説明

周期的な生理学的信号を処理する方法及び装置

本発明は、周期的な生理学的信号30、40、52、53、54を処理するための方法及び装置に関する。この方法は、前記周期的な生理学的信号30、40、52、53、54の2周期以上におよぶ期間31、32、33にわたり前記生理学的信号30、40、52、53、54を繰り返し収集するステップ2であり、次の期間31、32、33は前の期間31、32、33に隣接している又は重なっているステップ2、各々の期間31、32、33内にある前記生理学的信号30、40、52、53、54から既定のパラメタの組の値を抽出するステップ3、13であり、前記パラメタの値は前記期間31、32、33内にある前記生理学的信号30、40、52、53、54を特徴付けている、ステップ3、13、及び前記抽出した既定のパラメタの組の値に基づいて各々の期間31、32、33内にある前記生理学的信号30、40、52、53、54を分類するステップを有する。これは、信頼できる生理学的信号の動向の方が信頼できる生理学的信号の瞬時測定値よりも重要である場所、例えば病院の一般病棟環境及び/又は家庭環境において、患者を連続して監視するのに特に適した周期的な生理学的信号の効果的な解析のために設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周期的な生理学的信号を処理する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病院内の集中治療環境にいる患者の身体の生命兆候(vital body sign)、例えば呼吸数及び心拍数を監視することは、一般病棟又は家庭環境にいる患者を監視することとは異なる要件がある。病院の集中治療ユニットは、監視するパラメタの瞬時的且つ高い信頼性を必要とする一方、病院の一般病棟環境は、監視するパラメタの動向に注目が置かれている。
【0003】
例として、呼吸数は、患者の様態の悪化の良好な標識であることが証明され、他の身体の生命兆候と組み合わせて病院の早期警告システムにおいて重要な役割を果たす。それ故に、呼吸信号の連続する且つ信頼できる監視の必要性は特に、病院の集中治療ユニットにある。監視するパラメタの信頼性及び瞬時的表現の要件があまり厳しくない同様の必要性は、病院の一般病棟環境及び在宅医療応用、例えば遠隔医療(telemedicine)及び慢性疾患管理にある。呼吸数が抽出される呼吸信号の連続する監視が集中治療の患者のためにベッドサイドモニタに利用できる一方、一般病棟の移動できる患者の呼吸信号を、最小限の不快で、目立たず、長期にわたり測定及び監視することを可能にする様々な携帯型センサシステムが開発されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
動きアーチファクトは、患者の監視全般において良く知られた問題であり、これは、生理学的信号の汚染、並びに患者の身体活動、例えば姿勢の変更、運動及び会話により引き起こされる測定の品質低下を言及している。特に周期的な生理学的信号にとって、汚染された信号から正しい周波数を抽出することは非常に難しくなっている。一般病棟環境にいる患者は一般に、より動きのある活動パターンを持ち、常に看護師が監視することなく、故に身体活動が存在する及び測定の状況に関する知識を欠いて、時間の大部分を監視されるので、この動きアーチファクトの問題は、集中治療ユニット環境におけるよりも一般病棟環境における方がより顕著である。この問題は、家庭医療環境にいる患者の監視において、さらにもっと厳しくなる。
【0005】
このような連続監視システムを信頼して使用することを可能にするために、動きアーチファクトの問題が取り組まれなければならない。報告される研究の大部分は、様々な信号回復方法に着目し、しばしば適応雑音除去が動きで汚染された信号をきれいにするのに利用される。克服するのが難しいこれらの方法において、2〜3つの固有の問題がある。例えば、動きアーチファクトは、特定及び推定するのが難しい多重雑音源により引き起こされている。他の欠点は、これらの方法が通常は多くの計算量を必要とし、故に携帯型のシステムでは能率的ではないことである。
【0006】
米国特許番号US 5,546,952は、呼吸アーチファクトが無いことを特徴とする波形のパラメタに対し、呼吸努力(respiratory effort)波形を監視することを含む、呼吸アーチファクトを持たない信号から呼吸波形の有効性を決めるための方法及び装置を開示している。前記パラメタは、有効な呼吸波形が検出されたかを判断するために、既定の制限と比較される。これは、有効な呼吸努力波形が入手できる場合、患者の電気刺激は呼吸周期の吸気相に有効に制限され、有効な呼吸努力が検出されない場合、電気刺激は抑えられる、閉塞型睡眠時無呼吸の治療に有用である。監視される波形の選択するパラメタは、例えば、吸気立ち上がり時間、吸気到達ピーク時間、吸気オンセット呼気オフセット時間、吸気ピークピーク時間、呼気ピークピーク時間又は呼吸−呼吸時間とすることができる。呼吸信号解析処理の初期化は、前記システムがオンになる又はリセットされるときに起こり、ここで前記システムは、増幅器利得を設定する及び波形の正常な形態学的パラメタを確立するために幾つかの呼吸周期を追跡(トラッキング)する。予測されるオンセットは、有効な呼吸努力波形の場合、電気刺激を呼吸周期と同期させるのに使用される次の呼吸に対し計算されるように、1つ前の呼吸のオンセットに対して時間基準が確立される。この方法が適応雑音除去を利用しなくても、ピーク毎に信頼できる瞬時呼吸信号を供給することを依然として目的とし、これは、集中治療の状況において重要であるが、一般病棟の状況には必須条件ではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、例えば病院の一般病棟環境及び/又は家庭環境において、ピーク毎の信頼できる生理学的信号の瞬時測定よりも信頼できる生理学的信号の動向の方が重要である、患者の連続監視に特に適した周期的な生理学的信号の効率的な解析を提供することである。
【0008】
本発明の第1の態様において、周期的な生理学的信号を処理する方法が供給され、この方法は、
−周期的な生理学的信号の2周期以上におよぶ期間にわたり生理学的信号を繰り返し収集するステップであり、次の期間は前の期間に隣接している又は重なっているステップ、
−各々の期間内にある生理学的信号から既定のパラメタの組の値を抽出するステップであり、前記パラメタは前記期間内にある生理学的信号を特徴付けているステップ、及び
−前記抽出した既定のパラメタの組の値に基づいて各々の期間内にある生理学的信号を分類するステップ、
を有する。
【0009】
本発明による方法は従って、特徴パラメタ又は特性に基づく、周期的な生理学的信号の異なる期間又はフレームの分類を供給し、それらの値は、生理学的信号のその特定の期間又はセグメントに対してのみ抽出される。例えばピーク毎のような瞬時信号解析はないが、定期的、すなわち周期的な生理学的信号の時間フレーム、すなわち時間セグメントが寧ろ解析され、ここで時間セグメントは2周期以上におよんでいる。異なる期間の各々に対し生理学的信号の解析を繰り返すことにより、全ての生理学的信号は、各々が別々に分類される幾つかの期間にセグメント化又は分割される。従って、生理学的信号の各々選択した期間又はセグメントは、特定の分類により特徴付けられ、これは、例えば生理学的信号が動きアーチファクトによってどの程度汚染されたかを示すのに使用される。そして、汚染された測定の結果から情報を取り出す代わりに、各々の信号セグメントが生理学的な測定値をいかに良く示しているかを示す例えば品質測定として信号セグメントを自動的に特定及び分類する信号解析が用いられる。この信号解析は、スライディング時間ウィンドウ(sliding time window)モードで実行する。少なくとも2、3周期におよんでいる時間ウィンドウ又は期間は信号トレースにわたりスライドし、各々の時間ウィンドウ又は期間内にある信号セグメントは、既定のパラメタの組に対する値を抽出すること、及びこれら抽出したパラメタ値に基づいて、各々の時間ウィンドウ内にある信号セグメントを分類することにより解析される。前記方法は、信頼できる及び分類された生理学的信号となる生理学的信号を示す改善した方法を提供する、故にアーチファクトの無い生理学的信号の計算主体の瞬時表現の置き換えを提供する。
【0010】
本発明による方法の実施例において、前記方法はさらに、生理学的信号を分類するステップの後、各々の期間に対し、分類した生理学的信号の周波数を抽出するステップを含む。周期的な生理学的信号の周波数又は速度の計算は、前記分類した生理学的信号に基づいて行われ、故に生理学的信号の周波数の抽出にとって信頼できる入力を保証する。例えば、生理学的信号の周波数は呼吸数又は心拍数を有し、これは毎分の呼吸数又は毎分の心臓の拍動数と夫々定められる。
【0011】
他の実施例において、前記方法はさらに、前記周波数を抽出するステップの後、各々の期間内にある生理学的信号の抽出した周波数に対する信頼値を、対応する期間にある生理学的信号から抽出した既定のパラメタの組の値及び抽出した周波数値に基づいて計算するステップを含む。ある特定の状況では、生理学的信号の周波数だけでなく、計算した周波数の信頼度に関する知識も重要である。この情報は、例えば報告するのに適切な周波数又は速度の選択、及び適切な周波数又は速度の動向解析のために、前記周波数データをさらに処理するのに有用な入力を提供する。
【0012】
本発明による方法の実施例において、前記分類するステップは、各々の期間を許容又は拒否とラベル付けするステップを有する。このようにして、生理学的信号の各々の期間に対し、その期間における生理学的信号が許容できるか、言い換えるとその信号が殆ど汚染されずに普通の生理学的信号に似ているかどうか、又はその時間における生理学的信号が例えば動きアーチファクトの結果として許容できないかを判断する。これは、許容できない又は悪いと分類された期間を前記処理された生理学的信号に与え、この期間は次いで生理学的信号の他の処理において無視される。他方、許容できる又は良いと分類された前記処理された生理学的信号の期間は、殆ど外乱のない生理学的信号の信頼できる表現であると考えられることができ、故に、信号の他の処理に対し信頼できる入力として使用されることができる。
【0013】
好ましい実施例において、生理学的信号の周波数は、拒否とラベル付けされた各々の期間に抽出されない。このようにして、汚染された生理学的信号を含む期間が誤った周期的な生理学的信号の周波数を計算するのに使用されるのを防ぐ。良い又は許容できると特定された信号セグメントだけがさらに処理されるので、周波数の抽出はこの周波数の意味のある値を生じさせる。
【0014】
本発明による方法の実施例において、生理学的信号は、患者の呼吸及び/又は脈拍を示す。この呼吸及び脈拍は、最も重要な生理学的信号を示す。この信号の周波数はこのとき、呼吸数及び/又は脈拍数として示される。
【0015】
本発明による方法の実施例において、既定のパラメタは、生理学的信号を時間、周波数及び/又は空間における位置の関数として特徴付ける。時間の関数としてのパラメタは、例えば信号分散(signal variance)、ピークピーク値及び時間相関である。周波数の関数としてのパラメタは、優位周波数(dominant frequency)及びスペクトルエントロピー(spectral entropy)である。空間における位置の関数としてのパラメタは、例えば生理学的信号を検知する装置として多軸加速度計が使用される場合、デカルト座標系で位置を示している軸間の相関であり、呼吸運動は通常、センサの1つの平面で起こり、故にこの平面にある2つの軸からの信号は強い相関を持つ一方、この平面に垂直な軸は主に雑音を測定し、これは良好な生理学的測定値を運動により汚染された測定値と区別するのに役立つ。
【0016】
本発明による実施例において、前記分類するステップは、次の期間と前の期間との間に重なりがある場合、前の期間と重なっていない次の期間の部分に対してのみ行われる。2つの連続する期間の重なりを利用することにより、改善される時間分解能が達成され、この分類の信頼性及びロバスト性が改善される。例えば、2つの連続する期間の50%が重なっている場合、現在の期間にあるデータの半分は、前のステップで既に解析及び分類された前の期間によるものであり、現在の期間にあるデータの半分は新しく、まだ解析されていない。前記分類ステップは、現在の期間全体で得られるパラメタ値を使用するが、その期間の新しい部分を例えば良い又は悪いとして分類又はラベル付けするだけである。連続する期間の間で重なる量は、分類の時間分解能と、連続する期間にわたる動きアーチファクトの伝播との間の良好な妥協(トレードオフ)のために最適化される。
【0017】
本発明による方法の実施例において、前記分類するステップは、既定のパラメタの組の統計的データベースにも基づいている。この分類ステップに使用される入力データの組の増大は、生理学的信号の分類の向上する信頼性を与える。
【0018】
本発明による方法の実施例において、前記方法はさらに、生理学的信号を繰り返し収集するステップの前に、生理学的信号を条件付けするステップを含み、ここで生理学的信号を繰り返し収集する前記ステップは、条件付けされた信号を繰り返し収集するステップを含む。例えば、信号を条件付けするステップは、周期的な生理学的信号を表す周波数に対応する周波数がフィルタリングステップを通過するように、生理学的信号をフィルタリングするステップを有する。これは雑音を、及び可能であれば生理学的信号への他の望まない環境の影響も減少する。例えば、生理学的信号が呼吸を示すべきである場合、前記条件付けするステップは生理学的信号を、呼吸運動の起こり得る周波数に対応する周波数は前記フィルタリングステップを通過するように優先的にフィルタリングする。この場合、0Hzから2Hzまでの周波数範囲内にある周波数は、前記フィルタリングステップを優先的に通過する。他の実施例として、生理学的信号が人間の心臓活動を示す場合、前記フィルタリングステップは、心臓活動の運動の起こり得る周波数に対応する周波数が前記フィルタリングユニットを通過するように加速度計信号をフィルタリングし、例えば加速度センサが使用される場合、前記条件付けするステップは、5Hzから20Hzまでの周波数範囲内にある周波数は、この周波数範囲において約0.5Hzから4Hzまでの間、又は毎分30から240回の鼓動の間の範囲内で起こる心拍数に対応している、拍動する心臓により生じる機械的振動は、加速度計により取り込まれているので、前記フィルタリングステップを通過するように、前記生理学的信号をフィルタリングするのに適する。フィルタリングした信号の包絡線を得た後、0.5Hzから4Hzまでの間のバンドパスフィルタは、心拍数を計算するための信号を発生させるのに利用される。呼吸及び心臓活動のフィルタリングの組み合わせも実施されることができる。例えば雑音フィルタリング及び/又は信号正規化により信号が解析される前に、この信号を条件付けすることにより、全ての汚染がフィルタリングされ、これは改善される、さらに信頼できる並びにロバストな信号解析となる。
【0019】
本発明による方法の実施例において、多重の生理学的信号が同時に収集され、これら多重の生理学的信号の各々に対し、抽出する及び分類するステップが個別に行われる。例えば、患者の身体の異なる位置で測定した生理学的信号は、別々に動きアーチファクトに反応し、それにより、対応する期間内に相補的分類した生理学的信号を作成する。これはさらにロバスト且つ信頼できる分類に至るのと同様に、有用な生理学的信号の時間に関する利用可能性を増大させることに至る。
【0020】
本発明の第2の態様において、周期的な生理学的信号を監視するための装置が提供され、この装置は、
−前記周期的な生理学的信号を測定するのに適したセンサ、
−その期間に生理学的信号が解析される、周期的な生理学的信号の2周期以上におよぶ期間を繰り返し規定する期間規定ユニットであり、次の期間は前の期間に隣接している又は重なっている、期間規定ユニット、
−前記期間内にある生理学的信号から既定のパラメタの組の値を抽出する抽出ユニットであり、前記パラメタは前記期間内にある生理学的信号を特徴付けている、抽出ユニット、並びに
−前記期間内にある生理学的信号を、前記抽出した既定のパラメタ値の組に基づいて分類する分類ユニット
を有する。
【0021】
本発明による装置の実施例において、前記センサは多軸加速度計を有し、測定される生理学的信号は、多軸に対応する多重のサブ信号を有し、これらサブ信号は時間的に同期して解析される。多軸加速度計は、多重のセンサ軸における加速度を測定する装置であり、例えば呼吸により生じる腹部又は胸部の運動を表すため、又は心臓の活動を反映する身体表面の機械的運動を測定するために、傾斜計として使用されてもよい。この多軸加速度計は例えば、3つの直交する空間軸に沿う加速度を示す3つの加速度計信号を生じさせるのに適した3軸加速度計であり、ここで前記期間規定ユニットは、結合信号を解析するために、これらの3つの加速度計信号を結合するのに適する。前記多軸加速度計は、人間の身体部分に位置決められるように適合することが好ましく、ここで測定される信号は人間の呼吸及び心臓の活動の少なくとも1つを示す動き信号である。呼吸を示す動き信号を発生させるために、多軸加速度計は、中心と横の位置との間のほぼ中間にある鎖骨弓に優先的に位置決められる。しかしながら、多軸加速度計は、特に術後の傷のような体格が原因による制限を適用する場合、他の位置、例えば腹部上に置かれることもできる。心拍数を示す動き信号を発生させるために、前記多軸加速度計は、腹部/胸部の左側に優先的に位置決められる。前記加速度計は、鎖骨弓、特に左下の肋骨の軟骨部に位置決められることがさらに好ましい。心拍数を示す動き信号を発生させるための多軸加速度計の他の好ましい位置は、胸部の高い位置又は腹部の下方の位置である。特に、呼吸を示す動き信号を決めるための好ましい位置は、心拍数を示す動き信号を測定するのにも好ましい。特に、呼吸及び心拍数を示す動き信号を発生させるために、多軸加速度計は、左側における中心と横との間の中間にある鎖骨弓に優先的に位置決められる。
【0022】
本発明による装置の実施例において、この装置はさらに、分類した生理学的信号の周波数の値を決めるための周波数決定ユニットを有する。好ましい実施例において、前記装置は、多重センサを有し、多重の生理学的信号の各々が別々に又は組み合わせての何れか一方で解析される多重の生理学的信号を測定するのに適している。
【0023】
本発明の好ましい実施例は、従属請求項と夫々の独立請求項との如何なる組み合わせとすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】周期的な生理学的信号を処理する方法の実施例を例示的に説明するフローチャートを示す。
【図2】セグメント化した信号を解析するための期間を定める一例を概略的及び例示的に示す。
【図3】周期的な生理学的信号を処理する方法の他の実施例を例示的に説明するフローチャートを示す。
【図4】周期的な生理学的信号を処理する方法の他の実施例を例示的に説明するフローチャートを示す。
【図5】周期的な生理学的信号を処理する方法の他の実施例を例示的に説明するフローチャートを示す。
【図6】周期的な生理学的信号の分類の一例を概略的及び例示的に示す。
【図7】3軸加速度計により測定される周期的な生理学的信号の分類の他の一例を概略的及び例示的に示す。
【図8】周期的な生理学的信号を処理するのに適した装置を概略的及び例示的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に開示される実施例から明らかであり、これら実施例を参照して説明される。
【0026】
図1は、周期的な生理学的信号を処理する方法の実施例を例示的に説明するフローチャートを示す。ステップ1において、周期的な生理学的信号は、本実施例では人間である物体の適切な位置に置かれるセンサを用いて取り込まれる。この人間は病院の集中治療部にいる患者でもよいが、病院の一般病棟部にいる患者でもよい。この一般病棟部にいる患者は、集中治療環境にいる患者よりもより動け、そんなに厳しく監視されない。さらに、人間は、自分の家の環境に置かれることもできる。前記センサは例えば、異なる空間軸に沿う加速を示す加速度計信号を生じさせるのに適した多軸加速度計を有する。本実施例において、この多軸加速度計は、3つの直交する空間軸に沿う加速を示す3つの加速度計信号を生じさせるのに適した3軸加速度計である。例えば、STマイクロエレクトロニクス社のLIS344ALH及びカイオニクス社のKXM52と名前が付いた3軸加速度計が使用されることができる。しかしながら、異なる空間軸に沿う加速を示す加速度計信号を生じさせるために他の種類の多軸加速度計が使用されることができる。周期的な生理学的信号は、人間の呼吸又は心臓の拍動でもよい。呼吸数は、患者の監視において最も重要な身体の生命兆候の1つであり、それは患者の状態の悪化のよい指標であることが証明され、例えば心拍数のような他の身体の生命兆候と組み合わせて早期警報する病院のシステムにおいて重要な役割を果たす。
【0027】
図1のステップ2において、期間が定められ、その期間にわたり生理学的信号が収集される。この期間は、生理学的信号の2周期以上、好ましくは少なくとも5周期に及んでいる。この期間は通例、監視される生理学的信号の形式に依存して、数秒から数十秒である。例えば、呼吸信号の分類のための期間は、30秒から1分までを選択され、その間に、約5回から30回の呼吸が含まれ、これは一般的な呼吸数の範囲である。
【0028】
図1のステップ3において、ステップ2で定めた期間内にある信号セグメントから既定のパラメタの組に対する値が抽出される。これらパラメタ及びそれらの値は、現在の期間内にある前記時間セグメントを、例えば時間、周波数、空間座標、すなわち空間における位置のような様々な態様で特徴付ける。例えば呼吸又は心拍信号の目立った特徴を把握するために、前記信号の特有の特徴が定められることができる。時間の関数としての特徴パラメタは、例えば信号分散、ピークピーク値及び時間相関である。周波数の関数としての特徴パラメタは、優位周波数及びスペクトルエントロピーである。空間座標の関数としての特徴パラメタは、例えば3軸加速度計を用いて測定されるような3つの直交する空間軸間の相関である。加速度計により測定される一般的な呼吸信号は、低い信号分散であり、0.05Hzから2Hzまでを範囲とする周波数を持つ周期性であり、及び強い軸間相関を持つ。抽出したパラメタ値は、各々の信号セグメントをパラメタ空間内のある地点にマッピングする。
【0029】
図1のステップ4において、ステップ2で定められた期間内にある信号セグメントは、ステップ3で抽出した既定のパラメタ値の組に基づいて分類される。この分類は、現在の期間内にある信号セグメントの簡単な良い−悪いの分類でもよく、これは現在の期間にある信号が例えば呼吸信号に似ているかどうかを示している。生理学的信号が例えば動きアーチファクトによってどの程度汚染されるかに関して、この分類が指標となってもよい。
【0030】
図1のステップ10において、次の期間が定められるべきかが調べられる。例えば信号の終わりに到達したので、次の期間が定められる必要がない場合、このとき前記方法はステップ11で終了する。次の期間が定められ得る及び/又は定められるべきである場合、このとき前記方法はステップ2に戻り、次の期間が定められる。次の期間は、前の期間に隣接してもよい。或いは、次の期間は、前の期間に重なっている。2つの連続する期間の重なりを利用することにより、改善される時間分解能が達成される。次の期間を定めた後、前記方法は、次の期間内にある時間セグメントに対する既定のパラメタ値の組が抽出されるステップ3を続け、その後、次の期間内に置かれる信号セグメントは、前のステップで抽出した前記既定のパラメタ値の組に基づいて分類されるステップ4が続く。次の期間が前の期間と重なっている場合、例えば2つの連続する期間が50%重なっている場合、現在の期間にあるデータの半分は、前のステップで既に解析及び分類された前の期間によるものであり、現在の期間にあるデータの半分だけが新しく、解析されていない。この場合、前記分類するステップは、現在の期間全体に対し得られるパラメタ値を使用するが、その期間の新しい部分を単に、例えば良い又は悪いと分類又はラベル付けするだけである。
【0031】
図2は、期間31、32、33がセグメント化した信号の解析のために定められる時間の関数として呼吸信号30の一例を概略的及び例示的に示す。図2のグラフの水平軸は時間を任意の単位で示し、垂直軸は、呼吸信号の振幅を任意の単位で示す。図2は、この実施例が連続して重なっている期間を利用することが説明されている。第1の期間31は、第2の期間32と重なり、第2の期間32は、第3の期間33と重なっている。期間33の後に続く他の期間はグラフには示されていない。図1のフローチャートにより説明される方法に従って、ステップ2において、第1の期間31が最初に定められる。この第1の期間31内にある呼吸信号30の一部は、図1のステップ3及び4において解析され、これらステップ3及び4は、最初に既定のパラメタの第1の組に対する値の抽出を、次いでこの第1の期間31内にある信号30の前記一部の分類を有する。次のループにおいて、第2の期間32が定められ、この第2の期間32内にある信号30の前記一部のデータが収集され、この第2の期間32内にある信号セグメントに対する既定のパラメタの第2の組の値を抽出するために使用される。第2の期間32と重なっている第1の期間の前記一部は前の分類するステップで既に分類されているので、本実施例において、第1の期間31と重なっていない第2の期間の一部内にある信号30の一部だけが分類される。次いで、第3の期間33が定められ、この第3の期間内にある信号30の一部のデータが収集され、この第3の期間33内にある時間セグメントに対する既定のパラメタの第3の組の値を抽出するために使用される。第3の期間33と重なっている第2の期間の前記一部は前の分類するステップで既に分類されているので、本実施例において、第2の期間32と重なっていない第3の期間の一部内にある信号30の一部だけが分類される。これらのステップは、信号30全体が連続する期間で占められるまで繰り返される(図示せず)。連続する期間の間において重なる量は、分類の時間分解能と、連続する期間にわたる動きアーチファクトの伝播との間における良好な妥協に対し最適化される。信号30の時間セグメントを各々分類している期間は、信号30にわたりスライドし、これによりセグメント化した信号の解析及び分類を提供する。
【0032】
図3は、周期的な生理学的信号を処理する方法の他の実施例を例示的に説明するフローチャートを示す。図3に説明される方法は、図1で説明した方法の発展型である。図1のステップ1、2、3、4、10及び11は、図3において同じステップである。本実施例において、ステップ1の後、ステップ12は、ステップ1で取り込んだ信号を条件付けるステップを供給する。この信号の条件付けは例えば、信号がこの方法の次のステップで解析される前に、この信号を改善するための信号のフィルタリングを有する。例えばステップ12は、呼吸又は心臓の活動の起こり得る周波数に対応する周波数は通過するように信号をフィルタリングするステップを有する。特に、このフィルタリングステップは、0.5Hzから4Hzの間にある一般的な心拍数又は周波数は通過するように周波数をフィルタリングするのに適する。約5Hzから20Hzまでの周波数範囲において、約0.5Hzから4Hzまでの又は毎分30から240回の脈拍の間の範囲内で起こる心拍数に対応する心臓の拍動により生じる機械的な振動は、加速度計により取り込まれることに注意されるべきである。フィルタリングされた信号の包絡線を得た後、心拍数の周波数範囲をフィルタリングするバンドパスフィルタは、心拍数を計算するための信号を生じさせるために利用される。呼吸周波数を決めるために、0Hzから2Hzまでの周波数範囲にある信号がフィルタリングされること、及び心拍数の周波数を決めるために、約0.5Hzから4Hzまでの周波数範囲だけが通過するように、信号はフィルタリングされることも可能である。これら2つの周波数範囲又は他の周波数範囲の組み合わせは任意でもよい。本実施例において、ステップ2において、条件付けした生理学的信号が選択した期間にわたり収集される。
【0033】
図3のステップ5において、前のステップ4における信号セグメントの分類の結果に基づいて、現在の期間内にある信号セグメントが良い又は悪い、すなわち許容される又は拒否されるかを決定する。例えば、呼吸信号の場合、現在の期間内にある信号セグメントは、それがブレス(breathing)信号に似ている場合、良い又は許容できると分類され、並びに例えば人間の身体運動の結果としての動きアーチファクトによる汚染が原因でブレス信号に似ない場合、悪いと分類されるか又は拒否される。現在の期間内にある信号セグメントがステップ5において許容される場合、次いでステップ6において、前記周期的信号の周波数又は速度が現在の期間内にある信号の一部に対し計算される。この信号セグメントが良いと分類される、すなわち必要な生理学的信号に似ているので、この信号セグメントに対し計算される周波数又は速度の値は信頼できる値となる。例えば呼吸信号の場合、ステップ6において呼吸数が計算され、心臓の拍動信号の場合、脈拍数が計算される。計算される呼吸数及び/又は脈拍数は表示装置(図示せず)上に示されることができる。他方、現在の期間内にある信号セグメントがステップ5において拒否される場合、このとき、この期間内にある信号セグメントに対する周波数又は速度は計算されない。この場合、現在の期間内にある信号は、必要な生理学的信号、例えばブレス信号又は心臓の拍動信号には似てなく、この信号セグメントに対する呼吸数又は脈拍数の計算は不正確な値となる。拒否された信号セグメントの視認性を高めるために、この期間にある信号セグメントは、時間の関数としてこの信号を示している表示に、この期間の信号の上に色付けしたバーを重ねることにより悪いとラベル付けされる又は拒否されることができる。
【0034】
良い/悪い信号の分類のために様々な分類アルゴリズムが用いられる。現在使用される分類は、規則に基づく、ベイジアン(Bayesian)、人工の神経回路網、決定木、線形判別関数及びk近傍(k nearest neighbor)の分類を含む。このような呼吸に特有の分類子の選択及び設計は、移動できる被験者の統計的に完全な呼吸データベースの使用を含み、これを用いて選択した分類子が訓練され、その分類性能が評価される。例えばアルゴリズムの計算の複雑さ及び解釈可能性のような基準は、分類子の選択においても重要となり得る。結果として生じる分類子は通常、複数の基準の間の良好な妥協である。良い/悪いの分類子の生成はオフラインで完了し、この分類の実施は、瞬時であり、計算的に軽く、リアルタイムでの生理学的信号の解析を可能にする。
【0035】
図4は、周期的な生理学的信号を処理する方法の他の実施例を例示的に説明するフローチャートを示す。図4に説明される方法は、図3で説明した方法の発展型である。図3の同様に番号を付したステップは、図4において同じステップである。本実施例において、ステップ6の後、ステップ7において、この信号セグメントが許容できると分類される場合、現在の期間にある信号の一部に対し計算した周波数の信頼性指数(confidence index)が計算される。この信頼性指数は、ステップ6において計算した周波数の信頼性又は精度を示す。信頼性指数は、ステップ4において抽出したパラメタの値を用いて、例えば呼吸数又は心拍数の値のような、計算した周波数の値と組み合わせて、対応する信号セグメントに対し定められる。この信頼性指数は、例えば呼吸数及び適切な呼吸数の傾向解析を適切に報告するような、呼吸数又は心拍数をさらに処理するのに有用な入力を供給する。
【0036】
図5は、周期的な生理学的信号を処理する方法の別の実施例を例示的に説明するフローチャートを示す。図5に説明される方法は、図4で説明した方法の発展型である。図4の同様に番号を付したステップは、図5において同じステップである。図5において、信号はステップ1において加速度計を用いて取り込まれる。加速度計をセンサ装置として使用するとき、呼吸だけでなく心臓の鼓動又は脈拍の情報も測定されることができる。これが図5に示され、ここで、本実施例では呼吸信号が解析され、ステップ3、4、5、6及び7を有する既存の分岐の隣に心臓信号解析用の分岐が組み込まれる。この実施例におけるステップ12は、呼吸を決めるための加速度計信号と心拍数を決めるための加速度計信号の両方をフィルタリングするフィルタを用いて、これら加速度計信号をフィルタリングするのに適している。或いは、2つの個別且つ専用のフィルタ、つまり呼吸を決定するための加速度計信号をフィルタリングする第1フィルタと、心拍数を決めるための加速度計信号をフィルタリングする第2のフィルタが利用されてもよい。心臓の拍動は、センサにより慣性加速度として測定される身体表面の機械的振動(及び僅かな傾斜の変化)を引き起こすので、脈波信号は、呼吸信号よりも高い周波数帯域で扱われる。
【0037】
図5のステップ13において、ステップ2で定めた期間内にある脈波信号セグメントから既定のパラメタの組に対する値が抽出される。これらパラメタ及びそれらの値は、現在の期間内にある脈波信号セグメントを、例えば時間、周波数及び空間座標、すなわち空間における位置のような様々な態様で特徴付ける。心臓の鼓動信号の目立った特徴を把握するために、前記信号の特有の特徴が定められることができる。時間の関数としての脈波信号の特徴パラメタは、例えば信号分散、信号中間、時間相関である。周波数の関数としての特徴パラメタは、例えば優位周波数及びスペクトルエントロピーである。空間座標の関数としての特徴パラメタは、例えば3軸加速度計を用いて測定されるような3つの直交する空間軸間の相関である。加速度計により測定される一般的な脈波信号は、0.5Hzから4Hzまでを範囲とする周波数を持つ周期性であり、及び強い軸間相関を持つ。約5Hzから20Hzまでの周波数範囲において、約0.5Hzから4Hzまでの又は毎分30から240回の脈拍の間の範囲内で起こる心拍数に対応する心臓の拍動により生じる機械的な振動は、加速度計により取り込まれることに注意すべきである。フィルタリングされた信号の包絡線を得た後、心拍数の周波数範囲をフィルタリングするバンドパスフィルタは、心拍数を計算するための信号を生じさせるために利用される。ステップ2における期間の規定は、脈波信号及び呼吸信号に対しても夫々定められることができる。
【0038】
図5のステップ14において、ステップ2で定めた期間内にある脈波信号セグメントは、ステップ3において呼吸信号に対し行われるが、心臓の拍動、すなわち脈波信号に対して最適化及び適合されるのとほぼ同じようにステップ13で抽出した既定のパラメタ値の組に基づいて分類される。図5のステップ15において、現在の期間内にある脈波信号セグメントが良いか悪いか、すなわち許容される又は拒否されるかを、ステップ5において呼吸信号に対し行われるが、脈波信号の特徴に対し適合されるのとほぼ同じように、前のステップ14における分類の結果に基づいて判断される。現在の期間内にある脈波信号セグメントがステップ15において許容される場合、次いでステップ16において、この現在の期間内にある信号の一部に対し脈拍数が計算され、ほぼ同じ方法で呼吸数がステップ6で計算される。脈波信号セグメントが良いと分類される、故に一般的な心臓の拍動信号と似ているので、この信号セグメントに対し計算される脈拍数の値は信頼できる値となる。計算した呼吸数及び脈拍数は共に表示装置(図示せず)に示されることができる。他方、現在の期間内にある脈波信号セグメントがステップ15において拒否される場合、このとき、この期間内にある脈波信号セグメントに対する脈拍数は計算されない。この場合、現在の期間内にある脈波信号は心臓の拍動信号には似なく、この脈波信号セグメントに対する脈拍数の計算は、不正確な脈拍数の値となる。同様に、ステップ5において、現在の期間内にある信号セグメントが呼吸信号に似ていない場合、呼吸数は計算されない。同じ期間内において、心臓の拍動信号は許容され、呼吸信号は拒否される、又はその反対も可能である。ステップ16の後、ステップ17において、この脈波信号セグメントが許容できると分類される場合、現在の期間にある脈波信号の一部に対し、計算した脈拍数の脈拍数信頼性指数が計算され、同じように、呼吸信号セグメントに対する呼吸信号信頼性指数がステップ6で計算される。脈拍数信頼性指数は、ステップ16で計算した脈拍数の信頼性又は精度を示す。この脈拍数信頼性指数は、ステップ14において抽出したパラメタの値を用いて、計算した脈拍数の値と組み合わせて、対応する脈波信号セグメントに対し定められる。脈拍数及び呼吸数信頼性指数は、例えば呼吸及び/又は脈拍数、並びに適切な呼吸及び/又は脈拍数の傾向解析を適切に報告するような、呼吸数又は脈拍数のデータをさらに処理するのに有用な入力を供給する。
【0039】
図6は、本発明による方法を利用している呼吸信号40の分類の一例を概略的及び例示的に示している。図6のグラグの水平軸は、時間を任意の単位で示し、垂直軸は、呼吸信号40の振幅を任意の単位で示す。影付き又は色付きのバーは、悪い又は拒否されると分類及び/又はラベル付けされる信号セグメント41を示す。信号セグメント41内にはない呼吸信号40は、良い又は許容できる信号セグメントと分類される。図6からは、拒否された信号セグメント41は、例えば動きアーチファクトで汚染されていること、及び拒否されていない信号セグメントは、拒否された信号セグメント41よりもブレス信号をより良好に示していることが明らかである。
【0040】
図7は、3軸加速度計により測定される呼吸信号52、53、54の分類の他の一例を概略的及び例示的に示す。図7は3つのグラフを示し、各々は、3軸加速度計の対応する空間軸に対し取り込まれる呼吸信号を示している。図7の各グラフの水平軸は、時間を任意の単位で示し、垂直軸は、図7aは空間x軸に対し取り込まれるx軸加速度計の呼吸信号52、図7bは空間y軸に対し取り込まれるy軸加速度計の呼吸信号53及び図7cは空間z軸に対し取り込まれるz軸加速度計の呼吸信号54の振幅を表す。信号解析は、各信号52、53、54に対し並行して行われることができ、分類するステップにおいて、3つの異なる分類結果の間の比較は、現在の期間の組み合わせた分類を提供するために行われることができる。或いは、前記分類は、3つの信号52、53、54の組み合わせである1つの信号に行われる。影付き又は色付きのバーは、拒否されたと分類及び/又はラベル付けされた信号セグメント51を示し、それにより、拒否された信号セグメント51は例えば動きアーチファクトで汚染されていること、及び拒否されていない信号セグメントは、拒否された信号セグメント51よりもブレス信号をより良好に示しているが明らかである。
【0041】
本発明による方法は、本発明による方法において定められたようなステップを実行するのに適したコンピュータプログラムにより実施されてもよい。
【0042】
図8は、周期的な生理学的信号を処理するのに適した装置の実施例を概略的及び例示的に示す。センサ101は、例えば患者のような物体から周期的な生理学的信号を取り込む。取り込まれた生理学的信号は、この期間に信号データが収集される期間を定める期間規定ユニット102のために入力される。この期間規定ユニット102は、次の期間が前の期間に隣接している又は重なっている連続する期間を繰り返し定めるのに適する。この期間に取り込まれた信号の一部は、抽出ユニット103のために入力され、このユニットは、期間規定ユニット102において収集及び定められた現在の期間にある信号セグメントから既定のパラメタ値の組を抽出する。前記パラメタ及びそれらの値は、生理学的信号に特有な特徴、及び現在の信号セグメントに対し抽出される、故に現在の期間内にある生理学的信号セグメントを特徴付けるパラメタの値を定める。抽出したパラメタ値は、分類ユニット104のために入力され、これは、抽出したパラメタ値に基づいて現在の期間内にある信号を分類する。本実施例において、分類された信号は、周波数計算ユニット105のために入力され、このユニットは分類結果に基づくと共に、抽出したパラメタ値にも任意に基づいて分類した周期的な生理学的信号の周波数を計算する。
【0043】
監視装置は好ましくは、呼吸数及び/又は心拍数を特に歩行状態の下で監視するために、人間において相補的位置、優先的に人間の胸部及び/又は腹部に位置決めるための1つ以上の多軸加速度計、特に2つの3軸加速度計を有する。この多軸加速度計は、物体の運動を示すため、特に呼吸及び/又は心臓の活動により生じる腹部又は胸部の運動を示すために傾斜計として使用される。この運動は、多軸加速度計がその上に位置決められる物体の表面の変化により示される。優先的には3つの直交軸である、多軸加速度計の幾つかの空間軸は、これら軸の各々に重力ベクトルを射影したのに等しい加速度計信号を記録する。好ましくは、抽出ユニット及び分類ユニットは、1つ以上の多軸加速度計の信号を並行して解析するのに適している。
【0044】
本発明による監視装置及び信号解析方法は、患者を監視する、特に集中治療域外の実際に病んでいる患者を検出するのに助けとなるために使用される。
【0045】
上述した実施例において、多軸加速度計は優先的に3つの直交軸を持っていたとしても、この多軸加速度計は、2つの直交軸又は4つ以上の軸を持つこともできる。さらに、空間軸は、他の角度も含むことができる、すなわち他の実施例においてこれら軸は非直交とすることができる。
【0046】
上述した実施例において、1つ又は2つの多軸加速度計が使用されていたとしても、3つ以上の加速度計が呼吸数及び/又は心拍数を決めるのに使用されることができる。
【0047】
開示した実施例の他の変更例は、図面、明細書及び付随する請求項を検討することにより、本発明を実施する当業者により理解及び行われることがあり得る。
【0048】
請求項において、"有する"という言葉は、他の要素又はステップを排除するものではなく、複数あることを述べないことはそれらが複数あることを排除するものでもない。
【0049】
単一のユニット又は装置が請求項に列挙した幾つかのアイテムの機能を果たしてもよい。ある方法が互いに別々の従属請求項に挙げられているという単なる事実は、これらの方法の組み合わせが有利に使用されることができないことを示しているのはない。
【0050】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に又はその一部として供給される適切な媒体、例えば光学記憶媒体又はソリッドステート媒体に保存又は分配されてもよいが、他の形式、例えばインターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介して分配されてもよい。
【0051】
請求項にある如何なる参照符号もその範囲を制限するとは考えない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期的な生理学的信号を処理する方法において、
前記周期的な生理学的信号の2周期以上におよぶ期間にわたり前記生理学的信号を繰り返し収集するステップであり、次の期間は前の期間に隣接している又は重なっている、ステップ、
各々の期間内にある前記生理学的信号から既定のパラメタの組の値を抽出するステップであり、前記パラメタの値は前記期間内にある前記生理学的信号を特徴付けている、ステップ、及び
前記抽出した既定のパラメタの組の値に基づいて各々の期間内にある前記生理学的信号を分類するステップ、
を有する方法。
【請求項2】
前記生理学的信号を分類するステップの後、各々の期間に対し、前記分類した生理学的信号の周波数を抽出するステップをさらに含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記周波数を抽出するステップの後、各々の期間内にある生理学的信号の前記抽出した周波数に対する信頼値を、対応する期間にある前記生理学的信号から抽出した前記既定のパラメタの組の値、及び前記抽出した周波数値に基づいて計算するステップ、
をさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記分類するステップは、各々の期間に許容又は拒否とラベル付けするステップを有する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記生理学的信号の周波数は、拒否とラベル付けされた各々の期間には抽出されない、請求項2及び4に記載の方法。
【請求項6】
前記生理学的信号は、患者の呼吸及び/又は脈拍を表している請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記既定のパラメタは、前記生理学的信号を、時間、周波数及び/又は空間における位置の関数として特徴付ける請求項1に記載の方法。
【請求項8】
次の期間と前の期間との間に重なりがある場合、前記分類するステップは、前記前の期間と重なっていない前記次の期間の一部に対してのみ行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記分類するステップは、前記既定のパラメタの組の統計的データベースにも基づいている、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記生理学的信号を繰り返し収集するステップの前に、前記生理学的信号を条件付けするステップをさらに含み、前記生理学的信号を繰り返し収集するステップは、条件付けられた前記信号を繰り返し収集するステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
多重生理学的信号が同時に収集され、前記抽出及び分類するステップが前記多重生理学的信号の各々に対し別々に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
周期的な生理学的信号を監視するための装置において、前記装置は、
前記周期的な生理学的信号を測定するのに適したセンサ、
その期間に前記生理学的信号が解析される、前記周期的な生理学的信号の1周期以上におよぶ期間を繰り返し規定する時間規定ユニットであり、次の期間は前の期間に隣接している又は重なっている、ユニット
前記期間内にある前記生理学的信号から既定のパラメタの組の値を抽出する抽出ユニットであり、前記パラメタは前記期間内にある生理学的パラメタを特徴付けているユニット、並びに
前記期間内にある前記生理学的信号を、前記抽出した既定のパラメタの組の値に基づいて分類する分類ユニット
を有する装置。
【請求項13】
前記センサは多軸加速度計を有し、測定される前記生理学的信号は、前記多軸に対応する多重サブ信号を有し、前記サブ信号は同期して解析される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
分類した前記生理学的信号の周波数の値を決定するための周波数決定ユニットをさらに有する、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記装置は、多重センサを有すると共に、その各々が別々に又は組み合わせて解析される多重生理学的信号を測定するに適している、請求項12に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−519420(P2013−519420A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552500(P2012−552500)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【国際出願番号】PCT/IB2011/050510
【国際公開番号】WO2011/098942
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】