は上部にあり、下部層はBP−クロロホルム溶液であった。下部層を清浄なビーカー内に収集し、沈殿が生成されなくなる迄、メタノールを加えた。溶媒をデカントし、白色沈殿をN2下でパージし、デシケーター内に貯蔵した。
【0042】
実施例IV:ポリエステル/セルロースマトリックスから合成された膜
1.5mlのVBC、1.5mlのスチレン、0.3mlのジビニルベンゼンおよび0.02gのBPを20mlのバイアル内に加え、全BPが溶解する迄室温で撹拌した。混合した溶液をDurx(登録商標)670ポリエステル/セルロース紙上に注ぎ、毛細管現象下で紙上に拡げた。湿潤紙を閉鎖したガラス容器内に置き、N2でパージして容器内に残留するO2を排除した。容器を油浴内に配置し、約68〜70℃で10時間加熱した。反応完了後、容器を室温に冷却し、2〜3時間開放して放置して、過剰の試薬を蒸発させた。膜を40%トリメチルアミン水溶液中に30℃で3時間浸して、アミノ化させた後、水道水で濯いだ。アミノ化膜を100mlの0.1M HCl溶液中に2回浸して、過剰の全トリメチルアミンを洗浄除去し、その後水道水で濯いだ。最後に、膜を100mlの0.5M Na2CO3中に2回浸すことにより炭酸塩化した。最終生成物を、使用前に、水で中性となる迄濯いだ。
【0043】
VBCは、続いてアミノ化を介して最終生成物にアミン官能基を付加することを可能にするよう使用される試薬であった。パラ−もしくはオルト−VBC、またはその両方の混合物は、十分に機能する。スチレンは、膜の疎水性を増大させる非機能性マトリックスポリマーであった。ジビニルベンゼンは架橋試薬であり、BPは重合反応の開始剤であった。VBCとスチレンとの比は、生成物の必要条件に従って100%VBCから10%VBCへ変更することができた。架橋百分率は、VBCとスチレンとの総重量の2%〜20%で変更することができた。反応容器はガラス、ステンレス鋼またはセラミックスから形成されていてもよい。
【0044】
膜CO2結合性能:
CO2吸着能の膜測定のために、サンプルを前述した250mlのガラス製広口瓶内に密封し、空気により流速0.1L/分でパージした。測定プロトコールは、前述した。図9〜図12は、IEC 0.55mmol/gを有する重量3.5gの単一のサンプルから測定される。
【0045】
図9〜図12で、3.4gのサンプルを乾燥空気(図9)によりパージした後、水分飽和空気(図10)によりパージした。この方法を1回繰り返した(図11〜図12)。約390ppmレベルの大気CO2レベルにより、サンプルは再現可能な「水分揺動」CO2吸着/脱着効果を示した:膜サンプルを比較的乾燥した空気(絶対湿度〜5ppt)によりパージした際に、膜はCO2を吸収した;サンプルを湿潤空気(絶対湿度30ppt)によりパージした際に、膜はCO2を放出または脱着した。
【0046】
図9〜図12で、サンプル調製中、VBC対スチレンの比は1であった。同一の反応条件下であるがVBC対スチレンの比を変更することにより、以下の実施例に示すように、膜のCO2吸収能が増大されることが期待される。
【0047】
実施例V:ポリエステル/セルロースマトリックスから合成された膜−VBC含有率における増大の効果
この実験では、VBCとスチレンが各々2:1の比で存在したことを除き、サンプルを実験IVと同一の条件下で形成した。図13〜図14にてサンプル重量は4.1gであった。IECは1.35mmol/gであり、これは1:1比の0.55mmol/gと比較して有意に高い。
【0048】
実験Vでは、サンプルは、実験IVで形成されたサンプル(VBC/スチレン=1)と比較して高い、VBC対スチレンの比(VBC/スチレン=2)で形成された。図13および図14に、VBC量の増大により膜上により多数のイオン化部位が提供され、それにより膜のCO2吸着能が増大され得ることを示す。得られた膜は、水分揺動効果の維持を示す。
【0049】
VBCの量が100%に増大した際、得られたサンプルはより高い性能を示さなかった。VBCのみおよびVBC/スチレン=1を用いたサンプルのIEC滴定では、両方とも、Snowpure(登録商標)のIEC(1.9mmol/g)と比較して遙かに低い、乾燥サンプルのIEC 1.0mmol/gを得た。以下の方法では、上昇された温度(30℃〜50℃)および延長された反応時間(3時間〜10時間)でのアミノ化を行う。
【0050】
実施例VI:ポリエステル/セルロースマトリックスから合成された膜−改善されたアミノ化条件
3.0mlのVBC、0.45mlのジビニルベンゼンおよび0.02gのBPを20mlのバイアル内に加え、全BPが溶解する迄室温で撹拌した。混合した溶液をDurx(登録商標)670ポリエステル/セルロース紙上に注ぎ、毛細管現象下で紙上に拡げた。湿潤紙を閉鎖したガラス容器内に置き、N2でパージして容器内に残留するO2を排除した。容器を油浴内に配置し、約68〜70℃で10時間加熱した。反応完了後、容器を室温に冷却し、2〜3時間開放して放置して、過剰の試薬を蒸発させた。30℃で3時間アミノ化させる代わりに、膜を40%トリメチルアミン水溶液中に50℃で10時間浸し、その後水道水で濯いだ。アミノ化膜を100mlの0.1M HCl溶液中に2回浸して過剰の全トリメチルアミンを洗浄除去し、その後水道水で濯いだ。最後に、膜を100mlの0.5M Na2CO3中に2回浸すことにより炭酸塩化した。最終生成物を、使用前に、水で中性となる迄濯いだ。
【0051】
サンプル膜またはSnowpure(登録商標)膜を、2つの排出口を有する容器(ガラス製広口瓶、0.25リットル)内に密封した。乾燥空気(乾燥シリカカラムを通過させた大気、絶対湿度〜0ppt)を、75°Fにて一定の流速(0.lL/分)で容器内に揚送し、サンプルを通してパージした。次に、存在する空気をIRGA(IR Gas Analyzer、Model LI−840、LI−COR、Inc.)を通して案内し、これはCO2およびH2O蒸気含有率を、通常10秒毎に検出する。次に、空気を大気へ排出する。
【0052】
図15に、改善されたアミノ化条件下で形成されたサンプルが、Snowpure(登録商標)と比較して同様のCO2吸収能を有したことを示した。サンプルのIEC滴定は、2.2mmol/gであり、Snowpure(登録商標)(1.9mmol/g)よりも少々高かった。
【0053】
上記の被覆方法において、本発明者らが使用したマトリックスは、ポリエステル/セルロース布であった。この被覆方法は、ポリエステル糸、ナイロン糸、ポリエステル/綿糸などの繊維にも適用することができる。
【0054】
実施例VII:吸着方法により合成されたポリエステル/綿糸
3.0mlのVBC、0.45mlのジビニルベンゼンおよび0.02gのBPを20mlのバイアル内に加え、全BPが溶解する迄室温で撹拌した。混合した溶液をポリエステル/綿糸(裁縫糸、37%綿、63%ポリエステル)上に滴下し、毛細管現象下で糸に沿って拡げた。湿潤糸を閉鎖したガラス容器内に置き、N2でパージして容器内に残留するO2を排除した。容器を油浴内に配置し、約68〜70℃で10時間加熱した。反応完了後、容器を室温に冷却し、2〜3時間開放して放置して、過剰の試薬を蒸発させた。糸を40%トリメチルアミン水溶液中に50℃で10時間浸してアミノ化させた後、水道水で濯いだ。アミノ化糸を100mlの0.1M HCl溶液中に2回浸して過剰の全トリメチルアミンを洗浄除去し、その後水道水で濯いだ。最後に、糸を100mlの0.5M Na2CO3中に2回浸すことにより炭酸塩化した。最終生成物を、使用前に、水で中性となる迄濯いだ。
【0055】
図16に示す被覆ポリエステル/綿糸のIECは1.5meq/gであり、これはSnowpure(登録商標)(1.9meq/g)と比較して相対的に低いIECであり、プロトコール3で定義した、より低いポリマー充填能を有する糸に由来する。
【0056】
サンプルマトリックスの充填能はプロトコール3に従って測定し、以下のマトリックスを使用した:編成ナイロン糸:0.5;ポリエステル/綿糸:0.85;ポリエステル糸:0.89ポリエステル/セルロース布:2.0。ポリエステル/セルロース紙、ポリエステル糸、ポリエステル/綿糸などの構造または繊維は、良好なマトリックスであると証明された。軽量で高い吸収性を有する材料が最適である。
【0057】
上述した方法および想定される他の方法を、内部に活性樹脂が組み込まれた様々な上部構造の形成に使用することができる。例えば、上記の固体吸着剤およびポリマーまたは他のマトリックスを使用して、同時係属出願のPCT出願PCT/US08/60672号(特許文献8)に記載されている構造に配置し得るフィルムを形成することができ、該PCT出願には、折り畳み可能な収集機の形成に使用されて、収集機の多孔性を液体と空気の交互の流れのために最適化し得る数個の幾何学的構造が記載されている。フィルムは、平坦な膜、同心の円筒もしくは管、または巻き上げた螺旋状に形成することができる。数個の構造は、該構造を形成するためにポリマー材料から形成され得るスペーサを使用する必要があり得る。
【0058】
本発明の使用が可能な上部構造の他の例は、多孔質材料を使用した平坦な膜、管、六角形またはモノリシック構造の形成を含む。多孔質構造は、CO2取り込みの表面積の量を自然に増大させるであろう。代替的に、固体吸着剤は、特定の用途または最適な性能のために、複合体形状に操作し得る泡状体にて製造されてもよい。別の代替的な形成では、材料は、細い糸に紡がれ、または織物もしくはフェルト様材料に織られてもよい。
【0059】
本開示の吸着剤は、耐久性を有する安価な材料から形成された下部構造に、表面皮膜として適用することもできる。例えば、安価な材料から作製されたモノリス(monolith)を、ポリマー/樹脂の組み合わせ中に浸した後、硬化させて有用なフィルターシステムとすることができる。これらのモノリスは、紙材料、セラミック材料、織物または他の適切な材料から構成されていてもよい。被膜は塗料と同様に、例えば噴霧、回転、浸漬などにより適用されてもよい。
【0060】
本発明の別の態様では、上部構造は、炭素複合マトリックス構造と類似した、繊維状構造の周囲で重合された吸着剤として形成されてもよい。
【0061】
本発明は、非常に粗い表面を有する吸着剤上部構造の形成にも使用することができ、該表面は、CO2捕捉方法の取り込み速度を増大させるであろう。より詳細には、溶媒を使用して樹枝状構造を形成することができる。粗い表面は、固体材料をエッチングして、より広い表面積を形成するステップを含む方法により達成することができる。
【0062】
高い濃度の取り込み部位が存在する実施形態では、フィルターを通した乱流が使用できる可能性があり、それは、これがシステムの空気側の移動限界を低減するためである。
【0063】
本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく様々な変更を行うことができる。例えば、CO2捕捉要素は、CO2吸着剤またはゲッターとして固体アミンを使用して形成されてもよい。固体アミンゲッターは、好ましくは、本発明者らによる2007年11月20日出願の同時係属の米国仮特許出願第60/989,405号(特許文献9)に記載されているようなアミンである。固体アミンは、多孔質固体支持体、膜またはフィルム上で、例えば支持体上の定位置で乾燥される液体アミンから形成されてもよい。また、膜およびフィルムは、溶解したモノマーもしくはモノマーブレンドもしくはポリマーを含有する溶液または微粒子CO2吸着剤もしくはゲッターを含有する溶媒から、ロールキャスティングまたはドクターブレードキャスティングにより形成されてもよい。また、フィルム、膜または繊維は、スピンコーティングにより形成されてもよい。
【技術分野】
【0001】
本発明の一局面における実施形態は、選択された気体を空気から除去することに関する。本発明の実施形態は、特に空気からの二酸化炭素(CO2)の抜き取りに用途を有し、そのような用途に関連して記載されるが、NOxおよびSO2を含む他の気体の隔離を含む他の用途も想定される。
【背景技術】
【0002】
大気中のCO2のレベルの急激な上昇と、それと同等の地表温度の上昇との間に強力な相互関係が存在することを示唆する強力な証拠が存在する。この効果は、通常、地球温暖化として公知である。様々なCO2放出ソースのうち、ソースにて軽減することが実際的ではない多数の小さい、広く分布する排出源が存在している。加えて、炭化水素を燃料とする発電所などの大規模な排出源は、大気中へのCO2の排気から完全に保護されているわけではない。これらの主なソースおよび他のソースは、組み合わされて大気中のCO2濃度の急激な上昇率をもたらしている。全ての排出源がそのソースにおいて修正される迄、増大するが比較的低い背景濃度の大気中CO2を捕捉する他の技術が必要である。現存する排出低下技術の拡大と、周囲CO2の直接的な捕捉に向けた新規な技術の開発に対する努力が為されている。これらの努力は、得られた濃縮したCO2の排気流が大気中へ再導入されることを防止するよう管理する方法論を必要としている。
【0003】
CO2の生産は、木炭からの発電所での電気生成など、多様な工業用途において生じ、また、一般にエンジンなどの燃焼装置内で燃焼される燃料の主成分である炭化水素の使用において生じる。それらの燃焼装置から排出される排気ガスはCO2ガスを含み、これは現在、大気中に単に放出されている。しかしながら、温暖化ガスの問題が高まるにつれ、全てのソースからのCO2放出が削減される必要があろう。可動ソースに関する最良の選択肢は、自動車または飛行機内の可動燃焼装置からではなく、空気からの直接的なCO2の収集であると思われる。空気からCO2を除去することの利点は、可動装置上でCO2を貯蔵する必要がなくなることである。
【0004】
周囲空気からの二酸化炭素(CO2)の抜き取りは、炭素ベースの燃料の使用を可能にし、事後の関連した温暖化ガスの放出に対処するであろう。CO2は有毒ではなく、またppm量では有害ではないが、単に大気中に蓄積されることにより環境問題を生じるため、空気からCO2を除去して、他の場所および異なる時間における等しい規模の放出を補償することが可能である。
【0005】
空気からCO2を除去するための様々な方法および機器が開発されてきた。先行技術による方法の一つでは、気体と液体との混合を最大にするラシヒリングと称されるもので満たしたタンク内で、空気をアルカリ性溶液などの吸着剤で洗浄する。CO2は吸着剤と相互作用し、吸着剤に捕捉される。少量のCO2を排除するために、ゲル吸収剤も使用されている。これらの方法はCO2除去に有効であるが、空気から二酸化炭素を効率的に除去することにおいて重大な欠点を有する。即ち、空気は、かなり高圧で吸着剤を通過するよう操作される必要がある。
【0006】
空気から有意な量の低濃度CO2を洗浄除去する任意の技術に関する最も困難な課題は、元から生成されているCO2よりも少量のエネルギー消費によって、大量の空気を処理し、CO2を濃縮することを含む。洗浄除去方法中、比較的高い圧力損失が生じ、それにより空気の圧縮に必要なエネルギーが大量に消費される。この空気の圧縮に使用される追加のエネルギーは、空気圧を増大させるために必要なエネルギーが、この方法で打ち消した捕捉した量の値を超過し得るそれ自体のCO2を生成し得るため、この方法の二酸化炭素バランス全体に関して好ましくない効果を有し得る。
【0007】
先行技術の方法では、該方法が空気を加熱または冷却し、または空気圧を相当量変化させるため、CO2の捕捉が不十分となっていた。その結果、この捕捉方法が、動力の供給に使用される電気の生成の副産物としてのCO2を大気中に導入し得るため、CO2の正味の低下はごく僅かである。
【0008】
共通の譲受人に譲渡された同時係属の2007年3月8日出願の米国特許出願第11/683,824号明細書、特許文献1において、空気の流れを可能にする比較的大きい表面積を提供するように形成された、固体機能性陰イオン交換材料を使用した空気捕捉装置が記載されている。固体陰イオン交換材料は、機能性ポリスチレンもしくは同様物などの陰イオン交換材料からなる膜から形成され、または陰イオン交換材料で被覆された不活性基体材料からなる膜を含んでもよい。本発明者らの以前の発明の好ましい実施形態では、陰イオン交換材料は、Snowpure,LLC,San Clemente,Californiaから入手可能な、商業的に入手可能な陰イオン交換膜材料を細長く切って形成された厚さ1mm×幅1mmの「ヌードル様」を含んでいる。製造業者は、この膜材料を、ポリプロピレンマトリックス中で混合され、特許文献2および特許文献3の教示に従って膜として押出された粉砕陰イオン交換樹脂として説明している。固体陰イオン交換ポリマーは、セルまたは同様物に形成されてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0217982号明細書
【特許文献2】米国特許第6,503,957号明細書
【特許文献3】米国特許第6,716,888号明細書
【特許文献4】米国特許第3,876,738号明細書
【特許文献5】米国特許第4,340,480号明細書
【特許文献6】米国特許第4,770,777号明細書
【特許文献7】米国特許第5,215,662号明細書
【特許文献8】国際公開第08/131132号パンフレット
【特許文献9】米国仮特許出願第60/989,405号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Mizutani,Y.,Journal of Membrane Science,1990,49,121−144
【非特許文献2】Choi,Y.ら,Desalination,2002,146,287−291
【非特許文献3】Choi,Y.ら、Journal of Membrane Science,2003、221,219−231
【非特許文献4】Choi,Y.ら、Journal of Membrane Science,2003,223,201−215
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、CO2空気捕捉のための固体吸着剤としての、上述したような現在使用されているイオン交換材料に代わる固体イオン交換材料を探索する。より詳細には、固体CO2吸着剤を支持体内または支持体上に固定化することによる、CO2空気捕捉のための固体吸着剤の形成方法を提供する。本発明の好ましい実施形態において、固体CO2吸着剤は、多孔質マトリックス中に一緒に保持された固体微粒子吸着剤を含む。代替的に、固体CO2吸着剤は、支持マトリックスの表面上に支持された固体微粒子吸着剤を含んでもよい。支持マトリックスは、長尺状要素に切断または細長く切られてもよい膜、整列または無整列であってもよい繊維ストランド、管または管の束、ハニカム、円盤または同様物などの様々な幾何学的形状の形態をとってもよい。
【0012】
本発明の更なる特徴および利点は、以下の詳細な説明を同様の番号が同様の部分を表す付属の図面と共に参照して明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】マトリックス全体に散在する樹脂ビーズを示す、先行技術によるSnowpure膜からなるポリマーマトリックスの三次元の図である。
【図2】本研究に使用されるCO2/H2O蒸気測定装置の概略図である。
【図3】ゲル化前のPSU−樹脂膜を示す図である。
【図4】最終的な膜形成後のPSU−樹脂膜を示す図である。
【図5】0.78グラムのPSU−樹脂複合膜サンプルのCO2吸着能または脱着動力学を示すグラフである。チャンバ内のサンプルの吸着能は、CO2の大気中濃度(〜400ppm)を表す水平破線と、400ppmのCO2空気がチャンバを通過した際に膜により吸収されているCO2の量を示す吸着曲線との間の面積から概算することができる。
【図6】1.13gの参照膜SnowpureのCO2吸着を示す、別のCO2対時間のグラフである。
【図7】2つの膜、1.13gのSnowpure参照膜および1.03gのPSU PVP膜のCO2吸着能を示す、CO2対時間のグラフである。
【図8】2つの膜、0.88gのPVDF−HFP膜と共にプロットされた同一のSnowpure参照膜のCO2吸着能を示す、CO2対時間のグラフである。
【図9】水蒸気で飽和された空気がチャンバを通してパージされた際に生じるCO2脱着パターンを示す、CO2対時間のグラフである。
【図10】膜を乾燥するために空気がそこを通してパージされた際の、1に等しいVBC/スチレン比を示すCO2対時間のグラフである。
【図11】水蒸気がチャンバを通して1回パージされた、膜、および比が1に等しいVBC/スチレンに関する、CO2対時間のグラフである。
【図12】チャンバ内の膜の空気パージの、1に等しいVBC/スチレン比に関するCO2対時間のグラフである。
【図13】サンプル膜を収容するチャンバを通して空気がパージされた際の、2に等しいサンプルのVBC/スチレン比の挙動を示す、CO2対時間のグラフである。
【図14】高湿度空気パージを用いた、2に等しいVBC/スチレン比を有するサンプル膜に関するCO2対時間のグラフである。
【図15】2.7gの膜およびVBCのみ、ならびに2.9グラムのsnowpure膜に関する、CO2対時間のグラフである。
【図16】乾燥空気パージを用いた、2.0gのサンプルポリエステル/綿糸VBCのみに関するCO2対時間のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
固体CO2吸着剤を形成するための代替的方法を開発するために、本発明者らは、最初、現在使用されている商業的に入手可能な材料の構造と、そのような材料がCO2を吸収できる理由とをより深く理解する必要があった。前述の特許文献2および特許文献3から最高に理解されるように、Snowpure材料は、ポリプロピレンを支持マトリックスとして使用し、粉砕した陰イオン交換樹脂粉末を活性フィラーとして使用した熱押出方法により形成される。ポリプロピレンポリマーは疎水性を有するため、物理的支持を提供することができ、水性溶液中に可溶でない。ポリプロピレンポリマーマトリックスは、狭い分子量分布と低い融点(125〜130℃であるが、通常、ポリプロピレンは、約160℃で融解する)とを有する。低い融点は、押出方法中、樹脂粉末の熱分解を回避することを助ける。またポリプロピレンマトリックスは、高い塩基性または酸性などの化学的条件下で安定である。
【0015】
前記のSnowpureの米国特許によれば、Snowpureにより記載された製造方法において、ポリプロピレンは押出機内で融解し、樹脂粉末がグリセリンと共に融解ポリマーに添加される。樹脂粒子は親水性を有し、湿潤した際に交換可能なイオンを有する。グリセリンは、樹脂粒子のポリマーマトリックス中への分散を助け、樹脂とポリマーとの間にバリア層を形成すると思われる。押出後、膜を80℃の水浴中に浸してグリセリンを除去し、また樹脂を完全に拡張する。この構造は、ポリプロピレンポリマーマトリックスと、ポリマー中で連続チャネルを形成すると思われる樹脂粉末の塊との二相からなるため、「複合」膜と称される。図1は、樹脂の充填容積が、以下に示すよりも相当大きいことを除き、Snowpureから得られた材料の基本構造の簡略化した図である。
【0016】
連続した樹脂ビーズにより示される連続したチャネルは、Snowpure材料の膜機能に重要であると思われる。樹脂塊が不連続であるかまたは互いに分離し、ポリマーにより包囲されている場合、最終的な膜は疎水性を有し、水中でイオンを伝導できず、またはCO2を全く吸収できないであろう。
【0017】
以下の実施例に、CO2空気捕捉用の固体吸着剤を形成するための代替的な方法を記載する:
製造の第一の方法は、溶媒キャスティング法に基づく。
【0018】
この方法は、分散された固体CO2吸着剤の粒子を有する液体担体中の重合可能なモノマーまたはポリマーにより開始する。この方法で使用される重合可能なモノマーは、2つの主な性質を有する。第一に、重合可能なモノマーまたはモノマーブレンドまたはポリマーは、液体担体に可溶である必要がある;第二に、重合可能なモノマーまたはモノマーブレンドまたはポリマーは、ポリマーシートまたはフィルムを形成できる必要がある。好ましいポリマーの中でも、ポリビスフェノール−A−カーボネート、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリスチレン、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリ(フッ化ビニリデン)、スチレン/アクリル酸ブチル/メタクリル酸ターポリマーおよびポリ(フッ化ビニリデン−コ−ヘキサフルオロプロピレン)が言及される。
【0019】
固体CO2吸着剤は、制御された条件下で気体CO2を吸収および放出可能な材料である。固体CO2吸着剤は、特許文献2および特許文献3に記載されているような固体イオン交換樹脂、ならびにDow,Dupont and Rohm and Haasを含む様々な販売者から商業的に入手可能な、強塩基タイプ1およびタイプ2機能性イオン交換材料などの固体CO2吸着剤または「ゲッター」を含んでもよい。
【0020】
重合可能なモノマーまたはモノマーブレンドまたはポリマーと固体CO2吸着剤との混合物を固体吸着剤および液体担体と混合し、溶媒キャスティング法に適用する。モノマーまたはモノマーブレンドまたはポリマーを溶解し、固体CO2吸着剤粒子を液体担体中に均一に分散させる。混合物を平坦な表面、例えばホットプレート上のステンレス鋼ブロック上に注ぎ、液体担体が蒸発した際、全体に分散した粒子を有するシートまたはフィルムが表面上に残留する。しかしながら、この方法では、シートの構造は、液体担体、モノマーまたはモノマーブレンドおよび粒子の間の相互作用により決定される。
【0021】
一実施形態において、本発明者らは、ポリ(フッ化ビニリデン)とジメチルホルムアミド(DMF)中の樹脂粒子とを混合することによりシートを形成した。イオン交換樹脂を100〜1000ミクロン、好ましくは200〜500ミクロンの粒径に粉砕または切断する。樹脂粒子は、キャスト膜の10〜90容積パーセント、好ましくは20〜80容積パーセントを占める筈である。完成したシートは、0.1〜2.0mm、好ましくは0.2〜1.0mmの厚さを有することが好ましい。実験により、グリセリンの添加なしでは、樹脂含有率50%のシートでさえも尚疎水性であり、このことは、粒子塊がポリマーにより分離されることを示す。モノマー、フィラーおよび液体担体混合物にグリセリンまたはフェノールフタレインが添加された場合、形成されたシートは、親水性かつイオン伝導性である。図2に、同様の条件下での両方の膜のCO2吸収曲線を示す。
【0022】
ポリマー膜製造の第二の方法は、相反転/浸漬沈殿方法である。相反転方法は、一般に、全てが参照により本明細書に組み入れられる特許文献4、特許文献5、特許文献6および特許文献7に記載されている。一般に、この方法は、溶媒または溶媒の混合物中に溶解したポリマーにより形成されたポリマー溶液を、水などの混和性の非溶媒(即ち、ポリマーは可溶でないが、非溶媒は溶媒と混和性である液体)中に浸漬することである。水浴などの非溶媒中で、ポリマーは水分子の浸透により固化を開始する一方、溶媒は水中に拡散し、ポリマー全体の以前溶媒が存在した箇所に空間を残留させる。それ故、形成された膜は、非対称である。膜の表面は、比較的高密度のゲル表面を有する一方、膜体の内部は比較的多孔質である。しかしながら、この方法で形成された空間は、相互接続している。相反転技術は、約20年間確立されている。この技術を用いて、逆浸透およびナノ濾過膜も形成される。エタノール/水溶液のパーベーパレーション分離または気体分離のための中空繊維膜にも適用される。本発明者らの出願では、多孔質構造は、ポリマーマトリックス中に組み込まれた樹脂に対する空気のアクセスを容易にし得る。
【0023】
ポリマー膜製造の第三の方法は、液体モノマーと開始剤との混合物を、ポリプロピレン、PVC、ポリエステル、セルロースなどの織繊維または不織繊維マトリックス中に吸収させる吸着方法である。モノマーは、熱または放射条件下で重合して、マトリックス表面上に薄い層を形成する。非特許文献1は、ペースト方法を使用したイオン交換膜の調製を報告しており、この調製ではモノマーおよび微粉末化PVCからなるペーストをPVC布地上に被覆し、布地を熱に暴露した。後にChoiらは、吸着方法によるイオン交換膜の製造を記載した論文を発行し、この製造ではモノマーを、ポリプロピレン、またはPVCフィルムなどの非多孔性の補強材料中に吸収させる。非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4。モノマーが非多孔性の補強材料中に吸収されると同時に、非多孔性の補強材料が膨張された。膨張した補強材料は、吸収したモノマーのための拡大された自由容積を可能にした。膜をモノマー重合(陰イオン交換膜)のためにUV放射で処理した。本発明者らの実験では、塩化ビニルベンジル、スチレン、ジビニルベンゼンなどのモノマーと開始剤の過酸化ベンゾイルとの溶液を、フィルター紙、ポリエステル/セルロース紙、布地などの非多孔性もしくは多孔性構造、または多孔質アルミナ、ポリカーボネートなどの多孔質フィルムに毛管現象を介して吸収させた。次に、溶液で飽和された布を熱または放射に暴露して、モノマーを重合した。得られたカーボネート形態の膜は、大気からのCO2吸収において水分揺動効果を示した。
【0024】
材料および方法
以下のプロトコールまたは材料の調製方法は、実施例全体で繰り返され、従ってこれらは様々な実施形態の開示を簡素化する目的で存在する。
【0025】
1)アミノ化プロトコール。
合成膜を、トリメチルアミンの40%水性溶液中に50℃で10時間浸した。次に、それらを水道水で濯ぎ、100mlの0.1M HCl溶液中に2回配置して、残留した非結合トリメチルアミンの全部を中和した。この時点で、膜のカウンターイオンは塩化物であり、塩化物は炭酸塩化プロセスを介して炭酸塩と交換された(下記参照)。
【0026】
炭酸塩化プロトコール。
塩化物形態のサンプルを、0.5M Na2CO3中に2回浸漬し、室温で30分間撹拌することにより炭酸塩イオンと交換した後、中性となる迄DI水で濯ぐ。
【0027】
ポリマー充填能。
支持マトリックスは、全重合および誘導工程全体を通して化学的および機械的に安定である必要があり、また最大量の被覆ポリマーで充填される必要がある。本発明者らは、「マトリックスの充填能」を(マトリックス上に被覆されたポリマーの正味重量)/(マトリックスの正味重量)と定義する。
【0028】
イオン交換能の測定方法。
以下により形成されたサンプル膜は、それらのCO2吸着効率を試験するためにそれらのイオン交換能(「IEC」)を測定された。IECは、乾燥材料の単位重量当たりのイオン基の全量として定義される(mmol/g)。より大きいIEC数は、より高いCO2吸収能に対応する。一般に、サンプルは、約60℃の炉内で、乾燥する迄(重量損失が存在しなくなる迄)加熱された。約1.0gの乾燥したサンプルを計量し、20mlの0.5M NaNO3溶液中に撹拌しながら30分間浸した。サンプルを濾過し、別の新鮮な20mlの0.5M NaNOa溶液中に撹拌しながら更に30分間浸した。濾過した全溶液を収集し、0.1M標準HCl溶液によりpH7に滴定した。滴定結果から総イオン数を推定し、IECは比として計算することができた:総イオン数(mmol)/乾燥サンプル重量(グラム)。
【0029】
CO2/H2O測定方法。
図2は、この研究に使用されたCO2/H2O蒸気測定装置の概略図である。以下により形成されたサンプルをSnowpure(登録商標)基準材料と、それらのCO2吸着能力に関して正確に比較するために、同一または同様の重量のサンプルまたはSnowpure(登録商標)を、2つの排出口を有する容器(ガラス製広口瓶、0.25リットル)内に密封した。膜を乾燥または水和するために、空気(絶対湿度〜5ppt)または水蒸気で飽和された空気(絶対湿度〜30ppt)を、75°Fにて一定の流速(通常、0.1L/分)で容器内におよび容器を通して揚送し、サンプル材料を収容するガラス製広口瓶を通過させた。次に、存在する空気をIRGA(IR Gas Analyzer,Model LI−840,LI−COR,Inc.)を通して案内し、これはCO2およびH2O蒸気含有率を、選択された間隔で、通常10秒毎に検出する。次に、空気を大気へ排出する。
【0030】
相反転方法。材料:DMF(ジメチルホルムアミド)溶媒(95%);PSU(ポリスルホン)ペレット(Aldrich、P/N 428302,Mw〜35,000);PVDF粉末(ポリ(フッ化ビニリデン)、Aldrich、P/N 182702、Mw〜534,000);PVP(ポリビニルピロリドン、Sigma−Aldrich、Mw〜10,000);PVDF−HFP(ポリ(フッ化ビニリデン−コ−ヘキサフルオロプロピレン)およびDowex(登録商標)Marathon A陰イオン交換樹脂Cl形態(SigmaAldrich、P/N 433942)。樹脂ビーズを、使用前に室温でボールミルして40〜100ミクロンとした。本発明で使用し得るポリマーマトリックス材料は、ポリビスフェノール−A−カーボネート、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ(フッ化ビニリデン)、スチレン/アクリル酸ブチル/メタクリル酸ターポリマーおよびポリ(フッ化ビニリデン−コ−ヘキサフルオロプロピレン)を含むが、これらに限定されない。ポリマーのための好ましい有機溶媒は、ジメチルホルムアミドもしくはテトラヒドロフランまたはN−メチルピロリドン(NMP)から選択されてもよい。混合物に、グリセリン、ポリビニルピロリドン(PVP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フェノールフタレインまたは他の可塑剤を加えてもよい。相反転手順に関して、水性ベースの溶液は、水もしくはメタノール、エタノール、イソプロパノールまたはそれらの混合物であってもよい。複合膜に使用される樹脂粒子は、直径が10〜100マイクロメートルで変動してもよく、樹脂含有率は、ポリマーマトリックスの20〜80重量%、好ましくは30〜60重量%で変動してもよい。最終的な不均一膜の厚さは、0.1〜1.0mmで変動してもよく、0.5mmが好ましい。
【0031】
実施例I−PSU−樹脂膜の相浸漬
PSU−樹脂膜:0.5gのPSUペレットを20mlバイアル内に計量し、2.5mlのDMFをバイアル内に加え、混合物をポリマーがDMFに溶解する迄撹拌した。別のバイアル内に0.5gの粉砕イオン交換樹脂粉末を計量し、2.0mlのDMFを加えた。混合物を均質となる迄撹拌した。2つのバイアルの内容物を一緒にし、更に30分間撹拌した。混合物を、50℃に維持したホットプレート上の6×4インチの矩形ステンレス鋼ブロック表面上に流し込んだ。約10分後、膜は完全にゲル化した(この時点で膜は透明に見え、表面上に液体は全く存在しなかった)。ホットプレートからブロックを取り出し、室温に冷ました後、脱イオン水浴(2リットル)中に浸した。数分後、ブロックから膜を剥がした。膜を2日間撹拌しながら水浴中に残留させ(水浴中の水は1日後交換した)、熱水中で1時間煮沸して、膜中に存在する残留溶媒の全部を除去した。次に、膜を一般的な炭酸塩化プロトコールにより炭酸塩化した。
【0032】
図3および図4に、各々、ゲル化前および最終的な膜形成後のPSU−樹脂膜を示す。IRGAは膜に接触した空気を測定し、それ故、膜のCO2吸着能をリアルタイムで反映する。本明細書に記載する本発明の膜と比較される標準的なCO2吸収剤として、Snowpure(登録商標)膜を使用する。
【0033】
結果:
図5および図6に関して、チャンバ内の所定の膜のCO2吸着能は、CO2の大気中濃度(〜400ppm)を表す水平破線と、400ppmのCO2空気がチャンバを通過する際に膜により吸収されているCO2の量を示す吸収曲線との間の面積から概算することができる。簡単に、面積を切って紙の重量を測定してもよい。比較されている膜間の紙重量の比は、サンプルの重量が同様であれば、CO2吸着能と直接比例する。これは、400ppm曲線下とCO2吸着曲線上の面積の積分としても公知である。
【0034】
図5および図6から、PSU膜のCO2吸着能は、Snowpureサンプルと比較して小さい(PSUの単位重量当たりの吸収面積は、Snowpureと比較して小さい)。理論的には、同一の量の樹脂により、膜は同一量のCO2を吸収する筈である。Snowpure(登録商標)膜と比較して低いPVDF−およびPSU−樹脂−CO3膜によるCO2吸収の、可能な理由の一つは、樹脂粒子がポリプロピレンポリマーによってより緊密に包囲されていることである。これを解決する一つの方法は、膜の多孔性をより高めることである。以下の実験において、本発明者らは、成形前に、混合物にPVP(ポリビニルピロリドン)を加えた。PVPは、極性非プロトン性溶媒および水の両方に可溶である。膜を成形し、後に水中に浸した後、PVPを水と混合し、孔を膜中に残留させた。
【0035】
実施例II−PVPにより補助される相反転
膜(PSU PVP)の調製:0.5gのPSUを20mlバイアル内に計量し、2.5mlのDMFを加え、混合物を全ポリマーが熔解する迄撹拌した。別のバイアル内に0.5gの樹脂および0.2gのPVPを計量し、2.5mlのDMFを加えた。混合物を均質となる迄撹拌した。2つのバイアルの内容物を一緒にし、室温で更に30分間撹拌した。混合物を、50℃に維持したホットプレート上の6×4インチの同一の矩形ステンレス鋼ブロック表面上に流し込んだ。約10分後、膜は完全にゲル化した(この時点で膜全体は透明に見え、表面上に流動溶媒は全く存在しなかった)。ホットプレートからブロックを取り出し、室温に冷ました後、脱イオン水浴中に浸した。数分後、ブロックから膜を剥がした。次に、膜を2日間撹拌しながら水浴中に残留させ(水浴中の水は1日後交換した)、熱水中で1時間煮沸して、膜中に存在する溶媒および全PVPを除去した。次に、膜を一般的なプロトコールにより炭酸塩化した。
【0036】
結果:
図7から、PSU PVP膜のCO2吸着能は、実験IのPSU膜と比較して遙かに大きく、このことはPVPの添加が膜多孔性を増大させることを示している。IEC値は、1.90mmol/gである。このPSU PVP膜の膜材料と、同様にIEC値1.9を有するSnowpure(登録商標)とのCO2吸着が比較された(図7)。排出流中のCO2不足の積分に基づく、Snowpure材料とPSU PVP膜とのCO2取り込みの数値的概算は、収容力が非常に類似していることを示唆する。本発明者らは、PSU PVP膜がSnowpure(登録商標)と同等のCO2吸収能力を有するものと結論付ける。
【0037】
PSUポリマーを除けば、他の熱可塑性ポリマーも相浸漬方法を介してマトリックスとして使用することができる。
【0038】
実施例III−PVDF−HFP膜の相浸漬
膜(PVDF−HFP)の調製:0.5gのPVDF−HFPを20mlのバイアル内に計量し、3.0mlのDMFを加え、混合物を全ポリマーが溶解する迄撹拌した。別のバイアル内に0.5gの樹脂を計量し、2.0mlのDMFを加えた。混合物を均質となる迄撹拌した。2つのバイアルの内容物を一緒にし、室温で更に30分間撹拌した。混合物を、50℃に維持したホットプレート上の6×4インチの同一の矩形ステンレス鋼ブロック表面上に流し込んだ。約10分後、膜は完全にゲル化した(この時点で膜全体は透明に見え、表面上に流動溶媒は全く存在しなかった)。ホットプレートからブロックを取り出し、室温に冷ました後、脱イオン水浴中に浸した。数分後、ブロックから膜を剥がした。次に、膜を2日間撹拌しながら水浴中に残留させ(水浴中の水は1日後交換した)、熱水中で1時間煮沸して、膜中の溶媒および残留する全PVPを除去した。次に、膜を一般的なプロトコールにより炭酸塩化した。
【0039】
結果:PVDF−HFP膜は、PVP添加なしで、図8においてSnowpureと同等のCO2吸着能力を示す。この膜は、IEC 1.85を有する。
【0040】
B 吸着方法
以下の実施形態では、塩化ビニルベンジル、スチレン、ジビニルベンゼンなどのモノマーの溶液と、重合開始剤である過酸化ベンゾイルとを、毛管現象を介してフィルター紙、ポリエステル/セルロース紙、布地などの非多孔性構造、または多孔質アルミナ、ポリカーボネートフィルムなどの多孔質フィルムに吸収させた。次に、溶液で飽和された布を熱または放射に暴露して、モノマーを重合した。得られた炭酸塩形態の膜は、大気からのCO2の吸収および脱着における水分揺動効果を示した。
【0041】
試薬:
塩化ビニルベンジル(VBC、Aldrich、97%)、スチレン(Sigma−Aldrich、99%)、ジビニルベンゼン(Aldrich、80%)および安息香酸(Fluka、99%)を全てAl2O3カラムに通過させることにより乾燥し、0℃で貯蔵し、再結晶化により精製した。ビーカー内の過酸化ベンゾイル(粉末)を最小量のクロロホルム中に溶解した。溶液を分液漏斗内に移動した。溶液は二層に分離した。水層は上部にあり、下部層はBP−クロロホルム溶液であった。下部層を清浄なビーカー内に収集し、沈殿が生成されなくなる迄、メタノールを加えた。溶媒をデカントし、白色沈殿をN2下でパージし、デシケーター内に貯蔵した。
【0042】
実施例IV:ポリエステル/セルロースマトリックスから合成された膜
1.5mlのVBC、1.5mlのスチレン、0.3mlのジビニルベンゼンおよび0.02gのBPを20mlのバイアル内に加え、全BPが溶解する迄室温で撹拌した。混合した溶液をDurx(登録商標)670ポリエステル/セルロース紙上に注ぎ、毛細管現象下で紙上に拡げた。湿潤紙を閉鎖したガラス容器内に置き、N2でパージして容器内に残留するO2を排除した。容器を油浴内に配置し、約68〜70℃で10時間加熱した。反応完了後、容器を室温に冷却し、2〜3時間開放して放置して、過剰の試薬を蒸発させた。膜を40%トリメチルアミン水溶液中に30℃で3時間浸して、アミノ化させた後、水道水で濯いだ。アミノ化膜を100mlの0.1M HCl溶液中に2回浸して、過剰の全トリメチルアミンを洗浄除去し、その後水道水で濯いだ。最後に、膜を100mlの0.5M Na2CO3中に2回浸すことにより炭酸塩化した。最終生成物を、使用前に、水で中性となる迄濯いだ。
【0043】
VBCは、続いてアミノ化を介して最終生成物にアミン官能基を付加することを可能にするよう使用される試薬であった。パラ−もしくはオルト−VBC、またはその両方の混合物は、十分に機能する。スチレンは、膜の疎水性を増大させる非機能性マトリックスポリマーであった。ジビニルベンゼンは架橋試薬であり、BPは重合反応の開始剤であった。VBCとスチレンとの比は、生成物の必要条件に従って100%VBCから10%VBCへ変更することができた。架橋百分率は、VBCとスチレンとの総重量の2%〜20%で変更することができた。反応容器はガラス、ステンレス鋼またはセラミックスから形成されていてもよい。
【0044】
膜CO2結合性能:
CO2吸着能の膜測定のために、サンプルを前述した250mlのガラス製広口瓶内に密封し、空気により流速0.1L/分でパージした。測定プロトコールは、前述した。図9〜図12は、IEC 0.55mmol/gを有する重量3.5gの単一のサンプルから測定される。
【0045】
図9〜図12で、3.4gのサンプルを乾燥空気(図9)によりパージした後、水分飽和空気(図10)によりパージした。この方法を1回繰り返した(図11〜図12)。約390ppmレベルの大気CO2レベルにより、サンプルは再現可能な「水分揺動」CO2吸着/脱着効果を示した:膜サンプルを比較的乾燥した空気(絶対湿度〜5ppt)によりパージした際に、膜はCO2を吸収した;サンプルを湿潤空気(絶対湿度30ppt)によりパージした際に、膜はCO2を放出または脱着した。
【0046】
図9〜図12で、サンプル調製中、VBC対スチレンの比は1であった。同一の反応条件下であるがVBC対スチレンの比を変更することにより、以下の実施例に示すように、膜のCO2吸収能が増大されることが期待される。
【0047】
実施例V:ポリエステル/セルロースマトリックスから合成された膜−VBC含有率における増大の効果
この実験では、VBCとスチレンが各々2:1の比で存在したことを除き、サンプルを実験IVと同一の条件下で形成した。図13〜図14にてサンプル重量は4.1gであった。IECは1.35mmol/gであり、これは1:1比の0.55mmol/gと比較して有意に高い。
【0048】
実験Vでは、サンプルは、実験IVで形成されたサンプル(VBC/スチレン=1)と比較して高い、VBC対スチレンの比(VBC/スチレン=2)で形成された。図13および図14に、VBC量の増大により膜上により多数のイオン化部位が提供され、それにより膜のCO2吸着能が増大され得ることを示す。得られた膜は、水分揺動効果の維持を示す。
【0049】
VBCの量が100%に増大した際、得られたサンプルはより高い性能を示さなかった。VBCのみおよびVBC/スチレン=1を用いたサンプルのIEC滴定では、両方とも、Snowpure(登録商標)のIEC(1.9mmol/g)と比較して遙かに低い、乾燥サンプルのIEC 1.0mmol/gを得た。以下の方法では、上昇された温度(30℃〜50℃)および延長された反応時間(3時間〜10時間)でのアミノ化を行う。
【0050】
実施例VI:ポリエステル/セルロースマトリックスから合成された膜−改善されたアミノ化条件
3.0mlのVBC、0.45mlのジビニルベンゼンおよび0.02gのBPを20mlのバイアル内に加え、全BPが溶解する迄室温で撹拌した。混合した溶液をDurx(登録商標)670ポリエステル/セルロース紙上に注ぎ、毛細管現象下で紙上に拡げた。湿潤紙を閉鎖したガラス容器内に置き、N2でパージして容器内に残留するO2を排除した。容器を油浴内に配置し、約68〜70℃で10時間加熱した。反応完了後、容器を室温に冷却し、2〜3時間開放して放置して、過剰の試薬を蒸発させた。30℃で3時間アミノ化させる代わりに、膜を40%トリメチルアミン水溶液中に50℃で10時間浸し、その後水道水で濯いだ。アミノ化膜を100mlの0.1M HCl溶液中に2回浸して過剰の全トリメチルアミンを洗浄除去し、その後水道水で濯いだ。最後に、膜を100mlの0.5M Na2CO3中に2回浸すことにより炭酸塩化した。最終生成物を、使用前に、水で中性となる迄濯いだ。
【0051】
サンプル膜またはSnowpure(登録商標)膜を、2つの排出口を有する容器(ガラス製広口瓶、0.25リットル)内に密封した。乾燥空気(乾燥シリカカラムを通過させた大気、絶対湿度〜0ppt)を、75°Fにて一定の流速(0.lL/分)で容器内に揚送し、サンプルを通してパージした。次に、存在する空気をIRGA(IR Gas Analyzer、Model LI−840、LI−COR、Inc.)を通して案内し、これはCO2およびH2O蒸気含有率を、通常10秒毎に検出する。次に、空気を大気へ排出する。
【0052】
図15に、改善されたアミノ化条件下で形成されたサンプルが、Snowpure(登録商標)と比較して同様のCO2吸収能を有したことを示した。サンプルのIEC滴定は、2.2mmol/gであり、Snowpure(登録商標)(1.9mmol/g)よりも少々高かった。
【0053】
上記の被覆方法において、本発明者らが使用したマトリックスは、ポリエステル/セルロース布であった。この被覆方法は、ポリエステル糸、ナイロン糸、ポリエステル/綿糸などの繊維にも適用することができる。
【0054】
実施例VII:吸着方法により合成されたポリエステル/綿糸
3.0mlのVBC、0.45mlのジビニルベンゼンおよび0.02gのBPを20mlのバイアル内に加え、全BPが溶解する迄室温で撹拌した。混合した溶液をポリエステル/綿糸(裁縫糸、37%綿、63%ポリエステル)上に滴下し、毛細管現象下で糸に沿って拡げた。湿潤糸を閉鎖したガラス容器内に置き、N2でパージして容器内に残留するO2を排除した。容器を油浴内に配置し、約68〜70℃で10時間加熱した。反応完了後、容器を室温に冷却し、2〜3時間開放して放置して、過剰の試薬を蒸発させた。糸を40%トリメチルアミン水溶液中に50℃で10時間浸してアミノ化させた後、水道水で濯いだ。アミノ化糸を100mlの0.1M HCl溶液中に2回浸して過剰の全トリメチルアミンを洗浄除去し、その後水道水で濯いだ。最後に、糸を100mlの0.5M Na2CO3中に2回浸すことにより炭酸塩化した。最終生成物を、使用前に、水で中性となる迄濯いだ。
【0055】
図16に示す被覆ポリエステル/綿糸のIECは1.5meq/gであり、これはSnowpure(登録商標)(1.9meq/g)と比較して相対的に低いIECであり、プロトコール3で定義した、より低いポリマー充填能を有する糸に由来する。
【0056】
サンプルマトリックスの充填能はプロトコール3に従って測定し、以下のマトリックスを使用した:編成ナイロン糸:0.5;ポリエステル/綿糸:0.85;ポリエステル糸:0.89ポリエステル/セルロース布:2.0。ポリエステル/セルロース紙、ポリエステル糸、ポリエステル/綿糸などの構造または繊維は、良好なマトリックスであると証明された。軽量で高い吸収性を有する材料が最適である。
【0057】
上述した方法および想定される他の方法を、内部に活性樹脂が組み込まれた様々な上部構造の形成に使用することができる。例えば、上記の固体吸着剤およびポリマーまたは他のマトリックスを使用して、同時係属出願のPCT出願PCT/US08/60672号(特許文献8)に記載されている構造に配置し得るフィルムを形成することができ、該PCT出願には、折り畳み可能な収集機の形成に使用されて、収集機の多孔性を液体と空気の交互の流れのために最適化し得る数個の幾何学的構造が記載されている。フィルムは、平坦な膜、同心の円筒もしくは管、または巻き上げた螺旋状に形成することができる。数個の構造は、該構造を形成するためにポリマー材料から形成され得るスペーサを使用する必要があり得る。
【0058】
本発明の使用が可能な上部構造の他の例は、多孔質材料を使用した平坦な膜、管、六角形またはモノリシック構造の形成を含む。多孔質構造は、CO2取り込みの表面積の量を自然に増大させるであろう。代替的に、固体吸着剤は、特定の用途または最適な性能のために、複合体形状に操作し得る泡状体にて製造されてもよい。別の代替的な形成では、材料は、細い糸に紡がれ、または織物もしくはフェルト様材料に織られてもよい。
【0059】
本開示の吸着剤は、耐久性を有する安価な材料から形成された下部構造に、表面皮膜として適用することもできる。例えば、安価な材料から作製されたモノリス(monolith)を、ポリマー/樹脂の組み合わせ中に浸した後、硬化させて有用なフィルターシステムとすることができる。これらのモノリスは、紙材料、セラミック材料、織物または他の適切な材料から構成されていてもよい。被膜は塗料と同様に、例えば噴霧、回転、浸漬などにより適用されてもよい。
【0060】
本発明の別の態様では、上部構造は、炭素複合マトリックス構造と類似した、繊維状構造の周囲で重合された吸着剤として形成されてもよい。
【0061】
本発明は、非常に粗い表面を有する吸着剤上部構造の形成にも使用することができ、該表面は、CO2捕捉方法の取り込み速度を増大させるであろう。より詳細には、溶媒を使用して樹枝状構造を形成することができる。粗い表面は、固体材料をエッチングして、より広い表面積を形成するステップを含む方法により達成することができる。
【0062】
高い濃度の取り込み部位が存在する実施形態では、フィルターを通した乱流が使用できる可能性があり、それは、これがシステムの空気側の移動限界を低減するためである。
【0063】
本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく様々な変更を行うことができる。例えば、CO2捕捉要素は、CO2吸着剤またはゲッターとして固体アミンを使用して形成されてもよい。固体アミンゲッターは、好ましくは、本発明者らによる2007年11月20日出願の同時係属の米国仮特許出願第60/989,405号(特許文献9)に記載されているようなアミンである。固体アミンは、多孔質固体支持体、膜またはフィルム上で、例えば支持体上の定位置で乾燥される液体アミンから形成されてもよい。また、膜およびフィルムは、溶解したモノマーもしくはモノマーブレンドもしくはポリマーを含有する溶液または微粒子CO2吸着剤もしくはゲッターを含有する溶媒から、ロールキャスティングまたはドクターブレードキャスティングにより形成されてもよい。また、フィルム、膜または繊維は、スピンコーティングにより形成されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノマーまたはモノマーブレンドまたはポリマーバインダーと、バインダーのための混和性液体担体と、粒子形態のCO2吸着剤またはゲッターとの混合物を提供する工程と;
前記混合物を湿潤フィルムまたは膜に形成する工程と;
前記液体担体を少なくとも一部蒸発させて、フィルムまたは膜を形成する工程と;
前記フィルムまたは膜を処理して、該フィルムまたは膜の本体内に孔を形成する工程と、を含む、CO2捕捉要素を形成するための方法。
【請求項2】
前記混和性液体担体が、水中に混和性のモノマーまたはポリマー溶媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フィルムまたは膜を処理して、該フィルムまたは膜の本体内に孔を形成する工程が、前記フィルムまたは膜をゲル化する前に、残留する混和性液体担体が除去されるに十分な時間、脱イオン水中に浸漬する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記モノマーまたはモノマーブレンドまたはポリマーバインダーが、ポリビスフェノール−A−カーボネート、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリスチレン、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリ(フッ化ビニリデン)、スチレン/アクリル酸ブチル/メタクリル酸ターポリマーおよびポリ(フッ化ビニリデン−コ−ヘキサフルオロプロピレン)ならびにその混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記混和性液体担体がジメチルホルムアミドを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記CO2吸着剤またはゲッター粒子が、約10〜約90容積%のフィルムまたは膜を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記CO2吸着剤またはゲッターがイオン交換樹脂を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記イオン交換樹脂がタイプ1またはタイプ2イオン交換樹脂を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記樹脂粒子が約20〜約80容積%のキャスト膜を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記樹脂粒子が約30〜約70容積%のキャスト膜を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記樹脂が、ポリマーバインダーと混合する前に、約100〜約1000ミクロンの粒径に粉砕または切断される、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記樹脂が、約200〜約500ミクロンの粒径に粉砕または切断される、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記完成したフィルムが約0.1〜約2.0mmの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記完成したフィルムが約0.2〜約1.0mmの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
吸着剤およびポリマーを含む混合物を下部材料に適用するステップと;
前記混合物を前記材料上の定位置で重合するステップと;
前記ポリマー被覆材料をアミノ化するステップと、を含む、CO2捕捉要素を形成するための方法。
【請求項16】
前記下部材料が織物材料である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記下部材料がモノリシック構造を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
繊維状構造の周囲で吸着剤とポリマー材料との混合物を重合する工程を含む、CO2捕捉要素を形成するための方法。
【請求項19】
微粒子形態の固体CO2吸着剤またはゲッターと、液体担体中に溶解されたモノマーまたはモノマーブレンドまたはポリマーとの混合物を形成する工程と、前記混合物を表面上に流し込む工程と、
前記液体担体を少なくとも一部除去して、前記固体CO2吸着剤またはゲッターの粒子を支持する支持マトリックスを形成する工程と、を含む、CO2捕捉要素を形成するための方法。
【請求項20】
前記液体担体が加熱により除去される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記モノマーまたはモノマーブレンドまたはポリマーが、ポリビスフェノール−A−カーボネート、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリスチレン、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリ(フッ化ビニリデン)、スチレン/アクリル酸ブチル/メタクリル酸ターポリマーおよびポリ(フッ化ビニリデン−コ−ヘキサフルオロプロピレン)からなる群より選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記液体担体がジメチルホルムアミドを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記混合物にグリセリンまたはフェノールフタレインを添加するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記CO2吸着剤またはゲッター粒子が、10〜90容積%のキャストシートまたはフィルムを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記CO2吸着剤またはゲッターが、モノマーまたはモノマーブレンドまたはポリマーと混合する前に、100〜1000ミクロンの粒径に粉砕または切断される、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記完成したシートが0.1〜2.0mmの厚さを有する、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記CO2吸着剤またはゲッターがイオン交換樹脂を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
前記イオン交換樹脂がタイプ1またはタイプ2イオン交換樹脂を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
支持シートを少なくとも一部アミンで被覆する工程を含む、CO2捕捉要素を形成するための方法。
【請求項30】
前記支持シートが多孔質である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
アミンが液体担体から分散され、前記支持シート上の定位置で乾燥される、請求項30に記載の方法。
【請求項1】
モノマーまたはモノマーブレンドまたはポリマーバインダーと、バインダーのための混和性液体担体と、粒子形態のCO2吸着剤またはゲッターとの混合物を提供する工程と;
前記混合物を湿潤フィルムまたは膜に形成する工程と;
前記液体担体を少なくとも一部蒸発させて、フィルムまたは膜を形成する工程と;
前記フィルムまたは膜を処理して、該フィルムまたは膜の本体内に孔を形成する工程と、を含む、CO2捕捉要素を形成するための方法。
【請求項2】
前記混和性液体担体が、水中に混和性のモノマーまたはポリマー溶媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フィルムまたは膜を処理して、該フィルムまたは膜の本体内に孔を形成する工程が、前記フィルムまたは膜をゲル化する前に、残留する混和性液体担体が除去されるに十分な時間、脱イオン水中に浸漬する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記モノマーまたはモノマーブレンドまたはポリマーバインダーが、ポリビスフェノール−A−カーボネート、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリスチレン、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリ(フッ化ビニリデン)、スチレン/アクリル酸ブチル/メタクリル酸ターポリマーおよびポリ(フッ化ビニリデン−コ−ヘキサフルオロプロピレン)ならびにその混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記混和性液体担体がジメチルホルムアミドを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記CO2吸着剤またはゲッター粒子が、約10〜約90容積%のフィルムまたは膜を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記CO2吸着剤またはゲッターがイオン交換樹脂を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記イオン交換樹脂がタイプ1またはタイプ2イオン交換樹脂を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記樹脂粒子が約20〜約80容積%のキャスト膜を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記樹脂粒子が約30〜約70容積%のキャスト膜を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記樹脂が、ポリマーバインダーと混合する前に、約100〜約1000ミクロンの粒径に粉砕または切断される、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記樹脂が、約200〜約500ミクロンの粒径に粉砕または切断される、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記完成したフィルムが約0.1〜約2.0mmの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記完成したフィルムが約0.2〜約1.0mmの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
吸着剤およびポリマーを含む混合物を下部材料に適用するステップと;
前記混合物を前記材料上の定位置で重合するステップと;
前記ポリマー被覆材料をアミノ化するステップと、を含む、CO2捕捉要素を形成するための方法。
【請求項16】
前記下部材料が織物材料である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記下部材料がモノリシック構造を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
繊維状構造の周囲で吸着剤とポリマー材料との混合物を重合する工程を含む、CO2捕捉要素を形成するための方法。
【請求項19】
微粒子形態の固体CO2吸着剤またはゲッターと、液体担体中に溶解されたモノマーまたはモノマーブレンドまたはポリマーとの混合物を形成する工程と、前記混合物を表面上に流し込む工程と、
前記液体担体を少なくとも一部除去して、前記固体CO2吸着剤またはゲッターの粒子を支持する支持マトリックスを形成する工程と、を含む、CO2捕捉要素を形成するための方法。
【請求項20】
前記液体担体が加熱により除去される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記モノマーまたはモノマーブレンドまたはポリマーが、ポリビスフェノール−A−カーボネート、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリスチレン、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリ(フッ化ビニリデン)、スチレン/アクリル酸ブチル/メタクリル酸ターポリマーおよびポリ(フッ化ビニリデン−コ−ヘキサフルオロプロピレン)からなる群より選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記液体担体がジメチルホルムアミドを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記混合物にグリセリンまたはフェノールフタレインを添加するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記CO2吸着剤またはゲッター粒子が、10〜90容積%のキャストシートまたはフィルムを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記CO2吸着剤またはゲッターが、モノマーまたはモノマーブレンドまたはポリマーと混合する前に、100〜1000ミクロンの粒径に粉砕または切断される、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記完成したシートが0.1〜2.0mmの厚さを有する、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
前記CO2吸着剤またはゲッターがイオン交換樹脂を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
前記イオン交換樹脂がタイプ1またはタイプ2イオン交換樹脂を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
支持シートを少なくとも一部アミンで被覆する工程を含む、CO2捕捉要素を形成するための方法。
【請求項30】
前記支持シートが多孔質である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
アミンが液体担体から分散され、前記支持シート上の定位置で乾燥される、請求項30に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2011−504140(P2011−504140A)
【公表日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535075(P2010−535075)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/084237
【国際公開番号】WO2009/067625
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(507055040)グローバル リサーチ テクノロジーズ,エルエルシー (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2008/084237
【国際公開番号】WO2009/067625
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(507055040)グローバル リサーチ テクノロジーズ,エルエルシー (4)
【Fターム(参考)】
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