周波数オフセットを考慮して循環シフトを設定する方法
【課題】周波数オフセットに対する循環シフトシーケンス設定方法を提供すること。
【解決手段】本発明の一実施例は、シーケンスのチャネル応答位置と周波数オフセットによって発生するシーケンスのエイリアスのチャネル応答位置間の距離を演算し、演算された距離の区間によってシーケンスを構成するグループごと循環シフトの数を演算して、循環シフト適用区間を設定する過程を含む。受信信号がチャネル遅延拡散及び電波遅延によってシフトされても、受信シーケンスのチャネル応答及びこの受信シーケンスのエイリアスの位置を考慮して互いに重ならない位置に簡単な方法で循環シフト適用区間を設定して、周波数オフセットによる検出誤り及び誤警報率を大きく減少させる。循環シフトを適用するシーケンスを周波数オフセットが所定レベル以上であるセルに対して割り当てる場合、高移動性セルにおいて周波数オフセットの影響を最小化することができる。
【解決手段】本発明の一実施例は、シーケンスのチャネル応答位置と周波数オフセットによって発生するシーケンスのエイリアスのチャネル応答位置間の距離を演算し、演算された距離の区間によってシーケンスを構成するグループごと循環シフトの数を演算して、循環シフト適用区間を設定する過程を含む。受信信号がチャネル遅延拡散及び電波遅延によってシフトされても、受信シーケンスのチャネル応答及びこの受信シーケンスのエイリアスの位置を考慮して互いに重ならない位置に簡単な方法で循環シフト適用区間を設定して、周波数オフセットによる検出誤り及び誤警報率を大きく減少させる。循環シフトを適用するシーケンスを周波数オフセットが所定レベル以上であるセルに対して割り当てる場合、高移動性セルにおいて周波数オフセットの影響を最小化することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムにおけるシーケンスに関し、特に、周波数オフセット問題を解決するためにCAZACシーケンスの特性を考慮して循環シフト(cyclic shift)を設定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CAZAC(Constant Amplitude Zero Auto-Correlation)シーケンス(sequence)は、現在、3GPP LTEでその活用が活発に論議されているシーケンスの一つである。このようなCAZACシーケンスを用いてチャネルは各種IDや情報を抽出することができる。それらのチャネルには、ダウンリンクの同期のための同期チャネル(例えば、primary-SCH、secondary-SCH、BCH)、アップリンクの同期のための同期チャネル(例えば、RACH)、パイロットチャネル(例えば、データパイロット、チャネル品質パイロット)などがある。また、上記のCAZACシーケンスをスクランブリング(scrambling)にも使用することができる。
【0003】
CAZACシーケンスの利用方法に関しては、ルートインデックス(root index)を他のものに替えて使用する方法と、一つのルートシーケンスを循環シフトして使用する方法の2種類が主として論議される。ルートインデックスを他のものに変えて使用する場合は、現在のルートインデックスと新しいルートインデックスとの間に小さな相互相関(cross-correlation)が生じるが、シーケンス使用の設計には制約とならない。しかし、循環シフトの場合は、現在のルートインデックスと新しいルートインデックスとの間の相互相関がゼロである特徴を持っているから、二つのルートインデックスの各々は、高い除去比(rejection ratio)を要求する場合に利用される。特に、同じセル内で同じ時間−周波数資源を共有してデータ/制御信号を伝送する時に、二つのルートインデックスが、互いに異なる信号/UEを区分するのに用いられる。
【0004】
CAZACシーケンス(sequence)の一つであるZadoff-Chu(以下、‘ZC’という。)シーケンスは、下記のように定義される。
【0005】
【数1】
【0006】
ここで、nはサンプリングインデックスを表し、NzcはZCシーケンスの長さを表し、uは、ZCシーケンスのインデックスを表す。
【0007】
ところが、CAZACシーケンスをOFDM方式で伝送する場合のように、周波数軸に対してオフセットが発生しうる場合には、性能、誤警報またはスループットが著しく悪化する可能性がある。
【0008】
特に、CAZACシーケンスに循環シフトを適用する場合、周波数オフセットまたはタイミングオフセットが著しく生じるため、シーケンス区分が難しくなるという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は、従来の制約及び不都合による一つ以上の問題を十分に取り除く、周波数オフセットを考慮して循環シフトを設定する方法を対象とする。
【0010】
本発明が達成しようとする技術的課題は、周波数オフセットが発生する状況で、シーケンス、(例えば、CAZACシーケンス)の性能劣化を簡単な方法で防止することができる、周波数オフセットに対する循環シフト(CS)設定方法を提供することにある。
【0011】
本発明の他の利点、目的及び特徴は、以下の記載で幾分説明され、当業者に幾分理解される。本発明の目的及び他の利点は、明細書、特許請求の範囲及び図面で特に指摘された構造によって実現され及び達成される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これらの課題と他の利点を達成するために及び本発明の目的に応じて、実施され且つここに広く開示されるように、所定値より大きい高ドップラー周波数の影響に対して、所定のシーケンスに適用される循環シフトを設定する方法が提供される。
【0013】
この方法は、所定のシーケンスのルートインデックス(u)を用いて、1サブキャリア間隔のドップラーシフトに該当する循環シフトの第1の変数(du)を獲得する段階と、
第1の変数(du)を用いて、所定のシーケンスに含まれるグループの個数(G)、各グループの長さ(S)、グループごとの循環シフトの個数(P)を含む第2の変数を獲得する段階と、
第2の次変数に従って、所定のシーケンスに適用される循環シフトを設定する段階と、を含む構成とした。
【0014】
好ましくは、第2の変数は、グループにかかわらずに所定のシーケンスに適用可能な追加の循環シフトの個数(R)をさらに含む。
【0015】
好ましくは、所定のシーケンスはZadoff-Chu(ZC)シーケンスであり、
第1の変数は、
【数2】
によって獲得される。
【0016】
なお、この場合、前記第2の変数は、第1の変数(du)の範囲によって異なって獲得され、第1の変数の範囲は、所定のシーケンス長の1/3に該当する基準(Nzc/3)によって区分される。
【0017】
【数3】
【0018】
【数4】
【0019】
そして、好ましくは、前記循環シフト(Cv)の設定は、
【数5】
の式として行なわれる。
【0020】
所定のシーケンスは、ランダムアクセスプリアンブルを生成するためのものでありうる。
【0021】
本発明の他の態様は、所定のシーケンスに適用される循環シフトを設定する方法であって、
循環シフトが、ドップラーシフトにより制限される制限セットによって設定されるか否かを決定する段階と、
循環シフトが制限セットによって設定されると決定されると、1サブキャリア間隔のドップラーシフトに該当する循環シフトを考慮して、所定のシーケンスに適用される循環シフトを設定する段階と、
を含む方法を提供する。
【0022】
好ましくは、前記循環シフトが前記制限セットによって設定されると決定されると、所定のシーケンスに適用される循環シフトを設定する段階は、
所定のルートインデックス(u)を用いて、1サブキャリア間隔のドップラーシフトに該当する循環シフトを表す第1の変数(du)を獲得する段階と、
第1の変数(du)を用いて、所定のシーケンスに含まれるグループの個数(G)、各グループの長さ(S)、各グループごとの循環シフトの個数(P)、及びグループにかかわらずに所定のシーケンスに適用可能な追加の循環シフトの個数(R)を含む第2の変数を獲得する段階と、
第2の変数によって所定のシーケンスに適用される循環シフトを設定する段階と、を含むことができる。
【0023】
好ましくは、所定のシーケンスはZadoff-Chu(ZC)シーケンスであり、
第1の変数は、
【数6】
によって獲得される。
【0024】
そして、第2の変数は、第1の変数(du)の範囲に従って別に獲得され、第1の変数の範囲は、所定のシーケンス長の1/3に該当する基準(Nzc/3)によって区分される。
【0025】
【数7】
【0026】
【数8】
【0027】
好ましくは、前記循環シフト(Cv)は、
【数9】
として行われる。
【0028】
そして、所定のシーケンスは、ランダムアクセスプリアンブルを生成するためのものでありうる。
【0029】
本発明の他の態様は、所定のシーケンスに適用される循環シフトを設定する方法であって、
(a)
【数10】
によって変数duを獲得する段階と、
(b)
【数11】
(c)前記循環シフト(Cv)を、
【数12】
によって設定する段階と、を含むことができる。
【0030】
本発明の他の態様は、循環シフトを用いてランダムアクセスプリアンブルを伝送する方法であって、
ランダムアクセスプリアンブルのためのシーケンスのルートインデックス(u)をシステム情報から獲得する段階と、
シーケンスに適用される循環シフトを設定する段階であって、循環シフトが、ドップラーシフトにより制限される制限セットによって設定されると決定されると、シーケンスに適用される循環シフトは、1サブキャリア間隔のドップラーシフトに該当する循環シフトを考慮して設定される段階と、
設定された循環シフトを用いて、ルートインデックス(u)に、従ってシーケンスを生成する段階と、
循環シフトを有するシーケンスをランダムアクセスプリアンブルとして伝送する段階と、を含むことができる。
【0031】
好ましくは、循環シフトが制限セットによって設定されると決定されると、シーケンスに適用される循環シフトを設定する段階は、
所定のルートインデックス(u)を用いて、1サブキャリア間隔のドップラーシフトに該当する循環シフトを表す第1の変数(du)を獲得する段階と、
第1の変数(du)を用いて、シーケンスに含まれるグループの個数(G)、各グループの長さ(S)、グループごとの循環シフトの個数(P)、及びグループにかかわらずにシーケンスに適用可能な追加の循環シフトの個数(R)を含む第2の変数を獲得する段階と、
第2の変数によってシーケンスに適用される循環シフトを設定する段階と、
を含むことができる。
【0032】
好ましくは、この場合、所定のシーケンスはZadoff-Chu(ZC)シーケンスであり、
第1の変数は、
【数13】
によって獲得される。
【0033】
好ましくは、第2の変数は、第1の変数(du)の範囲に従って別に獲得され、第1の変数の範囲は、所定のシーケンス長の1/3に該当する基準(Nzc/3)によって区分される。
【0034】
【数14】
【0035】
【数15】
【0036】
そして、好ましくは、循環シフト(Cv)は、
【数16】
の式として行なわれる。
【0037】
本発明に係る以上の説明及び下記の詳細な説明はいずれも例示的且つ説明的なもので、請求される本発明のさらなる説明を提供するためのものである。
【発明の効果】
【0038】
本発明の一実施形態によると、シーケンスが生成されるドメインのカテゴリーに関係なく受信信号がチャネル遅延拡散及び電波遅延によってシフトされても、受信シーケンスのチャネル応答及びこの受信シーケンスのエイリアスの位置を考慮して互いに重ならない位置に簡単な方法で循環シフト適用区間を設定することによって、検出誤り及び誤警報率を大きく減少させることができ、周波数オフセットが所定レベル以上であるセルに、循環シフトのシーケンスを割り当てる場合、本発明は、高移動性セルにおいて周波数オフセットの影響を最小化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】シーケンスがサブキャリアにマッピングされる時に、周波数領域におけるパルス成形による周波数オフセットの影響を説明するための図である。
【図2】複数のセルに存在する相異なる周波数オフセット状況を説明するための図である。
【図3】シーケンスがCAZACシーケンスである場合のシーケンス割当方法を説明するための図である。
【図4】周波数オフセットによって受信シーケンスの時間領域チャネル応答にエイリアスが発生する現象を示す図である。
【図5】循環シフト適用単位に追加マージンを加えて循環シフト適用単位を設定する方法を示す図である。
【図6】シーケンスインデックスが小さい場合に図5の追加のマージンを適用する例を示す図である。
【図7】シーケンスインデックスが小さい場合に図5の追加のマージンを適用する例を示す図である。
【図8】シーケンスインデックスが大きい場合に図5の追加のマージンを適用する例を示す図である。
【図9】シーケンスインデックスが大きい場合に図5の追加のマージンを適用する例を示す図である。
【図10】P個の循環シフトセットで構成される一つのグループの例を示す図である。
【図11】循環シフト適用グループと各グループ内で循環シフト適用区間を設定する方法を示す図である。
【図12】N/3〜N/2区間にCAZACインデックスが属するようになる場合、干渉によりパルスが発生する位置を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態によって制限循環シフトセット(restricted cyclic shift set)を設定する方法を示すフローチャートである。
【図14】本発明の一実施形態によって制限循環シフトセットを設定する場合、1サブキャリア間隔(subcarrier spacing)のドップラーシフト(Doppler shift)に対応する循環シフト(cyclic shift)に該当する変数duを設定する方法を説明するための図である。
【図15】変数duが、循環シフトを適用する基本単位であるNcsよりも小さい場合を示す図である。
【図16】NCS≦du<(NZC/3)の区間で循環シフト設定のための変数を求める方法を説明するための図である。
【図17】(NZC/3)≦du<(NZC - NCS)/2の区間で循環シフト設定のための変数を求める方法を説明するための図である。
【図18】Nzc=839、Ncs=100、du=155の場合に、エイリアス応答(alias response)によってZCZプリアンブルシーケンスの数がどのように減るかを示す図である。
【図19】Nzc=839、Ncs=100、du=155の場合に、エイリアス応答(alias response)によってZCZプリアンブルシーケンスの数がどのように減るかを示す図である。
【図20】Nzc=839の場合に、循環シフトの開始位置に対する制約を除去することによる利用可能な制限循環シフトの増加率を示す図である。
【図21】Nzc=839、Ncs=40、du=150の場合における、本発明の一実施形態による循環シフトを示す図である。
【図22】Nzc=839、Ncs=40、du=399の場合における、本発明の一実施形態による循環シフトを示す図である。
【図23】Nzc=839、Ncs=40、du=150の場合における、本発明の他の実施形態による循環シフトを示す図である。
【図24】Nzc=839、Ncs=40、du=399の場合における、本発明の他の実施形態による循環シフトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の好適な実施形態を、添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。添付の図面と共に以下に開示される詳細な説明は、本発明の例示的な実施形態を説明するためのもので、本発明が実施されうる唯一の実施形態を表すためのものではない。
【0041】
以下の詳細な説明は、本発明の完全な理解を提供するために具体的な細部事項を含む。しかし、当業者は、本発明がこのような具体的な細部事項なしにも実施されうるということを理解する。場合によっては、本発明の概念が曖昧になるのを避けるために公知の構造及び装置を省略したり、各構造及び装置の核心機能を中心にしたブロック図の形式で示すことができる。本明細書全体において同一の構成要素には同一の図面符号を付して説明する。
【0042】
上述した通り、本発明は、周波数オフセットが発生する状況で、シーケンス、特にCAZACシーケンスの性能劣化を簡単な方法で防止することができる、周波数オフセットに対する循環シフト設定方法を提供することを目的とする。そのため、CAZACシーケンスに循環シフトを適用する方式及びこのようなCAZACシーケンスの周波数オフセットによる影響について具体的に説明する。
【0043】
CAZACシーケンスに循環シフトを適用する方式には、下記のようにシーケンス自体を循環シフトさせる方式と、時間領域または周波数領域シーケンスに他の領域の指数関数を乗じて循環シフトさせる方式の2通りの方式がある。
【0044】
周波数領域でkの周波数インデックスにdの循環シフトが適用され、Mのシーケンスインデックス及びN長さを持つシーケンスをc(k;d,M,N)と表す時、シーケンス自体を循環シフトさせる方式は、下記のように示すことができる。
【0045】
【数17】
【0046】
ここで、dは、適用する循環シフトの量を表し、‘mod’は、モジューラ演算子を表す。
【0047】
また、シーケンスに指数関数を乗じて循環シフトを適用する方式を、下記のように示すことができる。
【0048】
【数18】
【0049】
一方、上記の式2及び式3は、循環シフトを周波数領域で適用する例を示しているが、循環シフトを、下記のように、時間領域において時間領域シーケンスサンプリングインデックスnに適用することもでき、この場合、循環シフトが適用される形態を、下記のように示すことができる。
【0050】
【数19】
【0051】
ここで、Cvは循環シフトの度合を表し、nはサンプリングインデックスを表し、NzcはZCシーケンスの長さを表し、uは、ZCシーケンスのインデックスを表す。
【0052】
このように、CAZACシーケンスを、異なるルートインデックスが用いられるという条件の下で互いに区別することができるが、これらのCAZACシーケンス間には相互相関(cross-correlation)の差が発生することに注目すべきである。
【0053】
しかし、少なくとも二つのCAZACシーケンスに循環シフトが適用される場合には、これらCAZACシーケンス間の相互相関値は0であるから、これらのCAZACシーケンスは、二つのCAZACシーケンスに高い除去比(rejection ratio)が要求される場合に用いられる。
【0054】
特に、循環シフトを適用したCAZACシーケンスを、同じセル内で同じ時間−周波数資源を共有してデータ/制御信号を伝送する時、相異なる信号/UEを区別する用途に用いることができる。
【0055】
しかし、このCAZACシーケンスをOFDM方式で伝送する場合のように周波数軸に対してオフセット(frequency offset)が発生しうるときには、急激な性能劣化及び誤警報率を招く恐れがある。
【0056】
以下の説明では、シーケンスを周波数領域で伝送すると仮定し、OFDM伝送を用いる例に上げて説明する。
【0057】
図1は、シーケンスがサブキャリアにマッピングされる時、周波数領域におけるパルス成形による周波数オフセットの影響を説明するための図である。
【0058】
図1に示すように、シーケンスサンプルはサブキャリアにそれぞれマッピングされる。受信端が“干渉”(Interference)の位置で表示されるように周波数オフセットに起因する信号サンプリングを行うと、一つのサンプルには隣接サブキャリアの信号が混合される。すなわち、パルス成形(pulse shaping)関数をp(x)とすれば、任意のサブキャリアにおける応答は、下記のように与えられる。
【0059】
【数20】
【0060】
ここで、r(k,foff)は、周波数オフセットがfoffである場合のk番目のサブキャリア位置における受信周波数応答を表し、c(n)は、ユーザ装置(UE)側でサブキャリアにマッピングされたCAZACシーケンスを表し、p(f)は、周波数領域におけるパルス成形関数を表し、ωoはサブキャリア間隔を表す。
【0061】
もし、foff=0なら、通常、上の式5において値はc(k)値のみ出る。しかし、foff≠0なら、隣接サブキャリアの信号が受信に入ることとなり、これにより性能劣化が生じてしまう。このような周波数オフセットによる性能劣化としては、主に、受信端の検出誤り率及び/または誤警報率(false alarm rate)が増加することにある。
【0062】
特に、循環シフトを時間領域で適用し、CAZACシーケンスを周波数領域で送信する場合に、シーケンスの区別ができない場合が生じうる。このような問題は、CAZACシーケンスが時間領域内でタイミングオフセット(timing offset)の形態で送信されるときにも生じうる。すなわち、周波数オフセットやタイミングオフセットが発生すると、循環シフトを利用する方式は性能劣化に直面せざるを得ない。また、このような周波数オフセットの影響は、循環シフトを上記の式4のように時間領域で適用する場合にも同様に現れる。
【0063】
したがって、このように周波数オフセットが発生する状況で、シーケンス、(すなわち、CAZACシーケンス)の性能劣化を防止できる技術が要求されている。特に、CAZACシーケンスに循環シフトを適用する場合、周波数オフセットまたはタイミングオフセットの度合が過度になり、例えば、該オフセットが一つのサブキャリア間隔の半分以上である時、シーケンス間の区別がし難くなるという問題などを解決する必要がある。
【0064】
ただし、このような周波数オフセットの度合またはドップラーシフトの度合は、セルラー移動通信システムにおいて各セルごとに異なる。
【0065】
したがって、本発明の一実施形態では、このように各セルの周波数オフセットの度合によって相異なる循環シフト設定方法を提案し、これについて具体的に説明すると、下記の通りである。
【0066】
図2は、複数のセルに存在する相異なる周波数オフセット状況を説明するための図である。
【0067】
複数のセルを含むセルラー移動通信システムにおいて、例えば、高速で移動するUEが多いセルは、当該セル内の周波数オフセットの度合が高いものと見ることができ、住居地域などを含むセルは、当該セル内のUEが総じて低速UEである確率が大きいので、セル内の周波数オフセットの度合が大きくないものと見なされる。
【0068】
具体的には、図2は、高速鉄道に近接したセルA、セルBと、このような高速鉄道から遠く離れたセルCを一例として示している。高速鉄道に近接したセルA、セルBの場合、当該セル内に高速UEを多数含む確率が高いので、シーケンス割当において周波数オフセットに強いシーケンスを割り当てることが有利である。また、高速鉄道から遠く離れた、例えば、住居地域に近接しているセルCの場合、当該セル内に高速UEを含む確率が高くないので、周波数オフセットに強いシーケンスのみを割り当てる必要はない。
【0069】
一方、利用可能なシーケンス(例えば、CAZACシーケンス)の場合、各シーケンスのルートインデックスによる第1のシーケンスと第1のシーケンスに循環シフトを適用した第2のシーケンスは、互いに異なる周波数オフセット特性を有する。
【0070】
したがって、本発明では、ドップラーシフトによる影響の度合が所定の臨界値より大きいために循環シフト適用区間設定時に特定制約を持つ場合を「制限ケース(restricted case)」とし、ドップラーシフトによる影響の度合が所定の臨界値以下であるために循環シフト区間設定に制約がない場合を「無制限ケース(unrestricted case)」とし、それぞれの場合に対する循環シフト設定方法を提案する。
【0071】
以下、このような観点で循環シフトを設定する方法について説明する。
【0072】
図3は、シーケンスがCAZACシーケンスである場合におけるシーケンス割当方法を説明するための図である。
【0073】
CAZACシーケンスは、ルートCAZACインデックスのそれぞれのルートシーケンスと、各ルートシーケンスにそれぞれ異なる循環シフト(Circular shift:“CS”ともいう。)を適用したZCZ(Zero Correlation Zone)シーケンスとを含むことができる。具体的に、図3は、Nt個のルートインデックスのそれぞれに対するルートシーケンスと、それぞれのルートシーケンスにL個の相異なる循環シフトを適用したZCZシーケンスセットとを示す。ここで、ZCZは、基地局でRACH信号の区別が可能となるようにCSを適用できる循環シフト適用区間を意味する。
【0074】
一方、周波数オフセットがある状況でCAZACシーケンスを使用する場合、周波数オフセットの存在によってZCZシーケンス間の区別が難しいという不具合がある。したがって、周波数オフセットが所定レベル以上とあらかじめ決定されたセルではZCZシーケンスを使用しないことが考えられる。このように各セルの周波数オフセットの度合を判定するのに用いられるしきい値を、該当のシステムの使用可能なシーケンスの数及び各セルの周波数オフセット度合によって適切に決定することができる。また、周波数オフセットが所定レベル以上とあらかじめ決定されたセルを、例えば、図2のセルA、セルBのように高速UEが存在する確率が大きいセルとすることができる。
【0075】
ただし、このように周波数オフセットが所定レベル以上と決定されたセル内でZCZシーケンスを使用しないように設定する場合には、CAZACインデックスによるNt個のインデックスのみを使用することができるため、使用可能なシーケンスの数が減少する。シーケンス再使用率が小さくなる場合、セル計画を通じてシーケンスを割り当てる必要があるが、これは、各セルへのシーケンス割当において複雑さを増加させる原因になりうる。そこで、このように利用可能なシーケンスの数が問題となる場合、他の解決方案が要求される。
【0076】
さらに、Nt個のシーケンスのみを使用し、ZCZシーケンスを使用しない場合、シーケンスの検出性能を向上させる間に往復遅延又は片道遅延を見積もる問題が生じうる。すなわち、往復遅延又は片道遅延のために変動する相関ピークの位置と周波数オフセットにために変動する相関ピークの位置とを区別する問題が生じうる。したがって、他の解決方法が、この問題に対して更に要求される。
【0077】
一方、上述したように、周波数オフセットによってZCZシーケンス間の区別ができない問題は、CAZACインデックスが非常に大きいまたは非常に小さい場合以外は深刻になる。具体的には、上述したように、kが周波数軸インデックスを表し、NがCAZACシーケンス長を表し、MがCAZACインデックスを表し、送信信号をc(k,N,M)とする場合、受信信号R(k,N,M)を、下記のように示すことができる。
【0078】
【数21】
【0079】
ここで、dは、周波数オフセットによる周波数領域遅延量を表す。
【0080】
上記の式6からわかるように、CAZACインデックスMが非常に小さい値を持つか、全体でNt個のシーケンスインデックスの中で最も大きい値を持つ場合には、周波数オフセットによる指数関数の影響が小さくなり、受信信号において周波数オフセットによる影響が減少することがわかる。
【0081】
周波数オフセットが所定レベル以上であると決定されたセルにCAZACシーケンスを割り当てる場合、ルートシーケンスのみを割り当てる。ルートシーケンスだけではシーケンスの個数が足りず、ZCZ CAZACシーケンスを利用する場合には、CAZACシーケンスは、全体インデックスにおいて最初の所定範囲以内または最後の所定範囲以内であるシーケンスを用いることができる。ここで、所定範囲を、システムの検出性能によって異なって設定することができる。
【0082】
このような方式によると、周波数オフセットの高いセルではZCZシーケンスを使用しないように設定する方法に比べて、使用可能なシーケンスの種類が増加し、よって、殆どセル設計を行なう必要がないという長所を有する。
【0083】
具体的には、図3に示すように、合計のCAZACインデックスがNtまで存在する場合、周波数オフセットの高いセルで使用するシーケンスを、CAZACインデックス0、1、2とNt−2、Nt−1及びNtとすることができる。
【0084】
一方、周波数オフセットが所定レベル未満であるセルのためのCAZACシーケンスでは、CAZACインデックスが0、1、2とNt−2、Nt−1及びNtであるインデックス以外のインデックスのみを使用する必要はない。CAZACシーケンスと周波数オフセットの高いセルで利用されるシーケンスとの間の干渉を減少するために、周波数オフセットの高いセルで利用されるシーケンスインデックスを使用しないほうがより好ましい。
【0085】
一方、本発明の一実施形態では、上述したように周波数オフセットの高いセルにも使用可能なシーケンスの個数確保及び/またはチャネルに生じた時間遅延の見積りの性能の保証のためにZCZシーケンスを使用する場合、このような制限ケース(restricted case)に対して周波数オフセットによるエイリアス(alias)、すなわちドップラーシフトを考慮して循環シフト適用区間を設定することによって、周波数オフセットによる性能劣化を防止できる。これについて具体的に説明すると、下記の通りである。
【0086】
周波数オフセットがある場合、受信信号の周波数応答は、上記の式6のように示すことができる。
【0087】
一方、上記の式6は、信号値が周波数オフセットに起因する全ての隣接サブキャリアから移されることを示すが、実質的に受信信号のチャネル応答に比較的大きい影響を及ぼす成分を、対応するサブキャリアの両側に位置する部分に設定することができ、この部分は、隣接サブキャリアの信号を受信する。したがって、このような1次成分のみを考慮する場合(first order case)、上記の式6を、下記のように3つの項で表すことができる。
【0088】
【数22】
【0089】
一方、受信側では上記受信信号にシーケンスc(n)の共役複素数を適用し、これによって、結果を下記のように示すことができる。
【0090】
【数23】
【0091】
【数24】
【0092】
式8で、受信信号のチャネル応答は、時間領域でターゲット位置(target position)t、左側にシフトされた位置t−M、及び右側にシフトされた位置t+Mの3箇所に現れることがわかり、左右側からMずつシフトされた位置に現れるチャネル応答は、受信信号のエイリアス、すなわち1サブキャリア分の間隔(spacing)を持つドップラーシフト成分に該当することがわかる。
【0093】
このように周波数オフセットによってチャネル応答にエイリアスが発生する現象を、図4に示す。
【0094】
図4は、周波数オフセットによって受信シーケンスの時間領域チャネル応答にエイリアスが発生する現象を示す図である。
【0095】
周波数オフセットが所定レベル以上であるセルで利用されるシーケンスに循環シフトを適用する場合、当該シーケンスの受信チャネル応答には、図4に示すようにターゲット位置の他に、1サブキャリア大きさのドップラーシフトによって2個のエイリアスが追加的に発生することがある。したがって、循環シフトを適用する区間をこのようなターゲット位置とエイリアスの位置を考慮せずに設定する場合、チャネル遅延拡散及び電波遅延などによって受信シーケンス自体のチャネル応答とエイリアス間に予測しなかった重複が発生し、相異なる循環シフトを適用したシーケンス間においてターゲット位置とエイリアスの位置間の混同が発生する可能性がある。
【0096】
したがって、本発明の一実施形態では、CAZACシーケンスに循環シフトを適用する区間を設定する時に、制限ケースに対しては、上述したように、チャネル応答で発生するエイリアスを考慮して、受信シーケンスのチャネル応答とそのエイリアス間に位置が重ならない区間で循環シフト適用区間を設定することを提案する。図4は、循環シフトが周波数領域で適用される場合に、シーケンスインデックスMの大きさでエイリアスが発生する例を示しているが、循環シフトを時間領域で適用する場合には、1サブキャリア間隔のドップラーシフトによるエイリアスが発生する位置を、これと異なる方法で決定することができる。以下では、まず、循環シフトが各領域で適用される全ての場合について詳細に説明する。
【0097】
図5〜図11では、循環シフト単位がT0である場合を基準に説明する。
【0098】
図5は、循環シフト適用単位に追加的なマージンを加えて循環シフト適用単位を設定する方法を示す図である。
【0099】
本発明は、RACH成分に基づく設計に従って、循環シフトされたプリアンブル(preamble)を生成する。しかし、OFDMで周波数オフセット(frequency offset)が存在する環境では、受信端で正常なシーケンスを他のシーケンスと誤認しやすい。
【0100】
上記問題を防止するために、本発明は、図5に示すように追加の循環シフトマージン(margin)を用いることができる。
【0101】
図5で、遅延拡散はチャネルの遅延拡散を表し、往復遅延時間はユーザ装置、(UE)と基地局間の物理的距離の伝播時間を表す。追加の循環シフトマージンを用いる場合には、シーケンス別にマージンの大きさを調節し、シーケンスの使用において周波数オフセットによる影響を減少させることができる。
【0102】
追加マージンを用いて周波数オフセットを具現しようとする場合、循環シフトの単位はCAZACシーケンスの関数で定められる。すなわち、CAZACインデックスMに対して、循環シフトの単位は式9で示される。
【0103】
【数25】
【0104】
ここで、T0は、シーケンスインデックスに関係なく適用される共通循環シフト単位であり、Tmargin(M)は、シーケンスインデックスがMである場合に適用される追加マージンである。このマージンを、シーケンスと循環シフトの使用によって別の方法によって定めることができる。したがって、本実施形態において循環シフト単位は少なくとも2Mとなることが好ましいか、この追加マージンは、循環シフトが適用される領域によって異なることができる。このような状況が、図6及び図7に示されている。
【0105】
図6及び図7は、シーケンスインデックスが小さい場合に図5の追加マージンを適用する例を示す図である。
【0106】
図6及び図7で、右側のハッチング部分は、循環シフト機会(Cyclic shift opportunity)を表す。
【0107】
周波数オフセットの影響がない信号の位置がtにあるとすれば、周波数オフセットの影響を受けたパルスは、その左右に1箇所ずつ発生することができ、基本的な循環シフト単位であるT0を含むと、Tmargin(M)=2Mであることがわかる。
【0108】
このような方式で全てのインデックスに対して追加マージンを適用することによって、周波数オフセット/タイミングオフセット(timing offset)に強い循環シフトを定義することができる。しかし、シーケンスインデックスが大きくなるにつれてTmargin(M)も大きくなり、その結果、使用可能な循環シフトは1個に減るという状況が発生しうる。したがって、このように使用可能な循環シフトが減るのを防止するために、本発明は、CAZACインデックスが大きい場合については詳細に開示する。
【0109】
図8及び図9は、シーケンスインデックスが大きい場合に図5の追加マージンを適用する例を示す図である。
【0110】
図8は、CAZACインデックスMが2T0乃至3T0の場合を示し、図9は、CAZACインデックスMが3T0乃至4T0の場合を示す。図8の場合は、基本循環シフト単位を考慮しても、中間に空間が残り、追加の循環シフトセット(ハッチング部分)をさらに入れることができる。図9の場合は、空間がさらに広く、よって、少なくとも2個の追加の循環シフトを入ることができる。
【0111】
図10は、P個の循環シフトセットで構成される一つのグループの例を示す図である。
【0112】
上記の説明を一般化すると、図10のようにパルスでブロックが作られる範囲、すなわち、ハッチング部分のようにスロット(slot)が3M範囲内に定義され、Mの範囲がPT0乃至(P+1)T0の場合に、合計P個の循環シフトセットが作られることがわかる。以下、本発明に関する説明においてこのような3Mの単位を“循環シフトグループ”と称する。すなわち、本発明において循環シフトを適用する特定シーケンスは、所定の個数の循環シフトグループを含み、各循環シフトグループ内には、ドップラーシフトによる循環シフト成分と重ならないように設定された所定個数の循環シフトを適用することができる。
【0113】
図11は、循環シフト適用グループと各グループ内で循環シフト適用区間を設定する方法を示す図である。
【0114】
図11に示すように、全体シーケンスに対して循環シフトグループの単位を定義することができ、それぞれの循環シフトグループを、図10のように定義することができる。循環シフトグループの数がGであり、各グループ当たりの循環シフトの数がPである時、使用可能な循環シフトの総個数はP*Gとなることがわかる。本発明の一実施形態では、図11に示すように、シーケンスをグループに分け、各グループ内で利用可能な制限循環シフトを見つけることを前提とする。
【0115】
このような方法によると、循環シフトグループが1個となるインデックスまでは使用可能な循環シフトが全て定義される。シーケンスの長さがNの時、この範囲は、1〜N/3と2N/3〜N−1までのインデックスである。ここで、k番目のインデックスは、N−k番目のインデックスと同じ循環シフトグループと循環シフトセットを有する。
【0116】
図12は、N/3〜N/2区間にCAZACインデックスが属するようになる場合、干渉によってパルスが発生する位置を示す図である。
【0117】
図12の一つの四角形は、循環シフトの単位を表す。図12に示すように、CAZACインデックスがN/3を超えると、連続した循環シフト位置(すなわち、Toで定義された循環シフト位置)を全て使用することはできず、一定の規則にしたがって使用することができる。
【0118】
本発明の一実施形態によって制限循環シフトセットを設定する方法について説明すると、下記の通りである。
【0119】
図13は、本発明の一実施形態によって制限循環シフトセットを設定する方法を示すフローチャートである。
【0120】
図13を参照すると、周波数オフセットが所定のしきい値以上であるセルで制限循環シフトセットを設定する場合、所望のチャネル応答とこのエイリアス間に混同がないようにエイリアスを考慮して循環シフトを設定することを提案する。このために、図13の段階S1301では、ドップラーシフトにより発生する応答と所望のチャネル応答間の距離、言い換えると、1サブキャリア間隔のドップラーシフトにより発生する循環シフトに該当する距離duを、与えられたシーケンスのインデックスuを用いて獲得することを提案する。
【0121】
変数duについてより詳細に説明すると、下記の通りである。
【0122】
図14は、本発明の一実施形態によって制限循環シフトセットを設定する場合、1サブキャリア間隔のドップラーシフトに対応する循環シフトに該当する変数duを説明するための図である。
【0123】
まず、図14の(a)を参照すると、ドップラー周波数(Doppler frequency)の影響がない場合、受信端の相関(correlation)演算によってピーク(peak)が現れる位置を、図面符号1401で表す。ただし、遅延拡散及び往復遅延時間によって、受信端におけるピークの位置は、基本的にシステムで定められる循環シフトの単位としてNcs内1402に現れる。
【0124】
【数26】
【0125】
本発明の一実施形態では、このように1サブキャリア間隔に該当するドップラーシフトに対応する循環シフトを考慮して制限循環シフトを設定する場合、本発明は、ドップラーシフトによるチャネル応答移動と重ならないように制限循環シフトを制御する。図14の(b)、(c)で“予約”(reserved)で表示された領域を循環シフト設定区間から除外することによって、比較的高いドップラーシフトが発生する場合にもチャネル応答間に予測しない混同が発生するのを防止することを提案する。
【0126】
再び図13を参照すると、段階S1302では、段階S1301で獲得した変数duを用いて第2の変数、すなわち、現在のシーケンス(例えば、ZCシーケンス)から循環シフトグループの個数(G)、各グループに適用されうる循環シフトの個数(P)及び各グループの長さ(S)を獲得する。第2の変数は、シーケンスのインデックスによってグループの長さが変わるので、シーケンスインデックス応じて異なるように設定されなければならない。また、変数duはシーケンスのインデックスに依存するので、変数duの範囲によって第2の変数を設定することを提案する。また、本発明の好ましい一実施形態では、グループに基づく循環シフトの他にも、シーケンス範囲内で循環シフトグループに含まれない特定の領域を用いて追加の循環シフトを適用することもできる。これについては後述する。
【0127】
その後、段階S1303では、段階S1302で獲得した第2の変数を用いて循環シフトを設定する。
【0128】
以下では、上述した実施形態を実施するために、循環シフト適用のための具体的な変数間の数学的な関係を詳細に説明する。
【0129】
本実施形態に適用される制限循環シフトは、ハイドップラー周波数効果(high doppler frequency effect)を防止するために提案された。以下の説明において、上記duとは異なる循環シフトオフセット(cyclic shift offset)Coffを詳細に説明する。このCoffは、ドップラーシフトにより発生するオフセットの度合を表す。ドップラーシフトにより発生するオフセットの度合が、所定のシーケンス範囲の半分以内である場合には、このオフセットの度合は、上記duと同じ意味を持つことができるが、オフセットの度合が、所定のシーケンス範囲を越える場合には、全体シーケンス長からCoffを減算した値が、duに該当することとなる。
【0130】
このようなCoffは、使用されたシーケンスのルートインデックスuに依存する。プリアンブルは、時間ドメイン(time domain)で生成されても良く、周波数ドメイン(frequency domain)で生成されても良いから、Coffとuの関係は、プリアンブルを生成するドメインに依存する。
【0131】
ZCシーケンスが周波数ドメインから生成され、循環シフトが時間ドメインに適用されると、Coffは、下記のように誘導される。
【0132】
ドップラー周波数(Doppler frequency)によって隣接サブキャリア(sub-carrier)から移された値によって信号エネルギーが広まると仮定する。そして、このとき、現在のサブキャリアから1間隔離間したサブキャリア位置でのみ隣接キャリアからの移動があると仮定し、このケースを第1の場合と称する。この場合、特定サブキャリアにおける受信信号は、次の式10のように3つの項で構成される。
【0133】
【数27】
【0134】
ここで、パルス成形(pulse shape)関数、すなわち、p(f)を、簡単に二乗余弦(raised cosine)やsinc関数で定義することができ、便宜のために定数c0、c-1、c1に設定すると、s(n)=c0c(n)+c-1c(n-1)+c1c(n+1)である。時にシーケンスの共役(conjugate)を結果的に得られた値S(n)に乗じると、下記の式11のようになる。
【0135】
【数28】
【0136】
式11において、c(n)=x(n)がCAZACによって表される時、c(n-1)c*(n)は、下記の式12のように与えられる。
【0137】
【数29】
【0138】
ここで、uは、ルートインデックスを表し、Nzcは、シーケンス長さを表す。したがって、式12を式11に適用すると、s(n)は、3つの信号で構成されることがわかる。S(n)値の第1項は、単純なDC成分、第2項は、周波数がM/Nである複素指数波形(complex exponential wave)、第3項は、周波数が−M/Nである複素指数波形であることがわかる。
【0139】
したがって、Coffは、ZCシーケンスのインデックスuによって、下記のように定義される。
【0140】
【数30】
【0141】
一方、ZCシーケンスが時間ドメインから生成され、循環シフトが時間ドメインで生成されるとすれば、Coffを以下の方法によって計算することができる。
【0142】
周波数オフセット無しで受信されたRACHプリアンブルをr(n)とすれば、周波数オフセットを有して受信されたRACH信号は、下記の通りである。
【0143】
【数31】
【0144】
【数32】
【0145】
【数33】
【0146】
【数34】
【0147】
【数35】
【0148】
【数36】
【0149】
【数37】
【0150】
式15と式16によりγ=1+Δf/fsとなる。チャネル応答位置をメインローブ(main lobe)といい、+/−のドップラー周波数の影響を受けたチャネルのエイリアス応答位置をサイドローブ(side lobe)という。すなわち、メインローブは0オフセットによる位置を表し、ドップラー周波数の影響がない時の正しいチャネル応答位置を表す。サイドローブのうち、+サイドローブは+オフセットによる位置を表し、+ドップラー周波数の影響を受けたエイリアスの応答位置に等しい。−サイドローブは、−オフセットによる位置を表し、−ドップラー周波数の影響を受けたエイリアスの応答位置に等しい。式16からわかるように、自己相関のピーク(peak)のメインローブはCoff,u=0あるいはCoff,u'=0で現れる。式16により、サイドローブの対は、下記の式17のような条件の下で現れる。
【0151】
【数38】
【0152】
したがって、u*Coff,u-m*Nzc=-1である。すなわち、Coff,u=(m*Nzc-1)/uである。ここで、mは、Coff,uを整数にすることができる最も小さい整数である。例えば、ZCシーケンスの長さが839であり、ルートインデックスが300である場合、mは59となり、Coff,uは165となる。
【0153】
時間領域で定義されたZCシーケンスを使用する場合、Coffは下記の式18のように定義される。
【0154】
【数39】
【0155】
式18において、mは、Coffを整数にすることができる最も小さい正の数であり、NzcはZCの長さである。全てのインデックスuは、Nzcに対して既に互いに素(relative prime)である。したがって、u*uinv=1 mod Nzcを満たす正の整数uinv=1/uが存在する。したがって、Coff,uを、下記の式19のように簡単に表現することができる。
【0156】
【数40】
【0157】
式19において、負の符号(−)は、正の符号(+)と逆でありしたがって、式20のように表される。
【0158】
【数41】
【0159】
要するに、周波数領域で定義されたCAZACシーケンスを使用する場合、CAZACシーケンスのインデックスuがそのままCoffになり、時間領域で定義されたCAZACシーケンスを使用する場合、CAZACシーケンスのインデックスuを1/u mod Nzcした値が、Coffとなる。
【0160】
周波数あるいは時間領域で定義されたZCシーケンスを使用する時、CoffとZCシーケンスの共役特性(conjugate property)を使用すると、メインローブとサイドローブ間の距離duは、下記の式21のように定義される。
【0161】
【数42】
【0162】
本発明による実施例では、制限循環シフトの設定において様々な方法を提案する。本発明による実施例では、固定された循環シフト位置(cyclic shift position)無しで制限循環シフトを設定する方法と、固定された循環シフト位置を有して制限循環シフトを設定する方法の2通りを提案する。第一の方法は、あらかじめ定義されたシフト位置を考慮しない制限循環シフト(Restricted Cyclic Shift without pre-defined shift position)と関連し、第二の方法は、あらかじめ定義されたシフト位置を考慮する制限循環シフト(Restricted Cyclic Shift with pre-defined shift position)と関連する。
【0163】
第一の方法と関連して、Va番目の制限循環シフトのシフト値(shift value)を直接利用する方法、例えば、シフト値CVaを求めて循環シフト区間を設定する方法がある。すなわち、循環シフトされたシーケンスは、上記の式4に表したように、xu,V(n) = xu((n+CVa) mod Nzc)となる。また、第一の方法と関連して、Va番目の制限循環シフトのための小数Vaを利用する方法、例えば、シフトインデックス小数Vaを求めて循環シフト区間を設定する方法がある。すなわち、循環シフトの長さをNcsとすれば、循環シフトされたシーケンスはxu,Va(n) = xu((n+round(vaNcs)) mod Nzc)になる。ここで、roundは、四捨五入関数を意味する。
【0164】
第二の方法と関連して、Va番目の制限循環シフトのための整数Vaを利用する方法、例えば、シフトインデックス整数Vaを求めて循環シフト区間を設定する方法がある。すなわち、循環シフトされたシーケンスは、xu,Va(n) = xu((n+vaNcs) mod Nzc)になる。
【0165】
一方、Ncsの倍数で循環シフトする場合、u番目のルートZCシーケンスに対して、相関が0の領域(Zero Correlation Zone;ZCZ)を有するランダムアクセス(random access)プリアンブルは、xu,v(n) = xu((n+vNcs) mod Nzc)のように定義される。このような定義は、高い周波数オフセット(high frequency offset)が問題とならない中低移動性セル(low/middle cell)に好適である。しかし、高移動性セルで制限循環シフトが用いられる時、上のような定義は不適切である。特に、使用可能なvの値は制限され、利用可能なZCZプリアンブルの数は、一般的な場合の1/3に減る。
【0166】
以下、上述した場合に対して、それぞれ本発明の一実施形態として説明する。
【0167】
最良の形態
本実施形態では、固定された循環シフト位置無しでドップラーシフトによる影響のみを考慮して制限循環シフトを設定する方法について説明する。
本実施形態では、CAZACシーケンスとして用いられるZCシーケンスを用いてプリアンブルを生成する場合を仮定する。
【0168】
下記の式22のduは、周波数ドメインでZCシーケンスを生成する場合を表す。
【0169】
【数43】
【0170】
時間ドメインでZCシーケンスを生成する場合、duは下記の式23で示される。
【0171】
【数44】
【0172】
ここで、mは、duを整数にすることができる最も小さい正の数であり、Nzcは、ZCの長さである。式23を、式24のように書き直すことができる。
【0173】
【数45】
【0174】
これにより、u番目のルートインデックスに対するv番目の循環シフトは、xu,V(n) = xu((n+CV) mod Nzc)のように定義される。ここで、一般的な循環シフトの場合、Cv=v*Ncsであり、制限循環シフトの場合、Cvは下記の式25により決定される。
【0175】
【数46】
【0176】
まず、あらかじめ定義されたシフト位置を考慮しない制限循環シフトの場合(Case 1)について説明すると、下記の通りである。
【0177】
相関が0である領域を持つu番目のルートZCシーケンス及びv番目のランダムアクセスプリアンブルは、xu,V(n)=xu((n+CV) mod Nzc)によって定義される。
【0178】
ここで、CVは、式25で示される。
【0179】
すなわち、ドップラーシフトによる影響が小さい無制限セット(unrestricted sets)の場合、基本循環シフト単位であるNcsの整数倍に該当する循環シフトを設定することができる。ただし、ドップラーシフトによる影響が大きい制限セット(restricted sets)の場合には、図13と関連して上述した通り、循環シフトグループの個数(G)、循環シフトグループ当たり適用可能な循環シフトの個数(P)、及び追加的な循環シフトの個数(R)を算定し、これによって循環シフトを設定することを提案する。
【0180】
第2の変数のそれぞれを算定する方式を、図13で上述した通り、duの範囲によって別々に決定することができる。
【0181】
【数47】
【0182】
【数48】
【0183】
以下、第2の変数を算定する具体的な原理について説明する。
【0184】
(1)du<NCS
図15は、duが循環シフトを適用する基本単位であるNcsよりも小さい場合を示す図である。
【0185】
循環シフトの単位であるNcsは、チャネルで発生しうる遅延拡散とRTDを考慮して設計される。
【0186】
したがって、duの大きさがNcsの大きさよりも小さい場合、Ncs範囲内で遅延拡散及び/またはRTDによるピークとドップラーシフトによるピークが重なることができる。したがって、本実施形態では、制限循環シフトを設定する時に、duの大きさがNcsの大きさよりも小さい場合に対しては循環シフトを設定しないことを提案する。
(2)NCS≦du < (NZC/3)
図16は、NCS≦du<(NZC/3)の区間で循環シフト設定のための変数を求める方法を説明するための図である。
【0187】
du<(NZC/3)の区間では、図16に示すように、意図した循環シフトの両側に与えられたシーケンス長の範囲内でドップラー周波数による循環シフト領域が現れる。本実施形態では、循環シフトの両側で現れるドップラー周波数による循環シフト領域を一つのグループにグルーピングすることができる。また、du範囲内でいくつのNcsに重ならずに適用可能かを計算し、各グループ内で適用可能な制限循環シフトの個数Pと設定することができる。すなわち、Pを、下記の式26のように決定することができる。
【0188】
【数49】
【0189】
一方、1グループ内の特定チャネル応答1601に対してドップラーシフトによるエイリアス1601a,1602bは、両側にduだけ離れた位置に発生することになる。また、グループ内にP個の循環シフトを適用する場合、チャネル応答1601を中心に左側領域に発生するエイリアスの位置はいずれもdu範囲内に存在するが、右側領域に発生するエイリアスは、チャネル応答1601を中心にdu範囲を越える領域に存在することもある。この時、右側領域に発生するP個のチャネル応答に対するエイリアスを全て考慮する場合、その長さはP・NCS(1602)に該当することがわかる。したがって、本実施形態において一つの循環シフトグループの長さ(S)は、2個のdu長さにP・NCS長さを加算した値と等しくすることができ、これは下記の式27のように示される。
【0190】
【数50】
【0191】
一方、シーケンス全体の循環シフトグループの個数を、全体シーケンス長さNzcをグループ長さSで除算して算定することができ、これは、下記の式28のように示される。
【0192】
【数51】
【0193】
一方、図16を参照すると、グループの長さSよりも小さい領域1603が残る場合がある。この領域の長さは、全体シーケンス長さから、グループの個数とグループの長さとを乗算した値を減算した長さ、すなわち、NZC-G・Sに該当する。ここで、Nzcは全体に亘るシーケンスの長さであり、Gはグループの数であり、Sはグループの長さである。NZC-G・S-2duがNcsよりも大きい場合、追加循環シフトを領域1603に適用することができる。これを、図16の1604に具体的に示す。したがって、このように循環シフトグループに基づかない追加循環シフトの個数をRとする時、Rは、下記の式29のように示される。
【0194】
【数52】
(3)(NZC/3)≦du<(NZC-NCS)/2
図17は、(NZC/3)≦du<(NZC-NCS)/2の区間で循環シフト設定のための変数を求める方法を説明するための図である。
【0195】
(NZC/3)≦duの領域では、上記(2)の場合、すなわち、du<(NZC/3)の場合とは違い、特定チャネル応答とドップラーシフトによるエイリアスの位置が全体に亘るシーケンス長さNzcを超過し、これにより、エイリアスは、理想的な場合のチャネル応答とdu範囲の間で発生することができる。例えば、図17の、特定位置1701におけるピークは、+/1のドップラーシフトにより1701a、1701b位置でエイリアスが発生することができる。これにより、本ケースにおいて、一つの循環シフトグループ内に適用できる循環シフトの個数は、図17の中央部分のNZC-2du領域1702によって決定され、これによって、グループごとに適用可能な制限循環シフトの個数Pを、下記の式30のように算定することができる。
【0196】
【数53】
【0197】
また、本ケースにおいて、各循環シフトグループの長さSは、下記の式31のように示すことができる。
【0198】
【数54】
【0199】
変数Sは、1702領域(Nzc−3du)の長さとPに該当する1703領域の長さとの和に等しい。P・Ncsの長さは、右側に位置した実際のグループの各々に適用可能な循環シフトの数を有する変数である。
【0200】
一方、本ケースにおいて、所定のZCシーケンス内における循環シフトグループの個数は、上記(2)の場合のように、全体のシーケンス長さNzc内で特定グループ長さSがいくつ許容されるかによって決定するのではなく、du範囲1704内で特定グループ長さSがいくつ許容されるかによって決定することが好ましい。これは、特定チャネル応答とこのチャネル応答の2個のエイリアス間の間隔が全体のシーケンス範囲を越え、本発明は、du範囲内で重ならないように各エイリアスを制御する。したがって、循環シフトグループの個数Gを、下記の式32のように示すことができる。
【0201】
【数55】
【0202】
最後に、上述したように、du範囲1704内で循環シフトグループを設定し、循環シフトグループの長さ以下の長さを持つ領域1705が残ることがある。このような領域1705の長さはdu-G・Sに該当し、この長さがNcsよりも大きい場合、追加循環シフトをこの長さに適用することができる。
【数56】
【0203】
ただし、各追加循環シフトグループの長さSがP個以上である場合には、P個よりも大きい個数に該当する追加循環シフトは、右側領域で+/−エイリアス領域と重なることができる。したがって、本実施形態において追加循環シフトの個数Rは、下記の式33のように表すことを提案する。
【0204】
【数57】
(4)(NZC-NCS)/2≦du
図17を参照すると、中央部分のNZC-2du領域1702の大きさがNcsよりも大きい場合にのみグループ内で循環シフトを適用することができる。すなわち、NZC-2du>NCSでなければならない。これをduを中心に表現し直すと、NZC-NCS>2du、すなわち、(NZC-NCS)/2>duを満たさなければならないということがわかり、そこで、本実施形態では(NZC-NCS)/2≦du範囲に対しては制限循環シフトを設定しないことを提案する。
【0205】
上述した各区間についての説明に基づいて、本実施形態による循環シフト設定方式を表す式25のうち、制限セットについてのみより具体的に説明すると、下記の通りである。まず、式25のうち、制限セットのみを表すと、式34のようになる。
【0206】
【数58】
【0207】
このような循環シフトで各項(term)について説明すると、下記の通りである。
【0208】
【数59】
【0209】
【数60】
【0210】
【数61】
【0211】
変形例
以下では、上述した最良の形態の外に、本発明によって適用可能な様々な変形例について説明する。上述した最良の形態は、循環シフトを始める地点に制限がない場合を仮定して説明したが、本発明は、このような場合だけでなく、多様な制限条件によって適用されることができる。以下では上述した最良の形態を含め、より一般的に適用可能な全ての実施形態について説明する。
【0212】
以下の図面で、“+”ドップラー周波数によってエイリアスが発生する位置を“+offset”の位置で表し、“−”ドップラー周波数によりエイリアスが発生する位置を“-offset”の位置で表す。
【0213】
図18及び19は、Nzc=839、Ncs=100、du=155の場合に、エイリアス応答(alias response)によってZCZプリアンブルシーケンスの数がどのように減るかを示す。
【0214】
図18において、循環シフトはいずれの位置でも開始可能である。図19において、循環シフトはNcsの倍数の位置でのみ可能である。図18及び図19において、Ncs値は同一であり、単に各循環シフトの開始位置のみ異なる。
結論として、図18の場合が図19の場合よりも多い循環シフトを構成することができる。すなわち、図18の場合は、循環シフトの開始位置に対する制約を除去することによって、追加的な制限循環シフトを得ることができる。
【0215】
図20は、Nzc=839の場合に、循環シフトの開始位置に対する制約を除去することによる利用可能な制限循環シフトの増加率を示す。
【0216】
このような循環シフトの開始に対する制約の除去は、ハードウェアの複雑さ(hardware complexity)を増加させない。
【0217】
したがって、あらかじめ定義されたシフト位置を考慮しない制限循環シフトが好まれており、上記最良の形態はこのような仮定下の実施形態である。しかし、本発明を、実施形態によってあらかじめ定義されたシフト位置を持つ制限循環シフトの場合にも適用することができ、以下ではこれら二つの場合をいずれも説明する。
【0218】
まず、あらかじめ定義されたシフト位置を考慮しない制限循環シフトの場合(Case 1)について説明すると、下記の通りである。
【0219】
式21は、プリアンブル生成ドメインにかかわらずに、エイリアス距離(alias distance)を表す。ルートZCシーケンスごとの利用可能な制限循環シフトの数は、ルートインデックスとNcsによって異なるから、相異なるエイリアス距離区間(range)のための相異なる式が必要である。
【0220】
特に、エイリアス応答が区別されない二つのエイリアス距離区間が存在する。循環シフト区間と二つのエイリアス区間が互いに重ならない、制限循環シフトが使用可能な区間は、Ncs≦du≦(Nzc-Ncs)/2で与えられる。
【0221】
ここで、プリアンブルが周波数ドメインで生成(generation)される場合、du=uであり、時間ドメインで生成される場合、du=1/u mod Nzcである。制限循環シフトの数は、下記の式35のように与えられる。
【0222】
【数62】
【0223】
ここで、Pは、グループごとの制限循環シフトの個数を表し、Gは、一つのプリアンブルシーケンスに現れるグループの数を表す。Rは、追加グループに基づかない追加制限循環シフトの個数を表す。
【0224】
制限循環シフトが使用可能な区間Ncs≦du≦(Nzc-Ncs)/2を、Nzc/3に基いて、Ncs≦du<(Nzc/3)と(Nzc/3)≦du≦(Nzc-Ncs)/2とに分けられることができる。
【0225】
Nzc/3を基準にエイリアス距離区間を分ける理由は、上述した通りである。したがって、Ncs≦du≦(Nzc-Ncs)/2は、Nzc/3に基づいて異なるように決定されるので、以下では、Ncs≦du<(Nzc/3)と(Nzc/3)≦du≦(Nzc-Ncs)/2の区間についてそれぞれ説明する。
【0226】
最初のグループの開始位置を0とすれば、Va番目の制限循環シフトの区間は、式36及び式37で[CVa,start、CVa,end]で定義される。
【0227】
【数63】
【0228】
【数64】
【0229】
そして、エイリアスは、下記の式38及び式39の位置で発生する。
【0230】
【数65】
【0231】
【数66】
【0232】
ここで、()Nzcは、Nzcに対するモジューラ演算を表す。
【0233】
【数67】
【0234】
図21は、Nzc=839、Ncs=40、du=150である場合の循環シフトを例に上げたものであり、グループごとに3個の循環シフトを持つ1個のグループがあり、残りの区間で2個の追加循環シフトがある。この例において、合計の制限循環シフトは5個となる。
本発明の一実施例では、このように演算されたグループの数、グループ当たり制限循環シフトの数及びグループの長さを、式36及び式37に適用して、循環シフト適用区間を設定する。
【0235】
【数68】
【0236】
図22は、Nzc=839、Ncs=40、du=399の場合を例に上げたものであり、グループごとに1個の循環シフトを持つ4個のグループがあり、1個の追加循環シフトがある。この例において、総制限循環シフトは5個である。
【0237】
本発明の一実施例では、このように演算されたグループの数、グループごとの制限循環シフトの数及びグループの長さが、式36及び式37に適用され、循環シフト適用区間を設定する。
【0238】
二つのエイリアス距離区間の等号(=)は、大きな意味を持たないこともある。例えば、839の長さのZCシーケンスを使用する場合、(Nzc/3)=279.67であるから、Ncs≦du<(Nzc/3)と(Nzc/3)≦du≦(Nzc-Ncs)/2とに区間を分ける場合と、Ncs≦du≦(Nzc/3)と(Nzc/3)<du≦(Nzc-Ncs)/2とに区間を分ける場合は、同じ結果を有する。
【0239】
次に、あらかじめ定義されたシフト位置を考慮する制限循環シフトの場合(Case 2)について説明する。
【0240】
あらかじめ定義されたシフト位置によって制限循環シフトの生成方法は、他の方法に変わる。各エイリアス距離区間において、P個の循環シフトを持つG個のグループがあり、R1個のグループに属しない最初の追加循環シフトがある。また、あらかじめ定義されたシフト位置を使用する場合、エイリアス距離区間の2領域であらかじめ定義されたシフト位置がない場合とは違い、特殊な追加循環シフトが存在する。エイリアス距離区間の2領域において、メイン領域(main region)は、一般的にシーケンスの前側サンプルに現れ、シーケンスの後側サンプルでエイリアス領域(alias region)が現れるのとは違い、逆にシーケンスの後側サンプルでメイン領域が現れ、シーケンスの前側サンプルでエイリアス領域が現れる。このような2番目の追加循環シフトをR2と表す。このような2番目の追加循環シフトは、エイリアス距離区間1では現れない。全体制限循環シフトの個数は、下記の式40で示される。
【0241】
【数69】
【0242】
1番目のグループの開始位置を0とすれば、Va番目の制限循環シフトは下記の式41及び式42のように、[CVa,start、CVa,end]領域で定義される。
【0243】
【数70】
【0244】
【数71】
【0245】
そして、関係しているエイリアスは、下記の式43及び式44の位置で発生する。
【0246】
【数72】
【0247】
【数73】
【0248】
ここで、()Nzcは、Nzcに対するモジューラ演算を表す。
【0249】
【数74】
【0250】
図23は、Nzc=839、Ncs=40、du=150の場合を例に上げたものであり、グループごとに3個の循環シフトを持つ1個のグループがあり、2個の追加循環シフトがある。この例で、総制限循環シフトは5個である。
【0251】
本発明の他の実施例では、このように演算されたグループの数、グループ当たり制限循環シフトの数及びグループの長さは、式41及び式42に適用され、循環シフト適用区間を設定する。
【0252】
【数75】
【0253】
図24は、Nzc=839、Ncs=40、du=399の場合を例に上げたものであり、グループごとに1個の循環シフトを持つ3個のグループがあり、0個の最初の追加循環シフトがある。また、メイン領域とエイリアス領域の相対的位置が、一般の場合と逆に現れる1個の追加循環シフトがある。このような2番目の追加循環シフトは、固定された循環シフト位置を使用しない場合においては、図22のように発生しない。この例で、制限循環シフトの合計は4個である。
【0254】
本発明の他の実施例では、このように演算されたグループの数、グループごとの制限循環シフトの数及びグループの長さを、式41及び式42に適用して循環シフト適用区間を設定する。
【0255】
本発明の他の実施例のように、循環シフトが固定されている特定システムでは、次のような過程を通じて循環シフトを決定することができる。
【0256】
まず、全体シーケンス区間を循環シフト値で除算する。
【0257】
続いて、最初の区間(n=1)に対してオフセットによる干渉(interference)が発生する区間(±u or ±(m*Nzc-1)/u)を探す。この時、干渉の発生する区間は、複数個の区間となる。例えば、最初の干渉(first interference)のみを考慮した場合、干渉が発生する区間を、最大4個までの区間で構成することができる。
【0258】
次に、最初の区間とオフセットによる複数個の干渉区間がいずれも互いに重ならない場合、最初の区間を、循環シフトを利用可能な区間と設定し、オフセットによる残り複数個の区間を、禁止区間と設定する。
【0259】
次の区間に移り(n=n+1)、オフセットによる干渉が発生する区間を探す過程を反復する。
【0260】
n番目の区間でオフセットによる干渉が発生する区間を探す間で、観察区間、オフセットによる複数個の区間、以前に設定された利用可能な区間、及び以前に設定された禁止区間がいずれも互いに重ならない場合、現在の区間を利用可能な区間と設定し、現在の区間に対するオフセットによる複数個の区間を、禁止区間と設定する。このような過程を最後の区間まで反復すること場合、循環シフトが固定されているシステムで循環シフトを決定することができる。
【0261】
本発明の他の実施例として、複数のセルを含む移動通信システムで高移動性セルとして確認されたセルにのみ、上記のように設定された循環シフト適用区間を適用させることができる。
【0262】
この場合、高移動性セルであるか否かは、セル情報を獲得した後にセルに対する周波数オフセットが所定レベル以上か否かを基準に判断することができる。この時、所定レベルは、本発明の属する技術分野における通常の知識を持つ者(以下、‘当業者’)が容易に設定及び変更できる周波数オフセット値である。高移動性セルであるか否かは、基地局あるいは端末が判断可能である。しかし、端末は、セル内の他の端末の周波数オフセット値を推定するのが困難である。したがって、基地局がセル内の複数の端末を考慮して該当端末が高移動性セルであるか否かを判断し、その結果の信号を放送チャネル(broadcast channel)を通じて送信することが好ましい。
【0263】
一方、本発明の他の実施例は、確認されたセルが高移動性セルでないか否かを決定する場合、割り当てられないシーケンスを高移動性セルに割り当てる過程を含むことができる。
【0264】
以下、上述した最良の形態と同じ条件下で式を変形して適用する場合について説明する。
【0265】
上記最良の形態に関連して上述した式を、下記のように表現することもできる。
【0266】
【数76】
【0267】
次に、あらかじめ定義されたシフト位置を考慮する制限循環シフトの場合(Case 2)を上記と異なる式で説明すると、下記の通りである。
【0268】
相関が0の領域を持つu番目のルートZCシーケンス、すなわち、v番目のランダムアクセスプリアンブルは、xu,V(n)=xu((n+Cv) mod Nzc)によって定義される。ここで、Cvは、式45で示される。
【0269】
【数77】
【0270】
【数78】
【0271】
この時、高移動性セルのパラメータは、下記のように定義される。
【0272】
【数79】
【0273】
【数80】
【0274】
制限循環シフト xu,V(n)=xu((n+Cv) mod Nzc)では、v番目の制限循環シフトのシフト値を直接利用する方法に対する例を上げた。これと違い、Va番目の制限循環シフトのためのVaを用いて制限循環シフトを適用することができる。すなわち、xu,Va(n)=xu((n+round(vaNcs)) mod Nzc)を用いて類似の循環シフトを生成することができる。このような方法で循環シフトを生成する場合、基本概念は上述した通りである。ただし、式は下記のように変わる。
【0275】
まず、あらかじめ定義されたシフト位置を考慮しない制限循環シフトの場合(Case 1)を、上記と異なる式で説明すると、下記の通りである。
【0276】
この時、循環シフトのためのインデックスvは、式46のように表現される。
【0277】
【数81】
【0278】
【数82】
【0279】
【数83】
【0280】
【数84】
【0281】
次に、あらかじめ定義されたシフト位置を考慮する制限循環シフトの場合(Case 2)を、上記と異なる式で説明すると、下記の通りである。
【0282】
この時、循環シフトのためのインデックスvは、式47で表現される。
【0283】
【数85】
【0284】
【数86】
【0285】
【数87】
【0286】
【数88】
【0287】
上述したように、本発明の一実施形態によると、CAZACシーケンスを用いて循環シフトされたシーケンスを具現する時、周波数オフセットやタイミングオフセットによるシフトの曖昧さ(shift ambiguity)を除去できる循環シフトセット(cyclic shift set)を定義することができる。また、本発明の一実施形態によると、同期されていないチャネルに接近する時は、周波数オフセットやタイミングオフセットが合わない状態であるから、このようなチャネルを強化することができ、パルス成形フィルタ(pulse shaping filter)の影響範囲によって、1次(first order)だけでなく、2次(second order)やより高い次数(higher order)の干渉まで考慮した循環シフトセットを定義することができる。
【0288】
本発明の好ましい実施形態についての詳細な説明は、当業者が本発明を具現して実施できるように提供された。以上では本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、該当技術分野における熟練した当業者は、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を逸脱しないで本発明を様々に修正及び変更することができるということを理解する。したがって、本発明は、ここに開示された実施形態に制限されるものではなく、ここに開示された原理及び新規な特徴と一致する最も広い範囲を含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0289】
上記記載から明らかなように、本発明は、シーケンスを生成するドメインの種類に関係なくチャネル遅延拡散または電波遅延により受信信号がシフトされたとしても、受信シーケンスのチャネルチャネル応答及びこの受信シーケンスのエイリアス位置を考慮することによって特定位置で重なりのない循環シフト(CS)区間を容易に設定することができる。
【0290】
また、循環シフト(CS)が、所定のレベルを越える周波数オフセットを有するセルに割り当てられる場合、本発明は、高移動性セルの周波数オフセットの影響を最小にすることができる。
【0291】
本発明は、周波数オフセット問題を解決するためのCAZACシーケンスの特性を考慮して各セルにシーケンスを割り当てる方法及びこれに適用する循環シフトを設定する方法に関するもので、無線通信システム、特に、端末と基地局に適用することができる。
【0292】
本発明の好ましい実施形態を説明のために開示したが、当業者は、添付した特許請求の範囲に開示した本発明の範囲を逸脱しないで本発明を様々に修正及び変更することができるということを理解する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムにおけるシーケンスに関し、特に、周波数オフセット問題を解決するためにCAZACシーケンスの特性を考慮して循環シフト(cyclic shift)を設定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CAZAC(Constant Amplitude Zero Auto-Correlation)シーケンス(sequence)は、現在、3GPP LTEでその活用が活発に論議されているシーケンスの一つである。このようなCAZACシーケンスを用いてチャネルは各種IDや情報を抽出することができる。それらのチャネルには、ダウンリンクの同期のための同期チャネル(例えば、primary-SCH、secondary-SCH、BCH)、アップリンクの同期のための同期チャネル(例えば、RACH)、パイロットチャネル(例えば、データパイロット、チャネル品質パイロット)などがある。また、上記のCAZACシーケンスをスクランブリング(scrambling)にも使用することができる。
【0003】
CAZACシーケンスの利用方法に関しては、ルートインデックス(root index)を他のものに替えて使用する方法と、一つのルートシーケンスを循環シフトして使用する方法の2種類が主として論議される。ルートインデックスを他のものに変えて使用する場合は、現在のルートインデックスと新しいルートインデックスとの間に小さな相互相関(cross-correlation)が生じるが、シーケンス使用の設計には制約とならない。しかし、循環シフトの場合は、現在のルートインデックスと新しいルートインデックスとの間の相互相関がゼロである特徴を持っているから、二つのルートインデックスの各々は、高い除去比(rejection ratio)を要求する場合に利用される。特に、同じセル内で同じ時間−周波数資源を共有してデータ/制御信号を伝送する時に、二つのルートインデックスが、互いに異なる信号/UEを区分するのに用いられる。
【0004】
CAZACシーケンス(sequence)の一つであるZadoff-Chu(以下、‘ZC’という。)シーケンスは、下記のように定義される。
【0005】
【数1】
【0006】
ここで、nはサンプリングインデックスを表し、NzcはZCシーケンスの長さを表し、uは、ZCシーケンスのインデックスを表す。
【0007】
ところが、CAZACシーケンスをOFDM方式で伝送する場合のように、周波数軸に対してオフセットが発生しうる場合には、性能、誤警報またはスループットが著しく悪化する可能性がある。
【0008】
特に、CAZACシーケンスに循環シフトを適用する場合、周波数オフセットまたはタイミングオフセットが著しく生じるため、シーケンス区分が難しくなるという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は、従来の制約及び不都合による一つ以上の問題を十分に取り除く、周波数オフセットを考慮して循環シフトを設定する方法を対象とする。
【0010】
本発明が達成しようとする技術的課題は、周波数オフセットが発生する状況で、シーケンス、(例えば、CAZACシーケンス)の性能劣化を簡単な方法で防止することができる、周波数オフセットに対する循環シフト(CS)設定方法を提供することにある。
【0011】
本発明の他の利点、目的及び特徴は、以下の記載で幾分説明され、当業者に幾分理解される。本発明の目的及び他の利点は、明細書、特許請求の範囲及び図面で特に指摘された構造によって実現され及び達成される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これらの課題と他の利点を達成するために及び本発明の目的に応じて、実施され且つここに広く開示されるように、所定値より大きい高ドップラー周波数の影響に対して、所定のシーケンスに適用される循環シフトを設定する方法が提供される。
【0013】
この方法は、所定のシーケンスのルートインデックス(u)を用いて、1サブキャリア間隔のドップラーシフトに該当する循環シフトの第1の変数(du)を獲得する段階と、
第1の変数(du)を用いて、所定のシーケンスに含まれるグループの個数(G)、各グループの長さ(S)、グループごとの循環シフトの個数(P)を含む第2の変数を獲得する段階と、
第2の次変数に従って、所定のシーケンスに適用される循環シフトを設定する段階と、を含む構成とした。
【0014】
好ましくは、第2の変数は、グループにかかわらずに所定のシーケンスに適用可能な追加の循環シフトの個数(R)をさらに含む。
【0015】
好ましくは、所定のシーケンスはZadoff-Chu(ZC)シーケンスであり、
第1の変数は、
【数2】
によって獲得される。
【0016】
なお、この場合、前記第2の変数は、第1の変数(du)の範囲によって異なって獲得され、第1の変数の範囲は、所定のシーケンス長の1/3に該当する基準(Nzc/3)によって区分される。
【0017】
【数3】
【0018】
【数4】
【0019】
そして、好ましくは、前記循環シフト(Cv)の設定は、
【数5】
の式として行なわれる。
【0020】
所定のシーケンスは、ランダムアクセスプリアンブルを生成するためのものでありうる。
【0021】
本発明の他の態様は、所定のシーケンスに適用される循環シフトを設定する方法であって、
循環シフトが、ドップラーシフトにより制限される制限セットによって設定されるか否かを決定する段階と、
循環シフトが制限セットによって設定されると決定されると、1サブキャリア間隔のドップラーシフトに該当する循環シフトを考慮して、所定のシーケンスに適用される循環シフトを設定する段階と、
を含む方法を提供する。
【0022】
好ましくは、前記循環シフトが前記制限セットによって設定されると決定されると、所定のシーケンスに適用される循環シフトを設定する段階は、
所定のルートインデックス(u)を用いて、1サブキャリア間隔のドップラーシフトに該当する循環シフトを表す第1の変数(du)を獲得する段階と、
第1の変数(du)を用いて、所定のシーケンスに含まれるグループの個数(G)、各グループの長さ(S)、各グループごとの循環シフトの個数(P)、及びグループにかかわらずに所定のシーケンスに適用可能な追加の循環シフトの個数(R)を含む第2の変数を獲得する段階と、
第2の変数によって所定のシーケンスに適用される循環シフトを設定する段階と、を含むことができる。
【0023】
好ましくは、所定のシーケンスはZadoff-Chu(ZC)シーケンスであり、
第1の変数は、
【数6】
によって獲得される。
【0024】
そして、第2の変数は、第1の変数(du)の範囲に従って別に獲得され、第1の変数の範囲は、所定のシーケンス長の1/3に該当する基準(Nzc/3)によって区分される。
【0025】
【数7】
【0026】
【数8】
【0027】
好ましくは、前記循環シフト(Cv)は、
【数9】
として行われる。
【0028】
そして、所定のシーケンスは、ランダムアクセスプリアンブルを生成するためのものでありうる。
【0029】
本発明の他の態様は、所定のシーケンスに適用される循環シフトを設定する方法であって、
(a)
【数10】
によって変数duを獲得する段階と、
(b)
【数11】
(c)前記循環シフト(Cv)を、
【数12】
によって設定する段階と、を含むことができる。
【0030】
本発明の他の態様は、循環シフトを用いてランダムアクセスプリアンブルを伝送する方法であって、
ランダムアクセスプリアンブルのためのシーケンスのルートインデックス(u)をシステム情報から獲得する段階と、
シーケンスに適用される循環シフトを設定する段階であって、循環シフトが、ドップラーシフトにより制限される制限セットによって設定されると決定されると、シーケンスに適用される循環シフトは、1サブキャリア間隔のドップラーシフトに該当する循環シフトを考慮して設定される段階と、
設定された循環シフトを用いて、ルートインデックス(u)に、従ってシーケンスを生成する段階と、
循環シフトを有するシーケンスをランダムアクセスプリアンブルとして伝送する段階と、を含むことができる。
【0031】
好ましくは、循環シフトが制限セットによって設定されると決定されると、シーケンスに適用される循環シフトを設定する段階は、
所定のルートインデックス(u)を用いて、1サブキャリア間隔のドップラーシフトに該当する循環シフトを表す第1の変数(du)を獲得する段階と、
第1の変数(du)を用いて、シーケンスに含まれるグループの個数(G)、各グループの長さ(S)、グループごとの循環シフトの個数(P)、及びグループにかかわらずにシーケンスに適用可能な追加の循環シフトの個数(R)を含む第2の変数を獲得する段階と、
第2の変数によってシーケンスに適用される循環シフトを設定する段階と、
を含むことができる。
【0032】
好ましくは、この場合、所定のシーケンスはZadoff-Chu(ZC)シーケンスであり、
第1の変数は、
【数13】
によって獲得される。
【0033】
好ましくは、第2の変数は、第1の変数(du)の範囲に従って別に獲得され、第1の変数の範囲は、所定のシーケンス長の1/3に該当する基準(Nzc/3)によって区分される。
【0034】
【数14】
【0035】
【数15】
【0036】
そして、好ましくは、循環シフト(Cv)は、
【数16】
の式として行なわれる。
【0037】
本発明に係る以上の説明及び下記の詳細な説明はいずれも例示的且つ説明的なもので、請求される本発明のさらなる説明を提供するためのものである。
【発明の効果】
【0038】
本発明の一実施形態によると、シーケンスが生成されるドメインのカテゴリーに関係なく受信信号がチャネル遅延拡散及び電波遅延によってシフトされても、受信シーケンスのチャネル応答及びこの受信シーケンスのエイリアスの位置を考慮して互いに重ならない位置に簡単な方法で循環シフト適用区間を設定することによって、検出誤り及び誤警報率を大きく減少させることができ、周波数オフセットが所定レベル以上であるセルに、循環シフトのシーケンスを割り当てる場合、本発明は、高移動性セルにおいて周波数オフセットの影響を最小化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】シーケンスがサブキャリアにマッピングされる時に、周波数領域におけるパルス成形による周波数オフセットの影響を説明するための図である。
【図2】複数のセルに存在する相異なる周波数オフセット状況を説明するための図である。
【図3】シーケンスがCAZACシーケンスである場合のシーケンス割当方法を説明するための図である。
【図4】周波数オフセットによって受信シーケンスの時間領域チャネル応答にエイリアスが発生する現象を示す図である。
【図5】循環シフト適用単位に追加マージンを加えて循環シフト適用単位を設定する方法を示す図である。
【図6】シーケンスインデックスが小さい場合に図5の追加のマージンを適用する例を示す図である。
【図7】シーケンスインデックスが小さい場合に図5の追加のマージンを適用する例を示す図である。
【図8】シーケンスインデックスが大きい場合に図5の追加のマージンを適用する例を示す図である。
【図9】シーケンスインデックスが大きい場合に図5の追加のマージンを適用する例を示す図である。
【図10】P個の循環シフトセットで構成される一つのグループの例を示す図である。
【図11】循環シフト適用グループと各グループ内で循環シフト適用区間を設定する方法を示す図である。
【図12】N/3〜N/2区間にCAZACインデックスが属するようになる場合、干渉によりパルスが発生する位置を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態によって制限循環シフトセット(restricted cyclic shift set)を設定する方法を示すフローチャートである。
【図14】本発明の一実施形態によって制限循環シフトセットを設定する場合、1サブキャリア間隔(subcarrier spacing)のドップラーシフト(Doppler shift)に対応する循環シフト(cyclic shift)に該当する変数duを設定する方法を説明するための図である。
【図15】変数duが、循環シフトを適用する基本単位であるNcsよりも小さい場合を示す図である。
【図16】NCS≦du<(NZC/3)の区間で循環シフト設定のための変数を求める方法を説明するための図である。
【図17】(NZC/3)≦du<(NZC - NCS)/2の区間で循環シフト設定のための変数を求める方法を説明するための図である。
【図18】Nzc=839、Ncs=100、du=155の場合に、エイリアス応答(alias response)によってZCZプリアンブルシーケンスの数がどのように減るかを示す図である。
【図19】Nzc=839、Ncs=100、du=155の場合に、エイリアス応答(alias response)によってZCZプリアンブルシーケンスの数がどのように減るかを示す図である。
【図20】Nzc=839の場合に、循環シフトの開始位置に対する制約を除去することによる利用可能な制限循環シフトの増加率を示す図である。
【図21】Nzc=839、Ncs=40、du=150の場合における、本発明の一実施形態による循環シフトを示す図である。
【図22】Nzc=839、Ncs=40、du=399の場合における、本発明の一実施形態による循環シフトを示す図である。
【図23】Nzc=839、Ncs=40、du=150の場合における、本発明の他の実施形態による循環シフトを示す図である。
【図24】Nzc=839、Ncs=40、du=399の場合における、本発明の他の実施形態による循環シフトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の好適な実施形態を、添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。添付の図面と共に以下に開示される詳細な説明は、本発明の例示的な実施形態を説明するためのもので、本発明が実施されうる唯一の実施形態を表すためのものではない。
【0041】
以下の詳細な説明は、本発明の完全な理解を提供するために具体的な細部事項を含む。しかし、当業者は、本発明がこのような具体的な細部事項なしにも実施されうるということを理解する。場合によっては、本発明の概念が曖昧になるのを避けるために公知の構造及び装置を省略したり、各構造及び装置の核心機能を中心にしたブロック図の形式で示すことができる。本明細書全体において同一の構成要素には同一の図面符号を付して説明する。
【0042】
上述した通り、本発明は、周波数オフセットが発生する状況で、シーケンス、特にCAZACシーケンスの性能劣化を簡単な方法で防止することができる、周波数オフセットに対する循環シフト設定方法を提供することを目的とする。そのため、CAZACシーケンスに循環シフトを適用する方式及びこのようなCAZACシーケンスの周波数オフセットによる影響について具体的に説明する。
【0043】
CAZACシーケンスに循環シフトを適用する方式には、下記のようにシーケンス自体を循環シフトさせる方式と、時間領域または周波数領域シーケンスに他の領域の指数関数を乗じて循環シフトさせる方式の2通りの方式がある。
【0044】
周波数領域でkの周波数インデックスにdの循環シフトが適用され、Mのシーケンスインデックス及びN長さを持つシーケンスをc(k;d,M,N)と表す時、シーケンス自体を循環シフトさせる方式は、下記のように示すことができる。
【0045】
【数17】
【0046】
ここで、dは、適用する循環シフトの量を表し、‘mod’は、モジューラ演算子を表す。
【0047】
また、シーケンスに指数関数を乗じて循環シフトを適用する方式を、下記のように示すことができる。
【0048】
【数18】
【0049】
一方、上記の式2及び式3は、循環シフトを周波数領域で適用する例を示しているが、循環シフトを、下記のように、時間領域において時間領域シーケンスサンプリングインデックスnに適用することもでき、この場合、循環シフトが適用される形態を、下記のように示すことができる。
【0050】
【数19】
【0051】
ここで、Cvは循環シフトの度合を表し、nはサンプリングインデックスを表し、NzcはZCシーケンスの長さを表し、uは、ZCシーケンスのインデックスを表す。
【0052】
このように、CAZACシーケンスを、異なるルートインデックスが用いられるという条件の下で互いに区別することができるが、これらのCAZACシーケンス間には相互相関(cross-correlation)の差が発生することに注目すべきである。
【0053】
しかし、少なくとも二つのCAZACシーケンスに循環シフトが適用される場合には、これらCAZACシーケンス間の相互相関値は0であるから、これらのCAZACシーケンスは、二つのCAZACシーケンスに高い除去比(rejection ratio)が要求される場合に用いられる。
【0054】
特に、循環シフトを適用したCAZACシーケンスを、同じセル内で同じ時間−周波数資源を共有してデータ/制御信号を伝送する時、相異なる信号/UEを区別する用途に用いることができる。
【0055】
しかし、このCAZACシーケンスをOFDM方式で伝送する場合のように周波数軸に対してオフセット(frequency offset)が発生しうるときには、急激な性能劣化及び誤警報率を招く恐れがある。
【0056】
以下の説明では、シーケンスを周波数領域で伝送すると仮定し、OFDM伝送を用いる例に上げて説明する。
【0057】
図1は、シーケンスがサブキャリアにマッピングされる時、周波数領域におけるパルス成形による周波数オフセットの影響を説明するための図である。
【0058】
図1に示すように、シーケンスサンプルはサブキャリアにそれぞれマッピングされる。受信端が“干渉”(Interference)の位置で表示されるように周波数オフセットに起因する信号サンプリングを行うと、一つのサンプルには隣接サブキャリアの信号が混合される。すなわち、パルス成形(pulse shaping)関数をp(x)とすれば、任意のサブキャリアにおける応答は、下記のように与えられる。
【0059】
【数20】
【0060】
ここで、r(k,foff)は、周波数オフセットがfoffである場合のk番目のサブキャリア位置における受信周波数応答を表し、c(n)は、ユーザ装置(UE)側でサブキャリアにマッピングされたCAZACシーケンスを表し、p(f)は、周波数領域におけるパルス成形関数を表し、ωoはサブキャリア間隔を表す。
【0061】
もし、foff=0なら、通常、上の式5において値はc(k)値のみ出る。しかし、foff≠0なら、隣接サブキャリアの信号が受信に入ることとなり、これにより性能劣化が生じてしまう。このような周波数オフセットによる性能劣化としては、主に、受信端の検出誤り率及び/または誤警報率(false alarm rate)が増加することにある。
【0062】
特に、循環シフトを時間領域で適用し、CAZACシーケンスを周波数領域で送信する場合に、シーケンスの区別ができない場合が生じうる。このような問題は、CAZACシーケンスが時間領域内でタイミングオフセット(timing offset)の形態で送信されるときにも生じうる。すなわち、周波数オフセットやタイミングオフセットが発生すると、循環シフトを利用する方式は性能劣化に直面せざるを得ない。また、このような周波数オフセットの影響は、循環シフトを上記の式4のように時間領域で適用する場合にも同様に現れる。
【0063】
したがって、このように周波数オフセットが発生する状況で、シーケンス、(すなわち、CAZACシーケンス)の性能劣化を防止できる技術が要求されている。特に、CAZACシーケンスに循環シフトを適用する場合、周波数オフセットまたはタイミングオフセットの度合が過度になり、例えば、該オフセットが一つのサブキャリア間隔の半分以上である時、シーケンス間の区別がし難くなるという問題などを解決する必要がある。
【0064】
ただし、このような周波数オフセットの度合またはドップラーシフトの度合は、セルラー移動通信システムにおいて各セルごとに異なる。
【0065】
したがって、本発明の一実施形態では、このように各セルの周波数オフセットの度合によって相異なる循環シフト設定方法を提案し、これについて具体的に説明すると、下記の通りである。
【0066】
図2は、複数のセルに存在する相異なる周波数オフセット状況を説明するための図である。
【0067】
複数のセルを含むセルラー移動通信システムにおいて、例えば、高速で移動するUEが多いセルは、当該セル内の周波数オフセットの度合が高いものと見ることができ、住居地域などを含むセルは、当該セル内のUEが総じて低速UEである確率が大きいので、セル内の周波数オフセットの度合が大きくないものと見なされる。
【0068】
具体的には、図2は、高速鉄道に近接したセルA、セルBと、このような高速鉄道から遠く離れたセルCを一例として示している。高速鉄道に近接したセルA、セルBの場合、当該セル内に高速UEを多数含む確率が高いので、シーケンス割当において周波数オフセットに強いシーケンスを割り当てることが有利である。また、高速鉄道から遠く離れた、例えば、住居地域に近接しているセルCの場合、当該セル内に高速UEを含む確率が高くないので、周波数オフセットに強いシーケンスのみを割り当てる必要はない。
【0069】
一方、利用可能なシーケンス(例えば、CAZACシーケンス)の場合、各シーケンスのルートインデックスによる第1のシーケンスと第1のシーケンスに循環シフトを適用した第2のシーケンスは、互いに異なる周波数オフセット特性を有する。
【0070】
したがって、本発明では、ドップラーシフトによる影響の度合が所定の臨界値より大きいために循環シフト適用区間設定時に特定制約を持つ場合を「制限ケース(restricted case)」とし、ドップラーシフトによる影響の度合が所定の臨界値以下であるために循環シフト区間設定に制約がない場合を「無制限ケース(unrestricted case)」とし、それぞれの場合に対する循環シフト設定方法を提案する。
【0071】
以下、このような観点で循環シフトを設定する方法について説明する。
【0072】
図3は、シーケンスがCAZACシーケンスである場合におけるシーケンス割当方法を説明するための図である。
【0073】
CAZACシーケンスは、ルートCAZACインデックスのそれぞれのルートシーケンスと、各ルートシーケンスにそれぞれ異なる循環シフト(Circular shift:“CS”ともいう。)を適用したZCZ(Zero Correlation Zone)シーケンスとを含むことができる。具体的に、図3は、Nt個のルートインデックスのそれぞれに対するルートシーケンスと、それぞれのルートシーケンスにL個の相異なる循環シフトを適用したZCZシーケンスセットとを示す。ここで、ZCZは、基地局でRACH信号の区別が可能となるようにCSを適用できる循環シフト適用区間を意味する。
【0074】
一方、周波数オフセットがある状況でCAZACシーケンスを使用する場合、周波数オフセットの存在によってZCZシーケンス間の区別が難しいという不具合がある。したがって、周波数オフセットが所定レベル以上とあらかじめ決定されたセルではZCZシーケンスを使用しないことが考えられる。このように各セルの周波数オフセットの度合を判定するのに用いられるしきい値を、該当のシステムの使用可能なシーケンスの数及び各セルの周波数オフセット度合によって適切に決定することができる。また、周波数オフセットが所定レベル以上とあらかじめ決定されたセルを、例えば、図2のセルA、セルBのように高速UEが存在する確率が大きいセルとすることができる。
【0075】
ただし、このように周波数オフセットが所定レベル以上と決定されたセル内でZCZシーケンスを使用しないように設定する場合には、CAZACインデックスによるNt個のインデックスのみを使用することができるため、使用可能なシーケンスの数が減少する。シーケンス再使用率が小さくなる場合、セル計画を通じてシーケンスを割り当てる必要があるが、これは、各セルへのシーケンス割当において複雑さを増加させる原因になりうる。そこで、このように利用可能なシーケンスの数が問題となる場合、他の解決方案が要求される。
【0076】
さらに、Nt個のシーケンスのみを使用し、ZCZシーケンスを使用しない場合、シーケンスの検出性能を向上させる間に往復遅延又は片道遅延を見積もる問題が生じうる。すなわち、往復遅延又は片道遅延のために変動する相関ピークの位置と周波数オフセットにために変動する相関ピークの位置とを区別する問題が生じうる。したがって、他の解決方法が、この問題に対して更に要求される。
【0077】
一方、上述したように、周波数オフセットによってZCZシーケンス間の区別ができない問題は、CAZACインデックスが非常に大きいまたは非常に小さい場合以外は深刻になる。具体的には、上述したように、kが周波数軸インデックスを表し、NがCAZACシーケンス長を表し、MがCAZACインデックスを表し、送信信号をc(k,N,M)とする場合、受信信号R(k,N,M)を、下記のように示すことができる。
【0078】
【数21】
【0079】
ここで、dは、周波数オフセットによる周波数領域遅延量を表す。
【0080】
上記の式6からわかるように、CAZACインデックスMが非常に小さい値を持つか、全体でNt個のシーケンスインデックスの中で最も大きい値を持つ場合には、周波数オフセットによる指数関数の影響が小さくなり、受信信号において周波数オフセットによる影響が減少することがわかる。
【0081】
周波数オフセットが所定レベル以上であると決定されたセルにCAZACシーケンスを割り当てる場合、ルートシーケンスのみを割り当てる。ルートシーケンスだけではシーケンスの個数が足りず、ZCZ CAZACシーケンスを利用する場合には、CAZACシーケンスは、全体インデックスにおいて最初の所定範囲以内または最後の所定範囲以内であるシーケンスを用いることができる。ここで、所定範囲を、システムの検出性能によって異なって設定することができる。
【0082】
このような方式によると、周波数オフセットの高いセルではZCZシーケンスを使用しないように設定する方法に比べて、使用可能なシーケンスの種類が増加し、よって、殆どセル設計を行なう必要がないという長所を有する。
【0083】
具体的には、図3に示すように、合計のCAZACインデックスがNtまで存在する場合、周波数オフセットの高いセルで使用するシーケンスを、CAZACインデックス0、1、2とNt−2、Nt−1及びNtとすることができる。
【0084】
一方、周波数オフセットが所定レベル未満であるセルのためのCAZACシーケンスでは、CAZACインデックスが0、1、2とNt−2、Nt−1及びNtであるインデックス以外のインデックスのみを使用する必要はない。CAZACシーケンスと周波数オフセットの高いセルで利用されるシーケンスとの間の干渉を減少するために、周波数オフセットの高いセルで利用されるシーケンスインデックスを使用しないほうがより好ましい。
【0085】
一方、本発明の一実施形態では、上述したように周波数オフセットの高いセルにも使用可能なシーケンスの個数確保及び/またはチャネルに生じた時間遅延の見積りの性能の保証のためにZCZシーケンスを使用する場合、このような制限ケース(restricted case)に対して周波数オフセットによるエイリアス(alias)、すなわちドップラーシフトを考慮して循環シフト適用区間を設定することによって、周波数オフセットによる性能劣化を防止できる。これについて具体的に説明すると、下記の通りである。
【0086】
周波数オフセットがある場合、受信信号の周波数応答は、上記の式6のように示すことができる。
【0087】
一方、上記の式6は、信号値が周波数オフセットに起因する全ての隣接サブキャリアから移されることを示すが、実質的に受信信号のチャネル応答に比較的大きい影響を及ぼす成分を、対応するサブキャリアの両側に位置する部分に設定することができ、この部分は、隣接サブキャリアの信号を受信する。したがって、このような1次成分のみを考慮する場合(first order case)、上記の式6を、下記のように3つの項で表すことができる。
【0088】
【数22】
【0089】
一方、受信側では上記受信信号にシーケンスc(n)の共役複素数を適用し、これによって、結果を下記のように示すことができる。
【0090】
【数23】
【0091】
【数24】
【0092】
式8で、受信信号のチャネル応答は、時間領域でターゲット位置(target position)t、左側にシフトされた位置t−M、及び右側にシフトされた位置t+Mの3箇所に現れることがわかり、左右側からMずつシフトされた位置に現れるチャネル応答は、受信信号のエイリアス、すなわち1サブキャリア分の間隔(spacing)を持つドップラーシフト成分に該当することがわかる。
【0093】
このように周波数オフセットによってチャネル応答にエイリアスが発生する現象を、図4に示す。
【0094】
図4は、周波数オフセットによって受信シーケンスの時間領域チャネル応答にエイリアスが発生する現象を示す図である。
【0095】
周波数オフセットが所定レベル以上であるセルで利用されるシーケンスに循環シフトを適用する場合、当該シーケンスの受信チャネル応答には、図4に示すようにターゲット位置の他に、1サブキャリア大きさのドップラーシフトによって2個のエイリアスが追加的に発生することがある。したがって、循環シフトを適用する区間をこのようなターゲット位置とエイリアスの位置を考慮せずに設定する場合、チャネル遅延拡散及び電波遅延などによって受信シーケンス自体のチャネル応答とエイリアス間に予測しなかった重複が発生し、相異なる循環シフトを適用したシーケンス間においてターゲット位置とエイリアスの位置間の混同が発生する可能性がある。
【0096】
したがって、本発明の一実施形態では、CAZACシーケンスに循環シフトを適用する区間を設定する時に、制限ケースに対しては、上述したように、チャネル応答で発生するエイリアスを考慮して、受信シーケンスのチャネル応答とそのエイリアス間に位置が重ならない区間で循環シフト適用区間を設定することを提案する。図4は、循環シフトが周波数領域で適用される場合に、シーケンスインデックスMの大きさでエイリアスが発生する例を示しているが、循環シフトを時間領域で適用する場合には、1サブキャリア間隔のドップラーシフトによるエイリアスが発生する位置を、これと異なる方法で決定することができる。以下では、まず、循環シフトが各領域で適用される全ての場合について詳細に説明する。
【0097】
図5〜図11では、循環シフト単位がT0である場合を基準に説明する。
【0098】
図5は、循環シフト適用単位に追加的なマージンを加えて循環シフト適用単位を設定する方法を示す図である。
【0099】
本発明は、RACH成分に基づく設計に従って、循環シフトされたプリアンブル(preamble)を生成する。しかし、OFDMで周波数オフセット(frequency offset)が存在する環境では、受信端で正常なシーケンスを他のシーケンスと誤認しやすい。
【0100】
上記問題を防止するために、本発明は、図5に示すように追加の循環シフトマージン(margin)を用いることができる。
【0101】
図5で、遅延拡散はチャネルの遅延拡散を表し、往復遅延時間はユーザ装置、(UE)と基地局間の物理的距離の伝播時間を表す。追加の循環シフトマージンを用いる場合には、シーケンス別にマージンの大きさを調節し、シーケンスの使用において周波数オフセットによる影響を減少させることができる。
【0102】
追加マージンを用いて周波数オフセットを具現しようとする場合、循環シフトの単位はCAZACシーケンスの関数で定められる。すなわち、CAZACインデックスMに対して、循環シフトの単位は式9で示される。
【0103】
【数25】
【0104】
ここで、T0は、シーケンスインデックスに関係なく適用される共通循環シフト単位であり、Tmargin(M)は、シーケンスインデックスがMである場合に適用される追加マージンである。このマージンを、シーケンスと循環シフトの使用によって別の方法によって定めることができる。したがって、本実施形態において循環シフト単位は少なくとも2Mとなることが好ましいか、この追加マージンは、循環シフトが適用される領域によって異なることができる。このような状況が、図6及び図7に示されている。
【0105】
図6及び図7は、シーケンスインデックスが小さい場合に図5の追加マージンを適用する例を示す図である。
【0106】
図6及び図7で、右側のハッチング部分は、循環シフト機会(Cyclic shift opportunity)を表す。
【0107】
周波数オフセットの影響がない信号の位置がtにあるとすれば、周波数オフセットの影響を受けたパルスは、その左右に1箇所ずつ発生することができ、基本的な循環シフト単位であるT0を含むと、Tmargin(M)=2Mであることがわかる。
【0108】
このような方式で全てのインデックスに対して追加マージンを適用することによって、周波数オフセット/タイミングオフセット(timing offset)に強い循環シフトを定義することができる。しかし、シーケンスインデックスが大きくなるにつれてTmargin(M)も大きくなり、その結果、使用可能な循環シフトは1個に減るという状況が発生しうる。したがって、このように使用可能な循環シフトが減るのを防止するために、本発明は、CAZACインデックスが大きい場合については詳細に開示する。
【0109】
図8及び図9は、シーケンスインデックスが大きい場合に図5の追加マージンを適用する例を示す図である。
【0110】
図8は、CAZACインデックスMが2T0乃至3T0の場合を示し、図9は、CAZACインデックスMが3T0乃至4T0の場合を示す。図8の場合は、基本循環シフト単位を考慮しても、中間に空間が残り、追加の循環シフトセット(ハッチング部分)をさらに入れることができる。図9の場合は、空間がさらに広く、よって、少なくとも2個の追加の循環シフトを入ることができる。
【0111】
図10は、P個の循環シフトセットで構成される一つのグループの例を示す図である。
【0112】
上記の説明を一般化すると、図10のようにパルスでブロックが作られる範囲、すなわち、ハッチング部分のようにスロット(slot)が3M範囲内に定義され、Mの範囲がPT0乃至(P+1)T0の場合に、合計P個の循環シフトセットが作られることがわかる。以下、本発明に関する説明においてこのような3Mの単位を“循環シフトグループ”と称する。すなわち、本発明において循環シフトを適用する特定シーケンスは、所定の個数の循環シフトグループを含み、各循環シフトグループ内には、ドップラーシフトによる循環シフト成分と重ならないように設定された所定個数の循環シフトを適用することができる。
【0113】
図11は、循環シフト適用グループと各グループ内で循環シフト適用区間を設定する方法を示す図である。
【0114】
図11に示すように、全体シーケンスに対して循環シフトグループの単位を定義することができ、それぞれの循環シフトグループを、図10のように定義することができる。循環シフトグループの数がGであり、各グループ当たりの循環シフトの数がPである時、使用可能な循環シフトの総個数はP*Gとなることがわかる。本発明の一実施形態では、図11に示すように、シーケンスをグループに分け、各グループ内で利用可能な制限循環シフトを見つけることを前提とする。
【0115】
このような方法によると、循環シフトグループが1個となるインデックスまでは使用可能な循環シフトが全て定義される。シーケンスの長さがNの時、この範囲は、1〜N/3と2N/3〜N−1までのインデックスである。ここで、k番目のインデックスは、N−k番目のインデックスと同じ循環シフトグループと循環シフトセットを有する。
【0116】
図12は、N/3〜N/2区間にCAZACインデックスが属するようになる場合、干渉によってパルスが発生する位置を示す図である。
【0117】
図12の一つの四角形は、循環シフトの単位を表す。図12に示すように、CAZACインデックスがN/3を超えると、連続した循環シフト位置(すなわち、Toで定義された循環シフト位置)を全て使用することはできず、一定の規則にしたがって使用することができる。
【0118】
本発明の一実施形態によって制限循環シフトセットを設定する方法について説明すると、下記の通りである。
【0119】
図13は、本発明の一実施形態によって制限循環シフトセットを設定する方法を示すフローチャートである。
【0120】
図13を参照すると、周波数オフセットが所定のしきい値以上であるセルで制限循環シフトセットを設定する場合、所望のチャネル応答とこのエイリアス間に混同がないようにエイリアスを考慮して循環シフトを設定することを提案する。このために、図13の段階S1301では、ドップラーシフトにより発生する応答と所望のチャネル応答間の距離、言い換えると、1サブキャリア間隔のドップラーシフトにより発生する循環シフトに該当する距離duを、与えられたシーケンスのインデックスuを用いて獲得することを提案する。
【0121】
変数duについてより詳細に説明すると、下記の通りである。
【0122】
図14は、本発明の一実施形態によって制限循環シフトセットを設定する場合、1サブキャリア間隔のドップラーシフトに対応する循環シフトに該当する変数duを説明するための図である。
【0123】
まず、図14の(a)を参照すると、ドップラー周波数(Doppler frequency)の影響がない場合、受信端の相関(correlation)演算によってピーク(peak)が現れる位置を、図面符号1401で表す。ただし、遅延拡散及び往復遅延時間によって、受信端におけるピークの位置は、基本的にシステムで定められる循環シフトの単位としてNcs内1402に現れる。
【0124】
【数26】
【0125】
本発明の一実施形態では、このように1サブキャリア間隔に該当するドップラーシフトに対応する循環シフトを考慮して制限循環シフトを設定する場合、本発明は、ドップラーシフトによるチャネル応答移動と重ならないように制限循環シフトを制御する。図14の(b)、(c)で“予約”(reserved)で表示された領域を循環シフト設定区間から除外することによって、比較的高いドップラーシフトが発生する場合にもチャネル応答間に予測しない混同が発生するのを防止することを提案する。
【0126】
再び図13を参照すると、段階S1302では、段階S1301で獲得した変数duを用いて第2の変数、すなわち、現在のシーケンス(例えば、ZCシーケンス)から循環シフトグループの個数(G)、各グループに適用されうる循環シフトの個数(P)及び各グループの長さ(S)を獲得する。第2の変数は、シーケンスのインデックスによってグループの長さが変わるので、シーケンスインデックス応じて異なるように設定されなければならない。また、変数duはシーケンスのインデックスに依存するので、変数duの範囲によって第2の変数を設定することを提案する。また、本発明の好ましい一実施形態では、グループに基づく循環シフトの他にも、シーケンス範囲内で循環シフトグループに含まれない特定の領域を用いて追加の循環シフトを適用することもできる。これについては後述する。
【0127】
その後、段階S1303では、段階S1302で獲得した第2の変数を用いて循環シフトを設定する。
【0128】
以下では、上述した実施形態を実施するために、循環シフト適用のための具体的な変数間の数学的な関係を詳細に説明する。
【0129】
本実施形態に適用される制限循環シフトは、ハイドップラー周波数効果(high doppler frequency effect)を防止するために提案された。以下の説明において、上記duとは異なる循環シフトオフセット(cyclic shift offset)Coffを詳細に説明する。このCoffは、ドップラーシフトにより発生するオフセットの度合を表す。ドップラーシフトにより発生するオフセットの度合が、所定のシーケンス範囲の半分以内である場合には、このオフセットの度合は、上記duと同じ意味を持つことができるが、オフセットの度合が、所定のシーケンス範囲を越える場合には、全体シーケンス長からCoffを減算した値が、duに該当することとなる。
【0130】
このようなCoffは、使用されたシーケンスのルートインデックスuに依存する。プリアンブルは、時間ドメイン(time domain)で生成されても良く、周波数ドメイン(frequency domain)で生成されても良いから、Coffとuの関係は、プリアンブルを生成するドメインに依存する。
【0131】
ZCシーケンスが周波数ドメインから生成され、循環シフトが時間ドメインに適用されると、Coffは、下記のように誘導される。
【0132】
ドップラー周波数(Doppler frequency)によって隣接サブキャリア(sub-carrier)から移された値によって信号エネルギーが広まると仮定する。そして、このとき、現在のサブキャリアから1間隔離間したサブキャリア位置でのみ隣接キャリアからの移動があると仮定し、このケースを第1の場合と称する。この場合、特定サブキャリアにおける受信信号は、次の式10のように3つの項で構成される。
【0133】
【数27】
【0134】
ここで、パルス成形(pulse shape)関数、すなわち、p(f)を、簡単に二乗余弦(raised cosine)やsinc関数で定義することができ、便宜のために定数c0、c-1、c1に設定すると、s(n)=c0c(n)+c-1c(n-1)+c1c(n+1)である。時にシーケンスの共役(conjugate)を結果的に得られた値S(n)に乗じると、下記の式11のようになる。
【0135】
【数28】
【0136】
式11において、c(n)=x(n)がCAZACによって表される時、c(n-1)c*(n)は、下記の式12のように与えられる。
【0137】
【数29】
【0138】
ここで、uは、ルートインデックスを表し、Nzcは、シーケンス長さを表す。したがって、式12を式11に適用すると、s(n)は、3つの信号で構成されることがわかる。S(n)値の第1項は、単純なDC成分、第2項は、周波数がM/Nである複素指数波形(complex exponential wave)、第3項は、周波数が−M/Nである複素指数波形であることがわかる。
【0139】
したがって、Coffは、ZCシーケンスのインデックスuによって、下記のように定義される。
【0140】
【数30】
【0141】
一方、ZCシーケンスが時間ドメインから生成され、循環シフトが時間ドメインで生成されるとすれば、Coffを以下の方法によって計算することができる。
【0142】
周波数オフセット無しで受信されたRACHプリアンブルをr(n)とすれば、周波数オフセットを有して受信されたRACH信号は、下記の通りである。
【0143】
【数31】
【0144】
【数32】
【0145】
【数33】
【0146】
【数34】
【0147】
【数35】
【0148】
【数36】
【0149】
【数37】
【0150】
式15と式16によりγ=1+Δf/fsとなる。チャネル応答位置をメインローブ(main lobe)といい、+/−のドップラー周波数の影響を受けたチャネルのエイリアス応答位置をサイドローブ(side lobe)という。すなわち、メインローブは0オフセットによる位置を表し、ドップラー周波数の影響がない時の正しいチャネル応答位置を表す。サイドローブのうち、+サイドローブは+オフセットによる位置を表し、+ドップラー周波数の影響を受けたエイリアスの応答位置に等しい。−サイドローブは、−オフセットによる位置を表し、−ドップラー周波数の影響を受けたエイリアスの応答位置に等しい。式16からわかるように、自己相関のピーク(peak)のメインローブはCoff,u=0あるいはCoff,u'=0で現れる。式16により、サイドローブの対は、下記の式17のような条件の下で現れる。
【0151】
【数38】
【0152】
したがって、u*Coff,u-m*Nzc=-1である。すなわち、Coff,u=(m*Nzc-1)/uである。ここで、mは、Coff,uを整数にすることができる最も小さい整数である。例えば、ZCシーケンスの長さが839であり、ルートインデックスが300である場合、mは59となり、Coff,uは165となる。
【0153】
時間領域で定義されたZCシーケンスを使用する場合、Coffは下記の式18のように定義される。
【0154】
【数39】
【0155】
式18において、mは、Coffを整数にすることができる最も小さい正の数であり、NzcはZCの長さである。全てのインデックスuは、Nzcに対して既に互いに素(relative prime)である。したがって、u*uinv=1 mod Nzcを満たす正の整数uinv=1/uが存在する。したがって、Coff,uを、下記の式19のように簡単に表現することができる。
【0156】
【数40】
【0157】
式19において、負の符号(−)は、正の符号(+)と逆でありしたがって、式20のように表される。
【0158】
【数41】
【0159】
要するに、周波数領域で定義されたCAZACシーケンスを使用する場合、CAZACシーケンスのインデックスuがそのままCoffになり、時間領域で定義されたCAZACシーケンスを使用する場合、CAZACシーケンスのインデックスuを1/u mod Nzcした値が、Coffとなる。
【0160】
周波数あるいは時間領域で定義されたZCシーケンスを使用する時、CoffとZCシーケンスの共役特性(conjugate property)を使用すると、メインローブとサイドローブ間の距離duは、下記の式21のように定義される。
【0161】
【数42】
【0162】
本発明による実施例では、制限循環シフトの設定において様々な方法を提案する。本発明による実施例では、固定された循環シフト位置(cyclic shift position)無しで制限循環シフトを設定する方法と、固定された循環シフト位置を有して制限循環シフトを設定する方法の2通りを提案する。第一の方法は、あらかじめ定義されたシフト位置を考慮しない制限循環シフト(Restricted Cyclic Shift without pre-defined shift position)と関連し、第二の方法は、あらかじめ定義されたシフト位置を考慮する制限循環シフト(Restricted Cyclic Shift with pre-defined shift position)と関連する。
【0163】
第一の方法と関連して、Va番目の制限循環シフトのシフト値(shift value)を直接利用する方法、例えば、シフト値CVaを求めて循環シフト区間を設定する方法がある。すなわち、循環シフトされたシーケンスは、上記の式4に表したように、xu,V(n) = xu((n+CVa) mod Nzc)となる。また、第一の方法と関連して、Va番目の制限循環シフトのための小数Vaを利用する方法、例えば、シフトインデックス小数Vaを求めて循環シフト区間を設定する方法がある。すなわち、循環シフトの長さをNcsとすれば、循環シフトされたシーケンスはxu,Va(n) = xu((n+round(vaNcs)) mod Nzc)になる。ここで、roundは、四捨五入関数を意味する。
【0164】
第二の方法と関連して、Va番目の制限循環シフトのための整数Vaを利用する方法、例えば、シフトインデックス整数Vaを求めて循環シフト区間を設定する方法がある。すなわち、循環シフトされたシーケンスは、xu,Va(n) = xu((n+vaNcs) mod Nzc)になる。
【0165】
一方、Ncsの倍数で循環シフトする場合、u番目のルートZCシーケンスに対して、相関が0の領域(Zero Correlation Zone;ZCZ)を有するランダムアクセス(random access)プリアンブルは、xu,v(n) = xu((n+vNcs) mod Nzc)のように定義される。このような定義は、高い周波数オフセット(high frequency offset)が問題とならない中低移動性セル(low/middle cell)に好適である。しかし、高移動性セルで制限循環シフトが用いられる時、上のような定義は不適切である。特に、使用可能なvの値は制限され、利用可能なZCZプリアンブルの数は、一般的な場合の1/3に減る。
【0166】
以下、上述した場合に対して、それぞれ本発明の一実施形態として説明する。
【0167】
最良の形態
本実施形態では、固定された循環シフト位置無しでドップラーシフトによる影響のみを考慮して制限循環シフトを設定する方法について説明する。
本実施形態では、CAZACシーケンスとして用いられるZCシーケンスを用いてプリアンブルを生成する場合を仮定する。
【0168】
下記の式22のduは、周波数ドメインでZCシーケンスを生成する場合を表す。
【0169】
【数43】
【0170】
時間ドメインでZCシーケンスを生成する場合、duは下記の式23で示される。
【0171】
【数44】
【0172】
ここで、mは、duを整数にすることができる最も小さい正の数であり、Nzcは、ZCの長さである。式23を、式24のように書き直すことができる。
【0173】
【数45】
【0174】
これにより、u番目のルートインデックスに対するv番目の循環シフトは、xu,V(n) = xu((n+CV) mod Nzc)のように定義される。ここで、一般的な循環シフトの場合、Cv=v*Ncsであり、制限循環シフトの場合、Cvは下記の式25により決定される。
【0175】
【数46】
【0176】
まず、あらかじめ定義されたシフト位置を考慮しない制限循環シフトの場合(Case 1)について説明すると、下記の通りである。
【0177】
相関が0である領域を持つu番目のルートZCシーケンス及びv番目のランダムアクセスプリアンブルは、xu,V(n)=xu((n+CV) mod Nzc)によって定義される。
【0178】
ここで、CVは、式25で示される。
【0179】
すなわち、ドップラーシフトによる影響が小さい無制限セット(unrestricted sets)の場合、基本循環シフト単位であるNcsの整数倍に該当する循環シフトを設定することができる。ただし、ドップラーシフトによる影響が大きい制限セット(restricted sets)の場合には、図13と関連して上述した通り、循環シフトグループの個数(G)、循環シフトグループ当たり適用可能な循環シフトの個数(P)、及び追加的な循環シフトの個数(R)を算定し、これによって循環シフトを設定することを提案する。
【0180】
第2の変数のそれぞれを算定する方式を、図13で上述した通り、duの範囲によって別々に決定することができる。
【0181】
【数47】
【0182】
【数48】
【0183】
以下、第2の変数を算定する具体的な原理について説明する。
【0184】
(1)du<NCS
図15は、duが循環シフトを適用する基本単位であるNcsよりも小さい場合を示す図である。
【0185】
循環シフトの単位であるNcsは、チャネルで発生しうる遅延拡散とRTDを考慮して設計される。
【0186】
したがって、duの大きさがNcsの大きさよりも小さい場合、Ncs範囲内で遅延拡散及び/またはRTDによるピークとドップラーシフトによるピークが重なることができる。したがって、本実施形態では、制限循環シフトを設定する時に、duの大きさがNcsの大きさよりも小さい場合に対しては循環シフトを設定しないことを提案する。
(2)NCS≦du < (NZC/3)
図16は、NCS≦du<(NZC/3)の区間で循環シフト設定のための変数を求める方法を説明するための図である。
【0187】
du<(NZC/3)の区間では、図16に示すように、意図した循環シフトの両側に与えられたシーケンス長の範囲内でドップラー周波数による循環シフト領域が現れる。本実施形態では、循環シフトの両側で現れるドップラー周波数による循環シフト領域を一つのグループにグルーピングすることができる。また、du範囲内でいくつのNcsに重ならずに適用可能かを計算し、各グループ内で適用可能な制限循環シフトの個数Pと設定することができる。すなわち、Pを、下記の式26のように決定することができる。
【0188】
【数49】
【0189】
一方、1グループ内の特定チャネル応答1601に対してドップラーシフトによるエイリアス1601a,1602bは、両側にduだけ離れた位置に発生することになる。また、グループ内にP個の循環シフトを適用する場合、チャネル応答1601を中心に左側領域に発生するエイリアスの位置はいずれもdu範囲内に存在するが、右側領域に発生するエイリアスは、チャネル応答1601を中心にdu範囲を越える領域に存在することもある。この時、右側領域に発生するP個のチャネル応答に対するエイリアスを全て考慮する場合、その長さはP・NCS(1602)に該当することがわかる。したがって、本実施形態において一つの循環シフトグループの長さ(S)は、2個のdu長さにP・NCS長さを加算した値と等しくすることができ、これは下記の式27のように示される。
【0190】
【数50】
【0191】
一方、シーケンス全体の循環シフトグループの個数を、全体シーケンス長さNzcをグループ長さSで除算して算定することができ、これは、下記の式28のように示される。
【0192】
【数51】
【0193】
一方、図16を参照すると、グループの長さSよりも小さい領域1603が残る場合がある。この領域の長さは、全体シーケンス長さから、グループの個数とグループの長さとを乗算した値を減算した長さ、すなわち、NZC-G・Sに該当する。ここで、Nzcは全体に亘るシーケンスの長さであり、Gはグループの数であり、Sはグループの長さである。NZC-G・S-2duがNcsよりも大きい場合、追加循環シフトを領域1603に適用することができる。これを、図16の1604に具体的に示す。したがって、このように循環シフトグループに基づかない追加循環シフトの個数をRとする時、Rは、下記の式29のように示される。
【0194】
【数52】
(3)(NZC/3)≦du<(NZC-NCS)/2
図17は、(NZC/3)≦du<(NZC-NCS)/2の区間で循環シフト設定のための変数を求める方法を説明するための図である。
【0195】
(NZC/3)≦duの領域では、上記(2)の場合、すなわち、du<(NZC/3)の場合とは違い、特定チャネル応答とドップラーシフトによるエイリアスの位置が全体に亘るシーケンス長さNzcを超過し、これにより、エイリアスは、理想的な場合のチャネル応答とdu範囲の間で発生することができる。例えば、図17の、特定位置1701におけるピークは、+/1のドップラーシフトにより1701a、1701b位置でエイリアスが発生することができる。これにより、本ケースにおいて、一つの循環シフトグループ内に適用できる循環シフトの個数は、図17の中央部分のNZC-2du領域1702によって決定され、これによって、グループごとに適用可能な制限循環シフトの個数Pを、下記の式30のように算定することができる。
【0196】
【数53】
【0197】
また、本ケースにおいて、各循環シフトグループの長さSは、下記の式31のように示すことができる。
【0198】
【数54】
【0199】
変数Sは、1702領域(Nzc−3du)の長さとPに該当する1703領域の長さとの和に等しい。P・Ncsの長さは、右側に位置した実際のグループの各々に適用可能な循環シフトの数を有する変数である。
【0200】
一方、本ケースにおいて、所定のZCシーケンス内における循環シフトグループの個数は、上記(2)の場合のように、全体のシーケンス長さNzc内で特定グループ長さSがいくつ許容されるかによって決定するのではなく、du範囲1704内で特定グループ長さSがいくつ許容されるかによって決定することが好ましい。これは、特定チャネル応答とこのチャネル応答の2個のエイリアス間の間隔が全体のシーケンス範囲を越え、本発明は、du範囲内で重ならないように各エイリアスを制御する。したがって、循環シフトグループの個数Gを、下記の式32のように示すことができる。
【0201】
【数55】
【0202】
最後に、上述したように、du範囲1704内で循環シフトグループを設定し、循環シフトグループの長さ以下の長さを持つ領域1705が残ることがある。このような領域1705の長さはdu-G・Sに該当し、この長さがNcsよりも大きい場合、追加循環シフトをこの長さに適用することができる。
【数56】
【0203】
ただし、各追加循環シフトグループの長さSがP個以上である場合には、P個よりも大きい個数に該当する追加循環シフトは、右側領域で+/−エイリアス領域と重なることができる。したがって、本実施形態において追加循環シフトの個数Rは、下記の式33のように表すことを提案する。
【0204】
【数57】
(4)(NZC-NCS)/2≦du
図17を参照すると、中央部分のNZC-2du領域1702の大きさがNcsよりも大きい場合にのみグループ内で循環シフトを適用することができる。すなわち、NZC-2du>NCSでなければならない。これをduを中心に表現し直すと、NZC-NCS>2du、すなわち、(NZC-NCS)/2>duを満たさなければならないということがわかり、そこで、本実施形態では(NZC-NCS)/2≦du範囲に対しては制限循環シフトを設定しないことを提案する。
【0205】
上述した各区間についての説明に基づいて、本実施形態による循環シフト設定方式を表す式25のうち、制限セットについてのみより具体的に説明すると、下記の通りである。まず、式25のうち、制限セットのみを表すと、式34のようになる。
【0206】
【数58】
【0207】
このような循環シフトで各項(term)について説明すると、下記の通りである。
【0208】
【数59】
【0209】
【数60】
【0210】
【数61】
【0211】
変形例
以下では、上述した最良の形態の外に、本発明によって適用可能な様々な変形例について説明する。上述した最良の形態は、循環シフトを始める地点に制限がない場合を仮定して説明したが、本発明は、このような場合だけでなく、多様な制限条件によって適用されることができる。以下では上述した最良の形態を含め、より一般的に適用可能な全ての実施形態について説明する。
【0212】
以下の図面で、“+”ドップラー周波数によってエイリアスが発生する位置を“+offset”の位置で表し、“−”ドップラー周波数によりエイリアスが発生する位置を“-offset”の位置で表す。
【0213】
図18及び19は、Nzc=839、Ncs=100、du=155の場合に、エイリアス応答(alias response)によってZCZプリアンブルシーケンスの数がどのように減るかを示す。
【0214】
図18において、循環シフトはいずれの位置でも開始可能である。図19において、循環シフトはNcsの倍数の位置でのみ可能である。図18及び図19において、Ncs値は同一であり、単に各循環シフトの開始位置のみ異なる。
結論として、図18の場合が図19の場合よりも多い循環シフトを構成することができる。すなわち、図18の場合は、循環シフトの開始位置に対する制約を除去することによって、追加的な制限循環シフトを得ることができる。
【0215】
図20は、Nzc=839の場合に、循環シフトの開始位置に対する制約を除去することによる利用可能な制限循環シフトの増加率を示す。
【0216】
このような循環シフトの開始に対する制約の除去は、ハードウェアの複雑さ(hardware complexity)を増加させない。
【0217】
したがって、あらかじめ定義されたシフト位置を考慮しない制限循環シフトが好まれており、上記最良の形態はこのような仮定下の実施形態である。しかし、本発明を、実施形態によってあらかじめ定義されたシフト位置を持つ制限循環シフトの場合にも適用することができ、以下ではこれら二つの場合をいずれも説明する。
【0218】
まず、あらかじめ定義されたシフト位置を考慮しない制限循環シフトの場合(Case 1)について説明すると、下記の通りである。
【0219】
式21は、プリアンブル生成ドメインにかかわらずに、エイリアス距離(alias distance)を表す。ルートZCシーケンスごとの利用可能な制限循環シフトの数は、ルートインデックスとNcsによって異なるから、相異なるエイリアス距離区間(range)のための相異なる式が必要である。
【0220】
特に、エイリアス応答が区別されない二つのエイリアス距離区間が存在する。循環シフト区間と二つのエイリアス区間が互いに重ならない、制限循環シフトが使用可能な区間は、Ncs≦du≦(Nzc-Ncs)/2で与えられる。
【0221】
ここで、プリアンブルが周波数ドメインで生成(generation)される場合、du=uであり、時間ドメインで生成される場合、du=1/u mod Nzcである。制限循環シフトの数は、下記の式35のように与えられる。
【0222】
【数62】
【0223】
ここで、Pは、グループごとの制限循環シフトの個数を表し、Gは、一つのプリアンブルシーケンスに現れるグループの数を表す。Rは、追加グループに基づかない追加制限循環シフトの個数を表す。
【0224】
制限循環シフトが使用可能な区間Ncs≦du≦(Nzc-Ncs)/2を、Nzc/3に基いて、Ncs≦du<(Nzc/3)と(Nzc/3)≦du≦(Nzc-Ncs)/2とに分けられることができる。
【0225】
Nzc/3を基準にエイリアス距離区間を分ける理由は、上述した通りである。したがって、Ncs≦du≦(Nzc-Ncs)/2は、Nzc/3に基づいて異なるように決定されるので、以下では、Ncs≦du<(Nzc/3)と(Nzc/3)≦du≦(Nzc-Ncs)/2の区間についてそれぞれ説明する。
【0226】
最初のグループの開始位置を0とすれば、Va番目の制限循環シフトの区間は、式36及び式37で[CVa,start、CVa,end]で定義される。
【0227】
【数63】
【0228】
【数64】
【0229】
そして、エイリアスは、下記の式38及び式39の位置で発生する。
【0230】
【数65】
【0231】
【数66】
【0232】
ここで、()Nzcは、Nzcに対するモジューラ演算を表す。
【0233】
【数67】
【0234】
図21は、Nzc=839、Ncs=40、du=150である場合の循環シフトを例に上げたものであり、グループごとに3個の循環シフトを持つ1個のグループがあり、残りの区間で2個の追加循環シフトがある。この例において、合計の制限循環シフトは5個となる。
本発明の一実施例では、このように演算されたグループの数、グループ当たり制限循環シフトの数及びグループの長さを、式36及び式37に適用して、循環シフト適用区間を設定する。
【0235】
【数68】
【0236】
図22は、Nzc=839、Ncs=40、du=399の場合を例に上げたものであり、グループごとに1個の循環シフトを持つ4個のグループがあり、1個の追加循環シフトがある。この例において、総制限循環シフトは5個である。
【0237】
本発明の一実施例では、このように演算されたグループの数、グループごとの制限循環シフトの数及びグループの長さが、式36及び式37に適用され、循環シフト適用区間を設定する。
【0238】
二つのエイリアス距離区間の等号(=)は、大きな意味を持たないこともある。例えば、839の長さのZCシーケンスを使用する場合、(Nzc/3)=279.67であるから、Ncs≦du<(Nzc/3)と(Nzc/3)≦du≦(Nzc-Ncs)/2とに区間を分ける場合と、Ncs≦du≦(Nzc/3)と(Nzc/3)<du≦(Nzc-Ncs)/2とに区間を分ける場合は、同じ結果を有する。
【0239】
次に、あらかじめ定義されたシフト位置を考慮する制限循環シフトの場合(Case 2)について説明する。
【0240】
あらかじめ定義されたシフト位置によって制限循環シフトの生成方法は、他の方法に変わる。各エイリアス距離区間において、P個の循環シフトを持つG個のグループがあり、R1個のグループに属しない最初の追加循環シフトがある。また、あらかじめ定義されたシフト位置を使用する場合、エイリアス距離区間の2領域であらかじめ定義されたシフト位置がない場合とは違い、特殊な追加循環シフトが存在する。エイリアス距離区間の2領域において、メイン領域(main region)は、一般的にシーケンスの前側サンプルに現れ、シーケンスの後側サンプルでエイリアス領域(alias region)が現れるのとは違い、逆にシーケンスの後側サンプルでメイン領域が現れ、シーケンスの前側サンプルでエイリアス領域が現れる。このような2番目の追加循環シフトをR2と表す。このような2番目の追加循環シフトは、エイリアス距離区間1では現れない。全体制限循環シフトの個数は、下記の式40で示される。
【0241】
【数69】
【0242】
1番目のグループの開始位置を0とすれば、Va番目の制限循環シフトは下記の式41及び式42のように、[CVa,start、CVa,end]領域で定義される。
【0243】
【数70】
【0244】
【数71】
【0245】
そして、関係しているエイリアスは、下記の式43及び式44の位置で発生する。
【0246】
【数72】
【0247】
【数73】
【0248】
ここで、()Nzcは、Nzcに対するモジューラ演算を表す。
【0249】
【数74】
【0250】
図23は、Nzc=839、Ncs=40、du=150の場合を例に上げたものであり、グループごとに3個の循環シフトを持つ1個のグループがあり、2個の追加循環シフトがある。この例で、総制限循環シフトは5個である。
【0251】
本発明の他の実施例では、このように演算されたグループの数、グループ当たり制限循環シフトの数及びグループの長さは、式41及び式42に適用され、循環シフト適用区間を設定する。
【0252】
【数75】
【0253】
図24は、Nzc=839、Ncs=40、du=399の場合を例に上げたものであり、グループごとに1個の循環シフトを持つ3個のグループがあり、0個の最初の追加循環シフトがある。また、メイン領域とエイリアス領域の相対的位置が、一般の場合と逆に現れる1個の追加循環シフトがある。このような2番目の追加循環シフトは、固定された循環シフト位置を使用しない場合においては、図22のように発生しない。この例で、制限循環シフトの合計は4個である。
【0254】
本発明の他の実施例では、このように演算されたグループの数、グループごとの制限循環シフトの数及びグループの長さを、式41及び式42に適用して循環シフト適用区間を設定する。
【0255】
本発明の他の実施例のように、循環シフトが固定されている特定システムでは、次のような過程を通じて循環シフトを決定することができる。
【0256】
まず、全体シーケンス区間を循環シフト値で除算する。
【0257】
続いて、最初の区間(n=1)に対してオフセットによる干渉(interference)が発生する区間(±u or ±(m*Nzc-1)/u)を探す。この時、干渉の発生する区間は、複数個の区間となる。例えば、最初の干渉(first interference)のみを考慮した場合、干渉が発生する区間を、最大4個までの区間で構成することができる。
【0258】
次に、最初の区間とオフセットによる複数個の干渉区間がいずれも互いに重ならない場合、最初の区間を、循環シフトを利用可能な区間と設定し、オフセットによる残り複数個の区間を、禁止区間と設定する。
【0259】
次の区間に移り(n=n+1)、オフセットによる干渉が発生する区間を探す過程を反復する。
【0260】
n番目の区間でオフセットによる干渉が発生する区間を探す間で、観察区間、オフセットによる複数個の区間、以前に設定された利用可能な区間、及び以前に設定された禁止区間がいずれも互いに重ならない場合、現在の区間を利用可能な区間と設定し、現在の区間に対するオフセットによる複数個の区間を、禁止区間と設定する。このような過程を最後の区間まで反復すること場合、循環シフトが固定されているシステムで循環シフトを決定することができる。
【0261】
本発明の他の実施例として、複数のセルを含む移動通信システムで高移動性セルとして確認されたセルにのみ、上記のように設定された循環シフト適用区間を適用させることができる。
【0262】
この場合、高移動性セルであるか否かは、セル情報を獲得した後にセルに対する周波数オフセットが所定レベル以上か否かを基準に判断することができる。この時、所定レベルは、本発明の属する技術分野における通常の知識を持つ者(以下、‘当業者’)が容易に設定及び変更できる周波数オフセット値である。高移動性セルであるか否かは、基地局あるいは端末が判断可能である。しかし、端末は、セル内の他の端末の周波数オフセット値を推定するのが困難である。したがって、基地局がセル内の複数の端末を考慮して該当端末が高移動性セルであるか否かを判断し、その結果の信号を放送チャネル(broadcast channel)を通じて送信することが好ましい。
【0263】
一方、本発明の他の実施例は、確認されたセルが高移動性セルでないか否かを決定する場合、割り当てられないシーケンスを高移動性セルに割り当てる過程を含むことができる。
【0264】
以下、上述した最良の形態と同じ条件下で式を変形して適用する場合について説明する。
【0265】
上記最良の形態に関連して上述した式を、下記のように表現することもできる。
【0266】
【数76】
【0267】
次に、あらかじめ定義されたシフト位置を考慮する制限循環シフトの場合(Case 2)を上記と異なる式で説明すると、下記の通りである。
【0268】
相関が0の領域を持つu番目のルートZCシーケンス、すなわち、v番目のランダムアクセスプリアンブルは、xu,V(n)=xu((n+Cv) mod Nzc)によって定義される。ここで、Cvは、式45で示される。
【0269】
【数77】
【0270】
【数78】
【0271】
この時、高移動性セルのパラメータは、下記のように定義される。
【0272】
【数79】
【0273】
【数80】
【0274】
制限循環シフト xu,V(n)=xu((n+Cv) mod Nzc)では、v番目の制限循環シフトのシフト値を直接利用する方法に対する例を上げた。これと違い、Va番目の制限循環シフトのためのVaを用いて制限循環シフトを適用することができる。すなわち、xu,Va(n)=xu((n+round(vaNcs)) mod Nzc)を用いて類似の循環シフトを生成することができる。このような方法で循環シフトを生成する場合、基本概念は上述した通りである。ただし、式は下記のように変わる。
【0275】
まず、あらかじめ定義されたシフト位置を考慮しない制限循環シフトの場合(Case 1)を、上記と異なる式で説明すると、下記の通りである。
【0276】
この時、循環シフトのためのインデックスvは、式46のように表現される。
【0277】
【数81】
【0278】
【数82】
【0279】
【数83】
【0280】
【数84】
【0281】
次に、あらかじめ定義されたシフト位置を考慮する制限循環シフトの場合(Case 2)を、上記と異なる式で説明すると、下記の通りである。
【0282】
この時、循環シフトのためのインデックスvは、式47で表現される。
【0283】
【数85】
【0284】
【数86】
【0285】
【数87】
【0286】
【数88】
【0287】
上述したように、本発明の一実施形態によると、CAZACシーケンスを用いて循環シフトされたシーケンスを具現する時、周波数オフセットやタイミングオフセットによるシフトの曖昧さ(shift ambiguity)を除去できる循環シフトセット(cyclic shift set)を定義することができる。また、本発明の一実施形態によると、同期されていないチャネルに接近する時は、周波数オフセットやタイミングオフセットが合わない状態であるから、このようなチャネルを強化することができ、パルス成形フィルタ(pulse shaping filter)の影響範囲によって、1次(first order)だけでなく、2次(second order)やより高い次数(higher order)の干渉まで考慮した循環シフトセットを定義することができる。
【0288】
本発明の好ましい実施形態についての詳細な説明は、当業者が本発明を具現して実施できるように提供された。以上では本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、該当技術分野における熟練した当業者は、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を逸脱しないで本発明を様々に修正及び変更することができるということを理解する。したがって、本発明は、ここに開示された実施形態に制限されるものではなく、ここに開示された原理及び新規な特徴と一致する最も広い範囲を含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0289】
上記記載から明らかなように、本発明は、シーケンスを生成するドメインの種類に関係なくチャネル遅延拡散または電波遅延により受信信号がシフトされたとしても、受信シーケンスのチャネルチャネル応答及びこの受信シーケンスのエイリアス位置を考慮することによって特定位置で重なりのない循環シフト(CS)区間を容易に設定することができる。
【0290】
また、循環シフト(CS)が、所定のレベルを越える周波数オフセットを有するセルに割り当てられる場合、本発明は、高移動性セルの周波数オフセットの影響を最小にすることができる。
【0291】
本発明は、周波数オフセット問題を解決するためのCAZACシーケンスの特性を考慮して各セルにシーケンスを割り当てる方法及びこれに適用する循環シフトを設定する方法に関するもので、無線通信システム、特に、端末と基地局に適用することができる。
【0292】
本発明の好ましい実施形態を説明のために開示したが、当業者は、添付した特許請求の範囲に開示した本発明の範囲を逸脱しないで本発明を様々に修正及び変更することができるということを理解する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末(UE)において、所定値より高い高ドップラー周波数の影響に対して定振幅ゼロ自己相関(CAZAC)シーケンスに適用される循環シフト値を設定することによって、基地局へ信号を送信する方法であって、
前記CAZACシーケンスのルートインデックス(u)を用いて、1サブキャリア間隔のドップラーシフトに該当する循環シフトの第1の変数(du)を獲得する段階と、
前記第1の変数(du)を用いて第2の変数を獲得する段階であって、前記第2の変数は、各循環シフトグループ内の適用可能な循環シフトの個数(P)と、各循環シフトグループの長さ(S)と、前記CAZACシーケンス内の循環シフトグループの個数(G)と、を有する、段階と、
前記第2の変数によって前記CAZACシーケンスに適用される循環シフト値を設定する段階と、
前記の設定された循環シフト値を前記CAZACシーケンスに適用する段階と、
前記設定された循環シフト値が適用された前記CAZACシーケンスを、前記基地局に送信する段階と、
を有する方法。
【請求項2】
前記第2の変数は、前記循環シフトグループに基づかない前記CAZACシーケンスに適用可能な追加循環シフトの個数(R)をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記CAZACシーケンスはZadoff-Chu(ZC)シーケンスであり、
前記第1の変数(du)は、
【数1】
(ここで、“u”は前記ZCシーケンスのルートインデックスを表し、“Nzc”は、前記ZCシーケンスの長さに該当する。)
によって獲得される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の変数は、前記第1の変数(du)の範囲によって別々に獲得され、前記第1の変数(du)の範囲は、前記ZCシーケンス長の1/3(Nzc/3)に該当する基準によって区別される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の変数(du)の範囲がNcs≦du<(Nzc/3)である場合、前記第2の変数は、
【数2】
(ここで、“Ncs”は、あらかじめ設定された循環シフトパラメータを表し、“P”は、各循環シフトグループ内の適用可能な循環シフトの個数を表し、“S”は各循環シフトグループの長さを表し、“G”は、前記ZCシーケンス内の循環シフトグループの個数を表し、“R”は追加的な循環シフトの個数を表す。)
によって獲得される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の変数(du)の範囲が(Nzc/3)≦du≦(Nzc−Ncs)/2である場合、前記第2の変数は、
【数3】
(ここで、“Ncs”は、あらかじめ設定された循環シフトパラメータを表し、“P”は、各循環シフトグループ内の適用可能な循環シフトの個数を表し、“S”は各循環シフトグループの長さを表し、“G”は、前記ZCシーケンス内の循環シフトグループの個数を表し、“R”は追加的な循環シフトの個数を表す。)
によって獲得される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記循環シフト値(Cν)の設定は、
【数4】
の式として行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記CAZACシーケンスは、ランダムアクセスプリアンブルとして送信される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
所定値より高い高ドップラー周波数の影響に対して定振幅ゼロ自己相関(CAZAC)シーケンスに適用される循環シフト値を設定することによって、基地局へ信号を送信する端末(UE)であって、
前記CAZACシーケンスのルートインデックス(u)を用いて、1サブキャリア間隔のドップラーシフトに該当する循環シフトの第1の変数(du)を獲得し、
前記第1の変数(du)を用いて第2の変数を獲得し、前記第2の変数は、各循環シフトグループ内の適用可能な循環シフトの個数(P)と、各循環シフトグループの長さ(S)と、前記CAZACシーケンス内の循環シフトグループの個数(G)と、を有し、
前記第2の変数によって前記CAZACシーケンスに適用される循環シフト値を設定し、
前記の設定された循環シフト値を前記CAZACシーケンスに適用し、
前記設定された循環シフト値が適用された前記CAZACシーケンスを、前記基地局に送信する、
ように構成された端末。
【請求項10】
前記第2の変数は、前記循環シフトグループに基づかない前記CAZACシーケンスに適用可能な追加循環シフトの個数(R)をさらに含む、請求項9に記載の端末。
【請求項11】
前記CAZACシーケンスはZadoff-Chu(ZC)シーケンスであり、
前記第1の変数(du)は、
【数5】
(ここで、“u”は前記ZCシーケンスのルートインデックスを表し、“Nzc”は、前記ZCシーケンスの長さに該当する。)
によって獲得される、請求項10に記載の端末。
【請求項12】
前記第2の変数は、前記第1の変数(du)の範囲によって別々に獲得され、前記第1の変数(du)の範囲は、前記ZCシーケンス長の1/3(Nzc/3)に該当する基準によって区別される、請求項11に記載の端末。
【請求項13】
前記第1の変数(du)の範囲がNcs≦du<(Nzc/3)である場合、前記第2の変数は、
【数6】
(ここで、“Ncs”は、あらかじめ設定された循環シフトパラメータを表し、“P”は、各循環シフトグループ内の適用可能な循環シフトの個数を表し、“S”は各循環シフトグループの長さを表し、“G”は、前記ZCシーケンス内の循環シフトグループの個数を表し、“R”は追加的な循環シフトの個数を表す。)
によって獲得される、請求項12に記載の端末。
【請求項14】
前記第1の変数(du)の範囲が(Nzc/3)≦du≦(Nzc−Ncs)/2である場合、前記第2の変数は、
【数7】
(ここで、“Ncs”は、あらかじめ設定された循環シフトパラメータを表し、“P”は、各循環シフトグループ内の適用可能な循環シフトの個数を表し、“S”は各循環シフトグループの長さを表し、“G”は、前記ZCシーケンス内の循環シフトグループの個数を表し、“R”は追加的な循環シフトの個数を表す。)
によって獲得される、請求項12に記載の端末。
【請求項15】
前記循環シフト値(Cν)の設定は、
【数8】
の式として行われる、請求項14に記載の端末。
【請求項16】
前記CAZACシーケンスは、ランダムアクセスプリアンブルとして送信される、請求項9に記載の端末。
【請求項1】
端末(UE)において、所定値より高い高ドップラー周波数の影響に対して定振幅ゼロ自己相関(CAZAC)シーケンスに適用される循環シフト値を設定することによって、基地局へ信号を送信する方法であって、
前記CAZACシーケンスのルートインデックス(u)を用いて、1サブキャリア間隔のドップラーシフトに該当する循環シフトの第1の変数(du)を獲得する段階と、
前記第1の変数(du)を用いて第2の変数を獲得する段階であって、前記第2の変数は、各循環シフトグループ内の適用可能な循環シフトの個数(P)と、各循環シフトグループの長さ(S)と、前記CAZACシーケンス内の循環シフトグループの個数(G)と、を有する、段階と、
前記第2の変数によって前記CAZACシーケンスに適用される循環シフト値を設定する段階と、
前記の設定された循環シフト値を前記CAZACシーケンスに適用する段階と、
前記設定された循環シフト値が適用された前記CAZACシーケンスを、前記基地局に送信する段階と、
を有する方法。
【請求項2】
前記第2の変数は、前記循環シフトグループに基づかない前記CAZACシーケンスに適用可能な追加循環シフトの個数(R)をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記CAZACシーケンスはZadoff-Chu(ZC)シーケンスであり、
前記第1の変数(du)は、
【数1】
(ここで、“u”は前記ZCシーケンスのルートインデックスを表し、“Nzc”は、前記ZCシーケンスの長さに該当する。)
によって獲得される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の変数は、前記第1の変数(du)の範囲によって別々に獲得され、前記第1の変数(du)の範囲は、前記ZCシーケンス長の1/3(Nzc/3)に該当する基準によって区別される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の変数(du)の範囲がNcs≦du<(Nzc/3)である場合、前記第2の変数は、
【数2】
(ここで、“Ncs”は、あらかじめ設定された循環シフトパラメータを表し、“P”は、各循環シフトグループ内の適用可能な循環シフトの個数を表し、“S”は各循環シフトグループの長さを表し、“G”は、前記ZCシーケンス内の循環シフトグループの個数を表し、“R”は追加的な循環シフトの個数を表す。)
によって獲得される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の変数(du)の範囲が(Nzc/3)≦du≦(Nzc−Ncs)/2である場合、前記第2の変数は、
【数3】
(ここで、“Ncs”は、あらかじめ設定された循環シフトパラメータを表し、“P”は、各循環シフトグループ内の適用可能な循環シフトの個数を表し、“S”は各循環シフトグループの長さを表し、“G”は、前記ZCシーケンス内の循環シフトグループの個数を表し、“R”は追加的な循環シフトの個数を表す。)
によって獲得される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記循環シフト値(Cν)の設定は、
【数4】
の式として行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記CAZACシーケンスは、ランダムアクセスプリアンブルとして送信される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
所定値より高い高ドップラー周波数の影響に対して定振幅ゼロ自己相関(CAZAC)シーケンスに適用される循環シフト値を設定することによって、基地局へ信号を送信する端末(UE)であって、
前記CAZACシーケンスのルートインデックス(u)を用いて、1サブキャリア間隔のドップラーシフトに該当する循環シフトの第1の変数(du)を獲得し、
前記第1の変数(du)を用いて第2の変数を獲得し、前記第2の変数は、各循環シフトグループ内の適用可能な循環シフトの個数(P)と、各循環シフトグループの長さ(S)と、前記CAZACシーケンス内の循環シフトグループの個数(G)と、を有し、
前記第2の変数によって前記CAZACシーケンスに適用される循環シフト値を設定し、
前記の設定された循環シフト値を前記CAZACシーケンスに適用し、
前記設定された循環シフト値が適用された前記CAZACシーケンスを、前記基地局に送信する、
ように構成された端末。
【請求項10】
前記第2の変数は、前記循環シフトグループに基づかない前記CAZACシーケンスに適用可能な追加循環シフトの個数(R)をさらに含む、請求項9に記載の端末。
【請求項11】
前記CAZACシーケンスはZadoff-Chu(ZC)シーケンスであり、
前記第1の変数(du)は、
【数5】
(ここで、“u”は前記ZCシーケンスのルートインデックスを表し、“Nzc”は、前記ZCシーケンスの長さに該当する。)
によって獲得される、請求項10に記載の端末。
【請求項12】
前記第2の変数は、前記第1の変数(du)の範囲によって別々に獲得され、前記第1の変数(du)の範囲は、前記ZCシーケンス長の1/3(Nzc/3)に該当する基準によって区別される、請求項11に記載の端末。
【請求項13】
前記第1の変数(du)の範囲がNcs≦du<(Nzc/3)である場合、前記第2の変数は、
【数6】
(ここで、“Ncs”は、あらかじめ設定された循環シフトパラメータを表し、“P”は、各循環シフトグループ内の適用可能な循環シフトの個数を表し、“S”は各循環シフトグループの長さを表し、“G”は、前記ZCシーケンス内の循環シフトグループの個数を表し、“R”は追加的な循環シフトの個数を表す。)
によって獲得される、請求項12に記載の端末。
【請求項14】
前記第1の変数(du)の範囲が(Nzc/3)≦du≦(Nzc−Ncs)/2である場合、前記第2の変数は、
【数7】
(ここで、“Ncs”は、あらかじめ設定された循環シフトパラメータを表し、“P”は、各循環シフトグループ内の適用可能な循環シフトの個数を表し、“S”は各循環シフトグループの長さを表し、“G”は、前記ZCシーケンス内の循環シフトグループの個数を表し、“R”は追加的な循環シフトの個数を表す。)
によって獲得される、請求項12に記載の端末。
【請求項15】
前記循環シフト値(Cν)の設定は、
【数8】
の式として行われる、請求項14に記載の端末。
【請求項16】
前記CAZACシーケンスは、ランダムアクセスプリアンブルとして送信される、請求項9に記載の端末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2013−102497(P2013−102497A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−1208(P2013−1208)
【出願日】平成25年1月8日(2013.1.8)
【分割の表示】特願2009−544795(P2009−544795)の分割
【原出願日】平成20年1月4日(2008.1.4)
【出願人】(502032105)エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド (2,269)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成25年1月8日(2013.1.8)
【分割の表示】特願2009−544795(P2009−544795)の分割
【原出願日】平成20年1月4日(2008.1.4)
【出願人】(502032105)エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド (2,269)
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